« 放射線安全神話・放射能安心神話にはだまされません=国際放射線防護委員会(ICRP)の嘘八百を見抜こう | トップページ | (報告)新・もんじゅ訴訟スタート=高速増殖炉「もんじゅ」廃炉は当たり前・一刻も早く核燃料サイクル事業を中止せよ »

2016年3月25日 (金)

高浜1,2号機の 「老朽化」 を審査しないまま設置変更許可を出そうとする規制委・規制庁、危険なオンボロ原発運転期間延長の「だまし」のテクニック

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

原子力規制委員会・規制庁が、超危険な老朽化原発である高浜12号機の運転期間を原則40年の法的規制を超えて60年とさせるべく妙な動きをしています。その背景には、電力業界や原子力ムラ、それにアベ自民党政権からの圧力が陰に陽に感じられる事態となっています。そもそも原発の寿命は40年であることが福島第1原発事故後に原子炉等規制法に書き込まれ、当初は運転期限延長の原発は例外中の例外と説明されておりました。田中俊一原子力規制委員長自身が「20年延長は相当困難」などと、規制委発足の当時は口にしていたものでしたが、昨今では「個別に見て対応する」などと言葉を濁すようになっています。いつものパターンの「竜頭蛇尾」、あるいは「リップサービス」ですが、こんなことでは原発の危険性は高まるばかりです。

 

このほど原子力規制委員会・規制庁は、信じがたいことですが、高浜1,2号機について、その老朽化審査を先送りにしたまま、運転期間延長=再稼働のための「設置許可変更申請」の審査を基本的にOKとし、その結果をパブコメにはかりました(パブコメ期限=3/25)。しかし、そのやり方は、下記の朝日新聞記事にもあるように、原発の安全性審査を形骸化させ、老朽化したオンボロ原発を次々と運転期限延長させていくインチキ手法とでもいうべきものです。以下、簡単にその問題点を指摘し、この原子力規制委員会・規制庁の危険極まる行為に抗議したいと思います。こんなことでは、もはや原発の安全性の担保などできっこありません。原子力規制委員会・規制庁は、もはや「規制当局」としての機能と責務を失い、単なる原発稼働の追認機関=原発推進委員会になり果ててしまったと言えるでしょう。

 

●福井・高浜原発:「40年超」原発、初の適合 新基準、1.2号機 規制委 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/articles/20160224/dde/001/040/072000c

 

●(別添PDFファイル)原発耐震性確認先送り、規制委 高浜12号機 認可後に(朝日 2016.3.24

 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12273342.html?rm=150

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

東京電力福島第一原発事故後、原発の運転期間を原則40年とし、規制委が認めれば1度だけ最長20年延長できる制度ができた。高浜1、2号機の場合、経過措置で猶予された今年7月の期限までに、安全対策の基本方針の許可、工事計画の認可、運転延長の認可の三つが必要になる。

 

規制委は2月、40年を超える原発で初めて、安全対策の許可の前提となる審査書案を了承。この日の定例会は、耐震設計のもとになる地震の揺れの想定が引き上げられたことを踏まえ、格納容器内の重要設備を実際に揺らす試験で耐震性を確かめる方針を決めた。

 

 ただ、試験の時期は、工事計画認可を経て対策工事が終わった後の設備検査の段階でよいとした。関電によると、対策工事には年単位の時間がかかるという。工事計画認可は、海外の同様の原発の事例や1、2号機の耐震性の解析結果などをもとに判断する。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 <別添PDFファイル>

(1)原発耐震性確認先送り、規制委 高浜12号機 認可後に(朝日 2016.3.24

 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12273342.html?rm=150

 

(2)美浜3号機 廃炉も視野、安全対策費 最大2700億円に膨らむ(日経 2016.3.18 夕刊他)

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ18H94_Y6A310C1MM0000/

 

(3)(高浜)4号炉トラブル原因 電流量を過小設定(東京 2016.3.10)⇒ このメールの最後尾に私のコメントあり

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016031002000200.html

 

 <高浜1,2号機の設置変更許可にかかるパブリックコメント>

(1)パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198272011&Mode=0

 

