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2014年9月 4日 (木)

(政府の「放射線安全神話」広報を批判します) IAEAのレティ・キース・チェムさん、IAEAは原子力を推進する国際組織であり、被ばく管理に口をはさむ資格はありません(利益相反です)

前略,田中一郎です。

 

817日の全国紙5紙と福島民報・福島民友に掲載されました「放射線についての正しい知識を」という政府広報(復興庁、内閣官房、外務省、環境省)に対して、逐条的に反論・批判いたします。今回は、新聞掲載の2人の論者のうち、国際原子力機関(IAEA)保健部長のレティ・キース・チェム氏(以下、レティ氏)への批判です。

 

● 放射線についての正しい知識を・薬物対策:政府広報オンライン

 http://www.gov-online.go.jp/pr/media/paper/kijishita/624.html

 

(参考)2014817日付政府広報「放射線についての正しい知識を。」に抗議する 原子力資料情報室(CNIC

 http://www.cnic.jp/5998

 

(参考)「放射能・放射線は心配するほどのことではない」(放射線安全神話)にだまされないために  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-7987.html

1.表題「国際機関により設定された科学的な基準に基づく行動をとってほしい」

(田中一郎コメント)
 おっしゃる「国際機関」とは、具体的にはどこのことですか。まさか国際原子力機関(IAEA)のことではないでしょうね。それでは、まるで「私の言うことが科学的で正しいのだ、それに従って行動しろ」とおっしゃっているのと同じことになります。また、ひょっとして、国際放射線防護委員会(ICRP)や、その背後にいる「国連科学委員会(UNSCEAR)」のことですか? しかし、これらの国際機関は、いずれも「国際原子力マフィア」と言われていて、世界の原子力推進のために暗躍し、そのために邪魔者となる放射線被曝の危険性については、常に過小評価したり、歪曲したり、隠蔽したりしてきた長い歴史があります。そんなところのいうことを「科学的基準」だとかいって、私たちに押し付けないでほしいですね。そもそも、原子力を推進している組織が、その原子力利用に伴って引き起こされる放射線被曝の問題について、それを差配することは原理的に許されません。いわゆる「利益相反」行為そのものです(ブレーキとアクセルを同時に支配)。国際原子力機関(IAEA)は、放射線被曝問題への介入や差配を慎んでいただきたいと思います。


(参考文献)放射線被曝の歴史 アメリカ原爆開発から福島原発事故まで-中川保雄/著 本・コミック : オンライン書店e-hon
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032660915&Action_id=121&Sza_id=C0

 

2.(レティ氏)「放射性物質は様々な場所に」

 

(田中一郎コメント)

 それがどうかしましたか。自然放射能は人工放射能とは違います。人工放射能は自然放射能と違って非常に危険です。放射能(放射性物質)と放射線をごっちゃにしたような発言は感心しませんし、内部被曝の場合には、自然放射能と人工放射能では雲泥の差があることは、あなたも重々承知のことですよ。何故、それを言わないのですか。また、検査や治療に使われる放射線とそれに伴う被ばくと、原発事故による被ばくとを、まるで同じものであるかのごとく言うのはおやめ下さい。前者は、被ばくのデメリットを承知で被ばくする者が治療や検査をやむなく受け入れているのであって、原発事故のように被ばく者に何のメリットもなく一方的に押し付けられるものではありません。こんな比較をしたところで、原発事故による放射能汚染と、広範囲な住民の被ばくが合理化されたり受け入れられたりすることはないのです。素人を煙に巻くような姑息なまねはおやめ下さい。

 

3.(レティ氏)「高い線量の放射線の影響については、広島や長崎の原爆被ばく者の健康調査などにより、多くのことがわかっています。かなり高い線量でない限り、健康への影響は出ないということです。」

 

 

(田中一郎コメント)

 冗談を言ってはいけません。低線量による被ばくで健康障害や遺伝的障害が出ている事例は山のようにあります。あなた自身もそのことを知っているからこそ、この政府広報の文章の後半で「これら(国際放射線防護委員会(ICRP)が定める)限度及び基準値は現代の科学知識を考慮の上慎重を期して、その水準以下では健康への影響がまったくないと考えられる放射線量のしきい値はないという仮定に基づいて定められています。」と書いているではないですか。自分の発言が、前と後では食い違っているという、この「ご都合主義」「二枚舌」に気がつかないのですか。

 

