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2015年4月

2015年4月30日 (木)

脱原発脱被曝バック・ナンバー(12)(抜粋)(2015年4月)

これまで皆さまにお配りしたレポートなどのバック・ナンバーです。

 

<「いちろうちゃんのブログ」>

1.誰のための個人情報保護法なのか+「青森県小児がん等がん調査事業の報告書」  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-1c07.html

 

2.明らかとなってきた原発再稼働審査のゴマカシ(1):水素爆発対策をゴマカシ、高浜原発を川内原発より緩い条件で評価(滝谷絋一氏『科学』論文より) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-2ca4.html

 

3.明らかとなってきた原発再稼働審査のゴマカシ(2):「脆性遷移温度」の予測数値をゆがめてまで老朽化した危険な原発を動かそうとしている=高浜1,2号機は危ないぞ!  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-9304.html

 

4.(報告)原子力災害対策指針の改定に関する政府交渉とパブコメ・セミナー(4/2)=SPEEDIをなぜ使わない? プルーム対策はどうなった?(FoEジャパン、原子力規制監視市民会) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-8164.html

 

5.本日(4/5)のいろいろ情報(メール転送を含む) (1)激戦 青森県/北海道知事選挙 (2)玄海原発裁判ニュース (3)原発コストごまかし論再整理 他  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-04e8.html

 

6.原子力規制委員会は,今,何をしているのか:原発「性能規定」の危険性,産官学癒着なれ合いの「学協会規格」  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-db4f.html

 

7.(報告)(院内集会)圧力容器の老朽化を問う(高浜1・2号機稼働延長問題)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-580f.html

 

8.高浜原発3,4号機運転差止仮処分判決について:見事な歴史的名判決を受け止め,原発・核の廃棄がなぜ必要かを有権者・国民にこれまで以上に訴えて行きましょう=そして原発・原子力政治を転換するのです  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-671e.html

 

9.(報告)高浜原発運転差止仮処分決定 緊急報告集会(2015417日):田中俊一さん,事実誤認はあなたの方ですよ,そんなことより,再稼働を認可した原発が大事故を起こしたら,どう責任をとるんですか?  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/2015417-4e71.html

 

10.本日(4/19)のいろいろ情報(メール転送を含む) (1)イベント情報 (2)ネット署名 (3)南相馬提訴 (4)玄海原発 (5)高浜原発3,4号炉,(5)TPPとGM (6)汚染水 他  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-c4c3.html

 

11.福島第1原発2号機で何が起きていたのか=緊急炉心却装置(ECCS)の機能不全が原子炉破綻の最大原因の一つなのに、何故、誰もこれを語らないのか!!  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/12-7b13.html

 

12.トリチウム(三重水素)の恐怖 いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-9414.html

 

13.福島第1原発(123号機)で何が起きていたのか?  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/23-61fa.html

 

14.「日本むかし話」と「日本つくり話」=「日本つくり話」を無邪気に信じた結末は恐ろしいことになる「超恐怖スリラー」です 珍妙原発コスト論を嗤う  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-64f1.html

 

(その他)

● 本日(4/3)のいろいろ情報(メール転送含む) (1)大企業の税金逃れのカラクリ (2)函館市町会連合会の大間原発反対署名 (3)岐阜県瑞浪市高レベル核廃棄物処分場問題 他  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-cc7b.html

 

●(ご参考) 勉強会「我が国の食品表示とその問題点」 (4/4)資料です いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-94f6.html

以 上

「日本むかし話」と「日本つくり話」=「日本つくり話」を無邪気に信じた結末は恐ろしいことになる「超恐怖スリラー」です 珍妙原発コスト論を嗤う

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

またぞろ原子力ムラとその代理店政府が,ぬけぬけと大ウソをつき始めているようです。原発は一番安い・・・・・・アホか!!

 

●「日本むかし話」

 https://www.youtube.com/watch?v=alfBqzy6eFc

 http://nipponmukasibanasi.seesaa.net/

 

●「日本つくり話」=別添PDFファイル=「原発コスト(東京 2015.4.28)」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015042802000127.html

 

(こんなものは海外では相手にされません。馬鹿丸出しの大ウソです。:田中一郎)

 

●「こわーい結末」=別添PDFファイル=原発依存鮮明(東京 2015.4.29

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2015042902000139.html

 

(原発40年寿命も無視するようです。原子炉大爆発へ向けてカウントダウン開始ですね:田中一郎)

 

● 嘘八百への怒り=別添PDFファイル=「原発温存の電源構成 全く理解できぬ」(毎日 2015.4.29)」

 http://sp.mainichi.jp/select/news/20150429k0000m040124000c.html

 

● このひとは?

 http://sp.mainichi.jp/select/news/20150429k0000m040155000c.html

 

 

(ほんとうの話:以前お送りしたメールの再送です)

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原発コストごまかし論(再整理)

 

 新エネルギー計画策定で,原子力ムラと自民党が原発コスト論のインチキ合作をまたぞろやろうとしております。「原発安全神話」とともに滅び去ったはずの「原発安定神話」(原発ベースロード電源論)や「原発安価神話」(原発コストは安い論)が再び頭をもたげてきております。この辺で簡単に再整理しておきましょう。こんなものにだまされているようでは,お先真っ暗です。「原発は高コストだ」は,今や世界の常識であり,この世界の常識は,日本の原子力ムラと自民党の非常識なのです。

 

●いま一度、再稼働に経済的根拠なし、政府試算は現実離れ(大島堅一 東京 2015.3.31

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2015033102000162.html

 http://p.twipple.jp/PZztO

 

●コスト抑制、経産省強調、反対意見で結論先送り(東京 2015.3.27 他)

 http://ojirowashiyokohama.blog.fc2.com/blog-entry-913.html

 

●原発コストの今昔-昔も今も高い原子力発電による電力の製造費-(1 社会科学者の随想

 http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1005346698.html

 

 <原発コストのゴマカシ手法:あの手この手戦法>

(1)原発製造コスト(安全追加対策設備費用が巨額(原子力規制委員会が義務付けたものだけでは足りない),巨額の初期投資に係る金融費用と貸倒コスト,準備期間を含めて建設期間が長いため機動的な対応ができない,工事現場施工が出鱈目なので後々追加修繕費用がかさむ,他)

 

(2)ちょっとした地震で運転停止となる他,原発を担う電力各社の組織的退廃で不祥事が絶えず,そのたびに原発が止まる=稼働率が極めて低いのに,それを根拠なく高く見積もる,フル稼働を前提にする。

 

(3)原発の廃炉にかかる費用が極度に低く見積もられている。典型的な3K仕事であり,人件費だけを見ても今後高額なものになりそうなことに加え,放射能汚染が予想以上にひどく,見積もられ積み立てられた引当金だけでは原発廃炉は完結しない。

 

(4)使用済み核燃料や核のゴミの処分費用が話にならないくらいに少なく見積もられている。政府や原子力ムラが言うバックエンドコストは,使用済み核燃料を再処理した費用も入れて,わずか18兆円。しかし,こんな金額では,とうてい使用済み核燃料や核のゴミ(死の灰,汚染物)の処理・管理はできない。半減期2万4千年のプルトニウムや,半減期1560万年の放射性ヨウ素129など,さまざまな厄介きわまる超危険物が,天文学的な量で発生するが,それらは「半永久的」に環境汚染することがないように保管・管理・密封しなければならない。それらの費用は,たとえば週刊東洋経済掲載の記事では約70兆円,私の予測では「無限大」(際限なし)の費用がかかるだろう。そもそも半減期が1000年を超えるような核のゴミがわんさと出てくるようなものを,今後どうやって処理・管理すると言うのだろうか。将来の世代に付け送りしているだけの「不道徳」極まりない無責任行為ではないか。

 

(5)政府の科学振興予算の大半が原子力関連に投じられている。その金額は,毎年3千億円程度。これも原発のコストだ。

 

(6)高速増殖炉「もんじゅ」の開発及び設備維持費等は原発のコストに入れないなどと,原子力ムラが言い始めている。原発コストを小さく見せるインチキ芝居のネタがなくなってきたので,藁をもつかまんとしている様子がうかがえる。これをコストに入れないと言うのなら,核燃料サイクル費用はどうするの? 何のための核燃料サイクルなの? バックエンドコストはどうなるの? 見えすいた嘘八百はだめよ。

 


●原発経費、もんじゅ研究除外 経産省の方針、異論出ず:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11672164.html

 

(7)原発立地対策費(電源三法交付金その他)は国の税金から出て行っているけれど,それもきちんとコストの中に入れて下さい。

 

(8)福島第1原発事故対応にかかる費用=中でも主たるものは下記の3つだが,それらを合計すると,数百兆円規模となるでしょう。違うと言うのなら,福島第1原発事故後の対策は,きちんとしない,カネがかかるからうっちゃっておく,と言うことを意味しています。つまり原発事故被害者は切り捨てられるということであり,廃炉と放射能密閉・厳重管理は放棄するということを意味します。そんなことは認められません。

 

a,原発事故被害者への万全の万障・補償・再建支援のための費用

b.福島第1原発及び福島第2原発の廃炉費用

c.(溶融)核燃料,除染並びに放射能汚染物の処理・管理費用

 

(9)(私はこれが隠された費用の中では最も大きいのではないかと思っておりますが)原発に係る危険費用=もしもの事故の際に生じる他人の損害を賠償するとともに,原発施設を健全な形で再建設するために係る費用や,放射能で汚してしまった環境を元に戻すために必要となる費用の合計を保険金額(当然ながら金額無制限)とする,民間保険の保険掛け金。これは自動車保険で言うところの,対人,対物,登場者の各保険と同様の中身です。原発と言うのは民間の電力ビジネスですから,他の民間ビジネスと同様に,こうしたリスク対策としての民間保険付保を義務化し,競争条件を他の発電手段や,他のエネルギー供給手段と「イコールフィッティング」にすべきです。しかし,現状の原発は,こうした「原発過酷事故リスク」にかかる費用=一種の外部不経済 を,全く負担せずに踏み倒しているのです。(ここで「全く」と言うのは正確ではありません。国が定める原子力損害賠償法と言う法律があり,それによって金額1200億円の保険が掛けられていますが,そんなものではとても間に合いません。事実上,[全く]と言っていいという意味です)

 

(19)上記に関連して,昨今では「確率論的リスク評価」なる,新たな科学の体裁を装ったインチキ議論が持ち出されてきております。そこでは原発のリスク=過酷事故コストは次のように定義されています。

 原発の過酷事故コスト(リスク)=過酷事故時に発生する損失額×過酷事故の発生確率

 

 過酷事故時の損失額は,福島第1原発事故が起きてしまった以上,目に見えてしまいましたので,インチキはやりにくいですから,しょうがないので「過酷事故の発生確率」を屁理屈を付けていじくり回すのです。発生確率を十分に低くしておけば,リスクとしての過酷事故時のトータルコストもまた,十分に小さくできます。

 

 そもそも,この議論の大間違いは,確率論を用いて原発のリスクを,従って過酷事故コストを評価していることに加え,上記の式で,前者「過酷事故時に発生する損失額」と「過酷事故の発生確率」が掛け算されているところにインチキが潜んでいます。「掛け算」で評価することの根拠など,どこにもありません。そんなことをしたら,確率をいじることで,いくらでもリスクやコストを操作することができます。そして,原発過酷事故の発生確率なんぞに「科学的実証性」など,ありえないのです。何故なら,原発過酷事故は「実験」できないからです。出来たとしても,気の遠くなる時間がかかかるからです。

 

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まだ,あるかもしれませんが,このへんにして,最後に一言。

 

かつて「梅栗植えてハワイに行こう」は,有名な大分県大仙町の成功裡に終わった「村おこし」のキャッチフレーズでした。それをもじって,愚か極まる原発再稼働に一つのキャッチフレーズをお送りしておきましょう。

 

「原発再稼働して地獄に行こう」=原子力,暗い未来の,エネルギー

草々

 

2015年4月28日 (火)

福島第1原発(1,2,3号機)で何が起きていたのか?

(何故,誰も分析・解明を行わないのか)

(みんなで情報を集めて議論し,福島第1原発事故の教訓を引き出そう)

 

1.表紙

「f1_nanigaokiteitaka_hyoushi.pdf」をダウンロード


2.本文
「f1_nanigaokiteitaka_honbunn.pdf」をダウンロード


 <コンテンツ>

 

(参考)福島第一原発事故7つの謎-NHKスペシャル『メルトダウン』取材班/著(講談社現代新書)

 http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033203896&Action_id=121&Sza_id=C0

 

● 1号機の非常用復水器(IC)は何故機能しなかったのか?

● 3号機の高圧注水系(HPCI)は何故途中で止められてしまったのか?

● 3号機の爆発は1号機とは全く違っていた。本当に水素爆発なのか?

● 2号機は何故ベントが最後までできなかったのか?

● 2号機が何故最大の放射能環境放出の原子炉になってしまったのか?

● 1~3号機とも原子炉圧力調整のための「逃し弁」が正常に動かなかった。

● 何故,原発・原子力の専門家達は誰一人として福島第1原発事故を語らないのか,一般国民にわかるように説明しないのか?

● 原子力規制委員会・規制庁は福島第1原発事故の実態解明と原因究明を棚上げにしたまま原発・核燃料施設再稼働に猪突猛進するな! 

● 原子力規制委員会・規制庁は、福島第1原発及び第2原発の二次災害を防ぐべく、再びの大地震・大津波への万全の備え(特に使用済み核燃料プール)と放射能のこれ以上の環境放出(大気中と海へ)を止める対策に全力を挙げよ!

以 上

トリチウム(三重水素)の恐怖

(はじめに)

「HAJIMENI.pdf」をダウンロード

((ちらし)青森県六ケ所村の再処理工場のトリチウム廃液)

「tirasi_saisyori_toritiumu.pdf」をダウンロード

 

1.トリチウムとは、

 周期律表に1つの元素として記載された原子ではなく、水素の放射性同位体である=簡単に言えば、ちょっと変わった水素、のこと

(周期律表の元素の例:リチウム、ナトリウム、カルシウム、ヘリウム、酸素、塩素他)

 

2.水素の放射性同位体=原子核が違う=化学的(電気的)性質は同じ=区別困難

水素            陽子1つ、電子1つ

二重水素(デューテリウム) 陽子1つ、中性子1つ、電子1つ 安定、天然は微量

三重水素(トリチウム)   陽子1つ、中性子2つ、電子1つ 不安定・放射性物質

 

3.トリチウムの生成

ウラン-235235U44.8億年)とプルトニウム-239239Pu2.41万年)が中性子と反応した時に起こる三体核分裂(二つの大きな原子核と一つの小さな原子核が生成する現象)によって生じる他、原子炉内では、制御棒のなかの中性子吸収物質=炭化ホウ素に含まれるホウ素10 に中性子があたってトリチウムが生成される、あるいは原子炉水中に不純物として含まれるリチウム6 などのような軽い元素に中性子があたることによってもトリチウムができる。なお、かつては大気中の水爆核実験(核融合)により大量のトリチウムが地球上に放出された。

 

(加圧水型炉では,原子炉水中にホウ素とリチウムが添加されており,このため沸騰水型炉よりトリチウムの生成量が多い ⇒ およそ10倍)

 

●青森県六ケ所村の再処理工場が放出するトリチウム

青森県六ケ所村の再処理工場が本格稼働すると、その工程から出てくる様々な危険な放射性物質が膨大な量で環境に(大気中及び海中)放出されるが(中でも量が多いのが、クリプトン85、炭素14、放射性ヨウ素(131、129)、に加えてトリチウムである。トリチウムの海中への放出濃度は1億7千万ベクレル/リットルという信じがたい数字であり、1年間の放出量も2京ベクレルと天文学的な数字となっている。ちなみに大気中へのトリチウム放出は海中放出の1/10程度だが、それでも数字としては極めて巨大である。驚くべきことに青森県六ケ所村の再処理工場には放射性物質の法定排出基準はなく、まさに放射能垂れ流し放置の無法状態が黙認されている。

 

4.トリチウムの放射線

・半減期12.3年、ベータ線のみを出す(放射性セシウムのようにガンマ線は出さない)、ベータ線を出した後、ヘリウム3になる。

・ベータ線のエネルギーは最大で18.6 keV(キロ・エレクトロンボルト),平均5.7 keV である。解説書などには「弱いベータ線」などと書かれているがとんでもない話で、これでも人間を含む生物の細胞を形作る分子の結合エネルギー(数十~数百eV)に比べれば巨大なエネルギーで、特に内部被曝の場合には、人間や生物の体を破壊するには十分に大きなエネルギーである。

 

5. 原発排出のトリチウムへの規制

(1)告示濃度限度(参考:WHO基準ではトリチウム=10,000ベクレル/㍑)           

トリチウム水     

60ベクレル/cm360,000ベクレル/㍑)(6千万ベクレル/m3

 

トリチウム水蒸気  

 0.005ベクレル/cm3(5ベクレル/㍑)(5千ベクレル/m3


有機結合型トリチウム

 20ベクレル/cm320,000ベクレル/㍑)(2千万ベクレル/m3


一般化合物トリチウム 

40ベクレル/cm340,000ベクレル/㍑)(4千万ベクレル/m3

 


(その他の放射性核種)              WHO基準

 放射性セシウム134   60ベクレル/㍑  10ベクレル/㍑

 放射性セシウム137   90ベクレル/㍑  10ベクレル/㍑

 放射性ストロンチウム90 30ベクレル/㍑  10ベクレル/㍑

 

(2)福島第1原発汚染水に係る東京電力自主基準

 放射性セシウム134       1ベクレル/㍑

 放射性セシウム137       1ベクレル/㍑

 放射性ストロンチウム90     5ベクレル/㍑

トリチウム          1,500ベクレル/㍑

 

(参考)実用発電用原子炉施設からの年度別トリチウム放出量(単位:Bq)

 施設名           2007年   2008年   2009年  2010

東京電力(株)福島第1原発  1.4×1012  1.6×1012  2.0×1012   ― 

東京電力(株)福島第2原発 7.3×1011  5.0×1011  9.8×1011 1.6×1012

1012乗=1兆)

 

(法規制の根拠:放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律 ⇒ 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令・施行規則 ⇒ 放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号)⇒ 別表第二)

 https://www.nsr.go.jp/activity/ri_kisei/kanrenhourei/index.html

 

6.トリチウムによる内部被曝の危険性

・トリチウムによる被ばくは、特殊な場合を除き、外部被曝はほとんど問題にならない(空気中では5mmくらいしか飛ばない)

 

・問題は内部被曝である。トリチウムは、下記にあるように、有機物の水素と入れ替わった有機結合型トリチウムによって、白血病や脳腫瘍などの発がんの危険性や、その他の放射線被曝による健康被害が出る可能性の高い危険な放射性物質と言える。トリチウムの出す放射線=ベータ線のエネルギーが他の放射性核種に比べて小さいからといっても、その内部被曝による危険性を軽視することは許されないことである。

 

・トリチウムの放射線のエネルギーは小さく、18.6KeVのエネルギーを持つベータ線で、体内では0.01mmほどしか飛ばない。エネルギーが低いベータ線の特徴はエネルギーの高いベータ線より相互作用が強く、電離の密度が10倍ほどにもなる(電離とは分子切断のこと)(矢ケ﨑克馬琉球大学名誉教授)。

 

・内部被曝の場合には、放射線が直接、細胞内の組織や生命秩序を、そのすさまじいエネルギーで破壊することに加え、細胞内で活性酸素を生み出し、その活性酸素(主としてヒドロキシルラジカルで、これに対抗する抗活性酸素向け酵素は人体内には存在しない)が化学反応によって体内で悪い影響を及ぼす作用もある。

 

・なお、内部被曝の定量的把握に放射線被曝の評価単位である「シーベルト」は使えないので(内部被曝の実態を反映していないため過小評価がはなはだしい)、ベクレル単位で量を把握したのちは定性的に判断していくことをお勧めする。

 

(1)自由水型トリチウム (Free Water Tritium:FWT)

・トリチウムは酸素と結合してトリチウム水(HTO)の形をとることが多く,人体の特定の組織や臓器には濃縮しない。

 

・体内に水として存在しているトリチウムは、比較的早く体外に排出されるようだが、ここでも恒常的な低線量被曝(内部被曝)の場合には、毎日のようにトリチウムが体内に取り込まれるため、結果として一定量以上のトリチウムが常に体内に存在し続けることになってしまう。

 

・トリチウムがトリチウム水として人体に取り込まれた場合でも,その一部が細胞核の中にまで入り込んで,DNA(遺伝子)を構成する水素と置きかわる可能性がある。その場合には,トリチウムからの飛ぶ距離が短いベータ線が遺伝子を直接傷つけるため非常に効果的に作用し,ガンマ線よりも危険性が高いと思われる。

 

(2)有機結合型トリチウム(Organically Bound Tritium:OBT)

・トリチウムが有機化合物になると(有機物の水素と入れ替わる)、人体に吸収されやすくなり、細胞核の中に入ってDNAを傷つけやすくなり、かつ体内に長い間留まるので極めて危険

 

・トリチウムのきわだった特性として、環境中の普通の水素と非常に早く入れ替わるという特性がある。これは体の中の水素とも速やかに入れ替わるということを意味する。また、トリチウムは、新陳代謝や細胞の再生の過程で炭素と強く結びつき、有機結合型トリチウム(OBT)を形成する傾向を持っている。

 

・植物中に取り込まれたトリチウム水は、光合成により有機化されると、葉、実および根などの組織中に蓄積される。

 

・マウスの実験ではトリチウムが脳内に脂質成分として長く残るため、脳腫瘍などの危険性が高い

 

7.有機結合型トリチウムの人間体内への取り込み

人間は2 通りのやり方で有機結合型トリチウム(OBT)を体内に蓄積する。なお、有機結合型トリチウム(OBT)が食物連鎖を通じて生物体内で濃縮していくかどうかはよくわかっていないが、理論的にはあり得ない話ではない。

 

(1)1 つは、原子力施設から出るトリチウム水(HTO)の水蒸気によって汚染された土地で育った野菜や、穀物や、蜂蜜や、ミルク(そして日本では魚介類)などの食べ物を摂取することによる。

 

(2)もう1 つは、トリチウム水(HTO)を飲んだり、食べたり、呼吸したり、皮膚から吸収したりすることによって、人体が必要とする有機分子の中にトリチウムを新陳代謝して摂り込み、新しい細胞に組み入れることによってである。

 

8.トリチウムの除去

・トリチウムは水素(の放射性同位体)なので、化学的性質は普通の水素と同じ。従って、トリチウムの化学的性質を利用しての分離は基本的にできない。

 

・莫大な費用をかけてウラニウムを濃縮するのと同じプロセス、ガス拡散法やガス遠心分離法などで何十段階も繰り返していくとトリチウムだけを取り出すことは可能。トリチウムを除去するために莫大な費用をかけて対策するよりも、原子力発電をやめてしまったほうが賢い。

 

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(参考)カナダにあるCANDU 炉(キ ャンドゥ)や,日本の2003 3月に運転停止し現在解体工事中の新型転換炉「ふげん」は,中性子の減速材として重水を用いており,重水の放射化によって大量のトリチウムができる。また,イギリスにある改良型ガス冷却炉(AGR)では,燃料の被覆管にステンレスを採用しているのだが,トリチウムがステンレスの被覆管を通過してしまうため,環境中に大量のトリチウムが放出され問題になっている(トリチウムは物質透過性が高い?)。

 

(こうした原発(特に加圧水型)や核施設の周辺では、子どもの白血病や脳腫瘍が多発傾向を示し問題となっている。日本でも加圧水型の原子炉がある泊(北海道)、玄海(佐賀)などでは周辺地域の白血病多発が目につく他、伊方や川内、あるいは若狭湾の原発銀座などでもトリチウムの被ばく被害が今後懸念される)

 

(人口10万人あたりの白血病による死者数)

この5年では、原発がある玄海町の白血病による死亡者は、全国平均の6~7倍ということになる。

         <1998~2002年の平均>   <2003~2007年の平均>
全国平均        5.4人              5.8人     
佐賀県全体       8.3人              9.2人
唐津保健所管内    12.3人            15.7人
玄海町         30.8人            38.8人

 

(参考文献)

●福島第1原発のトリチウム汚染水(上澤千尋 『科学 2013.5』)

●事故を起こさなくてもトリチウムを大量に放出する四国電力・伊方原発(原田二三子 20153月)

●核燃料サイクル施設批判(高木仁三郎:七つ森書館)

 

(参考サイト)

(1)【トリチウム安全神話】三重水素の本当の正体とは? 矢ヶ崎克馬教授

 http://www.sting-wl.com/yagasakikatsuma11.html

 

(2)<参考資料>日本の発電用原子炉トリチウム放出量 (2002年~2012年度実績)

 http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/tritium_3.html

 

(3)六ヶ所再処理工場 7・8月の放射能海洋放出

 http://www.jca.apc.org/mihama/reprocess/tritium_jul-aug.htm

 

(4)事故を起こさなくてもトリチウムを大量に放出する四電・伊方原発

 http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20150314.pdf

 

(5)福島第1原発のトリチウム汚染水(上澤千尋 『科学 2013.5』)

 http://www.cnic.jp/files/20140121_Kagaku_201305_Kamisawa.pdf

以 上

2015年4月24日 (金)

福島第1原発2号機で何が起きていたのか=緊急炉心却装置(ECCS)の機能不全が原子炉破綻の最大原因の一つなのに、何故、誰もこれを語らないのか!!

