川内原発は「再稼働」ではなくて「起動審査」=その「起動審査」を終了させるのは原子力規制委員会,しかし,その後,30km圏内自治体の防災(避難計画)と九州電力の防災支援の突き合わせが必要
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
(最初にお勧め新刊書)
●(別添PDFファイル)「甲状腺がん異常多発とこれからの広範な障害の増加を考える」(医療問題研究会(著))
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新聞・TVなどのマスごみは,川内原発1号機は再稼働された,の報道一色です。が,しかし,確かに原発は動きだしましたが,それはあくまでも(審査のための)「起動」にすぎず,法的には「起動後審査」が原子力規制委員会・規制庁によって実施されている段階です。正式には原子力規制庁が「検査報告書」を書いて,それを原子力規制委員会に提出し,これを原子力規制委員会が正式にオーソライズして審査が終わることになります。
そして,それから誰がこの川内原発1号機の再稼働を「決定」するのかというと,原子力規制委員会・規制庁でもなく,国・経済産業省でもなく(本来はここが電力業界の許認可を握っていますから,原子力規制委員会と並んで,再稼働の是非を決定すべき組織=再稼働責任組織となるべきでしょう=つまり2つの役所(原子力規制委員会+経済産業省)がともに連帯責任で再稼働の許認可とその結果責任を負うべきなのです),まして地元自治体(鹿児島県,薩摩川内市)でもないとされ,結局,九州電力よ,お前が勝手に決めろ,ということになっています。こんな原子力規制って,あっていいのかという話です。原子力規制委員会設置法をつくった民主党,それをいまでもきちんと正さずに再稼働責任を棚上げにしている自民党・公明党,この連中は,少し前のメールでも書きましたように,政治の世界から追放しないと,やがて日本は滅亡のハメに陥れられることになるでしょう。
さて,それでは原子力規制委員会・規制庁の規制基準審査が終了すれば,九州電力の判断で川内原発を再稼働していいのかと言うと,実は法的にはまだ不十分で,この後,川内原発の30km圏内の地元自治体と九州電力が協議をし,原発過酷事故時の避難計画を含む地域(原子力)防災計画と,それに対する原子力発電事業者の九州電力による各30km圏内自治体への避難・防災支援が整合性あるものとして,地元各自治体の承認するものとならなくてはなりません。根拠は原子力災害対策指針と,それをめぐる国会での質疑応答です。詳しくは下記サイトをご覧下さい。
しかし,この地元自治体がつくる防災計画と九州電力が行う自治体支援の整合性や妥当性・実効性を審査する組織がありませんので(原子力規制委員会・規制庁が屁理屈を付けて逃げてしまった,国や経済産業省は露骨に責任を回避),仕方がないので各地元自治体が「広域避難計画実効性検証委員会」(仮称)をスタートさせるのがいいだろうと,下記のサイトでは提唱しています。ともかく,原発過酷事故時の避難・防災計画に実効性がないうちは川内原発の再稼働など,許されるものではありません。
●行政無責任体制のまま再稼働へと突進する日本の原発:なぜ30km圏地元同意が法的要件なのか
http://www.hiroshima-net.org/yui/pdf/20150808.pdf
このレポートで,現下の原発・原子力規制の欠陥として明らかにされているのは次の2点だと思われます。
(1)原発・核燃料施設の再稼働をどこが責任を持って決定するのかが不明(無責任)⇒
原子力規制委員会と経済産業省の両方(両方のOK)とすべきです。
(2)国際原子力機関(IAEA)の「深層防護」の第5層である「地域防災計画」と原子力事業者が実施する「自治体防災計画支援」について,その整合性や妥当性・実効性を審査する組織が存在しない(自治体への丸投げというもう一つの無責任)⇒
原子力規制委員会・規制庁が審査し認可すればいい。
============================
加えて,川内原発再稼働に関連する若干のマスコミ報道などに注目してみます。
<別添PDFファイル>
(1)再稼働を問う 教訓どこへ:高線量下
突入誰が、過酷事故訓練 飛ぶ怒号(朝日 2015.8.13)
(2)再稼働を問う 教訓どこへ:長期避難
今も想定外、福島の現実反映せず(朝日 2015.8.14)
(3)停止原発 交付金減額、自治体に再稼働圧力(毎日 2015.8.11)
(4)自民の原子力規制チーム、監査室設置など提言へ(福島民報 2015.7.29)
(5)活断層あっても原発運転、暗躍する自民「電力族」(東京 2015.8.2)
(6)高浜3号機の工事計画認可(東京 2015.8.5)
(7)もんじゅ7度目 保安規定に違反(東京 2015.8.6)
1.再稼働を問う 教訓どこへ:高線量下
