(報告)シンポジウム 新たなバイオハザードの危険性:(第一部)武蔵村山市の国立感染症研究所のBSL4施設が危ない (2)生命操作の新たな世界とその危険性
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
さる2月6日(土)、飯田橋の雄山閣会議室におきまして「シンポジウム 新たなバイオハザードの危険性」が開催されました。第一部が「武蔵村山市の国立感染症研究所のBSL4施設や長崎大学が新規導入を画策しているBSL4施設の危険性と諸問題について」で、第二部が「生命操作の新たな世界とその危険性」(遺伝子組換えやバイオテクノロジーなど)でした。
(注:「BSL4」とは、バイオ・セイフティレベルが「4」=最も高いレベル、という意味です。下記ウィキペディアの解説を参照してください)
バイオテクノロジーの世界は原発の世界と瓜二つと言われるほど、その出鱈目さ加減と危険性が類似している「業界」ですが、今般久しぶりに、このバイオの問題に取組む専門の市民団体の話を聞いてみて、そのひどさ加減と両「業界」の酷似した(歪んだ)体質を改めて確認し、驚きと恐怖を感じた次第です。以下、当日のレジメ等に加え、昨今の遺伝子組換え情報などについても若干のことを加え、簡単にご報告いたします。
<別添PDFファイル>
(1)シンポジウム「新たなバイオハザードの危険性」(第1部資料):武蔵村山感染研施設(2016.2.6)
「baio_sinpo_no1.pdf」をダウンロード
(2)シンポジウム「新たなバイオハザードの危険性」(第2部資料):生命操作の新たな世界とその危険性(天笠啓祐 2016.2.6)
「baio_sinpo_no2.pdf」をダウンロード
(3)安全って、本当ですか? 武田薬品湘南新研究所を問う(2015.11.30)
「takeda_baio_sisetu.pdf」をダウンロード
(4)生鮮パパイヤ輸入推移
「papaiya_yunyu.pdf」をダウンロード
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(5)米国に流出する日本人「遺伝情報」(『選択 2016.1』)
(6)拡散する遺伝子組み換え作物、迫る遺伝子汚染の恐怖(金川貴博京都学園大学教授『食べもの通信 2016.1』)
(7)中国がGM3位企業のシンジェンタを買収へ(日経 2016.2.4)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM03H4D_T00C16A2000000/
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1YK3Y6JTSE801.html
≪関連サイト>
(1)バイオ・セーフティレベル - Wikipedia
(2)(当日録画:但し一部)2016-02-06 シンポジウム「新たなバイオハザードの危険性」(動画) IWJ Independent Web Journal
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/286207
(3)バイオハザード予防市民センター(ここに今回のイベントの詳細が解説されています)
(4)WWF黒書 世界自然保護基金の知られざる闇-ヴィルフリート・ヒュースマン/著 鶴田由紀/訳 本・コミック : オンライン書店e-hon
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033361629&Action_id=121&Sza_id=GG
(第一部)シンポジウム「新たなバイオハザードの危険性」(第1部資料):武蔵村山感染研施設(2016.2.6)
別添PDFファイルのレジメには、下記の4つが入っています。
報告1 「バイオ時代の感染症」新井秀雄(共同代表、元国立感染研主任研究官)
報告2 「WHO指針とバイオ事故」長島功(事務局長)
報告3 「バイオ施設の管理の実態」川本幸立(幹事)
報告4 『現地からの報告」須藤博(武蔵村山市議)
(一部抜粋)
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<現在の主な取り組み~感染研村山庁舎と長崎大学のBSL4施設問題>
日本学術会議の提言(2014年)、長崎大学による施設誘致運動など、マスメディアも含めて、「国策」としてBSL4(治療法もなく致死率の高い病原体を扱う)施設の建設、稼働を求める声が大きい。いずれも、バイオ施設がバイオハザードの発生源となる危険性を指摘したWHOの指針や勧告など無視して、「安全神話」(HEPAフィル夕、安全キャビネット)の虜となり、都心に建設することを推奨している。
東京都武蔵村山市にある国立感染症研究所(感染研)村山庁舎にあるBSL4施設は、1981年の建設後、歴代市長、地元議会、住民の反対で一度もBSL4実験を行えずにきた。しかし、昨年の西アフリカでのエボラの流行を受け、厚労大臣との協議の結果、市長は今年8月、「稼働やむなし」と方針転換を表明した。住宅、老人施設、障碍者施設、幼児や老人が過ごす公園など人口密集地の真ん中にある施設から、人為的過誤やミス、排気や排水を通じて、あるいは地震や火災などの災害により病原体が漏えいすれば、条件によっては原発大事故同様、回復が極めて困難で甚大な被害を招来する危険性がある。
事実、当会が文書開示手続きにより入手した情報によって、感染研では「責任ある管理」など行われてはおらず、耐震性も不足し、建築、設備、実験設備などの経年劣化が進行し、注射針刺し事故も繰り返し起きているこどが判明した。「安全キャビネット」も不良品が多く、肝心のHEPAフィルタの現場試験も感染症法が定める技術基準を満足しているか疑わしいのが実態である。
<今後の目標と課題~BSL4施設からのバイオハザードの未然防止>