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初に重要情報を3つばかり)

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1.(新刊書紹介)原発地震動想定の問題点-内山成樹/著 七つ森書館

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033224689&Action_id=121&Sza_id=G1

 

(私もまだ目を通していなくて、書店でちらっと立ち見しただけですが、一読に値する書籍のように思いました。現在、原発運転差止裁判で最も注目されている問題の1つである基準地震動についての解説です。全体のボリュームも大部ではなく、活字も比較的大きな字で書かれていましたから、気軽に読める雰囲気です。少なくとも、別添PDFファイルの日経記事(「原発の「基準地震動」」のようなニセモノ記事をしっかり見抜いて批判するリテラシーをつけるためにも、読んでおいた方がいいような気がします:田中一郎)

 

●原発の「基準地震動」、断層や地盤から最大の揺れ計算 不確実さの解釈で差  

 http://www.nikkei.com/article/DGKKZO86061710T20C15A4TJN000/

 

(基準地震動は「最大の揺れ」ではありませんよ。「最大の揺れ」を装っているだけです。だから,わずか数年の間に「基準地震動」を上回る地震が5回も起きるのです:田中一郎)

 

2.川内原発運転差止裁判に関する続報

 下記は『日刊アグリ・リサーチ』という業界誌に掲載されたコラム記事です。保守・反動・御用の牙城のような業界の冊子にこうした記事が載るということは、原発がいかに危なくて忌み嫌われており、かつ、先般の鹿児島地裁の腰抜け裁判長・前田郁勝(いくまさ)らによる判決内容が話にならないほどひどいものであって、万人の理解が得られていないことを、明々白々と示しているものと思われます。

 

(一部抜粋)

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<対照的な二つの司法判断>

 九電川内原発一、二号機の運転差し止めを住民らが求めた仮処分申請で、鹿児島地裁(前田郁勝裁判長)は二二日、訴えを却下する決定をした。関電高浜三、四号機の再稼働を認めなかった一四日の福井地裁(樋口英明裁判長)の仮処分決定とは判断が分かれた▼

 

  川内・前田判決は、住民側が負け続けてきた従来の原発訴訟の流れを汲むもので、国(原子力規制委)や電力会社の言を鸚鵡返しにし再稼働の露払い役に徹したためか、判決後、藤井俊嗣・火山噴火予知連絡会長から、火山学者が規制委の審査に加わっていたとする誤りなど「事実誤認」を指摘されるまで前のめりなものとなった。争点の一つとなった周辺自治体の避難計画についても、「現時点で一応の実効性を備えている」と評価したが、人の生命・財産にかかわる避難計画が「現時点で一応」では困るのではないか▼

 

 一方、高浜判決は、昨年五月の大飯判決を出した同じ樋口裁判長だけに、住民の素朴な疑問も採り入れ、事実に基づき裁判所としての判断を下すものとなった。最大の争点だった「基準地震動」(原発に到来することが想定できる最大の地震)について、全国二〇箇所にも満たない原発のうち四つの原発に五回にわたり、想定した地震動を超える地震が二〇〇五年以後一〇年足らずの間に到来している事実を重視し、高浜原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せないとした。科学的知見をもとに作られたはずの基準地震動が何故こうもやすやすと越えられてしまうのか、という疑問を投げかけた。

 

(以下、省略)

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なお、この鹿児島地裁の腰抜け裁判長・前田郁勝(いくまさ)らによる判決内容についての批判は、昨日ご紹介した満田夏花さんのコメントが非常に適切ですので、再掲載しておきます。私から、この満田夏花さんのコメントで漏れていると思うことを1点だけ下記に付け加えておきます。

 

●満田夏花さん:「要旨」を読んだ範囲で、気になった点を下記にまとめましたので、ごらんいただければ幸いです。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1425519691097615&id=100009187927595

 

(満田夏花さんのコメントを転記)

「福島第一原発における事故の経験等をも考慮した最新の科学的知見および安全 → 目標に照らして、その内容に不合理な点は認められない」

 福島原発事故の検証は十分ではありません。規制基準に十分反映されたとはいえません。安全目標については、パブコメにすらかけられず、たかだか5回くらいの短時間の審議で原子力規制委員会内部で決められました。国民の合意を得たものではありません。

 

(田中一郎コメント)

 川内原発が「最新の科学的知見および安全」を十分に反映しているなどというのは嘘八百です。例えば、過酷事故時には(福島第1原発事故時にしたように)炉心を冷却することをあきらめて溶融するに任せ、それを格納容器下部に水を貯めて落下してくるのを待ち受ける、などという、考えられないような過酷事故(無)対策を用意しておきながら、ヨーロッパなどの原子炉では設置済みのコア・キャッチャー(高温に耐えられる溶融炉心の受け皿)は設置しないとか、格納容器下部に水を貯めるための専用注水設備を用意しないとか、高性能のフィルターのついたベント装置も設置を猶予するとか、信じがたい手抜きを行っています。また、アメリカのウェスチングハウス社の原子炉AP1000のような格納容器(圧力容器内の炉心ではなく)を強力に冷却する装置もなければ、緊急炉心却装置(ECCS)の過酷事故時における機能の有効性に関する科学的検討もなされていなければ、更には水位計や圧力のがし弁や制御系配管などの過酷事故時における機能の堅確性・耐震性などについても、ノーチェックのままなのです。いわば川内原発の再稼働審査は、「非科学の粋」を集めたインチキ・似非知見と、安全対策にカネがかからないで済むようにでっち上げられた、偽りの「現状追認儀式」であるといえるでしょう。

 

●ウィキペディア AP1000

 http://ja.wikipedia.org/wiki/AP1000

 

3.特措法成立 武器購入の契約 最大10年に延長(東京 2015.4.23

 http://www.sankei.com/politics/news/150422/plt1504220016-n1.html

 

(田中一郎コメント)

 東京新聞の記事がネット上に見当たらないので、御用記事ですがサンケイ新聞の記事URLを書いておきます。アメリカの手下として軍事大国化に邁進する安倍晋三政権の下で、この武器購入予算の「タガ外し」は、東京新聞の記事が書いているように「武器の大量購入を既成事実化」することになるでしょう。大企業や富裕層に減税をしすぎて財政難に陥り、私たち一般有権者・国民・市民から消費税をまきあげながら毎年大赤字の予算を組み続ける日本政府、そんな政府が有権者・国民・市民のための様々な政策費用はそっちのけ・先送りで、軍事大国化のための武器購入の予算を将来の財源を先食いしながらどんどんやっていく、これがこの法律の正体です。

 

 それを、今国会では「長期契約を現行の5年から10年まで可能とする特別措置法案が22日の参院本会議で自民、民主、公明、維新の党などの賛成多数により可決、成立した。」というのです。自民や公明はともかくとして、民主や維新の党も賛成に回っていることに注目しておいてください。この連中は、野党でもなんでもない、ただの自民党補完勢力であり、維新の党については、それに「ちんぴら右翼」という「もう一つの本性」がついて回ります(かような国会議決は他にも山のようにあります:例えば特定秘密保護法など)。つまり、世直しを期待して、民主や維新などの政治家に選挙で投票してみても、何にも変わることはない=次の自民党政権ができるまでの「つなぎ」「ふくらし粉」「下準備」程度のことにしかならないということを意味します。臭いにおいは元から断たなきゃダメ、なのです。

 

(ここから本文)

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 福島第1原発事故の実態解明において、最も奇妙なのは2号機である。2号機は1,3,4の各号機とは違い、爆発を起こさなかったにもかかわらず、福島第1原発事故では最も大量の放射能を環境に放出したと言われており、また各号機の中では最も危機的な状態にあったとも言われている。いったい何が2号機で起きていたのか。過酷事故時の原子炉の事態を実証的に把握するためにも、この問題を、先般既にご紹介した書籍=『福島第一原発事故7つの謎』(NHKスペシャル『メルトダウン』取材班:講談社現代新書)(以下『7つの謎』)の説明を参考に、下記で少し考えてみたい。

 

 私はNHK著作のこの書籍については、全面的な信頼を置いているものではない。いや、むしろ、この書籍は、そのベースが政府事故調の報告に無批判に依拠するところが多く、どちらかといえば批判的な目で見ている次第である。しかし、福島第1原発事故を顧みた場合に、誰が見ても、あのような原子炉の緊急事態において、きちんと想定された役目を果たすはずであって緊急炉心却装置(ECCS)が、その機能を十分に果たせなかった、あるいはほとんど機能しなかったことが、私は福島第1原発事故を深刻な事態に至らしめた大きな理由の一つではないかと思っている。SBO(全電源喪失)という想定外の事態はあったものの、下記に見るように、1号機はともかく、2号機、3号機については、まがりなりにも緊急炉心却装置(ECCS)は動いていたのである。SBOを緊急炉心却装置(ECCS)の機能不全の最大理由にすることは、私は理由のすり替え=ゴマカシであって、何が原因でどういうことが起きていたかの解明にもつながらないし、今後の原子炉の安全性を高めるための検証にもならない謬論であると考えている。

 

 以下、少し長くなるかもしれないが、福島第1原発事故時における2号機の議論を私なりに展開してみたい。それにしても、私がつくづく思うのは、何故、私のような原子力工学のど素人が、かような原発過酷事故の実態解明や分析のようなことをしなければいけないのかということだ。それは、福島第1原発事故後4年以上の月日が経過したというのに、日本の原子力関係の科学者や技術者が、誰一人として、一般の有権者・国民・市民が理解可能な形で、福島第1原発の各原子炉の事故実態や、深刻化した原因究明の結果の説明を、(現段階で考えられることという「推測」でもいいので)やろうとしないためである。いったい、日本という国の科学(者)や技術(者)はどうなっているのだろうか。一口に御用化というのはたやすいが、起きたことの説明さえできないどころか、しようともしない、この「事なかれ主義」の体たらくを、私は許すことができないと思っている。原発・原子力・核の世界は、この不透明かつ不誠実極まる状態1つをとってみても、撲滅しなければならない「暗黒の帝国」であることは明らかであるように思うのだ。

 

 <別添PDFファイル>

(1)(第4章表紙)爆発しなかった2号機で放射能大量放出が起きたのはなぜか?(『福島第一原発事故7つの謎 』(NHK:講談社現代新書より)

(2)最大の危機にあった2号機(同)

(3)なぜ、ベントができなかったのか(同)

(4)思わぬ地震の影響(同)

(5)検証:三者三様のトラブルが起きた格納容器ベント(同)

(6)(原子炉の図)ベント配管、主蒸気逃がし安全弁(同)

 

 まず最初に、2号機以外の爆発した2機(1号機と3号機)について、簡単におさらいをしておこう。まず、1号機については、地震直後のスクラムによって、緊急炉心却装置(ECCS)である非常用復水器(IC)が稼働したものの、その動きがおかしいために現場作業員が何度かのストップ&ゴーを繰り返したのちに、その稼働を止めてしまっている。1号機原子炉の様子を記録した圧力容器内の水位や圧力の動き、あるいは過渡現象記録などを見ると、非常用復水器(IC)系配管や再循環器系配管などで地震の揺れによる破損と冷却水漏れ(LOCA)を起こしていた可能性が高く、1号機については緊急炉心却装置(ECCS)の耐震性不足による機能不全が起きていた疑いが強い。

 

 政府事故調などでは、SBOに伴い非常用復水器(IC)は自動停止した、などと報告されているが、電源喪失によって駆動動力が失われる中で、はたして自動停止が実現したのかどうかは極めて怪しいし、そもそも自動停止していたのなら、まさに原子炉の緊急事態時において緊急炉心却装置(ECCS)を機能させなくしてしまう欠陥設計であると言わざるを得ない。いずれにせよ、1号機では非常用復水器(IC)という緊急炉心却装置(ECCS)が期待されていたようには機能しなかったために、福島第1原発の全6機の中では最も早く炉心溶融を起こし、水素爆発に至ってしまった。一方で、現場作業員の努力によって格納容器ベントは成功したため、格納容器の破壊までには至らず、その後は、炉心がメルトダウンしたあとの穴の開いた圧力容器へ向けて、消火系配管(これも低圧系の緊急炉心却装置(ECCS)である)を通じた注水が行われた。しかし、この注水も、消火系配管の欠陥設計のために大半の水が炉心に向かわずに復水器の方に行ってしまうなど、緊急炉心却装置(ECCS)の機能不全が後々まで尾を引く事態となってしまった。

 

(それから、元GEの原子炉技術者である佐藤暁氏は、仮に非常用復水器(IC)が正常に稼働していたとしても、やがて炉心からくる大量の水素ガスによって非常用復水器(IC)の配管が詰まり、冷却機能がマヒしてしまうであろうと論じている。おそらくその通りだろうと思われる。非常用復水器(IC)には、発生してくる水素ガスを逃がす、水素ガス逃し弁のようなものが必要ではないか)

 

(参考)記者会見:「福島第一原発の水素爆発は地震が原因で起こった」(田中三彦氏)再稼働阻止全国ネットワーク

 http://saikadososhinet.sakura.ne.jp/ss/archives/3500

 

 次に3号機だが、3号機は1号機とは違い、緊急炉心却装置(ECCS)としては非常用復水器(IC)ではなく、原子炉隔離時冷却系(RCIC)と高圧注水系(HPCI)という2つの装置が取り付けられていた。これは2号機も同様である(*)。この2つの機器が非常用復水器(IC)と違うのは、いずれも電源なしで稼働するものの、RCICもHPCIも、ともに最初のスタート時には電源が必要である=人間が人為的にスイッチを入れる という点だった。そして、3号機の場合には2号機とは違い、非常用のバッテリーが津波が来た後も生きていて、容易にこの2つの緊急炉心却装置(ECCS)を稼働することができたということだ。

 

(*)昨日(4/23)、たんぽぽ舎で行われた物理学者の槌田敦氏を招いての勉強会で、同氏は「福島第1原発2号機、3号機についても、もともとは非常用復水器(IC)が取り付けられていたが、浜岡原発の非常用復水器(IC)で起きた水素爆発を受けて、極秘裏に非常用復水器(IC)が取り外された」と説明した。真偽のほどは私には判断できないが、事実なら重大問題であり、また、福島第1原発1号機については、非常用復水器(IC)が設置されたまま放置されて、新たな緊急炉心却装置(ECCS)が追加手当されなかったことも大問題である。下記はネット検索したら出てきた関連サイトです。参考までにご覧ください。これについても真偽のほどは私にはわかりません。

 

●恩人菅さんに唾する東電メディア官僚そして民間事故調(8)原発非常時冷却システムを撤去していた勝俣会長

 http://members.jcom.home.ne.jp/u33/i%20think%20120312onjinnkantuba8.htm

 

 原子炉隔離時冷却系(RCIC)は、もともと緊急時対応に特化した装置で、あらかじめ専用のタンクにためてある冷却水を供給し尽くすと停止してしまい、そのあとを高圧注水系(HPCI)に引き継ぐという設計になっているようである。ただ、いずれの装置についても、用意した冷却水が足りなくなった場合には、格納容器下部にある巨大なドーナツ型の水のプールである圧力抑制室(SC:サプレッション・チェンバー)の水を使って、かなり長期に原子炉の冷却を続けられる仕組みになっていた(水源を自動、または手動で切り替える???)。

 

 ということで、3号機は1号機とは違い、3.11以降も最初は原子炉隔離時冷却系(RCIC)、そのあとを高圧注水系(HPCI)が引き継いで、炉心冷却を続けていたので、かろうじて原子炉の緊急事態への転落は避けられていたのである。ところが、その3号機の命綱ともいうべき高圧注水系(HPCI)の注水を現場作業員が3月13日の早朝夜中(午前3時前ごろ)に手動で止めてしまうのである。この動作は全く理解不能であるが、事故調査などでは、この点がとことん追求されていない。私の推測は、(現場作業員は馬鹿ではないのだから)3号機の高圧注水系(HPCI)という緊急炉心却装置(ECCS)もまた、1号機の非常用復水器(IC)と同様に、その配管に地震の揺れによる亀裂か破損が生じており、稼働を続けるうちにそれが徐々に徐々に大きくなって無視できなくなり、このまま稼働を続けると冷却水が炉心に行かずにじゃじゃ漏れになってしまうと判断したために、高圧注水系(HPCI)による注水を止めてしまったのではないか、ということである。

 

 いずれにせよ、3号機はこの高圧注水系(HPCI)を停止させて以降、炉心の冷却ができなくなって一気にメルトダウンに至り、翌日の14日午前11時頃には1号機爆発を上回る大爆発を引き起こして、建屋がボロボロになってしまった。なお、この爆発については、その形状から鑑みて単純な水素爆発とは考えにくく、一説では、使用済み核燃料プールの核燃料が引き起こした即発臨界による核爆発である、という説が広まっている。(核爆発であったか否か、くらいは、どうして未だに実証的に明らかにされないのか、私にはまったく理解できない=「しない」ということは「隠したい」ということを意味するので、益々、核爆発説は有力になっていく。また、3号機がプルトニウムを燃料に使う危険なプルサーマル炉だったことも状況証拠として挙げられている)

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 さて、上記の1,3号機とは違い、2号機はSBOの直後から一切の電源がなくなってしまい、原子炉がどうなっているのかが全く見えなくなってしまった。計器類でさえもが全停止状態だった。しかし、幸いにして、津波に襲われてSBOとなる直前に、現場作業員がたまたま原子炉隔離時冷却系(RCIC)の稼働スイッチをオンにしたため、2号機は(吉田所長以下、原発の現場にいる人たちには認識されなかったが)その後、最も長く緊急炉心却装置(ECCS)が働いて、炉心を冷却し続けたのである。上記でも申し上げたように、原子炉隔離時冷却系(RCIC)は、あらかじめ用意されたタンクの冷却水がなくなれば機能は停止するハズだが(だいたい12~24時間くらいで終了)、それが3月14日の午後くらいまでは冷却が続いていたのは、おそらく圧力抑制室(SC)にある水を使っての冷却だったのではないかと想像するが、その事情はよくわからない。ともあれ、この原子炉隔離時冷却系(RCIC)が14日夕方くらいから機能不全になって、2号機の原子炉の様子がおかしくなってくる。別添PDFファイルにある『7つの謎』は、この炉心がおかしくなり始めて以降について詳しく説明がなされているものである。

 

 それから、この2号機については、1号機が水素爆発を起こしたその際に、原子炉建屋の壁に据え付けられていた「窓」(ブローアウトパネル)が風圧で吹き飛んでオープンになってしまったため、1号機や3号機のように建屋に水素ガスがたまって爆発するという事態は起きなくて済んだという点も重要である。=つまり、原子炉建屋のブローアウトパネルを非常用独自電源で動くようにしておき、いざとなったら「窓」を開けてやれば、少なくとも原子炉建屋の爆発は防げるということである(但し、建屋の中に漏れ出ていた放射能は環境に出ていってしまうが)。

 

