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2014年9月12日 (金)

現代の治安維持法 「特定秘密保護法」 が施行へ : グロテスクな前近代的 「秘密国家」 へ向かう日本、 「由らしむべし、知らしむべからず」

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、昨日(9/11)の東京新聞朝刊に掲載されました特定秘密保護法に関する記事です。政府が、特定秘密保護法の運用基準の素案に対するパブリックコメントに寄せられた意見と、一部修正した運用基準案を公表した旨の内容です。しかし、新聞見出しにもあるように、この法律の本質は何ら変わらず、根本のところで歪みきったその基本的な構造はそのままに、安倍晋三政権の強行突破で間もなく施行されようとしています。この法律の施行は、戦後民主主義の崩壊・解体と、現代における「治安維持法」施行とほぼ同内容のことであり、日本という国が、わずか70年ばかりで「民主主義体制の国家」を放棄して「グロテスクな前近代的秘密国家」へと向かうことを意味しているのです。有権者・国民・市民の無関心、あるいは認識の甘さに付け込む現代ファシストのなせる技と言えるでしょう。

 

 <別添PDFファイル>

(1)秘密法 日程優先で推進、運用基準、抜本修正なし(東京 2014.9.11

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091102000148.html

 

 <関連サイト>

(2)東京新聞 秘密法運用案 国民意見と政府見解政治(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014091102000142.html

 

(3)東京新聞 日程優先で推進 運用基準、抜本修正なし特定秘密保護法特集・連載(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/himitsuhogo/list/CK2014091102000165.html

 

(一部抜粋)

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● 上記(1)より

 

寄せられた意見の半数以上が法律の廃止や条文の見直しを含む内容。行政機関による違法行為は特定秘密に指定しないなど二十七カ所の修正があったが、政府の意のままに秘密指定がされる恐れは残った。(中略)

 

公募で寄せられた二万三千八百二十件の意見は、六百項目に分けて公表。過半数が法律の存廃や修正に関連する内容を含む意見で、運用基準の内容以前に法律に対する国民の不安の大きさが鮮明になった。だが、それらは意見公募の目的と形式が合わないとして「その他」の項目にされた。

 

その中では、法律の廃止のほか、国家が秘密にする情報の明確化などを求めた国際ルール「ツワネ原則」に基づく全面的な見直しを求める意見があった。市民活動や内部告発は処罰対象としないよう明記すべきだとも指摘された。

 

運用基準案については、監視機関の独立性や権限の強化、違法な秘密指定だけでなく不当な秘密指定の禁止が要望された。「その他」などの曖昧な指定基準の排除も求められたが、いずれも採用されなかった。

 

● 上記(3)より

政府は十日、国民の「知る権利」を侵す恐れがある特定秘密保護法の運用基準案に対するパブリックコメント(意見公募)で寄せられた意見とともに、一部修正した運用基準案も明らかにしたが、際限なく秘密指定されかねないという本質部分は変わらなかった。時間をかけて国民の声を検討しようとする姿勢は見えず、十二月施行という日程ありきで準備を進めている。(中略)

 

これらの修正内容は、秘密の指定基準が曖昧であるという根幹部分とは無関係で、法律の問題点はほとんど変わっていない。法律自体の廃止を求める多くの国民の声に対して、政府は「国民の『知る権利』に十分に配慮されている」などと正面から答えなかった。

 

◆海渡雄一弁護士 日本の針路誤らせる

 運用基準は一部修正されたが、国民の知る権利を侵す恐れがあるという特定秘密保護法の根本的な問題は何ら改善されていない。国民が国政について判断する際、国の施策の情報が正確に入らないと、的確な判断ができない。日本の針路を誤らせる可能性がある。

 

 日中戦争では旧日本軍が鉄道爆破事件を起こしたことが秘匿された。ベトナム戦争で、北ベトナム軍の哨戒艇が米海軍の駆逐艦に魚雷を発射したとされたトンキン湾事件も、米軍が仕組んだと後に発覚した。

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 「釈迦に説法」となることを覚悟の上、再度、特定秘密保護法の根本的欠陥を箇条書きにしておきたい。

 

1.この法律の下では、不法行為や不適当なことも含めて、政府が握る情報のうち、政府にとって都合の悪い情報が際限なく秘密指定されてしまう危険性を止めるすべがない。「情報保全諮問会議」「保全監視委員会」「独立公文書管理監」「情報保全監察室」の、4つも設けた秘密指定ないしは法律運用の適正化をチェックする組織は、いずれも「独立した第三者性」に乏しく、加えて「権限不十分」「体制不十分(人員数・予算等)」でもあり、数十万件にも達するであろうと言われる「特定秘密」の前では、およそ期待された機能は果たしえない。

 

 それは、今回のパブコメにおいて、国民各層各位から反対ないしは懸念を表明するたくさんの意見が出されても、「情報保全諮問会議」が何らの根本的対処ができないこと一つ見ても、明らかなことである。御用人間たちを集めた、権限のない、事務局を官僚たちに握られた「諮問会議」など、何の役にもたたぬことは、これまでの経緯から見て明らかである(「情報保全諮問会議」の委員で日弁連の清水勉さん、その中途半端な態度は改めた方がいいですよ)。

 

(参考)特定秘密保護法 適正確保の仕組み(案) 説明資料 - 内閣官房

(1)http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=3&cad=rja&uact=8&ved=0CCUQFjAC&url=http%3A%2F%2Fwww.cas.go.jp%2Fjp%2Fseisaku%2Fjyouhouhozen%2Fdai1%2Fsiryou5.pdf&ei=dmkSVKKnMM-78gXFsIKoCw&usg=AFQjCNHBfuZNXMjyW1qUu06_6u53BbBcgw

 

