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2014年9月 4日 (木)

「大飯原子力発電所敷地内破砕帯調査の真実と虚像」(渡辺満久『科学 2014.9』)):谷本正憲石川県知事さん、あなたは、そんなことで県民を守れるのですか?

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、今月号の岩波書店月刊誌『科学』(20149月号)に掲載された変動地形学が専門の渡辺満久東洋大学教授の「弁明の書」である。同氏は、ご承知の通り、原子力「寄生」委員会の下で関西電力大飯原発敷地の活断層調査チームの一員だった。

 

 同チームが大飯原発の敷地の実地調査を始めた頃には、敷地にみられる断層が、いわゆる「重要施設」である緊急時に原子炉を冷却する水を取水する配管を横切っていて、それが確認されれば大飯原発は廃炉とせざるを得ないだろうとの見込みが語られていた。マスコミもその主旨を報道し、多くの有権者・国民がその調査の行方を見守った。

 

 しかし、その後、大飯原発の実地調査が右往左往し、結果的には「大飯原発には活断層は存在しない」などと報道され、まさに事態は竜頭蛇尾となって終わってしまった。これには私は、どうも納得がいかなかった。この調査チームには、渡辺満久東洋大学教授(変動地形学)も参加していて、大飯原発の危険性を調査前にはあれだけ熱心に説明していたのに、どうしたのだろうと、不思議でしょうがなかったが、今回、この渡辺満久氏の小論文を読んで、「やっぱりそうだったのか」と、得心をした次第である。

 

 以下、簡単にご紹介するとともに、若干の問題点を指摘しておく。それにしても、まるで渡辺満久東洋大学教授(変動地形学)に対するバッシングとも受け取れるような(原子力ムラからのフォローの風を背中に感じつつ)、軽率かつ無礼な発言をしていた谷本正憲石川県知事については首をかしげたくなる。100万人以上の石川県民の命と健康を預かる知事としては、あるまじき言動であると言える。これでは焦眉の北陸電力・志賀原発の問題についても、この知事はロクなことをしないだろうという気配が濃厚だ。

 

 <別添PDFファイル>

(1)大飯原子力発電所敷地内破砕帯調査の真実と虚像(渡辺満久『科学 2014.9』)

(2)旧F-6破砕帯と新F-6破砕帯(図)(「大飯原子力発電所敷地内破砕帯調査の真実と虚像」:渡辺満久『科学 2014.9』 より)

「ooigennpatu_sikitizu.pdf」をダウンロード

 

 <渡辺満久氏の「弁明」のエッセンス>

1.調査チームが検討し、それを監視する人々が意見を言う場合に、「活断層」の定義をめぐって混乱が生じた。原子力「寄生」委員会が決めた「活断層」の定義=「将来活動する可能性のある断層等」という定義に沿わないで、各自得手勝手な「活断層」の定義をして、ああだこうだ、と言い張るので、議論がかみ合わずに混乱してしまった。

 

2.大問題となった(緊急時取水管を横切っていたと言われた)「旧F-6破砕帯」が、いつのまにやら消えてなくなり、新たに「新F-6破砕帯」なるものが現れた。調査チームの検討や議論は、もっぱらこの「新F-6破砕帯」だけに集中して行われ、それが結果的には原子力「寄生」委員会が定めた「活断層」の定義にあてはまらない、ということになった。

 

3.上記で「活断層」ではないとされた理由は、原発施設南側のトレンチ調査で発見されていた破砕帯が古い火山灰で覆われていて、その活動時期が20数万年前以前であることから、「活断層」ではないとされたこと、そして、その南側の破砕帯と「新F-6破砕帯」が同時期に動いていると構造地質学者たちが言い張ったことから、「新F-6破砕帯」もまた、「活断層」ではないとされることになった。

 

4.しかし、この構造地質学者の言うことが正しいかどうかはわからない(渡辺満久氏は専門外のことなのでそれに従った)。また、それ以上に重要なことは、(別添PDFファイルの大飯原発敷地図にあるように)「新F-6破砕帯」と原発施設南側の破砕帯が「つながっている」かのように認識され、図に描かれてているが、この2つの破砕帯が、ほんとうにつながっているかどうかはわからない。つながって、いないのであれば南側破砕帯を理由にして、「新F-6破砕帯」が「活断層」ではないということはできないはずである。つまり、根拠が非常に薄い理由で、「新F-6破砕帯」が「活断層」ではない、とされてしまったということだ。

 

5.更に、最初は注目され、その後「新F-6破砕帯」が議論の中心にされた以降は、意図的に見向きもされなくなった「旧F-6破砕帯」だが、その破砕帯が原子力「寄生」委員会が定める定義の「活断層」であることは確かである。しかし、それがどこまで原発施設の地下に延長しているかが不明のまま、放置されてしまっている。関西電力は、この「旧F-6破砕帯」が話題から外れたことをいいことに、「旧F-6破砕帯」を、大飯原発敷地の北部・台場浜に小さく押しやる形で、あたかも大部分が消滅したように(存在しないという形で)敷地図を書き、事実上、大飯原発の「活断層」問題を「もみ消して」しまった。しかし、「旧F-6破砕帯」が、かように「小さく問題がない」破砕帯かどうかは、まったく不明で、検証・実証に値する調査はついぞ行われなかった。