 それにしても解せないのは、この原子炉隔離時冷却系(RCIC)の動きである(高圧注水系(HPCI)に引き継ぎできなかったのはSBOのため最初の稼働用の電源がないから)。何故、数日間にもわたり原子炉隔離時冷却系(RCIC)が動き続けたのか、また、吉田所長以下、現場の人たちが2号機の原子炉隔離時冷却系(RCIC)が動いていることを知ったのはいつごろか、更に、原子炉隔離時冷却系(RCIC)を継続的に使いながら高圧注水系(HPCI)を何とか稼働させようとしなかったのはなぜか、という点が、私にはよくわからない。

 

 様々な情報源からの話では、吉田昌郎所長以下の人たちがやろうとしたのは次の2つ、①圧力容器内の圧力を下げて、消火系配管(低圧系の緊急炉心却装置(ECCS)の一つ)経由で炉心に冷却水を注水すること、②格納容器の圧力が高くなってきて危険(放置すれば格納容器が破裂して大変なことになる)なので、ベントを行って格納容器内圧力を下げようとしたこと(2号機の場合には圧力抑制室(SC)の水を原子炉隔離時冷却系(RCIC)経由で炉心冷却に大量に使ってしまったので、ベントといっても1号機、3号機のようなウェットベント(圧力抑制室経由)ではなく、格納容器から直接、外部環境に放射能まじりの気体を放出するドライベントだった)、であり、それは基本的に高圧系の緊急炉心却装置(ECCS)の炉心冷却機能を放棄してしまうことを意味していた。

 

 更に、原子炉の設計では、圧力容器のみならず格納容器の内部圧力についても、主蒸気逃がし安全弁(SR弁、SRV)のような「自動弁」が自動的に開いたり閉まったりすることにより、その圧力(水蒸気などの気体)を圧力抑制室(SC)に逃がしてやることで、原子炉全体の安定が保たれる=破壊的な高圧力の発生が抑えられるはずだった。しかし、これもまた簡単に放棄され、放射能を外部環境に放り出してしまうようなベントが選択されているのである。つまり、どんな原子炉にも備え付けてある、この内部圧力調整のための「逃がし安全弁」というものは、過酷事故のような場合に本当にきちんと正常に機能するのかという、もう一つの重大な問題が福島第1原発事故によって提起されたということを、しっかりと認識しておかなければならないということだ。

 

(このことは、ウェットベントが成功したとはいえ、ベント作業に忙殺された1号機や3号機についても同様に言えることである、「逃がし安全弁」が正常に機能し、圧力を下げる圧力抑制室(SC)が正常に働いていれば、かような作業は不要だった:特に1号機については、圧力容器内の高圧水蒸気を圧力抑制室(SC)へ逃がすための主蒸気逃がし安全弁が全く動いた形跡がないことが重要で、それにもかかわらず、圧力容器内の圧力が低下する事態が起きていたことも重要である=どこかが地震で壊れて破損していて、そこから水蒸気が漏れていたということ)。

 

(ちなみに『7つの謎』には、主蒸気逃がし安全弁(SR弁)に関して次のような記述がある。「2号機では、この頃、ベント弁の操作とは別に、SR弁を開いて原子炉の圧力を抜く作業も同時に進められていた。14日の夕方6時すぎ、SR弁が開いたためか、一気に原子炉の圧力が下がった。しかし、不運にもこの時間帯、2号機へと注水していたはずの消防車が燃料切れのため止まっていたのだ」。・・・・・・・・・・・・これは、とりもなおさず、2号機の逃がし安全弁が設計想定通りには動かずに、コントロールできない状態に陥っていたことを示している。本来は、炉内圧力や格納容器内圧力の大きさに自動的に対応して開いたり閉じたりするはずのものが動いていない、従って、炉心や格納容器内圧力のコントロールができない事態に陥り、過酷事故の深刻さが深まっていったということである)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 さて、以上のことをご説明したうえで、この『7つの謎』が提起した問題と、本書がそれに対して出した回答を下記にごく簡単にご紹介しておきたい。私が見たところ、この本のこの章でのテーマは次の2つであり、その結論は次のようなものである。私にとっては初耳で、かつ驚くべき内容だった。私には、(もし書かれていることが真実なら)いずれもが傾聴に値する原子炉施設の重大な欠陥ではないかと思われ(沸騰水型に限られない)、当然のことながら、こうした原子炉施設の弱点については、明確な対応策=再発防止策が必要のはずである。しかし、残念ながら(この書籍を世に問うたNHK取材班の意図にも反して)、こうした原子炉の欠陥とでもいうべきものが、上記で申し上げてきた様々な問題とともに、ほとんど手が付けられないままに放置され、まるで福島第1原発事故の経験と教訓を無視して猪突猛進するがごときに原発再稼働が強引に押し進められているのである。電力会社と原子力産業、原子力規制委員会・規制庁、政府、それに無責任極まる御用学者や、この出鱈目をきちんと報道しようとしないマスごみの態度は、日本を亡国に導く行為として厳しく糾弾されなければならない。

 

(テーマその1)爆発しなかった2号機で放射能大量放出が起きたのはなぜか?

 本書のP130には、「東京電力の広報担当であった松本純一は、「全体の放出量のうち、1号機からは2割程度、2号機は4割強、3号機からは4割弱が放出されたとみている」と発表した。」との記述がある。また、小出裕章京都大学原子炉実験所助教は自身の講演会で、福島第1原発が環境に放出した放射能は2号機が最も多く、日本政府による国際原子力機関(IAEA)宛の事故報告書では、全体の80%以上を占める、とまで説明した。爆発もしていない2号機が(3/15早朝に、圧力抑制室(SC)付近で爆発音がした、などと伝えられているが、それがどういうことだったのか、いまだにはっきりしない=おかしな、おかしな、まったくおかしな話である)、何故、かくも大量に放射能を環境放出し、他の号機を上回るまでに高濃度に汚染されてしまったのか、その理由は何か。

 

 (本書P146以下)

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 放射性物質を含んだ蒸気は、どこから漏れてきたのか。(中略)計装線図の読み解きから、専門家たちが漏えいを疑ったのは、意外な抜け道だった。それは、RCICを通るルートだった。2号機がほかの号機に比べて想定外に長く冷却機能を維持し、危機的状況に陥るのを遅らせる立役者ともなった最後の冷却手段が、皮肉にも放射性物質の漏えいに絡んでいるというのだ。RCICは、格納容器の外側にある地下1階の原子炉建屋に設置されている。専門家が疑ったのは、RCICのタービンを回す蒸気は原子炉から直接流れ込むため、そこが放射性物質の漏えいルートになるのではないかということだった。可能性が高いとされた場所は、RCICのタービンの軸の部分だ。しかし、軸は円盤形の4重のパツキンで厳重に塞がれている。果たして、RCICの軸から漏れることはあり得るのだろうか。

 

(模擬実験をしてみたら:田中一郎注)すると、圧力の上昇に伴って、軸の隙間の部分から大量の蒸気が噴き出し始めたのだ。刑部(人の名前:田中一郎注)は、思わず言葉を漏らした。「私が思っていたよりもかなり多い蒸気の量だ。放射性物質がかなり出てきた可能性がある。」

 

 実はパツキンの間には、軸を回転させるために、わずかな隙間が作ってあり、ここから蒸気が漏れ出る可能性があった。しかし、RCICの軸には、蒸気が漏れ出すことのないように入念な対策が施されていた。パッキン部分は、パロメトリック・コンデンサーと呼ばれる装置に繋がっていて、配管を通して蒸気を吸い出すことで軸の隙聞を負の圧力に保つ仕組みになっている。

 

(中略)しかし、RCICには死角があった。このパロメトリック・コンデンサーは、電気がなくなると止まってしまうのだ。蒸気を吸い出す配管の圧力を下げられないまま、原子炉から来る蒸気の圧力だけが高まると、蒸気はRCICの軸の隙聞から一気に漏れ出してしまう。本来は吸い出した蒸気を運ぶ先となるサプレッシヨン・チエンバーの圧力は、通常は大気圧と同じ1気圧程度だが、当時は、原子炉から出た蒸気によって、4気圧を上回る高い値になっていたため、蒸気は外に漏れざるを得なかった。RCICから蒸気が漏れ出すと、そこはもう格納容器の外であり、通常、作業員が行き来する原子炉建屋の中の空間だった。

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 つまり、2号機の大量の放射能漏れを引き起こしていたのは、緊急炉心却装置(ECCS)の原子炉隔離時冷却系(RCIC)だったというのだ。私は、環境放出量の多さから見て、この原子炉隔離時冷却系(RCIC)からの漏出だけでは説明がつきにくいのではないかと思うが、しかし、2号機の建屋内の放射線量が他の号機と比較して非常に高いことの理由の説明にはなるのではないかと思うし、おそらくNHKが取材で突き止めたこの原子炉隔離時冷却系(RCIC)からの放射能漏れという欠陥構造は、ただちに改善されるべきものではないかと思われる(私は、全くの推測ながら、「2号機大量放射能放出」は、15日の「2号機圧力抑制室付近での爆発音」とともに、3号機の核爆発による放射能の大量拡散をカモフラージュするための「作り話」ではないかと疑っている。今のところ、なんとも言えないが、この「作り話」説を完全否定できる物証は見いだせていない)。

 


(テーマその2)なぜ、ベントができなかったのか

 話が長くなったので、ごく簡単に箇条書きすると、「20125月の東京電力の会見で、広報担当であった松本は2号機のベントができなかった理由について、AO弁と呼ばれる空気で動くベント弁を開けるための電磁回路に不具合があった可能性を指摘する一方で、「AO弁を開くための、空気圧が維持できなかった」とも述べている。」(P153)に従い、次のようになる。

 

(1)AO弁と言われる空気圧駆動のベント弁を開くための電磁回路の不具合(ベント弁を動かす電気回路が故障してしまったということだが,これがどんな回路なのかはよくわからない。ひょっとすると下記の(2)を誤魔化すためのインチキ説明の可能性があることは念頭に置いておいた方がよい)

 

 (2)AO弁と言われる空気圧駆動のベント弁を開くための制御系配管が地震の揺れによって破損したために高気圧の空気が漏れ、ベント弁の開閉操作ができなくなってしまった(ベント弁を動かす空気圧制御配管が破損した)

 

 要するに、地震の揺れで、原発施設の制御系配管が壊れて、装置が動かなくなったということである。空気圧を使って動かすような原発装置の制御系配管は、ベント装置に限らず、全て危ないことを物語っている。

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 最後に大事なことを一つだけ申し上げておくと、上記で申し上げた、消火系を含む緊急炉心却装置(ECCS)の耐震性や過酷事故時における機能不全も、逃がし安全弁が設計想定通りに機動しないことも、ベント装置が自在にならないことも、制御系配管の耐震性についても、いずれについても、原子力規制委員会・規制庁は、その具体的実証的な検証と原因究明を行わず、従ってまた、こうした福島第1原発事故時の経験が新規制基準や原発・核燃料施設の再稼働審査に全くといっていいほど生かされていないことである。

 

 彼らがやったことは、福島第1原発事故で生じた様々なトラブル経験に対する対応や対策の検討を可能な限り避けて通り、今ある古い既存の原発・核燃料施設をできる限りそのまま使うための手抜き・低コスト対策を、悪知恵を振り絞ってあみだしたうえで、それに屁理屈や回りくどい説明や大言壮語などで虚飾して、オバカな自民党や民主党の政治家たちをたぶらかしたのである。だからこそ、福井地裁・樋口英明裁判長の高浜原発3,4号機運転差止の仮処分判決が、新規制基準は甘すぎると判定を下しているのだ。かような新規制基準に適合するかどうかだけがチェックされている今の原子力規制委員会・規制庁の「適合性審査」なるものが、全く原発・核燃料施設の安全性を担保するものではないことは言うまでもない。

 

 福島第1原発事故の経験と教訓が生かされない原発=安全性が全く確保されていない原発の再稼働を認めてはならないことは申し上げるまでもない。マスごみ諸君には、上記で申し上げたことをご理解いただいたうえで、安倍晋三や自民党の馬鹿者政治家たちが騒ぎ立てる「世界一、厳しい新規制基準で安全が確認された原発」という天下の大嘘を、「根拠がない」「事実に反している」と報道していただきたい。何故なら、それが乱暴極まりない原発・核燃料施設の再稼働にストップをかけ、近未来における日本の原発・核燃料施設過酷事故の再発と、日本の国としての破滅を防ぐ大きな第一歩となるに違いないからだ。

草々

 

 

2015年4月23日 (木)

態度で示す原発推進の本音(その2) 「原発は出鱈目の固まりですが、これからもやめるつもりはありません、被ばく被害者は踏みつけます」のだそうです

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

先般に続き「態度で示す原発の本音「原発は出鱈目の固まりですが、これからもやめるつもりはありません、被ばく被害者は踏みつけます」のだそうです」の「その2」をお送りします。私は脱原発・脱被ばく・被害者完全救済を目標にして、日々、原子力ムラ・放射線ムラやその代理店政府・自治体・組織・人間の動きを追いかけておりますが、日本という国が滅びてしまう寸前まで行き、今でも危険で不安定な状態を続けている福島第1原発事故の悲惨な結果と多くの人々の被害を目の当たりにしても、なお、毎日毎日、伝えきれないほどの出鱈目が、原子力ムラ・放射線ムラ一族たちによって繰返されております。今日もその一部を皆様にお知らせいたしますが、ほんとうに、つくづく、こうしたロクでもない情報を見させられ続けるのはイヤになります。ウンザリです。もういい加減にしとけ、ということです。

 

みなさま、このどうしようもない連中を、一刻も早く退治しませんと、近い将来、福島第1原発事故の第2弾が巨大なスケールで再現することはほぼ間違いありません。力を合わせて、日本という国を私たちの将来世代のためにも、私たち自身のためにも、救い出しましょう。求められているのは原子力ムラ・放射線ムラ撲滅の行動です。

 

(最初に若干のことです)

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1.川内原発再稼働差止仮処分裁判関連

 どうしようもない判決です。裁判長・前田郁勝は57歳のおやじです。人生の大半が終わっているのに、この腰抜け人間は、歴史に汚名を残す裁判官となりました。この判決が川内原発再稼働差止を認めていた場合、これまでの原子力規制委員会・規制庁が進めてきた乱暴極まる原発再稼働「推進」一本槍の流れは大きく変わった可能性がありましたが、ここぞという、まさに事態の分水嶺のようなところで、この前田とかいう裁判長他の裁判官たちは、自己保身のための「逃亡」を決め込んでしまいました。お前(たち)は何のために裁判官になったのかと問うてみたいものです(下記の日本経済新聞記事がバカバカしく感じます)。お前たちは、このロクでもない判決文を握りしめて、さっさと裁判所を立ち去れ!! ということです。

 

(1)脱原発弁護団全国連絡会 速報:川内原発差止仮処分不当決定

 http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/15-04-22/

 

(2)前田裁判長、理系出身・車いすの裁判官 川内原発差し止め却下

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H4J_S5A420C1CC0000/

 

(3)川内原発 再稼働差し止め認めない決定 NHKニュース

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150422/k10010056571000.html

 

(4)満田夏花さん:「要旨」を読んだ範囲で、気になった点を下記にまとめましたので、ごらんいただければ幸いです。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1425519691097615&id=100009187927595

 

(5)<川内原発差し止め却下>新規制基準を全面肯定 鹿児島地裁 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150423-00000000-mai-sctch

 

(一部抜粋)

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◇歓迎すべきこと 規制委委員長

 原発の新規制基準に「不合理な点は認められない」と判断されたことについて、原子力規制委員会の田中俊一委員長は22日の定例記者会見で、「歓迎すべきことだ」と評価した。

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(田中一郎コメント)

 「コメントする立場にない」人間が、何をごちゃごちゃ口出ししておるのか。あんたのホラ吹き舌は二枚舌、三枚舌だということが赤裸々になっているぞ。あんたたち原子力規制委員会・規制庁は「コメントする立場にない」のではなく、もはや「原発・核燃料施設を規制する立場にない、規制する資格がない」のだよ。

 

2.脱原発統一知事候補・ドクター大竹進さんとともに青森を変えよう:山本太郎応援講演会

 http://www.susume-dr-otake.jp/

 

日 時:5月10日(日)13:30~

テーマ:「山本太郎+大竹進の日本診断・青森診断 おはなしと・・・デモクラカフェ」

場 所:青森県八戸市 八戸福祉会館(はちふくプラザ ねじょう 多目的ホール)

主 催:大竹すすむ・三八の会

 

3.福島県外の子ども甲状腺ガン検査の結果

(1)(別添PDFファイル)牛久市:甲状腺超音波(エコー)検査の結果について(茨城県牛久市 2013111日から2015331 日の結果)

「koujousen_kensakekka_usikusi.pdf」をダウンロード

(2)松戸市:松戸市甲状腺超音波検査判定結果 松戸市公式ホームページ

http://www.city.matsudo.chiba.jp/chuumoku/houshasen/taisaku_taiou/kenko/koujousenn.html

 

4.(毎日新聞)■注目ニュース■ 怒る女性週刊誌 政権批判

 芸能ゴシップや美容・健康情報などで華やかな女性週刊誌に“異変”が起きている。安倍晋三政権をストレートに批判する硬派な記事が目立っているのだ。俎上(そじょう)に載せるのは、安全保障法制の見直しや憲法改正、原発再稼働、アベノミクス、そして女性活躍推進といった目玉施策。この怒り、どこから湧いてくるのか。

 

▽特集ワイド:怒る女性週刊誌 政権批判、読者に押され 原発再稼働、改憲…本当に必要? 家族の生活、命…守れるの

 http://mainichi.jp/m/?qQHUdJ

(毎日新聞の無料ネット会員になれば全文が読めます)

 

5.(毎日新聞)■注目ニュース■ アベノミクスで格差拡大 数値で裏付け

 全国1741市区町村の納税者1人当たりの年間平均所得について格差の度合いを示す「ジニ係数」を年ごとに求めたところ、2013年に係数が上昇し、格差が広がったことが毎日新聞の調べで分かった。安倍政権の経済政策「アベノミクス」による株価上昇で大都市部の一部自治体で住民が所得を伸ばしていることが背景にあり、アベノミクスが地域間格差を拡大させていることが数値で裏付けられた。

 

▽地域別所得:安倍政権下で格差拡大 最大6.5倍 毎日新聞調査

 http://mainichi.jp/m/?Rb0zfi

▽地域別所得:安倍政権下で格差拡大 神野直彦・東京大名誉教授(財政学)の話

 http://mainichi.jp/m/?h4m9Gv

▽ことば:ジニ係数

 http://mainichi.jp/m/?iUZcxP

 

6.辺野古反対広がる世論 全国紙調査で判明 翁長・菅会談 境に変化か 沖縄タイムス+プラス

 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=112647

 

7.「いちろうちゃんのブログ」より

● 態度で示す原発推進の本音(その1) 「原発は出鱈目の固まりですが、これからもこの出鱈目をやめるつもりはありません、被ばくの被害者は踏みつけます」のだそうです  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-f551.html

 

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 <別添PDFファイル>

(1)福島第1汚染水 また外洋流出(東京 2015.4.22

(2)SPEEDI活用せず 規制委指針改定(東京 2015.4.22 夕刊)

(3)福島県復興事業費 35700億円 県試算(福島民報 2015.4.22

(4)韓国、中国の核=アメリカがおかしくなっている(東京 2015.4.23

(5)高浜原発再稼働ストップ 原子力ムラ VS 反原発弁護団の闘い(桐島瞬『週刊朝日 2015.5.1』)

 

1.福島第1汚染水 また外洋流出(東京 2015.4.22

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015042202000122.html

 

(バカバカしくて記事を読んでいられない。そもそも海を放射能で汚してはいけないという確固たる自覚がない人たちだし、加えて、福島第1原発事故後の対応に関して当事者能力を失っている会社だから、こんなことはこれからも繰り返し起きるでしょう。問題は、このままこんな体制でいつまでやるのか、ということです:田中一郎)

 

2.SPEEDI活用せず 規制委指針改定(東京 2015.4.22 夕刊)

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015042201001200.html

 

(このまえパブリックコメントをやったばかりの防災指針改定内容だが、その内容のあまりのひどさに多くの人々が、これじゃだめでしょ、とのパブコメ意見書を提出しているのだけれど、原子力規制委員会・規制庁はそれを一顧だにしない。これまで通り、あらゆる批判や改善提案や見直し要請に対して馬耳東風で、一切のことが耳に入らないまま、安倍晋三政権と同じく、独断専行・粛々と、ロクでもないことを進めていくのです。彼らは、そう、馬耳東風の「ウマ」のようなものです:田中一郎)

 

3.福島県復興事業費 35700億円 県試算(福島民報 2015.4.22

 https://www.minpo.jp/news/detail/2015042222310

 

(記事を見て驚きました。こんなもの、福島の復興とは何の関係もない、利権・土建の無駄無駄事業の陳列です。除染などと言っても、カネばかりかかって効果はほとんどありません。そんなものよりも、一時的に住民を避難させて放射能の自然減衰を待つ方がよほど合理的ですが、それには見向きもしません。除染事業者の利権が絡んでいるからです。結局、福島第1原発事故の最大の被害者・県民はそっちのけで、政府の復興予算にたかる一部の事業者や地域ボスたちが、一時的に公共土建事業その他の無駄遣い事業で潤う、ということが想定されています。

 

 片方で、住民は粗末な仮説住宅などに押しやられ、家族バラバラになったり、仕事を失ったまま路頭に迷い、将来への見通しも持てぬまま、恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)という危険にさらされ続けることになるのです。既に、この事情を重々承知している「同じ穴のムジナ」の竹下亘復興相は「原発事故が原因となった分以外の事業について、地方負担を求める」と、内堀雅雄県知事以下の福島県のタカリ集団をけん制しています。こんなものが、どうして「復興事業」などと言えるのでしょうか? 我々の税金を、かようなものにはビタ一文使っていただきたくないですね。:田中一郎)

 

4.韓国、中国の核=アメリカがおかしくなっている(東京 2015.4.23

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H11_S5A420C1EAF000/

 

(この一連の記事が事実だとすれば(日経の脚色ではないとすれば)、アメリカ政府の頭が少しおかしくなってきているということでしょう。アジアにおける、こうした核拡散は軍事面・環境面で将来的に大きな問題を引き起こします。韓国での再処理事業など論外ですが、しかし、韓国や中国の原発建設も大問題です。原発はかならず大事故を引き起こしますから、韓国・中国での原発建設は、将来、韓国・中国と我々日本とが心中する・させられるということを意味しています。国境で放射能のプルームは止まってはくれませんから。こうした事態を止めるためにも、日本がまず真っ先に、アジアでの脱原発をなしどげなければなりません。あたり一面を放射能だらけにしてしまってから「脱原発」などと言ってみても、後の祭りです。:田中一郎)

