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2015年8月15日 (土)

(参考資料) 『福島県における沿岸漁業再生への取組』(福島県農林水産部水産課著)=おかしいと思います +イベント情報 + 若干

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初にイベント情報をいくつかご案内します)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.福島原発告訴団 第一検察審査会も起訴相当の判断を!検審前行動

 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2015/08/blog-post_14.html

 

東京第1検察審査会激励行動&院内集会

 2015年8月19日(水)院内集会・参加費無料

 12:30~13:15 東京検察審査会(東京地裁)前

 14:00~15:30 参議院議員会館講堂

              ・検察審査会議決の解説 等

 

2.政権べったりの報道をやめろ! 8.25 NHK包囲行動(NHK包囲行動実行委員会)

日  時:2015825日(火)PM: 630

場  所:NHK放送センター(渋谷)

集合場所:西門まえ

 

3.(別添PDFファイル)第6回ちょぼぜみ:「過小評価されているβ(ベータ)核種の危険性:トリチウムと放射性ストロンチウム」

「tyobo_zemi_vol6.pdf」をダウンロード

日  時:8月20日(木)19時~21時 (開場18時30分)

会  場:スペースたんぽぽ

参 加 費:800円(学生400円)

 

たんぽぽ舎のあるダイナミックビルの4

 JR水道橋駅西口から5 

101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2 

 Tel: 03-3238-9035  Fax: 03-3238-0797  Email: nonukes@tanpoposya.net

 

4.共通番号いらないネット

 http://www.bango-iranai.net/

 

(1)共通番号全国交流討論集会

 8月28日(金)18:00~20:00

  参議院議員会館1101会議室(140人収容)

  商工会や保険医協会などの団体やグループにアピールしてもらいます。会場を満杯にしましょう。

 8月29日(土)10:00~15:00

  豊島区民センター第10会議室(50人収容)(池袋下車徒歩)

  https://www.toshima-mirai.jp/center/

  ここでは10月以降の抵抗や運動の在り方について,かなり詰めた議論を行います。討論中心の場です。

 

(2)10月3日野外集会・デモ

 105日直前の大規模集会・デモを企画しています。105日の午後、新宿か渋谷の公園で集会、その後デモです。

 

5.東京北部・戦争させない1000人委員会

 https://sites.google.com/site/tokyohokubu1000/home/event/201508

 

<戦争法案廃案! 東京北部地域 街頭宣伝>

 817日(月)18時~19時 西武池袋線 大泉学園 南口

 824日(月)18時~19時 JR 大塚 北口

 825日(火)18時~19時 メトロ丸の内線 茗荷谷 春日通側

               東武東上線 大山 南口

 826日(水) 7時~8時  西武池袋線 石神井公園 北口

        18時~19時 西武池袋線 練馬 中央口

 827日(金)18時~19時 JR 赤羽 東口

 

 

(ここから本文)

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(財)東京水産振興会がこのほど発行した福島県農林水産部水産課執筆の『福島県における沿岸漁業再生への取組』を入手いたしましたので,ご参考までにお送り申しあげます。なお,恐れ入りますが著作権上の問題等がありますので,転送・転載はご容赦ください。以下,簡単にコメントをいたします。

 

 <別添PDFファイル>

(1)福島県における沿岸漁業再生への取組(前半)(福島県農林水産部水産課)

(2)福島県における沿岸漁業再生への取組(後半)(福島県農林水産部水産課)

 

 <参考>

(1)東京水産振興会

 http://www.suisan-shinkou.or.jp/

(2)福島県における魚介類の試験操業に関するポータルサイトです

 http://www.fsgyoren.jf-net.ne.jp/siso/sisotop.html

(3)福島県水産課 - 福島県ホームページ

 http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36035e/suisanka-top.html

(4)水産庁-2 原発事故による被害への対応

 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h24_h/trend/1/t1_2_2.html

 

(田中一郎コメント)

 水産庁による福島第1原発事故の漁業への影響や水産物の放射能汚染についての話は,3.11直後から全く信用できませんので,私はほとんど相手にしていません。しかし,福島第1原発事故の被害当事者である福島県庁はどうでしょう。今回,福島県庁の水産課のまとまったレポートを始めて入手しましたので,興味深く拝見したのですが,残念ながら結果はがっかりでした。私の批評を一言で言いますと「おかしいと思います」です。

 

1.漁港や漁業関係施設,あるいは漁協や県関係出先事務所などの組織,あるいは漁具や漁船など,いわゆるハードの被災とその復興の状況は丁寧に書かれていますし,漁業復興へ向けた試験操業やさまざまなイベント・試み,あるいは国や県単独の補助事業などについても,かなり詳しく記述がなされています。しかし,そこには東日本大震災(特に津波被害)で大きな打撃を受け,更に福島第1原発事故で多種多様で大量の放射能によって県土や漁場が汚染されてしまったことについて,大きな懸念を抱く漁業者や,その漁業者が提供してくれる海産物についての危険性を懸念する消費者についての記述が乏しく,いわば「人間抜き・被災者被害者抜き」の復興レポートになっているように感じます。(但し,福島第1原発事故前の福島県の漁業の概要が説明されているのは非常に役に立ちます)

