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2014年10月

2014年10月30日 (木)

(その3:最後) 新刊書ご紹介 『被ばく列島』(小出裕章・西尾正道著:角川ONEテーマ新書):放射能と被ばくに関する基礎知識や必須情報が平易な「対談」言葉の中に満載、必見です

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

(第3回目=最終回です:昨日のメールの続きです。最初の部分は昨日のメールをコピー&ペーストしておきます。)

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「天高く馬肥ゆる秋」は「読書の秋」です。その秋にぴったりの好書が出ました。下記にご紹介する『被ばく列島』(角川ONEテーマ新書)が、まさにそれです。私たち脱原発・脱被ばく市民にとっての必読書です。放射能と被ばくに関する基礎知識や必須情報が、平易な「対談」言葉の中に満載されています。著者は、脱原発・脱被ばくの世界で著名なお二人=小出裕章京都大学原子炉実験所助教と西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長です。

 

以下、複数回に分けて、この新書から、私が特に注目すべき重要箇所と思った部分のうち、ほんの一部だけを取り出して皆様にご紹介申し上げます。このメールが、みなさまの秋の食欲とともに、この新書への読書欲をかきたてることを願っております。

 

 <新書ご紹介>

●『被ばく列島』(小出裕章・西尾正道著:角川ONEテーマ新書)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033163383&Action_id=121&Sza_id=C0

 

 <別添PDFファイル>

(1)NO.9 ただの民間機関にすぎないICRP (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

(2)NO.10 確率的影響と確定的影響 (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

(3)NO.11 放射線防護の現状 (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

(4)NO.12 核の無害化技術は実現性なし (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

1.NO.9 ただの民間機関にすぎないICRP (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 事故前、原子力発電の安全神話をばら撒いてきましたが、事故後は、安全神話が崩壊初したので、新たに安心神話を作り出しています。その根拠を与えているのがICRPです。1928年に設立された「国際X線およびラジウム防護委員会」は放射線の医学利用を考慮して作られましたが、50年に名称を変えてICRPとなり、その目的は人体への健康被害を最低限にするということよりも原子力政策をすすめることにシフトしました。

 

 ICRPは、第一委員会が外部被ばく委員会、第二委員会が内部被ばく委員会でしたが、52年に内部被ばく委員会の審議を打ち切ってしまいました。そこから報告書が出たら原子力政策を進められない事態となり、困るからです。内部被ばくを隠蔽する歴史は52年から始まっているのです。

 

 (中略)また、このICRPは目的に沿って物語を作り、報告書や勧告を出します。「闘値なしの直線仮説」が国際的なコンセンサスとなっていても、日本政府は100ミリシーベルト以下では放射線の健康被害は因果関係を証明できるほどの影響は見られないと主張しているのが、その典型です。多くの医学論文で、100ミリシーベルト以下でも健康被害は報告されていますが、ICRPは調査もせず、反論もしません。研究機関ではなく、ただの会議を開催して報告書を出す委員会だからです。

 

 (中略)また、御用学者はたくさんの研究費という名目で資金援助を受け、それで飯を食っています。メディアも最大のスポンサーは電力会社、だから、きちんと真実を伝えない。こうした構造が国際的に出来上がっており、まさに原発利権に群がる国際原子力マフィアとなっているのです[図表33]。また、原発事故後の各種委員会や有識者会議の構成メンバーは基本的には御用学者といわれる人たちで占められています。

 

 (中略)そうした専門家とか有識者という人たちは、現場感覚があるかというと、ありません。現場で放射線を扱っているわけではなく、自分が被ばくする環境下で仕事をしているわけでもありません。ただICRPの報告書に詳しいというだけなのです。日本を代表して原子力ムラから旅費も支給されて国際会議に出席しICRPの内容を大学などで講義し、それが給料になり、それで食っている人たちです。ICRPの報告書の内容に詳しいだけの机上の人が、いわゆる専門家とか有識者と称しているから国民目線を失い、ピントが狂い、政府の意向に合わせた報告を作ることになります。

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(田中一郎コメント)

 国際原子力マフィアは、国際原子力機関(IAEA)、国際放射線防護委員会(ICRP)、「国連科学委員会(UNSCEAR)](アンスケア)の3つの国際組織などを中心にして集う人間達をさして言われます。国際放射線防護委員会(ICRP)は、その中でも最も「サロン的」な場だと言われており、決して研究機関でも実証・実験・観測組織でもありません。放射能と放射線被曝について、ウソばかりついてきた御用人間たちの「たまり場」です。こんなところが出す勧告を金科玉条のごとく奉って、拝み倒している馬鹿ものは、日本政府やその下請け自治体ぐらいなものです。世界の皆さんは、国際放射線防護委員会(ICRP)が、原子力推進のための宣伝組織であることを重々承知しています。

 

2.NO.10 確率的影響と確定的影響 (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 50から2003年まで、50余年、広島・長崎の被ばく者約12万人をフォローした追跡調査によれば、30歳で1シーベルト浴びたら、70歳の時に肺がんや胃がんなどの固形がんで死亡するリスクは、被ばくしていない人に比べて42%増加し、被ばく時の年齢が20歳だったら、リスクは54%に増えるという報告が2012年にABCC(放影研)から出ています。

 

 前出のICRP103勧告(2007年)では過剰発がんは、1シーベルトにつき5.5%としていますが、時間が経たなければ分かりません。人聞がある程度は放射線に順応するかもしれませんが、実際にはもっと高い被害確率の可能性があります。

 また健康被害に関して、教科書的には確率的影響と確定的影響に分けて考えられていますが、これはあくまでも理解しやすいようにした便宜的なものです。すべての人に生じるような大量の被ぱくの場合は闘値があり、確定的影響とされ、4~5シーベルトでは腸管死や骨髄死が起こるとされています。しかし、これは発症したり死亡したりする闘値であり、それ以下でも確実に体には影響を与えているのです。そのため急性期の症状で死ななくても長期間の経過の中でいろいろなトラブルが生じる可能性があります。

 

 (中略)白内障は闘値があるかどうかは医学的には明確には分かっておらず、闘値はないか、あったとしても1グレイ程度ではないかと考えられているが、確定的影響とも確率的影響とも判断できないのです。

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(田中一郎コメント)

 私も西尾正道先生のおっしゃるように、放射線被曝を「確定的影響」と「確率的影響」という風に、はっきりと分けて考えることについては大きな違和感があります。何故なら、こんな言葉は他の病気や障害の場合には使わないからです。問題は「確率的影響」の方で、西尾正道先生がお書きになっているように、症状が表面に現れるかどうか、現れてもそれに気がつくかどうか、あるいは医療機器で観測できるかどうかで「確率的」などと言われているようですから、「確率」に当たらなかった場合でも、必ずや体のどこかが傷ついていると考えられます。決して「確率」にはずれたから何ともない、ということではありません。それに、本人の生存中には症状が表面化しなくても、遺伝的な影響が出てくる可能性だってあるのです。こんなものを「確率的」などということは、放射線被曝の被害・悪影響の歪曲ないし矮小化以外の何物でもないように思います。そして、この言葉が、もっぱら内部被曝に使われていることも、よく認識しておくべきでしょう。(上記で「グレイ」とあるのは「シーベルト」と読み替えて、だいたいOKです)

 

3.NO.11 放射線防護の現状 (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 放射線を取り扱う従事者を守る法律として、「原子炉等規制法」「放射線障害防止法」「労働安全衛生法」など、さまざまにあります。例えば、3カ月に1.3ミリシーベルトを超えて被ばくしてしまうような場所は、放射線管理区域に指定して、放射線量や空気中の濃度の測定・監視をしなければいけません。そしてその場に立ち入る労働者を「放射線業務従事者」に指定し、個人の被ばく管理もしなければいけません。その上で、5年間で100ミリシーベルト、1年にすれば20ミリシーベルト以上の被ぱくをしてはならないと決められています。

 

 そして、放射線管理区域の中でも、労働者が容易に触れることができる壁などの表面は、1平方メートル当たり40万ベクレル以上の放射性物質で汚れていてはいけないという規定もあります。そして、管理区域から外に出る時には1平方メートル当たり4万ベクレルを超えて放射性物質で汚染されているものは持ち出しを禁止されます。そのため、放射線管理区域の出口ドアの前には汚染の検査装置が置いてあって、そこで測定した結果、1平方メートル当たり4万ベクレルを超えて私の実験着や手が汚れていれば、ドアが開かない仕組みになっています。

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(田中一郎コメント)

 既に多くの方々が論じておられますが、放射線管理区域(年間5.2ミリシーベルト超)の領域に入る場合には、安全確保のために様々な規制があり、かつ服装なども厳重な装備が義務付けられています。子供など未成年は原則立ち入り禁止ですし、飲食も喫煙もダメです。しかし、今は、この放射線管理区域の指定基準を超えるような放射能汚染地帯が福島県や東日本一帯に広がっており、その地域では、なんの規制も放射線防護もないのです。ですので、たとえば福島県では、放射線管理区域内にいる方が、放射線管理区域外にいるよりも、少しは安全、という、信じがたい「転倒」「さかさま事態」が生じています。こんなところに、放射線弱者である妊婦や子どもたちを(安全だとだまくらかして)放置しておいていいのかということです。

 

 また、一般人に対する被曝限度は法律で1ミリシーベルトとされています。こうした放射線防護に関する福島第1原発事故前における決まり・決めごとを、すべて踏み倒して、福島県をはじめ東日本の放射能汚染地帯に住む人たちに放射線被曝を押し付けているのが今の日本政府であり、その下請けとなって動いているのが福島県庁をはじめ、少なくない各地の自治体です。日本は法治国家であることを放棄してしまっています。いわば、江戸時代以前の「(やりたい放題)人治国家」に一気に戻ってしまったということです。

 

 上記で小出裕章先生がご説明になっている3つの法律、いまや「棚上げ」にされて有名無実化していますが、一応覚えておきましょう。「原子炉等規制法」「放射線障害防止法」「労働安全衛生法」の3つです。この3つには、同じ内容の規則が書かれています。なお、あえてこれ以外に挙げれば、医療関係の法律ということになるでしょう。

 

 しかし、私たちは、こうした原子力ムラ代理店政府の出鱈目三昧を、指をくわえて見ていることしかできないわけではありません。まずもって、選挙のある都度、投票所へ行き、この原子力翼賛体制のような状態を創り出しているロクでもない政治家ども=具体的には、自民党、公明党、民主党、及びその「補完勢力」(未来、維新、みんななど)の政治家どもが、必ず落選するように投票をしてみてください。また、選挙投票だけでなく、様々な形で脱原発や脱被ばくの市民運動・社会運動が拡大していますから、各自各様、可能な形で参加して、直接的な行動にもTRYしてみてください。

 

 それから、原発・核燃料施設を止めるために、多くの立地自治体の住民・市民が運転差し止めの訴訟を起こしていますが、日本の裁判所は、そのほとんどを蹴飛ばしています(原告を敗訴させている)。なので、この日本の司法の体たらくにも一発ぶちかますために、衆議院選挙のたびに行われている最高裁裁判官の国民審判投票において、全員に「×」をつけて投票いたしましょう(白紙で投票すると「○」扱いされます:そういうインチキが法律で決まっています)。一種のショック療法のようなものです。事実、最近は、どうしようもなくロクでもない裁判官が増えています。

 

 もし仮に全国でこうした動きが大きくなれば、必ずや日本は大きく変わる可能性を持ってきます。しかし、今のままではダメです。このままでは日本は、原子力ムラ・放射線ムラに滅ぼされてしまいます。このことは固くお約束しておきましょう。出鱈目な状態は誰かが変えてくれるということはありません。みなさま、一人ひとりが行動を起こして変えていくしかないのです。

 

4.NO.12 核の無害化技術は実現性なし (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 ウランという元素をもってきて、それを核分裂させれば、セシウムという元素ができる、ストロンチウムという元素ができる、ヨウ素もできる、量の多寡を問わなければ、金だって銀だって白金だってできていて、錬金術はできることがすでに分かっているわけです。それであるなら、作ってしまったセシウム137、あるいはストロンチウム90に錬金術を施して、別のものに変えてしまえばいいじゃないかということは容易に分かります。

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(田中一郎コメント)

 やっかいな放射性廃棄物に放射線を当てて別な物質に変えれば、放射性廃棄物でなくならせることができる、そうしたら「トイレなきマンション」と言われ続けている原発・原子力の抱える深刻極まりない放射性廃棄物問題(バックエンド問題)も容易に片づけることができるではないか、こんなことは誰だって思いつきます。だから当然ながら多くの科学者や技術者が実験を繰り返してこれにチャレンジをしてきましたが、今もって成功していません。それはなぜか。

 

 小出裕章先生がわかりやすく丁寧に説明して下さっています。興味のある方は目を通してみてください。今、政府・文部科学省、及び原子力ムラの御用学者どもは、この陳腐化した放射性廃棄物の「錬金術」研究を口実にして、高速増殖炉「もんじゅ」の延命を図ろうと画策しています。自民党というゴロツキ政治家どもの集まりが、いかに不勉強でパー助なのかは、この「もんじゅ」延命策の「みっともなさ」によく現れています。もちろん、文部科学省の官僚どもは、そんなことが実現できるなどとは思っておりません。ただ、「もんじゅ」に絡まりついた自分達の利権=甘い汁の素を守りたいだけなのです。

 

5.最後に

 この本の最後のところ、P189とP191に「日本の発電設備の量と実績」という表が出ています。ちょっと、その一部を書き出してみましょう。

 

● 2010年 福島第1原発事故前

          電源設備量万KW 設備利用率%

 電力会社 水力   4385    19.3   

      火力  13507    46.7

      原子力  4896    67.2

      その他    60    49.4

      合計     

 自家発電      5384    50.6

      総合計 28232    46.7

 

● 2012年 福島第1原発事故後

          電源設備量万KW 設備利用率%

 電力会社 水力   4465    17.2   

      火力  13980    60.0

      原子力  4615     3.9

      その他    62    51.5

      合計     

 自家発電      5611    55.3

      総合計 28733    43.4

 

 この数字は日本の電力供給に関して次のようなことを示していると言えます。

 

(1)福島第1原発事故前は、図体がでかくて融通のきかない原発を優先して稼働させ、それを火力が調整していた。ところが福島第1原発事故後は、全ての原発が止まり、火力が主力の発電手段として前面に出てきた。火力は、福島第1原発事故後においても、マスコミがヒステリックに「電力が足りない」「電気が足りない」と騒ぐほど稼働率は高くなく、余裕含みである。

 

(2)自家発電が大きなウェイトを占めており、かつ福島第1原発事故後は増大傾向である。この自家発電を重要な電源と位置づければ、更に日本の電力の供給体制は余裕が出てくる。現状は、理不尽にも、地域独占の既存大手電力会社の経営と利益が優先され、こうした自家発電が広く社会的なインフラとして多くのユーザーに使われるための「仕組み」ができていない(例えば配電網整備:妨害されている)。電力の自由化が極度に遅れている。

 

(3)にもかかわらず、真夏に「電力危機」などと言って騒いでいるのはなぜか。それは、いわゆる「ピーク電力」の調整=夏のほんの一時的な電力利用ピーク時を平準化する仕組み・努力・政策が決定的に欠けていて、むしろ、そのピークを放置して「電力危機」を演出して、世論をあおっている様子がうかがえることだ。ねらいはもちろん原発再稼働にある。「電力危機」を煽る最大の馬鹿ものは新聞・雑誌・TVなどのマスコミである。

 

(4)自然再生可能エネルギーへの取り組み努力がなおざりにされている。こんな状態で、先般、九州電力他5社の地域独占大手電力会社は、法律で義務化されている自然再生可能エネルギーの買い入れを拒否し始めた。

 

(5)電力業界と、それにまとわりつく利権集団こそが、日本最大の「抵抗勢力」である。これを崩壊させることができるのは、みなさま一人一人、つまり有権者・国民・市民です。みなさまの清き一票を自民・民主・及びその補完勢力以外へ、そして、みなさまの浄財を、大手電力以外の電気へ。

 

 原発を廃棄することは、単純に原発を止めることではなく、原発レジームという日本の今のありようを変えることです。誰かがやってくれることはありません。みなさまが「変わる」しかないのです。

草々

 

 

2014年10月29日 (水)

再び 「状況から」 「状況へ」(2):川内原発再稼働 立地自治体は同意、南相馬市の特定避難勧奨地点解除延期、もんじゅ、泉岳寺宣言 他

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 直近の原発・放射能・被ばく関連の問題をいくつか取り上げてコメントします。今回は 原発・放射能・被ばく関連の若干のこと、及び都市の景観・都市計画問題について、などです。

 

 <別添PDFファイル>

(1)南相馬の特定避難勧奨地点、月内解除見送り(福島民報 2014.10.25

(2)プロメテウスの罠 検証もんじゅ (朝日 2014.10.25,26

(3)マンション問題でシンポ 「景観守る法、必要」 「泉岳寺宣言」まとめる(東京 2014.10.27

 

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まず、「ふくしま集団疎開裁判」支援者の会からのお知らせ

 

★原告申込み 第3次締切り 2014年12月28日に決まりました。(第2次締切り10月31日 締切り後に人数はお知らせする予定です) その後も随時受付します 

 

●「ふくしま集団疎開裁判」HP

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/

 

次に、福島原発告訴団からのお知らせ

 

■原発事故被害者集会 開催!■

 福島原発告訴団は、「原発被害糾弾 飯舘村民救済申立団」「ふくしま集団疎開裁判の会」との共催で、「もう我慢はしない!立ち上がる 原発事故被害者集会」を開催いたします!

 現在、福島県内・全国各地で損害賠償訴訟やADR申立て、避難の権利を求める裁判などが次々と起きています。「このまま黙らされてたまるか!」という抵抗の火の手が上がっています。

 現状を少しでも良い方向へ変えていくため、被害者同士が声をあげ、立場を超えゆるやかにつながり、より大きな力となるための集会にしたいと考えています。ぜひお越しください。心からお待ちしております。

 

1116日 日曜日 13301630

福島市公会堂 福島市松木町17

主催 原発事故被害者集会実行委員会

賛同団体 県内外の原告団・弁護団など19団体(1028日現在)

*詳細・チラシのダウンロードはブログから

http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/10/blog-post_17.html

 

■東京地検が再捜査の期限を延長■

 東京第五検察審査会が起訴相当などの議決を出し、東京地検が再捜査を行っていましたが、1024日、地検は捜査を最大3か月延長すると発表しました。2015年の22日までに判断が下されます。十分な時間をかけて強制捜査を含むしっかりとした捜査を行い、検察が自らの手で起訴の処分を出すよう要請していきます。

*弁護団コメント

http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/10/blog-post_24.html

 

◇東京地検へ被疑者4人を起訴するよう「激励」ハガキを送ってください!

東京地検が検察審査会の議決を汲み取り、被疑者を検察自らの手で起訴するよう、ハガキにメッセージを添えて東京地検へ送ってください。

*文例・宛先などはブログをご覧ください

http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/10/blog-post_12.html

 

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福島原発告訴団 本部事務局

963-4316 福島県田村市船引町芦沢字小倉140-1

電話 080-5739-7279  メール 1fkokuso@gmail.com

ブログ http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/

 

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1.川内原発

 日本の地方政治も腐っているようだ。住民を守らない市長・市議会、福島第1原発事故を目の当たりにして、まだ原発稼働だと言っている人間達、しかも、その福島第1原発事故は、全く終わっていないし、被害者は放置されたままだ。将来の子どもたちがこの馬鹿もの達の様子を見たらなんと言うだろうか。

 

(1)東京新聞 川内原発再稼働 立地自治体は同意 市長が表明社会 (TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014102902000133.html

 

(2)毎日新聞 ■注目ニュース■ 川内原発再稼働を市議会採択

 国の新規制基準に初めて適合した九州電力川内原発が立地する鹿児島県薩摩川内市議会(26人)の臨時会が28日開かれ、川内原発の再稼働に反対する陳情を不採択にした。午後には再稼働を求める陳情が採択され、岩切秀雄市長も再稼働同意を表明する見通し。立地自治体として初の判断。

 

● 鹿児島・川内原発:薩摩川内市議会、再稼働賛成採択へ 市長、午後同意表明

 http://mainichi.jp/m/?EsrH9F


● 川内原発:市長、再稼働に同意 議会の賛成採択受け

 http://mainichi.jp/m/?MEa5Lu

 

2.(別添PDFファイル)南相馬の特定避難勧奨地点、月内解除見送り(福島民報 2014.10.25

 南相馬市でもどこでも、避難地域指定解除の決定をするのは、その地域に住む住民であって、国が一方的に住民を無視して解除などできるものではない。住民は理不尽な原発事故の被害者であることを忘れているのではないか。放射能汚染がなくなり、生活や仕事のためのインフラが整い、子どもの教育や老人介護などの施設も整って初めて、避難指定の解除ができる。現状のように、賠償・補償金を払いたくないが為、住民の被ばくを顧みることもなく、放射能汚染の状況をちょろまかしながら、かつ、被ばく限度の基準も無原則に棚上げにして、避難指示地域指定を解除する、などということは許されることではない。

 

 が、しかし、田村市や川内村など、他の解除地域でもそうだったように、最初は「慎重」であるかのごときポーズをとるために一旦延期をし、しかる後に住民の猛反対・反発を蹴飛ばして「解除」をする腹積もりなのだろう。ここでも人権侵害が続いている。

 



(別添PDFファイル)南相馬の特定避難勧奨地点、月内解除見送り(福島民報 2014.10.25

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014102518864

 

(関連)住民安堵と不安 徹底した対策求める声も 南相馬・避難勧奨解除見送り 東日本大震災 福島民報

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/10/post_10903.html

 

(参考)10月中の解除見送り~南相馬「特定避難勧奨地点」 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1848

 

(参考) 国が10月中の解除見送り~南相馬「特定避難勧奨地点」 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=AjiXRoX4CmI

 

3.プロメテウスの罠 検証もんじゅ =おふざけじゃないのよ、この人たち、いったい何やってんのよ

 

●「おふざけ・もんじゅ:その1」

 Yahoo!ニュース - (プロメテウスの罠)検証もんじゅ:7 点検漏れ議論なく (朝日新聞デジタル)

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141025-00000007-asahik-soci

 

(一部抜粋)

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 (前略)その3日後の1130日、文部科学省で、ある会議があった。原子力関係や経済の専門家がメンバーの「原子力耕学技術委員会もんじゅ研兜計画作業部会」。この年9月に策定された政府の革新的エネルギー・環境戦略にもとづき、もんじゅの成果をとりまとめ、役割を再整理する場だ。「本日の議題はもんじゅ等の研兜計画についてです」通常どおりに開会しかけた。そこへ、開発機構の敦賀本部長代理、広井博(65)が「もんじゅに関する報道についてご説明します」と立ちあがった。オブザーバーで出席していた。

 

 「点検計画の変更手続きの遅れが9月に1件確認され、自主調査がまとまったので報告しました」広井はそう切り出し、点検漏れの概要と、安全には問題がないことを話し、「品質保証の観点からは重大な問題と認識します」と話した。質問は出ず、約3時間、点検漏れは議論にならなかった。

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(田中一郎コメント)

 上記は民主党政権下の2012年の話である。山のような点検漏れ(手抜き)が分かっていながら「安全には問題がない」「品質保証の観点からは重大な問題」などと説明をする(独)日本原子力研究開発機構の人間、その話を聞いても「質問は出ず、約3時間、点検漏れは議論にならなかった」状態のまま、もんじゅの存続・継続を決めてしまう「原子力耕学技術委員会もんじゅ研兜計画作業部会」。なんじゃ、もんじゃの、もんじゅの、寄生ダニのような連中の、これが実態だ。「科学技術委員会」などとは、よく言ったものだ。ちなみに、この高速増殖炉「もんじゅ」は、ただただ、核兵器用のプルトニウム239の生産が目的で、(それを隠して)存続させられている代物だ。

 

 そして大事なことをもう一つ、民主党も自民党も、ちーとも変わりゃせんぞ、ということだ。詐欺かゴロツキか、どっちがいいですか?

 

●「おふざけ・もんじゅ:その2」

 Yahoo!ニュース - (プロメテウスの罠)検証もんじゅ:8 「ミスは起こりえる」 (朝日新聞デジタル)

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141026-00000010-asahik-soci

 

(一部抜粋)

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 「もんじゅ」で起きた大量の点検漏れは、原子炉等規制法の保安規定順守義務に違反する。原子力規制委員会は保安検査官大林昭(56)らによる検査が終わった翌日の2012年12月12日、点検漏れは違法なものだと認定した。

 

 翌12月13目、規制委の会議室。原子力規制庁長官の池田克彦(61)が、日本原子力研究開発機構理事長の鈴木篤之(71)に、命令文書を手渡した。池田は鈴木に、原因の究明と再発防止策を報告するよう求めた。発足直後の規制委が、事業者に厳しく対処する姿勢を示した。池田が明かしたやりとりによると、鈴木は「安全のプロ集団として恥ずかしく思う。初歩的、低次元のミスで厳しく受けとめます」と話した。だが、こう付け加えたという。「ミスは常に起こりえます。形式的ミスはやむを得ません」

 

(中略)鈴木は2001年から9年間、原子力安全委員をつとめ、2006年には委員長に就任、日本の原子力安全の中枢をあゆんできた人物だ。命令を受けた5カ月後、鈴木は問題の責任をとり理事長を辞任する。

 

(中略)鈴木は2013年5月16日の衆院原子力問題調査特別委員会で、「形式的ミスとはいっていない」と否定した。そしてこう説明した。「安全には実体的安全と手続き的安全がある。もんじゅは停止中なので実体的安全は確保されている。しかしそれでは不十分なので、手続き的安全を進めなければいけない」

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(田中一郎コメント)

 鈴木篤之、こんなやつが約10年間にもわたり、日本の原発の安全性の総責任者だった。福島第1原発事故もさもありなんであり、かつ、こういう人間たちが今も原発・核燃料施設を牛耳っていることも、何ら変わりはない。つまり、原発・核燃料施設過酷事故は、今後も必ず起きるであろう、ということだ。

 

4.「泉岳寺宣言」まとめる マンション問題でシンポ「景観守る法、必要」(東京新聞)|東京|dメニュー(NTTドコモ)

http://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tokyo/region/tokyo-CK2014102702000147

 

(田中一郎コメント)

 日本という国は、都市空間や土地などを、平気で不動産業者や建築業者に売り渡し、目先の金もうけのために、見苦しくも醜悪なる建造物を乱立させている国である。島国根性というよりも、公的モラルと街並みの美的センスが「サイテー」の「スラム国家」「貧相強欲人間のカネゴン国家」である。記事は、品川区の地域住民の動きのことを報じている。ある日突然、自分の家の南側に巨大マンションが建設され、あっという間に自宅が日陰に入り、醜悪なる景観だけが日々目につく状態となりかねない、そんな日本の都市計画の現状に「NO!」の声を挙げ始めたという話である。

 

 目につくのは品川区役所の態度、法的に問題がない、などと言い逃れをして住民を守らず、徹底して建設・不動産業者を守る姿勢だ。しかし、この品川区、ついこの間区長選挙・区議補選があったばかりで、投票率が何とわずか23%だとか。4人に1人しか、投票に行っていない、そんな自治体である。この品川区役所の態度だが、この区民にして、この区役所、のような気がしないでもない。自分の街並みや自分の住まいは、自分たちで守らなくてどうするのか。そのためには、選挙に行って、ちゃんとした人間を区長にしたり区議にしたりしないと、できるわけがないではないか。

 

5.その他

(1)有機農業ニュースクリップ

 http://organic-newsclip.info/

 

(2)朝日新聞デジタル:甲状腺検査 継続的に受けて - 福島 - 地域

http://www.asahi.com/area/fukushima/articles/MTW20141024071190002.html

 

(3)原発の建屋カバー 強風で破れる NHKニュース

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141028/t10015753161000.html

 

(4)放射線を浴びたX年後 3 棄てられた被ばく者

 http://www.ntv.co.jp/document/

 http://vod.ntv.co.jp/f/view/?contentsId=8479

 

(5)スマートメーターで電磁波被害や盗聴? 米で普及に壁

 http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78472460W4A011C1000000/

 

(一部抜粋)

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なぜ消費者は、スマートメーターの導入を拒むのか。消費者の中には、スマートメーターは電磁波を使って情報を送信するので、電磁波による健康被害の懸念や盗聴の可能性、プライバシーの侵害、データの正確性、さらに火災の可能性などを反対の理由に挙げている。反対派は、スマートメーター設置は「合法的ではない」と主張する。確かに、スマートメーターの設置を法的に定めている州は存在しない。

 

 ネバダ州では、スマートメーターが発火して火災に発展したという報告が、これまでに9件あった。ネバダ州の電力会社NV Energyは、15分ごとに使用量を計測するスマートメーターを、これまで州内に110万台設置した。州公益事業委員会は、電力会社と地元の消防機関から得た情報を基に、メーターの安全性に関する調査を行っている。20147月末には、オレゴン州の電力会社Portland General Electricが、火災発生の懸念から、7万台のスマートメーターを取り替えることになった。

 

 取り替える対象になったメーターは、米国ノースカロライナ州のSensusが製造した「2S Gen3 RD」というモデルである。このメーターは、主に賃貸住宅向けに20102012年に設置された。製品自体にリコールはかかっていないが、電力会社は安全性を重んじて、自主交換に動いた。

 

 ペンシルバニア州の電力会社PECO Energyも、設置したSensusのスマートメーターが過熱・発火して火災が生じたために、全てのスマートメーターを自主的に取り替えた。フロリダ州の電力会社Lakeland Electricも、20148月に1万台以上のSenus製スマートメーターを取り替えると発表した。

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草々

 

(その2) 新刊書ご紹介 『被ばく列島』(小出裕章・西尾正道著:角川ONEテーマ新書):放射能と被ばくに関する基礎知識や必須情報が平易な「対談」言葉の中に満載、必見です

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

(昨日のメールの続きです:最初の部分は昨日のメールをコピー&ペーストしておきます)

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「天高く馬肥ゆる秋」は「読書の秋」です。その秋にぴったりの好書が出ました。下記にご紹介する『被ばく列島』(角川ONEテーマ新書)が、まさにそれです。私たち脱原発・脱被ばく市民にとっての必読書です。放射能と被ばくに関する基礎知識や必須情報が、平易な「対談」言葉の中に満載されています。著者は、脱原発・脱被ばくの世界で著名なお二人=小出裕章京都大学原子炉実験所助教と西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長です。

 

以下、複数回に分けて、この新書から、私が特に注目すべき重要箇所と思った部分のうち、ほんの一部だけを取り出して皆様にご紹介申し上げます。このメールが、みなさまの秋の食欲とともに、この新書への読書欲をかきたてることを願っております。

 

 <新書ご紹介>

●『被ばく列島』(小出裕章・西尾正道著:角川ONEテーマ新書)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033163383&Action_id=121&Sza_id=C0

 

 <別添PDFファイル>

(1)NO.5 ガラスバッジの罠 (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

(2)NO.6 除染についても物申したい (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

(3)NO.7 放射線の概念とその単位 (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

(4)NO.8 海洋汚染は、なぜ深刻か (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

1.NO.5 ガラスバッジの罠 (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 放射線が当たったバッジの中にある特殊なガラス素材は紫外線窒素レーザーを当てると発光する(ラジオフォトルミネッセンス現象)ので、その蛍光量を測定し、被ばく線量を測ります。しかしこのガラスバッジは放射線の方向性に絡んできますし、背後からの放射線は体を通過してからガラスバッジに当たりまずから減弱して測定されます。また外部被ばくの線量は、1センチメートルの深さの線量で代替えするので、空間線量率からの計算と比べると低い値となり、被ばく推定値の約60%となります。

 

 事故直後のように線量が高い場合は、ガラスバッジはそれなりに被ばく線量の評価手段として使用できます。しかし3年も経過した今では、実際に被ばくした線量の4分のl程度しか出ないし、さらに線量が低い地域では感光限界(100マイクロシーベルト)の問題もあり、20分のl以下となるともいわれています。低く出た測定値を振りかざして為政者は帰還政策の1つとして利用しようとしているのです。ガラスバッジで低い測定値を根拠に帰還を促す罠には気をつけてもらいたいと思います。

 

 実際にいろんな職種がガラスバッジを使っていますが、最も被ばくしている診療放射線技師でも平均0.8ミりシーベルトで、医師は0.31ミリシーベルトです。またこうした職業被ばくをモニタリングしている人たちは、放射線防護の教育訓練や健康診断が義務づけられています。そういう点では、ガラスバッジを配って、少ないからといって、帰還させようとしていますが、これ自体も大変大きな問題です。ガラスバッジを持っている人は、職業被ばくの範疇として考えて、放射線についての教育訓練と最低限年1回の健康診断をするのが筋です。

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(田中一郎コメント)

 ガラスバッジは、利用の仕方による様々な理由から、放射線被曝の実態よりもかなり低い値を示すものだということはわかっていましたが、ガラスバッジ自体が上記のように、そもそも被ばくの実態を表さないものであることは知りませんでした。高線量域で使った場合で実態の約60%程度、低線量域だと実態の約1/4以下、ひどい場合には1/20以下だというのには驚きです。こんなものをシロウトの地域住民に持たせて、あたかも放射線被曝の量がたいしたことはない、十分に低いと信じ込ませて帰還を促すなどということは、これはもう犯罪ですよ。単なる詐欺ではなく、詐欺ならびに殺人・傷害罪です。

 

 それから、このガラスバッジによる被ばく量の測定は、内部被曝がカウントされていないことに十分な注意が必要です。食べものからくる内部被曝を仮に問わないとしても、放射能汚染地帯に居住すれば、呼吸による被ばくや皮膚の傷口から侵入してくる放射性物質による被ばくは、累積すると相当に大きなものになってしまいます。特に妊婦や子どもたちの呼吸被ばくは非常に懸念されるところです(最近では、福島県その他の放射能汚染地帯であっても、マスクもしなくなったし、ちりやほこりが舞い上がるような校庭やグランドで体育の授業や部活、各種スポーツや運動会などがなされていると聞いています。やめた方がいい、危ない限りです)。恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)の危険性は、何度強調しても言い過ぎることはないようです。

 

 福島県の浜通り地方・中通り地方のみなさま、そして、それ以外の都県のホット・スポットや放射能汚染地帯に居住されているみなさま、一刻も早く避難・疎開・移住をされてください。このままでは危険です。(千葉県の事例ですが、下記のようなことが危ないことの一つであり、また、日常茶飯に起きます)

 

● 枯れ木燃やし煙 児童14人搬送 NHKニュース

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141028/t10015752551000.html

 

2.NO.6 除染についても物申したい (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 また除染に関しては無駄なことをしています。政府は除染の目的は50%といっているが半減期約2年のセシウム134の時間的な減弱が40%、10%が除染作業で、トータル50%という、そんな馬鹿げた計算をしているわけです。安心安全プロジェクトの吉田邦博さんの実測データでは、家の外壁と室内の内壁を比較すると、壁の遮蔽率は12%程度ですし、除染前と除染後の比較では低減率は25%です。しかしこの低減率の20%は半減期2年のセシウム134の自然減弱によるものです。

 

 (中略)また、つねに政府や行政のやっていることは、後出しジャンケンです。だから人間では体表面汚染が6000CPM(カウント・パー・ミニッツ)以上は除染が必要とされていますが、SPEEDIのデータ公開を止めた県知事は、2011年3月13日には1.3万CPMまでOKとし、さらに翌14日には基準を10万CPMにまで引き上げました。とんでもない数値です。

 

 また政府は年間1ミリシーベルトを、これは無理だと思ったら、20ミリシーベルトに上げる。作業員は緊急時100ミリシーベルトだったのが、急逮250ミリシーベルトまで上げる。・・・・・

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(田中一郎コメント)

 できもしない除染を、なんとかちょろまかして、できているように見せかけようとしているのがよくわかります。少なくとも半減期が比較的短い放射性セシウム134や、その他の1~5年くらいの半減期の核種が自然減衰するのを待っていればいいものを、ゼネコンをはじめ原子力ムラ団体や業者を使って、除染と称する「移染」をやり、巨額の財政資金を浪費しているわけです。そんなお金は、被害者の方々の避難・疎開・移住のために使えばいいのです。

 

 それから、「後出しじゃんけん」もインチキの一種です。つまり、原子力の世界は原発も放射能も被ばくも、何から何まですべてインチキ、ペテン、ゴマカシ、隠蔽、矮小化、歪曲、過小評価、根拠レス、楽観等々、およそあらゆる単語を並べても足りないくらいの出鱈目が「てんこ盛り」です。要するに、原子力ムラ・放射線ムラが、有権者・国民・市民や地域住民を「なめてかかっている」「馬鹿にしている」「虚仮にしている」ということです。

 

● 被曝限度20ミリシーベルト (/年) なんて,とんでもない(1) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/20-36a0.html

 

● 被曝限度20ミリシーベルト(/年)なんて,とんでもない(2) いちろうちゃんのブログ http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-9848.html

 

 チェルノブイリ原発事故後、国際原子力マフィアの一角である国際放射線防護委員会(ICRP)は、どうにも手がつけられない放射能汚染と人々の被ばくについて「現存被爆状況」なる言葉を「開発」しました。なんだか自然現象のようですね。しかし、その「現存」なるものは、自然現象でも神様からの賜りものでもありません。やらなくてもいい原発・核燃料施設を運転して、しかも設計上の欠陥(チェルノブイリ原発事故、スリーマイル島原発事故)やずさんな安全管理(福島第1原発事故)が原因で過酷事故を引き起こした結果としてそうなっているのです。「現存」などという言葉がふさわしくない、ものごとの本質や実態を表現していないのは明らかですね。たとえば、「原発事故被爆状況」とか「安全管理手抜き過酷事故被爆状況」とか、表現されてしかるべきものです。

 

 きわめつけは、原発・核燃料施設の過酷事故がない状態での放射線被曝のことは「計画被爆状況」などと称していることです。つまり、原発を動かして、地域住民や作業員らを計画的に被ばくさせますよ、と言っているわけです。その背景にある考え方は「ちょっとぐらい被ばくしたって、大したことはねえんだから、なんで被ばくがよくねえんだよ」という、原子力ムラ・放射線ムラの「居直り」です。ふざけんじゃねえ、とやり返しましょう。「計画被曝状況」は「加害被曝状況」とか「計画的加害被曝状況」と言い変えましょう。

 

● 放射線防護の最適化-現存被ばく状況での運用- -首相官邸ホームページ-

 http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g36.html

 

(いわゆる「ALARA」原則などが説明されています。簡単にいえば、放射線被曝防護や除染などは、「カネや費用がかかるから、ほどほどにしとけ、ちょっとくらいは我慢しろ」ということです。「じゃかましい」と言い返しましょう。「放射能で環境を汚した奴が、さっさとそれを元通りに戻せばいいだけの話だ、費用は、汚した奴が負担するのは、あったりまえだ」と更に言い返しましょう:田中一郎)

 

3.NO.7 放射線の概念とその単位 (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 放射線に関する単位と概念のまとめを図表27に示しますが、人体の影響を考える場合の実効線量シーベルト(Sv)は、吸収線量(Gy)× 放射線荷重係数×組織荷重係数、となります。なお、1Sv=1、000mSv=1,000,000μSvです。人体への影響は単にSvの単位を用いて考えています。しかし、実際の影響は、時間的因子(急性か慢性か)、被ばくした範囲(全身か局所か)、被ばく形態(外部被ばくか内部被ばくか)によりその影響は異なります。

 

 ところで、医療法や放射線障害防止法では放射線発生装置を設置している病院などの放射線管理区域は、3カ月で1.3ミリシーベルト以上、管理区域の境界から出していけないと決まっています。放射線管理区域では労働基準法で18歳未満の就業は禁止され、また医療法では飲食が禁止されていますが、今は妊婦も子どもも住まわして、飲み食いもさせているという状態です。労働基準法違反や医療法違反をしている異常な事態です。

 

 また調べていて分かったことは、ICRPが年間1ミリシーベルトを一般公衆の基準にしているのですが、日本にはこうした基準はなく、原子力規制の法律において原発敷地外には年間1ミリシーベルト以上出してはいけないという法律があるだけです。

 

 (中略)セシウム137のエネルギーは662キロエレクトロンボルト(KeV)です。(人間の体内の水の水素と酸素の結合エネルギーに比べて:田中一郎が補記)約10万倍高いエネルギーです。なぜこんなに違うエネルギーの問題を考えないのか。海洋汚染の問題でトリチウムは分離できず大量に海に流出していますが、最近になって政府はトリチウムのエネルギーは低いので人体への影響は少ないと弁明していますが、冗談ではない。

 

 トリチウムの平均エネルギーは、57KeVぐらいですから、体内の電気信号の約1、000倍です。原発稼働により、トリチウムは事故が起こらなくても大量に海に出されていますから、周辺地域の人たちの健康被害はトリチウムが関与していると私は考えているくらいです。

 

 (中略)それから30~40年前は中性子線による放射線治療の研究がなされました。それは、同じエルギーでも普通のX線やγ線、β線より1.7倍くらいの殺細胞効果がある。同じ放射線の量でも1.7倍くらい細胞に障害性を持つということで中性子線が注目されました。しかし深部に到達することが難しかったので中性子線治療は止められ、今やられているのは、陽子線とか炭素イオン線を使った粒子線治療です。

 

 (陽子線とか炭素イオン線などの粒子線治療装置は:田中一郎が補記)X線やγ線、F線に比べて、1.1~3倍程度の強い効果があるとされています。それは線エネルギー付与(LET=リニアエネルギートランスファー)という言葉で説明されますが、同じエネルギー量の放射線でもどんな放射線の種類かによって軌道内の電離密度の違いがあり、細胞障害性が違います。炭素イオン線などは高LET放射線で、通常の診断用に使用するX線は低LETの線質です。核反応生成物は最も高いLETの線質です。従って、より影響が強いのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 大事なところです。要するに、シーベルトなどという放射線被曝の単位は内部被曝の実態を表していないということです。放射線被曝を考えるときは、難しく考えるのをやめましょう。ポイントは、αだろうが、βだろうが、γだろうが、Xだろうが、およそ放射線はものすごいエネルギー(勢い)を持っていて、人間の体にぶち当たると、それをめちゃくちゃに壊してしまうということです。人間の体を造っている細胞、その細胞を造っているさまざまな分子は、いわゆる水素とか酸素とか炭素などの原子(元素とも言います)が結合してできていますが、その結合のエネルギー(結びあう力)に比べたら、放射線のエネルギーはすさまじく大きいということです。

 

 これを直感的に理解するには、猛烈な勢いで飛んでくる硬式野球のボールを自分の顔面で受け止める事を想像してみてください。ボールのエネルギーは顔面にぶち当たることで、顔面に吸収されます。しかし、あなたの顔面は、そのおかげでボロボロになるでしょう。それと同じようなことが放射線被曝なのです。あるいは、燃え盛るまきストーブの横で暖をとるのが外部被曝、そのストーブの燃え盛るまきを口から飲み込むのが内部被曝です。さぞ、熱いことでしょう。

 

●(増補版) 放射線被ばく評価の単位 「シーベルト」 への疑問 いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-9ead.html

 

● 放射線被曝の単位「シーベルト」はどのようにインチキなのか? いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-1ba9.html

 

 それから、上記で出てくる中性子線のことですが、この中性子線の殺傷力を利用したものが「中性子爆弾」です。中性子爆弾は、原爆や水爆などの他の核兵器とは異なり、建造物を破壊せず、その中にいる人間を含む生物を皆殺しにする爆弾として開発されたと、かつて言われていたことがあります。最近では、あまり聞かなくなりました。また、この中性子線の危険性が注目されたのが、1999年の茨城県東海村でのJCO臨界事故です(JOCではありません。それは日本オリンピック委員会のことです。JCOです)

 

● 東海村JCO臨界事故 - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%B5%B7%E6%9D%91JCO%E8%87%A8%E7%95%8C%E4%BA%8B%E6%95%85

 

4.NO.8 海洋汚染は、なぜ深刻か (『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 しかし現在のような放射能汚染水の流出が発表される前のものですから、今はもっと深刻だと思います。海洋汚染の情報をキャッチしている情報大国の米国は2013年の7月に、緯国は9月に日本の海産物の輸入を規制しました。韓国が規制した時に新聞は大きく取り上げましたが、実は米国が7月にいち早く規制し、9月にはさらに規制を拡大しています。報道されませんが、本年(2014年)5月23日現在、63カ国において放射性物質による汚染に関わる輸入規制が行われています。

 

 (中略)(放射性ストロンチウムが:田中一郎が補記)神経細胞間の神経伝達物質の組成成分の1つであるカルシウムと置換し、本来の神経伝達物質としての機能を果たせなくなる。そういうことで何が起こるかというと、自閉症スペクトラムの症状に似た発達障害を生じるという可能性です。ストロンチウムも発がんだけでなく発達障害に関与している可能性も考える必要があります。

 

 (中略)核分裂は基本的には、質量数約130~140のセシウムやヨウ素と質量数約90前後のストロンチウムなどにほぼ等分に分裂して自然界に出されますので、ストロンチウムは大量に海に行っています。測定していないだけの話です。またストロンチウムは骨に取り込まれますから、白血病などの骨髄疾患の発症をもたらします。そのためセシウム以上に純β核種のストロンチウムのほうが実際には深刻だと思っています。

 

 (中略)セシウムは体内ではカリウムと類似した動態ですので、カリウムとチェンジすることによって、心筋の伝導障害を起こし、ポックリ死の原因となります。年をとってから冠動脈の血管障害で心筋梗塞を起こすのとは違って、不整脈や心伝導系の障害を起こします。カリウムは多くても少なくても心拍の異常をきたします。米国では死刑執行にカリウムを点滴し心臓を止めています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 汚染水による海洋汚染で最も懸念されるのが放射性ストロンチウムです。この問題については、下記の諸点を追記しておきます。

 

(1)放射性ストロンチウムは、人間の体内に入ると骨や歯に蓄積するとともに、容易には体外に出てきません。従って、放射性ストロンチウムを摂取し続けると、どんどん体の中に蓄積してたまって行くことになります。しかも、その蓄積する場所が骨ですから、人間の体内でも最も細胞分裂が盛んな場所である骨髄が半永久的に被ばくさせられることになってしまいます。人間の体内では、偏りはあるとはいえ、1か所に集中することなく全身に広がって蓄積し、一定期間を経ると、相当程度体外に出ていく放射性セシウムに比べると、放射性ストロンチウムの危険性はかなり大きいと考えていいでしょう。

 

(2)また、放射性ストロンチウムについては、放射性物質としての危険性ではなく、化学的性質としての危険性も考慮することが大事だということ=つまり、放射性ストロンチウムと類似の化学物質であるカルシウムと、人間の体内で入れ替わってしまう可能性があるということです。その結果が、神経伝達組織での機能障害などで(これに限らない)、放射性ストロンチウムの恐ろしい毒性は倍加されるのです。更に、科学者の中には、放射性物質の化学毒性と放射性毒性は、いわゆる「相乗効果」を引き起こし、単純に1+1=2ではなく、3にも4にも、なってしまう可能性もあると指摘している人もいます。

 

(3)にもかかわらず、放射性ストロンチウムは、放射性セシウムの1/10程度で見ておけばいい、などという非科学的・非実証的な出鱈目な理由づけで、まともに調査・検査されておりません。福島第1原発事故から3年半もたつというのに、放射性ストロンチウムの調査・検査体制は全くできておりません。ご承知の通り、福島第1原発から放射性ストロンチウムを含む大量の汚染水が毎日のように海に流れ出しており、海洋生物群にそれが蓄積し、生体濃縮を引き起こしていることはまず間違いありません。東日本産の海産物を食べることは危険です。福島沖や茨城沖あるいは宮城沖などでの漁業は、いわゆる試験操業も含めてやめさせなければなりません。わずかばかりの漁獲物の放射性セシウムだけを調べていても、放射能汚染の実態はわからないのです。

 

(4)放射性ストロンチウムの調査・検査をするのは大変だ、などの理由を付けて、危険極まりない放射性ストロンチウムの調査・検査を棚上げにしてしまっていますが、そもそも放射性ストロンチウムの検査方法が簡易化されてきていること、放射性ストロンチウムに限らず、まず「ベータ核種トータル」で調べてみて、そこで高い値が出たものを更に綿密に調べるという方法もとれること、そして何よりも、放射性ストロンチウムを溜めこみやすいもの=野生生物や被ばく牛・家畜や海洋生物などの骨や歯を定期的に採取してしらべていけばいいのです。たとえば、福島県をはじめ、関東・東北各地の家畜の屠畜情に行けば、大量の家畜の骨があるでしょう。それを定期的に調べる方法だってあるではないですか。

 

●(セシウムの百倍の危険性) 放射性ストロンチウムをなぜ調べないのか いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-cc7b.html

 

(5)それから上記で言及されている海外諸国の放射能汚染食品に対する輸入規制の概要は下記の農林水産省のサイトをご覧ください。アメリカの輸入規制については、何にも言えない日本政府の人間達・自民党や民主党の政治家達が、日本にとっては大切な隣国・韓国の輸入規制については、理不尽きわまる高圧的な態度で「規制を撤廃せよ」などと暴言を吐いています。この国の政府・役人は、人間のクズのような連中です。

 

● 農林水産省-東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応

 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html

 

●諸外国・地域の(輸入)規制措置(2014年10月1日現在)

 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/141001_kakkoku_kisei.pdf

 

 それと、もう2つ。

 西尾正道氏(元(独)国立病院機構北海道がんセンター長)がお書きになっているように、原子炉内にある核燃料はウラン235やプルトニウム239などですから、だいたい230~240くらいの質量数(原子核の陽子と中性子の数の合計)ですので、これらが核分裂をしてできるのは、放射性セシウムや放射性ヨウ素などの質量数が130~140くらいの放射性元素と、放射性ストロンチウムなどの質量数が90くらいの放射性元素です。この2つの合計が、だいたいで230くらいになっているということです。つまり、核分裂して出てくるのは、放射性セシウム・放射性ヨウ素などと、放射性ストロンチウムなどは、だいたい量的に似たようなものだ、ということを心得ておいた方がいいということです。(質量数の数が合わない分(約10弱)は放射線になって飛んでいく、と解釈できます)

 

 それから最後の記述、セシウムとよく似た物質のカリウムですが、米国で死刑執行=心臓を止める に使われているというのは、いかにもショッキングな話ですね。そのカリウムに似た放射性セシウムが心臓に侵入してくれば、心臓ショック=心筋梗塞を引き起こして突然死する、というのは十分に理解できる話です。いわゆるセシウム心筋症(突然死)は、チェルノブイリ膀胱炎や甲状腺がん、白内障や白血病、それに小児糖尿病や死産・流産などとともに、チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国で多発し、いまや放射線被曝による健康障害の大きな経験・教訓となっています。

草々

 

 

2014年10月28日 (火)

新刊書ご紹介 『被ばく列島』(小出裕章・西尾正道著:角川ONEテーマ新書):放射能と被ばくに関する基礎知識や必須情報が平易な「対談」言葉の中に満載、必見です (その1)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

「天高く馬肥ゆる秋」は「読書の秋」です。その秋にぴったりの好書が出ました。下記にご紹介する『被ばく列島』(角川ONEテーマ新書)が、まさにそれです。私たち脱原発・脱被ばく市民にとっての必読書です。放射能と被ばくに関する基礎知識や必須情報が、平易な「対談」言葉の中に満載されています。著者は、脱原発・脱被ばくの世界で著名なお二人=小出裕章京都大学原子炉実験所助教と西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長です。

 

以下、複数回に分けて、この新書から、私が特に注目すべき重要箇所と思った部分のうち、ほんの一部だけを取り出して皆様にご紹介申し上げます。このメールが、みなさまの秋の食欲とともに、この新書への読書欲をかきたてることを願っております。

 

 <新書ご紹介>

●『被ばく列島』(小出裕章・西尾正道著:角川ONEテーマ新書)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033163383&Action_id=121&Sza_id=C0

 

 <別添PDFファイル>

(1)NO.1 原発の立地周辺地域でもガンが多発している 北海道泊村のデータ(『被ばく列島』 小出・西尾著)

(2)NO.2 根拠となる被ばく実測データがない(『被ばく列島』 小出・西尾著』)

(3)NO.3 セシウム・ホットパーティクルに注目せよ(『被ばく列島』 小出・西尾著)

(4)NO.4 瓦礫を燃やした結果(『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

1.NO.1 原発の立地周辺地域でも、がんが多発している 北海道泊村のデータ (『被ばく列島』 小出・西尾著)

 

(以下、一部引用)

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 また世界的には原発事故が起こらなくても原発立地周辺の子どもの健康被害は報告されています。実際に北海道の泊原発なんかの周辺地域では、がんの患者数がダントツに多い。道内平均の1.4倍程度です。岩内町と積丹町は近隣町ですが、これらの原発周辺地域でも年齢補正をしてもがん死亡率が増えています[図表9]。この集計は北海道庁管轄の北海道健康づくり財団(理事長は北海道医師会会長)によるものです。事故が起こらなくても水の形で存在してβ線を出すトリチウム(三重水素:H3)が関係しているのだと、私は思います。この問題は本当に難しく、放射化したものが水の組成になっていますから、体の中に入ったら分離できないし、測定できないでしょう。福島事故後に続いている海洋汚染水にも大量のトリチウムが含まれています。

 

 私の友人である濁協医科大学放射線医学講座の名取春彦医師は、DNA合成期の細胞のDNAにトリチウムが取り込まれていることを画像で証明しています。

 

(中略)実際にカナダの重水を用いる原子炉(CANDU炉)のトリチウム排出と、その結果の周辺地域に住む子どもたちの健康被害(ダウン症、新生児死亡率、小児白血病)の増加が報告されています。

 

(中略)関西電力は美浜、高浜、大飯の3原子力発電所から2010年度(20104月~20113月)の1年間で13.4兆ベクレルのトリチウムを、液体の形だけで(若狭湾に)放出しています。

 

 生命現象に重要な役割を果たしているすべての化合物の中には水素原子がありますから、その放射化した水素が影響はないとはいえません。分かっていないだけの話です。ですからまったく無根拠にトリチウムは影響がないという政府の言い訳は説得力がありません。原発を稼働させるだけで、事故が起こらなくても、トリチウムは大量に海に放出されますので、原発稼働そのものが健康被害の原因となりえるのです。

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(田中一郎コメント)

 原子力ムラやその代理店政府だけでなく、脱原発を主張する学者や活動家の中にも、トリチウムの有害性・危険性について、軽率な発言をする人がいるようですので要注意です。確かに、その他の放射性核種に比べてトリチウムが放つベータ線(トリチウムはβ核種です)のエネルギーは比較的小さいですが、それでも私たちの体の細胞を形作る分子の結合エネルギーに比べたら、とてつもなく大きく、その破壊力は甚大です。

 

2.NO.2 根拠となる被ばく実測データがない(『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 この間、甲状腺がんが問題になりましたけど、甲状腺の被ばく線量だって根拠となる実測したデータが全然ない。科学の基本的姿勢は現実のデータを把握することから始めなければなりませんが、こうした基本的な姿勢がなさ過ぎます。科学者としては失格です。それは事実を隠す姿勢にもつながりますし、具体的なデータがなければ国や東京電力にとっては訴訟されても有利です。事故直後に当時の国立がん研究センターの嘉山孝正理事長が大量に準備したガラスバッジ(図表23の中の写真参照)は、政府レベルで配布を止められました。しかし今になって、帰還を促すために住民にガラスバッジを配りだしました。

 

(中略)また何よりも、福島県内で空間線量率の高いところに住む人たちの生涯にわたる被ばく線量を測定して、長い年月をかけてどういう健康被害が出るかという実測値との相関をきちんと分析する対応が一番大事なことだと思います。もちろん小児の甲状腺がんの検査だけではなく、職業被ばくに準じた地域に住まわしているわけですから法治国家であるならば住民全員に対して、法律に従って放射線に対する教育訓練や健康診断をするべきです。

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(田中一郎コメント)

 福島第1原発事故で環境放出された放射能によって、福島県民のみならず、広く東日本の汚染地域の住民の初期被ばくは、原子力ムラ代理店政府やその下請け自治体によって、ことごとく妨害され、あるいは「未必の故意」により、不作為のまま放置されました。たとえば「福島県民健康管理調査検討委員会」が「裏委員会」を開いて、尿検査実施案の握りつぶしをしていたことは今や有名な話となっています。それどころか、SPEEDI情報の隠ぺいやヨウ素剤服用の妨害など、地域住民の命と健康を放射能による被ばくから守る行政としての当然のことを、放棄したり妨害したりする行為を、日本の行政は繰り返していたのです。上記のことも、そうしたことの一環として、追加的に判明した事実です。こうしたことは「犯罪」として、きちんと裁かれ、その責任が追及されるべきです。

 

3.NO.3 セシウム・ホットパーティクルに注目せよ(『被ばく列島』 小出・西尾著)

 

(以下、一部引用)

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 しかし、つい最近になって、気象研究所の人が汚染をずっと調べて、試料を少しずつ分画していったら、セシウムは分散しているわけじゃなくて、塊で存在していることを見つけた。溶けていなくて、粒子になって、他の金属なんかと多分、混合して合体して、粒子として存在している。そうすると溶けないんです。

 

 それはセシウムが放射性微粒子として存在しているということ、いわゆるセシウム・ホットパーティクルですね。

 

 事故後に生じた鼻血もこうした大気中に浮遊した塵と結合したセシウム・ホットパーティクルを吸い込み、湿潤した鼻腔粘膜に付着したため局所的に被ばくしたことによるものだと説明がつきます。2013年8月末の『ネイチャー』電子版に筑波の気象研究所で事故後の大気中の浮遊塵を捕集した研究で、放出されたセシウムを高濃度に含む不溶性の球状微粒子について足立光司氏が報告しています[図表20]。ICRPは低線量被ぱくの影響をブラックボックス化していますが、これが体内に影響するわけですから、かなり考え方を変えるべきだと思いますし、低線量被ばくによる諸症状の説明もつきます。

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(田中一郎コメント)

 このホット・パーティクルですが、サイズは様々です。そして、そのサイズが小さいもの=いわゆるナノサイズ・ホット・パーティクルは、中でも要注意ではないかと思われます。何故なら、血管やリンパ管などの中に入り込み、全身を駆け巡ぐる可能性があり、その場合の挙動が良くわからないからです(下記参照)

 

●(セミナー報告)PM2.5とナノ粒子=次世代へのリスクを減らすために知っておきたいこと (& ナノサイズの放射性物質=ホットパーティクルの危険性を推測する)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/pm25-e3f5.html

 

4.NO.4 瓦礫を燃やした結果(『被ばく列島』 小出・西尾著』)

 

(以下、一部引用)

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 こういう低線量のところに住むことは、単純に空気中の問題だけではない。例えば瓦磯を北九州市が行って、燃やした。2013年1月15日の九州各県(佐賀県・福岡県・長崎県・熊本県)の空間線量率グラフを見ると、見事に福岡県だけが、瓦磁を燃やしているので高くなっています[図表21]。周辺の他の3つの県は、0.05マイクロシーベルト/時ぐらいで平坦に推移しているのに、福岡県だけが高い。

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(田中一郎コメント)

 放射能の管理は「徹底して閉じ込める」です。放射能汚染がれきを全国にばら撒いて燃やす、など、放射能のことを知らない馬鹿ものがやることです。何が「絆を大切に」ですか。放射能汚染と放射線被曝に有権者・国民を「慣らす」ための、原子力ムラ代理店政府のロクでもないたくらみです。馬鹿なことはやめさせなければなりません。お上や政府のやることは間違いがない、などと考えていることが間違いです。原子力時代にそんなことを信じていたら、殺されてしまいます。

草々

 

再び 「状況から」 「状況へ」(1):福島県知事選挙の結果について (「状況」から「状況」へ、勇気をもって立ち向かおう)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

直近の原発・放射能・被ばく関連の問題をいくつか取り上げてコメントします。今回は10/26に投票が行われた福島県知事選挙の結果についてです。危機の「状況」は深まるばかりですが、まだまだ私たちにやれることはたくさん残っていると思います。絶望せずに元気を出して、私たちの「火事場の馬鹿力」を出していきましょう。

 

 <別添PDFファイル>

(1)福島知事選が残したもの(東京 2014.10.28

(2)福島に原子力新拠点? 計画関与 推進派ズラリ、県環境創造センター(東京 2014.10.19

 

 <関連サイト>

(1)東京新聞福島知事選で原発争点ならず 統一地方選へ今こそ結集を特報(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014102802000170.html

 

(2)内堀氏が初当選 県知事選 県内ニュース 福島民報

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014102718882

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014102718879

 

<福島県知事選挙結果について(田中一郎コメント)>

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 「この知事選は世界が注目する選挙である」(熊坂義裕候補)にもかかわらず、その結果は「最悪の候補者:ウチボリ」に、この知事選挙で投票した福島県民の70%の支持が集まるという惨憺たる結末に終わってしまった。これにより、当分の間、少なくとも福島県は、これまで原子力ムラ代理店政府と、その下請け自治体である福島県庁が進めてきた従来政策が、これまで以上に強引・傲慢に継続拡大され、多くの福島県民には、これまで以上に不幸と災難が降りかかるであろうことは想像するに難くない(以下に「従来政策の骨子」を箇条書きにしておく)。また、この県知事選挙は福島県の周辺自治体や全国の原発立地自治体にも大きな影響を及ぼすことが考えられ、今現在、猪突猛進・安全確保棚上げ・立地住民無視で強引に推し進められている原発再稼働問題にもネガティブな影響を与えること必至である。

 

 この当選した「ウチボリ」という最悪の候補は、いわゆる「口先やるやる詐欺」一族のはしくれであり、今後の情勢次第では「県内全原発廃炉」も怪しい限りであると私は思っている。近い将来、廃炉とされるはずであったゾンビ原発の福島第2原発もまた、再稼働するという日がやってくることになるような気がする。「ウチボリ」候補とは、そういう役回りのために、原子力ムラ総連合政治勢力から推薦を受けて、このたび知事に当選した男である。つまり福島県民は政治的に愚かな選択をしてしまったということだ。

 

 そもそも県外の原発再稼働問題についてはノーコメントなどと称する知事が、まともに脱原発について行動するはずがないのである。「ウチボリ」候補が知らぬ存ぜぬを押し通した福島周辺に所在する女川原発や柏崎刈羽原発や東海第二原発、あるいは東海村の核施設などの再稼働や存続を黙認し、その結果、ひとたび大地震・大津波・大噴火が起きれば、おそらくは今以上の災禍を福島県民にもたらすであろうことは必至である。いやいや、はるか北方にあるなどと思い、自分達には関係がないと思っているかもしれない青森県六ケ所村の再処理工場や巨大な使用済み核燃料保管プール、あるいは東海村と六ケ所村にある高レベル放射性廃液保管施設などは、その猛烈な放射能の量によって東日本を壊滅させるに余りある「休暇中の水素爆弾」と言ってもいいような代物である。ただ、白いハンカチのようなベールをかぶされて、私たちや福島県民には見えないようにされているだけである。それがいつ牙をむき出し始めるかはわからないが、いつそうなっても不思議ではないのである。

