原発・被ばくの 「ホラ吹き」 団子三兄弟=田中俊一原子力規制委員長、長瀧重信元放射線影響研究所(RERF)長、日本原子力学会
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
悪の帝国=原子力ムラ・放射線ムラ連合王国の極悪は今に始まったことではありませんが、この連中の最も得意とするところは、その極悪をもっともらしい嘘八百=「ホラ吹き」を支配権力をバックに繰り返すことで、原発や被ばくの危険性や恐ろしさを覆い隠してしまうことです。日本のように「頂点同調主義=支配権力への盲目的服従」などの特色を持った社会(注)では、油断をすると非常に厄介な状況が出来上がってしまいます。4年前の福島第1原発事故により、日本人はいったんは目が覚めたかのように見えましたが、今日の福島県をはじめ、東日本全域の放射能汚染地帯に広がる「原子力翼賛」的社会状況の形成は、危うい日本社会の性癖を見せつけるかのようで、私たちの未来に対して暗い影を投げかけています。そういう中、今日を代表する「ホラ吹き」3傑を取り上げて叩いておくことは無意味ではないでしょう(叩いたところで、この「馬耳東風」一族が「ホラ吹き」をやめるはずもありませんが)。まさに「ウソも77日間繰り返せば本当になる」とうそぶいたかつてのナチス・ヒトラー集団の生まれ変わりのごとき振る舞いです。
アジア太平洋戦争直後に論壇で活躍していた伊丹万作氏ではありませんが、こうした「ホラ吹き」悪魔たちの「だまし」は許しがたいですが、しかし、ものごとを批判的に相対的に見ることのできないままに「だまされてしまう」方もまた、罪深いと言わざるを得ません。原子力・原発安全神話に毒されていたことを福島第1原発事故で大きく後悔し深く反省をしたにもかかわらず、今また、放射線安全神話・放射能安心神話にだまされて「(被害者・被ばく者抜きの)復興大合唱」「きずな・まごころ
押し付け合い」を繰り返す鳥獣戯画的状況は、近い将来の「地獄絵」を予感させます。私たちは、しっかりと目をさまし、脱原発・脱被ばく、そして何よりも被害者の方々の完全救済へ向けて声を挙げていかなくていはいけないと思われます。
(この「ホラ吹き団子三兄弟」の言動を報道した新聞が、日本経済新聞、読売新聞、福島民報の三紙であるというのも、どうも新聞報道の今日的状況を象徴しているように思えてならなりません。これらの新聞は、従来より「御用色」「原子力翼賛色」が濃厚で、もはや「新聞」というよりは「珍文」「珍聞」と言い換えた方が実態にあっているような気がします。まさに「ますゴミ」ではないですか)
(注)日本社会の3つの特質=前近代的な「身分制社会」の痕跡を引きずったまま、下記の3つが混然一体となっている(その頂点は天皇)
(1)「上」へ向かっての「頂点同調主義」と「支配権力への盲目的服従」「支配権力翼賛の内生化」
(2)「横」へ向かっての「絶対的同調圧力」、従わぬ者への「ムラ八分」「いやがらせ」「陰口」、そして、ムラの中での「タコ坪的文化」の形成
(3)「下」へ向かっての「無限の責任転嫁」「無責任の連鎖」=「総無責任体制」
(東京新聞より:2015.8.12)
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(中略)映画監督で、脚本家の伊丹万作氏だ。伊丹氏は一九四六年八月、「戦争責任者の問題」という文章を映画雑誌に発表している。「町会、隣組、警防団、婦人会といったような民間の組織がいかに熱心にかつ自発的にだます側に協力していたか」「いたいけな子供たちは何もいいはしないが(中略)彼らから見た世の大人たちは、一人のこらず戦争責任者に見えるにちがいないのである」
耳の痛い言葉は続き、「だまされるということもまた一つの罪」「批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになってしまっていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体」と記した。伊丹氏はこんな警鐘も鳴らしている。「奴隷状態を存続せしめた責任を軍や警察や官僚にのみ負担させて、彼らの跳梁を許した自分たちの罪を真剣に反省しなかったならば、日本の国民というものは永久に救われるときはない」
(中略)伊丹氏は「『だまされていた』といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう」とも書いた。
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なお、このメールの後に、こうした「ホラ吹き」悪魔の言動に対する解毒剤として、3つの良識言論をご紹介しておきます。併せてご覧いただければ幸いです。
<別添PDFファイル>
(1)(ホラ吹き団子その1)福島並の事故
川内「起きない」(田中俊一 日経 2015.8.8)
(2)(ホラ吹き団子その2)原子力災害の健康影響とは(長瀧重信
読売 2015.8.6)
(3)(ホラ吹き団子その3)恐怖あおる研究者
無責任:日本原子力学会 宇野賀津子(福島民報 2015.8.2)
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(4)(解毒剤言論その1)◆◆◆これが「福島小児甲状腺ガン多発」の実態
「kurata_report.pdf」をダウンロード
(5)(解毒剤言論その2)プレスリリース(原発さよなら四国ネットワーク 2015.8.12)
(1)原発さよなら四国ネットワーク - gensayo4koku ページ!
