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2014年8月13日 (水)

原発輸出の「事業(ビジネス)」としての出鱈目三昧=利益は我らに、損害・賠償・後始末などのリスクや不利益は国へツケ回し

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 まず最初に、下記の3つをよろしくご覧下さい。署名がまだの方は、どうぞご協力をお願い申し上げます。

 

(1)Avaaz - 川内原発再稼働を阻止するためには残りわずか数日

 https://secure.avaaz.org/jp/no_sendai_restart_rb_np/?bBbgZcb&v=43754

 

(2) リニア中央新幹線がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=u-cLZ2m6324&feature=youtu.be

 

(必ず失敗するドアホ新幹線=リニア―が的確・簡潔・わかりやすく説明されています。必見です。10分くらいでリニアを理解できます)

 

(3)朝日新聞「プロメテウスの罠:函館の訴え」 http://digital.asahi.com/article_search/s_list3.html?keyword=%A1%D2%A5%D7%A5%ED%A5%E1%A5%C6%A5%A6%A5%B9%A4%CE%E6%AB%A1%D3%20OR%20%A1%CA%A5%D7%A5%ED%A5%E1%A5%C6%A5%A6%A5%B9%A4%CE%E6%AB%A1%CB&s_title=%A5%D7%A5%ED%A5%E1%A5%C6%A5%A6%A5%B9%A4%CE%E6%AB%B0%EC%CD%F7&rel=1

 

(函館市の大間原発建設差止訴訟をめぐる動きが詳細に報道されています。必読です。なお、ネット上では全文が見れないかもしれませんので、朝日新聞そのものをご覧下さい)

 

(ここから本文)

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 別添PDFファイルは、原子力資料情報室が毎月発行している「原子力資料情報室通信」に掲載された、プラント技術者の会の川井康郎氏執筆の小論文である。トルコ向けの原発輸出を「事業」として「ビジネス」として見た場合にどんな問題があるか、通常の輸出ビジネスとは違って、どのように歪んでいるのかがコンパクトに的を得て記述されている。以下、簡単なコメントを付してご紹介したい。

 

 <別添PDFファイル>

● プラントビジネスの視点からみるトルコへの原発輸出計画(川井康郎:プラン卜技術者の会 『原子力資料情報室通信 NO.482 2041.8.1)』)

 

 <プラント技術者の会 HP>

 https://sites.google.com/site/pltengnrs/

 

 これまで、MHI(三菱重工業)や日立、東芝などの国内原子炉メーカーの原発輸出は個別機器類の輸出に留まり、メーカーとしての責任範囲は有限だった。原発の過酷事故等による損害賠償や第三者への補償責任なども原則として免除されていた。つまり、原発プラントについては、設備全体の一括引き渡し契約(ターンキイ契約)の経験もなく、もちろん、廃棄物処理や原発そのものの運営・管理の請負などの事業経験もない。

 

 その、いわば事業体として未熟なままの日本の原発企業群が、国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)を通じて日本政府から全面的なバックアップを受け、海外に向けては経済産業省が取りまとめ役となって、総理大臣自らがセールスマンにまでなったうえで、原発の海外輸出が展開されるのである。そして、その内実が、実は民間の企業群が行う「事業」「ビジネス」としては、驚くほどのモラル・ハザードと「親方日の丸」型の展開となっている。簡単にいえば、原発に伴う巨大なリスク=特に過酷事故リスクに伴う損失は、その多くを日本政府に帰属させたうえで、事業としての、ビジネスとしての利益やうま味は、すべてこれらの原発輸出企業群が独占してしまう、そんな「仕掛け」が創られてしまっているのだ。

 

 それだけではない。少し前に新聞で問題となったように、かつては輸出される原発の機器類に関しては原子力安全保安院が検査・チェックをした上で、初めて政府の貿易金融や貿易保険の利用が可能であった。しかし、原子力安全保安院が解体され、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が発足して以降は、この輸出原発の安全性にかかる審査・検査を原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が拒否しているため、まったくノーチェックのまま、原発が輸出されかねない事態となっているのである。このことは、上記の川井氏の小論文にも言及があり、さらに川井氏は、これが国際的に見てどうなのかも、OECD規則やドイツの例を引き合いに出して、その異常さを明治されている。

 

 また、驚くべきか、使用済み核燃料の管理協力の約束や、将来的にはウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理も可能にする条項が日本・トルコの原子力協定に存在していることも大問題である。核不拡散の大原則に違反してまで、日本の政府は何を馬鹿なことをしているのだろうか。(ちなみに、アラブ首長国連邦との原子力協定では、ウラン濃縮や再処理の技術や設備の移転はしない、と明記されているという)

 

