« 2014年7月 | トップページ | 2014年9月 »

2014年8月

2014年8月31日 (日)

(政府の「放射線安全神話」広報を批判します) 中川恵一(東大准教授)さん、「放射線についての正しい知識を」とは、あなたに向けられるべき言葉です

前略,田中一郎です。


 8
17日の全国紙5紙と福島民報・福島民友に掲載されました「放射線についての正しい知識を」という政府広報(復興庁、内閣官房、外務省、環境省)に対して、逐条的に反論・批判いたします。今回は、新聞掲載の2人の論者のうち、中川恵一東京大学医学部付属病院 放射線科准教授の言論について批判いたします。


● 放射線についての正しい知識を・薬物対策:政府広報オンライン

 http://www.gov-online.go.jp/pr/media/paper/kijishita/624.html


(参考)2014817日付政府広報「放射線についての正しい知識を。」に抗議する 原子力資料情報室(CNIC

 http://www.cnic.jp/5998


1.表題「放射線について慎重になりすぎることで、生活習慣を悪化させ、発ガンリスクを高めている」


(田中一郎コメント)

  福島県をはじめ、放射能汚染地域に住む住民の方々だけでなく、広く全国の有権者・国民が「放射線について慎重になりすぎること」となってしまった理由は、どこにあると思っているのですか。福島第1原発事故後の放射能汚染と放射線被曝に関する様々な隠蔽・事実歪曲・ごまかし・嘘八百が原因で多くの人々が慎重になりましたが、その出鱈目な行為を繰り返していたのが、原子力ムラ・放射線ムラの御用学者達であり、また、その代理店政府ないしは、その下請け自治体です。いわばあなたの言うようなことが招いた結果なのです。


 そして、そもそも、放射線に対して感受性の高い子ども・妊婦を含む被害者・住民の方々に対する原発事故後の対応・対策が出鱈目で、避難・疎開・保養、あるいは除染や放射線防護対策、そのための原発事故賠償・補償さえ、事故後3年半が経過しているというのに、一向にまともな形にならず、一昨年制定された「子ども被災者支援法」でさえ、その主旨が踏みにじられているのですから、悪化しているのは被害者の方々の「生活習慣」ではなくて「生活そのもの」です。それもまた、政府・自治体や、原子力ムラ・放射線ムラの責任でもあるのです。


 つまり、被害者住民の方々の深刻な放射能汚染環境は一向に変わらず、また、生活そのものも悪化して、発ガンリスクのみならず、様々な健康障害の可能性が高まっているのです。あなたはつまらぬ「放射線安全神話」のための政府広報文書などを書いているのではなく、被害者・住民の方々の被ばく回避と完全救済、仕事や生活や居住の再建のために力を尽くしたらどうですか。



2.(中川恵一氏)「全身に2000ミリシーベルトの放射線を浴びた方も多かった広島や長崎でさえ、遺伝的影響はなかったと考えられています。」

(田中一郎コメント)

 まったくの嘘八百です。「遺伝的影響はなかったと考えられています」のではなく、「遺伝的影響はなかった」ことにされてしまった、つまり、原爆被ばく被害者は、戦後の冷戦体制下でのアメリカ主導の核(兵器)戦略・その支配下にあった日本政府の被ばく者対応方針のために、切り捨てられ、もみ消されてしまったということです。それでも、戦後数十年の原爆被ばく関連資料発掘の努力により、次第に遺伝的被害の確認もされるようになってきています。しかし、この人物が、このように発言するということは、福島県民を始め東日本一帯に広がる福島第1原発事故の放射能被害者を、意図的にもみ消してしまおうという魂胆があることは明らかであるような気がします。

3.(中川恵一氏)「鼻血が出るということにも疑問があります。上咽頭ガンの放射線治療では鼻の粘膜も7万ミリシーベルト近く被ばくしますが、放射線科医を30年間してきた中で治療後に鼻血が出た方を1人も見たことがありません。」



(田中一郎コメント)

 (上記で)あなたが見たことがあるかどうかなど、今回の件での判断根拠になるわけがありません。放射線治療と鼻血の関係は、その放射線治療がどのようなものかが具体的に明らかにならないと、何とも言えません。ともあれ「鼻血問題」については既に論じていますので、下記をご参照ください。簡単に言えば、鼻血は出たのだから、第三者が、出ていないだろうなどというのはナンセンスな話です。放射能の影響も否定はできません。



●「美味しんぼ」の鼻血問題  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-4fa0.html



●「美味しんぼ」の「鼻血問題」に関する3人の有識者の表明 (西尾正道氏、広河隆一氏、松井英介氏)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-2375.html



● 原発・被ばく、こんなのおかしいのとちがう?(1):原発取材後の鼻血の描写、「美味しんぼ」物議(2014.4.29付毎日新聞他各紙)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/2014429-53cc.html


4.(中川恵一氏)「チェルノブイリの周りでは心臓病が多いという話もありました。もちろん東京と同じようにチェルノブイリにも心臓病の方はいますが、福島やチェルノブイリだと放射線によるものだと誤解されてしまうのです」


(田中一郎コメント)

 何の根拠があってかようなことが言えるのですか。心臓病と放射性セシウムとは一切関係がないという証拠を見せて下さい。筋肉に蓄積しやすい放射性セシウムが心臓の筋肉に、より多く集まりやすいこと、その放射性セシウムが心筋梗塞などによる心臓ショック死を引き起こす可能性があること、そのメカニズムは、カリウム・チャネルと言われる細胞のカリウム取り込み口に、カリウムよりも、より大きい分子の放射性セシウムがへばりついて放射線を放つことによる機能障害ではないかという説もあり、様々な観点より、放射性セシウムの心臓に対する危険性が多くの医学者や医師から提言されています。あなたも医学者・医師なら、何故、この点について、公開された形で徹底検証しようとしないのですか。あなたは、何故、かような根拠レスなことを「政府広報」として発言しているのですか。


5.(中川恵一氏)「国際的にも100ミリシーベルト以下の被ばく量では、ガンの増加は確認されていませんが、増加しないことを証明するのは困難です。ただし、この「困難」というのは福島にパンダはいないことを証明するのが困・・・・・・・・」


(田中一郎コメント)

 これもまったくの嘘八百です。世界中、多くのところで、100ミリシーベルトどころか、もっと低い被曝線量、たとえば10ミリシーベルトであっても、健康被害が出ているという報告やレポートはたくさんあります。あなたが見ようとしていないだけの話です。あなたが見ないことと、ないことは、別のことです。また、あなたが言うように、100ミリシーベルトでの健康被害に関して、ガンだけに注目しているのも問題ですし、また、100ミリシーベルト以下の被ばくで健康被害が出るかどうかは、たとえば猿などの動物実験でもある程度確かめられるでしょうし、世界的にも、多くの疫学的調査結果が存在しています。あなたが不勉強なだけの話です。「パンダがどうした、こうした」のお粗末極まりない「たとえ話」は、あなたの不勉強と「幼児性」が出ているものと解釈させていただきます。


6.(中川恵一氏)「100200ミリシーベルトでも、発ガンリスクは野菜不足と同じぐらいです」



(田中一郎コメント)

 これもまったくの嘘八百です。また、上記で申し上げたように、被ばくによる健康被害をガンリスクだけに見ていることもいけません。


7.(中川恵一氏)「福島県の調査によると、原発事故後4か月間の外部被ばく量は99.97%の方が10ミリシーベルト以下でした」



(田中一郎コメント)

 原発事故後の初期被ばくの状況については、当の福島県や「福島県民健康管理調査検討委員会」にいた御用学者たちによって、その検査・測定が妨害され、あるいは、国や原子力ムラ・放射線ムラの人間達の意図的な不作為(未必の故意)によって、結果的に分からなくされてしまいました。更には、放射線被曝の検査どころか、環境放射能モニターの観測結果がごまかされ(汚染実態を現わさないような観測・計測など)、安定ヨウ素剤の服用もなされず(服用しようとした自治体は福島県に妨害され)、SPEEDIのデータまでが隠されて、被曝状況がわからないまま、大量の無用の初期被ばくをさせられてしまっています。しかし、あなたはそのことについて、何の言及もしようとはしませんね。おかしいではないですか。



8.(中川恵一氏)「国際放射線防護委員会(ICRP)は「10ミリシーベルト以下では、大きな被ばく集団でさえ、ガン罹患率の増加は見られない」と発表していることからも、福島では被ばくによるガンは増えないと考えられます。」


(田中一郎コメント)

 国際放射線防護委員会(ICRP)は、原子力を推進し、政治的に放射線被曝を矮小化・歪曲するためにあるような「偏った」海外の一民間組織にすぎません。日本からもこの国際放射線防護委員会(ICRP)に原子力ムラ・放射線ムラの御用科学者達が出向いているようですが、その場合、電力業界団体のようなところから、旅費をはじめ金品・便宜を享受しているようなことも伝えられており、とてもじゃないですが、国際放射線防護委員会(ICRP)の言うことをまともに信じるわけにはいきません。


 また、この国際放射線防護委員会(ICRP)でさえ、「100ミリシーベルト以下」ではなくて「10ミリシーベルト以下」で議論をしているというのに、あなたは、これを10倍の「100ミリシーベルト以下」に引き上げて、健康被害はない・発見されないと強弁しています。つまり、国際放射線防護委員会(ICRP)と比べて、あなたは10倍もおかしい、ということになりますね。



9.(中川恵一氏)「また、外部被ばくよりも内部被ばくの方が怖いと思われがちですが、セシウムの放射線は体を突き抜けて全身同じように被ばくしますから外部でも内部でも変わりませんし、福島では内部被ばくの量はとても低いものでした。」



(田中一郎コメント)

 とても科学者・医学者・医師の発言とは思えません。外部被曝と内部被曝との違いも理解できていないのですか? 内部被曝は外部被曝とは違い、局所的、集中的、継続的に、放射線源の超至近距離から、人間の特定部位や臓器が猛烈に被ばくします。全身まんべんなく被ばくする傾向が強い外部被曝とは、決定的にその危険性は違います。内部被曝は外部被曝に比較して、はるかに危険ですが、それをごっちゃにして、外部被曝の考え方や物差しを使って内部被曝をもっともらしく評価して、その危険性をごまかしているのが、上記の国際放射線防護委員会(ICRP)なのです(下記参照)。(たとえば、アルファ線、ベータ線、ガンマ線のそれぞれの内部被曝に関して、その違いを理解しているのですか)



 それに、計測してもいないのに、検証もしていないのに、あなたにどうして「福島では内部被ばくの量はとても低いものでした」などということが、かくも確定的に言えるのですか。科学者・医学者の発言として、適切性を欠いていませんか?


