「原発・原子力の出鱈目てんこ盛り」シリーズ再開(35):最も安価な原発電気はカネがかかりすぎてやっていけない・・・・WHAT??
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
(最初にイベント情報他です)
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1.(別添PDFファイル)「TPPを批准させない!全国共同行動」へのご協力について(山田正彦 2016.9.30)
(関連)TPP協定を今国会で批准しないことを求める緊急署名 - TPPを批准させない!全国共同行動
(関連)ホーム - TPPを批准させない!全国共同行動
(関連)マンガ・イラストを集めました。さまざまな市民運動・社会運動にお使いください
いちろうちゃんのブログ
(TPP関連のプラカードはこのサイトの下の方にあります)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-ad35.html
2.「脱被ばく実現ネット」
(1)#脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会) 第7回新宿デモ 10月22日(土)
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2016/09/7.html
(2)#脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会) 落合栄一郎先生の講演会 10月30日(日)
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2016/09/blog-post_96.html
3.「参議院議員 山本太郎」オフィシャルサイト 2016.5.25行政監視委員会 太郎「海産物のストロンチウム検査、子どもたちのためにも是非お願いします」。馳大臣「お話はたまわりました。
http://www.taro-yamamoto.jp/national-diet/5939
4.がん死亡リスク、低線量被ばくでも増加 欧米の原発作業員分析(日本経済新聞 2015.10.22)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H9M_S5A021C1CR0000/
(一部抜粋)
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欧米の原子力施設で働く30万人以上を対象にした疫学調査で、100ミリシーベルト以下の低線量被曝(ひばく)でも線量に応じてがんによる死亡リスクが増えたとする分析結果を、国際チームが22日までに英医学誌BMJに発表した。国連科学委員会などは被曝線量が100ミリシーベルト以下では明確な発がんリスク上昇を確認できないとの見解を示している。
チームは100ミリシーベルト以下でも白血病のリスクが上昇するという調査結果を既に発表。英国、米国、フランスの原発などで1944~2005年の間に1年以上働いた約30万8300人のうち、白血病以外のがんで死亡した1万9064人について分析した。
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(重要な記事です。世界では100mSv以下であっても閾値などなく危険であることが今日では常識になっております。御用学者たちによる「ためにする宣伝」で、ゆがんだ被ばく安全論がはびこっているのは日本の福島県とその周辺=つまり福島第1原発事故により放射能で深刻に汚染された地域だけです。これが何を意味しているか、もうお分かりですね:田中一郎)
5.「放射線の健康影響:小児甲状腺がんと低線量被ばくについて
~2016年5月時点の私の見解~」(松崎道幸:道北勤医協 旭川北医院)
(少し前にお送りしたものですが、まだご覧になっておられなければ大至急ご覧ください。放射線被曝に関する必見資料です。上記の日経記事もこの資料で教えていただきました:田中一郎)
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今年7月の参議院選挙でアベ自公政権与党が大勝利してからというもの、選挙期間中は隠しに隠して、すっとぼけていた「本音」の邪悪政策を、アベ政権は各方面に於いて、手のひらを返したように、なりふり構わずやり始めました。軍拡予算や武器輸出、沖縄・辺野古基地建設や高江ヘリパッド建設の強行などがその一例ですが、実は原発推進の世界でも目を覆いたくなるような出鱈目三昧を従来にも増して露骨に展開し始めています。
●高江ヘリパッドの記事一覧 沖縄タイムス+プラス
今回ご紹介する「アンフェアーな原発コスト・カバー」(=有権者・国民へのツケ回し)の話は、その中でも最も節操のない、全くふざけた話で、およそ他の産業部門では考えられないような無責任と厚顔無恥の所業です。まさに原子力利権に吸い付く原子力ムラ代理店政府・政権にふさわしい「盗っ人」稼業とでもいうべきものと言っていいでしょう。以下、簡単にまとめておきますのでご参考にしていただければと思います。