 

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 <従来の福島第1原発事故後政策>

(1)崩壊した「原子力安全神話」に代わる「放射線安全神話」の確立を図る(そのために日本国内の似非学者・似非科学アカデミズムだけではなく国際原子力マフィアの力をフル活用する)。恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)の危険性については、徹底して隠蔽、誤魔化し、歪曲矮小化で推し通す。福島県の復興は「放射線安全神話」に立脚して進めることで、その費用負担の軽減を図り、併せて放射能への懸念や被ばく問題が今後の原子力推進の桎梏とならぬよう、あらゆる手を尽くして、福島第1原発事故による放射能汚染や放射線被曝は大したことがないかの如く、原発事故被害者や有権者・国民に対する世論対策を行っていく(国際放射線防護委員会(ICRP)の言う、いわゆる「ALARA原則」を周知徹底させていく)。

 

(2)福島県だけを囲い込んで福島第1原発事故後対策の集中地域とし、それ以外の放射能汚染被害地域は不作為を続けながら時間をかけて切り捨てる。

 

(3)福島第1原発事故の被害者に対する賠償は、原則として住民避難を命じた警戒区域や計画的避難区域などの人たちに限定し、それ以外の被害者に対しては「スズメの涙」ほどの「手切れ金」を交付することで、賠償・補償問題をねじ伏せる。また、賠償・補償の金額についても、さまざまなカラクリと屁理屈を用意して、徹底して切り詰め減額し、加害者・東京電力の負担を極力軽くする(東京電力の再建を急ぐため)。被害者住民に対しては、「兵糧攻め」をする目的で「子ども・被災者支援法」を棚上げし、他方で、賠償・補償金額に細かな差をいくつも付けることにより「分割し統治する」。被害者が集団で原子力ムラ政府やその下請け自治体に反旗を振りかざすことのないよう、福島県を中心に「原子力翼賛状況」を創りだす。フクシマ・エートスやその疑似運動(「食べて応援・買って支援」など)は、目立たぬように背後に回って応援・支援する。

 

(4)いわゆる「原発震災復興」を華々しくぶち上げ、人間の復興ではなく産業の復興・地域の復興を声高に大宣伝し、財政資金で政策展開される事業については、神聖不可侵の「利権集団」を(原子力ムラを中心に)形成しながら、その政治的キックバックにも期待して、ゆるぎない「原発過酷事故との共存による原発震災復興」を実現させる。その象徴的存在が、原子力ムラ企業群による(できもしない)「除染」であり、原子力ムラ・放射線ムラのみならず国際原子力マフィアまでもを誘いこんで創られる「福島県環境創造センター」である(別添PDFファイル、及び下記URL参照)

 

●(東京新聞)【特報】福島に原子力推進の新拠点? 「環境回復」名目のセンター建設 No Nukes 原発ゼロ

http://no-nukes.blog.jp/archives/7897550.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014101902000152.html

 

●その他 「福島県環境創造センター」関連記事

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/06/post_7493.html

 http://www.slideshare.net/3tarou/ss-27575840

 

(5)被害者住民への対策は、放射能汚染地域への帰還者に絞り込んでいく。目ざわりのいい・耳触りのいい・派手で目立つ住民対策を帰還者に対して手厚くすることで、他県へ避難している住民の帰還を促進し、それでも戻らない避難者への支援は次第にフェードアウトさせて行く。政治宣伝として福島の復興と県民の協力をうたい、引き続き(原子力)翼賛的状況を創り出しながら放射能への不安などを「風評被害」などとして押さえつけ、口外さえできない社会状況をつくりだす。放射線被曝による健康被害が出ても、それは放射能とは関係がない、ということにして押し通す。がしかし、一方で、福島県立医科大学を中心に「福島県民健康調査」という欺瞞的な「被ばく人体実験観測システム」を用意しておき、被害者の今後の被ばく状況と健康被害との相関関係を観察・記録していく。治療をすると放射線被曝による健康被害の実態がかく乱されてわからなくなるので、なるべく治療はしない。どうしてもせざるをえない場合には、政治的に追い込まれない限り、健康保険適用や無料化などの財政支援は行わない。

 

(6)原発再稼働反対・脱原発は福島県という「特殊な地域」に限定し他県に波及させない。原発・核燃料施設(再)推進の「元通りのまま」の復旧・復興は、日本政治のトップマターとして、時間をかけてあせらずに、これまで通りに「嘘八百」と「最後は金目」と、そして「脅し・恫喝」を使って、徹底した政治主導で実現させていく(「政治主導」を公約して何にもできなかった、あの民主党でさえ、原発再稼働と東京電力の再生・復興だけは政治主導で実現させている。そもそも、現在の田中俊一原子力「寄生」委員長や、その他の委員(交代した委員以外)を任命したのは民主党政権である)。最終ゴールは原子力ムラの完全復活と原子力の更なる推進体制の確立である。

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 しかし、上記のことは福島県民を責めることにはならないだろう。まずもって、今回の県知事選挙は、腐敗堕落した既成政党の「負けたくない」という思惑先行型の「相乗り選挙」によって徹底した争点ぼかしが演出され、あたかも「最悪の候補者:ウチボリ」以外には県知事にふさわしい人物はいないかのごとくふれ回られている。支配権力側の常套手段である「圧倒的な宣伝と組織動員」が私たちの目に見えないところでフル稼働していたのだ。原子力ムラの虜になって政権交代後も有権者・国民を裏切り続けた民主党と、ロクでもない政治・政策を続け福島県民の甚大なる原発事故被害をスキあらば切り捨てようと画策する自民党、しかも、今回の知事選挙では勝てなくても、せめて(選挙敗北の他への政治的波及を恐れて)負けたくない一心で「何でもやります=ご都合主義」の自民党、という「似非二大政党」が「相乗り」をして、全力を挙げて「争点はぐらかし」をやる、そんな選挙の結果が今回のことである。

 

 情けないのが公明党と社民党だ。この2党は、その結党の精神をとうの昔に忘れ、自民と民主という反国民的なゴロツキ詐欺集団につき従う「金魚のフン」のような存在となってしまった。とりわけ福島社民の「体たらく」ぶりは、この政党が消えゆく絶滅種であることをいみじくも示しているように思われてならない。少なくとも福島社民は、今回の知事選挙で「おなくなりになられた」のである(これまで社民党を信じて社民党とともに脱原発・脱被ばくに取り組んできた多くの人たちに対する許されない背信行為である)。

 

 加えて、福島県民の方々は、甚大悲惨な福島第1原発事故により心身ともに疲れきっている。日本の原子力ムラ政治が福島第1原発事故後も変わらないどころか、しばらくの沈黙期間を経て(ほとぼりのさめるのを待って)、再びグロテスクな政策を展開し始めているのを目の当たりにし、ひどい放射能汚染環境の中で健康への懸念を打ち消せないままに、全身虚脱というか、無言絶句というか、もう自分の生活や命や未来はいったい何なのか、という、耐え難いまでの精神的肉体的苦痛と、将来への大きな不安の状態にあるであろうと私は想像している。人間という弱い生き物は、生存環境や生活条件が整わなければ、ものごとをきちんと考えることもできなければ、適切な判断もおぼつかなくなる。その弱みに、卑劣にも原子力ムラ・放射線ムラがつけ込み、福島県民を翻弄しているのが今現在の「状況」だ。許しがたいとは思うが、さしあたり、この「状況」は深刻化こそすれ、変わる様子はないのである。

 

 私はその結果の一つの表れが、今回の知事選挙の46%という低投票率ではないかと思っている。投票に行かないことは決してほめられたことではないが、しかし、福島県民の半数以上は、決してこの「最悪の候補者:ウチボリ」を積極的に支持して投票したわけではないのである。寝ても覚めても腐敗堕落した同じ既成政党に投票を続ける一部の「組織化された(愚か者の)有権者」が今回の福島県知事選挙を引導したが、しかし、それは決して「多数派」ではない。マスコミは「ウチボリ」の圧勝などと報じているが、決して圧勝したわけでも絶対的勝利を手にしたわけでもない。多くの福島県民は、深い絶望と苦しみの中にいて「沈黙」を余儀なくされた、ということであり、原子力ムラ政府やその下請け県庁を手放しで賛同・翼賛しているわけではないのである。未来への希望の光の窓口は、まだ閉じられてはいない。

 

 私は、今回の福島県知事選挙結果を受けて最も懸念するところは、放射能汚染と被ばくの問題、とりわけ恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)による被害が、今まで以上に誤魔化され、歪曲矮小化され、真実が隠蔽されながら、福島県民に押し付けられていくであろうということである。そして、そのことは、福島県のみならず、広く東日本に広がるホット・スポット地域や放射能汚染地帯にすむ人々にも共通して言えることである。いわゆる「脱被ばく」の闘いは、これまで以上に困難が大きくなり、それだけ日本人の体の健康がむしばまれていく可能性が高くなってしまったと言えるだろう。この最大の被害者は子どもたちであり、更に申し上げれば、これから生まれてくる未来世代である。私達、脱原発・脱被ばくを願うものは、今まで以上に力を合わせて、脱被ばくのためのあらゆる努力を重ねて行かなければならないことは言うまでもない。福島県での「闘い」の最前線は、脱原発ではなくて脱被ばくである。

 

 では、今回の福島県知事選挙を、最終的にどう総括すればいいのか。私は上記で申し上げたように、福島県民を責めるよりも、私たち脱原発・脱被ばくを志す市民が、今一度、自らの活動状況を振り返り反省しなければならないのではないかと思っている。たとえば、私がよく申し上げる日本の市民運動・社会運動に見られる「政治的カマトト主義」=脱イデオロギーだとか政治的中立主義だとか、厳しく言えば、ニセモノの「お気楽運動方針」に未だに毒されたまま、今回の福島県知事選挙を従来ながらに見過ごしてきたのではなかったか。

 

 既成政党や、その合従連衡にまかせておいて、脱原発や脱被ばくが可能になるなどと考えているのなら、お門違いも甚だしいし、また「選挙の時だけお祭り行動」型に動いて、にわかづくりの「統一候補」などを掲げたところで、世の中はそう甘くはない。そもそも、そんな「張りぼて」候補が当選したからと言って、あの巨大怪物のような原子力ムラ集団を相手に、脱原発・脱被ばくが具体的に実現していくわけがないのである。そもそも今回の福島県知事選挙の敗北は、原発の出鱈目や放射線被曝の危険性について、真実の情報が多くの福島県民有権者のところまで届いていなかったのが最大の原因ではなかったか。ならば、その「真実を伝える」という努力を、私たち脱原発市民は今回の知事選挙に至るまでの期間中、どれだけ真剣に熱心に取り組んできただろうか。やれることは、まだまだたくさんあったのではないか、私にはそう思われてならない。この反省と総括は是非次の選挙につなげていきたいものである。

 

 原発は、経済合理性も、安全性も、倫理道徳性も、安定性も、社会的公正性も、何もない。ただあるのは、そのグロテスクな正体を隠すためのベールや嘘八百と、何よりも政治の力だけである(しかも愚か極まる政治の力である)。原発が政治の力だけで動いているのだから、政治を変えれば原発は止められるし(ルポライター・鎌田慧氏の上関原発建設反対県民大集会(20143月)でのスピーチより)、政治を変えなければ原発は止まらないのである。言いかえれば、「政治的カマトト主義」(政治的中立主義)では、原発を止めることはできないのだ。脱原発市民は、脱原発行程表を高く掲げる「政治勢力」を、原子力ムラたちによる原発・核燃料施設過酷事故によって滅ぼされてしまう前に、一刻も早く形作らなければならない。もはや脱原発・脱被ばく・被害者完全救済の政治を実現する政治勢力を創る努力から逃げることは「敵前逃亡」に近いのだ。それでは脱原発は実現できない。

 

 それにしても、立候補する必要もなかった東京都知事選挙に「脱原発」一色の旗を掲げてしゃしゃり出てきた細川護煕氏や小泉純一郎氏と、そのグループは、いったい何をしているのだろうか。肝心の衆議院鹿児島補選、滋賀県知事選挙、そして今回の福島県知事選挙と、何の取組も応援もしないまま「3連続不戦敗」となってしまっている。このままこれから来る原発立地自治体の選挙や統一地方選、あるいは衆参両院の国政選挙についても「ノータッチ」=「不戦敗」を決め込むつもりなのだろうか。口先でいくら脱原発を唱えていたところで、それを行動にあらわさなければ、それは一種のニセモノであり、「口先やるやる詐欺」の亜流のようなものである。保守派における脱原発を代表するといわれている、この2人の元総理が、ほんとうに脱原発派だというのなら、早くそれを態度で示してほしい。

 

 特に今後の日本の去就を決定的に決めてしまいそうな2015年衆院総選挙と2016年の参議院選挙で、不退転の決意で日本の全脱原発勢力の結集と、安倍晋三政権の政権交代へ向けたあらゆる努力をリードしていただきたいものである。私たち脱原発市民は、そのためのコアメンバーとして、これまで以上に本気で政治に立ち向かい、そして何よりも有権者・国民・市民・県民に、原発の正体や被ばくの危険性を徹底して伝え、これを日本政治の最大の争点とすべく不断の努力を惜しむべきではない。福島県知事選挙の結果が私たちに教えることは、そういうことではないかと思う次第である。「状況」から「状況」へ、勇気をもって立ち向かおう。

草々

 

 

2014年10月26日 (日)

本日(10/26)のいろいろ情報です(メール転送含む) (1)廃炉促進へ交付金代替策 政府方針、(2)福島原発告訴団、(3)TPPへ向けて混合診療容認準備、(4)OURPLANET TV 裁判 他

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

本日(10/26)のいろいろ情報

 

1.廃炉促進へ交付金代替策 政府方針、地元財政を支援:朝日新聞デジタル

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11416395.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11416395

 

(田中一郎コメント)

 いたれりつくせり、やりたい放題無責任、ねじ曲げごり押し、原子力

 原発と大臣は3日やったらやめられない

 

(参考)全原発廃炉 負担1.8兆円 「ゼロの会」試算 (東京新聞) ナルト大橋

 http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/775.html

 

2.原子力規制委が電力トップ招致 意見交換、まず九電:朝日新聞デジタル

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11416440.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11416440

 

(田中一郎コメント)

 原発立地住民や有権者・国民・市民の前に出てきたことのない原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の幹部達が、電力会社との意見交換会という懇親会を開くらしい。これからどんな原発規制をお望みですかと、料理か酒のメニューでも見せるように、猫なで声で電力会社とお話し合いをされるそうだ。この連中、どっち向いて仕事しとるのでしょうね? こっち向け、ほい!

 

3.政府はまず「原発は高コスト」と認めよ 富士通総研の高橋洋・主任研究員に聞く - Infoseek ニュース

 http://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20141002_49345

 http://www.asyura2.com/14/genpatu40/msg/535.html

 

(参考)東京新聞 英でも「原発は割高」 収入保証も英企業参入ゼロ核心(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014102602000122.html

 

4.(メール転送です)たんぽぽ舎MGより

┏┓

┗■2.「東京地検が東電旧経営陣への再捜査の期間延長を発表」

 └──── 福島原発告訴団

 

 福島原発告訴団の告訴・告発について、東京地検が不起訴処分を出した後、告訴団は東京検察審査会(検審)に申立を行いました。検審は、今年7月末に、勝俣元会長ら東電旧経営陣3人に対して、「高度な注意義務を負う」として「起訴相当」議決を出しました。

 そのため、東京地検は再捜査を開始。しかし、結論を出せず、捜査期限(10月末まで)を3カ月間延長することを1024日、検審に通告しました。捜査期限は来年2月2日まで。

 検審の委員11人中8人以上が賛成した「起訴相当議決」を無視して拙速に「不起訴」の処分を重ねるわけにはいかなかった、と思われます。

 全国のみなさんの運動の力で、安易に結論を出せないところに押し込んでいると思います。

 東京地検に対して、強制捜査と厳正な捜査を求め、行動します。

 ご支援お願い致します。

 

● 団長と弁護団のコメント(告訴団ブログ)

  http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/

 

5.混合診療、リスクに応じ病院絞り込み 厚労省案 :日本経済新聞

 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF22H0E_S4A021C1MM0000/

 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO78762860T21C14A0EE8000/

(他紙)

 http://health.goo.ne.jp/news/

 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-23/2014102301_07_1.html

 

(田中一郎コメント))

 混合診療とは、(社会)保険対象医療と非対象医療とを両方同時に受けられる制度のことで、一見よさそうに見えるのですが、実はこれもインチキが隠されています。社会保険と非社会保険の同時受益をOKとしますと、徐々にではありますが、非社会保険対象の医療が先端医療を中心に充実され、医療保険財政が厳しい状況下では、社会保険対象の医療は「足踏み」状態を続けさせられながら、次第に医療内容の陳腐化・貧弱化が起きるのです。他方、非(社会)保険対象の医療の方は、外資を含むいわゆる民間保険会社の草刈り場となり、金持ち・資産家を中心に非(社会保険)の領域がどんどん拡大していくことになります。いわば、一方で、社会保険財政の支出を押さえこみ、形式的には社会保険の存続の形を続けながらも、実質的には、医療の民営化・医療保険の民営化を少しずつ進めて行くという、狡猾極まりないやり方なのです。喜ぶのは、海外資本を含む医療関係資本や保険会社です。

 

 10年もしたら、(社会)保険対象の医療は昔ながらの陳腐で貧弱な医療しか受けられず、実質的な医療の大半は非(社会)保険対象の利用だ、ということになりかねないのです。そうなれば、申し上げるまでもなく、金持ち・資産家は十分な医療を受けられても、私のような貧乏人は十分な医療を受けられなくなってしまうでしょう。

 

 何故、かようなことになるのかと言いますと、それは民間保険会社や医療関係会社が、医療に関する社会規制を回避した自由診療の世界で、やりたい放題ののびのびとした商売をし、それによって大もうけをしようと考えるからであり、しかも、この民間保険会社や医療関係会社とは、アメリカを中心とした外国資本であると考えておいていいと思います。つまり、混合医療とは、今進められているTPPという「亡国協定」の前準備と思っていていいでしょう。そして、もう一方の利害関係者である政府・財務省は、医療保険の財政赤字を圧縮・ないしは赤字拡大防止を実現することができるというわけです。こんなことを認めたら、日本が世界に誇ってきた国民皆医療保険制度はなし崩し的に破壊され、日本の医療と医療保険は外国資本(特にアメリカ)に売り渡されることになってしまうでしょう。

 

 混合診療など必要ありません。制度は、今ある「保険外適用療養費制度」を最先端医療や難病について一層の拡充するとともに、保険対象の医療の充実を図ることです。今の国民皆保険制度を維持する形で、創意工夫に富んだ、患者のための医療制度をつくって行く必要があります。今の医療制度が歪んでいる、おかしいからといって、混合診療の拙速な導入などの市場原理主義的政策に走ることは、結局は海外資本を含む医療関係企業に食いものにされ、今以上に悲惨な結果となるだけです。

 

6.第4回 市民科学者国際会議

 http://csrp.jp/

 

●プログラム

 http://csrp.jp/symposium2014/programme

 

20141122() ~ 1124(月・祝)

国立オリンピック記念青少年総合センター 国際交流棟 国際会議室

 

7.11-22(土)報告会 チェルノブイリと福島の子どもたちの保養 未来の福島こども基金

 http://fukushimachildrensfund.org/20141008/1493

 

8.(別添PDFファイル)国会記者会館裁判・控訴審賛同カンパ募集! 

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1844

 

(一部抜粋)

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投稿者: ourplanet 投稿日時: 火, 10/14/2014 - 07:15

 

国会記者会館の屋上から官邸前抗議行動を撮影するのを拒否された裁判の一審で、原告のOurPlanetTVは2014年10月14日、東京地方裁判所が請求を棄却する判決を下さいました。OurPlanetTVは、国会記者会館をめぐる事実認定に大きな誤りのある本判決について、大変憤りを感じています。取材の機会の平等と知る権利の資する重要な裁判だとの判断のもと、控訴こととしました。

  

 裁判の中でも明らかになったとおり、国会記者会は、戦前の明治23年から120年続く日本で最も古い記者クラブです。事務局長の佐賀年之氏は、「120年続く既得権益を手放すわけにはいかない」「ネットメディアとテレビが競合する。雑誌と新聞は競合する」とはっきり、経済的な既得権であることを口にしています。

  

 こうした状況を放置、是認する東京地方裁判所の判決は許すことができません。記者クラブ制度の本質を突く重要な本裁判を継続する為にも、OurPlanetTVでは、裁判費用の寄付および賛同署名を募集します。(なおOurPlanetTVは仮認定NPOのため、寄付控除が摘要され、寄付1カ月後にご送付する領収書を確定申告で提出していただくと、3000円以上の寄付は寄付額の3〜4割が還付されます。)

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9.<社説>与那国陸自配備 住民投票で是非を問え - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-232384-storytopic-11.html

 

10.核情報

 http://kakujoho.net/

 

11.アーカイブ

(1) 20131120 UPLAN~オレたちが「マツリゴト」に参加できなくなる~三宅洋平、山本太郎、弁護士がこの危ない法案についてロックに語る! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=6zGaL8j-8LI

 

(2)20131213 原発廃炉後の美浜町の未来を見つめてー松下照幸さんのお話を聞く会—

 http://www.ustream.tv/channel/cnic-news

 

(3)  おしどりマコ氏「伊方原発から時々プルトニウムが放出されている」 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=VkmvhAzLyyk

草々

 

2014年10月25日 (土)

本日(10/25)のいろいろ情報 (1)10.25築地でええじゃないか デモ、(2)イベント情報、(3)福島に原子力推進の新拠点? 「福島県環境創造センター」 他

前略,田中一郎です。

本日(10/25)のいろいろ情報です。

 

1.本日秋晴れ・快晴、「築地でええじゃないか」デモ盛況なり

 定期的にやってます。叫びに、踊りに、やってきてください。テツさん、リキさん、そして仲間のみなさん、どうもありがとう。

 

●守ろう!築地市場パレード vol.5~築地で、ええじゃないか!in銀座(東京・築地)

 http://www.labornetjp.org/EventItem/1412421549501staff01

 

●築地で、ええじゃないか!in銀座! デモ - sayonarakoshi ページ!

http://sayonarakoshi.jimdo.com/2014/10/16/%E7%AF%89%E5%9C%B0%E3%81%A7-%E3%81%88%E3%81%88%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%8B-in%E9%8A%80%E5%BA%A7-%E3%83%87%E3%83%A2/

 

●このデモ、最高ですわ 「築地でええじゃないか、ええじゃないか」  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-e0a3.html


(これはちょっと前の「築地でええじゃないか デモです。今回のは、まもなくネットにアップされるでしょう)

 

2.イベント情報

(1)(別添PDFファイル)公職選挙法ってなあに?

 11月21日(金) 夜7時~9時

 場 所:千駄ヶ谷区民会館 

 講 師:田中隆弁護士

 資料代:500円

 担当 城倉 6479-9003

 

(2)(メール転送です)10月30日「模索連」総会のご案内

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10月30日(木)に千駄ヶ谷区民会館にて、「都民参加への模索連絡会」の総会を開きたいと思います。

 

私たちの集まりは、会則も、規約も、代表もない、ゆるやかな人的ネットワークです。その場に集まった人たちの行動の共有で、あるいはまた、具体的なやりとりの総和として「私たち」を定義していくユニークな運動体でもあり、私たちの実践それ自体がひとつの社会的実験であると考えています。

 

さて、今回は、これまでの運動経験を振り返り、これからの私たちの運動の方向性や志向性について具体的に検討する討論の場を設けたいと思います。昨日、世話人会で話し合いを行ない、以下のような内容を提案したいと思います。

 

私たちのアイデンティティにかかわる「名称」の変更も提案します(「都民参加への模索連絡会」から「市民参加への模索連絡会」へ)。ぜひともお越しください。そして、ともに議論を交わすなかで、新しい「私たち」を形成し、新たな実践をともに模索していきたいと思います。

 

「都民参加への模索連絡会」総会のご案内

 

日時:10月30日(木) 6時開場、6時30分開始(8時45分終了予定)

場所:千駄ヶ谷区民会館

 

(前半)「模索連」のありかた・方向性について

午後6時35分~ 〈提起〉「市民参加への模索連絡会」への誘い(和田)

午後6時50分~ 〈提案〉HPの立ち上げについて(城倉)

午後7時05分~ 〈報告〉会計報告(長谷川)

午後7時10分~ 質疑応答・全体討論

 

(後半:「模索連」プロジェクト)

午後7時30分~ 〈提案)公職選挙法・選挙制度課題プロジェクト(太田・城倉)

午後7時50分~  質疑応答

午後8時10分~ 〈提案〉連続セミナー「まちづくりと地方創生」(仮)(長谷川)

午後8時20分~ 〈報告〉外環道問題(金子)

午後8時25分~ 質疑応答・全体討論

午後8時40分~ 〈案内〉今後の活動計画

 *1月31日に集中討論集会を予定

午後8時45分までに終了

 

(3)(メール転送です)韓国調査報告会

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 パク・ウォンスンソウル市政は住民目線の市政を市民参加で大きく進めている

 ~韓国の市民社会運動は、変革への希望を感じさせた~

 

・日 時 115日(水)午後630分~830分(6時から受付)

・会 場 連合会館2階201会議室(新御茶ノ水・小川町・淡路町駅B3出口すぐ)

・内 容 ソウル市、参与連帯、希望製作所、マニュフェスト実践本部、福祉国家ソサエティ、ソンミサン地区共同体などの調査報告

・参加費 700円(学生、障がい者500円)

・申し込み 50名定員です。

 ※定員50名に達したため、急遽会議室を変更しました。

 30名様分のお席を増やしました。お早目にお申込みください。

 

 先着順に定 員になり次第、予約フォームを締め切ることがござますのでご了承ください。申し込み先はこちら

https://docs.google.com/forms/d/1BDSZK3uFWYQUHvsnQ3bFnGdZj4GsE1k1xmztXXvzTB0/viewform

 

3.(東京新聞)【特報】福島に原子力推進の新拠点? 「環境回復」名目のセンター建設 No Nukes 原発ゼロ

http://no-nukes.blog.jp/archives/7897550.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014101902000152.html

 

(田中一郎コメント)

 福島県知事(候補)「サトウ・ウチボリ」を象徴すするモニュメント・センターが、この「福島県環境創造センター」だ。県内の全ての原発の廃炉とは、県外の原発建設を推し進めるための宣伝用ハコモノ建設をすること、脱原発とは新たな原子力推進拠点の建設をすることのようである。ニセモノ・インチキの知事・副知事コンビに、これまたニセモノ・インチキの「二大政党」とやらの自民党・民主党が抱きついた。

 

(一部抜粋)

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 「福島県環境創造センター」と名付けられた施設の建設が進められている。県立だが、原発推進派と目される人物らが計画に関わっており、原子力のPR館を連想させる。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)のトラブル隠しを繰り返す日本原子力研究開発機構(JAEA)、チェルノブイリで健康影響を過小評価した国際原子力機関(IAEA)も拠点を置く予定だという。いったい何が狙いなのか。 

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4.(毎日新聞)■注目ニュース■ 原発ADR 議事録「不開示」

 東京電力福島第1原発事故の賠償問題を裁判外で解決する手続き(原発ADR)を担当する「原子力損害賠償紛争解決センター」を巡り、所管する文部科学省がセンター最上位の組織「総括委員会」の議事録を公開していないことが、毎日新聞の情報公開請求で分かった。

 

(田中一郎コメント)

 ふざけんなよ、このクソ文部科学省!! 「総括委員会」とやらが、どうもこのクソ文部科学省の「肥溜」になっているようだ。

 

●原発ADR:議事「不開示」…担当弁護士を黒塗り(無料ネット会員になれば全文が見れます)

 http://goo.gl/xFd6aW

 http://mainichi.jp/select/news/20141025k0000m040136000c.html

 http://mainichi.jp/select/news/20141025k0000m040136000c2.html

 

(一部抜粋)

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 東京電力福島第1原発事故の賠償問題を裁判外で解決する手続き(原発ADR)を担当する「原子力損害賠償紛争解決センター」を巡り、所管する文部科学省がセンター最上位の組織「総括委員会」の議事録を公開していないことが、毎日新聞の情報公開請求で分かった。和解案を作成する仲介委員(弁護士)の一部についても氏名を明かさず、他の同種の公的機関と比べ閉鎖性が際立つ。情報公開制度の専門家は「極めて特殊な対応」と批判している。

 

 (中略)文科省は議事録の存在を認めた上で、一切の公開を認めない「不開示」とした。一部を黒塗りにして開示する「部分開示」ではないため、3人の発言内容だけでなく、実際に委員会は開催されたのか▽開催されたのならその日時と場所▽出席者▽議題−−など、すべて検証できない。不開示理由について、文科省は(1)率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれる(2)国民に混乱を生じさせる(3)手続きの適正な遂行に支障が及ぶ−−などを挙げた。

 

 (中略)消費者庁が2011年10月に有識者会議に提出した資料によると、全国規模の主な機関は、センターを含め6機関ある。毎日新聞のまとめでは、センターを除く5機関は、すべて委員の氏名をホームページ上で公表している。さらに、5機関のうち2機関は最上位の組織の議事録もホームページで開示し、残る3機関も「情報開示請求があれば対応を検討する」と答えた。

 

 (中略) ◇総括委員会◇

  原子力損害賠償紛争解決センターで業務を統括する組織。文部科学省の「原子力損害賠償紛争審査会」が指名した3人の総括委員で構成される。被災者が賠償を求めセンターに申し立てると、総括委が受理するかどうかを決め、受理する場合は案件ごとに仲介委員(弁護士)を指名。和解案作成の際は助言することもできる。また、賠償の目安である「総括基準」を作成。審査会の定めた「指針」は、避難中の慰謝料(精神的損害)を月10万円としているが、総括基準で妊婦らの増額を認めている。また、自主避難者の一時帰宅費用や就労不能損害など、指針にはない賠償項目も示している。

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5.(東京新聞)ちんぴら右翼Aとチンピラ右翼B

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014102402000155.html

 http://p.twipple.jp/rqtbc

 

●橋下氏、在特会と面談 ヘイトスピーチ巡り応酬:朝日新聞デジタル

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11412579.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11412579

 

6.小泉純一郎・元首相「いまこそ、原発ゼロを!」-城南信用金庫にて再稼働を批判 日仏共同テレビ局フランス10

 http://www.france10.tv/social/3932/

 

7. 環境省「県外は検診せずリスコミで」〜傍聴者からは批判のヤジ殺到 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=6C0ttR0p4WE

草々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

(1)腰抜け経営ジャーナリズムには御用人間たちが集う=朝日新聞・大岩ゆり記者による被ばく矮小化の放射線ムラ広報記事 、が、しかし、他の全国紙は何も報道しとらんぞ  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-776f.html

 

(昨日お送りしたメールの表題の最初の文字「腰抜け」の「腰」が欠落しておりました。お詫びいたします)

 

(2)(毎日新聞)ゆがんだ償い:切り捨てられる原発被害者=その背後でうごめいていたのは文部科学省(下村博文文相)と自民党政権だった  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-c237.html

 

(3)「食べて応援・買って支援」(放射能に汚染されたもの・汚染の危険性があるものを食べても)は、原発事故被害者への応援・支援にはならない。  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-7908.html

 

(4)(輸入食品に走るのは危ない) 食の安全をめぐる国際市場原理主義のインチキ : コーデックス委員会と「(似非)科学主義」にだまされるな=食の安全を証明するのは「売り手」側だ  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-305c.html

 

 

2014年10月24日 (金)

腰抜け経営ジャーナリズムには御用人間たちが集う=朝日新聞・大岩ゆり記者による被ばく矮小化の放射線ムラ広報記事 、が、しかし、他の全国紙は何も報道しとらんぞ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、朝日新聞大岩ゆり(科学部)が報道した、環境省の「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」開催(10/20)前のプレ記事(10/19)である。専門家会議が開催される前の段階で、何故にかような「結論」のようなものが早々と報道されてしまうのか、まさにいわく付きの記事と言えるのだが、その内容たるや、まるで放射線ムラによる福島第1原発事故の放射能汚染=放射線被曝の矮小化・歪曲そのものと言わざるを得ないようなものになっている。ジャーナリズムとして、権力の監視機関として、鋭い切り込みも批判的な視点も皆無の、典型的な御用記事である。

 

それは、会議に関係する何者かから事前に内容をリークしてもらい、他紙に先駆けてそれをそのまま報道する(広報する?)ことに精力を注ぐ、今の愚かなマスコミの姿そのものだ。しかし、朝日新聞以外の他紙(全国紙)はどうか。福島第1原発事故に伴う放射能汚染と無用の被ばくに苦しみ、将来への不安にさいなまれる、福島県民のみならず福島県以外の放射能汚染地域にすむ多くの人々を含む原発事故被害者・被ばく被害者の不安をよそに、どこの1紙も、この環境省の「(似非)専門家会議」の出鱈目を紙面に載せて批判報道しようとはしていない。日本の新聞ジャーナリズムに、この福島第1原発事故後の放射能汚染と、それに対する政府などによる被ばく防護や健康管理のあり方に対して危機感はないのだろうか。この国のマスコミは嘆かわしいまでに枯れ果てているのではないか。

 

原子力安全神話が福島第1原発の過酷事故と事故後の原子力ムラの醜悪なる対応によって崩れ去った後に、狡猾なる有権者・国民対策として持ち出されてきているのが放射線安全神話だ。そしてそれは、必ずと言っていいほど、様々な意味での放射線弱者を犠牲にし、かつその犠牲者を、まるで存在しないかのごとく冷血に切り捨てて行く、現代のファシスト的権力イデオロギーであることを忘れてはならない。マスコミが批判的ジャーナリズムの使命を強く意識し、このグロテスクな放射線被曝強要権力とそのイデオロギーに対して、厳しい監視の目を張り巡らせることが今ほど求められている時はないと言っていいだろう。

 

特にこの大岩ゆり記者が書いた記事で申し上げておかなければならないのは、その最も問題である点が記事の最後の部分にあることである。(引用)「福島県外の住民については、当面は個別の健康相談などで対応し、甲状腺検査を希望する人には専門の医療機関の情報を提供するとした」と書かれていること=すなわち、福島県外における健康調査をどうするのかが、実はそもそもの、この「(似非)専門家会議」の中心的な検討課題であったはずだ。福島第1原発事故により環境に放出された放射能は県境で止まってくれたわけではなく、放射能プルームは福島県境を越えて東日本一帯に広がり、危険極まりないホット・スポットを含めて放射能汚染地帯は広範囲に広がっている。福島県で健康調査が必要であるのなら、福島県以外の都県でも健康調査が必要であることは自明と言っていい。それを政府はこれまで、「専門家会議で検討する」と言い逃れをして放置し、そして被害者住民や有権者・市民が放射能や被ばく問題で疲れ切ったその頃あいを見計らって、この「(似非)専門家会議」が政府になり代わり、その中心的検討課題を骨抜きにしてしまっているのだ。

 

それを、この朝日新聞の大岩ゆり記者は、たったの5行・60文字で、自筆した記事の一番最後に「申し訳なさそうに」、まるで「グリコのおまけ」のごとく、書き付している。大岩ゆり記者が、この自分の記事の「おかしさ」「御用さ加減」を自覚できないとすれば、もはや新聞記者を続ける資格はないと申し上げてもいいくらいである。朝日新聞よ、もはや、あの放射線ムラ学者の代表格・丹羽太貫(京大名誉教授)と「慣れ合いの仲」などと見られ始めている大岩ゆり記者を福島第1原発事故による放射能汚染と放射線被曝問題に関する担当からはずしたらどうか。そして、自身の放射能汚染問題・放射線被曝を編集する(おそらくは科学部)の編集デスクも抜本的に入れ替えよ。そうしないと、このままでは、これまで長きにわたり朝日新聞をクオリティ・ペーパーとして評価し、購読者として支え続けてきてくれた多くの読者を失うことになるぞ。戦前の朝日新聞がいかなる状態に陥っていたかを、よく思い出してみることだ。

 

以下、簡単に全身からの怒りを持って記事を簡単にご紹介しコメントしたい。

 

● 環境省 報道発表資料-平成26926日-第12回東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の開催について (お知らせ)

 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18540

 

 <別添PDFファイル>

● 甲状腺検査の問題指摘 「がんの疑い」判定、福島の子に負担 専門家会議(朝日 2014.10.19

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11409656.html?_requesturl=articles%2FDA3S11409656.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11409656

 

 <関連サイト>

(1)環境省 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議

 http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html

 

(2) 環境省「県外は検診せずリスコミで」〜傍聴者からは批判のヤジ殺到 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=6C0ttR0p4WE

 

(3)(このサイトは注目です:田中一郎)環境省「県外は検診せずリスコミで」〜傍聴席から批判殺到 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1845

 

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1.(引用)「福島県が実施する子どもの甲状腺検査について、がんではないのにがんの疑いと判定されることで心身に負担を与えてしまうなどの問題を指摘し・・・・・・・」

 

(田中一郎コメント)

 福島県の子どもたちは理不尽にも福島第1原発事故によって大量の放射線被曝をしてしまった。だからもしものことがあってはならないと、健康診断・健康管理の一環として検査をしている。「がんではないのにがんの疑いと判定されることで心身に負担を与えてしまう」とは、いったい何のことか。検査の仕方が出鱈目で、検査判定ミスが相次いでいるということなのか。それなら、そのように書けばいい。そうでないというのなら、こんなものは「ためにする議論」でしかないことは明らかではないか。健康上のことで懸念があって病院で検査を受けるのに、そもそも論で、「○○ではないのに、○○の疑いと判定されることで心身に負担を与えてしまう」から、検査を受けるのはやめましょう、なるべく検査は受けないようにしましょう、などという馬鹿がどこにいるのか。しかも、甲状腺がんの検査については、誤診する割合は他の疾患に比べて非常に低いと聞いている。それがそうではない、誤診だらけだ、というのなら、その証拠を見せよ、そして、その理由をジャーナリズムとして徹底追及するのが仕事ではないのか。

 

 子ども甲状腺がんの検査をつぶしたい・やめさせたい・拡大拡充したくない=放射線被曝の実態を隠してしまいたい一心で、放射線ムラの連中が吐いているかような戯言を、自分の記事にそのまま載せるとは、いったいどういう了見か! それでも新聞記者か!! そして、かような記事を編集デスクでチェックもしないで、そのまま掲載してしまう「新聞」とは一体何なのか!!!

 

 また、もっとも肝心なこと、つまり、検査するのが甲状腺のガンだけでいいのかという問題=甲状腺に関する他の障害や疾患の検査も必要だし、また、甲状腺以外の健康上の検査(心電図、血液・染色体検査、尿検査、バイオアッセイ(ガンマ核種以外の汚染・被ばく検査)など)を総合的・定期的に実施し、将来に禍根を残さぬよう万全の健康管理を今からしておく必要があるのではないのか。何故、それに言及をしないのか。福島県の子どもたちは、大量の放射能で被ばくさせられ、今もなお被ばくさせられ続けているということを忘れたのか。

 

 また、更には、何故、健康検査が子どもたちだけなのか。大人だって放射線被曝は極めて危険であることに変わりはないではないか。何故、18歳以上の全県民に対して、せめてその希望者に対して健康検査や健康管理を実施しないのか。

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2.(引用)「たたき台によると、福島県の住民の被曝(ひばく)線量はチェルノブイリ原発事故と比べ「はるかに小さい」とし、甲状腺がん以外のがんは増加が予想されないとの見解を示した。」

 

(田中一郎コメント)

 何度も申しあげているように、福島県民が福島第1原発事故直後に初期被ばくとしていかほどの被ばくをしたのかは、今となってはわからない。わからなくなるように、原子力ムラ・放射線ムラの人間たちが、検査も調査も意識的にサボタージュし妨害したのである。「福島県民健康管理調査検討委員会」が尿検査を握りつぶしていた話は有名だし、そういう具体的な談合がなくとも、チェルノブイリ原発事故の経験から鑑みれば、政府が主導をして放射能汚染地帯の人々の被ばく調査を早い段階で実施しておくべきことは、これまた自明のことである。長瀧重信長崎大学名誉教授などは、早い段階から福島第1原発事故後の被ばく問題にタッチしていながら、自ら被害者の被ばく状況調査に着手しようとはしなかったし、着手するよう提言することもなかった。今頃になって何を言っているのかではないか。

 

 いわば「ムラぐるみ」「政府ぐるみ」で放射能汚染と住民被ばくの実態を隠し続けてきた連中が、今頃になって、放射線被曝の実証的な数字が用意できないことを確認した上で、まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈に屁理屈を重ねた被ばく推定量を「計算」ではじき出して「たいした被ばくではございませんでした、みなさまご安心くださいませ」とやっているわけである。バカバカしいにもほどがあるではないか。隠されてしまったこと、わからなくされてしまったことは、それだけで危険であると思った方がいい、これが原子力時代の過去を振り返っての世界の市民・被害者の教訓である。福島第1原発事故による住民の初期被ばくは、かなり深刻なものであったと思っていて、ほぼ間違いない。そうでなければ、原子力ムラ・放射線ムラが、かようになりふり構わず、隠したり、わからなくしたりするはずがないのだ。

 

 大岩ゆり記者得意の「国連科学委員会(UNSCEAR)」は、国際原子力マフィアの一角である。これまで山のように放射線被曝の危険性をごまかし、歪曲・矮小化してきた連中の巣窟である。そんなものに「のし紙」をつけて厳かに持ち出してきても、インチキはインチキであり、信用できぬものは信用できないのだ。顔を洗って出直せ。

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3.(引用)「甲状腺がんは、一部の子どもでリスクが若干増加する可能性が理論的にはあるとし、甲状腺検査を実施して見守る必要があるとした」

 

(田中一郎コメント)

 高いリスクを含めて、無視できないリスクがあるのは「一部の子どもたちかどうか」(あるいは全部の子どもたちか)などわからない。科学的実証的な根拠がないままに、好き勝手を言っているだけだ。特に、呼吸被ばくによる内部被曝の無視・軽視は目に余っており、これから福島県他の放射能汚染地帯において恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)に晒される人々の健康状態が非常に懸念される。ただ、文章にもある通り、甲状腺検査(甲状腺検査ではなく、甲状腺がん検査である)は続けざるを得ない、とされたことは、彼らもまた、多くの被害者の方々や有権者・市民の視線を強く意識していることの表れと見ていいだろう。

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4.(引用)「福島県の甲状腺検査は、事故当時18歳以下の約37万人を対象に3年前から始まり、これまでに1巡目が終わった。2巡目終了後の2016年度以降は、年齢に応じて2年または5年ごとに生涯続ける計画だ。症状のない子どもを対象にしたこれだけ大規模な検査は世界的にも例がない」

 

(田中一郎コメント)

 これも上記1.の「がんではないのにがんの疑いと判定されることで心身に負担を与えてしまう」と同じで、ごく通常の医療検査や健康診断などと同じことをしていることに対して、ある下心を持って悪口を吐いているようなタチの悪い言動である。「症状のない子どもを対象にしたこれだけ大規模な検査は世界的にも例がない」なんて、よく言うと思う。学校の健康診断で症状も病気の兆候も何もない子どもたちに対してX線撮影を強要している国は一体どこなのか、あるいは、成人病検診と称して、症状も兆候もない一般の成人に対してバリウムを飲ませて胃のレントゲン撮影を続けているのは一体どこの国なのか。「福島県民健康調査」は、何もないのではなく、福島第1原発事故による放射線被曝という事実があり、しかもそれがどれほどの被ばくだったかがよくわからない状態で行われていることである。被ばく状況下に置かれた子どもたちが多ければ、検査が大規模になるのはやむを得ないことであり、そんなものは結果論に過ぎず、どうこう言ったところでどうしようもないことではないか。「ためにする議論」は、もういい加減にしろ。

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5.(引用)「無症状のまま問題にならないがんを見つける可能性や、がんではないのにがんの疑いがあると判定される「偽陽性」の増加、手術で合併症が起きる可能性などの問題点も指摘」

 

(田中一郎コメント)

 これも上記1.及び4.と同じたぐいの「言いがかり」である。「無症状のまま問題にならないがんを見つける可能性」などと書いているが、福島県で発見されている小児甲状腺ガンが、こういうガンであるとどうして言えるのか。また、その逆、つまり問題だらけのがんを発見する可能性が高いことの方が重要で、事実、これまで発見された103人の甲状腺ガン(疑いを含む)の子どもたちの多くは、他の臓器やリンパ節への転移などが見られていたのではないのか。何故、それについては言及しないのか? 

 

 「がんではないのにがんの疑いがあると判定される「偽陽性」の増加」については、上記1.と全く同じで、私のコメントは繰り返さない。大事なことは、その逆(ガンでないと思っていたらガンだった)も念頭に置いておけということである。また「手術で合併症が起きる可能性などの問題点も指摘」についても、もういい加減にしろ、ということである。甲状腺ガン手術だけに「合併症」が起きるのか、なにをことさら手術の弊害というか、手術に伴う様々なリスクをあげつらっているのか、ということである。

 

 要するに、言っていることが「ミエミエ」だ。甲状腺ガン検査を、なんだかんだとナングセをつけてやめさせたい、少なくとも拡大・拡充をしたくない、それ一心の「下心」が丸出しで、読んでいて不愉快極まりない。こんなものは新聞記事とは言えない。

 

6.(引用)「こうした不利益も踏まえ、福島県の検討委員会などで県民にとって最善の検査のあり方を議論するよう求めている。」

 

(田中一郎コメント)

 不利益よりも利益を考えたらどうなのか。放射線被曝による将来への不安が大きく広がっているということが分かっていないのではないか? いや、わかっていて、それを踏みつぶそうとして、かような言論を記事にしているか?

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7.(引用)「また、福島県外に移住しても継続して検査を受けられる体制の整備を指摘。検査で見つかった甲状腺がんの治療は保険診療で、自己負担が生じる場合がある。この点について「国や県の協力が不可欠」とした。」

 

(田中一郎コメント)

 福島第1原発事故から、もう3年半以上が経過した。にもかかわらず、まだかような悠長で他人事のような評論家家業を続けているのが、この「(似非)専門家会議」である。こんなことは「福島県民健康管理調査検討委員会」が始まったころから言われ続けてきたことだ。それについて、何の批判のコメントもないのか。責任を追及する必要があるとも思わないのか。どういう神経をしているのかと思うなりけり、である。

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最後に、もう一度だけ申し上げておきたい。この大岩ゆり記者の書いた朝日新聞記事は、ほんとうにひどい、放射線ムラの代弁をして差し上げる典型的な「ちょうちん記事」である。こんなものを書いたことを一生の恥と思っていただかなくてはいけないし、こんな記事を、なんのチェックもなく新聞に堂々と掲載した編集デスクや朝日新聞科学部の「恥と外聞」も、唾棄すべきレベルにあることを関係者は認識すべきである。朝日新聞は、自らを「ちょうちん新聞」に貶める行為を慎むべきである。

草々

 

2014年10月23日 (木)

本日(10/23)のいろいろ情報 (1)「合成生物学」=遺伝子組換え技術の延長に現れた驚異の世界、(2)新経済産業相:宮沢洋一、(3)福島第1原発事故 県外進学、賠償返還請求 他

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

本日(10/23)のいろいろ情報です。

 

1.(最初に最もくだらない話です)新経済産業相:宮沢洋一

 いよいよ安倍晋三内閣らしくなってきました。ぞろぞろ出てきます。

 

Yahoo!ニュース - 経産相「宮沢会」、SMバーに政活費支出 「面目ない」 (朝日新聞デジタル)

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141023-00000022-asahi-pol

 

政治資金収支報告書によると、10年9月6日に広島市中区の繁華街にあるSMバーに1万8230円を支出していた。関係者によるとこの店では、下着姿の女性をロープで縛る「ショー」などがあるという。

 

●ウィキペディア:宮沢洋一

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%BE%A4%E6%B4%8B%E4%B8%80

(伯父で元首相の宮澤喜一が比例中国ブロックに回ることになったのを受けてその地盤を継ぎ・・・・)

 

2.「合成生物学」=遺伝子組換え技術の延長に現れた驚異の世界:人間は生物・生命を造り出す「造物主」になれるのか

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 別添PDFファイルは、本日(10/23)付の朝日新聞朝刊に掲載された生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)(韓国・平昌:ピョンチャンで開催)の概要報告記事である。この中に「合成生物学」が新たな問題として浮上してきた旨の記載がある。この「合成生物学」だが、少し前は「遺伝子組換え技術」が進化して複雑になったものという程度の認識だったが、ここにきて急激にその「研究エリア」が拡大したようで、今やエピジェネティクスと並んで、現代生物学の最先端分野を大きく支配しつつあるという。

 

以下、この「合成生物学」に関するサイトをいくつかご紹介したい。「遺伝子組換え」の世界と言えば、原子力ムラ・放射線ムラと並ぶ「バイオムラ」として、どうしようもない「悪質利権集団」「似非科学暴走集団」として一世を風靡してきた。そんな世界から生まれてきた「合成生物学」、ほんとうに大丈夫な研究なのか。週刊誌風にエキセントリックに表現すれば、「人間は生物・生命を造り出す「造物主」になれるのか」というようなことになる。この「合成生物学」だが、今後は厳しい社会的な監視の下に置いていく必要がありそうだ。

 

 <別添PDFファイル>

● 生物多様性を議論COP12 名古屋議定書、運用向け前進、「合成生物学」扱い巡り対立(朝日 2014.10.23

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11416332.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11416332

 

(一部抜粋)

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 国連の生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)が17日まで、韓国・平昌(ピョンチャン)で開かれた。会期中には、2010年のCOP10で採択された名古屋議定書が発効し、初めての締約国会合が行われた。COP12本体では、人工的に新たな生物をつくりだそうとする「合成生物学」の扱いが新たな課題として取りあげられた。

 

(中略) ■新たな課題、浮上

 

 今回、新たな問題として浮上したのは「合成生物学」。DNAやたんぱく質といった生物の構成要素を人工的につくり出し、生命現象について探ったり、新たな生物や生命機能をつくり出したりする研究が行われている。従来の遺伝子組み換え技術よりも、広範囲の遺伝子が関わっている生物機能を「設計」することが可能になると期待されており、DNAなどを生物に導入して目的の物質が生産されている。

 

 例えば、マラリア治療薬として使われる物質を、それを産するヨモギ属植物の遺伝子を取り出して細菌に入れて、高効率に生産する技術がある。バイオ燃料を生み出す藻の実験も進められている。

 

 ただ、生物多様性や人への影響に関する知見は少ない。環境保護団体などからは「自然に漏れ出れば、生態系を破壊する」という批判がある。

 

 COP12では、規制のため新たな枠組みが必要だとする途上国などと、遺伝子組み換え生物などを規制する「カルタヘナ議定書」で対応できるとする先進国などで議論は難航。最終的に、専門家グループで環境影響を探っていくことにした。

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 <関連サイト>

(1)合成生物学 - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E6%88%90%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6

 

(2)合成生物学を加速するバイオファブ 日経サイエンス

 http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0609/biofab.html

 

(3)合成生物学:極地に達する遺伝子操作 IUF UITA IUL

 http://www.iuf.org/w/?q=ja/node/3409

 

(4)動的・多要素な生体分子ネットワークを理解するための合成生物学の基盤構築(合成生物学)

 http://www.syn-biol.com/

 

 <関連する論文>

(1)合成生物学

http://wrs.search.yahoo.co.jp/FOR=gcKDkBVV3ihUjpp0tEXG1WYQBXS8OhrOWaFe3zgOY5yZO8jWDnRw82F1uHoI6Chx8GZIBFjldK.hwE9oICiKv5Ez7OU6oQ1crGQtR5e3UFfslLggskAuq80vqMHJ6QBjuqQsglHFINSSIsoYF31NJQM_jczCSzl3leV0uiC.1yUrBI134XOVZEa52DaQIg5qcNbbNCZUKElctPqHrpnrm5DuOUxNAAiR/_ylt=A3xTpnzchEhUDGsAUg6DTwx.;_ylu=X3oDMTEydWo1NjZqBHBvcwM1BHNlYwNzcgRzbGsDdGl0bGUEdnRpZANqcDAwMDU-/SIG=14ri5v9vo/EXP=1414139548/**http%3A//www.tbr.co.jp/pdf/sensor/sen_a216.pdf%23search=%27%25E5%2590%2588%25E6%2588%2590%25E7%2594%259F%25E7%2589%25A9%25E5%25AD%25A6%27

 

(2)日本における「合成生物学」 とは? - I2TA

http://wrs.search.yahoo.co.jp/FOR=l80NS1RV3ig7nxrC5tTFG1CRat1mk.OA2aXkHDhS0PICQu3hbkq26Illz4v9EC0oe_kH23HT3xFAG5IK_mePjx7.pY2BGSifM_3ILEX3BQ7KJPkC_NxaaBPkTPyM91PkVKzYmK3LIoLWnqmf8KyiESJnRe7GUWCfK90eNjEDQ91AO6RydQkymtOavUEZto3LgsMA7HknQm4G8STFTqoIgNw-/_ylt=A3xTpn0rhEhUnGkAh6.DTwx.;_ylu=X3oDMTEzYTNuYnUzBHBvcwMxMgRzZWMDc3IEc2xrA3RpdGxlBHZ0aWQDanAwMDA1/SIG=14hh4uhg2/EXP=1414139371/**http%3A//i2ta.org/files/TANote07.pdf%23search=%27%25E5%2590%2588%25E6%2588%2590%25E7%2594%259F%25E7%2589%25A9%25E5%25AD%25A6%27

 

(3)合成生物学の可能性

http://wrs.search.yahoo.co.jp/FOR=lQOLbmtV3ijgWlVnXBw7ATlo6b_CTNN4dOO.cavS3BZjQY4Gz1X3JcN5iHb8EzPqfABg1eES8S4EWcLNrM6pBFRe5f7b8GJ5vKPiXGFNfvrhlgMUcLvhEOOI6RpMOqh5gfCgoJ4O_WcuI6XqZQBB7_Y4qFCdO5kIAFjTO1R8mhSGiCFl9w26XPxBsvD8tIr1bHYZPYLQBkcNI4isjvIMtQ9pQjWOkONOelvSwnlx6bXy8wAO7eKbz27QnFM00Zz2gZGMp6vOeg8h/_ylt=A3xTpn0rhEhUnGkAka.DTwx.;_ylu=X3oDMTEzcmppMWliBHBvcwMxNgRzZWMDc3IEc2xrA3RpdGxlBHZ0aWQDanAwMDA1/SIG=15p0dt17d/EXP=1414139371/**https%3A//www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/8907/8907_biomedia_4.pdf%23search=%27%25E5%2590%2588%25E6%2588%2590%25E7%2594%259F%25E7%2589%25A9%25E5%25AD%25A6%27

 

 <グレイグ・ベンター関連>

(1)クレイグ・ベンター:目前に迫る合成生命の創造 地には平和を

 http://www.asyura2.com/09/nature4/msg/553.html

 

(2)TED日本語 - クレイグ・ベンター:「人工生命」について発表する デジタルキャスト

 http://digitalcast.jp/v/13229/

 

(3)クレイグ・ベンター:目前に迫る合成生命の創造 Talk Video TED.com http://www.ted.com/talks/craig_venter_is_on_the_verge_of_creating_synthetic_life?language=ja

 

(4)クレイグ・ベンター:「人工生命」について発表する Talk Video TED.com

http://www.ted.com/talks/craig_venter_unveils_synthetic_life?language=ja

 

3.(別添PDFファイル)毎日新聞 ■注目ニュース■ 福島第1原発事故 県外進学、賠償返還請求

(毎日新聞の無料ネット会員になると、全文を見ることができます。お勧めです)

 

東京電力福島第1原発事故で、実家が帰還困難区域になった女性(21)に支払われた賠償金1600万円のうち、福島県外の短大に進学して転居した以降の精神的賠償など約900万円について、東電が返還を求めていることが分かった。

 

▽東日本大震災:福島第1原発事故 県外進学、賠償返還請求 東電「避難終わった」

 http://goo.gl/8xcbeZ

▽東日本大震災:福島第1原発事故 県外進学、賠償返還請求 識者の話

 http://goo.gl/2UH0X3

 

(この会社=東京電力は、原子力ムラ代理店政府の権力をバックに、福島第1原発事故の被害者を完ぺきに虚仮にしている。全くふざけた話だ。しかし、このアクタレ企業=東京電力の会社再建に全力を挙げ、他方で被害者の分断と切り捨てに邁進してきたのが民主党であり、その後を引き継いだ自民党だ。そして、その民主党と自民党が、こぞって応援をしている福島県知事選挙の候補者が「ウチボリ」(内堀雅雄:まさお)である:田中一郎)

 

4.その他

(1)推定被曝線量を再修正、広島・長崎一部の被爆者 地域版 読売新聞(YOMIURI ONLINE

http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/local/nagasaki/20141016-OYS1T50068.html

 

(2)毎日新聞:リニア新幹線着工を認可

 太田昭宏国土交通相は17日、JR東海が2027年の開業を目指すリニア中央新幹線の工事実施計画を認可した。東京・品川―名古屋間を約40分で結ぶルートで、総工費は約5兆5000億円。JR東海は工事の着手に向け、沿線住民への説明会や用地取得などを開始する。

 

▽リニア中央新幹線:国交相、着工認可 「品川―名古屋」申請から2カ月

 http://goo.gl/CHwPwq

▽リニア中央新幹線:着工認可 地域発展、足がかりに/誇れる自然、守れるか

 http://goo.gl/G4Zg3g

▽リニア中央新幹線:着工認可 残土の処分、見通せず/生活環境、影響大きく

 http://goo.gl/gUhC7H

 

(これも将来に大事故や大災害、あるいは環境破壊や騒音公害を引き起こし、その代償として既存新幹線のメンテナンスのための原資の大半を浪費してしまう天下の愚策・愚かもの事業だ。あの不当労働行為と安倍晋三へのこびへつらいを得意とするJR東海の葛西敬之だけが「やる」と言ってきかない、この不採算事業を止められない、この名古屋の会社の将来は、この事業でいっぺんに暗くなってしまった。愚かなことだ。そして、こんなものが仮に完成をしたとしても、いずれ大事故を引き起こして、たくさんの犠牲者が出ることになりかねない。日本は地震大国であることを忘れているのではないか。阪神大震災の時に新幹線がどうなっていたかを思い出すことだ:田中一郎)

 

(3)マクドナルド、赤字でFC離反の危機

 今期に上場以来初の営業赤字に陥る見通しを発表した日本マクドナルドホールディングス。仕入れ先の中国企業が期限切れ鶏肉を使用していたことが響いたが、問題はそれだけにとどまらない。原田前社長の時代からフランチャイズ(FC)オーナーの信頼が低下。販売現場の混乱に拍車がかかり始めた。

 http://mxt.nikkei.com/?4_28197_1065070_1

 

(会社に公開質問しても、はぐらかしてばかりいて、まともにきちんと答えない。それでいて、賞味期限切れの古い鶏肉を平気で顧客に食わしている。これでマクドナルドにハンバーガーを買いに行く人間がいたら、どうかしている、というものだ。こんな会社、いらない:田中一郎)

 

(4)(メール転送です)たんぽぽ舎MGより

┏┓

┗■1.一人一人の被曝量を抑えながら有効な過酷事故対策をおこなうには

 |  出来るだけ大勢の人員を投入するしかない  (その1)

 |  津波が来なくても海水ポンプは電動機とポンプそのものが

 |  火山灰で機能不全となる

 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 

○朝日バッシングと吉田調書

 朝日新聞が吉田調書を巡り「所長の命令違反で撤退」とスクープしたことに端を発し、最終的に朝日の記事取り消しと謝罪会見で幕引きとなった一連の事件。従軍慰安婦「吉田証言」の取り消しも絡んで朝日バッシングの流れが作られ、読売や産経新聞がキャンペーンを張っている。9月という時期はまさしく再稼働を巡って緊迫した時期。規制委員会が「審査書」を決定すれば事実上のゴーサイン、政権は右から左へと再稼働を推進すると公言してはばからないし地元の鹿児島県や薩摩川内市のトップも再稼働を予め認める予定で全体の流れは進んでいる。

 

 しかし大きな問題が議論されないままに放置されてきた。それは「誰に事故終息作業が出来るのか」である。吉田調書が公表される前は、テレビ会議の映像と音声が、事故収束作業の困難極まる状況の一端が確認できる情報だった。しかしテレビ会議は最初のうちは音声がない。菅首相が東電に乗り込んだ場面でも1号機が水素爆発を起こした場面でも、一切やりとりは分からない。さらに会議室の外で起きていることは、映像も音声もない。報告が上がっていたのかいなかったのか、そういったことも含めて、欠落している情報もたくさんある。吉田調書とは、その欠落を埋め、現場で何が出来なかったかを知る重要な証言であった。

 

○撤退はあったのか

 『「撤退」とは言っていない「退避」を検討した』。これが吉田証言でも語られているが、一方で清水社長は「撤退させてくれと菅さんに言ったと聞いている」とも証言している。ただし、言うまでもなく問題なのは言葉ではなく実態である。過酷事故対策には400人の要員が必要とされている。そのことも吉田調書には出てくるから、間違いないだろう。原発は6基、一基あたり70人ほどは必要となる計算だ。

 

 問題の「撤退」が起きたのは2号機の圧力上昇から「異音」と「衝撃」を感じた後の14日夜から15日にかけてだ。空間線量が急激に上がりだしたため、人命の安全を考えて一旦中央操作室や周辺の海水注入作業などから人を引き上げさせた。その後吉田所長は近くで比較的線量の低い場所に待機するだろうと考えていた。しかし結果として71名を除き全て第二原発に行ってしまう。約10キロ離れており、道も荒れており、再度必要な人員を戻すためには約半日かかっている。その間、原発では絶望的状況が続いていた。

 

 本来は3機の冷却ならば200名以上は必要なところ、半分も居ないのだから、パラメータの監視も冷却水の投入も出来ない事態になる。「必要のない人の退避」はおろか、重要なメンバーも大勢が抜けてしまった状況で、吉田所長と残った70名に対して何とかしろといっても無理である。(「その2」へ続く)

草々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

● 戦後最悪の政権=安倍晋三自公政権の悪政の数々(7) : 官民ファンド7つ・4兆円=国民だましてしぼり取った消費税は、幹部官僚の天下り先確保のためのファンドにきちんと使っています  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-ce98.html

 

●(毎日新聞)ゆがんだ償い:切り捨てられる原発被害者=その背後でうごめいていたのは文部科学省(下村博文文相)と自民党政権だった  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-c237.html

 

● 種子を支配するものは食料生産を支配し、食を支配する者は世界を制す=アグロバイオ企業の脅威と食料自給極貧の国・日本  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-35fe.html

 

 

戦後最悪の政権=安倍晋三自公政権の悪政の数々(7) : 官民ファンド7つ・4兆円=国民だましてしぼり取った消費税は、幹部官僚の天下り先確保のためのファンドにきちんと使っています

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、東京新聞の「こちら特報部」に掲載された興味深い記事です。戦後最悪の政権=安倍晋三自公政権の、ひっちゃかめっちゃかの悪政の数々が紹介されています。「官民投資FUND」などと言えば聞こえがいいですが、何のことはない、霞が関の幹部官僚たちが、投資責任を問われることもなく、特定の民間業者と癒着してやろうとしている一種の「利権事業」です。、関与する民間業者の方は「リスクは”お上”に取ってもらって利益は自分達で山分け」、官の方は「民からいろいろ癒着の見返りをもらって最終的には天下り先を確保して、そんでもって投資に失敗しても、転勤しておけば、どうってことはないし、投資失敗の責任も問われることはない」、ということになってます。これぞ「官民FUND」の「1石2鳥・税金かすめ取りの術」なり。

 

(そういえば、ついこの間も、やはり有権者・国民をだまくらかしてしぼりあげた所得税増税による復興予算に、復興とは全然関係のない事業に適当な名前を付けてタカっていた「シロアリ官僚」たちもまた、霞が関の連中でしたね)

 

消費税は社会保障改革のためにはやむを得ない将来のための国民負担である、だまされやすい石頭のおやじやおばさんが、体を硬直させて、ツバキを飛ばしながら言いそうなセリフですが、しかし、消費税増税なんぞ、法人税減税と、国土強靭化=ゼネコン・自民党強靭化と、軍事予算拡大と、この官民ファンドで、雲散霧消して、すっかりなくなります。おめでたい人間は食い物にされるだけ、平成枯れすすき、の世の中なのです。

 

だまされんぞ消費税、返せ消費税、おい自民党、コラ霞が関のクソ官僚、聞いているのか!!

