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2014年11月26日 (水)

(報告)福島原発事故・吉田調書報道に関する朝日新聞社「報道と人権委員会(PRC)」見解に対する記者会見(原発事故情報公開弁護団:2014年11月15日)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

 標記記者会見がありましたので、その際配布された資料、及び関連URLを下記にご紹介いたします。主催は「原発事故情報公開弁護団」で、その内容は主として海渡雄一弁護士の鋭い調査結果に基づくものでした。多くの訴訟案件を抱え、また全国各地の原発や福島第1原発事故関連の訴訟並びにADRの仕事も受け持ち、超多忙の条件下での、この海渡雄一弁護士の仕事ぶりは、まさに超人的ともいえるほどに素晴らしいものです(私からは本人に、睡眠時間はあるのですか、とお聞きしましたら、大丈夫です、十分に取っています、とのことでした)。心よりエールをお送りしたいと思います。

 

 それにしても、今般のこの朝日新聞社「報道と人権委員会(PRC)」の見解は、いったい何なのでしょうか。調査すべきものをきちんと調査もせず、見落としてはならない事実関係も(あえて?)見落とし、委員会が始まる前から決めていたような、腰抜けでピンボケした見解を示して、せっかく朝日新聞の批判的ジャーナリズム精神にあふれる勇敢な現場記者達が努力してスクープした「吉田調書」の報道を踏みにじっています。この記事は、同じく朝日新聞の経営を牛耳る一部の腰抜け幹部達が行ったような「記事の撤回」など、する必要もなかった、歴史に名が残るくらいの一大スクープだったにもかかわらず、時代の風潮に押し流されるようにして、理不尽な扱いを受けているのです。

 

(東京電力福島第1原発にいた作業員への取材が十分ではなく、吉田昌郎所長の指示命令が現場へ周知徹底されていなかった点を十分には把握しきれていなかった可能性はあります。しかし、そのことは、記事の迫真性・真実性をなんら鈍らせるものでもなく、記事を補足、または一部表現の修正をすることで事足りていたはずです。記事「撤回」の必要性などありません)

 

 「対読者背信的」「対支配権力迎合的」な、こうした「結論」がでてくるのは、朝日新聞の(第三者委員会の)場合、今回が初めてではありません。2005年当時、安倍晋三や中川昭一らの右翼自民党政治家達がNHKに圧力をかけ、その番組「ETV特集:シリーズ「戦争をどう裁くか」第2夜「問われる戦時性暴力」」(慰安婦問題など:2001130日に放送)を改編させて骨抜きにしてしまった問題が朝日新聞の報道で社会的にクローズアップされた後、同じような第三者委員会が設けられました。その時も、その第三者委員会は、NHKの報道姿勢や右翼自民党政治家達の行為をきちんと問題にしないまま、朝日新聞の現場記者達の非をあげつらって問題を矮小化し、朝日新聞の報道の方にあたかも問題があるかのごとき「結論」を報告しています。

 

 特に、2005年当時も第三者委員会の委員であり、今回もまた委員となっている長谷部恭男(はせべやすお)(元東京大学法学部教授・現早稲田大学教授)の場合は、再び同じようなことを繰り返しており、その姿勢は厳しく批判されるべきです。2005年当時も、長谷部は市販の月刊誌上の論文の中で「放送番組の編集権は経営サイドにあるのだから、ごちゃごちゃ言う方がおかしい」と言わんばかりの文章を書いていたのを見た記憶があります。批判的ジャーナリズムと調査報道という成熟した民主主義にとっては欠かすことのできない必要不可欠なツールを、この長谷部は、時の支配的潮流に便乗しながら、いとも簡単に潰していく役割を買って出ているわけで、こうした人間のなせる論調が、やがて時代を大きく負の方向へ狂わせていくのだということを、きっちり認識しておく必要があるだろうと思う次第です。朝日新聞の経営者たちは、何故にかような人間たちを、自身の第三者委員会の委員に任命したのでしょうか。だからこそ「腰抜け」と言われてもいたしかたないのです。

 