1.(別添PDFファイル)原発事業者の賠償
上限案、国の専門部会 事故時国民負担も(朝日 2016.10.2)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12587906.html
(田中一郎コメント)
2016年10月4日付毎日新聞夕刊の記事によれば「福島第1原発事故の賠償・除染費用は、(1)国がいつでも現金に換えられる「交付国債」を原子力損害賠償・廃炉等支援機構(国の認可法人)に渡す(2)東電は機構から必要な資金の交付を受け、賠償・除染に充てる(3)機構は後に東電を含む大手電力から負担金を受け取り、国に返済する−−という仕組み。賠償分は東電と他の大手電力が分担▽除染費用は機構が持つ東電株の売却益を充当▽中間貯蔵施設の費用は電源開発促進税で賄うことになっている」とある。
つまり、原発事故の賠償は加害者・東京電力と原発を持つ地域独占の大手電力で共同で負担していくことになっている。福島第1原発事故については、他の大手電力は自身が負担させられることに不満の様子だが、明日は我が身で=いつ自分たちの原発が過酷事故を起こすかわからないのだから、応分の「保険料負担」のようなものだと考えれば納得もいくだろう。しかし、いずれにせよ、原発事故で損害が出れば、それがどれほど大きな金額になろうが、加害者の責任で負担するのは「世の中の常識」というものだ。あまりに巨額で民間企業では払いきれないからと、そんなものの「尻」を政府=つまり有権者・国民の税金からなる国庫に向けられても、「はい、そうですか」と受け入れるわけにはいかないのは当然である。
それが今、日本で実際に起きていることはどうか。まずもって福島第1原発事故の加害当事者である東京電力は、何の罪に問われることもなく、賠償費用は国からカネをもらって、それを限られた被害者にだけ横流しし、国はそれを「ゆくゆく返してもらう」ので貸金だと言っているにもかかわらず、東京電力側はそれを特別利益=つまり「もらったもの」だとして経理処理して数千億円の「黒字決算」を行い、その勢いで可能な限り早く政府管理から独立して自律経営に戻るなどと言っている。寝ぼけるのもいい加減にしろ、ではないか。原発事故による賠償・補償負担をせず(下記に見るように、廃炉費用も、除染費用も、そろそろ覚束なくなってきている)、国に丸抱えをしてもらい、粉飾決算までして生き残ろうとし、他方では、圧倒的多数の原発事故被害者を切り捨てている、この東京電力という会社は歴史上最悪の犯罪会社・恥知らず会社である。
そもそも、原発が過酷事故を起こした場合には、きちんとすべての費用を支払うことができるよう、常日頃より保険金額無制限の「損害賠償保険」に入っておけばよい。しかし、原発事故被害の損害賠償は天文学的な金額となるので、この保険を扱ってくれる民間保険会社は存在しない。つまり、原発ビジネスなど、民間ベースでは成立しないということをいみじくも保険業界が示してくれているのである。だったら原発などやめればいいではないか。事故リスクのコストを不払いのまま原発を稼働するなど、もっての他と言う他ない。そしてこのことは、原発は「安価だ」というのがいかに嘘八百か=この事故リスクの保険費用不払いにこそ、最大のインチキが隠れていることを我々は見抜かないといけないのだ。
そして、もはや福島第1原発事故収束の当事者能力に乏しいゾンビ・東京電力は、いったん会社更生法にかけて倒産させ、改めて更生会社の形でまともな電力会社として再スタートさせる必要がある。金融機関等の大口債権者や株主には応分の負担を背負っていただく(当たり前だ)。柏崎刈羽原発や福島第2原発は即時に廃炉、核燃料サイクル事業は廃棄、送配電網は所有分離の別会社=公的運営、被害者救済や廃炉・除染などは国が全面的に責任を持ち、最後に福島第1原発事故の責任者は(原子力安全保安院などの国の規制機関も含めて)一人残らず刑事・民事裁判にかける、ということで、はじめて過去の「清算」ができることになる。そして危険な状態が続く福島第1原発廃炉への対応はオール日本・オール世界で、全世界の英知を集めて全力で取り組むこととするのだ。
(関連)(別添PDFファイル)原発事故の事業者賠償、上限設定「困難」(朝日 2016.10.4 他)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12590415.html
(関連)原子力損害の賠償に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html
(関連)原子力損害賠償制度専門部会-原子力委員会
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/songai/index.htm
