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2016年5月

2016年5月30日 (月)

NHK原子力翼賛放送 「NHKスペシャル 廃炉への道 2016核燃料デブリ 迫られる決断」=原発は事故前で儲けて、事故で儲けて、住民には被ばくさせて、平気のヘイザで永遠に続ける原発・原子力

前略,田中一郎です。

 

さきほど「NHKスペシャル 廃炉への道 2016 核燃料デブリ 迫られる決断」が放送されました。まさに原子力翼賛放送そのもののグロテスクで時代錯誤的科学技術観(ないしは日本の科学技術ナルシズム)を視聴者の潜在意識に植え付ける「タチの悪い」放送内容だったように思います。以下、簡単にコメントしておきます。

 

●NHKスペシャル 廃炉への道2016核燃料デブリ 迫られる決断

 https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160529

 http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586789/

 

(再放送は、201661() 午前010(50)、のようです)

 

(関連)NHKスペシャル 廃炉への道 2015 「“核燃料デブリ”未知なる闘い」 NHK名作選(動画他)

http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009050348_00000

 

(田中一郎コメント)

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NHKにはジャーナリズムとしての批判的な力が皆無のようである。原子力ムラ代理店政府の広報機関さながらだ。

 

1.放送されたような「廃炉」がそもそも必要なのかどうか、巨額の費用をかけ(既にこれまでで1兆円を超えているし、今後、いくらかかるのかもわからない)、数十年たっても実現できるかどうかわからない、しかも、実際にやるとなると、二次災害もありうるし(例えば格納容器を水で満水にした場合に、格納容器が持ちこたえられるのか? 水圧で破裂してしまう危険性がある)、作業員の致命的な被ばくも大いにあり得る、そんな「廃炉」を、そもそも無理してまで今やる必要があるのか、という根本的な問題が提起されていない。私は、小出裕章元京都大学原子炉実験所助教がおっしゃるように厳重な放射性物質閉じ込めを目的にした「石棺」づくりに全力を挙げるべきではないかと思っている。

 

2.福島第1原発事故の実態解明も原因究明も、国会事故調や政府事故調が解散した後、全く進展していない。責任部署である原子力規制委員会・規制庁や経済産業省は、しようともしない。にもかかわらず事故原子炉を破壊的に作為して「廃炉」作業をすれば、福島第1原発事故の真相は永遠に闇に葬られる。できもしないような「廃炉」作業に熱を上げるのではなく、福島第1原発事故の解明を直ちにやれということだ。「廃炉」には、福島第1原発事故の証拠隠滅という隠された目的があることを忘れてはならない。実態解明・原因究明がないままの事故原子炉破壊は許されない。

 

3.「廃炉」への取組体制に大きな問題がある。たとえば「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」だが、何ゆえに被害者住民への損害賠償のための組織が廃炉機構と一緒の組織にされているのか? また、この機構は、原子力ムラの人間ばかりで構成されていて、そのトップの山名元などは「廃炉」の専門家でもないし、ついこの間までは原子力ムラの中でも原発・原子力推進の権化だったような人間である。今でこそ理事長だか何だか知らないが、紳士然としてすましてTVに出ているが、元の出は動力炉・核燃料開発事業団の現場隊長で、それいけどんどん組だった人間ではなかったか。いわば福島第1原発事故の加害者グループとも言うべきかような人間達が、損害賠償組織と合体で、できるかどうかもわからない、必要かどうかも疑問の「廃炉」を遂行していること自体が大きな誤りである。原発は事故前で儲けて、事故で儲けて、住民には被ばくさせて、平気のヘイザで永遠に続ける原発・原子力、そのものだ。

 

4.それにしても放送で鼻につくのが「住民帰還のため」という言葉の連発である。NHKによれば、福島第1原発の「廃炉」もまた、住民帰還のために全力で取り組まれているのだそうである。では聞くが、猛烈な放射能汚染が消えない、そんな場所へ、どうして住民が安全・無事に帰還できるのか。しかも、この「廃炉」は、いくら急いで急いで早期に対処したとしても40年たっても終わらないかもしれないというのにである。そんな遠い将来のことならば、当面する住民の帰還とは何の関係もない。それに福島第1原発の二次災害は大いにあり得る話である。そんなところへ被害者住民を帰還させることが、正しい政策の在り方なのか。何はなくとも「帰還」「帰還」、「帰還」洗脳とセットで、出来もしない「廃炉」が大宣伝され、原子力ムラの「お仕事」が永久に確保されていく。倒産寸前の原子力ムラ会社=東芝(この番組に主人公のような体裁で出ていた)は、こっそりとほくそ笑み、離れの便所で人知れず高笑いをしているだろう。

 

5.そして、その「帰還」洗脳のきわめつけが、放射能に猛烈に汚染されている国道6号線沿いの、高校生をダシに使っての「サクラ」植樹のシーンである。「桜」というのも、原子力翼賛を象徴しているかの如くで因縁を感じる。あたかも大日本帝国がアジア侵略から無謀な対米戦争へ突入していった昭和軍閥の「戦争翼賛」時代に、日本臣民が出兵兵士に子どもたちがつくった「お守り」や「折り鶴」などをプレゼントしていた史実を思い出させる。放射能が消えるには数百年単位の時間が必要な福島第1原発の周辺地域に、放射線被曝をしつつさせつつ、帰還を願って桜の木を植える、これが「美しき郷土愛」なのか? 私は違うと思う。政府や権力に乗せられてはいけない。乗せられて信じ込まされたのが原発安全神話だ。今、桜の木の植樹をしている人・それを美しいと思う人は、私は、新たに「放射線安全神話」「放射能安心神話」に染められ始めているのではないかと思えてならない。原発の次に放射能でだまされていては話にならない。原発が危険なのは放射能が危険だからだ。間違ってはならぬ。

 

6.科学技術の使い方、科学技術の在り方、それを根本から問うたのが、あの福島第1原発事故だったはず。NHKは、その最も重要な問題にふたをして、原子力ムラ代理店政府の愚かで誤った福島第1原発事故後の対策・対応を、あたかも英雄話として大宣伝するかの如く、おかしな放送を繰り返している。そして、その英雄とは、福島第1原発事故の加害者人間達=すなわち原子力ムラ企業であり、原子力ムラ(政府)組織であり、原子力ムラの科学者・技術者たちであるのだから、きわめて始末に悪い放送である。

 

7.できもしない「廃炉」、出来もしない「除染」、できもしない「放射能汚染地域の復興」、こんなものに兆円単位・2桁兆円単位のカネをかけるのではなく、原発事故で被害を受けた人々の生活・仕事・教育・そして人生の再建を最優先に、なすべきことを抜本的に見直せ、原子力ムラについては、福島第1原発事故の責任の追及の手を休めてはならない。それが原発事故再発を防ぐ最も有効な手段だからだ。

 

 しかし、この日本という国は、その真逆のことを、政官財学、そしてマスコミ・NHKが一体となり、まさに「翼賛体制」で推し進めようとしている。その先に見えるものは、被害者住民の無用の被ばく累積による健康被害・遺伝的障害、福島第1原発の二次災害(たとえば福島第1原発は、近未来の大地震・大津波に対して全く無防備である:防潮堤は柏崎刈羽原発につくられ、福島第1原発には土嚢が積み上げてあるだけだ)、そして原発・核施設の再稼働と再びの過酷事故である。原子力翼賛放送は、その日本の近未来の絶望的な悲劇を予言しているとも言えるだろう。

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草々

 

 

2016年5月21日 (土)

木材が危ない・林業木材産業労働者が危ない=森林の放射能汚染を軽視・無視して進められる林業・木材産業復興の危険性(その2)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

前回に引き続いて「木材が危ない・林業木材産業労働者が危ない=森林の放射能汚染を軽視・無視して進められる林業・木材産業復興の危険性」の(その2)をお送りします。以下、別添PDFファイルの記事に沿って、極力簡単にコメントします。

 

何度も申し上げて恐縮ですが、今の福島県庁、及び福島県内のほとんどの市町村の放射能汚染管理や被ばく防護の姿勢は出鱈目そのもので、あまりにもその危険性を軽視・無視しすぎています。科学的で実証的な証拠がないにもかかわらず、子どもたちまでもを「ダシ」に使って安全・安心をPRし、福島県の原発震災からの復興を「演出」しています。人間の五感では感じないから「直ちに健康に影響はない」などと適当なことを言ってごまかしていると、やがて恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)によって人間の体はボロボロになってしまいかねません。危険極まりない行為なのです。更に、福島県以外の宮城・栃木・茨城(及び岩手南部、群馬、千葉北西部、埼玉や東京の西部山林地帯なども)などの各県では、県庁も各市町村も森林や木材の放射能汚染については、ほとんど何も手を打たずに林業・木材産業界にその対応を丸投げをしたままです。しかし、福島第1原発事故による放射能は県境で止まったわけではなく、こうした各都県の森林は場所によっては福島県並みか、あるいはそれ以上の汚染に見舞われてしまったところもあるのです。

 

また、こうした行為は、他方では福島第1原発事故の加害者・東京電力や事故責任者・国の責任と賠償義務をゴマカシ、棚上げにして、その負担を軽くしてしまう結果にもなります。原発事故を引き起こした東京電力や原子力ムラやその代理店政府などは、これこそを最優先にして事に臨んでいるのであり、決して福島の復興や被害者県民の命・健康・生活・仕事などを最優先で考えているわけではありません。放射線安全神話・放射能安心神話にだまされてはいけないのです。

 

現在、放射能汚染の問題では、政府・環境省による放射能汚染廃棄物の「再利用」(リユース・リサイクル)のことが大問題になっています。具体的には、これまでは放射能汚染物の再利用などは絶対に認めない(単純に捨てる場合でさえ100ベクレル/kg以下が基準)という方針だったものが、福島第1原発事故直後から8000ベクレル/kgまでなら一般ゴミと同様に捨てていいことにされ、更に今度は、その捨てていい8000ベクレル/kg以下の放射能汚染ゴミを「再利用」(リユース・リサイクル)してもいいことにする「案」が政府・環境省より提案されているのです。とんでもないことです。

 

しかし、その8000ベクレル/kgの基準は(放射能汚染ゴミの「足切基準」という)、実は森林・林業・木材産業の世界では、既に事故後まもなくの頃から、まるでデファクト・スタンダードであるかのごとく、かつ、あまり人に知られることもなく、大手を振ってまかり通っていたのです。おかげで福島県及びその周辺の放射能汚染地帯から出荷されてくる木材類には常に放射能の汚染の可能性が付きまとうものになってしまいました。しかもこの地域は、関東や東北でも有数の木材産地なので、その影響は軽視できません。放射能汚染木材が流通している可能性が否定できないのです。みなさま、これからは木材製品を使ったもの=例えば、住宅・建造物、木製車両、家具、木製加工品、木製食器、箸、木炭、マキ、家畜の下敷きおが粉、線香、角松などは放射能の汚染の可能性がありますので、少なくともお求めになる際には線量計を必ず持参して、少なくとも周辺の空間線量くらいは試に計測するクセをつけておきましょう(新しい木造の建物の中に入る時もそうした方がいいでしょう)。それが一種の自分の体を木材の放射能汚染から守る有力な手段となるでしょう。いやはや、全くいやな世の中になったものです。

 

 <別添PDFファイル>

(1)山菜から高放射能、栃木県の直売所 自主回収(東京 2016.5.7 夕刊)

(2)シイタケ原木どうする、長期的視点さえなく、山の除染放置に憤り(日本農業 2016.2.2

(3)避難解除の田村、楢葉、川内、伐採可能地点57.6%、27年空間線量 県木連分析(福島民報 2016.5.2

(4)除染範囲を里山に拡大、モデル地区設定、3省庁のPJチームが新方針(『林政ニュース 2016.3.23』)

(5)「競技場 被災地産木材使いたい」新国立設計の隈氏(東京 2016.2.24 夕刊)

 

 <関連サイト>

(1)林野庁-東日本大震災に関する情報

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kouhou/jisin/index.html

(2)林野庁-木材製品の取扱いに係る留意事項等(QA)について

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/sinsai/mokuzai.html

(3)林野庁-きのこ・山菜等の放射性物質の検査結果について

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/kensakekka.html

(4)福島県木材協同組合連合会(県木連)

 http://www.fmokuren.jp/

(5)福島県木材協同組合連合会:安全・安心な木材

 http://www.fmokuren.jp/publics/index/24/

(6)福島県森林組合連合会(県森連)

 http://www.fukumoriren.org/main/top3.html

 

1.山菜から高放射能、栃木県の直売所 自主回収(東京 2016.5.7 夕刊)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016050702000255.html

 

(一部抜粋)

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栃木県は六日、先月二十五日に同県栃木市の道の駅「にしかた」の農産物直売所で販売された山菜のコシアブラ2パックから、基準値を超える放射性物質が検出されたと発表した。県は食べても健康への影響はないとしているが、直売所が自主回収している。

 

厚生労働省の買い取り調査で、基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)をそれぞれ一五〇〇ベクレル、二一〇〇ベクレル上回っていることが判明。これまでに八十四パックが販売された。県によると、出荷制限区域の山で採れたものを、県内の個人二人が制限区域外産と表示して販売していた。県は二人について、食品表示法違反などの疑いで調査している。

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(田中一郎コメント)

 最初はキノコ・山菜の話をしておきましょう。キノコ・山菜が川魚やジビエ(野生動物の肉)、家畜内臓肉、乾燥食品・乾燥飼料、魚介類、牛乳・乳製品などと並んで放射能を蓄積しやすく、福島第1原発事故による放射能汚染に見舞われてしまった中部地方東部や関東、東北地方で獲れるキノコ・山菜類は、まずもって危険であることは、みなさまもよくご存じでしょう。山菜・キノコの中でも、より放射能をたくさん蓄積する傾向にあるものとそうでないものがあり、上記に出ているコシアブラやタラの芽、あるいはシイタケやマイタケなどは放射能を大量に蓄積している可能性のある「危険種」です。

 

 天然モノと(人工)栽培モノとを比較すると、断然天然モノの方が危険ですが、しかし、(人工)栽培モノも安心できません。何故なら、福島第1原発事故後まもなく、林野庁が放射能で汚染された「シイタケ原木」やキノコ栽培用の「栽培土」に関して厳重な放射能汚染管理基準や実効性のある管理体制をとらなかったために、放射能で汚染された原木やキノコ栽培土、あるいは腐敗土などの肥料が全国に出回ってしまったからです。愚かな国・林野庁の政策のために、今やキノコは、♪♪「日本のどこでもキノコは危ない」♪♪、状態になってしまっています。いわば食べものの隠れホット・スポットが全国に散在してしまい、もはや安心してキノコは食べることができません。

 

 産地が西日本とか北海道とか、間違いなくそうだと確認できる場合(たとえば自分で採取した場合)であれば天然モノのキノコや山菜は大丈夫ですが、食品流通に乗って売られているものは表示が信用できませんし(上記の記事でも虚偽表示だったことが伝えられています)、栽培物については、上記で申し上げたように汚染した原木や栽培土が全国に流通してしまったために、全国どこでも危険な状態になっています(この栽培用キノコで起きてしまった放射能の全国拡散を、今度は8000ベクレル/kgの放射能汚染ゴミの「再利用」(リユース・リサイクル)でもっと大規模にやってしまおうというのが政府・環境省の今般打ち出されてきた方針です。愚か極まることというほかありません)。

 

 ということで、私はキノコ・山菜は一切食べないことにしています。また私は、天然キノコ・山菜を自然が私たちに与えてくれた最も信頼のおける「放射能環境モニター」だと受け止めています。天然キノコの放射性セシウムが検査測定されて規制値の100ベクレル/kgを超えると厚生労働省が週に1度程度の頻度で公表している飲食物の検査結果で明らかになります(下記サイト参照)。それを見ることで、どこが「放射能汚染地区」なのかがよくわかります。放射能汚染の実態を現さず、より小さな値が出るように細工・仕掛けされた自治体や行政のインチキ放射能モニター装置などよりも、よほど信頼が置けます。

 

 ちなみに、どの地域で規制値を超える天然の汚染キノコ・山菜がみられるかというと、北限は青森市、南限は静岡市、西側は、富士山の西側地域、山梨県の北斗市や清里、長野県は南牧村・佐久市・軽井沢・小諸市から千曲川沿いを経て中野市までのラインより以東ということになります。新潟県の南部=魚沼群はグレイゾーン、山形県・秋田県の南部もグレイゾーン、群馬県は尾瀬も含めて汚染地帯と見ておいていいでしょう。要するに、危険な放射能汚染地帯は北海道を除く東日本一帯に広がっているということであり、これが解消していくには数百年の時間がかかるということです。

 

 それから、これまでの繰り返しで恐縮ですが、キノコ・山菜も含めて飲食品すべてについて言えますが、①放射性セシウム以外の放射性核種が無視されていて危険であること(放射性ストロンチウムやトリチウムなどのベータ核種やプルトニウムやウランなどのアルファ核種の危険性はガンマ核種の比ではありません)。しかし、ベータ核種もアルファ核種も無視されて、放射能と言えば短い半減期の放射性ヨウ素131(8日)と、比較的半減期が長い放射性セシウム134(2年)、放射性セシウム13730年)しか存在しないような対応のなされ方がされています。とんでもない非科学的態度です。②厚生労働省が定める一般食品(キノコ・山菜を含む)などの飲食品残留規制値=100ベクレル/kgはとんでもない数値で、これはついこの間までは厳重保管すべき放射能汚染ゴミかどうかを識別する基準でした。こんな規制値を下回ったからと言って、飲食品としての安全性など全くありません。要注意です。大人の場合でも、飲食品の規制値は全ての放射性核種合計で数ベクレル/kg(それでも大きい)、子ども・妊婦の場合はゼロベクレルでなければいけません。

 

(参考)食品中の放射性物質の検査結果について(第979報) |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000123455.html

 

 なお、キノコ・山菜に関する林野庁からの諸通知は、上記<関連サイト>の「(1)林野庁-東日本大震災に関する情報」のページにある「東京電力福島第一原子力発電所事故による影響等」(ページの中ほど)のところに並べて掲示されています。ご参考になさってください。

 

(関連)給食のタケノコご飯から基準超のセシウム 宇都宮の小学校 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160511-00000569-san-soci

 

(ひどい話です、いやしくも学校給食ですよ。それもロクすっぽ調べもせずに子供たちに食べさせておいて、あとから実は・・・・などという。しかし、キノコ・山菜に加えて、タケノコやレンコン、イモ類や乾燥食品などは、既にずっと前から危険なので要注意だということはわかっていたことです。すみませんではすみません、のです。私は関係者を処分すべきであり、汚染物を供給した関係業者を食品衛生法上の業務停止処分にすべきだと思います。それくらい厳しくやらないと、現状の放射能汚染管理・被ばく回避の対応の出鱈目は改められる様子は全くと言っていいほどありません。このままでは子どもたちが大人の出鱈目の犠牲になっていきます。私が栃木県に住む子どもの親なら、学校給食は食べさせないと思います。こういう人たちが供給する学校給食などは、放射能のみならず、それ以外の点でも危険である可能性が高いと言えるでしょう。:田中一郎)

 

2.シイタケ原木どうする、長期的視点さえなく、山の除染放置に憤り(日本農業 2016.2.2

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160202-00010000-agrinews-soci

 

(田中一郎コメント)

 日本農業新聞は農協系統の新聞ですが、放射能汚染による被害に関しての報道の仕方は、事故後まもなく以降、一貫してこうです。本来なされなくてはいけないことは、森林の除染などはできないことを明確にして、少なくとも年1mSv=約8000ベクレル/m2(/kgではありません ⇒ /kg換算すると÷65で、125ベクレル/kgです)を超える地域での居住は危険なので避難・疎開・移転の権利、「放射線管理区域指定基準」を超える地区ではすべての産業の停止と強制退去、そうしたことに伴う全損害の賠償と、生活や仕事や教育など事故前状態の再生・再建のための万全の支援対策、などが打ち出されるよう、農協系統挙げて運動を起こし、取り組みを強めなくてはいけません。それを何をトチ狂ったのか、放射能汚染地帯を除染して農林水産業を復興させろ、放射能汚染は規制値以下なら安全・安心だと国は率先してPRしろ、放射能の危険性を主張する人間たちは風評被害を振りまく神経質なトンデモ人間たちだ、国としてそういう人たちに放射能の危険性を振りまくような活動をやめさせろ、などなどの乱暴な主張に転換してしまっているのです。これまで農協系統は政府・自民党の御用団体として、戦後長きにわたり活動してきました。しかし、その政府・自民党が放射能や被ばくに関して出鱈目・いい加減なことをしている時に、それに追随してそれを応援するようなことをしていてどうするのかと思います。早く目を覚まして、飲食品の供給業者としての使命と責任を自覚してほしいものです。もちろん加害者・東京電力や事故責任者・国に対しては万全の賠償・補償をさせなければならないことは言うまでもありません。農協やその組合員もまた原発事故の被害者ですから。

 

3.避難解除の田村、楢葉、川内、伐採可能地点57.6%、27年空間線量 県木連分析(福島民報 2016.5.2

 http://www.minpo.jp/news/detail/2016050230693

 

(田中一郎コメント)

 この記事が今回のメールのメインのテーマです。ここに書かれている福島県木連(福島県木材協同組合連合会:製材業・製材品販売業者の団体)のふるまいのどこが問題なのか、以下、箇条書きにして簡単に申し述べます。

 

(1)航空機によるモニタリング結果であること(原子力規制委員会のデータ)

 航空機によるモニタリング結果を使ってこうした結論を導くのはあまりに乱暴である。航空機モニタリングは事故直後において、東日本=特に福島県とその周辺の各県の汚染状況を一刻も早く概略的に知るために緊急対応として行われたものであり、具体的には地上から放射してくるガンマ線をとらまえて、一定のアルゴリズム(計算法)で地上の汚染状況を推定するものでしかない。実際の汚染状況は航空機で捕まえたものよりはもっとまだら模様でムラがあり、ある場所ではもっと高く、また逆にある場所ではもっと低かったりする。航空機モニタリングの結果よりも高い場所=つまりホット・スポットが存在することは明らかであって、それに対する万全の警戒がないままに、かような軽率な結論を導くことは全くいただけない。

 

 既に前回でも申し上げたが、事故から既に5年以上が経過した今日の段階では、地上でのきめ細かな測定をベースにした放射能汚染マップが存在してしかるべきであるが、日本では政府も自治体も、そして加害者の東京電力も、この放射能汚染マップをつくろうとしない。そして、放射能汚染マップ作成の優先順位は、森林ではなくて、人々の居住地や農地などが先である。政府や自治体に正常な感覚があるのであれば、まずは航空機モニタリングの結果をもとに放射線管理区域指定基準(5mSv/年、4万ベクレル/m2)を上回る地域の全住民は避難をさせ、次に1mSv~5mSv/年(8000~4万ベクレル/m2)の地域の住民には「避難の権利」が明確にされた上で、もしその5mSv以下の地域で居住を続ける住民がいた場合には、まずは居住地、そして次に農地の順番で、地上での放射能汚染状況を小さなメッシュ状に切った各区画の中できめ細かく測定をして放射能汚染マップをつくり、それによって発見されたホット・スポットを除染していく、という手順でことが進められるだろう。そして、そのマップも定期的に再測定されて、アップデートされる形でつくりかえられていくのである。チェルノブイリ原発事故の後の旧ソ連諸国では、紆余曲折はあったものの、基本的にはこの形で事が進められ、そして森林の除染は放棄された。いくら除染しようとしてもしきれないからである。