 

6.しかし、マスごみ各社は、上記で申し上げた重要な事実を伝えることなく、関西電力や原子力「寄生」委員会の敷いた「ニセモノレール」の上で、「新F-6破砕帯」だけを大飯原発の「活断層」問題だといわんばかりに取り上げ、それが「活断層」ではないという結論になったことを、「大飯原発には活断層は存在しない」と、誤って、あるいは偽って、大々的に報道した。(まさに「馬鹿マスごみ」そのものである:田中一郎)

 

7.そのマスごみ報道に先導された原子力ムラ同調団・協奏楽団の人間たちが、渡辺満久東洋大学教授(変動地形学)にたくさんの非難を投げつけたようで、その内容のお粗末さと混乱ぶりに、同氏はやや疲れた様子である(しかし、この論文の中で、同氏はきちんと説明している)。その馬鹿者どもの中に、知事という自分の役職の重みと使命を忘れた谷本正憲石川県知事がいたということだ。この人間がまともな知事なら、私が思ったように、「大飯原発の調査結果の結論は何かおかしい」と思い、独自に調査チームを編成して、大飯原発調査の実態を調べるとか、渡辺満久東洋大学教授(変動地形学)他の大飯原発の活断層の危険性を訴えていた学者たちに直接話を聞くとか、そういう「慎重な対応」をとったに違いない。

 

 しかし、この軽率知事がやったことは、そういうことではなく、ただ渡辺満久氏に対して「志賀原発では大飯のような醜態を晒さないでほしい」という悪罵を投げつけたことだった。どっちが醜態なのかと申し上げたい。この男がやったことは、石川県民を守らねばならぬ(石川県は大飯原発の風下にあり、過酷事故が起きれば県全体が壊滅的な打撃を受ける)立場もわきまえず、原発などさっさと再稼働すればいいのだ、と言わんばかりの発言をしたということであり、それは言いかえれば、足下の志賀原発についても、きちんと考えていないということを意味している。まさにさっさとおやめいただきたい知事である。

 

8.渡辺満久氏は、論文の最後のところで次のように書いて、大飯原発の建設時に安全審査を行った人間たちを厳しく批判している。全くその通りであると思う。このことが意味していることは、今現在日本国内にある全ての原発・核燃料施設について、敷地内の活断層等の調査や津波調査を全部一からやり直せということである。再稼働など、まだまだ、全然話にならない状態だ。

 

(渡辺満久氏)「繰り返しになるが,旧F-6破砕帯は,大飯原子力発電所3号機・4号機の設置申請時に慎重に調査・審査されたはずの破砕帯である。2012年以降の調査で,旧F-6破砕帯の大部分が消滅したことが問題の本質なのである。その結果として,台場浜の「将来活動する可能性のある断層等jは評価対象からはずれ,新F-6という別の破砕帯が審査されたのである。このあたりの事情を伝えている報告書もあるが,多くのマスコミは国民に適切な情報を伝えてはいない。」こ

 

(渡辺満久氏)「大飯原子力発電所3号機・4号機の設置申請は,比較的新しいものである。最近の設置申請における調査・審査でさえ,このようにいい加減なものであったということは,他の施設でも同様のことが行われていたことを疑わせるものであり,原子力の安全審査への信頼性を大きく揺るがせるものである。破砕帯の位置・形状は,調査の出発点であるのに,それが大きく変更されてしまったら審査はお手上げである。残念ながら,マスコミ報道では,そのような問題提起がなされた例はなかったように思う。」

 

(最後に:田中一郎)

 私は渡辺満久東洋大学教授(変動地形学)にもお聞きしたいことがある。それは、今回岩波書店月刊誌『科学』論文で上記のような実態というか、真実を伝えてくださったことに感謝申し上げたいけれども、では、何故、もっと早く、渡辺満久氏が大飯原発の調査チームに所属して活動していた時に、世論を喚起していただく意味で、あるいはマスごみにきちんとした報道をさせる意味で、早い段階で、上記のようなことを教えてくださらなかったのかということである。もっと我ら原発再稼働に反対をしている有権者・市民をご信頼いただいて、渡辺満久氏には、その適切な判断を、オープンに、早い段階でお知らせしていただきたかったと思う次第である。

 

 しかし、更にものごとをもう少し考え込んでみると、ひょっとすると渡辺満久氏に対しては、大飯原発の調査メンバーになる前も、そしてなった後には従来にも増して、陰に陽に、公私にわたり、脅迫めいたおどし、すかし、抑圧、バッシング、いやがらせ、その他さまざまなことが降りかかっていたのかもしれない。それは、同氏がこの論文の中で少し触れられている調査チームへの意見などの動向からも少しは感じ取れるのである。

 

 もしそうだとしたら、我々は既に恐ろしい時代に突入をしていることになる。昭和軍閥に引きずられて「集団的自殺行為」とでも言うべき日米開戦に突入していった、あの大日本帝国のように、今日の日本は、狂気の「頂点同調主義」と「支配権力への一体化」という、「日本の古層」的悪癖に翻弄され、再びの(原子力)翼賛社会に転落していると言えるからだ。そして、その結末は、1945年8月のように、日本の破滅、に他ならないのである。

草々

 

 

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