いわゆる「自主避難者」に対する京都地裁の賠償命令判決について(速報)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
今般のいわゆる「自主避難者」に対する京都地裁の賠償命令判決について、さしあたり新聞記事(東京新聞、朝日新聞、毎日新聞の3紙)だけに基づいて簡単にコメントします。
●東京新聞 自主避難で東電に賠償命令 京都、原発事故後初めて社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016021801001382.html
●福島から自主避難、東電に3千万円賠償命じる 地裁判決:朝日新聞デジタル
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12216286.html?rm=150
http://www.asahi.com/articles/ASJ2L53T6J2LPTIL018.html
●自主避難で不眠・うつ 原告「東電は責任を」 賠償判決:朝日新聞デジタル
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12216269.html?rm=150
●福島原発事故:自主避難 東電に初の賠償命令 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160218/k00/00e/040/238000c
(3紙では朝日新聞が最も詳しく、次が毎日新聞です。東京新聞は昨今、原発関連の記事が薄くなってきているように感じます。こちら特報部以外の記事はもっと頑張っていただかないといけません。朝日新聞には、井戸謙一弁護士の談話の他、他の方のこの判決に対するコメントも掲載されています)
まず、真っ先に申し上げておかねばならないのは、「原子力損害賠償紛争解決センター」(以下「センター」)によるADRの内容があまりに被害者に対して不利で、いったいこのセンターは何のために仕事をしているのか、ということが繰り返されています。この被害者家族に対して、たったの1,100万円の賠償和解金というのはひどい話です。ふざけんなよ、この野郎、という話です。提訴して当然ですが、提訴の負担がこの家族を襲っているわけですから、「センター」もまた加害者に転落しています。
少し前に、「原子力損害賠償紛争審査会」や「センター」を所管している文部科学省が、原発事故ADRの背後で、賠償金額を可能な限り極小化するための裏工作をしていることを毎日新聞がすっぱ抜きました(下記参照)。それがいよいよ本格的に表れ始めていると言えるでしょう。(下記サイトは既にリンクが切れていますが、そういう記事が2014年の夏から秋にかけて紙面掲載されたことは隠せません)
●(毎日新聞)ゆがんだ償い:切り捨てられる原発被害者=その背後でうごめいていたのは文部科学省(下村博文文相)と自民党政権だった
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-c237.html
それから、「風評被害」という言葉と同様に「自主避難者」などという言葉も使うな、と言いたいですね。誰が好き好んで避難など「自主的に」しますか。バカ言うな、という話です。民主党政権が決め、自民党政権が再編した政府の「避難指示区域」に科学的実証的な根拠などあるはずがありませんし、避難指示が出なかった地域でも、避難しなければ危なくてしょうがない地域はたくさんあります。そんなものに基づいて原発事故賠償金額に差が付けられていること自体、重大な人権侵害であり犯罪行為なのです。「避難指示区域」は原発事故賠償を極小化するために霞が関官僚が考え出した「対応策」の一つであり、それを原子力ムラの代理店政治集団である自民党と民主党が利用している、ということに過ぎないのです。もちろん、その背後で、原子力ムラの皆の衆=東京電力はもちろん、電力会社や原発メーカーやその労働組合、御用学者たちは、しめしめとばかりに、ほくそ笑んでいるに違いありません。
(この判決で評価できる点)
(1)いわゆる「自主避難者」(上記参照)に対して初めて損害賠償を認めたこと
(2)「センター」のADRを上回る金額を判決したこと
(3)仕事ができなくなる夫の発症した疾患の原因として福島第1原発事故を認めたこと
(4)「原子力損害賠償紛争審査会」の「指針」の対象外でも個別事情に応じて損害賠償を認めるとしたこと
(この判決が不当である点)
(1)一家5人に対してたったの3千万円では話にならない。金額が不当に圧縮されている(請求は1億8千万円=これくらいは当然)
(2)自主避難を続ける合理性があったのは2012年8月末までとしたこと。ふざけるな、です。
(3)年20mSv未満で放射線被曝が健康に影響を与えると認めるのは困難、とした点、これもふざけるな、です。この裁判官には、この判決の結果責任を取ってもらわなければいけません。覚悟しとけ、という話です。
(4)慰謝料の金額が少なすぎることに加え、「避難指示区域」内外での金額格差についての認識がなさすぎます。特に、子ども3人への慰謝料追加上乗せが退けられているのは受け入れられません。
(5)諸処の事情で避難先を変えたことについても賠償を認めていません
(6)夫の就業困難になった原発事故理由の割合がたったの40%です。これもけしからん話です。