 また、既に多くの人たちが論じているように、読売やサンケイなどの右派系新聞や雑誌類による朝日新聞へのバッシングは異常という他ありません。それはまるで、原子力ムラ代理店政権で原発再推進の安倍晋三自民党政権を側面から応援し、かつ、吉田昌郎英雄論・フクシマフィフティ賛美論という「肉弾三勇士」(上海事変)的な現場の犠牲者奮戦賛美により、現場におかれた人間達の必死の取組や努力さえあれば諸問題は解決可能となるという、愚かにも軽率な単純発想を社会に蔓延させていく、大問題の言論状況を結果的に創り上げてしまっているように思われてなりません。原発事故の場合は戦争と同じく、現場の奮闘努力は決して「美談」になることはないのです。

 

 河合弘之弁護士が、この記者会見をはじめ、複数の機会を通じて「おまえら(読売・産経・その他)は、せっかく朝日新聞の現場記者達が必死の思いで切り開いてきた吉田調書の公開と、そのコメントというスクープ記事を、単に言葉尻だけを捕まえて、支配権力の威を笠に着ながら、なんだかんだとケチをつけ、バッシングを繰り返しているが、それじゃ、おまえらが福島第1原発事故の真相に迫る取材や報道をしたかと言えば、何にもしとらんではないか。それでもお前らは「新聞」と言えるのか、「ジャーナリズム」と言えるのか」と発言しています。全く同感です。お前らは、それでも、新聞か、ジャーナリズムなのか?

 

 ところで朝日新聞の経営陣は、今回の「報道と人権委員会(PRC)」の見解を受け、一方で、「良い子の新聞社」にならんと、歯の浮いたような抽象的な文章で飾り立てた紙面を、ことあるごとに読者に見せつけ(それでいて、あの読者コーナーにいる電話の聞き手の態度の悪さはいったい何なのか)、他方では、今回の「吉田調書」報道をスクープした担当記者や編集責任者などを「社内処分」しようとしています。とんでもない話です。かような筋の通らぬ歪んだ報告を上げた「報道と人権委員会(PRC)」の見解を真に受けて、そのようなことをするのなら、いよいよ朝日新聞は、その新聞としての魂を失うに違いないでしょう。

 

 まさに、この「吉田彫塑」報道をめぐる動きは「平成の「白虹事件」」とでも言うべき様相を呈してきました。大正デモクラシーを経て「批判的ジャーナリズム」の精神を曲がりなりにも獲得していたはずの当時の朝日新聞が、右翼勢力による集中砲火を浴びて、その言論を捻じ曲げていく契機となった事件、それが「白虹事件」(1918年)です。その後、アジア太平洋戦争が終わるまでの約30年間は、朝日新聞にとっては、みじめにもみっともない「翼賛報道」「大本営発表」への転落一筋の道でした。それを敗戦後すぐの時代に深く反省をし、もう二度とあのような支配権力追従の報道はしない・記事は書かないと誓ったはずの、この新聞社が、今はこのザマである。みなさま、もし仮に朝日新聞が、今回の「吉田調書」報道をになった現場記者や編集担当に対して不当きわまる処分を行った場合には、今度こそ、この朝日新聞が発行する、新聞を含めたすべての刊行物の大規模な不買運動を起こしましょう。そうしなければ、もう、この新聞社は立ち直れないような気がします。

 

(それからもう一つ、今回の「吉田調書」報道でのやりとりで、2011年3月15日当日の福島第1原発に関して、東京電力本社が、また事実を隠ぺいして、実際と記者会見内容とが異なるという「二枚舌」が明らかとなっています。すなわち、原子力安全保安院などへの報告では、一時的に修正されたりはしていましたが、結局は福島第1原発からほとんど全員に近い人員を福島第2原発に退避させながらも、一般向け記者会見では、福島第1原発にがんばってとどまり、放射線量が低いところなどに「待機」している、などと説明していたのです。この東京電力という会社は、とことん信用できません。平気でウソをつく会社です)

 

 ところで、みなさま、私のボヤキ文章などよりも、お送りする海渡雄一弁護士の力作=迫真のレポートを(少し長いですが)、ぜひお読みください。私は、海渡雄一弁護士が書いていることが、「吉田調書」報道に関する真実であると思います。

