(今注目の人)田辺文也さんの説明を知らずして、もはや福島第1原発事故は語れない=東電本店・吉田所長以下、原発緊急時の「手順書」を無視しての素人まがいの場当たり的対応の繰り返しが過酷事故を招いた、2,3号機は炉心溶融を回避できた
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
今、福島第1原発事故の実態解明と原因究明をめぐり、ある方に注目が集まっています。その方のお名前は田辺文也さん、(独)日本原子力研究開発機構を経て、現在は「社会技術システム安全研究所」を主宰されている原発・原子炉の工学研究者・技術者=プロの方だ。その田辺さんが、このほど岩波月刊誌『世界』の2015年10月号と12月号に論文を掲載され、福島第1原発事故は、実は東電本店や吉田昌郎所長以下、東京電力が組織として、原発・原子炉緊急時の対応のために用意された「手順書」(3種類ある)を活用せず、それを全く無視してシロウトまがいの場当たり的な対応を繰り返したことが過酷事故の一番の原因であったと主張されています。
この論文が、原発・原子力業界に衝撃を与えているのです。何故なら、田辺さんのいう通りであったとすると、東京電力の少なくとも幹部・責任者たちは、コンプライアンス違反、つまり原子炉等規制法違反で刑事責任を追及されかねないからです。以下、関連する情報を含め、簡単にご紹介申し上げます。みなさまにおかれましては、岩波月刊誌『世界』をはじめ、下記にご紹介申し上げる諸情報に、ぜひ直接アクセスされ、その内容をご確認いただけたら幸いです。
<別添PDFファイル>
(1)解題 吉田調書 NO.6(イントロ部分のみ)(田辺文也『世界 2015.10』)
「sekai_201510.pdf」をダウンロード
(2)解題 吉田調書 NO.7(イントロ部分のみ)(田辺文也『世界 2015.12』)
●(1)解題 吉田調書
NO.6(田辺文也『世界 2015.10』)から一部抜粋
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この夏、二つの霊要な出来事が日本の原発であった。一つは九州電力川内原発の再稼動、そしてもう一つは東京電力の元最高幹部三人の強制起訴だ。本来前者は後者の決着がついて初めて判断されるべきだったが、順序が全く逆になってしまった。しかし遅ればせながら幹部の起訴により、福島原発事故の責任が司法の場で初めて問われることになり、途上だった事故原因や事故プロセスの解明が期待されている。事故対応の現場の最高責任者・吉田昌郎所長の調書(「吉田調書」)を解読してきた私たちは、計400ページ超の調書のなかにあった、ある発言に注目した。
「全交流電源が喪失した時点でこれはシビアアクシデント事象に該当し得ると判断しておりますので、いちいちこういうような手順書間の移行の議論というのは、私の頭の中では飛んでいますね」
この発言からは、吉田所長が事故発生時の対応を定めた「手順書」通りに対応しなかったことを読み取ることができる。これは事故発生直後にとるべき対応が、吉田所長ら東電幹部の認識不足と判断ミスで疎かになり、拡大してしまったことを意味する。この「手順書」からの逸脱は、事業者の刑事責任と直結する可能性があるため、今後は司法の場でも、重要な論点として解明が進められることは必至だ。アメリカのスリーマイル島原発事故などの経験から、福島原発事故が起きてからの対応は、「想定外」ではなく、実は「想定内」だった。人為的ミスが事故の被害を「想定外」に拡大してしまった可能性が出てきたのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●(2)解題 吉田調書
NO.7(田辺文也『世界 2015.12』)から一部抜粋
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京電力が福島第一原発事故において事故対応のガイドとして重要な役割を持っている手順書を適切に参照せず、ないがしろにしたことが事態の深刻化を招いたと考えられる。このことを前回の論考(10月号)から論じているが、端緒になったのは福島第一原発の吉田昌郎所長が、吉田調書で語っていた証言だった。
(中略)本稿では、炉心溶融まで時間があった2、3号機では徴候ベース手順書を使うチャンスが何度もあり、それらのチャンスを活用できていれば、実際の状況を顧慮しても実行可能な手順がガイドされて炉心溶融を回避できたことを明らかにする。徴候ベース手順書をないがしろにしたが故に戦略を欠いた場当たり的な対応に陥ってチャンスを逃し、事故の深刻化を招いてしまったことを、以下、記していく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<TBS放送:田辺文也さんに加えて田中三彦さんも登場です>
●公開1年「吉田調書」が問うもの - Dailymotion動画
http://www.dailymotion.com/video/x37130g
(田中一郎コメント)