● 放射線被曝の単位「シーベルト」はどのようにインチキなのか?  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-1ba9.html



● (増補版)シーベルトへの疑問  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-d2f2.html



10.(中川恵一氏)「チェルノブイリでは5歳以下の子どもの4.8%が5,000ミリシーベルトという被ばく量だったのです。一方、福島では、最大でも約35ミリシーベルト未満といわれており、はるかに少ない被ばく量だったのです。」



(田中一郎コメント)

 上記で申し上げたように、福島第1原発事故で環境に放出された放射能による初期被ばくの量については、原子力ムラ・放射線ムラの様々な妨害と不作為により、分からない状態にされてしまいました。それをいいことに、あなたは原子力ムラ・放射線ムラの御用学者たちと歩調を合わせて、福島第1原発事故による被ばくは、たいしたことはなかったと、根拠なく言い張っているだけです。何のために、そのようなことをしているのですか?



11.(中川恵一氏)「福島では小児甲状腺ガン患者が80名ほど出ているという報道がありますが、大規模な検査をすることで発見が増えるのは当然です」


(田中一郎コメント)

 子ども甲状腺ガン患者数は、直近の「福島県民健康調査検討委員会」で、ほぼ確実な疑いまで入れて103名となったことがわかりました。それを、あなたが言うような「大規模な検査をすることで発見が増えるのは当然です」=「大規模スクリーニングの結果だ」というためには、放射能で汚染されていない西日本での大規模な疫学的調査が必要なはずです、その実現を強く主張しないで、ここでもまた、根拠の乏しい「スクリーニング」説で、子ども甲状腺ガンの多数発見をごまかそうというのですか。


 はっきりしない、よくわからないのなら、未来を担う子ども達の命のことでもありますし、また多くの人々の命と健康にも関わりますから、放射能の影響による子ども甲状腺ガンの多発だと仮説的に判断し、相応の対策が実施されるべきです(福島県の子どもたちの集団疎開、福島県以外の放射能汚染地域での甲状腺検査の悉皆的実施、子どもだけでなく大人の甲状腺検査、ガンだけでなく、その他の甲状腺機能障害も検査、スクリーニング検査ではなく本格検査とする、甲状腺検査以外の、心電図、尿検査、WBC、血液検査、染色体検査、DNA・遺伝子検査、エピジェネ検査など、総合的な検査の実施と、それぞれの被害者に沿った治療や対策、など)。


 今、何もしないでおいて、あとから放射線被曝が原因だったとわかっても、もう手遅れで、どうすることもできません。それに、そもそも放射線被曝には、安全性を担保する「閾値」(シーベルト)などはないというのが国際的な定説ですから、無用の被ばくを避けるためにも、早急にこれ以上の被ばくを回避する取組を本格化させるべきでしょう。何故それを、あなたは医学者・医者として言えないのですか。


12.(中川恵一氏)「被ばくを恐れることで、運動不足などにより、生活習慣が悪化し、かえって発ガンリスクが高まるようなことは避けなければなりません」


(田中一郎コメント)

 放射線管理区域指定基準を超えるホット・スポットが散在しているような地域で、子どもを野外で自由に遊ばせることなど、狂気の沙汰です。あなたも医者・医学者なら、あまり恥ずかしいことは口外しないことです。子どもたちの運動不足を解消するには、子どもたちを一刻も早く、放射能のない土地へ、親子ともども・家族ともども、疎開・避難させ、そこでの生活や仕事や勉強を、加害者・東京電力や事故責任者・国がしっかりと支えて差し上げることです。そもそも、加害者・東京電力や事故責任者・国は、被害者の方々に対して、物損的な損害の賠償・補償もきちんとしようとはしていません。


 そんな状態の下で、子どもたちやその家族を、猛烈な放射能汚染地域に縛り付けて、その命と健康までもを奪おうというのですか。許されないことです。あなたは、もういい加減に嘘八百や、根拠の乏しい言論はおやめになることです。

草々

 

 

 

 

 

 

 

2014年8月28日 (木)

原子力の出鱈目「てんこ盛り」:日本の裁判所は被害者の生命、健康、財産、権利を守る姿勢をもっとはっきりと示せ(おかしいぞ日本の裁判官)他

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイル、及び下記URLは、原発の出鱈目を報道する新聞記事の一部です。まさに出鱈目の「てんこ盛り」状態が3年前の福島第1原発事故以降も、ずっと続いています。そして、当然の帰結として、私たちを含む多くの被ばく犠牲者や、財産や権利や生活を理不尽にも侵害された、たくさんの被害者が発生し、さらにこれからの未来においても新たな被ばく犠牲者や被害者の量産が準備されているのです。以下、直近の4つの記事をご紹介して、簡単なコメントを付すことにいたします。

 

 <別添PDFファイル>

(1)避難と自殺、関係初認定、東電に4900万円賠償命令、福島地裁(東京 2014.8.28

(2)日本海側 津波20メートル超想定 政府検討会、地震最大M7.9 (東京 2014.8.27他)

(3)規制委「志賀原発は十分準備したのか」(毎日 2014.8.28

(4)規制委 むつ安全審査「速やかに」 中間貯蔵、規制委員長が要望(毎日 2014.8.28

 

1.避難と自殺、関係初認定、東電に4900万円賠償命令、福島地裁(東京 2014.8.28

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014082702000134.html

 

(以下、田中一郎コメント)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 当たり前のことを不十分に認めた、まだまだ「できそこない」の判決である。以下、私の見方を箇条書きにします。日本の司法・裁判所・裁判官は、早く目を覚まして、その本来の使命、すなわち、理不尽にも傲慢・身勝手な巨大企業の一方的な加害行為によって犠牲となった被害者の生命、健康、財産、権利を守る姿勢をもっとはっきりと示せ、ということだ。こんなことをしていると、近い将来、日本の司法権力関係者すべてが、まとめて、ごみ箱に捨てられることになるぞ。

 

(1)今回の裁判の原告を含め、福島第1原発事故が起きた原因は何だったのか。言いかえれば、被害者が受けた被害はいかなる性格のものだったのか、についての思慮が足りない。福島第1原発が建設されて以降、約40年間、地域住民は、原発は絶対に事故を起こさない、まるで「神聖不可侵」の無事故・無謬施設であるかのごとく、繰り返し宣伝されてきた。他方で、被告の東京電力は、原発・核施設の危険性に関する多くの人たちからの警告にも耳を貸さず(この点は、日本の裁判所もまた、別の意味で同様である。原発・核施設の危険性に関する警告や注意に耳を貸さなかった点では、被告東京電力となんら変わるところはない)、従ってまた、「完全安全」の神話形成に全力を挙げてきたのであって、その意味では、原告を含む地域住民に対して嘘八百を言いながら、背信的な詐欺的行為を繰り返していたことになる。

 

 そして、更に許しがたいことには、今回の福島第1原発の直接の原因が、地震津波リスクの極端な軽視による安全管理の手抜きにあり、それを東京電力が政府や規制機関や御用学者・マスごみどもと手を取り合って推し進めてきたことにあることは、既に複数の事故調査報告書が明らかにしている。裁判所は、何故、今回の判決にあたり、この加害者側の事情というか、その犯罪性・背信性の度合いの高さを考慮しないのか。罪深き手による加害行為の被害者には、通常の過失被害者を上回る償いがされて当然だ。

 

(2)何故、そもそも、このような裁判が提訴されたのか。今回の福島第1原発事故後には、体制的にも、その取り扱い姿勢・方針でも、極めて不十分ながらも「原子力損害賠償紛争審査会」の指針が「最低限度の賠償責任」として示され、更に「原子力損害賠償紛争解決センター」がそれを補う形で用意されている。少なくとも東京電力は、よほどの理由がない限りは、同センターの出す和解案には拒否の姿勢を示すことはできないはずであるし、賠償指針さえクリアーして支払っておけばそれで済むということでないことは自明のことである。しかし、実際起きていることはそうではない。今回の損害賠償裁判が提訴される経過については詳しくは知らないが、東京電力が被害者に真摯に向き合い、妥当な賠償金額を提示しておれば、かような裁判は不要だった。そして、かような裁判は、ただでさえ大変な被害者にとっては、耐え難い重荷であることは言うまでもない。ならば、裁判所は当然のことながら、かような不届き千万の東京電力を、裁判提訴によって法的に強制しなければならない状態に至った、この東京電力の罪状追加を認め、言いかえれば、原告・被害者の裁判負担への慰謝料を認め、何故、損害賠償金額に上乗せしないのか。東京電力は、政府の原発事故賠償の政策スキームでさえ、罪深き加害者の分際で踏みにじっているのだぞ。

 

(3)被害者の苦しみは、東京電力だけによるものではない。福島第1原発事故を引き起こした原因は、原発を規制し管理する側の政府にもあり、その責任は大きく重く、当然ながら被害者に対して損害賠償責任を負っている。いや、それどころか、福島第1原発事故後においても、放射線被曝被害を受けるであろう地域住民や放射能汚染地域に居住する住民、有権者・国民に対して、「ただちに健康に影響はない」(枝野幸男:民主党)から始まる一連の出鱈目行為やインチキ政策を繰り返してきたのである。政府が、もっときちんとした事故後対策をとっておれば、原告・被害者の命は救えたかもしれない。政府が「子ども・被災者支援法」という明確な法律があるにもかかわらず、それを守らずに、法律の主旨に反する「基本方針」などをつくって、被害者・避難者への対策をおろそかにしたことが、原告・被害者の悲劇を生みだしたのである。国は、原告・被害者に対して、応分の損害賠償金を支払え(と裁判所は判決を書くべきである)。(そもそも、国は東京電力の支配株主であり、事実上の経営者ではないか。いったい何をやっているのか)

 