(2)関西電力株式会社高浜発電所1号、2号、3号及び4号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について 原子力規制委員会

 http://www.nsr.go.jp/procedure/public_comment/20160225_01.html

 

(3)「パブコメのたね」は以下です。参考にしてください!(原子力規制を監視する市民の会 [2016.3.21 ]

 http://kiseikanshi.main.jp/wp-content/uploads/2016/03/t12tane.pdf

 

 <関連サイト>

(1)かんさい熱視線「どうする老朽化原発」(NHK - Dailymotion動画

http://www.dailymotion.com/video/xos29u_%E3%81%8B%E3%82%93%E3%81%95%E3%81%84%E7%86%B1%E8%A6%96%E7%B7%9A-%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%99%E3%82%8B%E8%80%81%E6%9C%BD%E5%8C%96%E5%8E%9F%E7%99%BA-nhk_news

 

(2)老朽化する原発 ― 技術を問う― 原子力資料情報室(CNIC

 http://www.cnic.jp/books/3423

 

(3)高浜原発1号圧力容器 脆性遷移温度95度に メルトダウンに至る危険性とは? 小出裕章4-25

 http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65802425.html

 

(4)展延性 - Wikipedia(延性-脆性遷移温度:DBTT)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%95%E5%BB%B6%E6%80%A7

 

(5)老朽化する原発(井野博満『科学 2011.7』)

http://www.nonukesshiga.jp/wp-content/uploads/03a3bdb4a0a5a43a9ac292d379b168c1.pdf

 

(6)原発がどんなものか知ってほしい(全):故平井憲夫さん

 http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

 

 <参考「いちろうちゃんのブログ」より>

(1)「原発・原子力の出鱈目てんこ盛り」シリーズ再開(16):老朽化原発をインチキ審査で再稼働する「破滅への道」=高浜12号の後ろには、他の老朽化したオンボロ原発の再稼働がわんさと待ち構えている  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/112-292b.html

 

(2)明らかとなってきた原発再稼働審査のゴマカシ(2):「脆性遷移温度」の予測数値をゆがめてまで老朽化した危険な原発を動かそうとしている=高浜1,2号機は危ないぞ!  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-9304.html

 

(3)(報告)3.8 (川内・高浜各原発)規制委院内ヒヤリング:原子力規制委員会は再稼働を推進するな=緩んでいたのは原発のボルトだけではなく、関西電力と原子力規制委員会・規制庁もだった いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/post-2869.html

 

(田中一郎コメント)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.原発「老朽化」審査の仕方がおかしい

 原発(再)稼働までの審査は、(1)原子炉設置変更許可申請、(2)工事計画認可申請、(3)保安規定変更認可申請、(4)使用前検査、(5)運転期間延長申請、(それぞれ電力会社の「申請」を受けて原子力規制委員会が審査)の5つですが(上記の朝日新聞記事一部抜粋の記載は不正確)、それを規制委は、(1)の設置変更許可を、(2)、(3)、(4)、(5)と切り離して、単独で先行パスさせようとしているのです。その際、上記の朝日新聞記事一部抜粋にもあるように原発老朽化に伴う耐震性審査を先送りしています。

 

 しかし本来は、こうした審査は「一体のもの」としてなされるべきものであり、まるで審査進捗のアリバイづくりをするかの如く、設置変更許可だけを「審査」してパスさせるというのはおかしな話です。特に老朽化した原発の場合には、(1)原発装置・機器類や構成素材の劣化・脆化の度合いが如何ほどなのかを見極めることが最重要であることや、(2)そもそも原発の設計そのものが現在の水準の安全基準をクリアできるのかどうかを見極めることが重要で、そのためには、まず、実際の原発が40年を経過してどこまで傷んでいるか、原子炉の現場はどうなっているか、これまでどのようなトラブルがあり現場ではそれにどう対処してきたか、などの現状確認を徹底して行うことが先決であろうと思われます。

 

 常識で考えても、原発の老朽化の審査を終えないまま、たとえば(2)「工事計画」の認可をしてしまい、それに基づく「工事」を進めながら「老朽化」の審査をするというのは、いかにもおかしな話です。「老朽化」審査で、そんな程度の工事では不十分だ、ということは十分にありうる話だからです。