4.(レティ氏)「低い線量の場合、ある程度細胞や組織は回復することができますが、低い線量の放射線による健康への影響を正確に評価するのは、難しい問題です。というのも、日常生活においては放射線以外に、何千もの発ガン物質にさらされているからです。例えばタバコの煙や紫外線、アスベスト、一部の化学染料、食べ物のカピの毒素、ウイルスのほか、熱さえもガンの原因となるのです。」

 

(田中一郎コメント)

 そんなことは言われなくても分かっています。だから何なんですか? ガンの原因がいろいろあるといっても、そこへ放射線被曝が加われば、ガンになる可能性は格段に高まるという見解も多くあります。どう説明しても、放射線被曝が低線量なら安全・安心だということにはならないでしょう。それに、放射線被曝による健康障害がガンだけに絞って論じられることも、ものごとの極度の矮小化です。放射線被曝は、その実態を原理的に考えれば、その危険性は明らかであり(放射線の猛烈なエネルギーで人間や生物の体を構成する分子結合をバラバラにし、従ってまた、遺伝子だけでなく、生命の秩序とでもいうべき様々な人間・生物の体の構成やメカニズムを破壊してしまう)、ガンや白血病以外の様々な健康障害や遺伝的障害をもたらすことが、既に相当前から明らかになっています。しかし、国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)を含む、原子力を推進する「国際原子力マフィア」の人達が、それを見て見ぬふりをしているだけでしょう。

 

5.(レティ氏)「放射線や核技術は、医療や産業、農業、エネルギー、その他の科学技術分野において活用されており、社会にとても大きなメリットをもたらしていることも忘れてはなりません。特に医療では、X線検査やガンの治療で放射線が使われており、多くの人命が救われています。」

 

(田中一郎コメント)

 医療分野その他の科学技術分野での放射線や核技術の利用が、かつてのように「もろ手を挙げて」の賞賛を受けている事実はありません。むしろ、医療分野でも、放射線の使い過ぎが問題になったり、農業などの分野でも、食品にこうしたものを使う危険性への認識が高まっており、放射線や核技術については、抜本的な見直しの時代に入っているのです。中でも原発は、経済性が劣り、極めて危険であり、かつひとたび過酷事故を起こせば、チェルノブイリ原発事故や福島第1原発事故のように、取り返しのつかない事態となることが多くの人々に深刻に受け止められ、脱原発は時代の大きな主流になりつつあります。放射線や核技術が大切だから、あたかも、ちょっとくらいの被ばくは我慢しなさい、などということには絶対にならないということを強調しておきます。

 

 また、放射線や核技術は、容易に核兵器開発へと拡張・発展し、世界に危険極まりない「核拡散」をもたらすものであることを忘れてはならないのです。あなたがた国際原子力機関(IAEA)も、無秩序な「核拡散」を防止するための組織ではなかったのですか。ならば、何故、もっと放射線被曝の危険性や、原発などの危険性・不要性(代替手段がいくらでもある)・非経済性を世界に説いて回らないのですか。原爆と原発が表裏一体であることを、どうして広く世界に向かって訴えかけないのですか。

 

6.(レティ氏)「国際原子力機関(IAEA)の放射線防護についての国際基本安全基準は、科学界と専門家の協力による数十年に及ぶ調査に基づいて設定されました。これは世界保健機関(WHO)などの国際機関とも共同で定められたもので、放射線業務従事者や一般市民の安全を守るために全加盟国で適用されています。」


(田中一郎コメント)
 「科学界と専門家の協力による数十年に及ぶ調査に基づいて設定されました」などというのは大嘘です。「国際原子力マフィア」と言われる国際原子力機関(IAEA)、国際放射線防護委員会(ICRP)、それに「国連科学委員会(UNSCEAR)」は、まさに三位一体で、何らの経験科学的・実証的な根拠も示さないまま(あるいは様々なデータを巧みにごまかしながら)、放射線被曝防護をまさに「政治的」に「こんなものでいいだろう」と決め付け、被ばくの問題が原子力の推進の妨げとならないよう、万全の対策をしているだけのことです。だからこそ、世界で多くの被ばく者が無視され、切り捨てられ、苦しみの中にいるのです。

