明らかとなってきた原発再稼働審査のゴマカシ(2):「脆性遷移温度」の予測数値をゆがめてまで老朽化した危険な原発を動かそうとしている=高浜1,2号機は危ないぞ!
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
(最初に若干のことです)
1.「NPO法人 いわき放射能市民測定室 たらちね」が放射性ストロンチウムやトリチウムなどのベータ線核種の測定を始めています。画期的です。
http://www.iwakisokuteishitu.com/betaray.html
(関連1)ベータ線ラボについて
http://www.iwakisokuteishitu.com/pdf/report_data/20141221.pdf#page=37
(関連2)NPO法人 いわき放射能市民測定室 たらちね
http://www.iwakisokuteishitu.com/
2.ママレボ通信 これからの避難への支援策について――福島県中通り・浜通りの方へ
http://momsrevo.blogspot.jp/2015/04/blog-post.html
(関連)ママレボ通信ブログ
3.(別添PDFファイル)経産省前「脱原発テント」(産経 2015.3.30)
http://www.sankei.com/premium/print/150402/prm1504020003-c.html
4.原発事故で基準値超す汚染、未指定の廃棄物3651トン 5道県(朝日 2015.4.2)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11683321.html
(ある国の民主主義や人権尊重がホンモノであるかニセモノであるかは、その国の監獄・牢獄を見れば一目瞭然だそうだ。翻って、ある国の政治や行政がまともかどうか、きちんとしているかどうかは、今日では、放射性廃棄物=放射能汚染物の処分状態を見れば一目瞭然である。上記のようなことでは、日本は×××だ。:田中一郎)
(ここから本文)
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別添PDFファイルは、今月号の岩波書店月刊誌『科学』(2015年4月号)に掲載された小論文「不適切な予測式のままで老朽化原発の寿命延長=再稼働の地ならしが進む」です。著者は「原発規制庁審議ウォッチ・グループ」となっています。どうも原子力ムラの人たちは、「脆性遷移温度」という、原子炉を構成している素材材質の経年劣化=中性子線の恒常的照射に伴う脆化の度合い、の数値予測をゆがめて、老朽化原発の運転期間を無理やり長くしようとしているようです。以下、簡単にご紹介いたします。
<別添PDFファイル>
● 不適切な予測式のままで老朽化原発の寿命延長=再稼働の地ならしが進む(原発規制庁審議ウォッチ・グループ 『科学 2015.4』)
<岩波書店月刊誌『科学』>
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/
<コトバの解説>
●脆性遷移温度(ゼイセイセンイオンド)とは - コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E8%84%86%E6%80%A7%E9%81%B7%E7%A7%BB%E6%B8%A9%E5%BA%A6-678541
●中性子脆化(チュウセイシゼイカ)とは - コトバンク
(田中一郎コメント)
以下、原文を抜粋転記しながら、その要旨についての私のコメントを書き落としてみます。
原子力「寄生」委員会の「原子炉構造材の監視試験方法の技術評価に関する検討チーム」が今年1月に発足したが、原子力「寄生」委員会の方針によると、「監視試験方法については平成27年3月を目途に技術評価書及び基準解釈文書案をとりまとめる」とあり,たった3カ月の審議で片づけるつもりらしい。老朽化原発の経年劣化を評価する技術的方法と、その判断については、これまでの考え方では「あまい」のではないかとの根本的な疑問が呈されて久しいが、老朽化原発の最も重要なこの問題を検討するのに、原子力ムラの御用学者だけを集めた検討委員会で、わずか3か月の「検討の真似事」「形だけの検討委員会」によって、さっさと片付けてしまおうというのだから驚きだ。
