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2016年10月 3日 (月)

「消費税増税など、バカバカしくて払ってられるか!」シリーズ(1):パナマ文書に見られる巨大企業や富裕層の国際的納税回避行為を、何故迅速に、効果的に取り締まろうとしないのか=昨今の毎日新聞記事から

前略,田中一郎です。

 

みなさま既にご承知の通り、パナマ文書で明らかになったように、世界の巨大企業や富裕層、それに政治権力を手にしている、ごく一握りの人間達や組織は(「1%」と象徴的に表現しましょう)、今から数十年も前から、さまざまな手法を駆使して国際的な納税義務の回避行為を繰り返しています。タックスヘイブンの活用もその一つですし、それ以外にもいろいろあるでしょう。しかし、そうした行為の積み重ねにより、今日の租税・納税の世界では、本来税金を負担すべき企業や自然人が、ほとんどその負担を担わず、逆に、納税余力の乏しい経済弱者とでもいうべき私たちのような貧民庶民が、消費税増税をはじめとする税金負担の増大のみならず、社会保障制度に伴う受益者負担の名目で、様々な負担増を余儀なくされています。政治や政治家・官僚達は、本来であればこうした歪み切った制度や仕組みを、きちんとすばやく是正すべき立場にあるのですが、今日では、その政治や政治家・官僚達が、この国際納税回避行為の恩恵を隠れて享受するという、二重の腐敗構造になっているのです。

 

新聞報道では、パナマ文書の暴露のあと、たとえばBEPS(税源浸食と利益移転)(注)などという国際的な税務当局による協調的な対応対策が打ち出されているとマスコミ宣伝が繰り返されておりますが、しかし、私はこれを楽観視しておりません。何故なら、BEPSを進めている連中こそが、国際納税回避行為の中心にいるような気配があるからです。いわば、ミイラがミイラ取りをしているような、そんな感じです。

 

ですので、金融専門誌などではBEPSに関する議論が花盛りで、さも立派で理路整然とした方策・対策が論じられ記述されていますが、さてそれが、いったいいつになったら実施に移されるのか、しかも、どういう形で、誰がそれを有効に実施し、そしてそれが有効な対策であるとどうやって客観的に評価できるのか、といったことがあいまいなまま、さも順調に議論や準備が進められているかのような体裁で、ことが進められている様子がうかがえます。例えば私には、こうしたことは、BEPSが曲がりなりにも実施に移された場合に、それによって納税回避行為が大きなダメージを受けないよう、次の納税回避のための対応・対策を打つための「時間稼ぎ」が今現在進行中ではないかと想像させるものがあるのです。もし税務当局が有効な対策として実施するというのであれば、これこそ短期間で実施事項を決め、公開と同時に即時に実施することで、今現在進行中の納税回避行為を一網打尽にすることこそ、考えてしかるべきではないかとも思われます。

 

下記では、こうした一連のことの具体例の一つとして、昨今、毎日新聞に掲載された記事について簡単にコメントしたいと思います。率直に言って、こんな程度のことが、何故、まだできていないのか、消費税増税などをやる前に、こういうことこそさっさとやって、「納税負担義務の公平・公正」を政策的に実現させておくべきではないのか、と思います。私は、おそらく水面下で、間もなくこういうことをやるので、納税回避されておられた会社や富裕層の方々は、早めに対策をしておかれた方がいいでしょう、などとやっていた可能性は高いとみています。ですから、この記事にある施策が実施される頃には、これによって納税額が増大する企業や自然人は、ほとんどいなくなっているであろうと推測します。一種のアリバイ政策に近い可能性があるのです。

 

しかも、国際納税回避行為を包囲して追い詰めるという面から見ますと、いくつかの制度的な「穴」=欠陥もあるように見受けられます。それについても付記しておきますので、ご参考にされていただければと思います。依然として、我が国ニッポンは、「消費税増税など、バカバカしくて払ってられるか!」状態が続いています。無数無名の一般貧困納税者のみなさま、今こそ、この不公平・不公正税制に対して納税者の反乱=平成「一揆」を起こしましょう。自民党、公明党の政治家どもを、あらゆる選挙で落選させましょう。納税義務の在り方こそ、民主主義の基本中の基本です。納税者の反乱は民主主義の復権のしるしです。

 

(注)(参考)BEPS(税源浸食と利益移転)|EY税理士法人

 http://www.eytax.jp/services/international-tax/ome/beps.html

 

(参考文献)パナマ文書とオフショア・タックスヘイブン 改革は可能か-合田寛/著

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033486423&Action_id=121&Sza_id=GG