http://gensayo4koku.jimdo.com/
(ここに別添PDFファイルのプレスリリースが掲示されています。また、伊方原発再稼働反対の大集会&デモが11/1(日)に予定されているようです)
(2)専門部会 四電安全策を了承 NNNニュース
http://www.rnb.co.jp/nnn/news8786046.html
1.(ホラ吹き団子その1)福島並の事故
川内「起きない」(田中俊一 日経 2015.8.8)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG07H57_X00C15A8EA2000/
(一部抜粋)
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(田中俊一原子力規制委員会委員長は)九州篭力川内原子力発電所1号機(鹿児島県)の再稼働が迫り原発の安全性が改めて問われるなか、厳格な安全審査を進めてきたことを踏まえ「東京電力福島第1原発のような事故は起きない」と強調した。
(中略)(田中一郎注:福島第1原発事故の)反省から規制委が同年に策定した新規制基準では最大級の地震・津波のリスクを考慮し、電源を多重に備えるなど「今までとは比べものにならない対策を求めた」。「絶対の安全はない」とする一方で、万が一、事故があった場合でも「福島より相当低いレベルに抑えられる」と語った。
(中略)田中氏は原発の安全性に対する認識の遣いは「説明してもおそらく変わらない」と語り、「信頼を回復することは容易ではない。安全に動く実績を示していく」ことが重要だと指摘した。再稼働にあたって事故を起こさないことに対して「責任は規制委にもある」と述べた。
(中略)電力業界などには審査が厳しすぎるとの不満もあるが「気にしない」として厳格な対応を続ける方針を示した。9月に発足から3年を迎える規制委の活動について「透明性、独立性は国際的にも評価されている」と語った。さらに体制の充実を図るために審査対応などを担う専門的な人材の育成に力を入れる考えを示した。
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(田中一郎コメント)
これまでこの田中俊一が君臨する原子力規制庁との交渉の場に何度も臨席した私のような者から見ると、この記事に書かれていることは、ほんとうにバカバカしい限りのことばかりなのだが、多くの方々は原子力規制委員会・規制庁の実際の言動をご存じないと思うので、以下、若干の批判をしておく。なお、田中俊一のこの「ホラ吹き」に対するまとまった反論は、私のこれまでのメールの他、たとえば下記にご紹介する「たんぽぽ舎」さんの抗議文などをご覧いただければ幸いである。
●「厳格な安全審査を進めてきた」⇒
重要追加施設の先送りや「工事計画」における事前着工の黙認、高経年化審査の手抜きなどなど、あらゆる面で審査が(電力会社との)「馴れ合い」にすぎず、また規制基準も福島第1原発事故の実態解明や原因究明を抜きにした「机上の空論」の域を出ていない。原発の過酷事故を1つの原因だけからしか想定せず、実際に起きる「同時多発故障・障害・破損」を想定外にしていること自体が、福島第1原発事故の教訓を棚上げにしているのと同じことだ。
●「東京電力福島第1原発のような事故は起きない」と強調した ⇒ もし起きたらどうするのか? 切腹でもして果てるというのか? 根拠のないことを断言していては規制委の長とは言えない。過酷事故は起きないどころか、地震・津波・火山噴火の過小評価や科学者無視の態度から見て、いつ起きてもおかしくない。
●新規制基準では最大級の地震・津波のリスクを考慮し、電源を多重に備えるなど「今までとは比べものにならない対策を求めた」⇒「最大級のリスクを考慮した」とはよく言ったものだ。地震・津波評価への批判はこの男の耳には入らないらしい。「馬耳東風」の「馬の耳」そのものだ。また、「電源を多重に備える」のは結構だが、実際やっていることは、巨大な原発施設の横っちょにプラモデルのような電源車をいくつか置いたりしているだけで、肝心要の外部電源の補強や複数化については、カネがかかるのでほっぽり出している状態だ。「今までとは比べものに生らない」のは、今までがあまりにお粗末すぎて危険極まりなかっただけの話、だからこそ福島第1原発事故が起きたのだ。
