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2015年3月18日 (水)

放射能モニタリングさえもまともにできない人間たちが原発をコントロールできるはずもない:原発敷地及び周辺地域の放射能モニタリング体制を再点検・監視しましょう

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、今般発売された新刊『福島第一原発事故7つの謎』(講談社現代新書)の一節です。NHKスペシャル『メルトダウン』取材班がまとめたこの本の第2章「ベント実施はなぜかくも遅れたのか?」の一角ですが、お伝えしたいのは「ベント」をめぐる諸問題ではなく、この第2章に出てくる原発敷地及び周辺地域の放射能汚染・放射線モニタリングのことです。下記に見られるように、原発・核燃料施設を稼働・運営している原子力ムラの連中は、その原発・核燃料施設敷地及びその周辺の放射能汚染状況でさえ、地震その他の緊急時・過酷事故時においては、まともに計測・記録ができる体制になっていません。

 

更に申し上げれば、原発・核燃料施設を地震が襲った際の震度、その他の地震の観測・記録や、原発・核燃料施設全体の外からの映像把握・記録さえも、ロクすっぽできていないのです。前者で申し上げれば、2007年の柏崎刈羽原発を襲った中越沖地震の際に、柏崎刈羽原発に備え付けられていた地震計の記録用紙が不足して、既に記録された地震波形の上に新たな波形記録が時間経過とともに上書きされて、わけがわからなくなったり、後者について言えば、福島第1原発事故の際には、原発施設全体を映像としてつかまえて記録するTVカメラや録画装置も取り付けられていませんでしたので、施設に爆発が起きても何が起きているのかが現地や東京の事故対策本部にはわからなかったり、爆発の様子も2,4号機については未だにわからないままであるなど、原発全体をとらえる映像モニターでさえ、まともにできていないのです(1,3号機の爆発も、たまたまあるTV局がカメラを設置して遠くから映像をとらえていたから残っているだけの話で、偶然と言ってもいい結果にすぎません。東京電力や原子力安全保安院が福島第1原発モニター用に用意したTVカメラではないのです)。

 

それでいて、原子力ムラの連中は、一方では、周辺立地に対する対策、あるいは原発・核燃料施設のモニターの拡充などと称して、SPEEDIやERSS(下記サイト参照)などの、数百億円もの費用のかかる巨大な危機対策対応システムを「開発」し、巨額の予算を投入しているのです。しかし、これらの大掛かりな危機管理システムや原発・放射能モニターも、福島第1原発事故の際には、意識的に止められたか、あるいは停電という当然に予想される事態に対応できずに停止してしまったか、いずれなのかははっきりしないまま、全くと言っていいほど機能しませんでした。まさに、原子力利権事業が、住民や国民のためではなく、彼ら原子力ムラの「食い扶ち」仕事として、バカバカしい形で行われていることが明らかになったわけです(何故、SPEEDIやERSSが福島第1原発事故時に機能しなかったのか、徹底した原因分析や責任の追及は行われておりません。ゆゆしきことです。「巧言令色鮮仁」そのものです)。

 

もちろん、こうしたことは、福島第1原発事故の原因究明や原発危機対応の適正化の一環として、まずもって原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が真っ先に取り上げて対応しなければいけない仕事なのですが、ご承知の通り、彼らは福島第1原発事故を棚上げにしたまま、原発・核燃料施設再稼働に猪突猛進中です。

 

そして、そうした原発再稼働の動きの中で特に強調しておかなければならないことは、今後の原発・核燃料施設過酷事故時においては、住民への避難命令や被ばく回避対策などは、SPEEDIやERSSを使うのではなく、放射能汚染の実測値を使って原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が判断するなどと言われています。これ自体が、全く福島第1原発事故の教訓を踏まえない出鱈目な話なのですが、さて、その「実測値を踏まえる」という場合に、原発・核燃料施設周辺地域に置かれた放射能モニタリング機器類や組織的なモニター体制はどうなっているのでしょうか? 