 

 しかし、日本では福島第1原発事故後の推移はこうはならなかった。放射能の汚染状況はきちんと調べられず(調べようと思えば調べられたにもかかわらず)、放射能汚染マップはいつまでたっても策定されず、ホット・スポットは各地に存在したまま放置され、住民の避難や被ばく防止は二の次のまま損害賠償も切り捨てられて、被害者が文字通りどん底の生活状態に追い込まれていく。被害を受けた地域では、こうした人権蹂躙の国家的犯罪行為を覆い隠すために、放射線安全神話・放射能安心神話が大宣伝され、地域全体が原子力翼賛の被ばく押付け社会へと変質していく、そうした憂うべき経過をたどった。この次に住民を襲うのは、健康被害や遺伝的障害の多発であり、それは既に小児甲状腺ガンの多発となって先行的に現れてきているのである。この国家的犯罪行為はすみやかに停止され、この原子力翼賛の被ばく押付け政策は直ちに転換されなければならないことは申し上げるまでもない。

 

(2)「伐採可能」の定義は木材の安全を考えてのものではない。

 この記事の最重要部分は下記の「注」の欄に書かれていた「県の民有林伐採・搬出指針」である。下記に引用する。

 

(一部抜粋)

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指定廃棄物となる1キロ当たり800Oベクレルを超える樹皮の発生を抑制するため、県が平成2612月に木材業者らに通達した。県の調査で空間放射線量が毎時0.50マイクロシーベルト以下の森林では8000ベクレルを超える樹皮が確認されなかったため、伐採地が毎時0.50マイクロシーベルト以下であれば伐採・搬出を認めた。0.50マイクロシーベルトを超えた場所でも、樹皮が1キロ当たり6400ベクレルを下回った場合に限り伐採・搬出を可能とした。

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 一読して明らかなように、この「(福島)県の民有林伐採・搬出指針」は、「8000ベクレル/kg」という環境省の「放射能汚染ゴミの一般ゴミとしての処分可能の基準」にリンクさせたものであり、そこでは伐採・搬出される木材(素材丸太)が利用者にもたらす放射線被曝が危険なモノではないレベルなのかどうかは全く考慮外に置かれているということである。つまり、伐り出された木材の安全基準がないまま、素材丸太の樹皮(バーク)を一般ゴミとして処分できるかどうかが基準となって、放射能汚染森林の伐採・搬出の是非の基準が決められているということだ。狂気の沙汰という他ない。これでは危険な汚染木材とその加工品が東日本を中心に全国に出回ってしまうだろう。

 

 しかも、①空間線量と樹皮のベクレルベースの汚染との結び付け方がいい加減であり、0.50マイクロシーベルトと8000ベクレル/kg6400ベクレル/kgとの関連性は希薄であること、②樹皮の8000ベクレル/kgを計測する場合のやり方もいい加減である可能性が高いこと(全体の汚染状況のばらつきを確認しないまま、ごく少量のサンプル計測で全体の汚染状態が代表されるなど)、③素材丸太を伐採・搬出する素材生産業者や森林組合は零細な事業体や1人親方が大半で、こうした放射能汚染状況をきちんと調べる体制もなければ知識もないのが現状で、書かれているような計測や判断が定められたとおりにきちんとなされる保障はどこにもない、という状態である。こんな状態で放射能汚染森林での木材(立木)の伐採・搬出や造林作業を行うというのは論外とでもいうべき危険な行為である。

 

 それからもう一つ、木材=立木の汚染は、事故直後は樹皮にへばりついた放射性セシウムだけに注目をしていればよかったが、事故後5年も経過した今日では、立木が根から吸い上げる放射性物質の行方にももっと注力をしなければいけないはずである。一般に、樹木が根から吸い上げた栄養分は、樹皮のすぐ裏側の「形成層」とよばれる部分を伝って枝葉に運ばれていき、そこで光合成されたものが樹木の幹に蓄えられていくという経過をたどる。森林総合研究所などのレポートその他を見ると、放射性セシウムの場合には、枝葉の付け根や葉っぱの軸の部分に蓄積しやすい傾向があるようだが、その数量的な把握は十分ではない。また、その他の放射性核種についてはどうなのかは全く分からないままである。こんな状態で放射能汚染地帯の森林の立木を木材利用のために伐り出すというのは危険極まりない。(林業労働及び木材取扱現場での被ばくについては次回以降コメントする)

 

(3)上記の基準は「ガイドライン」であって強制力・罰則・監視なし

 そもそも上記の基準はあくまで県庁が定めた「ガイドライン(指針)」であって、事業者に対する強制力もなければ、違反した業者への罰則もなく、もちろんモニタリングや監視もなされていない。

 

 実は放射能汚染地帯での林業・木材利用に関しては、下記の2つの基準も存在している。しかし、これもまた「ガイドライン(指針)」であって、強制力や罰則・監視などはないので、これが実際に実施されているかどうかも、上記で申し上げた林業事業体の零細性を鑑みた場合、非常に怪しいものである。また、申し上げるまでもないが、(林野庁の基準はともかくとして)木材業界(福島県木材協同組合連合会:県木連)の自主基準もまた、その安全性に関して科学的実証的な根拠はない。何ゆえに1000CPM(カウント・パー・ミニッツ)なのか、その理由や根拠が全く不明であり、しかもベクレルベースではなくCPMを使っている点についても胡散臭さを感じさせる。

 

●林野庁の基準:林野庁-木材製品の取扱いに係る留意事項等(QA)について

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/mokusan/sinsai/mokuzai.html

 

(要するに(一部引用)「警戒区域及び計画的避難区域や、新たに指定された帰還困難区域及び居住制限区域は、被ばく線量を低減する観点から長時間の立入り等が制限されていることから、除染等業務や公益を目的とした一時的な立入りなど、特別の場合を除き、森林内の作業についても行わないよう指導しているところであり、木材製品の出荷についても行わないようにしてください」ということであり、林野庁からの業界への「お願い」である。強制力のある規制基準ではない)

 

●県木連の基準:福島県木材協同組合連合会:「安全・安心な木材」(のところをクリック)

 http://www.fmokuren.jp/publics/index/24/

 

(福島県木連のHPには、まだこうした放射能汚染木材の取扱に関する記載があるが、福島県森林組合連合会(県森連)のHPには放射能の「放」の字も見あたらない。これもまた信じがたい無神経である:田中一郎)

 

(4)福島県庁以外は業界丸投げ、林野庁は無視

 私が1年以上も前に福島県庁と、その周辺の3県の県庁の林政課に電話で確認したところでは、当時において既に県庁が曲がりなりにも森林の放射能汚染とそこでの林業=木材の伐採・搬出について基準をつくり、業界を指導している様子がうかがえたのは福島県庁だけだった。その他の県庁=宮城、栃木、茨城の各県は、いずれも業界へ丸投げ状態で、無責任極まる発言だった。また林野庁も、既に通知は出したので(木材については上記1本のみ)、あとは各県の自治体や業界の問題だという態度で、森林や木材の放射能汚染について責任ある態度は微塵も感じられなかった。いずれも私には信じがたいことであり、かつ、許しがたいと感じた次第である。このままでは、東日本の木材という放射能汚染物が全国に出回ることになるだろう。まさに放射能汚染ゴミの「再利用」(リサイクル・リユース)と同じようなことが、この林業・木材業界では先行して行われていると言っても過言ではないかもしれない。

 

(5)最重要の山火事対策が手薄

 先般、郡山市にある指定廃棄物の保管倉庫が火事となった。既に私のメール(転送)で皆様にもお知らせいたしましたが、その際の住民の被ばく防護への対応は全くの出鱈目だったことが明らかになっている。危険極まりないことである。しかし、その放射能汚染物の火事を、もっとスケールを大きくして実現するのが「山火事」である。放射能汚染森林が火事になれば、放射能が拡散していわゆる二次被害が出ることは説明するまでもない。チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国では、この山火事防止対策が最重要事項として対応された経緯がある。地域住民が呼吸被ばくをさせられ、かつ実施された除染作業が無駄になるからだ。

 

 しかし、これも私が林野庁と福島県をはじめ隣接県の県庁にヒヤリングした限りでは、毎年春(春は山火事の多い季節=山菜取りなどが主な原因)に全国で実施される恒例の形だけの「山火事防止キャンペーン」程度の域を出るものではなく、具体的な山火事防止対策や体制づくりはなされていないことが明確だった。日本の林業政策・木材政策は、放射能汚染に対しては全く有効に機能していないし、機能させようという姿勢も感じられない。信じがたい話である。

 

(6)木材製品を買うときは線量計を携帯

(最後にみなさまへのお勧めとして)上記のような次第ですので、みなさまが木造住宅をはじめ、木材製品をお求めになる場合には、必ず線量計を持ち、空間線量を計測する習慣を持たれるのがいいと思います(個人住宅のみならず公共施設等の新築の木造建築物の中に入る場合も同様)。特に木造住宅購入時には、使われた木材の出所を確認すること、各室内の空間線量に異常がないかを確認すること、などが必要不可欠かと思われます。可能ならば、西日本産か北海道産の木材を使わせることが無難かと思われます。大型の家具や木製の車両などにもお気を付けください。

 

4.除染範囲を里山に拡大、モデル地区設定、3省庁のPJチームが新方針(『林政ニュース 2016.3.23』)

 http://www.j-fic.com/rinseibn/rn529.html

 

(一部抜粋)

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大臣レベルに「格上げ」して対応策を検討してきた3省庁のプロジェクトチームは、3つのエリア区分(下記に注:田中一郎)にとらわれず、「里山」と「奥山」という大括りした視点から対策を整理し、被災自治体からの要望が強い「里山の再生」で新規事業を立ち上げることにした。

 

新たに着手する「里山再生モデル事業」では、10か所程度のモデル地区を指定し、①放射線量マップの作成、個人線量の測定、②放射性物質汚染対処特別措置法に基づく徐染等の実施、①広葉樹林や竹林等の整備、④木質バイオマスの活用、などを総合的に実施する。これまでA・Bエリアは環境省、Cエリアは林野庁という担当分けがあったが、モデル地区では3省庁がそれぞれ手がけている事業をメニュー化して使い勝手をよくするとともに、事業の効果を検証して対象地の拡大を検討する。事業期間は3年程度としているが、必要に応じて延長できる。3省庁と内閣府及び福島県で連絡会議を設置して来年度(平成28年度)にモデル地区を選定する。

 

(注)3つのエリア

 Aエリア=住居等近隣の森林、Bエリア=日常的に立ち入る森林、Cエリア=A、B以外の森林、に分けて対策が講じられてきた。Aエリアについては、林縁から20mまでの範囲の落葉等の除去などを行い、Bエリアでは、ほだ場や村キャンプ場などで落葉等を取り除くという基準があるが、Cエリアに関しては具体的な手法が決まっていなかった。

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(除染をするというA,Bエリアでさえ「落葉等の除去」にすぎない。何が「対策」か、何が「森林の除染」か!! バカバカしいという他ないではないか:田中一郎)

 

(田中一郎コメント)

 前回の(その1)メールでも取り上げて福島民報記事をご紹介したかと思いますが、この『林政ニュース』はそれよりもより詳しく政府・関係省庁の対応方針を伝えています。文章を読むともっともらしく見えますが、基本は政府は森林の除染はやるつもりはありません。里山とて同様です。恐らくこの対応は、当面する衆参両院の国政選挙をにらんでの選挙対策・福島住民への特別政治対策として展開されていると思っておいていいのではないかと思われます。モデル地区などと言っているということは、試験的に森林除染をやってみます、ということにすぎませんから、やがて、やってみましたが駄目でしたとか、これ以上の除染は無理です、のような格好で「幕引き」となるでしょう。

 

(5)「競技場 被災地産木材使いたい」新国立設計の隈氏(東京 2016.2.24 夕刊)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/new_stadium/list/CK2016022402000249.html

http://mainichi.jp/sportsspecial/articles/20160115/ddm/001/050/149000c

 

(田中一郎コメント)

 新国立設計の隈氏に、悪意や原子力ムラへの媚びへつらいがあるとは思えません。おそらくは善意での発言でしょう。しかし、善意だからといって、それでこうした発言がノーチェックで許されるということではありません。同氏の言う「被災地」に福島県をはじめとする放射能汚染地帯を含めて考えているのであれば、まずはその原発事故被災地の林業や木材産業が放射能をどうマネジメントしているか・管理しているかをしっかり確認してからにしていただきたいものです(実態は実にいい加減)。

 

 同氏の提言のようなことがリップサービスではなくて、本当に大々的に実施された場合には、場合によっては東京中の新築スポーツ施設は、放射能で汚染された木材だらけということにもなりかねません。よく「ファシズムは善意に担がれてやってくる」と言われますが、それはそのままこの隅氏の発言にも当てはまるように思います。「原子力翼賛と被ばく押し付けの社会は善意に担がれてやってくる」ということです。

草々

 

2016年5月18日 (水)

木材が危ない・林業木材産業労働者が危ない=森林の放射能汚染を軽視・無視して進められる林業・木材産業復興の危険性(その1)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

昨今、森林の放射能汚染をめぐり看過できない動きが2つあります。1つは、政府・関係省庁が、これまでの「森林の除染は居住地域のごく近隣のみ(20m以内)に限る」としていたものを事実上撤回し、里山の除染を言い出していること、もう一つは、それに平仄を合わせるように、地元紙の福島民報では、森林の放射能汚染に関して、あたかも大きく低減が進んで、一部の地域を除けば懸念するに及ばないかの如きタチの悪い報道が相次いでいることです。以下、「木材が危ない・林業木材産業労働者が危ない=森林の放射能汚染を軽視・無視して進められる林業・木材産業復興の危険性」と題して、複数回に分けてコメントします。

 

 <別添PDFファイル>

(1)20メートル以上 森林除染せず(福島民報 2015.12.22

(2)里山再生を確認、復興・環境・農水相、除染など対策連携(福島民報 2016.2.6

(3)森林線量65%減 昨年度県内 23年度比、継続調査地点(福島民報 2016.5.17

(4)汚染された山に帰すのか、キノコや山菜 今も危険(東京 2016.5.17 夕刊)

 

 <関連サイト>

(1)福島県森林組合連合会

 http://www.fukumoriren.org/main/top3.html

(2)福島県木材協同組合連合会

 http://www.fmokuren.jp/

 

1.20メートル以上 森林除染せず(福島民報 2015.12.22

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2015/12/post_12859.html

 

(田中一郎コメント)

 この記事には「環境省は民家や農地から約20メートル以上離れた森林で除染を実施しない方針を最終的に固め、21日に東京都内で開かれた有識者による環境回復検討会で示した。(中略)同省はこれまで、県内面積の約7割を占める森林のうち、生活圏から20メートル以内とキャンプ場や遊歩道、キノコ栽培で人が入る場所に限って落ち葉など堆積物を除去するとしてきた。それ以外のエリアについては方針を示していなかった。(中略)民家や農地から約20メートル以上離れ、日常的に人が立ち入らない場所での除染は見送る方針を示し、了承された。(中略)検討会終了後、井上信治環境副大臣は報道陣に「全てを面的に除染するのは物理的にも困難で、悪い影響の方が大きい」と述べた。」と書かれています。この記事が出たのが昨年の12月下旬でした。この段階では、まだ従来方針の踏襲をしていたということです。

 

 それにしても「生活圏に影響を与える森林からの放射性物質の飛散は確認されず、線量低減のため落ち葉を除去すると土砂流出などが懸念されると判断した」(環境省)だとか、「住民にとって一番良い手法を考えた結果だ」(井上信治環境副大臣)とか、よくもかような出鱈目を言えたものです。実際に福島に住んでみろ、と言いたくなりますね、事実とは真逆のことです。

 

 また「山の勾配が急で大雨などの際、土砂が流れ込む可能性がある住宅地などに限り、防護柵の設置など対策を講じる」(環境省)などとも言っているようです。しかし、こんなものが集中豪雨対策になるはずもありません。要するにカネがかからない程度でやってやるから、これで辛抱しておけ、ということにすぎません。それに屁理屈をつけるから、益々話がややこしくなるのです。

 

 記事には「林業対策が課題、環境省が森林全体を除染しない方針を固めたことに、県内の林業関係団体からは伐採などに従事する作業員の被ばく対策を強化するよう求める声が上がった」とも書かれています。この問題については、次回以降にコメントします。

 

 要するに、汚染森林の除染は「しない」のではなくて「できない」のです。無理にやろうとすれば巨額な費用が必要となり、その結果もほとんど効果がない、ということを意味しています。これはチェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国で既に確認されていることです。そもそもの問題は、居住地域も含めて、放射線管理区域指定基準を上回るような放射能汚染地域やその周辺には人が住めない、森林の除染はできないし効果もない、ということを明らかにせず、放射能や被ばくについて十分な知識のない人たちをだまくらかし、あたかも除染をすれば安全・安心に居住できるかの如き嘘八百を大宣伝してきたことにあります。それが「森林の除染問題」でボロが出て、対応に苦慮している、というのが今日の実態です。

 

2.里山再生を確認、復興・環境・農水相、除染など対策連携(福島民報 2016.2.6

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2016/02/post_13158.html

 

(田中一郎コメント)

 ところが新年になってから、上記の「基本方針」が変わります。記事に「復興庁と環境省、農林水産省による作業チーム「福島の森林・林業の再生のための関係省庁プロジェクトチーム」は5日、東京で初会合を開き、3省庁の大臣が里山再生に向け除染を含めた対策を打ち出す方向性を確認した」とあるように、「森林除染はしない」から「里山に限り除染を試行的に実施する」に変わりました。

 

 記事を見てみますと、丸川(環境省)、高木(復興庁)、森山(農林水産省)の3大臣が、いい加減なことを発言しています。かような人間達がリードしたところで、事態の改善は一切進まないどころか、益々おかしな状態に陥っていくことになるでしょう。

 

(一部抜粋)

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今後、環境省による除染と林野庁の林業再生対策を組み合わせて実施するなどの具体的な施策を取りまとめる。除染作業で落ち葉や堆積物を取り除く際に土砂が流出する恐れがあるため、効果的な技術を探る。里山の範囲は明確な定義がないため、県や市町村などの要望も踏まえ、対策を施す範囲を決める。一方、住民が日常的に立ち入らない山林は、林業再生対策の加速化や施策の追加などを検討する。

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(何が「林業再生対策の加速化」ですか。こんなことをすれば、放射能で汚染された木材が建材などとして全国に広がっていくでしょう。消費者は被ばくの危険にさらされます。また、バーク(木の皮)などの汚染木材廃棄物の量も増えて、やっかいなことになります。更に、林業や木材産業(製材業・木材流通業など)に携わる現場の労働者が深刻な被ばく被害を受けてしまいます。トラブルづくりに貢献するだけです。:田中一郎)

 

3.森林線量65%減 昨年度県内 23年度比、継続調査地点(福島民報 2016.5.17

 http://www.minpo.jp/news/detail/2016051730970

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160517-00000027-fminpo-l07

 

(一部抜粋)

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福島県は16日、東京電力福島第一原発事故後に調査している県内の森林(民有林)の空間放射線量を公表した。362の継続調査地点で比較すると、平成27年度の平均空間線量は毎時0・32マイクロシーベルトで、事故直後の23年度の0・91マイクロシーベルトから約65%減少した。県は放射性セシウムの自然減衰に伴い、今後も線量の低下が続くとみている。

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(田中一郎コメント)

 昨日(5/17)の福島民報に掲載された大問題の記事です。以下、問題点を箇条書きにします。

 

(1)森林の放射能汚染状況でも、その他の居住地域や農地での汚染状況でも、それを調査する場合には、空間線量(シーベルト)ではなく土壌の汚染度合い(ベクレル/kg)を調べる必要があります。また、その土壌がどういうタイプなのか、特に、土や砂ぼこりなどの舞い上がりによる呼吸内部被曝を十分に意識した調査・測定が行われる必要があるのです。更に、木材(立木)そのものの汚染状況も調査が必要ですので、標準木を1本伐採して、その汚染度合い(ベクレル/kg)を樹皮と幹内部部分に分けて計測しておくべきでしょう。しかし、この福島県庁の調査は、そうしたことに一切の配慮がなされていません。空間線量は簡単に「人をだませる」=汚染状態を実態よりも小さく見せることが可能で信用できません。非常に片手落ちの不十分な調査と言わざるを得ません。(記事によれば、土壌のベクレル調査をしたのは、たったの5か所だけのようで、その目的も、放射性セシウムの分布状態を調べることだったようです)

 

(2)どのような調査・測定をしたのか(調査・測定の具体的な進め方)の詳細な内容公表が必要です。最も重要なのは、測定地点(標準地)をどのように選んだのかという点です。放射能汚染が低そうなところばかり選べば、あるいは都度都度事前に除染をしておいてから測定をしに行けば、結果は「たいした汚染はなかった」ということになるのは当たり前です。また、測定器は何を使ったのか、どのような測り方をしたのか、固定設置されたモニタリングポストの数字はどれくらいあるのか、放射性セシウム以外の放射性物質は測定したのか、などなど、多くの点が明らかにならないと、この結果に対して信頼はおけません(例えば、福島県の各地に設置されているモニタリングポストの空間線量数値が実態を現さないほどに過小な数値であることは(そうなるように作為されている)、今や県民の共通認識となっています)

 

(3)結果公表の仕方も問題です。県全体の平均値だけを強調するのはよろしくありません。特に放射能汚染の度合いの低い会津・只見地方の調査結果数値も入れての平均値にはほとんど意味がないでしょう。平均値は、浜通り、中通り、その他の3区域区分で出すほか、各市町村別にも出しておくべきです。更に今般、里山森林の除染が問題になっていますから、居住地域、里山地域、森林地域の3つくらいに地域を区分けして、その平均値も出しておくべきです。また、大事なことは、平均値だけでなく、最大値と最小値を、その地点とともに明らかにしておく必要があります。特に最大値の方は重要です。更に、森林内での放射能汚染状況のばらつきも調べる必要があります。放射能汚染の分布は一様ではなく、いわゆるホット・スポットなどがあって、大きなバラつきを示すからです。しかし、福島民報の記事には、ここで指摘したような点についての記述は見当たりません。

 

(4)記事には「県森林計画課は「今後も森林の放射線量を把握し、林業の生産活動の目安としたい」としている」とあります。正直と言えば正直なのですが、あくまで森林の放射能汚染状況調査は林業再開のための調査=産業のための調査であって、住民の生活の安全=被ばく回避のためではないと、県庁の役人が発言しているようなものです。けしからん話だと私は思います。そもそも放射能で汚染された森林で林業を再開すること自体が「もっての外」と言わざるを得ないことです。

 