 

 原子力規制委員会・規制庁は、こうした「当たり前」の審査手順を踏まずに「書類上の整合性」や「形式論的な建前確認」を先行させ、かつ、実質的には、そうした「書類審査」にのみ重点を置いた、現場と実態軽視の「形だけの審査」「書類審査」で済ませようとしている様子がうかがわれるのです。

 

2.そもそも古い原発はスタート時点からおかしい可能性あり

 運転開始から約40年が経過した老朽化原発は、原発の設計図通りにつくられているのかどうかが怪しい、いやそれ以上に、40年間にわたる原発の管理や引継ぎなどがいい加減で、設置当初の設計図の存在すらも怪しいのではないかと思われます。また、その40年の間に様々な補修や修繕、あるいは改良工事などを行っている可能性がありますが、しかし、そうした「原発の改良・改造」の経緯がきちんと第三者が見て分かるように記録され、保存されているかどうかも怪しく、老朽化原発の最新の状態を図示する設計図さえもない状態が考えられます。

 

 原発を審査するにしても、まず、実際の原発がどうなっているのか=これまでの管理やメンテナンスが適正・適切であったのかどうか、原発の設計図の存在確認から、その設計図通りの施工がなされているのかどうかの確認など、そもそもの審査の第一歩のところが「あやふや」「あいまい」「いい加減」なままではないのでしょうか。仮に、設計図もない、現状確認もできない、これまで手抜きばかりしていた、などという管理レベルの低い原発であるならば、その原発は「審査」の入り口の段階で「×××」としなければならないはずです(高速増殖炉「もんじゅ」の例)。

 

 特に関西電力と加圧水型原子炉メーカーの三菱重工業は、20048月に美浜3号機で長期間の点検漏れによる配管破断を起こし、作業員を死亡させる事故を起こしました。破断した配管は、原発が運転を開始して以降、ただの一度も点検されていなかったという信じがたいずさんなもので、原発全体が過酷事故に突入しなかっただけでも不幸中の幸いと言えるものでした。今回の高浜原発もまた、そのような会社が製作し運転してきたものです。厳重なチェックや審査が必要なことは言うまでもありません。

 

(ここ数年、耐震設計偽装や建築施工偽装(杭打ち偽装)などが建築業界で発覚して大問題となっています。しかし、我が国の原発・核施設は、このインチキ常習犯とも言える建設会社・建設業界が創ったものであることを忘れてはいけないでしょう。原発だけは他の建築物とは異なり、万全の取組をしているなどということは期待できるものではありません。それどころか、上記の故平井憲夫氏の説明にもあるように、原発現場の実態は「出鱈目の宝庫」「インチキのデパート」そのもので、危険極まりないのであって、今、その危険物が老朽化したものを、更に運転期限延長を行おうとしているわけなのです。「40年超は例外中の例外」というのは「言い過ぎ」でも「リップサービス」でもなくて、原発の危険性を考えた場合には当然のことなのです)

 

3.原発の現場実態を知る人がリタイアーしていなくなる=40年という運転期間の一つの根拠

 仮にいい加減な管理状態の原発があったとしても、今までなんとかやってこれたのは、各原発施設のベテランの現場監督・管理職の人が、長い期間の一連の経緯をよく理解して記憶していたので、その人知に頼ってやってきたということではないかと推測します。原発寿命40年の根拠は、この辺にもありそうです。原発の現場従事者は、2世、3世となるにつれて質が低下し、作業の仕方、現場の監督、仕事への責任感なども劣化していて、要するにいい加減で無責任が蔓延する体制になっている場合もあり、かつ、そういう中で、過去のことがわからない・知らない人間ばかりになってしまった可能性もあるのです。

 

 審査をパスして再稼働したばかりの高浜4号機の一次冷却系が水漏れを起こし、その直接の原因が「ボルトのゆるみ」だったことや、その後、過剰電流が流れてスクラムとなってしまったことなどは、こうした原発の現場の労務実態のレベルの低下=質的劣化を象徴しているように思われます。

