おうちゃくもの・ 九州電力の「原子力規制のがれ」=免震重要棟は審査をパスするための「みせかけ」でした、裏で通じて運転停止の指示もしない原子力規制委員会・規制庁
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
みなさまご承知の通り、「おうちゃくもの電力」の九州電力が、今度は「免震重要棟は作らない」などと言いだしました。再稼働審査の時には、つくります、などと方便をかたり、川内原発などでは、そのための敷地造成を始めるフリまでしていながら、いざ再稼働してしまえば「こっちのものさ」とばかりに、免震重要棟はつくらない、カネがかかる、などと言いだしているのです(緊急時対策所を免震構造にすると建築コストは高くなります)。
免震重要棟は、福島第1原発事故の際に、当時の東京電力社長・清水正孝に「あれがなかったら、と思うとぞっとする」と言わしめた施設で、もともとは2007年7月の中越沖地震の際、柏崎刈羽原発の緊急時対策所が(あの程度の揺れで)使い物にならなかったため、泉田裕彦新潟県知事が東京電力に強く申し入れをしてつくらせたものでした。原発過酷事故時には、原発施設敷地はもちろん、周辺地域はかなり広範囲にわたって放射能だらけになるわけですから、地震の揺れに強い、しっかりと放射能をシャットアウトする、恒久的に持続可能な施設がなければ、原発事故の対応はできません。この期に及んで九州電力は何を言い出すのでしょうか。
原子力規制委員会・規制庁の方も九州電力に劣らず「すっとこどっこい」です。口先ではいろいろ言っていますが、これらはいずれも国民向けのリップポーズないしはリップサービスにすぎず、本気で九州電力に免震重要棟をつくらせようというスタンスにありません。いずれ馬脚を現すでしょうから、よくご覧になっておいてください(「○○ではダメだ」が、今後どのように「○○でもやむをえない」になっていくかのモデルケース=標本になるでしょう)。九州電力の方は、おそらくは裏で政府・首相官邸・経済産業省や自民党などと談合の上、この原子力規制委員会・規制庁の「足元」を見定めています。報道によれば、九州電力の社長は免震重要棟建設撤回の方針を見直すつもりはない旨、対外的に強気で発言をしています
原子力規制委員会は、つべこべ、ああだこうだと言う前に、九州電力に対して、まずは川内原発の再稼働認可を取消する旨、伝えればいいのです。審査時における遵守事項への重大な背反ですから当然のことでしょう。その上で九州電力に対して、望むなら再審査の申請をせよと言えばいいのです(但し、免震重要棟と同レベルの機能が提供されなければ審査は通らないとはっきりと付言しておくべきでしょう)。
九州電力の方は、どうせ原子力規制委員会は再稼働した原発を「止めろ」とまでは言わないだろう。ならば、当面は「ああでもない、こうでもない」を繰り返し、やがて時間経過とともに、場合によっては原子力規制委員の交代を待って、免震重要棟はつくらない、を着地・定着させる、そういう魂胆です。何といっても「天下の”おうちゃくもの”電力=九州電力」ですからね、そもそも、こういう会社なんです。(川内原発では、基準地震動はごまかす、津波もごまかす、火山噴火の危険は無視して、できもしない予測をするという、工事計画は白抜きだらけでわけがわからず、しかもご法度の事前着工、更に、取り替え予定だった2号機の蒸気発生器はボロボロのまま、炉心溶融対策も汚染水対策もなく、福島第1原発事故の教訓も生かさず、老朽化した原子炉のあっちこっちをごまかしたりだましたりして、やっとのことで書類だけを整えて再稼働審査を潜り抜け、更に地元住民に対してはまともな説明もせず、避難計画にも責任を持たず協力もせず、ただ、再稼働へ向けて猪突猛進するだけ、そんな電力会社です)
そもそも免震重要棟に関して新規制基準はどうなっているのでしょうか=少し前の議員会館での原子力規制庁交渉の中で、当時の原子力規制庁の若い役人は、市民側が「免震重要棟設置が義務化されていないのは問題だ」と迫りますと、「義務化されているのは、免震重要棟ではなくて緊急時対策所だ」と、新規制基準の内容を繰り返し繰り返し強調しておりました。要するに、今回の九州電力の「背信行為」が、新規制基準を策定する最初の段階から仕組まれていて、今はその「茶番」の第1幕が開いたということだと推測されます。九州電力も原子力規制委員会・規制庁も、同じ原子力ムラの住民として、あうんの呼吸で呼応し、それぞれの「役目」を果たしていると見ておいた方がいいでしょう。下記の毎日新聞記事をご覧ください。