BSL4施設は国内に必要か? 実は、感染研ではBSL4病原体による感染症の診断については、BSL3以下の施設で行える検査体制がすでに感染研では確立されている。また、侵入を防止する柱は侵入門戸での検疫体制の構築と充実である。要するに、BSL4施設稼働左、BSL4病原体の早期診断、国内侵入阻止どは直接的には関係ない。日本学術会議や厚労省、長崎大学らの本当の目的は、BSL4病原体を生きたまま(増殖しうる状態で)施設内に持ち込み、場殖実験、動物感染実験、遺伝子組換え実験などの基礎研究を行うためであることに他ならない。こうした基礎研究は、バイオテロなどの防止の観点からも流行現地で国際的な協
力の下に実施されるべきである。「国家威信と研究者のエゴ」を「国民の生命の権利」
よりも優先させることは許されない。
以上のことを周知、共有しながら、BSL4施設問題に取り組み、バイオハザードの未然防止に取り組んでいきたい。(文責幹事川本幸立)
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(田中一郎コメント)
そもそも「治療法もなく致死率の高い病原体」による感染症の対策は、上記にもあるように、入国または輸入の際の検疫所の施設や体制の拡充と、そこでの厳重チェックによる「水際防止」=つまり国内に病原体を持ち込ませない・侵入させないことである。しかし、政府・厚生労働省や国立感染症研究所、あるいは長崎大学などは、しきりにBSL4施設の設置や使用を求め続けている。背後でこれを推進しているのは、塩崎恭久と安倍晋三らしい。とすれば、彼らの狙いは、アメリカの下請けとしての「生物兵器」なのか? また、研究所や大学の側は、難病に効く新薬を危険な病原体の生物実験を使って開発し、特許で大儲けを狙っているのかもしれない。いずれにせよ、BAL4施設のある地域住民にも、もちろん有権者・国民にとっても、何の意味もない危険極まる「お遊び」であって、こんなものは断固としてやめさせるべきである。
加えて上記の「報告2」や「報告3」では、研究所や大学などでの危険なバイオ施設の日常的な管理が如何にずさんで、特に国立感染症研究所や長崎大学などは、管理規則として決められたことさえもまともに守られていない、出鱈目極まることをしていることが明らかにされている。まるで高速増殖炉「もんじゅ」のずさん極まる管理をしていた(独)日本原子力研究開発機構とそっくりそのまま同じようなことを繰り返しているのがこの国立感染症研究所であり長崎大学なのだ。こんなところにBSL4施設を与えるなど、とんでもない話である。
(国立感染症研究所関連サイト)
●国立感染症研究所
●国立感染症研究所 - Wikipedia
●国立感染症研究所村山庁舎のBSL4施設|武蔵村山市公式Webサイト
http://www.city.musashimurayama.lg.jp/torikumi/4374/index.html
●エボラ扱える「BSL4」に指定 武蔵村山の感染研:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASH873404H87ULBJ001.html
(長崎大学関連サイト)
●BSL-4施設に関する取り組み|長崎大学
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/bsl4/
●長崎大学が検討するBSL-4施設について|長崎大学
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/bsl4/about/
●感染症とBSL-4施設に関するQ&A|長崎大学
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/bsl4/faq/
●<感染症>長崎大設置計画施設を支援…政府、基本計画を決定
(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160209-00000083-mai-soci
(第二部)シンポジウム「新たなバイオハザードの危険性」(第2部資料):生命操作の新たな世界とその危険性(天笠啓祐 2016.2.6)
別添PDFファイルの見出しだけを書き出すと下記のとおりである。
生命操作技術の拡大と経済成長戦略
1.アベノミクスの柱になっている健康・医療
2.医療・医薬品産業での活性化と規制緩和
3.遺伝子検査ビジネスの拡大
4.TPP大筋合意と知的所有権強化
新しい遺伝子操作技術
1.合成生物学
2.RNAi(RNA干渉法)
3.ゲノム編集技術
4.新たに登場したエピゲノム編集技術
新たな作物(果実)・魚の開発
1.遺伝子高且み換えリンゴの登場
2.遺伝子組み換え鮭の承認
(その他、昨今の遺伝子組換えをめぐる動き)
(1)20年の失敗 遺伝子組み換え作物をめぐる7つの神話と現実(グリーンピース)
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/code/gmo-7myth/gmo-7myth.html
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/gmo20yrs_jp.pdf
(2)(メール転送です)有機農業ニュースクリップ 2016-01-18 No.691
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■TPP GM表示は撤廃? 回答を控えた農水省
TPPの「大筋合意」を受けて、農水省は全国各地で農家向けの説明会を開いている。1月18日の日本農業新聞によれば、昨 年12月に福岡市で開催された説明会において、注目すべき発言 があったという。「TPPで農薬や遺伝子組み換え食品の安全基準は緩和されるのか」という会場からの質問に、農水省は「回答は控えさせていただく」と答えるにとどまり、会場がざわついたという。
遺伝子組み換え食品の表示など食の安全に関わる現行制度への影響について政府は、「現行制度の変更はない」と説明してきた。しかし、福岡市の説明会で明確に「変更はない」と回答しなかった点は、今後の制度変更や撤廃に含みを残している。