(4)退職していった加害者・東京電力の元経営者や幹部達は、福島第1原発事故を引き起こした重大な刑事責任者であり、また民事上の賠償責任者であるにもかかわらず、その義務・債務を遂行せず、それどころか1億円に近い金額、ないしはそれ以上の退職金ならびに各種便益を、退職時・退職後においても受け取り、悠々自適の生活を送っている。中には、ほとぼりのさめるのを待つために、海外に逃避したり、また、厚顔にも原子力関連会社に天下って高給を食むヤカラもいるようだ(勝俣恒久元会長、清水正孝元社長他)。その理不尽きわまる「金銭的」事態に対して、今回の判決の金額4900万円との金額の差を、日本の裁判所・裁判官はおかしいとは思わないのか。おかしいと思うのならば、少なくとも、この犯罪者集団・東京電力元幹部が享受した金額を、被害者への損害賠償の最低ラインとすべきでないのか。

 

(5)判決要旨(PDFファイル2枚目)の2段目左に、「財産そのものを喪失したわけではない」などと書かれている。かようなことが判決文には書かれているらしい。何をボケたことを判決は言っているのかである。福島県川俣町山木屋地区などの高濃度汚染地域に住んでおられた被害者の方々は、家屋や田畑を含む所有財産全てを放射能で汚染されてしまい、使うことも居住することもできなくなって、事実上、全財産を失った。それだけではない。仕事や人間関係や地域コミュニティや、およそ人間が人間として生きていくための社会的インフラ全てを奪われてしまったのであって、この判決文のように「形式的な所有権までは失っていない」などという「お気楽形式論」で割り切れるものではないのだ。

 

 そうした、全てのものを理不尽にも奪われた方々に対する損害賠償の金額が、わずか4900万円とは一体どういうことか(その内訳は、精神的苦痛への慰謝料が約2200万円、逸失利益が約2540万円)。かような小額で査定しているということは、日本の裁判所・裁判官が、私たち一般の有権者・国民の命を、それだけ軽いもの、値打ちのないものとして「見下している」ことを示している。許しがたい態度と言わざるを得ない。

 

(6)損害賠償金額査定において、なくなられた被害者の女性の精神ストレスに対する耐性の問題ばかりが、さも、問題の本質であるかのごとく取り扱われ、判決文の主流をなしているかに見える。しかし、そんなことは枝葉末節の問題だ。被害者女性が、ストレスに強いか弱いかなどが、損害賠償金額に大きく影響していいはずがない。人は、どのような精神状態で生きて行こうが、それはその人の自由であって、それがゆえに理不尽な加害行為をされて、命を奪われてもいい、奪われても、賠償・補償さえまともに受けられない、ということではない。財産も、生活も、人生も、全てを、ある日突然に理不尽きわまる形で奪われたものとして、また、奪われた後も、理不尽きわまる処遇を、加害者・東京電力や事故責任者・国から受け続けたものとして、それだけの苦しみに見合う損害賠償金を受け取ればいいのであり、また受け取る権利がある。

 

(7)損害賠償の金額に関する裁判判決を、今回のように小額なものに抑え込んでしまうことは、東京電力に対して益々、通常ベースの損害賠償義務の履行を拒否させる不当なインセンティブを与えてしまうことになり、今後大量の損害賠償裁判が発生してくることになりかねない。それは、益々、福島第1原発事故に苦しむ被害者の苦悩と困難を拡大していくことになる。日本の裁判所は、早く目を覚まして、加害者側に立って賠償金額を値切る屁理屈を考えるのではなく、加害者側に「居直り裁判を起こさせない」ような「負のインセンティブ」を含む、厳罰付賠償金額を判決として出していくべきである。何故なら、加害者・東京電力や事故責任者・国の、原発と原発事故、及びその事故後対策に対する態度は、許しがたい出鱈目の「てんこ盛り」であるからである。

 

(8)最後にもう一度申し上げる。。日本の司法・裁判所・裁判官は、その本来の使命、すなわち、理不尽にも傲慢・身勝手な巨大企業の一方的な加害行為によって犠牲となった被害者の生命、健康、財産、権利を守る姿勢をもっとはっきりと示せ。賠償・補償の金額を抜本的に、もっと大きな金額へと引き上げよ。

 

2.日本海側 津波20メートル超想定 政府検討会、地震最大M7.9 (東京 2014.8.27他)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014082702000132.html

 

(参考)原発津波、最大で5.8m(読売 2014.8.28

http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140827-118-OYTPT50140/list_NEWS%255fMAIN_1

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「国の検討会による日本海の津波想定で、11原子力発電所(建設中を含む)の津波の高さは、北海道電力泊原発で5.8m、北陸電力志賀原発で3.8mなど、いずれも電力会社の想定を下回った。各電力は、原発の安全審査で、津波の最大想定(基準津波)を厳しく試算。まだ安全審査を申請していない原発も、すでに従来の想定を見直しているためだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(以下、田中一郎コメント)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 おかしな話である。「日本海沿岸で津波を起こす可能性のある大規模地震の想定を、政府の有識者検討会が二十六日まとめた」「沿岸で発生する地震は最大マグニチュード(M)79で、最大津波高は北海道せたな町の23.4mとなった」というのに、日本海側にずらりと並ぶ原発群には、何の影響も問題もない、などと報じられている。バカバカしいにもほどがあるのではないか。

 

(1)最大津波高23.4mの北海道せたな町は、泊原発とはすぐ隣の位置(南)にある。その泊の原発の想定津波の高さはわずか8.15m、防潮堤の高さは16.5mであるという(読売新聞)。また、石川県の珠洲市では、予想される津波高さは15.8mだが、その珠洲市のすぐ近くにある志賀原発では、想定津波の高さはわずか7.1m、防潮堤の高さは15mであるという(これも読売新聞)。いずれも、襲ってくる津波の高さに比べて、想定津波や防潮堤の高さが低すぎる。何故、これで、何の問題もないのか。「いずれも電力会社の想定を下回った」などというが、その「電力会社の想定」こそ、おかしいのではないのか。通常の常識では、これほど近い場所で、それぞれの原発立地沿岸への津波予測が、想定していた津波高さを大きく上回っているのだから、当然、最初から、想定津波も防潮堤の高さも見直す、ものである。

 

(2)今回発表された政府の有識者検討会の津波高さの予想のうち、中国地方より西の地域の予想津波高さは低すぎるのではないか(ほとんどが5m程度以下)。甘い想定は、かえって大惨事を招きかねない。

 

(3)最大地震規模がM7.9というのも、どうもマユツバである。もっと巨大な地震があっておかしくない。しかし、これでも、M7.9の直下型に近い地震の揺れに、原発施設は果たして耐えられるのか。想定地震規模との比較はどうしたのか。

 

 どうも、この地震予測・津波予測は、予測する側の有識者検討会も、原発・電力会社側も、お互いがお互いを「見ざる、聞かざる、言わざる」をやっているようにしか見えない。こういうときは、原発に批判的な市民や科学者らを含む関係者が一堂に会し、「公聴会」ないしは「ワークショップ」を開催し、どこにどのような問題があるのかを虚心坦懐に検討し会ってみることだ。そういう「場」が、いつまでたっても持てないところに、原発推進の決定的な欠陥があると言わざるを得ない。

 

3.規制委「志賀原発は十分準備したのか」(毎日 2014.8.28

 http://mainichi.jp/select/news/20140827k0000m040031000c.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

原子力規制委員会は26日、北陸電力志賀(しが)原発2号機(石川県)の安全審査の初会合を開いた。規制委側は、事故対策などが記載された申請書類が他原発に比べて著しく少ないことなどを問題視し、「これで十分に準備したというのは本当か」などと疑問を呈した。

 

規制委によると、志賀原発2号機の申請書類は約640ページしかないが、既に新規制基準に適合していると判断された九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)では10倍以上の約7500ページある。更田(ふけた)豊志委員は「とりあえず申請しておくということでは非常に困る」と述べ、原発を持つ10社で最後に申請したにもかかわらず、これまでの他原発の審査内容を踏まえていない北陸電の姿勢を批判した。

 

 また、北陸電は事故時に原子炉格納容器の圧力を下げる際に放射性物質の放出量を低減させる「フィルター付きベント設備」の設置を申請書に盛り込まず、既存設備の強化で同じ効果を得られるとしている。この点にも「格納容器内のガスをそのまま外部に出していいと考えているのか」などの異論が出た。

 

(以下、省略)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 こんな原発再稼働申請は、受け付けを拒否すべきではないのか。志賀原発については、原発施設真下の活断層問題もあるし、少し前に原子炉が臨界状態に陥ったことをずっと隠していた組織体質の問題もある。更田(ふけた)豊志とかいう原子力「寄生」委員会の「リップ・サービス」担当が、ごちゃごちゃ言っているが、それが実際の規制につながったためしは、今まで一度もない、幸せなら、態度で示そうよ、ねえ、更田豊志さん。

 

 数日前、六本木の原子力「寄生」委員会・「寄生」庁前で行われた原発再稼働抗議集会では、志賀原発の地元から来られていた方が、「原子力「寄生」委員会は、何故、かような出鱈目な再稼働申請の受け付けを拒否しないのか。また、申請された原発の是非を審査して安全を担保しようとしないのか。これでは「規制委員会」ではなくて「再稼働申請受け付け委員会」ではないか」と、憤りをもって批判されていました。全くその通りだと思います。

 

 原発再稼働申請受け付け委員会 兼 リップサービス委員会 これが原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の実際のありようです。早く解散しろよ、亡国者集団ども。

 

4.規制委 むつ安全審査「速やかに」 中間貯蔵、規制委員長が要望(毎日 2014.8.28

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140828ddm008040086000c.html

 http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7830121.html

 

(参考)規制委と事業者 個別意見交換へ 安全確保促進(毎日 2014.8.28

 http://mainichi.jp/shimen/news/m20140828ddm008010082000c.html

 

(以下、田中一郎コメント)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 これが原発を規制する立場にある組織のTOPが言うべきこと、やるべきことなのか。なれ合いどころの話ではない。癒着だよ、これは、談合だよ、これは。この田中俊一とかいう、私と一字しか違わない名前の馬鹿ものは、つい3年前には福島第1原発事故のあり様を見て、現(独)日本原子力研究開発機構理事長の松浦祥次郎ら、約40名の原子力ムラ連中とともに、有権者・国民に向かってお詫びをしていた人間だ。それが、舌の根も乾かぬうちに、かようなありさまだ。どういう神経をしているのだろうか。

 