 

 <別添PDFファイル>

● 官民ファンド 安倍政権で続々7つ 財政規模4兆円に膨張(東京 2014.10.22

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014102202000154.html

 http://p.twipple.jp/PshRE

 

(参考)「官民ファンド もたれ合い 大半税金」2013-06-15(東京新聞)|大友涼介です。

 http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11552781713.html

 

(以下、一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

安倍政権になって、政府が中心となり民間の事業に投資する「官民ファンド」の設立が相次ぎ、財政規模は総額一兆円を超えた。以前からのものを含めると、規模は四兆円近くに膨らんだ。原資は税金だから、投資の失敗は国民の負担になり、成功すれば民業圧迫という批判が出る。官民ファンドは必要なのか。

 

(中略)「官民ファンドは最初ら論理的に破綻している」と話すのは、経済評論家で楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏だ。「官庁が民間金融機関より好条件で投資をすれば、民業圧迫になる。逆に、本来なら融資を受けられない将来性の乏しい事業に投資すれば企業への贈与になる上、税金の損失を招く」

 

また、「審判と選手の兼務」が問題だという。官民ファンドを所管する省庁が、その業界の規制、指導をする監督官庁を兼ねることには矛盾がある。山崎氏は、実在しない厚生労働省の官民ファンドで例える。「ある製薬ベンチ一ヤーに投資し、厚労省はファンドの利益を出そうと、その企業の新薬認可審査を手加減する」。そんな事態が想定されるという。「ビジネスで有利な条件を与えてくれる官僚に、目端の利く民間企業が擦り寄り、癒着してメリットを分け合うかもしれない。経済原理を逸脱している」

 

なぜ、各省庁はこぞって官民ファンドをつくるのか。外務省批判の著書のある元駐レバノン大使の天木直人氏は「まとまった金をプールでき、天下りのポストを確保するのにうってつけだ」と話す。

 

官民ファンドは2004年に発覚した年金流用問題を想起させるという。厚労省(旧厚生省)や旧社会保険庁が年金事業の関連団体に天下り、無駄な事業に年金資金をつぎ込んで損失を出した。「年金に巣くった官僚退治のため国民は政権安代を望んだが、自民党政権に戻って官僚利権やポストが続々と復活している」

 

内閣官房の資料によると、昨年度末の時点で、各ファンドに出向中の官僚は、最古参の中小企業基盤整備機構の三十三人を筆頭に七十六人。うち同機構の六人は役員を務める。天木氏は「安倍さんは官僚の言いなり。財政赤字を解消しないまま、身を切る改革を怠り、再び官僚をのさばらせた」と批判する。

 

ダイエー再建などを手掛けた旧産業再生機構の執行役員も務めた元経済産業省官僚の古賀茂明氏は「期限どおりなくなったのは再生機構だけ」と指摘する。官民ファンドは設立の際、存続期聞を設定するケースが多い。中小企業を支援する地域経済活性化支援機構は、もともとは2009年に企業再生支援機構として設立された。2013年に解散予定だったが、法律を改正して延長。さらに、昨年3月に2023年まで延長し名前も改めた。

 

ファンドが期限通りに支援を完了せず、延長すればするほど、投資効果は見えづらくなり、責任は不明確になる。「ポストを増やし「税金で給料を出す。期限が近づくと延長や衣替えで何とか残そうとする」(古賀氏)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 これはきっと、かつて大問題になった旧年金福祉事業団(年金資金運用基金)の「グリーンピア」施設みたいになってしまうでしょうね。こうした官僚どもによる税金・積立金の巨額な無駄遣いは「グリーンピア」だけではなかったはず。その後始末の顛末報道も責任追及もないまま、また再びの「官僚天下り確保甘い汁FUND」が兆円単位で創設されるという。ふざけた話ではありませんか。この「官民FUND」ですが、どうしてもやるというのなら、幹部官僚たちの退職金原資を使うことにしたらどうでしょう。官庁を退職で去って行くときは、この投資ファンドの出資証券を退職金として差し上げればいいのです。

 

● グリーンピア

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%94%E3%82%A2

 

しかし、ことはこんなもんじゃ済まないのが、もう一つあるんです。既に少し前にもメールでご案内していると思いますが、下記です(公的年金の運用改革=株式などのリスク商品運用のウェイトをドラスティックに増やす)。これでおそらく、近い将来、第二次リーマンショックが来て株が大暴落し、働き者で、まじめで、だまされやすい日本人がコツコツと貯めてきた老後の年金のためのお金が、一瞬にして吹っ飛ぶことになるでしょう。だって、世の中に「無責任」といったら、この2つに勝るものはないという「ゴロツキ・ゴキブリ自民党議員」(その代表格がこの問題の場合には塩崎恭久厚生労働相だ)と「霞が関の幹部官僚」にお任せする、というのだから、その必然的結果ではないですか。

 

日本の公的年金FUNDは、もはや「財産消滅FUND」と名を変えて風前のともしび状態なのです。喜ぶのは、株価の乱高下で大もうけをしている欧米系の投資銀行・証券会社・大手銀行=国際金融資本です。(ちなみに、市場原理主義のメッカ=アメリカでは、公的年金FUNDの運用先は米国債とそれに準じたノーリスク商品に限定されています。株式による年金資金の運用は禁止されているのです)

 

● 公的年金の運用改革は円高要因か 経済 読売新聞(YOMIURI ONLINE

 http://www.yomiuri.co.jp/economy/fx/tuushin/20140818-OYT8T50179.html

 

● 年金積立金管理運用独立行政法人

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E9%87%91%E7%A9%8D%E7%AB%8B%E9%87%91%E7%AE%A1%E7%90%86%E9%81%8B%E7%94%A8%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%B3%95%E4%BA%BA#.E9.96.A2.E9.80.A3.E9.A0.85.E7.9B.AE

 

(こういう組織こそ、徹底して無責任の権化のような組織です。ここに預けられた百数十兆円の年金原資は消滅寸前と思っていた方がいいでしょう。だって、運用に失敗しても、誰も何の責任を問われることもありませんから、金額が巨額なだけに、いい加減と出鱈目が満開となるのです。腐った官僚たちの「悪の華」が咲く「こやし」がたくさん与えられている、最悪の年金資金管理組織です。時限爆弾だと思っていただいていいと思います)

草々

2014年10月22日 (水)

「食べて応援・買って支援」(放射能に汚染されたもの・汚染の危険性があるものを食べても)は、原発事故被害者への応援・支援にはならない。

前略,田中一郎です。

日本政府が総力で取り組む、おかしな、おかしな、「食べて応援・買って支援」運動について、以下に簡単にコメントいたします。

 

● 農林水産省-「福島県産食品の即売会」及び「食べて応援する会」の開催について

 http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/ryutu/141017.html

 

 相も変わらぬ「安全安心キャンペーン」が繰り広げられています。困ったものです。放射能に汚染されたもの(汚染されている危険性があるもの)を買って食べても、応援・支援にはなりません。そもそも、そんなことを自発的にする一般の消費者・国民はあまり多くありませんし、する必要もありません。

 

(1)福島県産のみならず、広く東日本に広がる放射能汚染地帯から獲れる農林水産物、あるいは加工食品については、飲食品の残留放射能検査が不十分極まりなく、未だ安全が確保されたとは言えない状態です。そもそも検査機器類の数・検査員の数が絶対的に不足しており、流通している食品はほとんど無検査の状態で流通しているのが現状です。唯一の例外が福島県産のコメで、一応、放射性セシウムについてだけですが、全袋検査が行われています。しかし、福島県産以外のコメはほとんど検査されておりません。隣の栃木県産のコメなどからは無視できない放射性セシウムが検出されたりしています。

 

 くわえて、放射性セシウム以外の放射性核種が無視されているのは大問題です。放射性セシウムだけを調べていても、放射能の危険性は除去できません。特に福島県沖のみならず隣接する宮城県や茨城県などの沖合で獲れる海産物は、放射性ストロンチウム等の放射性セシウム以外の放射能汚染が非常に懸念されるところです。絶対に買って食べないよう、ご注意ください(水産物の場合には、産地偽装も要注意です。水産庁や消費者庁など、政府は産地表示偽装を本気で取り締まる意思はありません)。

 

 また、少し前には、汚染されていない大根を使って、切干大根をつくったところ、空中をただよう放射性セシウムで、大根を干している間に汚染されてしまって、数千ベクレル/kgの放射能汚染になって出荷できなくなった話も福島県から伝えられました。生鮮のみならず、加工食品についても要注意と言えるでしょう。(一般的に、乾燥させたものは危険性が高いです)

 

 更に、2012年4月に厚生労働省が定めた飲食品にかかる放射性物質(といっても放射性セシウムだけですが)の残留規制値は、とてもじゃないですが、食品の安全を担保するものではありません。放射線に感受性の高い妊婦(胎児)や子どもに対する配慮もほとんどされておりません。はっきり言って危険です。食品の残留放射能規制値をクリアしているからと言って、安全であるなどと言うことはありません。

 

 政府は、3年半も飲食の放射能汚染検査体制を拡充させずに放置し、放射能の残留規制値を見直すこともなく、消費者・国民に無用の放射線内部被曝を強要しています。許されないことです。日本政府の放射線防護対策・被ばく医療対策は、「悪の帝国」と言われた旧ソ連よりもひどい最悪の状態です。

 

(2)福島県の漁協は、福島県沖での漁業を止めるどころか、更に拡大しようとしています。危険極まりない話です。福島第1原発からは、地下水を経由して、毎日のように猛烈な放射能汚染水が海に漏れ出ているのです。わずかばかりの漁獲物について、放射性セシウムだけを計測して、それで安全だなどと、何を言っているのか、ということです。放射性ストロンチウムが懸念されています。福島県沖合いの漁獲物は絶対に買って食べてはいけません。また、福島県のみならず、茨城県及び宮城県も含め、少なくともこの3県の沿岸・沖合での漁業は当分の間、休漁とし、それによって被害を受ける漁業者に対しては万全の賠償・補償をすべきです。そして、かようなことをしていないで、海洋生態系の放射能汚染による影響の大規模な観測体制を一刻も早く確立すべきです。(福島第1原発の汚染水問題を早く解決すべきことは申し上げるまでもありません)

 

(3)「食べて応援・買って支援」の「安全安心キャンペーン」のねらいは、第一に、加害者・東京電力や事故責任者・国の原発事故被害者に対する賠償・補償の負担を軽減すること(消費者・国民が放射線被曝を覚悟して「食べて応援・買って支援」をしてくれれば、それだけ被害者の被害金額は減少し、加害者・責任者が賠償・補償する金額は少なくて済みますし、また、被害者の仕事や家業再建もそれだけ容易なものになるでしょう。つまり、「食べて応援・買って支援」は、加害者・東京電力や事故責任者・国の賠償・補償責任の多くを一般の消費者・国民に転嫁するものに他なりません。

 

 第二に、被害者への賠償・補償や再建支援は、加害者・東京電力や事故責任者・国が責任を持って誠実に遂行すべきものですが(現在のところ不誠実極まりなく、無残にも多くの被害者が切り捨てられています。特に、旧警戒区域外(20km圏の外側)の放射能汚染地域の方々がひどい状態に置かれています)、「食べて応援・買って支援」を実施することで、その責任をあいまいにすることができます。福島県の電力を使っていたのは遠く首都圏の消費者だったのだから、首都圏の消費者も、少しは福島県産のものを買って食べてほしい、そんな声もちらほら聞こえます。

 

 しかし、これは筋違いの話であって、あくまで原発事故の責任は加害者・東京電力や事故責任者・国が負わなければならないことです。むしろ首都圏を含む一般の消費者・国民は、福島県をはじめ東日本に広がる多数の原発事故被害者への賠償・補償や、救済・再建のためには、天文学的な金額の費用が必要となることをきちんと認識し、その金額がいかほどになろうとも、言い換えれば、国の財政負担がいかほどになろうとも、きちんと被害を受けた方々に、その被害を回復していただけるだけの費用を投じる「覚悟」をすべきなのです。決して、放射能に汚染された・汚染されている危険性のあるものを食べる「覚悟」が求められているのではありません。判断を間違っていはいけないのです。

 

(4)「食べて応援・買って支援」は、福島県をはじめ原発事故被害に見舞われた地域の食品産業の復旧・復興を目に見える形にしたいという意図も込められています。しかし、放射能汚染が消えていない中で、とりわけホット・スポットといわれる高濃度汚染の地域では、とてもではありませんが、農林水産業を含む食品関連の事業は無理というものです。それを放射能汚染はなくなってしまったかのごとく、放射能や放射線被曝は少々なら大したことはないかの如く、でっちあげの「安心・安全」を創造して、原発事故からの完全復旧・復興を演出しようとしているのです。これもまた、加害者・東京電力や事故責任者・国の責任と賠償・補償負担回避を目的としたもので、倫理・道徳的にも、ものごとの道理としても、健康上から考えても、本来の復旧・復興のあり方から考えても、経済的な面からも、許されるものではありません。

 

 みなさま、「食べて応援・買って支援」などを相手にするのはやめましょう、放射能で汚染された食べもの・汚染されている可能性のある食べ物は断固として拒否し、それに代わって、原発事故で被害を受けられた方々への万全の賠償・補償と、再建支援が実現するよう、全力を挙げて行きましょう。何故なら、上記で申し上げたように、「食べて応援・買って支援」は、結局は被害者の方々を応援・支援することにはならず、いたずらに賠償・補償問題を長引かせ、加害者・東京電力や事故責任者・国の責任をあいまいにする結果となるからです。

 

 だまされません「食べて応援・買って支援」、うそつくな「安全安心キャンペーン」

草々

 

 

(輸入食品に走るのは危ない) 食の安全をめぐる国際市場原理主義のインチキ : コーデックス委員会と「(似非)科学主義」にだまされるな=食の安全を証明するのは「売り手」側だ

 

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 

別添PDFファイルは、このほど畜産業界誌に掲載された農林水産省のある官僚が書いたコラム記事です。一見するともっともらしいことが書いてあり、国際貿易における市場原理主義と、多国籍アグロバイオ企業や巨大FOODビジネス資本の「たくらみ」を知らない人は、ついつい、こうした説明にだまされてしまいます。しかし、ここに書かれていることは、食の安全に関する国際基準にちょっかいを出して、自分達の金もうけにじゃまになる安全規制を巧みに骨抜きにせんとする、非常に狡猾で危険な「インチキ」が隠されています。以下、簡単にご説明いたしましょう。

 

それにしても、世界最大の食料輸入大国の日本という国の、それも食料輸入に対抗して自国の食料生産産業である農林水産業を組織を挙げて守らねばならぬ役回りの農林水産省が、まるで多国籍アグロバイオ企業や巨大FOODビジネス資本と、国際市場原理主義の広報担当のようなことをしているのですから、呆れて開いた口がふさがらないとはこのことです。近い将来、私はこの農林水産省という役所が消えてなくなるであろうと予測しています。そうならぬうちに、ゴロツキ・ゴキブリ政治家どもとともに、この農林水産省にいる阿呆の官僚たちも入れ替えておいた方がいいと思います。

 

 

 <別添PDFファイル>

● コーデックス規格と国際ルール(辻山弥生(農林水産省):『畜産コンサルタント 2014.10』)

 

 

 <関連サイト>

(1)(正しいサイト)遺伝子組み換え食品資料集

 http://www.gmo-iranai.org/dataroom/dataroom.htm

 

(2)(嘘八百サイト)厚生労働省:コーデックス規格とWTO協定との関係

 http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/codex/09-04.html

 

(3)厚生労働省:コーデックス委員会の概要

 http://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/codex/01.html

 

 

なお、国内では、下記のような「おしゃべり会」が御用団体や御用学者たちを集めて定期的に開催されているようです。クソの役にも立ちません。

●農林水産省-「第43回 コーデックス連絡協議会」の概要について  http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/kijun/100628.html

 

 

(田中一郎コメント)

別添PDFファイルの文章に沿って簡単にコメントします。

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(原文抜粋)「コーデックス規格そのものは各国に強制力はないが、1995年の国際貿易機関(WTO)の発足によりその意義は大きな変化を迎えた。WTO協定の一つであるSPS協定(衛生植物検疫措置に関する協定)は、加盟国の措置を国際規格に調和させることを目指し、加盟国がその措置を国際規格よりも厳しくするには、適切なリスク評価や科学的に正当な理由が必要で、食品安全の国際規格はコーデックス規格であるとしている。」

 

(コメント)この部分が最も基本になる部分で重要です。コーデックス委員会そのものは、国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO))と世界保健機関(World Health Organization (WHO))が1963年に設立した、食品の国際基準(コーデックス基準)を作る政府間組織です。

 

 

この委員会はWTOが発足する1995年までは、強制力がない国際的な食の安全の協議機関として機能し、それほど注目されることもありませんでした。しかし、WTO発足に伴い、このコーデックス委員会での決定事項が国際貿易の自由化のための「(食の安全や表示などに関する)国際基準」と位置づけられ、これを上回る輸入規制をかける場合には、原則として「余計な規制」=「非関税障壁」と位置づけられたのです。従って、WTO加盟国は、このコーデックス委員会基準を上回って食の安全・表示規制をかけるためには、相当に強い「科学的根拠」=つまり、当該食品がコーデックス基準のままでは危険であるという科学的実証的証拠を示す必要性が義務付けられ、それなしでは輸入規制はWTOルール違反とされてしまいました。これにより、WTO加盟各国は、余計な安全基準や表示義務を課すことで食品の輸入を制限し、貿易の自由化を妨げる「保護主義」を退治できるとしたわけです。

 

(原文抜粋)「WTOは裁判に似た「紛争処理手続」を有しているので、加盟国を拘束する強い力を発揮できる。WTO協定違反の措置を行っている加盟国に対し、被害国は、違反の停止を求めてWTOに提訴できる。違反が認定されれば、WTOは違反固に違反状態の是正を勧告する。この勧告を敗訴国が実施しない場合は、敗訴国は関税引き土げなどの制裁を受ける。」

 

(コメント)長い間、戦後の国際貿易協定であったGATTが、新たに設けられたWTOと決定的に違う部分はここです。上記で申し上げたコーデックス委員会の決定事項を国際基準とし、それを超えて輸入国が規制をかける場合には、輸入国側が科学的実証的根拠を示せ、という「WTOルール」に輸入国が違反した場合には、輸出国はその輸入国に対して「制裁」を課すことができるということです。「紛争処理手続」などと書かれていますが、何のことはない、国の主権を放棄させるための暴力的手段を認めます、ということに他なりません。

 

 

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(コメント)

 さて、上記を読んで「これは当然のことじゃないの」と思われた方がおられたら、その方もかなり国際市場原理主義に頭が洗脳されていると思われた方がいいです。下記に上記の「コーデックス委員会」方式のどこがおかしいか、箇条書きにします。

 

 

(1)コーデックス委員会の決定事項が「レベルが低い」ため食の安全を担保しない。それどころか、このコーデックス委員会をめぐって、多国籍アグロバイオ企業や巨大FOODビジネス資本や、その代理店政府・関係者が暗躍し、活発な資金投入によるロビー活動が行われたり、不透明な委員会委員人事が行われたりしています。いわばコーデックス委員会は、国際食料貿易を自分達の金もうけのために私物化せんとする「よからぬ」グループの人間たちによって牛耳られ、日本政府からコーデックス委員会に派遣される官僚どもは、日本国や世界の消費者のためになることは、まったくと言っていいほどしたためしがないのです。コーデックス委員会は、事実上、多国籍巨大資本の支配下にある「ピエロ」のようなものだと考えていいでしょう。そんなところが決める「安全基準」など、食べものの安全や適正な表示を消費者のために担保するはずがないのです。

 

 

(2)そもそも、コーデックス委員会をめぐる情報が日本にはなさすぎます。委員会の概要や決定事項の詳細、及びその背後の事情・情勢・利害関係、あるいは定期的に交代しているであろう委員会の委員をめぐる人事や委員のプロフィール、委員会事務局の動きなど、日本国内の重要な意思決定委員会であれば詳細に報道されるであろうことが、こと、このコーデックス委員会のことになると、全く「なしのつぶて」状態で、報道がなされないのです。おかしな話です。ですので、事実上、日本を含む世界の食の安全や表示の基準を決めている委員会なのに、それについての情報は、この日本では今のところ皆無に近い状態です(海外ではどうでしょうか?)。決まった結果の一部分だけが、まるで一方的通知のように伝えられるだけです。何が何でも金もうけがしたい多国籍巨大資本にとっては、まことに「結構毛だらけ」状態が続いています(日本のマスゴミどもよ、しっかりせいよ!)。

 

 

(3)上記のような低水準の「コーデックス委員会」基準では食の安全や表示の適正化は確保できませんから、当然ながら、いわゆる「上乗せ規制」が必要となります。「コーデックス委員会」方式が「かしこい」のは、これを一律に禁止だとするのではなく、その上回る根拠・理由を科学的実証的な形で、食品を輸入する側が、つまり食品を買う側が証明せよ、と義務付けた点です。頭から押さえつけると反発が出ますから、そうではなくて、いいですよ、でも、根拠を示して下さい、とやったわけです。しかし、よく考えていただきたいのは、何故、買う側が、買う物の危険性を証明しなければ、その食品を拒否できないのでしょう。本来は、食品の安全性は、疑義が出た場合には、それが安全であることを売る側が科学的実証的に証明をして、買う側=消費者を納得させて、商売をするものではないのでしょうか。表示も同じです。表示する必要性を買う側が立証するのではなく、表示が必要ないということを売る側が説得力ある形で説明をし、その根拠を科学的実証的に示さなくてはならないのです。

 

 

 この巧妙な「インチキ」方式は「食の安全性の立証責任の転換(転倒)」といい、おまけに、厚かましくも、この「インチキ」方式に「科学主義」なるネーミングまで付していますから要注意です。「科学主義」とは、巧みに食の安全と表示の基準を切り下げるための「インチキ」方式を糊塗するための用語であり、真の意味での「科学主義」ではありません。「真の意味での科学主義」は、食の安全規制を「買い手側」に課すのではなく「売り手側」に課し、「売り手側」に対して「使え」と指示されるものを言います。つまりそれは、上乗せ規制のところではなく、コーデックス委員会での審議の中で、従って、同委員会の決定事項に全面的に適用されなければなりません。

 

 

(3)しかし、もう一つ大事なことは、科学はすべてのことを即座には教えてくれない、ということです。今現在の科学の水準では、たくさんのわからないことがあって、それは食の安全に関することも同様です。特に人間の場合には人体実験をするわけにもいきませんから、完全にはわからないことの方が多いと言った方がいいでしょう。それでどうするのか、です。「コーデックス委員会」方式では、もともと「基準」の水準が低くて話にならないことが多いのですが、更に科学的にはっきりとはわからない、となると、「疑わしきは自由に」となって、益々何の規制もされないことになってしまいかねません。しかし、それでは、ある食品の危険性が、後日たくさんの犠牲者を出してから「科学的に実証」され、規制が入れられたとしても「後の祭り」になります。ですから、食べもののことは「疑わしきは罰す」で、予防規制として、どうあっても食品で健康被害などが出ないよう、あらかじめ規制をしておくというやり方が取られるのです。これを「予防原則」といいます。

 

 

しかし、これが商売の邪魔になると考える多国籍アグロバイオ企業や巨大FOODビジネス資本や国際市場原理主義は、「予防原則」を「親のかたき」のように敵対視しております。そして、この「予防原則」をやっつけるために彼らが持ち出してきた宣伝文句が「科学主義」なのです。科学は全知全能であって、商売の邪魔をしている「予防原則」主義者どもを「公正公平」に退治してくれる、彼らはそう主張しているのです。「科学主義」なる、一見もっともらしい宣伝文句にだまされてはいけません。そもそも科学は全知全能ではありませんし、科学を誰がどう使うかを問わずして、絶対視するわけにもいかないのです。市場原理主義は一種のアホダラ教ですが、科学崇拝・科学者崇拝もまた、一種のアホダラ教です。みなさま、気をつけましょう。

 

 

(4)それとも一つ、申しあげておかなければいけないのは、「コーデックス委員会」方式のことと言うよりは、WTOの「紛争処理手続」のことです。これもルール違反をした輸入国に対して被害を受けた輸出国が制裁を課せる、のだから、問題がなさそうに見えますが、そうではありません。世界の国々には、経済力に大きな差があり、制裁を課せば相手国に大きなダメージを与えることができる国と、そうではない、むしろ制裁を課せば自分の方がダメージとなる国があるということを念頭に置かねばなりません。つまり、この「紛争処理手続」は、経済大国だけが事実上一方的に行使できる「片務的」な制裁ルールであり、その内実は不公平・不公正・支配被支配の関係であるということです。一方をアメリカやEU,他方をアフリカなどの途上国を思い浮かべて考えてみてください。

 

 ですので、この「紛争処理手続」を世界の国々に、その国の経済力を無視して、のべつくまなく適用することはよろしくないと考えられます。あるべき国際貿易のルールは単純ではありません。しかし、今現在は、欧米や一部の経済大国・資源大国が、実質的な経済力の差を無視して(利用して)、のべつくまなく「自由放任・やりたい放題」ルールへと展開させていこうとして「グローバリズム」の旗を振っているのが実態です。もちろん、これに対抗する動きも出てきておりますが、日本は世界の中でも、相当に頭が市場原理主義にイカれた状態で国際貿易・投資協定交渉に臨んでいる状態です。まことに困ったものです。

 

(5)最後に、では、コーデックス委員会が決めたおかしな基準を、別添PDFファイルの役人の書いた文章から拾ってご紹介しておきます。

 

(原文抜粋)「コーデックス規格に関連したWTO提訴事例として、米国一EU間のホルモン牛肉紛争がある。健康リスクを理由としで特定の成長ホルモンを使用した米国産牛肉をEUが輸入禁止していることに対する米国提訴である。コーデックスでは成長ホルモンの牛への使用を禁止していない。国際規格よりも高い水準の措置を採用するには適切なリスク評価または科学的根拠に基づくべきなどの理由でEUは敗訴している」

 

(コメント)米国産の牛肉や乳製品は、この「牛成長ホルモン」が使われていると思っていて間違いありません。はっきり言って、この「牛成長ホルモン」は安全性が証明されていないどころか有害だと思います。しかも、ここでEUが禁止した「牛成長ホルモン」は遺伝子組換え(GM)技術を使ったもので、より一層危険と考えておいていいと思います。(GM)成長ホルモンが牛肉や乳製品の中に残留していれば、それを食べた人間の体内で、その成長ホルモンは働いてしまうかもしれませんし、有害な作用を及ぼすかもしれません。お肉をよく食べる女の子の胸が膨らんだり、肉体的な早熟傾向が出たりしている話はよく聞きます。それに、おかしなホルモン物質の場合には乳ガンなどの発がん性についても懸念されます。また、そもそもGM製品である点も非常に不安です(妙な未知のたんぱく質などの物質がくっついている可能性もあります)。

 

 ちなみに、EUはWTOで敗訴してもなお、この「牛成長ホルモン」で汚染された米国製の畜産・酪農製品の輸入禁止を続けています。また、日本では、国内産畜産・酪農製品に関しては、このGM牛成長ホルモンの使用が禁止されています。しかし、米国から輸入される畜産・酪農製品については禁止されていませんし、調査・検査もなされません。全く理解できない「ダブル・スタンダード」になっているのです。危険性を持ったGM牛成長ホルモンをコーデックス委員会は禁止しない、これがこの委員会の正体をよく表していると思います。(ちなみに私は、米国産の牛肉(仙台の牛タンなどはその典型)はもちろん、米国産品は基本的には買わない・食べないことにしています)

 

 

 

 別添PDFファイルのコラム記事で、農林水産省の役人は次のように書いています。まさに日本の食の安全を国際市場原理主義と多国籍アグロバイオ企業や巨大FOODビジネス資本に売り渡す、売国奴的言動ではないかと思われます。少なくとも、この役人も農林水産省という役所も、消費者・国民のために働いたことは、これまで一度たりともない、と言っていいように思えます。もちろん、国内の農林水産業の生産者を優先して働いたこともありません。いったい誰のために、何のために存在しているのか、よくわからない役所です。

 

 

(原文抜粋)「国際基準よりも根拠もなく厳しくすることは消費者にとっては「安心」を与える効果はあるが、同時にWTO提訴の恐れがある。このため、日本政府は、コーデックスでの規格設定の議論の際には科学的なデータや情報の提供、会議の場で適切な発言などによりわが国の実情に合った規格・基準を設定するように努力を続けているところである。また、わが国の措置が国際基準よりも厳しい場合でも、きちんとした科学的根拠があればWTO提訴に耐えうる。TPP等の国際交渉の結果、日本は食品安全基準の援和を求められると心配されている方も多いが、いずれもSPSの権利・義務の順守がベースになっている」

 

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 それから、上記で申し上げた「コーデックス委員会」方式を含むWTO協定を締結した時の政権は細川護煕政権(1993~94年)だったことも付記しておきましょう。当の細川護煕や、その時に閣僚だった連中が、このことをいかほど反省し後悔しているか、怪しい限りであると見ていています。

 

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「上記(1)(正しいサイト)遺伝子組み換え食品資料集」から下記をコピペしておきます。15年も前の世界市民・NGOアピールですが今も有効です。ということは、今日では、15年前よりも事態は悪化こそすれ、ちっとも改善していないということを意味しています。多くの市民が立ち上がらない限り、誰かがより良い方向に変えてくれることはありません。日本の「食」は世界中から「食いもの」にするべく狙われています。つまり、日本人は円高にうぬぼれて世界中を「食いもの」にしたつもりが、世界中から「食いもの」にされ、海外では汚い・危ないから見向きもされないような残飯やゴミやエサのようなたぐいのものが「食いもの」として日本に入ってきているということです。国際市場原理主義と多国籍巨大資本は、それをもっと「自由化」しろと圧力をかけ「コーデックス委員会」方式のフル活用を狙っています。輸入食品は不潔・危険と表裏一体です。

 

 

■世界市民・NGOアピール■

 

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 遺伝子組み換え食品をめぐっては、長期摂取の影響、環境生態系への懸念、多国籍企業の種子支配、生命特許などの問題が指摘され、反対運動が世界的に広がっています。もっとも強く反対運動の展開された欧州では、遺伝子組み換え食品の排斥が広がり、EU(欧州連合)が予防原則に立って表示化を実施し、規制を強めています。日本も国内世論の高まりから表示化を決めました。

 

 

 こうした動きに、「安全であり、規制は貿易障壁」として表示化に反対し、遺伝子組み換え作物の生産・輸出を行ってきた米国、カナダなどは、輸出が減少し、生命科学産業として組み換え作物の販売を手がけてきた多国籍農薬化学企業は軒並み業績悪化に見舞われています。いまや遺伝子組み換え食品の問題はWTOでもサミットでも貿易問題の争点となっています。

 

 

 現在の混乱を解消し、バイテク産業の危機を回避して将来展望を切り開くため、昨年、日本政府は、コーデックス委員会に遺伝子組み換え食品の国際基準を策定する特別作業部会の設置を提案し、議長国を引き受けました。日本政府はこの部会の目的として、「科学的証拠に基づく合理的リスク評価によって、公正な貿易を進めることのできる国際ルールを策定する」としています。

 

 現在のコーデックス食品規格は安全規格を持たない途上国のガイドライン、最低基準として策定されていたものが、WTO協定で、自由貿易促進のため、国際基準に引き上げられました。コーデックス基準を満たしていれば、安全として輸入を拒んだりできなくなっています。コーデックス国際規格については、その時点の限られた科学的証拠にのみ依拠し、各国市民の懸念、社会的要請を考慮しません。また多国籍企業の多くの出席を許し、限られた国際テクノクラートたちによって、市民がアクセスできない場で国際ルールを作っているという問題性が指摘されています。

 

 遺伝子組み換え食品が持つ潜在的危険性はここでは考慮されないでしょう。 因果関係の立証には時間がかかります。懸念のあるものには予防原則が必要です。また市民の知る権利、選択の権利というものも考慮されるべきです。下記に署名した私たち世界の市民・NGOはコーデックス委員会バイオテクノロジー特別作業部会の各国政府に対し、以下を要求します。

 

 

1 自由貿易至上主義から方向転換し、環境保全・生命の安全を最優先する国際ルールを策定すること。

 

2 遺伝子組み換えによる作物、食品、食品添加物、飼料を直ちに凍結し、生産、流通を国際的に禁止とすること。

 

3 凍結禁止までの間、現在流通する遺伝子組み換えの作物、食品添加物およびこれらを含む食品、飼料のすべてに表示を義務付けること。

 

4 生物や細胞、遺伝子などへの生物特許を禁止すること。

 

5 安全性評価は予防原則に立つこと。将来にわたって農業、環境、人および家畜の健康へ及ぼす影響を、すべての領域にわたる科学的知見および社会経済的影響、倫理性まで包括的に検証するものであること。

 

6 安全性評価を行う各国政府諮問委員会は、企業の影響を受けない独立した専門家によって構成されるべきこと。

以 上  

 

20003

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

草々

 

 

 

 

 

2014年10月21日 (火)

「吉田調書」と福島第1原発事故 (NPO法人「APAST」の後藤正志氏、筒井哲郎氏の講演から)

前略,田中一郎です。

 

別添PDFファイルは、先般(20141018日(土))、神田神保町において開催されました「緊急講演会:福島原発・吉田昌郎元所長の行動を解析する」で講演されましたNPO法人「APAST」の後藤正志氏(元東芝・原子炉格納容器設計技師)、及び筒井哲郎氏(プラント技術者)のレジメです。以下、簡単にその内容をご紹介し、私のコメントを付します。当日は、両氏以外にも2名の人が講演を行いましたが、それについては省略いたします。なお、この講演会の主催団体は首をかしげたくなるような名前を付けた団体ですが、下記の2人の講演内容とは無関係ですので、ノーコメントといたします。

 

注:下記はあくまで、原子炉工学の知識に乏しいド素人の私が、お二人の講演を聞いて認識したものをそのまま書いております。従って、当日のお二人の講演の主旨や講演内容とズレや食い違いがあるかもしれません。その場合には、慎んでお詫び申し上げます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)緊急講演会「福島原発・吉田昌郎元所長の行動を解析するJ(次第)(20141018日)
「puroguramu_1018.pdf」をダウンロード
(2)福島第一原発事故と吉田調書(後藤正志 2014.10.18

「rejime_gotou.pdf」をダウンロード
(3)組織と人間:定常時と非常時(筒井哲郎 2014.10.18

「rejime_tutui.pdf」をダウンロード

(私の当日の書き込みメモは無視してください)

 

 <参考サイト>

● APAST NPO the Union for Alternative Pathways in Science & Technology

 http://www.apast.jp/

 

●後藤政志が語る、福島原発事故と安全性

 http://gotomasashi.blogspot.jp/

 http://gotomasashi.blogspot.jp/p/blog-page.html

(ここに講演会の案内があります)

 

(田中一郎コメント)

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<福島第一原発事故と吉田調書:死を覚悟した過酷事故対応とその教訓(後藤正志 2014.10.18)>

 

 まず、後藤正志氏のレジメについてだが、講演の最初に同氏は、このレジメは自分の備忘録とおっしゃっていた。講演でおっしゃりたいことが、そのまま図と活字とで書かれているので、このままご覧になるといい。講演は「福島第1原発事故について、いろいろあるが、特に問題は「(スクラム後の)原子炉を冷却することができなかったこと」と、(ご自分が格納容器の設計技師だったこともあって)「格納容器の設計圧力の2倍になってしまったこと」(更に圧力が高まると格納容器が破壊され放射能が全部環境に出てしまう文字通りの破局となる)の2点を挙げておられた。格納容器は、そもそも原子炉内の危険な放射能を環境に出さないで閉じ込めておくための最後の砦だ。チェルノブイリ原発事故の際には、日本の原発ではソ連の原発とは違い、格納容器があるからチェルノブイリ原発事故のようなことにはならない、と言われたものだ、とのことである。その格納容器が福島第1原発事故では破壊寸前まで行っていたということを意味している。

 

 さて、話は時間切れで、非常に惜しいことに途中で終わってしまったのだが、それでもいくつかの点について傾聴に値する重大な指摘があった。以下、それを箇条書きにしてみよう。

 

(1)非常用復水器(IC)の問題

 政府事故調や柳田邦男氏らは、福島第1原発1号機の非常用復水器(IC)は、3/11の全電源喪失時に「フェール・セーフ」機能が働き、自動的に停止してしまったとし、そのことについて吉田昌郎所長以下、福島第1原発現場の幹部責任者たちが認識するのがかなり遅れてしまったことを問題視している。他方、国会事故調や田中三彦氏らは、非常用復水器(IC)を含む福島第1原発の冷却系配管類のどこかに地震の揺れによる亀裂、または破損が生じ、そこから小規模のLOCA(冷却水漏れ事故)を起こしていた可能性が高いこと、特に非常用復水器(IC)にその疑いがあり、その結果、建屋4階にその亀裂・破損個所から漏れ出た水素がたまり、それが爆発することにより大惨事にいたったのではないかと推測している。その場合、非常用復水器(IC)の「フェール・セーフ」機能は、電源喪失のため正常には働かず、従って、自動的に非常用復水器(IC)が停止したとはいえないと考えている。

 

 後藤氏の場合は、非常用復水器(IC)の「フェール・セーフ」機能の稼働の有無の問題には立ち入らず(私が講演後質問した際には、後藤氏も非常用復水器(IC)は停止していなかった可能性があると回答)、その一歩手前で、「はたして、緊急炉心冷却装置(ECCS)である非常用復水器(IC)が、電源を喪失したらその働きを停止してしまうような設計で本当にいいのか」と問題提起されていた。全くその通りである。何故なら、電源を喪失して原子炉が冷やせなくなったその時に、非常用冷却装置として用意された非常用復水器(IC)が自動的に停止して動かなくなり、機能しないようにあらかじめセットされているというのは、どう考えてもおかしいからである。

 

 原子炉の基本的な設計にまで立ち入って、このECCSとしての非常用復水器(IC)の付与された機能の妥当性と「フェール・セーフ」などの機能の過酷事故時における有効性を徹底して問わずして、福島第1原発事故の教訓は得られないとの議論だった。非常用復水器(IC)がセットされた原子炉は、今や福島第1原発以外には日本原電の敦賀1号機しかないが、問題の本質はそのようなところにあるのではない。

 

(2)水位計の問題

 1号機の原子炉水位計は、311日夜の2130分にはTAF+450mm(核燃料の上端(TAF)よりも45センチ上にある)であり、22時にはTAF+550mmを示していた(なんと水位が上昇している!!)。しかし、その後、原子炉内(圧力容器内)の圧力が、翌日12日の午前245分には、それまでの6.9MPa(メガパスカル=10気圧)だったものが、一気に0.8MPaまで低下してしまった。圧力容器内の圧力を逃がすSRV(逃し安全弁)は動いた気配がないため、これはどこかが破損して圧力が漏れているのではないか、そうだとすると、これまで圧力容器内には冷却水がまだ存在していて、比較的高い水位を示している、それは非常用復水器(IC)が動いているからだと思っていたのが、実はそうではなく、水位計が示す水位だって怪しいではないか、そもそも水位が上がるのはどうも変だ、ということになり、何が何だか分からなくなってしまった。

 

 実は、福島第1原発に取り付けてある水位計は、別添PDFファイルの図にある通り、ストレートに圧力容器内水位を計るものではなく、圧力容器とは別建てのもう一つの「基準計」としての「基準面器」を用意し、その中にも水を入れて、原子炉の方の水の圧力と基準面器の方の水の圧力を比較計算することで、原子炉内の水位を推測する設計になっていた。しかし、この基準面器の方に入れてあった水が原子炉過酷事故によって格納容器が加熱され、その熱で蒸発してしまって、その圧力が低下し、すなわち基準となる方のものが「低い値」となったため、計測される側の圧力容器の水位は、実際は低かったにもかかわらず、基準面器対比で「高い」値を示していたにすぎなかった。つまり、この水位計は、過酷事故に伴い、実際の圧力容器内の水位を示さない、誤った数字を(事故を軽く見せる数字を)表示させる水位計になってしまっていた。このことは、過酷事故がありうる原発の水位計としては、設計がダメ=使ってはいけない水位計であることを意味している。

 

 しかし、日本全国の原発に使われている水位計は、この誤表示をしてしまう水位計と同じものであるという。後藤氏は、この水位計が新規制基準上で問題にならないまま原発が再稼働されることについて、強い異議を訴えておられた。

 

(3)逃し安全弁(SRV)の問題

 逃し安全弁(SRV)についても、上記の水位計と同様の問題があるようだ。逃し安全弁(SRV)は空気圧で動かそうとしたようだが、格納容器内圧力が設計上の上限圧力(4気圧)を超えると、SRVの周りの空気圧上昇の影響を受け、所要の圧力容器内圧力がSRVにかかっても、弁が開かないというのだ。このため、ベントが成功する前の1号機では、SRVが作動した様子がなく、いたずらに圧力容器内の圧力を上げる方向に動いていたものと推定される。それが、配管類等の破損による圧力漏れで、12日に入るとSRVが動かないまま圧力容器内圧力の低下が起きることになる。

 

 後藤氏は、こうした水位計やSRVの原子炉の重要機器類が、所定の格納容器内圧力の範囲内でなければ正常には稼働しないという話を別の技術者より伝え聞き、そういう設計というのは根本からおかしい=過酷事故になって格納容器に異変が起きれば、たちまち重要機器類が正常には作動しなくなる、ということでは、もしもの時に大変なことになる、原発・原子炉の根本設計のところに立ち返って、その安全装置類の抜本見直しをすべきであると主張した。私はこの後藤氏の話を聞いて、恐ろしくて震え上がってしまった。

 

(4)ベントの問題

 後藤氏の指摘では、成功したと言われている1号機や3号機のベントでも、実は格納容器内の圧力はそれほど下がっているわけではなく、本当に成功したのかどうかは怪しい限りであること、ベントは水素ガスの大量発生がある場合には、水素ガスの危険性を十分に考慮せねばならず、できるだけ冷却等でがんばって圧力上昇を抑え、ベントはその実施を遅らせるのがよいとされていることについても(ベント=環境汚染なので、できるだけしない方がいい)、水素は早く原子炉から漏れて行くので、ベントも早く実施する方がいいかもしれない、いずれにせよ発生する水素ガス対策が不可欠である旨の説明があった。

 

 後藤氏の話はここで切れてしまったが、別添PDFファイルのレジメには、それ以外にもいろいろと興味深いことが書かれているので、ぜひご覧になってみていただきたい。

 

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<組織と人間:定常時と非常時(筒井哲郎 2014.10.18)>

 

 筒井氏の講演内容は、一言で言えば原発過酷事故時のクライシス・マネジメントを「吉田調書」によって簡単に検証しようとしたものと言える。あまりテクニカルな話や技術的な説明はなく、平易に聞きとれるものだった。別添PDFファイルのレジメをご覧になれば、概ね、講演内容の主旨は見てとれると思う次第。

 

 この問題を考えるにあたって、筒井氏は最初に次のようなことを注意喚起している。

 

1 .事故時の作業環境 『吉田調書』から~

・関係者すべてが初めて経験する事態であった(海水注入についても、現場開本庖・官邸連絡者の聞で意思が違っていた)

・現場発生事態を確かめようにも、放射線が高くて、吉田所長自身は免震重要等から出ることができなかった。

・吉田所長と当直長の聞にすら認識のギャップがあった(ベント弁操作の困難性)。

 

 そして、東京電力本社や首相官邸にいた政治家・官僚については、次のようにコメントされている。

 

(東京電力本社)

-企豊風土

 装置産業特有の定型的・反復作業

 発注先・協力企業への依存

・事故への備え

 過酷事故は起こらない、ICを動かしたことがない~

 事故対応組織なし 吉田所長が連続徹夜。交代要員なし~

 食事差し入れ無し

 非常時体制が欠落

 連絡言葉の不明瞭

 

(政治家・官僚たち)

・オフサイトセンターが使えない

・SPEEDIを隠す

・メルトダウンを隠す

 政府側の管掌・責任主体が曖昧

 保安院責任者が素人

 非常時体制が欠落

 原子力安全委員長に情報なし

 政治家が政争に明け暮れる

 

 上記について、私のコメントは次の2点です。

(1)福島第1原発の現場作業員たちは、吉田所長以下、命がけで非常に頑張っていた。しかしながら、残念なことに、その頑張りも事故原発の事態悪化に対しては、ほとんど効果的なことができていなかった・できなかった。事態悪化についての、人の手による「+アルファ」は、ほとんどないに等しかった。最悪の事態となって、首都東京を含めて東日本が壊滅的な放射能汚染に見舞われなかったのは、ただただ偶然のなせる技で、単に幸運であったということにすぎない。

 

 特に3/15の午前9時ごろに、猛烈な放射能汚染を観測して以降、お昼を過ぎて、福島第1原発の事態悪化のピークが過ぎて行ったのは何故なのか、その科学技術的根拠は定かではない。福島第1原発過酷事故は、現場の努力によって克服されたのでもなければ、人為的な対策によって、規模や深刻度の小さなものに押しとどめられていたわけでもない。原発過酷事故時に人間ができることは、ほんのわずかなことであり、基本的には取り返しのつかない破局が待っているのだ、ということを、今回の福島第1原発事故は教えているのだと思われる。神様は、愚かな日本人に対して、一度だけ、その「天罰実行」を猶予したと言い換えてもいいように思う。

 

(2)吉田昌郎所長と東京電力本社とのやりとりと、それについての現場の吉田昌郎所長のいらだちから私たちが受ける印象は、この東京電力という会社が、原発という超危険施設を扱っているにもかかわらず、それが危機的状況に陥った際の対応体制=クライシス・マネジメントが全然ダメだということである。それは「吉田調書」だけでなく、東京電力TV会議の録画を併せてみてみれば、より一層鮮明にわかる。

 

「吉田調書」にしても、東京電力TV会議にしても、これらは緊急事態において、現場と本部がどのように行動しなければならないか、具体的には、事故の実態をどのように把握し、その情報をどう関係者で共有化し、そして、本部から現場へのサポート、物資補給、人員補充、アドバイスなどなどの必要不可欠の実務をどうこなしていけばいいのか、それらがスムーズに進められるには、どのような準備と役割分担などが必要なのかを、根本から考え直す材料を与えているように思う。

 

現下、乱暴に進められている原発再稼働は、こうした必須の福島第1原発事故への反省や教訓を活かす努力をすることなく、表面的なつじつま合わせと屁理屈による合理化でごまかされ、多くの都合の悪いことを隠蔽したり無視したりしながら進められており、このままでは再び同じようなお粗末な危機対応がなされることになるに違いない。

草々

 

 

種子を支配するものは食料生産を支配し、食を支配する者は世界を制す=アグロバイオ企業の脅威と食料自給極貧の国・日本

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

まず最初に、巷を騒がす目下の問題から、

 

安倍晋三「暴走」内閣の小渕優子「おむつ大臣」「ハンドバック大臣」や松島みどり「うちわ大臣」の辞任で騒ぎになっていますが、それとともに、こっちの方(下記URL)はもっと問題だと思われますが、いかがでしょう? こんな薄汚いいい加減な奴に、日本の防衛ができますか? 任せられますか? 閣僚になる時には、金の問題について安倍内閣は「身体検査」はやっていないのでしょうか? こんな奴は、日本を防衛をするよりも、自分のためのカネ欲しさに何でもしかねないような人間ではないですかね? 

 

それにしても、安倍内閣の「成長戦略の重要な柱」としての「世界で一番女性が活躍しやすい国」を目指す政策ですが、いみじくもそのスタート時点で、その正体・その馬脚を露呈してしまったというべきなのでは? 安倍の言う「成長」、自民党が言う「女性の活躍」って、いったいどういうものなんでしょう?

 

● 今度は江渡防衛相の領収書問題で国会が紛糾! 政党支部や資金管理団体が江渡氏個人に1850万円! 大半は事実上の使途不明金に! - 真実を探すブログ

 http://saigaijyouhou.com/blog-entry-4202.html

 

(一部抜粋)

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今度は江渡防衛大臣の政治資金問題が浮上して、国会が紛糾状態になっています。江渡防衛大臣は「資金管理団体」から江渡氏「個人」に対して350万円の寄付があったことが判明し、過去3年間で系1850万円にも達するとのことです。野党側は資金の使い道などを示した領収書の公開を要求しましたが、江渡防衛大臣は領収書を公開しませんでした。そのため、野党は衆議院の安全保障委員会で「江渡大臣が約束した領収書を提出しないため審議の前提が崩れた」として退席。今も領収書が公開されないことから、両者の対立状態が続いています。

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ところで、今月号の 『DAYS JAPAN』(201411月号)が遺伝子組換え(以下「GM」(Genetically Modified)(の犠牲者たち)を特集し、GMの代表格企業であるモンサント本社(米ミズーリ州)内部の様子、インドのGM綿農家を襲う破産と自殺の悲劇、アルゼンチンのGM大豆生産と猛毒農薬グリホサート(商品名「ラウンドアップ」)などによる被害の実態などが報じられています。そして、この特集記事の一つに安田節子氏執筆のレポート「種子の独占と自由貿易協定は日本に何をもたらすか」が掲載されました(『DAYS JAPAN』掲載の原本はカラー刷りのきれいで見やすいものです)。

 

いわゆるGMの問題は、大きく分けますと、GM作物(林産物を含む)、GM食品添加物・加工食品、GM動物(家畜、養殖魚、昆虫、微生物など)、GM医薬品、その他(たとえばバイオ技術、生物特許・生命特許など)に区分できます。今回の特集はもっぱらGM作物に着目していますが、いわゆるGM問題はそれだけではないので、その点についても留意が必要かと思われます。

 

●『DAYS JAPAN』最新号 (遺伝子組換え、食品の放射能汚染他)

 http://www.daysjapan.net/about/index2.html

(『DAYS JAPAN』はみなさまの購読料で支えられている「真実報道」のフォトジャーナリスト雑誌です。定期購読をお願い申し上げます)

 

今回ご紹介するレポートの著者の安田節子氏は、以前よりGM作物を含むGM問題・GM食品問題やTPPなどの国際市場原理主義問題、あるいは、広く食の安全と表示の問題などに詳しく、他にも多くの執筆や著書があります。みなさまには、これを契機に安田節子氏のそうした著作にも目を通されるといいと思います(下記にその中の若干のものをご紹介しておきます:但し、下記だけではありません)。

 

● 自殺する種子 アグロバイオ企業が食を支配する-安田節子/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032265117&Action_id=121&Sza_id=C0

 

● 著書類

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/List?cnt=1&mode=speed&spKeyword=%88%C0%93%63%90%DF%8E%71&pageNumber=0&totalCnt=10&dispCnt=20&target=1&button=btnSpeed

 

# 安田節子ドットコム

 http://www.yasudasetsuko.com/

 

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種子を支配する者は農業生産=食料を支配し、食料を支配する者こそが世界を制する。これは、今も昔も変わることのない、世界のパワーポリティクスの力の根源を表現する「格言」の一つであるように思われます。少し前に、かつての米大統領=ブッシュ・ジュニア氏は、ある演説で次のように言いました。「食料自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」「食料自給は国家安全保障の問題であり、それが常に保障されている米国はありがたい」。この発言で具体的に意識されていた国は、我が国・日本だったのではないでしょうか、そう考えると、これまでの日米関係における食料と農業をめぐるやりとりの底流にあったものが何だったのか、容易に理解できるような気がします。

 

しかし、日本の支配権力を握る側にいる政治家達は、外国による食料の支配も、そして今回問題にした種子の支配の問題も全く不問に付したままです。それでいて、他方では、国際関係の危機なるものをことさらに強調して国家安全保障を騒ぎ立て、大砲や鉄砲や戦闘機や軍艦で国を守り、国際「平和」に貢献するなどとゴタクを並べています。平和のためには戦争をすることはやむを得ず、平和とは戦争のことであると言わんばかりです。それでいて、12千万人もの人間が住む国で、その人口の半分の食料でさえ自賄いできないような不安定で貧弱な国が、体中に武器を張り巡らして、まるでハリネズミ国家のようになることで、国と国民の安全と安心を保障するというというのです。まことに目出度い連中ではないでしょうか。ハリネズミ防衛国家とは、かような視野狭窄で愚かなドブネズミ政治家達が夢想するものでしかありません。

 

しかし、危機感の欠如は政治家だけではないのです。我が国の農林水産業に最終的な責任を持つべき農林水産省や、生産者・農家が組織する農協系統に代表される既存の巨大農業生産関連の組織人たちもまた、食料自給率の向上を主張こそすれ、種子の独占支配の危険性の認識や、農業における種子の自家採取の重要性、つまりは生産者・農家や、それを支援する公的機関等による種子の品種改良や栽培技術の不断の向上への取組の重要性には、未だ気がついていないようであるかのごとしです。種子を一握りの外国資本や多国籍アグロバイオ企業に牛耳られてしまっては、どうやって農業の独立性や創意工夫が確保できるのでしょうか? どうやって「食料主権」を守ることができるのでしょうか? どうやって、自然の恵み・農業の恵みを子子孫孫に伝えていけると言うのでしょうか。

 

生物・生命特許や種子特許という極端に工業的に傾斜をした「種子技術」の保護=囲い込みや、更にそれを今日に発展させた、より一層の行きすぎた「知的財産権」保護の一環としての「事実特許」「発見特許」などなど、早い者勝ちの独り占めのための「囲い込み」競争を促進し追認するかのごとき国際的な取り決めの拡大が、着々と準備されているかに見えます。もはや従来の特許権の濫用にまで至っている、こうした「種子(種苗)ビジネス」保護の仕組み構築を優先課題の一つとする国際市場原理主義に対して、はっきりと「ノー」と言わずしてどうするのでしょうか。

 

(参考)食料自給率目標下げ、財務省が要請 「50%」見直し  - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20141020k0000e020177000c.html

 

(上記記事に関するコメント:本来は、関連事業まで含めれば多くの人々が従事する地域の主幹産業であり、また持続可能な資源循環型産業として地産地消が原則であるべき農業を無条件に国際競争にさらして、経済的に全く採算の合わない産業=補助金なしでは維持できない産業に陥れ、しかるのちに、その補助金は無駄な支出だから支給をやめ、食料自給率の低下は甘んじて受け入れろ、採算が合わないのなら農業などやめてしまえ、これがこの財務省の実質的な言い分である。目先の財政の収支尻だけしか目に入らない、文字通りの「木を見て森を見ない」愚か者の主張そのものであり(農業とは国家の礎である)、また、ゴロツキ・タカリの政治家どもが無用の公共事業や役に立たないソフト事業、あるいは軍事費や大企業向け優遇税制などに税金を湯水のように使っていることについては、何のコメントも制止もできない「ご都合主義」者の無責任な農業嫌がらせ行為である。ふざけるな!! ということだ)

 

いわゆる日本の「平和ボケ」とは、実は本来の「食」と「農」の在り方を忘れた「食ボケ」「農業ボケ」にこそ、ティピカルに現れていると言えそうです。今の日本に必要なものは、くだらない安全保障論議よりも、また、愚かな国際市場原理主義に傾倒した「強い農業」論議よりも、農業のその本来の在り方である地産地消を取り戻し、種子を含む農業生産のすべてについて、生産者・農家の全人格的な関係を再確立し、創意工夫に富む家族農家による労働集約型の高付加価値産業として再生させ、農地を耕作者自身の手の中にあることを徹底して保護し、そして、これらを破壊して農業を一握りの多国籍アグロバイオ企業の草刈り場に提供させんとする国際市場原理主義と決別することででしょう。

 

生産者・農家による自家採り種子の消滅は 自然の摂理に即して生産性を上げて行く本来の農業技術力形成の営みの消滅を意味しています。代わって、工業製品としての種子(いわゆるF1種子)が農業に蔓延し始め、種子が特許ビジネスの材料と化していくのです。その行きつく先にあるのが遺伝子組換え(GM)種子と言えるでしょう。

 

もちろん、GM種子・GM作物の場合には、そこから育つ作物の安全性や有益性よりも、それを生産する場合の便益や効率が優先され、更にはGM作物・産品を販売することで得られる利益が最優先となります。生産者・農家は、種子を支配し、その種子に関連する農薬などの農業資材を支配する一握りの巨大資本に従属した「資本従属型の請負農業労働者」となり、時間の経過とともに、事実上の農作業奴隷として、農薬などの有害物質にむせびながら、牛馬のごとく酷使される存在へと貶められていくです。(最後には農地までが奪われる。それを法的に合法化するための「規制改革」なるものが、現在、強引に推し進められています)

 

「強い農業」とは、国際価格競争力のある農業のことを言い、国際価格競争力とは、労働集約型の産業である農業の場合には、低賃金(農業労働への低評価)・劣悪労働条件の徹底・恒常化と一貫した粗放化、栽培・耕作(手抜き農業)を意味し、農業がもたらす様々な恵みや利益の生産者・農家からの引きはがしを意味し、農業や農地からの収奪の恒常化を意味し、その利益を巨大資本に直接的・間接的に集中させていくことを意味しているのです。生物・生命特許や種子特許とは、そのための法的な手段=農業からの巨大資本による略奪を合理化するものでしかありません。

 

現在、進められているTPP交渉では、その背後に隠れたる多国籍アグロバイオ企業と、その代理店政府である米国の大きな目的の一つが、GM作物により日本の農産物市場を支配すること、日本の伝統的な農業にとって代わり、日本農業をトータルとして自分達の金もうけの手段に切り替えて行くことに他なりません。GM作物がもたらす様々な意味での危険性の正体はそこにあるのです(今回ご紹介した安田節子氏のレポートの中の、「ターミネーター種子」(自殺する種子)や「モンサント・ポリス」を使った「GM損害賠償ビジネス」のくだりをお読みいただければと思います)。

 

私たちが、この差し迫る危機に対して行動すべき事柄は、食品としての安全性を十分には考慮されていないGM作物とその加工品、あるいは飼料を、私たちの国から追い払い、まるでフランケンシュタインのごときの「ニセモノ食品」を食卓から一掃することです。何物をも枯らす猛毒の除草剤をかけても枯れない、害虫が食べればコロリと死ぬような毒入り作物を、未知の世界が広がる遺伝子を操作して創りだし、食品としての安全性や環境汚染(花粉の飛散・分泌物による土壌汚染等)についての徹底した検証もなく、世に広く生産され販売されるという「究極の出鱈目」の上にある多国籍アグロバイオ企業の、なりふり構わぬ、何でもありの「金もうけ」の手段としての遺伝子組換え(GM)作物・産品を、私たちが断固として買わない・食べないという態度で、市場から一掃してしまうこと、これが求められているのです。そして、日本の食料・農業政策も、それを支援して、輸入食品を中心にGM食品促進政策・容認方針から決別・離反することが肝要かと思われます。

 

 

(以下、安田節子氏のレポートから部分抜粋)

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「モンサント、デュポンなど石油化学、農薬の多国籍企業がアグロパイオ(農業関連バイオテクノロジー)事業に乗り出したのは、米国政府の手厚い支援があるうえ、生物特許によって多大な利益が見込めるようになったからだ。現在、モンサントは遺伝子組み替え(GM)種子では90パーセント以上のシェアを誇るトップ企業である。」

 

「アグロバイオ企業となった彼らの次なる戦略は、種子会社を手中に収めることだった。そして、世界規模で次々と種子会社の買収を繰り広げ、傘下に吸収していった。その結果、モンサントはいまや世界一の種子会社(2008年世界種子売上高の27%を占める)となり、続くデュポン、シンジェンタのアグロバイオ企業3社で種子市場の53%を占める(2009年)。世界規模で種子の独占が進行しているのだ。種子を独占すれば、農業生産をコントロールし、食料支配ができる。さらに、企業による食料支配が進めば、国家主権さえも脅かす。その危険性が、どれだけ認識されているだろうか。」

 

「途上国では、多数の小農がいまも、次の生産のため種取りをしている。これは、アグロパイオ企業が、「特許種子の種取りは違法だ」といくら主張したところで、伝統の種取りの手を止めさせたり、取り締まることは困難だ。そこで、アグロパイオ企業各社は「特許侵害を防ぐため」と言って、こぞってある技術を開発した。実った2世代目の種子は、たとえ撒いても種子の中に毒ができて死んでしまうという技術だ。これは「ターミネーター(終わりにする)・テクノロジー」と呼ばれ、GMに限らず普通の種子にも施せる。」(中略)

 

「モンサントは綿種子市場支配に意欲を持ち、2007年、綿種子最大手D&PLを買収し、米国の綿種子市場の57パーセント以上を支配した。そしてモンサントとD&PLは、すでにインドの綿種子市場の約3分のlを支配し、D&PLはブラジルの市場の3分のlとオーストラリアの市場の4分のlをコントロールしている。」

 

20063月、ブラジルのクリチバで開催された国連生物多様性条約の締約国会議で、ターミネーター種子の野外栽培試験と商業化の一時停止が満場一致で再確認された。」(中略)

 

「今日、種の特許はGM品種に限らない。普通の種子も、DNAを解析して特徴ある遺伝子を特許で抑えると、その種子にも特許権が及ぶ。米国における生物特許は、今では5万件にのぼる。WTO(世界貿易機関)の自由貿易協定には、米国が主導して「知的所有権の強化」が盛り込まれ、さらにTPP協定ではWTO以上の特許権強化が待ち構えている。さらにモンサントは、GMイネの開発も進めている。もし安倍政権で農地の企業所有が解禁されれば、日本企業のみならず外国企業が農地を所有し、GM作物の生産を始めたり、交雑などを理由に、特許権侵害で多額の損害賠償金を日本の農家から巻き上げる事態になるかもしれない」