 

●平井憲夫さん:原発がどんなものか知ってほしい(全)

 http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

 

4.原発という巨大な施設を、どうやって隅から隅まで現状の状態を点検して回るのか

 先般3/8の規制庁ヒヤリングの際には、規制庁の若い役人は、この「原発の現状把握」について、「工事計画認可や使用前検査でやる」と説明しておりました。「うそつけ」です。あれほどの巨大な施設ですから、通常の定期検査でも13か月もかかっています。通常の定期検査の場合には、原発施設の重要度分類に従って、検査や点検にメリハリをつけてやっている(つまり重要度の低いものは簡易な検査や手抜きをする)わけですが、40年を経過した老朽化原発では、そういうことは許されないでしょう(そんなことをしたら事故のもとになってしまいます)。すべての装置や機器類について、その状態をしっかり確認していく必要があります。しかし、そんなことは出来るはずもありません。実際、先般発覚した「電気ケーブルの設置状況違反(防火対策違反)」について、原子力規制委員会・規制庁は、全国の原発にそうした違反がないか確認せよとの通知を急きょ出しましたが、再稼働させる予定の高浜原発や川内原発については、たった1か所を点検して、それで事足りたとしているのです。老朽化原発についても、万事、こんな調子で現状確認・現場実態の把握をしていく可能性が高いと言えるでしょう。それでは老朽化原発は危なくて仕方ありません。

 

5.設計そのものが古くてどうにもならない

 海外では、加圧水型原発の安全対策がこの40年間で相当程度進み、重厚な手当てがなされているように思われます。それとの比較で、運転期間延長申請が出された原発の現時点の状態が、要請される高い安全水準に達しているかどうかはきわめて怪しいと言わざるを得ません。特に、設計そのものが古くて、どう手を付けても要請される安全水準が確保できない原発もあるはずで、そういうものは申請の初期の段階で「×××」とすべきでしょう。例えば、欧米の原発では当たり前になっている、コアキャッチャー、厳重なフィルター付きベント装置、格納容器の緊急大規模冷却装置、原発施設全体の防水体制、そして二重の格納容器などです。特に、日本の加圧水型原発の炉心溶融(メルトダウン)対策が、コアキャッチャーや、従来のECCSとは別の落下溶融炉心冷却水供給系のないままに、それらが装備された欧米の原発と同じようなものであるというのは危険極まりないのではないかと思われます。再考・再検討が必要です。

 

6.圧力容器の脆性遷移温度と中性子照射脆化の問題は未解決

 これについては、これまでもご案内してきましたので、上記でご紹介したサイトをご覧ください。井野博満東京大学名誉教授(金属材料学)や小岩昌宏元東北大学金属材料研究所教授・京都大学工学部教授らの、金属工学の専門家から、「危ない」「脆性遷移温度の予測の仕方が非科学的で、実際はもっと脆くなっている可能性がある」などの指摘が出ており、この注告を真摯に受け止めることが重要です。御用学者たちだけの屁理屈と現状追認でGOサインを出せば、近未来に「圧力容器全面破壊」(熱湯を注いだガラスのコップのごとくパリンと割れる)という破局を迎えることになるでしょう。日本の生死にかかわります。

 

7.ごまかされる原発の40年運転期限

 高浜1,2号機は既に運転開始から42年が経過しており、本来ならば「アウト」なのを、原子力規制委員会・規制庁は様々な屁理屈と小細工で「生き残り」を認めています。加えて、上記1.のようなおかしなことをしているのは、きちんとやると、すべての審査を終えるのに何年間もかかり、原発寿命の40年間をはるかに超えてしまう他、更に、延長寿命60年間の大半を審査に要してしまうという皮肉なことが起きてしまうからです。老朽化原発を「創意工夫のある審査」(皮肉です)でパスさせることで、法定運転期限の40年を超過しても使っていこうとする電力会社と原子力規制委員会・規制庁のコワークのようですが、いったい何のために「審査」をしているのでしょうか?