突入誰が、過酷事故訓練 飛ぶ怒号(朝日 2015.8.13)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11913190.html
(東京電力にくらべて格段に体制面・財務面で劣る九州電力に,過酷事故に対処できる当事者能力はありません。その東京電力でさえ,福島第1原発事故に対処できていないわけですから。つまり,過酷事故が起きたら「ハイ,ソレマデヨ」となるでしょうし,川内原発の過酷事故は,その安全性に関するこれまでの審査の内容から見て,ほぼ確実です。まもなく南海大地震・大津波か九州カルデラ火山の大噴火がこの原発を襲うことになり,その時に日本という国が「終わり」となります。また,その過酷事故時に,猛烈な高線量被ばくを「覚悟」させて,事故原発に飛び込んでなんとかしろと,従業員や下請け作業員に「業務命令」などできるはずもありません。すべてが無謀・狂気の再稼働です:田中一郎)
2.再稼働を問う 教訓どこへ:長期避難
今も想定外、福島の現実反映せず(朝日 2015.8.14)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11914937.html
(避難計画のポイントは,避難指示の出し方及びその伝達方法,安定ヨウ素剤飲用,集合場所,避難経路,避難のための「足」(自家用車・バスなど)と運転要員,避難先の確保と長期化への対応,要介護の方々への避難時のケア,スクリーニング及び被ばく防護,などです。どれ一つとってもまともに機能するような計画にはなっておりません。それを承知で川内原発再稼働にOKを出した鹿児島県知事・伊藤祐一郎や薩摩川内市長・岩切秀雄らは,未必の故意による殺人・傷害罪の罪人です。伊藤祐一郎に至っては,避難計画など10km圏内でいいなどと,勝手に原子力防災指針を無視していますし(それで何の責任も罪も問われないのがこの国のあり様です=法治国家を捨てて,江戸時代の人治国家に逆戻りです,少なくとも鹿児島県は原子力無法地帯と化しています),再稼働前に何度も実施しておかなければいけない広域避難訓練も,九州電力が再稼働対応で忙しいので再稼働後にすると,伊藤祐一郎鹿児島県知事によってうっちゃられたままになっています。
つまり,この伊藤祐一郎鹿児島県知事は,鹿児島県政を県民や地域住民のためではなく,九州電力のために行うということを厚顔にも表明しているのです。鹿児島県民は,この伊藤祐一郎鹿児島県知事と,その取り巻き・自民党,県庁幹部役人どもに馬鹿にされています。今後の全ての選挙で,伊藤祐一郎を含むすべての原発支持政治家どもを落選させましょう。自民党には金輪際投票してはいけません。それは鹿児島県滅亡への賛成投票になってしまいます:田中一郎)
3.停止原発 交付金減額、自治体に再稼働圧力(毎日 2015.8.11)
http://mainichi.jp/select/news/20150811k0000m010126000c.html
(原発立地自治体という「薬物中毒患者」に対しては,ヤクを絞ればいくらでも操ることができるとの算段で,かようなアベコベ政策を打ち出したということだろう。この地方をバカにする国や経済産業省の態度は,上記の伊藤祐一郎鹿児島県知事の地域住民を切り捨てて九州電力にご奉仕奉る態度と通底している。福島第1原発事故という悲惨な人災・犯罪の後になすべきことは,原発・核燃料施設の全面廃棄を決めた自治体にこそ,さまざまな政策面・財政面での優遇策や支援策が与えられなくてはならないはずである。一刻も早く政権交代を実現させ,原子力ムラに囲われて「薬物中毒」状態に陥れられている原発・核燃料施設立地を救い出そう。:田中一郎)
4.自民の原子力規制チーム、監査室設置など提言へ(福島民報 2015.7.29)
http://agora-web.jp/archives/1649371.html
http://www.gepr.org/ja/contents/20150721-03/
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201507/2015072800908&g=pol
(原発・核燃料施設の安全性をきちんと審査せず,再稼働のための屁理屈づくりにまい進している現在の原子力規制委員会・規制庁,それでも,その審査が遅い,審査が厳しすぎると,外野席からロクでもない野次を飛ばしてきた自民党,そのゴロツキどもがこのほどまとめたのがこの提言だ。こんなもの,まともな人は誰も相手にしないので,ネット上で検索しても,御用記事のようなものばかりが氾濫している。上記3つもそうだ。ただちに破って捨てることがこの提言に対する最も適切な対処方法である。読むだけ時間の無駄だ:田中一郎)
5.活断層あっても原発運転、暗躍する自民「電力族」(東京 2015.8.2)
http://newsdict.jp/e/55ccba3369702d7534040000/