 日本の大企業の歴史的伝統は、明治政府以来、常に政府に特権的にへばりついて、その政府と様々な形で癒着しながら、事実上、政府の資産・財産をかすめ取るような形で財を形成し、資本を蓄積してきた点にある。それがまた、様々な形で政治家や高級官僚たちの汚職・収賄などを生み出し、見るも無残な利権政治による私利私欲の産業振興が行われてきた歴史的経緯がある。それは戦後の高度成長を経ても、あまり変わるところはないようだ。そして、その最もグロテスクな現れ方をしているのが、この原子力産業=特に原発輸出ビジネスであると言って過言ではない。

 

 自国において大事故を引き起こし、多くの人々を悲しみと苦しみのどん底に叩き込む事態を引き起こしておきながら、しかも、その事故責任の追及も、事故の後始末も、被害者の救済さえも、ほとんどまともになされていないにもかかわらず、その原発を海外へ売って行く=特に原発について、知識もノウハウも管理能力もない途上国へ輸出・販売していくなど、許される事業=ビジネスではないだろう。リスクは政府に担いでもらい、自分達は利益やうま味だけを貪って、それで平気で知らん顔をしている、こうした原発輸出は、ただちに中止させなければならないはずである(何よりも、トルコでの原発立地予定地であるシノップ市の住民が建設に猛反対をしている)。日本の良識が問われている。

 

● 日本の原発輸出に反対するトルコの市民たち 「日本の原発が私たちの未来を盗む」―トルコ市民へのインタヴュー(川崎陽子:ジャーナリスト) Finance GreenWatch

 http://financegreenwatch.org/jp/?p=43573

 

● トルコへの原発輸出を問う  ヒューライツ大阪(財団法人アジア・太平洋人権情報センター)

http://www.hurights.or.jp/archives/newsletter/sectiion3/2014/01/post-231.html

 

(以下、論文の部分抜粋)

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「最大の問題は、フクシマで発生したような過酷事故の場合の損害賠償と事故処理額の負担スキームが定まっていないことである。一義的には当然、事業会社が負担することになるが、その可能支払額は東電の例をみるまでもなく限界がある。NEXI保険はあくまでも投融資リスクに係るものであり、損害賠償は対象とならない。その場合、日本政府は梯子を外して、全てをトルコ政府に押し付けることになるのか? あるいは、「相応の」金銭的責任を負うことになるのであろうか? その場合は、国税が使われることになるが、日本政府はそのリスクをどのように見積もっているのだろうか? 日本とトルコの国民には何も知らされていない。」

 

「例え過酷事故が起こらなくとも、何らかの理由により事業が破綻した場合は、JBICによる融資の焦げ付き、あるいはNEXI保険の支払いといった状況になる。いずれも国税と国債をリソースとした日本国民の財産流出である。」

 

「現状では、JBICの融資ガイドラインには原子力国有の規定(核拡散、事故時対応、放射性廃棄物問題、等々について)がなく、何ら足初日のないまま公的融資が実行される可能性がある」

 

「一方、原発という事業の特殊性により、OECD規則ではODA(円借款)適用の禁止、世銀やアジア銀行では融資対象外となっている。また、ドイツ政府は2014612日に、原子力輸出に係る公的信用の廃止を決定している。」

 

「厳格なガイドラインの設定とともに、案件のリスク評価、損害賠償や住民避難を含めた事故対策評価、環境評価、相手国内における合意形成評価等々といった公的金融機関としての責任と評価結果の透明性が求められる。」

 

「こうして、トルコへの輸出案件は設備の一括引渡し契約ではなく事業契約となったわけだが、当事者にはそれぞれ異なる思惑がある。(中略)多くのリスクとトルコならびに日本の国民による合意を置き去りにしたままでの同床異夢がいつまで続くのであろうか。」

 

「もうひとつ、再処理と使用済み燃料の行方に関する問題を採り上げたい。原子力協定書によると、第23項に「ウランの濃縮、使用済み核燃料の再処理、プルトニウムの転換のための技術および設備は、これらを移転することを可能にするような(本協定書の)改正が行われた場合に限り(日本からトルコに)移転することが出来る」、また、第8条には、「両国政府が書面により合意する場合に限り、トルコ共和国の管轄内において、濃縮し、又は再処理することが出来る」と記載されている。」

 

「トルコとの原子力協定には、使用済み核燃料の管理が協力の対象分野のひとつとなっているが(22)、具体的な記載はない。日本国内でさえ、核燃サイクルの破綻とともに最終処分計画が暗礁に乗り上げ、使用済み核燃料が溜まる一方の現状で、それらの処理計画については事業会社として、また融資・保険付保を行う日本政府として、トルコならびに日本国民に対して明確にする責任がある。」

 

「原発輸出により、事故リスクはトルコ国民に、財務リスクのかなりの部分が臼本国民に押し付けられる。さらに、官民一体の推進体制は、原子力ムラに代表される悪しき利権ならびに癒着構造を国際規模で増長させ、企業が本来持つ健全な競争環境を阻害し、企業倫理の類廃を招く。」

 

「フクシマ事故はビジネス視点を含めて、さまざまの角度から原子力政策を見直す契機とするべきであり、そのことを世界に発信することこそが私たちの国際的責任であると考える。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

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