 

2.たとえば,最大の被害者である漁業者=漁協組合員の「動態」(避難・疎開・移住などの移動や,漁業廃業・転職の状況など)について詳しい説明がありません。漁協の組合員数で言えば,他の情報源からの情報では,約1/3の漁業者が廃業とのことでした(漁協組合員を脱退)。その結果,福島県全体の漁業者=漁協組合員数は実質的に1000人を割り込んでいるのではないかと思われます(原発事故前の2010年では1607人,漁船数で1155隻だったそうです:P4)。更に,避難・疎開・移住した漁業者や福島県にとどまった漁業者を含め,今現在の生活実態や漁業の状態,収入源などはどうなっているかについても,全くの記述がないのです。これはおかしいです。

 

3.「従って」と言っていいと思いますが,このレポートには,福島第1原発事故に伴う漁業者への損害賠償・補償や,避難・疎開・移住への支援などは,どうなっているのか,それについての漁業者の意見や要請はどういうものなのかという,福島県の漁業と漁業者にとって最も重要な問題についても記述が皆無なのです。何故,レポートされないのでしょうか? 水産庁のHPなどには,「現在、水産業関係者の原子力損害については、原子力損害賠償紛争審査会が策定した「東京電力株式会社福島第一、福島第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成232011)年85日策定、平成252013)年130日改定)に基づき賠償が進められています。」とあるだけで,なんのことなのかさっぱり分からない状態です。意図的に隠されているということでしょうし,隠すということは,ロクでもないことをしているということと同義のような気がします。

 

●水産庁-6)漁業者等への賠償

 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/h24_h/trend/1/t1_2_2_6.html

 

4.漁業者のみならず消費者も関心が高い試験操業による海産物の放射能汚染状況についてはどうでしょうか。これに関する記述はP18~P25とP35~36に記載があります。しかし,この試験操業とその漁獲物に関する放射能汚染検査については,このレポートは次のように書いています。

 

「試験操業は、安全性が確認された魚種を順次対象として規模を拡大しています。このため、漁協の自主検査体制は、対象魚種や水揚げ量の増加に対応しつつ、消費者に安心を提供し、販路拡大に資するものである必要があります。」

 

私には非常に気になる記述です。というのは,素直にこれを読むと,消費者に福島の魚介類を売るために,安心してもらうために検査をしている,という風に読めるからです。ということは,そうでないものが出てきたとき,つまり,ひどく汚染された海産物が出てきたら,それは隠してしまう,そして次回以降は,そういうものは検査しない,というようなことが言外に含まれているような気配があるからです。放射能検査が第三者によるものではなく,漁協による自主検査という,いわば「利益相反」行為に近いような形になっているのも問題です。

 

検査の仕方も大問題で,既に何度も何度も申し上げてきたように,サンプル数が少なすぎることに加えて,サンプルの取り方に問題があるのではないかということ(放射能が出そうにないものを選んで検査しているのでは?),放射性セシウム以外の危険な放射性核種を全く調べていないこと,厚生労働省が定める残留放射性セシウム規制値をアプリオリに受け入れて,それを下回ったらすべてOKの姿勢でいること(検出値がいくらかが大問題なのに,それを詳述しない),放射能で汚染されていた廃棄すべき海産物がどのように廃棄されているのか不明であること(闇の水産物流通に紛れ込んでいないか:過去に原爆マグロ(核実験による汚染カツオやマグロで危険だからと廃棄されたもの)が流通したように),水産物流通で産地偽装が行われていないか厳しくチェックしていないこと(トレーサビリティ制度も未確立),水産物の表示の適正性も含めて流通過程での検査がほとんどなされていないこと,などが指摘できます。残念ながら,この福島県庁のレポートには,こうしたことについては1行も記述がありません。福島県の漁業復興のためには消費者が大事だとされていながらも,消費者の懸念に対しては何ら真摯に応えるものにはなっていません。

 

本来は,試験操業だというのなら,徹底して試験操業に徹し,獲れたものはすべて検査・調査にかけ,さまざまな放射性核種がさまざまな海洋生物体内でどのように蓄積・濃縮しているか(していないか),更には,海洋生態系にどのように放射能汚染が影響しているかを,きちんと見定めることを優先すべきでしょう。そしてその間の漁業者の生活や収入は,試験操業経費として支払うものの他,加害者・東京電力や事故責任者・国がきちんと(追加)補償をすればいいのです。しかし,実際行われていることはそうではありません。それはまるで,加害者・東京電力や事故責任者・国が,最大の被害者とでも言うべき漁業者に対する賠償・補償の負担を一刻も早く打ち切りたいがためにする,ニセモノの「漁業復興」の演出のように見えてなりません。