●原発の安全性に対する認識の遣いは「説明してもおそらく変わらない」⇒
ここでようやく本音が出ている。つまり、実際のことを知る人たちからの厳しい批判に対しては説明責任を取らずに無視するという姿勢だ。この態度は、原子力規制委員会・規制庁が実施するパブリックコメントに対する態度と通底していて、自分達に都合の悪い意見が出てくると、たちまち見流し・聞き流しして地下室の倉庫にぶん投げておくという、規制当局としてあるまじき態度を繰り返している。
●再稼働にあたって事故を起こさないことに対して「責任は規制委にもある」⇒
当たり前だ。規制をかけ、その認可を法的権限に基づいて実施している以上、「責任は規制委にもある」どころの話ではなく、事業者の電力会社と同レベルの重大責任があるのだ。しかし、この「ホラ吹き」にはその自覚はなさそうである。おそらくは、近未来の次の原発・核燃料施設過酷事故の際には、またぞろ真っ先にいなくなるタイプの人間だと想像する。
●不満もあるが「気にしない」として厳格な対応を続ける方針を示した。⇒
この「ホラ吹き」には「厳格」という言葉の意味が理解できていない可能性がある。広辞苑曰く「きびしくただしいこと、ある規則をきびしく守り、いいかげんなことをしないこと」とある。まさに田中俊一以下の原子力規制委員会・規制庁と正反対ではないか。
●規制委の活動について「透明性、独立性は国際的にも評価されている」と語った。⇒
川内原発の工事計画書の肝心な部分を「白塗り」の非公開にしたり、都合の悪い会議は非公開にしたり、あるいは、有権者・国民・市民の見えない水面下で電力会社や経済産業省などと談合してみたりしていて、何を言っとるのかね。また、原子力規制委員会・規制庁の下に置かれる「専門家会議」なるものは、その委員全員が原子力ムラ・放射線ムラの人間ばかりで、原発・原子力・被ばくに対して批判的な人は完璧に排除されている。どこに「独立性」があるのかね。
●審査対応などを担う専門的な人材の育成に力を入れる考えを示した。⇒
しかし、田中俊一のような人間が頂点に君臨していては、育つ人間も育たないではないか。政府交渉に出てくる原子力規制庁の若い官僚たちは、この田中俊一原子力規制委員長に首根っこを押さえられているものだから、自由にしゃべることもできないでいる様子がある。まさに、がん細胞の親玉みたいな人間=それが田中俊一原子力規制委員長である。(ちなみに、この田中俊一を原子力規制委員長に選んだのは(国会の承認も受けずに、非常事態だからなどと言って)、野田佳彦民主党政権であることも絶対に忘れてはいけない。民主党なんぞ、自民党・公明党とともに撲滅・解体せよ、ということだ)
2.(ホラ吹き団子その2)原子力災害の健康影響とは(長瀧重信
読売 2015.8.6)
(一部抜粋)
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(中略)しかし、「原爆による被害は、すべて放射線の影響である」との誤解は根強い。放射線の恐怖を正しく受け止める上で問題となるこの誤解の原因は、戦後の歴史に存在すると言いたい。
(中略)そのため、放射線に起因する健康被害が出ていない被爆者の中には、爆風や熱風による肉体的な被害、放射線被曝に対する精神的な恐怖、差別などの社会的被害が補償されないことに不満を持つ人が少なくない。
(中略)現在直面している福島第一原発の事故でも同様の構図の問題が起きている。東日本大震災では地震、津波による死者、行方不明者は2万人近くにのぼる。原発事故の放射線への不安から多くの人が避難した。事故から4年が経過し、国連科学委員会などの報告書は、被曝によって将来的に、がんなどの病気が発生する可能性は極めて低いとした。
しかし、今も自発的避難も含め10万人を超える人々が避難生活を強いられている。放射線の直接被害も問題であるが、放射線への不安や恐怖で強いられた長期避難などのストレスによる健康被害、平穏な家族生活の破壊、風評被害も大きな問題だ。原爆や原発事故などによる原子力災害では、放射線の身体的影響のみが大きく問題にされるが、実際の被害は、それだけではないということを強調したい。
