(報告)勉強会 「高浜原発再稼働問題をどう考えるか:確実な原子力防災と民主主義尊重の必要性」(原子力市民委員会)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
昨日(3/9)、衆議院第2議員会館において、原子力市民委員会主催の下記勉強会が開催されました。簡単にご報告申し上げます。別添PDFファイルは会場参加者に当日配布されたものです。また、下記URLはこの勉強会の関連サイトです。なお、別添PDFファイルの資料につきましては、大島堅一教授の資料に追加分を加えた上で、まもなく原子力市民委員会のHPに掲載されるとのことでした。従って、別添PDFファイルは、それまでの「つなぎ」としてご覧ください。
●【3-9】勉強会「高浜原発再稼働問題をどう考えるか~確実な原子力防災と民主主義尊重の必要性~」開催のお知らせ 原子力市民委員会
http://www.ccnejapan.com/?p=4829
●(当日の録画)▶
20150309 UPLAN 高浜原発再稼働問題をどう考えるか~確実な原子力防災と民主主義尊重の必要性~ - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=VYpzQGxwHIE
<別添PDFファイル>
(1)原子力復活政策の動きと原発再稼働問題(吉岡斉(ひとし):2015.3.9)
(2)新規制基準と適合性審査の弱点(筒井哲郎:2015.3.9)
(3)原子力防災計画の不十分さと民主主義の軽視(満田夏花:2015.3.9)
(4)原発再稼働を急ぐ経済的理由はない(吉岡斉(ひとし): 2015.3.9)
(5)焚増コストの見積り(補正)(吉岡斉(ひとし):2015.3.9)
(6)経済と再稼働問題(大島堅一:2015.3.9)
(7)見解:高浜原発3・4号機の再稼働は容認できない(原子力市民委員会:2015.2.1)
(8)「高浜原発再稼働についての自主的公聴会in福井県小浜市」開催報告・当日寄せられたご意見(原子力市民委員会事務局:2015.3.9)
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当日の講演資料は(1)~(6)で、上記の順番で行われました。また、大島堅一教授は当日所用で上京できず、ネットTV電話のスカイプでの遠距離からの説明となりました。また、(8)については、この勉強会の最初のところで事務局の方より簡単な説明がなされています。
(なお、別添PDFファイルは添付できませんでしたが、上記録画の中で「スライド」でアップされていますので、録画をご覧になれば、ある程度お分かりになると思います。また、まもなく全資料が原子力市民委員会のHPにアップされますので、そちらをご覧ください)
<当日私から発言した意見ないしは質問ないしは要望のようなもの>
上記の録画にある私の発言よりも下記は少し丁寧に書いています。また、下記の「原発」には核燃料サイクル施設などの核関連施設も含めて考えています。
1.昨年の原子力市民委員会の報告書は(多くのいろいろな考え方の方々が検討された結果としての報告書としては)よくできていたように思いますので、更に欲張って、今度は原子力市民委員会のみなさまが「脱原発政権の「シャドウ・キャビネット」のメンバーとなられたお気持ちで、脱原発政権成立後の「脱原発工程表(行程表・ロードマップ)」をお作りいただけないものでしょうか。
2.その内容は、単に技術的なことだけでなく、法律面、つまりどういう法律を作って脱原発を実現するか、いわゆる一般的抽象的で精神規定のような「脱原発基本法」ではなくて、具体的な脱原発のプロセスや手続きを定める「各法」としての脱原発諸法です。その際に私が重要だと思いますのは、もう二度と原発の再稼働はできないこと、言い換えれば「不可逆的である」ことを法律で担保することではないかと思っています。たとえば、原発(新・再)稼働のためには、過酷事故の際に放射能汚染によりネガティブな影響を受けうる自治体すべての承諾を得なければならない(得なければ稼働できない)、などの法律ができれば、原発稼働はほぼ不可能になりますが、そうした工夫を新法制定によってできないかということです。
(他にも、政府による一切の原発支援の禁止=公正な電力市場条件の確保、原子力規制委員会の原子力廃炉委員会への改組と委員選出プロセスの抜本改善、発送電の所有分離(法的分離ではなく)と電力自由化の徹底、過酷事故に対応する保険金額無制限の損害保険付保の義務化、原発並びに放射能の危険性の有権者・国民への周知徹底義務化など=できれば幾重もの法的手当てをして、絶対に復活できないようにしておくべき)