 

8.形骸化するパブリックコメント

 驚いたことに、老朽化原発のパブコメは、今回なされた(1)「設置変更許可」申請の審査結果に関するものだけで、今後審査の対象とされる上記(2)(3)(4)(5)についてはパブコメは行わない方針だと原子力規制庁は言っています。特に(5)について実施しないというのですから、老朽化原発の運転期限延長に関しては有権者・国民・市民の意見を聞くつもりはないというに等しい行為です。それだけ老朽化原発の寿命延長には問題が多く、また、原発のことに詳しくなくても、常識的に見て、おかしなことだらけであることが推測されます。そうしたことが浮き彫りにされないよう、有権者・国民・市民にオープンにならないよう、原子力規制委員会・規制庁が(電力業界や原子力ムラのために)「気を効かして」パブコメを中止してしまったと言えるのではないかと思われます。

 

(なお、原子力規制委員会・規制庁が実施するパブリックコメントは、有権者・国民・市民より提出された意見や見解などが実際の原発・核施設の審査に活かされることがほとんどなく、規制委・規制庁が考えている規制や審査を押し通していくための形式的手続きにすぎなくなってしまっている実態があります。パブコメがそもそものところで歪められてしまっているのです)

 

(1)原子炉設置変更許可申請、(2)工事計画認可申請、(3)保安規定変更認可申請、(4)使用前検査、(5)運転期間延長申請)

 

(その他、老朽化原発にかかる諸問題)

 その他、老朽化原発の運転期限延長にかかる諸問題については、上記でご紹介した「原子力規制を監視する市民の会」の「パブコメのたね」をご覧ください。非常によくできていると思います。福島第1原発事故の実態解明や原因究明ができていないことをはじめ、基準地震動・基準津波の低すぎる水準、電気ケーブルの不燃化の問題や汚染水対策の欠如、避難計画のノーチェックや、白塗りの秘密だらけ・隠蔽だらけの「審査結果」の公表の問題など、老朽化原発以外の一般の原発・核施設の再稼働審査と共通する問題なども指摘されています。是非、ご覧になってみて下さい。

 

 また、今回の高浜1,2号機については、3,4号機とセットで「設置変更許可」申請にOKが出されようとしています。これは、高浜3,4号機の緊急時対策所が、1,2号機を稼働しない前提で、1,2号機の施設の一部(会議室)を利用する形で、これまで「設置変更許可」がOKとされていたためで、今回、別途、緊急時対策所を新たに建設することにしたために、3,4号機の「設置変更許可」が申請されているのです。もちろん、その「緊急時対策所」が九州電力の緊急時対策所と同様に、免震構造ではないとか、面積や機能面で話にならないくらいに過小であるとか、大問題があることは申し上げるまでもありません。

 

 更に、先般の大津地裁による高浜3,4号機の運転差止の判決が出たことを考慮に入れれば、今回の「設置変更許可」申請や、それに対してOKを出した原子力規制委員会・規制庁の「審査」結果については、いったん撤回するか、あるいは「棚上げ」にして裁判の今後の進捗を見守るか、あるいは、これまでの審査の内容をより厳格な方向で見直しするのが常識ではないかと思われます(高浜1,2号機については自動的に廃炉)。それをせずに、田中俊一原子力規制委員長みずからが、大津地裁判決は原子力規制委員会・規制庁の原発再稼働審査には影響しない、などとうそぶいていることが、この原子力規制委員会・規制庁という組織の堕落とその正体を赤裸々に示していると言えるのではないかと思います。

 

(美浜3号機では基準地震動の大きさが引き上げられたため、従来の評価方法では要求される耐震性が維持できなくなっている)

 上記でご紹介した日経記事にもありますように、美浜3号機では、基準地震動が750ガルから993ガルに引き上げられたため、従来の方法では原発の耐震性が要求される水準に達せず、審査をパスできない状態に陥っているようです。しかし、関西電力は、今度は原発の耐震性評価を従来の方法ではないやり方=新しいやり方で評価しなおし、なんとか引き上げ後の基準地震動でも審査をクリアできるようにしたいと頑張っているようです。まさに「インチキ」を絵にかいたようなことですが、今後の美浜3号機の運転期限延長審査の行方に注目が必要です。

 