(2)http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=4&cad=rja&uact=8&ved=0CCsQFjAD&url=http%3A%2F%2Fwww.cas.go.jp%2Fjp%2Ftokuteihimitsu%2Fikenkekka%2F3_3.pdf&ei=dmkSVKKnMM-78gXFsIKoCw&usg=AFQjCNFKFxsYYyhmXQKEvqok1V3yhIvQoQ

 

2.この法律に違反した場合の罰則(懲役刑10年+巨額罰金)が重すぎる。これでは今でも何かというと「事なかれ主義」「無責任」「たらい回し」が専業の公務員たちを萎縮させ、公開されるべき情報が益々出てきにくくなるだろう。

 

3.更に、この法律に基づいて実施される(特定秘密取扱い役人・関係者に対する)「適正評価」は、いわば支配権力・国家権力による公務員及び特定秘密関係民間人のプライバシーへの介入・侵害であり、支配権力・国家権力による公務員の恣意的「選別「差別」「分断」の手段であり、また日本国憲法が保障している思想・信条の自由など、多くの関係する基本的人権の侵害ともなりうる重大な権力による人間干渉行為である。

 

 近い将来、この「適正評価」が、支配権力・国家権力への「忠誠度TEST」となることはほぼ必至で、かつての共産圏時代の東ドイツで大問題となっていたシュタージ(秘密警察)支配下の「忠誠度競争社会」=その裏返しとしての「密告社会」に転落していくのは時間の問題であるように思われる。

 

 ここに至って、公務員たちの萎縮は決定的となり、いわゆる「総アイヒマン化現象」を引き起こすに違いない。うっとおしい、いやーな社会ができてくること必定で、今後の国の在り方の根本問題となるだろう。(この「適正評価」方式は、今後の日本社会に蔓延してきそうな、ビョーキ社会の一つの「病原体」制度となるような気がする:既にこれを先取りした人事制度を導入する会社もある)

 

4.政府情報へ(特定秘密とは知らずに)アクセスする一般の有権者・国民・市民が不当に逮捕され、また、弾圧されることになる。更に、今後予定されている共謀罪や盗聴法強化などの、他の治安維持法的法制度ともリンクされ、文字通り、反体制的人間・政府の政策や意向に反対する人間・賛成しない人間を、その「意思」「思考」「計画」段階(「行動」段階や「結果」段階ではなくて)で取り締まる「現代の治安維持法」となって行くであろうことも必定だ。

 

(ジャーナリズムは法の適用外などと言われているが、将来に渡ってのその保障はない。まず、一部の御用機関化した大手マスコミ所属以外のジャーナリスト、たとえば、フリーのジャーナリストや、権力批判志向の強い雑誌ジャーナリズムなどが、真っ先に弾圧のターゲットとなるに違いない)

 

5.特定秘密に指定された情報は、場合によっては、永遠に公開されないまま、闇から闇に葬られる可能性も高い。公開までの時間が政府の都合で自由に決められ、また、場合によっては、非公開のまま、処分してしまうことも可能である。更に、文書での保存もいい加減な規定になっている(法の対象となる文書の範囲が狭い、文書保存責任者の明確化や、文書紛失・非合法破棄の場合の罰則などが甘い等)。現状の「公文書管理無責任状態」を加速させかねない。

 

6.公益通報者保護制度が形骸化し、内部告発を萎縮させ、あるいはできなくしてしまう。また、特定秘密を扱う裁判の公開性が確保できなくなり、裁判そのものの遂行さえ危うい状態に陥る。「特定秘密」というだけで、あたかもかつての「昭和軍閥」のごとく、あらゆるものを押しのける「無法」がまかり通ることになってしまう。

 

6.最後に

そもそも、このような問題だらけの法律を制定してまで守らなければならない秘密など存在しない。既に、一定の範囲内で政府情報の秘密を守る法律は既に存在しており、また、そうした秘密保全のための法律に違反して政府情報が漏えいされた刑事犯罪事実もほとんどない状態だ(あえて申し上げれば、今回の特定秘密保護法制定に裏で大活躍した警察・警視庁の組織的な「緩み」からくる情報漏洩があったことぐらいである。たるんだ連中(警察上層部の官僚達)が、まるで自分達の組織的体たらくを隠すがごとく、今回の特定秘密保護法が創られたことも記憶しておくべきである)。

 

むしろ現在の日本にとっての課題は、政府情報の秘密保護ではなく、その逆、つまり、政府情報の公開=情報公開法の抜本改正と、隠された不法行為や不適当なことを内部告発する人たちを保護するための公益通報者保護制度の抜本拡充である。また、公文書管理を含む行政プロセスの抜本的見直しが必要であることは言うまでもない。

 

特定秘密保護法制定前の現状でおいてさえ、政府情報の多くが必要もないのに非公開とされ、有権者・国民・市民が知るべき情報を得ることができない、そもそも開示すべき文書類の管理が出鱈目で、官僚たちの恣意に従って処理されている、日本は不透明極まりない「密約」天国である、有権者・国民・市民の見えないところで不法行為や不適当なことが繰り返されているにもかかわらず、それが闇から闇へと葬り去られてしまっている、といった事態が延々と続いているのである。

 

だからこそ、今から15年くらい前より、この3つの課題(情報公開、公文書管理、公益通報者保護制度)が抜本的に改善されるべく議論が積み重ねられてきたのだが、今回の安倍晋三政権による特定秘密保護法の制定・施行は、こうした多くの人達による過去の努力を無に帰してしまうものなのである。

 

このままでは、有権者・国民・市民は、支配権力・国家権力の下僕と化し、やりたい放題の専制的秘密保護国家が出来上がってしまうことになるだろう。私の眼の黒いうちは、断じて認めるわけにはいかない。

草々

 

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