 

「アグロバイオ企業は、他国の農業生産を支配するため、自由貿易交渉を最大限に使っている。企業の自由を保障する究極の自由貿易協定TPPを受け入れることになれば、すなわちそれは亡国の協定となるだろう。かつて日本は、「主要穀物種子法」という法律のもとに、米、麦、豆については公的機関のみが品種開発し、私企業の参入は認められていなかった。国民の命に直結する穀物の種子は、公的なものと認識されていたのだ。そもそも、人間が他の生命を所有できるのか、社会的議論もなしに、生物特許によるアグロバイオ企業による種子の囲い込みを許してはならない。」

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草々

 

2014年10月19日 (日)

柳田邦男氏と政府事故調の中途半端でおかしな議論 : 「全文公開 「吉田調書」 書かれなかった重大証言」 ( 『文藝春秋 2014.11』より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、ノンフィクション作家の柳田邦男氏が今月号の『文藝春秋』に書いた「吉田調書」に関する論文です。問題が多いので、以下に簡単にコメントいたします。同氏が重大問題について発言する時は、確かに傾聴に値する部分もあることは事実ですが、他方で、いつもどこかに時の支配権力になびいているような、中途半端で根曲がりしたようなところがあって、今一つ信用が置けないのですが、今回もそのように思えてなりません。過去においては、同氏が深くかかわったものとして、スリーマイル島原発事故に関する議論や、水俣病被害者の救済問題に関する検討などがそうでした。どうもよろしくないように思います。

 

 <別添PDFファイル>

●全文公開 「吉田調書」 書かれなかった重大証言(柳田邦男 『文藝春秋 2014.11』)

 

(以下、田中一郎がコメントします)

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この論文の中で柳田邦男氏が言う「「吉田調書」に書かれなかった重大証言」とは、政府事故調が吉田昌郎所長にヒヤリングを始める2011722日より前の617日と30日の2度にわたる福島第1原発視察の際の政府事故調委員と吉田昌郎所長との対話のことで、その中でやりとりされた重大事項は、この論文によると、「その時の質疑応答の中で、特に重要だったのは、①事故対処の意思決定と組織の指揮命令系統の混乱についてと、②最も危機的だった局面についての二点だった」そうである。

 

その詳細は原文を見ていただきたいが、その事実を明らかにしたことや、それに関連して、マスコミの「吉田調書」に関する報道のあり方に対して辛口の批判をしているところなどは肯定できるし傾聴に値する。(但し、この6/17、及び6/30の吉田昌郎所長との対話内容には目新しいものはなく、概ね既に公表されている「吉田調書」や東京電力TV会議録画などから判明していることばかりと言っていいのではないか=そしてそれは本人もこの論文の中で認めている(P213下段左端)=従ってまた、『文藝春秋』のこの論文のセンセーショナルな見出しの付けられ方は感心しない)

 

 柳田邦男氏の議論で肯定できる部分・傾聴に値する部分は、たとえば次のようなくだりである。(一部引用)

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ところが、吉田調書や菅首相ら政府要人の証言調書が公表された後のこの国のメディアの報道姿勢はどうだったか。朝日新聞の誤報を待ってましたとばかりにあげつらい、朝日批判の材料として、吉田所長らの死守の姿勢と苦闘を意識的に持ち上げる見出しをつけたりする。あるいは菅首相の言行を当時の反菅コールの政治記事を反復するに等しい形でこきおろすことに熱中する。今こそ原発事故の真因に迫ろうとする分析の視点がまるで見られない。確かに朝日新聞の誤報や菅首相の判断と行動は、それぞれに重要な問題だ。であるなら、それらについても失敗の背景(深層)にある問題を分析する取り組みが求められるはずだ。メディアのレベルも、政治や電力会社のレベルにまで堕ちたのか。

 

このような状況の中で、吉田所長の膨大な証言調書などから原発事故の真因を分析するに当たって、本稿で紹介した吉田所長の簡潔な発言内容は、どこから窓を開ければよいのか、その手がかりを与えてくれると言える。亡き吉田所長は、自分が厳しい試練に立たされた様々な危機の原因とそれに対する自分の対処の是非の背景要因を分析するには、特に危なかった四つの危機から切り込んでみてはどうかと、あの世からメッセージを送ってきているのだと、私には思える。さらに原発事故に対処する国家と企業の指揮命令系統のいい加減さとその混乱も重要なポイントだよ、と。

 

(中略)

それだけに、約束に反して、生の言葉のままを公表した場合に、広く伝えるメディアは証言の言葉の受け止め方に配慮が必要なはずだ。そのあたりを踏まえて、問題の本質はどこにあるかを見据えないと、一部の新聞の報道に見られたように、吉田所長の怒りなどの感情的な言葉が大見出しになって独り歩きを始め、反対側の人物を見下す勧善懲悪的な報道に終わってしまう。

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が、しかしである。柳田邦男氏のこの論文で首をかしげたくなるのは、その部分ではない。その部分を挟んで、最初と最後に述べられている点に、いくつかのおかしな議論があるように思えるのだ。以下、その中から代表的なものを3つばかり取り上げて、以下に批判してみよう。私は、柳田邦男氏も、こうした議論・立論から早く脱却し、福島第1原発事故の教訓を原発再稼働のために活かすのではなく、原発を巡る全体の体制のあり方への批判から、ポスト原発レジームとでもいうべきものを展望していただきたいと思う次第である。中途半端な評論は、やがて歴史がそれを淘汰し、過去におけるつまらない半現状追認型の言説として消し去ってしまうであろうと思うからだ。それでは柳田邦男氏の傾聴に値する部分の言論が惜しいように思う。

 

1.政府事故調の、霞が関官僚事務局に従属した「秘密主義的調査=非公開調査」にこそ問題がある。

 まず、柳田邦男氏が論文の最初に書いている主張=事故調査の原則は非公開だ、を下記に部分抜粋してみよう。正確には原文に目を通していただきたい。

 

(以下、一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そのためには、関係者が自らの判断や行為について隠すことなく証言してくれることが重要になってくる。しかし、人は自分に不利益が降りかかってくるのを避けようとする傾向があるから、不都合なことについては知らないとかはっきり覚えていないといった答え方をしがちだ。そこで事故調査機関が関係者のヒアリングをする時には、証言の一部を必要に応じて報告書の中で引用することはあっても、調書全文をそのまま公開することはないし、特に刑事捜査などの責任追及に利用することはないと約束をしてから、聴き取りに入るという手順を踏むことになっている。これは責任者を告発するのを目的とする刑事捜査や行政調査とは根本的に違うところだ。

 

しかし、福島原発事故の原因については、未解明のところが多い。(中略)関係者の証言記録を公開することは、様々な専門家による多角的な分析研究を可能にし、全容解明に少しでも近づく可能性を開くという点で、大きな意味がある。

 

ただ、それは国民の利益を考慮した例外中の例外であって、一般的な事故調査における証言調書などの非公開の原則を崩すものであってはならない。そのためには、公開するに当たっては、なぜ例外的に公開するのか、その根拠を明示する必要がある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 「吉田調書」の公開をしぶしぶながらも是とし、政府は公開する理由を有権者・国民にきちんと説明せよとしている点は、それはそれで良いと思う。私が首をかしげるのは、そもそも、何故政府事故調は、調査にあたって霞が関官僚を事務局にし、その調査を秘密裡に進め、その後も調書等の公開をせず、原発の事故調査と言えども秘密裡に進めるのが「当然の常識なのだ」としている点である。

 

(1)まず、福島第1原発事故にしろ、それ以外の原発・核燃料施設の事故にしろ、その事故原因は、ほぼ大凡の目安は付いている。福島第1原発事故で言えば、地震と津波がその原因であったことはほぼ自明だ。だから、事故調査とは言っても、全く何も分からないところから始めるのではなく、何故、かような深刻な事態に陥っているのか、どこに電力会社や原発メーカーや原子力を規制する役所当局の不備・怠慢・手抜き・虚偽などがあったか、などを明らかにすることが、その主目的なのである。

 

 当然ながら、この調査には、こうした結果を生みだした責任者への追及が表裏一体となっていて当然で、そうであるからこそ、原則として調査全体をオープンにして遂行すべきものである。国会事故調は、一部の例外を除き、そのようにしていたはずである。そして、こうした原発事故の調査の場合には、秘密にして得るものよりも、有権者・国民の信頼も含めて、失うものの方が多いのだ(絶対に何でも公開せよ、というわけではない。会社の中での身分や地位が低く、かつ生活をその会社に依存して生活している人の場合、その証言の中に会社の不利益につながるものがある場合は、極めて証言しにくいだろう。その場合には、その部分を非公開にすればいいだけの話である。全部を非公開にする必要などない)

 

(2)政府事故調が事務局に霞が関の官僚達を使ったことは致命的な調査の欠陥であり瑕疵である。こういう事務局の人間がヒヤリングをすること自体が、およそ証言者の正直で真実な証言を歪めることになるに違いない。真実証言を得るために非公開にこだわる柳田邦男氏が、この霞が関官僚を事務局に使い、霞が関官僚を使って証言をヒヤリングさせ、記録させることについて、何の異議も違和感も発しないというのは、いかにも不自然である。事実、「吉田調書」に目を通して見ると、あの頑固者の吉田昌郎所長に対してさえ、ヒヤリング担当の霞が関官僚(法務省官僚または検察官らしい)は、まるで誘導尋問をするかのごとく、繰り返し繰り返し、東京電力の書いたと思わしき原発事故シナリオに沿った、事実かどうかも確認されていないようなことを並べ立てて、ヒヤリングと称する証言誘導を行っていたようである。一事が万事、こんな調子の中で、調書非公開を言い張る柳田邦男氏の言い分はおかしいと言わざるを得ない。

 

(3)3つ目として申し上げておかなければならないのは、柳田邦男氏も書いている通り、福島第1原発事故の実態解明や事故原因の究明が遅々として進んでいないことである。それどころか、福島第1原発現場への自由な取材は、事故後3年半以上が経過した今でも執拗に妨害され統制されており、また、福島第1原発関連の多くの情報さえもが公開されずに秘密裡にされたままである。福島第1原発現場に関する定期的な記者会見も、回数を制限され、会見に臨席できる記者も限定され、そして記者からの質問回数も制限されてしまっている始末である。

 

 また、あの貴重な国民的財産とも言える国会事故調の調査関係資料さえもが非公開のまま国会図書館に放置され、更に、政府事故調の証言録についても、吉田昌郎所長以外の東京電力・東京電力関係会社職員の証言などは依然として非公開のままである。このままでは、福島第1原発事故は、秘密のベールに包まれたまま「幕引き」となり、その実態も原因も不明のまま、闇から闇へ葬られてしまう。今回の「吉田調書」の公開はそれを食い止めるための最低限の対策の一つだと言えるだろう。(原子力「寄生」委員会・「寄生」庁などは、福島第1原発事故調査と称して、国会事故調の出した事故原因の解析を否定するためだけの屁理屈集めを、原子力ムラ学者や御用人間だけを集めてピーチク・パーチクやっているだけで、その本来の責務を棚上げにして原発再稼働に邁進しているのはご承知のとおりである)

 

(4)政府事故調が、きちんとした調査ができる法的権限を持っていないことが大問題である。虚偽証言の場合や作為的な証言拒否は罰せられることや、場合によっては刑事告発も可能であること、限られた期間で調査が終わらなかった場合には、後継委員会をつくってそこで調査を継続する権限を持つこと、あるいは、事務局は自前で儲けることが可能であり、そこでの人件費を含む費用は国費負担とすること、有権者・国民に対して説明責任を担うこと、などなどである。柳田邦男氏は、政府事故調の調査の秘密主義を主張するよりも、政府事故調の調査機関としての機能の充実とその適正化の論陣を張るべきではなかったか。

 

(5)最後にこれだけは申し上げておきたい。原発・核燃料施設の事故調査は、航空機事故などの一般の事故とは違う性格のものであり、とりわけ隠蔽体質が強い=政治的な歪曲が入りやすい、という点を強調しなければならない。そうしたことを許さないためにも、原発・核燃料施設の事故調査の公開原則は、うやむやにさせない・隠し事をさせない・いい加減にさせないためにも、今後ともしっかり確保せねばならず、かつ、そうした場合であっても、調査の目的が達せられる制度的・組織的な枠組みやルールの確立が望まれるのである。

 

2.非常用復水器(IC)は、全電源喪失と同時に「フェール・セイフ」が働いて自動的に停止したとは限らない

 国会事故調の調査報告書では、福島第1原発事故の原因として、津波だけでなく地震の揺れによる原発施設の破損の可能性を指摘しているのは既知のとおりである。その国会事故調の報告が出るのを待って、国会事故調よりも半年も早くスタートしたにもかかわらず、その報告書を国会事故調よりも遅れて提出した政府事故調では、福島第1原発事故は地震の揺れとは関係がない=その証拠は見いだせなかったとしているのである(「している」だけでなく、私には「強調」しているようにさえ見える。特に柳田邦男氏はそうだ)。その大きな争点の一つが、この1号機の非常用復水器(IC)である。

 

 柳田邦男氏も、この1号機非常用復水器(IC)が「争点」になっていることは知っているはずである。にもかかわらず、この論文の中でも、あいかわらず非常用復水器(IC)の全電源喪失による自動停止=それを吉田昌郎所長以下の現場作業員たちが知らなかった説を繰り返している。私なら、福島第1原発事故の原因を巡って大きな争点となっているこの問題について、もっと慎重に、関係者の証言をあらためて聞き直して、どこに見解の食い違いが生じているのかを明らかにするような言論を展開するだろう。しかし、柳田邦男氏は、そうしたことを無視して、当初の政府事故調の結論を広宣流布するかのごとく、この論文で自分の従来の主張を繰り返している。

 

 私はこのことに大きな疑問を持っていて、既に、複数の原発・原子炉に厳しい視線を持ち続けている原発関連の科学者・技術者に、非常用復水器(IC)の「フェール・セーフ」=全電源喪失時の自動停止についてヒヤリングをしてみたが、すべての方が、「そうとは限らない」「断言などできない」「停止と言っても時間がかかるので万事OKとはいかない」「交流と直流の電源を使う4つの弁があって、それがスムーズに「閉」となったとは考えにくい」「非常用復水器(IC)を巡る作業員の作為動作が不可解」等々の言質を得ている。柳田邦男氏の説をにわかに信頼申し上げることはできないのだ。

 

 柳田邦男氏がやるべきことは、国会事故調の、たとえば田中三彦氏と対談をし、この点について十分に議論をしてみることではないか。過去の自分の発言に固執して意地を張ることは、真相の解明には大きな障害になる人間の性癖である。柳田邦男氏なら、それを克服し、真相解明へ向けた政府事故調と国会事故調の各調査委員の対話や討論をこなして行けるだけの度量はお持ちではないのか、と思う次第だ。

 

3.「リスクコミュニケーションのプロフェッショナル」など二の次でいい。問題はクライシス・マネジメントをどう確立し、危機対策本部と危機の現場とが、どのようなコワークを築けるかだ。更に言えば、そもそも原発・核燃料施設の過酷事故に対して、クライシス・マネジメントや危機管理体制などが有効に機能するような形で確立などできるのかという「そもそも」論が存在している。結論を先に申しあげて恐縮だが、私は絶望的であると思っている。そして、原発・核燃料施設など、そもそもいらないのだから、やめれば余計なこともしなくて済むのである。

 

 まず、該当個所を引用してみよう。再度申し上げるが、正確には原文をご覧いただきたい。

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

これら六つの分野に分類された条件が、吉田所長が危機的な状況に直面した時に、対応力にプラスとマイナスの両方向にどのように作用したかを考察すると、原発の安全を確保するために、現場の統括責任者(いわば現場指揮官)が任務を果たすのに必要な条件は何かが、具体的に立ち上がってくる。その重要なものを記そう。

 

・政府と企業のそれぞれトップの意思決定が整然となされるのを支えるとともに、現場の指揮官が任務を最大限に行なえるようにするリスクコミュニケーションのプロフェッショナルが、各トップと現場の指揮官のそれぞれにアドバイザーとして存在すること。

 

・政府と企業の指揮命令系統を明確にすること。

 

・従来は「想定外」とされたようなリスクまでも前提として、安全性を確立するうえで不可欠の設備、装置、計器、冷却水などが阻害されずに確保されること。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 上記3つのうち、最後の1つは、その通りだろう。しかし、後の2つはいかがなものか。私は、原発・核燃料施設事故のような巨大かつ複雑な施設事故に対処するためには、その原発・核燃料施設全体を理解している人間を少数でもいいからきちんと確保して、その対処に責任と権限を持たせることではないかと思っている。そして、そうした「施設全体を理解している人間」は、常日頃から、原発・核燃料施設の大事故を意識して、知識や経験を積み重ねていないと、生まれて来はしない。

 

言いかえれば、形だけの本部と現場や、指揮官と部下のようなものを整えておいても、そんなものは緊急事態や危機の時にはどこかへ吹き飛んでしまうのだ。斑目春樹のような「出来そこない」の無能な御用学者を原子力安全委員会のトップに置き、あるいはまた、私は文科系だから原発のことは分からないと言って、事故原発を前にして逃亡してしまう寺坂信昭のような「平成無責任官僚」を原子力安全保安院の長に置き、しかも、福島第1原発事故後においても、この2人を丁重に扱っているようなことをしていては、クライシス・マネジメントなんぞ、ちゃんちゃらおかしい、ということだ。(菅直人元首相も、原発事故対処の仕方が悪いからと、周りにあたり散らしてばかりいないで、たまには自分の当時の閣僚人事や霞が関人事に関する無知と無責任を反省した方がいい)

 

 柳田邦男氏も、「リスクコミュニケーション」だの、その「プロフェッショナル」だのと、おままごとのようなことを言っていないで、どうしたら原発・核燃料施設過酷事故の深刻化を防ぐことができるクライシス・マネジメントが可能となるか、そのための体制や事前対策とはどういうことなのかを、もっとリアリスティックに考えていただきたいと思う次第である。(そして、結局は、そうしたものの確立は、つまりは原発・核燃料施設の周辺住民を含む有権者・国民に対して、放射能汚染や放射線被曝被害をもたらすことのないように、危険極まる原発・核燃料施設を封じ込める体制やマネジメントの確立は、現実にはありえない、という、ごくごく当たり前の結論を導き出していただきたいと思う。原発は人間の手では完全にはコントロールできないのだからやめるべし、ということなのだ)

草々

 

本日(10/19)のいろいろ情報((メール転送含む) (1)放射線被曝がもたらす健康被害を交通事故と比較していはいけない (2) ネット署名(川内原発) (3)イベント情報(2つ) 他

前略,田中一郎です。(重複を深謝)

本日(10/19)のいろいろ情報です(メール転送含む)。

 

最初に自分のブログの宣伝をさせて下さい。

 

● バック・ナンバー(6)(抜粋) (20149月~201410月)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/20149201410-ff1.html

 

それから、ネット署名です

 

●(メール転送です)【超緊急署名】川内原発再稼働:地元同意手続きを進めないでださい

 Http://311.blog.jp/archives/15051826.html

 

個人署名フォーム:https://pro.form-mailer.jp/fms/a15a45e766803

団体賛同フォーム:http://goo.gl/qHcPil

(締め切り:1019日(日)17時)

 

1.放射線被曝がもたらす健康被害を交通事故と比較していはいけない(依然としてなくならない放射線被曝をめぐる謬論・おかしな議論に対して)

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私は、放射線ムラの似非学者達をはじめ、少なくない人たちがやっている放射線被曝の評価に関する議論については賛成できないでいます。つまり、○○シーベルト=ガン・白血病の死者数○○人=交通事故とくらべて○○、という形です。医療被曝や航空機旅行などとも比較されているようです。

 

まずもって、○○シーベルト=○○人のがん・白血病の死亡、という数字に科学的実証的な根拠がないばかりか、広島・長崎の被爆者のデータを根拠にしているものについては、政治的な歪曲がひどく、とても信頼できるようなものではありません。それに、ガン・白血病になったけれども死亡しなかった人のことは無視・軽視されています。

 

更に、ガン・白血病以外にも放射線被曝はたくさんの健康障害や病気や遺伝的障害を生みだしますが、それらもオミットされています。最近では、このことが現在の放射線ムラ被ばく論の最大の「悪」であるとまで言われ始めているようです。人間の体や生命は複雑ですから、それを物理的原理で考えて、めちゃくちゃにしてしまいかねない放射線の破壊力は、ただちに人間が五感で感じないからと言って軽視することは、将来、大きな禍根となるでしょう(やがて五感に感じる症状として現れた時は手遅れです)。

 

そもそも、交通事故と医療被ばくとを比較するのであれば、理解できなくもありませんが、原発事故や核兵器の使用による放射線被曝と比較するというのは、そこに明らかな政治的意図があって、方法論的に許容できません。何故なら、核兵器の使用はもちろん、原発にも、デメリットこそあれ、何のメリットもないからです、山のように放射性廃棄物を未来世代に残し、さまざまな害悪を周辺地域や関係労働者にもたらします。そして、電気なんぞ、核分裂エネルギーを使って湯を沸かさなくても、いくらでも産生する方法はあります。

 

また、放射能汚染や放射線被曝が人間以外の生態系や環境に及ぼす被害はいかほどのものでしょうか。地球上には、人間だけが生息しているわけではありません。そして、それによる、人間へのフィードバック的な影響はいかなるものなのでしょうか? しかし、環境汚染の実態がわからないどころか、まともに調べようともしていませんね。「希望の牧場」の牛の体に出てきた白い斑点、あれはいったい何なのかを説明しようともしませんね。、

 

また、交通事故被害者に対する賠償・補償と、原発事故の被害者に対する賠償・補償が、何故にかくも違うのでしょうか。比較するのなら、まず、ここから比較すべきでしょう。何故なら、この賠償・補償のこの大きな違いこそが、原発事故による放射線被曝の正体をよくあらわしているからです。

 

(参考)原発賠償「一律5割」内部文書明記 「存在せず」は虚偽 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20140830k0000m040198000c.html

 

これらの議論は、放射線被曝を小さく見せ、放射線被曝を一般の人々に押し付けるとともに、放射線被曝の実態はどういうものかを明らかにする営みを妨害するためになされている、政治的意図的な「デマゴーグ」議論にすぎません。問題の本質をずらすための「かく乱戦術」のようなものです。

 

私が放射線ムラの愚かものたちに言いたいのは、かようなシロウトだましの議論をしているヒマがあったら、放射線被曝の実態の解明と、その健康被害の科学的実証をさっさとやったらどうか、ということです。放射線ムラ学者たちのよく言う、「統計学的な有意性」も持つ形での実証数字を示して、放射線被曝の実態を説明してみろ、ということです。いい加減で、歪められた、操作された数字を出してきて、ごちゃごちゃ嘘八百を言うな、ということです。食品の残留放射能規制値など、その典型的な事例ではないかと思います。生物学的半減期でさえ、その実証的根拠は乏しい(個体差が激しい)と申し上げています。

 

そもそも「シーベルト」という被ばく単位そのものがインチキ極まりないではないですか。早く、放射線防護学なり放射線生物学を、似非科学ではなくて、正真正銘の科学に=経験科学にして、現代医学や現代生物学にキャッチアップしろよ、原発や核兵器の存在を前提にしたような立論をやめろよ、ということです。

 

原発事故による放射線被曝被害と交通事故、全く性質の違うものを、ごくわずかの被害部分にだけに着目をして、科学的実証的な根拠がない、いやそれ以上に政治的に歪められた数字を使い、シロウトだましの議論を投げかけて世論をかく乱し、放射線被曝の実態とその害悪を事実上隠蔽したり歪曲したりしている、これが原発事故による放射線被曝と交通事故被害との比較の言論だと、私は考えています。

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2.【集会・記者会見】リニア新幹線認可を受けての対国交省・環境省抗議集会(10.17)|脱原発の日のブログ

 http://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-11940681509.html

 

3.原発周辺住民が甲状腺がん発症、原発側に賠償命令 Chosun Online 朝鮮日報

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/10/18/2014101800584.html

 

4.イベント情報です:2つ

(1)(メール転送です)(別添PDFファイル)【ご案内】11・5 斑点米農薬防除をやめて 安全な米とミツバチを守ろう市民集会※転載歓迎

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 ■斑点米農薬防除をやめて 安全な米とミツバチを守ろう市民集会

   危険なネオニコチノイド農薬とコメ流通のしくみを知る

 

 日 時:11月5日(水) 午後3時から5時まで

 資料代:800円

 場 所:衆議院第二議員会館 多目的会議室

     千代田区永田町2-1-21

     当日2時半より会館ロビーで入館証をお渡しします

     東京メトロ 国会議事堂前駅[3]5分)

           永田町駅[1]5分)

           溜池山王駅[8]8分)

 主 催:米の検査規格の見直しを求める会

     http://hantenmai.sakura.ne.jp/

 問合せ:反農薬東京グループ

      TEL 042-463-3027 

      Eメール mtsuji@jcom.home.ne.jp

 プログラム:

  1.開会挨拶

  2.農水省への要請内容と経過報告

     米の検査企画の見直しを求める会

  3.配布資料の説明

  4.桐谷圭治氏「斑点カメムシとの共存を目指す」

    メッセージ代読

  5.農水省「斑点米カメムシは害虫だ」に反論する

     今野茂樹氏

  6.ネオニコ規制の国際情勢について

     岡田幹治氏

  7.養蜂家の立場から

     依田清二氏(依田養蜂園) ほか予定1名

  8.有機稲作農家の立場から 

     舘野廣幸氏

  9.グリーンピースの取り組み 関根彩子氏

  10.賛同者・賛同団体の声

     菅原文太氏メッセージ

     安田絵美氏・原耕造氏・比嘉悦子氏

  11.意見交換 議員の声、今後の取り組みについて

  12.閉会挨拶

 

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 米の検査規格の見直しを求める会

  http://hantenmai.sakura.ne.jp/

 連絡先

  反農薬東京グループ

  〒202-0021

  東京都西東京市東伏見2-2-28-

  電話/ファックス 042-463-3027

  Eメール mtsuji@jcom.home.ne.jp

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(2)10-24【政府交渉】川内原発・避難計画/火山・地震審査-県民無視の再稼働手続きに待った! - 原子力規制を監視する市民の会

 http://www.kiseikanshishimin.net/2014/10/17/seifukosyo/

 

■日時:10月24日(金)13:00~17:00

■場所:参議院議員会館講堂

■スケジュール

・12:30 入館証配布開始

・13:00~14:00 事前集会

・14:00~15:00 避難計画についての政府交渉(予定)

・15:15~16:45 火山・地震審査についての政府交渉(予定)

・16:45~17:00 事後集会

・17:00 終了

■参加費:500円

■主催

反原発・かごしまネット/避難計画を考える緊急署名の会(いちき串木野市)/玄海原発プルサーマルと全基を止める裁判の会/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/グリーン・アクション/グリーンピース・ジャパン/福島老朽原発を考える会/FoE Japan/原子力規制を監視する市民の会他

 

■問合せ:090-81167155(阪上まで)

草々

 

2014年10月18日 (土)

(毎日新聞)ゆがんだ償い:切り捨てられる原発被害者=その背後でうごめいていたのは文部科学省(下村博文文相)と自民党政権だった

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 毎日新聞が今年7月月初から「ゆがんだ償い」というシリーズ記事を特集して、福島第1原発事故後の被害者に対する賠償・補償問題の「ゆがみ」を追いかけています。その内容は、まさに文部科学省と一部の法律家たち(弁護士や大学教授ら)がグルになって、原発事故の被害者に対する賠償・補償を、何だかんだと屁理屈を付けては削減し、形だけの賠償・補償にして切り捨てようとたくらむ組織犯罪的なふるまいであることが分かってきました。

 

 しかも、そうしたことが、「原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)」の実務を担う文部科学省の「原子力損害賠償紛争和解室」が陰に隠れて自分達の悪事を隠蔽しながら陰湿かつ権力的に事を運び、毎日新聞記者の熱心な取材と追及で、その実態が明らかになっても(原発事故の影響度は「一律5割(または1割)」とするルールの存在を示す文書まで発覚)、そんなものは存在しない、それは特定個人が書いたメモのようなものだ、ゆるやかな意見交換・情報交換のための参考資料だ、などとうそぶいています。そして、極めつけは、今般国会で追及を受けて、隠され続けている「内部規定文書」(「賠償・補償金額の査定根拠要因である原発事故の影響度を一律5割、または1割にしてしまえ」というもの)の公開を迫られても、文部科学省の幹部官僚がそれを拒否している、という始末です。(「国権の最高機関」たる国会の尊厳など、あったものではない、ということでしょうか。この行政官僚も更迭する必要があります)

 

 もちろん、こうしたことは下村博文文部科学大臣をはじめ自民党政権の人間達は承知の上でしょう。原発事故による東京電力の賠償・補償負担は徹底して圧縮し、原発事故被害者を事実上切り捨てるとともに、加害者・東京電力の会社再建に全力を挙げるという、チッソ・水俣以来続く我が国の恥ずべき「歴史的伝統」がここでも生きているのです。もちろん、被害者救済のための賠償・補償に携わる多くの弁護士や団体などからは批判・非難の声が挙がっています(「原発ADRが信頼できないことがはっきりした。だれのためにやっているのか疑問で、今後も依頼者が望まない限り、ADRは使わない」「非公表にしている点は理解できない。妥当かどうか外部からチェックすることができず、センターの信頼性に関わる問題だ」「(原発事故の影響度の査定)5割が事実上の上限になっているのではないか。個別事情を無視しており認められない」など:毎日新聞記事より)。

 

 全くの出鱈目で、重大な人権侵害であり、国家犯罪そのものです。原発事故被害者に対する賠償・補償は、被害者を救済し、一刻も早く生活や仕事や子どもの教育が再建・再生され、原発事故によって打ちひしがれた被害者の立ち直りと人生の再出発を担保する基本中の基本です。このままでは原発被害者は、もともと住んでいた住居を奪われたまま路頭に迷い、理不尽にも生活苦にさいなまれながら難民化してしまいます。こんなことは、私たち同時代に生きるものとして絶対に許してはならないことです。このシリーズの記事は必読です。みなさま、事態の動向にご注目ください。そして、賠償・補償の仕組みを一から立て直すとともに(原子力損害賠償紛争審査会や原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)」はいったん解散です)、暗躍した官僚や、これを黙認した自民党政権の政治家どもを徹底追及いたしましょう。刑事罰も必要だと思われます。みなさまのご支援をお願い申し上げます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)原発賠償 「一律5割」内部文書明記 紛争解決センター 「存在せず」は虚偽(毎日 2014.8.30

(2)ゆがんだ償い:原発ADR、8割が半額以下和解案 (毎日 2014.9.2

(3)ゆがんだ償い:原発ADR運営組織の幹部、非公表基準認める論文(毎日 2014.9.18

(4)ゆがんだ償い:内部文書の提出拒否、原発ADR 国会質疑で文部科学省(毎日 2014.10.17

 

 <関連URL>

 下記の記事は、毎日新聞の無料ネット会員になることで全文が見れます。お勧めです。

 

(1)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 東電責任一律半額「ADRやる意味ない」 母の死、人ごと - 毎日新聞(7/9)

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140709ddm041040100000c.html

(2)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 東電責任一律半額 識者の話 - 毎日新聞(7/9)

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140709ddm041040117000c.html

(3)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 東電責任一律半額 ADRの前事務方トップ「不満なら後は裁判で」 - 毎日新聞(7/9)

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140709ddm041040106000c.html

(4)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 慰謝料基準も低額設定 原発ADR、算定過程明示せず - 毎日新聞(7/10)

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140710ddm041040126000c.html

(5)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 原発ADR 中立医師、参加させず 5例判明、憤る被災者 - 毎日新聞(7/21)

http://mainichi.jp/graph/2014/07/21/20140721ddm041040197000c/001.html

(6)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 原発ADR、一律5割 国の説明、二転三転 - 毎日新聞(8/30)

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140830ddm041040025000c.html

(7)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 原発ADR、8割が半額以下和解案 慰謝料「一律基準」裏付け - 毎日新聞(9/2)

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140902ddm041040076000c.html

(8)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 原発ADR運営組織の幹部 非公表基準、認める論文 被災者説明と矛盾 - 毎日新聞(9/18)

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140918ddm041040085000c.html

(9)ゆがんだ償い 福島第1原発事故 内部文書の提出拒否 原発ADR、国会質疑で文科省 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/shimen/news/20141017ddm041040109000c.html

 

(参考)(重要)原発賠償「一律5割」内部文書明記 「存在せず」は虚偽 - 毎日新聞(8/30)

 http://mainichi.jp/select/news/20140830k0000m040198000c.html

(参考)東日本大震災福島第1原発事故 避難中死亡、賠償一律半額に ADR、迅速処理優先 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140709ddm001040188000c.html

 

●(2014830日付の毎日新聞記事の一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

原発賠償「一律5割」内部文書明記 「存在せず」は虚偽 - 毎日新聞(8/30)

 

 東京電力福島第1原発事故の賠償問題を裁判外で解決する国の手続き(原発ADR)を担当する原子力損害賠償紛争解決センターが、避難後に死亡した人への慰謝料を算定する際、原発事故の影響をほぼ一律に50%としていた問題で、毎日新聞は「一律5割」と明記された内部文書を入手した。文書はセンター内で保管・共有され、実務上も利用されている。センターは「50%ルール」の存在を否定してきたが、虚偽説明だった疑いが強まった。

 

 センター側は、和解案で提示する死亡慰謝料額を「基準額」×「原発事故の影響の度合い(%)」で算定する。毎日新聞は7月9日、センターの実務を担う文部科学省の「原子力損害賠償紛争和解仲介室」の野山宏前室長が取材に「『(原発事故の影響の度合いを)大体50%にしましょう』と決めた」と証言した事実や、50%と認定されている事例が多いことを報じた。

 

 その後、野山氏の後任である団藤丈士(じょうじ)室長(裁判官出身)が取材に対し「野山氏が何を話したかは分からないが、ルールは存在しない」と否定。7月14日にあった原発事故の被災者支援を行う複数の弁護団との定期的な会合でも「『内部基準(50%ルール)があるのか』と各方面から言われているが、一貫して否定している」と説明した。

 

 しかし、毎日新聞が入手した2012年12月26日付のA4判4枚の文書には、「一律5割とし、4割か6割かといった細かい認定は行わない」と記載。50%ルールを「実務上確立されつつある運用」と説明している。さらに「5割の判断に無理がある場合、例外的に1割と示すこともできる」と記載され、より低額の和解案提示を可能にする内容になっている。

 

 このほか(1)基準額を通常訴訟より低く設定できる(2)(判断の際)医師の意見やカルテを重視すべきでない−−とも記され、これまでの毎日新聞の報道に沿った内容になっている。

 

 センターには仲介室職員のほか、被災者、東電の双方から提出される書類を整理する「調査官」、実際に和解案を作成する「仲介委員」(いずれも弁護士)がいる。関係者によると、毎日新聞が入手した文書は仲介室職員が作成し、複数の調査官に配布された。調査官経験者は取材に対し「文書の内容を仲介委員に説明した」「文書に沿わない和解案になりそうであれば、仲介委員に指摘する」と話し、文書が基準として利用されてきた実態を認めた。

 

 センターはいったん「文書はない」と否定。その後「文書があった(見つかった)」と認める一方、「個人のメモの可能性もある」として、基準として使用していることは認めなかった。(以下、省略)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

●(2014918日付の毎日新聞記事の一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゆがんだ償い:福島第1原発事故 原発ADR運営組織の幹部 非公表基準、認める論文 被災者説明と矛盾

 

東京電力福島第1原発事故の賠償問題を裁判外で解決する手続き(原発ADR)を担当する「原子力損害賠償紛争解決センター」で業務を統括する最上位の機関「総括委員会」の3委員のうち一人が、非公表の基準の作成を認める論文を書いていたことが分かった。センターは被災者の弁護士らに「非公表の基準はない」と説明しているが、論文は矛盾する内容になっている。毎日新聞が7月に、避難後に死亡した人の慰謝料を「一律5割」と算定する非公表の基準の存在を報じた後も、態度を変えておらず、不透明さは増すばかりだ。

 

(中略)

 

毎日新聞は鈴木委員に見解を求めた。鈴木委員はセンターを介して文書で回答し、第3の基準について「拘束力を持たず、各仲介委員の基準を持ち寄り、互いの参考にするという程度の、緩やかな意見交換・情報共有」と主張し、第3の基準の存在を否定した。論文との矛盾を指摘し再度質問したが、文書で「前回回答した通り」とだけ述べ、具体的説明はなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎注)上記で「鈴木委員」とあるのは、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)」内で、全体のADRを総括し取り仕切っている3名の「総括委員会」(メンバーが「原子力損害賠償紛争審査会」から指名される)の委員のうちの一人=鈴木五十三委員(弁護士)のこと。詳しくは記事をご覧下さい。

草々

 

2014年10月17日 (金)

バック・ナンバー(6)(抜粋) (2014年9月~2014年10月)

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22.(報告)南相馬市 特定避難勧奨地点 解除! 汚染地への居住の強要に抗議する集会  いちろうちゃんのブログ

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23.原発とはデタラメを続けてにっちもさっちもいかなくなるシステムのことである:まだやってる昨今の「出鱈目てんこ盛り」・福島第1原発事故などカンケーネーのか  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/1-2276.html

 

24.(報告)シンポジウム 全文公開 /「吉田調書」 から見えてきたもの(2014.10.15)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-e55b.html

 

(その他)

 現代の治安維持法 「特定秘密保護法」 が施行へ : グロテスクな前近代的 「秘密国家」 へ向かう日本、 「由らしむべし、知らしむべからず」 いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-8a6c.html

 

 「賞味期限切れ」の消費者庁・消費者委員会、食品企業・産業やハイエナ名簿業者の利益はしっかり守ります  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-5c76.html

 

 米価暴落、日本の稲作農業=水田が危ない(自国の農業を亡ぼす国は必ず自らも滅ぶ)   いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-a7ab.html

以 上

本日(10/17)のいろいろ情報(メール転送含む)(1)「原発いらない福島の女たち」カレンダー販売開始、(2)泉田新潟県知事記者会見、(3)防災の第一歩は自民党政権を代えることだ 他

前略,田中一郎です。

本日(10/17)のいろいろ情報です(メール転送含む):重複を深謝

 

1.【お願い】「原発いらない福島の女たち」カレンダー販売開始!(別添PDFファイル)
 http://onna100nin.seesaa.net/upload/detail/image/2014-09-13-thumbnail2.jpg.html

2年目(2回目)の「原発いらない福島の女たち」カレンダー2015年版が出来上がりました。利益の全額は女たちの活動費に充てられます。どうぞこれからも多方面にわたる女たちのアクションに心を寄せ、支えてくださいますように!

 

 【連絡先】

「原発いらない福島の女たち」 (カレンダーチーム):

       070-5018-7478 黒田節子

 梨の木舎 FAX:03-3291-8090

 

2.福島の検証なくして再稼働はありえない-泉田裕彦「新潟県知事」記者会見 - 日仏共同テレビ局フランス10

 http://www.france10.tv/social/3855/

 

(当たり前のことを言ったまで:田中一郎)

 

3.(メール転送です)タンポポ舎MGより

┏┓

┗■1.御嶽山災害で露呈した安倍政権の危機管理無関心

 |  防災の第一歩は自民党政権を代えることだ

 └──── 上岡直見[環境経済研究所(技術士事務所)

 

 菅官房長官は、菅義偉は御嶽山と川内の再稼働は関係ないと思うなどと述べたが、何の専門的知見もない個人的な憶測に過ぎない。むしろここで露呈したのは、安倍政権の危機管理に対する無関心だ。高山での活動という特殊性もあるが、御嶽山で約50人の被災者の捜索・搬送に対して、自衛隊・警察・消防が1000人体制だという事実から何も学ばないのか。 もし川内原発周辺で火山の噴火が発生したら、最大規模の噴火という話でなくとも、自衛隊・警察・消防は火山周辺の住民の救援に忙殺される。全国から関係者を招集するにしても、原発周辺の要援護者の事前避難など手が回らないだろう。原発防災とは総合的なものであって「原発に火砕流が到達しなければ大丈夫」というような話ではないのだ。

 

 御嶽山の救助活動では、3000mの高度と火山灰の状況から自衛隊ヘリの運用は決死的活動に近いものである。それは以前から各種の災害対応で経験を積んでいる機種のCH-47だからできることである。軍事オタクが「オスプレイがあれば御嶽山の救助に役立った」などとネットで騒いでいたが、米軍でもまだ安定的に使いこなせていない機種をあのような状況で使えるはずがない。

 

 オスプレイ1基の価格でCH-47が2~3基調達できる。大規模災害に備えるなら数を揃えたほうが有効だろう。しかも防衛の専門家によると、かりに離島防衛の観点からみても、オスプレイは役に立たないという[*1]

 

 片山さつきが、御嶽山災害は民主党の仕訳のせいだなどとデタラメな発言をして後日取消・謝罪しているが、被害者を民主党批判のダシにしている。これも安倍晋三が本家だ。第1次安倍政権の時に、福島事故と同じ全電源喪失の可能性を指摘されながら原子力安全委員会(当時)の評価で安全だと回答している。

 

 防災の第一歩は自民党政権を代えることだ。

   [*1]http://toyokeizai.net/articles/-/47070

 

4.(イベント情報)たんぽぽ舎学習会:政府はなぜ「鼻血」をみとめないのか-漫画「美味しんぼ」問題を考える

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

講師:白石草(OurPranrtTV)    

日時:10/18(土)14:00-16:00   

会場:スペースたんぽぽ

住所:〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル4

TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797

地図:http://www.tanpoposya.net/main/index.php?id=336

参加費:800(学生・障がい者・避難者は200円引き)

 

なお、上記と関連すると思いますが、あさって土曜の夜11時〜 ETV特集で「ヒロシマ 爆心地の原子力平和利用博覧会」が放送されます。8月のビキニ被曝などのNスペも素晴らしかったので、期待したいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

5.おしどりマコ・ケン

(1) 福島原発事故『飯舘で起こっている本当のこと』 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=E-86OLf84qE&feature=youtu.be

 

(2) おしどりマコ・ケンの横浜白熱実験室その2 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=HQM8FVbKevU

 

6.セシウム濃度、過去最高=地下水25万ベクレル―東電「台風の影響」・福島第1 (時事通信)Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141014-00000126-jij-soci

 

(福島県・茨城県・宮城県沿岸及び沖合での漁業を中止せよ、放射性ストロンチウムが危ない:田中一郎)

 

7.毎日新聞 ■注目ニュース■ 福島第1原発3号機、炉心溶融5時間早かった

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故で、東電は6日、3号機の炉心溶融が、これまでの推定より約5時間早く起こっていたとする新たな解析結果を発表した。従来は燃料の約4割は原子炉圧力容器内に残っていると考えられていたが、炉心溶融が早まった分、燃料の損傷度合いも大きくなり、東電は大部分が格納容器の底まで溶け落ちたとみている。今後の燃料取り出し作業が困難になる可能性がある。

 

●東日本大震災:福島第1原発事故3号機、炉心溶融5時間早く 燃料回収に影響

 http://goo.gl/8feP3G

 

●爆発後の3号機原子炉建屋の外観

 http://goo.gl/818Gpk

 

●東海第2原発:県外避難は52万人 事故時茨城県案、実効性に課題

 http://goo.gl/XhG9wq

 

8.20141013 UPLAN 原発事故被害者の救済を求める全国集会in郡山

【第1部】https://www.youtube.com/watch?v=C5zp_uz-6Js&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

【第2部】https://www.youtube.com/watch?v=FnSJRCa8suU&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

9.内部被曝

(1)内部被曝について考える(その1:β線とγ線) - さつきのブログ「科学と認識」 - Yahoo!ブログ

 http://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/39376710.html

 

(2)内部被曝について考える(その2:α線) - さつきのブログ「科学と認識」 - Yahoo!ブログ

 http://blogs.yahoo.co.jp/satsuki_327/39389696.html

 

(3)セシウム137と子供の心臓病との関係 カレイドスコープ

 http://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-863.html

 

(4)放射能って、何?

 http://m-epoch.com/houshanoukihon/20141004-12houshanouttenani.pdf

 

(5)923日に行われた1万人集会の会場、亀戸中央公園の土壌測定をしましたので、見てください

 http://m-epoch.com/houshanouosenjoukyou/201306-201407.pdf

 

(6)内部被曝通信 - アピタル(医療・健康)

 http://apital.asahi.com/article/fukushima/index.html

 

(ロクでもない、ニセモノのサイトです:批判的視点を持ってご覧ください:田中一郎)

 

(7)環境放射線測定結果 - 大気中の放射線量-1日単位の測定結果(江戸川)

 http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/mp_edogawa_air_data_1day.html

 

(東京都健康安全研究センターのサイトですが、測定の仕方が不明につき、どっぷりと信用なさらない方がいいと思います:田中一郎)

 

10.毎日新聞 ■注目ニュース■ 送電網不備、4年前に認識も…後手後手の経産省

 経済産業省は15日、総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会(委員長・山地憲治東京大名誉教授)で再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の抜本的な見直しに向けた検討を本格的に始めた。九州電力など電力5社による再生エネの新規受け入れ停止で、再生エネ事業者には混乱が広がっており、経産省は早急な対策を迫られている。再生エネの導入推進に伴う国民負担をいかに抑制するかも大きな課題で、政府の再生エネ拡大への姿勢が問われることになりそうだ。

 

● クローズアップ2014:再生可能エネルギー制度、抜本見直し 後手後手の経産省 送電網不備、4年前に認識

 http://goo.gl/sCMNOO

 

 <関連記事>

● 再生可能エネルギー:5電力、受け入れ停止 経産省、制度抜本見直し

 http://goo.gl/ZAUfTO

 

● 現場発:九電再生エネ受け入れ 突然中断「詐欺と同じ」 太陽光パネル設置、一般家庭に余波

 http://goo.gl/GlnWBp

 

 <関連の社説>

● 社説:再生エネの普及 国は民間任せにするな

 http://goo.gl/t9Njom

 

11.いろいろ

(1)プラスチック袋の無い街・キールでのモデルプロジェクト(独TAZ紙)

 http://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-11929811419.html

 

(2)2014-10-11 【京都】軍事環境問題国際ワークショップ「放射能汚染と被ばくに立ち向かうー被害とその不確実性をめぐって」(動画)  IWJ Independent Web Journal

 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/181131

 

(3)日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:秘密保護法施行令(案)等の閣議決定に対する会長声明

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/141014.html

 

(いよいよ日本は「暗黒時代」に突入です。特定秘密保護法を早く廃止して、再び民主主義の国に戻りましょう:田中一郎)

 

(4)毎日新聞 ■注目ニュース■ 八ッ場ダム代替地から有害物質

 国が群馬県長野原町で建設を進める八ッ場ダムで、水没予定地からの立ち退きを求められた住民の移転代替地の整備に、有害物質を含む建設資材が使われていることが分かった。国土交通省も同様の情報を得て調査を進めている。有害物質は環境基準の5?23倍に達し、専門家は「撤去が望ましい」と指摘。今後のダム工事や住民の移転計画に影響を与える可能性が出てきた。

 

● 群馬・八ッ場ダム建設:代替地整備に有害資材 フッ素、環境基準の23倍

 http://goo.gl/k9WUt4

 

● 群馬・八ッ場ダム建設:代替地整備に有害資材 運搬関係者「多い日20台で6往復」 庭、駐車場に利用

 http://goo.gl/cV1in7

 

(5) 地振動想定手法の問題点ー内山成樹弁護士 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=BrK2IOo7M5M

 

(6)(別添PDFファイル)東電・柏崎刈羽原発差止め市民の会ニュース 第8号(2014年10月8日)

 

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12.最後に宣伝2つ

(1)河合弘之弁護士初監督 映画『日本と原発』公式サイト

 http://www.nihontogenpatsu.com/

 

(2)(メール転送です)2015 チェルノブイリ29周年救援カレンダー:《チェルノブイリ・福島 子どもたちの保養》

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いつもあたたかいご支援をありがとうございます。チェルノブイリ子ども基金です。このメールは過去にカレンダーをご購入いただいた方、または当基金主催イベントへご参加いただいた方へお送りしております。

 

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2015 チェルノブイリ29周年救援カレンダー

《チェルノブイリ・福島 子どもたちの保養》

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フォトジャーナリスト・広河隆一撮影によるチェルノブイリと福島の子どもたちの保養の写真で構成されています。また、各月の小窓には、ベラルーシのチェルノブイリ被害者家族の写真が掲載されています。

 

撮影:広河隆一

定価:1100円 送料別(2部まで200円)(10部以上:11000円/送料無料)

お申し込み方法:メール、FAX、ホームページ内のフォーム等

お支払方法:カレンダー到着後、同封の郵便振替用紙でお振り込みください

カラー、サイズ:縦42cm×30 cm

見開きA3サイズ

デザイン:スタジオ・ギブ

 

◆カレンダー見本画像・チラシはホームページでご覧いただけます

http://homepage2.nifty.com/chernobyl_children/saishin.html

 

☆カレンダーの収益は、チェルノブイリと福島の原発事故による被災児童のための救援金にあてられます。

 

※重複、またはすでにご購入いただいている方はご容赦ください。

※このような案内がご不要の方は恐れ入りますがその旨ご返信ください。

--

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チェルノブイリ子ども基金

162-0816 新宿区白銀町25メゾンド原207

TEL/FAX 03-5228-2680

E-mail cherno1986@tokyo.email.ne.jp

URL http://homepage2.nifty.com/chernobyl_children/

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草々

 

 

2014年10月16日 (木)

(報告)シンポジウム 全文公開 /「吉田調書」 から見えてきたもの(2014.10.15)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

昨日(20/15)、衆議院議員会館多目的ホールにて、田中三彦氏の司会で「シンポジウム 全文公開/「吉田調書」 から見えてきたもの」が開催されました。別添PDFファイルは、その際の会場参加者への資料です。ご承知の通り、朝日新聞が今年5月に「吉田調書」をスクープして以降、この「吉田調書」が福島第1原発事故の実態解明や事故原因の究明のための新たな第一線資料になるのではないかと注目されてきましたが、はたして「吉田調書」は、そうした期待に応えられるものだったのかどうか、これまでの巷の議論とは違う角度より、多方面でご活躍の5人のパネラーにより、この問題が論じられ、その後、会場参加者も交えた討論集会となりました。非常に内容の充実した2時間のシンポジウムだったと思います、当日は、福島第1原発事故時の責任者でもあった菅直人元首相も短時間ではありますが顔を見せ、簡単な挨拶というよりは原発の危機管理に関する問題提起を行っていました。以下、簡単にご報告します。

 

(昨今の巷の議論では、主として反原発・脱原発=左翼運動とみなす不勉強で軽率なチンピラ右翼を中心に、「吉田調書」を朝日新聞に対するバッシングの手段としたり、原発事故時に福島第1原発現場にあって事故対処に悪戦苦闘した吉田昌郎所長他の現場作業員を「英雄」として持ち上げ、挙句は原発の過酷事故も、そうした現場の「英雄的」行動で奮闘努力すれば何とかなるかのごとき謬論が徘徊している様子である。まるでアジア太平洋戦争前の「白虹事件」や、第一次上海事変時における「肉弾三勇士」、あるいは大日本帝国軍の「玉砕突撃」「神風特攻隊」などを連想させるような、愚か極まる評論も散見されるようで、議論のレベルの低迷に目を覆うばかりである。こうしたことは、原発の危険きわまる根本的な特性を歪曲し、更には、福島第1原発事故後の政府や東京電力や原子力ムラの対応・対処の出鱈目・お粗末に対する告発の矛先を鈍らせ、今後のこうした原発過酷事故の再発と出鱈目・お粗末な事故対応の再現を防止するための議論や検討を歪めてしまう、おそろしくバカバカしくも有害な言論であることを申し上げておきたい。みなさまも、くれぐれもこうした愚かで軽率な議論に巻き込まれることのなきよう、今回の田中三彦氏以下のシンポジウムをはじめ、本物の原発論・福島第1原発事故議論に傾注していただきますようお願い申し上げます)

 

● ウィキペディア:「白虹事件」

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E8%99%B9%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

● ウィキペディア:「肉弾三勇士」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%88%86%E5%BC%BE%E4%B8%89%E5%8B%87%E5%A3%AB

 

 <シンポジウム案内>

10-15 シンポジウム 全文公開-「吉田調書」から見えてきたもの(東京) 原子力資料情報室(CNIC

 http://www.cnic.jp/6058


(当日の資料はこのサイトにもあります。こちらの方が別添PDFファイルよりもカラーできれいで、かつ詳細です)

 

 <別添PDFファイル>

 私が当日、鉛筆書きでメモを書き込んでいますが無視してください。なお、レジメはコピー&ペーストできるようにしておきました。


(1)シンポ 全文公開 「吉田調書」 から見えてきたもの(表紙)(20141015日)

(2)吉田調書の読み方:伊東良徳氏(2014.10.15

(3)「現場」との「距離」(事故時の対応をめぐって):上澤千尋氏(2014.10.15

「kamisawa_siryou.pdf」をダウンロード
(4)ひとたび勃発した原子炉事故に対し、人は何をできるのか:佐藤暁氏(2014.10.15

(5)津波想定を三度つぶした男:添田孝史氏(20141015日)

(6)過酷事故における階層的構造の緊急対策本部の限界:田中三彦氏(2014.10.15

 

 <当日の録画>

20141015 UPLAN もっかい事故調「吉田調書解読シンポジウム「全文公開-『吉田調書』から見えてきたもの」 - YouTube

http://www.youtube.com/watch?v=zgVAkgbOZmw&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA


(三輪さん、いつも重要なイベント等の録画を採録し、タイムリーに素早くネットに掲載していただき感謝しています。たいへん助かっております。引き続きよろしくお願い申し上げます)

 

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 今回のシンポジウムは、技術的な観点から見た福島第1原発事故の実態把握や事故原因の究明と言ったものではなく、そもそも「吉田調書」とはどういう性格のもので、それをどのように読み込めばいいのかを、パネラー各人それぞれの視点から論じたもので、概して総論的なものでした。以下、パネラーごとに、ごく簡単に田中一郎のコメントを付してご紹介いたします。

 

1.吉田調書の読み方:伊東良徳氏(2014.10.15

 伊東良徳氏は弁護士さんで、いわゆる「調書」と言うものを読み解くプロ的存在。特に伊東弁護士の目は鋭く、福島第1原発の事故原因に関して、国会事故調の協力員として作業をした際には、東京電力がランダムに公表した膨大な量の事故関連資料を読み抜いて、少なくとも1号機においては、津波が襲いかかる前に非常用電源はアウトになっていたことを明らかにされている(下記参照)。

 

 今回のシンポでは、伊東氏の「吉田所長はどこにいたか=緊急時対策室、現場は見ていない、事故時の原子炉等の状況については資料価値なし、運転状況や建屋の状況等を把握できていない」という指摘は極めて重要である。更に、吉田昌郎所長が地震の揺れによる福島第1原発の諸設備や機器類の損壊は否定できない・なかったことを確認できていないと証言しているにもかかわらず、ヒヤリングの聞き手側=霞が関官僚(法務省官僚や検察他)が、「津波が来る前は地震の揺れ等による施設損壊はなかったのだ」という、東京電力が書いたと思われる事故シナリオに沿って、いわゆる「事実認識」にあたる部分までもを聞き手側がヒヤリング内容に入れ込んだ上で、まるで誘導尋問(津波前は異常なし)をするかのごとく吉田昌郎所長に聞いていることも大問題であるとの指摘があった。そして、それは、時期を離して実施された(2011年7~8月と11月)2つのヒヤリング結果で、吉田昌郎所長の証言の雰囲気が様変わりしていることにも影響があるように思われるという指摘も、また、的を得ているように思えた。

 

(私は、政府事故調が、霞が関官僚たちの人間集団を事務局とし、関係者証言のヒヤリングを非公開=秘密裏に行い、その内容を公表せず、また、上記にあるような誘導尋問的なことをしていたことなどから、その報告書の信頼性については疑問を抱いている。少なくとも、そうしたことがなかった国会事故調の報告書よりは信頼性が落ちると思われる)

 

● 再論「福島第一原発1 号機の全交流電源喪失は津波によるものではない」(伊東良徳)

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&ved=0CB0QFjAA&url=https%3A%2F%2Fwww.iwanami.co.jp%2Fkagaku%2FeKagaku_201403_Ito.pdf&ei=8kE_VMjgNuTvmAWI7YL4Dw&usg=AFQjCNFYSWuGA_tLd-IThpKowZ1ikOcy6Q&bvm=bv.77648437,d.dGY

 

● 福島原発全交流電源喪失は津波が原因か(その5) | 庶民の弁護士 伊東良徳

 (2)~(4)のURLは省略します。(全体:原発裁判)に(1)~(5)まであります。

(1)http://www.shomin-law.com/essayFukushimaSBO.html

(5)http://www.shomin-law.com/essayFukushimaSBO5.html

(全体:原発裁判)http://www.shomin-law.com/katudougenpatu.html

 

2.「現場」との「距離」(事故時の対応をめぐって):上澤千尋氏(2014.10.15

 上澤千尋氏は原子力資料情報室(今回のシンポの主催者)のスタッフで、原発の施設や工学に詳しい。今回は市民の目で「吉田調書」を点検した結果の報告。

 

 「現場把握の困難さ」の説明として、免震重要棟から1号炉の中央制御室までの直線距離は400m足らずだが,電気がないため通信機器が使えず,炉内パラメータの伝達の1回のやりとりに1時間を要することもあったこと、原子炉水位計をはじめとする計測装置の信頼性に疑問が出ていたのだが、それは今も他の原発・核燃料施設に共通して未解決のままであることなどが指摘された。

 

 また、今回の福島第1原発事故で見られたように、原発のシビア・アクシデントへの対応は困難を極めるにもかかわらず、現在、原子力「寄生」委員会によって、原子炉規制の事実上の緩和により原発再稼働が猪突猛進的に行われようとしていることに対して、おかしいとの指摘もあった。情報公開が重要である旨の指摘(特に、東京電力関係者の証言や国会事故調の資料類など)も、まさにその通り。

 

 パネラーの佐藤暁氏からは、上澤氏のふれた「免震重要棟から1号炉の中央制御室までの直線距離は400m足らず」については、アメリカの規制基準では違反であること(=情報共有化を優先し、徒歩2分以内の場所になければならない)が指摘された。また、東京電力TV会議のやり取りの中では、東京の本部から現場での通信用にと、トランシーバー約50台の差し入れを受けたが、それらの使用周波数が全部同じだったため、一斉に使うと混線してわけがわからなくなり使えなかった、とのやりとりもある(バカバカしいが)。危機管理対応能力がゼロ状態をティピカルに表す話である。

 

3.ひとたび勃発した原子炉事故に対し、人は何をできるのか:佐藤暁氏(2014.10.15

 佐藤暁氏は元GEの技術者で、現在は原子力関連の技術系コンサルタントを職業としている原発のプロ。福島第1原発事故以降、さまざまな場面で活躍中である。特に原発のリスク・マネジメントやクライシス・マネジメントに詳しい。田中三彦氏と並んで、岩波書店月刊誌『科学』にも佐藤氏執筆の論文の連載が始まっている。

 

 佐藤氏のレジメでは、別添PDFファイルの1枚目の右側上の「最近の憂慮される兆し」を熟読願いたい。まさにここに書かれているような愚かな原子力ムラ連合による「猿芝居」に、マスごみが真っ先に飲み込まれているような気がする。マスごみの「物まね」をする人間では、原子力破滅時代には生きていけない。また、佐藤氏は、福島第1原発の現場では、吉田昌郎所長以下、現場作業員が非常によく頑張ったけれども、その結果を技術的な観点から厳しくレビューすると、事故による事態の悪化を防ぐという観点からは、ほとんど何もできなかったに等しいと、クールな判断を示されていたことが印象に強く残る(レジメで言えば4枚目の左上「放射性物質の大気中への放出」)。話が高度なので容易にはまとめにくいので、上記の当日録画をご覧いただきたい。

 

●「発電用軽水型原子炉施設に係る新安全基準骨子案」の問題点(佐藤暁:20133月)

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=7&cad=rja&uact=8&ved=0CDcQFjAG&url=http%3A%2F%2Fwww.city.osaka.lg.jp%2Fkankyo%2Fcmsfiles%2Fcontents%2F0000159%2F159434%2F26.mondai.pdf&ei=8EY_VOC7AcTDmQW07YLAAg&usg=AFQjCNF6zkUPZYxZz5wtdCyAzDlqO5A73g

 

佐藤暁:無責任なメルトダウン隠蔽 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=3gI3YYIEEJ8

 

4.津波想定を三度つぶした男:添田孝史氏(20141015日)

 添田孝史氏は関西在の元朝日新聞記者。近々、岩波新書で地震と津波に関する著作が出るとの案内が田中三彦氏よりあった。乞うご期待である。

 

 今回の説明では「津波想定を三度つぶした男」という表題で、主として吉田昌郎所長と電事連に着目し、1990年代にまで遡って、福島第1原発をめぐる津波想定の過去の状況を振り返る内容の話があった。私が常々申し上げているように、福島第1原発事故は吉田昌郎所長にとっては、まさに「自業自得」であり、従ってまた、吉田昌郎所長は原発事故の被害者にとっては重大なる刑事責任者であるということを1990年代の過去にまで遡って確認できた。吉田昌郎所長が「英雄だ」などということは、過去の事実関係を知らぬ阿呆の言うことである。

 

5.過酷事故における階層的構造の緊急対策本部の限界:田中三彦氏(2014.10.15

 今回のシンポジウムを総括する全般的な話で、1秒1刻を争う、かつ総合的な専門的知識が要求される原発過酷事故対応においては、ピラミッド形式でヒエラルキー組織型(階層型・トップダウン的)の「緊急対策本部」ではうまく機能しないこと、形式にこだわるのではなく、複数の技術専門家による集団トロイカ体制でないとうまく機能しないのではないかとの問題提起がなされた。

 

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 (私の発言)

 私は「吉田調書」と東電TV会議を、事故現場の福島第1原発と、それを支援・補給・サポートする東京本部(東京電力本社)とのやり取りを主眼に見た。そこに描かれているのは、まるでアジア太平洋戦争時に、ガダルカナル島で補給も支援もなく孤立して玉砕した現地の大日本帝国軍のごとくに孤軍奮闘する、福島第1原発の吉田昌郎所長以下の現場の姿だった。吉田昌郎所長の方から、いくらいろいろと本部に請求をしても、ちっとも理解してもらえず、補給もサポートも受けられないという当時の事態は、本部と現場のクライシス・マネジメントとしては、つくずく不十分かつ欠陥のあるもので、これを今回の「吉田調書」を資料にして、抜本的に見直し立て直す必要があるように思えた、旨の発言をしました。

 

(たとえば、東電TV会議には、3/13~14に「車搭載用のバッテリー電源を、福島第1原発から作業員が、わざわざ近隣のいわき市まで購入に出かける」話まで出ていたように(バッテリー補給くらいなら、ヘリコプターを使って、大量に福島第1原発に運び込めるはず)、本部も、そしておそらくは福島第1原発現場も、危機対応の仕方をほとんど心得ていなかったのではないか)

 

(終了後の私の2人の技術者への質問)

 今回は福島第1原発事故に関する技術的な問題の話はなかったので、シンポジウム終了後に、田中三彦氏と佐藤暁氏の2人に次の4つの技術的な質問をぶつけてみた。回答は次のようなことだった(田中三彦氏へは(質問1)だけをお聞きした)。

 

(質問1)福島第1原発1号機の非常用復水器(IC)は、全電源喪失と同時に自動的にシャットダウンしたのか

 政府事故調報告書や、それを担った人たち(特にノンフィクション作家の柳田邦男氏)が、しきりに「1号機の非常用復水器(IC)は全電源喪失とともに自動的に「閉」となり稼働を停止したが、そのことを吉田昌郎所長以下、1号機関係の作業員が知らなかった=ICは動いているのだとばかり思っていた」と発言し、それを原発事故後の深刻化の一つの要因として説明している。これについて、どう考えるかと佐藤暁氏と田中三彦氏に聞いた。

 

 お二人とも、非常用復水器(IC)が全電源喪失とともに、いわゆる「フール・プルーフ」機能によって自動的に機能を停止し「閉」となったかどうかは怪しいとのこと。佐藤氏は、①自動停止=「閉」となるといっても、瞬時になるものではなく時間がかかる、②電源喪失状態でも自動機能が働くかどうかは疑問、③原子力「寄生」委員会で出てきた資料では、その機能は働いていない、ようなことが書かれていた、として否定的。田中三彦氏も、非常用復水器(IC)には4つの弁があり(1弁~4弁)、そのうち1弁と4弁は格納容器の内側にあって交流電源で動き、2弁と3弁は格納容器のすぐ外側にあって直流電源で動くような構造になっている、それが電源喪失後に想定通りに動くと言うのは考えにくい、ということで、やはり否定的だった。

 

 田中三彦氏に対して私からは、連載の始まっている岩波書店月刊誌『科学』にでも、このことについて書いてほしいとお願いをしました。田中三彦氏は、すでにいろいろな所に書いています、国会事故調の報告書にも書いています、とのことで、自分の不勉強を恥じ入るばかりだった。(お願いした理由は、大手新聞や多くの雑誌が、柳田邦男氏の1号機非常用復水器(IC)の自動停止説に立脚して記事を書いていて、このままではこれが「既成事実化」しそうだから)

 

(質問2)福島第1原発2号機に3/15早朝には何が起きたのか、「ドライベント成功説」をどう思うか

 佐藤氏は、2号機の「ドライベント成功説」は根拠が薄いとして否定(地域住民に事前告知せずにドライベントを実施、ドライベントの威力はすさまじく、3/15の東日本一帯の放射能汚染=住民大量被ばくを生み出してしまった、それを隠蔽するために、東京電力が2号機爆発説をでっちあげているという説)。2号機は、どこかが破損しているだろうと推測。

 

(質問3)福島第1原発の3号機は3/13に手動で停止され、その後原子炉の具合が悪化した。これについてどう思うか

 佐藤氏もよくわからないとのこと。ただ、この高圧注水系(HPCI)の手動停止が、高圧注水系(HPCI)配管の地震破損による漏水防止が目的だという説については否定的。

 

(質問4)福島第1原発4号機は3/15の午前9時過ぎと11時頃に2度の火災が起きているが、それは何か。米軍が消化したというのは真実か

 佐藤氏によると、定期点検中だった4号機の建屋は、いたるところにビニールシートが敷いてあり、また、低階層の建屋内には、オイル類など燃えやすいものもあったので、それらが燃えたのだろうとのこと(つまり、ジルコニウム被覆管の燃焼説は否定)、また、米軍が消火活動のために4号機にやってきたというのは否定。米軍は来ていないとのこと。

 

(次回以降、技術的な疑問点の説明にも注目をしたいと考えている。依然として、福島第1原発事故の実態はよくわからず、従って、原因究明も全く不十分なままである。原子力「寄生」委員会が先般公表した事故原因究明のための検討会の「中間報告」は、原子力ムラ御用学者が集まって作製した、ただただ国会事故調報告を否定するためだけの、実に歪んだ発想に基づくものと推測)

 

 <最後に>

 当日は、私以外にも、会場から興味深い発言が複数ありました(崎山比早子氏、後藤正志氏、堀江氏(東京電力株主訴訟)他)ので、当日不参加の方は上記URLの録画をご覧いただくといいと思います:原子力資料情報室のHP(上記)にも録画あり)。また、田中三彦氏をはじめ、パネラー各位、それにこのシンポを企画された原子力資料情報室に感謝申し上げます。引き続き、この「第2弾」に期待いたします。

草々

 

東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(10)逃がした対策の機会、自然を侮り利益優先

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

東京新聞が9/15よりシリーズで報道し始めた吉田調書(政府事故調による吉田昌郎福島第1原発所長(当時)証言記録)に関する特集記事「調書は語る:吉田昌郎所長の証言」を見ながら、福島第1原発事故の実態とその原因を探ってみたいと思います。第10回目(最終回)の今日は下記の東京新聞記事です。なお、私のメールでは、このシリーズ特集記事にある、主として吉田昌郎所長証言のあいまいさや、証言から推察される福島第1原発事故深刻化の原因となったであろうことがらを取り上げて、簡単にコメントいたします。(東京新聞の吉田調書シリーズ特集は今回で終了です)

 

 <別添PDFファイル>

● 書は語る(10):逃がした対策の機会、自然を侮り利益優先(東京 2014.9.26

http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/b15a406592048799913ccd644abe4ac4

 

1.東京新聞記事

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非常用電源や非常用冷却装置などの備えはしていたはずの東京電力福島第一原発が、なぜもろくも重大事故を引き起こしたのか。吉田昌郎(まさお)所長は所長になる前、原発の耐震対策などを担当する本店原子力設備管理部長だった。その立場での吉田氏の証言を読むと、自然の力を侮り、費用対効果を優先し、対策の機会を逃してきた東電の姿が浮かび上がった。(肩書はいずれも当時)

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(田中一郎コメント)

 ひとたび過酷事故を起こせば、絶大な損害や被害を将来の長きにわたって延々と生じさせてしまう原発・原子力施設、そんな超危険な施設を管理する者として、絶対に過酷事故は起こさないという強い意志と万全の対応や準備のもとに原発は運転されているべきだった。通常の危険施設以上の、あらゆる可能性を考慮した上での、文字通りの厳しい安全管理措置が取られていなければならないし、それがまた、地域住民に対する「絶対に原発は重大な事故を起こし、みなさまにご迷惑をおかけすることはありません」という約束でもあったのだ。

 

 しかし、吉田昌郎所長は、上記にあるように、福島第1原発に所長として赴任してくる前の東京電力本社時代には、福島第1原発の安全性に関する重要な意思決定クラスの幹部であったにもかかわらず、その責務を果たさないまま、目先の損得勘定に拘泥して福島第1原発事故に至っている。吉田昌郎所長のこの「罪」は決して許されるものではない。しかも、この東京新聞記事にもあるように、吉田昌郎所長は、福島第1原発事故後においてさえ、その善管注意義務違反について、深く反省している様子はないのである(それどころか、事実上、しょうがなかったのだと居直っている)。吉田昌郎所長「英雄論」が如何にバカげたことであるか、これを見れば火を見るより明らかだ。

 

2.東京新聞記事

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 <東電は、津波高の想定が最大一五・七メートル(震災時に実際に襲われた津波とほぼ同じ)になるとの社内の試算も得ていたが、具体策は取らなかった>

(問い)「福島第一に十メートルほどの津波が来る可能性があるという話は聞いていたか」

「聞いていた。もっと高い津波が来るなら対策が必要だと常に社長、会長、原子力の本部長以下にも報告していた」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 しかし、福島原発告訴団に告発された勝俣恒久元東京電力会長は、大きな津波が来る危険性の話などは東京電力社内では聞いたことがないと、とぼけているそうである。

 

● 福島原発告訴団 HP

 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/

 

3.東京新聞記事

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(問い)「初めてこの数字を聞いた時の印象は」([津波高の想定が最大一五・七メートル」のこと:田中一郎)

「それは『うわあ』と。入社時は最大津波はチリ津波と言われていて高くて三メートル。非常に奇異に感じた。そんなのって来るのと」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 あほか!!