●原発半数 「免震」断念、再稼働審査
緊急時の対策所(毎日 2016.1.19)
http://mainichi.jp/articles/20160119/ddm/002/040/124000c
記事をご覧いただければ一目瞭然の通り、再稼働認可が近いと言われる加圧水型の原発を保有する大手電力各社(関電、四電、九電、北電)が、緊急時対策所については、いずれもコストのかかる免震構造をやめて、安上がりの耐震構造へ転換する方針であることが明らかになっています。こんなものが「偶然」であるわけがなく、当然ながら、新規制基準がつくられる段階から水面下で経済産業省と電力業界(原子力発電業界)と原子力規制委員会・規制庁がひそかに談合をし、最終的には免震でなくてもいいという手打ちをしているに違いないと思われます。それをいきなり打ち出すと有権者・国民や原発立地地域の住民からの強い反発もあるだろうから、少し時間をかけて「猿芝居」「イモ芝居」を繰り返したのち、ぼちぼちと免震構造義務化を骨抜きにしていく、そんな段取りになっているに違いないのです。
上記の毎日新聞記事では、「免震構造で作られる緊急時対策所は「免震重要棟」と呼ばれ、東京電力福島第1原発事故が発生した際に事故対応の指揮所として大きな役割を果たした。だが、比較的新しい技術である免震構造はこれまでの技術的データの蓄積が少ない。大手電力幹部によると、大規模地震が起きた場合に鉛が入った緩衝装置などが変形して揺れを吸収するが、地震後に元の形に戻り、余震にも耐えられるということなどが立証しづらいという。」
「北海道大学の菊地優教授(構造力学)は「東日本大震災後に原発で想定する地震が大きくなり、電力会社は技術的な理由で免震構造を断念したのだろう。大きな地震にも十分に対応できる高性能な免震構造の研究を進めていくべきだ」としている。」
などと、御用学者らしき人間まで登場させて、免震構造はいらなーい、のインチキ・出鱈目・いい加減の合理化のための忖度記述をたっぷりと付記しています。免震重要棟がなければ、原発過酷事故時には放射能のために人間が寄り付けなくなって事実上対応ができなくなることは一言も触れられていませんし、福島第1原発事故時においては免震重要棟が必要不可欠で、偶然の幸いにして免震重要棟がたまたま確保されていたといった事情も言及されていません。記事にあるようなことなら、免震構造が確固なものとなるまで原発を止めておけばいいだけです。下記の新規制基準に関する毎日新聞の記事といい、この記事といい、これでは毎日新聞ではなくて毎日「忖度」新聞ではないですか。まさに原子力ムラの「猿芝居」「イモ芝居」の広報機関そのものです。情けないですね。
ところで、九州の地元では、佐賀県知事が免震棟をちゃんとつくれと言っているようですが、鹿児島県のあのバカ知事はウンともスンとも言っていないようです。この鹿児島県の伊藤祐一郎とかいうバカ知事は、県民がどうなったってかまいはしない、とでも思っているのでしょう。そうではなくて、川内原発は絶対に過酷事故は起こさない、と思っているとしたら、福島第1原発事故後の今日においても原発安全神話を未だに信奉するアホダラ知事だということです。鹿児島県のみなさま、こんな奴、さっさと知事の座からひきずりおろしませんか。
(下記のネット記事を一部抜粋)
「九電は、規制委に原子炉設置変更許可申請を提出した時点で、安全協定に基づき、今回の申請に関する事前協議書を鹿児島県と薩摩川内市に提出したとしている。つまりは事後通告。県は、これに対しても無反応で、県民の不安を払しょくする努力を怠った格好だ。一体、誰のための県政なのか」
●「九電「免震重要棟」建設撤回 ダンマリ決め込む伊藤県政|政治ニュース|HUNTER(ハンター)|ニュースサイト」
http://hunter-investigate.jp/news/2016/01/post-814.html