 

(それにしても、まだ、この新聞は「プルトニウムを再利用できればエネルギー自給率の向上につながる。資源を持たない日本が再処理を目指すのはこのためだ。」などと、バカ丸出しのことを書いている。バカは死ななきゃ治らない。:田中一郎)

 

(関連)日本経済新聞(4/23):韓国、核燃料再処理に道 米との改定原子力協定に仮署名

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H68_S5A420C1FF1000/

 

 【ソウル=小倉健太郎】米韓両政府は22日、ソウルで改定された米韓原子力協定に仮署名した。韓国が求めてきた使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮を米韓による協議対象と位置づけ、一定の道を開いた。米国は核拡散防止の観点から韓国の要求に否定的な立場をとってきた。一方で日本に対しては特別に再処理を認めてきたことから、今回は韓国にも配慮した格好だ。

 

 「核燃料の再処理、燃料の安定供給、原発輸出の円滑化に向けた制度的基盤を確保した」。韓国外務省の趙太庸(チョ・テヨン)第1次官は22日、今回の協定をこう評価した。1973年に発効した現行協定は韓国によるウラン濃縮などを事実上禁じている。

 

 核燃料再処理についてはその都度、米国の同意を得れば研究所で実施できたが、今後は個別同意が不要になる。ただ、場所は既存の研究所に限定される。対象工程も一部だけだ。さらに進んだ研究をするには、新設する次官級の常設協議体にはかる必要がある。

 

 ウラン濃縮も「将来、条件が整えば」という前提付きで、濃縮度が20%未満までは常設協議体で議論するとした。一方、米国産の原発部品などを韓国が第三国に輸出する際、その都度米国の同意を得る必要がなくなった。改定協定は両国国会などの批准を経て2016年3月までの発効を目指す。効力は20年だ。

 

 原子力発電所では、ウランを原料とする核燃料を原子炉に入れて核分裂などの反応を起こす。その過程で核兵器の原料にもなるプルトニウムが発生する。使い終えた核燃料からプルトニウムを取り出せば、再び原発で利用できる。これが再処理だ。

 

 核兵器を持たない国の中で、米国との協定に基づいて再処理を特権的に認められてきたのが日本だった。プルトニウムを再利用できればエネルギー自給率の向上につながる。資源を持たない日本が再処理を目指すのはこのためだ。

 

 ただ、日本はここ数年、厳しい目を向けられてきた。プルトニウムを燃やす高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)は1995年のナトリウム漏れ事故などのトラブルでほとんど運転実績がなく、軽水炉と呼ぶ一般的な原発で利用するプルサーマル発電も東京電力福島第1原発事故の影響で停止状態が続く。日本が保有するプルトニウムは40トンを超え、数千発の核兵器をつくることも可能とされる。

 

 日本も2018年に米国との原子力協定の期限を迎える。米国は韓国に対して一定の配慮を示したとみられるが、日本政府内からは「米国がプルトニウムの取り扱いに甘くなるとは考えにくい」との声も出る。日本は再処理の政策を継続する考えだが、米国がどう対応するかは不透明だ。

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5.高浜原発再稼働ストップ 原子力ムラ VS 反原発弁護団の闘い(『週刊朝日 2015.5.1』)

 http://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2015042100097.html

 http://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2015042100097_1

 

(一部抜粋)

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(前略)樋口氏は審尋を2回で打ち切り、最後となった311日には関電の意見書提出を認めずに結審。4月から名古屋家裁の総括判事に異動したが、裁判所法に基づく職務代行辞令を利用して、自分で決定を出すことにこだわった。

 

(中略)関電関係者も決定へのいら立ちを隠さなかった。「(中略)安全対策をこれ以上ガチガチにやったら、電力事業では利益をあげられない」

(田中一郎コメント)⇒ 安全対策をガチガチになんかやってないじゃん。チョコチョコっとやっただけで「カネかかる~」って悲鳴上げているだけでしょ。だったら原発なんかやめちゃえばいいじゃん。

 

(中略)「仮処分が認められなくても、またすぐに新たな申し立てができます。回数に制限はありません。それに原発事故で被害が及ぶと想定されるエリアは広い。原発に対し、あちこちの裁判所で次々と仮処分申請を起こすことができるのです」(元裁判官の井戸謙一弁護士) 原発の再稼働停止を求める訴訟は、脱原発弁護団全国連絡会のサイトによると現在、全国で28が係争中だ。うち仮処分は高浜の2件の他、浜岡、玄海、川内原発の計5件が申請されている。

 

(中略)さらに差し止め訴訟と仮処分が進行中の玄海原発でも新たに別の仮処分申請を起こす動きがある。伊方原発や泊原発でも、近く申し立てが行われる見通しだ。(中略)今回の高浜原発仮処分で申し立て弁護団の共同代表を務めた河合弘之氏は会見でこう述べている。「政府や経産省、エネ庁は一点突破。川内原発か高浜原発を安全審査で通して再稼働したら、どんどん再稼働するつもり。それならこちらは、次々に仮処分をかけていく」

 

(中略)仮処分で再稼働に水を差された経産省幹部は怒る。「(中略)、関電も訴訟対応が甘い。値上げばかりして、いちばん原発を動かしたがっていたはずなのに、このざまだ。2回の審尋を終えた時点で事実上の敗北。電気事業連合会会長を出している会社がこれでは話にならない。役所や裁判所は前例を気にするから、今回の決定を見て見ぬ振りはできない。他の差し止め訴訟へ影響してくる」

 

(中略)実際、14年度までで4期連続の赤字決算になると見込まれる関電は、4月に企業向けの電気料金を引き上げ、家庭向け料金の値上げについても経産省が審査中。今回の仮処分決定で計画していた11月の高浜原発34号機再稼働の当てが外れ、さらなる値上げの可能性も出てきている。「関電を破綻処理すれば、そこまでの値上げは必要にならない。原発依存の経営をしてきたツケは、電力会社や金融機関が負うべきです」(古賀氏)

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草々

態度で示す原発推進の本音(その1) 「原発は出鱈目の固まりですが、これからもこの出鱈目をやめるつもりはありません、被ばくの被害者は踏みつけます」のだそうです

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(最初に若干のことです)

1.ネット署名:Avaaz - 私たちの健康を守るために、モンサントをSTOP

 https://secure.avaaz.org/jp/monsanto_dont_silence_science_loc/?tBbgZcb

 

(遺伝子組換えの世界と原発・原子力・核の世界は,まるで双生児のごとく,そっくりに似ています。要するに「出鱈目てんこ盛り」です。:田中一郎)

 

2.(メール転送です)広瀬隆さんから「辺野古基金」へのご協力のお願いです

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 全国で、沖縄県民と翁長雄志知事を応援するため に、「辺野古基金」の振込口座をお知らせします。すでにご存知の方も多いと思いますが、みなでまわりの人に広めましょう。一人1000円ずつでも、1000億円になります。(広瀬隆)

 

【辺野古基金事務局】 電話098-868-6611、に直接お尋ねして教えていただきました。

 色々な振込口座があるそうですが、郵便局の振込口座だけ、教えてもらいました。

 

 口座名──辺野古基金

 窓口払い込みの場合──17000-13659411

 ATM払い込みの場合──708-1365941

 

3.(イベント情報)(男性歓迎の)「福島みずほと女性の政治スクール」

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このたび5月と6月の 「福島みずほと女性の政治スクール」の日程と内容が決まりました。

ぜひお仲間ご友人お誘い合わせの上お越し下さい。男性のご参加も大歓迎です!

 

第3回

日時 5月14日(木)午後6時~8時

場所 参議院議員会館 101会議室

タイトル 「国会の今を伝えたい ワクワクドキドキ対話 戦争法案、労働法制、人権」

 

4.アワプラの白石さんより

 昨日,私のメールでご報告した「チェルノブイリ・28年目の子どもたち2~いのちと健康を守る現場から」の件です。このメールの最後を見て下さい。

 

ここから本文です。

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 以前より申し上げております通り、原発・原子力・核が創り上げる世界は「出鱈目てんこ盛り」です。日々の新聞・雑誌記事からでも、この「てんこ盛りの出鱈目」状況は種が尽きることなく見つけることができます。2011311日の福島第1原発事故以降も、信じがたいかもしれませんが、何の反省も改善もないままに延々と続いているのです。そして、仮に不幸にして私たちが放射能の被害者となった場合には、まともに償いも手当ても受けられることはなく、徹底して踏みにじられ、切り捨てられることになります。ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ、そしてフクシマがいい例です。そういう「影の掟」が支配している暗黒社会が原発・原子力・核の創り上げる世界の正体です。

 

 それは、事実・真実の隠蔽、歪曲、ゴマカシや、差別、買収、抑圧、恫喝,利権、独断専行,専制支配,非民主・反国民,批判は馬耳東風などなど、人間社会がもたらすすべての邪悪が蔓延している社会です。これを歓迎し礼賛するのは、原発・原子力・核を支配する原子力ムラ支配権力から「つかみ金」や「便宜」をわずかばかりもらって「薬物(カネト便宜と見栄)中毒」に陥った、ビョーキの人間たちの他にはおりません。そして、無邪気に支配権力を信じで原発・原子力・核や放射能・被ばくに無頓着・無防備でいることは、やがて支配権力によって被害者に陥れられていくことを意味しています。原発・原子力・核が支配している世界に安全な逃げ場所などはありません。

 

 原発・原子力・核を、一切の妥協なく拒否し、人間世界からその担い手である原子力ムラ・放射線ムラとともに社会的に葬り去ること、これ以外に問題を解決し、人類を救済に向かわせる道はありません。ちょっとくらいの放射能や被ばくを大げさに言うな、という、そのちょこざいで軽薄で不勉強で不用意な認識が、やがて死を招くことになるのです。

 

 <別添PDFファイル>

(1)被曝上限引き上げ、原発緊急時250mSv(朝日 2015.4.18

(2)福島の避難者動けず、川内公営住宅入居=住民票移すのが条件(東京 2015.4.17

(3)台湾 輸入規制強化(水産経済 2015.4.17

(4)集団自決「軍の強制」削除許さぬ(東京 2015.4.17

 

最初にいくつか重要サイトのご紹介をします。

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(1)ママレボ通信

 http://momsrevo.blogspot.jp/

 

 最新のレポートがいくつかアップされました。必見です。

*20ミリシーベルトの違法性を問う! 南相馬の住民たちが、特定避難勧奨地点の解除取り消しを求め提訴

*クラウドファウンディングもスタート! 「東日本土壌ベクレル測定プロジェクト」をみんなの手で成功させよう

*郡山測定レポート(6)(7)

*これからの避難への支援策について――福島県中通り・浜通りの方へ

 

(2)月別アーカイブ 20154 OSHIDORI Mako&Ken Portal - おしどりポータルサイト

 http://oshidori-makoken.com/?m=201504

 

 サイトの名前は「アーカイブ」ですが、内容は直近版です。福島第1原発のことは、今やおしどりマコリーヌが最もよく知っています。

 

(3)放射線被曝論文が「市民と科学者の内部被曝問題研究会」サイトにアップされました


*『放射線被曝の理科・社会』の問題点  山田耕作・渡辺悦司 市民と科学者の内部被曝問題研究会

 http://blog.acsir.org/?eid=37

 

*補論2 汚染水問題について、青山道夫氏の『科学』論文によせて 山田耕作・渡辺悦司 市民と科学者の内部被曝問題研究会

 http://blog.acsir.org/?eid=36

 

(4)電力出身者を環境省大量採用「原発知識必要」 河北新報オンラインニュース - ONLINE NEWS

 http://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150416_71016.html

 

 原子力ムラの端っこで丸まっていた腰抜け官庁が、原子力ムラ人士たちを取り込んで原子力ムラの市民権を何とか手に入れたいとあがいているようです。私がもし政府閣僚となるようなことがあれば、この環境省の人間達は、一旦、全部入れ替えたいと思います。こいつらは、ミナマタについても、御用学者や御用医師たちを利用しながら,今でもロクでもないことを繰り返していますから、一度、征伐しないといけません。

 

(5)デーリー東北新聞社 ONLINE SERVICE:「六ケ所をアジアの再処理拠点に」 核燃料サイクル

 http://www.daily-tohoku.co.jp/kiji/p201504160P067520.html

 

 どこの馬の骨かもわからぬ頭がイカレたボケ親父の発言にしては危険すぎます。寝言は寝て言え!! です。それにしても,こんなロクでもない馬の骨の発言など,取り立てて報道する必要もないのに,わざわざこうやって,まるで再処理事業推進の「広報」のように記事にして報道するなどというのは,一般読者の潜在意識に再処理事業をビルトインさせるための,典型的なマスごみによる御用報道のように思えます。そもそも再処理事業の危険性と無意味性と,その汚染度合いのひどさなどを,この新聞社を含めマスごみがきちんと理解しているのかどうか,怪しいものであるように思います。

 

(6)放射能汚染ゴミは燃やすな、というとるのがわからんのか

 原発の安全についても、放射能の危険性についても、きちんと考えたことがない奴らが、放射能汚染ゴミの処分についてもきちんと考えずに、一般ゴミと同じように燃やしておしまいにしようとしているようです。そして、その実態を隠しまくっております。まったくもって冗談ではないわ!!。

 

20140414 UPLAN 藤原寿和・和田央子「第1回 国の放射能ゴミの処理を問う! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=d6Nvrjh3wQg

 

20150415 UPLAN【第5回審尋・記者会見】焼却実証実験の停止を求める仮処分 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=U6ZkS6O-50Y

 

(7)2015年4月現在、稼動中の原子力発電所は0基 原子力緊急事態宣言発令中 ( 原発問題 ) - FUKUSHIMA NUCLEAR DISASTER NEWS - Yahoo!ブログ

 http://blogs.yahoo.co.jp/fukushima_nuclear_disaster_news/33788561.html

 

 

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1.被曝上限引き上げ、原発緊急時250mSv(朝日 2015.4.18

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11710925.html

 

 250mSvまでの被ばくを認める人間を、原子力規制委員会・規制庁、霞が関の官僚、自民・公明・民主の政治家、原子力ムラの御用学者、マスごみ、原発メーカー役職員、そして原発電力会社に限定するということにし、かつ、原発・核燃料施設過酷事故発生時には、真っ先に現場作業に駆けつける(決死の突撃隊などの単純作業に従事してもらう)という「法的義務」を課しておけばいいでしょう。

 

2.福島の避難者動けず、川内公営住宅入居=住民票移すのが条件(東京 2015.4.17

 http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150412_11019.html

 

 これは一種の社会的虐待行為ではないか。重大なる人権侵害だ。この国の行政はつくづく腐っている。(私は住民票を移してでも入居した方がいいと思います。福島第1原発事故についての損害賠償や補償については、法的な手段で解決していくほかないでしょう。加害者・東京電力や事故責任者・国は,住民票の有無にかかわらず,被害者を適当なところで切り捨てようとしています。くれぐれも、危険な放射能汚染地帯にお帰りにならないことを祈っています)

 

3.台湾 輸入規制強化(水産経済 2015.4.17

 http://www.asahi.com/articles/ASH4J4RWFH4JUHBI00Z.html

 


 この日本の態度の悪さは恥ずかしい限りである。食品表示偽装までやらかして、それでも放射能汚染の危険性のあるものを隣国に押し付けようとしています。この日本の露骨な放射能汚染危険物の押し売り販売は韓国に続いて2か国目ですが、しかし、日本からの飲食品を放射能汚染を理由として輸入規制している国はたくさんあります。その筆頭格はアメリカです。台湾よりもまず先に、アメリカに行って、台湾や韓国に向かって言っていることと同じことを言ってきなさい。チンピラの二枚舌のようなことはやめることです。とにかく、危ないものは危ないですから、輸入規制されてしまうのは当然のことであり、日本国内でも、その流通を制限すべきものです。

 

*農林水産省-東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応

 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html

 

*諸外国・地域の規制措置

 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kisei_all_150303.pdf

(アメリカはこのサイトの5ページにあります。輸入禁止・制限品目はたくさんあります)

 

4.集団自決「軍の強制」削除許さぬ(東京 2015.4.17

 http://p.twipple.jp/3bmQP

 

 歴史を歪曲し冒涜するものを許すまじ。沖縄戦の時に大日本帝国軍隊の兵隊たちが沖縄県民に何をしたか、隠すな、曲げるな、ごまかすな。大日本帝国軍隊は敗戦時の満州でも、一般人を放置して、我先にと真っ先に逃げてしまっています。大日本帝国軍隊の「正体」と言っていいでしょう。およそ軍隊などと言うものが、漠然と「お国を守る」などと、ノーテンキな認識をしていること自体が大間違いです。軍隊とは「国を守る」のではなく、「国の支配者たちを守る」ためのものであり、その支配者たちにとって必要のないものや邪魔者は、その軍隊によって抹殺される運命にあるのです。そして、その邪魔者や不要の者は、外国人だけでなく、自国の一般人も含まれます。軍隊とは国や社会を支配する者のための暴力装置です。

 

(関連)9・29県民大会4年 史実歪曲許さぬ決意後世へ - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-182236-storytopic-101.html

 

(関連)軍関与認めた判決確定 「集団自決」めぐる岩波・大江訴訟 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-176373-storytopic-101.html

 

(関連)防衛省ヒアリングで明らかになった沖縄防衛局「環境監視等委員会」の機能不全(まさのあつこ) - 個人 - Yahoo!ニュース

 http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20150411-00044733/

草々

 

(追)映像報告「チェルノブイリ・28年目の子どもたち2~いのちと健康を守る現場から」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

皆様,おはようございます。OurPlanetTV白石です。先週金曜日に上映会を開催した「チェルノブイリ・28年目の子どもたち2 ~いのちと健康を守る現場から」の映像を以下のページにアップしました。

 

DVDの販売予約も開始しています。前作同様、じんわりと広がっていくと良いなと思います。

=====================================

映像報告「チェルノブイリ・28年目の子どもたち2~いのちと健康を守る現場から」

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1907

 

YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=3Sxt6sYBa9Q

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ウクライナでは、チェルノブイリ事故から28年経った今も「チェルノブイリ法」によって、年間0.5ミリシーベルトを超える地域の住民には、今も様々な支援策が講じられている。

 

なかでも政府が重視しているのが、保養と健診。ウクライナ政府は201312月に、社会政策省に新たに「保養庁」を設置し、手厚い保養政策を展開している。また子どもたちへの健診も、保健省が詳細なガイドラインを作成して実施。子どもたちの体調の把握に務めている。毎年、子どもの半数が参加する保養のシステムやきめこまやかな健康診断などについて取材した。

 

====================================

自主上映をしませんか?

<予約開始!>DVD12000円で販売しています。

上映会や勉強会などで自由にご活用いただけます。

DVD「チェルノブイリ28年目の子どもたち2〜いのちと健康の現場から」

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1901

DVD「チェルノブイリ28年目の子どもたち〜長期低線量被曝の現場から」

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1758

愛蔵版「チェルノブイリ 28年目の子どもたち・2枚組セット」

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1901

 

白石草

 

*:°:*:°:*:°:*:°:*:°:*

101-0064

東京都千代田区猿楽町2-2-3NSビル202

tel:03−3296-2720 fax:03-3296-2730

特定非営利活動法人OurPlanetTV

shiraishi@ourplanet-tv.org

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2015年4月19日 (日)

本日(4/19)のいろいろ情報(メール転送を含む) (1)イベント情報 (2)ネット署名 (3)南相馬提訴 (4)玄海原発 (5)高浜原発3,4号炉,(5)TPPとGM (6)汚染水 他

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

1.イベント情報 

(1)五十嵐敬喜氏(法政大学名誉教授)連続講座(1)「私たちはどのように21世紀のまちをつくっていくべきか」

 http://soyu-igarashi.sakura.ne.jp/photo.html

 

日 時:2015429日(水:祝日) 13:00~16:00

場 所:法政大学市ヶ谷キャンパス ポアソナードタワー26Fスカイホール

講 師:大野秀敏(前東京大学教授),五十嵐敬喜(法政大学名誉教授)

 

(なお,この連続講座は,五十嵐敬喜氏(法政大学名誉教授)を中心にして,いろいろな方々を講師にお招きしながら,この後も続いていきます ⇒ 次回以降の予定は,5/23(土),6/27(土),7/25(土)です:場所は4回とも法政大学です)

 

●(会場案内)交通アクセス(市ケ谷)|法政大学

 http://www.hosei.ac.jp/campus/ichigaya/ichigaya.html

 

(2)(別添PDFファイル)川内原発の再稼働審査を糾弾する! 原子力規制委員会院内ヒヤリング

  ===福井地裁が指摘「新規制基準は合理性を欠く」===

「panfu_sendai_kiseityou_kousyou.pdf」をダウンロード

日 時:2015421()13 時~17

場 所:参議院議員会館講堂(1):東京メトロ国会議事堂駅、永田町駅、溜池山王駅から徒歩

追 及:山崎久隆さん(たんぽぽ舎)、広瀬隆さん、後藤政志さん

内 容: ①九電工事計画資料から川内原発審査を問う

    「耐震偽装」の原発は情報も隠ぺい

     基準地震動でさえECCSが破壊される恐れ

     蒸気発生器から冷却材喪失の危険性

    ②テ口と航空機事故への対策について

    ③4. 14福井地裁決定を受けて川内原発の審査を問う

資料代:500

 

(3)(別添PDFファイル)南相馬の地点解除訴訟(20ミリ撤回訴訟)を応援する全国集会In東京

「minamisouma_teiso_1.pdf」をダウンロード

日 時:201559() 18:3020:30

場 所:文京区男女平等センター

参加費:500円

 

(関連サイト)FoE Japan:ついに提訴へ!南相馬地点解除訴訟(20ミリ撤回訴訟)を応援しよう(ネット署名あり)

 http://www.foejapan.org/energy/action/150416.html

 

(別添PDFファイル)南相馬・避難基準20ミリ撤回訴訟(20155月)

