「賞味期限切れ」の消費者庁・消費者委員会、食品企業・産業やハイエナ名簿業者の利益はしっかり守ります
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
ここ10年以上にわたり、食品偽装表示や食の安全を脅かす深刻な事件がいくつも発生し、本来であれば、食品・農林水産品の安全や食品産業・農林水産業の適正化を図るべき役所である厚生労働省・農林水産業が、消費者(=有権者・国民・市民)をないがしろにして企業・産業界と癒着するようなことをくりかえしていたことが発覚しました。多くの消費者は、こうした事態に対して「うんざり感」と「憤り」を強く感じ、そうしたことが社会問題化する中で、消費者の安全や権利、利益を守る役所として消費者庁が創設され、消費者委員会が新たに位置づけられました。2009年夏のことです。
が、しかしです。「のど元過ぎれば熱さ忘れる」で、早、それから約5年が経過、この、新たに創設された消費者庁・消費者委員会は、今や「第二の厚生労働省・農林水産省」となり果てております。自身の組織の名前にある「消費者」を忘れ、厚生労働省・農林水産省とともに、「守るべきは企業・産業の利益」「消費者は馬鹿だから適当に」の「見上げた哲学」で、日々、消費者にとって焦眉の改善事項を先送りし、あるいはもみ消し、たまに出てくる不祥事対応も、徹底して「企業・産業の利益」維持にまい進しているご様子です。
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(別添PDFファイル)
(1)ノンアル飲料、トクホ許可へ、消費者庁
委員会答申覆す(毎日 2014.9.8)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014090802000120.html
(2)消費者委員会が「すべての事業者に流出情報の消去義務」提言(朝日 2014.9.10)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11342516.html
1.ノンアル飲料、トクホ許可へ、消費者庁
委員会答申覆す(毎日 2014.9.8)
消費者行政上の許認可というものは、技術的な問題のみならず、提供される商品やサービスの社会的な影響や意味も勘案され、総合的になされるものだ。しかも、曲がりなりにも消費者を代表するという人間が委員となっている消費者委員会が答申しているものを、「ひっくり返して」まで、企業・産業の新商品認可に踏み切るとは、いかなることか。これが消費者のための消費者庁がやるべきことなのか。
しかし、こんな時のために、消費者委員会は、単なる「諮問機関」とされていて、意見を言ったら終わりの、どーでもええ「ガス抜き」組織でもあるということだ。本来は権限上は消費者庁の上位にあり、消費者委員会の決定や答申は最優先とされなければならないはずである。
(一部抜粋)
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未成年者の飲酒を誘引する恐れがあるとして、内閣府消費者委員会が特定保健用食品(トクホ)の表示を不適切と答申したノンアルコール飲料2製品について、消費者庁は答申を覆し、表示を許可する方針を固めた。同庁関係者への取材で7日、分かった。1100品目以上が認められているトクホで、ノンアル飲料は初となる。
健康増進法に基づき、健康維持などへの有効性と安全性がトクホの要件で、分析・審査の上、いずれも確認できれば表示が許可される。関係者によると、2製品ともに有効性と安全性が認められるため、消費者庁は不許可とするのは困難と判断した。ただ、消費者委の答申を踏まえ、未成年者に悪影響が出ない配慮が必要として、さらに検討を進めている。
2製品はサッポロビールが「食物繊維の働きで糖の吸収を穏やかにする」、花王が「茶カテキンを豊富に含み、脂肪を消費しやすくする」との表示をそれぞれ予定。
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2.消費者委員会が「すべての事業者に流出情報の消去義務」提言(朝日 2014.9.10)
個人情報保護法では、くだらない規定が山のようにあって、社会的に必要な情報さえもが「個人情報保護」を口実に、事なかれ主義の役所が「情報出し渋り」「秘密保護優先」を繰り返している一方で、肝心の保護されるべき「個人情報」が、ハイエナ名簿業者の商売の種にされて、名簿記載本人の預かり知らぬところで転々と流通していても、何の法的な措置も対策・対応もとれない、そんな「個人情報利用し尽くし法」「個人情報保護蹂躙法」「個人情報保護口実情報非公開合理化法」になっている。
先般もメールで申し上げたように、今回のベネッセ社の大規模な個人情報名簿流出事件で、このおかしな「個人情報保護」法制の矛盾が明らかになっているにもかかわらず、相も変わらぬ、この消費者委員会の態度は何だ。ポイントは次の3つ、第一に、名簿流通において、不正な流通でないことを名簿業者や名簿利用者に確認義務を課すこと(確認など。名簿発生源に直接当たれば簡単な話、やる気の問題=この朝日新聞記事を書いた記者は阿呆という他なし)、第二に、被害を受ける名簿記載本人の権利を最優先し、流通を完全にストップできる仕組みを整えること、第三に、名簿の適正性を確認せずに、個人のプライバシーを侵害する形で名簿を商売に使った業者に対して、厳しい経済罰を課すこと(名簿本人からの損害賠償請求、行政処分(巨額罰金)、刑事処分)、こんなことは、常識と良識があれば、すぐにできることだ。ふざけんなよ、消費者庁・消費者委員会。お前たちは、いったいどっちを向いて仕事してんだ!!