 むつ市の中間貯蔵施設の最大の問題は、立地・敷地の問題だ。下北半島は、巨大地震と巨大津波と巨大噴火の3つの危険が決起集会を開催しているような場所である。いくら使用済み核燃料の「乾式貯蔵」が「安全」だと言っても、それは使用済み核燃料の水プールよりは安全だと言うにすぎない。とてもじゃないが、この3つの巨大リスクに耐えられるものではない。もっと安全な場所に立地しなければならない危険施設である。それを「安全上、大きな問題があるとは思えない」とは、何事か。それでもお前は、「規制委員長」なのか。

 

 また、「規制委と事業者 個別意見交換へ」など、時期尚早だ。どうせ、ご機嫌伺いに毛の生えたようなことにしかならないのは目に見えている。それよりも、お前(田中俊一)を含む原子力「寄生」委員会がなすべきことは、事業者とではなく、有権者・国民・市民との意見交換である。早く有権者・国民・市民の前に出てこい。

 

 田中俊一よ、どっち向いて仕事をしてるだよ。こっち向け、ほい!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

2014年8月23日 (土)

私にとっての「子ども脱被ばく裁判」(「子ども人権裁判」「親子裁判」)

前略,田中一郎です。

 

「ふくしま集団疎開裁判」の第二次裁判は、子ども脱被ばく裁判=「子ども人権裁判」「親子裁判」であると同時に、私たち自身・日本人一人ひとりの身を守る「命の未来のための裁判」です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

日本の放射線防護のための基準が、1mSvと5.2mSvと法律で決められていたものを、福島第1原発事故でたいへんな放射能汚染がおきてしまったら、それが守れなくなったとして20mSvにします、などということは許されません。その許されないことを平気でやる「ならず者政府」が今の日本政府であり、文部科学省がその総本山・大本営なのです。

 

他方で、文部科学省は、子どもの教育の責任官庁=子どもの命と健康を預かって、子どもたちを安全なところでのびのびと勉強させなければならないのに、子どもたちのことよりも、原発・原子力・核エネルギーを優先するという信じがたい暴挙を繰り返しています。その本末転倒した文部科学省や、その下僕と化した地方自治体に対して、理不尽にも被ばくにさらされる子どもたちの人権=命と健康と、安全に教育を受ける権利を守るのが、この裁判の第一の目的です。子ども人権裁判です。

 

そして、子どもの権利を守るには、その子どもを愛し育ててくれる親御さんや保護者を同時に守り、親子ともども・保護者ともども安全で健康に、幸せに生活していける環境をつくらなくてはいけません。今回の第二次裁判は、そのため、子どもたちの親も一緒に脱被ばくしてもらって、福島第1原発事故の放射能の危険性から、解放されるよう、「親の権利」も守っていくことにしました。(安全、健康、幸せのための)「親子裁判」です。

 

しかし、今日の情勢は、この第二次「ふくしま集団疎開裁判」=「子ども脱被ばく裁判」に、もう一つの大事な性格を与えていると思います、それは、この裁判が、一義的には原告の皆様、福島第1原発事故で被害を受けられた方々が、親と子で、しっかりと救済されるために取組まれるのですが、しかし、ことはそれにとどまらず、この裁判は、私たち日本人一人ひとりが、放射能の理不尽な被ばくから自分自身を守る、守れる、そういう、まともな社会をつくるための裁判である、とも言えると思います。

 

何故なら、今の日本の情勢がこのまま続く限り、私たち日本人は、いつ何時、被ばく者にさせられるか分からない、いつ、全国に散在する核施設・原発等が火を吹いて、放射能をまきちらすか分かりません。いや、そこまでいかなくても、既に福島第1原発事故で環境に放出された放射能の管理=つまり放射能封じ込めの政策がきわめてずさんでいい加減で、原発事故後の対策についての費用を惜しむあまり、あるいは、今後の原子力推進に支障をきたさないようにと、放射能による被ばくの危険性をごまかすあまり、全国の多くの日本人が、食べものや呼吸や身の回りの資材(材木など)を通じて、あるいは、東日本の汚染地域との行き来によって、知らず知らずのうちに被ばくを余儀なくさせられているからです。

 

しかし、ひとたび被ばくをさせられてしまった場合、日本では、どのようなことになっていますでしょうか。先般の鼻血問題で典型的に見られたごとく、あるいは、福島県を始め、放射能で汚染されてしまった地域の方々の身に降りかかっていることのごとくで、放射線被曝についての検査・調査・医療・治療さえ、まともにきちんとなされることはなく、調べること、検査することさえ拒否されて、まるで被ばくへの懸念・心配を口にすることさえ、不心得な逸脱行為であり、非国民であるかのごとく罵られるという、これまた信じがたいような社会情勢が、創り上げられつつあるのです、

 

それは、さながら戦前・アジア太平洋戦争時の日本のごとく、まるで現代の日本に原子力翼賛社会が出来上がってしまったような、個々人の権利や、個々人の命と健康が大切にされることなく、個々人の原発・原子力と被ばくへの懸念が「国策としての原子力」への反抗であるかのごとく扱われて、権力的に、社会暴力的に踏みにじられていく、そのような社会状況が出来上がりつつあるのです。これはゆゆしき事態と考えなければなりません。

 

確かに、福島第1原発事故の結果、原発の安全性などは、信じる者はいなくなりました。原発そのものについても、ようやく国民の過半数が、やめよう・脱原発だ、との認識に立ち始め、原発・核燃料施設の全面廃止も視野に入ってきています。もちろん、今現在もたいへんな抵抗に直面し、事故後3年目にして、原子力ムラの巻き返しは熾烈ですが、それでも、なお、脱原発の流れは、かつてに比べれば強く大きく国民的なものになりました。

 

しかし、脱被ばく=被ばくを避けるということについては、どうでしょうか。私はとても微妙で、一般論としては流布していても、その危険性の認識に関しては、脱原発を提唱している人々の間でさえ、その認識は危ないな、と思うことがあります。

 

これは、原子力推進の陰で、放射線防護学や被ばく医療など、本来であれば原子力推進と表裏一体で進められて来なければいけなかったことが、原子力推進を優先するあまり、歪められ、歪曲化され、危険性が過小評価されてきたからであろうと考えられます。そしてまた、不幸にして原子力に関連して被ばくして健康被害を受けた被害者の方々を、切り捨て、隠蔽し、踏みつけにしてきた、暗い、理不尽な、非人間的で不道徳な長い歴史のなせる業であるとも言えるでしょう。

 

言い換えれば、放射線被曝に関する限り、現状では、似非科学しか存在せず、ほんとうの科学や研究をしようとした心ある学者や研究者たちは、権力的に力によって妨害を受け、研究施設等から排除されてしまったのです。学会内での批判や検討、議論や切磋琢磨ということを許さない、いわゆる原子力ムラ・放射線ムラ一色の状況が、もうずいぶんと昔から出来上がってしまっています。いわば、恐ろしい世界なのです。

 

その一つの典型的な事例が、先般の日曜日の全国紙各紙や福島民報に掲載された中川恵一東大准教授とIAEAの人間を使っての「放射線についての正しい知識を」という、出鱈目きわまる政府広報でした。原子力安全神話に代えて、放射線安全神話の確立のための工作が執拗に繰り返されています。低線量被曝でも、被ばくに安全値はないこと、特に、恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)が非常に危険であることの注意喚起などは全くなされておりません。信じがたい内容です。IAEAなどは原子力推進のための国際原子力マフィアなどと言われている組織であり、中川恵一も典型的な放射線ムラの御用学者と言われている人間です。よくもかような人間たちを使って、よくもかような政府広報を、恥も外聞もなく出すものだ、と思います。(この2つの出鱈目さ加減は、追って批判文章をみなさまにご提供したいと考えています)

 

でも、私たちは逃げるわけにはいきません。福島第1原発事故後にあって、政府や自治体や、原子力ムラや放射線ムラが、放射線被曝の危険性を歪曲・矮小化して、子どもをはじめ被害者の方々を踏みにじろうとしている今、これを看過しておくわけにはいかないのです。何故なら、明日は私たちも同じ境遇におかれることになるからです。

 

それは、言い換えれば、私たちが住み、暮らす、この21世紀の日本という社会が、原子力翼賛社会に転落しそうになっているということでもあります。従って、この裁判は私たちにとって、ただ単に、福島第1原発事故の被害者の皆様を救済し、そのための裁判を支援するということに留まらない、もっと広い普遍的な意味=私たち自身が住み暮らす社会のあり方がどうなのか、放射線被曝が虚偽・偽りの下で平然と人々に押し付けられていく、その中で、私たち自身はどうするのか、という深刻な問題を、裁判を通じて私たちに突きつけているのだと思います。

 

その意味で、原発・原子力・そして核兵器が「正念場」を迎えつつある今日において、脱被ばくと放射能、放射線被曝の危険性とそれからの防護の問題こそが、私たちの今日の社会の最前線の問題となっていることを強く意識する必要があると思います。

 

何の罪もない、かけがえのない子どもたちの命と健康が、理不尽極まる形で、被ばくによってむしばまれていく、無邪気で元気な子どもたちの顔を見るたびに、私は目頭が熱くなり、こんなことは許されてはいけないと強く思います。子どもたちを被ばくから守ること、原子力ムラ御用学者や原子力ムラ代理店政府・自治体の許しがたい「未必の故意」による放射線被曝強制から子どもたちを守ること、原発事故の被害者の方々への更なる加害行為・被ばくの押し付けを許さないこと、これは、私は同時代に生きる人間として、また大人として、避けられない「使命」であり「倫理」であり、人間として生きるためには、どうしてもなさねばならぬ「最優先のこと」ではないかと思います。

 

そして、こういう情勢の中で、私は、原告の皆様、そして、その原告を支え、この裁判をこれから背負って下さる、闘って下さる弁護士の皆様に、心より感謝申し上げる次第です。よくぞ、厳しく、苦しく、つらい境遇にありながら、この困難な社会的取組としての裁判に、原告団として立ちあがって下さったと思います。それは、福島第1原発事故被害からの御自身の救済のためのみならず、脱被ばくという私たち自身の問題解決のためでもある闘いの先頭に立っていただいたことを意味します。

 