「minamisouma_teiso_2.pdf」をダウンロード

(別添PDFファイル)「避難勧奨
解除は違法」南相馬市民ら 国を提訴(東京 2015.4.18

 http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0124454.html

 

2.(ネット署名)中学校の教科書検定への政府の介入についての国際署名が始まりましたのでお知らせします。

 国連勧告に従えという要旨になり、3つの勧告の概要と具体的な要望を提示し、国際署名を始めたとのことでお知らせいただき、さきほど署名しました。ご参加と拡散、よろしくお願いします。

 http://u111u.info/k4Rq

 

3.原発賠償請求で共闘 被害者が初の全国組織 河北新報オンラインニュース

 http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150417_73006.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

東京電力福島第1原発事故で被害を受け、東電や国に損害賠償を求めている全国の団体などが「原発事故被害者団体連絡会」を設立することが16日、分かった。初の全国組織で、5月24日に二本松市で設立集会を開催する。訴訟の進み具合や課題といった情報を共有し、東電や国に対する共闘体制の構築を図る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(上記の南相馬の方々も同じです。福島第1原発事故の被害者が踏みにじられています,被ばくを押し付けられています,原発震災復興の利権集団に食いものにされています,切り捨てられようとしています。ですから,被害者の方々が,人間として生きさせろと立ち上がります,つながります。皆さま,どうぞ温かいご支援をお願いします。同時代を生きる同じ国の国民として,かような理不尽極まる人権侵害は許せません。そして,加害者張本人である原子力ムラ・放射線ムラの人間達と,それとつるんで甘い汁を吸い続けるロクでもない自民党らのゴミ政治家どもを政治の世界から追放いたしましょう:田中一郎)

 

4.(別添PDFファイル)道知事選で高橋氏が「二枚舌」(『週刊金曜日 2015.4.17』)

 http://www.asyura2.com/15/senkyo183/msg/116.html

 

(今般の北海道知事選挙は惜しくも残念でした。経済産業省代理店のニセモノ候補=高橋はるみと,脱原発統一候補のホンモノ=佐藤のりゆきの一騎打ちだったけれど,またもや北海道道民は騙されてしまったようです。高橋はるみが二枚舌なのはずっと前からの話,こんな人間を4回も知事にするようでは,北海道の将来も暗いでしょう。早く目を覚ませ,北海道民よ,と申し上げたいところですが,中でもよろしくないのが農協系統です。

 

 あれだけ安倍晋三政権に踏みつけられ,叩かれ,そして今度こそTPPと農協法改正でトドメを刺されそうになっているにもかかわらず,まだ安倍晋三政権とツーカーの高橋はるみを組織を挙げて応援している始末。高橋はるみがTPPに本気で反対するとも思えないにもかかわらずです。もちろん,泊原発のことなど,農協系統にとってはドーデモエー,かのごとき態度です。阿呆の典型のように見えます。泊原発が火を吹けば北海道農業は壊滅します。本来は全力を挙げて泊原発運転阻止に立ち上がらなければならないところです。こんな調子では農協系統は先が長くないかもしれませんが,しかし,この連中はどうも自分達のレゾンデートルである協同組合の組織原則を放棄して,自民党の腰巾着として生き残る株式会社組織への転換を画策している様子もうかがえます。

 

 ところで,週刊金曜日も,こういう記事は選挙が終わってからではなく,投票の前に出していただきたいものです。これでは「後の祭り」ではありませんか:田中一郎)

 

5.高浜原発3,4号機 運転差止仮処分判決 関連

(1)日刊ゲンダイ高浜原発差し止め 裁判長を激怒させた関西電力の“禁じ手”

 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159107

 

(2)日本初。裁判で原発を止める。関電高浜差し止め命令を広めて、すべての原発を止めていこう。【決定要旨全文掲載】 国際環境NGOグリーンピース

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/52623/?utm_campaign=Energy&utm_source=FRMailMagazine&utm_medium=email&utm_term=Kazue-blog-Takahama_april2&utm_content=Kazue-blog-Takahama_april2

 

(3)(参考)いちろうちゃんのブログ

● 高浜原発3,4号機運転差止仮処分判決について:見事な歴史的名判決を受け止め,原発・核の廃棄がなぜ必要かを有権者・国民にこれまで以上に訴えて行きましょう=そして原発・原子力政治を転換するのです  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-671e.html

 

●(報告)高浜原発運転差止仮処分決定 緊急報告集会(2015417日):田中俊一さん,事実誤認はあなたの方ですよ,そんなことより,再稼働を認可した原発が大事故を起こしたら,どう責任をとるんですか?  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/2015417-4e71.html

 

6.(メール転送です)

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玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会メールニュース 2015418日発行

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※このメールニュースは会員の皆様、ご縁のあった皆様にお送りしています。 配信停止希望の方はお手数ですが、ご連絡ください。

 

CONTENTS

【1】佐賀県知事と面会、再稼働反対を要請しました!

【2】高浜原発再稼働差止仮処分決定、代表コメント

【3】仮処分・全基・行政訴訟公判と活動報告会のお知らせ

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【1】佐賀県知事と面会、再稼働反対を要請しました!

417日、佐賀県内の反原発の6つの市民団体は共同して、山口祥義(よしのり)佐賀県知事に面会し、「玄海原発の再稼働を認めないで下さい」との要請を直接行いました。古川前知事時代には拒否され続けてきましたが、1月に山口知事が就任したことから、ただちに面談要請を行い、3か月経って実現しました。

 

<メディアの報道>

◆STSサガテレビ

 https://www.youtube.com/watch?v=RE-1GwAj1nk

◆NHK

 https://www.youtube.com/watch?v=7Q_xItC6pds

 

<要請書等をHPにアップしました>

 http://u111u.info/k4tR

 

1団体2人ずつ、全体で15分だけという条件でしたので、練りに練った要請質問書の一部をまず読み上げ。「玄海原発で重大な事故が起きれば、私たちのふるさと、佐賀そのものが失われてしまう。私たちと私たちの次の世代の命と生活に関わる玄海原発を絶対に再稼働させないでください」と要請した上で、

 

1.もし知事が原発の再稼働に同意したあと、原発で事故が起きた場合、知事としての責任をどう考えているのか

2.現在の避難計画で県民の命を守れると考えているのか

3.使用済み核燃料の最終的な処理方法が決まらないままになっていることについて知事としてどう考えているかと、

 

県民の命に対する知事の責任、避難計画、使用済み核燃料の3点に絞って、質問を投げかけました。知事は「県民の安全を守ることが第一の使命。自分なりの判断を行う際には、出来る限り多くの情報をもとに考えていきたい」と答えました。それ以上の中身に立ち入った話はできませんでしたが、3点の質問への回答は文書でいただくこととし、今後も継続して話し合いの場を設けることで了解していただきました。

 

原発は「命」の問題です。知事は「再稼働の方向」と明言していますが、「県民の安全を守ることが第一の使命」と言うからには、国の言うなりでなく、県民の命を守る視点に立って、原発事故と放射能被ばくの危険性についての情報をできる限り集めて、その上で原発再稼働には同意しないという判断を下していただかなければなりません。私達は引き続き、原発絶対反対の声を県知事に対してもまっすぐに訴え続けていきます。

 

本日の面会は、市民が行動して勝ち取ったものであり、ささやかな前進です。佐賀県は、3.11後、知事どころか原子力安全対策課などの担当課さえも話し合いに応じなくなり、文書をロビーで立ったまま受け取るという対応を3年間続けました。何度も話し合いの場を要請して、県議会質疑でも取り上げてもらい、昨年11月からはやっと部屋での対応に戻りました(話し合いには応じず)。今後、担当課にも話し合いに、応じていただかなければなりません。知事には、重要な節目には今回の続きとして、実質的な直接対話に応じていただきたいと思います。

 

ちなみに、面会にあたって、県サイドは「お互いを尊重しあう誠意ある面会が成立しない場合は、時間内であっても面会を終了します」などの威圧的な留意事項をつけてきましたが、私達が原発と放射能を危険だと感じているだけのただの普通の県民の集まりにすぎないことが分かっていただけたのではないでしょうか! 

 

6団体=原発を考える鳥栖の会、玄海原発対策住民会議、さよなら原発!佐賀連絡会、九州玄海訴訟原告団・弁護団、プルサーマルと佐賀県の100年を考える会、玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会

 

【2】略(高浜原発関連)

 

【3】仮処分・全基・行政訴訟公判&提訴5周年活動報告会のお知らせ

●MOX以外の他の3つの裁判の日程

515日(金)佐賀地裁

10:30 第5回玄海行政訴訟弁論

14:00 第12回玄海全基運転停止弁論

14:30 第16回玄海23号機仮処分審尋

15:00 記者会見 佐賀市民活動プラザ4階大会議室

地震動、配管損傷、重大事故対策、原告適格etc...いずれも佳境に入ってきました。ぜひ傍聴をお願いします!

MOX控訴審については、現在控訴理由書を作成中です。福岡高裁での日程が決まり次第、お知らせいたします。

 

●提訴5周年活動報告会&『ブッダの嘆き』上映会

628日(日) 13:30~福岡市早良市民センター第1・2会議室

          (福岡市早良区百道2-2-1

 ※『ブッダの嘆き』=インドのウラン採掘現場周辺住民の放射能被害を

    告発したドキュメンタリー映画。原発はその始まりから、命を傷

    つけるから、私たちは絶対反対です!

    http://www.jca.apc.org/~misatoya//jadugoda/

 みなさん、ぜひご参加ください。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆会費納入とカンパをよろしくお願いいたします◆

会の活動はみなさまからのご支援で成り立っています。

支える会    年会費5000

サポーター会員 年会費11000円~

ゆうちょ銀行 口座記号番号 01790--136810

       口座名称   玄海原発プルサーマル裁判を支える会

他行よりお振込の場合 店名 一七九(イチナナキュウ)(179)

           預金種目 当座 口座番号 0136810

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会★

840-0844 佐賀県佐賀市伊勢町2-14

TEL0952-37-9212 FAX0952-37-9213

E-mailsaiban.jimukyoku@gmail.com

http://saga-genkai.jimdo.com/

http://www.facebook.com/genkai.genpatsu

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7.(メール転送です)No.661 有機農業ニュースクリップ2015.04.18

 下記のメールをお読みになる前に,まず,下記の2つのサイトをじっくりとご覧になってみてください。そして,アメリカの属国・植民地の日本は,アメリカ大陸で大量生産されている家畜のえさであるGM穀物(大豆,トウモロコシ,ナタネなど)を世界で最も大量に食わされている「GM人体実験」大国であることもお忘れなく。無邪気であることは,巨大資本や支配権力に利用され,傷つけられ,殺される時代になっています。そして危険なのは放射能汚染食品だけではありません。

 

(1)GMは健康に問題 サルでもわかる遺伝子組み換え

 http://gmo.luna-organic.org/?page_id=20

 

(2)サルでもわかる遺伝子組み換え 

 http://gmo.luna-organic.org/

 

 それともう一つ,遺伝子組換え(GM)を押し付けるTPPを推進しているのは自民党・公明党に加えて,民主党や維新の党もそうであることをお忘れなく。この連中は,口先で何を言っているかに関わらず,みな同じ穴のムジナです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

≪ 今日の目次 ≫

■米国TPA法案 農業関係は昨年と同じ どうなるGM表示

 

≪ 遺伝子組み換え ≫

■米国TPA法案 農業関係は昨年と同じ どうなるGM表示

 米国大統領に貿易交渉の権限を与えるTPA法案が、4月17 日に米国議会に上程された。この法案の農業関連条項は2014 年の法案とまったく同じである事が分かった。遺伝子組み換え表示についても「表示のような不当な貿易制限」と、わざわざ例示している。一昨年来、TPP交渉を巡って産経新聞が「TPP交渉、米が遺伝子組み換え表示を容認 「食の安全」への懸念払拭」と報じ、NHKも「TPP食品安全基準緩和 議論対象とならず」と報じていた。

 

 TPA法案のうち、農業関係は(3)項「農業貿易」としてまとめられている。GM表示に言及してる部分は、(I)項で「不当な米国の市場参入機会の制限や米国の農業市場をゆがめるような諸手続を撤廃するためのルールを設定、強化、明確にする」して、その(ii)項「バイオ技術を含む新技術に影響を及ぼす、表示のような不当な貿易制限や商業上の要件を含む」と明示している。この条項について、昨年の参院予算委員会で紙智子議員(共産党)が質問したが、GM表示の先行きに、安倍首相は明確に答弁しなかった。

 

 ・2015年TPA法案

  Bipartisan Congressional Trade Priorities and Accountability Act of 2015

http://www.wyden.senate.gov/download/bipartisan-congressional-trade-priorities-and-accountability-act-of-2015?download=1

 ・2014年TPA法案

  H.R.3830: Bipartisan Congressional Trade Priorities Act of 2014

  https://www.govtrack.us/congress/bills/113/hr3830/text

 

 米韓FTAや、米国-EU環大西洋貿易投資パートナーシップの交渉からは、米国はGM表示に手を突っ込んできていないようにも見える。2012年3月に発効した米韓FTA(米韓自由貿易協定)でも、GM表示を含む食品の安全規制が米国並みの骨抜きになったのではないかといった懸念があった。韓国食品医薬品安全処は今年1月、市民団体や野党の「GMO完全表示制度」の要求を政府が一部受け入れ、全成分表示の義務化の方針を明らかにした。

 

 ・ハンギョレ, 2015-1-26 韓国食品医薬品安全処、主原料でなくても遺伝子組み換え表示義務化

  http://japan.hani.co.kr/arti/economy/19450.html

 

 米国とEUで進められている環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)交渉に関し、EU委員のフィル・ホーガン氏が「GM表示は影響を受けない」と明言したと報じられた。GMのみならず牛成長ホルモンなど食の安全に慎重な姿勢のEUが、簡単に米国に妥協するとは思えないが、TTIPに反対する欧州の市民団体は警戒を捨ててはいない。

 

 ・Euractiv.com, 2015-1-16 Agriculture Commissioner promises GMO labelling, despite TTIP

http://www.euractiv.com/sections/agriculture-food/agriculture-commissioner-promises-gmo-labelling-despite-ttip-311324

 

 米国がGM表示に手を突っ込んできていないようにも見えるからといって、安易に楽観はできない。TTPには、米国内でも反対が強くなっているともいわれている。農業が大打撃を受け、食料主権がズタズタにされるようなTTPには反対だ。

 

【関連記事】

 No.609 米国・貿易促進権限法案 GM表示撤廃を明記

 http://organic-newsclip.info/log/2014/14020609-1.html

 

8.(メール転送です)件名:汚染水処理問題が完全破たん 原子力規制委員会 各位(拡散希望)

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from 藤原節男(脱原発公益通報者、原子力ドンキホーテ)

 

頭書の件、フェイスブック配信で人気の記事です。メーリングリストでも配信します。拡散をお願い申し上げます。

 

【汚染水処理問題が完全破たん 原子力規制委員会】

 https://www.facebook.com/setsuo.fujiwara/posts/810635275690628

 

◎第33回特定原子力施設監視・検討委員会 2015325日⇒

 https://youtu.be/PAaVIOpXKNY?t=1528

 https://youtu.be/PAaVIOpXKNY?t=2191

 https://www.nsr.go.jp/data/000103416.pdf

 

 ⇒page14 :K排水路(枝排水路およびその上流)の清掃前後の状況及び底泥状況の確認【法面部等】

-2の汚染は、Cs137:700000Bq/kg・乾、泥-1の汚染は、Cs137:510000Bq/kg・乾

「手も足も出ない」K排水路汚染水流出問題。K排水路を巡って更田豊志委員は「指標化できない」と言い出します。なすすべがないのです。

福島3号機の核爆発で落ちた燃料由来物質(セシウムホットボールなど、原子力規制委員会ではFall Outと言っている)が原因です。

 

◎第17回 特定原子力施設監視・評価検討会 平成26(2014)131日⇒

https://youtu.be/FMc3y1Zt1Uc?t=1486


泥の汚染は、Cs137:700000Bq/kg・乾!!「排水路の放射能濃度は高いが調べることすらできない」「泥が海に流れ込んでいる」東電(原子力・立地本部)白木洋也マネージャ

 

◎ユーチューブ動画2015/04/15公開⇒ https://youtu.be/8Sr3XmAHSn4

20141217日、原子力規制委員会は終わった! 原子力規制庁が新たな審議会設立を説明すると、更田豊志委員がキレます。「仕切り直せ­!」

 

◎フリージャーナリスト中田潤さん:

https://www.facebook.com/jun.nakada.58?fref=photo


東京電力は4年間、隠し続けてきた!!

K排水路の枝水路 セシウム137

24000ベクレル/L!!

許容値の267倍が直接海へ!!

東電は「2号機大物搬入口屋上のたまり水が漏れた」と説明。

大ウソ!!!!!!!!

最大の汚染は大物搬入口の川上!!

セシウム24000ベクレル/H

なのにストロンチウムは検出されていない!!

このことから原子力規制委員会は、

「事故時(20113月)の降下物が原因」とみている!!

福島3号機の核爆発で落ちた燃料が原因です!!

 

◎フリージャーナリスト中田潤さん:

東電福島第一原発の汚染水対策は完全に破たんしています。

告示限界濃度の7778倍のセシウムが直接海に流れ出していた!

東電は20113月にこの事実を把握。

しかし、隠し続けました。

増田・廃炉カンパニープレジデントは、

「皆さんが欲しがっている情報とは思わなかった」

東電会見皆勤賞のおしどりマコさん激怒!

2013年から『情報が欲しい』と東電に言い続けた!」

会見場シーン。

「報告していないのは保安防護規則18条違反!」

会見場シーン。

東京オリンピック?

できるわけがありません!!

 

◎フリージャーナリスト中田潤さん:

東電福島第一原発K排水路70万ベクレルの衝撃!

東京オリンピックが「できない」ことはサッカー日本代表が証明している!

311」以降、欧州の強豪は一度も来日していない!

EU加盟国の来日:

201167日 チェコ代表 横浜(原子力災害発生時に試合は決まっていた)

201326日 ラトビア代表 神戸

2013530日 ブルガリア代表 名古屋

2014527日 キプロス代表 埼玉

東日本での試合を承諾したのはキプロス代表のみ!!

過去、2009年には、スコットランド代表、ベルギー代表、フィンランド代表が来日

 

◎原子力規制委員会 定例記者会見 平成27(2015)212日動画⇒

https://youtu.be/7-_HuLJKIiQ?t=205


「安全」とは言わない田中俊一原子力規制委員長

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草々

 

(報告)高浜原発運転差止仮処分決定 緊急報告集会(2015年4月17日):田中俊一さん,事実誤認はあなたの方ですよ,そんなことより,再稼働を認可した原発が大事故を起こしたら,どう責任をとるんですか?

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

去る417日(金),衆議院第2議員会館多目的会議室において,「高浜原発運転差止仮処分決定 緊急報告集会」が開催されました。当日は緊急な集会であったにもかかわらず,たくさんの人が会場に集まり,熱気のある集会となりました。集会では,今回の福井地裁・樋口英明裁判長による高浜3,4号機の運転差止仮処分決定の判決内容について,原子力規制庁の若い役人たちが招かれ,事前に渡してある質問事項について原子力規制委員会・規制庁としての回答が求められました。しかし,この判決が出ても原子力規制委員会・規制庁の態度や方針は従来と変わる様子はなく,当日の規制庁の役人の回答に対して,多くの集会参加者があきれはて,あるいは怒りを感じ,そして「悶絶」しました。

 

特に,田中俊一原子力規制委員長の態度の悪さは目に余り,規制当局のトップとしては自分達の判断や評価に対する謙虚さに欠けていて,失格と言えるのではないでしょうか。判決翌日の415日の定例記者会見では「この裁判の判決文を読む限りにおいては、事実誤認、誤ったことがいっぱい書いてありますので」(速記録より)などと述べ、判決内容を批判することにより,これを貶めよう,影響力を削いでしまおうと必死のようです。しかし,判決文をよく読むと,事実誤認は田中俊一委員長の方であることが明らかとなっています(愚かにも安倍首相は、事実誤認があると田中俊一が述べていると、国会での答弁でとりあげ,この田中俊一発言を政治利用する始末です)。

 

裁判でいろいろな観点から高浜原発の再稼働の是非=安全性について検討がなされ,実直な裁判長・裁判官が,それでもなお,安全性が確保されていない故に再稼働はまかりならぬ,との仮処分決定をしたわけですから,本来であれば,事業者の関西電力も,規制委・規制庁も,一旦はこの判決を真摯に受け止め,判決文の中で指摘を受けているさまざまな安全上の弱点や欠点を再度見直し,改めて原発の安全性を堅固なものにする対策や対応の検討を行ってのちに再稼働の判断をし直すべきものです(安全対策を万全にするためには費用が膨大となり,再稼働する意味がなくなる可能性が高いですが)。また,政府や立地自治体(福井県,高浜町)も,安全性の確認も十分にしないまま,まるで政治判断で早々に再稼働を決めてしまっていた暴挙を心から反省をし,改めて関係当事者の安全性の確保の状況を見守るべきです。

 

しかしながら,信じがたいことに,関西電力は不満たらたらのまま即控訴,原子力規制委員会・規制庁は「訴訟当事者ではないのでコメントする立場にない」(にもかかわらず,田中俊一委員長や原子力規制庁は,判決内容への批判については能弁に記者会見その他で語っています),政府もまた「原発再稼働を粛々と進める」などとして,今回の福井地裁判決がせっかく提起してくれた高浜原発3,4号機の安全上の諸問題を無視してしまおう,いや,「事実誤認だ,非科学的だ,ゼロリスク論だ」などなど,御用学者やマスごみなども動員して,その政治的抹殺を図ろうとしている様子がうかがえます。信じがたい狂気の沙汰であり,また,地域住民や有権者・国民・市民に対する背信行為であり,福島第1原発事故で被害を受けた方々の脱原発の願いを踏みにじるものです。

 

以下,集会の模様と,その際の資料,及び関連サイトを,簡単なコメント付きでご紹介いたします。

 

 <集会案内:パンフ等>

●(別添PDFファイル)4-17 高浜原発差止仮処分報告集会(東京 衆議院第二議員会館) 原子力資料情報室(CNIC

 http://www.cnic.jp/6385

 

 <判決文,弁護団声明サイト:判決要旨,判決文,弁護団声明などがアップされています>

●脱原発弁護団全国連絡会 速報:高浜原発仮処分決定!