(7)おそらく、まだあるでしょう
日弁連は、この判決を原発事故に伴う重大な人権侵害追認判決(損害賠償の事実上の「大半踏倒し追認」判決)と位置づけ。悪質な交通事故被害者に対して支払われている賠償金額の査定と比較検証したレポートを発表していただきたい。この国は、原子力出鱈目王国に転落するのか否かの瀬戸際にあります。こんなものが「一般化」すれば、原発事故は「泣き寝入り」が「当たり前」になってしまいます。日本の弁護士界や法曹界が、この極めて悪質な原発(事故)による人権侵害から有権者・国民・市民を守れないのなら、存在する意味はないと言ってもいいでしょう。自分たちの存在を賭して、全力で事に当たっていただきたい(原子力ムラに与している悪徳弁護士の多いこと、多いこと、あきれるわ)。
また、「センター」の裏側で画策している文部科学省の「賠償金額抑え込み」工作を徹底して暴露・糾弾していかなければいけません。政府の悪事を有権者・国民・市民の力で潰し、被害者完全救済を目指す必要があります。さしあたり、「センター」の幹部弁護士(運営に関与している少数のロクでもない御用弁護士が「裏工作」しているようです)を更迭するのが先で、更に、「原子力損害賠償紛争審査会」を解散し、「センタ―」独自のADR方針を改めて策定し直す必要があります。
(たとえば、あらゆる被害の原発事故関与率を50%以下にする「闇の切捨て方針」が生きている様子です(今回も被害者の夫の疾患への原発事故寄与率は40%でした)。ですので、関与率については、逆に「原則として、あらゆる場合に、原発関与率の最低限度を50%にする、50%未満する場合には、相当の強い理由がなければならない」とすればいいのです)。
その場合、「センター」も、新たな指針を策定するかもしれない新組織は、下記の原則を基本とすべきです。また、今後は、こうした原発事故の損害賠償に事業者自身だけで対応できるよう、金額無制限の民間保険の付保を原発稼働の条件とする「法律」を策定すべきです。国は原発事故保険についても、手を出すな・支援をするな、ということです。
<賠償・補償・再建支援:5原則+α(同時代に生きる人間としての使命・倫理)>
賠償・補償・再建支援が全く不十分で出鱈目=21世紀最大の人権侵害事件
賠償・補償・再建支援がきちんとならないと被害者はいつまでも救われない
1.全ての被害者の全ての被害・損害が何の留保条件を付けられることなく全額賠償または原状復帰されること(逸失利益含む)
2.全ての被害者の生活及び経営が再建されること(費用,段取り,その他の負担のすべてを加害者が負うこと)
3.上記②の再建が確認できるまでの間,全ての被害者の生活及び経営を補償すること
4.2011年3月11日以降,上記の賠償・補償・再建費用が実払いされるまでの間,電気料金遅延にかかる「遅延損害金」と同利率(10%)の「遅延損害金」が被害者に支払われること
5.悪質な交通事故被害の場合以上の慰謝料(迷惑料)が被害者に支払われること
6.(+α)被害者の被害は「お金」に変えられないものも多い。その部分を加害者・東京電力(及び原発メーカー)や事故責任者・国が万全にフォローすること
(井戸謙一弁護士と米倉勉弁護士の談話を朝日新聞記事から下記に転記しておきます)
●井戸謙一弁護士
「井戸謙一弁護士も「現行の賠償枠組みに納得できない人たちに勇気を与える」と判決を評価。「原発事故の被害者には全く落ち度がない。損害は100%回復されるべきで、今回の賠償額はまだ少ない」と述べた。
●米倉勉弁護士
「「原発事故全国弁護団連絡会」の代表世話人を務める米倉勉弁護士は「自主避難への賠償を一部認めた点は評価できるが、東京電力が賠償すべき期聞を限定し、『年間被酸量が20ミリシーベルト以下なら避難の必要はなかった』とした点などは大いに問題で、受け入れがたい判決だ」と話した。」
最後に、大事なことを1つだけ申し上げますと、福島第1原発事故という未曽有の悲劇・事故・犯罪が起きてしまい、かつ、その事故の後始末や賠償・補償・再建支援などの被害者救済が出鱈目で重大な人権侵害になっている最大の理由は、私たちの多くが未だに自民党や民主党という原子力ムラ代理店の政治家どもに、あらゆる選挙のたびごとに投票をしたり、投票を棄権したりしているからです。また、裁判所や日本の司法が出鱈目な判決を繰り返している理由は、衆議院選挙のたびに実施されている最高裁判事の国民審判をきちんとしないで、白票投票する(信任と同じ)・棄権する、などということを繰り返しているからです。
日本国憲法にも書かれているように、有権者・国民・市民の「権利」は、有権者・国民・市民の不断の努力によって守ることができるのです。言い換えれば、努力を怠る愚かな民には、デキソコナイのロクでもない政治が襲い掛かるということを意味しています。政治をほったらかしにすれば、「悪貨は良貨を駆逐」して、ひどい社会に陥ちていくということです。
次期国政選挙(どうも今年(2016年)4月下旬に、参議院選挙に先駆けて、衆議院選挙がありそうだ、という「説」が広がり始めています)を含むすべての選挙で自民党議員を落選させ(民主党はとりあえずパス=「野党は共闘」)、かつ、最高裁判事の国民審査は全員を×××とすることが重要です。
草々
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