私たちは、この原告団をしっかりと支え、応援していく中で、原子力と放射線被曝の問題を、今まで以上に自分自身の問題として引き付けて徹底して考え抜き、多くの人々に我々の住む時代と社会の危機を訴え、原告の皆様の完全救済を勝ち取るとともに、「脱被ばく社会」という、ほんとうの意味での脱原発社会を実現させていく必要があると思います。

 

私も頑張ります。

原告の皆様、原告団の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

早々

 

特定秘密保護法 に関するパブコメに対して意見書を提出いたしました

前略,田中一郎です。

 

ご承知の通り、特定秘密保護法に関する3つのパブコメが、まもなく締切となります(下記:8/24)

 

● 特定秘密保護法関連パブコメ(内閣官房)

 http://www.cas.go.jp/jp/tokuteihimitsu/ikenboshu.html

 

3つに対して、同じものを送りました。

以下、ご参考までに私の提出意見をコピー&ペーストしておきます。結論を一言で申し上げますと、この特定秘密保護法は、廃止する他ないということです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

特定秘密保護法について

(パブリックコメントへの提出意見書)

 

 このほど国会で可決成立した特定秘密保護法は、行政府が誰のチェックを受けることもなく,自己都合で勝手に決めた「特定秘密」を,国会議員がチェックすることも,アクセスすることもできない,事後的に独立した機関がその妥当性を検証することもできない,それどころか,場合によっては,特定秘密情報に接触した国会議員にまで罰則をかけるような法律です。これでは憲法が定める三権分立が守れるはずもありません。国会は国権の最高機関であることが日本国憲法第41条に規定されているにもかかわらず、特定秘密保護法をゴリ押しする安倍晋三政権は、これを無視しているようです。許されることではありません。

 

 しかし,東京新聞の記事にもある通り,いくつかの抽象的規定(心得規定など)を入れただけでは,この法律の危険な本質は何も変わりませんし、官僚達でつくる秘密指定の適正性チェックの機関をいくつも創ったところで、指定された秘密の適正性が客観的に立証されるわけでもありません。政府の恣意的判断で「情報」を隠せる仕組みは維持されたままですし、マスコミ関係者のみならず、私たち一般の有権者・国民に対して「弾圧的」に働く、この法律の持つ暴力性や違憲性や反国民性も変わらないままです。

 

 このままこの法案が施行された場合には,日本の民主主義は「政府のご都合による秘密まみれ」となり、根底から瓦解していくことになるでしょう。何故なら、民主主義とは政府や時の支配権力による政治や政策等の(プロセスを含む)詳細について,広く情報公開の上に有権者・国民がその決定に参加し,様々な観点からの批判や検討や要望・要請などが加えられることによって成立が可能となる,きわめてナーバスで慎重、かつ公開されたシステムだからです。およそ秘密主義の上での民主主義などはありえません。

 

 また,この法律は,単に情報を発信する側の政府官僚や政治家らを「厳罰で縛る」(最高で懲役10年)のみならず,支配権力が「特定秘密情報」を取り扱う官僚を,その各々の個人情報や思想・信条にまで立ち入って「人間の品定め」を行う(支配権力に都合のいい人間だけを抽出する)という「思想・信条並びに挙動調査」までもが予定され,更には,政府の情報にアクセスせんとする我々一般の有権者・国民をも「特定有害行為」として「秘密漏えいほう助」の罪に問い,徹底して時の支配権力=政府に都合の悪い情報から有権者・国民を遠ざけんとする悪法です。

 

 安全保障や防衛がらみの情報を常日頃アメリカから入手しているため,そのアメリカから「こうしろ」=「厳罰付きの秘密保護法で情報を隠せ」と言われたからと言って,かくも無批判に,かくも拙速に無検討に,その多大なる害悪や弊害をも是正する措置もなく法律制定に走るとは,情けないにもほどがあるというものです。

 

 東京新聞記事「秘密保護法案決定へ 知る権利・取材の自由「配慮」努力規定どまり(20131018日付東京新聞)」には,公明党の修正を経てもなお,この法律の本質が如何に変わっていないかが適切に解説されています。是非,ご一読されたい。

 

 しかし,問題はこの記事に書かれていることだけではありません。いやむしろ,それ以上に重要なことは,私が上記で申し上げた「政府の情報にアクセスせんとする我々一般の有権者・国民をも「特定有害行為」として「秘密漏えいほう助」の罪に問い,徹底して時の支配権力=政府に都合の悪い情報を有権者・国民から遠ざけんとする悪法」という点です。

 

 日本の大手マスコミは,読売を除けば,日本経済新聞まで含めて,今回の秘密保護法に反対をしていますが,その反対の根拠は、もっぱら取材活動への悪影響を理由にしているものが多いように見受けられます(「知る権利」の侵害も,このマスコミ取材の不自由化の延長上にあるような印象です)。しかし,この法律の根本問題は,単にマスコミやジャーナリストらの取材を妨げることだけにあるのではなく,我々一般の有権者・国民をも,特定秘密情報へのアクセスを厳罰をもって追い払う点にもあるのです。この点を決して軽視してはなりません。下記のネット上の記事をご覧ください。

 

FmA [自由メディア]

 http://www.freemedia.co.jp/Thema/t_5.html

 

(上から3つ目の記事です)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2013213日 「Stop!秘密保全法共同行動」院内集会 [76:49

 

 現在、政府が制定をもくろんでいる秘密保全法は、「特別秘密」として秘匿することができる情報の分野が「国の安全」にとどまらず、「外交」さらには「公共の安全と秩序の維持」までと極めて広範にわたります。私たちの生活を左右するTPP問題、原発問題といった情報までもが国民の目から秘匿され、いっそうの悪政が強行されようとしています。

 

 その上、重罰規定(最高刑懲役10年)が準備され、「漏洩」はもとより「特別秘密」へアクセスすることも処罰の対象とされます。「共謀」(情報取得の相談)「教唆」(そそのかし)「扇動」まで独立した犯罪とされ、報道機関の取材活動や一般市民の広範な活動が犯罪とされます。加えて、「適正評価制度」という制度を導入し、「特別秘匿」を取り扱うことになる当事者、さらにはその家族、親戚、恋人、友人など周辺の人々までプライバシーを丸裸にして管理しようとしています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(引用終わり)

 

「共謀」(情報取得の相談)

 政府などが,どうも隠しごとをしている様子なので,どうしたら政府の担当省庁に情報を公開させられか,友人らと相談をしたら,「お前達は共謀だ」と言われて監獄へ送られる。

 

「教唆」(そそのかし)

 政府の当該情報の担当省庁に知人が在籍しているので,その知人に「その情報を教えてもらえないものか」と声をかけたところ,それが警察に漏れて「そそのかし」たとばかりに,監獄へ送られる。

 

「扇動」(煽りたてる)

 市民団体主催の集会やセミナーで,「○○に関する情報が政府によって秘密にされ,不適切な政治や行政がまかり通っているようなので,みんなで情報公開を働きかけましょう」と発言したところ,覆面私服刑事が突然立ち上がり,「扇動罪」と叫ばれて逮捕され,監獄へ送られる。

 

 お分かりでしょうか? まるで,第二次世界大戦前の天皇制軍国主義時代、特高警察(思想警察)が支配していた時代の「暗黒体制」そのものです。法律の運用は,警察や司法権力にゆだねられてしまいますから,あの「自白強要」や「証拠改ざん」を日常茶飯にしている様子がある警察や検察によって,この法律は「やりたい放題」の弾圧法として機能し始めることになるに違いありません(*)。時の支配権力や政府は,自分達の都合の悪い情報にアクセスしてくる有権者・国民を,「不逞の輩」(吉田茂元総理大臣)などと(陰に隠れて)馬鹿にし,この秘密保護法を盾にして徹底して排除することが可能となるでしょう。

 

(*)そもそも警察や検察で「自白強要」や「証拠改ざん」が常態化している異常を抜本的に反省し,悔い改めるべく発足した法務省主催の「捜査のあり方検討」審議会が,検討の結果出してきたのが,「盗聴法」の強化であり,「のぞき見法」(秘密検閲・情報無断収集の合法化」であったというのは,驚きを超えて,あきれるばかりです。こういう人達が警察や司法を牛耳っているのが今の日本です。どっちがスパイなのか,と言いたくなります。

 

 しかも,アクセスしてくる有権者・国民を全員逮捕する必要はありません。時の支配権力が,自分達にとって最も「手ごわそうな」,言い換えれば,鋭く批判的な人士を数名逮捕して「見せしめ」にしておけば,その「萎縮効果」は十分に働き,情報にアクセスしてくる有権者・国民はほとんどいなくなり,また,情報を提供しようとする官僚や政治家も,逮捕を恐れていなくなってしまうでしょう。

 

 こうなれば,時の支配権力や政府を牛耳るものにとっては笑いが止まらなくなります。もう,どんな出鱈目や不正をやっても,それを「特定秘密」にするだけで徹底して隠し通し,シラを切り通し,嘘八百で言い逃れをし,それで何のとがめも問題も発生しなくなるのですから。

 

 たとえば,原子力ムラの人間達が,今,やっていること,やってきたことを思い出して下さい。特定秘密保護法がない今でさえ,あんな調子で,嘘八百・隠蔽・歪曲・出鱈目を,毎日のように繰り返して平然としているのです。多くの批判や注告・改善提言など,どこ吹く風の「馬耳東風」です。それが,今般のような秘密保護法が施行されたらどうなりますでしょうか? 考えただけでもぞっとします。

 

 それからもう一つ,役所や企業の不正を内部告発する人達を保護するために「公益通報者保護制度」が設けられていますが,特定秘密保護法が制定されますと,この制度が形骸化しかねません。告発すべき「不正」がらみの情報が「特定秘密」とされかねないのです。この「公益通報者保護制度」は現状でさえ,内部告発者に対する保護が不十分だと言われています。それが特定秘密保護法により,ほぼ完ぺきにないがしろにされ,内部告発は事実上できなくなってしまいます。

 

 繰り返します。「政府の情報にアクセスせんとする我々一般の有権者・国民をも「特定有害行為」として「秘密漏えいほう助」の罪に問い,徹底して時の支配権力=政府に都合の悪い情報を有権者・国民から遠ざけんとする悪法」こそが秘密保護法であり,その内容は,まさに「現代版治安維持法」に他なりません。

 

 過去の「治安維持法」体制下での「情報統制」の一例は,東京新聞記事「スパイぬれぎぬ 宮沢・レーン事件(20131014日付東京新聞)」です。必見の記事だと思います。このまま法案が成立すれば,再び第二の「宮沢・レーン事件」が起きること必定です。そして,若くて優秀だった宮沢さんが,その後どうなったかも見ておいてください。

 

 そして,今から25年ほど前に,同じく自民党から国会に提出された,似たような法案「スパイ防止法」では,最高刑が「懲役10年」ではなく「死刑」だったことを忘れてはなりません。この法律=特定秘密保護法は,まるで消費税が3%からはじまって,やがて30%となっていくように,懲役10年からはじまって,やがて「死刑」へとエスカレートしていく運命にあります。絶対に許してはならない法律なのです。あなたは政府の情報にアクセスして,監獄にほうり込まれたいですか? いや近い将来,死刑になりたいですか?