(5)今回の福島県の発表は森林の放射能汚染のことでしたが、しかし、福島第1原発事故後の日本では、森林に限らず、居住地域や農地などの放射能の汚染状況調査が非常に不十分で、遅れたままに放置されています。信じがたいことです。だから福島県内各地で、非常に汚染度が高い危険なホット・スポットが散在し、それは子どもたちが通う学校や、日々の食べものをつくる田畑などにも及んでいるのです。チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国では、居住地と農地について、定期的なインターバルをおいて土壌の汚染状態(ベクレル)が詳しく測定され、いわゆる放射能汚染地図(マップ)がつくられていたと聞いています。何故、日本ではこういうことをしないのでしょうか?(発見されたホット・スポットは退治された=除染された=除染とはホット・スポット退治のためのものです。地域全体を面的に除染するなどということは無理・無駄・無謀です。そんなことをするよりも、放射能が低減するまで避難していた方がいい)

 

 除染などできない森林の放射能汚染調査などは後回しでいいのです。まずは居住地と農地、これを3~5年の周期で徹底的に測定する必要があります。それをせずに林業再開のためだなどとして、このような森林の放射能汚染調査をしているのですから、まさに地域住民の命と健康を二の次にした、おかしな行政だと言わざるを得ません。そして、このことは福島県以外の放射能汚染地域の各都県についても言えることです。福島県は、それでもまだ、まがりなりにも放射能汚染の調査・測定をしていますが、他の都県では、福島第1原発事故と放射能汚染は「過去のこと」として無視され放置されているのが現状です。森林・林業・木材産業では、特にその傾向が強く、非常に危険な状態にあることは強調しておきたいと思います。福島第1原発事故の放射能の環境放出は県境で止まったわけではないのです。

 

(6)放射能汚染状況の調査・測定や、できもしない除染よりも、住民の避難・疎開・移住を徹底すること、避難・疎開・移住された方々に対して万全の賠償・補償を行い、再建支援のための施策を十分に対応することが、最も重要なことです。福島第1原発事故後の日本の政治や行政は、その逆を行って、被害者住民をひどい状況に追い込んでいます。国家的な犯罪行為です。

 

4.汚染された山に帰すのか、キノコや山菜 今も危険(東京 2016.5.17 夕刊)

 東京新聞(夕刊)が「私の見た福島事故」というシリーズ記事を載せています。なかなか興味深い内容の記事が多いです。昨日の夕刊は「モニタリングじいさん」でした。私は、この「モニタリングじいさん」のような方に県知事や放射線管理アドバイザーをしていただいたらいいのではないかと思います。

 

(関連)東京新聞 福島の放射線測定 避難区域外は縮小社会(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021102000122.html

 

(関連)東京新聞 寒さに震え「老老避難」 私の見た福島事故 社会(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021402000137.html

草々

 

 

2016年5月16日 (月)

パナマ文書が示す納税回避の実態(簡単なまとめ)=税金を納めるべき企業や富裕層が税を逃れ、その結果、足りなくなった税収は消費税という大衆課税で吸い上げる今日の日本の税制度(政治家や官僚達も彼らとグルである)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

みなさまご承知の通り、去る510日、「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)は、タックスヘイブン(租税回避地・オフショア)を使った課税逃れの実態を暴露した「パナマ文書」に含まれる約2万4000法人と関連する約36万件の個人名などをウェブサイトに発表しました。以下、この「パナマ文書」が暴露した大企業や富裕層、それに政治家や官僚達の納税回避行為等の実態と、タックスヘイブンについて、私見も交えて簡単に整理しておきます(現段階)。また、参考となるレポートやマスコミ報道もご紹介したいと思います。

 

 <別添PDFファイル>

(1)パナマ文書 法人名公開、税逃れ防止 仕組み次々(朝日 2016.5.11

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12349918.html

(2)パナマ文書、中国2.8万件、21万社公開 日本関連800件(毎日 2016.5.11

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160511-00000005-mai-int

(3)パナマ文書、日本と租税回避地の関わり 解明できるか(東京 2016.5.11

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201604/CK2016042702000126.html

(4)パナマ文書入手、調査報道の地から示す:独紙記者に聞く(毎日 2016.5.9

http://www.ngo.ne.jp/modules/NGOnews/index.php?page=clipping&clipping_id=76459

(5)パナマ文書が浮き彫りにしたオフショア・ヘイブンの秘密世界(合田實『世界 2016.6』)

「gouda_sekai_repoto.pdf」をダウンロード
(6)米大企業66%が「本社」、国内「タックスヘイブン」デラウェア州(朝日 2016.5.10

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12348116.html

(7)パナマ文書 実名公開「日本人230人」リスト(『週刊文春 2016.5.19』)

 http://ch.nicovideo.jp/shukanbunshun/blomaga/ar1025431

(8)ファイザーとパナマ文書の地下茎(日経ビジネス 2016.4.18

 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/world/041300154/?ST=pc

 

1.タックスヘイブンとは(TAX HAVEN)

 言葉の意味は「納税を避けて逃げ込む港・避難所」という意味(ヘイブンは「Heaven」(天国:ヘブン)ではなくて「Haven」(港・避難所:ヘイブン)です)ですが、実態はそれだけにとどまりません。タックスヘイブンの重要な基本的性格は、(1)情報非公開(秘密主義)、(2)無規制(やりたい放題)、(3)納税回避(合法・非合法)の3つです。岩波新書『タックス・ヘイブン:逃げていく税金』をお書きになった志賀櫻氏(故人・元大蔵省官僚)によれば、タックスヘイブンの最も重大なポイントは「秘密主義」にあるそうです。

 

●志賀櫻氏の著書

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/List?cnt=1&mode=speed&spKeyword=%8E%75%89%EA%9F%4E&pageNumber=0&totalCnt=14&dispCnt=20&target=1&button=btnSpeed

 

(志賀櫻氏は元大蔵省の幹部官僚で国際税務の実務に長年携わり、タックスヘイブンやオフショア市場などを含む日本のみならず欧米の税制や金融市場に詳しい方でした。岩波新書2冊(上記)をお書きになって以降も精力的に現在の税制のおかしさを世に訴えておられましたが、先般、急逝されたそうです。どうもそのなくなり方がおかしいように感じます。まさか・・・・???:田中一郎)

 

 タックスヘイブンと言えば、ケイマン諸島などの海外の島しょ国などを思い浮かべますが、実はタックスヘイブンはそれだけではなく、ルクセンブルクやシンガポール、香港やアイルランドやオランダやスイス、そして米国のいくつかの州(デラウェア州やネバダ、ワイオミング、サウスダコタの各州)などもタックスヘイブンと言われます。そして、少し前のルクセンブルグ政府当局が自国所在の企業に税法上の便宜を図っていたことが発覚して大問題となりましたが、その様子を垣間見るに、タックスヘイブンと言われる国の政府=つまりは政治家や官僚たちが大企業や富裕層・資産家たちとグルになって、彼らの納税回避行為や脱税に便宜を図るという本末転倒の事態が世界で蔓延しつつあるのです。許しがたいことです。もちろん、日本だけが例外だなどとは考えない方がいいでしょう。著名な裁判となった武富士の息子の相続税納税回避裁判で、この国の最高裁はその納税回避行為を認める判決を出すような国ですから。

 

(関連)欧州委、米マクドナルドを調査 ルクセンブルクで税優遇疑い 

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H6E_T01C15A2FF2000/

 

2.タックスヘイブンの利用のされ方(主なモノ4つ)

 私の認識では下記の4つがその典型事例です。他にもあればご教授ください。まさに「悪の巣窟」(Crime Hotbed)です。

 

(1)金融商品組成場(主として、金融規制逃れ+資産運用秘密確保(非連結化など)+源泉税回避が目的 ⇒ 国際金融税務において源泉税は非常に重要(後述)

(2)多国籍企業など、主として大企業の納税回避のための逃げ場所(法人税その他の法人向け課税回避)

(3)富裕層・資産家の資産の隠し場所(所得税回避のみならず、相続税・贈与税回避が巨額=個人の国籍や住居地詐称、あるいは非居住者優遇税制利用もセット)

(4)マネーロンダリング(マネロン:資金洗浄)(サラ金などの暴力団・ヤミ勢力のみならず各国情報機関や反政府暴力組織なども利用)

 

(説明1)金融商品組成場

 外国人(外国法人を含む)どうしが外国で金融取引をする場合は「外外取引」と言われ、基本的に金融規制がかからず(従っていわゆるディスクロ義務がなくなり情報非公開が可能になります:但し「通貨主権」はあります=各国通貨の最終決済(尻)は通貨発行国の銀行等で行われますので、それを活用した最小限の「規制」は可能)、かつ取引に伴う源泉税もかかりません。その「外外取引」の場所を自国の金融市場に持ってきたのが「オフショア市場」で、いわば「国際金融特区」のようなものです。しかし、市場のある場所の政府当局の規制や課税はかからなくても、取引当事者の母国はこのオフショア取引に規制をかけたり、その収益に法人税等を課税したりするかもしれません。それを回避するために、取引当事者も本店や居住地をタックスヘイブンに置き、あらゆる規制や課税を回避しようとします。タックスヘイブンとオフショア市場とは同義ではありませんが、取引当事者にとっては非常によく似たメリットがあるので、ほぼ同じものとして認識されます。

 

(説明2)金融取引にかかる国際税務における源泉税の重要性

 源泉税は所得(給与・報酬・利子・配当・公的年金等)が発生したその時・その場所で、支払者が源泉税分相当額だけを天引きして受取者(所得者)に支払い、受取者に代わって納税をする仕組みのこと。国際税務では、かつてはオフショア市場での投資を除き、非居住者が国内へ向けて金融投資(直接投資=実物投資以外)をする場合には、原則として源泉税が課されていました。しかし、まもなく金融投資への非居住者優遇制度が欧米や日本などで一般化し、今日では金融投資に源泉税は課されなくなっているのではないかと思われます(未確認)。また、タックスヘイブンは、こうした源泉税課税を回避する手段として、金融商品を組成する必要不可欠のものとして活用されています。

 

(説明3)

 タックスヘイブンで組成される金融商品は、信託勘定、SPC(ペーパーカンパニー:原則として法人格あり)、組合(パートナーシップ:原則として法人格なし)などの形で組成され、その株主にはチャリティ・ファンド(慈善事業用の名目)などが利用されます。チャリティ・ファンドの利用は、万が一、課税当局の手が及んでも課税を回避するためのものであり、かつ真の所有者・資産支配者を隠蔽するため(法人ならばこれにより非連結にできる)と考えられます。通常SPCには法人格があり、従って課税される主体となるけれど、信託勘定や組合には通常は法人格がなく、従って課税される主体にはならずに組合員(信託なら受益者)個々人に課税が及ぶ仕組みになっています。前者を「ペイスルー」と言い、後者を「パススルー」といいます。リーマンショックの際に問題となった「SIV」 (Structured Investment Vehicle, 投資目的の非連結特別目的会社)や投資会社なども、このような「金融商品」として組織されています。

 

 組合組成についておかしな点を申し上げておきますと、たとえば日本の匿名組合(商法)には有限責任社員と無限責任社員が必要ですが、その無限責任社員に有限責任の株式会社(SPC)などを使うことがほとんどです。無限責任社員の必要性については申し上げるまでもないでしょう。そういう社員がいるからこそ「組合」という組織が合法化されているわけで、それをこんなやり方で法が定めた規制を尻抜けしてさせているのなら、「組合」の法規制が無意味となります(組合の無限責任社員には株式会社のような有限責任組織はなれないように法規制すればいい)。それから有限責任社員も、幾重ものタックスヘイブン所在のペーパーカンパニーや組合、信託などを経由させ、実質的な所有者をわからなくさせた状態で、課税や金融規制が回避できる仕組みが創り上げられています。

 

(説明4)マネロン・ツールとしてのタックスヘイブン

「パナマ文書が明らかにしたことは、まず第一に政治家、富裕者、高級官僚が税を逃れるために、税のかからないオフショアに秘密裏に資金を蓄えたことである。しかしパナマ文書が明るみに出したことはそれだけではない。麻薬取引や武器の密輸など不法取引で得たカネを資金洗浄したり、不法国家に対する国際的制裁の抜け道や、テロ資金の通り道を提供するなど、重大な犯罪行為や違法行為に長年加担していた事実をも明らかにしている。」(上記(5)パナマ文書が浮き彫りにしたオフショア・ヘイブンの秘密世界(合田實『世界 2016.6』)より)(ちなみにこの合田氏のレポートは非常に重要で、タックスヘイブンの問題をコンパクトにまとめた優れた著作です。必読ですので、みなさまも岩波月刊誌『世界』(20166月号)をお求めになり、是非ご覧ください)

 

3.「パナマ文書」の概要とタックスヘイブンに隠れる資産、そして納税回避推定金額(報道から)

 過去40年間にわたる記録・文書類約1,150万点、データ量=26テラバイト、リストに出ていたペーパーカンパニー(背後に実在の法人名・個人名)は延べ214000社、うち日本は約800社。ただ、楽天の三木谷のように、住所をシンガポールにして登録している場合もあるなど、法人や個人の所在地・居住地については、その真偽のほどは定かではありません。これは法人税・所得税のみならず、相続税や贈与税などについても納税回避のため、所在地・居住地の詐称、あるいは国外在住による税法上のメリット享受が活発になされていることを示しています(このことは、少し前の武富士の息子にかかる相続税納税回避裁判でも明るみに出ていました)。

 

(参考)贈与税として1330億円を追徴課税されましたが、最高裁の判決で、400億円の利子を付けて、返してもらうことになりました|贈与税で得をする方法

 http://www.gifttax.jp/news/000066.html

 

 調査報道を担った「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)では、「パナマ文書」のすべてを公開する予定はないとしています。特に、上記で申し上げたマネーロンダリング(マネロン:資金洗浄)関連の情報については、その取扱いが非常に危険なので(暗殺される可能性あり)、これからのICIJの対応が注目されます。また、ICIJには、各国の課税当局から情報提供の依頼が殺到しているようですが、ICIJはこれに応ずる様子はありません。あくまでも情報源秘匿の調査報道ジャーナリズムとして情報公開する姿勢です。

 

 もちろん、この「パナマ文書」が今回明らかにしたタックスヘイブンの利用状況は、まさに「氷山の一角」です。伝えられるところでは、タックスヘイブンに蓄えられている金融資産の総額は21兆ドル~32兆ドル(2300兆円~3500兆円:2010年 BY「NGO 税公正ネットワーク」)にもなるとのこと。この数字をもとにして日本における納税回避額を試算すると下記のとおりです。世界全体に占める日本の法人や個人の金融資産支配金額は全体の20%、推定利益率を5%、法人税率(又は所得税率)を30%と仮定しました。

 

 MAX(最大):3500兆円×20%=約700兆円 ×5%×30%=10.5兆円

 MIN(最小):2300兆円×20%=約450兆円 ×5%×30%= 6.9兆円

 

 つまり、毎年、7兆円~11兆円くらいの法人税または所得税の納付漏れ(リーク)が起きているということになります。更に、これに相続税・贈与税を加算しますと、恐らく20兆円近い税金が大企業や富裕層・資産家たちにより納税回避されているのではないかと推測されます。恐るべき金額と言っていいでしょう(法人税や所得税は、資産が生み出す「果実」(利益や所得)に対して税金がかかりますが、相続税や贈与税は資産そのもの全額に対して税金がかかります。その決定的な違いは重要です。経済評論家の森永卓郎氏は、少し前ですが、日本で相続税・贈与税に対してきちんと課税すれば、年間数十兆円の税収増が見込まれ、日本の財政再建などはすぐにできると発言していました)。私たち貧しき一般の有権者・国民・市民は、こんな状態が放置されたまま、消費税など納税する気にもなれません。しかも、その消費税増税の大半は法人税減税や自動車関連の減税の原資として消えていくのです。

 

 それから、今回の「パナマ文書」では、最も名前が多かったのが中国だと言われています。中国では、香港などに所在する会計事務所その他が、中国国内の権力者や資産家(大半は中国共産党関係者)の海外への資産隠しをコンサルし、斡旋している様子で、そのこと自体が社会主義国である中国と、その一党独裁支配者=中国共産党の腐敗・堕落を示しています。中共トップの習近平氏の名前まで出てきますので、事態は容易ならざるものがあり、中国国内では「パナマ文書」関連の報道はインターネットも含めてご法度のようです(インターネットの反体制的情報の遮断を中国で手伝っているのも、マイクロソフトやグーグルなどのタックスヘイブン利用巨大IT企業群のようです)。

 

●習近平政権に痛恨の一撃 パナマ文書は中国経済の時限爆弾

 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/179369

 

4.日本での「パナマ文書」報道のおかしさ

 日本でも「パナマ文書」の概要が伝えられ始めましたが、全般的に新聞や雑誌が比較的熱心なのに対してテレビ報道がNHKも含めて全くダメ状態です。何をバカなことをしゃべっているのかという、くだらないコメンテーターの解説までついて、テレビ報道は納税回避者の実態暴露に消極的であるどころか、ウソ偽りの報道を繰り返していると言っても過言ではありません。

 

(おかしいぞ1)「法的に問題なし」

 この言葉はテレビのみならず新聞・雑誌も含めて、必ずと言っていいほど「パナマ文書」報道の中で出てきて、しかも何度も繰り返されます。しかし、「パナマ文書」は現段階では文書の中にあった「名前」だけをリストとして公表しただけで、その詳しい取引の内容までを詳細に公表したわけではありません。中にはマネーロンダリングがらみもあると推測されます。ですから「法的に問題があるかないか」など、わからないのです。にもかかわらず「法的に問題なし」を繰り返すのは、いったい何故なのか? 誰に言われて誰をかばっているのでしょうか? ひょっとしてテレビ番組のスポンサー企業や新聞・雑誌の広告企業(及びその関係者個人)に、またぞろの「忖度」型媚びへつらい行為をしているのではないのかな?

 

(おかしいぞ2)「ビジネスが目的です」

「パナマというタックスヘイブンを利用したのは納税回避が目的ではなくビジネス目的です」などと、「パナマ文書」に名前が出た企業が口々に説明しているのがコレです。しかし、およそ会社というものはビジネスを目的として存在しているのですから「ビジネス目的です」などという説明は、「私たちは会社です」と言っていることと同じでしょう。かような無内容な説明をマスコミの記者たちは、何の疑問も異議も発せずに記者会見で聞いて、それをそのまま垂れ流し報道しているのでしょうか? 問題は、何を目的にしてタックスヘイブンであるパナマを利用したのかです。当事者企業に説明らしい説明をさせるのがマスコミの仕事です。

 

5.(おかしいぞ3)政府は「やる気なし」

 「パナマ文書」発覚直後の記者会見では菅義偉官房長官は、「パナマ文書」について日本政府は調査もしなければ言及もしないなどと、知らぬ存ぜぬ、見ざる聞かざる言わざる、を決め込もうとしていました。しかしその後、米国、欧州がそれぞれタックスヘイブンに対して厳しい規制を直ちに実施する、「パナマ文書」を詳しく調査する、今後もタックスヘイブンへの規制強化を各国協調して実施するなどの対応を開始、それを反映してOECDなどの国際機関やG20などでもタックスヘイブン規制強化の動きが報じられるようになりました。

 

 それを見てあせったのでしょう。日本政府・自民党は前言を翻し、「パナマ文書」について税法上問題があれば調査するだの(菅義偉官房長官)、国際的な脱税防止に積極的に取り組むだの(麻生財務相)、一部の富裕層や企業の税逃れを戒め(いましめ)ていく方向は正しい(石原伸晃経済再生相)などと言い始めました。「やる気なし」の評論家稼業と見ておいていいでしょう。今般の「パナマ文書」には、自民党政治家の名前は出ていないようなので、こうした呑気な稼業で済ませているのでしょうが、そもそも政治家として税制の問題をきちんと正す姿勢が日本の政治家たちに見られないというのは、いかにも嘆かわしいことと言わざるを得ません。かような政治家たちを選挙で選出している日本の有権者・国民・市民にも問題がありそうです。

 

(参考)別添PDFファイル(8)ファイザーとパナマ文書の地下茎(日経ビジネス 2016.4.18

 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/world/041300154/?ST=pc

 

(一部抜粋)

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政府の規制強化で、米製薬大手ファイザーは同業アラガンに対する買収計画を撤回した。 一方、今回流出したパナマ文書は、企業や富裕層が節税にいそしむ現状を白日の下にさらした。 租税を巡る政府と企業のいたちごっこ、その後に残るのは複雑な規制と格差の拡大だろう。

 

国家の逆襲が始まったということだろうか。米製薬大手ファイザーは46日、アイルランドの同業アラガンに対する買収計画を撤回すると表明した。その2日前、米財務省がタックスインバージョン(租税地変換)の規制強化を発表、それに対応した動きだった。タックスインバージョンとは、M&A(合併・買収)などの際に税率の低い地域に税務上の本社を移すこと。今回、米財務省が導入を決めた新規則では、合併前3年間に取得した資産は合併時の資産から差し引かれる。この規則が合併を破談に追い込んだ。

 

(中略)歴史的には多国籍企業やヘッジフアンドなとが伝統的に英領バージン諸島やケイマン諸島をタックスヘイブンとして活用してきたのに対し、パナマは政治家や富裕層の資産隠しの舞台となってきた。米国との結びつきが強く、パナマの大統領や官僚の多くは若い時期に米国で教育を受けている。米国金融の中心であるウォール街出身者も多い。

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(アラガンはアイルランドの企業。新会社本社をアイルランドにおいて納税回避をしようとしたが、米国の規制で頓挫した:田中一郎)

 

6.国際税制の重要性(金融資産と実業課税)

 最後に、タックスヘイブン対策としての税制の在り方について、ほんの少しだけ言及します。このテーマがタックスヘイブンを考える場合には最重要ですが、もう少し国際税制の動向や納税回避のなされ方を具体的に情報把握してから議論したいと思います。今回は次の1点だけを申し上げておきます。

 

 <国際課税における「居住地主義」と「事業活動地主義」>

 企業や個人の国際的なビジネスによる収益に対してどのように税金を課すかという問題で、よく出てくる考え方がこの2つです。1つは、納税主体の居住地の国が、その納税主体の全世界所得に対して課税すればいい、というのが前者です。後者は、納税主体がどこで事業活動を行い、どこでその収益=つまりは課税の源泉を得たのかという事業活動地での事業収益への課税を事業地国がすべきだというのが後者です。

 

 私は原則として「事業活動地主義」=「源泉地課税」とすべきではないかと思います。国際金融課税における源泉税の重要性もまた、同じような考え方からきています。そうしませんと、「納税主体の居住地」主義であれば、その納税主体を、それこそタックスヘイブンにおいてしまえば、税金は全く納付しないですむことになりかねません。今日の国際課税の困難は、この居住地主義からきているのではないかというのが私の直観です。ちなみに日本は前者の居住地主義だそうです。つまり、現代のグローバリズムの下での企業活動や富裕層・資産家のマネーの動きに対して、根本的な発想の転換が行われないまま、旧態依然の1国主義的な税制を放置し続けていることが、今日のタックスヘイブンの諸問題を引き起こしているような気がしてなりません。この辺のことは、今後、もう少し具体的な事例を把握して後に議論を進めていきたいと思っております。