 

大型バッテリーや自家発電機などの独自電源を兼ね備え、記録装置も適切にセットされ、常時適正にモニター機器類を稼働させるための人的メンテナンス体制も整った形で、かつ、相当広範囲なエリアに(少なくとも80km圏内)、それこそきめ細かく放射能汚染の状況を観測できるだけの数のモニターが設置されているのでしょうか。また、そのモニターがキャッチした放射能汚染のデータは、どのようにして放射能計測の集約センターへデータ輸送されるのでしょうか? データ輸送のための回線は、地震や津波や火事などの災害に対して頑丈にできているのでしょうか。福島第1原発事故の際には、下記に見るように、停電その他の理由で、データ伝送そのものもストップしてしまっています。こんな状態で、はたして原発・核燃料施設の過酷事故に対応して、周辺地域の放射能汚染状況が適切かつタイムリーに捕捉され、それが住民対策のために使われうると断言できるのでしょうか。

 

私は、再びの(原発・核燃料施設を再稼働すれば必ず起きるであろう)原発・核燃料施設の過酷事故の際には、やはり福島第1原発事故時と同じように、原発・核燃料施設の敷地内やその周辺の放射能汚染の状況を正確・タイムリーに把握することができず、住民の避難や被ばく防護は後手後手に回って、住民はおそらく福島第1原発事故時以上に被曝させられるであろうと思っています。そしてその際の、あのホラ吹き・チョロ吉の田中俊一原子力「寄生」委員長がするであろう言い訳記者会見の発言内容まで想像することができます。よーするに、地域住民や広く日本国民の安全のことなど二の次にしか考えていない連中が、危険極まりない「大人のおもちゃ」である原発・核燃料施設にしがみつき、屁理屈を放ちながら、再びその利権拡大に邁進しようとしているということです。

 

当然のことですが、原発・核燃料施設敷地及び周辺の放射能モニタリングさえもまともにできない人間たちが、その原発・核燃料施設を制御=コントロールできるはずもないのです。全国各地の原発立地のみなさま、原発・核燃料施設敷地並びに周辺地域の放射能モニタリング体制を再点検・監視し、地域の問題としてクローズアップしていきましょう。

 

 <別添PDFファイル>

●原発周辺の放射能モニタリングもまともにできない人間たちが原発を鮮魚できるはずもない(NHK『福島第一原発事故7つの謎』:講談社現代新書より一部抜粋)

 

 <関連サイト>

(1)福島第一原発事故7つの謎-NHKスペシャル『メルトダウン』取材班/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033203896&Action_id=121&Sza_id=A0

 

(2)ERSS:緊急時対策支援システム - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8A%E6%80%A5%E6%99%82%E5%AF%BE%E7%AD%96%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

 

(3)SPEEDI:緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8A%E6%80%A5%E6%99%82%E8%BF%85%E9%80%9F%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E4%BA%88%E6%B8%AC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

 

(『福島第一原発事故7つの謎』(講談社現代新書)より一部抜粋) MP=モニタリング・ポスト

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 3月11日午後2時46分、東日本大震災が発生。福島県浜通り地方は震度6強の揺れに襲われたが、データの伝送記録システムは稼働し続け、測定データにも異常は見られなかった。ところが、午後3時34分を最後に、突然、大熊町熊川と富岡町仏浜のデータが途絶え、3時36分に浪江町請戸、3時38分には浪江町棚塩のデータも途絶えた。津波が次々とMPを襲ったのだ。その後、通信回線の途絶などにより、11日午後6時以降は津波の被害を免れたMPからのデータも原子力センターのMPを除いてリアルタイムに得られなくなってしまっていた。

 

 一方で、福島県は、地震に対して、事前に対策を取っていた。きっかけは、2007年7月に起きた新潟県中越沖地震だ。この地震で東京電力柏崎刈羽原子力発電所では火災が発生。地震による停電のために原発周辺のMPが機能せず、新潟県は必要な情報が得られないという事態に陥った。その教訓から、福島県では、各MPに停電に備えて自家発電機め設置を始めていたのだ。