 

 もはや、なすべきことはただ一つ、この法律を廃止し、政府が持つ情報の管理について、国民主権の立場から、情報公開法や公益通報者保護制度や公文書管理法などを徹底して見直し、原則として「ガラス張り」で透明な政府・政権・政治を実現させていくことです。歴史の検証に耐えられる記録保存の体制をつくり、そして何よりも政府や政権や政治の不正や不公正を許さないことなのです。

 

 特定秘密保護法を廃止せよ、これは日本の有権者・国民の総意である。

早々 

 

2014年8月21日 (木)

福島原発事故の原因もわからずに、原発を再稼働していいのか(2)=川内原発再稼働パブリックコメントへの意見書提出 (8/15 締め切り)

前略,田中一郎です。

下記、及び別添PDFファイルをご覧下さい。

 

(はじめに)

2014815日締め切りで、九州電力川内原発の再稼働審査書に関するパブリックコメントが実施されました。別添は私が提出した意見書です(若干を加筆修正)。

 

● 九州電力株式会社川内原子力発電所1号炉及び2号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案に対する科学的・技術的意見の募集について|意見公募(パブリックコメント)|原子力規制委員会

 http://www.nsr.go.jp/public_comment/bosyu140716.html

 

脱原発市民団体等が主催する集会やセミナー、あるいは新聞・雑誌・市民団体機関誌、インターネット等々、あれやこれやでいただいた情報を整理して、自分なりに書きなおしたものです。たくさんの深刻かつ重大な問題があるにもかかわらず、それらの解決が、棚上げにされたり、先延ばしにされたり、隠されたり、歪曲されたりと、およそあらゆるごまかしや嘘八百で固めて、原発の安全性や立地地域住民の命と健康と生活と財産をなおざりにしたまま再稼働に走ろうとしていることが分かってきています。一つ一つ書いていたら、ずいぶん長くなってしまいました。がしかし、まだあると思います。それくらい、現段階での原発の再稼働は問題だらけなのです。別添をご覧になられて、うんざりなさらないでください。

 

今の原子力「寄生」委員会・「寄生」庁に、こうした意見書を提出しても、彼らはまともに取り扱わないだろうと思いますが、しかし、出さないよりは出した方がいいでしょうし、自分なりに頭の中の整理にもつながります。みなさまも、成果をあまり期待せずに、政府などが実施するパブリックコメントには「柳の下のカエル」になった気持ちで、何度も飛び跳ねて、意見書を提出するようにされたらいいと思います。

 

そして大事なことは、川内原発の問題や原発再稼働の問題は、パブコメを出したら終わりではないのです。これからが本番の闘いとなります。私たちと私たちの子どもや孫、さらには子子孫孫のために、全力で原発・核燃料施設の再稼働阻止と、原子力の永久放棄・核エネルギーとの決別を実現していかなくてはなりません。核と人類の共存などはあり得ません。福島第1原発事故を経ても、なお、原発再稼働などと言い張る類の人間は、よほどの不勉強か、特定利害に毒された愚か者にすぎないのです。

 

原発・原子力の、ありのままの姿を、一人でも多くの有権者・国民に伝え、原発再稼働や原子力の延命を図ろうとする勢力に打ち勝つことが最も重要な我々の課題だと言っていいと思います。ともに頑張りましょう。

 

(福島原発事故の原因もわからずに、原発を再稼働していいのか(2))

1. 表紙

  「sendai_pabukome_hyousi.pdf」をダウンロード

2. はじめに
    「sendai_hajimeni.pdf」をダウンロード

 
 
 

 

3. 本文
「sendai_pabukome_honbunn.pdf」をダウンロード


 

2014年8月17日 (日)

戦後最悪の政権=安倍晋三自公政権の悪政の数々(5):メディア支配

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、岩波月刊誌『世界』に毎月連載で掲載されている神保太郎さん執筆の「メディア批評」の記事の紹介です。今月号(2014/9)の『世界』に掲載されました下記の記事に、安倍晋三政権下で進むTV(NHK他)、及び中央の大手新聞の「御用化」事情が詳しく書かれております。興味深いのでごく簡単にご紹介します。みなさまにおかれましては、ぜひ、原点にあたって、この記事をお読みいただければと思います。また、神保太郎さんのこのシリーズのレポートは、とても興味深いものがありますので、岩波月刊誌『世界』を過去にさかのぼってご覧になることもお勧めです。

 

さて、社会が悪い方向に大きく変わる時、それはまず、教育の分野に現れ始め、次世代の担い手である子どもたちが偽りのイデオロギーや歪んだ情報で洗脳されていきます。次に、著者の神保太郎さんが「まず言葉が死んで、戦争が始まるのである」と書いているように、メディアや有識者が有権者・市民に提供する言語が死んでゆく。しかし、このシナリオは、残念ながら、安倍晋三政権が、第一次内閣(教育洗脳=教育基本法他の改悪)でやり、今また、第二次内閣でやろうとしていることなのです(メディア支配)。その担当大臣であり、切り込み隊長は、安倍晋三内閣の「ゲッペルス」こと、菅義偉官房長官((新型)ファッショ宣伝相)です。このたびも、どうもNHKの番組「クローズアップ現代」に登場して、ひと騒ぎしたようです。

 

そして、安倍晋三政権をメディア側から支える3勇士こそ、NHKの籾井勝人会長以下の経営委員会委員たち、サンケイの熊坂隆光社長、そして読売の渡辺恒雄会長の3人のようです。彼らの行儀がいかなるものか、この記事をご覧いただければよくわかります。

 

それにしても、この小レポートに書かれているNHK、サンケイ、読売という、安倍晋三の「腰巾着」メディアのそれぞれの状況を知らされると唖然としてしまいます。我ら有権者・市民がこれらに抵抗するためには、思い切って、この3社の提供する情報類に対して、一切の対価を支払わない=つまり「不買」をする他ないのではないかと思われます。NHK受信料拒否が重要な局面になってきたと言えるのではないでしょうか。

 

(追)「御用化」メディアによって「言葉が死ぬ」とともに、自国の侵略の歴史の遺跡・遺物などが消され、歴史が矮小化され、歪曲化され、偽造されていく=これは、かつてのナチスドイツが歩んだ道であることを忘れてはならないと思います。

 

(参考)東京新聞 消される戦争の跡 「説明板、突然の撤去」体験者ら危機感社会(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014081302000101.html

 

(参考)東京新聞 「戦跡」の大半 放置・開発 戦争遺跡3万カ所 保護わずか216件核心(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014081302000133.html

 

● メディア批評(NHKが危ない、分断される中央紙・頑張る地方紙)(神保太郎 『世界 2014.9』) 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「菅官房長官が出演した「クローズアップ現代jをめぐって、フライデーのスクープ記事が波紋を広げている。ETV番組改変事件の発覚から10年以上の時が流れた。NHKにおける危機の深刻さは、メディアに容喙する“快楽"を政権が覚えたこととかかわっているのではないか」

 

「(1)NHKが危ない!

 

「NHKの危機を憂慮する声は、籾井会長の罷免を求めるNHKのOBたちによって代表され、今では、それに励まされる現役職員も少なくないという。この動きに他のメディアも注目し始め、OBの会は記者会見を準備中とのこと。」

 

「最近のNHKは、政府要人の”ゲストルーム”と化している」

 

「後でわかったことだが、どうやら前日の7月3日、菅宣房長官が出演した「クローズアップ現代」で何かがあったようなのだ。7月11日発売の雑誌「フライデー」に、「『クローズアップ現代』で集団的自衛権について突っ込まれた菅官房長官側が激怒ー安倍官邸がNHKを”土下座”させた一部始終」という見出しの記事が掲載された。」

 

「その後のNHKの報道ぶりを見ていると、7月13日のNHKスペシャル「集団的自衛権行使容認は何をもたらすか」は、その無内容ぷりは言うに及ばず、「クローズアップ現代」に批判的な政治部がイニシアティプをとったために、いかにも政権への”詫状”のように見えたのは”下衆の勘ぐり”であろうか。しかし、「クローズアップ現代」で準備中だった「特定秘密保護法」に関する番組が、この間の“騒動”のさなかに放送予定から消えてしまったらしい。菅氏出演の件と何か関係があるのだろうか。」

 

「(2)分断される中央紙、頑張る地方紙」

 

「産経は戦後の歴史教育を「自虐史観」と批判し、戦争犯罪に対する謝罪は必要ないと主張してきた。保守の中でも右に張り出した異端の中央紙は、安倍政権の誕生で「ど真ん中」で声を上げるようになった。

 

「集団的自衛権、原発再稼働、積極的平和主義、TPPなど、読売の政権と一体となった報道ぶりは目を引く。大方のメディアが異を唱えた特定秘密保護法では、渡邊会長が特定秘密を管理する情報保全諮問会議の座長となり批判の鎮静化に一役買っている。行政や権力機関と一線を画すごとがジャーナリズムの鉄則とされるが、読売新聞の特徴は「権力との一体化」である。」

 

「悪貨は良貨を駆逐する。与党メディアがカを増し、ジャーナリズムの批判精神は細るばかりだ。」

 

「「火の手」は上がっている: ところが地方で逆の動きが起きている。それは集団的自衛権を論ずる地方紙の社説に現れた。主要地方紙43紙のうち40紙が「反対」 の社説を掲載したのである。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

戦後最悪の政権=安倍晋三自公政権の悪政の数々(6):日本創成会議提案は市町村を亡ぼす (付録: 福島県南相馬発・坪倉正治先生のよくわかる放射線教室)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