  

● 報道と人権委員会(PRC) 朝日新聞社インフォメーション

 http://www.asahi.com/shimbun/3rd/prc.html

 

(参考)ウィキペディア「白虹事件」

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E8%99%B9%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

 <別添PDFファイル>

(1)福島原発事故・吉田調書報道に関する朝日新聞社「報道と人権委員会(PRC)」見解に対する記者会見(原発事故情報公開弁護団:20141115日)

「yoshidatyousyo_houdou_kisyakaikenn_kaito_panfu.pdf」をダウンロード

(2)1 1. 1 2朝日新聞社・報道と人権委員会見解によせて(1)(海渡雄弁護士:20141117日)

「kaito_reporat_1.pdf」をダウンロード

(3)1 1. 1 2朝日新聞社・報道と人権委員会見解によせて(2)(海渡雄弁護士:20141117日)

「kaito_reporat_2.pdf」をダウンロード

(4)日本はあの時破滅の淵に瀕していた(海渡雄一
『世界 2014.11』)


(5)福島第一原子力発電所の職員の移動について(東京電力 2014.3.15

「toudenn_kisyakaikenn_haifu.pdf」をダウンロード

(6)福島第1原発からのFAX 3通(2011315日)

「f1_fax_3honn.pdf」をダウンロード

(7)柏崎刈羽メモ

「kasiwazakikariwa_memo.pdf」をダウンロード

 

 <当日の録画>

20141117 UPLAN「福島原発事故・吉田調書」報道に関する朝日新聞社報道と人権委員会PRC見解に対する記者会見 - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=-Qej8gVZ_I4&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

 なお、下記に、この記者会見への参加を呼び掛けたチラシ掲載の(海渡雄一弁護士の)文章をコピペしておきます(別添PDFファイル)。

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「福島原発事故・吉田調書j 報道に関する朝日新聞社「報道と人権委員会(PRC)」見解に対する記者会見

 

20141115

原発事故情報公開弁護団

 

 1 1月12日、福島原発事故の政府事故調での吉田調書の報道に関し、朝日新聞社の第三者機関「報道と人権委員会(PRC)」が、見解を公表し、朝日新聞520日付朝刊U1命令違反で撤退Jとの記事を朝日新聞社が911日に取り消した件について、「報道内容に重大な誤りがあった」として記事取り消しそ「妥当」と結論づける報告を出しました。

 

 しかし、吉田調書などの公開を求め、原発事故情報の公開を求めてきた立場からは、このPRC見解については、重大な疑問を提起せざるをえません。吉田所長の1F構内待機指示は、柏崎メモに明確に記載されていたし、15日朝830分の本庖記者会見で配布された資料にも明記されていました。そして、東電は、この会見特

には、650名の2Fへの移動の事実が判明していたにもかかわらず、この事実を隠し、退避した社員は1F近くに待機していると発表していました。650名の2Fへの移動は所長の指示に明らかに反しており、だからこそ、東電は記者会見においてこの事実を隠蔽したのだと考えられます。

 

 吉田所長の1F内待機の指示の存在を認めながら、この指示があいまいなものであったかのように分析するPRC見解は、これらの客観的資料やこれと符合する吉回調書をあえて無視し、推測にもとづいて議論を組み立てていると言わざるをえません。

 

 吉田所長の1F構内待機指示を裏付ける一次資料について、記者会見の場で配布します。また、河合弘之弁護士の監督作品であり、今年11月に公開したばかりの映画「日本と原発Jのうち、今回の吉田調書問題に関連する一部(10分間)も上映する予定です。

 

日 時: 1 1月17日12時~13時

場 所: 参議院議員会館B104会議室

主 催: 原発事故情報公開弁護団

出席者: 海渡雄一ω見原発弁護団全国連絡会共同代表、原発事故情報公開弁護団)

    河合弘之(脱原発弁護団全国連絡会共同代表、映画「日本と原発j 監督)

    海渡双葉(原発事故情報公開弁護団)

    小川隆太郎(原発事故情報公開弁護団)

記者の方以外の一般の参加も自由とします。

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草々

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