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2016年7月10日 (日)

(報告)津田敏秀岡山大学大学院教授講演会:「低線量被ばくの健康影響と福島県での甲状腺がん」

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

(最初に2つばかり)

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(1)(別添PDFファイル)「自主規制」「二重基準」が生む福島の無法状態 環境省が放射線管理を骨抜きにする(まさのあつこ『週刊金曜日 2016.7.8』)

 http://www.kinyobi.co.jp/

 

環境省が見て見ぬ振りをしているところで、産廃業者が自主基準で受け入れた放射能ゴミを住宅に隣接した地で、むき出しの炉で燃やしています。また、その指定廃棄物がフレコンバックにいれた状態で火災にあいました。そんな状態を尋ねても環境省は取材を直接受けようとすらしません。現場に乗り込み、数々のズサンな管理状況の「ごく一部」に光を当てました。(まさのあつこ)

 

(田中一郎コメント)

 綿密な取材に基づく充実したレポートをいつも届けて下さるジャーナリストの「まさのあつこ」さんの、すっごいレポートです。お読みになるとぞっとします。福島県は、もう放射能汚染でメチャクチャにされているようです。環境省とその支配下にある利害関係人の産廃業者が、放射能汚染物をめぐり出鱈目の限りを尽くしています。もちろん環境省公認の下で、です。この役所もまた、経済産業省などとともに、一度解体しないといけませんね。水俣病でもひどいことを続けていますが、今度はそれをフクシマでやるつもりのようです。みなさま、『週刊金曜日』を取り寄せて、是非ご覧ください。

 

(2)キャンペーンについてのお知らせ · 九州電力に申し入れを行いました! · Change.org

http://urx.mobi/x3I8

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さる201677日(木)、衆議院第2議員会館において、東電株主代表訴訟の第26回口頭弁論の報告会が開催され、その後、津田敏秀岡山大学大学院教授(疫学・公衆衛生学)の「低線量被ばくの健康影響と福島県での甲状腺がん」と題する講演が行われました。以下、簡単にご報告いたします。

 

(イベント案内)(別添PDFファイル)

(チラシ)東電株主代表訴訟
 「tirasii_toudenkabunusi_tudatosihide.pdf」をダウンロード
 http://tepcodaihyososho.blog.fc2.com/

 

●(重要)事実経過表(争点整理表)

https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E6%9D%B1%E9%9B%BB%E6%A0%AA%E4%B8%BB%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E8%A8%B4%E8%A8%9F/160710/20160707.pdf

 

(当日録画)

(1)20160707 UPLAN【地裁前街宣・記者会見】東電株主代表訴訟第26回口頭弁論期日 – YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=fpvXAf0Vh2I

 

(2)20160707 UPLAN【裁判報告・学集会】津田敏秀(岡山大学大学院環境学研究科教授)「甲状腺ガンの多発と100ミリシーベルト閾値論」 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=TeokpAtOr_8

 

(質疑応答の際に、私から次の2つを質問しています。(1)福島県の子ども甲状腺ガンの発見数と比較されている日本のガン統計の「3人/100万人」は、ガン統計がいい加減でアテにならない統計なので(すべての子ども甲状腺ガンが登録されているわけではない)、比較しても無意味だ、福島県以外の原発事故の影響がない地域で同様の悉皆調査をやれば、同じくらいの数の子ども甲状腺ガンが見つかるだろうなどと、環境省・福島県庁・福島県立医大などがぬけぬけと発言している。津田先生はどう思われるか、(2)そのガン統計だが、ガン登録法が制定されてのち、2011年以降の数字が未だに公表されていないという話を聞いた。これまでは2年くらい遅れて公表されていたものが、3.11福島原発事故以降の分は公表されていないという。津田先生はこの辺の事情をご存じないか)

 