原子力災害の被害者救済では、放射線の影響はもちろんのこと、それ以外の様々な被害も含めて、手厚く援助の手を差し伸べることを忘れてはならない。
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(田中一郎コメント)
長瀧重信(長崎大学名誉教授、元放射線影響研究所(RERF)理事長、政府の放射線被曝関係の審議会座長他)という、もう一人の「ホラ吹き」の話を読売新聞で見るのはこれで何回目だろうか。重松逸造、長瀧重信、山下俊一、高村昇と4代にわたって続く長崎大学の放射線ムラの御用学者の大御所であるこの男は、政府の審議会等で口を開けば放射線被曝の過小評価につながる話ばかりで、原爆が投下された悲劇の都市・長崎に所在する大学の医学部教授であるにもかかわらず、被ばく被害者の神経を逆なでする科学的・実証的根拠の乏しい嘘八百を繰り返してきた。今回のこの記事は、そうした人間が語る話にしては「もっともらしい」。がしかし、よ~く見てみると、随所にその悪魔的正体が見え隠れしている。袈裟の下に鎧が見える、体の保護色づけに失敗したマダラ模様のカメレオン、のごとき文章が、今回ご紹介する長瀧重信の「ホラ」である。
●放射線の恐怖を正しく受け止める上で問題となるこの誤解の原因は、戦後の歴史に存在すると言いたい。⇒
よく言うとるわ、これ。この男は、あの泣く子も黙る原爆傷害調査委員会(ABCC)の改組組織=放射線影響研究所(RERF)の理事長だった人間で、その放射線影響研究所(RERF)こそ、戦後一貫して原爆被爆者の被ばく被害を過小評価し(特に内部被曝)、アメリカ原子力委員会(現エネルギー省(DOE))をはじめ、国際原子力マフィアと言われる国際放射線防護委員会(ICRP)や「国連科学委員会(UNSCEAR)」などに、その嘘八百の歪曲・矮小化された被ばく被害データを送り続けてきた組織である。「戦後の(放射線被曝評価の)歴史」をねじ曲げてきたのは、いったいどこのだれか?
(参考)『放射線被曝の歴史 アメリカ原爆開発から福島原発事故まで』(中川保雄/著
明石書店)
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032660915&Action_id=121&Sza_id=C0
●国連科学委員会などの報告書は、被曝によって将来的に、がんなどの病気が発生する可能性は極めて低いとした。⇒
こうした放射線被曝(特に内部被曝)歪曲・矮小化のために存在していると言ってもいいような国際原子力マフィア組織にヒト、モノ、カネを送って水面下で支援し続けてきたのが日本の放射線ムラであり、その筆頭格の親分がこの長瀧重信である。「国連科学委員会(UNSCEAR)」の報告書などは、いわば手下の書いた報告書のようなものだ。それを根拠に「被曝によって将来的に、がんなどの病気が発生する可能性は極めて低い」などとのたまわく。よほど福島第1原発事故の被ばく被害を頭から否定したいようである。しかし、子どもの甲状腺ガンは福島県だけで126人にも達し(2015年3月現在)、更に、心筋梗塞の突然死(放射性セシウム心筋症)や白血病の多発、更には免疫機能低下による体調不調や病気がちの健康状態の多発などがうわさされている。いったいどうなっているのか?
●放射線への不安や恐怖で強いられた長期避難などのストレスによる健康被害、平穏な家族生活の破壊、風評被害も大きな問題だ。⇒
「大きな問題だ」などと、これもよく言うとるわね。福島第1原発の被害者の生活が破壊され、あるいは無用の放射線被曝を強要され続けているのは、加害者・東京電力や事故責任者・国がきちんと原発事故の賠償・補償をしないからで、その賠償・補償をしなくてもいいような情勢作りに励んでいるのが長瀧重信をはじめ、原子力ムラ・放射線ムラの御用学者・御用人間達ではないか。これから表面化してくる可能性の高い放射線被曝の健康被害に対する損害賠償・補償を早期の段階でねじ伏せる役割も担っている、その人間が、こうしたことを書いている。その欺瞞性には、全身に「むしず」が走る思いだ。
●風評被害も大きな問題だ。⇒
「風評被害」って、何のことですか。いわゆる「自主避難」とともに、一度、しっかりと説明を受けてみたいものだ。原子力翼賛社会の「排除」「バッシング」用語の一種ではないかな?
