« 東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(5)忘れられたプール、水が蒸発していく | トップページ | 東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(6)3号機も水素爆発、ものすごい恨みつらみ »

2014年10月 3日 (金)

もっかい(もう1回)事故調:再び田中三彦さんに注目しよう : 岩波月刊誌 『科学』 に田中三彦さんの論文が毎月連載されています

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

ご承知の通り、原子力ムラ村民で構成される原子力「寄生」委員会・「寄生」庁と、生まれながらにして原子力ムラの悪質代理店であった安倍晋三・自民党政権は、目下、福島第1原発事故の惨状に目をつむり、脱兎のごとく鹿児島・川内原発の再稼働へ向け、その本性を露わにして邁進しております。そうした中、再び、原発の専門家として田中三彦氏(元日立バブコック原子炉設計技師)が注目され始めています。

 

田中三彦氏は、国会事故調の委員として、今から2年ほどまえに活躍されましたが、国会事故調の物理的・時間的制約と、猛烈な放射能汚染のために福島第1原発の現場検証などができなかったため、その報告書は暫定的ともいうべき形で終わっています。しかし、その後の日本の原子力ムラや自民党・民主党に代表される政治家どもの仕業は、そうした国会事故調報告書の不十分をいいことに、福島第1原発事故の実態解明や原因究明を棚上げにして、国会事故調の暫定的な指摘や結論を根拠なく、ことごとく否定するという「原発事故の偽造」に踏み出しているのです。

 

過去と真摯に向き合い、その愚かさを心底反省して未来へ結びつけられない愚か者は、やがて同じ過ちを過去以上のスケールで繰り返して滅び去っていきます。それが歴史の教訓というものです。私たちは、自らが生き残るためにも、「彼ら」のかような馬鹿な行為を許してはなりません。そう考えた時、原発技術者であり専門家でもいらっしゃる元国会事故調委員の田中三彦氏が、再び私たちの先頭に立って下さるようです。みんなで田中三彦氏に注目をいたしましょう。以下、岩波書店月刊誌『科学』に掲載されました田中三彦氏の論文を簡単にご紹介し、関連記事を添付しておきます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)国会事故調は何を指摘したのか(田中三彦 『科学 2014.9』)

(2)福島原発事故分析の「最前線」、新潟県技術委員会「課題別ディスカッション」(田中三彦 『科学 2014.10』)

(3)吉田調書の意義を見失ってはならない:事故を直視するために(原発規制庁審議ウォッチ・グループ 『科学 2014.10』)

 

●岩波書店月刊誌『科学』

 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/

 

1.国会事故調は何を指摘したのか(田中三彦 『科学 2014.9』)

 田中三彦氏の議論のポイントは2つ、(1)少なくとも福島第1原発1号機は、地震の揺れで非常用復水器(IC)などの冷却用配管設備に小さな損傷が起きたのではないか(いわゆる小LOCA)⇒ 時間とともに重大事態へ発展,(2)少なくとも福島第1原発1号機については、大津波が到達する前に非常用電源がアウトになっていたのではないか、の2点です。 

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて,その国会事故調の報告書の中身に関し,しばしば話題になることの一つは,政府事故調と東京電力が福島原発事故の直接的原因は実質的に<津波>であるとしているのに対し、国会事故調は地震が関与した可能性を否定できないとしたことだろう。より正確を期せば,国会事故調は報告書の冒頭の「結論と提言」で,つぎのように記している。

 

当委員会は,事故の直接的原因について,「安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない」,特に「1号機においては小規模のLOCAが起きた可能性を否定できない」との結論に達した。しかし未解明な部分が残っており,これについては引き続き第三者による検証が行われることを期待する。

 

たとえ小規模のLOCAといえども,その原因が地震(動)ということになれば,それは原発の耐震設計の基本が問われる大問題だから,問題としてはきわめて重要である。そんなことから,「地震と小規模LOCA」問題は,原発再稼働に前向きな学者,研究者らの感情的としか思えない国会事故調批判を引き起こしてきた。

 

しかしじつは,国会事故調が「引き続き第三者による検証が行われることを期待する」とした未解明問題は,この地震と小規模LOCAの問題だけではない。津波に関しても,解明されるべき,ある重要な問題が存在することを指摘している。それは,「SBOと津波の関係」に関する問題だ。東京電力も政府事故調も,動かしがたい客観的証拠を一片も示すことなく,福島第一原発1~5号機の全交流電源喪失(SBO)の原因は津波であるとしている。これに対し国会事故調は,当時東京電力が公表していなかった津波襲来の様子を連続的に撮影した何十枚もの写真を東京電力から入手,それらを詳細に分析し併せて関係者からの聞き取り調査を行った。その結果,とくに1号機に関しては,津波が1号機を襲う前にすでにSBOが起きていた可能性があること、また他のいくつかの号機に関しても、その可能性を完全には否定できないことが明らかになった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