(電力会社の原発事故賠償負担を法的に免除しようと画策しているのが原子力ムラ代理店官庁の経済産業省(及び自民党)である。しかし今は、経済産業省からは少し距離のある、内閣府のこの委員会が電力会社の賠償負担免除を検討している。なので、委員会の論調は必ずしも経済産業省や自民党の思惑通りにはなっていない。だが、先行きどうなるかはわからない。この委員会の後を受けて、意思決定に直接つながる別の委員会が、もう一つ用意される可能性も十分にある。要警戒だ:田中一郎)
2.(別添PDFファイル)廃炉費負担者拡大も、経産省
年内に制度案、有識者会議開始(朝日 2016.9.28)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12580707.html?rm=150
(この記事にある「各費用」の負担の決め事を、今後の原発推進のことも念頭に置いて、これから東京電力をはじめ電力会社の負担軽減につながるよう変えていこうというのが経済産業省の意図である。記事の中の一覧表にある「廃炉・汚染水対策」「賠償」「除染」「中間貯蔵施設」の各負担の現状は、上記でご紹介した毎日新聞記事とほぼ同内容である。わかりやすくていい表だ:田中一郎)
3.(別添PDFファイル)福島原発8兆円負担増、電事連 認める(毎日 2016.10.4 夕刊他)
http://mainichi.jp/articles/20161004/k00/00e/020/174000c?fm=mnm
(関連)(別添PDFファイル)東電公的管理
延長へ、政府調整 廃炉費用増が彰響(福島民報 2016.10.2)
https://www.minpo.jp/globalnews/detail/2016100101001521
(原発事故の賠償負担や除染費用負担が重いから国に助けてくれ、と言っているだけでなく、廃炉費用も巨額になりそうなので、国は東京電力を今まで以上に丸抱えしようというのが、新しい委員会の検討や経済産業省の意図である。こっちもまた、ふざけるなだ。電力事業こそ電力会社の自己責任でやっていただきたい。少なくとも原因企業の東京電力を今のままにして、国が東京電力の福島第1原発事故の後始末費用の面倒を見るという話には絶対に乗るわけにはいかない。それはゆくゆく全国の原発保有の電力会社の経営者や規制当局をモラル・ハザードに導き、結果的に次の原発過酷事故を準備するからである。事実、昨今では、九州電力や関西電力は、国や原子力規制委員会・規制庁の足元を見ながら、いい加減な対応や不十分な安全管理を積み重ねて、またぞろ危険な原発の再稼働に走り始めている。いざとなったら国が助けてくれる、少なくとも大事故を起こしても、東京電力のように責任を問われることもなければ、会社がつぶれてなくなってしまうこともない、という、緩みきったセンチメントで目先の経営保身に走っているものと思われる。許されないことである:田中一郎)
4.(別添PDFファイル)火力発電に収入保障、再生エネ普及で採算悪化、経産省検討(日経 2016.9.28)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS27H4K_X20C16A9PP8000/
(テコ入れするのは原発だけかと思っていたら、今度は旧態依然の発電設備である石炭火力の収入保障までやろうとしている。要するに、今、大手独占の電力会社がやっている原発と石炭火力という20世紀型の「滅び行く恐竜」施設を、国がちょっかいを出して収入やコスト・カバーを助けてやり、今のまま、楽ちん楽ちんでやっていけるようにするという、電力事業の進歩や発展を妨害する反国民的政策を、屁理屈をつけてやっていこうというわけである。電力産業や国の行政当局の恥知らずもここまで来ると「横綱」格だ。いっそ、丸ごと日本の外へ放り投げてしまいたい衝動に駆られる:田中一郎)
5.霞が関最悪のごく潰し官庁=経済産業省
この経済産業省の下で、これからロクでもない検討を始めるのは下記の2つです。
(1)電力システム改革貫徹のための政策小委員会を設置します
(METI-経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/2016/09/20160920006/20160920006.html
(全国の原発の廃炉費用を、再生可能エネルギーのみの発電事業者を含むすべての電力事業者に対して、「託送料金」に上乗せして徴求する仕組みを法的につくってしまおうとするための委員会がこれです。ひょっとすると、原発の廃炉だけでなく、使用済み核燃料の処分を含む様々な原発バックエンドのコストまで、託送料金に上乗せされて負担させられるかもしれません。そんなトンデモ検討会が始まっているのです。純粋に会計や経理のことだけを考えれば、将来負担させられることがほぼ確実な様々な原発関連費(賠償・補償、除染、廃炉など)は「引当金」を積む(同額損金扱い)のが普通のやり方ですが、その金額が膨大なあまり、決算できないで今日に至っています:田中一郎)