●原子力災害の被害者救済では、放射線の影響はもちろんのこと、それ以外の様々な被害も含めて、手厚く援助の手を差し伸べることを忘れてはならない。⇒
そう思うなら、今からでも遅くないから、被害者完全救済のために行動してみたらどうか。この男の言うとることは「風呂の釜」=「湯だけ」(ゆーだけ=言うだけ)や。
3.(ホラ吹き団子その3)恐怖あおる研究者
無責任:日本原子力学会 宇野賀津子(福島民報 2015.8.2)
http://blogs.yahoo.co.jp/a87427/GALLERY/show_image.html?id=27367654&no=4
(一部抜粋)
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日本原子力学会のシンポジウム「除染の進捗(しんちょく)・放射線と健康影響」は一日、郡山市の郡山商工会議所で開かれた。(中略)放射線医療を研究しているルイ・パストゥール医学研究センター研究者の宇野賀津子氏が世界の放射線量や低線量放射線の健康影響などについて話し、「研究者がリスクを過剰に言い、恐怖をあおるのは無費任」と主張した。
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(田中一郎コメント)
「日本原子力学会」という原子力ムラの御用学会のことなので「さもありなん」だが、こんなものを新聞紙面に載せて堂々と報道している福島民報の気がしれない。福島県は福島第1原発事故でひどい目に合わされたのに、今度は放射能・被ばくでひどい目に合わされたいということなのか? 記事には批判的なコメント一つなく、御用報道もほどほどにしておけというものだ。記事にある学会の発言者は「研究者がリスクを過剰に言い、恐怖をあおるのは無費任」などと、実際に起きていることとは真逆のことを言って「放射線安全神話」「放射能安心神話」を扇動している。正しくは「科学的実証的根拠もなく、放射能や放射線被曝の危険性を過小に言い、安心感を与えて警戒心を解除するのは無責任だ」と言うべきところである。いや、それどころか、恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)の危険性を警告する科学的実証的なデータは、もはや世界にたくさん存在しているにもかかわらず、それらの日本国内への紹介を妨害している、あるいは無視しているのが、原子力ムラ・放射線ムラの御用学者たちなのだ。この連中の言うことを真に受けていては、間もなく放射線によって体の外側と内側とから焼き殺されることになるだろう。
(最後に、ちょっと長いですが「毒消し」をご提供いたします)
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4.(解毒剤言論その1)◆◆◆これが「福島小児甲状腺ガン多発」の実態
http://chikyuza.net/archives/55471
(福島第1原発事故後の放射能と被ばくの研究に定評のある蔵田計成さんの直近レポートです:田中一郎)
5.(解毒剤言論その2)プレスリリース(原発さよなら四国ネットワーク 2015.8.12)
http://gensayo4koku.jimdo.com/
6.(解毒剤言論その3)たんぽぽ舎MGより
http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=202
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┗■1.抗議声明
| 電力は足りている、しかも安全性は確保されない
| 危険な原子炉を起動する暴挙は許されない
└──── たんぽぽ舎 2015年8月11日
九州電力は8月11日午前10時30分、川内原発1号機の制御棒を引き抜き、原子炉を臨界状態にする「起動」を開始した。4年5ヶ月前の今日、福島原発震災を経験し、未曾有の原子力災害が引き起こす残酷な現実を突きつけられた日本が、再び多くの原発を基幹電源として起動させる政策決定の第一号として、川内原発を起動する暴挙に出たことは、世界に対しても重大な背信行為である。
1.東京電力福島第一原発の事故原因は「未確定」