 

 津波の被害を受けなかったMPは、原子力センターにデータを送信こそできなかったものの、発電機の燃料が失われるまでの問、自動で測定を続け、データを記録し続けていた。データが残されていたのは地震発生からおよそ3日間。情報が極めて限られている事故初期の状況を知る上で極めて貴重なデータだ。

 

(中略)福島県が午後3時のデータとして公表しているのは、午後2時から午後3時までの放射線量率の平均値であった。意外なことに、1号機の原子炉建屋が水素爆発する前から、福島第1原発の周辺には、大量の放射性物質が拡散していたのだ。

 

(中略)12日午後3時からの政府の記者会見では、原子力安全・保安院の担当者が次のように述べている。「外部被ばくによる影響は、南西の1キロの地点で、実効線震は0.019ミリシーベルト(と推測される)」 ところが、福島第1原発から5.6キロメートルも離れた上羽鳥で実際に記録されていた線量は1時間で1.6ミリシーベルト。試算結果よりも100倍以上も高かったのだ。

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(田中一郎コメント)

 上記の文章から、私は次の2つのことを読み取った。第一に、原発周辺で放射能をモニターすることになっているMPは地震で停電が発生すれば停止してしまう、各立地自治体が気を利かせて独自電源を用意しても、データの記録はせいぜいが数日間で、その後のメンテナンスもロクすっぽされない、データの送信もできなくなる、場所によっては津波をかぶって完璧に故障する。つまり、ちょっとした地震や津波が来れば、原発周辺では放射能はモニターできなくなるということだ。

 

 第二に、原子力安全保安院=原子力「寄生」庁など、原子力ムラが牛耳っている組織が発表する放射能汚染状況についての発表内容は(特に「シーベルト」単位で発表されるものは)、全く信用ができない。福島第1原発事故時の上記一事例では、5.6kmも離れたところで1.6mSv/時なのに、発表されるのは1km離れたところで0.019mSv/時だった、というものである。80倍以上も違うではないか。

 

 いずれにせよ、原発・核燃料施設の敷地及び周辺地域での放射能汚染計測体制は、本当に脆弱極まりない出鱈目状態のようです。

 

(上記関連サイト)(一部抜粋)緊急時対策支援システム - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%8A%E6%80%A5%E6%99%82%E5%AF%BE%E7%AD%96%E6%94%AF%E6%8F%B4%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

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●概要

 緊急時対策支援システム(ERSS) 緊急事態において、国が原子力災害応急対策を実施するに当たり、必要となる事故進展予測を支援するために、電気事業者 から送られてくる情報に基づき、事故の状態を監視し、専門的な知識データベースに基づいて事故の 状態を判断し、その後の事故進展をコンピュータにより解析・予測するシステム。チェルノブイリ原発事故などを受け、原子力事故が起きた際の国の対応を迅速化する目的で導入された。全原発55基の原子炉の圧力や周辺の放射線量などの状況を一元的に把握し、事故状況を予測することなどができる。これまでに国が155億円以上を投じ開発・運用してきた。

 

●開発・運営の主体

20039月まで()原子力発電技術機構が実施してきたERSSの開発、運用は200310月 以降独立行政法人原子力安全基盤機構が引き継ぐ。201431日、原子力安全基盤機構が原子力規制庁と統合、原子力規制委員会が引き継ぐ。

 

●福島第一原子力発電所事故における使用[編集]

総理大臣官邸危機管理センターには23号機の緊急時対策支援システム(ERSS)の予測が送付されている。地震により外部電源を喪失した[2011]311日午後247分ごろにデータの送信が停止。(外部リンク参照) ERSSを所管した経済産業省原子力安全・保安院は「非常用電源が接続されていればデータが受け取れた」と認めており、本震から余震で国の通信網がダウンする311日午後443分ごろまでの約2時間、本震直後のデータを生かすことができた可能性が高い。

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草々

 

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