<別添PDFファイル>

「低線量被ばくの健康影響と福島県での甲状腺がん」(津田敏秀岡山大学大学院教授(疫学・公衆衛生学):2016.7.7

(1)「tudatosihide_kouenn_1.pdf」をダウンロード
(2)「tudatosihide_kouenn_2.pdf」をダウンロード
(3)「tudatosihide_kouenn_3.pdf」をダウンロード
(4)「tudatosihide_kouenn_4.pdf」をダウンロード
(5)「tudatosihide_kouenn_5.pdf」をダウンロード
(6)「tudatosihide_kouenn_6.pdf」をダウンロード
 

<参考サイト>

(1) チェルノブイリ原発事故から学ぶ子供の甲状腺がん→山下俊一まとめ 福島原発事故の真実と放射能健康被害

http://www.sting-wl.com/shunichi-yamashita.html


(2)チェルノブイリと福島→甲状腺がんグラフの比較 福島原発事故の真実と放射能健康被害

http://www.sting-wl.com/tag/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%96%E3%82%A4%E3%83%AA-%E7%94%B2%E7%8A%B6%E8%85%BA%E3%81%8C%E3%82%93-%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95

 

(3)矢ケ崎克馬教授→福島県の甲状腺がんはスクリーニング効果ではない ( 福島県 ) - SUEの日記 - Yahoo!ブログ

http://blogs.yahoo.co.jp/ht_sue/32571739.html

 

(4)リテラシー養成・・甲状腺癌の最小潜伏期間 - Togetterまとめ

http://togetter.com/li/726797

 

(5)東電事故、子どもの甲状腺がんまたは疑い173人に―当時5歳の子どもも発症

http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=6067

 

(田中一郎コメント)

「福島県民健康調査検討委員会」その他による「福島県の子ども甲状腺ガンは多発ではない、過剰診断・過剰診療だ、原発事故による放射線被曝の影響は考えにくい」の説明を、あらためて批判しておきます。既に「福島県民健康調査検討委員会」その他による説明は破綻しています。

 

1.子ども甲状腺ガンが多く発見されたのは「スクリーニング効果」だ(たくさんの人数を一斉にしらべたから、小さなガンの子どもも含めて多く見つかっただけの話)。

 

⇒「スクリーニング効果」なら、1巡目(201113年)の検査でほぼすべての子ども甲状腺ガンが発見されていただろうから、2巡目(201415年)、3巡目(2016年~)の検査では、ほとんどガンは見つからないはずだ。しかし、2巡目の検査で57人もの子ども甲状腺ガン(ほぼ確実の疑いを含む)が発見されている。「スクリーニング効果」はありえない。

 

2.甲状腺ガンは増殖進行の遅いガンなので、福島第1原発事故後4年以内に発見されているようなガンは、福島第1原発事故以前の原因によるものと思われる。チェルノブイリ原発事故でも、子どもの甲状腺ガンの多発が見られるようになるのは事故から5年目以降である。

 

⇒ 第1巡目でA1,A2判定だった(心配いらないという判定)子どもたちが2巡目で甲状腺ガンと判定されている事例が多い(57人中53人)。甲状腺ガンの進行が遅いというのは大人の場合であって、子どもの場合にはあてはまらない(進行が速い)。チェルノブイリ原発事故でも事故直後から子ども甲状腺ガンの多発化傾向がみられていた。そもそもチェルノブイリ原発事故の場合は、本格的な検査機器類が導入されたのは1990年代に入ってからであって、それまでは触診などの判定によるものなので、発見が遅れたという事情もある。また、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)によれば、甲状腺がんの最短潜伏期間は2.5年であり、子どもの甲状腺がんの場合は、アメリカ科学アカデミー(NAS)の報告にもとづいて最短潜伏期間を1年としている。現在発見中の子ども甲状腺ガンの原因を福島第1原発事故前にあると断定することはできない。

 

3.福島第1原発事故直後の初期被ばく線量から考えて、甲状腺ガンが多発するような被ばく量ではない。

 