草々

 

 

2016年5月11日 (水)

山尾志桜里さん、野党第1党の「政調会長」とは、党内内向きのもめごと「政策調整」係ではありません=自民党の悪政に対峙するオルタナティブな国民本位の政策を実現するための「政策調査会」のTOPです、力強く進んでください

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初にこのニュース)

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●小林節氏、参院候補擁立へ政治団体(朝日 2016.5.7

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12346885.html?rm=150

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201605/CK2016050902000239.html

 

(田中一郎コメント)

 小林節さま、これまでの反安保並びに「野党は共闘」に、大変なご尽力をいただき感謝申し上げます。引き続き、少なくとも衆参両院の選挙が終わるまでは、よろしくお願い申し上げたいところですが、このたびのこのニュースを聞いて驚きました。

 

 政治団体をお創りになり、反アベの政治勢力の結集を図っていただくことに微塵も異議はありませんが、しかし、参議院比例区への立候補だけはいただけません。それでは「比例区」での反アベ野党の票が割れてしまい、結果としてアベ自民党を利することになるでしょう。これまでやって来られた「野党は共闘」の運動を自己否定するようなものです。

 

 また、特に社民や生活などの小政党は「比例区」が議席獲得の「生命線」になっており、小林節さまのグループが立候補されると、その社民や生活の票が割れて、彼らの議席が消えてしまう可能性もあります。また、日本の政治風土は「オレ様・小山の大将」が多く(これ自体が政治的未熟を示すものですが)、今後の「比例区」での野党乱立・新勢力乱立に拍車がかかりかねません。百害あって一利なしです。

 

 新しくお創りになった団体は、1人区を中心に、「各県選挙区」での「野党は共闘」をめざす手段として使っていただけませんか。たとえば、小林節さまは東京選挙区(定数6)から立候補していただき、返す刀で、落選がほぼ確実視されている民進の小川敏夫候補や社民の増山レナ候補は比例へ鞍替えするよう、無党派市民とともに強力に働きかけを行っていただきたいのです。そして両党には、ご自身への支持や推薦を出すよう、おっしゃればよろしいかと思います。他の選挙区でも同様で、民進党がグズラグズラしている「各県選挙区」を中心に、大胆に市民擁立型の「統一候補」を立てていただけないでしょうか。

 

 ともかく「参院比例区」での立候補は是非ともおやめになってください。野党分裂を導いて逆効果になってしまいかねません。

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(ここから本文)

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別添PDFファイルは、このほど『週刊朝日』に掲載された、今注目の人=山尾志桜里民進党政調会長(当選2回:愛知選挙区・衆議院議員)に対する評論家の田原総一朗氏によるインタビュー記事です。一読して、ちょっと感ずるところがありましたので、簡単にコメントいたします。

 

 <別添PDFファイル>

●山尾志桜里 民進党政調会長インタビュー BY 田原総一朗(『週刊朝日 2016.5.613』)

 http://dot.asahi.com/wa/2016042700255.html?page=1

 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160427-00000255-sasahi-pol

 

●[政ひと]民進党政調会長 山尾志桜里氏 逆境の船出 挽回誓う

http://premium.yomiuri.co.jp/pc/?from=ymtkt#!/news_20160504-118-OYTPT50314/list_NEWS%255fMAIN_4

 

(田中一郎コメント)

 山尾志桜里さん、野党第1党の「政調会長」とは、党内内向きのもめごと「政策調整」係ではありません=自民党の悪政に対峙するオルタナティブな国民本位の政策を実現するための「政策調査会」のTOPです。有権者・国民・市民の支持と期待をしっかりと受け止め、力強く進んでください。(以下、若干の逐条コメント)

 

1.「田原:民進党は再稼働を当面、認めるのですか?」

「山尾:今、党内でまとまっているのは、再稼働の条件として、国の避難計画策定の責任を明確化するべきだということです」

 

 ⇒ こんなことを言っていてどうするのですか。せめて「原発の安全性がしっかりと確保されていない限り、再稼働はあり得ません」くらいは言えないと話になりません。また、大型地震の連発・連動が続いているわけですから、当面は停止させて様子を見るべきです、で何の問題もありません。

 

2.「田原:使用済み核燃料をどうするか決めないで再稼働を進めていくのは、やめるべきだと思っている。そう思いませんか。」

「山尾:自分の思いを言うのは簡単ですが、それぞれが思いだけを語った結果、バラバラになって政権を失っていますからね……。政調会長はいろいろな人の思いをまとめて、まとまるラインを絶対崩さない。これが仕事だと思っています。」

 

 ⇒ 違いますよ。政調会長は、確かにいろいろな人の意見や考えは聞かなくてはいけませんが、その結果、一つの結論を打ち出し、それを政治力で党内に定着させなければいけない役回りです。その時に最も重要なことは、党内がまるで「ホームルームの討論会」のようにまとまるかどうかではなく、有権者・国民・市民の多くがどう考えているか、それをどうキャッチして、どう党の方針として統制・定着させるかです。この問題で言えば、使用済み核燃料の処理処分が決まらないのに原発を稼働させていくのはよろしくない、とはっきり言えばいいだけの話です。当たり前でしょうし、圧倒的多数の有権者・国民・市民もそう思っています。

 

 それから、例えば、今回の衆参両院の国政選挙に関して、「野党は共闘」こそが反アベ政権を求める、これまた圧倒的多数の有権者・国民・市民の願いであるにもかかわらず、それに背を向けて「野党は共闘」の妨害する「3バカトリオ」(前原誠司、細野豪志、長島昭久)がいましたが、そういう場合には,政調会長として「断固たる態度」で臨まなければいけません(最悪の場合には除名も辞さず)。それができてこなかったからこそ、民主党(民進党)は有権者・国民・市民から「見放されてしまった」のです。党の国会議員だけで話し合って、その「最大公約数」をとる、などという「党内内向き」意思決定では、自民党政権のオルタナティブにはいつまでたってもなれないです。

 

 改革派議員として優れた動きをしている具体的な例を申し上げておきましょう。一人は山本太郎議員、もう一人は小泉進次郎議員です。小泉の方はトンチンカンな認識でロクでもないことばかりを言ったりやろうとしたりしていて、ほめられたものではありませんが、そのパフォーマンスの仕方は参考になるでしょう。両者とも人を引き付けるものがあるのです。山尾志桜里さんのように、「みなさまの調整役として」などと言っていては、今日の危機的な日本の状況を抜本的に変えることはできません。リーダーシップ、あるいはヘゲモニーと言った、ちょっと古い言葉ですが、政治のダイナミズムをもう少し心得てください。キーポイントは、有権者・国民・市民が何を求めているか(逆に言えば、何に苦しんでいるか・困っているか)、そして、それに応えることで、その圧倒的な支持や賛同を得ることができるかどうか、ということです。

 

3.「田原:民主党は原発問題はこれまで党内で意見が割れてきましたが、どうですか。野田政権末期の129月、30年代末までに原発の稼働をやめるという閣議決定をすると宣言したのに、結局はできなかった。」

「山尾:その質問に直接答えているかわかりませんが・・・・・・・・・・・・」

 

 ⇒ 大事なことなのに、答えないで逃げていますね。ダメです、そんなことでは。「私たちが今度政権を担った場合には、必ず閣議決定をし、必ず実現します」と言えばよろしい。それで党内から山尾志桜里さんに猛反発が来るのなら、政調会長も、民進党も、やめてしまえばいいだけの話です。我々有権者・国民・市民が、そのあとを引き取り、猛反発した民進党の馬鹿者国会議員たちを全員落選させて差し上げますから。

 

4.「田原:そして民主党は政権から転落しましたが、敗因は何だと思いますか。」

「山尾:人をけなして自分だけ浮かび上がろうとする組織なんて、生き残れるはずがない。選挙後の両院議員総会で、野田(佳彦)前首相の解散時期が悪かったとか、党内の別の人を批判し合っていた。そういう光景こそが、党が挫折した一番の原因だと感じました」

 

 ⇒ まず、政治家たるもの「人をけなして」などという言葉は使わないことです。「けなし」ではなく「批判」です。政治家=特に野党は「批判」が商売道具のようなモノ、問題はそれをどう使うかですし、そのあと政権獲得後は、その「批判」に恥じないような政治を実施していかなければいけません。それが全くと言っていいほどできていなかったし、しようともしなかったところに旧民主党の政権交代の大問題があったのです(「口先やるやる詐欺」)。だから、続いて申し上げれば、上記のような「答え方」が「内向き」そのものなのです。党内の悪口言い合いが「敗因」ではなく、有権者・国民・市民に約束したマニフェスト政策を、ほとんど何一つまともに実現しなかった・しようとしなかったことが「敗因」です。山尾志桜里さん、あなたが中心になって、政権交代の失敗の原因総括を打ち出した方がいいのではありませんか? 「失敗の原因」をごまかして前へ進めば、もう一度、同じ失敗をやらかすことになりますよ。

 

5.「田原:待機児童問題は、どうすべきだと思いますか?」

「山尾:ポイントは三つあります。まずは、隠された待機児童の数をすべて表に出すことです。(中略)二つ目は、質を落とさず量を拡大しようとしたら、保育士の給与を上げるしかない。(中略)保育の当事者たちの話を聞いていても感じるのは、保護者にしかできない子育ても大切だということ。働く親にも子どもと過ごす時聞がある社会が望ましい。そこで三つ目、長時間労働の規制や、きちんと休憩時間を確保する「勤務間インターバル規制」などを法案として提出しました。こうした政策のパッケージを考えています。」

 

 ⇒ 処方箋3つのうち、1つ目と2つ目はGOODです。しかし、3つ目は、その場しのぎの対処療法のような「ちょい政策」です。もっと人間としての労働の本来の在り方を取り戻す、労働法制の抜本改革を言わなくてどうするのですか。具体的には、何と何と何か、労働法制問題の核心を突くような発言ないしは政策提示が、第3のステップのところでできないと、民進党や山尾志桜里さんの提示する処方箋全体が色あせてしまいます。

 

6.「田原:安保関違法案はどうでしょう。法案の中心柱は、集団的自衛権の行使だったと思います。民進党は集団的自衛権の行使になぜ反対なんですか?」

「山尾:集団的自衛権は私から見ると、個別的自衛権という今までの憲法の解釈の枠の中で説明できるものを、安倍政権があえて集団的自衛権と名付けるために、法案を出した部分がけっこうあると思うんです。」

 

 ⇒ ちがうんじゃないの!? 物事を矮小化して逃げちゃいかんぞよ。確かにそういう部分もあるけれど、アベ自民党政権の打ち出した戦争法制(しかも特定秘密保護法とセットだ)の本質はもっと危険なものだったでしょうに。こんな説明じゃ、有権者・国民・市民は、ああ、またか、民進党はどうせどこかで裏切って、いつものように自民党やアベと「手打ち」するに違いないのだな、と思うだけだよ。

 

7.「田原:では、周辺事態法の範囲に南シナ海は入るんですか。細野豪志さんは「入れたほうがいい」と言っていたが、辻元清美さんは「入りません」と言う。人によって違うんですよ。」

「山尾:その点は両論あり得るんだろうと思います。法律は輪ゴムみたいに伸び縮みするものですから。」

 

 ⇒ 何を言ってるんかね!? 「輪ゴムはぐらかし答弁」で、また逃げるのか? 「その点は両論あり得るんだろうと思います」と言うのなら、その前段に「今のところは」と付け加え、そのあとに「これから急いで私が中心になり、党としての考え方をきちんと決めます」とし、更に願わくば、「私としては、常識的に考えても、また、周辺事態法制定の過程での議論を振り返っても、あるいは平和憲法の主旨から言っても、「入らない」と考えるべきではないかと思います」くらいは言えよ。

 

(結論)

 まあ、今の段階で即断するのは避けておくにしても、仮に山尾志桜里さんが、「このまんま山尾志桜里」で続いていくのなら、この人もダメでんな。日本の政治なんて、とてもじゃないが変えられないでしょう。せいぜい、「パーチク岡田克也」(*)執行部や、「ただちに影響はない」枝野幸男に利用され、やがて捨てられることになるでしょう。

 

(*)「ピーチク北沢・パーチク岡田」

 2009年政権交代後の鳩山政権の時に防衛相=北澤俊美、外相=岡田克也でコンビを組み、沖縄・辺野古の県外または国外移設を最重要課題として担ぐポジションにあったにもかかわらず、就任早々から「あーだめだ、もーだめだ」と、あれやこれや、ピーチク・パーチク、出来ない言い訳を繰り返していた2人だった。なので、私がこの腰抜けの馬鹿者2人に「ピーチク北沢・パーチク岡田」という「あだ名」をつけて差し上げたわけ。

草々

2016年5月10日 (火)

「原発・原子力の出鱈目てんこ盛り」シリーズ再開(24):国家犯罪=創り上げられたフクシマ「被ばく翼賛」の罪と悲劇 + 村田光平元スイス大使からのメール

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初に村田光平元スイス大使からのメールです)

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皆様

  お知らせした「死都日本」の著者 石黒耀氏は、下記の通り文学的にも学術的にも十分評価されている方です。それなのに世間に広く知られていないのは不可解といえます。「死都日本」20029月、講談社。200811月講談社文庫。霧島噴火を扱った処女作。メフィスト賞受賞、日本地質学会表彰、宮沢賢治賞奨励賞(2005年)。「震災列島」 200410月、講談社。20101月講談社文庫。東海地震を題材とした災害小説。日本地質学会表彰、吉川英治文学新人賞候補。

 

 熊本地震による農林水産関係の被害額は1000億円以上に上ると言われています。これに対して、東京オリンピックの仮設施設の整備費だけでも3000億円余りを費やすことになっています。熊本県でこれほど被害が出ている中で、それを大幅に上回る2兆円、3兆円のお金をオリンピックに費やすなど、とんでもないことです。さらに言えば、日本政府が福島第一原発の汚染水対策として行ったことは、345億円の国費を費やして凍土壁を建設したことだけです。事故処理に全力投球していないことを立証する東京五輪を不道徳と言わずして何と言うのでしょうか。

 

 5月1日付安倍総理宛メッセージの内容を伝える5月5日付英文発信及び川内原発の運転継続に対する世論の厳しい批判を伝え、東京五輪と原発は不道徳であるとの見解を伝える5月2日英文発信をそれぞれ別添の通り発出しました。

 

 現在の日本が直面しているのは、電力会社の経営危機ではなく、国家存立の危機です。福島の教訓が無視されている限り、再び事故が起こることは避けられません。将来ある国で仮に原発事故が起こったとしても、同国政府は必ず情報を隠蔽するので、政府発表は信用されません。正確な情報を入手するための手段を、民間レベルで作っておく必要があるとの認識が広まっております。

 

 既に国際的に具体的な動きは出てきています。この度、ニューヨーク在住の元国連職員の松村昭雄氏が有力な専門家グループの協力を得て、再び原発事故が起こることは不可避だとして、Nuclear Emergency Action AllianceNEAA。仮称、核惨事緊急対応タクスフォース)を立ち上げました。この組織は原発事故について正確で役に立つ情報を国民に伝えることを目的としております。この組織はIPPNW(核戦争防止国際医師会議)の協力も得ております。IPPNWは、世界83カ国、約20万人の医師が参加する会議で、1985年にノーベル平和賞を受賞している強力な組織です。現在100名あまりの世界の民間の傑出した専門家(ノーべル賞受賞者を含む)から構成される国際諮問評議会の人選が進められております。日本からは10名程度が参加する予定で、日本側の窓口は私が務めることになっています。

 

 小泉元総理の5月15日からの訪米、月末の伊勢志摩サミットを控え、九州での地震の驚愕的頻発の中での川内原発の運転継続は異常だとして世論の反対が益々強まりつつあることに世界の関心が集まり出しております。ご理解とご支援をお願い申し上げます。

 

村田光平

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(ここから本文)

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福島第1原発事故から早くも5年が過ぎました。原発・原子力を動かす勢力のやっていることがいかに出鱈目であり、また、地域住民や広く日本の有権者・国民・市民のことなどは二の次にしていることが、次第に見えるようになってきています。彼らは、もっぱら自分たちの「メシの種」である原発・原子力を維持存続させ、更には拡大・拡充していきたい、ただそれだけのことで日々ウソをつき、都合が悪けりゃ皆隠し、そして犠牲者が出たら闇から闇へ葬り去って何事もなかったかのごとくふるまう、そんな態度を続けているのです。地域独占の大手電力各社や経済産業省、あるいは(独)日本原子力研究開発機構や原子力規制委員会・規制庁が、その代表格です。

 

しかし、どうしたことでしょう。上記のような事態が、多くの人々にも見えるようになってきているのに、最もひどい被害を受け、ある日突然、故郷も生活も仕事も友人も家族も地域コミュニティも何もかもメチャクチャにされてしまった福島県で、「原子力翼賛」ともいうべき「(無用の)被ばく押し付け」と、原発・原子力安全神話に代わる「放射線安全神話」「放射能安心神話」が蔓延し始めているのです。「みんなで被ばくするなら怖くない」ということなのでしょうか、ともかく「日本型ファシズム」の特徴の一つとでもいうべき「(上へ向かっての)頂点盲従主義」と「(横へ向かっての)強い同調圧力(従わねば非国民・国賊扱い)」、そして「(下(弱者)へ向かっての)無限の無責任の連鎖」という社会現象が顕著に現れています。皮肉にも、こうした動きを率先して扇動しているのは、こういう社会現象こそを自らの研究対象とせねばならぬ、大学の若手社会学者たちです。嘆かわしいを通り過ぎて、猛烈な怒りを感じます。さて、いったい、福島第1原発事故の教訓はどこへ行ってしまったのでしょうか?

 

放射能や放射線が危険なことは自明です。体の細胞を構成する分子の結合エネルギーの何万倍のエネルギーを持った放射線がぶち当たってくるわけですから、こんな放射線被曝を続けていたら、体がボロボロになってしまうことは、それほど難しい話ではないでしょう。ただ、この現象が、非常に小さなミクロ、ナノ、ピコといった微小世界で起きるため、人間を含む生き物の五感には直接感じないだけの話です。恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)を続けることによって体の細胞や分子がおかしくなり始め、マクロ現象である自覚症状となって現れた時には既に手遅れであり、放射線被曝による健康障害の治療法は存在しません。小さな小さな世界の「放射能による命の破壊」が、積もり積もって、やがて自覚症状として、人間や生物の五感に感じられるものとして現われてくるのです。そしてその健康被害は、遺伝子損傷やエピジェネティクス秩序の破壊により、子子孫孫にわたり遺伝されていきます。ともかく、放射能や放射線からは、逃げて、逃げて、避けて、避けて、徹底して逃げる・避けることが肝心です。何故なら、放射線被曝は取り返しがつかないだけでなく、被害が累積していく(忘れてくれない)からです。また、もう一つ大事なことは、放射能の呼吸・飲食・傷口侵入による内部被曝は、外部被曝の何倍・何十倍も危険であるということです。もちろん放射能は放射性セシウムだけではありません。

 

原発が危険なのは、それがつくりだす放射能が危険だからです。放射能が大して危険でなく、今の福島県のようにふるまっても何の問題もないのであれば、原発だって、そう危険ではないでしょう。だったら脱原発だって、しなくてもいいことになります。だからこそ、原子力ムラは放射線ムラを使って、原発・原子力安全神話に代わる放射線安全神話・放射能安心神話づくりに全力を挙げているのです。フクシマ・エートスや頭狂(東京)大学を筆頭とする御用学者ども(似非アカデミズム)、国際放射線防護委員会(ICRP)や国際原子力機関(IAEA)、「国連科学委員会(UNSCEAR)」などの海外原子力マフィア組織、こうしたものを総動員して、放射能・放射線の「自主管理」と被害受入れ・被害者切り捨て(自己責任化)を図りつつ、次の原発・核施設過酷事故発生へ向けて「原発大事故と放射能汚染との共存社会」構築のため、日夜、大活動・大宣伝に明け暮れているのです。

 

福島県をはじめ福島第1原発事故で被害を受けた都県の善良な被害者・住民をだまくらかすことによる「国家犯罪」が進められています。これまで申し上げてきたように、その「構図」は、ヒロシマ・ナガサキやビキニの被ばくと同じであり、また、スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故の際に原子力ムラや国際原子力マフィアたちがやったこととも同じです。あるいは世界各地でこれまで起きてきた様々な核施設事故や核施設の出鱈目な後始末の結果としての各種被害とも同じ「構図」です。「私たちは被ばくをつくる人・そしてそれを管理する人、あんたは(知らないで)被ばくする人・させられる人」という「階級的差別構造」の上で、被ばくする人・させられる人には、放射線被曝でボロボロになっていく身体の体調不良を「放射能のせいではない」と信じ込ませてあげるから、安心して被曝し続けなさい、というのが、原子力ムラ・放射線ムラ・国際原子力マフィアの「共同作業」による「被ばく安全・安心対策」なのです。放射線被曝の健康被害は「精神的なもの」である=つまり「病は気から」だから、被ばくしながら元気が出るような精神的ケアをして差し上げます、ということです。何故、そんなことをするのか? って、だって、それが彼らにとっては「もっとも安上がり」であり、あの有名な「ALARA]原則に合致しているからなのです。(私は20ミリシーベルトが安全だと霞が関官僚どもが言い続けるのなら、彼らの職場に福島の汚染土を持ち込み、仕事場の環境を常に20ミリシーベルトにして差し上げればいいと考えている。首相官邸や自民党本部も、また同じである)

 

福島県をはじめ、福島第1原発事故で被害を受けられたみなさま、被ばくをさせられたみなさま、原子力ムラの代理店と化してしまった政府や福島県庁の言うことなど、本気にしてはいけません。だまされてはいけません。放射線被曝に「今だけ」(よければいい)は通用しません。彼らはみなさまのことなど、ほとんどきちんと考えてはいません。みなさまの周辺には、政府や原子力ムラの手下や使い走りのようなことをやり、わずかばかりの私腹を肥やしている人間もいるでしょうが、そんな人間のクズのようなのは放っておきましょう。放射線被曝に対しては「断固拒否」=「原発事故前の状態」になるまでは、絶対に帰還しない・住んでいるところからは避難する、子どもや妊婦は(追加)ゼロベクレル・(追加)ゼロ被ばく、の姿勢を徹底いたしましょう。そして、それに伴う費用は、加害者・東京電力や事故責任者・国に支払わせるのです。一人一人がバラバラでは、この闘いはうまくいきません。被害者が手を取り合い、肩を組んで、大集団として、全存在をかけて闘う必要があります。何故なら、このままでは、やがて時間をかけて放射能によって殺されてしまう可能性が高いからです。やられる前に、殺される前に、彼らを(社会的に)やっつけましょう・滅ぼしましょう。その不退転の覚悟こそが今日のこのゆがんだ事態を変えることができるのです。

 