 

4.東京新聞記事

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(問い)東北電力女川原発(宮城県)では、八六九年の貞観津波を考慮している。福島では?」

「福島県沖の波源(津波の発生源)は今までなかった。いきなり考慮するのは、費用対効果もある。お金を投資する根拠がない」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 バカか!!

 

5.東京新聞記事

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(問い)「根拠とは」

「専門家の意見。誰がマグニチュード(M)9が来ると事前に言っていたか。結局、結果論の話。何で考慮しなかったんだというのは無礼千万」

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(田中一郎コメント)

 ボケか!! 無礼千万は貴様の方だ!!

 

5.東京新聞記事

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(問い)「土木学会の指針には権威、客観性があるか」

「ある。これはオールジャパン。声を大にして言いたいが、原発の安全性だけでなく、今回二万三千人死んだ(実際は死者約一万六千人、行方不明者が約二千六百人)。誰が殺したのか。M9が来て死んでいる。こちらに言うなら、あの人たちが死なないような対策をなぜその時に打たなかったのか」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 (御用学会としての土木学会なんぞに権威や客観性が)あるわけねーだろ。安全管理手抜きによる原発の過酷事故と、一般自然災害とをいっしょくたにすんなよな。居直ってないで反省くらいしたらどうだ。

 

6.東京新聞記事

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(問い)津波対策の方針をどう幹部に相談していたか」

「一番重要なのはお金。対策費用の概略をずっと説明していた。経営層に急にお金がいりますと言っても駄目だから。ただ、株主代表訴訟だとか、説明責任を果たし得るベースにはなっていなかった」

 

(問い)「社長や会長の反応は」

「会長の勝俣(恒久)さんは『確率はどうなんだ』と。学者によって説が違うから詰めてもらっているという話で終わって、それ以上の議論になっていない」

「最後は経営はお金だから、本当にお金では苦労していて、私などは一番銭を使った男と言われている」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 株主代表訴訟なんぞの話は関係のないこじつけだ。「説明責任を果たし得るベースにはなっていなかった」のは、原発の安全性の方で、ろくすっぽ安全対策をしてもいないのに、しているかのようなふりをして詐欺まがいの行為を繰り返していたということだ。原発とは、(安全性よりも)カネ、カネ、カネ、この吉田昌郎所長の発言に原発の本当の正体がよく表れている。

 

 また、上記で申し上げた勝俣恒久元東京電力会長の「知らぬ存ぜぬ」が嘘八百であることが、この吉田昌郎所長の発言からも見て取れる。今現在、東京検察庁は検察審査会の「起訴相当」の決定を受けて、勝俣恒久他2名=計3名の元東京電力幹部(残り2人は技術系)を起訴するかどうか検討中だが、この勝俣恒久他の東京電力の事故責任者達を起訴して有罪にできるかどうかは、これからの原発の安全管理問題に重大な影響を与える。何故なら、あれだけのいい加減とずさんな管理を繰り返して、これだけの悲惨かつ重大な大事故を起こしてしまったことの責任者が、誰ひとりとして責任を問われることがないというのは、信じがたいモラル・ハザードを生んでしまうからだ。

 

● 原発事故、東電元会長ら「起訴相当」 検察審査会が議決:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/ASG703K7HG70UTIL00F.html

 

7.東京新聞記事

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 <福島第一では一九九一年に海水配管の腐食により非常用ディーゼル発電機(DG)が水没した。その前にも建屋地下に大量の雨水が流れ込むトラブルを経験している。にもかかわらず東電は教訓を生かさなかった。もし、発電機や配電盤を高台に移したり、防水性を高めるなどの対応をしていれば、重大事故は防げた可能性は十分ある>

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(田中一郎コメント)

 新聞記事には、「数々の地震・津波対策の機会を逃した東電」と題して、過去の多くの契機を時系列で並べてある。以下、その主なものを拾ってみよう。吉田昌郎所長が言うような「結局、結果論の話。何で考慮しなかったんだというのは無礼千万」のようなことではないことがよくわかる。

 

1983年   福島第1原発で、大雨により非常用発電機のある建屋地下に浸水

1991年   福島第1の配管から海水が漏れ、非常用発電機が水没

2007年7月 新潟県中越沖地震が発生、柏崎刈羽原発で想定を超える地震動

       (⇒ 田中一郎:大した地震でもないのに想定を超えてしまった)

2008年2月 福島第1への津波が「7.7m以上」になる可能性があると社内会議で報告

2008年3月 東電が三陸沖地震で福島第1に「15.7m以上」の津波が来る可能性があると試算

2008年5月 東電が、国との勉強会で、津波による全電源喪失の危険性があると報告

2008年8月 東電が、房総沖地震では「13.6m」の津波が来る可能性があると試算

(今回の福島第1原発事故は、上記の試算通りになったということである:田中一郎)

 

8.東京新聞記事

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「九一年に1号機で海水漏れがあったが、誰が想定していたか。冷却系統はほとんど死んで、DGも水に漬かって動かなかった。今回のものを別にすれば日本で一、二を争う危険なトラブル。あれでものすごく水の怖さが分かったが、古いプラント、一回できたものを直すというのはなかなか」

 

(問い)「対応を事前に考えて訓練して備えることはできたのでは」

「おっしゃる通り。ただ、今回のものは十五メートルという思考停止レベルの話」

 

「柏崎(刈羽原発)の新潟県中越沖地震は同時にいった。でも、無事に安全に止まってくれた。設計の地震を大きく超えていたが、安全機器はほとんど無傷だった」「今回のように冷却源が全部なくなるだとか、そういうことには(中越沖)地震でもならなかった。やはり日本の設計は正しかったと、逆にそういう発想になってしまった」

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(田中一郎コメント)

 まさに「思考停止」状態だ。「古いプラント、一回できたものを直すというのはなかなか」=これが実際の原発の姿である。我々はいつ爆発するともしれない老朽化した危険極まりない原発の横で「知らぬが仏」を決めこんでいることになる。

 

8.東京新聞記事

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<東電は複数炉の同時事故を想定していなかった。電源が失われても、別の電源から必ず供給されるという思い込みが強かった>

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(田中一郎コメント)

 この部分は、一つの原発がやられても、隣の原発が助け船を出す、という風に読むのではなく、一つの原発がやられたら、あたり一面放射能だらけになって人が近寄れず、まもなく隣の原発も次々とドミノ倒しのようなやられていく、と読まなければいけない。日本各地にある原発銀座とは、薄氷の上を歩くようなものであることを自覚すべきだ。そして、その氷の下は「永遠の放射能汚染地獄」である。

 

9.東京新聞記事

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 <福島の事故では、膨大な熱を発する原子炉に、外部からどう注水するかが難しく、水源もまるで足りなかった。炉の制御は電気頼みで、電気がなければお手上げ。原発はもろく、暴走し始めると制御は非常に困難との事実を突きつけた>

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(田中一郎コメント)

 こんなものを「五重の壁に守られたほぼ完ぺきに近い安全性」「天文学的な数字の事故発生確率であって無視してよい」などと、御用学者合唱団が日々讃美歌を歌っていたのはついこの間である。そして、再び今、御用学者合唱団は大演奏の準備を始めている。まもなく(再)コンサート「全ての原発はやっぱり安全だ」が始まる。もう一度、だまされてみますか?

 

10.東京新聞記事

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(問い)「本当に最後は海水、とは考えていないのか」

「ない。もし考えていれば、海の水を吸い上げるようなラインを別に設計しておくべきだ。思い至らなかった自分は非常に恥ずかしいと思うが、いろんな仕組みを考えた連中の中に本当にそこまで覚悟を決めて検討した人がいるかどうかというと、いないと思う」

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(田中一郎コメント)

 原発の安全を考えようと思ったら「そこまで覚悟を決めて検討」しなければならんのか。だったら、やめとけよ。

 

10.東京新聞記事

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(問い)「原発の制御は、基本的に電動のスイッチで行うイメージ。それで対応できなくなった時のことまでは考えなかったのか」

「三月十一日の前はそういう発想にはいっていないのだろう。スイッチ押せば、その通りに動いてくれるという前提でのマネジメント。これは福島第一だけでなく、オールジャパン、どこでもそうだと思う」

 

(問い)「地下にある電源盤(配電盤)も水没した。そこまでは思いが至らないのか」

「至っていない。水がそこまで来るという発想がない。来たとしても水が出たところを特定すれば止まるという発想」=おわり

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(田中一郎コメント)

「スイッチ押せば、その通りに動いてくれるという前提でのマネジメント。これは福島第一だけでなく、オールジャパン、どこでもそうだと思う」=この状態は、今でも全然変わっていない。つまり、机上の空論の「安全性」で「言葉遊び」をしながら、川内原発、高浜原発、玄海原発、伊方原発といった、西日本の加圧水型の原発が再稼働されるわけだ。再びの原発過酷事故は必至であり、それが(大地震・大津波・大噴火などによって)西日本で起きれば、放射能は西風に乗って日本全土に濃厚に降りかかる。つまり、日本は確実な滅亡過程に入ったということだ。カウントダウン開始である。

 

 <最後に>

 最後に、当時の民主党政権の幹部政治家達のコメントを記事から引用して下記に書いておく。原発政策をうそぶくこれらの「口先やるやる詐欺」政治家達が如何にいい加減で無責任か、私がご説明申し上げなくてもよろしいでしょう。くだらぬゴタク評論を並べているヒマがあったら、さっさと原発を止めて廃炉にすればいいのである。

 

 今後のあらゆる選挙において、この「口先やるやる詐欺」の民主党、そしてそれ以上に、原発利権にしゃぶりつくゴロツキ・ダニ政党の自民党に、絶対に投票をしてはいけない。自民・民主に投票をするということは、「もう一度、原発の過酷事故を引き起こしていただけませんか」という意思表示をしているようなものである。

 

(一部抜粋)「 その時、政府や東電は… 枝野氏ら「安全神話元凶」」

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事故対応に追われた枝野幸男官房長官ら主要な官邸メンバーたちは、事故の背景に何があったかを問われ、それまで日本を覆っていた原発の「安全神話」があると口々に指摘した。枝野氏は調書で「間違いなく言えるのは、やはり安全神話が決定的に大きい」と断言した。

 

「原発は安全だという前提に立ってあらゆることが組み立てられていた。実はここが危ないんだという情報があっても採用できなかった」と指摘し、「絶対的な安全はあり得ないと言わなければならない」と自戒も込めて語った。

 

政府側の事故対応を切り盛りした細野豪志首相補佐官は「(事故対策に)大規模な投資をすれば、危険だからだろうと言われ、いやいや安全なんですという自己矛盾に陥っていた」と、東電自体も安全神話に縛られていたことを指摘した。さらに「自己矛盾に陥っていたことは何度もあり、気がついていたと思う」とも述べ、現場の技術者たちがそれを言い出せなかったことが「まさに安全神話そのもの」だと語った。

 

菅直人首相は、原発の利権構造で結び付いた産・官・学の原子力ムラと呼ばれる体質が、全電源喪失の想定の否定につながったと言及。「事故の起きた3月11日以前に大半の原因があった」と主張している。

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草々

原発とはデタラメを続けてにっちもさっちもいかなくなるシステムのことである:まだやってる昨今の「出鱈目てんこ盛り」・福島第1原発事故などカンケーネーのか

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、ここ数日の原発関係記事である。なにも批判的ジャーナリズム精神に富んだ立派なマスコミ紙誌を選んで、ここにご紹介するわけではない。我々が日々目にする一般の全国紙新聞の記事の一角にすぎない。しかし、それでも、わずかの期間に報道されるものの中に、これだけの「出鱈目てんこ盛り」が原発・原子力にはあるのだ。福島第1原発事故という悲惨な事故を経験させられたにもかかわらず、事故前の「出鱈目てんこ盛り」を、未だに性懲りもなく繰り返している。それはまるで、このメールの表題のとおり、さながら「原発とはデタラメを続けてにっちもさっちもいかなくなるシステムのことである:まだやってる昨今の「出鱈目てんこ盛り」・福島第1原発事故などカンケーネー」のごときだ。

 

以下、簡単にご紹介しコメントする。ほんまに、もう、「いい加減にさらせえ~、きさまら~」である。

 

 <別添PDFファイル>

(1)監視カメラ1/3故障、もんじゅ、1年半放置も(東京 2014.10.12

(2)福島事故放出セシウム、東京湾河口 残る汚染(東京 2014.10.13

(3)原発事故対策、退避施設 ずさん補助、内閣府 津波、耐震考慮なし(毎日 2014.10.12

(4)北海道電 急いだ再値上げ、平均15.33%、2か月半で決定(朝日 2014.10.11

(5)中間貯蔵施設、説明会終了、評価額 地権者の反発強く(日経 2014.10.13

 

1.監視カメラ1/3故障、もんじゅ、1年半放置も(東京 2014.10.12

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014101202000113.html

 

(一部抜粋)

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大量の機器点検漏れから事実上の運転禁止命令が出ている日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県)で、一九九五年のナトリウム漏えい事故をきっかけに原子炉補助建物に設置された二次系冷却材の監視カメラ計百八十基のうち、約三分の一が壊れていることが十一日、関係者の話で分かった。

 

原子力規制庁が九月に実施した保安検査で判明。壊れたまま一年半以上放置されていたものもあり、保安規定違反の疑いが持たれている。低温停止中のため実害はないとみられるが、機構の安全管理体制が問われ、命令期間が長期化する可能性が出てきた。

 

(中略)関係者によると、故障していたカメラは「ITV」と呼ばれ、機構がナトリウム漏れ事故をきっかけに〇五年に着手したもんじゅの改造工事で二次系冷却材ナトリウム配管の周辺に設置し、監視システムの一環として〇七年に運用を開始。中央制御室に映像を送り、運転員らが冷却材漏れの異常がないかなどを確認している。

 

今年九月八~十九日の保安検査で、約三分の一のカメラの映像が映らなかったり、左右に動かなかったりと、正常に作動していなかったことが判明。機構は「故障の認識はあったが、既に製造終了したカメラで交換できなかった」と規制庁などに説明しているという。

 

規制庁は四半期に一度保安検査している。三月の検査では一次系配管に関連する機器の点検が不十分と指摘し、機構が再点検中。しかし、九月の検査で再点検状況を確認すると、それらの機器の形状や配置を立体的に記した図面がないことも分かった。

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(田中一郎コメント)

 単に、高速増殖炉「もんじゅ」をモニターする機械(監視カメラ)が1/3も壊れていた、というだけのことではない。第一に、この監視カメラは「もんじゅ」が起こしたお粗末な金属ナトリウム(冷却剤)漏れ事故の再発を防止するためのものであったこと、更には、上記にもあるように「それらの機器の形状や配置を立体的に記した図面がないことも分かった」という状態である。しかも、この「もんじゅ」を管理運転する(独)日本原子力研究開発機構は、「大量の機器点検漏れから事実上の運転禁止命令が出ている」状態だ。何をかいわんやである。こんな組織が原子力を扱う組織として、未だに存続していること自体がおかしい。さっさと解散させてしまえ。

 

 記事には「低温停止中のため実害はないとみられるが」などと書かれているが、とんでもない話である。ナトリウムは常温になると金属の固まりに戻ってしまうため、「もんじゅ」の運転停止中も電気で高温に熱し続けてナトリウムを液体のまま配管の中で流し続けている。また、試験運転で臨界までさせたプルトニウム含有の核燃料も残ったままである。また、ご承知の通り、金属ナトリウムは水に触れると爆発的に反応し、空気に触れただけでも燃えだしてしまうという厄介な代物、運転していようがいまいが、しっかりと「見張り」=監視をしていないと、危なくてしょうがない。監視カメラは止まっていても大丈夫などとはとても言えないのだ。

 

 下村博文文部科学相は、この(独)日本原子力研究開発機構の体たらくに対して「(「もんじゅ」は)ラストチャンスだ」などと、のたまわっているそうだ。しかし、「ラストチャンス」とは、下村文相自身のことではないのか。あるいはまた、「もんじゅ」が(必ずや)大事故を起こす前に、止めるなら今だ、と神様が教えてくれている我々有権者・国民自身にとっての「ラストチャンス」なのかもしれない。

 

2.福島事故放出セシウム、東京湾河口 残る汚染(東京 2014.10.13

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014101390074434.html

 http://inamasa.blogspot.jp/2014/10/blog-post_14.html

 

(一部抜粋)

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東京電力福島第一原発事故から三年七カ月が過ぎ、東京湾の放射能汚染はどうなっているのか。本紙は九月、独協医科大の木村真三准教授(放射線衛生学)の協力を得て、海底の土や水を調べた。沖合の汚染は低かったが、河口周辺ではかなり高い汚染が広く残っていることが確認された。木村准教授は、魚介類も含め継続的に監視する必要性を指摘している。

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((田中一郎コメント))

 この記事を見て私が申し上げたいのは次のようなことだ。

 

(1)東京湾の汚染は、国によっても、自治体によっても、ろくすっぽ調査されていない。また、放射性セシウム汚染は、海底の土砂・泥・ヘドロ>海の生物>海水、の順で汚染がひどいにもかかわらず、海水だけがわずかばかり調べられているような状態である。その海水の放射性セシウム汚染がほとんどわずかなので、海は汚染されていない、と言わんばかりの言説が流布されている。馬鹿か、と言いたくなる。

 

(2)関東一円に降り注いだ放射能は、時間がたてば北の山間部から川を下って東京湾などに流れ下ってくるのは自明なこと。降った放射能が放射性セシウムだけではないのだから、東京湾の汚染も放射性セシウムだけに注目していては危ない。特に放射性ストロンチウムやプルトニウム・ウランなどの多種多様の放射性物質にも注目して警戒しておく必要がある。

 

(3)なので、東京湾で水遊び・海水浴・潮干狩りなどはやめた方がいいし、東京湾沿岸で砂遊び・泥遊びなどは危険極まりないので、絶対にしてはいけない。子供たちを連れて行くことなど厳禁だ。また、東京湾で獲れる魚介類=たとでば貝類やウナギやアナゴなど、は、食するのはやめた方がいい。水産庁や厚生労働省、あるいは自治体などが東京湾でとれるわずかばかりの魚介類を調べて「大丈夫」などと言うかもしれないが、そんなものは信用できない。そもそも魚介類は動きまわるので、個体差が大きい。わずかばかり調べても、海洋生物の汚染状況はわからない。本来なら、東京湾は立ち入り禁止区域にしなければならない場所である。こんなところで2020年にオリンピックをやるなんて信じがたい。国際的な信義即違反だ。選手や観客が被ばくしてしまう。

 

(4)山から海へ向かって放射能が流れ降りているのは東京湾だけではない。広く東日本の河川下流とその河口・汽水域を綿密に調べ、明確に安全が確認されるまでは、漁業やレジャーその他の行為を禁止にしなければならないはずだ。にもかかわらず、国も自治体も何もしないどころか、その真逆のことを平気でやっている。関東や東北の太平洋側の海辺では、「海開き」などと称して海ではしゃいでいる写真が時折新聞に掲載されるが、グロテスクで見ていられない。おそらくは放射能の危険性について、はしゃいでいる人たちは何も知らされていないのだろう。あまりにもかわいそうである。そして、このことは、太平洋側だけのことではない。奥羽山脈や関東北部に降った放射能は、太平洋側だけではなく日本海側にも流れ落ちて行っている。阿賀野川などの河口付近では、高い濃度の放射性セシウム汚染の泥なども検出されている。日本海側も、海の汚染に油断をしてはならない。

 

3.原発事故対策、退避施設 ずさん補助、内閣府 津波、耐震考慮なし(毎日 2014.10.12

http://sp.mainichi.jp/select/news/20141012k0000e040131000c.html?fm=atna&utm_source=antenna

 http://mainichi.jp/shimen/news/20141012ddm001010178000c.html


(毎日新聞の無料ネット会員になると全文を見ることができます:お勧めです)

 

●(上記の続き)いのち守れるか原子力防災の課題 福井・小浜の退避施設 「津波ならやられる」 浸水想定区域内、住民冷ややか - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/shimen/news/20141012ddm041040142000c.html

 

(一部抜粋)

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 原発事故時に要援護者らが一時退避する施設として既存施設を改修しシェルター化する内閣府の補助事業が、対象施設を選定するに当たり、津波の影響や耐震性などの基準を定めていなかったことが分かった。約150施設に計311億円の交付が決まっているが、毎日新聞の調べによると、このうち公的施設では少なくとも6県6施設が複合災害に対応できない恐れがある。事業を点検した外部有識者から不備を指摘され、事業はいったん廃止と決定。内閣府は新基準を作って継続する方向だが、原子力防災の急場しのぎの実態が浮き彫りになった。(中略)

 

■解説 自治体任せ、転換を

 シェルター化事業で国が改修対象となる施設の選定基準を定めていなかったのは、原子力防災を自治体任せにしている表れだ。国は原子力防災の指針を示し、自治体の避難計画策定を支援はするが、計画内容の審査はしていない。「地域をよく知る自治体が地域の実情に応じて考えるべきだ」という説明を繰り返しているが、その裏には国の責任を曖昧にしようとする意図が見え隠れする。シェルター化事業を事実上委ねられた自治体側は手探りの状態だ。国から対象施設を探すように言われても、そもそも島や半島にあるコンクリート造りの適当な建物は限られている。

 

 また、国は放射線から身を守るためにどんな改修をどのレベルまで施すべきかも示しておらず、自治体からは「窓ガラスが割れたり建物に亀裂が入ったりしないようにするには、どのくらいの地震を想定してどう改修すればいいのか分からない」といった声も上がる。放射線防護の専門知識を必要とする原子力事故対策、さらに他の自然災害との複合災害対策を、体制に限りのある自治体が全て担うのは無理だ。国策で再び原発を動かそうというなら、事故から住民の命や健康を守る防災のあり方に国は責任を負わなければならない。

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(田中一郎コメント)

 このところ、毎日新聞は東京新聞に負けず劣らずの立派な原発報道を続けている。上記もその一つ。この問題については、上記にある「解説 自治体任せ、転換を」がよく書けている。しかし、自治体任せをやめて国がやるようになったとしても、原発の過酷事故から住民を安全に避難させ放射線被曝を回避させる手立てなど、この世には存在しないのだ。それが分かっているから、国は最初から原発避難計画は、「地域のことは地域で」を口実にして、地域に丸投げし、つかみ金を握らせることで、地域の不満や不安を昇華させ、あらぬ方向へと発散させている。しかし、たとえば今回あぶりだされた要介護者の避難施設のように、被害を受けるであろう住民の命や健康のことなど、国は歯牙にもかけていないことが、往々にして赤裸々に出てしまうのである。解決策はただ一つ、原発をきっぱりとやめることである。国の行政をつかさどる政治家や高級官僚たちを全部入れ替えることである。

 

 

4.北海道電 急いだ再値上げ、平均15.33%、2か月半で決定(朝日 2014.10.11

http://digital.asahi.com/articles/ASGBB4Q03GBBULFA01G.html?_requesturl=articles/ASGBB4Q03GBBULFA01G.html&amp;iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASGBB4Q03GBBULFA01G

(朝日新聞の無料ネット会員になると全文を見ることができます:お勧めです)

 

(一部抜粋)

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北海道電力が11月1日から、家庭向け電気料金を再値上げする。小渕優子経済産業相は10日、値上げ幅は申請時から1・7ポイント圧縮して平均15・33%にすると発表した。再値上げが実施されるのは初めて。経産省の審査の「ひな型」ができたことで、検討中の関西電力や、年末に判断する東京電力の動向が次の焦点になる。北海道電は昨年9月に平均7・73%の値上げをしたばかりだが、泊原発3基が再稼働せず、7月に再値上げ申請に踏み切った。

 

 経産省の値上げ審査でチェックするのは51項目。再値上げの場合は、審査を早く終わらせるため、①燃料費②電力の売買費③核燃料の後処理費④事業税の4項目だけになる。実際、今回の審査は、申請から2カ月半で終わった。

 

北海道電は、泊原発の3基が16年3月までに順次動くことを再値上げの前提としているが、再稼働の時期が早まった場合は料金を値下げする。北海道電の審査に注目していたのは東電と関電だ。

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((田中一郎コメント))

 批判的観点がゼロのくだらない記事だ。さすがは朝日新聞、と申し上げておこう。私からは次の3点を指摘しておきたい。

 

(1)北海道を含む地域独占の電力会社の経営が苦しくなっているのは、化石燃料の使用が増えたためではない。その分は発電されて電気代金として収入につながっている。ガン細胞は、いまや「不良債権」となって、何の電気も生まないにもかかわらず、管理費だけが日々数億円以上の規模で「ドブに消えて行くように」失われている原発である。電気を生まない原発にかかるコストまでもを電気代でカバーしようとするから、電気代を上げないとやっていけない、などということになるのだ。話は簡単で、原発を経営から切り離し、それは経営の自己責任で減資等で償却してしまえばいいだけの話だ。それで自己資本が全部吹き飛ぶというのなら、一旦、会社更生法でも申請すればいいのだ。

 

(2)にもかかわらず、北海道電力をはじめ電力各社は、あたかも電気料金値上げが原発再稼働と関係があるかのごとく、事実をまげて言い連ね、電力ユーザーをだましつつ恐喝している。原発を認めないと、更に電気代を引き上げるぞ、というわけだ。これに加担をして、政策的に電気代値上げ・原発早期再稼働のセットで政策展開しているのが経済産業省に代表される今の原子力ムラ代理店政府、それを有権者・国民に大宣伝して回っているのが、上記記事に見られるように、朝日新聞に代表されるマスゴミ諸君である。

 

(3)電気料金値上げは経済産業省と消費者庁がダブルチェックする仕組みだが、上記にもあるように、審査する人間たちが値上げに異議を唱えにくいように、審査の「ひな型」がつくられ、「再値上げの場合は、審査を早く終わらせるため、①燃料費②電力の売買費③核燃料の後処理費④事業税の4項目だけになる」ように「インチキ審査舞台」というか、審査骨抜きスキームというか、出鱈目「てんこ盛り」方式が、既に第1回の電気料金値上げの際に創られてしまっている。原子力ムラ代理店政府の本領は存分に発揮されているのだ。よってもって、北海道電力の次は、関西電力と東京電力だと記事には書かれている。・・・・ざけんじゃねーぞ、このヤロー、さっさと原発をコスト計算から切り離せ、バカタレメ。

 


5.中間貯蔵施設、説明会終了、評価額 地権者の反発強く(日経 2014.10.13

http://www.nikkei.com/markets/company/news/news.aspx?scode=9501&type=2&g=DGXLASDG1200V_12102014CR8000

 

(一部抜粋)

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 東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設を巡り、政府は12日、福島県いわき市で用地の地権者に対する説明会を開いた。この日で全12回の日程は終了。今後は建設予定地の大熊、双葉両町の了解を得て個別の交渉に入る方針だが、土地の評価額などに対する地権者の反発は強く、難航は避けられない見通しだ。

 

 地権者の不満は土地の評価額に集中している。同省は「住宅地で原発事故がなかった場合の5割、山林で同7割」との標準価格を示したが、「少なすぎて自立は無理」(双葉町の男性)、「土地が高騰しているいわき市で以前と同じ広さの家は買えない」(同市に避難する大熊町の女性)など反発する声が噴出した。

 

 同省は「県予算による補填も合わせると10割になる」と説明したが「評価額を5割としたこと自体への反発が非常に強い」(担当者)。

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((田中一郎コメント))

 これもふざけた話である。絶対安全・迷惑はかけないと言っていた原発が火を吹いて、ある日突然、自分の家や土地や田畑や山林が放射能だらけにされてしまった。当然ながら、そんな不動産には買い手がつかないから時価が暴落したが、国は、その時価に将来復興分の値上がり加算を見込んで買取(収用)価額を算定するのだという。その結果が「「住宅地で原発事故がなかった場合の5割、山林で同7割」だという。そんな馬鹿な話があるものか。しかも、その価額を示して買い取る張本人は、福島第1原発事故の加害責任者でもある。いわば、加害者が他人様の財産をめちゃくちゃにしておいて、そのめちゃくちゃにした財産を、価値がないからと安値で買い取ります、と言うのである。こんなもの、誰が見たって聞いたって、筋が通る話ではない。

 

 国の言い訳がこれまた腹立たしい。「県からもらうお金を含めれば、だいたい事故前と同じレベルでしょう」だって。ふざけるなだ。国と県は違う団体だ。他人様である県のポケットに手を突っ込んで、こっちからも出します、なんて、県を何だと思っているのかだ。そもそも事故前と同じレベルであったとしても、住民の住居は中古住宅が多かったし、土地も田畑も山林も田舎の安い土地が大半だから、全額現金でもらっても、他の住める土地が買えるわけではないのだ。つまり、居住地を手放してしまえば「家なき子」になって「難民」になってしまう。だから、売ることなどとてもできないし、売る気もない、こういう人は多いに違いない。

 

 原子力ムラ代理店の国は、完ぺきに福島県の原発事故被害者を馬鹿にしている。経済的に苦しいに違いないから、買いたたいても、しがみついてくるだろう、という「上から目線」の「ゲス」のする見通しの下で、不動産の買収交渉を始めようとしているのだ。それはまるで、日本で最も悪質な暴力団が、さながら汚い手を使い、善良な市民や住民を暴力的に追い払って「地上げ」をしているようなものである。これはもはや「国家犯罪」だ。やめさせよ。

草々

 

 

2014年10月15日 (水)

(報告)南相馬市 特定避難勧奨地点 解除! 汚染地への居住の強要に抗議する集会

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

先週末(10/10)に、参議院議員会館にて、南相馬市の方々が上京しての「南相馬市 特定避難勧奨地点解除! 汚染地への居住の強要に抗議する集会 & 政府交渉」が行われました。放射能にひどく汚染された南相馬市では、多くの地域で除染が進まず、線量が高いままであるにもかかわらず、特定避難勧奨地点解除による賠償・補償の打ち切り=経済的な強制による、被害者住民に対する、汚染地域での居住と放射線被曝の押し付けが始まろうとしています。

 

福島第1原発事故前までは、法律に基づき、一般人については1ミリシーベルトの年間被ばく限度、職業従事者については年間5.2ミリシーベルトを限度に放射線管理区域にするなどの被ばく防護措置が取られておりましたが、原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府は、事故後においては、これらをご都合主義的にご破算とし、何の科学的・実証的・医学的・法的根拠もないまま、年間20ミリシーベルトの被ばく限度を被害者住民に押し付け「100ミリシーベルトまでは大丈夫、ただ、不安になる気持ちは理解できる」などと暴言を吐いています。(仮にそうだとしても、毎年20ミリシーベルトも被ばくすれば、5年もたてば100ミリシーベルトに達してしまいます)

 

集会での説明では、そもそも南相馬市での政府による線量計測が出鱈目で、まるで利益相反行為丸出しの電事連の職員(おそらくはどこかの電力会社の出向職員)がやってきて、自分達が定めた線量測定マニュアルに違反するようなずさんなやり方で線量計測を繰り返し、実際の汚染状況よりもはるかに低い線量をもって「除染が進み線量が下がっている」などと虚偽の報告書をでっちあげ、これをおかしいとする地域住民の異議申し立てや疑問に対しても、まったく返答もしないという、理不尽きわまる対応を行っていることなどが報告されていました。詳細は別添PDFファイル、及び下記URLの当日の録画をご覧ください。

 

集会では、南相馬から来られた方々はもちろん、それを支援するために駆けつけた多くの市民が、政府交渉に出てきた役人たちに対して、厳しい質問や抗議をしていました。しかし、原子力ムラ・放射線ムラのいつもの「馬耳東風」の「習性」のごとく、これらの悲痛とも言える声は彼らの耳には入らず、政府は「特定避難勧奨地点解除」を今月末にも強行しそうな気配です。その狙いは、はっきり言って、賠償・補償の打ち切り=被害者の切り捨てと、放射能の危険性を住民に押し付けた上での「(虚偽の)復興」の「かたちづくり」にあると言えそうです。ほんとうに許しがたいものがあります。

 

全国のみなさま、南相馬市で闘う地域住民の方々に暖かい支援をお願い申し上げます。最後まで、やれる限りのことをしていきましょう。そして、放射能に感受性の高い子どもたちは、放射能汚染の中で暮らす日々から一刻も早く解放し、避難・疎開・移住の上で、新たな生活をスタートできるよう、支援を強めましょう。

 

なお、当日、質疑応答した政府への質問内容は、下記の(2)「特定避難勧奨地点に関する政府の対応について(FoE Japan 満田夏花:20141010日)」に入っています。ご参考にしてください。

 

 <別添PDFファイル>

(1)南相馬市 特定避難勧奨地点 解除! 汚染地への居住の強要に抗議する集会(20141010日)

(2)特定避難勧奨地点に関する政府の対応について(FoE Japan 満田夏花:20141010日)
「rejime_1.pdf」をダウンロード
(3)南相罵市 特定避難勧奨地点の実態(前半)(小澤洋一:20141010日)

「rejime_3.pdf」をダウンロード
(4)南相罵市 特定避難勧奨地点の実態(後半)(小澤洋一:20141010日)

(5)避難勧奨指定月末解除ヘ、南相馬、住民「線量まだ高い」(朝日 2014.10.12

「rejime_2.pdf」をダウンロード
(6)リネン吸着法による大気中の粉塵の放射能調査(青木一政:20141010日)

「rejime_5.pdf」をダウンロード
(7)ふくいち周辺環境放射線モニタリング報告書第1報(表紙のみ)(2014101日)

「rejime_6.pdf」をダウンロード
(8)避難勧奨指定月末解除ヘ、南相馬、住民「線量まだ高い」(朝日 2014.10.12

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11398849.html

 http://www.asahi.com/articles/ASGBC4TS9GBCUGTB002.html

 

 <当日の録画>

(1) 20141010 UPLAN【院内集会・議員会館前抗議行動】南相馬市特定避難勧奨地点解除!汚染地への居住の強要に抗議する集会 - YouTube

http://www.youtube.com/watch?v=vXp28rCA7AM&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

(2) 20141010 UPLAN【無意味なくらい酷い政府交渉】南相馬市特定避難勧奨地点解除!汚染地への居住の強要に抗議する集会 - YouTube

http://www.youtube.com/watch?v=c5Jiqoux75s&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

 <(必見)会場で紹介された画像>

(1)測定の模様・・測定マニュアルを知らない測定員

 http://www.youtube.com/watch?v=__o1RFgjD7w

 

(2)南相馬市の放射線管理区域・・南相馬市長とICRP委員が現地を訪れた

 http://www.youtube.com/watch?v=mtfO2AdSnR0

 

 <参考サイト>

(1)【10・10行動】南相馬市の住民が避難指定解除に反対して国会にやって来ます 福島老朽原発を考える会 (フクロウの会・その他)

 http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2014/10/post-a726.html

http://blog.goo.ne.jp/senkawakazuko/e/b06bd2f58d0a2f9d80bdea725ee9393e

 

(2)夕方からの参議院議員会館前での抗議行動

http://sayonaragenpatsu.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/20141010-95a9.html

 

(3)ふくしま集団疎開裁判(第二次集団疎開裁判が始まっています)

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/

 

(4)「住人vs原子力ムラ YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=4G-yP1bLO6Y

 

<避難指示区域の概念図(経産省HP)>

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/141001/20141001kawauchi_gainenzu.pdf

草々

 

 

2014年10月13日 (月)

東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(9)東電「撤退」、首相本店へ、何を騒いでいるんだ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

東京新聞が9/15よりシリーズで報道し始めた吉田調書(政府事故調による吉田昌郎福島第1原発所長(当時)証言記録)に関する特集記事「調書は語る:吉田昌郎所長の証言」を見ながら、福島第1原発事故の実態とその原因を探ってみたいと思います。第9回目の今日は下記の東京新聞記事です。なお、私のメールでは、このシリーズ特集記事にある、主として吉田昌郎所長証言のあいまいさや、証言から推察される福島第1原発事故深刻化の原因となったであろうことがらを取り上げて、簡単にコメントいたします。

 

 <別添PDFファイル>

● 調書は語る(9):東電「撤退」、首相本店へ、何を騒いでいるんだ(東京 2014.9.25

http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/b34b70e92fa96d337199d2fdf4c18fcf

 

1.東京新聞記事

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十四日夜、東京電力福島第一原発2号機の周辺では放射線量が急上昇した。そのころ、官邸には東電が「撤退」を検討しているとの情報が駆けめぐっていた。翌朝、菅直人首相が東電本店に乗り込む事態に発展した。現場に踏みとどまった吉田昌郎(まさお)所長は聴取で、騒動への怒りを募らせた。(肩書はいずれも当時)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 福島第1原発事故の原因究明やその教訓を明確化させたくない原子力ムラの隠れ代理人のような人たちや、支配権力追従型の愚かな言論人士、あるいは一部のマスごみは、福島第1原発事故における最大の問題が、当時首相だった菅直人氏の一挙手一投足や朝日新聞の吉田調書報道であるかのごとき言論を振りまき、本来のあるべき福島第1原発事故へのアプローチを歪めている(ディスターブしている)ことをまずもって指摘しておきたい。

 

 朝日新聞の経営幹部達の今回の吉田調書報道の否定には大きな疑問を感じるが、しかし、そんなことは二の次の問題であって、福島第1原発事故の問題においては枝葉末節の話である(新聞ジャーナリズムのあり方の問題としてはいろいろ議論の余地はある)。また、菅直人氏の当時の挙動についても、彼個人の問題と言うよりは、総理大臣としての彼を取り巻いていた政府・霞が関の関係者一同の危機管理体制の問題、あるいは事故当事者の東京電力の対応の問題であって、ものごとの本質を総理大臣個人の資質問題にすり替えてはならないのだ。つまり、福島第1原発事故と原発問題の核心部分を、かようなことで見失ってはならないということだ。

 

2.東京新聞記事

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<東電撤退騒動は、後に国会でも大きな論点になった。確かに十四日夜のテレビ会議で、東電は下請け企業の作業員らの退避や、2号機の状況がさらに悪化した場合に備え、退避基準をどうするか議論している。しかし、はっきりしているのは、吉田氏をはじめ必要最小限の要員は現場に残ったことだ。吉田氏がいない所で、東電の清水正孝社長と官邸側とのコミュニケーション不全が、無用の混乱を招いたとみられる>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 上記に書かれていることはその通りなのだが、しかし、「はっきりしているのは、吉田氏をはじめ必要最小限の要員は現場に残ったことだ」に、いかほどの意味があるだろうか。先週号の『週刊金曜日』(2014.10.1)に掲載された伊田浩之氏のレポート「約650人の原発作業員の福島第2原発への退避を吉田所長は知らなかった」には次のような記述がある。

 

「東京電力のホームページによると、2号機については315日の午前720分から午前1120分まで事故の収束作業に不可欠なデータを記録できておらず、1・3号機も同様だった」

 

「そして所員の9割が福島第1を留守にしていた15日午前9時、福島第1正面付近の放射線量が最高値である毎時11.93ミリシーベルトを記録する。原子力資料情報室の伴瑛幸共同代表はこう話す。『100ミリシーベルトの被曝で急性障害がでる領域ですから、とてつもなく高い数字です。2号機近くではもっと高かったでしょうし、さらに有害な中性子線の線量も上がっていたと思います』」

 

 つまり、形だけ少人数の作業員を現場に残しても、ほとんど何の意味もなく、過酷事故を起こした原発は事実上無管理状態となって破綻を速めて行く、ということに他ならない。吉田昌郎所長も東京電力も、こうした少人数を残すことの実質的な意味について重々承知しながら、「残すのだから「撤退」ではなく「退避」だ」と言い張っている。私は、こうした言論は、不誠実に留まらず、事実の歪曲的説明ではないかと思う。

 

 さらに、吉田所長はともかく、東京電力の本社経営幹部達については、吉田昌郎所長の意向も無視して全面撤退を考えていた節がある。当時の清水正孝東京電力社長の、首相官邸や閣僚への説明の仕方がおかしいことに加え(はっきりと「全面撤退ではない」と言っていない)、3月15日午前8時30分の記者会見では、福島第1原発の作業員の大半が福島第2原発に行ってしまっているにもかかわらず「福島第1原発の安全な場所に一時的に移動を開始した」などと説明したり、3/15の事態の推移を東京電力TV会議の録画で検証しようにも、3/15の録画は「録音ミス」で丸丸残っていないなどと、証拠隠滅行為のようなことをしているのである(上記『週刊金曜日』記事より)。

 

 海渡雄一弁護士は次のように推測しているという(上記『週刊金曜日』)。「私の推測では、東京電力最高幹部らは、吉田所長の指示とは別に、70人程度の要員を残し、緊急事故対策にも必要な者を含む650人を福島第2に退避させたのではないか」。

 

 いずれにせよ、誰が福島第1原発の所員を(少なくとも形式上は吉田昌郎所長の指示に反して)福島第2に移動させたのかは不明のままである。しかし、これは調査の仕方次第では判明する話ではないか。

 

 それから「吉田氏がいない所で、東電の清水正孝社長と官邸側とのコミュニケーション不全が、無用の混乱を招いたとみられる」にある、当時の東京電力社長の清水正孝だが、ネット上のウィキペディアには次のように書かれている。

 

●ウィキペディア:清水正孝は慶応大学経済学部卒業の文化系の人間のようです

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%B0%B4%E6%AD%A3%E5%AD%9D

 

3.東京新聞記事

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

吉田昌郎所長「細野(豪志首相補佐官)さんに電話をして、『プラントはものすごい危ない状態です。ぎりぎりです。水が入るか入らないか、賭けるしかないですけれども、やります、ただ、関係ない人は退避させる必要があると考えています。今、そういう準備もしています』という話はしました」

 

(問い)「菅首相が来る前、細野首相補佐官なりに、撤退もあり得ると言ったのか」

 

吉田昌郎所長「全員撤退して身を引くということは言っていませんよ。私は残りますし、当然、操作する人間は残すけれども、最悪のことを考えて、これからいろんな政策を練ってくださいということを申し上げたのと、関係ない人間は退避させますからということを言っただけです」

 

「細野氏にも電話があったが、同じ内容だと思い電話に出なかったという。「海江田さんは完全に撤退すると解釈していた。電話後、海江田さんがそういう話をしていた。(官邸に詰めていた)武黒一郎・東電フェローもしょんぼりして『もう何もできません』みたいな話をした」と説明。政府事故調の質問者が、吉田氏は全員撤退指示を否定していると指摘すると、「吉田さんが言っているのならば信じるが、(当時の官邸は)そうはとっていなかった」と答えている。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 吉田昌郎所長と細野豪志首相補佐官とで言うことが食い違っている。私は吉田昌郎所長の発言の方に信頼を置く。当時、吉田昌郎所長と清水正孝社長の言うことが違うことを細野豪志は知っていたのではないか。知っていたのに、この両者の仲立ちして、どっちが本当なのかを問い詰めず、確認せず、菅直人を含む閣僚のなすがままに任せていたのではないか(無責任)。

 

4.東京新聞記事

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「その時に、私の伝言障害も何のあれもないですが、清水社長が撤退させてくれと菅さんに言ったという話も聞いているんです。それは私が本店の誰かに伝えた話を清水に言った話と、私が細野さんに言った話がどうリンクしているのか分かりませんけれども、そういうダブルのラインで話があって」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 『週刊金曜日』で海渡雄一弁護士もおっしゃっていますが、「そういうダブルのラインで話があって」というのは、東京電力歩車幹部が、現場を無視して、勝手に福島第1原発からの撤退を画策していたということではないかと考えても不思議ではありません。

 

5.東京新聞記事

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<十五日六時ごろ、2号機の炉圧が一気に低下し、衝撃音もした。4号機の原子炉建屋がぼろぼろになっているとの情報も現地対策本部に入った。福島第一からは要員が減った>

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(田中一郎コメント)

 3/15の早朝から正午まで、福島第1原発の2号機と4号機に何があったのか、さっぱりわからない。当日の2号機、4号機の映像もなければ、当日(3/15)の東京電力TV会議の録画もない、というのです。ああそうですか、ですむ話ではないでしょう。何故、ないのか、徹底追及する必要があります。また、2号機の現状・現況が、事故後3年半もたつというのに、未だ全くわからない、現場検証もなされない、などというのは、本当におかしな話、マスコミは何をしているのでしょう? 原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は何をしているのでしょう。おそらく東京電力は隠しごとをしているに違いありません。

 

 3/15 午前6時ごろ 4号機建屋爆発 爆発の原因は何か=3号機からの水素ベントの逆流か、それとも使用済み核燃料プールからの水素か

      同6時10分 2号機の原子炉下部で大きな音、つづいて圧力抑制室の圧力がゼロ(大気圧と同じ)に:何が起きてどうなったか未だに不明 

      午前9時ごろ 4号機建屋で火事(または爆発)⇒ 米軍が消化したというがほんとうか?

      午前11時ごろ 4号機で再び火事、またもや米軍が消化したというがほんとうか?

 

 まず、2号機については、大きな音と言うのはウソで、ベントできなかったというのもウソで、周辺住民に何のアナウンスもせずに、今までのウェットベントとは違い、放射能を猛烈に含んだ炉心気体をそのまま環境に放出するドライベントに成功していた。3/15の東日本の猛烈な放射能汚染は、この秘密裡に行われたドライベントが原因。その証拠に、1・2号機共通のベント管を支える排気棟の周辺が人間の致死量を超える猛烈な放射能汚染の状況にある。また、福島第1原発敷地で観測された放射能の最高値は、爆発音がしたという午前6時過ぎではなく、午前9時過ぎのこと。これも2号機が爆発だったとしたら説明がしにくい話である。東京電力は、これをひたすら隠しに隠している、という説がある。

 

 4号機の爆発の原因や米軍の出動などについては、その真偽も含めて不明のまま。

 

6.東京新聞記事

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「官邸側の各氏の証言に共通しているのは、事故発生当初から東電からは十分情報が来ず、いらいらが募り不信感を強めていた点。また、2号機の危機は、それまでよりずっと深刻だと受け止め、緊張が頂点に達していたこともうかがえる。」

 

「「撤退」騒動は、官邸と東電の意思疎通がうまくいかない中、清水氏のあいまいな電話を発端とする誤解の連鎖が引き起こしたとみられる。騒動をきっかけとして、東電本店内に政府と東電の統合対策本部が設置された。東電に任せきりにしない仕組みができたが、高濃度汚染水問題をはじめ福島第一の事故収束にはほど遠い。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 どうみても東京電力本社と首相官邸の間で情報の共有化などはできていないことは明確。菅直人元首相が東京電力本社へ乗り込んだことも適切な判断、というよりは、やむを得ない判断だったと思われる。東京電力の事故直後の振る舞いには、何の正当性も感じられない。こういう会社に、もはや柏崎刈羽原発など、所管させるわけにはいかないのではないか。

 

 <最後に>

 再び、上記『週刊金曜日』に書かれている重要な指摘を3つばかりご紹介しておきたい。みなさまには、ぜひ、『週刊金曜日』(2014.10.10)を購入の上、お読みいただければと思う次第である。

 

(1)「理由は分からないが。福島第1正門付近の放射線量は正午ごろから下がり始める。このため、作業に必要不可欠な要員を少しずつ呼び戻すことができ、必死の冷却作業が続いた」

 

 ⇒(田中一郎)つまり、福島第1原発事故が何故収束に向かったのかの理由は未だにわかっていない、ということである。まさに「神風」なのか?。しかし、この「神風」は地獄からの「神風」になりそうな気配である。何故なら、日本を支配する愚かもの達が、再び、福島第1原発事故の原因もわからぬままに、軽率にも原発の再稼働を始めようとしているからだ。

 

(2)原発に深刻な事故が起きれば、指揮命令系統は混乱し所長にも把握不可能な事態が生じる。

 

 ⇒(田中一郎)それだけにとどまらない。福島第1原発事故の場合には、いわゆる最悪事態は、かろうじて、訳は分からないけれども、回避された。しかし、次回勃発する原発・核燃料施設の過酷事故ではそうはいかないだろう。福島第1原発事故を上回る超過酷事故となり、現場を含めて日本は阿鼻叫喚の海に沈むことになる。愚かな原発再稼働はやめることだ。

 

(3)大勢の作業員が命をかけなければならない状況は杞憂ではなく、命をかけたとしても事故収束の保障はない、ということである。労働者には「逃げる権利」もある。

 

 ⇒(田中一郎)原発・核燃料施設過酷事故の際には、現場作業員が命をかけるのではなく、電力会社幹部・原子炉メーカー・政府・経済産業省・文部科学省の幹部、原発推進の政治家たち・原子力ムラ御用学者たちが事故現場にやってきて、主に作業員の指示に従って単純作業に従事すればよい。そういう法律を制定しておけばよい。そうすることで、原発・核燃料施設は簡単に停止・廃棄することができるように思う。何故なら、原発は「差別」の上に成り立つものだからだ。

草々

 

2014年10月12日 (日)

(九州電力他)地域独占の電力会社による再エネ買取拒否は意図的なエネルギー改革サボタージュの反国民的暴挙です:発送電分離を「所有分離」で徹底させましょう

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 九州電力をはじめ、複数の地域独占の電力会社による自然再生可能エネルギー買取の突然の一方的中断に、各方面より反発が広がっています。別添PDFファイルはその関連記事です。今回のことは、地域独占に胡坐をかいた大手電力会社の、ユーザー無視の「上から目線」の従来型行動様式のなせる技であり、また、背後では監督官庁の経済産業省の「やる気のなさ」とつながって「暗黙の共鳴」をしている、許しがたい電力業界・経済産業省の反国民的態度を示すものです。

 

 地域独占の電力会社と、腐った不遜な霞が関官庁=経済産業省という「ワル・ワル コンビ」は、かつての大蔵省と同様に、早急に解体・解消させ、いわゆる一般国民・電力消費者のための)「電力の自由化」を完全な形で実現させましょう。具体的には、今進められているような「形だけの自由化」(地域独占の電力会社の支配や好き勝手が続く)にするのではなく、「所有分離」による徹底した発送電分離を実現させ、送配電を国民的公的管理下に置くのです。また、巨大な地域独占の電力会社は複数に分割・解体し、市場支配を許さない業界の構造をつくっておきましょう。あるいは、既に報道されているように、原発だけを電力の価格競争の埒外に置いて政策的に救済するような「ワル・ワル コンビ」の我田引水丸出しの「原発温存政策」には、断固とした「NO!」を突きつけましょう。

 

 <別添PDFファイル>

(1)再エネに冷や水浴びせる電力会社の“契約中断”(週刊東洋経済 2014.10.11

(2)九電 再生エネ購入中断(東京 2014.9.25夕刊 他)

(3)再生エネ 受け入れ制限なぜ、価格改定など制度不備響く(東京 2014.9.27

(4)再エネ買い取り中断、北海道・東北・四国電も(東京 2014.9.30夕刊 他)

(5)再生エネ 新規買い取り中断 自治体・業者、広がる反発他(朝日 2014.10.9 他)

 

 <関連サイト>

(1)東京新聞 九州電力 ⇒ 北電、東北電、関西電力、四国電、東京電力へ広がる

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092502100014.html

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014093002000269.html

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014100190071001.html http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014100202000183.html

 

(2)東京新聞こちら特報部:再生エネ 受け入れ制限なぜ 送電網、蓄電池など壁 No Nukes 原発ゼロ

 http://no-nukes.blog.jp/archives/7870198.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014092702000168.html

 

(3)東京新聞 経産省「把握甘かった」 再生エネ中断 無責任体質鮮明電力・節電(TOKYO Web) 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/scheduledstop/list/CK2014101102100004.html

 

(4)東京新聞 最大級発電所、愛知に完成 太陽光+風力で弱点克服電力・節電(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/scheduledstop/list/CK2014100902100010.html

 

(5)朝日新聞 自治体・業者、広がる反発 再生エネの新規買い取り中断

http://haredasu.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-e1ef.html

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11393007.html?_requesturl=articles%2FDA3S11393007.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11393007

 

 <田中一郎コメント>

 別添PDFファイル(1)の「再エネに冷や水浴びせる電力会社の“契約中断”」の週刊東洋経済(2014.10.1)の記事がよくまとまっていますので、それを若干、下記にご紹介してみます。

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(前略)九電によれば、今年3月だけで、FITの買い取り単価引き下げ直前の駆け込みもあり、従来の1年分に匹敵する、約7万件の太陽光の接続契約申し込みが殺到。詳細を確認した結果、7月末までの申し込みの全量が接続された場合、総量はは春・秋の昼間の電力需要約800万KWを上回る。契約申し込み前の設備認定分も合わせると、夏のピーク需要約1600万KWをも越えるという。

 

電力を安定供給するには、需要と供給を常時一致させる必要がある。もし、太陽光を含む発電の供給が需姿を大きく上回れば、周波数が上昇、場合によっては自動的に発電機が停止し、大規模停電が発生するおそれがあるというのが、電力会社の回答保留の理由だ。太陽光は夜間に発電できず、昼間でも晴天から雨に変わると発電量が急減する。安定供給には太陽光以外の電源が不可欠とも強調する。

 

今後は再エネの受け入れ可能量を数カ月かけて見極める方針。結果的に受け入れ拒否となる事業者が多数出る可能性がある。FIT法では、電気の円滑な供給確保に支障の生ずるおそれがあれば、受け入れを拒める。事業者の損害を補償する義務もない。だが問題は電力会社が再エネの受け入れ可能量を増やすための対策だ。

 

(中略)

 

そもそも今回の回答保留には疑問点も多い。一つには、接続申請が集中した3月から今回の発表まで、約半年もかかったことだ。電力側は、申し込み内容の詳細確認に時間がかかったというが、もっと早くできなかったのか。

 

また九電の場合、7月末の再生エネの設備認定容量(政府認可)は1900万KWに及ぶが、導入容量(運転開始済み)は400万KW弱にすぎない。「この状態で唐突に回答を保留することは、通常のビジネス常識では考えられない」(大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長)。気になるのが原子力発電との関係だ。事業者からも「川内原発が再稼働するから再エネの枠が減ったのでは」との質問が出た。

 

(中略)

 

この点はまさに再エネに対する、国としての姿勢が問われる。欧州では再エネの優先給電が欧州連合(EU)指令で義務づけられ、再エネの出力を抑制する前に、火力や原子力を抑制しなければならない。。結果としてベースロード電源が消滅に向かっているともいわれる。

 

もちろん、電力系統の安定が大前提ではあるが、日本はまだFIT法によっても、再エネの優先義務が徹底されていない。電力会社にとっては「厄介な代物」との意識が根強く、受け入れ対策も後手後手の印象が強い。

 

「系統接続に厳しさがあり、受け入れ容量拡大が必要なことは、FIT開始前からわかっていたはず。揚水発電の設備利用率は低く、連係線を通じた他地域への供給もあまり行われていない。本当に受け入れ枠はいっぱいなのか」と、高橋洋・富士通総研主任研究員は疑問を投げる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

原発再稼働に邁進しながら、法律で義務化された自然再生可能エネルギーは買い取れません、はないでしょう。今までたくさんの時間があったのに、原発再稼働にうつつを抜かして、再生エネのスムーズな買取のための準備や設備対応をしてこなかったのだし、また、買取価格や適格業者の審査をしている政府との段取り適正化のための情報交換や打ち合わせなどを、全くと言っていいほどしてこなかったために、こんなことになっているのです。「混乱」に乗じて自然再生可能エネルギー買取制度をとん挫させてしまおうという、まるで未必の故意による「ショック・ドクトリン」です。

 

九州電力が声明を出したとたんに、われもわれもと他の地域独占の電力会社が、同じように名乗り出てくるのも全くいただけません。おそらくは、裏で地域独占の電力会社各社や経済産業省の間で「示し合わせ」ておいて、再生エネ買取拒否の公表のタイミングを見計らっていたに違いありません。要は彼らには、最初から自然再生可能エネルギーを大きく育てて行こうという意思がないのであり、そのことが国民的な合意事項であり、未来への必要不可欠な投資であっても、それを妨害してはばからないという、彼らの断固たる反国民性・反動性を示すものに他ならないと思います。

 

今回の事態は、いかに法律に責任なしと書かれていようとも、その運営の仕方の不十分・信義則違反として、地域独占の電力会社の責任で、この事態に伴う再生エネ業者の損失を弁償させる必要があると思われます。いくら法律に、やむを得ない場合には「再生エネの買取を拒否できる」と書かれていても、だからどんなやり方でもいい、ということにはならないでしょう(そうしないと、また、このような悪質な意図的サボタージュを電力会社がやるにちがいないからです。ロクでもないもの(地域独占の電力会社)には、少し「お灸」をすえておく必要があります)。法的な権限は、最大限の努力の上に適切に運営されて初めて保障されるものであり、公共の福祉や国の大きな方針に反して、私的な思惑や勝手な方針で権限を濫用されては、たまったものではないからです。現代社会における電力の送配電網が持つ「公共性」について、これらの地域独占の電力会社は、全くの認識不足と言わざるを得ません、

 

また、上記の記事にある「全量を買い取った場合、「管内の電力需要を上回る時間帯や季節が生じる可能性があり、大規模な停電を起こす恐れがある」という。」(このため、今後の対応方針が決まるまで「数カ月間」は受け入れ可否の回答を保留することにした。)も、嘘八百か、言い過ぎの誇大広告である可能性が高いと思われます。自然再生可能エネルギーの普及は、何も日本だけの専売特許ではなく、欧州(EU)各国をはじめ、全世界で広がり、活発な設備投資がなされていますが。今回我が国で起きたようなことは、いずこにおいても起きていないのですから(そして、日本よりも、はるかに再生エネの割合は高い)、今回のことは、どこかがおかしいということです。

 

上記の週刊東洋経済の記事にもあるように「九電の場合、7月末の再生エネの設備認定容量(政府認可)は1900万KWに及ぶが、導入容量(運転開始済み)は400万KW弱にすぎない。「この状態で唐突に回答を保留することは、通常のビジネス常識では考えられない」(大林ミカ・自然エネルギー財団事業局長)」のであり、他の地域独占の電力会社の場合もまた同じです。下記にも申し上げるように、揚水発電の設備利用率の引揚、連係線を通じた他地域への電力供給、メガソーラーなどへの蓄電池用意の義務付け、他の安定的な自然再生可能エネルギー(例:風量やバイオマスなど)との組み合わせ、オンサイト型発電によるエネルギーの地産地消(配電網新設がほとんど不要)、火力発電その他による電力の調整などなど、多くの方法で、こうした事態を克服する努力がなされるべきですが、そうしたことを各電力会社がしている様子はうかがえません。

 

それから、こうした事態が起きるのは、依然として地域独占の電力会社が電力の送配電網を所有しているから起きることだろうと思われます。要するに、送配電網を支配して、それを楯に自分達の好き勝手を他者に押し付けているということです。私的独占のなせる悪弊の典型事例と言っていいでしょう。既に示されている「電力自由化」のシナリオでは、配電網は引き続き地域独占の電力会社の支配下に置かれることになってますが、これがよろしくないのです。今回の電力会社によるインチキで傲慢な自然再生可能エネルギーの買取拒否を契機に、送配電網を公的な機関に移す、いわゆる「所有分離」方式の電力自由化を、法律改正で決めてしまう必要が出てきました。かような出鱈目の再発防止には、それしかありません。

 

 <地域独占の自然再生可能エネルギー買取拒否に異議あり!!>

a.電力の供給が需要を上回れば大規模停電になる??? そんな馬鹿な話があるか!!

