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2014年8月11日 (月)

偽りの「復興」は、もういい加減にしてくれ(1):汚染森林で林業をしたら被ばくする、林産物は汚染している

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、729日に福島民報に掲載されました「林業復興へ知恵結集、県森林組合連・林農林水産相意見交換会」という特集記事です。最初の記事要約の部分には、「本県の林業や木材産業の厳しい現況を説明し、国に対して復興へのさらなる支援を訴えた」とあります。

 

 <別添PDFファイル>

● 林業復興へ知恵結集(福島民報 2014 7 29

 



しかし、私はこの記事を読み進むにつれて、この人達、何してるの? という根本的な疑問がこみ上げてくるのを押さえることができませんでした。ここに論じられている福島県の山林・森林こそは、福島第1原発事故によって深刻なまでに放射能(放射性セシウム以外の各種放射性物質を含む)に汚染されたのではなかったのでしょうか。なのに、ここに登場する人達の、この放射能汚染・被ばくの危険性に対する意識や認識はどうなっているのでしょうか。

 

また、この意見交換会には、いわゆる「川下」の製材業者や木材流通業者、あるいは木材住宅産業や家具産業など、木材ユーザーの方々は参加していませんし、林業界に限っても、福島県以外の都県はどうなっているのでしょうか。更には、林産物を使う最終ユーザー=消費者の姿は影も形もないのです。放射能は県境で止まっていたわけではありませんし、およそ木材産業を含むあらゆる産業は、産業のためにあるのではなく、消費者のためにあるのです。全くおかしな話だと思わざるを得ません。北は岩手県に始まり、秋田県や山形県の南部、新潟県東部、宮城県、栃木県北部。群馬県全域、茨城県全域、千葉県北東部を中心に全域、埼玉県秩父地方、東京都奥多摩地方、長野県北東部・東部、山梨県の一部山地地帯などなど、放射能汚染に見舞われた森林地帯は広域に広がっているのです。福島県だけで森林・林業の放射能汚染を論じるのはやめてくれ、と申し上げざるを得ません。

 

放射能に汚染された山林・森林で林業をすれば、真っ先に林業労働者が作業被曝します。しかも、その被ばくは、福島第1原発事故の現場並みの高濃度汚染による深刻な被ばくを長時間にわたって受けてしまう可能性があります。特に、外部被曝よりも、呼吸による内部被曝が深刻です。しかし、林業労働者の中では、最も恵まれていると思われている国有林内の林業労働者でさえ、その被ばく労働における防護対策はおざなりであり、いい加減なものにすぎません。被ばくさせられる者の立場からは微塵も適正な放射線防護対策が取られていないのです。まして、民間・一般の素材生産業者等で働く林業労働者は、このような汚染森林で作業を続ければ、やがて深刻な健康障害をもたらす被ばくに晒されてしまうことになるでしょう。これはもはや「未必の故意」による障害未遂行為・殺人未遂行為と言わざるを得ません。

 

しかし、ことの問題は林業労働だけではありません。下記のような、いくつかの放射能汚染・被ばくに関連した弊害・被害を生みだし、後々厄介なことになりかねないのです。目先、放射能や放射線が人間の五感で感じられないからと、軽率に、安易に、被ばくの危険性を軽視してはならないことは言うまでもありません。その点で、この新聞記事に登場している無責任人間達の発言は、看過できないものがあります。何が風評被害か、馬鹿も休み休み言え、と言わざるを得ません。

 

(1)林業で搬出される林産物=素材丸太が放射能で汚染されている可能性が高い。福島第1原発事故から3年半近くが経過しましたので、これまでのように、立木の外側樹皮に放射能がへばりついているだけでなく、根から放射能が吸い上げられて立木全体=従って、産出される素材丸太全体が放射能で汚染されてしまっている可能性があります。しかし、福島県を含む放射能汚染地帯の林業では、この木材産品・製材品や木材チップを含む木材製品に対する放射能汚染検査がいい加減で、民間業者に丸投げで、かつ、木材の放射能汚染値に対する規制も取り締まりも、まるで実施されていないのです。つまり、東日本一帯の放射能汚染地帯から、放射能に汚染された木材や木材製品・チップなどが大量に日本国中に出回っているとみておいていいでしょう。簡単に言えば、放射能汚染を無視して、(愚かな人達による)やりたい放題となっているのです。全く冗談ではありません。

 

(2)申し上げるまでもなく、山林より伐り出される国産材の最大のユーザーは住宅産業です、そして、その新築住宅に放射能で汚染された木材が大量に使われてしまえば、どうなるでしょうか。少し考えれば、誰にでもわかることです。その汚染木材住宅に住み続ける人は、毎日毎日、寝ても覚めても、明けても暮れても、日々、その木材含有の放射能によって被ばく(外部被曝+内部被曝(呼吸))させられます。しかも、おそらくは、知らないままに被ばくさせられるのです。家具や食器などの木材製品も同じです。

 