(ほんとうは全国すべての原発・核燃料施設の敷地について活断層その他の地質調査をし直さなければいけないのに,わすか数カ所の原発・核燃料施設だけを見直しの対象に根拠なく絞り込んで,これまで調査を続けてきた原子力規制委員会・規制庁,それでも敦賀,美浜,東通,志賀など,原発施設直下に活断層があるぞと,今頃になって信じがたい調査結果が明らかになった。がしかし,出鱈目人間には上手の上手がいるものだ。原発や放射能の「ゲ」の字も「ホ」の字もしらない,思考停止の馬鹿人間集合体である「自民党・電力族」が,「活断層が真下にあってもいいじゃーん」などと言い出した。「工学的対処」でいいそうである。まともな神経ではない。
一方,こうした馬鹿どもに背中を押されて意を強くした地域独占の電力会社各社は,原子力規制委員会・規制庁のやる原発敷地調査は,活断層ではない,という結論が出るまで,何度でも何度でも,根負けさせるまで,調査を繰り返す覚悟を決めているかのようである,これらはすべて,我らが電気料金と税金による費用負担の上での出鱈目の限りである:田中一郎)
6.高浜3号機の工事計画認可(東京 2015.8.5)
http://mainichi.jp/select/news/20150805k0000m040058000c.html
(2015年4月の福井地裁判決で,再稼働はまかりならぬ,新規制基準は安全を確保していない,との判断を下された高浜原発3号機,あろうことか,その欠陥原発について,原子力規制委員会・規制庁は,まるで判決を無視するかの如く,工事計画を認可している。この国はいつのまにやら三権分立が吹き飛んでしまったらしい。原子力無法王国の出現だ。しかも,この工事計画認可だが,そもそも最初は3,4号機の共用施設として位置付けられていた「防潮堤」の審査において,その大地震時での液状化対策が不十分ではないかとの疑義が出て,審査が滞留していたものを,その後,防潮堤は4号機の付帯施設ですからと,屁理屈をつけて3号機の審査から外してしまっている。再稼働を何としても急ぎたい一心に,ここでもインチキが屁理屈に担がれて大手を振ってまかり通っているのである。現行の原子力規制委員会・規制庁を解体せよ。それが日本の生き残る道だ。:田中一郎)
(関連)関西電力株式会社から高浜発電所第3号機及び第4号機の工事計画認可申請の取下げ並びに高浜発電所第3号機及び第4号機の工事計画認可申請の補正書を受理しました 原子力規制委員会
https://www.nsr.go.jp/disclosure/law/PWR/150202_01.html
(関連)高浜発電所3号機の工事計画認可について [関西電力]
http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2015/0804_1j.html
7.もんじゅ7度目 保安規定に違反(東京 2015.8.6)
http://sp.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/0/10616.html
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20150806/Hazardlab_10616.html
(なんでこんな組織がまだ存続しているのか? ここも原子力無法地帯のようだ・:田中一郎)
======================================
草々
<追>(メール転送です)(イベント情報)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 8.28-29 共通番号もカードもいらない!全国討論交流集会 ■(転載歓迎)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
共通番号いらないネットでは、(1)番号利用拡大法案の廃案、(2)番号法の10月施行延期、(3)共通番号・カードの廃止をめざし、8月28日・29日の両日、「共通番号もカードもいらない!
全国討論交流集会」を開催します。8月28日の院内集会は、共通番号制度に関心を寄せるさまざまな市民やグループが集まって、番号利用拡大法案の廃案と10月の番号通知延期を展望します。国会議員から最新情勢の報告や、共通番号制度違憲訴訟を準備する弁護士からの発言を予定しています。
さらに共通番号制度の導入によって、マイノリティがこれまで以上に生きづらい社会にならないよう、当事者からの問題提起を準備しています。8月29日の討論集会は、これからの抵抗や運動のあり方を模索するため、具体的な取り組みの提案を持ち寄って、徹底討論します。さまざまな地域や立場から取り組みを提案してください。
番号法施行直前の10月3日(土曜日)午後には、東京・渋谷または新宿の公園(予定)を会場に「ストップ!