このままいけば、日本は間違いなく西日本から吹っ飛びます。愚か極まることです。下記にこの免震重要棟関連の情報をご紹介しておきます。「緊急時対策所」については、免震構造か、それとも耐震構造か、の区別が重要です。免震構造とは建物と土地の間に緩衝装置を設置して揺れを減らす仕組みであり、耐震構造とは建物の素材やつくりを頑丈なものにして地震で揺れても壊れないようにする仕組みです。何が違うかというと、免震の場合には、建物の中にいても地震の揺れは大したことはなく、通常の生活や業務が可能ですが、耐震の場合には、ただ地震の揺れで壊れないようにしてあるだけにすぎず、建物の中は大きく揺れて、建物に頑丈に固定されていないもの(家具や机・椅子など)は左右に大きく動いて、建物内部がめちゃめちゃになってしまうのです。耐震構造では不十分で、免震構造でなければならないのは自明でしょう。(一方、外部からの放射能の遮断性については、免震・耐震それぞれについてどうなのかはよくわかりません。このことが大きな問題になっていないのは解せませんね)
新規制基準では免震か、耐震かは決まっておらず、事業者の判断に委ねられているなどと、下記の毎日新聞記事は、まるで原子力規制委員会・規制庁の代弁をするかのようなことを書いておりますが、そうだと思うのなら、原子力規制委員会・規制庁の手抜き審査=原発の安全を確保できない全く不十分な規制基準である旨の徹底した批判をあわせて書いておくべきでしょう。昨今のマスごみ報道は、万事がこんな調子です
<別添PDFファイル>
(1)(資料7-1)「免震重要棟をつくらない=ええ!!」(佐賀新聞抜粋 2016.1.21)
「siryou1_saga.pdf」をダウンロード
(2)(資料7-2)緊急時対策所に関する情報(2016.1.21)
「siryou2_mensinn.pdf」をダウンロード
(3)(資料7-3)つくるはずだった川内原発の免震重要棟(高木章次作成 2016.1.21)
「siryou3_sendai.pdf」をダウンロード
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(4)規制委「免震棟撤回
根拠を」、約束ほご 九電に不信(東京 2016.1.27)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016012602000239.html
(5)原発半数 「免震」断念、再稼働審査
緊急時の対策所(毎日 2016.1.19)
http://mainichi.jp/articles/20160119/ddm/002/040/124000c
(上記の(1)~(3)は、さる1月21日に開催されました「原発避難計画 全国集会 in 東京」での配布資料です。免震重要棟については、玄海原発再稼働阻止に取り組んでいらっしゃる佐賀県の永野浩二さん、川内原発の現地に定住して活動中の高木章次さんが、ご説明してくださいました。見どころは、①2007年中越沖地震の際に柏崎刈羽原発の緊急時対策所はどんな具合だったか(地震の揺れで構造がゆがみドアが開かなくなって使えず、その後、部屋の中も地震の揺れでメチャクチャだったことがわかっています)、②免震と耐震の違いは何か、です。後者については下記サイトも参考にしてください。
●原発避難計画 全国集会 in 東京 (1/21) =川内、高浜、伊方、柏崎刈羽、玄海…各地の避難計画を徹底検証
http://www.foejapan.org/energy/evt/160121.html
(上記の当日録画です)
●20160121 UPLAN【院内集会】原発避難計画全国集会in東京~川内、高浜、伊方、柏崎刈羽、玄海…各地の避難計画を徹底検証 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=cSlSzJpdZJI
(九州電力による「免震重要棟手抜き」の話は資料番号が「7」ですから、テーマとしては7番目、集会中ほどよりも後半の方にあります:田中一郎)
●免震と耐震の違い
http://www.menshin.biz/?q=menshin/node/3395
http://smrci.jp/index.html?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=chigai
<関連サイト>
関係するマスコミ報道を抜き出しておきました。一応、ざっとでいいですので、全てに目を通されてみてください。
(1)東京新聞九電、免震棟新設を撤回 川内原発
再稼働の前提ほご社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015122602000235.html
(2)原子力規制委員長 九電の免震棟撤回に不快感|佐賀新聞LiVE