2.福島原発事故分析の「最前線」、新潟県技術委員会「課題別ディスカッション」(田中三彦 『科学 2014.10』)

 上記1.の続編。国会事故調も政府事故調も、福島第1原発事故の実態解明や事故原因の究明が不十分だから、新たに委員会を設置して、更なる解明・究明を続けるべきであると提言しているにもかかわらず、民主党政権も、自民党政権も、その提言を棚上げにしてしまっている(要するに、こいつらは同じ穴のムジナだということだ)。そうした中で、現在、福島第1原発事故を取り上げて検討しているのは、(1)原子力「寄生」委員会傘下の「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係わる検討会」(通称「事故分析検討会」)と、(2)新潟県が独自に行っている福島事故検証作業=「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」(新潟県技術委員会)の「課題別ディスカッション」、の2つである。そして田中三彦氏は、後者の技術委員会の「課題1: 地震動による重要機器の影響」のディスカッショングループの委員となり、注目すべき議論を展開されている。

 

 また、この2014年10月の『科学』論文では、これまでの同氏の議論に加えて、新たに論文後半の部分に、「福島第1原発水素爆発の4階爆発説」の追加的根拠が、東京電力との論争の紹介と並行して、わかりやすく説明されている。必読かと思われる(①4階・5階をつなぐハッチの巨大な金属蓋が行方不明(おかしい)、②ICタンク胴体部の鋼製カバー表面に見られる水蒸気凝縮痕のような白い模様はいったい何だ・どうしてできたのか)。

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

前号で詳述したように,国会事故調査委員会は,福島第一原発事故の物理的,直接的原因に関し,大別すれば二つの重要な基本的問題を指摘している。一つは. 「安全上重要な機器の地震による損傷はないと確定的には言えないこと,とくにl号機においては小規模のLOCA(冷却材喪失事故)が起きた可能性を否定できないこと(「地震と小規模LOCA」の問題)、もう一つは, とくにl号機に関しては津波が1号機を襲う前にすでにSBO(全交流電源喪失)が起きていた可能性があること(「SBO」と津波の関係」の問題)の二つである。

 

国会事故調が指摘した事故原因に関する未解明問題は,今日,きわめて“対照的"な二つの議論の場に付されている。一つは,新潟県が独自に行っている福島事故検証作業,そしてもう一つは,原子力規制委員会が行っている「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係わる検討会」(通称「事故分析検討会」)である。「対照的」と書いたのは,検討,検証の作業の手法がほとんど正反対であるからだ。

 

国会事故調が指摘した事故原因に関する未解明問題は,今日,きわめて“対照的"な二つの議論の場に付されている。一つは,新潟県が独自に行っている福島事故検証作業,そしてもう一つは,原子力規制委員会が行っている「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係わる検討会J(通称「事故分析検討会J)である。「対照的Jと書いたのは,検討,検証の作業の手法がほとんど正反対であるからだ。

 

前者は,東京電力とのデイスカッションという形式をとり,大小,さまざまな問題を取り上げて議論している。また検証作業の期限もあえて設定していない。少なくともこれまでのところは,解明すべき問題をとことん解明していこうという姿勢を貫いているように思える。それに対して後者は,きわめて議論が独善的,閉鎖的,排他的であり、3.11以前に存在した原発に関する国の各種審議会よりもなおいっそう権威的になった感がある。原発を規制する組織の検討会のあるべき姿とは正反対のものと言ってよい。この検討会で行われていることは,本連載のタイトル「ゆがめられている事故原因の究明の道」そのものである。連載2回目の今回は,タイトルとはある意味で真逆だが,福島原発事故に関して,新潟県がどのような検証作業を進めているかを紹介したい。

 

東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県の技術委員会は,福島第一原発事故を独自に検証するために,昨年10月から[福島事故検証課題別デイスカッション]というものを行っている。デイスカッションの課題はつぎの六つで,各デイスカッションには3名の担当委員(課題5は2名)が参加している。担当委員以外の委員の参加は自由である。

 