以下、昨今の報道等から「フクシマ被ばく翼賛事情」をお伝えします。福島県の県紙=福島民報や福島民友は、今や原子力ムラ大本営発表を広報する「翼賛新聞」と化しております。かような新聞はご覧にならない方がいいでしょう(少なくともリテラシーをお持ちになることです)。(それから。来る衆参両院の国政選挙では、絶対に自民党には投票しない、を徹底いたしましょう。加害者側の悪質な人間たちを自分たちの国会代表に選ぶというのは、あまりにもトンチンカンで愚かなことです)

 

 <別添PDFファイル>

(1)川内村 614日避難全面解除、政府方針、村長受け入れ前向き(福島民報 2016.4.29 他)

(2)川内の避難指示、解除時期「変更必要ない」、住民懇談会 政府が方針伝える(福島民報 2016.5.9

(3)川魚出荷再開、森林伐採可能区域拡大(福島民報 2016.5.1,2

(4)福島 「渡利水辺の楽校」、除染終え憩いの場復活(福島民報 2016.5.3

(5)政府が「被災地」を消すとき、「被災者」はどう守られるか(尾松亮 『世界 2016.6』)

(6)こどもと震災国際シンポ最終日、甲状腺がん関連認めず、放射線の健康影響 研究成果を報告(福島民報 2016.5.9

(7)大熊・常磐道事故、避難区域外へ移動優先(福島民報 2016.5.7

(8)県外避難者 実態不明、全国情報システム 活用されず(毎日 2016.5.8

(9)原発事故 放出セシウム 日本に還流、北太平洋から 青山福大教授発表(福島民報 2016.5.3

10)「生業(なりわい)を返せ」、原告団長の決意、この日本 変えなきゃ(東京 2016.5.3

 

1.川内村 614日避難全面解除、政府方針、村長受け入れ前向き(福島民報 2016.4.29 他)

 http://www.minpo.jp/news/detail/2016042930625

 

(田中一郎コメント)

 東京オリンピックに向けて、福島第1原発事故の被害はすべて解消された状態をつくるべく、実際に現地・現場がどうであれ、避難指示は一部例外を除いて全部解除するのが原子力ムラ代理店政府の大方針である。また、この大方針は、避難指示を解除することで損害賠償などもすべて打ち切り、加害者・東京電力や事故責任者・国の賠償責任負担を「これにて一件落着」とする大方針でもある。川内村もその例外ではない。従ってまた、川内村の現在の放射能汚染状況などはどうでもいいことであり、また、住民の被ばくがどれくらいになるかもどうでもいいことである(村内の汚染状況はくまなく調べられているのか? 人間が住んで何の健康影響も気にしなくて済むようなレベルなのか? 水や空気や食べ物、それに生活インフラの整備はどうなっているのか?)。つまり、住民そっちのけで、避難指示の解除だけが強引に進められていくようだ。

 

 福島民報のその翌日、翌々日と続く記事もご覧になってみておいてください。住民の懸念をよそに、どうでもいいような(いや危険ともいうべき)「翼賛報道」が目に痛いほどハデに報じられています(下記)。

 

*4/30 川内を「合宿の里」に コース整備や施設拡充

 http://www.minpo.jp/news/detail/2016043030645

 

*5/01 復興願い川内路疾走、初のマラソン、元気発信

 http://this.kiji.is/99304697398150651

 http://news.goo.ne.jp/article/fminpo/region/fminpo-35293637.html

 

2.川内の避難指示、解除時期「変更必要ない」、住民懇談会 政府が方針伝える(福島民報 2016.5.9

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160509-00000027-fminpo-l07

 http://this.kiji.is/102240143428470269?c=75768590128873475

 

(田中一郎コメント)

「「放射線量が不安。森林の除染をしてもらいたい」「除染廃棄物の仮置き場の管理を徹底すべき」などといった要望も聞かれた。」けれども、原子力ムラ代理店政府の官僚どもは、川内村の村長らと一緒になって、放射能や被ばくを懸念する住民をねじ伏せた、ということです。何が「懇談会」だ!! 福島民報の上記「翼賛記事」や川内村村長の態度と、この政府の「断固たる」振る舞いはセットです。加害者側が被害者を「断固として切り捨てる」態度に出ていることに対抗するためには、被害者は団結して「断固たる抵抗」を示さなければ、撃破されるのは目に見えています。

 

3.川魚出荷再開、森林伐採可能区域拡大(福島民報 2016.5.1,2

 

*都路の吉田水産 川魚の出荷再開

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160501-00000031-fminpo-l07

 

*避難解除3市町村の森林 伐採可能地点57.6% 27年空間線量県木連分析

 http://www.minpo.jp/news/detail/2016050230693

 

(田中一郎コメント)

 この2つは追って別のメールでもう少し詳しくコメントしたいと思いますが、要するに、放射能だらけになっている福島県の森林が、わずか事故から5年やそこらで伐採可能=林業可能になるわけがないのです。この報道も「原子力翼賛」の「被ばく押し付け」報道の一環です。しかし、福島県では、こうしたデマ宣伝(さも安全であるかのごとき宣伝報道)があまり広がらずに、ほとんどの森林では林業が停止状態にあるようですから、やれやれです。汚染森林は危険ですから、よほどの用がない限りは近寄るべきではありません。関係者は、かようなバカなことをしていないで、福島県もその周辺の汚染県も、山火事防止に全力を挙げるべきです。

 

 また、川魚の出荷再開ですが、天然ものではなく養殖ものなので危険性は低いかもしれませんが、しかし、養殖池の水や飼料などはどうなのでしょうか? また、放射性セシウムだけを見て安全だなどと言われても、そんなものでは安全も安心も確保できません。食べ物のことですから慎重であるべきですが、この記事は、安全PRを意識しすぎているせいか、かなり安易な書きぶり・報道ぶりを感じます。吉田水産さんは、県外など、もっと放射能のない地域でおやりになるか、しばらく休業された方がいいのではないかと私は思います。

 

4.福島 「渡利水辺の楽校」、除染終え憩いの場復活(福島民報 2016.5.3

 http://www.minpo.jp/news/detail/2016050330722

 

(田中一郎コメント)

 渡利地区と言えば、福島市でも最もひどい放射能汚染のホット・スポットだったところです。そこで子供を使ってかような宣伝報道をしている。記事を見ると、この河川敷の土壌汚染がいかほどなのか、などは全く触れられておりません。おそらくは猛烈な放射能汚染が残っていて、都合が悪いからなのでしょう。信じがたい話です。こんなところには絶対に近寄ってはいけないのです。

 

5.政府が「被災地」を消すとき、「被災者」はどう守られるか(尾松亮 『世界 2016.6』)

 https://www.iwanami.co.jp/sekai/

 

(一部抜粋)

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日本の現在の法制度では、誰が「原発事故被災者」として国に補償を求める権利を持つのか、明確に定めた法律がない。国が決めた「被災地範囲」が縮小され、取り消されれば、そこに住んでいた人々、そこからの避難者も「原発事故被災者」としての位置づけを失う。チェルノブイリ法のような「帰還を強制されない権利」「地域の汚染状況について情報開示を求める権利」も、法律に明示されていない。

 

これらの権利が法律で保障されているか否かは、被災者にとって大きな違いである。自らの権利を確信し、司法に訴えるロシアの住民や、議会での審議を通じて権利を復元させたウクライナの住民の行動からも、そのことが分かる。

 

見えてくるのは、日本の「被災地縮小」政策のテンポの異様な早さ。そして住民や避難者が、権利を求めて抗う際の拠りどごろとなる法的基盤の、異様な脆弱さである。

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(田中一郎コメント)

 日本は「悪の帝国」ソ連を上回る「極悪の帝国・野卑下劣の国」だったことが福島第1原発事故で明らかとなった。:田中一郎)

 

6.こどもと震災国際シンポ最終日、甲状腺がん関連認めず、放射線の健康影響 研究成果を報告(福島民報 2016.5.9

 https://www.minpo.jp/news/detail/2016050930823

 http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/647.html

 

(田中一郎コメント)

 福島第1原発事故直後、被曝量の測定の要請から逃げ回り、あるいは、素知らぬ顔をしていた連中が、データがないままに放射能が散逸してしまったことをいいことに、「被ばく量が少ない」などと、何の科学的実証的根拠もなく大声で騒いでいる。何が「研究成果」だ。放射能汚染や被ばくをどうしたらごまかせるか、どうしたら揉み消せるかの「実践研究」でもしているだろう。とろこで、こんなところにも坪倉正治の名前が出ている。今から数年ほど前、彼が東京大学で講演をした際に私が問い詰めたことについて、絶句してなにもまともに答えられなかった奴が、こんなところで大はしゃぎというわけか。

 

(ホールボディカウンター(WBC)で測るだけでなく、尿検査や心電図、血液検査(白血球検査や染色体異常検査など)やバイオアッセイなど、総合的な検査体制をとって住民の被ばく状況や健康状態を多面的に検査すべきではないのかと問い詰めた。また、放射性ストロンチウムなどは野生生物や家畜の体内濃縮を前提に環境調査を行うべきだとも申し上げた)

 

7.大熊・常磐道事故、避難区域外へ移動優先(福島民報 2016.5.7

 http://kodomozenkoku-news.blogspot.jp/2016/05/blog-post_76.html

 

(メール転送です)

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この写真を見て、警告を込めた投稿をせずはいられませんでした。付近の放射線量は4μSvを超すことも・・。バスに乗っていたけが人の多くは、高線量のなか、マスクもなしで2時間近くも、この写真のようにして、路上で、救急車や救助隊を待っていたのです。しかも、線量の高い路上に腰を降ろしてしまっています。これにはビックリしました。

 

路面は、4μSvという空間線量の何倍も高線量のはずです。政府やメディアが、この酷い放射能汚染に、具体的な警告をしないから、こんなに高線量の所に腰を降ろすというようなことが起きてしまうのです。常磐道のこの事故のあった区間は、高線量のために、駐停車禁止、窓を開けてもダメ、としていますが、そもそも、そんな危険な所の通行を許可して、被曝させた上に、通過した車両で放射能を拡散させていることが大問題です。

 

高線量地域を通過して、その高線量の放射能にまみれたトラックや乗用車が、全国に散らばっているのです。(中略)写真は 5/4夜に、大熊町の常磐道で高速路線バスと乗用車が正面衝突した現場です。(朝日デジタルニュースの写真です。)

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(田中一郎コメント)

 福島民報の記事の表題は「避難区域外へ移動優先」だ。全然事実とは違うじゃねーか。アジア太平洋戦争の時の新聞報道と同じ、大本営の意向を忖度した嘘八百報道のようなものが福島県で蔓延しているようです。

 

8.県外避難者 実態不明、全国情報システム 活用されず(毎日 2016.5.8

 http://mainichi.jp/articles/20160508/ddm/041/040/120000c

 

(田中一郎コメント)

 阪神大震災の経験も東日本大震災の悲劇も、そして福島第1原発事故の教訓も、全く生かされない日本の(国や自治体行政の)劣悪な災害対策対応。日本の政治や行政が、有権者・国民・市民のためのものではないという赤裸々な実態がここに現れている。最近では、住宅支援で「家賃6万円以下」などという貧弱そのものの要綱が発表されたようだ。そんな家賃じゃ、粗末な家しか借りられないではないか。福島県の被ばく翼賛体制も、こうしたことの積み重ねの中から生まれてきた。有権者・国民・市民のために働けない霞が関は解体だ=これは、オルタナティブな政権交代を望むすべての有権者・国民・市民の願いであり、また最重要な政策課題でもある。霞が関の劣化行政官僚どもよ、有権者・国民・市民を甘く見るなよ。必ず政権交代を実現し、お前たちの息の根を止めるから、覚悟しておけ。

 

(関連)民間賃貸住宅借上げ制度(みなし応急仮設住宅)について - 熊本県

 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_15583.html

 

9.原発事故 放出セシウム 日本に還流、北太平洋から 青山福大教授発表(福島民報 2016.5.3

 http://blog.livedoor.jp/aq19cd28bp/archives/3357283.html

 

(田中一郎コメント)

 記事には「半減期が30年のセシウム137は、鹿児島県・薩摩半島の南西沖で最高値の1立方メートル当たり2ベクレル、最低の鹿児島県奄美大島付近でも1・39ベクレルを検出。富山県沖が1・85ベクレル、四国沖は1・90ベクレルだった」とある。福島第1原発から遠く離れたこんな海域で2ベクレル/m3というのは恐るべき海洋汚染ではないか。一方で、この記事によれば、この青山道夫とかいう福島大学教授は「魚や人体には全く影響がない」などと、何の科学的実証的根拠もなく言うておるらしい。こいつは元気象庁で、NHK番組にも出ていたヤツではなかったか。それにしてもだ。「影響がない」というなら、少なくとも毎日「2ベクレル/m3の濃度の水」を1リットルくらい飲み、その「2ベクレル/m3の濃度」の湯の風呂に入って、家族ともども低線量被ばくをずーっと続けてくれたまえ。そうしたことをしてはじめて、コイツの発言に少しは信頼性が出てくるというものだ。

 

(関連)約1年後に800兆ベクレルのセシウム137が北米沿岸に到達…そして2030年かけて日本沿岸に戻る(青山道夫教授) - みんな楽しくHappyがいい♪

 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4228.html

 

10.「生業(なりわい)を返せ」、原告団長の決意、この日本 変えなきゃ(東京 2016.5.3

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/fukushima_report/list/CK2016050302000129.html

 

(田中一郎コメント)

 一番最後にちゃんとした人のお話をお聞きして終わります。福島原発訴訟の原告団長を務める中島孝さんへのインタビュー記事です。

 

(関連)原発事故被害者の救済を求める全国運動 - 「原発事故避難者への住宅支援の継続を求める意見書」一斉提出行動への協力要請

http://www.act48.jp/index.php/petition-signed/2-uncategorized/42-2016-05-07-07-47-38.html

草々

 

 

2016年5月 7日 (土)

(報告)5.4 シンポジウム 「種が危ない 2」=昨年を上回る約200名の市民が参集し大盛況でした (講師:野口勲氏、アーサービナード氏、天笠啓祐氏)

前略,田中一郎です。

 

(最初にイベント情報です)

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1.(メール転送です)

 「原発事故被害者の救済を求める全国運動」では、来る64日、板橋区立文化会館にて、「守ろう、避難の権利 住宅支援打ち切りを許さない」を開催します。

 http://www.foejapan.org/energy/fukushima/evt_160604.html

チラシ

 http://www.foejapan.org/energy/fukushima/pdf/160604_flyer.pdf

 

日 時 201664日(土)13:3016:30

会 場 場所:板橋区立文化会館4F大会議室(板橋区大山東町51-1

 http://www.itabun.com/access/

    東武東上線「大山」駅 北口から徒歩約3分都営三田線「板橋区役所前」駅 A3出口から徒歩約7

資料代 500円 (避難当事者は無料)

主 催 原発事故被害者の救済を求める全国運動実行委員会

申込み 不要 (会場に直接お越しください)

問合せ FoE Japan(エフ・オー・イー・ジャパン)

Tel03-6909-5983, Fax03-6909-5986,

 

※こちらの「100万人署名」の取り組みも、ぜひ広げてください。

「原発事故被害者の救済を求める全国運動」100万人署名

 http://www.act48.jp/index.php/petition-signed.html

 

リーフレットなど集会で配布してくださる方、歓迎します!

--

満田夏花(みつた・かんな)/携帯:090-6142-1807

国際環境NGO FoE Japan(認定NPO法人)

173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9

Tel03-6909-5983 Fax03-6909-5986

http://www.foejapan.org/

 

2.(メール転送です)国連特別報告者 報道の自由に重大な懸念を表明!

 5・9秘密保護法廃止!「126を忘れない6日行動」へ!

 戦争法廃止!安倍政権の表現の自由の侵害を許さない!‐

 

 ★46秘密保護法廃止へ!国会前行動★

■と き 201659日(月)12時~13

■ところ 衆議院第二議員会館前

■主 催 「秘密保護法」廃止へ!実行委員会

 

 ★「デービット・ケイ氏(国連特別報告者)による来日調査と表現の自由」院内集会

■と き 201659日(月)1330分~1530

■ところ 衆議院第二議員会館第二会議室

●お話し「表現の自由の危機、国連は何を求めたのか」

   海渡雄一さん(秘密保護法対策弁護団)

●資料代 500

●主 催「秘密保護法」廃止へ!実行委員会

●連絡先

新聞労連 jnpwu@mxk.mesh.ne.jp/平和フォーラム 03-5289-8222

5・3憲法集会実行委員会(憲法会議 03-3261-9007

許すな!憲法改悪・市民連絡会 03-3221- 4668

秘密法に反対する学者・研究者連絡会article21ys@tbp.t-com.ne.jp

秘密法反対ネット(盗聴法に反対する市民連絡会090-2669-4219

日本国民救援会03-5842-5842)

 

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さる54日、大田区民センター・アプリコ展示場で、昨年に続いて第2回目のシンポジウム「種が危ない 2」が開催されました。講師は昨年と同様の、野口勲(いさお)氏(野口種苗研究所代表)、アーサービナード氏(詩人)、天笠啓祐氏(科学ジャーナリスト)の3氏でした。強風が吹きすさぶ悪天候でしたが、昨年(約150名)を上回る約200名の一般市民が参加し、3人の講師の非常に興味深いお話をお聞きしました。以下、簡単にご報告いたします。主催者並びに事務局の皆様には心より感謝申し上げます(第3回目のシンポジウム開催が期待されています)。

 

●(イベント情報)

http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/94/1bf1d4bf55afcf4aa246caa4d3b72e98.png

 

 <別添PDFファイル>

(1)(表紙)5.4 シンポジウム「種 Seed」「種があぶない 2」

「hyosi_seed_2.pdf」をダウンロード
(2)一粒のタネからのメッセージ(野口勲「特集 自然農業への回帰」)

「noguti_seed_message.pdf」をダウンロード
(3)ミツバチは何故巣を見捨てたか?(野口勲 『ザ・フナイ 2012.7』)

「noguti_mitubati.pdf」をダウンロード
(4)(レジメ)TPPと遺伝子組み換え食品、どうなる? 私たちの食卓(天笠啓祐 2016.5.4

「tppgm_amagasa.pdf」をダウンロード

 

●(録画)160504 「種たねSeed」種が危ない2 - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=wFLiWsVSQwA

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/300531

 

 

●(録画)20150502 シンポジウム「種たねSeed」~種(たね)があぶない!食があぶない!命があぶない! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=gnx5Vtj0nwA

 

1.野口勲氏(野口種苗研究所代表)

 野口さんは、野口種苗店のオーナーさんです。かつて「虫プロ」(手塚治虫)におられて手塚治虫社長担当をしておられたこともあります。野口さんの略歴は、上記の別添PDFファイル(2)をご覧ください。当日、レジメとして参加者に配布されたのが別添PDFファイルの(2)(3)です。非常に興味深い話が書かれています。是非ご覧ください。

 

 私たちは、よく農業の話や農業政策の話、あるいは有機農業や家庭菜園などのことも少し「カジリ知り」をして話題に乗せたりもしますが、さて、その農業や農作物の「源」ともいうべき「種:タネ」のことになると、とんと何も知らない状態です。考えてみれば、これは片手落ちですね。幸いにして、野口さんという「タネ=種苗」の「大家」に巡り合うことができました。野口さんの講演や野口さんの著書にしっかりと目と耳を傾けてみましょう。

 

(関連)『タネが危ない』(野口勲:日本経済新聞出版社)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032639372&Action_id=121&Sza_id=B0

 

(関連)(別添PDFファイル(5))二十万年前から連綿と続くミトコンドリア遺伝子(野口勲 『タネが危ない』

「mitokondoria_noguti.pdf」をダウンロード

 野口さんのこの著書も非常に興味深いです。上記の別添PDFファイル(5)は、その一部「ミトコンドリア」に関する部分を抜き出したものです。DNA(遺伝子)といえば細胞核の染色体をすぐに思い浮かべますが、実は、DNA(遺伝子)はミトコンドリアにもあるのです。そして、このミトコンドリアこそが、人間を含む生物の生命エネルギーを生み出し、かつ、免疫についてもコントロールをしているという、細胞内での「核」とならぶ最重要器官であることが明らかにされています。是非、ご覧ください。

 

(私は人間が継続的に放射線被曝をした場合に、いろいろな健康障害や病気を発症し、あるいは原因不明の猛烈な体調不良=倦怠感症状を呈する(いわゆる「ぶらぶら病」)という話を耳にしますと、いつもこのミトコンドリアのことが頭に思い浮かびます。放射線の巨大なエネルギーが人間の細胞内のミトコンドリアを痛めつけ(特に内部被曝の場合には)、人間の生きるためのエネルギー産生機能をおかしくし、あるいはまた、ミトコンドリアが制御している免疫機能もおかしくしてしまうからではないのか、と考えてしまうのです。しかし、放射線被曝とミトコンドリア、そして様々な健康障害との関係について、実証的に詳しく論じられた文献は見たことがありません。おかしな話だと思います)

 

(関連)野口のタネ/野口種苗研究所の2016年トップページ

 http://noguchiseed.com/

 

2.アーサービナードさん

 いつお聞きしても、素晴らしい、そして新鮮なお話を聞かせて下さるビナードさんですが、今回も参加者200名一同の耳タブが急に大きくなってビナードさんの方を向いて、聞き漏らすまいと頑張っていたように思います。みなさまにも録画をぜひともご覧いただきたいと思いますが、しばし、お待ちください。まもなくネット上にアップされるでしょう。

 

 今回のアーサービナードさんのお話のポイントは下記の2つと私は心得ました。

 

(1)アメリカ大統領選挙の本当の争点は、ヒラリー・クリントンに代表される「エスタブリッシュメント」の代表政治家 VS サンダースやトランプに代表される「何をしでかすかわからない」新参政治家との対決だ。民主党であろうが共和党であろうが、アメリカの大半の有権者は、既存の政治家達や政党にはウンザリしていて、「エスタブリッシュメント」達の代表が繰り広げている政治劇は「茶番」だと思っている。従って、ヒラリー VS トランプの対決となった場合には、ヒラリーが当選することはまずありえない。(これが外れたら頭を坊主刈りにしますとのことでした。また、ビナードさんは、ヒラリーには絶対に投票しないとおっしゃっていました。何故なら、彼女がどういう政治をするかは、いままでの彼女のやってきたことから自明だから、とのことです)

 

 ⇒ 日本でも同じですね。自由民主党に(自由)民進党、こんなもん、どっちを選んでも、ダメに決まっとるがね。(田中一郎)

 

(2)今から10年前にはアメリカの一般消費者は関心が皆無だった遺伝子組換え食品だが、ここにきて急速に、子どもを持つ親たちを中心に関心が大きく高まりつつある。その理由は、遺伝子組換え食品の消費増大が、子どもたちの健康障害=特にアレルギーや消化器系の障害と平仄を合わせるように増大し、それに対する処方箋として、遺伝子組換え食品をやめてオーガニックの安全と言われる食品に変えると不思議に症状が改善するという事態が、多くの家庭で「経験済み」となったからである。因果関係はわからないが、もう遺伝子組換え食品は食べたくない。健康維持のためにも非遺伝子組換え=NON・GMの食事を確保したい、こんな素朴な願いがアメリカの多くの消費者に広がって、遺伝子組換え食品の「表示適正化」の社会運動となって現れている。「ゴミを食わされるのはもう御免だ、実験動物にされるのはいやだ」、アメリカの消費者が自らの体験をベースに目覚めつつある。