(一部抜粋)
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ベネッセホールディングスの顧客情報流出事件を受けて新たな対策を検討してきた内閣府の第三者機関、消費者委員会は9日、不正流出した個人情報を得たすべての事業者に対し、本人や行政機関の求めに応じて情報の消去を義務づけるべきだとする意見書をまとめた。政府が進める個人情報保護法の改正作業に反映させることを目指している。
現行法でも、事業者には不正取得した情報の消去などに応じる義務がある。しかし、不正に漏れたとは知らずに情報を取得していたような場合には応じなくてよい。情報は名簿業者などの間で次々に転売されるのが常で、もともと不正に流出したものかを確認するのは難しい。また、流通範囲もなかなか把握できない。
消費者委には当初、名簿業者を規制するという考えもあったが、「法律上の定義は困難」と判断した。そこで、不正に漏れた情報かどうかを知らなかった事業者も含め、すべての事業者に消去の義務を課すことを求めた。行政機関には、ほかの人の情報も含めた名簿全体の利用停止や消去を一括して命令できる権限を持たせることも提案した。
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なお、現在進められている「食品表示の一元化」もまた、この消費者庁・消費者委員会のおかげで、食品産業・企業の利益や便宜の最優先で、事が進められております。食品表示で最も大事な焦眉の問題である下記の5つが棚上げにされています。
(1)危険な食品添加物表示の適正化(今の表示では、どんな危険物が使われているのかわからない)
(2)遺伝子組換え食品の表示をEU並みにすること(EUでは表示の義務付けが制度化されているのに、日本では加工食品や外食や飼料は表示されずに、遺伝子組換えであることが隠ぺいされて流通している=日本は世界で最大の遺伝子組換え食品・飼料の「人体実験場」状態にある)
(3)原料原産地表示=安全のためにも(中国製品や途上国製品など危なくて買えない)、食料自給率向上のためにも、また地産地消のためにも、国産品を買いたいのに、どれが国産の原材料を使ったものなのか表示がなくてわからない
(4)提供される商品に関する情報の「表示と開示」の使い分け(消費者の選択に必要な情報の表示・開示が全く不十分)
(5)飲食品、及びその周辺品(例:タバコ、食器、花木など)の放射能汚染検査の抜本的拡充と、その結果表示・開示(福島第1原発事故の収束には、まだまだ時間がかかります。その間も福島第1原発からは放射能が環境に放出されており、特に汚染水による海洋汚染は深刻な状態:海産物の検査体制などは、徹底して拡充しないと、現状のままでは危険)
そして、当面は優先順位があまり高くない「栄養表示」(しかも危険なトランス脂肪酸表示は外す)をわざと義務付けして、上記(1)~(4)が実現できないようにして(一般食品業者に対して、さして必要でもないことを負担させておけば、必要なことの負担には、猛烈な反発と反対が自然にわき起こる)、あるいは実施するにしても、ずっとずっと先になるように、消費者庁と消費者委員会が、力を合わせて、(食品企業・産業のために)頑張っています。
消費者にとって大事なこと、重要なことは、この10年間で、ほとんど何一つ実現していません。それは消費者庁・消費者委員会が動き始めてからも、何ら変わっていないのです。もはや消費者庁と消費者委員会は、賞味期限が切れて、腐り始めています。みなさま、お気をつけください。腐ったものを食べると、体を壊すことになりかねません。そして、今後のためにも、この賞味期限切れの消費者委員会の委員の名前くらいは、よく覚えておくことにいたしましょう。
草々
(追)くれぐれも申し上げておきます:輸入食品に走るのは危ない!!
国産の農林水産物や加工食品類が放射能汚染の可能性があるからと言って、安易に海外産食品に走ることは、私はおやめになった方がいいと思います。現在の輸入食品の検査体制を鑑みた場合、輸入食品には(ヨーロッパ方面からくるものにはチェルノブイリ原発事故由来の放射能汚染産品もあり:ベリー類や乾燥食品やキノコ類や一部の食肉など)、別の食品としての危険性が潜んでいます。
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