こんなことはあってはならない : 放射線の影響 話しづらい,子供心配でも、声をあげれば孤立する,物言えぬ雰囲気の中,行政は検査縮小の動き(3/11東京新聞記事より)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
別添PDFファイルは昨日の東京新聞「こちら特報部」に掲載された「福島県民健康調査」に関する記事です。看過できないことが書かれているので,ご紹介をしておきます。今後,これが事実なら「福島県民健康調査検討委員会」の委員達を追及しなければいけないと思われます。向いている方向が全く逆で,まさしく(記事にある通り)井戸謙一弁護士のおっしゃる通りではないかと思われます。
<別添PDFファイル>
● 放射線の影響 話しづらい,子供心配でも、声をあげれば孤立する,物言えぬ雰囲気の中,行政は検査縮小の動き(東京 2015.3.11)
●【『放射線の影響 話しづらい』 子供心配、でも、声をあげれば孤立する。】
(東京新聞 3-11) ( その他の病気 ) - 一輪の花 - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/erath_water/65531855.html
<看過できない記事の記載>
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(前略)「県医大は全県民を対象に事故直後の行動状況を調べており、これを利用して被ばく線量を推計する方法を模索してきた。ところが、この行動調査の縮小をうかがわせえる動きが出始めている。
行動調査の回答率が20%台に低迷する中、専門家でつくる県民健康調査の検討委員会では先月、「回答率向上を目指すため、年齢層や対象地域を特定してはどうか」と座長が提案。実質的に調査対象が絞り込まれる可能性が出てきた。
甲状腺検査でも、対象の縮小が提言されている。環境省の専門家会議は、昨年末に中間取りまとめを提出した。そこでは「甲状腺がんは寿命まで症状が出ないものがある。検査で見つかると余計な負担を与えかねない」と書き込まれた。
チェルノブイリでがんが増えたとされる「事故の4年後」を前に、調査縮小の動きが出てきた。国内初の商業用原発の運転差し止め判決を出した元裁判官の井戸謙一弁護士は、「過去の公害でもそうだが、事故の責任を逃れたい行政側は被害状況をまともに調べない。被害者が調査を求めることが一番大事だ」と説く。(以下省略)
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確かに,第18回「福島県民健康調査検討委員会」の資料(下記)の一番最後,「追加資料 県民健康調査における論点整理(座長私案) [PDFファイル/103KB]」の最初の部分(下記に転記)を見ますと「1.総論,(2)調査の正当性について」の2つめに「調査対象者の範囲については現在のままで良いか(各項目で議論)」とあります。上記記事にもありますように,昨年末12月に,環境省の(似非)専門家会議の「中間とりまとめ」では,調査・検査対象の縮小を強く意識した内容の文章が盛り込まれています。原子力ムラ・放射線ムラとその代理店政府の側は,何とか屁理屈を付けてでも,子ども甲状腺ガン検査の縮小・絞り込み,ないしは廃止を画策していることは確かなような様子がうかがえます。
しかし,これまで何度も申し上げてきたとおり,環境省の(似非)専門家会議にしろ,一部の医師や医学者,放射線専門家にしろ,「福島県民健康調査」の子ども甲状腺ガン検査が過剰検査だの過剰診療だのというのは,全く事実に反して「珍説」であることに加え,検査してガンが早期に見つかるので検査をやめろとか,検査結果の評価にミスがあることもあるので検査をやめろとか,というようなことは,およそ常識を疑いたくなるような暴論でしかありません。
また,「福島県民健康調査検討委員会」が繰り返す,福島県の子ども甲状腺ガン検査の結果の説明=「スクリーニング効果であって多発ではない」とか,「甲状腺ガンの成長速度は遅い,チェルノブイリ原発事故では4年目以降に多発が顕在化,年齢層の低い子どもたちに多かった,(あやふやな根拠で)放射性ヨウ素131による初期被ばく量は小さいので健康被害は考えにくい」などの理由から,福島県の子どもたちに多くの甲状腺ガンが出てしまったことについて,福島第1原発事故による放射能の影響は考えにくい,そもそも甲状腺ガンは多発していない,などと説明していることについても,全くと言っていいほど説得力がないことは,既に何度もご説明申し上げた通りです。
「福島県民健康調査検討委員会」が環境省の(似非)専門家会議の「中間とりまとめ」に対して,強く違和感を表明したとか,抗議したとか言う話は全く聞きませんので,2月12日の第18回「福島県民健康調査検討委員会」で星北斗座長が示した「論点整理」にある「対象の見直し」とは,環境省の(似非)専門家会議と同様に,縮小の方向で物事を考えているとみていいように思われます。
しかし,「ほんとうに何を言っているのですか,この人達は!! 冗談ではないです!!」ではないでしょうか。「福島県民健康調査」自体の内容も体制も検査自体もお粗末で,その抜本的な拡充が望まれるとともに,それ以上に,検査の対象が福島県の18歳以下の子どもたちに限られていて,他の都県の子どもたちや,福島県も含めて18歳以上の若者や成人に対する検査が未だに一切実施されていないことが,非常におかしなことであるにもかかわらず,検査対象を縮小しようとしているのですから,何をかいわんやです。
これはもう,これから出てくる可能性がある放射線被曝による健康被害を,早い段階で分からなくしてしまおう,少なくとも,水俣病の時と同じように,一部表面化するのはやむを得ないけれども,放射線被曝の健康被害の全貌は,絶対にわからなくしてしまう必要がある,そのための屁理屈は,今の段階で徹底的に出して,それを権力的に,政治的に,タイミングを見計らって,強行に押し付けてしまおう,と考えているのではないかと思われます。許しがたいことですが。