 最後に、福島第1原発事故から5年、この間、一貫して原発・核施設や原子力ムラの出鱈目を熱心に監視し、今回の「パブコメのたね」のように私たちドシロウト市民にもわかるように、平易に適切に情報提供をし続けて下さっている坂上武さんや満田夏花さんをはじめ、「原子力規制を監視する市民の会」のみなさまには心より感謝申し上げます。

 

●「パブコメのたね」は以下です。参考にしてください!(原子力規制を監視する市民の会 [2016.3.21 ]

 http://kiseikanshi.main.jp/wp-content/uploads/2016/03/t12tane.pdf

 

(老朽化原発の運転期限延長と再稼働問題は、原発問題の中でも最重要ですので、これからも監視の目を強くしていきたいと考えています。上記でご紹介申し上げました文献やサイト等につきましては、ご覧になるのが大変だとは思いますが、ぜひ、少しずつでも目を通していただければと思います。よろしくお願い申し上げます:田中一郎)

草々

 

 <追>

●(高浜)4号炉トラブル原因 電流量を過小設定(東京 2016.3.10

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016031002000200.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 関西電力は九日、高浜原発4号機(高浜町)が発電系統のトラブルで緊急停止した原因と対策をまとめた報告書を原子力規制委員会に提出した。過電流を検知して警報を発する計測器の設定値が低かったことが原因と結論づけた。

 

 4号機は二月二十九日、発電機と送電線をつなぐ「並列」の作業をした直後、送電線側から設定値を超す電流が流れたのを計測器が検知し、原子炉が緊急停止した。設定値はフル出力時の30%の電流で、計測器には35%の記録が残っていた。停止中に通常の計測器を取り換えたため、別の計測器で代替。並列時に一時的に流れる送電線側からの電流を過小に見積もっていた。

 

(中略)「一時的な電流評価をチェックするルールがなかった」。豊松副社長は、過電流を検出する計測機器が不適切な設定になっていた原因をこう説明した。発電機メーカー任せになっていたと認め、「教育不足」とも述べた。今後は関電、メーカー、協力会社がチェックする態勢に改めると説明。長期の定期検査中に設定を変更したり、新設したりした計測器など三十六点も妥当性を再検証するとした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 バカバカしい説明だ。「一時的な電流評価をチェックするルールがなかった」などというが、そもそも、流れる電流はいかほどが適切なのか、はっきりしているのか(「過電流とは何か、何故、発生するのか」)、また、はっきりしているのなら、何故、おかしな電流上限値がセットされていたのか、上記の説明ではさっぱりわからない。もし、前者がよくわからないのなら、過電流が流れた理由も含めて、徹底した調査や検討が必要だろうし、そうではなくて後者であるというのなら、それは現場の労務管理の問題となる。同じ4号機の「ボルトのゆるみ」問題と同様に、関西電力の現場の管理監督や労務がたるんでいて、いい加減・無責任体制が蔓延しているということではないのか。

 

 いずれにせよ、この「過電流スクラム」問題もまた「ボルトのゆるみ」問題と同様に、関西電力やそれを管理・監督・規制する原子力規制委員会・規制庁に大問題があることを赤裸々に有権者・国民・市民に見せつけてくれた事件だった。はたして、かようないい加減で出鱈目で、かつ説明責任も果たさない無責任会社の関西電力に原発を稼働・運転する資格があるのかも含め、再度、厳重なチェックが必要であるといえるのではないか。

 

 

« 放射線安全神話・放射能安心神話にはだまされません=国際放射線防護委員会(ICRP)の嘘八百を見抜こう | トップページ | (報告)新・もんじゅ訴訟スタート=高速増殖炉「もんじゅ」廃炉は当たり前・一刻も早く核燃料サイクル事業を中止せよ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 放射線安全神話・放射能安心神話にはだまされません=国際放射線防護委員会(ICRP)の嘘八百を見抜こう | トップページ | (報告)新・もんじゅ訴訟スタート=高速増殖炉「もんじゅ」廃炉は当たり前・一刻も早く核燃料サイクル事業を中止せよ »

最近の記事

無料ブログはココログ