 

(関連)BS11 アーサー・ビナード 日本人探訪 official - YouTube

 https://www.youtube.com/channel/UCKeTyWGVvkRJcxltpe0ZvyQ

 

3.天笠啓祐さん

 最後に、遺伝子組換え食品や昨今の最先端バイオ技術である「ゲノム編集」に詳しい天笠啓祐さんから、別添PDFファイルのレジメに沿って、昨今の遺伝子組換え事情のお話がありました。このレジメにもしっかりと目を通してみて下さい。「ゲノム編集」で「編集」された遺伝子組換え食品(遺伝子操作食品)は、痕跡が残らない上に、安全審査も無用・表示もしないとされて、やりたい放題状態に放置されています。恐るべきことです。現時点では、この「ゲノム編集」技術で「遺伝子操作」されて食品として流通している主なものは「食品添加物」です。食品添加物は、今や日本はほぼ100%輸入であり、その中には、中国などのアジア諸国から、あやしげな「ゲノム編集」技術を使ってつくりだされた食品添加物や、その食品添加物がたっぷりと入った加工食品などが大量輸入されています。私は、基本的に輸入加工食品は食べないことにしています。

 

 そして、史上最悪の国際協定TPPは、日本が得るものがほとんど何もないまま、こうした「食の安全」がアメリカ系の多国籍巨大資本の利益のためにないがしろにされ、私たちがいわば「食品の安全性を確かめるための実験動物」にされていくことになるのは目に見えているのです。アメリカで拒否され始めた遺伝子組換え食品は、日本では「ゲノム編集」技術を使って消費者・国民の口の中へ放り込まれていく、それを爆発的に推進・促進してしていくための仕掛けがTPP協定なのです。

 

(関連)(別添PDFファイル(4))(レジメ)TPPと遺伝子組み換え食品、どうなる? 私たちの食卓(天笠啓祐 2016.5.4

 

(関連)第8回 遺伝子組換え鮭がやってくる|シリーズ|食品流通|JAcom 農業協同組合新聞

 http://www.jacom.or.jp/ryutsu/rensai/2013/03/130301-19967.php

 

(遺伝子組換え食品って、農作物だけではありません。魚に加えて、昨今では、豚(肉)が出てきそうです。:田中一郎)

 

(参考)ずっとウソだった 「タネが危ない」 野口勲氏講演会まとめ

 http://nekotoenpitu.blogspot.jp/2013/05/f1.html

草々

 

(2つのメール転送です)(1)(報告)「8000ベクレル除染土を再利用」方針の撤回を求めて…5.2 署名提出と政府交渉(満田さん) (2)電力自由化は原発稼働電力会社を葬り去るチャンスです(東電株主代表訴訟:堀江さん)

前略,田中一郎です。

(メール転送です)

 

1.放射能で汚染されたゴミやがれきや土・粘土・砂などを公共事業で再利用(リユース)するというトンデモ計画が進行中

 

 しかも、その放射能汚染の上限を、放射性セシウムだけに着目して、何と8000ベクレル/kgを最上限(個々の使用用途で8千ベクレルを最上限に個別に再利用可能な汚染限度を決めるという)にして、それ以下なら日本全国どこでも使えるようにしていくというのだ。しかし、8000ベクレル/kgというのは、平方メートル当たりにすると×60で、480,000ベクレル/m2という驚くべき汚染度である。チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連では「強制退去」の基準に近い。もちろん青少年が立ち入り禁止の放射線管理区域指定基準=40,000ベクレル/m212倍という驚くべき放射能汚染度合いである。こんなものを公共事業に使っていくようにするというのだから、まさに狂気の沙汰という他ないだろう。推進組織は環境省だが、これでは文字通りの「環境破壊省」に他ならない。

 

 環境省からやってきた役人は、交渉の場で何度も、作業員は追加被ばくが1mSv/年を超えない・一般市民はその1/10010マイクロシーベルト/年を超えないよう「慎重」にやるという。じゃあ、どのように「慎重」かというと。(限度内の)放射能で汚染したゴミやがれきや土・粘土・砂などを使う場合には、上から汚染されていない土をかぶせて使う、などと言っている。これで「安心してください」というわけだ。バカでないのか、この役人は!! 熊本の地震の結果を見れば一目瞭然(がけ崩れ・山崩れ、土地の隆起や亀裂・段差など)だし、東日本大震災の際の三陸海岸の防潮堤の被害状況を見ても一目瞭然だ。土をかぶせたから大丈夫・・・・・よく言えたものだ。有権者・国民・市民をバカにしているに違いない。こんなことを認めてしまったら、それこそ日本国中が放射能汚染だらけになり、この国は近未来にどうしようもない、取り返しがつかない、放射能汚染の亡国国家となり果ててしまう。

 

 この愚か極まる行為・狂気の沙汰の背景には、できもしない除染を、さもできるかのように巨額の財政資金を使ってやり続け(ゼネコンや原子力ムラ組織のために)、汚染物を右から左に動かしただけで、その汚染物のやり場がないほどに膨大な量の「放射能汚染ゴミ」をつくりだしてしまったことにある。バカ政策が、それを上回るアホ政策で拡張され、放射能汚染の被害が、カネをかけてどんどん広げられている、そういう事態がある。放射能の恐ろしさを知らぬ不勉強のアホウどもに政権・政策を担わせればこうなる、の典型事例だ。

 

 結論は簡単=こんなものはやめさせる以外にない。そのためには、出来もしない除染などさっさとやめて、被害者を避難・疎開・移住させたうえで、その生活や仕事の再建に財政資金をしっかり使っていくことだ。放射能汚染地帯は、当分の間、手を掛けずに放っておけばいい。そうしない限り、問題は解決するどころか、どんどん悪化していき、それを修復するための財政資金の必要性がますます増大していくことになる。処方にもならぬことに巨額のカネ(財政資金)をかけることほど愚かなことはない。カネ(財政資金)は被害者をストレートに救済するために使えばいいのである。

 

(以下はメール転送です)

-----Original Message-----

満田夏花(みつたかんな)

Sent: Wednesday, May 4, 2016 3:49 PM

8000ベクレル除染土を再利用」方針の撤回を求めて…署名提出と政府交渉報告

 

みなさま(拡散歓迎/重複すみません)

FoE Japanの満田です。

 

8000ベクレル/kg以下の汚染土を公共事業で再利用する方針の撤回を求める署名には第一次集約までに1万筆を越える署名をいただきました。52日に、10,305筆と、団体賛同いただいた92団体のお名前を、環境省に提出しました。引き続き、署名を呼びかけておりますので、ご協力をお願いいたします。

 http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160416.html

 

この問題が「わかりづらい」「広めづらい」というご意見をいただいたので、署名用紙とともに配布できるように、簡単なQ&Aを作成しました。以下からPDFファイルをダウンロードできます。Q&Aは2頁目です。

 http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160416_petition.pdf

 

今回の交渉も踏まえて、環境省が8,000ベクレル/kg以下再利用資材をどのように導入しようとしているのか、除染残土問題、また従来のクリアランスの考え方など、本問題について重要と思われる点をまとめましたので、ご覧ください。

 https://foejapan.wordpress.com/2016/05/02/8000bq_problem-3/

 

52日の集会および政府交渉では100人を超えるみなさんにご参加いただきました。事前集会ではおしどりマコさん、高木学校の瀬川嘉之さんに解説いただきました。福島のみなさんにもかけつけていただき、政府交渉には、全員参加型で臨みました。おかげさまで、多くの重要な問題が、明らかになってきました。以下政府交渉の際の簡単なやりとりです。交渉のポイントと関連資料は以下からご覧ください。

 http://www.foejapan.org/energy/fukushima/pdf/160502_8000bq_No.pdf

 

質問1:原子炉等規制法第61条の2第4項に規定する規則(※)では、再生利用の基準は放射性セシウムについて100ベクレル/kg以下となっている。今回の環境省方針(8,000ベクレル/kg以下は再利用可能)は、同法に矛盾するのではないか。

 

回 答:100ベクレル/kgは、廃棄物をどのような用途で再利用もいいという基準である。8,000ベクレル/kgは、責任主体が明確な公共事業において、管理を行い、覆土などの遮蔽の措置を設けた上での再利用。なお、8,000ベクレル/kgというのは上限の値で、今後用途別に被ばく評価や手法を検討した上で、年1mSvを上回る場合には、より低い上限を設けていく。

 

(関連質問)原発の敷地内においては、低レベル放射性廃棄物として浅層処分を行うものを、敷地外においては、公共事業に再利用するというのはおかしいではないか。

 →明確な回答はなし。

 

(関連質問)8,000ベクレル/kgは、よく使われる係数(65倍)でキログラム換算すれば、52万ベクレル/m2。電離則によれば、放射性管理区域から持ち出し不可のもの(4ベクレル/cm2=4万ベクレル/m2)よりずっと高い。それを認識されているか。

 →明確な回答はなし。

 

質問2:「8,000ベクレル/kg以下の除染土を公共事業での再利用可能」とする根拠は何か。

 

回 答:確実に電離則及び除染電離則の適用対象外となる濃度として、放射性物質汚染対処特措法における規制体系との整合も考慮して、8,000Bq/kg以下を原則とした。

 

質問3:当該方針を実施するための法的手段はどのようなものか(改正する法律名・規則名など)

 

回 答:放射性物質汚染対処特措法に関連すると考えるが、具体的には次回の検討会で議論される。スケジュールは決まっていない。

 

質問4:建設作業員、周辺住民の被ばく限度は、年間何マイクロシーベルトを想定しているか。

 

回 答:追加被ばく線量として、年1ミリシーベルト。覆土等により、10マイクロシーベルト/年を実現する。

 

(関連質問)

・「追加」被ばく量であり、年20ミリシーベルト基準で帰還させられた地域では年21ミリシーベルトになってしまうが、どうするのか?

・「年20ミリシーベルト以下で帰還」基準との整合性は?

・他の化学物質等で、実際の濃度ではなく、住民等への暴露量として基準が決まっているものはあるか?

  →いずれも明確な回答なし。

 

質問5:「4」の計算根拠を示されたい。ほこりの吸い込みによる内部被ばくを考慮するか。

 

回 答:用途ごとの被ばく量を計算中である。次回の検討会で示し、議論される。内部被ばくも評価する。次回の検討会の日程はまだ決まっていないが、事前に環境省のウェブサイトに掲載される。

 

質問6.大雨、地震や津波などにより崩壊・流出は考慮されているか。

 

回 答:今後、評価する。

 

質問7.検討会のもとにおかれた「放射線影響に関する安全性評価ワーキンググループ」のメンバー、議事録は非開示とされている。環境省は、非開示の理由について、「ワーキンググループ関連資料は、ワーキンググループ委員による率直な意見交換を確保・促進するため、また、検討段階の未成熟な情報・内容を含んだ資料を公にすることにより、不当に国民の誤解や混乱を生む可能性があるため」としているが、非公開では、どのようなプロセスや根拠で本方針が導かれたのかガわからない。匿名をいいことに、無責任な発言や決定が行われる可能性もある。

 

1)改めて、ワーキンググループのメンバー、資料、議事録の開示を求める。

2)ワーキングメンバーの選定はどのように行ったのか。

3)今後は、本件に関する国民の強い関心にかんがみて、当該ワーキンググループは、公開の場で開催すべきであると考えるがいかがか。

 

回 答:ワーキンググループのメンバー、資料、議事録は開示できない。その理由はすでにお示ししたとおりである。なお、検討会の場で、ワーキンググループの結果が議論されるので、透明性は確保できる。

 

質問8:工程表に、「低濃度土壌の先行的活用」とあるが、具体的にはどのようなことか。

 

回 答:分級処理、過熱処理などを行ったうえでの低濃度土壌を活用するというもの。場所や具体的な内容、どのくらい「低濃度」なのかについては、まだ決まっていない。

 

質問9「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略」の2016年度予算額およびその内訳を示されたい。

 

回 答:

技術開発戦略策定調査(1億円)専門家による委員会を設置し、①減容技術の現状及び課題とその対 応案、②再生利用に関する課題の検討、③減容・再生利用等技術開発 戦略の検討等を行う直轄研究開発・実証 (10億円)

 

除去土壌等の減容・再生利用の早期実現に向け、ベンチスケールの分級プラント等により、①機器の性能評価、②処理後の土壌性状や濃縮残渣の各種試験、③土木資材等へのモデル的活用等を行う。→ 具体的な場所はまだ決まっていない。

 

再生利用の促進に関する調査研究(1億円)、除去土壌等の再生利用に向け、関係省庁の研究機関や学会等とも連携し、①再生利用先の用途、②再生資材の品質、③放射線安全に関す る評価項目の考え方等の検討を行う。

 

減容・除染等技術実証事業(2.3億円)、将来活用可能性のある技術の小規模実証・評価を行う。

 

質問10:本方針は、そもそも大量の除染土(最大約2,200m3)の存在が前提となっている。住民の意向に沿っていない無理な帰還政策や、それに伴う無理な除染のあり方そのものを見直すべきではないか。

回 答:除染土を減らすための努力は行っていく。

 

その他の質疑。

 

質問:福島県に住んでいるが、減容化施設が住民に説明もなく、いきなりつくられることに懸念している。

 →きちんと住民の方々に説明を行っていく。

 

参加者からの指摘:福島県の避難指示区域からの避難者だが、「帰らない」人が圧倒的に多く、それでも、「帰る」人のために除染に同意している。

 

質問:いったい誰がこのような方針を検討しろと言ったのか?

 →とくに「誰が」というわけではない。

 

質問:建設業界団体か?

 →いや、建設業界からは、むしろこのような資材は、「使いづらい」という意見もある。

 

指摘:コストをかけた高い建設資材を、ただでばらまく気なのか。

 

質問:自治体から、再生資材を使いたいという要望があるのか?

 →ない。

 

質問:国が利用してもらうために「インセンティブ」をつけるということだが、具体的には?

 →お金になるのか制度的なインセンティブになるのか分からないが、国としては利用を促していく

 

質問:まず、「再生利用」ありきではなく、再生利用するのかどうかということについて、広く意見を求めるべきではないのか。

 →国民の理解を得るためのさまざまな施策をおこなっていく。

 

質問:撤回すべき、という意見が多い場合は、撤回されるのか。

 →国民の理解を得ていくための取り組みを行っていく。賛否両論あると思う。必要に応じて、撤回ということもありうるだろう。

 

質問:管理型の処分場ですら、汚染物質がもれでることは枚挙にいとまがない。公共事業に使うということは、環境中に拡散されてしまうことになる。

 →そのようなことがないように、今後、しっかりと管理手法を検討していきたい。

 

※以下のブログに掲載しました。

 https://foejapan.wordpress.com/2016/05/04/8000bq_problem-%EF%BC%94/

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満田夏花(みつた・かんな)/携帯:090-6142-1807

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2.(メール転送です)電力自由化は原発稼働電力会社を葬り去るチャンスです(東電株主代表訴訟:堀江さん)

 

(以下はメール転送です)

 

堀江鉄雄です。重複ご容赦ください。転送・利用可

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電力小売り自由化がスタートしました。皆様の小売り電気業者の選択はどうしましたか。脱原子力の意志表示をするチャンスです。「脱電力会社(脱総括原価方式)で脱原子力」を広めましょう。これまで再エネ発電事業は、原子力推進・維持政策のために潰されてきました。今また原子力維持のために潰されようとしています。これは官僚主導による日本のエネルギー政策、経済政策との戦いであり、原子力と再エネの戦いです。日本の場合、潰すか潰されるかで共存はありません。再エネ発電を選択受給できない人も、まずは「脱電力会社(原発所有9社)」を第一としてください。

 

 

1 脱電力会社(総括原価方式)で脱原子力の意志を具体的に示しましょう

 電力会社は、「地域独占と総括原価方式」により原子力関連事業の推進と拡大をしてきました。「電力会社の電気料金」には、総括原価方式により「原子力関連費用(原発の発電費用、再処理費用、損害賠償費用、廃炉費用、廃棄物処理費用、核燃料サイクル費用など)」が含まれています。これまで原発反対だからと言って、原発の発電した電気を拒否することや電気料金の原子力関連費用分の負担を拒否することは出来ませんでした。

 

 それが今、電力小売り自由化で電力会社以外から電気を購入できます。2020年まで電力会社は「総括原価方式」を取っているので、電力会社からの電力を購入しなければ、電力会社の電気料金に含まれている「原子力関連費用」の負担を拒否することが出来るのです。極端に言えば、誰も電力会社から電気を購入しなければ原発は停まるのです。今こそ脱原子力を選択するチャンスです。脱電力会社で脱原子力です。

(1)無駄な原発維持費の負担

(2)しなくても良い再稼働のための無駄な耐震追加費用の負担

(3)意味のない再処理費用の負担

(4)出来もしない核燃料サイクルの負担

(5)東電が負担すべき損害賠償金の負担

 

 加害者である東電は一銭も損害賠償金の負担をせず、全国の消費者が全額負担しているこの現実、被害者の損害賠償請求者は、自の受取る損害賠償金を電気料金で自己負担させられている。東電の損害・損失を負担するべき東電のステークホルダーは負担してない。この理不尽な現状などの原子力関連費用の負担を脱電力会社で拒否できるのです。

 

 脱電力会社は、あの「総括原価方式」の電気料金体制を、2020年を待たずに崩壊させることになります。このことの意味を皆さんが十分に理解、認識されれば、「総括原価方式」に替わる「再処理拠出金制度」が成立しても(421日衆議院可決)、「託送料金」あるいは「再処理賦課金」として原子力関連費用の負担を強要されても拒否することが可能です。また、電源別選択の自由と電源別料金を担保させる道筋にもなると思います。

 

 現在は、電力会社の発電量が圧倒的に多いので、電力会社以外の小売り事業者を選択しても、その小売り事業者が電力会社と電力の購入契約をしていれば、購入分は原子力関連費用を負担することになってしまいます。しかし、今はまず、反原子力と原子力関連費用拒否の意思表示だとの自覚を持って、電力会社との契約解除をしましょう。

 

2 再エネ選択の限界

 料金は高くとも「再エネだけ」販売する会社を選択したいところです。再エネ発電専門の小売り事業者か、再エネ発電量の割合の高い電力小売り事業者を選択するしかありません。しかし、現状の再エネの発電量は少なく需要に十分応えられないと思います。再エネ発電コストと蓄電の技術は充分ではないので、一部電力会社の供給に頼ることになると思います。また、原発や石炭発電由来の電気を分別供給はされておらず、発電源別料金にもなっていないので発電源別選択はできません。したがって、再エネ発電を選択購入したと思っても、安価な石炭発電を仕入れて再エネ発電だとして高価に小売り販売されることもあり得ます。発電源別由来の証明書あるいは再エネ発電の仕入量と販売量が同量であることの証明などの担保を必要とします。

 

 本来であれば原発(石炭)VS再エネなのですが、再エネの発電量は少なく現実的には対抗になりません。再エネ発電を選択しても、殆どが100%再エネと言うわけには行きません。また、電力会社以外の小売り事業者は、自前の発電源のみで100%供給出来るとは限りません。圧倒的発電量を占めている電力会社か、大規模発電事業者いずれかの発電している電力を購入供給することになります。

現状では、再エネ発電の発電量が余りにも少なく、需要に対して供給の限界があります。

 

ソフトバンクの場合

 ソフトバンクは再エネ供給率60%だとしているようですが、少なくとも40%は提携している東電から電力を購入することになると思います。また、全国展開をしているので電力需要量が増えれば、東電からの購入量が増えることになりますから相対的に再エネ発電の供給率%は下がります。東電その他電力会社(北海道、北陸、中国、九州電力に提携申し入れしている)からの発電購入量は増えるはずです。

 

 電力会社も再エネ発電はしています。しかし、発電源別販売をしていませんので、電力会社から供給される電気の由来は原発なのか、石炭なのか分かりません。「再エネ発電もやっています」「これから再エネ発電量を増やします」と電力会社が言っても購入しますか? 問題は、電力会社から購入する電気は、原子力関係費用を負担することになり、原発の存続・維持に加担することになることです。

 

 残念なことにソフトバンクの再エネ発電は、東電の販売窓口となることで他電源と混ざり、折角の再エネ発電としての価値は無くなってしまいました。ソフトバンクの再エネ発電は、東電の再エネ発電部門になってしまったのです。ソフトバンクは、再エネと割安料金を看板に東電(電力会社)の販売先兵になってしまったと言うことです。ソフトバンクの当初からの目的は、電力会社と組むことでスマートグリッドの利権を確保することだと思います。脱電力会社を薦める私としては、ソフトバンクは×にして欲しいと思います。

 

東京ガスの場合

 来年のガス自由化も控えており電力VSガスの構図にすれば、一般的には分かり易いのではないかと思い東京ガスと契約をしました。しかし、東京ガスは、足りない電力供給量を東北電力との電力提携契約だけではなく、関西電力とも燃料調達・発電運営に関する提携契約を411日発表しました。

 

 すでに商社を巻き込み電力・ガス体制の再編シナリオは進められています。ガス輸入量は、東電、中部電力に続いて東京ガスは第3位なのです。その輸入量1・2位の東電、中部電力は、燃料輸入調達・火力発電所などを共同する合弁会社「ジェラ」を設立しています。ここでも東電の巨大な力量を見せ付けられます。

 

 忘れてならないのは、東電は官僚主導の国策会社だということです。電気・ガスのエネルギー再編は、民間主導の経済合理主義ではなく官僚主導の国家経済主義体制となっているのではないでしょうか。3.11によって官対民という側面はなくなったように思います。

 

3 再エネ発電の「受入量制限」の撤廃を

 現在、私たちが原発ではなく再エネの発電を選択、購入しようとしても一部でしか購入できません。再エネ発電の供給できる発電量が少ないからです。需要があっても供給量が追い付きません。これは原子力を推進・維持するために、再エネ発電の「受入量制限」を電力会社が長年行ってきたからです。

 

 この再エネ発電の「受入量制限」は、

 

(1)再エネ発電事業の事業化推進を抑制している(投資・発電しても売電は担保されず、資金繰り計画は立てられず、資金の回収が不透明では融資も受けられない)。

(2)事業化による量産と競争は再エネ発電のコスト削減を促すはずが出来なかった(世界一であった日本の太陽光は原発に潰された)。

(3)受入量制限は、受入枠をめぐりメガソーラー大規模発電などと小規模発電を分断・対立させるという政策的効果がある(東電とソフトバンクの契約は、原発(石炭)VS再エネと再エネの価値を消すことに非常に効果的だった)。

(4)電力会社との受入契約は、電力会社に再エネ発電事業者の選択権(メガ優先など)を実質与えることになる。

 