まず最初に下記をごらんください。

 

1.福島県南相馬発・坪倉正治先生のよくわかる放射線教室 魑魅魍魎男

 http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/712.html

 

「また安全デマ・パンフレットが出ました。

「福島県南相馬発・坪倉正治先生のよくわかる放射線教室」

(発行・ベテランママの会  監修・早野龍五東大教授)

 阿修羅の読者にはもはや説明無用でしょうが、間違いを指摘しておきます。」

とあります。

 

8月14日付の福島民報に記事が出ていましたので、ネットで検索したらヒットしました。

 

● 放射線理解の一助に 南相馬のベテランママの会が冊子2万部作成 県内ニュース 福島民報

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014081417457

 

2.特定秘密保護法

 2011年9月に初めて作られた特定秘密保護法の原案に関する政府内の協議で、「法の必要性(立法事実)が弱い」と内閣法制局に指摘されていたことが分かった。情報漏えい事件が少ないことなどが理由だった。特定秘密保護法には法律家から「立法事実がない」と批判があるが、政府内にも同様の異論があったことになる。

 

● ▽特定秘密保護法:「必要性弱い」内閣法制局が指摘 11年政府協議

 http://goo.gl/DrSMor

 

● ▽特定秘密保護法:「必要性弱い」内閣法制局が指摘 高作正博・関西大教授(憲法)の話

 http://goo.gl/HKdtk9

 

(ここから本文)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

別添PDFファイルは、月刊誌『住民と自治』の20149月号に掲載されました「日本創成会議提案は市町村を亡ぼす」という保母武彦島根大学名誉教授執筆の小論文です。このほど日本創成会議の「人口減少問題検討分科会」が、マスコミを使って大々的にぶちあげた「人口減社会で地方(自治体)消滅、未来の地獄絵「極点社会」到来の危機」のPRが注目を浴び、それを受けて日本創成会議が、地方自治制度の再編成へ向けて、政治と行政を一挙に駆り立てる提言をし始めました。

 

この小論文は、それに異を唱え、そうした提言に安易に乗ってしまうことは、今以上に地方の過疎化や財政難を深刻化させ、それこそ「極点社会」へと日本を加速させてしまうものだと批判しています。興味深いので、簡単にご紹介いたします。

 

ちなみに、安倍晋三政権が今秋から始めようとしている「地方創生」も、今回紹介する日本創成会議も、みな「ニセモノ」です。彼らの意図は、地方対策・住民対策のための予算の削減と効率的な行政=つまり「安上がりな地方行政」であり、それを露骨に表現することができないために、いろいろとデコレーションをして、地方の有権者・市民を欺いているといっていいと思います。

 

また、日本創成会議の「人口減少問題検討分科会」の座長の増田寛也氏(元岩手県知事)は、そこで決められた方向性を安倍晋三政権の政策に反映すべく、政府の経済財政諮問会議の有識者メンバーでもあります。「ニセモノ別働隊」と言えば、言い過ぎでしょうか。しかし、この「人口減少問題検討分科会」の提言内容を見るに、まさに「ニセモノ」そのもののように思えてなりません。彼らの提言していることは、地方を今以上に苦しめることになりこそすれ、地方再興や地方再生には決して至らない、偽りの政策提言です。私たちは、こうした「ニセモノ」にだまされないよう、社会問題や政策提言に関してリテラシーを持つ必要があります。

 

(参考)「まち・ひと・しごと創生本部」準備室、内閣官房に設置:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/ASG7T4RZZG7TUTFK00K.html

 

●(別添PDFファイル)日本創成会議提案は市町村を亡ぼす

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「少子化対策を口実に、政策と資金を「地方中核都市」に集中させる日本創成会議の提案は、「平成の大合併」以上に危険な小規模市町村切り捨て政策である。」

 

「人口減少と東京一極集中問題に対策を打つことに、誰しも異存はない。だが、問題は、その対策の理念と基本政策及び政策内容である。日本創成会議が提起する主な政策手段は、広域ブロック単位の「地方中核都市」に資源や政策を集中的に投入して行なう地方制度の改革である。これは、自民党と経済界が「平成の大合併」に期待したが十分に果たせなかった広域行政化と行政改革の継続である。広域ブロック単位に配置される「地方中核都市」の整備によって、周辺部の小さな市町村は自治の権限と財源を失い、人口減少を加速化され、農村部自治体の存立も困難にされる。それは、農村が担う食料とエネルギーの供給機能、環境と国土保全機能、固有の文化の継承をも困難にする。」

 

「本稿では、日本創成会議が提起した「極点社会」対策の検討を通して、地方自治の活性化と地域の発展政策を考えてみたい。」

 

「東京が「世界有数の『国際都市』として、海外の人材や資源を大胆に誘致」すれば、「地方から大都市へ若者が流出する『人の流れ』」が変わるのか。その論拠は全く示されていない。海外の人材で日本人を置き換えれば兎も角として、海外の「高度人材」を誘致して国際都市化すればするほど、それを支える関連サービス産業も拡大する。これでは、国内の「人の流れ」は逆転しない。あるいは、底辺の低賃金単純労働外国人研修生を民開業者任せで採用するつもりだろうか。その従来の日本式方法を踏襲すれば、海外摩擦を強め、国際的な弧立を深めるしかないであろう。」

 

「第一の基本目標を「国民の『希望出生率』を実現する」こととし、第二の基本目標を「地方から大都市へ若者が流出する『人の流れ」を変える。『東京一極集中」に歯止めをかける」こととしている。このように重要な位置づけが与えられている「人の流れ」を変える具体策は、資料では何故か説明もなく強引に、「『若者に魅力のある地域拠点都市』を中核とした『新たな集積構造』の構築が目指すべき基本方向」だと結論付けている。これが、本稿の冒頭で指摘した、地方自治制度の新たな再編成論である。」

 

「「地域拠点都市」を核とする基本方向であるため、「地域拠点都市」以外の地域の発展は軽視され、その発展を阻害することになりかねない。日本創成会議提案の「基本方向」の危険性は、実にここにある。」

 

「東京と「地域拠点都市」だけで日本の未来を語るのは、やめた方がいい。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

この小論文にも若干の自治体が紹介されていますが、純農村地帯や山村・離島などの自治体でも、人口が減少するどころか、若者中心に入ってくる人の数が増え、人口が増加に転じているところがあります。日本の政治や政策がきちんとしていれば、まだまだ日本の地方は、可能性と豊かさを併せ持つ、とても住み心地のよいエリアなのです。問題は政府の政策にあります。今日の地方の疲弊と衰退は、100%、政府の失政による人災です。(田中一郎)

早々

 

 

<追>(メール転送です)国際アピール「日印原子力協定を放棄せよ」に賛同を!(以下、転送・転載・拡散大歓迎)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みなさま(重複ご容赦、拡散歓迎)

 

インドのナレンドラ・モディ首相が831日から来日し、

91日に日印原子力協定締結について会談を行う予定です。

 

福島原発事故を引き起こした日本が海外に原発を輸出すること自体が

容認しがたい行為ですが、核保有国であるインドへの原子力協力など、

とうてい受け入れられるものではありません。

 

この事態を食い止めるため、ぜひとも皆様のご賛同をお願いいたします。

お名前(個人名または団体名)(外国の方は国名も)をメールで → sdaisuke@rice.ocn.ne.jp

 

日印原子力協定を放棄せよ!

安倍晋三首相とナレンドラ・モディ首相への国際アピール

 

インドのナレンドラ・モディ首相が、8月末に来日します。そして91日に行われる安倍首相との会談では、懸案となっている日本とインドの原子力協定締結に向けた交渉が一気に進む可能性があります。この問題を懸念する日本、インド、そして世界の市民は、両首相が協定に関する交渉を即刻停止することを求めます。

 

この協定は、人々の反対を無視して暴力的に原発を推進しているインドを舞台として、世界の原子力産業に息を吹き返させるものです。そうなれば、福島原発事故後に積み上げられてきた脱原発の努力は、すべて水泡に帰することになります。さらにこの協定は、インドの核兵器が正当化され、外国から核技術が提供されるという、受け入れがたい前例を作ることにつながります。

 

福島第一原発事故は、原発で過酷事故が起きるとその被害が広く深く社会といのちを、未来にわたってむしばみ続けるものであることを世界に知らしめました。この事故によって、日本国内では原発新規建設や増設は言うまでもなく、既存の原発の再稼働も非常に難しい状態になっています。

 

国内のこうした状況の中で、安倍首相は斜陽となった日本の原子力産業を延命させるために、諸外国と次々に原子力協定を結び、原発を輸出していこうとしています。すでに多くの原発輸出計画があります。国内では今も福島原発事故によって多くの人々が苦しんでいるというのに、原発事故とその悲惨な結果を経験した日本が、積極的に原発を輸出しようとするなど、非常に恥ずべきことです。

 

とりわけ、インドとの原子力協定は多くの受け入れがたい問題をはらんでいます。インドは核兵器を保有しています。そして核不拡散条約に加盟せず2度の核実験を行いました。日印原子力協定が締結されれば、それは事実上インドの核兵器を正当化することになります。さらには、インドが輸入された原子炉や核燃料を民生用原子炉に使い、国内で生産されるウランをすべて自由に核兵器製造につぎ込むとしたら、日本から提供された核技術がインドの核兵器拡大を後押しすることにつながります。この協定が締結されれば、日本がインドの核兵器製造に関与してしまうことになります。

 

そのようなことを容認するなら、それは広島と長崎で被爆した人々への冒涜であるだけではなく、世界の核廃絶へ向けた動きの中で日本が果たしてきた役割は地に落ちるでしょう。

 

安倍首相、あなたはまるで原子力産業の大使であるかのように、各国を歴訪しています。あなたの世界観では、原発や核技術の輸出が日本経済復活のカギなのでしょう。世界中で「福島原発事故の経験と教訓」「安全な原発の提供が我が国の責務」と語っておられるようですが、まともな教訓を得ていれば、安全な原子力などというありもしないものに固執し続けるのではなく、詳細で実現可能な避難計画を立てようとするのではないでしょうか。日本の責務は、いかに原発のない社会を実現していくのかの道筋を行動で示すことであって、米仏の圧力に同調して日印原子力協定に狂奔することではないはずです。インドの原発市場がどれほど利益をもたらすものであっても、それらの原則を破ることは許され ません。