 たとえば、原発などの核施設で働く労働者の被ばく限度を政治的に歪曲して決めていたことが発覚し(1990年ころ)、NHKでTV放送までされていますし、国際放射線防護委員会(ICRP)が示す、1ミリシーベルトだの、20ミリシーベルトだのといった被ばく限度の数値など、何の根拠もないではないですか。あるというのなら、あなた方がよく言う「統計学的に有意な形」で、公開されてみたらいかがですか。それ以外でも、「生物学的半減期」にさえ、実証的な根拠が乏しい(個体差が激しい)、「シーベルト」という被ばく評価の概念がおかしく、内部被曝が極度に軽視されているなど、首をかしげたくなることが山積み状態です。こんな状態で「我々を信用してください」と言わんばかりの文章には、何の説得力もありません(国際放射線防護委員会(ICRP)は、発足当初、外部被曝委員会と内部被曝委員会がありましたが、しばらくして内部被曝委員会が廃止となっています。それだけを見ても、この国際放射線防護委員会(ICRP)なる一民間組織が、いかにも怪しげであることが分かるというものです)。

 それから、世界保健機関(WHO)について申し上げれば、国際原子力機関(IAEA)は、世界保健機関(WHO)を被ばく問題について「口封じ」するため、早くも1959年に「世界保健機関(WHO)が放射線被曝問題について報告や見解などを公表する際には、国際原子力機関(IAEA)の了解を得てから行うことを義務付ける」旨の「協定」が結ばれています。この結果、世界保健機関(WHO)は放射線被曝の問題に関して、突っ込んだ検討や見解の発表ができなくなり、放射線被曝を担当する役員・職員もいなくなって、事実上、世界保健機関(WHO)は放射線被曝による健康障害については「ノータッチ」の組織に堕してしまっているではないですか。よくも、かような欺瞞的な発言ができるものです。世界保健機関(WHO)と国際原子力機関(IAEA)が結んだ「口封じ協定」を破棄したらどうですか。

 

(参考)WHOとIAEA間の協定 - IndependentWHO - 原子力と健康への影響

http://independentwho.org/jp/who%E3%81%A8iaea%E3%81%A8%E3%81%AE%E5%8D%94%E5%AE%9A/


7.(レティ氏)「原子力事故が発生した地域で住み続ける人の被ばく限度は、基準値である年間20ミリシーベルトです。」

 

(田中一郎コメント)

 何を言っているのですか。原発の過酷事故が起きる前は一般人の被ばく限度は1ミリシーベルト、それが原発過酷事故が起きたら、とたんに20ミリシーベルトに20倍に跳ね上がる、そんなもの、誰が納得しますか? 人間の体が、原発事故が起きたら、急に従来よりも20倍も放射線に対して頑強になるとでも言うのですか。国際放射線防護委員会(ICRP)では、「緊急時被爆状況」だの「現存被爆状況」だなどという「もっともらしい」言葉を使って、このご都合主義の飾り付けをしていますが、そんなことで、被ばく限度の基準の緩和など、許されるはずがありません。国際放射線防護委員会(ICRP)の正体見えたり、ということではないですか。

 

 それに追記しておきたいのは、福島第1原発事故の原因は、加害者・東京電力や事故責任者・国が、いい加減な原発の安全管理をしていた結果です。大地震・大津波に襲われる危険性は、日本のような地震列島に居住している上では常識の範囲内です。それを十分な対策を打たずに、屁理屈を付けて先送りしていたが為に起きた大事故です。「現存被爆状況」などと表現すれば、あたかも避けることができない「必然的・自然的」な「被ばく環境」があるかに聞こえますが、しかし、日本の有権者・国民や福島県民をはじめとする被害者・住民にとっては、「必然」の自然災害ではなく、人為的な怠慢・無責任による人災なのです。その大事故の結果起きた放射能汚染に対して、放射線被曝の許容限度を20倍にして「現存被爆状況」と認識して我慢しなさい、はないでしょう。

 

8.(レティ氏)「皆さん不安を感じており、放射線に関する知識を求めていることを実感していますが、不確かな情報に流されず、国際機関の科学的な基準を参考にすることが大切だと思います。」

 

(田中一郎コメント)

 「不確かな情報」を含む嘘八百や被ばくの危険性を矮小化・軽視する情報を、福島第1原発事故以降、しきりに流しているのは、「国際原子力マフィア」のみなさんや、日本の原子力ムラ・放射線ムラ、及びその代理店政府・自治体です。肝心なことはひた隠しに隠し、事実をゆがめて伝え、被害者の方々にきちんとした対応もしないで、賠償・補償も含めて切り捨てようとしているのが今の実態でしょう。それでいて、今回の政府広報のような、世論操作のようなことについては熱心でいらっしゃる。嘘八百やハッタリを言いながら、他方で「正義の味方」「真の科学的見解」「被害者に寄り添う」かのごとき欺瞞的な話は、もうおやめいただきたいものです。

草々

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