 電力改革の本質は、大規模発電(原発)から地域分散型小規模発電(再エネ)への社会構造改革でなければなりません。受入量制限は、これに逆行するものです。「受入量制限」と「受入選択権」を持つ電力会社(東電)は、本来の原発VS再エネをメガ(ファンド、ソフトバンクなど)VS小規模発電へ変えようとしています。この「受入量制限」を撤廃し、「全量受入(逆流解消設備)」しない限り再エネの推進は抑制されたままで、世界の趨勢から再び取り残されることになるでしょう。受入枠を撤廃させるには、脱電力会社と再エネ発電需要の声を拡げ再エネ供給不足の現実を見せつけなければなりません。

 

4 電力会社間の競争

 電力会社間の自由化競争での東電の電力販売攻勢は、提携があるからか中部地区よりも関西地区での電気料金設定は低いのです。関電は、311後の長期経営計画において、それまで同様に原発を主力とした経営判断をしました。電気料金を低くしようとしたら再稼働に頼るしかないのです。関電は、原発再稼働という無謀な博打経営をしたのです。再稼働が上手く行かず窮地に立っているのは、結果論ではなく経営判断の失敗です。

 

 原発停止と経済後退による電力需要の低下で、各電力会社は疲弊しており競争力は低下していることもあり、激しい電力会社間での潰し合いはありません。出来ないと言った方が良いでしょう。ここで破たん企業である東電が一番元気なのです。何故か、国の資本1兆円と交付金10兆円の税金投入でキャシュフローは順調、損害賠償を切り捨て、事故対応と処理を疎かにすることで電気料金を下げることも可能にしているのです。官僚の主導する電力自由化を体現しているのが東電だからです。

 

 東電の一人勝ちです。他電力会社が本気で首都圏への攻勢など出来ません。再稼働と再処理のサジ加減でたちまち経営は悪化します。経営を圧迫する使用済核燃料の全量再処理に全く抵抗できません。官僚主導(東電主導)で電力会社間の競争は起こりません。

 

5 経産省の思惑

 電力の自由化は、決して消費者のためのものにはなっていません。官僚支配体制を確立するために利用されています。バブル崩壊後、金融機関には公的資金が注入され、官僚主導の元で金融機関は総合され、官僚の支配するメガバンクが誕生しました。金融政策において官僚VS金融業界の構図はなくなりました。

 

 官僚にとって電力・ガス自由化は、許認可権の分散と拡大化です。例えば電力10社で発電、送配電、販売まで全て一括処理していました。それが発電、送配電、販売とまずは事業分化されて認可事業が増えます。発電、販売では10社以外の参入事業者があります。この許認可の多様化に伴いそれぞれ公益法人が発生します。天下り先の増産です。

 

 例えば、損害賠償・廃炉支援機構を見れば、仕事と責任の不透明化、不必要な人員と費用の発生を確認できます。機構の理事会、運営委員会には、原子力関係の御用学者・研究者と不必要な組織に不必要な人達の集まりとなります。全く同じに再処理拠出金支援機構が誕生し、事故処理支援機構、廃棄物処理支援機構なども続くと思われます。原子力利権構造の多様化であり、原子力関係者への合法的な利益分配です。まさしく方向性を示せない無責任な官僚天国の誕生です。

 

電力・ガス業界も官僚VS業界の構図はなく、東電を中心とした業界の再編と統合は行われる事になります。この経産省の思惑を断ち切るには、電力会社からの電力購入拒否と原子力関連費用の負担拒否です。「再処理拠出金制度」により、原子力関連費用の負担を強要しようとしています。「電力自由化」を旗に「発電源の選択の自由」で、これに反対しましょう。

以上

 

2016年5月 5日 (木)

日本の司法・裁判所は、行政(安倍・自民党政権)よりもひどい日本国憲法無視・人権踏みにじりの「現代の悪代官所」です=解体しよう、日本の検察・裁判所、くたばれ日本の検察官・裁判官(その3)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初にご紹介)

●キャンペーン · 有権者 安倍自民・公明に絶対投票しません! · Change.org

 https://www.change.org/p/有権者-安倍自民-公明に絶対投票しません

 

=======================

日本の司法・裁判所の最近の動きです。相も変わらずというか、ますますひどくなるというか、アベ自民党政権・首相官邸よりも、更にグロテスクでひどい、ロクでもないことを繰り返しているのが日本の司法・裁判所です。その最大の原因は、有権者・国民・市民からのフィードバックや彼らの所業に対しての厳格な評価がないまま、その権力を勝手気ままに濫用し、それに屁理屈をつけて合理化していることにあります。「解体しよう、日本の検察・裁判所、くたばれ日本の検察官・裁判官」です。

 

みなさま、毎回の衆議院総選挙とともに実施されている最高裁判事の国民審査においては、候補者全員に「×、×、×、×、×」を書いて投票いたしましょう。あんなものを個々の最高裁判事の「信任」投票などと思ってはいけません。候補とされた判事たちが、どのような判決を下してきた人間達か、あるいは、どのようなことをしてきた人間か、何を約束して最高裁判事になろうとしているのか、一切明らかにされないまま、「お前たち、アホウの有権者・国民・市民は、黙って投票箱に白票を放り込んでおけばいいんだよ、いらぬことを考えるな」という主旨の、「司法・裁判所権力、このまま勝手放題やらせろ投票」制度なのです。何故なら、「白票」は「信任されたものとみなす」というインチキ制度がセットになっているからです。

 

あの連中をまとめて追い払うためには、あるいは、頭から水をぶっかけて目を覚ませるためには、最高裁判事の国民審判は「×、×、×、×、×」でなければ投票する意味がありません。大半の有権者・国民・市民が、これまでの国民審判において「×、×、×、×、×」としてこなかったがために、彼らを思いあがらせ、勘違いをさせ、いつまでたっても有権者・国民・市民のための日本の司法・裁判所が実現しません。だからこそ、今日のようなグロテスクな日本の司法・裁判所が出来上がっているのです。

 

以下、昨今の状況をご報告します。

 

 <別添PDFファイル>

(1)新聞と9条 241 242(朝日 2016.4.21,22

(2)隔離法廷 最高裁が謝罪、「ハンセン病患者へ差別助長」、違憲性認めず(朝日 2016.4.26

(3)ハンセン病隔離法廷 差別的で違法、最高裁が謝罪 違憲性認めず(東京 2016.4.26

(4)代用監獄 廃止を、渋谷署 肺結核で死者(東京 2016.4.18

(5)全過程の可視化48.6%(朝日 2016.4.21 夕刊)

(6)地・高裁庁舎アスベスト 千代田区が指導 最高裁の検査不十分、法廷再開に疑問の声(東京 2016.4.2

(7)言論封じ「スラップ訴訟」、批判的な市民に恫喝・嫌がらせ(朝日 2016.3.6

(8)秘密保護法訴訟、2審も原告敗訴(東京 2016.4.27

 

1.新聞と9条 241 242(朝日 2016.4.21,22

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12321855.html

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12299996.html

 

(関連)新聞と9条に関するトピックス:朝日新聞デジタル

http://www.asahi.com/topics/word/%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%81%A8%EF%BC%99%E6%9D%A1.html

 

(関連)(新聞と9条:229)長沼裁判:1、2:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12294879.html

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12296466.html

 

(田中一郎コメント)

 最初は昔話から行きましょう。昨今のこの朝日新聞の特集記事(ウィークデイの夕刊に連載)がとても面白い。現在は、砂川闘争・伊達判決につづいて、北海道長沼ナイキ・福島違憲判決が特集です。ところで、この「241」「242」に出てきて、ふてぶてしくもタバコを口に加えているトンデモ野郎は(当時の)「鹿児島地裁所長の飯守重任(いいもりしげとう)」で、こいつは「砂川事件の上告審で原判決を破棄した最高裁長官、田中耕太郎の16歳下の実弟だった」である。こんな人間が、そして、こんな人間の弟子や手下たちが日本の司法・裁判所を牛耳っていることを忘れてはいけない。とにかく、朝日新聞の記事をお読みください。

 

2.隔離法廷 最高裁が謝罪、「ハンセン病患者へ差別助長」、違憲性認めず(朝日 2016.4.26

 http://www.asahi.com/articles/ASJ4T53CRJ4TUTIL03Y.html

 

3.ハンセン病隔離法廷 差別的で違法、最高裁が謝罪 違憲性認めず(東京 2016.4.26

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016042602000115.html

 

(「違憲性認めず」で詫びたことになるのだろうか? 顔洗って出直して来い、最高裁。:田中一郎)

 

4.代用監獄 廃止を、渋谷署 肺結核で死者(東京 2016.4.18

「sibuyasyo_sisya.pdf」をダウンロード

(一部抜粋)

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警視庁渋谷署に留置されていた六十代の男性が、署内での健康診断の数日後、肺結核で死亡した。署員十九人の集団感染も発覚したが、結核で発症後ただちに死亡するケースはあまりない。留置場の環境に問題はなかったか?

 

(中略)警視庁によると、男性は同署で留置されていた同二月上旬、留置場内で医師の健康診断を受けたが、その際に異常はなく、本人からも肺結核などの申し出はなかったという。ところが数日後になって体調不良を訴えたため大学病院に搬送され、死亡が確認された。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 これ、本当に死因が結核なのか? どう見てもおかしいぞ。真相究明委員会を日弁連で組織して徹底調査すべきだ。「代用監獄」は江戸時代の「おかっぴき番屋の牢獄」ないしは「拷問留置所」とでもいうべき人権無視の権力犯罪インキュベーターである。なぜ、かようなものがいつまでも存続しているのか?

 

5.全過程の可視化48.6%(朝日・毎日 2016.4.21 夕刊)

 http://mainichi.jp/articles/20160421/dde/001/010/070000c

 

(田中一郎コメント)

 こんな「ちょうちん」記事では実態はよくわからない。全過程の可視化は全体の何%なのか、体制の問題はどうなっているのか、などなど、この問題の核心部分をはっきり書け!! それと、この記事には「裁判員裁判事件や検察が手がける独自捜査事件を対象に、全過程の可視化を義務づける刑事司法改革関連法案が今国会に提出されており、法制化をみすえて試行が拡大している」などと書いているが、この「刑事司法改革関連法案」は、可視化とは関係のない「盗聴法改悪」や「司法取引制度導入」など、ロクでもない「改悪」がセットになっているトンデモ法案である。何故きちんと報道しないのか。朝日新聞、毎日新聞、やっぱりゴミか?

 

(関連)違憲は安保法案だけじゃない 「盗聴法改正」が招く総監視社会 日刊ゲンダイDIGITAL

 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162438

 

6.地・高裁庁舎アスベスト 千代田区が指導 最高裁の検査不十分、法廷再開に疑問の声(東京 2016.4.2

「tisai_kousai_asubesuto.pdf」をダウンロード

(呆れた話ながら、今の最高裁の正体というか、その態度の悪さと居直りの度合いがよく現れた事件である。ふざけるな、バカ野郎ではないか:田中一郎)

 

7.言論封じ「スラップ訴訟」、批判的な市民に恫喝・嫌がらせ(朝日 2016.3.6

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12245029.html

 

(裁判所が、かような訴訟は相手にせずに一蹴すべきであるのだが、たとえば国立マンション訴訟(元国立市長 上原公子被告)に見られるように、裁判所が一緒になって「スラップ訴訟奨励行為」のようなことをしているから、この国の司法・裁判所はどうしようもないほど堕落しきっている。許しがたいものがあるのだ。法律により、このスラップ訴訟は封じ込めてしまう必要ありだ。そうしないと、日本の言論・表現の自由や政治活動の自由などは、絵に描いた餅になってしまう。:田中一郎)

 

8.秘密保護法訴訟、2審も原告敗訴(東京 2016.4.27

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG18H7G_Y5A111C1000000/

 

(関連)特定秘密保護法違憲訴訟却下判決を斬る 異次元安倍政権に覚悟を示せない司法とメディア=吉竹幸則 Daily JCJ

 http://jcj-daily.seesaa.net/article/431058370.html

 

(田中一郎コメント)

 ロクでもない判決を更に一つ重ねたようなモノだ。特定秘密保護法が日本国憲法違反であることは明らかではないか。日本の民主主義や法の正義よりも、てめえの身のチョロい保身を最優先し、私は最高裁権力に忠実なポチです、を言いたいためだけの「恥知らず」判決が、また一つ出てきたということだ。

 

 <関連サイト>

(1)(毎日新聞)■注目ニュース■ 田母神容疑者を起訴 買収額は545万円

 2014年2月の東京都知事選を巡り、運動員に違法に報酬を配ったとして、東京地検特捜部は2日、知事選に立候補して落選した元航空幕僚長の田母神俊雄(67)▽元選挙対策事務局長の島本順光(69)両容疑者を公職選挙法違反(運動員買収)で起訴し、鈴木新元出納責任者(57)を在宅起訴した。起訴の対象となった買収額は計545万円に上った。

 

●田母神氏:運動員買収で起訴 総額は545万円に

 http://mainichi.jp/m/?PoG9NB

●田母神氏:現金の配布時期、意図的に遅らせる(有料会員限定)

 http://mainichi.jp/m/?Q3fzQD

 

(2)東京地方裁判所への「原発メーカー訴訟の会・事務局」声明 原発メーカー訴訟の会

 http://maker-sosho.main.jp/news/2340/

 

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去る323日に開催された第4回口頭弁論において、朝倉佳秀裁判長(武部知子、渡邉達之輔裁判官)は、突然「弁論終結」を宣言し、第103号法廷内の怒声の中で聞き取れなかったのですが、7月13日(水)16:00に判決を出すと言って、閉廷しました。 原告の主張に対する被告からの答弁や反論が行われないまま判決を出し、裁判を終了するというのは、裁判所のとるべき態度ではなく、遺憾に思います。

 

 審議は未だ尽くされておりません。原告弁護団からの原発メーカーを免責とする原賠法の違憲、本人訴訟団からの原発の製造・輸出違憲、原発製造のビジネス契約の公序良俗違反・無効、原発メーカーの精神的損害賠償を訴える4千人を超える国内・海外の原告・サポーターおよび東京地裁に対して「公正な裁判」を望んで署名した6千名を超える方々の声に耳を傾け、正当な裁判を継続することを強く望みます。

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(田中一郎コメント)

 また、クソ判決のようです。

 

(3)(必読)司法官僚 裁判所の権力者たち-新藤宗幸/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032293365&Action_id=121&Sza_id=C0

 

(4)法服の王国 小説裁判官 上・下 -黒木亮/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033383213&Action_id=121&Sza_id=B0

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033383214&Action_id=121&Sza_id=B0

草々

2016年5月 3日 (火)

日本(再)沈没(その3):(報告)4.25 政府交渉 & 院内集会「40年超え老朽化原発を廃炉に & 川内原発直ちに停止を!」 & イベント情報、村田光平元スイス大使からのメール、玄海町長「最終処分場発言」現地報告

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初に重大ニュース)

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●福島第1原発:東電社員、旧保安院幹部ら「不起訴相当」 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20160429/k00/00m/040/013000c

 

(関連)「福島原発告訴団」

 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/

(重要なコメントがなされています)

 

 この国の「無責任構造」が露骨に現れた事件です。日本の司法・検察は有権者・国民・市民のためには存在しておりません。その根本のところから改革をしなければいけない最悪の役所です(現代の「悪代官所」)。

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(次にイベント情報をいくつか)

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1.(別添PDFファイル)(チラシ)第11回ビジョン21講演会「TPPの正体」(安田節子さん 201658日)

「tirasitpp_yasudasan.pdf」をダウンロード

講 師: 安田節子氏

日 時: 201658日(日)午後1時半から

場 所:青葉区区民活動支援センター

    (田奈ステーション)第5会議室(東急田園都市線田奈駅隣接)

資料代:500円

主 催:ビジョン21

問合せ:ビジョン21事務局(090-9245-7542

 

2.「若者と放射能―関東の汚染はどうなっているのか?」

――震災から5年、放射能被害の知らされない真実。そこから未来の希望を見つけ出す。

 

日 時:6月2日(木)1845開場、 開始19時~21

場 所:上智大学四ッ谷キャンパス2号館508教室

講 師:崎山比早子さん(医学博士、元放射線医学総合研究所主任研究官)、他

主 催:上智大学グローバル・コンサーン研究所

共 催:脱被ばく実現ネット

 

3.「関東圏の放射能被害」vol.2―広がる健康被害、つながり、避難という希望―

 

日 時:55日(木・休)16時半開場、17時~19時ごろまで。終了後は同じ場所で交流会です。

場 所:早稲田あかね。東京都新宿区西早稲田2-1-17酒井ビル1F(早稲田大学文学部正門の目の前)

地 図:http://www.geocities.jp/akane_waseda21/

お 話:松本麻里さん(福島原発事故による健康被害者の会。文章「原発と再生産労働——フェミニズムの課題」

    柳原敏夫さん(弁護士、「脱被ばく実現ネット」

   (旧「福島集団疎開裁判の会」http://fukusima-sokai.blogspot.jp/

     他、健康被害の当事者たち

 

4.(別添PDFファイル)5.24 狭山事件の再審を求める市民集会

「tirasi524_sayama.pdf」をダウンロード

日 時:2016524日(火) 午後0時半

場 所:日比谷野外音楽堂

主 催:狭山事件の再審を求める市民の会(代表 庭山英雄、事務局長 鎌田慧)

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(それから、村田光平元スイス大使からのメールです)

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●(別添PDFファイル)安倍総理宛メッセージ

「abesouri_messeiji.pdf」をダウンロード

皆様

川内原発に関する信頼できる専門家からの重大警告を伝える安倍総理宛メッセージをお届けいたします。川内原発の運転継続を深刻に懸念する多くの方々からの連絡も頂いております。異常な事態としか思われません。

 

トモダチ作戦の被爆者を見舞うための小泉元総理の5月15日からの訪米、月末の伊勢志摩サミットなどを控え、福島事故の収束から程遠い実態は30年を経ても危機が続くチェルノブイリの現状と合わせ世界の注目を引くことは必定と思われます。

 

皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。

村田光平

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(ここから本文)

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ご報告が遅くなりましたが、さる425日、参議院議員会館において「4.25 政府交渉 & 院内集会「40年超え老朽化原発を廃炉に & 川内原発直ちに停止を!」が開催されました。熊本での連続大地震があっても止まらない・止めようとしない川内原発や伊方原発の再稼働、あるいはまた、稼働して40年以上が経過した老朽化原発である高浜12号機(各42年、41年)をインチキな方法で審査をパスさせて何が何でも運転寿命を更に20年間伸ばそうとする原子力規制委員会・規制庁、そして、その動きを後押しするかの如く背後から政治的にプレッシャーをかけて原発再稼働・原発再推進に猪突猛進する政府・自民党・経済産業省、⇒ こうした危険極まる情勢の下、今回の院内集会&政府交渉は、この問題点を明らかにし、情勢・情報をみんなで共有化するとともに、政府・規制庁の姿勢を正す目的で開催されたものです。以下、簡単にご報告します。

 

●(イベント案内)40年超え老朽炉を廃炉に/川内原発直ちに停止を!(質問書は下記サイトにあります)

 http://kiseikanshi.main.jp/2016/04/18/kosho425/

 

●(当日録画:BY UPLAN=三輪さん)

(前半)20160425 UPLAN【前半・院内集会】40年超え老朽炉を廃炉に/川内原発直ちに停止を! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=r-zFNu1VSsM

 

(後半)20160425 UPLAN【後半・政府交渉】40年超え老朽炉を廃炉に/川内原発直ちに停止を! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=vSiiWLNnzKA

 

●<政府交渉速報>川内原発/高浜原発老朽炉問題 原子力規制を監視する市民の会

 http://kiseikanshi.main.jp/2016/04/26/kosyo-hokoku/

 

 <別添PDFファイル>

(1)緊急政府交渉:40年超え老朽炉を廃炉に/川内原発直ちに停止を!(レジメ表紙)(2016.4.25

「rejime_hyosi.pdf」をダウンロード
(2)政府交渉 質問のポイント(レジメ(1))

「rejime1_situmonjikou.pdf」をダウンロード
(3)緊急要望書(レジメ(2))

「rejime2_youbousyo.pdf」をダウンロード
(4)要望書(レジメ(3))

「rejime3_youbousyo.pdf」をダウンロード

(田中一郎コメント)

 詳細は別添PDFファイルをご覧いただきたいですが、いくつか新しい論点が提示されています。下記に箇条書きにしておきますので、ご参考にされてください。

 

(1)川内原発を強い地震が何度も襲った場合の耐震性が確認されていない、繰り返される揺れに伴う「疲労亀裂」などの徐々の拡大から原子炉破壊に至る危険性についての実証的評価がなされていない(⇒ 今回の熊本地震で大きな被害が出ている一般の住宅や建築物の耐震性基準=建築基準法では、1回の地震の揺れに対する強度しか考慮されておらず、複数回の揺れに対しては持ちこたえられない基準であるため、見直しが検討されることになった。原発だけが例外的に連続する複数回の地震の大きな揺れに対して持ちこたえられるわけがない))

 

(2)免震重要棟はその建設にカネがかかるからと、九州電力のみならず東北電力や中国電力など、他の大手地域独占の原発稼働電力会社が「九州電力に続け」とばかりに次々と免震重要棟の建設を放棄し始めている。しかし、代替としての耐震構造施設では、施設内部が地震の揺れでメチャクチャになってしまう可能性があり、かつ、建物の部分破損で放射能の遮蔽性にも問題が出るかもしれない。それを原子力規制委員会・規制庁は「出来レース」のごとく追認の姿勢である(九州電力に対する口先批判のリップサービスしかしない原子力規制委員会・規制庁)。九州電力の免震重要棟に代わる耐震構造の緊急時対策所については、当初計画に比べて延べ床面積の縮小=収容人員数の減少という看過できない「改悪見直し」の問題もある。

 

(3)中性子照射による応力腐食割れ(IASCC)がもたらす原子炉施設の「劣化状況評価」がいい加減である(別添PDFファイルのレジメでは、海外でも損傷の事例があり、最も厳しい評価部位として指定された「バッフルフォーマボルト」についてさえ、いかにいい加減なことをしているかが追及されている)。できもしない「目視点検」をすると言ってみたり、悉皆的に危険な劣化箇所をすべて抽出しえない超音波探傷検査に過度に依存したり(つまり「抽出漏れ」が避けられないということ)、老朽化原発運転期間延長の審査で重要な「特別点検」の項目から重要な部品が項目として脱落していたり、更には、その超音波損傷検査さえ審査期限までの時間切れ(*注)で半分しかしないでOKを出したり、今から20年も前の検査結果をそのまま使ったりしている。まさに出鱈目の極致のような話である。

 

(ここから言えることは、老朽化原発であるにもかかわらず、その施設の巨大さ・複雑さから、施設全体にわたり、くまなく老朽化に伴う「劣化」「脆化」の状態がどこまでなのか、どこが危険な状態になっているのかが把握しきれない、ということである。現状確認がきちんとできない老朽化原発の運転期間の延長など、危険極まりない話である)

 

(*注)高浜1、2号機については20167月までに運転期間延長に関するすべての審査が終了しないと廃炉となる決まりである。時間的な余裕がないことから、さまざまなインチキ手法やいい加減な検査・審査が行われ、危険なままの老朽化原発が運転期限延長されようとしている。

