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2015年9月 3日 (木)

(報告)原発メーカー訴訟 第1回公判 報告集会=欠陥原発を提供して福島第1原発事故を引き起こしても素知らぬふりをしている原発メーカーの責任を追及せよ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

去る2015年8月28日(金)、東京地裁において第1回目の原発メーカー訴訟公判があり、その報告会が衆議院第二議員会館にて開催されました。以下、簡単にご報告申し上げます。

 

ご承知の通り、東日本大震災による地震と津波により福島第1原発が過酷事故を起こしたけれど、その原因には、福島第1原発が単に大きな自然災害に見舞われたことだけでなく、たとえば、①津波に対してきちんとした備えをしていなかったためSBO(全電源喪失)にいたってしまったこと、②耐震バックチェックが不備のまま放置され地震の揺れによる原子炉機器類の破損や機能不全が起きていた、③原発の老朽化対策もおざなりであった、④福島第1原発原子炉(マークⅠ型他)の設計に構造的な欠陥があり、たとえば非常用復水器(IC)などの緊急炉心却装置(ECCS)が正常に稼働せず、炉心溶融を速め水素爆発を引き起こす、ベント機能が動作せず原子炉格納容器に危機的な事態が生じた、水位計などの計器類が異常事態では正常に機能しない、などなど、明らかに原子炉メーカーの責任と思われることが多くあり、看過できない状態なのです。

 

東京電力は原子炉をメーカーから購入してそれを運転する事業者であり、過酷事故等のイレギュラーの場合には、マニュアルに記載された以外のことについては、その対応に限界があります。原子炉のことは、原子炉をつくったメーカーが最もその機能や構造をよく知っていることは当然のこと、建設・運転後においても定期点検や各種検査への対応等、実質的に原子炉の管理・整備を行ってきた第一の当事者です。本来であれば、事故を引き起こした電力事業者の東京電力のみならず、その事故原発をつくり、メンテナンスしてきた原発メーカーもまた、電力事業者と並んで、連帯責任において、その過酷事故を許してしまった責任を問われてしかるべきなのです。

 

しかし、日本では、1960年代初頭の原発スタート時点で制定された原子力損害賠償法という特別な法律があって、いわゆる原発事故等の(賠償)責任を電力事業者に集中する「責任集中制度」を定めているため、福島第1原発事故についても、原発メーカーの責任は全くの不問にされたままです。こんなおかしな話があるでしょうか。また更に申し上げておけば、この責任を免除された原発メーカーは、他方では、福島第1原発事故後の除染その他の公共事業に深く関与して、更に利益を確保し、他方では、多くの有権者・国民・市民の反対をよそに、海外への原発輸出に熱を挙げているのです。

 

いわば、欠陥原発をつくり、原発建設後のメンテナンスにおいてもその危険性を見過ごし、結果的に福島第1原発の過酷事故を招きながらも、その責任は一切問われることがなく、原発事故後においても、原発事故前と同じように、原発を金儲けのための「食いもの」にして、のうのうと会社経営を続けている、こんな原発・原子力以外の産業や事業では絶対に認められることがないような出鱈目なことを、この日本では原発メーカーが堂々と、悠々と、大手を振って行っているわけなのです。この裁判は、こうした出鱈目・理不尽に対して、福島第1原発事故の被害者や一般有権者・国民・市民が力を合わせて「ノー!」を突き付ける裁判です。

 

すなわち、原発メーカーを免責している原子力損害賠償法という法律が、明確な社会的正当性がないままに、理不尽と不合理と不正義と(他産業に比べて)不公平の固まりのような「責任集中制度」=原発メーカー免責を定めていることに対し、それが日本国憲法に違反する「違憲」行為であることを、「法令違憲」(法律そのものが違憲)と「適用違憲」(原子力損害賠償法を福島第1原発事故に適用することが違憲)の両サイドから立証し、反社会的立法ともいうべき原子力損害賠償法の内容を具体的に告発して、原発メーカーの責任を徹底して追求することがこの裁判の目的とするところです。詳しくは、別添PDFファイルの「(講演レジメ)原発メーカー訴訟 趣旨・目的(2015.8.28)」、及び下記URLの「訴状全文原発メーカー訴訟の会」をご覧ください。

 

なお、公判当日には、被災地・福島県の被害者を代表して、郡山市在住の森園和重(かづえ)さんが意見陳述を行いました。その陳述書も別添PDFファイルとしてこのメールに添付しています。被災地にあって、被害者からの目線で、福島第1原発事故が地域住民にもたらしたものや、原発メーカーが免責されていることの理不尽さ・おかしさを、鋭く、かつしっかりと見据え、更に被害者の事故後の不安や怒り、悲しみなどの事情・心情を踏まえて、きっちりと語っています。当日、公判に参加された方々から高い評価を受けた陳述書です。ぜひ、ご一読下さればと思います。

 

(注1)原子力損害賠償法は1980年代の初頭、日本が海外=特にアメリカから原発とその技術を導入する際に、海外の大手メーカーから強要された「免責」をそのまま受け入れた法律です。しかも、原発事故が未曽有の被害をもたらすことは、下記のNNNドキュメントが伝えるように、早い段階で日本政府の知るところであり、それに伴う巨額の損害賠償を嫌った当時の大蔵省の頑とした拒否態度にも押され、結局、原発メーカーの免責と、全く金額が足りない「損害賠償保険」とのセットで、形だけの「原発賠償法」となった経緯があります。本来であれば、日本の原発メーカーが原子炉技術を概ね習得した1970年代後半には、この法律は抜本的に改正され、一方で原発メーカーの賠償責任(電力事業者と連帯責任)を定めるとともに、他方では、その保険金額を「無制限」として、万が一の事故が起きても原発関係事業者で賠償責任が完結するようにしておくべきでした。しかし、そうした原発・原子力の推進に都合の悪いことは、すべて「フタをされて」放置されたままにされてきたのです。