約40分の番組では、田辺文也さん、田中三彦さん、の他に、もう一人、番組を通じてのコメンテーターとして「倉澤治雄」という科学ジャーナリストが登場する。しかし、この男のコメントはマユツバである。最初の方では、田辺文也氏から次のような「発言の誤り」を指摘されているし、また、最後の部分では、TBSのキャスターから「川内原発の再稼働にあたり、原子力規制や原子炉の安全性に関して、福島第1原発事故の教訓が必ずしも十分に活かされているとは言えないですね、いかが思われますか」と振られた同氏が、ハードはずいぶん安全になったがソフトが問題、人間がその安全になった装置を使いこなせるかどうかが問題、などと、一方で原子力規制委員会・規制庁の代弁をしつつ、事の本質をボカし歪める発言をしている。また、他にも、多くの点で首をかしげることがあり、とてもまともには聞ける内容ではない。
「ところが、あろうことか筆者の問題点指摘の後、スタジオで科学ジャーナリストが次のようなコメントをし、正確な理解が妨げられる結果となってしまった。そのコメントとは、「事故の進展が極めて速く、電気がなくなってから二時間で炉心損傷になり、・・・・(分厚い)手順書を全部読み解いて運転するのは現実的でなかった」というものであった。
筆者が手順書逸脱について論じたのは、津波来襲から炉心溶融まで二日弱の余裕があった3号機と、岡じく三日強の余裕、があった2号機である。にもかかわらず、炉心溶融まで数時間の余裕しかなかった1号機と混同し、視聴者に誤った情報を与えた。また、言うまでもなく手順書は対応部分を参照すればいいのであって、全部をその場で読み解く必要など全くない。伴然とするコメントであった。」
こんな男のコメントなどよりも、録画に登場する田辺文也さんの発言と、そしてその後の田中三彦さんの発言に注目していただきたい。田中三彦さんは、田辺さんとは別の観点から、原子炉に緊急事態が起きた時に、原子炉に精通した過酷事故対応チームが対策・対応をしていくのではなく、たまたま現場の所長をやっていた、原子炉の専門家でもない人間(今般の福島第1原発事故では吉田昌郎所長)が泥縄式で対応したところに、過酷事故対策の根本的な欠陥・誤りがある、とおっしゃっている。
まさにその通りである。ちなみに吉田昌郎所長は、いわゆる原発・原子炉の補修や整備の専門家であって、過酷事故時を含む原子炉運転や原発の機器類の専門家ではなかった。だからこそ、1号機については非常用復水器(IC)の機能の特性について、まったく無知であり、1号機への対応判断を間違って、炉心溶融を早める結果となってしまっている。また、東京電力や原子力安全委員会・原子力安全保安院、あるいは背後にいた原子炉メーカーも含めて、原子炉建屋等の水素爆発の可能性・危険性が全く考慮外であったことは驚くべきことと言わざるを得ない。米スリーマイル島原発事故に対して、日本の原子力ムラの御用学者どもはいったい何を学んだのか。
しかし、この田辺さんや田中さんの鋭いコメントが、川内原発や伊方原発などの今日の原発再稼働には、何にも活かされず、再び同じ過ちが繰り返されようとしているのが恐ろしい。今度の原発過酷事故は西日本の加圧水型原子炉となる可能性が高く、その場合には、福島第1原発事故の際に起きた「偶然の幸運」はもうありえず、しかも、格納容器が沸騰水型原子炉に比較して大きいだけに、過酷事故の度合いは福島の比ではなくなってしまうだろうと推測する。まもなく南海、東南海、東海の大地震が「連動」の可能性も伴いつつ日本列島を西から襲ってくる可能性が高いと言われているのに、こうした原子力ムラの出鱈目行為の繰り返しは、日本を破滅へと向かわせる無謀極まる無責任なものと言わざるを得ない。断固として、やめさせていきましょう。
<吉田調書をはじめ、政府事故調ヒヤリング記録:内閣官房サイト>
●政府事故調査委員会ヒアリング記録 - 内閣官房
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_8/hearing_list_8.html
(参考)政府事故調査委員会ヒアリング記録の公表(更新)について - 内閣官房
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_8/hearing_koukai_8.html
(参考)原子力規制組織等の改革 - 内閣官房
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/index_sosiki.html
(田中一郎コメント)
サイトの主催は「内閣官房」ながら、その内容は「被災者支援チーム」という経済産業省の役人たちが牛耳っているらしいことが、私の問い合わせの電話でわかった。しかも、簡単な問い合わせの内容であるにもかかわらず、散々待たされ、あちこちたらいまわしにされ、担当が電話口に出てきたのは、電話をしてから約30分後だった。まったくふざけた対応で、そもそも内閣官房や経済産業省に、有権者・国民・市民に対して説明責任を果たそうという意思や責任感が全くないことが、こうした低レベルサービスの根本原因ではないかと思われる。おい、内閣官房、電話代と無駄な時間を返せ!!