 http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/15-04-14/

 

<別添PDFファイル:当日配布された資料(但し,重複を避けるため関連サイトのアップされたものを除く)>

(1)(パンフ)高浜原発運転差止仮処分決定 緊急報告集会(2015417日)

「panfu_takahama34hanketuhoukoku.pdf」をダウンロード
(2)高浜原発3'4号仮処分決定をうけて申立人声明 「山動きたる日来たる」(2015417日)

「mousitatenin_seimei.pdf」をダウンロード
(3)原子力規制委員会・規制庁への質問事項(高浜原発差止仮処分弁護団・申立人 2015.4.16

「siryou_2.pdf」をダウンロード
(4)高浜原発34号機の運転差止決定を受け,基準適合性審査等の中止を求める緊急申入書(申立人・弁護団 2015.4.15

「siryou_3.pdf」をダウンロード
(5)関西電力への申し入れ書(申立人・弁護団 2015.4.15

「siryou_4.pdf」をダウンロード
(6)関西電力殿 原子力発電を直ちに取り止め、安全・安心なエネルギー供給を要望します(申立人 2015.4.16

「siryou_5.pdf」をダウンロード
(7)原子力規制委員長 田中俊一宛 要望書(申立人 2015.4.17

「siryou_6.pdf」をダウンロード
(8)関連新聞記事 (愛媛新聞(2014.3.29),福井新聞(2015.4.15))

「siryou_7.pdf」をダウンロード
(9)規制委員長「事実誤認ある」:高浜仮処分決定に反論(東京 2015.4.16

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015041602000137.html

10)高浜原発再稼働差し止め 菅官房長官 「厳粛」ではなく「粛々」と(東京 2015.4.17

http://p.twpl.jp/show/orig/HtlLc

https://silmarilnecktie.wordpress.com/2015/04/17/417%E7%84%A1%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E3%81%AE%E7%97%85%E7%90%86%E3%81%82%E3%82%89%E3%82%8F%E3%81%AB%EF%BC%8F%E8%8F%85%E5%AE%98%E6%88%BF%E9%95%B7%E5%AE%98%E3%80%8C%E5%8E%B3%E7%B2%9B%E3%80%8D%E3%81%A7/

 

 <当日の録画:是非ご覧下さい。特に規制庁の発言がよろしくありません>

(1)20150417 UPLAN【悶絶規制庁交渉】高浜原発3号、4号機再稼働差し止め仮処分決定

 https://www.youtube.com/watch?v=sfiE6roCGCY

 

(2)20150417 UPLAN【記者会見・緊急報告集会】高浜原発3号、4号機再稼働差し止め仮処分決定 

 https://www.youtube.com/watch?v=xoNLgUzqqbo

 

● 河合弘之映画監督(兼弁護士)の規制庁への質問

 上記(1)の1時間6分のところで出てくる「原子力規制委員会・規制庁が原発再稼働を合格をさせた結果,福島第1原発事故のような過酷事故が起きたら,原子力規制委員会・規制庁は,どう責任をとるのですか」という質問は,この原子力推進の口実づくり委員会である原子力規制委員会・規制庁の正体を浮き彫りにする重要な質問です。それに対して原子力規制庁の役人はどう答えたか,VTRをご覧下さい。

 

● 私の質問

 上記(2)の1時間30分のところ,鎌田慧さんの発言の後の会場からの質問・意見の時間で発言しました。よかったらご覧になってみてください。(質問は3つ,①高浜原発再稼働審査の出鱈目や新規制基準の不十分を国会の中でクローズアップして全国の有権者・国民に見えるようにしていただけないか,その際に,弁護団が国会議員のブレインとして背後についていただいて,精緻で鋭い質問をぶつけていただけないか,②原子力規制委員会・規制庁を被告とする裁判を起こせないか(注),③河合弘之映画監督に,この歴史的な名判決である福井地裁高浜3,4号機仮処分判決や,上記の河合弘之映画監督の鋭い質問などを盛り込んだ,第2弾の「日本と原発」の映画をお作り願えないか)

 

● 原子力規制委員会・規制庁を被告とする裁判提訴と行政手続法について

 集会で教えていただいたが,まず,このタイプの行政法裁判は,行政手続法上の異議申し立てをした人でないと原告になれないこと,従って,原告の数が限られてしまうとのことだった。更に,原子力規制委員会・規制庁の場合には,異議申し立てをする先もまた原子力規制委員会・規制庁という,まことにおかしな仕組みにされていて,かつ,その異議申し立て公聴会は完全非公開で,ただ原子力規制委員会・規制庁が「聞き置くだけ」という形式的なもので,しかも,いつまでにそれに対する審判をしなければならないという決まりもないという。なんだこれは,というのが,この行政手続法で定められた訴訟への手続きなのだそうである。まさに主権者たる有権者・国民をないがしろにする,傲慢きわまりない官僚帝国のための行政手続法である。早く国会議員を入れ替えて,かような法律は抜本改正するとともに,今の裁判員制度を刑事事件から,今回のような行政法事件に切り替えて,司法官僚の手から有権者・国民の手に行政法裁判を取り戻す必要がありそうだ。

 

 <関連サイト:その1 田中俊一発言>

(1)<高浜仮処分決定>誤認は原子力規制委員会・規制庁の側 原子力規制を監視する市民の会

 http://kiseikanshi.main.jp/2015/04/17/gonin/

(2)高浜原発の運転差止め仮処分~田中俊一委員長の「事実誤認」は2重の意味で事実誤認~元原子力安全委員会参与の滝谷氏より 原子力規制を監視する市民の会

 http://kiseikanshi.main.jp/2015/04/16/goho/

 

(田中一郎コメント)

 上記2つのサイトをご覧いただければ,「判決には事実誤認がある」と記者会見した田中俊一委員長の方にこそ,事実誤認があり,かつ,他の言及事項などについては「誤認」を超えて,悪質な判決内容の歪曲と言うか,貶め言論である,ということがわかります。「冷却」設備はBクラスだが,「給水」設備は既にSクラスだと,田中俊一や規制庁の役人は鬼の首でも取ったように「誤認,誤認」と言い立てていますが,使用済み核燃料プールの「給水」か「冷却」かの表現の問題は瑣末な話で,判決文全文のP42~P44にかけてを読み込んでいけば,P44の文章で指摘されている「給水」設備(⇒ 田中俊一はこれをBクラスではなく既にSクラスだと指摘して,判決が誤認識だと批判している),の「給水」とは,広義の意味での使用済み核燃料プールを「冷却」する全体の設備のことを意味していることは自明だと思われます。

 

 むしろ,この問題で言えば,河合弘之映画監督(兼弁護士)が今回集会において指摘しているように,裁判において被告の関西電力の説明が悪くて,「給水」設備と「冷却」設備とをしっかり区別して裁判官に説明をしていないことが,こうした表現上のまぎらわしさをもたらしているのであり,責めるのなら裁判官ではなく,被告の関西電力であること,また,使用済み核燃料プールの冷却に関して,給水設備やタンクやプールなどはSクラスで耐震性は高いが,冷却設備についてはBクラスでしかない,というような,耐震強度の違うものをセットしてしまっている設備については,全体としてはBクラスと,低い方に見るのが安全の考え方だと言えるのではないか。たとえば,大地震・大津波の後の過酷事故状態の中で,Bクラスだった冷却設備が破壊され,かつ,水の確保が困難な状態に陥った場合,使用済み核燃料プールは冷却できなくなって,短時間のうちに大惨事になってしまうのではないか。原子力規制委員会・規制庁は,書類のシミのような間違い探しをするのではなく,判決の骨太部分をしっかりと読み取り,自分達の使命である原発の安全性の評価に「スキ」や「見逃し」や「根拠のない楽観」などがないかどうか,しっかりと見直しする作業に着手すべきである。

 

 <関連サイト:その2>

(1)主給水ポンプ

 https://www.nsr.go.jp/archive/nisa/word/7/0220.html

 

(加圧水型原子炉では「復水器で凝縮回収された復水を高圧給水加熱器を経て、PWRの蒸気発生器へ送水するためのポンプのこと」と説明がなされている。これはいわゆる2次冷却系を正常に駆動させるための心臓のような役割を果たすポンプであり,これが破損したらPWR原子炉は炉心の冷却ができなくなる(代替手段として緊急炉心冷却装置(ECCS)があるが,それがあるからといって,この主給水ポンプが脆弱なものでいいということにはならない)。何故,このような重要な設備がSクラスでないのかが理解できない:田中一郎)

 

(ついでに今回の集会でも議論になった外部電源のことを申し上げておくと,判決は外部電源もまた地震に対して脆弱で,そのことが原発の過酷事故を招く一因になりかねないとしている。実際問題として,福島第1原発事故では,外部電源が地震で決定的なダメージを受けて修復できす,SBO(全電源喪失)を招いてしまった。しかも,この福島第1原発向けに用意されていた外部電源の心臓部にあたる変電所は,それほど古い施設でもないのに,地震による液状化・地滑り・がけ崩れなどが重なるような,とんでもない場所に立地していたことが後日明らかになっている。結局,この変電所を修復するのに丸2年もかかるような,そんなメチャクチャな破壊状態だったという。ちなみに襲った地震は震度「6」クラスで,とりたてて破格に大きい地震だというわけでもなかった。

 

集会での議論では,外部電源などはSクラスになんか出来っこない,で終わってしまったが,それにしても,Sクラスにできなければ,後は皆同じではなく,もっとまともな場所に立地させて少しでも地震・津波の影響を回避する,そういうきめ細かな外部電源対策が必要なはずではないかと思われる。これは原発が再稼働しなくても,使用済み核燃料プールがある限り,その冷却が必要で,今後も全ての原発・核燃料施設に言えることではないかと思われる:田中一郎)

 

(2)原発の規制基準、「見直す必要性ない」原子力規制委員長 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node%2F1903

 

(3)田中規制委員長の「事実誤認」発言こそ『誤り』との報道を求める 高浜原発運転差止仮処分弁護団が会見 れんげ通信ブログ版-ウェブリブログ

 http://rengetushin.at.webry.info/201504/article_11.html

 

(4)2015-04-15 「新規制基準自体にノーをつきつけた」 高浜原発再稼働禁止の仮処分、何が画期的だったのか~弁護団共同代表の河合弘之弁護士に岩上安身が聞く IWJ Independent Web Journal

 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/242735

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(関西電力は控訴する構えです。国や規制委・規制庁,立地自治体は判決無視の姿勢です。多くの御用学者とマスごみは,判決のあらさがしに熱中の気配です(たとえば,別添PDFファイルの地元福井新聞(4/15)は実にひどい記事を書いていますし,その記事に出てくる入倉孝次郎とかいう学者もひどいことを言っています)。闘いは続きます。高浜原発3,4号機が危険なのは判決に書かれていることだけではありません。例えば,原発・核燃料施設の集中立地の危険性,あるいは避難計画の実効性の乏しさ,緊急炉心冷却装置(ECCS)が過酷事故時に機能しない,などなどですが,そうしたことも含めて,今後は今回の判決をてこにして,広く全国の有権者・国民に訴えて行く必要があると思われます)

草々

 

2015年4月16日 (木)

高浜原発3,4号機運転差止仮処分判決について:見事な歴史的名判決を受け止め,原発・核の廃棄がなぜ必要かを有権者・国民にこれまで以上に訴えて行きましょう=そして原発・原子力政治を転換するのです

前略,田中一郎です。

 

さる414日,福井地裁の樋口英明裁判長の下,高浜原発34号機の運転差止仮処分の判決が出されました。下記はそれについてのコメントです。

 

 <関連サイト>

(1)脱原発弁護団全国連絡会 速報:高浜原発仮処分決定!

http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/15-04-14/

 

●判決文要旨

https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A/%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E8%A6%81%E6%97%A8.pdf

●判決文

https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A/%E6%B1%BA%E5%AE%9A.pdf

●弁護団声明

https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A/150414%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%A3%B0%E6%98%8E%EF%BC%88%E5%A4%A7%E9%A3%AF%E9%AB%98%E6%B5%9C%E4%BB%AE%E5%87%A6%E5%88%86%EF%BC%89.pdf

 

(2)東京新聞 

●福井地裁、高浜原発再稼働認めず 初の仮処分決定、「合理性欠く」

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041401001499.html

●高浜再稼働 認めず 「緩い規制基準 合理性欠く」

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041590070351.html

●再稼働 政府「粛々と」 高浜仮処分 規制委「審査に影響ない」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015041502000114.html

●高浜原発再稼働「遅れる可能性」 仮処分決定で関電会長

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041501001550.html

 

(3)毎日新聞:■注目ニュース■ 高浜再稼働差し止め 司法が発した重い警告

 福井県や関西の住民ら9人が関西電力高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働差し止めを求めた仮処分の申し立てに関し、福井地裁(樋口英明裁判長)は14日、再稼働を認めない決定を出した。仮処分の手続きで原発の運転差し止めが認められたのは初めて。今後の司法手続きで決定が覆らない限り運転は事実上不可能で、再稼働スケジュールに影響を与える可能性がある。関電側は異議と執行停止の申し立てをする方針。

 

▽福井・高浜原発:再稼働、差し止め 福井地裁、仮処分 「新基準、合理性欠く」

 http://mainichi.jp/m/?UPH46u

<社説>

▽高浜原発差し止め 司法が発した重い警告

 http://mainichi.jp/m/?nKXkht

<解説>

▽クローズアップ2015:福井・高浜再稼働、差し止め 事故リスク、ゼロ求め

 http://mainichi.jp/m/?G4OlOL

▽質問なるほドリ:仮処分ってどんな制度?=回答・石川淳一

 http://mainichi.jp/m/?ZF3LRk

<関連記事>

▽福井・高浜原発:再稼働差し止め 菅官房長官、再稼働方針に変わりはない

 http://mainichi.jp/m/?3SohxI

▽福井・高浜原発:再稼働差し止め 与党静観、野党は評価

 http://mainichi.jp/m/?SpKQ2o

▽福井・高浜原発:再稼働差し止め 経済界、困惑広がる 「再稼働を」「行方見る」

 http://mainichi.jp/m/?HkDkpp

▽福井・高浜原発:再稼働差し止め 住民側「最高の決定」 立地自治体戸惑いも

 http://mainichi.jp/m/?2rLjdi

▽福井・高浜原発:再稼働差し止め 基準地震動根拠、記事の発言採用 福井地裁

 http://mainichi.jp/m/?bpcSIg

 

(4)関連

● 東京新聞 規制委員長「事実誤認ある」 「基準見直す必要ない」

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015041602000137.html

● 高浜原発の再稼働認めず 福井地裁が仮処分/判決要旨を再整理/申立人代表は敦賀市議の今大地晴美さん - てらまち・ねっと

 http://blog.goo.ne.jp/teramachi-t/e/6b4dc3290bebb6f169e98b1f8d4d5271

● 高浜原発、再稼働差し止めの仮処分 樋口英明裁判長「新規制基準は緩やか過ぎ」

http://www.huffingtonpost.jp/2015/04/14/takahama-nuclear-power_n_7060358.html

● 高浜原発、避難に16時間 - 速報:@niftyニュース

 http://news.nifty.com/cs/headline/detail/kyodo-2015041501002043/1.htm

● 川内原発の仮処分決定が4/22午前10時に出ます。

 http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/15-04-07/

 

1.判決への評価

(1)最高の判決,全面勝訴,大飯原発判決よりも更に進化,原発再稼働を止める最大の武器,脱原発は新たな段階へ(河合弘之映画監督 兼 弁護士)

(2)仮処分での原告勝訴は初めて,歴史的な画期的な判決(海渡雄一弁護士)

(3)新規制基準に踏み込んで評価しており,これに従えば,全国の再稼働申請中の全ての原発の安全性は確保されていないことになる。(全国で仮処分を含めて,原発差止裁判が提起されているのは全部で28件:裁判提訴がないのは女川と東通くらい)

 

 判決内容は首尾一貫していて明確,危険な原発は動かしてはいけない=万が一にも過酷事故につながる可能性はあらゆる手段で排除されている必要があるが,それがなされていない,そもそも新規制基準がゆるすぎる,という,日本の有権者・国民・市民の大半が体で感じていることを判決が代弁した形,当たり前の判決だが,原子力・原発に狂う日本では画期的・歴史的なものになった。日本の司法が,かろうじて,首の皮一枚で,瀬戸際で,日本の破滅を防ぐ一石を投じた判決と言える。

 

2.判決の要旨から

(1)高浜3,4号機を運転してはならない。

(2)想定を超える地震が来ないとの根拠に乏しく,想定に満たない場合でも冷却機能喪失で重大事故が生じうる。

(3)使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込むなどの対策がとられていない。

(4)原子力規制委員会の新規制基準は合理性を欠き,適合しても安全性は確保されていない。

(5)原発運転により,住民の人格権が侵害される具体的な危険がある。

 

3.判決に関する上記「要旨」の補足(判決要旨+アルファ)

 

(1)基準地震動700ガルを超える地震はありうる。他の原発では過去10年間に5回,基準地震動を超える地震に襲われている。「基準地震動は考えられる最大規模の揺れの地震ではない」とのコメントをする地震学者もいる(入倉幸次郎氏)。

 

(基準地震動のごまかしは常とう手段=活断層を細切れにして短くする,過去の地震の実績から導いた式を「最大地震(最大リスク)」の数字を使わず「平均的地震(平均値)」を使って想定し地震予測を過小評価するなど。基準津波(6m)や火山噴火の危険についても上記と同様である:田中一郎)

 

(2)主給水ポンプや外部電源について「安全上,重要な設備」の指定(Sクラス)がなされていないので,基準地震動以下の地震でも冷却機能を喪失して,深刻な大事故になりうる。

 

(3)最初は370ガルの基準地震動であったこの原発が,その後,安全余裕があるとの理由で,机上の計算だけで550ガルに引き上げられ,更に新規制基準実施を契機に700ガルまで引き上げられている。実際の原発は何も変わるところがないまま,机上の書類上の数字だけが空しくエスカレートしているだけ。(「安全余裕」を怪しげな理屈で切り詰めているだけの話で,危険である:田中一郎)。

 

(4)使用済み核燃料が格納容器のような堅固な施設によって閉じ込められていない。福島第1原発4号機のような事態が再発して深刻な事態に至る可能性は十分にある。

 

(5)使用済み核燃料プールの冷却施設も耐震上,脆弱である。地震によって破壊され,使用済み核燃料プールの冷却が続けられなくなる可能性がある。

 

(6)原子炉施設周辺住民の生命・身体に重大な危害を及ぼす等の深刻な災害が万が一にも起こらないよう新規制基準や再稼働審査は厳しいものでなくてはならないが,実際は緩すぎて,稼働される原発の安全性が確保されていない。また,免震重要棟(や第二制御室,フィルタ付きベント装置)の設置が一定期間猶予されていることも,原発の安全を損ねている。何故なら,原発を襲う地震や津波などは人間の計画や意図,都合を優先してくれないからだ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ここから+アルファ)

(7)石橋克彦神戸大学名誉教授「科学が将来を完全に予測できると思う方が非科学的」

 

(8)過酷事故時の住民の避難計画に実効性がなく,原子力規制委員会がその審査責任を放棄しているため,ノーチェック・無審査のまま放置されている。国際原子力機関(IAEA)が求める深層防護の第5層目が皆無に等しい。

 

(9)東京新聞の記事「新規制基準を満たせば原発事故は大事故に発展せず,外部からの支援なしに数十人の作業員だけで収束できることになっている」=あやしい

 

4.判決で触れられていない点で最重要の事項=福島第1原発事故後の東京電力及び政府・規制機関の対応のお粗末への反省がなく,新規制基準に教訓が反映されていない。すなわち,危機管理体制がガタガタで,福島第1原発事故の際に起きたことが再び起きないという保障も対策も,何もない状態で再稼働がなされようとしている。

 

(1)緊急時対応のお粗末=原子炉モニター破綻(水位計他),原発環境モニター機能せず(放射能測定,TVカメラ,地震計他),水素爆発止められず・核爆発も同様? 物資補給できず(レベルの低い次元でストップ),敷地内外の通信ができない,緊急炉心冷却装置(ECCS)がまともに機能せず,圧力逃し安全弁(SRV)が期待されたように動かず圧力容器内が危機的状態になってしまう他

 

(2)福島第1原発事故原因の究明棚上げ=何故,事故が深刻化したのか,そして,何故,事故が「ほどほど」のところで平衡状態となり,深刻な事態が回避できたのか(特に2号機),不明のままである。

 

(3)住民対策の出鱈目=放射能汚染の深刻ひた隠し,賠償・補償の極小化を最重視した避難区域の分割指定,被ばく防護も初期被ばく調査もしない,安定ヨウ素剤服用の妨害・非通知他=まるで猛烈に被ばくさせられる住民など存在しないかのごとし

 

(4)日本全国の有権者・国民・市民向けの説明責任の放棄と原子力ムラによる嘘八百放送・広報 ⇒ その究極が「爆破弁」(有森正憲(東工大)・関村直人(東大))や,メルトダウンは起きていないだろう説明など

 

5.原子力・原発・核廃棄の必然性を再確認し,精力的に有権者・国民・市民に訴えよう

 

(1)原発・核燃料施設の過酷事故は日本を滅ぼす,広範囲な地域の住民の生活や人生をメチャメチャにしてしまう,大事故による放射能汚染は半永久的に消えない,福島第1原発事故の最大の教訓

 

(2)目下進められている原発・核燃料施設再稼働は,原子力ムラとその利害関係人という,ごく限られた人間達の目先の利益享受が目的であって,圧倒的多数の有権者・国民・市民の利益や安全に反する背信的な行為である。不合理,非経済的,非民主的,反自然環境,非持続的,超危険,反道徳的きわまりない。原発・核燃料施設の再稼働は,原子力ムラ代理店政治家達の政治権力のみをよりどころにして行われようとしている。

 

(3)原発は安定しない電源である。よくトラブルを起こし,いろいろな理由でしょっちゅう止まる。ベースロード電源にはならない。

 

(4)原発は高コストである=稼働させ生き延びさせれば日本経済をダメにする。再生可能エネルギーによる新産業革命から取り残される=未来の可能性が奪われる。燃料費だけを見て安いと言うな!! 追加安全対策費(設備他),低稼働率,立地自治体対策費,使用済み核燃料及び放射性廃棄物(核のゴミ)対策費(半永久的),高価な危険負担費用(保険掛金の高額),過酷事故対策費,巨額の初期投資金融費用,原発従業員の放射線防護対策費などなど,原発はその必要経費をきちんと見込まないで政治的にコストを計算しているから,実態の何十分の一,何百分の一の金額で「偽りの低コスト」が演出されている=インチキにごまかされるな!!