 

●【必見:動画】「2つの“マル秘”と再稼働  国はなぜ原発事故試算を隠したのか?」 No Nukes 原発ゼロ

 http://no-nukes.blog.jp/archives/8317152.html

 

(注2)原子力損害賠償法のぽイント

 下記のウィキペディアの解説から、その肝心部分を抜き書きしておきます。

 

●原子力損害の賠償に関する法律 - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%90%8D%E5%AE%B3%E3%81%AE%E8%B3%A0%E5%84%9F%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B3%95%E5%BE%8B

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*事故を起こした原子力事業者に対しては、事故の過失・無過失にかかわらず、無制限の賠償責任がある(無限責任主義)。

 

*賠償を迅速かつ確実に遂行するため、原子力事業者に対して原子力損害賠償責任保険への加入(保険会社との契約)、原子力損害賠償補償契約(国との契約)等の損害賠償措置を講じることを義務付けている(第3章第2節、第3節)。

 

*賠償措置額は原子炉の運転等の種類により異なり、通常の商業規模の原子炉の場合は1200億円と定められる(第7条)[3]。高濃縮ウランを扱う加工事業者には、240億円と定められる。

 

*賠償措置額を超える原子力損害が発生し、原子力事業者が自らの財力では全額を賠償できない等の事態が生じた場合は、国が原子力事業者に必要な援助を行い、被害者救済に遺漏がないよう措置することを定めている[3]。これは被害者救済の実行を目的としたものであり、原子力事業者の無

限責任を免除する性質のものではない。

 

*第三条但書「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」について、地震であれば関東大震災の3倍以上の加速度をもつものをいうと解されているが、政府は隕石の落下や戦争などを想定したもの(文部科学省幹部より)として福島第一原子力発電所事故には適用されないとの方針を示している。

 

*責任集中の原則賠償責任を負う原子力事業者以外の者は、一切の責任を負わない。被害者が容易に賠償責任の相手方を知り得、賠償を確保することができるようにするためのものである。

 

*責任者たる原子力事業者に機器等を提供している関連事業者を、被害者の賠償請求との関係において免責する。関連事業者が安定的に資材を供給し、原子力事業の健全な発達に資するためのものである。

 

(参考)原子力損害の賠償に関する法律

 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html

 

(コンパクトな法律なので、頭から読まれることをお勧めします:田中一郎)

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(注2)上記で「原子力損害賠償責任保険」(民間保険会社との契約)は自然災害の場合は適用対象外(おそらくは無重大過失の人的ミスによる事故だけの適用)、他方「原子力損害賠償補償契約」(国との契約)の方は、民間保険会社が出さない場合も含めてすべての損害に適用される。但し、上限は1200億円にすぎない。なお、併せて申し上げておくと、この「原子力損害賠償補償契約」(国との契約)のために設けられた「保険特別会計」は、現在、「まっかっか」=大赤字となっている。今から60年近く前に原発がスタートして、これまで一度もこの損害賠償補償の発動がなかったにもかかわらず(小額の例外はあったかもしれません)、この特別会計が「まっかっか」ということは、国が原発を国策として優遇するあまり、まともに損害賠償補償の掛け金を徴収してこなかったということを意味している。こんなところにも、原発・原子力の出鱈目があって、今回それが表面化した。そもそも、原発安全神話の上に胡坐をかいていて、この国による損害賠償補償制度が発動されることなどない、とタカをくくっていたと言えなくもない=しかし、原発に反対する人々は、ずーっと、この原発損害賠償の仕組みがおかしいと言い続けてきた経緯がある。馬耳東風の原子力ムラは、今も昔も変わらない。

 

 <当日の録画>

20150828 UPLAN【報告集会】原発メーカー訴訟第1回口頭弁論 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=V_x7oZhgSZ8

 

 <別添PDFファイル>

(1)(ちらし)原発メーカー訴訟 第1回公判(2015828日)

「tirasi_mekasosyou_no1.pdf」をダウンロード

(2)(講演レジメ)原発メーカー訴訟 趣旨・目的(2015.8.28

「mekasosyou_mokuteki.pdf」をダウンロード

(3)原発メーカー訴訟 訴状(目次のみ)(2014.1.30 提訴)

「mekasosyou_sojo.pdf」をダウンロード

(4)法定陳述(原告 森園和重(かずえ):2015.8.28

「MORIZONOSANN.pdf」をダウンロード

(5)「原発メーカーにも責任」 GEなど3社に賠償訴訟(東京 2015.8.28

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015082802000253.html

 

 <関連サイト>

(1)原発メーカー訴訟の会 Class Action Against the Nuclear Reactor Builders

 http://maker-sosho.main.jp/

 

(2)訴状全文 原発メーカー訴訟の会

 http://maker-sosho.main.jp/sosho-zenbun/

 

(3)原発メーカー訴訟原告団・弁護団公式サイト

 http://nonukesrights.holy.jp/

 

(4)原発メーカー訴訟原告団・弁護団(@nonukesrights)さん Twitter

 https://twitter.com/nonukesrights

 

(5)「原発メーカー訴訟」に遅ればせながら注目したい 弁護士・金原徹雄のブログ

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/45257811.html

以上

 

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