草々
<追>福島第1原発事故を経験したにもかかわらず、これはいったいなんだ。原子力ムラは不死身=ゾンビそのものだ。原子力ムラを社会的に葬り去るか、我々が彼らとともに再びの原発・核燃料施設過酷事故=放射能の大量放出地獄に叩き込まれるか、2つに1つの選択が迫られている。彼らとの妥協などはあり得ない。
(1)国直轄の除染袋、耐久性に欠ける(東京 2015.11.12)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=141078
(2)事業レビュー 核燃運搬船「打ち切りも」(東京 2015.11.12)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201511/CK2015111202000139.html
(関連)行政事業レビュー 核施設「ムダ」批判集中
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2015111202000148.html
(関連)核燃船が停泊 室蘭港、地元知らない
近づけない(東京 2015.11.13)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0200636.html
(3)「もんじゅ」の頓挫が揺るがす日本の原発政策の根幹
(HARBOR BUSINESS Online) - Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151106-00066912-hbolz-soci
(4)燃料再処理工場 完成は18年上期に (デーリー東北新聞社) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151031-00010001-dtohoku-l02
(5)川内原発、放射線監視装置に設計ミス 計7千時間測定できず taked4700
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/280.html
(6)原発テロ対策 先送り、第2制御室
設置申請少なく:規制委が方針(毎日 2015.11.13)
(そして、きわめつけはコレです)
●原子力規制委員会の勧告について|日本原子力研究開発機構:プレス発表
http://www.jaea.go.jp/news/newsbox/2015/111301/
草々
« 本日(11/15)のいろいろ情報(メール転送を含む) (1)第7回ちょぼゼミ(TPPその1) (2)広がる遺伝子組換え発泡酒・第三ビール (3)原発真下に活断層でも再稼働なの? (4)村田光平元スイス大使からのメール (5)東京湾セシウム調査結果 他 | トップページ | 日本破壊の国際市場原理主義「亡国協定」=TPPをぶった斬る(その5):オブラートに包まれ嘘八百のシロップに漬けられたTPPを国民に騙し飲ませするための役人文書から見るTPPの危険性とインチキ(3) »
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: (今注目の人)田辺文也さんの説明を知らずして、もはや福島第1原発事故は語れない=東電本店・吉田所長以下、原発緊急時の「手順書」を無視しての素人まがいの場当たり的対応の繰り返しが過酷事故を招いた、2,3号機は炉心溶融を回避できた:
« 本日(11/15)のいろいろ情報(メール転送を含む) (1)第7回ちょぼゼミ(TPPその1) (2)広がる遺伝子組換え発泡酒・第三ビール (3)原発真下に活断層でも再稼働なの? (4)村田光平元スイス大使からのメール (5)東京湾セシウム調査結果 他 | トップページ | 日本破壊の国際市場原理主義「亡国協定」=TPPをぶった斬る(その5):オブラートに包まれ嘘八百のシロップに漬けられたTPPを国民に騙し飲ませするための役人文書から見るTPPの危険性とインチキ(3) »


福一の所長が無能やったから、発生した事件だろ。津波くらって電源喪失した福二は人海戦術でケーブル引き回した上ポンプ類も交換し事無きを得ている。脳天気な方々は民主党&イラ菅のせいにして鬱憤を晴らすのに必死だが責任は東電のよな組織に原発扱わせてきた自民党と担当大臣時代に電源喪失なぞ考慮の必要無しと国会で答弁しとった現安倍晋三総統にある。「美味しんぼ」なる漫画が鼻血描写に対する抗議で炎上騒ぎになったが実は、栃木県大田原市内ですら鼻血が多発するよになってる方が居られる。大田原中心部より10km程福一に近い栃木県内で奇形鮎が発見展示されている。 小生が放棄した奇形鮎エリアの自宅周りでは自家用畑の作物を食う農家は無い。福一事件報道を見た瞬間に日光まで拡散する予測がついたで自宅を放棄して避難放浪しとる。中禅寺湖の魚もベクレて移動禁止になっとるから予測は正しいかったようだ。
投稿: 避難放浪民 | 2016年2月25日 (木) 10時32分