 

(5)原発・核燃料施設は失敗の許されない超危険施設である。人間が造ったもので「失敗しない」など,あり得ない話。ということは必ず過酷事故は起きる。

 

(6)いい加減・出鱈目・隠蔽・インチキ・嘘八百は,原発・原子力の担い手である電力会社も原子炉メーカーも原子力規制委員会・規制庁もも経済産業省も,皆同じ。原発推進の手段は,カネ(差別),嘘八百と隠蔽,そして脅し(原発推進の三種の神器)

 

(7)日米原子力協定の主目的・内容は「核拡散防止」であり,日本の原発・原子力廃棄を妨害するものではない。日米原子力協定があっても原発・原子力・核廃絶は可能(河合弘之映画監督兼弁護士の今月号の岩波月刊誌『世界』(20155月号)掲載論文を参照)

 

(8)原発・原子力・核がつくりだす病的・不健全社会

a.情報の囲い込みと秘密,隠蔽・ごまかし・歪曲・矮小化のデパート,核=民主主義の破壊

b.差別に立脚=過疎地に立地,底辺に非正規の原発被曝労働者

c.原発・核燃料施設稼働=被ばく労働が前提

d.原子力翼賛と放射線安全神話・被ばく強制のファッショ体制(フクシマ・エートス他)

e.支配権力・巨大資本による「科学の包摂」と,科学の似非化・御用化

f.未来世代へ残す負の遺産と反倫理性=使用済み核燃料と核のゴミ(放射性廃棄物)

 

6.2つの課題

(1)(軽い方の課題)裁判における関西電力の出鱈目な主張や態度を徹底して暴露し,有権者・国民・市民の前に晒し出そう

 仮処分裁判にもかかわらず時間かせぎの裁判引き伸ばし,挙句の果てに裁判官忌避までを申し立て(福井地裁・名古屋高裁がともに却下),という裁判手続きの問題のみならず,原発の安全性を巡る裁判上での実質的な関西電力の説明の出鱈目を逐条反論する必要があるのではないか

 

(2)(重い方の課題)日本の有権者・国民・市民は,自分自身の政治家選択を「脱原発」を最も基本の判断基準にするべく「脳内革命」を起こせ

 有権者・国民・市民の圧倒的多数は脱原発=再稼働反対,しかし,実際の選挙になると,脱原発・再稼働の是非が争点にならずに,相も変わらぬ政治家が選挙で選ばれてくる。日本の有権者・国民・市民は,これを繰り返してきて福島第1原発事故が起きたにもかかわらず,まだこの期に及んでも,同じようなことを繰り返している。昨今では,無責任にも選挙に行かずに選挙権を放棄して平然としている始末 ⇒ これでは原発はいつまでたってもなくならない,それどころか,こういう有権者・国民・市民の政治行動・政治家選択は,破滅の兆候を示していると言っても過言ではない。

 

 今般の統一地方選挙でも同様だ。北海道,福井,大阪など,原発問題で最重要な地域の地方選挙(首長,地方議会)でも,脱原発派はことごとく低投票率の下で落選し,グロテスクな,あるいはニセモノの,現職政治家達が大挙して再選されている。日本の有権者・国民・市民は,政治については,馬鹿,なのか。馬鹿なら「死ななきゃ治らない」が,まきぞいを食って死ぬのはご免だ,と思う人も多いだろう。しかし,原発・核燃料施設を再稼働したら,近未来に日本はその過酷事故により必ず滅ぶ。これはお約束してもいい。

 

 なすべきは自明=原発・原子力・核を推進する自民党,公明党,民主党には絶対に投票してはいけないし,その補完政党と見られる維新の党にも投票をしてはいけない。それ以外の,脱原発をはっきりと言う候補者に投票をし,その連中がものたりない,やっぱりだめなら,自分達でオルタナティブな政治家を育てて行くしかない。これをしないと,もう日本は持たない,ところまで来てしまっている。選挙権を放棄して,政治から逃げ回っていてどうするのか。死にたいのか,ということだ。

 

7.その他

(1)歴史的な名判決を下した福井地裁の樋口英明裁判長は,名古屋家庭裁判所へ転勤になるという。私は裁判所人事に詳しくないが,これはひょっとして降格の,いわゆる「いやがらせ」「原子力ムラ権力報復人事」ではないのか? もしそうなら,日本の最高裁(人事権)は福島第1原発事故後も,その腐敗をやめない,と言うことを意味している。

 

(2)政治選択において,民主党はあり得ない選択であることを再度強調しておく=民主党は解体されるべきである

 それは福島第1原発事故が自民党の原子力政策の帰結だと解釈して,民主党をひいき目でみても,その福島第1原発事故後の民主党政権(菅直人政権と野田佳彦政権)が行ったことだけを見ても,この政党・この連中は「ダメ」だと言うことが明らかである。再度政権を取らせても,間違いなく同じことをするだけだ。

 

 <いくつか具体的に申し上げておく>

a.現在の原子力規制委員会の田中俊一委員長以下の委員を選んだのは民主党政権である(その後2人は任期満了で更迭)

b.福島第1原発事故後の「フクシマ・スキーム」の原型をつくったのも民主党政権である。その特徴は,①加害者・東京電力を救済して,被害者・福島県民やその他の都県の被害者を踏みつけ切り捨てる,②放射線安全神話をでっちあげる,③大飯原発を再稼働し原発推進の火を消さない,④原発輸出を推進する,⑤脱原発の課題は遠い将来に屁理屈付きで先送りする,⑥早期に福島第1原発事故の原因究明や実態調査を放棄し,原子力ムラや新たな安全神話の再構築にまい進する,などだ

c.原発・原子力・核を放棄する意思はない,どころか,その軍事利用=安全保障上での活用に積極的である

 

 つまり,私がいつも申し上げているように,「口先やるやる詐欺」の政治家集団=民主党に,期待をして投票することは無意味であるどころか,マイナスである,と言うことだ。覚悟を決めて,別の政治勢力を育てていくほかない。

草々

 

 

2015年4月10日 (金)

(報告)(院内集会)圧力容器の老朽化を問う(高浜1・2号機稼働延長問題)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

昨日(4/9)、衆議院第1議員会館において「(院内集会)圧力容器の老朽化を問う(高浜1・2号機稼働延長問題)」が開催されました。別添PDFファイル、及び下記URLは、その際の資料、及び関連情報です。以下、簡単にご報告申し上げます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)(案内パンフ)(院内集会)圧力容器の老朽化を問う(高浜1・2号機稼働延長問題)(201549日 衆議院第1議員会館)

「tirasi_roukyuukagenpatu_innnaisyuukai.pdf」をダウンロード

(2)(資料1)原子炉容器の照射脆化とは何か(後藤政志 2015.4.9

「rejime_1_gotousann.pdf」をダウンロード

(3)(資料2)問われる研究者の倫理=原子炉圧力容器の脆化予測
JEAC4201-2007をめぐって(小岩昌宏 2015.4.9

「rejime_2_koiwasann.pdf」をダウンロード

(4)(資料3)老朽化原発は稼働延長に耐えられるか? (井野博満 2015.4.9

「rejime_3_inosann.pdf」をダウンロード

(5)断層の判断示さず、再稼働審査本格化:美浜3号機で規制委(東京 2015.4.9 他)

(当日、私が少しメモ書きを書き入れておりますが、それは気になさらずにご覧ください)

 

 <小岩昌宏先生真筆論文>

(1)原子炉圧力容器の脆化予測は破綻している:でた5めな予測式をごまかす意見聴取会(小岩昌宏 『科学 2012.10』)


(2)続・原子炉圧力容器の脆化予測は破綻している:日本電気協会,電力中央研究所と学者・研究者の姿勢を問う(小岩昌宏 『科学 2014.2』)


(3)原子炉圧力容器の照射脆化:脆化予測法 JEAC4201-2007 は誤っている(小岩昌宏 『金属 2015 No.2 Vol.85』)


(ご紹介いただいた論文のうち、岩波書店月刊誌『科学』掲載の1つの論文が未入手なので、追って追送いたします)

 

 <当日の録画>

20150409 UPLAN 圧力容器の老朽化を問う [高浜1・2号機稼働延長問題]後藤政志ほか - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=8tfsE3kIzFE

 

(今回の院内学習会は、話の内容がかなり工学的に専門的でした。ですので、別添PDFファイルの講演レジメ資料を見るだけではわかりにくいと思いますので、上記のUPLANの当日の録画とともに資料をご覧ください)

 

 <関連サイト>

(1)院内集会案内:4-9【院内集会】 圧力容器の老朽化を問う [高浜1・2号機稼働延長問題](東京・千代田区) 原子力資料情報室(CNIC)

 http://www.cnic.jp/6343

 

(2)参考書(既刊):『老朽化する原発 ― 技術を問う― 原子力資料情報室(CNIC)』

http://www.cnic.jp/books/3423

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031543947&Action_id=121&Sza_id=GG

 

(3)「学協会方式批判」:原子力規制委員会は,今,何をしているのか:原発「性能規定」の危険性,産官学癒着なれ合いの「学協会規格」  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/post-db4f.html

 

(4)原発再稼働に反対70.8%、事故の懸念73.8%=学者・民間機関調査 Reuters

 http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPKBN0MY0JX20150407

 

1.老朽化した圧力容器及び原子炉・原発審査・評価の問題点(特に記憶に残る部分を列記:重要事項はこれだけではない)

(1)長期にわたる中性子照射によって脆くなった金属の圧力容器は、原発大事故時などの緊急事態において急速冷却すると急激に割れる。

(2)高温高圧状態にある圧力容器が急激に割れると、核燃料はバラバラになり、かつ壊れた圧力容器の破片はミサイルのごとく四方八方へ吹き飛んで格納容器も破壊

(3)中性子照射による金属の脆化とはどういうものか:中性子が金属原子を跳ね飛ばし空孔と格子間原子をつくりだす。

(4)鉄鋼に含まれる不純物の銅が中性子脆化を激しくする:銅が不純物として含まれる原因は、一つはスクラップ鉄の利用、もう一つは溶接。

(5)JEAC4201-2007「原子炉構造材の監視試験方法」は玄海原発1号機の脆性遷移温度をきちんと予測できず実際よりも低い温度を予測していた(危険)。

(6)JEAC=japan Electric Association Code (日本電気教会 原子力規格委員会)

(7)JEAC4201-2007の脆化予測式については、式に単純かつ根本的な誤りが見つかり、再検討することになっていたが(拡散係数の2乗項は異常)

(8)脆化予測式見直しについては、結局「後出しじゃんけん」方式でパラメータだけを変え、式の根本的な誤りを変えないまま=再び過小評価の恐れ

(9)日本電気教会は公平性、公正性、公開性を標榜しているが空文句にすぎない=今回の脆化予測式問題で資料請求や問題提起などをした結果判明

10)「原子力ムラ」の「奥の院」としての日本電気教会、あるいは学協会規格などの政官財学の腐敗融合に対しては、厳しい批判が必要(好き勝手やっている)

11)高浜1号機の脆性遷移温度は99度C、廃炉決定の玄海1号機を抜いて日本最高、しかも再稼働がもくろまれている(超危険)。

12)そもそも脆性遷移温度は何度まで許されるのか=新設の原子炉の場合には93度Cと決められているが、既存の老朽化原発については規定がない!!(信じがたい)

13)原発の「寿命延長」のための特別点検では、「原子炉格納容器鋼板」について「接近できる全検査可能範囲」で点検すればいい、と規定されている。つまり、点検できないところがあれば、それはほったらかしておいていいという、信じがたい「規制」規定の下で、事実上、手抜きの特別点検がなされることになる。

 

2.全然ダメな原子力規制委員会・規制庁に対しても、こうした工学的な安全上の諸問題については、今後もどんどんと発言をし(報告)(院内集会)圧力容器の老朽化を問う(高浜1・2号機稼働延長問題)公開していく。今の原子力規制委員会・規制庁が、それをうけてただちに対応や態度を変えるとは思えないが、それでも一定の効果はあるだろう。(講演された皆様共通のお考えです。その通りですね)

 

3.後藤政志さんのご意見(講演レジメより)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 原子力規制委員会は,『福島事故以前と似たような原子力業界の虜"』になってきている危惧を覚える。福島事故の要因のひとつは、提起されている技術的な問題を逃げずに独立した立場でひとつひとつ正面から向き合うことをしてこなかったからだ! 照射脆化問題は最重要課題のひとつであり、間違いを訂正すらできないのであれば、規制機関失格である。

 

 恣意的なデ一タや論文を基にひたすら“基準にあっているか"だけを“形式的に"審査している今の姿勢では、原子力規制機関としての信頼を得られるとは思えない。技術的な検討・対策をしても、必ずしも安全が確保できるとは限らないが、その努力すらせずに、ただひたすら今のまま審査をすすめることは国民に対する裏切り行為だと考える。再考を願う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

4-1.別添PDFファイルの201549日付毎日新聞・東京新聞記事参照

 

● 美浜原発:3号機を本格審査へ「直下に活動断層なし」

 http://mainichi.jp/shimen/news/20150409ddm001040161000c.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 原子力規制委員会は8日、再稼働の前提になる安全審査の申請が出ている関西電力美浜原発3号機(福井県)について、規制委の有識者調査団が実施している敷地内断層調査の結論を待たずに本格審査に入ることを決めた。調査団の結論を受けて審査で断層の活動性を判断するとしてきた従来の方針を転換する。

 

 美浜3号機は運転開始から38年が経過し、原子炉等規制法で「原則40年」とされている運転期限が迫った老朽原発。関電は運転延長を目指しているが、来年11月までに安全審査と老朽化対策の審査に合格しなければ廃炉になる。田中俊一規制委員長は8日の定例記者会見で「限られた時間なんです。少しでも早く軌道に乗せた方がいい」と説明し、審査期間の短さに配慮したことを認めた。

 

 田中委員長はこの日の定例会で、調査団の議論について「重要施設の直下に活動する断層はないという一定の方向性がまとまった」と発言し、美浜3号機の本格審査入りを提案。他の委員からも異論はなかった。

 

 しかし、6日に開かれた調査団の会合では、活動性を否定できないと指摘する意見も一部の有識者から出た。座長の石渡明・規制委員も「(活動性を)否定、肯定という証拠がなかなか出せない。歯切れの悪いものにならざるを得ない」と述べている。有識者の一人は毎日新聞10+件の取材に「活動性はないとはっきり言うのは大いに疑問でフライングだ。何をそんなに急ぐのか」と話した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

4-2.別添PDFファイルの2015410日付朝日新聞記事参照

 

●美浜の地震想定 震災前のまま 規制委「大いに疑問」(朝日 2015.4.10

 http://www.asahi.com/articles/ASH494KB4H49ULBJ005.html

 

(田中一郎コメント)

 上記3.の毎日新聞記事にもあるように、美浜3号機の敷地内活断層の危険性を、田中俊一原子力規制委員長以下,原子力規制委員会自らが、有識者の慎重意見「活動性はないとはっきり言うのは大いに疑問でフライングだ。何をそんなに急ぐのか」を無視して、「審査」と称する再稼働へ向けての「儀式」を推し進めておきながら、他方では、直後にかような発言を吐いて、すべてを再稼働申請会社の関西電力のせいにして、自らの責任の棚上げと政治的バランスをはかっているのがよくわかる。さすがは、ホラ吹きチョロ助=田中俊一率いる委員会だけのことはあるわ。

 

 こんな連中に美浜3号のような老朽化原発の寿命延長の是非=再稼働の審査などをさせれば、必ずや近い将来大事故となるでしょう。

草々

 

 

原子力規制委員会は,今,何をしているのか:原発「性能規定」の危険性,産官学癒着なれ合いの「学協会規格」

前略,田中一郎です。(2012年11月20日)

(だいぶ前に書いたものですがご参考までに)

 原子力規制委員会ならぬ原子力「寄生」委員会の不法占拠組が,いったい今,何をしているのでしょうか。去る1114日に開催された(第11回)原子力規制委員会の資料を見ながら簡単にコメントしたいと思います。大飯原発の活断層調査をはじめ,この(第11回)規制委員会での議事の様子は,既にお送りしたメールの中で,FOEジャパンの満田夏花さんが非常に適切にレポートされていますので,私は議事の中の「(5)今後の学協会規格の活用と規格策定委員会への参画について」を取り上げて簡単にコメントしたいと思います。

 

 <平成24 年度 第11 回原子力規制委員会>

 http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/20121114.html

 

1.日時 平成24 11 14 () 10:3012:00

2.場所 原子力規制委員会 会議室A

3.議題

(1)大飯発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合について(現状報告)

(2)敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合について

(3)原子力災害事前対策の在り方等の進め方について

(4)環境モニタリング解析の結果について

(5)今後の学協会規格の活用と規格策定委員会への参画について

(6)独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター材料試験炉

(JMTR)における非管理区域への放射性物質の漏えいについて

(7)原子力規制委員会における政策評価及び独立行政法人の評価に関する制度について

(8)有識者と原子力規制委員会との意見交換について

 

まずはFOEジャパンの満田夏花さんのコメントを見てみると下記の通りです。

 

<以下,引用>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(5)今後の学協会規格の活用と規格策定委員会への参画について 

 発電用原子力設備に関する技術基準についての策定について、いままでは保安院が参画。今後、規制庁職員がどのように関与するか。意思決定(投票)には参加せず、出席するにとどめようと思うがどうか。


*(資料5)今後の学協会(日本原子力学会、日本機械学会、日本電気協会)規格の活用と規格策定委員会への参画について(平成24 11 14 日)

http://t.co/LyTGOrrM

http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/data/0011_06.pdf

 


島崎委員が熱弁をふるいだしました。

「当規制委員会が、このような技術評価を行う能力を備えているのかということで重要。委員は、三菱、日立、東芝、電力、大林組、鹿島、清水建設、大成、JAEA、電中研、学識経験者(原子力関係者)…。ある意味、身内で身内のことを決めている。第三者は入っていない。」(だから、規制委が入るべきだという意見かどうかはよくわかりませんでした。)

 


 更田「技術評価を行うことを前提としても、学協会に組みすることはない。有り方についてもっと注文をつけてもよい。自分も関わったことがあるが、非常にわかりづらい資料名だったりして、後から策定プロセスをトレースすることは難しい」

 

 田中「日々新たになる細かな技術を我々が把握することは相当たいへん。規制庁職員は学協会(日本原子力学会など)の意思決定には参加しない方がよいと思った。」(まあ、これについては、よくわからないながら、私はめずらしく私も田中氏と同意見です。)

 

 結論は出ず、ペンディングに。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<以上,引用終わり>

 

 わき道雑談になりますが,私はこの「島崎邦彦東京大学名誉教授」とかいう地質学者の「寄生委員」が,あの出鱈目委員長だった斑目春樹原子力安全委員長に,その表情やしぐさがよく似ているように思えてならないのです。大学まで同じです。また,同じことの繰り返しにならなければいいが,と思う次第です:下記は参考サイト。

 

*大飯原発断層調査に参加している原子力規制委員会の島崎邦彦東大名誉教授(hatehei666の日記)

 http://d.hatena.ne.jp/hatehei666/20121112/1352719970

 

*(内閣官房HP)島崎邦彦東大名誉教授

 http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/shimazaki.pdf

 

 既にお送りしたメールにも書いたように,この問題の要点は次の2つです。

 

(1)「発電用原子力設備に関する技術基準については、平成17 年に実施方法の詳細を規定する「仕様規定」から要求性能水準までを規定する「性能規定」への変更が行われた」(添付資料文章)ことを,引き続き継続するが,原子力規制委員会としては,これに具体的にどう対応していくか

 

(2)「これにあわせて、技術基準を満たす詳細な仕様を定めた規格については、公正性、公平性等が担保されたプロセスを経て策定された日本原子力学会、日本機械学会及び日本電気協会の民間規格(以下、学協会規格という。)を活用することとされた。」(添付資料文章)ことも継続するが,その場合に,原子力規制庁職員のこれらの委員会への参画の方針をどうするか,という問題

 

1.「仕様規定」から「性能規定」へ

 思い出していただきたいのですが,上記(1)の「仕様規定」から「性能規定」への移行は,1980年代後半から進められてきた市場原理主義・ご都合主義的な規制緩和の一環であり,その結果が,安全規制や品質規制等の形骸化・後退・変質と,安全性の低下や品質劣化につながっています。

 

「性能規定,仕様規定とは何か」についての簡単な説明は,たとえば下記です。建築基準法で使われています。

 

<以下,引用>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「建築基準法の規定には、仕様規定と性能規定の2つの規定で構成されています。仕様規定とは仕様について具体的に定められている規定で、例えば、2階建ての1階の隅柱の柱頭・柱脚には、○○○○の補強金物を使用するように具体的にその仕様が規定されています。

 

 また、性能規定とは具体的な仕様は規定されず、仕様規定を守った場合と同等の性能を有すれば、どのような設計を行なってもよく、例えば、構造計算にて2階建ての1階の隅柱の柱頭・柱脚にかかる引抜き力を算定し、安全が確保できれば仕様規定に定められている補強金物を使わなくてもよい。このような規定を性能規定といい幅広い設計が可能となります。近年の建築基準法は、性能規定化されていく傾向にあります。」

 

*住宅建築専門用語辞典 

 http://www.what-myhome.net/14se/seinou-siyoukitei.htm

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<以上,引用終わり>

 


 しかし,上記で「構造計算にて2階建ての1階の隅柱の柱頭・柱脚にかかる引抜き力を算定し、安全が確保できれば」と書かれている部分が,インチキ計算や屁理屈理論による計算式だったらどうなるでしょう。「安全が確保できれば」という大前提は吹き飛んでしまいます。計算や計算式は,きちんと複数の目でチェックしている,と監督官庁は言い訳するかもしれません。でも,その複数のチェッカーが,建築業者が出資する検査会社の人間だったり(利益相反),低料金でこき使われて常に営業圧力を受け続ける下請建築士だったり,住宅の低価格競争に苛まれている自転車操業の会社・検査会社だった場合はどうでしょうか。また,行政機関が業界と癒着して「お手盛り行政」をしている場合にはどうなるでしょう。 