 

b.自然再生可能エネルギーの供給が天候に左右され、供給量の上下変動が激しいので、電力需要に対してマッチングさせるのが難しい、というのなら理解できる。しかし、それは、電力の調整問題であって、マスごみが電力会社から言われるがままに垂れ流しているようなことではないはず。

 

c.一例として挙げておけば、今現在、自然再生可能エネルギーとして申請されている新規発電の電力量の大半は「メガ・ソーラー」である。私はメガ・ソーラーの大半は「自然再生可能エネルギー」とは認めがたい、旧態依然の「重厚長大型・エネルギー無尽蔵消費型施設」と考えていて、今回のことを契機に、いくつかはスクラップされた方がいい、と思っているが、しかし、それはともかく、こうした大型の「メガソーラー」については、供給量を安定化させる蓄電池設置の義務化や、他の安定した自然再生可能エネルギー発電との組み合わせ、あるいは電力消費のオンサイト化(短い配電網設置により、発電した場所で電力を消費する)などで対応できるはず。

 

d.また、上記以外にも、揚水発電の設備利用率の引揚、連係線を通じた他地域への電力供給網の不断の拡充、電力消費予測のシェイプアップや電力供給調整の能力向上(電力会社外の発電設備の活用など)、電力消費者への安定消費への協力要請・そのための電力料金制度改定(ピーク電力のカット)などなど、さまざまな電力の受給マッチング対策が考えられる。こうしたことを、経済産業省や電力会社は、不断に継続的に努力を続けて行く必要があるはずだ。また、自然再生可能エネルギーの不安定性を巡る事情は海外でも同じなので、海外の自然再生可能エネルギー先進国の経験や教訓を活かすことも有効だろう。

 

e.自然再生可能エネルギーのうち、新時代を切り開く可能性を持ったものを優先せよ(地産地消地象型でコジェネタイプなど:「地象」とは、その土地土地を象徴・代表する発電設備という意味、たとえば、畜産酪農地帯では、牛のフンのバイオマス発電など)

 

f,既に言われているが、地域独占の電力会社間の連携線(系統配電線)がいつまでたっても拡充されていない ⇒ 法律で義務化し(期限を切った計画的拡充とコスト負担原則など)、原子力や再処理に投入されている税金をすべてこちらに振り替えよ。福島県だけ、ご機嫌とり政治で、蓄電池補助金をアップします(小渕経済産業相)などは、やることサイテー の施策だ。

 

g.下記のような、経済的にも合理性のない、価格競争力もない、本来は淘汰されていくべき原発を人為的に温存するようなグロテスクなまでに愚かな政策はやめよ。原発安価などというハッタリは、原発安全神話とともに、「神話」という嘘八百であったことが、これで明らかとなった。政治は下らぬ口出しをやめよ。

 

● 原発電気 国が赤字穴埋め提案 「割高」を認識? (東京新聞:こちら特報部) 赤かぶ

 http://asyura.com/14/genpatu40/msg/162.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014082702000156.html

 

h.それから、東京新聞のような原発・原子力に対して厳しい姿勢で報道を続けている新聞などでも、まだ、次のような「誤り」を平然と1面のトップ記事に書いている。マスコミの各社は、社内で原発のコストに関する「誤」認識を、もういい加減に改めて記者達に周知徹底してもらえないものかと思う。

 

(東京新聞は、下記の2つの自分自身の記事の矛盾=正反対のことを報じている矛盾に早く気付き、前者の「(再生エネ)発電コストは原子力より高い」という「政府によれば・・・・」報道をおやめいただきたい。原発のコストはべらぼうに高いものだ、というのは、もはや明確になってきているはずです。

 

● 東京新聞 九電、再生エネ購入中断 企業は多額投資 自治体も推進経済(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014092502100014.html

 

(上記記事の一番最後の部分を抜粋)

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<再生可能エネルギー> 太陽光や風力、水力などで生まれるエネルギーを指す。石油などを燃やす火力発電、ウランを燃料とする原発と異なり、資源が枯渇せず繰り返し使えるのが特徴。地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)の排出量も極めて少ない。ただ、政府によると、発電コストは火力や原子力より高い。政府は2012年、電力会社が再生エネによる電気を買い取る制度を義務化、普及を後押ししている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

● 東京新聞 原発電力は風力より高い、米試算 太陽光発電と同レベル社会(TOKYO Web)

 

 

https://socialnews.rakuten.co.jp/link/374692

 

(参考サイト)

(1)九州電力の再生可能エネルギー接続保留に対し声明を発表|日本での地球温暖化防止|WWFジャパン

 http://www.wwf.or.jp/activities/2014/10/1226303.html

 

(2)和田武さんの講演「温暖化防止・脱原発・再生可能エネルギー普及による持続可能な社会への道」 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=8mh3DgkZ9rM&feature=youtu.be

草々

 

(報告)住宅支援と健康調査に関するシンポジウム・政府交渉(10/8:「子ども被災者支援法」)

前略,田中一郎です。

 

さる10/8(水)に参議院議員会館で「住宅支援と健康調査に関するシンポジウム・政府交渉」が開催されました。別添PDFファイルは、その際に会場参加者に配布された資料です。以下、簡単にご報告いたします。

 

 <別添PDFファイル>

(1)原発事故被災者に係る生活・住宅支援、健康診断及び健康影響調査、医療支援を求める要請書(2014108日)+「案内チラシ」

「rejime1_youseisyo.pdf」をダウンロード

(2)住宅支援と健康調査・医療支援に関する新法の制定をめざして(海渡雄一弁護士:2014 10 8

「rejime2_kaito.pdf」をダウンロード

(3)避難者に対する自治体の支援策及び住宅問題等に関する調査(中山均氏 2014 10 8)」

「rejime3_nakayama.pdf」をダウンロード

 <イベント案内>

● 子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク 情報ブログ 10-8(水)「原発事故子ども・被災者支援法ー住宅支援と健康調査に関するシンポジウム&政府交渉」/東京

 http://kodomozenkoku-news.blogspot.jp/2014/09/108.html

 

 <録画:ユーチューブ>

(1) 20141008 UPLAN【第1部・シンポジウム】原発事故・子ども被災者支援法 住宅支援と健康調査に関するシンポジウム・政府交渉 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=9S1xALof7tY

(2) 20141008 UPLAN【第2部・酷い政府交渉】原発事故・子ども被災者支援法 住宅支援と健康調査に関するシンポジウム・政府交渉 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=ARnTpz0jz_I

(3)住宅支援と健康調査の政府交渉~子ども被災者支援法 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1838

 

 <参考>

(1)「子ども被災者支援法」

 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H24/H24HO048.html

(2)こども いのち: #子ども被災者支援法 ブログ

 http://blog.kodomoinochi.net/

(3)支援法とは SAFLAN 福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク

 http://www.saflan.jp/law

(4)10-8 原発事故・子ども被災者支援法 住宅支援と健康調査に関するシンポジウム・政府交渉 ナカヤマヒトシ通信

 http://green.ap.teacup.com/nakayama/793.html

(5)祐児三輪 さんのアップロード動画 - YouTube

 https://www.youtube.com/playlist?list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

みなさま、ご承知の通り、福島第1原発事故の加害者・東京電力は言うまでもありませんが、原発事故について重大な責任のある政府や福島県庁、更には一部の市町村・基礎自治体などの政治や行政の、原発事故被害者への対応はひどいものがあります。被害者が放射能による被ばくを避けて、生業・家業や仕事、生活や居住や学校生活、あるいは人間関係や精神的な安定回復など、およそ被害・被災から立ち直るために当然なされてしかるべきことが、最も基本中の基本である賠償・補償をはじめとして、「子ども被災者支援法」という立派な法律にうたわれた「法定事項」でさえもがないがしろにされ、棚上げにされ、足蹴りにされ、遅々として進んでおりません。

 

一方では、原子力安全神話に代わる放射線安全神話を御用学者を中心に、政府・自治体・国際原子力マフィア・マスごみらが一体となって「広宣流布」につとめ、放射線防護や被ばく医療のためのなすべきことをせぬままに、日々、無内容ないしは虚偽の安全安心キャンペーンを繰り広げている現状にあります。福島県だけでなく、東日本の放射能汚染地帯一体に広がって居住を余儀なくされている被害者の方々は、もう我慢の限界に来ています。先般は、飯館村村民の7~8割の人達が、この状況に耐えかねて、怒りの告発・損害賠償請求に立ち上がられることが伝えられています。

 

今回の集会は、主として「子ども被災者支援法」に定められた「住宅の確保」と「被ばくに関する健康調査や医療」を中心に、現状における被害者救済の行政措置の抜本見直しや、被害者の声をしっかり聞く・施策に反映させるなどの「救済の進め方」の見直しなど、「子ども被災者支援法」の精神に舞い戻って、その基本方針の抜本見直しや、新たな被害者救済立法を求めるために開催されました。

 

別添PDFファイルの「原発事故被災者に係る生活・住宅支援、健康診断及び健康影響調査、医療支援を求める要請書」は、まさにこの集会の主旨をコンパクトに適切に記載しており、みなさまには、ぜひとも目を通していただきたいものです。私は、ここに書かれていることに目を通し、これらはまさに、福島第1原発事故の被害者の(加害者・東京電力や事故責任者・国による被害者救済措置の出鱈目に対する)悲痛の叫び・抗議の声明であり、また、心の底からの怒り・憤りと、かくの通りせよ、という強い要請であり意思表示であると受け止めました。そして、この要請書の背後には、様々な事情でこの集会に来ることのできなかった、それはそれはたくさんの被害者の方々の悲しみ・苦しみ・苦難と未来への希望を返せという、訴えがあるのだと感じました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、当日は、主催者が招いた2人の方より、上記別添PDFファイルにある報告がなされています。この2つも、みなさまには必見していただきたい、タイムリーで核心的ですぐれた内容であり、まさにGOOD JOBなのです。

 

そのうちの一つは、海渡雄一弁護士による「住宅支援と健康調査・医療支援に関する新法の制定をめざして」という、被害者救済を求める(政府の責任を明確にした)新法の制定運動への支援の呼びかけです。原発事故の被害は、他の天災被害からの復旧・復興のように、いずれ時間が経過すれば成就していくというものではなく、放射能汚染という事故後においても、事故が半永久的に続いていくような、取り返しのつかない悲惨な事態が継続していきます。今の政府や一部自治体は、それを承知の上で猛烈な放射能汚染の中で、住民に「我慢して居住を続けろ」とばかりに、被害者を「兵糧攻め」にし、放射線被曝を強要しています。しかし、そんな出鱈目な人権蹂躙のようなことは許されるはずもありません。日本の政治や行政を一刻も早く正常なものに転換させ、海渡雄一弁護士がおっしゃるように、遅れている被害者救済の法的なしっかりとした対策や措置を、追加的に拡充させながら実施していく必要があるのです。

 

私は、海渡雄一弁護士のご説明を聞いて、これまで日本の法曹界や司法が携わり解釈してきた「損害の賠償や補償」の考え方が、より被害者に近づき、根本的に変わりつつあるのではないかと感じました。もし、海渡雄一氏が説明することが実現していくならば、日本の法律も、その運用も、より有権者・市民や被害者に寄り添う、その権利を守ることを第一義にする、よりよき「法の風土」が出来上がってくるだろうな、と思いました。

 

しかし、私は、まだそれでも、原発事故と言う未曽有で地獄のような苦しみに被害者を陥れる悲惨な事態(=重大なる犯罪行為)からの被害者救済のあり方として、不十分さを払拭できなかったので、当日、会場では「日本の法律界の賠償・補償の考え方を、徹底して被害者の立場に立つ、これまでの考え方を180度転換するものに変えることはできないのでしょうか」と質問いたしました、海渡雄一弁護士の回答はとても適切なもので、詳しくは上記録画をご覧下さい(海渡雄一さんには私の無礼を何卒ご容赦いただきたくお詫び申し上げます)。

 

私は、今進められているような賠償・補償のあり方=加害者・原子力ムラ総本山の文部科学省が黒子として背後にあって、原子力損害賠償紛争審査会や原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)を取り仕切り、被害者への賠償・補償を切り捨てるか、最低限以下に切り詰めるよう暗躍し、その方法として、たとえば、慰謝料(精神的被害賠償)の基準に交通事故の自賠責を使うだの、被害者の財産を個々別々につまみ上げては、時価評価して現金金額を切り詰めるとか、そうした屁理屈の体系としての現在の賠償・補償の「基準」なるものに猛烈な怒りを感じています。賠償・補償は、一からやり直せ、というのが基本ではないかと思っているのです。もちろん、賠償・補償を受けるべき方々は、すべての被害者であり、避難区域の方々だけが賠償・補償を受ければいいというものではありません。

 

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もう一つの報告は、「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟 福島原発震災情報連絡センターの中山均さん(新潟市議会議員)が、多くの方々の協力を得ながらおまとめになった「避難者に対する自治体の支援策及び住宅問題等に関する調査」の報告です。この内容は、被害者のためにも貴重なもので、まさに時宣を得たGOOD JOBでした。別添PDFファイルを、中山さんの説明文章とともに、ご覧いただきたいと思います。

 

特筆すべきは、政府が福島県庁を経由して補助金を交付している事業だけでなく、全国の各自治体独自の判断で避難する被害者を救済している事業があり、これが福島第1原発事故後3年半を経て、そろそろ危なくなっているという点です。また、一覧表の最後には、自治体による「保養支援」(放射線被曝回避)の現状も付記されています。まだまだ「保養」や「避難・疎開・移住」の公的支援が絶対的に不十分である様子が見て取れます。

 

中山さんのご説明では、今回の東京都の自治体の状況だけでなく、千葉県についても調査を進めていて、追って公表をします、ということでした。ぜひ、今回の資料と併せてネット上に公開していただいて、多くの方々に役立てていただければと思います。

 

最後に、福島第1原発事故の被害者の方々に、住宅支援、健康調査と被曝医療の十分な無償提供、そして「子ども被災者支援法」のあり方の改善・基本方針抜本見直しや新たな被害者救済立法を含む、被害者救済の法的・行政的措置の拡充を求めて、みなさまにご支援を訴えたいと思います。

草々

 

 <私・田中一郎 の考える被害者救済のあり方>

● 賠償・補償・再建支援:5原則+α(同時代に生きる人間としての使命・倫ここ理)

 賠償・補償・再建支援が全く不十分で出鱈目=21世紀最大の人権侵害事件

 賠償・補償・再建支援がきちんとならないと被害者はいつまでも救われない

 

(1)全ての被害者の全ての被害・損害が何の留保条件を付けられることなく全額賠償または原状復帰されること(逸失利益含む)

(2)全ての被害者の生活及び経営が再建されること(費用,段取り,その他の負担のすべてを加害者が負うこと)

(3)上記(2)の再建が確認できるまでの間,全ての被害者の生活及び経営を補償すること

(4)2011311日以降,上記の賠償・補償・再建費用が実払いされるまでの間,電気料金遅延にかかる「遅延損害金」と同利率(10%)の「遅延損害金」が被害者に支払われること

(5)悪質な交通事故被害の場合以上の慰謝料(迷惑料)が被害者に支払われること

(6)(+α)被害者の被害は「お金」に変えられないものも多い。その部分を加害者・東京電力(及び原発メーカー)や事故責任者・国が万全にフォローすること

 

 加害者・東京電力や事故責任者・国は、まず真っ先に、被害者の完全救済を行え。すべてのことは、それからのことだ。これまで原発を容認してきた日本の有権者・国民は、この被害者の完全救済のために、いかほどの公的資金が必要になろうとも、それを覚悟すべきである。放射能に汚染された飲食物を買って食べる覚悟など、必要ない。そんなことは、放射能汚染物を食べた人が内部被曝によって健康を害したり遺伝的障害を生じたりする危険性を背負うだけでなく、加害者・東京電力や事故責任者・国の賠償・補償責任をあいまいにして、ゆくゆくは被害者切り捨てにつながる愚行である。そもそも、厚生労働省の定める食べものに関する放射能残留規制には、科学的実証的根拠などなく、とても安全だなどと言える代物ではない。

 

 繰り返す。加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の被害者の完全救済のため、直ちに賠償・補償を万全に行え。

 

2014年10月11日 (土)

本日(10/11)のいろいろ情報(メール転送含む) (1)西尾正道氏更なる新著、(2)ネット署名:福井県の原発、(3)この2人は弁護士か、はたまた映画監督か:怪人二十面相?、(4)放射能って、何? 他

前略,田中一郎です。

本日(10/11:土)のいろいろ情報です(メール転送含む)。

 

盛りだくさんですが、重要情報ばかりです。

目を通していただきますよう、心よりお願い申し上げます。

 

1.西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長の更なる新著

 西尾先生の精力的な執筆第2弾です。また、下記の既刊新著の「自著紹介」も必読の文章です。今日の日本の社会問題が原発・被ばく以外も含めてコンパクトに解説されています。ぜひ、ご一読を。(別添PDFファイル)

 

(1)(新著第2弾)『被ばく列島 放射線医療と原子炉』(角川oneテーマ21 D-46:小出裕章/西尾正道 著)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033163383&Action_id=121&Sza_id=C0

 

(2)(既刊新著)『がん患者3万人と向きあった医師が語る正直ながんのはなし 賢く生きるために知っておきたい放射線の光と影』(旬報社:西尾正道 著)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033134316&Action_id=121&Sza_id=E1


(別添PDFファイルの自著紹介をご覧下さい)

「nishio_jityosyoukai.pdf」をダウンロード

 

2.(メール転送です)ネット署名:福井県民署名サイト 20154月の福井県知事選の前に、西川一誠福井県知事にお願い! みんなの暮らしと自然を守りたいから、安全性の十分でない原子力発電所の再稼働を認めないでください。

 http://fukui.jpn.org/

 

(参考)大飯原発差し止め訴訟 福井から原発を止める裁判の会

 http://adieunpp.com/

 

3.(メール転送です)この2人は弁護士か、はたまた映画監督か:怪人二十面相?

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河合弘之弁護士 監督作品 映画【日本と原発】 -私たちは原発で幸せですか-

http://www.nihontogenpatsu.com/

 

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弁護士河合弘之 初監督作品

脱原発の先頭に立つ弁護士が裁判闘争の限界を打破するために、あえて世に問う日本の原発のすべて!( @K_Pro_2014

 

監督:弁護士 河合弘之  構成:弁護士 海渡雄一

 

この映画は、弁護士河合弘之と盟友弁護士海渡雄一、訴訟を共に闘う木村結の3人が多くの関係者、有識者にインタビュー取材を行い、現地での情報収集や報道資料等を基に事故に巻き込まれた人々の苦しみ、原発事故を引き起こした背景、改善されない規制基準、エネルギー政策のウソと真実を追求したドキュメンタリー映画である。

 

*****

◆予告編(Youtube 2分)

http://buff.ly/1ugMd5o

 

◆上映会場

シネマート六本木(港区六本木3-8-15

SCREEN 4(3階)> 150


交通 大江戸線 六本木駅5番出口より徒歩2

日比谷線 六本木駅3番出口より徒歩4

http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/info/index.html#access

 

◆上映日時

11/08(土) 1900

11/09(日) 1900

11/15(土) 1400~、1630~、1900

11/16(日) 1400~、1630~、1900

11/22(土) 1900

11/23(日) 1900

11/24(月) 1900

11/25(火) 1900

11/26(水) 1900

11/27(木) 1900

11/28(金) 1900

 

◆当日券・前売り券とも

一般:1,500円、シニア・大学生:1,000円、高校生以下:500

監督:河合弘之 構成:海渡雄一 制作協力:木村結 音楽:新垣隆

製作:Kプロジェクト

公式サイトhttp://www.nihontogenpatsu.com/

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4.放射能って、何?

 http://m-epoch.com/houshanoukihon/20141004-12houshanouttenani.pdf

(三原翠さんの、とてもわかりやすい、よくできた初心者向けの「放射能解説レジメ」です)

 

5.(メール転送です)たんぽぽ舎MG 広瀬隆さんより

┏┓

┗■1.全国のみなさま、今朝の東京新聞です・・・広瀬隆

 │ 川内原発の「住民説明会」、圧倒的に再稼働反対の意見続出、しかし、質問は短時間で打ち切りの暴挙!!!

 └────(広瀬隆)

 

全国のみなさま  広瀬隆です

 昨日、薩摩川内市で川内原発再稼働に関する官製説明会が開かれました。 これまで聞いていた話では、参加住民の多くは、九州電力側の動員だというので、再稼働容認のセレモニーに終るだろうと予想していたのですが、今朝の東京新聞によると、その正反対の結果となりました(添付ファイル)。圧倒的に再稼働反対の意見が続出したのです。しかし予定通り、質問は短時間で打ち切り、という暴挙です。 住民の賛同は、まったく得られていない!

 

朝日新聞には、どこにもその報道がナシ。毎日新聞は、下記のようです。

 

鹿児島・川内原発:地元説明 再稼働、同意手続き開始│毎日新聞 20141010日 東京朝刊

 

全国の原発の中で初めて国の新規制基準に適合した九州電力川内(せんだい│)原発が立地する鹿児島県薩摩川内市で9日、地元住民説明会が初めて開かれ、原子力規制庁の担当者が適合理由などを説明した。説明会は15日まで周辺5市町で順次開催され、伊藤祐一郎知事は年内に再稼働の可否を判断する見込み。再稼働に必要な地元同意手続きが本格的に始まったが、初日から再稼働反対の声が相次ぎ、住民の理解を得る難しさを表した。県と市の共催で、定員を上回る約1350人の応募があり、抽選で約1100人が参加。会場の川内文化ホールの他、市内48地区のコミュニティーセンターで│もテレビ中継された。

 

 原子力規制庁の市村知也・安全規制管理官は、九電による川内原発の地震や津波、火山、重大事故への安全対策が、福島第1原発事故後の新規制基準を満たしているとした審査結果を説明。「事故は発生しうると考え、あらか│じめ対策を考えようと発想を転換した」と述べた。相次いだ安全性への質問│には「絶対安全というものはないが、できるだけリスクを下げる努力はし│た」と答えるにとどめた。

 

 説明会開催は、伊藤知事が規制庁側に求めていた。ただ、新規制基準に適合した理由を説明する場にすぎない。県が会場で配布したアンケートも再稼働賛否を問う設問はなく、参加者から不満の声も上がった。今後、説明会は原発の防災対策の重点区域になっている30キロ圏の日置市、いちき串木野市、阿久根市、さつま町でも開かれる。だが、伊藤知事は再稼働に同意が必要な「地元」を県と薩摩川内市に限定しており、同市以外の説明会がどう反映されるのか明確にされていない。【宝満志郎、津島史人】

 

(参考)川内原発説明会 住民の不安解けず(東京新聞:核心) 赤かぶ

 http://www.asyura2.com/14/genpatu40/msg/617.html

 

(参考)川内原発説明会(IWJ)

http://www.ustream.tv/channel/iwj-kagoshima1?utm_campaign=ustre.am&utm_source=ustre.am%2FzAko&utm_medium=social&utm_content=20141010223614#/recorded/53757018

 

(参考にならない出鱈目)

●「小さい問題とはいえない」BPO、テレ朝「報ステ」を審議入り 川内原発の事実誤認報道で - 産経ニュース

 http://www.sankei.com/entertainments/news/141010/ent1410100019-n1.html


(これは川内原発再稼働という巨悪から有権者・国民や住民の目をそらすための、ろくでもない策略ではないのか? 放送倫理・番組向上機構(BPO)よ、どうなってんだ! 審議するなら、川内原発再稼働をめぐる安全性についてのインチキ報道こそを取り上げろ、たとえばNHKだ)

 

6.(イベント情報)九条の会:11.24集会&パレードのチラシです。版下をご活用ください。

 http://www.9-jo.jp/index/141124syukai.pdf

 http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS141010.htm

(「11.24集会&パレード」チラシ版下をアップしました。裏面にそれぞれの「会」の取り組みや呼びかけを刷り込むなどして積極的にご活用ください)

 

●「北九条の会」(東京都北区)「落語と音楽のつどい」

 (私の地元、東京都北区のイベントです)

 

日時:11月9日(日)開場午後3時、開演午後3時30分

 <詳細はこちらをクリックしてください>

 http://www.9-jo.jp/news/MagShousai/MMS141010.htm#t

 

7.(メール転送です)(イベント情報) ◇ アベ NO THANK YOU!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

一人一人が、声をあげて、 平和を築く行動に参加しよう!

党派を越えて、多くの方が個人で 参加しやすい形を模索しながら、 すすめていきたいと思っています。

 

プラカードやシュプレヒコールなしで、楽しく、身軽に、 政治に参加できるよう、新しい運動体となることを目指します。

多くの皆様のご参加、ご協力を、どうぞよろしくお願い致します。

 

●10月13日(月) のプログラム

1.シンポジウム

日 時: 10月13日(月・祝) 13:30~15:00 (開場13:00)

場 所: 日比谷図書文化館 B1 日比谷コンベンションホール

     (旧日比谷図書館 日比谷公園内

     東京メトロ「霞が関」・都営三田線「内幸町」 下車3分)

テーマ: 「個人を大事にする社会に ー従軍慰安婦問題から医療事故調問題までー」

内 容:従軍慰安婦問題から日本の今を考える

      天羽道子さん (かにた婦人の村名誉村長)

      川嶋みどりさん (日本赤十字看護大学名誉教授)

    患者の権利、医師の責任という視点をとおして

     人権軽視の医療問題を問う

     本田宏さん (外科医・済世会栗橋病院院長補佐)

    ・フランスと日本の今

     朝比奈誼さん(仏文学研究者・立教大学名誉教授)

2.銀座パレード

15時15分~ 日比谷公園中幸門へ移動 ..

15時30分~ 銀座パレードへ出発 ..

 

丸の内鍛治橋駐車場前で流れ解散(ゆっくり歩いて1時間弱)

※ 次回の 「アベ NO THANK YOU!」は、1月25日(日)を予定しています。また、どうぞご参加ください。

※ 平和を築き、いのちをつないでいく、この取り組みを継続していきたいと思います。

 

 今後の活動については、下記にアップ して参ります。時折に、ご覧いただければ幸いです。

 ブログ http://abenothankyou.wordpress.com/

 Facebook https://www.facebook.com/nothankyounokai

 

※ 「アベ NO THANK YOU!」のワッペン1組 3枚を用意しています。集会や行動のときは、それを身につけてご参加ください。

主催: アベ NO THANK YOU ! の会(連絡先)千葉県南房総市千倉町白子0112  医療法人社団 花の谷クリニック内

   090 3312 7607        呼びかけ人 伊藤真美

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8.(イベント情報)1213広大放射線科学史シンポ案内(10 10版) (別添PDFファイル)

 

「kagakushi_hiroshima_semina.pdf」をダウンロード


9.元裁判員ストレス障害国賠訴訟 「裁判員制度は合憲」 賠償請求棄却−−福島地裁 - 毎日新聞

http://mainichi.jp/shimen/news/20140930dde001040059000c.html

(毎日新聞の無料ネット会員になると全文が見れます:お勧めです)

 

おかしな判決です。裁判員制度は有権者・市民に対して、裁判人になることを法律で強制する「現代の赤紙」です。こんな制度は廃止すべきです。

草々

 

2014年10月10日 (金)

「(第16回)福島県民健康調査検討委員会」結果について (2014年8月24日開催)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

少し遅くなってしまいましたが、さる824日に開催されました「(第16回)福島県民健康調査検討委員会」結果について、別添PDFファイルにて簡単にご報告いたします。また、下記URLはその参考資料です。

 

 <別添PDFファイル>

(1)第16回福島県民健康管理調査 子ども甲状腺検査結果(表紙)(20141010日)

「hukusima_kenkou_tyosa_hyoshi_16.pdf」をダウンロード

(2)第16回福島県民健康管理調査 子ども甲状腺検査結果(20141010日)

「hukusima_kenkou_tyosa_honbunn_16.pdf」をダウンロード

(3)2014824日福島県「県民健康調査」検討委員会発表分データによる甲状腺検診分のまとめ(津田敏秀岡山大学教授 『科学 2014 10』)


(4)福島県37万人調査 甲状腺がんの子ども57人に(東京 2014 8 25他)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014082502000184.html


(5)崩壊寸前の線量把握の切り札、福島原発事故被災者の行動記録、回収率たった26.4%(東京 2014.9.8

 http://p.twipple.jp/T3QC4

 

 <参考サイト>

(1)県民健康調査 検討委員会について - 福島県ホームページ

http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai.html

 

(2)県民健康調査課 - 福島県ホームページ

 http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/

 

(3)リンパ節転移が多数~福島県の甲状腺がん OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1793

2014610日開催の「第3回甲状腺検査評価部会の結果です)

 

(4)意義あり! 8.17政府広報(2014年9月15日の原子力安全神話 政府広報批判講演会の松崎道幸先生レジメ)

https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-5o7k4xlfmkirkzpf2coyykxcrq-1001&uniqid=624555da-b97d-4dab-a034-d836ac60294d&viewtype=detail

 

(5)「いちろうちゃんのブログ」より

●(政府の「放射線安全神話」広報を批判します) 中川恵一(東大准教授)さん、「放射線についての正しい知識を」とは、あなたに向けられるべき言葉です  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-adcf.html

 

●(政府の「放射線安全神話」広報を批判します) IAEAのレティ・キース・チェムさん、IAEAは原子力を推進する国際組織であり、被ばく管理に口をはさむ資格はありません(利益相反です)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-843c.html

 

●「放射能・放射線は心配するほどのことではない」(放射線安全神話)にだまされないために  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-7987.html

草々

 

 

2014年10月 7日 (火)

本日(10/7)のいろいろ情報(メール転送含む) (1)火山と原発:広瀬隆さん怒りの告発、(2)南相馬市の住民が避難指定解除に反対、(3)NHK武器輸出スペシャル、(4)オーフス条約 他

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

最初の明日の院内集会のご案内です。(別添PDFファイル)

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「原発事故子ども・被災者支援法ー住宅支援と健康調査に関するシンポジウム&政府交渉」

  108日(水)午前10時~午後5時 参議院議員会館 101会議室 主催者:「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟

 

●シンポジウム 11:00~13:00

1 主催者あいさつ

2 国会議連からのごあいさつ

3 避難者支援に関する自治体調査の報告(住宅支援・保養など)

4 講演「住民の健康管理と健康調査のあり方」:山田真 医師(子どもたちを放射能から守る 全国小児科医ネットワーク)

  講演「住宅支援と健康調査に関する新法の制定」:海渡雄一 弁護士(原発事故子ども・被災者支援法市民ネットワーク)

5 政府等への要望書の確認

 

●政府交渉   14:00~16:00

1 「原発事故子ども・被災者支援法」に基づく住宅支援と健康調査を求める要望書の提出

2 上記の要望書に係る質疑並びに交渉

   参加要請省庁:国交省、文科省、環境省、厚労省、復興庁

 

それから、静岡県裾野市の野生きのこから放射性セシウムが検出され出荷制限となっています。ご注意ください(野生キノコから放射能が検出されるということは、この地域が放射能汚染地帯であるということを意味しています:特に呼吸被曝にご注意ください)。

 

● 原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の設定及び解除 |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000060584.html

 

 

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1.毎日新聞 ■注目ニュース■:「今の予知はギャンブルのようなもの」

 救出活動が続く御嶽山(おんたけさん)(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火災害は、牙をむいた自然の恐ろしさを見せつけた。火山のメカニズムを探究してきた専門家は惨禍をどう受け止めているのか。そして東日本大震災との関係は。火山学の世界的権威として知られる荒牧重雄・東京大名誉教授(84)に聞いた。

 

▽特集ワイド:御嶽山噴火災害、火山対策の限界露呈 東京大名誉教授・荒牧重雄さんに聞く 「今の予知はギャンブルのようなもの」

 http://goo.gl/mkpagp

 

(こんなんで、川内原発を稼働していいのかよ、下記の広瀬隆さんの怒りの告発も見てください:田中一郎)

 

 <別添PDFファイル>

(1)川内原発の火山影響論議再燃、九電「3万年前、火砕流到達」、科学的根拠乏しい安全(東京 2014.10.3

https://silmarilnecktie.wordpress.com/2014/10/03/103%E5%B7%9D%E5%86%85%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AE%E7%81%AB%E5%B1%B1%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E8%AB%96%E8%AD%B0%E5%86%8D%E7%87%83%E3%80%80%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9A%84%E6%A0%B9%E6%8B%A0%E4%B9%8F%E3%81%97/

 

(2)原発、予知頼みの火山対策、「予測は限界」専門家が警鐘(朝日 2014.10.5

http://globalethics.wordpress.com/2014/10/05/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%80%81%E4%BA%88%E7%9F%A5%E9%A0%BC%E3%81%BF%E3%81%AE%E7%81%AB%E5%B1%B1%E5%AF%BE%E7%AD%96%E3%80%80%E3%80%8C%E4%BA%88%E6%B8%AC%E3%81%AF%E9%99%90%E7%95%8C%E3%80%8D%E5%B0%82%E9%96%80/

 http://www.asahi.com/articles/ASGB14TR9GB1ULBJ00S.html

 

┏┓

┗■1.御嶽山の噴火について

 |  私は御嶽山で大噴火が起こることを予感して去年のリニア中央

 |  新幹線反対集会でその資料を配布していた

 |  原子力規制委員会の田中俊一委員長が暴言を吐いているので許せない

 └──── 広瀬 隆

 

○ 過日、御嶽山の噴火の危険性について、リニア中央新幹線との関連資料を全国に送ったが、少し解説しておきたい。というのは、原子力規制委員会の田中俊一委員長が、暴言を吐いているので、許せないからだ。

 

 田中俊一は、御嶽山の噴火が水蒸気爆発であったので、川内原発に危険をおよぼすマグマ噴出と異なるメカニズムであることを取り上げ、「起こる現象が全然違う。一緒に議論するのは非科学的だ」と言い訳をしている。この噴火のドシロウトである非科学的の代表者が、よく言うものだ。ならば、マグマ噴出がいつ起こるのか、田中俊一には分るとでも言うのか。こういう人間は、テレビの公開討論会に引っ張り出して、面と向かって火山学者や石橋克彦氏と議論させる必要がある!

 

○ 九州電力が川内原発の再稼働のために主張し、田中俊一たちが認めた屁理屈によれば「マグマ噴出の場合は、マグマだまりにマグマが供給されるので、地殻変動などによって前兆を予測できる」という。ところが、彼らがその比較対象としているのは、ギリシャのサントリーニ島でBC17世紀に起きた「ミノア噴火」と、アメリカのロングヴァレー・カルデラで76万年前に起きた巨大噴出物の調査結果だという。この態度にまず驚くが、「日本の火山と、外国の火山では、起こる現象が全然違う。一緒に議論するのは非科学的」なのである。マスメディアを含めて、田中俊一や現在の一般の日本人は、火山の危険性を議論できるレベルにはない。

 

 火山は大別して三種類があり、日本では、マントル対流が沈みこんでいる海溝(プレート境界)で起こる噴火なので、海水を一緒に引きこむために爆発的な噴火になる。加えて、鹿児島市の南にある口永良部島で8月3日に34年ぶりの噴火が起こったばかりだ。この噴火では死者が出なかったために、南九州以外では、ほとんど知られていないが、こちらのほうが御嶽山より、川内原発に対する重大な警告だったのである。九州電力や規制委員会は、それを予測できたのか?

 

○ 新聞のどこを読んでも、「今回の御嶽山噴火は誰も予知できなかった」と書いているが、少なくとも私は、御嶽山で大噴火が起こることを予感して、去年のリニア中央新幹線反対集会で、その資料を配布していた。それは、リニア中央新幹線が長野県~岐阜県を通過するルートにあることから、19791028日に御嶽山が噴火したことと、1984年9月14日に王滝村で長さ15kmの断層が活動してマグニチュード6.9の長野県西部地震が発生し、御嶽山南麓の斜面が大規模に崩壊したことを調べていたからである。御嶽山の噴火で最もこわいのは、今回のような水蒸気爆発ではなく、岩屑(がんせつ)なだれによって山体が崩れることである。つまり、長野県~岐阜県一帯に地下鉄道を敷設することは、いつ崩れるか分らない地獄にトンネルを掘ることだ。

 

○ 今回の御嶽山噴火では、「死者が戦後最大になった」ことが問題なのではない。被害者の方々には申し訳ないが、被害を減らすために、あの危険な捜索活動はやめるべきだと思いながら、ずっとニュースを見ていた。 日本の全体像を見ることが大事である。東日本大震災後に、プレートの動きが止まらずに、マグマを含めたエネルギーが日本列島の地底にどんどん蓄積していることが、こわいのである。

 

 今年、台風と水害が多く起こっていることは、フィリピン海の海水温の上昇に原因がある。それをすぐに地球温暖化と結びつけるドシロウトの人間がいるが、もともとの原因は地球全体の温暖化ではない。これはプレート境界の海底でマグマが噴出してフィリピン海の海水を加熱している局部的な海水温の上昇─つまり大地震の予兆である。

 

○ 次の大地震が、日本ばかりでなく、イラン、トルコ、中国、台湾を含めた地球規模で起こることは、時間の問題である。私はそう見ている。

 

(参考)【広瀬隆】リニアと御嶽山と川内原発の関係 日々雑感

 http://hibi-zakkan.net/archives/40447214.html

 

(参考)川内原発は安全基準を満たしていない―水蒸気爆発の観点から 原子力資料情報室(CNIC

 http://www.cnic.jp/6029

 

2.南相馬市の住民が避難指定解除に反対

 南相馬市が避難指定を解除される、ご冗談でしょう!? 何のために、もちろん、賠償・補償を打ち切り、猛烈な放射能汚染と住民とを「共存」させるためです。だって、放射線被曝被害とは、考え過ぎの精神衰弱のようなものだから、というのが放射線ムラとその代理店日本政府、それとその手下になり下がったいくつかの自治体の説明です。嘘八百もいい加減にしてほしいものです。

 

●(別添PDFファイル))南相馬の避難勧奨地点、来月にも解除、政府(福島民報 2014.9.27

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/09/post_10777.html

 

(1) 南相馬市:住民意向を無視する、桜井市長 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=XzAVltx2fwc&feature=youtu.be

 

(2) 南相馬市のミステリー.wmv - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=4G-yP1bLO6Y&feature=youtu.be

 

(3) 福島リポート2014 spin off 「山から押し寄せる放射能」 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=3lzrkDxKmbM&feature=youtu.be

 

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(抗議集会のご案内)

今回の政府の措置に対し、「南相馬・避難勧奨地域の会」が上京し、政府交渉および窮状を訴える集会を開きます。住民が測定したデータ・各所に訴えてきた内容・放射能汚染の実態の新事実 を公表します。およそ知られていない南相馬市の放射能汚染の状況を広く世間の皆さまや、南相馬市から首都圏に避難している避難者に伝える集会です。ぜひご参加ください。

 

 期日 : 1010日(金) 場所 : 参議院議員会館のB104

 14:0015:00 経済産業省への申し入れ・政府交渉(調整中)

 15:0016:30 一般向け集会 参加費:500円(資料代)

 18:3021:00 参院議員会館前で、アピール行動

 

どなたでも参加可 ※抗議行動にご参加の方は、18:30 参院議員会館前にお集まり下さい。

 

主催 : 南相馬・避難勧奨地域の会

共催 : 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、、FoE Japan、避難・支援ネットかながわ(Hsink)、ひまわりプロジェクト南相馬

 

問合せ info.hsink@gmail.com

(避難・支援ネットかながわ http://hinansien-netkanagawa.org/

 

(この日は「ふくしま集団疎開裁判」の会も第二次訴訟のPRを参議院会館前で行う予定です)

 

3.「ボーソー(暴走?)3原則」:NHKスペシャル|ドキュメント武器輸出・防衛装備移転の現場から

 http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/1005/

 

(再放送:2014109日(木)午前040分~129分(8日(水)深夜))

 

 自分が何をしているのか、よく理解できていない様子の、「死の商人」の下僕・すそ払いとなり果てた防衛省の若手愚か者課長を追いかけて、TVカメラが回っておりました。他国に人殺しの道具を売りさばいて「(平和のための)国際貢献」だそうだ。かつて小林よしのりがマンガ「ゴーマニズム宣言」で描いたように、まさに「(うん)国際貢献」(うんこくさい貢献)ではないか。「武器輸出3原則」を「防衛装備移転3原則」(略して「ボーソー3原則」という)とはよいく言ったものだ。まるで防衛装備というアクセサリーの「引っ越し屋」の「しきたり」のようではないか。こういう「言葉のゴマカシ」もまた、戦前の軍国主義日本とよく似ている。

 

 不愉快きわまる映像だが、これは私たちの国でのこと、いや、安倍晋三・自民党政権の一部のゴロツキどもによる「暴走」の1つだ。それと、そもそも日本国憲法違反の疑い濃厚の防衛省の役人や制服組が、ずけずけとTV画面に現れてくるのもいただけない。日本最大の暴力組織とも言うべき「制服組」日本軍(自衛隊)がのさばり始めれば、たちまち戦前の軍閥統制国家へと転落するのは目に見えている。

 

 やめさせよう武器輸出、とめよう戦争する国への転落、そのためにも、自民党への投票をやめよう。すべての市民運動・社会運動は徹底した安倍晋三・自民党ネガティブ・キャンペーンに立ち上がれ。勝負はきたる国政選挙で決まる。

 

(関連)国産潜水艦技術を初の輸出、豪と協議開始へ (読売新聞) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141006-00050162-yom-pol

 

(関連)スキャナー 解説連載 特集・コラム 読売プレミアム

 http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/list_COMMENTARY%255fSCANNER

 

 <追>

 上記の(参考)サイトを立ち上げている読売新聞、かような支配権力よいしょ記事には大変熱心だ。こんなものを本気で読んでいるようじゃ、お先は長くない、と思った方がいい。それと、上記のNHKスペシャルだが、「武器輸出3原則」ならぬ「防衛装備移転3原則」を説明するのに、「移転を認め得る場合の限定と厳格審査」がなされるなどと、政府広報のごとく、嘘八百の「オームのものまね」放送をしていた。批判的観点ゼロで、この「防衛装備移転3原則」をまるで広報するかのごとくである。

 

 放送・報道するのなら、せめて下記ぐらいの批判的視点を持ったらどうだ。日本政府が「限定と厳格審査」など、するわけがないことは自明のことだ。

 

● 防衛装備移転三原則に大きな抜け穴 安全保障 東洋経済オンライン 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 http://toyokeizai.net/articles/-/43508

 

(一部抜粋)

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防衛装備移転三原則とは?

 

4月に新たに定められた「防衛装備移転三原則」は以下の3つになっている。(1)紛争当時国や国際条約違反国など移転を禁止する場合の明確化、(2)平和貢献や我が国の安全保障に資する場合など移転を認め得る場合の限定と厳格審査、(3)目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保、だ。

 

しかし、こうした「防衛装備移転三原則」を今後もどこまできっちりと厳格に適用し、紛争当事国への流出を防止できるのかなど、課題も多い。特に日本は唯一最大の同盟国、米国の対外武器輸出の動向に左右され、敏感にならざるを得ない。米国は特別扱いとなっており、日本がなかなか歯止めをかけられないのが実情だ。そして、十分な人員体制と情報収集力を確保した専門部局による的確な判断や管理体制がなければ、いかに日本企業が独自の先端技術や製品を有していても、企業現場では海外進出にいつまでも二の足を踏む事態が予想される。今のところ、1987年の東芝機械ココム違反事件のような事態を恐れ、防衛装備品の輸出にはいまだおっかなびっくりの日本企業が少なくない。

 

今回、NSCで米国に輸出されることが決まったのは、地対空ミサイルPAC2のシーカー(目標捜索装置)に組み込まれている三菱重工業が生産するジャイロと呼ばれる部品。全長約6センチのこのパーツは、ミサイルが正確な軌道を動くよう姿勢を検知するもので、三菱重工はこの技術を航空機や衛星、船舶の姿勢制御にも用いている。

 

三菱重工は米防衛大手レイセオンのライセンスを受けて航空自衛隊のPAC2とその部品であるジャイロを生産してきたが、レイセオンによるジャイロ生産は既に終了。米国がPAC2の輸出を続ける中、三菱重工に対し、ジャイロを供給するように要請していた。

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4.オーフス条約

 こういう条約があるんですね。知っておきましょう。たとえば事故後の福島第1原発とも大いに関係します。ちなみに日本はまだ未加盟のようです。

 

(1)ウィキペディア オーフス条約

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%B9%E6%9D%A1%E7%B4%84

 

(2)オーフス・ネットHP 

 http://www.aarhusjapan.org/

(ここにオーフス条約をわかりやすく書いたパンフレットのPDFがあります)

 

(3)オーフス条約とは

 http://www.aarhusjapan.org/convention.html

 

(4)環境省 オーフス条約

 http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=4648

 

■オーフス条約について

 21世紀は環境とNGOの世紀であるといわれています。環境問題がますます深刻化する中で、その解決のために市民やNGOなど市民団体による主体的な参画が欠かせなくなっています。「開発と環境に関するリオ宣言」第10原則には、「環境問題は関心のあるすべての市民が参加することにより最も適切に扱われる」と、市民参画の重要性が明記されています。

  1998年6月、この原則を実現するために、「環境問題に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参画、司法へのアクセスに関する条約」(以下オーフス条約)が、デンマークのオーフス市で行われた国連欧州経済委員会で採択され、2001年10月から発効しています。オーフス条約は、[]環境に関する情報へのアクセス権、[]環境問題の意思決定における市民参画、 []環境問題に関する司法へのアクセス権――という3つの権利についての国際的な最低基準を定めるものです。現在までに27カ国が批准していて、欧米諸国では、オーフス条約の要請に沿った国内法制度が整えられつつあります。

 

5.伊方原発訴訟と広島

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=4&cad=rja&uact=8&ved=0CDQQFjAD&url=http%3A%2F%2Fzeronpphiroshima.daa.jp%2Ffdata%2FikataL.pdf&ei=WTYzVM-mMZeSuATYuIDwDg&usg=AFQjCNEfproRNwI0RJa3Lj2ad3Tz4miDVA

 

6.[2004年8月美浜原発3号死傷事故]140度の蒸気 一気 肌ただれ「痛い、痛い」床一面に高温の湯 - 脱原発・放射能

 http://blog.goo.ne.jp/jpnx02/e/511bde0540f12b734a8372689455161b

 

(忘れてはなりません。高浜原発・大飯原発を再稼働しようとしている関西電力・三菱重工業が引き起こした「手抜き事故」です:田中一郎)

 

7.地震はすでに原発事故の危険を教えていた 2008年のテレビ番組から ユニバーサル・スピリットの探求

 http://raaq.jp/universaljapan/2011/03/genpats

 

8.(ネット署名)ネオニコチノイド系農薬の使用禁止と、残留基準の規制緩和反対を求める署名 ―もう後がない! ネオニコはここでくい止める! 国際環境NGOグリーンピース

 http://www.greenpeace.org/japan/nico2/

 

9.中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送に係る検討会|除染で取り除いた土壌等の管理|除染情報サイト:環境省

http://josen.env.go.jp/soil/interim_storage_facility_transportation_advisory_committee.html

 

10.所長の最新伝言 (j-freedomジャーナリズム教育研究所): 「朝日新聞吉田調書記事取り消し事件」

 http://www.hanadataz.jp/01/01dengon/2010/07/dengon20107.htm

 

11.漫画家・小林よしのりサンが民主党大学にてゴーマン36連発 日仏共同テレビ局フランス10

 http://www.france10.tv/politics/3709/

(くだらないかもしれません)

草々

 

東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(8)東日本壊滅の危機、一番思い出したくない

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

東京新聞が9/15よりシリーズで報道し始めた吉田調書(政府事故調による吉田昌郎福島第1原発所長(当時)証言記録)に関する特集記事「調書は語る:吉田昌郎所長の証言」を見ながら、福島第1原発事故の実態とその原因を探ってみたいと思います。第8回目の今日は下記の東京新聞記事です。なお、私のメールでは、このシリーズ特集記事にある、主として吉田昌郎所長証言のあいまいさや、証言から推察される福島第1原発事故深刻化の原因となったであろうことがらを取り上げて、簡単にコメントいたします。

 

 <別添PDFファイル>

● 調書は語る(8):東日本壊滅の危機、一番思い出したくない(東京 2014.9.24

http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/fb1ce2d4e638e129f3b49c136227f492

 

(原典)政府事故調査委員会ヒアリング記録 - 内閣官房

http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/hearing_list.html

 

(参考)「東日本壊滅」イメージした〜政府が吉田調書公開 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1832

 

1.東京新聞記事

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東京電力福島第一原発2号機は十四日夜には、ベント(排気)も、注水もできず、打つ手なしの状況に陥った。翌未明には五キロほど離れたオフサイトセンターの線量計が毎時一ミリシーベルト超を計測。このままでは、溶けた核燃料が圧力容器どころか、格納容器も突き破って膨大な放射能をまき散らす可能性が出てきた。吉田昌郎(まさお)所長の脳裏には、東日本壊滅が浮かんでいた。(肩書はいずれも当時)

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(田中一郎コメント)

「吉田昌郎(まさお)所長の脳裏には、東日本壊滅が浮かんでいた」、つまり近藤駿介(当時原子力委員会委員長)の「最悪シナリオ」報告(3/25)よりもずっと前に、吉田昌郎所長は東日本の壊滅を予測していたということだ。おそらくは、福島第1原発に関係していた大半の人間は、そのように思ったであろうということである。しかし、それはその当時、表に出ることはなかった。

 

 当時(3/14~15)のTVや新聞は、炉心溶融も認めず、「ただちに健康に影響はない」だの「原子炉の安全は確保されている」だのと、「たいしたことはない」PRのために、政府・東京電力・御用学者総動員の根拠レスな楽観的見通しや「大本営発表」を繰り返していたことを思い出そう。原子力推進・原発の正体が、万人の目に赤裸々に見えた瞬間だからだ。政官財とマスゴミ・似非アカデミズムの5つが「炉心溶融」して混ざり合い、日本を破局に向かわせる、本当のことは有権者・国民には徹底して隠し続け、その破滅的結末は最後の最後に有権者・国民に転嫁される、これが原子力推進・原発の本性だ。

 

●原発事故直後、政府が作成した「公表されなかった最悪のシナリオ」 - みんな楽しくHappyがいい♪

 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-1297.html

 

2.東京新聞記事:吉田昌郎所長の「最悪シナリオ」

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「完全に燃料露出しているにもかかわらず、減圧もできない、水も入らないという状態が来ましたので、私は本当にここだけは一番思い出したくないところです。ここで何回目かに死んだと、ここで本当に死んだと思ったんです」

 

「2号機はこのまま水が入らないでメルト(ダウン、炉心溶融)して、完全に格納容器の圧力をぶち破って燃料が全部出ていってしまう。そうすると、放射能が全部外にまき散らされる最悪の事故ですから。(旧ソ連の)チェルノブイリ(原発事故)級ではなくて、チャイナシンドロームではないですけれども、ああいう状況になってしまう。そうすると、1号、3号の注水も停止しないといけない。これも遅かれ早かれこんな状態になる」

 

「結局、放射能が2F(福島第二原発)まで行ってしまう。2Fの4プラントも作業できなくなってしまう。注水だとか、そういう作業ができなくなってしまうとどうなるんだろうというのが頭の中によぎっていました。最悪はそうなる可能性がある。ここはじっと水が入るのを祈って待つしかないと思っていました」

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(田中一郎コメント)

 1号機、3号機も、事情はまた同じだったのではないか。容易には炉心に注水ができなかった2号機とは違い、1,3号機は何とかベントもでき、爆発による中断はあったものの、当初は消火系を通して真水、または海水が注入されていた。しかし、後日判明したところによれば、この消火系を通じての注水は、その大半の水が炉心へ向かわず、途中の配管の分岐点でそれてしまって、復水器の方に行っていた、というのだ。、

 

 他方で、吉田調書を見ると、2号機でも、まったく注水ができなかったわけではなく、時折、SR弁(主蒸気逃し安全弁)が開いて圧力容器が減圧でき、その際にある程度の水の炉心への注入はできていた、というのだ。そうすると、いったい1,3号機と、2号機の違いはどこにあったのだろうか。いわゆるベントイができたかできなかったか、の違いだけなのか。

 

 いずれにせよ、1,3号機も2号機も、炉心溶融をしていて、ドロドロに溶けた核燃料は少なくとも圧力容器の外に出てしまったであろうと思われる。上記で吉田昌郎所長が言う「チャイナ・シンドローム」は、1~3号機のいずれの号機においても起きておかしくなかったのである。しかし、現実にはそこまではいかなかった。それは何故なのか、未だによくわからない(隠されているのかもしれないし、報道機関が理解できていないので、報道されないだけなのかもしれない)。「それからの1~3号機」(爆発後の1~3号機)の実態・推移について、詳しく知りたいものである。

 

(それから、新聞記事には「吉田所長の頭をよぎったのは・・・・」という表題で、破綻していく2号機のポンチ絵が描かれているが、それには格納容器のふたが開いて、そこから放射能の煙がもくもくと出て行く図が描かれている。また、使用済み核燃料プールからも放射能の煙のもくもくが出ている。しかし、使用済み核燃料プールの方はともかく、格納容器の方は違うのではないか。ふたが開いて放射能が出て行くのではなく、格納容器が内側からの圧力に耐えかねて、爆発するように粉々に吹き飛んでしまう(爆発的に破壊される)のではないのか。また、格納容器の下に溶け落ちた溶融核燃料からも放射能が発散するが、それは図には描かれていない。東京新聞もよくわかっていないような気がする)

 

● 主蒸気逃がし安全弁系統概略図

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB0QFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.tohoku-epco.co.jp%2Fwhats%2Fnews%2F2004%2F40805b1.pdf&ei=wG8zVKPHKoWSuAT9jIJ4&usg=AFQjCNEdkcBGgdPat9yZ6EPy0kFDZ0Qd0A

 

● 解明されない謎 福島第1原発の1号機SR弁、4号機爆発映像 - 逝きし世の面影

http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/447414c32b530de6792bc1ea50277257

 

3.東京新聞記事

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「電話で武藤に言ったのかな。こんな状態で、非常に危ないと。操作する人間だとか、復旧の人間は必要ミニマムで置いておくけれども、退避を考えた方がいいんではないかという話をした記憶があります」

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(田中一郎コメント)

 これは事実上「撤退」と言っているのと同じではないか。こんなわずかばかりの人員を残してみたって、何も出来っこないだろうから、全員いなくなってしまうのと大して変わらない。昔、沈みゆく大日本帝国の軍艦に、艦長や海軍士官たちが大破した軍艦に体を縛り付けて、軍艦とともに太平洋に沈んでいったシーンが思い浮かぶが、それを「撤退」ではなくて「退却」だ、などと言ってみても、単なる言葉のお遊びにすぎない。まさに福島第1原発は、吉田昌郎所長も合議のうえで、放棄されようとしていたということだろう。

 

4.東京新聞記事

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-SR(主蒸気逃し安全)弁がなかなか開かない。

 

「開いたんですが、なかなか圧が下がらない。どんどん水位は下がっているなと。炉圧が下がり、水を入れるというタイミングのときに、ポンプが消防車の燃料がなくなって、水が入らないと。そこでもまたがくっときて、(燃料を)入れに行けという話をしていまして、これでもう私はだめだと思ったんですよ。私はここが一番死に時というかですね」

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(田中一郎コメント)

「炉圧が下がり、水を入れるというタイミングのときに、ポンプが消防車の燃料がなくなって、水が入らないと。そこでもまたがくっときて、(燃料を)入れに行けという話をしていまして」、これはつまらないチョンボの話で、自慢することではない。福島第1原発事故の現場への、軽油やガソリンその他の必要物資の補給が、まったくきちんとできていないなかったことが明らかになってきているが、それが何故なのかは、検証されようともしていない。こんなことでは、また再び、低レベルの「補給できません、してません」の失敗を繰り返すだろう。

 

5.東京新聞記事

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「水が入ったら、過熱した燃料に触れますから、ふわっとフラッシュして、また水が入らなくなる。」

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(田中一郎コメント)

 ベントができない2号機に、しかし主蒸気逃し安全弁(SR弁)は時折開いたり閉ったりしていた2号機に、水がなかなか注水できなかった理由は、これのようである。この辺のところは、過酷事故時の炉心冷却対応として、「非常用炉心冷却装置(ECCS)」の有効性と併せて、工学的な詳細な検討がなされるべきである。しかし、福島第1原発事故後において、この2号機の当時の詳細な実態把握と事態改善へ向けた取組や検討がなされた様子がない。

 

 それどころか、今進められている加圧水型原子炉の再稼働のための新規制基準では、炉心溶融が始まったら炉心への注水をやめ、ドロドロに溶けた溶融炉心が圧力容器の底を抜けて、格納容器の下部に「ぼたぼた」と落ちてくるのを(冷却)水をためて待ち受ける、などという「半発狂」的対策を是としているのである。水蒸気爆発で一巻の終わりとなるか、格納容器の損傷を早めるだけにしかならないのではないか。過酷事故に対して、「何もせんぞ」と「居直」っていては、死期を早めるだけだ。

 

6.東京新聞記事

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<吉田氏が言うタイミングとは二十一時十九分、やっとSR弁が開き、ポンプが回り、炉の水位が回復した時のことだ。「まだ望みあるよ」「やった!」の声がテレビ会議で響いた>

 

 <「一秒一秒胸を締め付けられるような感じ」の緊張から一息つけた吉田氏だが、二十三時前になると、またもSR弁が閉まって炉の圧力が上昇。注水できなくなった。本店社員からは「高圧で炉心損傷すると、数時間で格納容器破損ということです」と恐ろしい説明もされた。オフサイトセンターのデータを見ても、放射線量はどんどん高くなっている。調書には、深夜から翌十五日朝までの炉や作業の状況がほとんど記されていないが、炉圧は比較的安定し、一応は継続的に注水ができたとされる>

 

(問い)「炉圧が落ちたあたりは水が入ったような。

「入っていると思っています。確実に入っている」

(問い)「それで皆さん、退避せずに踏みとどまってやっておられた」

「そうです」

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(田中一郎コメント)

 2号機の具合が一進一退だったので、福島第1原発では人が残ってがんばっていた、ということだそうだ。「全員が死を覚悟してがんばって残っていた」わけではない。大日本帝国時代の日本軍のようなことを想像してはいけない。