・Twitter, 2016-1-18
https://twitter.com/nyantomah/status/688829967287779328
・日本農業新聞, 2016-1-18
揺らぐ食の安全 消費者の不安拭えず
昨年10月のTPP大筋合意の際、甘利TPP担当相は記者会見で、消費者の制度改悪への不安について、「科学的根拠の説明責任を強化している。食の安心が損なわれることはない」と強調した。
11月5日に明らかになったTPP合意文書では、遺伝子組み換え食品に関する作業部会の設置が明らかになったが、食の安全に関する具体的な取り決めはなかったかのように見えるものだった。11月6日付けの朝日新聞によれば、政府は5日の会見で、作業部会は「法令などの修正を求めるものではないと明記した」と説明したという。しかし、一部には、こうした作業部会や、日米2国間交渉の場などで、米国が遺伝子組み換え食品表示の撤廃を制限などを求めてくる可能性が取りざたされていた。説明会の席上での話とはいえ、食品表示改悪の可能性が今まで以上に強くなったと思わざるを得ない。
・朝日新聞, 2015-11-6:「組み換え」消費者に不安 市場開放要求の懸念も TPP全文公表
http://www.asahi.com/articles/ASHBQ61RMHBQULFA02J.html
・TPP政府対策本部, 2016-1-7:TPP協定の暫定仮訳
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/naiyou/tpp_zanteikariyaku.html
■中国産冷凍パパイヤから 未承認GMパパイヤ検出
厚労省は1月12日、輸入の中国産冷凍パパイヤから未承認の遺伝子組み換えGMパパイヤを検出したと公表した。輸入業者の自主検査で判明し、全量廃棄・積戻しを指示したとしている。輸入パパイヤからの未承認GMパパイヤの検出は昨年7月、ベトナム産から今回と同じ未承認GMパパイヤ(PRSV-HN)が見つかっている。中国産パパイヤでは、2014年11月以来の検出となる。2013年7月以来、未承認の遺伝子組み換え成分が検出された15件のうち12件がパパイヤで占められている。
・厚労省 違反事例 2016年1月分 [Excel]
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/28-1.xls
・輸入食品・飼料のGM汚染(2005年~)
http://organic-newsclip.info/log/gmo/gm_contamination_food_feed.html
財務省の輸入統計では、今回のようなパパイヤ加工品は、他の果実加工品と合算されて、その詳細はわからない。生鮮パパイヤは、フィリピンと米国から年間2700トン前後が輸入されている。生鮮品からは、未承認GMパパイヤは見つかっていない。2011年、米国産のGMパパイヤが食品として承認され、輸入が解禁された。GMパパイヤで輸出量拡大を狙ったものの、米国産パパイヤの輸入量は減り続けている。解禁直後、GMパパイヤを宣伝していたコストコも販売を取りやめているようだ。現在では、GMパパイヤの輸入はほとんどないと思われる。
米国産GMパパイヤの不振は、日本の消費者のGM食品への懸念によるところが大きいと思われる。GMパパイヤには目立つようにラベルを張ることが販売の条件とされたことも大きな要因だろう。GM表示は、消費者の「知る権利」を具体的に保障する手段であり、TPPによって撤廃や改悪させてはならない。 ※添付:生鮮パパイヤ輸入推移(2005年~2014年)
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(3)遺伝子組換え 解説サイト
●GMは健康に問題 サルでもわかる遺伝子組み換え
http://gmo.luna-organic.org/?page_id=20
●市民バイオテクノロジー情報室~INDEX
http://www5d.biglobe.ne.jp/~cbic/
(4)「いちろうちゃんのブログ」より
●「バイオムラ」の「ゲノム」(遺伝子)研究が進める「個人情報」のビジネス活用化=社会貢献をお題目にゲノム素材提供者をたぶらかし、「マイナンバー制度」とTPPで「遺伝子」の特許独占を狙う私利私欲優先の暗躍を許すな
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-9d01.html
●(輸入食品に走るのは危ない)(報告)「遺伝子組換え」を「遺伝子組換えでない」とウソをついて安全審査をしない「遺伝子組換(GM)食品添加物」に関する情報 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-3e2a.html
●(輸入食品に走るのは危ない)
「遺伝子組換え(GM)]のようで「遺伝子組換え」でない、ベンベン、それは何かと尋ねたら、ベンベン、インチキ、インチキ、インチキ、インチキ、TPP前倒し いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-8829.html
●本日(10/23)のいろいろ情報
(1)「合成生物学」=遺伝子組換え技術の延長に現れた驚異の世界、(2)新経済産業相:宮沢洋一、(3)福島第1原発事故 県外進学、賠償返還請求 他 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-7cb0.html
草々
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感染研BSL4施設稼働に関する地元住民の下記ブログ
「感染研村山庁舎BSL4施設の稼働中止と移転を求める市民連絡会」
http://katakuri.blog.jp/
も読んでもらえると幸いです。
投稿: chayakoban | 2016年3月 3日 (木) 18時01分