私は,とにもかくにも,福島県をはじめ,東日本の福島第1原発事故による放射能汚染被害を受けている被害者が,「放射能や被ばくは今でも不安だ,今まで受けてしまった放射線被曝についても心配だ,だから検査をしろ,検査を充実させろ,もしもの時は医療費を無料にしろ,加害者・東京電力や事故責任者・国の責任を問え」の声を挙げ続けること,が大事だと思います。また,福島県の方々は,甲状腺検査をはじめ,健康検査はしっかりと受け,他方で「基本調査」のような被ばく量をインチキ手法で過小評価するための材料になるようなものには協力しない,そういう自己防衛の対応が必要であるように思います。
そして,放射線被曝懸念を精神異常者か情緒不安定人間のように「さげすむ」官製メンタル・ケアなどは相手にしないことが一番大切かと思います。もちろん,背後に国際原子力マフィアが潜むフクシマ・エートスや,加害者・東京電力や事故責任者・国の責任と賠償負担を極小化することが目的にすぎない,危険な「安全安心キャンペーン」などには協力も傾聴もしない,耳触りのいい「福島に寄り添う」などという甘言よりも,奪われたものを少なくとも全部,まずは金銭=賠償金で返していただく(その後,金銭では償えないものを更に返していただく),というクールな姿勢をみんなで一致協力して,断固として貫かれた方がいいと思います。奪われたものを,まずは金銭で返していただく,というのは,決して卑しいことでも,おかしなことでもありません。現代社会のマナーの一つ,問題解決の必須方式のようなものです。原発事故で破壊された生活や人生の再出発のためには絶対に必要なことですから,遠慮などされる必要はないのです。福島県民200万人全員で,いやいや,東日本の原発事故被害者1,000万人全員で,損害賠償請求の訴訟を起こしましょう。
● 追加資料 県民健康調査における論点整理(座長私案) [PDFファイル/103KB]
http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/101828.pdf
(最初のところだけをコピペ)
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1 総論
*30年継続するということで始められた健康調査ではあるが、適宜評価と見直しとが必要ではないか
*見直しに当たっては、調査開始前後の経緯やその後の対応について一定の振り返りが求められるのではないか
(1)調査の目的について
・ 低線量被ばくの影響が否定できない現状では、県民健康調査の枠組みで県民の健康状態を様々な角度から観察を続け、長期にわたる県民の健康管理(いわば直接的な健康影響)に資するという現在の考え方だけで良いか
・ 避難や心理的ストレスに由来する(いわば間接的な)健康影響を最小限にするために対策に資するよう、健康の見守りや健康づくりに積極的に活用することを明確にするべきではないか
(2)調査の正当性について
・ それぞれの調査の回答率についてどう考えるか(各項目で議論)
・ 調査対象者の範囲については現在のままで良いか(各項目で議論)
・ 調査に対する県民意識の低下を避けるよう、新たな対策が必要ではないか
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(参考)第18 回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成27年2月12日開催) - 福島県ホームページ
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-18.html
(追)矛盾する星北斗座長の記者会見の発言
●2年前「異常なし」の8人が甲状腺がん〜福島県全体で117人 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人
アワープラネット・ティービー
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1887
上記サイトに第18回「福島県民健康調査検討委員会」終了後の記者会見録画があります。その場において,東京新聞の方から,福島第1原発事故直後,あるいはその後しばらくの間に,何故,初期被ばくの計測をしなかったのか,どういう事情があったのか,と聞かれた星北斗座長は,「当時は混乱していた。今から振り返れば,ああしておけばよかった,こうしておけばよかった,ということはあるだろうが,それが何故かと聞かれても,これ以上は答えようがない」などと,居直りとも言える発言をしています。許せないなと思いますが,しかし,他方で,上記の「論点整理(座長私案)」には,「見直しに当たっては、調査開始前後の経緯やその後の対応について一定の振り返りが求められるのではないか」などと書いているのです。
これはまさに欺瞞的態度そのものではありませんか。少なくとも,記者会見での返答の内容と矛盾しています。「福島県民健康調査検討委員会」は,国家犯罪とも言うべき初期被ばくの隠蔽や検査妨害・検査不作為・検査回避行為,更には,事故直後の住民を守ろうとしない国や福島県庁の当時の態度・行動を,その責任追及とともに,仔細を明らかにする必要があり,それがそのまま「再発防止」と,県民の命と健康を最優先する「これからの健康管理」につながっていくのだということを肝に銘ずるべきでしょう。2011年の福島第1原発事故後の「福島県民健康”管理”調査検討委員会」の動きを徹底的に洗い直すこと,それは現「福島県民健康調査検討委員会」の大きな使命の一つだと思われます。
草々
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