 

7.東京新聞記事:その時、政府や東電は…

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「細野豪志首相補佐官はこの日、予期していたのに、3号機の水素爆発を止められなかったショックもあり「制御不能だと思ったのはこの日ですね。本当にまずいと思いました。この日は」と調書で語る。」

 

「吉田氏とは携帯電話で連絡を取っていたが、調書の中で「未明ごろ、吉田さんと話した記憶は」と問われ、細野氏は「本当に人生で初めての緊張感の中でやっていたので、そこは覚えていないんですよね」と説明する。」

 

「枝野幸男官房長官も、不安定な状況に振り回された。「(深夜から未明に水が)入っていますという話があったのかどうかは記憶がない。あったとしてもこういう繰り返しでしたから、本当に入り続けるのか、ほっとする情報が入っていたわけではない。一喜一憂しながらという状況の中で、何が入っていたかまでの記憶はないです」と答えた。」

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(田中一郎コメント)

 細野豪志と枝野幸男、それに、ここにはいない野田佳彦を併せて「ウソツキ団子3兄弟」と申し上げていいように思うが、上記にある「証言」なるものも、全く信用ならない。細野豪志(当時原発事故担当相)と枝野幸男(当時内閣官房長官)ともに「覚えていない」「記憶にない」とのことである。都合悪けりゃ、みな忘るるなり、だ。まるで、ロッキード事件の時に「証人喚問」された故小佐野賢治氏のごとくである。ちなみに、2012年12月の衆議院選挙、2013年7月の参議院選挙では、民主党は議席を激減させたが、その際、かろうじて当選してきたのは、こうした民主党の中でも、ろくでなしの一級品のような連中ばかりだった(落選したのは徳島の「おとど」さまくらいのものである)。悪い奴ほどよく眠り、長生きをする、日本の政治の世界は、さしずめ「悪の華咲くデビルの楽園」のごときである。くそくらえだ。

 

● 小佐野賢治 - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E4%BD%90%E9%87%8E%E8%B3%A2%E6%B2%BB

 

 <最後に>

新聞記事のもう一つの図が「福島のオフサイトセンターで観測した放射線量」という時系列の推移図だ。しかし、これも私はおかしい、ないしは不十分と思う。何故なら、オフサイトセンターは福島第1原発からは少し離れた場所にあり、原発事故による事故現場の放射能のすさまじさをビジブルには伝えていないと思うからだ。何故、福島第1原発敷地内の放射能モニターの数字の推移を、誰もがわかるように明示しないのだろうか。福島第1原発事故からこれまでの3年半にわたり、私は福島第1原発敷地におかれていた全ての放射線モニターの数字の推移をくまなく見たい。

草々

 

2014年10月 5日 (日)

本日(10/5)のいろいろ情報です(メール転送含む) (1)川内原発(ドン・キホーテさん)、(2)玄海原発訴訟、(3)「福島県環境創造センター」の展示内容へ意見を出そう、(4)リニア(福島瑞穂さん) 他

前略,田中一郎です。

本日(10/5)のいろいろ情報です(メール転送含む)。

 

1.最初に3つばかり

(1)東京新聞 オスプレイ、動力失う事故 対「イスラム国」 脱出の米兵死亡国際(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014100402000258.html

 

(2)東京新聞 国立競技場の解体、入札やり直し 事前に工事費内訳書開封 スポーツ(TOKYO Web)

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140930-00000131-mai-soci

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014093001002464.html

 

(国立競技場を解体する前に、文部科学省の外郭団体である「日本スポーツ振興センター(JSC)」を解体すべきです:田中一郎)

 

(3)意義あり! 8.17政府広報(2014年9月15日の原子力安全神話 政府広報批判講演会の松崎道幸先生レジメ)

https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-5o7k4xlfmkirkzpf2coyykxcrq-1001&uniqid=624555da-b97d-4dab-a034-d836ac60294d&viewtype=detail

 

(以前にお送りしておりますが、再送いたします。必読・必見です:田中一郎)

 

2.ホーム - 安倍政権にNO! 東京・地域ネット

 http://tokyo-chiki-net.jimdo.com/

 

3.(メール転送です)火山が噴火したら原発はどうなるのか、川内原子力発電所について

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各位(拡散希望) from 藤原節男(原子力公益通報者、原子力ドンキホーテ)

件名:火山が噴火したら原発はどうなるのか、川内原子力発電所について

 

頭書の件、私のフェイスブック投稿で人気があった記事です。メーリングリストでも配信します。

 

【火山が噴火したら原発はどうなるのか】

塩崎 雅一さんの投稿をコピペしてシェアさせていただきました。⇒

http://goo.gl/P1G36Z

 

火砕流によって全電源喪失、原子炉建屋はおろか格納容器・圧力容器、さらにポンプ室、緊急給水用消防車(ポンプ車)、免震重要棟まで破壊されることが想定されます。これら以外に、過小評価されている重大なリスクに「火山灰」の降下があります。地面に火山灰が十数センチ以上積もると、海に降った火山灰が海水取水口を詰まらせる可能性があります。その場合、海から冷却水の取り入れができなくなり、メルトダウンすることが想定されます。

 

世界最大級といわれる阿蘇カルデラを形成した大噴火は約87000年前に起き、火砕流は九州全域を越え、山口県にまで流走したとする研究記録が残っています。原発は「万年単位」でその危険性を想定する必要があります。しかし、現在の人類の英知ではほぼ不可能な領域、時間的スパンなのです。再稼働を認めてはいけません。想定外は許されません。

 

[新しい規制基準で求められた主な対策(イメージ)/ 九州電力]

http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/torikumi_nuclear/shinkiseikizyun_3_130813.pdf

 

藤原 節男コメント:

(1) 海水ポンプの取水ピット(取水路)は、暗渠ではなく、上部開放の水路です。地面に火山灰が十数センチ以上積もると、取水ピット(取水路)に降った火山灰が取水ピット(取水路)を詰まらせる可能性があります。また、沈下した火山灰が海水ポンプに到達して、海水ポンプ故障、停止の原因となります。海水取水口だけの問題ではありません。

 

(2) 以下のイメージ図に、ウソがあります。海水ポンプの取水ピット(取水路)が、配管であるがごとく描かれています。実際は、取水ピットは配管ではなく、上部開放の水路です。また、基準津波高さを玄海原子力発電所では、海抜3m程度、川内原子力発電所の場合は、海抜4m程度としています。しかし、川内原子力発電所原子炉設置許可申請書では「15m高さの海水ポンプエリア防護壁を設置する」としています。それが記載ありません。さらにまた、タービン建屋の設置レベルが原子炉建屋と同じがごとく描かれています。つまり、福島原発事故の教訓「津波高さ15m」を原子力発電所全体設計に取り込んでいないということです。

[新しい規制基準で求められた主な対策(イメージ)/ 九州電力]

http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/torikumi_nuclear/shinkiseikizyun_3_130813.pdf

 

(3) 20149271150分頃、御嶽山が噴火した。気象庁は「この噴火の予知は困難だった。前兆が掴めなかった」との認識を示した。⇒

http://www.asahi.com/articles/ASG9W5KFJG9WULBJ00D.html

 

御嶽山は、911日に1日80回を超える地震が観測され、地震活動が活発になっていた。ただ、山の表面が膨らむといった地下からマグマが上昇してくるようなデータは確認されておらず、北川課長は「地震の回数だけで、噴火の前兆と判断するのは難しい」と、噴火の予知は困難だったとの認識を示した。

 

原 秀一さんコメント:

川内原発は姶良火山の中腹にたっている。富士山でいえば 5合目に原発がある。約40キロに存在する火山「姶良カルデラ」の火砕流が川内原発(同県)の敷地で確認された。桜島は姶良火山の噴火口の1つ。鹿児島湾北部「姶良カルデラ」は、簡単にいうと、鹿児島湾そのもの。

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4.(メール転送です)【玄海原発3号機MOX燃料使用差止裁判結審  判決日が2015320日に決まりました】

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 全国の皆さま

2009年12月2日、九州電力が強行した日本最初のプルサーマル運転開始を受けて、私たちは2010年8月9日「 玄海3号機MOX燃料使用差止裁判」を起こしました。「普通の生活を取り戻したい」との一心で市民が立ち上がった裁判です。全国の皆さんのご支援がなければ、今日まで歩んで来る事はできませんでした。暖かいご支援をいただき本当にありがとうございました。心から深く感謝申し上げます。

 

3.11前という状況下で原告は九州住民に限られ130人の原告団で提訴しました。 2011年3月11日はMOX裁判2回目の公判当日でした。その日を境に、裁判を軸とした私たちの反原発運動も、①「MOX裁判」に加え、②2011年7月7日申立「玄海2・3号機再稼働差止仮処分」、③2011年12月27日提訴「1~4号機運転差止裁判」、④2013年11月13日提訴「運転停止を求める行政訴訟」と、4つの裁判で闘っています。

 

去る9月19日、MOX使用差止裁判は提訴から4年経ち結審しました。この度の判決に至るまでに、弁論準備という裁判所が原告・被告双方からの説明を受ける時間を非公式で3時間×3回持ち、さらに2014年7月18日、日頃からお世話になっている裁判補佐人でもあられる小山英之さん(美浜の会代表)が私たちの証人として立っていただき、公開での証人尋問が行われました。

 

判決日は来年3月20日(金)と決まりました。来年3月20日は、ぜひ佐賀地裁へかけつけてください。玄海3号機も再稼働申請を出している原発です。この裁判によって、「MOX燃料とウラン燃料は同等でない」と認められれば、伊方3号機、高浜3号機(福島3号機もプルサーマルでした)等、他のプルサーマル炉の再稼働の動向に影響を与えるでしょう。

 

また、破綻している核燃サイクルの息の根を止める一歩となると思います。あのすばらしい福井地裁判決に続いて、このMOX裁判にも明快なる判決が下される事を強く期待します。今、川内原発を何が何でも一日でも早く動かそうとしています。私たちの裁判運動が勝利し、再稼働にブレーキをかけるために、どうか力をお貸しください。法廷外運動で市民に見える形で世論喚起を、これからも頑張っていきたい思っています。

 

全国の皆さまにはお世話になってばかりですが、あらためて佐賀の裁判運動へのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会代表 石丸初美

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5.(メール転送です)「福島県環境創造センター」の展示内容へ意見を出そう!(「脱原発世界ニュース NO.37」)

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現在、福島県は「福島県環境創造センター」という放射能の研究・教育の拠点を建設中です。同センターの展示内容については、福島の市民を中心とした団体、フクシマ?アクション?プロジェクト(FAP)が、「安全神話」の施設にならないよう県議会に請願書を出し、展示内容の検討会を傍聴するなどの活動を行っています。今回、同団体が環境創造センターについてのリーフレットを作成しました。

県では同センターの展示内容について、市民の方からの意見を募集しています(10/24日まで)。ぜひ、リーフレットを読み、意見を出しましょう!

 

◆フクシマ?アクション?プロジェクト:http://npfree.jp/fukushima.html

◆リーフレット:(表)http://npfree.jp/download/20140925_1.pdf

◆リーフレット:(裏)http://npfree.jp/download/20140925_2.pdf

◆福島県による意見の公募:http://urx.nu/ckRU

◆福島県環境創造センターについて:http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16035d/

 

 

6.(メール転送です)少し長いですが、わかりやすくまとてあります。一読の価値高し。

===== Mizuho Office =============================================================

      福 島 み ず ほ の 国 会 大 あ ば れ  014/09/27

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◆リニア中央新幹線の問題について

 

730日と31日、リニアで40分で行くところを2日かけて辿るツアーという現地視察を行いました。リニア中央新幹線は、強力な超電導磁石で斜体を地上から10センチ浮上させ、最高時速500キロで走ります。品川から名古屋まで40分、大阪までを1時間7分で結びます。品川・名古屋間が2027年、名古屋・大阪間は、2045年に開通予定です。工費は、名古屋までが54,300億円、名古屋から大阪までが36,000億円とされています。

 

リニアの神奈川県相模原市、山梨県、長野県に行き、大鹿村で様々な話を聞き、中央構造線博物館で話を聞きました。それぞれの現地で、視察をし、現地の皆さんと意見交換をしました。大変お世話になりました。ありがとうございます。勉強会をし、議員会館の中で、市民のみなさんと、国土交通省や環境省と行政交渉してきました。また、先日、JR東海と国土交通省とも話し合いを持ちました。JR東海が、議員会館で行われる、市民との行政交渉には出ない、議員本人とであれば出席をするということで、議員会館の事務所に来てもらって、話し合いを持ちました。

 

リニアには、様々な問題や、未解決の課題があります。リニアに、賛成の人も反対の人も、また、あまりわからないという人も、関心がないという人も含めて、リニアは巨大プロジェクトですから、明らかにしなければならないことが山ほどあると考えています。そのことを、しっかりやっていきます。ぜひご教示をよろしくお願いします。

 

1 、リニアは、ペイをしない

リニアは、事業として、ペイをしない。これはJR東海も、国土交通省も認めている。ペイしない事業をなぜやるのか。福島東電原発事故と同様に、民間企業が、事故を起こしたり、問題が生じた場合に、尻拭いを税金でやることになるのではないか。JR東海も国土交通省も、リニアはペイしないが、JR東海には、新幹線という事業があるので、事業体全体としてはペイするということを言う。しかし、民間企業が初めからペイをしない事業をやろうとすることは、理解ができない。

 

2、難工事であり、実現ができるのか

活断層の調査などは、掘ってみなければわからない。活断層の調査などのトレンチ調査は、JR東海は、やっていない。掘ってみて、活断層などの問題が生じてきたら一体どうするのか。

 

3、大量に発生する残土の処理について、見通しが立っていないJR東海は、8割は見通しがついたというが、それは土地を発見をしたということだけであって、土地の所有者が納得したわけでも、合意が成立しているわけでもない。南アルプスでは、稜線に残土を積み上げる。これで本当に大丈夫か。崩落などが起きないかということが大問題である。また、大鹿村で聞いた話。大鹿村で排出される建設残土は約300万平方メートルである。そのためには一日に最大で1,736台ものダンプカーが村を走る。村の狭い道を、小学校も保育園もある道を1分に3台ものダンプカーが走ることになる。そのことだけでも問題である。

 

4、地下水の問題、水枯れ

工事をする側のデータでも、大井川は毎秒2トン減水する。毎秒2トンという事は1分間に120トン、1時間に7200トン、1日に172800トン、1年間で63072000トンの減水となる。これは工事をする側の試算なので、さらにもっと減水する可能性がある。山梨県を視察したときに、実験線によって、渇水した場所をいくつか見た。高レベル廃棄物の処分を研究する地層処分センターを、北海道の幌延、岐阜県の瑞浪で視察をした。これは、縦に掘っていくものであるが、地下水との闘いであった。

 

幌延も、瑞浪も、地下水が流れていて、瑞浪は、一日に800平方リットル以上の水をくみ上げている。そして、幌延も瑞浪も、両方とも、その水を、処理して、安全基準を満たした形で、河川に放水をしなければならない。そのための費用も高くかかっていた。つまり、地下を掘るという事は、まさに地下水との闘いである。さらに言えば、福島東電原発も土地を掘ったということがあり、地下水との闘いとなっている。地下を掘るという事は、地下水脈を、遮断をしたり、変えてしまうということである。

 

それで、渇水や、水の流れが変わるということが起きている。そこで、前述したように、山梨県では、実験線によって、すでに喝水したところが出ているのである。リニア新幹線によって、大井川が、毎秒2トン減水するなどの被害が生じる。それを止めるために、手当をし、防水シートを貼るというが、それでできるのだろうか。納得できるような説明はないと考える。

 

5、原発1基分の電力を消費するリニア

中央新幹線環境影響評価書のあらましによっても、2027年東京名古屋間開業時想定で、ピーク時の消費電力は約27万キロワットであり、2045年東京大阪間開業時想定で、ピーク時の消費電力は約74万キロワットである。これは原発1基の電力と同じである。新幹線の3倍、電気を消費するとされている。電力消費が多大であるリニアを動かす事は、浜岡原発を含めた原発の再稼働につながるのではないか。

 

2011514日、JR東海の葛西会長は、「原発継続しか活路はない」と題した談話が、新聞に載った。この談話は、リニアのために原発継続といったものではないが、リニアを動かすのに大量の電力を消費するということが、浜岡原発の再稼働などにつながる危険性はある。少なくとも、このように電力を消費するリニアは、省力化が言われている中で、未来の輸送手段と言えるだろうか。

 

6、電磁波の問題

 

7、ウラン鉱床の問題

リニアが通る予定の岐阜県東濃地区は、日本のウラン埋蔵量の6割が集中しているウラン鉱床地域である。リニアはほぼ真っ直ぐにしか走れないため、もし、地下トンネルでウラン鉱床にぶつかると避けようがない。JR東海は、「ウラン鉱床は極力回避する」と説明するが、回避できるほど、地中の地層は、判明していない。建設残土はどうなるのか。またウラン鉱床にぶつかった場合は、ラドンガスが出てきてしまう。

 

8、希少動物などに与える影響

 

9、避難の問題

ほとんどトンネルという中で、避難ができるのか。大鹿村で、ここが非難する出口になるという場所を教えてもらった。トンネルの中を長時間歩かなければならず、出たところも、厳冬であれば、そこからどう避難をするのか。エレベーターは、40人乗りだという説明をJR東海から聞いた。ただし、リニアには、1,000人以上の人が乗っている。運転士がいなくて、乗務員は3人である。3人で、1000人の人たちを避難させることができるのか。そして、それは新幹線と違って、大部分がトンネルの中である。事故が起きれば、避難することが困難となるのではないか。

 

たくさんの問題点、疑問点が存在する。国土交通省が、このリニア新幹線の計画について、近々、ゴーサインを出すのではないかと言われている。大問題である。少なくとも、さらに多くの議論が必要である。

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7.その他

(1)邦楽 NO NUKES 2014 3年目を迎えた「脱原発」フェスティバル・完全レポート 特集 RO69(アールオーロック) - ロッキング・オンの音楽情報サイト

 http://ro69.jp/feat/nonukes2014_201409/

 

(2)【自民党憲法改正草案】見やすい対照表で現憲法との違いが分かる! 第9章 緊急事態 [98~99] 

 http://tcoj.blog.fc2.com/blog-category-9.html

 

(3)EconomicNews(エコノミックニュース)

 http://economic.jp/?p=38605

 

(一部抜粋)

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また、提言は「同時複合災害に対する備えとして、国・地方、民間を含め、現場の救助・復旧面や行政面での人員を機動的に動員、指揮命令できる権限を持ち、平時であっても救助・復旧に関する研究、機材の開発、訓練など総合的に対応する『緊急事態管理庁(仮称)』などの設置を至急検討するよう」求めた。

 

 また、「原子力防災体制では、緊急事態管理庁設置の検討を待つことなく、専任の常駐スタッフを配置するなど、内閣の責任において一元的に万全の地元対応ができる体制を早急に構築すべき」としている。

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(田中一郎コメント)

 『緊急事態管理庁(仮称)』など、自民党が持ちだす「ショック・ドクトリン」の1つです。火事場泥棒的に、ロクなことをしない、ロクでもない役所になること必定です。これまでの災害で、政府や役所が住民を守るために体を張って頑張ったためしなど一度もありません。政府は、くだらないことを税金かけてやるよりも、東日本大震災や福島第1原発事故の被害者の救済や賠償・補償をちゃんとやれ、ということです。「専任の常駐スタッフ」など、いざとなったら、真っ先に逃げ出すに決まっております(事実、福島第1原発事故の際も、オフサイトセンターの人間達は真っ先に逃げ出した)。

 

(4)2014-10-04 10.8山﨑博昭プロジェクト ー50周年まであと3年」 ─講演 山本義隆氏 IWJ Independent Web Journal

 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/173590

 

108山崎博昭プロジェクト

 http://yamazakiproject.com/

草々

 

東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(7)複数炉が暴走、負の連鎖、被ばくしてホース交換

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

東京新聞が9/15よりシリーズで報道し始めた吉田調書(政府事故調による吉田昌郎福島第1原発所長(当時)証言記録)に関する特集記事「調書は語る:吉田昌郎所長の証言」を見ながら、福島第1原発事故の実態とその原因を探ってみたいと思います。第7回目の今日は下記の東京新聞記事です。なお、私のメールでは、このシリーズ特集記事にある、主として吉田昌郎所長証言のあいまいさや、証言から推察される福島第1原発事故深刻化の原因となったであろうことがらを取り上げて、簡単にコメントいたします。

 

 <別添PDFファイル>

● 調書は語る(7):複数炉が暴走、負の連鎖、被ばくしてホース交換(東京新聞 2014.9.23

 http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/d2bb8026fdfa60fb1fb9b0c1efbf1546

 

1.東京新聞記事

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東京電力福島第一原発3号機の水素爆発は、さあ2号機にも注水開始という段階で、海水注入のホースを吹き飛ばし、消防車も損傷させた。死者こそ出なかったが、けが人が発生。混乱の中、かろうじて冷却が続いていた2号機の状態は急速に悪化していく。危機が連鎖する複数炉の問題点を見せつけた。(肩書はいずれも当時)

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(田中一郎コメント)

「危機が連鎖する複数炉の問題点を見せつけた」は、福島第1原発事故後3年半を経て忘却の彼方へ追いやられそうになっている大問題である。1つの原子炉や使用済み核燃料プールが大地震や大津波などの自然災害が引き金になって核燃料溶融を起こして破綻し、仮に大量の放射能を環境にまき散らしてしまったら、同じ場所に存在する(あるいは近隣地に立地する)その他の原発・核燃料施設についても、手の着けようがなくなる。何故なら、猛烈な放射能汚染のために人間が近づけなくなるからだ。

 

 しかし、この狭い日本列島では、柏崎刈羽原発や福井県若狭湾岸、あるいは下北半島などのように、すべからく複数の原発・核燃料施設が立地していて、いずこも「原発銀座」の状態である。この状態は、1つの原子炉事故を複数の原発・核燃料施設に波及させ、未曾有の巨大核災害に膨張させてしまう危険性を潜ませた回避すべきものであることは、福島第1原発事故の成り行きを見れば明らかだ。原発立地に関して、安全性の観点から、抜本的な法制度見直しが必要である。端的に申し上げれば、複数機の原発・核燃料施設の立地を認めない=法律で禁止する、ということだ。

 

2.東京新聞記事

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<(中略)既に3号機が危険な状態の中、前日の十三日午後、「ジジイの決死隊」(吉田氏)を編成して2号機にホースをつなぎ、海水注入の準備を終えた。その努力は3号機の爆発で吹き飛んだ。十一人の負傷者が出たが、作業は山積している。格納容器は破裂していないとの判断で、作業員たちはもう一度、現場に出た>

 

「2号機の注水の準備をしないといけない。ほっておくともっとひどい状態になる。もう一度現場に行って。ただ現場は多分、がれきの山になっている。がれきの撤去と、必要最小限の注水のためのホースの取り換えだとか、注水の準備に即応してくれ』と頭を下げて頼んだんです。」

 

「ほとんどの人間は過剰被ばくに近い被ばくをしてホースを取り換えたりとかですね。やっとそれで間に合って、(3号機は)海水注入が十六時三十分に再開できたんです」

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(田中一郎コメント)

「ほとんどの人間は過剰被ばくに近い被ばくをしてホースを取り換えたりとかですね。やっとそれで間に合って」は、何だか危機状況下での勇気ある作業員による決死の努力として「美談」のように見えるが、決してそんなものではない。「原発銀座」状態を創り上げてしまったのは、もっぱら(原子力推進の)政治の力とご都合主義(立地地域自治体や住民とのネゴの苦労がいらない)、そして原発のコスト削減のバイアスであり、その結果、原発施設全体が負の連鎖関係に陥って、危険度を増大させることとなっている。

 

 いわば、原発を進める上での不合理やご都合主義が、過酷事故を通じて、結果的に現場作業員の大量被ばくという形で「ツケ回し」されているのである。そして、この不合理な原発推進の張本人達は、結局、事態収拾のために現場に現れることもなく、事態収拾にほとんど役に立たぬまま、まるで評論家のようなパフォーマンスか、途方に暮れた絶叫を繰り返すにすぎなかった(「東電TV会議」)。これが「原発レジーム」の(ある意味での「差別構造」の)一つの側面である。

 

3.東京新聞記事

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(問い)「爆発の後、限られた人材や物資をどこに優先的にと考えていたか」

 

「やはり注水ですね。もう全部です。結局、1、3号機についていうと、燃料露出させてしまったんで、しょうがない。水を入れるしかないということで、極力継続して水を入れるというのと、2号機は、できれば(核燃料が水から露出し始める)TAFに行く前に水を入れたくてしょうがなかったんです。そのための準備を早くしようと、このポイントは最大のポイントだと思います」

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(田中一郎コメント)

 「炉心への冷却水の注水とそのための圧力容器減圧(SR弁開く、ベント)、格納容器破損防止のための減圧(ベント)」、これが吉田昌郎所長の、この時の「絶対目標」だった。水素爆発防止や電源確保、人員や資材の補給(本社・本部への要請)など、他にも重要なことはあったが、吉田昌郎所長はそれ以上にこの2つを最大に重視していたようである。いつ原子炉が格納容器ごと吹っ飛ぶか分からない、あるいは溶融し始めた核燃料が原子炉の二重の容器の外へ出てくるかもしれないという状況下で、それはそれなりに重要な意味のある、適切な判断だった。

 

(注:SR弁=主蒸気逃し安全弁=圧力容器の圧力が高まった時に、その圧力を下げるため、圧力容器内の水蒸気等の気体を原子炉下部の圧力抑制室(サプレッション・チェンバー:SC)に導くための安全弁。ラプチャー・ディスクと言って、一定の圧力以上になると、自動的に開くようになっている弁)

 

 しかし驚くことに、今般、再稼働の認可へと猪突猛進している川内原発をはじめ、これから再稼働されようとしている原発の場合には(当面は福島第1原発のような沸騰水型原子炉ではなく、すべて加圧水型原子炉だが)、この吉田昌郎所長と福島第1原発の現場作業員が命がけで遂行しようとした「炉心冷却」と「原子炉容器内圧力の減圧」という過酷事故対策を放棄しようとしているのだ。信じがたいという他ない。

 

 元東芝の技術者だった後藤政志氏は、自身の川内原発再稼働審査に係るパブコメ意見書の中で次のように述べる。

「冷却材がない状態で炉心溶融開始後に原子炉へ消火系配管等から注水して冷却しようとすると燃料が損傷し、水蒸気と反応して大量の水素が出て冷やすことが困難である可能性があるとのことだが、これでは、炉心冷却ができないと言っているに等しい。」

「川内原発1,2号機では、炉心溶融を起こした場合には、格納容器下部に大量の水を張って、原子炉から出てくる溶融デブリをそのプール水に落とすとしているが、水蒸気爆発の危険性を無視した自殺行為である。ただちに撤回を求める。」

 

 つまり、安倍晋三が言う「世界一厳しい原発の規制基準」とは、炉心溶融を起こしたら「お手上げ状態」であり、あとは「水を張って」、ドロドロに溶けて燃え盛る核燃料がボトリと下に落ちるのを待つだけ、という過酷事故への無為無策の対応を、それでもいい、という基準であることを意味している。こんな(新)規制基準で稼働される原発など、認めるわけにはいかない。

 

4.東京新聞記事

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 <こうした現場の努力にもかかわらず、3号機の水素爆発からわずか一時間ほど後、2号機の原子炉の水位が低下。吉田氏が恐れた通り、何日も炉内の熱と水蒸気の力で動き続けてきた非常用冷却装置(RCIC)が止まった>

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(田中一郎コメント)

 福島第1原発事故の検証の中で重要なものに、大地震による原発過酷事故の際に、非常用炉心冷却装置(ECCS)がどこまで有効に働くのか、あるいは、その耐震性はどこまでか、ということがある。1号機について言えば非常用復水器(IC)、2,3号機について言えば高圧注水系(HPCI)と、上記にある原子炉隔離時冷却系(RCIC)だ。1号機にしろ、3号機にしろ、これらの非常用炉心冷却装置(ECCS)は、手動で止められたり、再び稼働されたりしていて、どうもその操作状況がおかしい・怪しい。

 

 何故、このようなストップ・アンド・ゴーを繰り返したのか、十分な検証が必要だが、これがおざなりに放置されている(正確には、国会事故調が適切に問題提起しているのに、その後のフォローがきちんとなされていない)。その中で、2号機の、この原子炉隔離時冷却系(RCIC)だけは、最も長く正常に動いていた非常用炉心冷却装置(ECCS)と思われ、これが3/14昼の3号機爆発の1時間後に停止してしまったのは、なんら問題がないことなのか(期待どおりなのか)、疑問なしとしない。

 

 いずれにせよ、非常用炉心冷却装置(ECCS)の改めての機能の検証と、大地震・過酷事故時の機能の有効性について、複数ある非常時冷却系すべてについて、再度、福島第1原発事故を踏まえた検証が必要不可欠である(「再度」というのは、かつてスリーマイル島原発事故の際にも、非常用炉心冷却装置(ECCS)の機能の有効性や、フール・プルーフ、フェイル・セイフなどの原発の安全設計の有効性・実効性が根底から問い直されたことがあるからだ)

 

● ウィキペディア:非常用炉心冷却装置(ECCS)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E5%B8%B8%E7%94%A8%E7%82%89%E5%BF%83%E5%86%B7%E5%8D%B4%E8%A3%85%E7%BD%AE

 

5.東京新聞記事

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<3号機の水素爆発による負の連鎖>

 建屋が爆発、負傷者11名(死者が出なかったのが不思議)

 2,3号機の間にがれきが散乱し車両が通れなくなった

 2号機では、ベントに必要な弁が閉じたまま動かなくなった

 唯一の水源だった3号機海側の堀ががれきで埋まった

 注水用に配置されていた消防車が破損

 注水用に用意されていたホースがズタズタになり、それまでの努力が水の泡

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(田中一郎コメント)

 3号機の爆発は1号機の爆発よりも、現場を深刻な事態に追い込んだ様子である。「2号機では、ベントに必要な弁が閉じたまま動かなくなった」とあるのは、ひょっとすると、爆発により、ベント装置を含む制御系の配管、または電気設備に支障が出たのかもしれない。ともかく複数機の炉心暴走が「共鳴」して、負の暴走を始めたということだ。

 

6.東京新聞記事

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<吉田氏の言葉通り、現場は制御を失った三基を相手に奮闘。まさに時間との闘いの中、被ばくの危険も顧みず、何とか2号機の注水準備を再び整えた。だが、今度は炉内の圧力が高く、注水できない>

 

「圧力が下がらない。下がらないところに水を入れても入らない。だから、圧力を下げるのが最優先で、ここでのミッションは注水なんです。ベント(排気)は、そのために圧力を逃がしておけば出やすいだろうと。」(中略)

 

「炉圧が上がるだとか下がるだとかいうことも初めての経験ですから、よくわからないという中でやっているわけですね」

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(田中一郎コメント)

 いみじくも過酷事故対策・対応の準備は全く何もなかったということを、ここで吉田昌郎所長が白状をしているようなものだ。こんな状態だったのに、愚かにもバックアップ用の非常用電源までもを同じ地下室に置いて、津波や水害の時にはアウトになるのが自明なまま、東日本大震災を迎えてしまった福島第1原発。何故、吉田昌郎所長をはじめ、東京電力幹部達や原子力ムラ代理店政府は、かような原発を「絶対に安全」と言い、「過酷事故など10万年、100万年に1度程度の確率でしか起きない仮想の事故・ありえない事故だ」などと言い続けていたのか。しかし、これについての反省の声は、関係者からはほとんど聞こえてこない。(聞こえてこないどころか、今なお、「確率論的安全評価(PSA)」だの「確率論的リスク評価(PRA)」だのと、変わり映えのしないゴタクを並べている)

 

7.東京新聞記事:(愚かものの挙動その1:斑目春樹原子力安全委員長)

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「官邸から電話がありまして、班目(まだらめ)(春樹原子力安全委員長)さんが出てきて、早く(ベント弁を)開放しろと。四の五の言わずに減圧、注水しろと。」

 

「班目も名乗らないんだよ。あのオヤジはですね。もうパニクっている。何だこのおっさんは、と思って聞いていると、どうも班目先生らしいなと思って、何ですかという話をして。そうしたら『今はもう余裕がないから早く水を突っ込め、突っ込め』と言っているわけですよ。」

 

「今、ベント操作しているんですけれども、という話をしたら、『ベントなどをやっている余裕はないから、早く突っ込め』と言っているんですよ」

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(田中一郎コメント)

 信じがたいような原子力安全委員長の発言ではないか。原子力安全委員長とは、本来であれば、原子力工学の専門家として総理官邸の原発事故対策本部にあって、総理を補佐しながら過酷事故対策の実質的な総指揮をとらなければならない立場である。その人間がこんな調子では、鎮まる事故も鎮まらない。上記よりも少し前の3/12には、菅直人(当時総理)の「水素爆発はあるのか」との質問に対して「ない」と答えた直後に1号機が水素爆発し、それを見た斑目春樹が「ああああああ・・・」などと呟きながらしゃがみこんだという。まさに、斑目春樹ではなく「出鱈目春樹」だ。

 

 いったい誰が、かような人間を原子力安全委員長に選んだのか。また、他の原子力安全委員会委員達は何をしていたのか。これこそが「任命責任」が問われなければならない最大の問題ではないのか。(私は、現在の田中俊一原子力「寄生」委員長や、原子力「寄生」委員会の他の委員も、いざとなったら上記と大差ないだろうと思っている。斑目春樹のように「見苦しく正直」ではなく、屁理屈上手のずるがしこさがあるので、よけいにタチが悪いようにも思えてならない)

 

7.東京新聞記事:(愚かものの挙動その2:清水正孝東京電力社長)

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「清水(正孝東電社長)がテレビ会議を聞いていて、『班目委員長の言うとおりにしろ』とかわめいていました。『現場も分からないのによく言うな、こいつは』と思いました」

 

(問い)「現場としては、ベント準備が先決という感じか」

「そのまま継続しようとしたんだけれども、できない(という)話が入ってくるんで、では減圧するしかないのかという話をしているときに、清水社長が、技術的内容を理解しているかどうか知りませんが『やりなさい』ということをおっしゃるわけですね」

 

(問い)「今回の一連の事故対応の中で、清水社長が現場に「これをやれ」とかいうふうに言ったことは」

 「初めてではないですか。このとき」

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(田中一郎コメント)

 東京電力の清水正孝社長、この男も斑目春樹原子力安全委員長とよく似たタイプである。非常時・緊急事態時には全く役に立たない、平常時のヒラメ型お飾り人形のようなタイプなのだろう。本社で現場無視・軽視の机上の空論の会議ばかりをやり、本社スタッフがそろって「ノーナシ集団」となり、その筆頭格に抜擢されたのがこいつだ、ということなのだろう。この清水は、その後も体調不調を理由に、多くの東京電力の役職員を置き去りにして病院に逃げ込んでしまう。そして、退院後も、福島第1原発事故の実態解明・原因究明に役立つような発言は一切行わないまま、東京電力の関連会社に高給取りとして天下って行った。勝俣恒久東京電力会長とともに、絶対に許しがたい御仁の一人である。

 

● 東電のあの人は今どこへ? 国民が知らないうちに海外逃走!勝俣恒久、清水正孝 - NAVER まとめ

 http://matome.naver.jp/odai/2131287268645378701

 

(上記は、実はそうではない、国内にいるようだ、という情報もある。しかし、こんな噂が立つには、それなりの理由もあるのではないか)

 

8.東京新聞記事

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<吉田氏は、難しい作業に苦心する現場に対し、あまりに無理解な本店や官邸に憤りを募らせる>

 

「みんなそう思っている。私だって、早く水を入れたくてしょうがない。だけれども手順ってものがありますから、現場ではできる限りのことをやって、後がスムーズに行くようにと思っているんですけれども、なかなかそれが通じないんですね。ちゅうちょしていると思われているんです。現場がちゅうちょしているなどと言っているやつはたたきのめしてやろうとか思っている。私は、菅(直人)首相にかかろうが何しようがいいんです、そんなことは。『早く圧力下げる、早く水入れる』と、これしか考えていないのに、あたかも現場がちゅうちょしたようなことを言うやつは全員、後で何か仕返ししてやろうと思っています。本当に。仕返ししてください。代わりに。よろしくお願いしますよ」

 

<結局、2号機への海水注入ができたのは二十時近くになってから。吉田氏の当初の考えより八時間も遅れた。そして、本当の危機に突入していく>

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(田中一郎コメント)

 この吉田昌郎所長の怒りの発言は慎んで聞いてあげたい。東京電力本社・首相官邸本部にいた人間は、(自分達が如何に役に立たなかったかをよく振り返り)改めて耳を皿にして良く聞くことだ。

 

 <最後に>

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「3号機の水素爆発は、現場に出ていた作業員たちに生命の危機を感じさせた。」

「煙を測ったら放射線量が毎時50ミリシーベルトあった。」

「2号機と3号機の間は爆発のがれきがあって、よけながら走って逃げた。線量が100ミリシーベルトのところもあったと語った。」

「現場から「(堀周りの)線量が400から500(ミリシーベルト毎時)。いろんなものがあるから高いんで、平ブル(ブルドーザー)でがーっとしないことには…」と悲鳴が上がった。」

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(これが原発過酷事故の現場である。これでも「不幸中の幸い」で、最悪事態には至らなかった。しかし、その理由はよくわからない。首の皮1枚で日本は破局からまのがれた。2度とかようなことを経験しないためには、原発・核燃料施設はすべて廃止する他に方法はない)

草々

 

 

2014年10月 4日 (土)

本日(10/4)のいろいろ情報 (メール転送含む):(1)避難解除は「賠償・補償打ち切りが目的だ」、(2)自然再生可能エネルギー買取拒否、(3)朝日新聞の「従軍慰安婦」第三者検証 (4)いわき市の学校給食 他

前略,田中一郎です。

本日(10/4)のいろいろ情報 (メール転送含むです。

いろいろありますが、ぜひ、目を通して下さいますよう、お願い申し上げます。

 

まず、川内原発反対のネット署名から

Avaaz - 「想定外」と「原発」は両立できない

http://www.avaaz.org/jp/stop_sendai_after_ontake_eruption_c/?bBbgZcb&v=47257

 

1.(メール転送:イベント情報です)避難解除は「賠償・補償打ち切りが目的だ」=やめさせよう「被害者切り捨て」

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「南相馬・避難勧奨地域の会」が現状を訴えるために上京します。

 http://hinansien-netkanagawa.org/minalifes.pdf

 

汚染の酷いこの地域の避難解除=安全認定は、福島県内の多くの地域にもあてはめられ、避難勧奨地点が解除されれば、ひとつの安全ラインの実績を作ることにもなりかねません。地域住民は区域外避難世帯への影響をも念頭に入れて行動しています。ぜひ、ひとりでも多くの方にこの集会にご参加下さいますようお願いいたします。

 

以下、経緯などです。

 

● 政府は、今月中に特定避難勧奨地点の解除をすると通知しました。

 http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140927_61027.html

 

そもそも、特定避難勧奨地点は、1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えると推定される場所(=汚染のホットスポット)を住居単位で特定し、避難の合理的な理由を認めるものです。特に放射線の影響を受けやすい妊婦や子供のいる家庭に対して特に避難を促す対応がとられました。南相馬市で154世帯が指定されています。

 

7月に世帯単位で測定調査が行われましたが

 ・世帯全部の測定は終わっていません。

 ・住民全員にも説明がなされていません。

 

※説明会の通知が郵送で届いたのが101日頃で、説明会の日程が8日、10日、11(予備日)です。 福島県外に避難している世帯が出席可能でしょうか?

この地域は山を境に飯館村、浪江町に隣接している特に汚染の酷い地域です。

 

また、多くは妊婦・子どもがいた世帯です。地域住民は、子どもたちを守ろうと、国の測定基準に沿った測定を独自に続け、地域で解除反対の署名を集め、汚染実態を南相馬市、福島県、国に対して適切な対応を訴えてきました。

 

被ばくしながら現地に残っている人たちが、同じ地域の子どもたちの将来を少しでも守ろうと、微力を承知で抵抗し続けています。必死になっています。ひとたび解除されれば、安全との認定となり、この地区から避難されている方たちの避難の権利をも否定されかねません。

 

今回の政府の措置に対し、特定避難勧奨地点を含む地域の方たちで構成される「南相馬・避難勧奨地域の会」(地点の指定有・無の両世帯が参加)が数名で上京し、

 

政府交渉および窮状を訴える集会を開きます。広く世間の皆さまや南相馬市から首都圏に避難している避難者に状況を伝える集会です。ぜひご参加ください。

 

期日 : 1010日(金)

場所 : 参議院議員会館 B104

14:0015:30 経済産業省・内閣府への申し入れ・政府交渉(調整中)

15:3017:00 一般向け集会 資料代:500円

18:3019:00 参議院議員会館前でアピール行動 どなたでも参加可

 

主 催 :

 南相馬・避難勧奨地域の会

共 催 :

 福島老朽原発を考える会(フクロウの会)

 FoE Japan

 避難・支援ネットかながわ(Hsink

 ひまわりプロジェクト南相馬

問合せ:

 info.hsink@gmail.com

 080-1257-1582

 (避難・支援ネットかながわ 坂本)

 

以上、どうぞ宜しくお願いいたします。

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2.(録画)20141002 UPLAN 白石草「住民の健康を守る!チェルノブイリと福島」

https://www.youtube.com/watch?v=fKRnx27acFs&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

3.自然再生可能エネルギーが早くも「危ない」=下記は参考サイトです(追って、詳述します)

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(1)東京新聞原発優先 縮む再生エネ 電力会社、買い取り中断次々経済(TOKYO Web)(記事は3つありますので3つともご覧下さい)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014093002000269.html

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014100190071001.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014100202000183.html

 

(田中一郎コメント)

原発再稼働に邁進しながら、法律で義務化された自然再生可能エネルギーは買い取れません、はないだろう。今までたくさんの時間があったのに、スムーズな買取のための準備や設備対応、また、買取価格審査をしている政府との段取り適正化のための情報交換や打ち合わせなどを、全くと言っていいほどしてこなかったために、こんなことになっている。「混乱」に乗じて自然再生可能エネルギー買取制度をとん挫させてしまおうという、未必の故意による「ショック・ドクトリン」だ。

 

これは電力会社の責任として、この事態に伴う損失を電力会社が弁償する必要がある(そうしないと、また、このような悪質な意図的サボタージュを電力会社がやるにちがいない。ロクでもないもの(地域独占の電力会社)には、少し「やいと」をすえておく必要がある。

 

また、上記の記事にある「全量を買い取った場合、「管内の電力需要を上回る時間帯や季節が生じる可能性があり、大規模な停電を起こす恐れがある」という。」(このため、今後の対応方針が決まるまで「数カ月間」は受け入れ可否の回答を保留することにした。)が、嘘八百である可能性が高い。

 

それから、こうした事態が起きるのは、依然として地域独占の電力会社が電力の送配電網を所有しているから起きることである。既に示されている「電力自由化」のシナリオでは、配電網は引き続き地域独占の電力会社の支配下に置かれることになっているが、これがよろしくない。今回の電力会社によるインチキな自然再生可能エネルギーの買取拒否を契機に、配電網を公的な機関にうつす、いわゆる「所有分離」方式の電力自由化を、法律改正で決めてしまうべきである。かような出鱈目の再発防止には、それしかない。

 

a.電力の供給が需要を上回れば大規模停電になる??? そんな馬鹿な話があるか!!

 

b.自然再生可能エネルギーの供給が天候に左右され、供給量の上下変動が激しいので、電力需要に対してマッチングさせるのが難しい、というのなら理解できる。しかし、それは、電力の調整問題であって、マスごみが電力会社から言われるがままに垂れ流しているようなことではないはず。

 

c.一例として挙げておけば、今現在、自然再生可能エネルギーとして申請されている新規発電の電力量の大半は「メガ・ソーラー」である。私はメガ・ソーラーの大半は「自然再生可能エネルギー」とは認めがたい、旧態依然の「重厚長大型・エネルギー無尽蔵消費型施設」と考えていて、今回のことを契機に、いくつかはスクラップされた方がいい、と思っているが、しかし、それはともかく、こうした大型の「メガソーラー」については、供給量を安定化させる蓄電池設置の義務化や、電力消費のオンサイト化(短い配電網設置により、発電した場所で電力を消費する)などで対応できるはず。

 

d.自然再生可能エネルギーのうち、新時代を切り開く可能性を持ったものを優先せよ(地産地消地象型でコジェネタイプなど:「地象」とは、その土地土地を象徴・代表する発電設備という意味、たとえば、畜産酪農地帯では、牛のフンのバイオマス発電など)

 

e,既に言われているが、地域独占の電力会社間の連携線(系統配電線)がいつまでたっても拡充されていない ⇒ 法律で義務化し(期限を切った計画的拡充とコスト負担原則など)、原子力や再処理に投入されている税金をすべてこちらに振り替えよ。福島県だけ、ご機嫌とり政治で、蓄電池補助金をアップします(小渕経済産業相)などは、やることサイテー の施策。

 

(2)九州電力の再生可能エネルギー接続保留に対し声明を発表|日本での地球温暖化防止|WWFジャパン

 http://www.wwf.or.jp/activities/2014/10/1226303.html

 

(3) 和田武さんの講演「温暖化防止・脱原発・再生可能エネルギー普及による持続可能な社会への道」 - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=8mh3DgkZ9rM&feature=youtu.be

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4.(朝日新聞)本紙の慰安婦報道、第三者委員会7氏で検証 9日初会合:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/ASGB24TH3GB2UHBI01T.html

 

こんな「第三者委員」で、まともな検証ができるとはとても思えない。特に、外交評論家の岡本行夫氏(68)、国際大学学長の北岡伸一氏(66)、ジャーナリストの田原総一朗氏(80)、などは、論外中の論外人士たちだ。朝日新聞の経営陣・幹部クラスの腰抜けぶりと、現場の記者達、あるいは読者に対する重大な背信行為であり、また、2005年の従軍慰安婦問題でNHKの内部告発をした直後に、同じような「第三者委員会」が行った検証の「失敗」を、更に大きなスケールで繰り返すものに他ならない。この朝日新聞の現経営陣、だめだ、こりゃ、全員退陣せよ。

 

5.(メール転送です)いわき市が学校給食に地産地消のコメを使う=やめて下さい

 

● 給食に市内産米検討 いわき市教委、12月ごろから 県内ニュース 福島民報

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014080617313

 

-------(以下、拡散等歓迎します)---------

 【福島のお母さんたちが呼びかけるネット署名、提出日は109日!5日まで署名できます。拡散希望!ネット署名【給食で内部被曝をさせないで!】

いわき市長清水敏男様、いわき市教育委員会教育長吉田尚様:

原発事故の被害を受けた子どもたちの学校給食で地元のお米の使用を急ぐことを辞めてください

 

ネット署名 http://t.co/V1ADK7uXes

 

@change_jp さんから 

https://twitter.com/lapislazuli_y/status/517934570734252032

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6.NHKスペシャル| 老人漂流社会 老後破産の現実

 http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0928/

 

(参考)東京新聞介護保険料 65歳以上の滞納急増 老いの貧困、制度揺るがす社会(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014100102000157.html

 

(田中一郎コメント)

 現代の貧困・困窮問題や、社会保障・社会福祉の問題を、「世代間対立」にすり替える論法には全く同意できません。先週、放送されたNHKスペシャル「老人漂流社会 老後破産の現実」は、その現実の生々しくも悲しい実態に、衝撃を受けるものでした。再放送の可能性がありますので、お見逃しなく。

 

 若者の貧困・社会保障問題を解決するためには、世代間のバランス、などという耳触りのいい言葉で高齢者を切り捨て、問題の本質を「世代間の対立」に切り替えて、めくらまし議論をしている連中に惑わされないようにしましょう。これからの日本は本格的な高齢化社会に入りますが、そのための準備はほとんど何もできておりません。高齢化は、何も人間だけでなく、かつて整備された社会インフラや生活インフラも高齢化・老朽化していくのです。

 

 過去に、親が整えてくれたさまざまな施設や仕組みを、ごくつぶしの息子や孫たちが、ゴタクと屁理屈を吐きながら「食いつぶしている」=これが今の日本の現状です。これをひっくり返すには、自民党や民主党や、その間に存在しているさまざまな補完勢力・政党(「維新」や「みんな」など)などを政治の世界から一掃し、新しい時代を切り開ける「まっとうな」政治勢力・社会勢力を市民が創りだしていくほかはないのです。だれかが「やってくれる」ことはありません。政治から逃げ回ることは、やがて訪れるであろう、出鱈目累積の結果としての社会崩壊を受け入れることに等しいのです。

 

(また、上記の東京新聞記事にも目を通してみてください。危機が迫っています。しかし、こうしたことに対処するという「口実」で増税された消費税は、その大半を、法人税減税と国土強靱化という無用不急の公共土建事業と軍事費支出拡大に使われ、そのうちのハナクソほどが、社会保障・社会福祉に回されております。消費税をやむを得ない、などとほざいていた御用学者どもの大半は、税金を庶民から吸い上げる方については雄弁でも、その資金使途については、だんまりを決め込んでいます。現代経済学者、財政学者などというインチキ人士たちを、大学から追い払いましょう。大学は解体すべきです)

 

7.(参考)原子力用語辞典 核燃料サイクル開発機構 ホームページ

 http://www.jaea.go.jp/jnc/siryou/hyouka/HY000904/yougo.html

草々

 

 

 

東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(6)3号機も水素爆発、ものすごい恨みつらみ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

東京新聞が9/15よりシリーズで報道し始めた吉田調書(政府事故調による吉田昌郎福島第1原発所長(当時)証言記録)に関する特集記事「調書は語る:吉田昌郎所長の証言」を見ながら、福島第1原発事故の実態とその原因を探ってみたいと思います。第6回目の今日は下記の東京新聞記事です。なお、私のメールでは、このシリーズ特集記事にある、主として吉田昌郎所長証言のあいまいさや、証言から推察される福島第1原発事故深刻化の原因となったであろうことがらを取り上げて、簡単にコメントいたします。

 

 <別添PDFファイル>

● 調書は語る(6):3号機も水素爆発、ものすごい恨みつらみ(東京 2014.9.22

http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/e2b7df9fc5309fc5bfe33df4474358d3

 

1.東京新聞記事

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東京電力福島第一原発3号機が、水素爆発を起こした1号機と同様の危険な状態になりつつあることは、吉田昌郎(まさお)所長も重々認識していた。建屋に水素がたまりつつある危険性も。それでも暴走を始めた原子炉はどうにもならず、建屋の上部に行って水素ガスを抜こうにも、放射線量が高く、手の出しようがなかった。結局、3号機も水素爆発を起こしてしまった。(肩書はいずれも当時)

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(田中一郎コメント)

 1号機の水素爆発から3号機の水素爆発までは、丸2日間の時間的余裕があったけれども、3号機の水素爆発、そしてそれに続く4号機や2号機(?)の水素爆発をついに止めることはできなかった。1979年のスリーマイル島原発事故において、あれだけ焦眉の大問題となった原発の水素爆発の危険性について、日本の原子力ムラは「それはアメリカでの話だから」とばかりに、軽視してきた結果が今回の事態である。

 

 なお、原発の水素爆発には、次の3種類があり、それぞれについて、水素爆発防止の設備対応が必要であることは言うまでもない。しかし、今般、川内原発を再稼働させんとしている原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の新規制基準においては、この水素爆発防止の対策がまことに心もとない状態にある。このままでは、再びの水素爆発の可能性は否定できない。

 

(1)原子炉建屋での水素爆発=建屋内に水素を溜めないよう、ブローアウトパネルのような建屋の「窓」を、停電時においても自在に開閉できるようにしておくといいのではないか

 

(2)使用済み核燃料プールでの水素爆発=使用済み核燃料プールの安全対策の一環で、厳重かつ詳細に検討される必要がある。今現在の原発管理において、最も「手抜き」がひどく、原発が動いていない時であっても、この使用済み核燃料プールの(地震・津波・火山・航空機墜落等での)崩壊による原発過酷事故の可能性・危険性が懸念される。

 

(3)格納容器内での水素爆発=これが起きると、原子炉の核燃料が粉々になって四方八方に飛び散り、原発周辺は破局的な終末を迎える。こうならないように、実際の原子炉では、格納容器内に窒素ガスを入れておく(沸騰水型原子炉のみ)ことや、ベント装置を機能させるなどなど、さまざまな水素爆発防止対策がなされている。しかし、その有効性については疑わしく、川内原発などの加圧水型原子炉の場合には、格納容器の大きさが大きい(他方で、格納容器の耐圧性が低く=要するに壁の厚みが薄い)、沸騰水型に比べて格納容器が壊れやすい)ことだけを根拠にして「水素爆発は起こりにくい」とし、たとえば格納容器への窒素ガス注入をやめるなど、水素爆発防止対策の「手抜き」がみられる。

 

 また、原発で起きうる爆発としては、次の4つがありうるので、これもテイクノートしておかれるといい。

 

(1)水素爆発:燃料溶融に至るほどの高温の核燃料棒の被覆管であるジルコニウム金属と水(蒸気)との反応で水素が大量発生する他、溶融核燃料と原子炉構造物の素材であるコンクリートが反応しても(「コア・コンクリート反応」)水素が発生する。

 

(2)水蒸気爆発:溶融した高温の核燃料が大量の水と触れた時に爆発的な反応を示すことがある。チェルノブイリ原発事故で大問題となった。

 

(2)一酸化炭素爆発(CO爆発):上記の「コア・コンクリート反応」)では、水素だけでではなく、コンクリートに含まれている石灰岩の炭素と溶融核燃料が反応して一酸化炭素を大量発生させる。一酸化炭素はよく知られた爆発性の気体だ。昨今では、3号機の爆発は、ひょっとすると、この一酸化炭素爆発を伴っていたのではないかという人が出てきた。

 

(4)核燃料の臨界爆発(即発臨界、再臨界):核燃料が一定量以上、接近しすぎた場合や、核燃料を冷やす水に含まれるボイド(泡)のつぶれ具合で、水の中の中性子が核分裂を引き起こしやすくなり、一気に核分裂反応が進むことがある(臨界爆発)。3号機の爆発はまさにこれだ、という説が有力。

 

2.東京新聞記事

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(問い)「ベントの準備は」

「圧力が上がって、ラプチャーディスク(誤って弁が開いても、汚染蒸気を外部に出さないよう配管内をふさぐステンレス板)を開けば(炉内の蒸気が)自動的に出るようにしておけという指示はしてあった」

 

「(開いたかどうかは)分からないんですよ。本当に分からない状態で操作しているんです。本来、確認すべき監視項目が何も見られない状態ですから。あたかも完璧な原子炉でベント(排気)するようなイメージで話をされると、これもまたムカつくんですけど」

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(田中一郎コメント)

「本来、確認すべき監視項目が何も見られない状態です」とは、原子炉や核燃料の状態を把握するための計器類(水位計、圧力計、温度計、その他)がSBO(全電源喪失)以降、ほとんど機能しなくなったことを意味しているのであろうが、この事態は深刻だ。この福島第1原発事故の経験を踏まえて、新規制基準では、こうした計器類や、電気力あるいは空気圧で動く制御系装置などについて、動かなかった原因、適切な表示ができなかった原因、などを明らかにし、そうしたことが起きないような「改良」が義務付けられていなければならないはずである。しかし実際は、こうした困難の経験は新規制基準には活かされていない。原発の過酷事故時には、再び同じことが起きると思っておいた方がよい。

 

 また、吉田昌郎所長は「あたかも完璧な原子炉でベント(排気)するようなイメージで話をされると、これもまたムカつくんですけど」と証言するが、これまで絶対安全だと吉田昌郎所長らが何度も何度も言い続けてきたにもかかわらず、たかが震度6強程度の地震と、太平洋沖合が震源の地震には常に「付き物」の「わずか15~20m程度の高さの津波」で、にっちもさっちもいかなくなった、この福島第1原発のザマに対して、私たちの方がムカつく。

 

3.東京新聞記事

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「私は中にいたので、外からどういう動きをしていたかはちっとも分からないので、結果として何もしてくれなかったということしか分からない」

 

 「逆に被害妄想になっている。結果として誰も助けに来なかったじゃないか。本店にしても、どこにしてもこれだけの人間で、これだけのあれ(作業)をしているにもかかわらず、実質的な効果的なレスキューが何もない。ものすごい恨みつらみが残っていますね」

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(田中一郎コメント)

 吉田昌郎所長の証言にある理不尽とも言うべき現場の困難については、深刻な事態であるという認識が必要だ。首相官邸も、東京電力本社も、霞が関の各省も、自衛隊も、原子炉メーカーや原子力ムラの学者どもも、いったい何をしていたのだろうか。危機管理対応能力が完ぺきに欠如している。こんな状態・体制のまま、原発・核燃料施設を再稼働するなど、正気の沙汰ではないか。

 

4.東京新聞記事

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<平常時なら、パネルの表示を見れば炉の状況は簡単に把握できる。しかし、判断するための材料はほぼ得られず、建屋から水素ガスを抜こうにも、水素がたまっているとみられる場所は三十メートルほど上。放射線量の問題もあり、とても建屋には入れなかった>

 

(問い)「海水をどんどん入れているのに、なぜ(炉の)水位が下がっていくのか」

「(圧力容器から)水が相当漏れていると」

 

(問い)「炉圧力が下がらない原因は」

「結局、ラプチャーディスクを割るような、圧力バランス(一定の圧力まで高まらないと、配管内のディスクが割れず、ベントもできない)まで行っていないんだろうと。開けたつもりでいるが、開いていない可能性が高いんだろうと思っていました」

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(田中一郎コメント)

 「建屋から水素ガスを抜こうにも、水素がたまっているとみられる場所は三十メートルほど上。放射線量の問題もあり、とても建屋には入れなかった」は、2号機については、1号機の水素爆発の衝撃でブローアウトパネル(建屋の横窓)が開いたように、3号機についても、建屋にたまった水素ガスを外へ逃がすために、ブローアウトパネルを開けたかったが、放射能がきつくて近寄れなかったということだろう。

 

 しかし、これはほんとうなのか? 爆発前の3号機原子炉建屋内の放射能は、人が近寄れないくらいに殺人的な線量だったのだろうか。私は怪しいように思う。むしろ、爆発するまで、水素ガスのことなど真剣に考えていなかったのではないか。また、ブローアウトパネルについても、現状のままでは、水素爆発防止の観点から見て「欠陥設備」そのものである。非常時にもっと簡単に開けられるような造りにしておく必要があるだろう。

 

5.東京新聞記事

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(問い)「(作業を)やられているのは」

「復旧班と発電班です。うちの連中は本当にベテランのプロで、優秀だと思います。部下たちは少なくとも、日本で有数の手が動く技術屋だったと思います。それでこのレベルです」

 

(問い)「逆に言うと、だからここで収まっている」

「収まったと思っています」

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(田中一郎コメント)

 下請けも含めて優秀な作業員がそろっていたのは「不幸中の幸い」だった。しかし、それでも、福島第1原発はご承知のような状態に陥った。やはり原発は、過酷事故の場合、どうしようもないのであり、また、その過酷事故も必ず起きるものなのだ。

 

 まら、福島第1原発事故後の現場では、東京電力による事故後の対応・対策が全くの出鱈目・愚かそのもので、何よりも、わずかな目先の費用を惜しんで次々と現場トラブルを連鎖的に発生させてしまい、現場の優秀な作業員たちを無用に被ばくさせ、作業をできなくさせてしまった(限度被ばく量=50mSv/年に達してしまった人が増加)ことは悔やまれる。政府は、当事者能力の欠如する東京電力に、いつまで福島第1原発事故後の対応を担わせるつもりなのか。

 

6.東京新聞記事

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 <現場がベント、注水を試みる間、東電本店では建屋の水素を抜き、水素爆発を防ごうと検討した。しかし、建屋上部に付いているガス抜き穴が大きな板(ブローアウトパネル)でふさがっている。開く操作をしようにも、付近の放射線量が高く近づけない。テレビ会議の記録では、「ヘリで重いものを落として壊す」「自衛隊に頼んで砲撃し、パネルを吹っ飛ばす」「ウオータージェットで穴を開ける」などの案が検討された。結局、どれも実現しなかった>

 

「パネルは、新潟県中越沖地震のからみで開かないようにしている。(新潟では)地震でがたっと落ちてしまって、開いてしまったから、逆に開きづらい方向に改造していたんです。最後ははしご車を持ってきて切るとか、準備にえらい時間がかかる。(対策を指示した)『(経済産業省の旧原子力安全・)保安院来てやれ、ばかやろう』と言いたくなるわけですよ」

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(田中一郎コメント)

 「パネルは、新潟県中越沖地震のからみで開かないようにしている。(新潟では)地震でがたっと落ちてしまって、開いてしまったから、逆に開きづらい方向に改造していたんです」ということは私は知らなかった。つまり、東京電力は、原発の水素爆発の危険性については、何の心配もせずに、他のつまらぬことを優先的に考えていたという、初歩的なミスを犯したということだ。

 

7.東京新聞記事

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<八方ふさがりの中、十四日未明、注水が一時止まり、格納容器内の圧力が急上昇した。テレビ会議で、技術的にはあり得ない重大事故を指す「仮想事故」という言葉が、吉田氏の口から漏れた>

 

(問い)「(汚染蒸気をそのまま出す)ドライウェルベントの検討は」

「もちろんしています。(水をくぐらせて放射性ヨウ素などを千分の一程度に放射性物質を取り除く)ウエットウェルベントを先行してしまったんですね。それをやっている間に爆発してしまった」

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(田中一郎コメント)

 「十四日未明、注水が一時止まり、格納容器内の圧力が急上昇した」というのは、政府事故調で「作業ミス」とされた高圧注水系(HPCI)の手動での停止のことである。この記事では、この点についての言及はないし、吉田昌郎所長の証言にも、この高圧注水系(HPCI)の停止に関する説明はない。しかし、どう考えても、何故、止めたのかの理由がはっきりしない。政府事故調が言うように、代替注水手段を確保しないうちに止めてしまうのは失敗だった、というのはその通りかもしれないが、現場にはそうしなければならない理由があったのではないか。その一つが、3号機の冷却系配管、あるいは高圧注水系(HPCI)を含む「非常用炉心冷却装置(ECCS)」の地震の揺れによる破損と、そのために起こるLOCA(冷却剤喪失事故)である。作業員は、冷却水が漏れ出て行くのを止めるために高圧注水系(HPCI)を手動停止したのではないか。同じような話が、1号機の「非常用復水器(IC)」についても言うことができる(1号機の非常用復水器(IC)についての元日立バブコックの原子炉設計技師の田中三彦氏の主張)。

 

8.東京新聞記事

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(問い)「(汚染蒸気をそのまま出す)ドライウェルベントの検討は」

