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2015年1月 8日 (木)

(報告)【緊急セミナー】切迫する放射線被ぱくの健診対策(2015.1.7)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

昨日夜、東京しごとセンターにおいて、FoE Japan主催の「【緊急セミナー】切迫する放射線被曝の健診対策(2015.1.7)」が開催されました。別添PDFファイル、及び下記URLは、その際の配布資料・関連資料です。ご参考までにお送り申し上げます。

 

昨年末12月に、環境省の「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」が、1年以上にわたる検討審議の結果を「中間取りまとめ」として発表し、それを受けて環境省がこのほど「東京電力福島第一原子発所事故に伴う住民の健康管理あり方関する専門家 会議の中間取りまとめを踏えた環境省における当面の施策の方向性(案)」を公表し、パブリックコメントを実施しました。

 

しかし、その内容は、「中間とりまとめ」「当面の施策方向性」ともに、福島第1原発事故に伴う放射能汚染と放射線被曝を矮小化・歪曲するひどい内容で、肝心の福島県における「福島県民健康調査」の抜本的見直し(検査項目の拡充、被害者への即時フィードバックとその充実、18歳以上への検査・調査の実施など)や、福島県外での健康管理調査の実施、あるいは多発する子ども甲状腺がんやセシウム心筋症とみられる心臓発作突然死などに対する被ばく医療、あるいはその未然防止のための「予防原則」に立った放射線被曝防護(避難・疎開・移住や長期保養の保障など)について、何の検討も行わず、根拠の乏しい不確かな初期被ばく評価に終始するお粗末極まりないものでした。

 

この環境省の「専門家会議」の審議の行われ方自体については、1年以上にもわたる審議の途中で多くの市民や被害者から何度も異議が申し立てられましたが、専門家会議も環境省も、それに耳を貸すことなく、あたかも、あらかじめ決めていた「放射線被曝のもみ消しと健康被害者の切り捨て」を強引に押し通すべく、今回のパブコメに至っている様子がうかがえます。昨年中に、たまりかねた被害者の方々が、この「専門家会議」の座長・長瀧重信(長崎大学名誉教授)の座長解任を申し入れたのも当然と言えるでしょう。

 

その「専門家会議」では、海外の「国際原子力マフィア」と言われる「国連科学委員会(UNSCEAR)」(=通称「アンスケ」)やWHOの行ったいい加減極まる調査報告書という(似非)科学の国際的権威に全面的に寄りかかり、その内容を詳細に検討するどころか、その報告書から自分たちに都合のいい部分だけをつまみ食いしたり、内容をゆがめて引用したりしながら、今回の「矮小化・歪曲・切り捨て」方針を補強しています。そして、上記で申し上げたように、福島県をはじめ、福島第1原発事故によって放射能に汚染された地域で、今現在何が起きているのか、何が起きようとしているのか、あるいは20年前のチェルノブイリ原発事故後に何が起きていたのか、など、実際の現場の状況も、被害者の方々の実態も、被害者の方々の意見や要望や願いや、そして自分を含む子供たちや家族の将来へ向けた健康への不安なども、一切無視して、怪しげな初期被ばく評価や、許しがたい「過剰診断・過剰診療」論議を繰り返していたのです。(こうした審議の在り方そのものが、被害者との対話や意向の施策への反映を提言する国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告や、それを法的に義務付けた「子ども・被災者支援法」に違反するものに他なりません)

 

既に皆様ご承知の通り、昨年末1225日に第17回「福島県民健康調査検討委員会」が開催され、そこで公表された子ども甲状腺がんの検査結果では、第1巡目の検査で発見された子ども甲状腺がんの数が(ほぼ確実の疑いも含めて)108人となったことに加え、第2巡目の検査では、新たに4人の子供たちが甲状腺がんと診断されました(合計で112人の子供たちに甲状腺がんが発見された)。この4人は、第1巡目の検査では「異常なし」(A1、A2判定)だった子どもたちで、このことは、子供の甲状腺がんが、わずか1~2年で大きな大きさにまで成長してしまったことを意味しており、子どもの甲状腺がんが大人の甲状腺がんとは違い、成長・拡大が速いことを実証しているといえるのです。しかも、福島県立医科大学の鈴木真一教授が明らかにしたところによれば、甲状腺がんと診断された子どもたちのほとんどが、他臓器への転移や甲状腺周辺部位への浸潤など、悪性の強い危険な兆候が見られていたということですから穏やかではありません。

 

「甲状腺がんは成長が遅いがんであって、福島第1原発事故からわずか1~2年で発見されたものは、福島第1原発事故によるものとは考えられない」などとしていた「福島県民健康調査検討委員会」の御用学者たちの「言い分」が破たんし始めています。つまり、福島県をはじめ、放射能汚染地域の子供たちに、いよいよ危機が迫っている、と言っていいでしょう。「チェルノブイリ原発事故後では、子どもの甲状腺がんは4年後以降に大量発生した」などというのも、当時の旧ソ連諸国では、甲状腺の検査のための機器類がほとんどなく、医師たちの触診で検査が行われていたこともあり、発見が遅れていただけであったことが明らかになりつつあります。

 

更に先般、ジャーナリストの明石昇二郎氏が明らかにしたところによると、福島県で急性の心筋梗塞で死亡する人が増えており、かつてチェルノブイリ原発事故後に多く見られた放射性セシウムによる「セシウム心筋症」の疑いが濃くなっています。そして、こうした甲状腺がんやセシウム心筋症以外にも、放射線被曝による疾患と思われるような健康被害が、徐々に徐々に、東日本の放射能汚染地域に広がる気配が感じられます。もう一刻の猶予もならないのではと、大変懸念される事態となっているのです。恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)が危険極まりないことが、いみじくも被害者の方々の「強いられた人体実験」により明らかになろうとしています。