関西電力は既に高浜原発1,2号機(1974年・75年稼働=約40年経過)の寿命延長の方針を明らかにしたが、その高浜1号機の圧力容器内に置かれた監視試験片の脆性遷移温度は、2009年に取り出されたものにおいて99度Cに達した。この値は九州電力玄海1号機の98度Cを超えて日本で最悪である。玄海原発もまた、すでに廃炉が決定されたようなので、結果として、再稼働の見込みのある高浜1,2号機が、日本の老朽化原発の中では最も危険な原発と言えることになる。
●九電、玄海原発1号機の廃炉を正式決定 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASJC17H4B_Y5A310C1000000/
運転延長をおこなおうとする場合,圧力容器鋼板が緊急時に急激に冷やされる熱衝撃に耐えられるかどうか,審査を受けねばならない。その審査に必要となるのが鋼材の脆性遷移視度(関連温度)を予測する方法であり,日本電気協会の技術規程「原子炉構造材の監視試験方法JEAC4201-2007」が用いられている。「JEAC4201-2007」には,脆化予測式が示されていて,この予測式と実測された監視試験データとから,この先の脆性選移温度の予測上限値(関連温度ともいう)を推定する。その温度を使って破壊靭性値を求め,加圧熱衝撃に圧力容器が耐えられるかどうかを判定する。その判定には日本電気協会の「原子炉発電用機器に対する破壊靭性の確認方法JEAC4206-2007」が使われる。
しかし、この「JEAC4201-2007」については、原子力安全保安院時代に玄海原発1号機の監視試験片の脆性遷移温度98度Cを予測できず 根本的な間違いがあるとされていた代物である。しかし、原子力「寄生」委員会は、「予測法の適切性は予測結果の妥当性で評価する」などと、トートロジー(同義反復)のような意味不明の理由で、この「JEAC4201-2007」についての検討・議論を封じ込めてしまった。
「このような制約のもとではあったが,検討チームの3人の外部専門家のうち2人が,予測法への批判的意見を述べた。ポイントの一つは,予測式をつくる際の反応速度式などの係数の決め方が結果しか示されておらず当事者以外がチェックできない,科学論文ならばリジエクトだ,確認できるようデータや計算プロセスを公開すべきだ,
という意見である。もう一つは,データが追加されるたびに係数を変えるようでは予測式とはいえず相関式にしか過ぎない,内挿の範囲ならよいかもしれないが外挿は危険ではないか,
というポイントである」(原文をそのまま転記)⇒ あきれるような内容の「予測法」である(田中一郎)。
しかし、今後の進展では、2007予測式の疑問点は先送りされ,規制庁の筋書きに沿って技術評価書が確定され,形式的にパブコメにかけられることになりそうであるという。老朽化・経年劣化して脆くなった材質のままの原子炉圧力容器に原発過酷事故が襲い、緊急炉心冷却装置が働いて、一気に冷水が圧力容器にそそぎ込まれた時、下手をすると圧力容器の壁の金属が「パリン」と割れてしまうこともありうる、そういう原発が高浜1,2号機だということになる。冗談ではない。
また、原子炉圧力容器を形作っている金属素材が、何らかの理由で「粗悪品」だった場合には、その経年劣化=中性子照射脆化は、通常の場合よりも一段と加速化され、早い段階で致命的な脆性状態となってしまうことは言うを待たない。そもそも原発機器類の素材に関する品質管理はどうなっているのだろうか。間違いなく、きちんと仕事がなされていると断言できるのだろうか(故平井憲夫氏が原発建設現場のお粗末さについて貴重な証言を残されているが(ネット上を参照)、おそらくは、原発の機器類や部品の品質管理やメンテナンスについても、まことに心もとない限りなのではないかと、私は推測する)。
(下記の小出裕章京都大学原子炉実験所助教の説明がわかりやすいです)
●高浜原発1号圧力容器
脆性遷移温度95度に メルトダウンに至る危険性とは? 小出裕章4-25
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65802425.html
●原子炉の照射脆化、脆性破壊に関する検討(原発老朽化問題研究会:2011年3月12日)
●原子炉圧力容器の中性子照射脆化について(PDF形式:1468KB)(Adobe
PDF)
●原子炉容器の照射脆化に対する健全性について 1.概 要 2.監視試験片(Adobe
PDF