 

(参考文献)税金を払わない巨大企業-富岡幸雄/著

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033150910&Action_id=121&Sza_id=B0

 

 <注目した毎日新聞記事>

●海外子会社:課税拡大、租税回避地対策…政府方針 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20160930/ddm/008/020/047000c

 http://mainichi.jp/articles/20160823/k00/00m/020/084000c

 

(一部抜粋)

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現在、課税逃れ対策として導入している「タックスヘイブン対策税制」では、法人税の実効税率が20%未満の国・地域の子会社の所得を日本の親会社に合算して課税している。だが、子会社が実体のないペーパーカンパニーでも、現地の税率が20%以上なら適用されず、課税逃れを許す可能性があった。

 

 そのため、日本の親会社と合算して課税する基準を、対象国の税率から事業実体の有無に切り替える。子会社の所在地の税率が20%以上であっても、子会社に実体が無ければ日本の親会社の利益に合算して課税する。日本(29・97%)より税率が高い地域は対象外とするが、新たに中国や韓国、オランダなどに置いた子会社に対象が拡大し、課税逃れを目的にしたペーパーカンパニーのほとんどを網羅できるようになるとみられる。

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 (制度上の「抜け穴」となる可能性)

(1)記事にあるように「事業実体の有無を判断する基準などの具体的な仕組みづくりはこれから。基準が緩ければ実効性が失われる可能性もあり、今後は事業実体の判断基準をどうするかが論点となりそうだ」という点 ⇒ たとえば、わずかばかりの不動産業や資産管理事業をやっていたら、それで事業実態ありとするのかという問題。こういう問題は、実は我が国の相続税評価額算定の際でも問題になっていて、そこでは実質的に大した事業実態がないような会社の株式評価額を大きく過小評価できる仕組みが用意されているということです。税務のプロには「お手の物」のインチキ手法です。

 

(2)自主申告だという点(「財務省は企業の負担軽減のため、子会社の事業実体の有無を企業が自主申告する制度を設ける方針。申告が無い場合は事業実体があるとみなして、これまで同様に各国・地域の税率を適用し、合算して申告する事務負担が生じないようにする。」)⇒ 自主申告せず、かつ、税務当局が見逃せば、依然として納税回避できる。

 

(3)「子会社」なのに「子会社ではない」と装う方法があります。やり方はいろいろあり、ここが今現在、国際税務戦略(=言い換えれば国際納税回避行為の「知恵」の体系)における最大の「活躍場」=コンサルタントの腕の見せ所の一つと思われます。事例としては、利益の「タメ壺」としてのペーパーカンパニー「子会社」を私募形式の「金融商品」に化けさせて、形だけの複数所有形態をつくり、それを私募の特権で非公開としてしまう方法です。もちろんタックスヘイブンが活用されます。ペーパーカンパニーという会社形態ではなく、信託勘定とその受益権証券形式が取られるかもしれません。

 

 (私が考える対策)

 私が考える対策は、①税務当局による「みなし規定」を設け、ペーパーカンパニーや信託勘定や金融商品等を納税義務者の実質的な支配下にある「利益の「タメ壺」」であると「みなす」ことを可能にすること、②国際的な巨額の納税回避行為を取り締まる「国際マルサ」の大部隊(懸賞付き内部告発制度付)を創設し徹底した「退治」を行うとともに、税務当局の課税業務を監視する市民代表の「税務オンブズマン」を創設する、③国際納税回避行為をすべて公開し社会的な制裁を促すこと、④日本の司法が腐っており、国際納税回避行為に関する裁判が有効に機能しない可能性が高いため(武富士の息子の相続税に関する最高裁判決などがその一例)、巨額納税回避行為に関する裁判に最高裁のレベルまで「陪審制度」を入れること、⑤巨額の納税回避行為に関する時効を長期化して10年とする他、重加算税の税率を大きくアップし抑止力を高める、などです。(巨額とは1億円~10億円以上を想定)

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 1%の特権層のための政治ではなく、99%のための政治を実現すること、それは「税金」の不公平・不公正にこだわり、それを圧倒的多数の納税者の力で「ひっくり返すこと」により、最も迅速に実現できることです。それを人呼んで、民主主義、といいます。自民党・公明党の政治家どもを選挙で落選させましょう、何故なら、かれらは1%のための政治を優先しており、それは「パナマ文書」に代表される「国際納税」の出鱈目と、彼らのそれに対する対応を見れば明らかです。

草々

 

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