課題1: 地震動による重要機器の影響

課題2:海水注入等の重大事項の意思決定

課題3: 東京電力の事故対応マネジメント

課題4: メルトダウン等の情報発信の在り方

課題5:高線量下の作業

課題6: シビアアクシデント対策

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

3.吉田調書の意義を見失ってはならない:事故を直視するために(原発規制庁審議ウォッチ・グループ 『科学 2014.10』)

 そして、この小レポートは、同じく岩波書店月刊誌『科学』の2014年10月号に掲載されたもので、主として、(1)原子力「寄生」委員会傘下の「事故分析検討会」の出鱈目な状況、(2)吉田調書と東京電力撤退問題、(3)吉田調書に見る「より重要な問題点」(を見失うな:事故対応要員の問題や3/15午前の猛烈な放射能汚染の原因など)、の3つを簡単にレポートしている。目を通しておいた方がいい文献だ。

 

======================

 改めて申し上げます。原子力ムラ・放射線ムラによる福島第1原発事故の実態・原因と悲惨な被害状況を棚上げにして、再び原発・核燃料施設の稼働と推進にまい進する政府及び原子力「寄生」委員会・「寄生」庁に対して、敢然と立ちはだかる技術者・田中三彦氏に、みなさま、ご注目とご支援を!!

草々

 

(追)

 朝日新聞の科学部に在籍し、ここ2年くらいは、いわゆる福島第1原発事故に伴う放射線被曝問題について、新聞紙面で報道を続けている大岩ゆり記者だが、昨今、その大岩ゆり記者が、放射線ムラに学者魂を売り渡した御用学者ではないかと噂されている、あの丹羽太貫と昵懇の中で、丹羽から「ゆりちゃん」などと愛称で呼ばれているとの話を耳にした。事実なのかどうかは知らないが、新聞記者として、科学ジャーナリストとして、注意した方がいいだろう。

 

 大岩ゆり記者もまた、放射線ムラに記者魂を売り渡したのかどうかは知らないが、この間、放射線被曝や被ばく防護に関する軽率で危険で矮小化された、放射線ムラ御用学者の広報機関のような内容の記事を、批判的な観点がないままに、朝日新聞科学部の「威を借りて」、読者に垂れ流し続けてきた御仁である。理不尽にも多くの地域住民が、福島第1原発事故による放射能汚染と無用の被ばくに苦しめられている時に、この報道姿勢は許しがたいものがある。加えて、ここに来て、この、まるで放射線ムラとの「慣れ合い関係」を象徴的に表すかのごとき噂話を耳にしたので、看過できないと思い拡散する次第である。

 

 朝日新聞(経営者および幹部)は、必要もない(右翼ゴロツキへ向かっての)謝罪などしているヒマがあったら、こうした報道現場での「たるみ」というか、「インチキ協賛」「権力追従」の「デマ報道」に近いようなものを、もっとしっかりと社内チェックしたらどうなのか。万が一にでも、これで被害者住民に健康被害が広がり始めたら、そのときこそ、朝日新聞は「ご臨終」となってしまうぞ。

 

 支配権力に追従して、御用報道・大本営発表を繰り返して、大日本帝国崩壊とアジア民衆・日本国民に絶大なる苦しみ・悲しみをもたらした「新聞としての罪悪」について、心からの反省をして戦後を出発したはずの朝日新聞だが、戦後70年を経て、ついにその初心を忘れてしまったか。もう一度、顔を洗って出直し、社内の引き締めと、時代の逆風を受けながらも必死で頑張っている「批判的ジャーナリズム」魂を持った現場の多くの記者達を、経営サイド・編集サイドからしっかり支えて紙面を充実させる「新聞としての原点」を、朝日新聞には一刻も早く取り戻していただきたい。

 

 さしあたり、大岩ゆり記者を福島報道や放射線被曝報道からはずしたらどうか。そうしないと、やがて、「朝日新聞科学部」の看板は「朝日新聞似非科学部」という看板に入れ替わってしまうのではないか。

 

●丹羽太貫

 http://www.rerf.or.jp/intro/org/bod_list/niwa.html

 

 

« 東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(5)忘れられたプール、水が蒸発していく | トップページ | 東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(6)3号機も水素爆発、ものすごい恨みつらみ »

福島原発事故」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(5)忘れられたプール、水が蒸発していく | トップページ | 東京新聞・吉田調書シリーズ特集記事に見る福島第1原発事故(その実態と事故原因をさぐる):(6)3号機も水素爆発、ものすごい恨みつらみ »

最近の記事

無料ブログはココログ