⇒ 福島第1原発事故直後の初期被ばく量は、ついにまともに計測・検査されなかった。「福島県民健康調査検討委員会」が根拠にしている事故直後の被ばく線量計測値は、サンプル数が少ない上に計測方法もずさんだったりしていて、被ばく線量の推測には使えない。また、放射線医学総合研究所が策定した被ばく量推測モデルも、航空機による土壌汚染のおおざっぱな推測測定値をベースにしたものと思われ、その是非もまともに検討されないまま、アプリオリに「被ばく線量は低い」と断定されてしまっている。そもそも肝心な内部被曝が無視されているので、かようなモデルは使えない。また、許しがたいのは、2011年度を通じて、「福島県民健康調査検討委員会」の委員たちが所属する組織を含め、複数の行政機関・医療機関等に対して、たくさんの原発事故被害者から、特に半減期の短い放射性ヨウ素131が消えないうちに尿検査など、初期被ばく量の計測をしてほしいという依頼を、言を左右にして拒み続けてきた結果が今日の状態を生み出している(現委員会の前身の「福島県民健康管理調査検討委員会」もその1つ)。自分達で初期被ばく量を測らない・測らせない体制を組んでおいて、放射能が消えてしまった後になって、「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈を用いて初期被ばく量が少ない、大した量ではない、を繰り返している。典型的な「ためにする議論」であり、犯罪行為に近い。現状では、初期被ばく量を(内部被曝も含めて)科学的実証的に推測できるデータは存在しない(発見されていない)。(逆説的だが、子ども甲状腺ガンの発症状況から初期被ばく量を逆算するのが科学的には妥当な方法だという説明の方が説得的だ)

 

(参考)『福島原発事故県民健康管理調査の闇』(岩波新書:日野行介)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/List?cnt=2&mode=speed&spKeyword=%93%FA%96%EC%8D%73%89%EE&pageNumber=0&totalCnt=3&dispCnt=20&target=1&button=btnSpeed

 

(参考)『福島原発事故被災者支援政策の欺瞞 (岩波新書:日野行介)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033147587&Action_id=121&Sza_id=B0

 

4.チェルノブイリ原発事故では、5歳以下の幼児に甲状腺ガンが多発していたが,福島第1原発事故では、今のところ1人だけである。放射線被曝の影響は考えにくい。

 

⇒ 原発事故当時の年齢が5歳以下の幼児だった子どもが甲状腺ガンを発症させるのは、事故後10年くらいたってからだったのがチェルノブイリ原発事故の経験である。今、幼児の甲状腺ガンが発見されないからと言って安心できるものではない。むしろ、事故直後数年間はティーンエイジャーの甲状腺ガンの発症がチェルノブイリ原発事故では多かったが、その発祥の状況が福島第1原発事故後のそれと非常によく似ている。そういう中で先般の1人の(事故当時)幼児の甲状腺ガン発見である。判断は慎重であるべきである。また、子ども甲状腺ガンの男女比が、自然体の大人の場合などに見られる「女性多発型」ではなく、「男女同水準型」になっているのはチェルノブイリ原発事故の場合と共通しており、この面からも放射線被曝影響は非常に懸念される。

 

5.過剰診断・過剰診療の結果だ。従来であれば発見されなかったであろう小さな甲状腺ガンのガンモドキのようなモノまで発見し、放っておいても健康に問題が出るようなものでないものまで過剰診療で手術して摘出してしまっている。この「福島県民健康調査」はこうしたマイナス面が大きいので、もう廃止してもいいのではないか(少なくとも規模を小さくして希望者向けだけのサンプル調査のようなものにすべきだ)。

 

⇒ 「過剰診断」とはよく言ったものだ。日本では福島第1原発事故前までは「がんの早期発見・早期治療」がミミタコになるくらい繰り返し繰り返し宣伝され、国を挙げて推進されてきた経緯がある(これを過剰診断というのならわかる)。にもかかわらず、福島第1原発事故が起きて放射能が飛び散り、その影響で健康被害が出始めている様子がうかがえるようになると、こういうことを言って事態を混乱させている。放射線被曝影響が否定できない子ども甲状腺ガンの検査を過剰診断だからやめてしまえ、という医者や医学者が、そもそもどういう人間か、この言動から判断がつくというものだ。具体的な危険があるのに、検査をしすぎているからおやめなさい、そんなことを言う医者や医学者には「あなたこそ、医者や医学者をお辞めいただければいい」と私は思う。そんな医者・医学者にはこれまでお目にかかったことがない。