「もちろんしています。(水をくぐらせて放射性ヨウ素などを千分の一程度に放射性物質を取り除く)ウエットウェルベントを先行してしまったんですね。それをやっている間に爆発してしまった」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 1号機も、3号機も、建屋内の爆発であって、格納容器内の爆発ではない。ベントは格納容器マターなので、ドライベントができたかどうかは、1,3号機建屋での爆発回避とは関係ありません。

 

9.東京新聞記事

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(問い)「保安院とか官邸がプレス発表を止めているんだというような話は」

「そんな話は初耳です」

 

(問い)「安心の状況にしてから公表しないと、不安をあおってしまうと考え、発表しなかったのか」

「私はほとんど記憶ないです。広報がどうしようが、プレスをするかしないか、勝手にやってくれと。現場は手いっぱいなんだからというポジションですから。発電所は知りません、勝手にやってくれと、こういうことですね」

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(田中一郎コメント)

 「東電TV会議」の録画を見ると、たしかに吉田昌郎所長は、記者会見のやり方をめぐる云々カンヌンの議論には、あまり興味がないようである。しかし、東京電力の経営陣や幹部達は、記者会見による被害者住民や有権者・国民への情報還元を、できれば避けた方がいい、何か「よけいなこと」「やらないほうがいいこと」「やる場合には(必要以上に)慎重を期した方がいいこと」のように認識しているのではないか、という印象を受けた。

 

10.東京新聞記事

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 <十一時一分、3号機の原子炉建屋で水素爆発。数百メートル上空まで噴煙が上がった。1号機の苦い経験を踏まえ、同じ失敗は繰り返すまいと現場は奮闘したが、実を結ばなかった>

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(田中一郎コメント)

 3号機の爆発が水素爆発かどうかは「確定」したわけではない。水素爆発に加えて核爆発、ないしは一酸化炭素爆発が同時並行で起きた可能性がある。3号機が水素爆発ではなく核爆発であった証拠と言われているものは下記の通り。

 

(1)爆発の煙(3号機は黒い煙がまっすぐに上へ、1号機は白い煙が横へ広がる ⇒ この煙の違いを説明する原子力工学の科学者・技術者が未だに誰もいない)

(2)遠く離れた飯館村にプルトニウムが降り、更に間もなくしてアメリカにも微量のプルトニウムが降った。

(3)3号機はプルサーマル炉でプルトニウムを大量に含むMOX燃料を使っていた。

(4)屋根フレームの鉄骨が飴細工のように熱で曲がってしまっている(水素爆発ではこんなことは起きない)。

(5)使用済み核燃料プールの床に被覆管の破片が散らばっている。

(6)3号機近辺が福島第1原発敷地内では最も線量が高い(致死量)。

(7)東京電力も、政府も、3号機のことについて言及を避け、また、現状がどうなっているかを隠そうとしている様子がある。

(8)3号機についてはマスコミ他の外部による取材が一切できない状態が続いている。

 

●(別添PDFファイル)第一原発3号機 核燃料プール、がれき撤去中断続く(福島民報 2014.10.3

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014100318407

 

(福島民報のこの記事は、多分に推測に基づく断定的記載が散見される。3号機のプールは事故後3年半たっても、現場に近寄ることもできないほど、放射線量が高い=これ、本当なのか、短い間なら調査や検証のために近寄れるのではないのか、もし本当なら、何故なのか)

 

11.東京新聞記事

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「本店と電話でやりとりし、いつまで退避させるんだという話があって、爆発の可能性があって現場に人間をやれないと私は言ったんです。電話で武藤(栄副社長)から、そろそろ現場をやってくれないかという話があった。ちょっと圧力が落ち着いてきたら、現場に出したら、爆発した」

 

「最初、現場から上がってきたのは四十何人行方不明という話。私、その時、死のうと思いました。四十何人亡くなっているんだとすると、腹切ろうと思っていました。その後、確認したら、一人も死んでいない。私は仏様のおかげとしか思えないんです」

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(田中一郎コメント)

 しっかりと記憶しておきたい吉田昌郎所長の証言である。二度とこのようなことが起きてはならない。

 

<最後に>

記事には「本紙がこの問題を報じたこともあり、原発の新規制基準ではディスクの圧力を適切に見直すか、いざという時はディスクを迂回(うかい)する別の配管を設置するよう求めている。」と書かれている。原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、小手先でできることなら、それなりのことはするようだ。しかし、小手先対応は、小手先対応でしかない。

草々

2014年10月 3日 (金)

もっかい(もう1回)事故調:再び田中三彦さんに注目しよう : 岩波月刊誌 『科学』 に田中三彦さんの論文が毎月連載されています

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

ご承知の通り、原子力ムラ村民で構成される原子力「寄生」委員会・「寄生」庁と、生まれながらにして原子力ムラの悪質代理店であった安倍晋三・自民党政権は、目下、福島第1原発事故の惨状に目をつむり、脱兎のごとく鹿児島・川内原発の再稼働へ向け、その本性を露わにして邁進しております。そうした中、再び、原発の専門家として田中三彦氏(元日立バブコック原子炉設計技師)が注目され始めています。

 

田中三彦氏は、国会事故調の委員として、今から2年ほどまえに活躍されましたが、国会事故調の物理的・時間的制約と、猛烈な放射能汚染のために福島第1原発の現場検証などができなかったため、その報告書は暫定的ともいうべき形で終わっています。しかし、その後の日本の原子力ムラや自民党・民主党に代表される政治家どもの仕業は、そうした国会事故調報告書の不十分をいいことに、福島第1原発事故の実態解明や原因究明を棚上げにして、国会事故調の暫定的な指摘や結論を根拠なく、ことごとく否定するという「原発事故の偽造」に踏み出しているのです。

 

過去と真摯に向き合い、その愚かさを心底反省して未来へ結びつけられない愚か者は、やがて同じ過ちを過去以上のスケールで繰り返して滅び去っていきます。それが歴史の教訓というものです。私たちは、自らが生き残るためにも、「彼ら」のかような馬鹿な行為を許してはなりません。そう考えた時、原発技術者であり専門家でもいらっしゃる元国会事故調委員の田中三彦氏が、再び私たちの先頭に立って下さるようです。みんなで田中三彦氏に注目をいたしましょう。以下、岩波書店月刊誌『科学』に掲載されました田中三彦氏の論文を簡単にご紹介し、関連記事を添付しておきます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)国会事故調は何を指摘したのか(田中三彦 『科学 2014.9』)

(2)福島原発事故分析の「最前線」、新潟県技術委員会「課題別ディスカッション」(田中三彦 『科学 2014.10』)

(3)吉田調書の意義を見失ってはならない:事故を直視するために(原発規制庁審議ウォッチ・グループ 『科学 2014.10』)

 

●岩波書店月刊誌『科学』

 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/

 

1.国会事故調は何を指摘したのか(田中三彦 『科学 2014.9』)

 田中三彦氏の議論のポイントは2つ、(1)少なくとも福島第1原発1号機は、地震の揺れで非常用復水器(IC)などの冷却用配管設備に小さな損傷が起きたのではないか(いわゆる小LOCA)⇒ 時間とともに重大事態へ発展,(2)少なくとも福島第1原発1号機については、大津波が到達する前に非常用電源がアウトになっていたのではないか、の2点です。 

 

(一部抜粋)

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さて,その国会事故調の報告書の中身に関し,しばしば話題になることの一つは,政府事故調と東京電力が福島原発事故の直接的原因は実質的に<津波>であるとしているのに対し、国会事故調は地震が関与した可能性を否定できないとしたことだろう。より正確を期せば,国会事故調は報告書の冒頭の「結論と提言」で,つぎのように記している。

 

当委員会は,事故の直接的原因について,「安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない」,特に「1号機においては小規模のLOCAが起きた可能性を否定できない」との結論に達した。しかし未解明な部分が残っており,これについては引き続き第三者による検証が行われることを期待する。

 

たとえ小規模のLOCAといえども,その原因が地震(動)ということになれば,それは原発の耐震設計の基本が問われる大問題だから,問題としてはきわめて重要である。そんなことから,「地震と小規模LOCA」問題は,原発再稼働に前向きな学者,研究者らの感情的としか思えない国会事故調批判を引き起こしてきた。

 

しかしじつは,国会事故調が「引き続き第三者による検証が行われることを期待する」とした未解明問題は,この地震と小規模LOCAの問題だけではない。津波に関しても,解明されるべき,ある重要な問題が存在することを指摘している。それは,「SBOと津波の関係」に関する問題だ。東京電力も政府事故調も,動かしがたい客観的証拠を一片も示すことなく,福島第一原発1~5号機の全交流電源喪失(SBO)の原因は津波であるとしている。これに対し国会事故調は,当時東京電力が公表していなかった津波襲来の様子を連続的に撮影した何十枚もの写真を東京電力から入手,それらを詳細に分析し併せて関係者からの聞き取り調査を行った。その結果,とくに1号機に関しては,津波が1号機を襲う前にすでにSBOが起きていた可能性があること、また他のいくつかの号機に関しても、その可能性を完全には否定できないことが明らかになった。

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2.福島原発事故分析の「最前線」、新潟県技術委員会「課題別ディスカッション」(田中三彦 『科学 2014.10』)

 上記1.の続編。国会事故調も政府事故調も、福島第1原発事故の実態解明や事故原因の究明が不十分だから、新たに委員会を設置して、更なる解明・究明を続けるべきであると提言しているにもかかわらず、民主党政権も、自民党政権も、その提言を棚上げにしてしまっている(要するに、こいつらは同じ穴のムジナだということだ)。そうした中で、現在、福島第1原発事故を取り上げて検討しているのは、(1)原子力「寄生」委員会傘下の「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係わる検討会」(通称「事故分析検討会」)と、(2)新潟県が独自に行っている福島事故検証作業=「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」(新潟県技術委員会)の「課題別ディスカッション」、の2つである。そして田中三彦氏は、後者の技術委員会の「課題1: 地震動による重要機器の影響」のディスカッショングループの委員となり、注目すべき議論を展開されている。

 

 また、この2014年10月の『科学』論文では、これまでの同氏の議論に加えて、新たに論文後半の部分に、「福島第1原発水素爆発の4階爆発説」の追加的根拠が、東京電力との論争の紹介と並行して、わかりやすく説明されている。必読かと思われる(①4階・5階をつなぐハッチの巨大な金属蓋が行方不明(おかしい)、②ICタンク胴体部の鋼製カバー表面に見られる水蒸気凝縮痕のような白い模様はいったい何だ・どうしてできたのか)。

 

(一部抜粋)

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前号で詳述したように,国会事故調査委員会は,福島第一原発事故の物理的,直接的原因に関し,大別すれば二つの重要な基本的問題を指摘している。一つは. 「安全上重要な機器の地震による損傷はないと確定的には言えないこと,とくにl号機においては小規模のLOCA(冷却材喪失事故)が起きた可能性を否定できないこと(「地震と小規模LOCA」の問題)、もう一つは, とくにl号機に関しては津波が1号機を襲う前にすでにSBO(全交流電源喪失)が起きていた可能性があること(「SBO」と津波の関係」の問題)の二つである。

 

国会事故調が指摘した事故原因に関する未解明問題は,今日,きわめて“対照的"な二つの議論の場に付されている。一つは,新潟県が独自に行っている福島事故検証作業,そしてもう一つは,原子力規制委員会が行っている「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係わる検討会」(通称「事故分析検討会」)である。「対照的」と書いたのは,検討,検証の作業の手法がほとんど正反対であるからだ。

 

国会事故調が指摘した事故原因に関する未解明問題は,今日,きわめて“対照的"な二つの議論の場に付されている。一つは,新潟県が独自に行っている福島事故検証作業,そしてもう一つは,原子力規制委員会が行っている「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係わる検討会J(通称「事故分析検討会J)である。「対照的Jと書いたのは,検討,検証の作業の手法がほとんど正反対であるからだ。

 

前者は,東京電力とのデイスカッションという形式をとり,大小,さまざまな問題を取り上げて議論している。また検証作業の期限もあえて設定していない。少なくともこれまでのところは,解明すべき問題をとことん解明していこうという姿勢を貫いているように思える。それに対して後者は,きわめて議論が独善的,閉鎖的,排他的であり、3.11以前に存在した原発に関する国の各種審議会よりもなおいっそう権威的になった感がある。原発を規制する組織の検討会のあるべき姿とは正反対のものと言ってよい。この検討会で行われていることは,本連載のタイトル「ゆがめられている事故原因の究明の道」そのものである。連載2回目の今回は,タイトルとはある意味で真逆だが,福島原発事故に関して,新潟県がどのような検証作業を進めているかを紹介したい。

 

東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県の技術委員会は,福島第一原発事故を独自に検証するために,昨年10月から[福島事故検証課題別デイスカッション]というものを行っている。デイスカッションの課題はつぎの六つで,各デイスカッションには3名の担当委員(課題5は2名)が参加している。担当委員以外の委員の参加は自由である。

 

課題1: 地震動による重要機器の影響

課題2:海水注入等の重大事項の意思決定

課題3: 東京電力の事故対応マネジメント

課題4: メルトダウン等の情報発信の在り方

課題5:高線量下の作業

課題6: シビアアクシデント対策

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3.吉田調書の意義を見失ってはならない:事故を直視するために(原発規制庁審議ウォッチ・グループ 『科学 2014.10』)

 そして、この小レポートは、同じく岩波書店月刊誌『科学』の2014年10月号に掲載されたもので、主として、(1)原子力「寄生」委員会傘下の「事故分析検討会」の出鱈目な状況、(2)吉田調書と東京電力撤退問題、(3)吉田調書に見る「より重要な問題点」(を見失うな:事故対応要員の問題や3/15午前の猛烈な放射能汚染の原因など)、の3つを簡単にレポートしている。目を通しておいた方がいい文献だ。

 

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 改めて申し上げます。原子力ムラ・放射線ムラによる福島第1原発事故の実態・原因と悲惨な被害状況を棚上げにして、再び原発・核燃料施設の稼働と推進にまい進する政府及び原子力「寄生」委員会・「寄生」庁に対して、敢然と立ちはだかる技術者・田中三彦氏に、みなさま、ご注目とご支援を!!

草々

 

(追)

 朝日新聞の科学部に在籍し、ここ2年くらいは、いわゆる福島第1原発事故に伴う放射線被曝問題について、新聞紙面で報道を続けている大岩ゆり記者だが、昨今、その大岩ゆり記者が、放射線ムラに学者魂を売り渡した御用学者ではないかと噂されている、あの丹羽太貫と昵懇の中で、丹羽から「ゆりちゃん」などと愛称で呼ばれているとの話を耳にした。事実なのかどうかは知らないが、新聞記者として、科学ジャーナリストとして、注意した方がいいだろう。

 

 大岩ゆり記者もまた、放射線ムラに記者魂を売り渡したのかどうかは知らないが、この間、放射線被曝や被ばく防護に関する軽率で危険で矮小化された、放射線ムラ御用学者の広報機関のような内容の記事を、批判的な観点がないままに、朝日新聞科学部の「威を借りて」、読者に垂れ流し続けてきた御仁である。理不尽にも多くの地域住民が、福島第1原発事故による放射能汚染と無用の被ばくに苦しめられている時に、この報道姿勢は許しがたいものがある。加えて、ここに来て、この、まるで放射線ムラとの「慣れ合い関係」を象徴的に表すかのごとき噂話を耳にしたので、看過できないと思い拡散する次第である。

 

 朝日新聞(経営者および幹部)は、必要もない(右翼ゴロツキへ向かっての)謝罪などしているヒマがあったら、こうした報道現場での「たるみ」というか、「インチキ協賛」「権力追従」の「デマ報道」に近いようなものを、もっとしっかりと社内チェックしたらどうなのか。万が一にでも、これで被害者住民に健康被害が広がり始めたら、そのときこそ、朝日新聞は「ご臨終」となってしまうぞ。

 

 支配権力に追従して、御用報道・大本営発表を繰り返して、大日本帝国崩壊とアジア民衆・日本国民に絶大なる苦しみ・悲しみをもたらした「新聞としての罪悪」について、心からの反省をして戦後を出発したはずの朝日新聞だが、戦後70年を経て、ついにその初心を忘れてしまったか。もう一度、顔を洗って出直し、社内の引き締めと、時代の逆風を受けながらも必死で頑張っている「批判的ジャーナリズム」魂を持った現場の多くの記者達を、経営サイド・編集サイドからしっかり支えて紙面を充実させる「新聞としての原点」を、朝日新聞には一刻も早く取り戻していただきたい。

 

 さしあたり、大岩ゆり記者を福島報道や放射線被曝報道からはずしたらどうか。そうしないと、やがて、「朝日新聞科学部」の看板は「朝日新聞似非科学部」という看板に入れ替わってしまうのではないか。

 

●丹羽太貫

 http://www.rerf.or.jp/intro/org/bod_list/niwa.html

 

 

2014年10月 2日 (木)

東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(5)忘れられたプール、水が蒸発していく

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

東京新聞が9/15よりシリーズで報道し始めた吉田調書(政府事故調による吉田昌郎福島第1原発所長(当時)証言記録)に関する特集記事「調書は語る:吉田昌郎所長の証言」を見ながら、福島第1原発事故の実態とその原因を探ってみたいと思います。第5回目の今日は下記の東京新聞記事です。なお、私のメールでは、このシリーズ特集記事にある、主として吉田昌郎所長証言のあいまいさや、証言から推察される福島第1原発事故深刻化の原因となったであろうことがらを取り上げて、簡単にコメントいたします。

 

 <別添PDFファイル>

●調書は語る(5):忘れられたプール、「水が蒸発していく」(東京 2014.10.2

http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/1ceaeb74fa60dc9aaca0a76f6dbbb91e

 

1.東京新聞記事

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「原発事故というと、炉の状況に目が向きがちだが、東京電力福島第一原発の事故では、使用済み核燃料プールが同等かそれ以上に重大な危機にあった。吉田昌郎(まさお)所長はプールの危機を十分認識していたが、かき消すように急報が入り、ほとんど対策が取れないまま時が過ぎていった。(肩書はいずれも当時)」

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(田中一郎コメント)

 使用済み核燃料プールの危険性を私が知る限りで下記に列記しておく。上記にもある通り、現状のままでは、原子炉そのものよりも危険だ。

 

(1)使用済み核燃料プールは、核燃料を入れる圧力容器や、それを外側からカバーして、もしもの際の放射能漏れを防ぐ目的の格納容器の外側にあり、薄っぺらい建屋の壁や天井で囲われているだけの設備である。その中に、原子炉の中から取り出した、猛烈な熱を発散し続けている使用済み核燃料を水に”どぼん”と漬けて、そのまま冷やしている。何らかの理由で、このプールの(冷却用の)水がなくなれば、あっという間にとんでもない破局にいたる。それが福島第1原発事故直後に近藤駿介元原子力委員会委員長が菅直人(当時首相)に報告した「最悪のシナリオ」(下記)である。

 

(2)使用済み核燃料プールのある場所が「空中」=つまり、原子炉建屋の3~5階に設置されていて、その重たいプールをその下にある構造物で支えている構造になっている。今回の福島第1原発事故で大問題となったのは、たいして大きくもない東日本大震災の地震の揺れ(震度6程度)で、その使用済み核燃料プールを支えていた構造物が痛めつけられ、余震や次の地震が来たときに、使用済み核燃料プールが崩壊してしまうのではないかと懸念された。

 

 特に、地震時に運転停止中で、まもなく運転再開となる予定だった4号機の場合には、使用済み核燃料と使用前の核燃料とがごっちゃにされてプールの中に入れられており、その本数は1,535体と、他の号機に比べてダントツに多かった。その結果、4号機の使用済み核燃料プールは、プール自体が重くなってしまっていることに加え、3/14昼の3号機の爆発で横から強い衝撃を受けていること、さらに翌日の3/15には自らも爆発を起こして大きな衝撃を受けてしまっていることもあり、追加的な地震の揺れによるプールの崩壊が、他の号機のプール以上に懸念されたのである。

 

 東京電力は、もちろんこのことを承知していて、東日本大震災後に4号機の使用済み核燃料プールの下部構造物を補強する工事を突貫工事で行ったとしているが、それがプールの耐震性や堅固さをどこまでプラスしたかは定かでない。今現在は、この危険極まりない4号機のプールから使用済みを含む核燃料を取り出して別の場所に移す作業をしている最中だが(進捗率は7割程度という)、今仮に、福島第1原発を震度7クラスの直下型地震が襲った場合には、この4号機のみならず、1~3、及び6,7の各号機、更には、福島第2原発の各号機の使用済み核燃料プールも危険な状況に陥ってしまうことになる。

 

(3)更に、日本全国各地の原発では、ここ数年、使用済み核燃料の数が増え続けたため、その保管場所が手狭になってきていて、それを極力経費をかけないで何とかしようとして、使用済み核燃料プールを「リラッキング」して使うという「つなわたり」まで始めてしまっている。「リラッキング」などといえば耳触りがいい言葉だが、何のことはない、当初の予定以上にプールに使用済み核燃料を突っ込んで、「イモ洗い状態」で保管を続けているということだ。これは非常に危険なことで、一歩間違うと、プールの中で「臨界事故」さえ起こしかねない、危険で愚かな行為と言わざるを得ない。

 

(4)更に更に、昨今は、上記に加えて、いわゆる「(よせばいいのに)プルサーマル」という、もともと予定していなかったプルトニウムを原料に使った、通常のウラン原料の核燃料よりも危険で汚くてコントロールが厄介なMOX燃料までが使われるようになった。そんなもの(使用済みを含む)を「リラッキング」して「イモ洗い状態」で保管すれば、従来の使用済み核燃料プールの危険性が何倍にも高まるのは、素人の人間にも容易に理解できることである。そして、その懸念は、福島第1原発事故時において、3号機の使用済み核燃料プール内の核燃料が即発臨界による核爆発を起こしていたかもしれないという形で、リスクの顕在化の可能性が「論じられるようになっている(マスコミは全く報道しないが、福島第1原発3号機は事故当時プルサーマル炉であった)。

 

(5)使用済み核燃料は行き場がない。もちろん、保管場所を新たに受け入れるような自治体などは存在しない。他方で、既に青森県六ケ所村の再処理工場の保管プールには約3,000トンという、とてつもない量の使用済み核燃料がプールの水の中に沈められ、予定容量限度に達している。困った電力業界や政府は、同じ青森県のむつ市に、新たに中間貯蔵用の施設をつくったが、その施設についても問題が噴出し始めている状態だ。そもそも、地震と火山のメッカのような下北半島に、かような危険極まりない核施設を建設すること自体が「狂気の沙汰」なのだ。青森県六ケ所村の再処理工場及び使用済み核燃料プール、あるいはそれ以上に高レベル放射性廃棄物貯蔵管理施設・高レベル放射性廃液格納プールなどが大地震や大津波でやられると、この狭い島国の日本は、もちろん東日本を中心に猛烈な手に付けられないような放射能汚染に見舞われて、国として滅亡すること必定である(放射能汚染は、泣いてもわめいても、絶対に消えることはない)。

 

 ちなみに、むつ市の中間貯蔵施設には、まもなく再稼働されようとしている柏崎刈羽原発の使用済み核燃料が運び込まれる計画になっている。信じ難くも許しがたい、不道徳極まりない話である。(柏崎刈羽原発の使用済み核燃料プールが満杯になりつつある)

 

(6)海外では主流となっている使用済み核燃料の「乾式貯蔵」への移行が言われ始めている。それはその通りだが、金がかかるためか、電力業界や政府・原子力「寄生」委員会などの動きは極めて鈍い。福島第1原発事故後においても、4号機で見られたような、間一髪・スレスレセーフで助かった使用済み核燃料プールが、全国各地の原発や青森県六ケ所村の再処理工場内にあるというのに、一向にその安全対策に手を付けようとはしない。もちろん、新規制基準の中で、使用済み核燃料プールに焦点を当てて、その危険性除去のための施策や規制が真剣に検討され議論された形跡もない。今、巨大地震が各原発を襲えば、再稼働をしていないにもかかわらず、その原発・核燃料施設は破局的な事態になりかねないのである。平和ボケとは、まさにこのことではないか。

 

●福島原発事故の最悪シナリオ「近藤駿介原子力委員長のメモ」・転送転載可|脱原発の日のブログ

 http://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-11153640117.html

 

2.東京新聞記事

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(問い)「使用済み核燃料プールに何らかの手だてを講じなければと思ったのか。

「これは最初から思っていました。原子炉を何とか制御しなければいけないというのは一番高いんですけれども、当然、核燃料プールも冷却ができていないわけですから、使用済み核燃料の崩壊熱ですね。温度が上がってきて水が蒸発していくだろうと。手を打たないといけないというのは並行して思っておりました」

(問い)「三月十四日未明、4号機の核燃料プールの温度は八四度というが、その前は測っていないのか。」

「測れなかったんですね。人の問題があるし温度計そのものも生きていないんですね。何とかして測れという指示はしていたんです」

(問い)「いつ頃から指示を」

「結構早い時期にしていましたよ。4号機は、少なくともその時点で原子炉建屋に入ることが全然問題なかったはずですから。3号機の影響でちょっと線量は上がりますが、建屋そのものの中に線源があるわけではない。一番問題なのは温度ですから、温度を見てきてくれと。実際3号機にかかり切っていたので、どれぐらい人を割けたかよく把握していないんですが」

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(田中一郎コメント)

 1~3号機の使用済み核燃料プールについての発言なら理解できる。そして、この吉田昌郎所長の証言が、今ある休止中の原発・核燃料施設も含めて、その安全対策にどこまで活かされているのか。よく、福島第1原発事故の教訓が活かされていないと言われるが、それはこの使用済み核燃料プールの問題に端的に現れていると言える。

 

 しかし、4号機の使用済み核燃料プールについては全く理解できない。4号機は動いていないし、少なくとも、隣接の3/14の3号機爆発、あるいは翌日の4号機爆発までは温度計も健在だったはずだ。上記のような言い訳は通用しない。

 

3.東京新聞記事

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(問い)「1~3号機のプールの監視が必要との思いは」

「同様です。ただし一番厳しいのは、4号機は定期検査が始まってすぐですから、五百四十八体の核燃料を全部、一年間燃えた核燃料を核燃料プールに入れています。プールの条件として一番厳しいわけです。1~3号機は、ある程度冷却されたものが入っているわけです。ですから温度の上がりしろから考えると、4号機が一番クリティカル(危機的)になる」

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(田中一郎コメント)

 吉田昌郎所長の認識は正しい。そして、新聞記事には書かれていないが、先般ポレポレ東中野で上映された編集録画「東電テレビ会議49時間の記録」によれば、吉田昌郎所長は東京電力本社に対して、使用済み核燃料プール対策の依頼を3/13段階でしていた(タイミングとしては遅いかもしれない)。しかし、それに対する本社からの明確な回答は帰ってこなかったようである。もちろん、プール対策用の人員の補給もなしのつぶてだった。4号機を含め、使用済み核燃料プールがよく崩壊しなかったものだと、今さらながら思う。福島第1原発事故は不幸中の幸がたくさんあるのだ。

 

4.東京新聞記事

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<十五日朝、4号機の原子炉建屋で火災が発生。十六日、ようやく使用済み核燃料プールへの対応準備が始まる。一方、1~3号機は消防車での原子炉への注水が続いていた>


(問い)「優先順位の中で2号機の使用済み核燃料プールの冷却がないのはなぜ」

「1、3、4号機は(水素爆発で)上があいているので、外から注水する方法がある。2号機はつぶれていないから外から注水できない。外から注水する方法を考えましょうといった時に、2号機はもともと対象外になる。2号機は何とかして中のシステムや配管を生かし注水できることを考えていくということです」

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(田中一郎コメント)

 「十五日朝、4号機の原子炉建屋で火災が発生」=これがよくわからない。これはいったいなぜ起きたのか? しかも、マスコミ報道によれば、猛烈な放射能が出ていたらしい(下記)(更に、3/16にも4号機で火災が起きた)。また、私が聞いた話では、この火災は米軍が消し止めたという。本当なのか? 本当なら、米軍が福島第1原発の現場までやってきたということか。もしそうなら、それはそれで大問題だ。この3/15の4号機火災の話は「まったく???」である。しかし、何故、こんなことが、事故から3年半もたっているのに、わからないままに放置されているのだろうか。

 

 それから2号機については、吉田昌郎所長が言うことはわかるが、実際問題、2号機は他号機に比べて放射能の量が猛烈に多く、他号機以上に近づけなかったのではないのか。建屋が壊れていないので、外から水や氷を入れるわけにもいかず、お手上げだったのではないのか。これもまた、今後の教訓にしなければならないはずである。(簡単に言えば、既存の原発・核燃料施設の使用済み核燃料プールの設計や構造を抜本的に変えて改築しなければならない、ということである)

 

● 福島第一原発に米軍部隊が投入された機会:4号機で15日に起きた火災(爆発)の“消火活動” あっしら 

 http://www.asyura2.com/12/genpatu26/msg/102.html

 

● 福島第一原発4号機、超高濃度放射能が拡散(20113151350分 読売新聞)

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 東京電力は15日、東日本巨大地震で被災した福島第一原子力発電所4号機(福島県)の原子炉建屋内にある使用済み核燃料を一時貯蔵するプール付近で、同日午前9時38分頃に火災が発生、同日午前10時22分には毎時400ミリ・シーベルト(40万マイクロ・シーベルト)の放射線量を観測したと発表した。

 同日午前11時過ぎに記者会見した枝野官房長官は「身体に影響を及ぼす可能性があることは間違いない」と述べた。(中略)

 

 東電などによると、原発周辺で同日午前10時22分に、高い放射線を観測した。2号機と3号機の間で、毎時30ミリ・シーベルト(3万マイクロ・シーベルト)、3号機付近で同400ミリ・シーベルト(40万マイクロ・シーベルト)、4号機付近で、同100ミリ・シーベルト(10万マイクロ・シーベルト)で、枝野長官は「従来発表してきた『マイクロシーベルト』とは単位が違う。身体に影響を及ぼす可能性のある数値」と話した。

 

  400ミリ・シーベルトは、がんになる確率が高まる100ミリ・シーベルトの4倍で、一般人が1年間に浴びていい放射線量(日常生活と医療目的を除く)の400倍にあたる。4号機の火災で、東電は福島県と国に通報するとともに、自衛隊と米軍に消火活動への協力を要請したが、同日午前11時ごろ自然に鎮火したのが確認された。

 

  東電によると、地震発生時に、4号機は定期検査で運転を停止していたが、使用済み核燃料一時貯蔵プールの冷却水を、循環させる電源を失っていた。燃料棒の余熱で、通常40度程度の水温が85度にまで上昇し、水位が低下していた。専門家は、「プールの水位低下でむき出しになった燃料の被覆管と蒸気が反応し、水素が発生して、爆発火災に至った」(京都大原子炉実験所の今中哲二助教)と分析する。プールの中には、使用済み燃料棒783体が保管されていた。4号~6号機は定期検査中だったが、4号機の冷却機能が失われていた。使用済み核燃料は1~3号機にも約300~500体保管されている。

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5.東京新聞記事

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(問い)「3号機プールの冷却は、高圧放水車がやるという話だったが、ヘリコプターが先になった」

「セミの小便みたいですね」

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(田中一郎コメント)

 なかなかいい表現だ。「セミの小便」では、原子炉も使用済み核燃料プールも冷やすことはできない。

 

6.東京新聞記事

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「まず機動隊さんは最初に来てもらったが、あまり役に立たなかったんです。それも来るまでにすったもんだして。要するに効果がなかった。水が入らなかったということです」


(問い)「自衛隊は」

「はっきり言って、今から申しますと、すべて意味がなかったです。注水量的に全部入っても十トンとか二十トンの世界ですから、燃料プールの表面積から考えて意味がない。届いているものがどれくらいあったか疑問です。消防庁は特にそうですが、最初はこういくんですけれども、だんだんホースの先が落ちてくるんです。落ちてきているといっても直しに行かない」


(問い)「あまり消防庁のものは効いていないんですね」

「まったく効いていないです。ヘリコプターも効いてないし、自衛隊さんも申し訳ないけれども、量的には効いていないし、消防庁も効いていないし、機動隊はもともとまったく効いていなかったと思います」

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(田中一郎コメント)

 機動隊、消防庁、自衛隊、すべて役に立っていなかった。ショックだけれども、これが実態だった。作業者が被ばくしただけに終わっている。原発過酷事故時の人間の無力と、安全神話を語り続け国民をだまし続けた原子力ムラの犯罪性が浮かび上がっている。

 

7.東京新聞記事

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(問い)「高圧放水車は一定の効果はあるのか」

「あるだろうと思っていました。ある意味そのときはこれしかなかった。だから、本当はそれこそ筒先を内側に何とか持って行って、ドボドボと上から注水したいんですが、揚程(ポンプが水をくみ上げられる高さ)も高さも足りない中で、やらないよりはいいだろう、極端に言うとそのぐらいの感じでいたということです」

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(田中一郎コメント)

「揚程(ポンプが水をくみ上げられる高さ)も高さも足りない中で、やらないよりはいいだろう」という吉田昌郎所長の証言も「教訓」の一つである。海岸べりに建てられる原発は、津波被害を避けようとすれば、できるだけ標高の高い位置=高台に建設した方がいいが、しかし、他方で原発は、日常的に海から海水をくみ上げては、それを原子炉の二次冷却(加圧水型の場合は三次冷却)=海に70%の熱エネルギーを捨てる、に使わなければいけないので、低い位置にある方が海水は調達しやすい。いわば両者は二律背反的になっている。福島第1原発の場合には、もともと30m以上の岸壁だったところを削りに削って10mくらいの標高にして原発を立てた経緯があるが、それが今回、命取りになってしまった。

 

7.東京新聞記事

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<二十日すぎから「キリン」や「ゾウ」「マンモス」など動物の愛称で呼ばれた生コン圧送車が放水に活躍。ようやくプール冷却が軌道に乗り始める>


(問い)「キリンやゾウとかあったがそれはどうか」

「あれはいいです。あれが来て初めてちゃんと注水できたということ。筒先をプールの近くに持っていって入れていますから、ロスがほとんどなくて全部水が入るというのがキリン以降の話。(それまでは)ある意味でやみくも作戦です」

 

「その中でコンクリート注入車が使えるのではと本店からあった。一台とりあえず手配できるという話で、キリン部隊というものを本店でつくってくれた。その連中が動かし方などをマスターして、やってみたら、やっとそれなりに水が入った。これからどんどん持ってこようということで、自衛隊さん、消防庁さんのお世話にならずにすんだということです」

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(田中一郎コメント)

 この証言も「教訓」である。

 

(最後に:「最悪のシナリオ」)

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燃料プール対策 後手

 

 米国との折衝を担当した長島昭久民主党議員の調書によると、米国が事故発生当初から最も懸念していたのは4号機の核燃料プールだった。一連の水素爆発もプールが地震で崩壊し、損傷した核燃料から発生した水素によるのでは、との見立てもしていた。

 

 関西電力大飯原発(福井県)の運転差し止め訴訟判決で、原子力委員会の近藤駿介委員長による「最悪のシナリオ」が引用された。実はこの試算、米国から示された強い懸念を強く意識したものだった。

 

 余震などで4号機プールが損傷し、核燃料から大量の放射能が出ると現場作業ができなくなり、炉もプールも放置され、原発250キロ圏まで避難地域が広がる危険性を説いた。後に東電は4号機プールの下部を鉄骨やコンクリートで補強したが、これも最悪のシナリオを受けた形だ。

 

 近藤氏は3月22日に菅直人首相から依頼を受けたが「本来なら、最悪のシナリオは(プールの危険が高まった)16日の一番危機だった時に作るべきだった」と調書で語っている。

 

 一方、テレビ会議の記録では、吉田氏も東電本店もプールについては何ら有効な手だてが打てなかったことがよく分かる。

 

 17回も話題に上っているのに、そのたびに炉の悪い知らせがもたらされ、炉への対応に追われ、プールは忘れられてしまう繰り返しだった。結局、まともにプールへの対応が取られたのは16日以降だった。

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(田中一郎:アメリカが言わないと、何もできないのか、この国は!?)

草々

 

 

東電テレビ会議 49時間の記録:あのとき、福島第1原発で何が起きていたのか (OUR PLANET TV 福島映像祭より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

 2014年9月20日(土)~26日(金)、別添PDFファイルの案内パンフにあるように、ポレポレ東中野において、ポレポレ東中野とOUR PLANET TVとが共催で「福島映像祭」が開催されました。連日、見ごたえのある映像・映画が上映され、また、映像を制作した監督をはじめ、複数のコメンテイターがゲストとして呼ばれて、劇場でインタビューや講話を披露してくれました。下記は、その中の「東電テレビ会議 49時間の記録:あのとき、福島第1原発で何が起きていたのか」という迫真の報道ドキュメンタリー衝撃映像記録を紹介するものです。

 

 この映像記録は、福島第1原発事故直後の2011年3月12日深夜~15日午前0時6分までの約49時間の音声付録画のうち、一般公開されている10時間分を、OUR PLANET TVが編集したものです。下記(1)の別添PDFファイルに、この映像記録に関するわかりやすい解説がなされていますので、目を通していただければと思います。下記のOUR PLANET TVサイトでも案内されているように、この映像記録は、今後も貸し出されて各地・各団体で上映されていくと思われますので、機会があれば、ぜひ見ておいていただきたい「必見」の映像です。

 

 なお、私からは、①1回見ただけでは、見逃してしまった部分もあるかに思えるため、複数回見ることをお勧めします、②ある程度、沸騰水型の原子炉に関する基礎知識を持って見た方が分かりやすいと思われます。(なお、この映像に関して、下記の通り、岩波書店から書籍も発売中です)

 

 <別添PDFファイル>

(1)東電テレビ会議 49時間の記録(解説)(OUR PLANET TV:2014.9

「toudenn_tvkaigi_setumeisyo.pdf」をダウンロード
(2)東電テレビ会議 49時間の記録(パンフ)(OUR PLANET TV:2014.9

(3)福島映像祭(パンフ)(OUR PLANET TV:20149月)

「fukusima_eizousai.pdf」をダウンロード

 

 <URL>

● 東電テレビ会議 49時間の記録 - 報道ドキュメント「東電テレビ会議 49時間の記録」

 http://www.touden49.net/

 http://fukushimavoice.net/2014/08/1618

 

●【予告編】東電テレビ会議~49時間の記録 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=tX5ceKqfJvQ

 

Amazon.co.jp:福島原発事故 東電テレビ会議49時間の記録 宮崎知己, 木村英昭, 福島原発事故記録チーム 本

http://www.amazon.co.jp/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85-%E6%9D%B1%E9%9B%BB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E4%BC%9A%E8%AD%B049%E6%99%82%E9%96%93%E3%81%AE%E8%A8%98%E9%8C%B2-%E5%AE%AE%E5%B4%8E-%E7%9F%A5%E5%B7%B1/dp/4000246860

 

●「東電テレビ会議 49時間の記録」自主上映について OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1664

 

 <「東電テレビ会議 49時間の記録(解説)(OUR PLANET TV:2014.9)」から:抜粋>

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「「本店! 本店! 大変です! 3号機が爆発しましたj

 故吉田昌郎元所長の緊迫した声を覚えている人は多いだろう。福島第原発事故の対応をつぶさに記録した第一級の映像資料「東電テレビ会議映像」が遂に長編映像として一般公開される。

 本作品は、非営利メディア OurPlanetTVが「福島映像祭2013」で上映するために、独自編集した報道ドキュメン卜である。映像は、福島オフサイトセンタ一、東電本店、福島第1原発、福島第2原発、柏崎刈羽原発を結ぶテレビ会議の分割画面のみ。しかし緊迫した現場の声には、どんな映像よりも臨場感と迫力がある。

 1号機が爆発。次第に3号機の原子炉水位も低くなり、刻々とメルトダウンが近づいてくる様子。本店の調達が後手後手に周り、バッテリ一、ガソリン、水、食糧が不足する現場。打つ手打つ手が、ことごとく失敗する中、2号機、4号機にも危機が迫る様子。そして、ついに、作業員退避の検討がはじまる。

 使用した映像は、既にインターネット上には公開されているものだ。しかし、その映像は細切れな上、誰が発言しているかが分からないという問題があった。作品では、なるべく状況がわかるように、基本的な情報を挿入した。2011312日から15日までの3日問、福島第1原発で何が起きていたのか。当時の中央制御室と同じ真っ暗な環境で、あの時間、あの原点に立ち戻る体験を共有したい。(OurPlanetTV白石草)

 

東電テレピ映像とは

「東電テレビ映像」とは、福島第一原子力発電所の事故当時、東京電力本店の2階にある非常災害対策室と福島第一、第二、柏崎刈羽原発非常災害対策室、オフサイトセンターの間を結んだテレビ会議の様子をそのまま録画した映像を指す。

 東京電力によると、映像の録画をはじめたのは311日の午後627分から。そのうち、設定ミスや八一ドディスク容量の問題などで、音声が記録されている映像があるのは、3122259分から51506分までと、その後、約1日空けて16318分以降から46日までの約650時間分だ。OurPlanetTVでは、このうち、312日から15日までの49時間の映像のうち、一般公開されている約10時間分を編集して前編1時間47分、後編1時間39分、計3時間26分にまとめた。」

 

「音声つきの初期のテレビ会議映像は、前述のとおり限定的で、地震発生直後の初動や1号機爆発が起きた312日、撤退問題が浮上し菅総理が東電に乗り込んだ15日の深夜から明け方、ブラントから衝撃音が間こえ、高濃度の放射能が広がった15日の昼間の様子は存在しないと主張する。また、「社員のプライバシー」を守るとの名の下、画像人はモザイクが入り、音声分の固有名詞にはピー音が入る。しかも現在、東京電力は、マスメディアに対しては、上記の映像を全て公開しているものの、一般市民に対しては、更に限定的な細切れの映像をインターネット上に公開しているのみである。

 従って、一般公開された素材のみを利用した本映像「東電テレビ会議49時間の記録j は、肝心な部分が欠けた限定的な内容と言わざるを得ない。しかし、そうであっても、この映像は事故の検証には欠かせない「一次資料」である。実際、政府事故調や国会事故調など、公的な事故調査においても重要な役割を果たした。

 なお、東電テレビ会議映像はその存在が明らかになって以降も、容易に公開にされなかった。事故から1年半を経て、朝日新聞のキャンベーン報道や東電株主代表訴訟原告団らの保全の申立てなどを経て、ようやく公開された。朝日新聞の同キャンベーン報道は、2013年度の石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム賞奨励賞(公共奉仕部門)の奨励賞を受賞している。

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(この「解説」(別添PDFファイル)は重要ですので、残りも目を通されておくとといいと思います)

 

(田中一郎コメント:この映像を見て感じたこと

1.東京電力は、この期に及んでも、まだTV会議記録をきちんと公表しようとしていない。東京電力は事実上、政府が大株主で、政府が経営権を握っているようなもの。全部公開しろと政府が断固たる態度をとればいいだけの話なのに、政府が知らんぷりをしているので、公開されるべきものが公開されずに、真相がいつまでたっても明らかにならない(詳しい経緯は「解説別添PDFファイル」のP3「東電テレビ会議の開示に至る経緯」をご覧ください:「東電株主代表訴訟原告団らの保全の申立て」が裁判所に認められたことが大きく影響か?)。そもそも肝心な部分(3/11、3/15)の映像が隠されているような感じがする他、ピー音で音声が消されていたり、一般人に対してはネット上で10時間分しか公開されていないなど、この東京電力の事実隠蔽態度は許しがたい。政府や原子力「寄生」委員会はいったい何をしとるのか。

 

2.TV会議では、話題・課題としてはいろいろ出るが、結局、東京電力は深刻化する福島第1原発の状況に対して、有効な対応・対策がほとんど打てなかったように見えた。吉田昌郎所長は「(その時)考えていたことは、原子炉(圧力容器」内に(海水を含む)水を入れて冷やすことと、格納容器が壊れないように(ドライベントを含む)ベントを成功させること、の2点であったというが、見ていて、1~3号機のいずれについても、うまくいかなかったように見えた。原発の過酷事故に対しては、人間は手も足も出ない、という印象を強くした(そういう中で、福島第1原発が、間一髪のところで最悪の事態に陥らずに、格納容器や使用済み核燃料プールなどが生き残る形で「平衡状態」となったのは、本当に偶然のなす技で、ラッキーだったという以外に言いようがない)。

 

(後日談では、3/11から1週間くらいの間でなされた警察官、消防署職員、自衛隊員らによる様々な作業は、ほとんど役に立たなかったそうである。たしかに素人目で見ても、ヘリコプターで大きな袋に入れた水を事故原発の上からザザーと落とすような作業は、落とした水が霧のようにあたり一面に飛散して、役に立っていないのがよくわかった。しかし、それ以外の作業についても、(作業員が被ばくするだけで)ほとんど役に立たなかったというのは驚きである。そもそも、原発本来の非常用炉心冷却装置のECCS(非常用復水器(IC),原子炉隔離時冷却系(RCIC),高圧注水系(HPCI)など)が期待通りに動いていないような中で、もともと原子炉を冷やすための装置ではない「消火系」配管を使って冷却水を原子炉に供給するということ自体が無理があったのだろう:事実、注入あ荒れた水の大半は原子炉炉心には向かわず、原子炉の外の復水器の方へ流れて行ってしまったという)

 

3.福島第1原発の現場に対して、東京電力本社や首相官邸(原子力災害対策本部)からの人員や物資の補給が全く不十分で、かつ、うまくいかない。たとえば、民間の自動車運転手やヘリコプター・飛行機パイロットが被ばくの危険性を理由に協力を拒否していただけでなく、なんと、自衛隊までもが、福島第1原発現場の放射能の危険性を理由に、物資の補給さえをも要請拒否していた有様である。その結果、福島第1原発の現場は「孤立無援」の「自助努力」しかできない状態に陥り、さまざまな対策・対応が不可能になっていたように思えた。東京電力本社や首相官邸は何をしていたのか(但し、福島第1原発からの東京電力や首相官邸への(人員・物資の補給を含む)要請があいまいだったり、きちんとしていなくて、タイムリーに対応できていない様子もうかがえた)

 

OUR PLANET TVの白石草氏は、まるでアジア太平洋戦争時にガダルカナル島などの太平洋諸島群にいた日本軍守備隊のようだ(補給を受けられずに孤立・ジリ貧となり、「玉砕」突撃を繰り返して全滅している)と表現していた。全くその通り。

 

4.1号機の水素爆発の後、3/13の早い段階から「2,3号機についても水素爆発の危険性あり」という認識はあったようなのが驚きである。そうなら何故、更なる水素爆発を防止するための対応や対策を取らなかったのか。取らなかったのではなく、取れなかったというのなら、その理由は何か。まさか、関係責任者達が一同に会して評論家家業をしていたというわけではあるまいな(1号機の水素爆発によるものなのか、2号機のブローアウトパネル(建屋の横窓)が開いているのが発見され、みんなで喜んでいる映像が印象に残った)。

 

 高橋フェローが水素爆発対策をしようと発言して間もなく、あの勝俣恒久東電会長がTV会議に現れて、水素爆発の可能性は低い、まず、ないと考えていい、社長記者会見で否定する、などと発言していた。3/13には、水素爆発対策を検討するぞという雰囲気が出ていたが、ひょっとして、この勝俣会長の発言で消えてしまったのではあるまいね。アイヒマンのような人間の多い東京電力のことだから、なおさら心配だ(映像の中で、武藤栄副社長が「TEPCOスピリッツでがんばろう」と関係者を激励する一幕がある。私には「皮肉」に聞こえた)。

 

5.同じく、1~4号機の使用済み核燃料プールの水の温度が上がりつづけ、冷却できないままになると、原子炉の状態よりもより深刻で危険なことになるという認識もあった様子だ。これは実は、米国及び在日米軍がもっとも懸念していたことらしく、あの80km圏内の米国人の避難勧告が出された理由も、この使用済み核燃料プールの破綻に対する懸念にあったらしい。それだけ各原発の使用済み核燃料プールは危険であるにもかかわらず(使用済み核燃料を含む核燃料が水につかっているだけで、格納容器もなければ、放射能環境放出を防ぐ手立ても何もない状態である)、その後、3年半の間に、全国の原発・核燃料施設にある使用済み核燃料プールに対して強固な安全対策がなされたという話は全く聞かない。何をしているのだろうか。

 

6.時間がたつにつれて、現場で頑張る作業員の被ばく量が増大、法定の上限である100mSvを超えてしまう人が出てきた。やがて首相官邸は、放射線被曝の上限を一時的に250mSvに引き上げるという「ご都合主義」を採用した。結局役に立たなかった作業で、たくさんの作業員が大量被ばくをしてしまうという、悲しくも悔しい結果になってしまっている。原発の安全神話に胡坐をかいて、原発事故の際の対応・対策をまじめに考えてこなかった加害者・東京電力や事故責任者・国の出鱈目な方針のしわ寄せが、ここでも現場作業員にのしかかっている。

 

7.SBO(全電源喪失)になって以降、電源の確保に苦労していたようだったが、バッテリーくらいは、何故、大量にヘリコプターででも福島第1原発の現場へ運搬・補給できなかったのだろうか。自衛隊が一貫して補給用ヘリの運転を拒否し続けていたということか? 映像の中では、職員がいわき市まで車でバッテリーを買いに行くなどという話が出ていた(結果は買えなかった)。ちょっと理解しがたい。危機意識が希薄だったのだろうか。あるいは、東京電力本社や首相官邸に、物資補給や人員追加の要請をきちんとしていなかったのではないか。(ガソリンや軽油などについても同じ)

 

8.官邸と吉田昌郎所長とが電話で容易にはつながらないという。何故、ホットラインを用意しないのか。あるいは、つながった電話は切らずにずっとそのままにしておけばいいのではなかったか。関係機関の意思疎通がどうのこうのという前に、基本的な準備や手配が出来ていない様子だ。要するに、東京電力本社も、首相官邸も、霞が関官僚たちも、福島第1原発現場も、すべて危機管理能力がゼロに近い。

 

9.2号機の危機と、福島第1原発からの退去・撤退問題だが、映像を見る限りでは「いつごろ福島第1原発から全員が撤退するのか」という高橋フェローの言葉や、「今、しかるべき人に聞いている」という清水社長の言葉から、少なくとも東京電力本社は、福島第1原発からの全員撤退を考えていたことは明白である。無責任な奴らだ、と一瞬は思ったが、しかし、ひょっとすると福島第1原発に残っていると放射線被曝で死ぬかも知れないという時に、「残って事故収束にあたれ」などと、誰が命令することができるのだろうか。そもそも、事故になったら誰かが事故対応で死ぬかも知れないような発電設備などが稼働していること自体が大問題である。この点からも、原発・核燃料施設の再稼働は許されない。

 

10.3号機の爆発で、東京電力職員が4人、下請け職員が3人負傷、それ以外に自衛隊も4人がけがをしたらしい。また、爆発で、福島第1原発敷地はあたり一帯ががれきの山と化してしまったようである。それにしても、この3号機の爆発は、何故、1号機の爆発と、あんなに違っていたのだろうか。1号機のように白煙が横へ広がるのではなく、黒い煙が垂直に上がり、デブリや破片のようなものが空からバラバラと落ちるのが見えた映像を思い出す。使用済み核燃料プールでの核爆発(即発臨界)と水素爆発のセットだった可能性を言う人がいる。さもありなん。

 

11.電源やケーブルをやっとの思いで調達して、いざ使おうと思ったら、コネクタ(インターフェース)の規格があってなくてつながらない=使えない、という話はだいぶ前に聞いたが、今回の映像でみたのは、トランシーバー50台を差し入れてもらったが、使用周波数が全部同じだったので、同時に使うと混線して、何が何だか分からなくて、結局使えない、というのがあった。これもバカみたいな話である、原発・原子力の技術水準と平仄が合っている、ずいぶんとレベルのお高い話だ。

 

12.ベント、ベントと騒ぐ中で、ベントをする場合には記者会見をしなければならないとか、風向きはどっちからどっちへ吹いているのかを気にするなど、一応、ベントが周辺の環境に猛烈な放射能汚染を引き起こすという意識だけはあった様子だ。しかし、映像を見ていて、ついぞ、周辺の住民の避難状況や被ばくの危険性回避に言及するような場面は一度もなかったように思う。これはおそらく首相官邸でも同じだったのではないか。福島第1原発事故では、福島県民をはじめ、広く東日本の放射能汚染予定地域の住民は、最初から「棄民」されていたと言っていいだろう。加害者・東京電力や事故責任者・国のこの本音は、やがて賠償・補償や「子ども・被災者支援法」をめぐる動きの中で、だんだんと露骨になり、居直りに変わって行く。民主党政権の最大の誤り・犯罪性は、この被害者の切り捨て(その裏返しの加害者・東京電力救済)であり、また、福島第1原発事故の検証や教訓を生かさずに原発再稼働に走ったことである。住民・国民を守らず背信行為を繰り返した彼らに、二度と政権を握らせてはならない。

 

13.水素爆発の後の1号機や3号機は、どういう状況だったのだろうか。また、2号機では、結局何が起きてどうなったのか、この映像からは、まったくと言っていいほどわからなかった。3つの原子炉とも、炉心溶融していることは間違いなく、危険な状態であることも間違いない。違いと言えば、ベントができたかどうかの違いしかなく、ベントができなかったと言われている2号機についても、3/15朝に、圧力抑制室内や格納容器内の気圧が大きく下がってしまったので、結果的には1,3号機と同じ状態になってしまっている。3/15以降の、この3つの炉の状況と、それに対してどのような対策・対応が打たれ続けたのか、詳細に知りたいところである。

 

14.緊急時のセンターとなるべきオフサイトセンターが機能している様子がない(一応、3/15未明に一足先に福島市へ逃げ出すまで、オフサイトセンターには池田元久経済産業省副大臣(民主党)他の人間たちがいたはず)。なにをしちょったのか?

 

15.福島第1原発事故直後の大変な時に、計画停電で大騒ぎをしていたようだ。記者会見でどう説明するかで、大声で騒いでいる。こいつらあほか、という印象だ。ただ単純に、ピーク時の間だけ、大口のユーザーに電力消費を止めてもらえばいいだけではないか(こういうときのために、緊急時は電力消費を押さえてもらい、その分、通常時の電気料金を割り引く特別な契約を、大口ユーザーとしていたはず)。他の地域から、あるいは大口自家発電などから、電気を分けてもらうこともできるだろう。総理官邸の枝野幸男も枝野幸男で、なんでもかんでも東京電力がやれと、ふんぞり返っている様子だった。枝野幸男も対策本部の政府首脳として、計画停電などしなくていいように、記者会見でもやって、大口ユーザーらに協力要請をすべきだったのではないか(「平成子泣きじじい」の海江田万里では役に立たないだろうから)。

 

16.教訓

(1)原発をモニターする装置・設備・仕組みが全然できていない。放射能測定できなかった(バッテリーがついていないので停電したら動かない、津波にやられたなどのお粗末なものがたくさんあった)、地震や津波の測定できず、原発全体の映像が見れない(2,4号機の爆発映像がない)、圧力・温度・水位計がすぐに壊れる、TV会議の映像がない(3/11、3/15他)、その他。

 

(2)通信手段の貧困:ホットラインがない、現場の連絡通信手段がない

 

(3)東京の対策本部が東京電力と、政府・首相官邸と、霞が関各省に分かれていてバラバラのような印象を受ける:1つにすべき。緊急時にまで「縦割り・セクショナリズム・不作為」を決め込んでいてどうするのか。

 

(4)東京電力以外の技術系人間=原子炉メーカー、原子力安全委員会、科学者(顧問含む)、原子力安全保安院を含む技術系官僚たちの姿が見えない。何をしていたのだろうか。役に立たないのなら、今のうちのやめていただこう。

 

(5)住民避難対策や福島第1原発現場への補給支援などが専門部署によって適切に行われていたのかどうか。いつものことなかれ・不作為をつづけていて、結局、現場が物資や人員の補給を受けられす、まともなことができなかったのではないのか。

 

(6)原発・核燃料施設過酷事故時の緊急対応体制について抜本的に見直さないと、再び同じことが起きることになるだろう。

草々

 

2014年10月 1日 (水)

(報告) 福島原発告訴団 9.30 院内集会 & 東京地検包囲

前略,田中一郎です。

 

 昨日(9/30)、福島原発告訴団主催で、正午から参議院会館講堂において院内集会が、続いて、午後2時より、東京地検前において「東京地検包囲」集会が開催されました。いずれのイベントにも、たくさんの人たちが参加し、理不尽きわまる福島第1原発事故の責任を、法治国家としてきちんとしかるべき人間にとらせるべく、東京地方検察庁に強くプッシュすることを確認し、代表原告と弁護団が東京地検に申し入れを行いました。別添PDFファイル、及び下記URLは、その際に配布された資料です。

 

 ご承知の通り、福島原発告訴団が告訴・告発した福島第1原発事故の数十名にも上る責任者は全員不起訴処分となりました。日本の検察権力は、福島第1原発事故の責任者を起訴することを回避する目的で、不起訴処分公表直前に担当検察庁を福島地検から東京地検へ急きょ変更するなど、姑息な真似までして、起訴を抑え込もうとしています(不起訴を受けて、福島原発告訴団が検察審査会へ異議申し立てするであろうことをにらんだ動きです=福島の検察を担当にしておくと、検察審査会も福島で開催となり、審査会の委員も福島県民から選ばれることになって、起訴されてしまう可能性が高くなる ⇒ 東京へ移管することで、審査会は東京での開催となり、委員は福島第1原発事故からは(福島県民よりも)疎遠な人が選ばれやすくなり、起訴の可能性が低くなる)。

 

 福島原発告訴団は、その後、検察審査会の委員に方々に「理解していただきやすく」する目的で、告訴・告発する人間を数名(6人:下記サイト参照)に絞り込み、東京の検察審査会に異議申し立てをしていましたが、去る7月、審査会委員11名中、8名を超える委員が起訴相当としたため、再び、東京地検が起訴するかどうかを再検討しているところです。(下記参照)

 

●福島原発告訴団 【速報】 検察審査会、「起訴相当」の議決!

 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/07/blog-post_31.html

 

本日7月31日、東京第五検察審査会は、福島原発告訴団が不起訴を不服として申立てていた東電旧経営陣6人のうち、3人について「起訴相当」、1人について「不起訴不当」、2人について「不起訴相当」という議決を出しました。「起訴相当」と「不起訴不当」議決の出た4人について、検察庁は再捜査を行い、改めて起訴をするかどうかの判断をします。

 

起訴相当議決

・勝俣 恒久 東京電力株式会社取締役会長(肩書は告訴当時)

・武藤 栄   東京電力株式会社 前・取締役副社長原子力・立地本部長(肩書は告訴当時)

・武黒 一郎  東京電力株式会社 元・取締役副社長原子力・立地本部長(肩書は告訴当時)

 

不起訴不当議決

・小森 明生  東京電力株式会社 常務取締役 原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター所長(肩書は告訴当時)

 

(参考)福島原発告訴団 東京検察審査会に審査申し立て

 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2013/10/blog-post_16.html

 

 

 今回の院内集会 & 東京地検包囲行動は、この事態を受けて、東京地検に不起訴処分を撤回させ、その本来の(大多数の有権者・国民から)期待された職務である福島第1原発事故責任者を起訴処分とするよう促す目的で開催されました。

 

 東京地検はすみやかに、原発事故責任者を起訴すべきです。そもそも検察に、これらの人間たちに責任があるかどうかを決める権限や資格があるわけではありません。大多数の有権者・国民が、あれだけの大事故を起こし、多くの被害者を苦しめているのだから、その責任者は何らかの形で罪を問われるべきであると考えているわけですから、その国民的「期待」に応えて、検察はその本来の職責をまっとうすべく、全力で捜査の上、証拠を揃えて起訴を行い、裁判所に責任や罪の有無・軽重の判断を仰ぐべきものです。検察は、何を勘違いしているのでしょうか。検察の分際をもわきまえず、この人間たちは無罪放免であると決めつけてかかっているようです。

 

 検察よ、これからでも遅くないので、東京電力他の関係組織に強制捜査に入り、証拠固めを行ったうえで、検察審査会が起訴相当・不起訴不当とした4人について、起訴を行え。それがあなた達の使命であるのだ。このまま不起訴処分に固執すれば、歴史的な汚名を後々まで残してしまうことになるぞ!!

 

 なお、福島原発告訴団は、原発被害糾弾飯館村民救済申立団とともに、来る1116日(日)に、福島市公会堂にて「原発事故被害者集会」を開催します。福島第1原発事故後も賠償・補償がきちんとなされず、「子ども・被災者支援法」もその法律の主旨が捻じ曲げられ、形ばかりで業者が喜ぶだけの「できもしない除染」でごまかされ、危険極まりない恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)環境下におかれ続けるという理不尽な境遇から、被害者の方々を完全救済すべく、全国からご賛同者・ご支援者を集めて集会が開催されます。みなさま、ふるってご参加のほど、お願い申しあげます。

 

(福島第1原発事故以降、加害者・東京電力や事故責任者・国、あるいは自治体行政などに翻弄され続けてきた福島県飯館村の被害者の方々が、ついに怒りの決起を行います。「原発被害糾弾飯館村民救済申立団」は、そのための集まりです。全国の脱原発を担うみなさまとともに、自らの救済に向けて立ち上がりますので、どうぞご支援をよろしくお願い申し上げます)

 

 <別添PDFファイル>

(1)起訴へ! 9.30院内集会&東京地検包囲行動(プログラム 2014.9.30
「proguramu_kokusodann.pdf」をダウンロード
(2)原発事故被害者集会 in 福島(パンフ)(20141116日(日)、福島市公会堂)

「syuukai_annnai.pdf」をダウンロード
(3)検察審査会議決の解説(海渡雄一弁護士 2014.9.30

(4)20140930東京地検上申書(2014.9.30

(5)「吉田調書」海渡弁護士解説(2014.9.30

 

 <福島原発告訴団サイト>

(1)福島原発告訴団 【告知】9.30院内集会&東京地検包囲

 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/08/blog-post_31.html

 

(2)福島原発告訴団 9.30院内集会&東京地検包囲 資料

 http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2014/09/blog-post_30.html

 

 <録画:UPLAN他)

20140930 UPLAN 【院内集会のみ】福島原発事故の責任を問う9.30院内集会&東京地検包囲 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=2ZdkyeWQuPo

 http://www.youtube.com/watch?v=dh8mghQOwlU

 http://www.youtube.com/watch?v=iKz3hhhqiuE

草々

 

<追>ところで、日本の腐った「マスごみ」どもよ、お前たちは、何故、このような重要な社会の動きをきちんと報道しようとしないのか。昨日のTVのニュースや、本日の全国紙各紙の朝刊を見ても、福島原発告訴団とその支援者の昨日の動きを報道した記事は皆無ではないか。お前たちは、いったい何のためにこの世に存在しておるのか。有権者・国民の「知る権利」を何と心得ているのか。くだらない記事で、日々、紙面・TV画面を汚しているというのに、何が大事な出来事なのかの分別も付けられなくなっているのか。お前たちは、仕事をしないのなら、とっとと消えちまえ!! ということだ。

 

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