福島第一原発事故は現在も原因が確定していない。政府事故調査委員会と国会事故調査委員会の報告書では、事故の原因についても見解が異なっている。国会事故調査報告書では、津波の前に地震による影響も生じていた可能性が指摘されているが、その後の調査は、その点を全く無視して行われ、他の原発に要求されている対策でも、ほぼ津波対策に特化しており、原因の一部にしか対策されていない。外部電源を非常用設備の一部として強化、安定性の向上をすべきところも、巨額の費用負担を懸念して、脆弱なままで放置された。しかし外部電源が1回線でも生き残ったことが、女川原発や福島第二原発を過酷事故からかろうじて救った事実を指摘する。
さらに、原発の過酷事故対策が、福島第一原発事故事故において、どのように作用し、結果として原子炉を破壊する方向に働いたのか、守る方向に働いたのかさえも、確定していない。数ある分析においては、原発の過酷事故対策として採られた方法に問題があった場面も指摘されている。当然これらの分析が確定しなければ、新たな事故対策を策定することも困難であり、実際に九州電力などが策定している運転規定(保安規定)において実施されるとしている対策に大きな誤りのある可能性が指摘されている。これらも一切が議論をされずに原子炉を起動したのは、新たな事故を準備する行為であると言わなければならない。
2.新規制基準による「再稼働」の危険性
「世界で最も厳しいレベルの規制基準」と、ことあるごとに政府は主張し続ける。しかし「世界で最も厳しい」には何の根拠もない。特に、少なくても30km圏内の住民避難の計画、更に遠くに拡散する放射性物質の避難対策を義務づけるIAEA国際原子力機関の基本安全原則では、過酷事故発生後の事故影響緩和策として「第4層」「第5層」が規定されている。そのうちの第4層については、格納容器防護を基本とした過酷事故対策が規定されているが、この対策そのものが、福島第一原発事故を分析し教訓化できていないため、ちぐはぐなうえ危険な内容になっている。
特に圧力容器減圧操作を基本とした「フィードアンドブリード」はむしろ炉心溶融を加速させかねず、十分に吟味した対策ではない。このような措置が可能となるためには、全ての圧力環境下において十分な一次冷却材注入能力を確保しておかねばならない。もちろん全電源喪失条件下に置いてである。しかしそのような抜本的対策は時間もコストも掛かり過ぎるため検討もされずに放棄されており、既存の注入設備に加えて消防用水配管からの消防ポンプを使った注水が新たに加えられた程度である。
もちろん原子炉運転圧力では注入できるはずがないので、この状態でフィードアンドブリードを強行する可能性がある。本来の意味は注水してから減圧する、であるが実際には「減圧してから注水する」になってしまう。これでは圧力容器はあっという間に空になるのに炉心に水は入らず、メルトダウンを引き起こす。実際に福島第一原発事故で起きたことである。
格納容器の安全確保のためには窒素封入すべきであるが、川内を含む加圧水型軽水炉は、それを拒否し続けている。一方で、燃料破損や水の放射分解で発生する水素対策は、イグナイタ(点火装置の意味)で燃焼処理することになっているが、格納容器や配管損傷により一気に大量発生するような場合は特に、燃焼処理ではなく起爆装置になりかねない。福島第一及び米国スリーマイル島原発事故の教訓からも可燃性ガスが大量に生ずる場合は、水素の逃がす装置を取り付けると共に、酸化剤つまり酸素を取り除くしかないのである。
原子炉を含む一次冷却材系統全体を防護するには、パラメータの監視は欠かせない。ところが福島第一原発事故では電源を全て失ったため、温度も圧力も水位も分からなくなった。これでは何をすれば良いか、したことに効果があるか、方針の変更をすべきタイミングかどうか、一切判断できない。格納容器ベントを強行した福島第一原発事故では、吉田所長は最後まで「ベントが成功したかどうか分からなくなった。」と答えていた。川内原発では、可搬システムも含めれば測定可能とされており、全てパラメータを監視して作業を継続することになっているが、こんな予定調和的な事故は起こらない。全ての電源を失っても、原子炉を冷却し続ける設備でなければ、教訓を生かしたことにはならない。
3.第5層の防護を放棄
「世界で最も厳しいレベルの規制基準」というのであれば、IAEAの安全対策「第5層」についても規制基準に取り込み、規制委員会が責任を持って審査するべきである。ところが規制委員会は防災対策を自治体に丸投げした。30km圏内の自治体でさえ、まともに計画も作れないまま、原発が動きだそうとしている。これが世界で最も厳しいとは、あきれ果てる。米国は原子力規制委員会が自治体と事業者に義務づけている。実行性が無い計画ならば原発の運転認可が下りない。