(3)しかし、林産物は製材品や木材製品だけではありません。いわゆる特用林産物と言われる、キノコ・山菜・その他の山の幸(例えば、杉の葉っぱからつくられる線香、料理に使われる木の葉っぱなどの「ツマ」)がありますが、これらは木材製品以上に放射能に汚染されていると言って過言ではないと思います。それが、実にいい加減な放射能検査によって市場に出回っています。危なくてしょうがない。子どもたちが口の中にでも入れたら大変です。しかし、キノコ・山菜を含めて、いわゆる商売として売られているものについては、意識的に放射能検査が避けられている気配まで感じます。まるで、馬鹿ではないか、と思われてなりません。

 

(4)森林・林業や木材の汚染について、もう一つ申し上げておかなければいけないのが、バイオマス利用(熱利用、発電利用、その他)です。これも木材製品や特用林産物と同様に危険で、かつ放射能を環境中にばら撒く働きをして、いわゆる放射能の二次汚染をもたらしかねないものです。先進的な焼却機械を使えば、放射性セシウムは閉じ込められるなどと言われますが、真偽のほどが怪しいことに加え、すべてのバイオマス施設がこの最新式の先端装置を使うとは限らず、旧態依然の旧式ゴミ焼却炉のようなバイオマス施設に平気で放射能汚染物を投げ入れては、環境保護のためのバイオマス、などと言って「ひとり芝居」をしていることが多々あると思われます。馬鹿丸出しです。森林・林業が放射能で汚染された地域でのバイオマス利用など、絶対にしてはならないことです。環境に放射能をばらまいて、二次災害を生むのが関の山です。放射能汚染地帯の森林・山林は、原則として入山禁止であり、全産業の稼働をストップさせるのが原則です。チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国は、紆余曲折の末、森林の除染などという無謀で無駄なことはあきらめて、そのようにすることにしています。

 

(5)放射能汚染地帯で林業・木材産業・バイオマス・特用林産など、愚かなことは一切やめて、この福島第1原発事故による放射能汚染で被害を受ける方々に万全の賠償・補償をすることが肝要です。そして、数十年から数百年の時を経て、低線量となった森林に再び、除染や放射線防護をしっかりとしながら臨んで行けばいいのです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

上記のような事態の全ての責任は、日本政府及び林野庁・農林水産省にあります。いったい何をやっているのか、ということです。このままでは、汚染木材を通じて、あるいは汚染特用林産物を通じて、二次被害とも言うべき放射線被曝被害が出てくることになるでしょう。私たちは、国産の木材についても、これからは放射能汚染を用心しなければならない時代になってしまったのです。本来、行政が放射能汚染の可能性のある地域での林業・木材産業の活動を停止して、万全の賠償・補償をしておれば、かようなことにはならなかったでしょう。腹立たしい限りです。(木造住宅を新築したり購入される場合には、使われている木材の産地がどこのものかを確認いたしましょう。また、必ず線量計を持参し、部屋を密封した状態での線量を測る癖をつけておきましょう。油断をすると、少し前に放射能で汚染された砕石を使用して高線量となってしまった二本松市のマンションのような事態になってしまいます)

 

 <この記事で目を通しておくべき個所は2か所あります>

 一つは、新聞紙面右側の棒グラフで、森林の整備面積と新規(林業)就業者の推移のグラフが掲載されています。それを見ますと、福島第1原発事故発生以降、いずれもその面積、その人数が減少しているのです、この記事に登場している人士たちは、これを嘆かわしいことのように認識しているようですが、事態は逆で、これは望ましい、喜ばしいことと考えていいと思います。放射能で汚染した森林は、さしあたり触るな、入山するな、整備するな、というのが正解であり、また、若い世代を中心に放射能汚染地帯での林業に従事などしてはいけないのです。無用の被ばくは避けなければいけません。

 

 もう一つは、紙面の左下、秋元公夫双葉地方森林組合長の次の発言です。「先日、山林の財物補償の基準が示されたが、われわれが考えている額の半分ほどで、開きがある。土地を含めた賠償の基準を早急に関係省庁と協議して示すべきだ」。この発言は極めて控え目で、実際はこんなものではない、つまり、話にならないほど賠償基準が不当に低額であるということだと思われます。この立木・山林の賠償基準に関しては、少し前に私のメールでご紹介しておりますので、それをご参照いただけると幸いです。それにしても、被害者の方々に、きちんと賠償・補償をしないでいて、何が復興だ、何が再生だ、と思われませんか。この意見交換会に出てきた自民党の林芳正農林水産相などは、どのツラ下げて発言していたのでしょうか。こういう不作為の厚顔=加害者意識ゼロの無責任言動に対しては鉄槌が振り下ろされるべきです。

 

(例外として、汚染森林で作業する場合があるとすると、それは最低限の治山工事=災害防止・災害復旧の場合などです。この場合には、厳重な放射線被曝防護が必要なことは言うまでもありません。被ばく防護のために森林内での作業用の車両を特別に開発するとか、一定の服装や装備などを法律で義務化するなど、厳重な対策・対応をしてのち、限定的に認めてもいいものです。この意見交換会にあるように、野放図に、丸裸で、放射能汚染森林の中で働かせるなど、論外です)

早々

 

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