 

かような時に、このような「専門家会議」の「中間とりまとめ」が公表され、そして環境省の今般の「当面の施策の方向性(案)」ですから、もう許されるものではありません。日本の原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府は、どこまで福島第1原発事故の被害者の方々を踏みつければ気が済むのでしょうか。こんなものは白紙撤回以外にないのです。

 

みなさま、今回のFoE Japan主催の緊急セミナーや、その配布資料などを参考に、今般のパブコメに意見書を提出し、こうした理不尽極まる放射線被曝の矮小化・歪曲と被害者切り捨ての暴挙に反対していきましょう。私たちの未来の「いのち」の行方がかかっています。

 

● 環境省_「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性(案)」に関する意見募集(パブリックコメント)について

 http://www.env.go.jp/press/100098.html

 

 <関連サイト>

(1)FoE Japan 【緊急セミナー】 切迫する放射線被ばくの健診対策(1/7

 http://www.foejapan.org/energy/evt/150107.html

(2)FoE Japan 環境省がパブコメ募集中:福島原発事故に伴う健康管理…ポイントをまとめました

 http://www.foejapan.org/energy/action/141231.html

(3)FoE Japan HP

 http://www.foejapan.org/


 <当日の録画>

 

● 20150107 UPLAN【緊急セミナー】切迫する放射線被ばくの健診対策 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=OzCMgqhm4c0

 

 

 <別添PDFファイル>

(1)(表紙)【緊急セミナー】切迫する放射線被ぱくの健診対策(2015.1.7

(2)福島原発事故に伴う健康管理、環境省がパブコメ募集中(FoE Japan 2014.12.31

(3)環境省「専門家会議・中間とりまとめ」について(未定稿)(市民・専門家委 2015.1.7

(4)環境省「専門家会議」で議論されなかった<ガン以外の疾患>(吉田由布子 2015.1.7

(5)UNSCEARとWHOの報告書について(瀬川嘉之(高木学校) 2015.1.7

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 なお、1/7セミナー当日の資料は、上記5つも含めて、<関連サイト>の(1)(2)(FoE Japan HP)にすべて掲載されていて、かつカラー刷りで見やすいですので、そちらの方をご覧になることをお勧めいたします。なお、私(田中一郎)のパブコメ意見書は、別途メールにてお送りする予定です。

 

 

 <当日のプレゼンから>

 下記のFOEジャパンの満田夏花さん、フクロウの会の坂上武さんのお話がよくまとまってわかりやすかったと思います。また、崎山比早子先生、吉田由布子さん、瀬川嘉之さんのお話にもご注目ください。(特に瀬川さんの「UNSCEARとWHOの報告書について」は必見です。放射線ムラの御用学者やその代理店政府・環境省の本性が暴露されています)

 

1.FOEジャパンの満田夏花さん(抜粋)

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「中間取りまとめ」の問題点

 http://www.foejapan.org/energy/evt/pdf/0_150107_mitsuta.pdf

 

1.現在、福島県健康調査において明らかになってきている事象、とりわけ甲状腺がんについての疫学的な分析や、個々の症例についての分析・考察が行われていない。

2.福島県で行われている甲状腺検査について、「健康の見守り」から「疫学追跡調査」へ見直すよう提言した。

3.「専門家会議」では、実態を検討せず、一般論に基づき「偽陽性」「過剰診断」の議論が繰り返された。

4.放射線による健康影響について、甲状腺がん以外の癌や、非がん疾患について検討していない。

5.福島県内外で被ばく量を比較。県外の被ばく量は低いとして、県外における健診を切り捨て

6.甲状腺被ばく調査の1080人のデータが非常に不確かにもかかわらずそれを採用

7.国際機関の評価として、WHOUNSCEARのみに依拠。内容に関する検証を行っていない。恣意的な引用。警告的な部分を踏まえていない。

8.福島原発事故における発がんリスクを「統計的な有意差を検出することは困難」」としているが、低線量被ばくにおける発がんリスクの有意性を示す多くの論文を無視

9.会議に招聘した外部専門家の意見を無視

10.被害当事者の聞き取りをしておらず、そのニーズを踏まえていない。

 

2.フクロウの会の坂上武さん(抜粋)

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「過剰診断」論について

 http://www.foejapan.org/energy/evt/pdf/150107_4_sakagami.pdf

 

3.UNSCEARとWHOの報告書について(瀬川嘉之(高木学校) 2015.1.7

 http://www.foejapan.org/energy/evt/pdf/150107_3_segawa.pdf

草々

 

(追)上記のような、日本の今後の去就を決めてしまいかねない重大な問題があるにもかかわらず、この環境省のパブコメについて、きちんとした報道をしたマスコミは、新聞、TVとも、1社もない、という嘆かわしい状態です。かつてアジア太平洋戦争において、国民(当時は臣民)が大本営発表による「大日本帝国軍、世界各地で大勝利を重ねる」のデマ報道に毒され、最後の破局にいたるまで戦争の真相を知らされずにいたことと、今日における、この福島第1原発事故による放射能汚染と放射線被曝の隠蔽・虚偽・歪曲・矮小化・無報道=言論統制の状況は、重なり合うものがあります。日本は、同じ過ちを、一度目は戦争で、二度目は原発・原子力と放射能で、繰り返しているのではないでしょうか。

 

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