 

福島第1原発が海にトリチウムや放射性ストロンチウムを含む危険極まりない汚染水を垂れ流していることについても,簡単な言及があるのみで,その具体的な経緯や,それに対して漁業者がどう対応したか,多くの福島県の漁業者がどのように受け止め,どうしてもらいたいと考えているのかについての言及もありません。要するに,形だけの海産物の放射能検査(=事実上,放射性セシウム検査のみ)をして「安全安心PR」をして福島県漁業復興を印象付けし,他方で,それに都合の悪いこと(汚染水問題や賠償・補償の問題など)は,フタをしてしまおうという隠れた意図が見え隠れしているように思えるのです。

 

 <私が考える あるべき漁業・海産物・海洋生態系の放射能検査>

●福島第1原発が海洋に排出し,今もまた汚染水として排出し続けている危険極まりない様々な放射性核種について調査・検査する。その結果は,各検査対象とした放射性核種の生物学的な特性・特徴とともに,詳細にまとめて可能な限り早く公表する。少なくとも,飲食対象海産物については,第三者による検査を必須とし,「利益相反行為」を回避する。検査サンプルは,汚染していそうなところをとって検査する(例:放射性ストロンチウムであれば,魚介類の骨や貝殻,甲殻など)。検査は,安心を確認するためにするのではなく,汚染状況をあぶり出し,それを除去する・回避するために検査する。

 

(1)放射性セシウム以外のガンマ核種(放射性テルル,放射性銀,放射性ヨウ素131,129など)

(2)ベータ核種:放射性ストロンチウム,トリチウム(いわき市の市民測定所「たらちね」ではベータ核種の検査が始まっている。公的機関でできないわけがない)

(3)アルファ核種:プルトニウム,ウラン

 

●単に,食べられる魚介類について,食べられる部分(可食部)だけを調べるのではなく,全ての海洋生物について,さまざまな放射性核種が,どの部位や臓器に,どのように蓄積・濃縮し,また,それが遺伝的にどう継承され,あるいは食物連鎖でどうつながっているかなどを,きめ細かく研究・調査・検査する

 

●海水や漁場,海底の泥や土・岩石など,海洋環境の汚染状況も詳しく調べ,海のホット・スポットを探る(放射性セシウムだけでなく,他の放射性核種についても)。また,海洋生態系の放射能汚染による影響を,大規模に,長期に観察・観測する。そのための体制を,海外からの学者・専門家も招いて,きちんとつくる。(魚はいわゆるカレイやヒラメなどの底魚と言われる魚種であっても,海の中をかなり広い範囲で回遊している様子があるので,そうした魚種別の生態を把握することも重要である。福島沿岸で放流したヒラメが北海道東部の太平洋沿岸で発見されたという記事も見たことがある=それくらい魚は動きまわるということ)

 

5.最後にまとめると,要するにこの福島県庁作成のレポートは,他の方面などと同様に「人間抜き・被害者被災者抜き」の「産業としての漁業の復興」を大々的に宣伝し,それをこれからも一層,県政策として推し進めて行くことを意図して作成されたものだと言えることです。その官製「産業政策」色の色の濃さが,漁業者の生活再建や海産物あるいは海洋生態系の放射能汚染などの「都合の悪い」事実を伏せてしまう,非公開化する,という,事実のご都合主義的な選択に結果していて,トータルとして「偽りの復興」を演出しているように見えているということです。「おかしいと思います」の理由はそういうことです。

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草々

 

(追1)福島の証言 ―世界が聞いた福島のいま 国際環境NGOグリーンピース

 http://www.greenpeace.org/japan/ja/campaign/nonuke/fukushima-remember/

 

(追2)フクシマからヒロシマへ〜70年目の旅 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1958

 

(追3)三菱重工に賠償9300億円求める 米企業、原発廃炉で:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/ASH7X5JT8H7XULFA02Y.html

http://www.huffingtonpost.jp/2015/07/28/mitsubishi-nuclear-power-plant_n_7891612.html

http://eco-shinrai-service.com/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BB%83%E7%82%89%E3%81%A7%E4%B8%89%E8%8F%B1%E9%87%8D%E5%B7%A5%E3%81%AB%E8%B3%A0%E5%84%9F9300%E5%84%84%E5%86%86%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E3%80%80%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA/

 

(追4)新国立競技場関係

(1)首相官邸が国立競技場の再検討について一般の方からの意見を募集しています。また、Yahoo!のアンケートも同時に行われています。

 http://www.kantei.go.jp/jp/headline/shinkokuritsu_saikento_suishin.html

 

(2)7月30日の国会内集会「みんなに開かれた真国立競技場に!!」の動画を公開しました。ぜひご覧ください。

 https://www.youtube.com/watch?v=SxCMLhhtH6k

 

 

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