ところで、原発建設第一世代がリタイアーしていった1990年代以降、私は原子力ムラの原子力施設・核施設に対する取り組み姿勢のゆるみが一段とひどくなったと思っているのですが、この「脆性遷移温度」を定期的に推し量るために原子炉内にあらかじめ「監視試験片」を入れておく、ということは、1990年代以降もずっと続けられてきていることなのでしょうか。ひょっとして、脆性遷移温度が話題にならぬようにと、「監視試験片」を原子炉内に入れるのをやめてしまっているのではないでしょうね。あたかも、問題になったからと、巨額の財政資金を投じて開発したSPEEDIを「避難には使わない」としたように。
草々
<追>
(メール転送です)<原子力規制委員会の新規制基準は世界で最も厳しい規制基準では無い(3)>
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「世界の新規制基準はMCCI対策重視、日本の新規制基準はMCCI対策軽視」について報告します。
1986年にチェルノブイリの4 号機で実際に重大事故(過酷事故)が発生し、落下した溶融核燃料がペデスタルのコンクリートを溶かし、コンクリート中に沈下する事故が発生したので、とりあえずの緊急対策として、原子炉の真下にトンネルを掘り、コアキャッチャを設置し、溶融核燃料が地下水まで沈下することは防止できた。そして、ペデスタルをポルトランドセメントコンクリートで築造した大設計ミスに気が付いて、ロシアやヨーロッパでは、コアキヤッチャーへと基本設計が変更されるようになった。
原子力規制委員会が翻訳した、IAEA(国際原子力機関)が発行している「安全基準」の中に「原子力発電所の原子炉格納系の設計」が掲載されている。ページ108に「重大事故の潜在的な影響には次のようなものが含まれる。・溶融炉心物質とコンクリートの相互作用に起因する大量の水素及びその他の非凝縮性の気体の発生。」ページ110に「可燃性気体の発生3-12.大容量の水素及び一酸化炭素の発生及び燃焼は、格納容器の健全性に脅威をおよぼし得る重大事故の現象である。水素発生の主要な原因は、ジルコニウム金属の酸化であり、また程度は少ないが、鋼材又は他の何らかの金属製機械と水蒸気との、金属が通常の運転温度を十分に超えた温度に達するときの相互作用である。」ページ111に、「溶融炉心-コンクリート相互作用 (e)水素及び一酸化炭素のような可燃性気体の生成 」とある。
また、佐藤暁氏の伊方裁判意見書の22ページからにアメリカのNRCが作成したサリー原子力発電所の過酷事故進展シナリオが紹介されている。26ページに書かれたシナリオでは、15時間後の雰囲気は、水素19%、一酸化炭素14.6%、水蒸気4.5%、酸素12.7%、窒素49.2%となっている。なぜ一酸化炭素が14.6%もの大量になるかは、35ページに記載されているように、「サリーのキャビティは、石灰岩の砂利と砂を混合したコンクリートでできており、サイズは、内径4.28m、外径5.58m、床の厚さ3.04m」と説明されている。
原発の過酷事故の発生時、MCCI(溶融炉心・コンクリート相互作用)により大量の一酸化炭素と水素が発生する事は、国会事故調査報告書に「福島第一原発3号炉の黄色閃光大爆発の検討項」として詳細に報告されている。しかし、国外の文献や規制基準書では大量の一酸化炭素と水素が発生するメカニズムが報告されているが、国内の報告はほとんど見当たらない。
また、原子力規制委員会の新規制基準に係わる適合性審査にも、高浜原発の審査書案にも、MCCIによる大量の一酸化炭素の発生及びキャビティに使用されているコンクリートの成分の検討が全く記載されていない。
このMCCIによる大量の一酸化炭素の発生のメカニズムは岩波の「科学」2014年3月号に、岡本良治・中西正之・三好永作が「炉心溶融物とコンクリートとの相互作用による水素爆発,CO爆発の可能性」を発表している。 このように、IAEAの安全基準や世界各国の新規制基準では、MCCIの発生のメカニズム(大量の水素、大量のCO、溶融核燃料から発生する大量のエアロゾル)とその対策を詳細に記述している。
しかし、不思議な事に日本の新規制基準にはMCCI対策がほんのわずか記載されているだけで、格納容器に緊急に貯水して、溶融核燃料を冷却すればMCCIはほとんど起こらないという世界に例を見ない楽観視でしかない。 世界の新規制基準はMCCI対策重視、日本の新規制基準はMCCI対策軽視としか言いようがない。
(「【報告】第1427日目★原発とめよう!九電本店前ひろば★ 青柳行信です。3月17日」より)
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