10月番号通知(オクトーバー・プロジェクト)全国集会&デモ」を計画しています。併せてご参加ください。
▼詳細掲載ページ
http://www.bango-iranai.net/news/newsView.php?n=37
■8.28院内集会■─────────────────────────
●日時:2015年8月28日(金曜日) 18時00分から20時00分まで
●会場:参議院議員会館 1階 101会議室 (定員140人)
所在地:東京都千代田区永田町2-1-1
東京メトロ「永田町駅」1番出口徒歩1分
東京メトロ「国会議事堂前駅」議員会館地下通路一般出口徒歩6分
東京メトロ「溜池山王駅」5番出口徒歩12分
http://www.bango-iranai.net/event/parts/map/kokkaiMap.pdf
※どなたでも参加できます。
※17時30分から18時30分まで議員会館正面入口でメンバーが通行証をお渡しし
ます。それ以降は受付にお問い合わせください。
●内容:
・基調報告:「2013年番号法審議と2015年改定法案作成~内閣法制局文書の検
討を通して」
・講演:田島泰彦さん(上智大学教員)
・講演:弁護士「マイナンバー制度の違憲性」
・発言:各地の市民・グループ、自治体議員・国会議員、マイノリティ当事者
・集会決議/行動提案
■8.29討論集会■─────────────────────────
●日時:2015年8月29日(土曜日) 10時00分から15時00分まで
●会場:豊島区民センター
3階 第10会議室 (定員50人)
所在地:東京都豊島区東池袋1-20-10
JR・地下鉄・西武池袋線・東武東上線「池袋駅」東口徒歩約5分
Tel.03-3984-7601
●内容:
・自己紹介とこれからの取り組みの提案
・10月番号法施行延期のための行動
・通知カード発送、番号カード申請、各種書類への番号記載などに対する対応
※提案はあらかじめ資料にまとめ、各自50部用意して持ち込んでください。
■院内集会&討論集会■────────────────────────
●参加費・資料代:無料
●主催:共通番号いらないネット
(共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会)
●連絡先・問合せ:Tel.090-2302-4908(担当:白石)
▼集会のチラシをダウンロードできます。
http://www.bango-iranai.net/event/parts/pdf/2015082829InnaiTohron.pdf
■賛同カンパのお願い■────────────────────────
・共通番号いらないネットは、共通番号制度を廃止に追い込むことをめざし、
全国的に幅広く運動を創り出していくため、共通番号制度に反対する市民・
議員・研究者・弁護士・医師などさまざまな立場の人々が集まる開かれたネ
ットワークとして結成されました。
・共通番号いらないネットへの賛同カンパを、集会受付でも受けつけます。 ご協力ください。
http://www.bango-iranai.net/aboutBin/aboutBin.php?n=3
───────────────────────────────────
« (参考資料) 『福島県における沿岸漁業再生への取組』(福島県農林水産部水産課著)=おかしいと思います +イベント情報 + 若干 | トップページ | 原発事故などなかったかのように、そして、放射能汚染などないかのように (この国の被ばく認識は狂い始めたのか?) »
「再稼動」カテゴリの記事
- 稼働させたらさっそくトラブルの「手抜き原発」=川内原発,何故,原発を一旦止めて,全復水器の全ての細管,関連して蒸気発生器細管の傷み具合を点検しないのか (なにせ4年近くも動いていない老朽化原発ですから)(2015.08.26)
- 川内原発は「再稼働」ではなくて「起動審査」=その「起動審査」を終了させるのは原子力規制委員会,しかし,その後,30km圏内自治体の防災(避難計画)と九州電力の防災支援の突き合わせが必要(2015.08.16)
- 狂気の川内原発再稼働=これで日本全土放射能汚染地獄の釜のフタは空いた:この「自爆テロ」カウントダウンを止めるには自民党・公明党を政界から追放するほかない (その1)(2015.08.12)
- (報告)高浜原発運転差止仮処分決定 緊急報告集会(2015年4月17日):田中俊一さん,事実誤認はあなたの方ですよ,そんなことより,再稼働を認可した原発が大事故を起こしたら,どう責任をとるんですか?(2015.04.19)
- 高浜原発3,4号機運転差止仮処分判決について:見事な歴史的名判決を受け止め,原発・核の廃棄がなぜ必要かを有権者・国民にこれまで以上に訴えて行きましょう=そして原発・原子力政治を転換するのです(2015.04.16)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 川内原発は「再稼働」ではなくて「起動審査」=その「起動審査」を終了させるのは原子力規制委員会,しかし,その後,30km圏内自治体の防災(避難計画)と九州電力の防災支援の突き合わせが必要:
« (参考資料) 『福島県における沿岸漁業再生への取組』(福島県農林水産部水産課著)=おかしいと思います +イベント情報 + 若干 | トップページ | 原発事故などなかったかのように、そして、放射能汚染などないかのように (この国の被ばく認識は狂い始めたのか?) »
コメント