市民が見た韓国調査報告書:~韓国の市民社会運動は、変革への希望を感じさせた(希望のまち東京をつくる会:2014年10月)
前略,田中一郎です。
別添PDFファイルは、昨日夜(11/5)、連合会館2Fにおいて開催されました「希望のまち東京をつくる会」主催の韓国・首都ソウル市訪問視察調査団の報告会における会場参加者への配布資料です。報告会では、ソウル市における革新系新市長パク・ウォンスン氏の地方分権自治の現状、及び、その市長を支持し支える様々な市民運動・社会運動、及び地域住民運動の現状の報告がなされました。訪問団一行は、今年10月初旬に現地を訪れ、精力的な調査ののち、早くも今回披露された内容の充実した報告書をまとめており、そのファイトと努力に敬意を表したい。
私からは、この別添PDFファイル報告書について、特に詳細なコメントはしないけれども、以下、簡単に韓国の民主化の現状と市民運動・社会運動の在り方に関して、簡単に触れておきたい。
第二次世界大戦後、韓国では、大日本帝国=日本帝国主義によるアジア侵略のくびきから解放されてのちも、悲劇的な朝鮮戦争を経て、長きにわたり、いわゆる冷戦下の凶暴な軍事独裁政権が続いた。その間、弾圧・投獄や処刑、あるいは獄中での拷問など、祖国の民主化と改革を訴える多くの若者や改革派の人々の犠牲を伴いつつ、ようやく1980年代後半=全斗煥統治下で民主化闘争が燃え上がった。それが現在のこの国の民主主義へ至る大きな動きの出発点だった。数十年にわたるこの国の民主化闘争の歴史は、それこそ私たち戦後生まれの日本人には想像しがたいほどの苦しみ・苦難と悲劇の日々であったに違いない。
しかし、その後も、韓国の民主化のプロセスは一直線にスムーズに進んだわけではなく、保守反動と革新とが交互しながら、紆余曲折を経て、今日に至っている。そして今もなお、北朝鮮に権威主義的な軍事独裁政権が、同一の民族の国として君臨して大きな脅威になっている他、まるで冷戦体制時代の雰囲気そのままに、米軍が常時駐留し、北朝鮮や中国ににらみを利かせながら、軍事的緊張が絶えない事態が続いているのである。
こうした、いわば国際的な緊張下におかれながらも、今回視察調査によって報告された韓国・ソウル市の革新的な地方分権自治にせよ、市民運動・社会運動・地域住民運動のユニークで力強いありようは、これらの動きを担う人たちの、これまでの「苦難の道」を何度も乗り越えてきた経験に基づく、ある種の「成熟」を感じさせるものだったように思われる。報告者によれば、ソウル市政をリードする人たちも、韓国の市民運動・社会運動のリーダーたちも、その多くは、軍事独裁政権時代の自分自身が若いころに、弾圧され投獄された経験を持つ人たちが多いという。そうした極限状況での過去の経験が、今日の活動の幅や懐の深さ、諸問題や対立点の賢明な克服・解決の仕方などに、目に見えない形で影響を及ぼしているように、私には見える。
また、この国の市民運動・社会運動や政治・行政の革新の動きが、たくさんの若者(10代~30代)に支えられているというのもすばらしい点で、今回視察調査に訪れた日本からの訪問団には、自称「若者」の方も多くいて、迎えてくださった韓国の方々の若者の年齢を聞いて、10歳・20歳以上も年齢が若いことにショックを受けた、という笑い話まであるそうである。日本の若者たちが、何故、自分たちの社会のありように、かくも無関心・無頓着、ないしは非行動的・受動的なのか、韓国の動きと比べながら考えさせられるものがあった。
そして、私に大きな感銘をもたらしたのは、常々私が申し上げてきた日本の市民運動・社会運動の3つの弱点=(1)政治的カマトト主義(政治的中立主義、脱イデオロギーというイデオロギー)、(2)取組テーマが一つだけの単品ブティック型(タコつぼ型)市民運動・社会運動、(3)「選挙の時だけお祭り騒ぎ」型行動様式、が、韓国においては見事に克服され、幅の広い、持続的で、成熟した、政治参加志向の強い、ボトムアップ型の市民運動・社会運動が構築されているように思えたことだった。
翻って、日本の市民運動・社会運動は、この韓国・ソウル市における地方分権自治の革新的地方行政や、それを支持し支える市民運動・社会運動の今日のありように、大いに学ぶべきところがあるように思えてならない。そして、それ以上に、日本の眠れる多くの有権者・国民・市民は、安倍晋三・おぼっちゃま右翼政権が、正義と生活と倫理と平和と自然環境を踏み潰しながら暴走する今日、自らの手で政治と民主主義を取り戻し、反有権者・国民・市民の政治と政権に、断固たる「NO!」を突き付ける必要があるのではないか。日本にとって、韓国はもはや、様々な意味で先進国であり、目標となっているように思う。
●「希望のまち東京をつくる会」HP
(11/5(水)韓国報告会★パク・ウォンスンソウル市政は住民目線の市政を市民参加で大きく進めている)
<別添PDFファイル>
(1)(報告)韓国・ソウルの市民運動・社会運動(上)(2014年11月5日)
「kankokuhoukoku1.pdf」をダウンロード
(2)(報告)韓国・ソウルの市民運動・社会運動(中)(2014年11月5日)
「kankokuhoukoku2.pdf」をダウンロード
(3)(報告)韓国・ソウルの市民運動・社会運動(下)(2014年11月5日)
<私から質問したかったこと>
当日は時間切れで質問を受け付けていただけなかった。私がお聞きしたかったことは次の2点です。
1.北朝鮮、在韓米軍、徴兵制など、韓国の安全保障や戦争の問題について、韓国の市民運動・社会運動はどのような姿勢や考え方を取っているか(また、日本でよくみられるチンピラ右翼政党やゴロツキ・ネトウヨなどの勢力による理不尽な攻撃は問題になっていないのか)
2.今日の韓国は日本以上に市場原理主義がひどそうな様子がうかがえる。金大中政権や廬武鉉政権の時に市場原理主義的政策が幅広く取り入れられ、今では、若者の50%超が非正規労働者であり、大学を出てもまともな就職先が容易には見つからないなど、その弊害・害悪が社会に蔓延しているようにも思える(韓国の市民運動・社会運動は、この市場原理主義に対する闘いである、という色合いは強い)。この市場原理主義との決別・乗り越えの戦略というか、工程表のようなものはあるのだろうか。とりわけ、これからグロテスクな正体を現してくるであろう米韓FTAについて、どう考えているのか。また、その下で、滅び去ろうとしているかに見える韓国農業については、どうしようと考えているのか。
今回の報告会を受けて、改めて日本での地方分権自治・地域住民運動や、市民運動・社会運動を考え直す「討論集会」が必要であるように感じた次第です。
草々
« 本日(11/5)のいろいろ情報(メール転送含む) (1)火山リスク、(2)山本太郎&アーサービナード、(3)バンダジェフスキー関連サイト、(4)冤罪司法焼け太り他 | トップページ | 都市改革・都市計画制度等改革基本法(案)に注目しよう (画期的な都市計画制度(まちづくり)改革法案ができました) »
« 本日(11/5)のいろいろ情報(メール転送含む) (1)火山リスク、(2)山本太郎&アーサービナード、(3)バンダジェフスキー関連サイト、(4)冤罪司法焼け太り他 | トップページ | 都市改革・都市計画制度等改革基本法(案)に注目しよう (画期的な都市計画制度(まちづくり)改革法案ができました) »


コメント