日本に比べて人口密度が比較的低く、車社会である米国でさえ、住民の安全対策には規制当局も責任を負っている。これだけみても、日本の規制基準は米国以下であることは論を待たない。原子力防災・住民避難計画については、自治体丸投げを止めて、国も責任を負うように災害対策基本法を改正する必要がある。また、規制委員会設置法も、改正すべきだ。少なくても米国並みに緊急時の原子力防災・住民避難計画が、すべての規制対象の基本になるべきであり、それが達成されるまで再稼働の議論そのものも出来ないはずなのだ。
4.戦争法案と一体となった原発再起動
今日のシナリオは、既に2012年には明らかになっていた。まだ野田政権だった時代の2012年8月15日(67回目の敗戦記念日である)に、米国「第3次アーミテージ・ナイレポート」が発表された。リチャード・アーミテージ元国務副長官とジョセフ・ナイ元国務次官補(ハーバード大学教授)を中心とした超党派の外交・安全保障研究グループ、CSIS国際戦略研究所による日本への「提言」である。いわば「外圧」文書であるが、主張を全部公開して圧力を掛けているわけだ。この中で、原発の再稼働が明記されている。当時は民主党政権下において2030年代までに原発を全て廃止する方針が論議されていた。しかし閣議決定は見送られた。米国からの圧力であった。原発からの段階的撤退を、さらなる原発輸出へと方針を180度転換させた。
このレポートには他に重要な記述が沢山あったが、現在大きな問題になっている、安倍政権による「集団的自衛権の行使容認」「TPP」「PKO」「戦後70年談話」これら全て、レポートに「指示された」内容になっている。そのため、一つ一つについて国会などで質問をされても、安倍首相をはじめ誰もがまともに答えられない。憲法学者が憲法に違反していると指摘されても、お門違いの砂川最高裁判決を持ち出したり、「統治行為論」でごまかそうとしたりするが、まともに論理を構築できないのは、結論ありきだからだ。
5.原発を動かして赤字になる電力会社
九州電力を含めて全電力は「原発を稼働させなければ赤字になる」などと主張するが、実際には全く電気を生まない原発に、巨額の投資を続けながら火力発電を続けるならば赤字になるのは当たり前である。発電設備に占める原発の比率が高い電力ほど、厳しくなるのは小学生にも分かる理屈である。それなのに原発に資金をつぎ込み続ける行為は、経営者としてそもそも失格であり、そんなことにまでどうして消費者が「電力料金」で買い支えてあげなければならないのか。全く本末転倒であり、電力の経営が厳しいから再稼働など、そもそも理由になどならない。
また、原発が動き出しても電力の経営は好転しない。なぜならば、九州電力でたかだか89万kwの設備が2基動く程度では、焼け石に水だからだ。九州電力は設備全体で1600万kwほどを今季最大電力と見積もっている。その1割強を原発が占めているに過ぎず、発電コストを引き下げる効果はほとんど無い。むしろ対前年比「定着節電」「他電力への移動」があわせて181万kwと、原発分をまかなってしまっている。電力消費量は年々低下を続ける中で、つまり電気料金収入が減少し続ける中で、川内、玄海原発に係る設備投資が減らないどころか増え続ける一方ならば、動かし続けていても経営状態を改善する効果はほとんど無い。それでも原発に固執し続ける背景には、国からの大きな圧力があると見るのが自然だろう。
6.これからも原発の停止を訴え続けよう
原発を動かしても電力会社にとっては針のむしろ状態は変わらない。これからは、事故が起きれば経営者の個人責任も厳しく追及される時代になっている。検察審査会による東電取締役3名の強制起訴が、次の事故では直ちに起訴される可能性も出ている現状では、電力会社の取締役個々人の判断にも大きな影響を与える可能性がある。
また、首相官邸、国会前に集まる人々が今も続いていることは重要だ。経産省前にはテントも頑張っている。世論調査はどれをみても、過半数を大きく超える声が「再稼働反対」を支持している。福島の被害者は、自分たちを置き去りに進められた原発再起動に強い怒りを表明している。今後、事故の脅威にさらされる人たちからも、怒りの訴えが続いている。原発前から国会前に至る、全国の声を、国、電力、経産省、規制委員会にぶつけて、一日も早く原発災害を案ずる必要の無い日々を作るために、これからも力の限りがんばろう。
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草々
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