 

(4)蒸気発生器と一次冷却材ポンプについて、従来行ってきた方法では耐震安全評価がパスできないため、「減衰定数」というパラメータの数値をいじり(危険な方向へ改竄して)、別の方法でOKとし、その裏付けとして「実機試験」=実際の機器を揺らせてみる「加振試験」の実施を条件とした。この2つの機器は加圧水型原発にとっては重要機器であるにもかかわらず、その構造上、地震の揺れに弱く、従来より加圧水型原発のアキレス腱と言われてきたものである。しかし、その「実機試験」は、(運転期限延長審査をパスさせるため)「工事計画」を認可したのちに実施するなどとして先送りし、こうしたことの合理化根拠として、美浜3号機の「加振試験」の結果を用いるという、インチキの上塗りのようなことをしているのである。高浜12号機の重要機器の老朽化に伴う耐震性審査において、別の原発の試験結果を使うなど、論外の話である。また、その美浜3号機の試験結果の評価自体にも大問題があり(大中小の3つの「加振試験」のうち、「大」振動試験結果からは「減衰定数」のデータが得られていない、安全余裕もない)、とてもではないが、従来手法に代わる方法での評価結果は容認できるものではない。

 

(関西電力などの電力会社が「審査」をパスするためにインチキや出鱈目を行い、それを原子力規制委員会・規制庁が、リップサービスで批判しながらも、水面下では癒着をして、屁理屈をつけてそれを容認していく、批判や改善要請に対してはのらりくらりを繰り返す、という、どうしようもない状態が生まれつつある。上記はその典型事例の一つである。また、原子力規制委員会・規制庁の人間達の現場軽視の姿勢は依然として変わらず、書類だけの審査に加えて電力会社まかせの状態が続いている。原発・核燃料施設の安全確保に関しては、もはや福島第1原発事故前よりも、一層悪化してしまったといっても過言ではない)

 

(5)避難計画や安定ヨウ素剤の配布など、原発危機時における地域住民の安全対策に実効性が全くないことが今回の熊本連続地震で立証された。地域防災計画と地域住民の安全の確保=避難計画について、再度、一からの見直しが必要だ。

 

(6)その他、川内原発については、別添PDFファイルの「要請書(レジメ(2))」の「川内原発30キロ圏住民ネットワーク」が提出した要請書にあるように、2号機のボロボロの蒸気発生器の交換の先送り(2014年に実施することになっていたもの)、高経年化技術評価の一部先送り、復水器細管の損傷、一部機器類の点検・交換漏れなど、大事故につながりそうな手抜きや先送りが見られるなど、出鱈目が放置されたまま原発稼働が強行されている。

 

 なお、上記以外にも、更に下記のような問題があります。

 

(7)直下型地震の場合には、熊本地震にも見られたように、原子炉施設の敷地が割れて大きく上下に動き、数メートルの亀裂や段差ができてしまう。原発建屋の下にのみ(既に発見された)活断層がなければいい(敷地内を活断層が走っていても、耐震補強をするからかまわない)、などという判断基準はあまりにもご都合主義で危険極まりない。このような敷地の大変動に持ちこたえられる原発・核燃料施設などは存在しない。

 

(8)1000ガルを超える地震が何度も発生しているのに、川内原発や伊方原発の基準地震動は600700ガル程度でしかない。両原発とも硬い地盤の上に立ててあるから大丈夫=実際のガル数はもっと小さい、などと説明されているが、昨今の知見では、硬い地盤の上にある方が地震の揺れの危険性は高まるということが言われている(下記サイトの最後の方を参照)。

 

(関連)日本(再)沈没(その1):中央構造線が動き始めたか!? 南海トラフ地震や九州火山帯のマグマ活動が連動し、日本は川内原発・伊方原発とともに「放射能の海」に沈むのか=危険な原発は今すぐ止めろ・核燃料は撤去せよ  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-feaf.html

 

(9)老朽化原発の長年にわたる管理がいい加減で、修理や修繕、改築などをした経緯を詳細に示す設計図を含む施設書類が散逸してしまっている可能性がある。これまでは、経緯をよく知る現場のベテラン職員が、記憶や経験に頼って、そのいい加減さをカバーしてきたが、その現場のベテラン職員も高齢化によりリタイアーし、実際のところ、老朽化した原発については、その具体的な構造や施設概要、配線・配管の設置状況や実際の状態、弱点がどこにあるかなどの現場の具体的状況等について、誰も知っているものがいないし、知ろうとしてもわからない・知るすべがない、という恐るべき事態が起きている可能性がある。しかし、そのようなことが老朽化原発の運転期限延長の審査でチェックされている様子はうかがえない。

 

(関連)故平井憲夫さん「原発がどんなものか知ってほしい(全)」

 http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

 

 <関連サイト>

 この「そもそも総研」番組で登場した研究者は、次の危険箇所として推定されるのは「中央構造線上の四国中部」であると発言している。つまり伊方原発が危ないということである。

 

●(必見録画)大地震と火山噴火 余地はどこまでできるのか

 https://www.facebook.com/1046142615425875/videos/vb.1046142615425875/1169301306443338/?type=2&theater

 

(関連)「次は四国が危ない」地震専門家が警告!エネルギー溜まってるのに動き少ない J-CASTテレビウォッチ

 http://www.j-cast.com/tv/2016/04/28265541.html

 http://www.j-cast.com/tv/2016/04/28265541.html?p=all

 

(関連)羽鳥慎一モーニングショーそもそも総研「大地震・巨大火山噴火はどこまで予知できるのだろうか?」 - Togetterまとめ

 http://togetter.com/li/968212

草々

 

(追)(メール転送です)【玄海裁判の会】「最終処分場発言」玄海町長への抗議行動など

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玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

メールニュース         2016430日発行

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

※このメールニュースは会員の皆様、ご縁のあった皆様にお送りしています。

 配信停止希望の方はお手数ですが、ご連絡ください。

 

熊本地震の発生後、「川内原発を止めよ」の九電への緊急要請、「高レベル放射性廃棄物」受入前向き発言の玄海町長への緊急抗議など、行動が続いた2週間でした。この期間の活動をHPにまとめましたので、お読みいただければ幸いです。

 

4.21九電本店緊急要請行動の報告

http://saga-genkai.jimdo.com/2016/04/21/a/

4.22佐賀地裁報告

http://saga-genkai.jimdo.com/2016/04/23/a/

4.22野中さん意見陳述

http://saga-genkai.jimdo.com/2016/04/23/b/

4.25原子力規制委員会へ緊急要請・署名提出

http://saga-genkai.jimdo.com/2016/04/27/a/

4.28「最終処分場前向き」発言、玄海町長抗議行動

http://saga-genkai.jimdo.com/2016/04/29/a/

 

この間に、安定ヨウ素剤の事前個別配布を始めた兵庫県篠山市(福井の原発から50キロ)への訪問もありました。追って詳細報告がいたします。緊急行動が続きますが、それぞれできる形(直接参加、情報拡散、署名・賛同など)での参加をぜひお願いいたします!

 

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★玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会★

840-0844 佐賀県佐賀市伊勢町2-14

TEL0952-37-9212 FAX0952-37-9213

E-mailsaiban.jimukyoku@gmail.com

http://saga-genkai.jimdo.com/

http://www.facebook.com/genkai.genpatsu

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2016年5月 1日 (日)

トリチウムを海に流すな、放射能汚染とそれに伴う被ばくについて、きちんとした対策・対応を取れ!!(被ばく翼賛国家の危険な道:福島第一原発トリチウム 経産省が処分期間と費用 海洋放出など初試算)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初にイベント情報です)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●(別添PDFファイル)5/18(水)【福島原発被害東京訴訟 第17回期日及び報告会】国・東京電力の責任を問う!! 《拡散希望》一人でも多くの方の傍聴をお願いします(チラシ添付します)

「tirasi_tokyo_sosyou_518.pdf」をダウンロード

[第17回期日]

日 時:5月18日(水)1000分~

場 所:東京地方裁判所 103号法廷[東京都千代田区霞が関1-1-4]

原告及び弁護団からの意見陳述を行います。

 

[報告会]

日 時:5月18日 裁判終了後(1040頃)

場 所:弁護士会館5階 502ABC[東京都千代田区霞が関1-1-4]

当日の裁判の説明,これまでの経過報告とともに,今後の手続の流れや方針などについて,弁護団からご報告します。

    

最寄り駅は、いずれも 東京メトロ丸ノ内線,日比谷線,千代田線「霞ヶ関駅」A1出口、もしくは、東京メトロ有楽町線「桜田門駅」 です。当日、930分より地裁前でチラシ配布・アピールなどいたします。こちらにもご参加ください。

 

(その後の期日予定)7/20(水)10:00

 

【お問い合わせ】 

福島原発被害首都圏弁護団

160-0022 東京都新宿区新宿1丁目19番7号 新花ビル6階 オアシス法律事務所内

電話: 03-5363-0138

FAX: 03-5363-0139

Mail: shutokenbengodan@gmail.com

ブログ:http://genpatsu-shutoken.com/blog/

FB https://www.facebook.com/

 

FoE Japan | 「8000ベクレル以下の除染土の再利用」方針をめぐる院内集会と政府交渉(5-2

 http://www.foejapan.org/energy/fukushima/evt_160502.html

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(ここから本文)

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みなさまは既に新聞情報等でご承知のことと思いますが、先般、経済産業省が福島第一原発のトリチウム汚染水について、処分期間と費用を、海洋放出など、いくつかの方法に分けて、初めて試算結果を公表しました。その内容は、まるで「何が何でも海洋投棄ありき」の愚か極まる内容で、要するにトリチウムなんぞは海に捨てれば薄まってしまってどうってことないから、カネかけて処理や管理をする必要なしという、彼らがあらかじめ決めている「所定の大方針」を押し付ける露骨な内容のものでした。経済産業省や日本政府、それにアベ自民党が原子力ムラに占拠され、腐ってしまっていることを赤裸々に示しています。

 

また、本来はこうした危険で出鱈目な原子力ムラや原発推進勢力の動きをけん制し、きちんとした対策を取らせるべき立場にある原子力規制委員会・規制庁が、その出鱈目の「ちょうちん持ち」ないしは「先兵」のような役目をはたし、田中俊一原子力規制委員長自身が、もうずっとずっと前から、トリチウム汚染水は海にぶん投げてしまえばいいんだ、という信じがたいコメントを繰り返しているのです。

 

福島第1原発事故からまだわずかに5年程度しかたっていないのに、この国の放射能や被ばく防護に関する出鱈目さ加減は目に余ります。しかも、その特徴は、原子力ムラやその代理店政府・自民党などが出鱈目を提唱し、それを多くの自治体や多くのロクでもない大学教授どもが「呼応」して、ともに出鱈目を増幅させる「被ばく翼賛」の状況を生み出しているのです。マスごみもその危険性を告発する記事や報道ができぬまま、この「翼賛」の旗をともに振り(福島県の地元2紙は今や「被ばく翼賛新聞」「原子力ムラ広報紙」状態です)、さながら「復興ファシズム」の状態です。

 

また、放射能や被ばくに詳しくない一般の有権者・国民・市民は、福島第1原発事故による放射能や被ばくは大したことはないのだと、またぞろ再び「原発安全神話」に代わる「放射能安全神話」「被ばく安心神話」にすがりつくありさまです。「復興」「復興」「復興」、福島を元に戻せ、放射能汚染のことはもういい、放射線被曝? なんだそれ、このようなセンチメントが広がっています。しかし、放射能の危険性は変わりませんし、また、ファシズムは善意に担がれてやってくることを忘れてはならないでしょう。歴史は繰り返すのです。

 

原発が危険極まりないことは福島第1原発事故で思い知ったはずですが、その危険性は放射能や被ばくがきわめて危険だからこそのことです。放射能や被ばくが、伝えられるように、ロクすっぽ調べられもせず、検査も調査も批判的検討も実証性もなく、危険でないのなら、原発だってたいして危険ではないということになるでしょう。原子力ムラが放射線ムラや政府各省庁を使って巨大な「安全安心キャンペーン」を展開しているのはこれを狙っているのです。同じことで二度だまされるのはアホウというものです。(そのほかに加害者・東京電力や事故責任者・国の賠償責任負担の軽減がねらいです。福島県民のため・・・??? 馬鹿言っちゃいけないよ、彼らは加害行為の賠償すらロクすっぽしていないではないですか!!)

 

以下、昨今の放射能汚染や被ばくに関する報道をご紹介しておきます。福島第1原発事故による放射能汚染は、今後、日本を長きにわたり苦しめ続けることになります。放射能は煮ても焼いても消えません。しかも、愚か者が大はしゃぎしているように、放射性セシウムだけが福島第1原発事故の汚染ではないのです。さまざまな危険極まりない放射性核種が環境に放出されており、生態系への悪影響を含めて、万全の警戒と被ばく回避の対策を、これから日本は超長期にわたり取り続けていく必要があります。それを、放射能は人間の5感に感じないことをいいことに「なかったものにして、あるいは屁理屈をこねくり回し、目先の放射能汚染対策・被ばく対策費用をケチりまくる」という「大方針」(これを国際放射線防護委員会(ICRP)では「ALARA原則」=「アララ変ね」の原則と言っている)は許されるものではありません。

 

また、もう一つ大事なことは、この「被ばく翼賛」体制の下で、既に判明している子ども甲状腺ガンの発症被害者の方々や、セシウム心筋症と思わしき突然死の多発など、福島第1原発事故の放射能が原因ではないかと疑われる被害者の方々が、きちんとした調査も検査も診断も治療も受けられずに、闇から闇へ葬られていくことになる可能性が高まっているということです。我々がアンテナを高くして事態の悪化に関心を高めるとともに、バカ者どもに遠慮することなく、徹底して放射能汚染管理の出鱈目や放射線被曝のゴマカシを告発し、批判し続けていくことが重要かと思われます。先般、『DAYS JAPAN』に掲載された広河隆一さんのレポートをご紹介いたしましたが、広河さんの言論・告発に続く、勇気ある発言が強く求められています。

 

 <別添PDFファイル>

(1)第一原発トリチウム 経産省が処分期間と費用 海洋放出など初試算(福島民報 2016.4.20 他)

(2)原発事故から5年たっても、福島の汚染地域は住んでいいレベルではない!!(桐島瞬『週刊プレイボーイ 2016.3.21』)

(3)トリチウム分離 実現困難(日経産業 2016.4.27

(4)トリチウム汚染水 処分どうする、海洋放出ありき?(東京 2016.4.26

(5)6年ぶり 潮の恵み、福島・相馬 アサリ漁再開(朝日 2016.4.20 夕刊)

(6)福島コウナゴ、築地潤す(水産経済 2016.4.7

(7)福島原発事故で汚染物質拡散、放射能の「環境基準」今もなし(東京 2015.11.28

(8)東京湾のセシウム汚染、印旛沼から拡散(東京 2016.4.14

 

 <「いちろうちゃんのブログ」より>

(1)トリチウム(三重水素)の恐怖  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-9414.html

 

(2)トリチウムの恐怖 (第2弾):次々と明らかになるトリチウムの危険性と、そのトリチウムを大量に環境に垂れ流す加圧水型原発の許されざる実態(川内、伊方、高浜、玄海、泊、大飯・・・・・) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-a868.html

 

 <関連サイト>

(1)汚染水問題って何だ、コレだ!

 http://f.hatena.ne.jp/skymouse/20130913142818

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/post-ad35.html

 

(2)福島)甲状腺がんの県見解、ロ報告書と矛盾 尾松氏講演:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/ASJ4H3JLHJ4HUGTB007.html

 

(3)あれから五年 福島からの避難者は今 (英語字幕つき) - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=DAc8K_to1Vc&feature=youtu.be

 

(4)2016318日 矢ヶ崎克馬教授 放射能公害避難者 訴えと実態 (沖縄県庁記者クラブにて) - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=hAeqtiIqv3c&feature=share

 

(5)乳歯保存ネットワークのご案内

 http://www.pdn311.town-web.net/

 

1.第一原発トリチウム 経産省が処分期間と費用 海洋放出など初試算(福島民報 2016.4.20 他)

 http://www.minpo.jp/news/detail/2016042030411

 

(関連)トリチウム海洋放出か!?〜生命体へのトリチウムの影響〜4-20原子力規制委員会文字起こし - みんな楽しくHappyがいい♪

 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4624.html

 

(田中一郎コメント)

 まず、放射線被曝=特に内部被曝は原理的に危険であることは自明です。人間の体を創る分子の結合エネルギーの何千倍、何万倍ものエネルギーを持った放射線が人間の体を内部から「焼く」わけですから、これに持ちこたえられる「人体」があろうはずがありません。また、一部のアホ学者が言っているように、内部被曝は細胞のDNAだけを破壊するのでもありません。常々申し上げてきたように、遺伝子の働きを制御するエピジェネティクス(エピゲノム)機能も含めて、人間の体と命のあらゆる秩序や営みを放射線がその猛烈なエネルギーで破壊してしまうのです。その被ばく=内部被曝を「たいしたことはない」というのなら、その実証的な証拠を見せてみよ、というのがポイントです。被ばくは遺伝的影響ももちろんあります。それも心配がいらないというのなら、その証拠を示せということです。(論より証拠、ゴタク並べる前に、証拠を見せろ!! 実証結果を示せ!!)

 

 トリチウムは従来考えられていた以上に危険であることが分かってきています。キーポイントは「有機結合トリチウム」です。上記でご紹介した「いちろうちゃんのブログ」をご覧ください。

 

2.原発事故から5年たっても、福島の汚染地域は住んでいいレベルではない!!(桐島瞬『週刊プレイボーイ 2016.3.21』)

 http://wpb.shueisha.co.jp/2016/03/20/62671/

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(中略)福島県や国の発表では、新田川の川底にたまる泥からは1600ベクレル/kgほどの放射能が計測されているが、水からは1ベクレル/kgも出ていない。しかし、昨年9月、市民団体が南相馬市原町区・中川原橋付近でこの川に麻布(リネン)を8日間浸した。回収した布の放射能を測定したところ、3430ベクレル/kgという高濃度のセシウムが検出された。

 

放射性物質の基準は、食品が100ベクレル/kg(乳幼児用は50ベクレル/kg)、牛乳が50ベクレル/kg、飲料水が10ベクレル/kgだ。つまり、のちのち飲み水となる川の水に浸した布には、飲料水の343倍もの放射性物質が付着していたことになる。長崎大学大学院工学研究科の小川進教授は、水中のわずかなセシウムをリネンが吸い取ったからだと指摘する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 この新田川の水を安全だと言うておる自民党政治家(特にマルタマ環境相)や霞が関官僚ども、それに福島県庁の役人や福島民報・福島民友の御用記者どもに、毎日飲ませんといかんな。それに、その水で風呂に入ってもらい、洗濯もしてもらいたい。

 

3.トリチウム分離 実現困難(日経産業 2016.4.27

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(中略)東芝は、トリチウムの凝固温度が水よりも高い性質を生かし、氷にトリチウムを取り込み、トリチウム濃度が上昇した氷を除去する方法で応募した。北大は水電解技術に燃料電池を組み合わせた、省エネ型の分離技術が使えるとした。(中略)いずれの技術も原発敷地内に貯蔵される60万トン以上のトリチウム水を、適切な費用と精度では処理できないと判断した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

「適切な費用と精度では処理できない」=なんだ、技術的にできないのではなくて、カネがかかるからしない、ということか。だったら、トリチウムを大量発生させる原発なんぞやめればいいのだ。

 

4.トリチウム汚染水 処分どうする、海洋放出ありき?(東京 2016.4.26

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2016042602000134.html

 

5.6年ぶり 潮の恵み、福島・相馬 アサリ漁再開(朝日 2016.4.20 夕刊)

 http://www.asahi.com/articles/DA3S12319781.html

 

(田中一郎コメント)

 何を書いとるのかね、このバカ新聞は。何が「海の恵みだ」、ドアホ。アサリなどの貝類は「海のそうじ屋」と言われ、生息域周辺の海水や泥を吸い込んでは吐き出し、そこに含まれるプランクトンその他のものをエサにしている。少し想像をするだけで、仮にそのアサリが生息する海域が少しでも放射能で汚染されていたら、そのアサリも厄介な汚染状態にあることは容易に想像できる。アサリは、ちょうど上記2.でご紹介した「リネン麻布」のようなもので、海水から放射能が検出されていなくても、その海域が広く薄く放射能で汚染されていた場合には、時間がたてば放射能を蓄積していく可能性は高い。特に放射性ストロンチウムが心配だ。福島第1原発から海への直接の汚染の広がりだけでなく、山から川の水となって海に注ぎ出てくる水や泥なども放射能で汚染されている可能性がある。

 

 何度も言うが、危険な放射能は放射性セシウムだけではない。海では放射性ストロンチウムや放射性銀なども危険、後者の放射性銀は、事故後まもなく、イカの内臓やアワビのワタ、カニなどからも検出されていた。朝日新聞よ、こうしたことをきちんと調査して報道しているのか!? (福島県の漁協は、アサリだけでなく、アワビも試験操業を始めるという。そして、こうした福島県産の魚介類は、その大半が水産物の流通に乗った段階で、他県産に虚偽表示されて売られていく可能性が高い。福島県の漁協系統よ、福島県沖での漁業をやめよ。このままでは、今度はお前たちが加害者になってしまうぞ。放射性セシウムだけをわずかなサンプルで調べてみても、そんなものは安全の保障にはならない。汚染物が出回ってしまう危険性が高いのだ)

 

6.福島コウナゴ、築地潤す(水産経済 2016.4.7

http://www.suikei.co.jp/%E7%AF%89%E5%9C%B0%E3%83%BB%E5%B9%B2%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%B4%EF%BC%8F%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%B4%E7%AF%89%E5%9C%B0%E6%BD%A4%E3%81%99/

 

(田中一郎コメント)

 コウナゴを食べるの、やめました。こういう骨ごと食べる小魚類は放射性ストロンチウムが怖い。

 

7.福島原発事故で汚染物質拡散、放射能の「環境基準」今もなし(東京 2015.11.28

 http://blogs.yahoo.co.jp/hata_akio_bag/12582255.html

 http://linkis.com/IBbUS

 

(ざけんじゃねーぞ、福島第1原発事故から何年たってると思ってんだ、このクソ野郎ども:田中一郎)

 

8.東京湾のセシウム汚染、印旛沼から拡散(東京 2016.4.14

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201604/CK2016041402000129.html

https://news.line.me/list/oa-tokyoshimbun/u7xdblgogkti/r1l5shxc9c8j

 

(まさか、こんなところで魚釣りをしたり、キャンプファイアーなどをノーテンキにやっているのではあるまいね。近い将来、苦しみたくなければ、近寄らないことです。それと、東京湾は関東北部や西部に降り注いだ放射性物質が川の流れとともに湾内に流れ込んできており、危険です。潮干狩りに海水浴、魚釣りに水遊び、命や健康と引き換えに「ENJOY」できますか? :田中一郎)

草々

 

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