3.上記の脱原発「各法」を創設する場合には、誰が・どこの役所が(WHO)、何を(WHAT)、いつ(WHEN)、どのように(HOW)を具体的に決めることが重要で、その場合、何を優先して実施するのかの「順序」も大変重要だと思います。たとえば、東海村と六ヶ所村に置いてある高レベル放射性廃液は超危険物であり、その安全対策は真っ先にしなければいけないでしょうし、また、全国各地の原発施設にある使用済み核燃料プールの核燃料も危険なままです。二度と原発関連の過酷事故を起こさないために、原発が稼働していなくてもやらなければならないことがあり、それらが優先されるということです(原子力市民委員会の方からは、このほかに、事故を起こした福島第1原発の廃炉対応と安全対策や、もし仮に高浜原発が再稼働されると危険なMOX燃料が使用済み核燃料となり、使用済みのMOX燃料は空冷ができないので、これも対応優先順位の高いやっかいな危険物となる、などの返答がありました)。
4.最後に、上記の脱原発「各法」を考える際には、脱原発に伴うコスト負担の問題(たとえば電力会社の抱える原発を国が買い取る=廃炉費用の一部負担があってもいい等)や、福島第1原発事故の被害者の方々に対する政策の抜本的な見直し、なども、併せて検討されるべきだと思います。
(上記の私の発言に対する原子力市民委員会の回答は、上記の録画をご覧ください)
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私は、いわゆる脱原発を主張する人々の中に、即時廃棄ではなく、2030年に原発ゼロ、などの主張をして、原発廃棄を先送りしようとする人たちがいることを「大問題」だと考えています。天災列島の日本では、大地震・大津波・巨大火山噴火は、いつ原発・核燃料施設を襲うかわかりません。自然は人間の身勝手を尊重して、待っていてくれはしないのです。そして、現状の原発・核燃料施設は、こうした大きな天災に襲われたら、ほぼ確実に再び過酷事故を起こしてしまいます。その時が日本の滅亡する日だと言っても過言ではないでしょう。
他方で、原発・核燃料施設など全くなくても、電気は十分に足りておりますし、また、原発・核燃料施設が発電費用を節減するなどということも全くありません。仮に何の事故も起こらなかったとしても、あとに残される使用済み核燃料や核のゴミ・放射能汚染物の永遠に近い事後管理のことを考慮すれば、原発など、経済性もへったくれもありません。更には、時代がエネルギー革命の時代に入っているにもかかわらず、昨今のように、日本における再生可能エネルギーの普及拡大を、原発にしがみつく既存の地域独占の大手電力会社が、バカ丸出しの自民党などの政治家やマスごみたちを籠絡して真正面から「妨害」をしているのですから、日本の今後の経済や社会の発展の妨げにもなっているのです。
あるいは、安全な原発なら再稼働してもいい、などという中途半端で耳触りのいい言葉も聞きますが、では絶対に過酷事故を起こさない原発などありうるのか、ありうるとして、そのための追加安全対策・設備投資にはいかほどのコストがかかるのかを考えた場合、原発の再稼働について、説得力のある説明などできるはずもないのです。つまり、原発を再稼働すべき理由などどこにもありませんし、また、再稼働などしてはならないということを意味しています。もちろん、先送りする必要もないのです。
にもかかわらず、原発の廃棄の先送りを主張する人たちは、私はもはやいかなる正当性も説得力も持たない、誤りの判断であると考えています(いや、おそらくは、原発推進の別動隊と見ておいた方がいいように思っています。要するに、廃止を決めさせないで先送りして、世論が静まるのを待って、また再び原発推進をやっていくという、お粗末な魂胆が隠されている)。私は、原子力市民委員会が、そうした愚かな先送り判断を克服し、しっかりとした、具体的な、脱原発の工程表(行程表・ロードマップ)をつくって下さることを大いに期待しております。何故なら、いずれにせよ、脱原発を本当に実現するためには、この脱原発の工程表(行程表・ロードマップ)作りを避けては通れないからですし、脱原発先送り論の克服もしなければならないからです。
(追)
街頭に出て一般の方々に向かって脱原発を主張しておりますと、よく出くわすのが「原発なしで、どうやってエネルギーや電気を賄っていくのですか?」という素朴な質問です。マスごみたちのおかげで、原発は「必要悪」論的な謬論に洗脳されてしまっている人が結構多いように感じます。脱原発を主張する市民運動・社会運動は、もっともっと、何度も何度も、徹底して、丁寧に詳細に、筋道を立てて、原発などなくても電気もエネルギーも大丈夫であること、そして、むしろ原発があることで、電気もエネルギーも、そして私たちの生活や生存までもが危うくなること、将来に核のゴミ管理という無限の巨大負担が残ること、などを一般の有権者・国民・市民の方々に訴えていかなくてはいけません。私は、このごくごく当然の努力が、今の脱原発の市民運動・社会運動には、まだまだ大きく不足しているような気がしているのです。
草々
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