 

 つまり,業界として不透明な状態が横行し,行政の体制が整わないままに,きちんとした監督行政が貫徹していない中で,誰でもはっきりと基準や規定・規制の内容がビジブルにわかる「仕様規定」を撤廃し,1件1件,全部「仕様」が違い,その「性能」とやらがきちんと確保されているのかどうかが一見しただけでは分からない,安全性が怪しい状態の「性能規定」に転換することは,出来上がった建築物の安全性(耐震性・防火性能等)に大きな懸念を残すことになるでしょう。更にそれに加えて,他方では,万が一,性能が不十分だった場合には,それは「民間業者が検査も含めてやったことだから」という,行政の建築物の安全確保責任の免罪を許す,とんでもない「悪法」「行政怠慢規定」に早変わりしてしまうということです。

 


 いわば.「仕様規定」から「性能規定」へ,とは「厳しい仕様規定を撤廃して,隙間のある緩めの性能規定にしてやったから,楽して商売しろよ」という,行政から産業界への「プレゼント」のようなものであり,かつ,その性能チェックや建築確認検査を「民間活力の利用」「官から民へ」の浮ついたブームに便乗して「民へ丸投げ」すれば,自分達も責任を問われなくて済むという市場原理主義的ご都合主義の必然的結果である「官民癒着」の産物だったと言えるでしょう。利益は業界・業者に,無責任は官に,不利益と損害は何も知らないお人よしの消費者に,というわけです。(御用学者がこれにもっともらしい屁理屈を付け,裏で政官業学がつるんでいるのかもしれません(マスコミまで入れて),いったい一石何鳥だったのでしょうか)

 

 その典型的な事件が,数年前に世の中を大騒ぎにさせた「(建築士)姉歯事件」=建築物の「耐震偽装事件」でした。建築基準法が改悪され,建築基準が「仕様規定」から「性能規定」へと転換され,建築確認検査が「民営化」されたあとに発覚した,とんでもない事件でした。当然ながら,そうした「規制の事実上の手抜き」や「産業界への迎合」,あるいは「(行政)無責任」は,やがて様々な「迷惑事件」を引き起こして行くことになります。

 


 そして,その事件の結末をご覧いただければわかりますように,これまでは行政が安全欠格の責任を担っていたものが,民間業者による建築確認だったということで,その刑事責任も賠償責任もあいまいなまま,被害者だけが泣かされる結末に終わってしまっています。「規制緩和」と「民営化」の正体が赤裸々に現れた事件だったと言えるでしょう。再発防止などはきちんとできておりません。事件後に国土交通省が打った対策は「ザル」です。 

 

 

 そしてそして,その市場原理主義的でご都合主義的な建築物の安全規制・規定「改悪」が,なんと「絶対安全」でなければならない原子力・原発・核燃料施設の規制にも「応用」されているのです。これはとんでもない話です。しかし,このとんでもない「応用」は,既に2005年から実施されていて,新原子力規制委員会下においても継続されていくようです。原発・核燃料施設の安全性の見直しは,ここでも「棚上げ」にされたままです。

 

*建築基準法関連の参考図書(お勧め良書)

 岩波新書『建築紛争―行政・司法の崩壊現場』

(五十嵐敬喜・小川明雄【著】:岩波書店 (2006/11/21 出版)

 http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4004310539.html

 

2.学協会規格の活用と規格策定委員会への参画について

 上記と並行しながら進められる,似非「民間活力の利用」が「学協会規格の活用」です。これについては,下記の原子力規制庁作成の下記のペーパーをご覧ください。


*(資料5)今後の学協会(日本原子力学会、日本機械学会、日本電気協会)規格の活用と規格策定委員会への参画について(平成24 11 14 日)

 http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/data/0011_06.pdf

 ここには次のように書かれています。

 

<以下,引用>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(※)学協会規格については

・公正性、公平性、公開性等を重視した規格は、その時点における最新の技術的な知見が集約・反映された公共財的な性格を有する

・規制当局が学協会規格を活用する方針を示すことによって、学協会による基準策定活動が活性化する

・これにより、最新の知見が反映された民間規格が迅速に整備され、安全性向上にも望ましいことから、その活用を進めるとされた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<以上,引用終わり>

 

 ものは言いよう,とはこのことです。業界・官僚・御用学者どもが,金品や便宜の授受,天下り・天上がり,職位・官職等の授受などを通じて癒着・融合・なれあいを繰り返し,国民に向かっては「やらせ,やらせ,やらせ」「うそ,うそ,うそ」「隠蔽,隠蔽,隠蔽」などを繰り返している状態で,「公共財的な性格を有する」とはよく言ったものです。実態はまさにその逆の「腐った私物化」の典型でしょう。「学協会による基準策定活動が活性化する」のは当然で,まさに規制を受ける側が,規制をするだけでなく,その規制のルール・規則・規定までもをつくります,というのですから,大喜びで大活躍するのは当然です。「安全性向上にも望ましい」などと,どういうセンスをしているのでしょうか。

 

 原子力規制庁は,看板を変えただけだ,と発足当初から言われ,未だにその「制服」の背中には「原子力安全保安院」と書いてあるというのですから,ついでにその下に,原子力業界のために”だけ”に引続き奮闘します,とでも書いておけばいいでしょう。

 

 ことは深刻なので,長くなりますが,もう少し原子力安全保安院のペーパーを見てみましょう。

 

<以下,引用>

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○これらは、米国等における原子力規制の仕組みを参考にしたものであり、個別の学協会規格の活用の是非については、技術的な内容と併せて、策定プロセスが公正、公平、公開を重視したものであるか(偏りのないメンバー構成、議事の公開、公衆審査の実施、策定手続きの文書化及び公開等)について確認する技術評価を実施し、判断することとしている。

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<以上,引用終わり>

 

 

  また,アメリカの猿真似です。そして「・・・・について確認する技術評価を実施し、判断」のところは,原子力安全保安院ペーパーの添付資料7ページに詳しく書かれています。抜き出しますと下記です。

 

<以下,引用>

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 規格策定プロセスにおける公正性、公平性、公開性 -日本機械学会発電用設備規格委員会運営規約より抜粋-添-(7)

 

(1)公平性・・・特定グループの影響力の排除

 委員は、次に示す業種の範囲の内、最低5業種が含まれ、かつ、同一業種からの委員が委員総数の3分の1以下となる構成とする。(a.電気機械器具製造業、b.電力業界、c.建設業、d.鉄鋼・非鉄金属製造業、e.学術研究機関、f.保険業、g.関係官庁、h.学識経験者、i.非営利団体、j.その他)

 

(2)公正性・・・決定手続きの明文化

① 委員長は、決議に先立って、委員会で十分な意見交換が行われたことを確認し、出席委員の過半数の了解のもと、委員による決議に入ることができる。

② 決議は挙手によるものと投票によるものとに分け、次の議案は投票を必要とする。

 ・規格の制定、改訂、廃止

③ 投票による決議は次の条件、手順により行う。

 ・委員総数の5分の4以上の投票をもって当該議案の投票が成立する。

 ・第1次投票の結果、意見付反対票がない場合、投票数の3分の2以上の賛成票をもって当該議案の可決とする。

 ・第1次投票の結果、意見付反対があった場合、当該議案を可決としない。

 ・反対意見への対応案が当該議案の技術的な修正を伴なわず、かつ、反対意見が取り下げられない場合には、挙手による出席者数の3分の2以上の承認のもと第2次投票を行い、投票数の3分の2以上が賛成票となれば当該議案を可決とする。

 

(3)透明性・・・審議の公開

 各種委員会およびタスクグル-プ等の下部組織は、委員会等の開催日時を公表し、オブザーバの参加を認める。

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<以上,引用終わり:(1)①などの番号は筆者が加筆>

 

 さながら,原子力ムラのホームルームの時間のレベルの低い学級討論会のルールのようです。「オブザーバー」という村外人種の参加は,自分達に都合のいい議題や検討内容の際に限られるのでしょう。まさに業官学の「談合」そのものです。そしてこれが,原子力安全保安院のいう「策定プロセスが公正、公平、公開を重視したものであるか(偏りのないメンバー構成、議事の公開、公衆審査の実施、策定手続きの文書化及び公開等)について確認する技術評価を実施し、判断する」(上記)なのですから,全くのお笑い草です。

 

 そもそも原子力安全保安院=原子力規制庁に「技術評価を実施」する能力がないことは,今や子ども達でも知っています。右から読んでも左から読んでも「ほあんいんぜんいんあほ」の言葉遊びを考案したのは子ども達ですから。

 

<以下,引用>

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○現在、省令62 号を満足する学協会規格として、日本機械学会、日本原子力学会、日本電気協会等の規格を技術評価した上で活用している。これらの学協会に設置された規格策定のための委員会には、海外の例も参考にしつつ、

 ・規制当局としてのニーズや意見が規格策定過程において反映されるようにする

 ・当該規格の規制基準への適合性の確認を効率的に行う

 ・規格に関する最新の知見を入手することが可能

という観点から、これまで原子力安全・保安院の職員が規制業務に係る経験を有する者の立場で参画してきている。

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<以上,引用終わり>

 

 上記の「規制当局としてのニーズや意見が規格策定過程において反映されるようにする」という記述は,原子力規制ルールを策定するのは本来は行政のはずが,いつのまにやら主客逆転して,行政が民間業者にルールをつくってもらう立場に変わり,そこで行政のニーズや意見が反映するようにお願い申し上げるということです。彼ら規制庁の潜在意識がよく現れている文章と言えるでしょう。原発・核燃料施設の定期検査時において,検査を受ける側が作ったチェック用書類をそのまま丸写しして使っていた官庁だけある、といえます。

 

 そして「当該規格の規制基準への適合性の確認を効率的に行う」こそ,こうした愚かな仕組みをつくる狙いが端的に書かれています。安全よりも「効率」なのです。手抜きして,簡単にやっちまえ,ということです。「規格に関する最新の知見を入手することが可能」などは,こんなことをしなくても,行政ならば入手することは他の方法でいくらでもできます。取って付けた理由です。

 

 そして結論(案)です。これは「ペンディングになった」とFOEジャパンの満田夏花さんは伝えています。原子力規制委員会が検討しているのは,こうした「性能規定」の是非や「学協会規格」活用の是非ではなく,それを前提に,どう行政としての「体裁」をつけるか,国民から非難されないようにどのように説明するか・騙すか,というレベルの低いところでの話です。あきれ返るばかりです。

 

<以下,引用>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 当面の間、原子力規制庁職員のこれらの委員会への参画の方針を、以下のとおりとする。

 

 学協会規格策定委員会への参画により、規制当局としてのニーズの反映、効率的な技術評価の実施、規格に関する最新知見の入手等のメリットがある一方、自ら策定に関与した規格について技術評価にも関与することによる利益相反の可能性が考えられる。

 

 上記のメリットを維持しつつ利益相反を回避する観点から、学協会規格策定委員会における意思決定(投票)には参加せず、規制当局としてのニーズ、意見の表明、情報の収集等を行う形での出席に留める。また、学協会に対しては、規格原案策定の経過等を追って確認できるようにその策定プロセスのトレーサビリティーを求めることとする。

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<以上,引用終わり>

 

 バカバカしい。実にバカバカしい。「福島県民健康管理調査検討委員会」のように,あるいは原子力委員会のように,もう一つ「裏委員会」でも作って,「(議事)進行表」やら「事務局案」やらに細工をしておけば,表委員会で「意思決定(投票)には参加せず」にしておいても全然大丈夫ですから,上記のようにしても何の問題も生じないのです。

 

 原子力ムラ学者という「あやつり人形」を浄瑠璃士のように裏から操る,これこそが「学協会規格」活用のミソです。そういえば,あのTVによく映る御用学者達の顔は,どいつもこいつも,どことなく浄瑠璃人形に似ているように見えますね。

 

3.(最後に)大事なことを3つ

 これ以上メールを長くはできませんので,大事なことを下記に3つ付記しておきます。原子力規制を考える際には,この3点は絶対にお忘れにならないでください。

 

(1)(最重要)故平井憲夫さん「原発がどんなものか知ってほしい」

 http://www.iam-t.jp/HIRAI/

 

(2)東京電力原発トラブル隠し事件

・ウィキペディア 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB%E9%9A%A0%E3%81%97%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

・岩波ブックレット『検証東電原発トラブル隠し』(原子力資料情報室著:岩波書店)

 http://www.junkudo.co.jp/detail.jsp?ISBN=9784000092821

 

(3)(参考)「何が問題?原子力規制委員会」(満田夏花さんのメールより)

http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-0045.html

ツイッターまとめ http://togetter.com/li/407267

草々

 

2015年4月 7日 (火)

被ばく強要を「リスクとの折り合い」などと詐称して原子力ムラに寄り添う似非リベラル、他方で「邪悪権力」に勇気を奮って立ち向かう市場原理主義者(清水修二と古賀茂明)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部を除き添付できませんでした)

 

(最初に若干のこと)

1.ネット署名:「いのちの海とサンゴ礁を守れ」~辺野古新基地に反対、作業の中断を(重複ご容赦、拡散歓迎)

 

<日本語>

http://www.foejapan.org/aid/henoko/pr_150325.html

Change.orgのページ:http://goo.gl/mQwGBg

 

<英語>

http://www.foejapan.org/en/aid/150325.html

Change.orgのページ:http://goo.gl/QiWW5d

 

2.(別添PDFファイル)経済産業省前テントから(201546日)

 経済産業省前テントからの大切なお知らせです。別添PDFファイルをご覧ください。この別添PDFファイルは転送・転載歓迎です。川内原発再稼働にかかる工事計画認可について、次のような記述もあります。よくご覧になっていただければと思います。

「keisanmae_tento_osirase.pdf」をダウンロード

「(中略)規制庁の担当部長の専決で全てが決められ、規制委員会はその報告を追認しただけ。こうした担当部長の専決処理で工事を進めることについて、当然ながらその透明性等が問題になる。しかし、規制委員会の文書管理要領によって「重要なものを除いては、工事の計画認可は原子力規制部長の専決処理で行うことが出来る」ことが公式の理由とされ、今回の工事計画認可は最初のケースなので「規制委員会の決定をお願いした」(山形・安全規制管理官)というのみだ。

 

田中委員長は、各担当部長専決で工事計画認可を進めてきたことに関して、「規制委員会、規制庁ほど透明性を持っていろいろ仕事をしているところはない」と居直っているが、18日の規制委員会は「工事計画認可に関する専決処理」についても再確認をしたのである。したがって、今後も工事計画認可に関しては、担当部長の専決処理という「閣の中jでどんどん進められ、規制委員会には認可に関して「事後報告」だけが行われるという最悪の事態となってしまう可能性が高い」

 

(ここから本文)

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昨今、下記別添PDFファイルの2つの記事が東京新聞と毎日新聞に掲載されました。1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本は三流以下の政治の下で、経済のみならず、社会や思想や論壇や科学・技術や倫理・道徳までもが転落に次ぐ転落を続け、失われた25年になってしまっています。本来ならば、バブル崩壊による日本経済の転落を政治や社会が食い止め、逆境を転機としつつ、新しい時代を切り開いてこなくてはいけなかったのですが、三流以下の政治の下では、それもままならず、マスコミやアカデミズムが堕落・腐敗、あるいは日和見をする中で、どうしようもない情勢・状況が出来上がってしまっているのです。

 

下記に紹介する2人、私はこれをメールの表題に書いた通り、「被ばく強要を「リスクとの折り合い」などと詐称して原子力ムラに寄り添う似非リベラル、他方で「邪悪権力」に勇気を奮って立ち向かう市場原理主義者(清水修二と古賀茂明)」と評価しました。本来であればリベラルは、危機の時代にあってこそ、政治・経済・社会のしかるべき在り方を、わかりやすく適時適切に有権者・国民・市民に示し、時代の流れが大きくゆがんだ方向へ行かないよう、勇気をもって言論や活動を展開せねばならないところです。しかし、日本のリベラルと称される一群の人々の多くは、少し前の民主党政権に代表されるごとく、覚悟の決まらない中途半端な「日和見」を決め込み、(野党・非自民)政権獲得という大きな可能性を手にしたにもかかわらず、体を張って日本の歪んだ諸制度や社会の仕組みに立ち向かうことを避けてきました。そして、3.11福島第1原発事故が起きて以降は、原発震災の被害者の財産や生活や仕事や未来への希望のみならず、その命と健康までもを奪い、踏みにじらんとする原子力ムラ・放射線ムラの邪悪権力に対決することもなく、筋の悪い、背骨の歪んだ、しかし自分たちには都合のいい楽観的でお気楽で無責任な言論や活動を展開しているのです。

 

その代表の一人として、今日、東京新聞4面に掲載された清水修二福島大学特任教授(財政学)を取り上げ、そのインタビュー記事に沿って厳しく批判してみます。ただ、忘れてはならないのは、似非リベラル人士は、この清水修二だけではなく、日本には、そして海外にも(おそらくはアメリカの民主党やイギリスの労働党周辺に多い)、わんさといて、多くの政治・経済・社会問題の根本的な解決の障害となっています。昔、「第5列」という言葉が時折使われたことがありますが、まさに彼ら似非リベラルの客観的な社会的存在意義は「第5列」そのものであり、本来であれば根本的な解決へ向かう大きな流れの腰を途中で折り、被害者を含む問題解決に当たらんとする「非権力」側の多くの善意の人々を困難に陥れています。あるいは、物事を悪化させている私利私欲の塊のような邪悪権力(原子力ムラ・放射線ムラなどはその典型)と「寄り添い」つつ、あるいは「なれあい」、あるいはまた、自分たちの欺瞞的な似非行為を合理化するためにもっともらしい屁理屈をこね、更に善意で動いている改革志向の多くの市民までにも悪態をついて、事態を悪化させていくのです。

 

今回は書きませんが、3.11以降、私も、この似非リベラルの人士たちや、彼らが創るグループ・団体の正体を、それまでは「平和な時代」なのか、見えなかったものが、はっきりと見せつけられる経験をしています。近親憎悪を起こさぬようにと、私は自分に言い聞かせておりますが、それまで応援・支援してきた経緯もありますから、憤り・怒りは隠せぬものがあります。ともあれ、所詮、似非は似非、リベラルでもなんでもない、単なる邪悪権力の使い走り・別動隊・側面支援隊にすぎず、結果として悲劇を大きくしてしまう連中であるということを、私たちは見抜かなくてはならないのです。ホンモノとニセモノ=似非、これを区別できるかどうかが、市民運動・社会運動が成功するかどうかの分かれ目です。

 

ところで、もう一方の古賀茂明氏については、少し前の私のメールでも何度かにわたり情報提供しています。今回は毎日新聞(4/6朝刊)の記事をそのままご覧いただくことでいいのではないかと思います。毎日新聞がこの問題を大きく取り上げて報道したことは評価できると思いますが,しかし他方では,記事の見出しがよろしくおないことに加え,つまらぬコメンテイターのコメントはいらないので、もう少し古賀茂明氏の言い分を披露させてやってほしいと思いました。邪悪な支配権力とのバランスからみて、それが当然でしょう。私は少し前に、市場原理主義とは(支配権力となれ合うための、そして支配される者たちを(資本増殖のための「フロンティア」創造のために)叩き伏せるための)ご都合主義である、と論じましたが、その観点からすると古賀茂明氏は、もはや市場主義者ではあっても市場原理主義者ではないということになりますでしょうか。

 

いずれにせよ、本来であれば、邪悪権力の批判は、まさにリベラルの仕事であったものが、この「転落の25年」の間に、日本では、いつのまにやら市場原理主義者や右翼たちの仕事になってしまい、リベラルの多くはお気楽な似非リベラルと化して、山の上から日和見を決め込んだり、邪悪権力との安直な妥協や「なれ合い」や「折り合い」を、自分たちの勝手な判断でやってしまって、そして、たちの悪いことにその背信行為を屁理屈で合理化しているのです。この社会言論状況のある意味での「ねじれ」と「ゆがみ」、お気楽なムードの中での日本社会の転落の加速化が、現在の日本を特徴づけているような気がしていますが、今回取り上げましたこの2人の、(本来は役回りが逆のように思われる)言動のコントラストは、その現代日本の思想状況・社会状況をよく現しているように思えます。

 

それから、下記でも少し申し上げますが、マスコミによる、こうした似非リベラルに対する「よいしょ」記述が目に余る点も指摘しておきます。既に、邪悪な支配権力に対しては、マスコミの経営層や幹部たちが尻尾を振って久しく、文字通りの「マスごみ」と化しておりますが、そうした邪悪な支配権力側に立った御用学者や御用人士への「よいしょ」記事の氾濫に加えて、こうした似非リベラルへの「よいしょ」記事も看過できないくらいに目に余るようになってきています。しかも、似非リベラルの場合には、マスコミの幹部達よりも、現場にいる記者やスタッフらの本音のセンチメントが反映している場合もあり、不勉強に加えて、何事をも批判的に見て、批判的に伝えていくという、ジャーナリズムの不屈の精神構造が大きく揺らいでいる証左だとも言えるでしょう。この東京新聞記事はその一つの典型のように思えてなりません。

 

(清水修二発言のどこがおかしいかをビジブルにするために、「×印」を書き入れた東京新聞も別添PDFファイルとして添付しておきましたので、ご参考にしていただければと思います)

 

 <別添PDFファイル>

(1)強いられたリスクと折り合う(福島大・清水修二特任教授 東京 2015.4.7

(2)強いられたリスクと折り合う(「×印」付)(福島大・清水修二特任教授 東京 2015.4.7

(3)「圧力」か「暴走」か、テレ朝・古賀氏降板問題(毎日 2015.4.7

 http://mainichi.jp/select/news/20150406k0000e040120000c.html

 

 <関連サイト>

●「放射線被曝の理科・社会」の問題点

http://yahoo.jp/box/vxL8Ue http://yahoo.jp/box/vxL8Ue

https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-g6vjvc7r6wit4cx2kxaxjggqma-1001&uniqid=5a4eb71e-6de3-46e1-b0d6-b35a0490f0c4&viewtype=detail