(2)東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)の設置について(METI-経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/2016/09/20160920007/20160920007.html
(福島第1原発の廃炉費用の負担が想定を上回る規模になりそうなので、東京電力を政策的に救済するための委員会がコレです。ひょっとすると、廃炉だけでなく、除染や損害賠償の負担も軽くしてやれ、という話になるかもしれません。何故なら、将来ほぼ確実に支出が見込まれている廃炉以外の除染や損害賠償の費用など、現状復帰の対策費がどれくらいかかるのか、全く予想もつかないからです。みんな国にツケ回しすれば何とかなるという発想が見え隠れしています。
しかも、この委員会は非公開で、有権者・国民からは見えないところで、こそこそと談合をしながら進めていくようです。隠せ!
隠せ! 隠せ! 都合悪けりゃみな隠せ! の原発・核・原子力推進の「鉄則」がここでもしっかりと貫かれています:田中一郎)
(経済産業省はもはやロクでもないことばかりを続ける「極悪人官庁」となった(この他にも史上最悪の国際協定=TPPを推し進めている)ため解体すべきである。少なくとも「原発・核燃料サイクル」部門や電力・ガス部門を切り離さなければ、この官庁は最後の最後まで、つまり日本が原発・原子力で滅亡するまで、今のまんまの仕事を続けていくことになるだろう。悪玉菌は早いうちに退治するのが最も最善の策である:田中一郎)
●東電支援、消費者負担も 事故処理費用が増大、有識者委|高知新聞
https://www.kochinews.co.jp/article/53675/
6.(別添PDFファイル)原子力国策の固定化につながる原発事故賠償有限責任化に反対する(海渡雄一『科学 2016,10』)
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo201610.html
(関連)脱原発弁護団全国連絡会 【意見】原子力発電所事故による損害賠償制度の見直し始まる
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/15-05-25/
(関連)日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:原子力損害賠償制度の在り方に関する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/160818.html
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2016/opinion_160818.pdf
7.参考
(1)(別添PDFファイル)普通の経済原則では原発というビジネスは成り立ちません(大島堅一立命館大学教授
日刊ゲンダイ 2016.9.30)
https://twitter.com/trapelus/status/781409215285833728
(2)(別添PDFファイル)福島・帰還困難区域の除染費、国費投入はおかしい(関谷俊介
毎日 2016.9.28)
http://mainichi.jp/articles/20160928/ddm/005/070/007000c
(中間貯蔵施設のみならず、除染費用まで国が丸抱えなのか。いい加減にせいよ。「最も安い電力」で「金食い虫」の原発なんぞ、さっさとやめちまえ!:田中一郎)
(3)【声明】「原発コスト安」は嘘だった-国民への8.3兆円負担転嫁ではなく政策転換を 【パワーシフト】デンキを選べば社会が変わる!
http://power-shift.org/info/160921/
(関連)声明への賛同募集中!!
・団体賛同 https://goo.gl/forms/cgWgqKCNNnINN2Jo1
・個人賛同 https://goo.gl/forms/ae3CaGcb5FGvY1S62
(4)原子力国策の固定化につながる原発事故賠償有限責任化に反対する(海渡雄一『科学 2016,10』)
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo201610.html (関連)日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:原子力損害賠償制度の在り方に関する意見書
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/160818.html (関連)脱原発弁護団全国連絡会 【意見】原子力発電所事故による損害賠償制度の見直し始まる
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/15-05-25/
草々
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