 

他方、「過剰診療」の方も似たり寄ったりだ。何故なら、この説明は「福島県民健康調査」の結果をきちんと把握していないからである。甲状腺ガンが発見された子どもたちの手術を一手に担ってきた福島県立医大の臨床報告によれば、手術を受けたほとんどの子どもが、ガンの大きさが大きく、リンパ節や他の臓器に転移していたり、甲状腺周辺に浸潤していたり、反回神経(声帯を動かす)に近い場所にあったりしていて、手術しないと危険な状態であったとのことである。この「過剰診療」説論者は、これに対してどうこたえているのだろうか。まさか、福島県立医大の医者たちはボンクラなので、必要もない手術をしまくって、切除の必要のない甲状腺を取ってしまった、とでもいうのだろうか? この「過剰診療」説に対しては、被害者からだけでなく福島県立医大からも強い反発が出ていることを付記しておく。当然と言えば当然である。「過剰診断」「過剰診療」説を唱えている医師・医学者たちは、基本的に福島県民や原発事故被害者、それに「福島県民健康調査検討委員会」の委員や福島県立医大を完璧に馬鹿にしているという他ない。ふざけるな、である。

 

6.日本のガン統計はあてにならないずさんなモノ

 

⇒ 津田敏秀教授の私の質問に対する回答をご覧ください(上記にある当日録画の終わりの方)。アテにならないのは、ガン統計の方ではなくて。「アテにならない」と言って子ども甲状腺ガンの多発を否定し続けている人たちの方である。

 

7.津田敏秀教授の話で印象に残ったこと

(1)チェルノブイリ原発事故では、子ども甲状腺ガンが被ばく影響であることを確認するため、原発事故の影響を受けていない地域での疫学的な大規模悉皆調査が行われ、その結果、子ども甲状腺ガンは1件も発見されなかった。これが決定的となり、スクリーニング説などが否定されて、チェルノブイリ原発事故の放射能が子ども甲状腺ガンを多発させたということが科学的実証的に確定された。そして驚くべきか、この疫学的大規模調査を手掛けたのが、日本から派遣されていた長瀧重信や山下俊一らだった。

 

しかし、彼らとともに「福島県民健康調査検討委員会」は、これまでずっと福島県や東日本以外の他の地域での大規模な疫学的悉皆調査を「必要がない」として退けてきている。要するに、福島の子ども甲状腺ガンの原因が福島第1原発事故の放射能にあることを明らかにさせない・したくないが、最優先されていることを疑わせるに十分だ。

 

(2)医学を科学的にやっていくには、疫学的な調査結果を最優先で尊重すべきである。因果関係(例えば「甲状腺ガン多発は被ばくの影響だ」という因果関係)は目に見えないのだから、仮説の域を出ることができないことが大半、そういう場合でも、疫学的な調査結果に基づいて状況を判断し、しかるべき手を打って被害者や患者をできるだけ少なくしていく、これが現代医学の科学的手法である。しかし、日本の医学界は世界の大勢から100年近く遅れていて、未だにこの疫学的考え方や統計的な手法を理解できない医師・医学者が大半である。それが、これまで水俣病をはじめ、たくさんの悲劇を生み出してきた。(詳しくは津田敏秀教授の下記著書を参照)

 

(参考)『医学的根拠とは何か』(岩波新書:津田敏秀)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033010460&Action_id=121&Sza_id=B0

 

(3)甲状腺ガンの多発は子どもたちだけではない。成人は子どもたちの数の何倍ものガン患者が出る可能性が高い。また、甲状腺ガン多発は福島県だけの話ではない。放射能に汚染された東日本一帯も危ない。一刻も早く、甲状腺ガン検査を福島県の18歳以下以外の全住民に広げるとともに、この甲状腺ガン多発の事態に対して、治療対応を含めた充実した対応体制を取らないと悲劇はどんどん拡大してしまう。

 

(どう対応すべきなのかは、別のメールにて申し上げたいと思います)

草々

 

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