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2016年5月30日 (月)

NHK原子力翼賛放送 「NHKスペシャル 廃炉への道 2016核燃料デブリ 迫られる決断」=原発は事故前で儲けて、事故で儲けて、住民には被ばくさせて、平気のヘイザで永遠に続ける原発・原子力

前略,田中一郎です。

 

さきほど「NHKスペシャル 廃炉への道 2016 核燃料デブリ 迫られる決断」が放送されました。まさに原子力翼賛放送そのもののグロテスクで時代錯誤的科学技術観(ないしは日本の科学技術ナルシズム)を視聴者の潜在意識に植え付ける「タチの悪い」放送内容だったように思います。以下、簡単にコメントしておきます。

 

●NHKスペシャル 廃炉への道2016核燃料デブリ 迫られる決断

 https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160529

 http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586789/

 

(再放送は、201661() 午前010(50)、のようです)

 

(関連)NHKスペシャル 廃炉への道 2015 「“核燃料デブリ”未知なる闘い」 NHK名作選(動画他)

http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009050348_00000

 

(田中一郎コメント)

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NHKにはジャーナリズムとしての批判的な力が皆無のようである。原子力ムラ代理店政府の広報機関さながらだ。

 

1.放送されたような「廃炉」がそもそも必要なのかどうか、巨額の費用をかけ(既にこれまでで1兆円を超えているし、今後、いくらかかるのかもわからない)、数十年たっても実現できるかどうかわからない、しかも、実際にやるとなると、二次災害もありうるし(例えば格納容器を水で満水にした場合に、格納容器が持ちこたえられるのか? 水圧で破裂してしまう危険性がある)、作業員の致命的な被ばくも大いにあり得る、そんな「廃炉」を、そもそも無理してまで今やる必要があるのか、という根本的な問題が提起されていない。私は、小出裕章元京都大学原子炉実験所助教がおっしゃるように厳重な放射性物質閉じ込めを目的にした「石棺」づくりに全力を挙げるべきではないかと思っている。

 

2.福島第1原発事故の実態解明も原因究明も、国会事故調や政府事故調が解散した後、全く進展していない。責任部署である原子力規制委員会・規制庁や経済産業省は、しようともしない。にもかかわらず事故原子炉を破壊的に作為して「廃炉」作業をすれば、福島第1原発事故の真相は永遠に闇に葬られる。できもしないような「廃炉」作業に熱を上げるのではなく、福島第1原発事故の解明を直ちにやれということだ。「廃炉」には、福島第1原発事故の証拠隠滅という隠された目的があることを忘れてはならない。実態解明・原因究明がないままの事故原子炉破壊は許されない。

 

3.「廃炉」への取組体制に大きな問題がある。たとえば「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」だが、何ゆえに被害者住民への損害賠償のための組織が廃炉機構と一緒の組織にされているのか? また、この機構は、原子力ムラの人間ばかりで構成されていて、そのトップの山名元などは「廃炉」の専門家でもないし、ついこの間までは原子力ムラの中でも原発・原子力推進の権化だったような人間である。今でこそ理事長だか何だか知らないが、紳士然としてすましてTVに出ているが、元の出は動力炉・核燃料開発事業団の現場隊長で、それいけどんどん組だった人間ではなかったか。いわば福島第1原発事故の加害者グループとも言うべきかような人間達が、損害賠償組織と合体で、できるかどうかもわからない、必要かどうかも疑問の「廃炉」を遂行していること自体が大きな誤りである。原発は事故前で儲けて、事故で儲けて、住民には被ばくさせて、平気のヘイザで永遠に続ける原発・原子力、そのものだ。

 

4.それにしても放送で鼻につくのが「住民帰還のため」という言葉の連発である。NHKによれば、福島第1原発の「廃炉」もまた、住民帰還のために全力で取り組まれているのだそうである。では聞くが、猛烈な放射能汚染が消えない、そんな場所へ、どうして住民が安全・無事に帰還できるのか。しかも、この「廃炉」は、いくら急いで急いで早期に対処したとしても40年たっても終わらないかもしれないというのにである。そんな遠い将来のことならば、当面する住民の帰還とは何の関係もない。それに福島第1原発の二次災害は大いにあり得る話である。そんなところへ被害者住民を帰還させることが、正しい政策の在り方なのか。何はなくとも「帰還」「帰還」、「帰還」洗脳とセットで、出来もしない「廃炉」が大宣伝され、原子力ムラの「お仕事」が永久に確保されていく。倒産寸前の原子力ムラ会社=東芝(この番組に主人公のような体裁で出ていた)は、こっそりとほくそ笑み、離れの便所で人知れず高笑いをしているだろう。

 

5.そして、その「帰還」洗脳のきわめつけが、放射能に猛烈に汚染されている国道6号線沿いの、高校生をダシに使っての「サクラ」植樹のシーンである。「桜」というのも、原子力翼賛を象徴しているかの如くで因縁を感じる。あたかも大日本帝国がアジア侵略から無謀な対米戦争へ突入していった昭和軍閥の「戦争翼賛」時代に、日本臣民が出兵兵士に子どもたちがつくった「お守り」や「折り鶴」などをプレゼントしていた史実を思い出させる。放射能が消えるには数百年単位の時間が必要な福島第1原発の周辺地域に、放射線被曝をしつつさせつつ、帰還を願って桜の木を植える、これが「美しき郷土愛」なのか? 私は違うと思う。政府や権力に乗せられてはいけない。乗せられて信じ込まされたのが原発安全神話だ。今、桜の木の植樹をしている人・それを美しいと思う人は、私は、新たに「放射線安全神話」「放射能安心神話」に染められ始めているのではないかと思えてならない。原発の次に放射能でだまされていては話にならない。原発が危険なのは放射能が危険だからだ。間違ってはならぬ。

 

6.科学技術の使い方、科学技術の在り方、それを根本から問うたのが、あの福島第1原発事故だったはず。NHKは、その最も重要な問題にふたをして、原子力ムラ代理店政府の愚かで誤った福島第1原発事故後の対策・対応を、あたかも英雄話として大宣伝するかの如く、おかしな放送を繰り返している。そして、その英雄とは、福島第1原発事故の加害者人間達=すなわち原子力ムラ企業であり、原子力ムラ(政府)組織であり、原子力ムラの科学者・技術者たちであるのだから、きわめて始末に悪い放送である。

 

7.できもしない「廃炉」、出来もしない「除染」、できもしない「放射能汚染地域の復興」、こんなものに兆円単位・2桁兆円単位のカネをかけるのではなく、原発事故で被害を受けた人々の生活・仕事・教育・そして人生の再建を最優先に、なすべきことを抜本的に見直せ、原子力ムラについては、福島第1原発事故の責任の追及の手を休めてはならない。それが原発事故再発を防ぐ最も有効な手段だからだ。

 

 しかし、この日本という国は、その真逆のことを、政官財学、そしてマスコミ・NHKが一体となり、まさに「翼賛体制」で推し進めようとしている。その先に見えるものは、被害者住民の無用の被ばく累積による健康被害・遺伝的障害、福島第1原発の二次災害(たとえば福島第1原発は、近未来の大地震・大津波に対して全く無防備である:防潮堤は柏崎刈羽原発につくられ、福島第1原発には土嚢が積み上げてあるだけだ)、そして原発・核施設の再稼働と再びの過酷事故である。原子力翼賛放送は、その日本の近未来の絶望的な悲劇を予言しているとも言えるだろう。

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草々

 

 

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