http://www.saga-s.co.jp/column/genkai_pluthermal/20201/273006
(3)川内原発:規制委が「免震撤回」批判 「安全向上せず」 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160126/k00/00e/040/223000c
(4)九州電力「免震棟撤回」原子力規制委員会での審議内容文字起こし - みんな楽しくHappy♡がいい♪
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4542.html
(5)九電社長、免震棟撤回見直さず 川内原発「現計画で説明尽くす」
(佐賀新聞) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160130-00010008-saga-l41
(6)原発の新規制基準 緊急時対策所が焦点の一つ 佐賀新聞ニュース/The Saga Shimbun 佐賀新聞の論説
http://www1.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2489565.article.html
(7)九電「免震重要棟」建設撤回 ダンマリ決め込む伊藤県政|政治ニュース|HUNTER(ハンター)|ニュースサイト
http://hunter-investigate.jp/news/2016/01/post-814.html
(8)九州電力が免震重要棟の建設を撤回 計画変更の根拠を説明へ(フジテレビ系(FNN)) -
Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160129-00000931-fnn-soci
草々
<追>柏崎刈羽原発でも、再稼働のためのインチキ儀式がそろそろたけなわだ
●規制委、揺れ相当了承 柏崎刈羽 福島第一と同型で初(朝日 2016.1.30)
(一部抜粋)
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原子力規制委員会は29日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向けた審査で、東電が示した地震の揺れの想定(基準地震動)を了承した。福島第一原発と同じ沸騰水型炉で、耐震設計のもとになる基準地震動が決まったのは初めて。ただ、敷地内に活断層かないかどうかの審査はまだ結論が出ていない。
了承された基準地震動は、1~4号機が2300ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)、5~7号機が1209ガル。原発直下の比較的軟らかい地盤を伝わる間に地震の揺れが弱まるため、東電は、建屋に届く揺れは600~900ガルほどになるとみている。2007年の中越沖地震での建屋の揺れは、322~680ガルだった。施設や機器の耐震性は改めて審査される。
この日は敷地内の断層についても審査された。東電は1~4号機を囲む防潮堤の直下を通るF5断層について、ボーリング調査の結果を報告。活断層かどうかの判断基準となる後期更新世(約12万~13万年前)以降には活動していないと説明した。規制委は今後、現地で調査結果を確認する。
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(敷地及びその周辺の活断層の審査が終わっていないのに基準地震動がどうして決められるのか、全く理解できない。そもそも何で今頃、敷地内の活断層審査をしているのか。これまでの審査がずさんであったというなら「今まではこのようにずさんでした」と、事の次第を明らかにし、一方ではその責任の追及を行うとともに、他方では全国の原発・核施設が同じであろうと推測されるから、全国すべての原発・核施設について、敷地及びその周辺の活断層その他の状況調査や審査を見直すと言明すればいいのだ。原子力規制委員会・規制庁よ、いつまで猿芝居・イモ芝居を続けるつもりなのか:田中一郎)
《関連)柏崎刈羽原発と中越沖地震について・目次
http://yoshi-tex.com/Kashiwazaki/
(このサイトはたまたま見つけましたが、強烈な印象です。私もまだ、ざっとしか見ていません:田中一郎)
草々
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