 

モディ首相、インド政府はこれまで「福島原発事故が人々に及ぼす影響はそれほど重要なものではない」という見解を示しています。日本滞在中に福島へ行って、今も終わっていない原発事故が人々の暮らしをどのように脅かしているのかを、ご自分の目で見てきてください。あなたがもし被害者の立場に立って考えるなら、原発を推進するという考えはそこで断念されるはずです。被害者の側に立たないならば、福島を語らないでください。

 

両首相に強く求めます。日印原子力協定の締結に向けたすべての話し合いを放棄し、締結を断念してください。そして、核も原発もない未来を共に目指すと確認してください。福島事故後の世界においては、核も原発もない未来をいかに実現するかについて話し合う英知こそが求められているのです。

 

2014年8月14日 (木)

川内原発再稼働の前に、同型の原子炉(加圧水型:PWR)だったスリーマイル島原発の過酷事故の教訓を振り返れ

前略,田中一郎です。

 

 下記URLは、今から35年前にアメリカ・ペンシルバニア州のスリーマイル島原発2号炉で起きた過酷事故に関するレポートである。19796月の、事故からわずか2~3ヶ月くらい後に書かれたレポートだが、一読したところ、問題の核心を貫く優れた文献と判断されたので、以下、簡単なコメントを付けてご紹介したい。執筆者は、京都大学原子炉実験所の、いわゆる6人衆の面々で、お名前を挙げれば、今中哲二、海老沢徹、川野真治、小林圭二、小出裕章、瀬尾健の各氏である(うち瀬尾健氏は故人)。

 

 各氏は今もご活躍中だが、当時において既に原発、特に加圧水型の原子炉の欠陥をずばりと見抜いて、スリーマイル島原発事故に対して優れた警告を発していたことが、この小論文を拝見することで(再度)確認できた。炉型は違うとはいえ、電力業界や原子力業界、あるいは日本政府・経済産業省や原子力安全委員会などが、この時の各氏の警告に真摯に耳を傾けておれば、福島第1原発事故はおそらくは起きなかったであろうことを思うと、まことに残念、かつ憤りを感じないではいられない。同じ失敗を繰り返さないためにも、再度、このスリーマイル島原発事故を振り返って、加圧水型原子炉の持つ構造的ともいえる欠陥を確認しておくことは必要不可欠なことであろうと思われる。

 

 何故なら、加圧水型原子炉は、今まさに無謀にも愚かにも再稼働されようとしている九州電力・川内原発と同型の原子炉であり、かつ、スリーマイル島原発事故当時もまた、チェルノブイリ原発事故の際と同様に、原発事故の原因究明や原子炉の安全上の諸問題を真剣かつ詳細に検討することもなく、まるで条件反射かオーム返しのように「米国のような大事故は日本では起きない、作業員による人為ミスの重なりが大きな原因だ、炉心溶融までには至っていない、環境に漏れ出した放射能は大した量ではなく人体には無害である」などなど、まったくいつものワンパターンの対応を繰り返し、その事故の教訓を生かそうとはしなかったからである。

 

 その後、アメリカでは、既存原子炉の安全性問題がクローズアップされ、当時から欠陥が指摘されていた沸騰水型原子炉とともに加圧水型原子炉にも追加安全対策の装備が義務化されていったが、日本では、その動きを冷ややかに受け止めつつ、追加安全対策は「電力会社の任意対応事項」とされてしまった経緯がある。多くの電力会社は、それなりの追加対策を行ったようであるが(今でも未確認のまま)、しかし、たとえば日本原電の敦賀原発1号炉(沸騰水型)ではドライベント装置が装着されていなかったり、東京電力・福島第1原発のように、ドライベントの排出配管を2つの原子炉の「共用」としてしまったために、3号機炉心溶融の際に発生した水素ガスが、運転していない隣の4号機の原子炉建屋に逆流して水素爆発を起こすなど、およそ超危険施設としての原発の安全対策とは思えないような、ずさんきわまる手抜き措置がなされていたことが福島第1原発事故によって浮き彫りとなった。

 

(参考)日本原電敦賀1号機、ベントなし 急きょ設置へ (共同通信) 赤かぶ

 http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/727.html

 

 目の前で過酷事故が起きても、その原因究明もしないままに新たに原発の再稼働に手を付けていこうとしている。このままでは、再稼働どころか、新規の原発建設も始めてしまいそうな雰囲気である。また、原発以上に超危険で、超汚染施設である核燃料サイクル施設も、これまでと同様に推進すると言ってきかない。その姿勢は、過去において、まさに日本に対する警告であり教訓でもあった2つの原発大事故(スリーマイル島原発事故とチェルノブイリ原発事故)に対して、日本政府や日本の原子力ムラがとった態度とほとんど同じで、原発過酷事故の結果を教訓にしない、唯我独尊の傲慢極まりない態度と、ものごとへの根拠のない楽観論において共通している。それはまた、アジア太平洋戦争時の、大日本帝国の姿勢や態度とも同じくするものが多いのだ。日本という国は、最後の最後まで、修羅場となるまで、滅び去るまで、ものごとの実体を把握しようとはしないのだろうか。馬鹿は死ななきゃ治らない、そんなことでは困るのだ。

 

● 米国スリーマイル島原発事故の問題点:事実が示した原子力開発の欠陥(今中、小出、瀬尾、小林他 1979.6

http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No110/TMIKagaku1979.pdf#search='%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%AB%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9%EF%BC%9A%E4%BA%8B%E5%AE%9F%E3%81%8C%E7%A4%BA%E3%81%97%E3%81%9F%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E9%96%8B%E7%99%BA%E3%81%AE%E6%AC%A0%E9%99%A5'

 

(以下、要約しながら一部抜粋し、適宜、私のコメントを付記する)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<炉心冷却可能形状の寮失>

「70気圧で50m3以上の水素が発生したと報道されており、全燃料俸の被覆管の4分のl以上が完全に反応したことに相当する。実際は、ほとんどの燃料棒が破損したと思われる。」

 

(事故を起こしたスリーマイル島原発2号炉の炉心の状況が明らかになっている今だからこそ、この記述は当然のように見えるが、当時は炉心の状況はわからず、日米の多くの原子力ムラ御用学者どもは、炉心は溶融に至っていないと、根拠なく言い張っていた。原子力ムラの似非学者のやることは、今も昔もちっとも変っていない。わずか2行程度のこの記述が、当時としては、いかに卓越した優れた科学的考察であったかがわかる、というよりも、執筆者6人の「真実を語らん」としたその勇気に心より敬意を表したい:田中一郎)

 

「ひとたび炉心が崩壊し,冷却可能な形状が失われると. その後の事態の悪化を防ぐ方法はない。かりに大きな塊が形成されるとすると,冷却条件は極度に悪くなり,塊の内部は溶融しメルトダウンの危険性をはらんだ状態となる。」

 

(上記は重要な指摘である。ひとたび炉心が溶融をし始めると、止められないという構造的欠陥を抱えているのが原子炉炉心だということである:田中一郎)

 

<放出された放射能>

「事故にともなって環境中へ放出された放射能については断片的な情報しかない。影響評価の基礎となる放出放射能量について未だに明らかにされていないのは非常に奇異である。」

 

(「環境放出された放射能の量が明らかにされないのもまた、今も昔も変わらない。原子力ムラ・放射線ムラは、自分達に都合の悪いことは徹底して隠し、そして、ほとぼりが冷め、人々の記憶が薄れた頃から嘘八百の出鱈目を声高に言いだし始めるのだ。彼らを信じることは、放射線被曝による「自殺自傷的行為」を意味する。今現在、環境省が設置し、長瀧重信座長以下で検討が進められている「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」などは、その典型的な事例の一つである:田中一郎)

 

<事散によって明らかになった原発の安全性の実態>

1.原発安全論の破綻

「(a)補助給水系は“フール・プルーフ" になっておらず,“多重性"も破られた

 TMIの事故では,主給水系の停止にひきつづいて、この補助給水系が機能しなかった。保守点検後、3系統の補助給水系のバルブを開け忘れていたため,ポンプは回っても給水は行なわれなかった。」「バルブの開け忘れという人為的ミスによって「共倒れ故障」がおこり,その結果, 独立に3 系統設けたという“多重性”も、主給水系のバックアップであるという“多重の防壁"も崩れたことを意味している。」

 

(福島第1原発事故でも、複数あった非常用発電機が「共倒れ」している。「フール・プルーフ」の意味が原発では異なり、(原発・原子炉の設計は)馬鹿(フール)であることが証明(プルーフ)された、くらいの意味になっているものと思われる:田中一郎)

 

「しかし.より重大な問題は,主要な安全装置がこのように使用できない状態であっても,原子炉が運転できるということである。安全上重要な機器については,人為的ミスをしても危険な事態をまねかないようインターロックを設けるなど,いわゆる“フール・プルーフ"の設計になっていることが原則とされている。今回の事故は,二次冷却系の給水不能という事態に対し,二次系全体が“フール・プルーフ"になっていないことを明らかにした。これは,システム自体の本質的欠陥である。使用頻度の少ない機器の保守点検は、原子炉運転中であっても原子炉から切り離して実施しなければならない。補助給水系やECCSのようなパックアップ装置は,すベてこの宿命を負っている。」「従って,ECCSについても炉心に注水できない状態で事故を迎える事態は十分予想される。」

 

(これがまさに福島第1原発事故で起きたことではないのか。1号機や3号機のECCSに対する現場作業員の奇妙な対応の仕方が、それを裏付けているのではないのか:田中一郎)

 

「(b)圧力逃し弁に”フェイル・セーフ”はありえない

 加圧器逃し弁が自動的に閉まらず,開いたままになっていたことが,今回の事態を招いた主な要因との説がある。しかし,逃し弁を閉じて意味があるのは,蒸気発生器(SG)により一次系が冷却されている場合であって,今回のようにSGの機能が損なわれ,除熱ができない状態では,この説は全く見当違いである。」

 

「逃し弁は、一次系の過圧を防ぐという意味からは“開"が安全側であり,冷却材の喪失を防ぐという観点からは“閉"でなければならない。したがって,どちらの状態が安全側かは一概にいえず,本質的に“フェイル・セーフ"(故障、誤動作に対し安全側に働く)にはできない。」

 

(今や、原発や原子炉の安全性のレベルが地に落ちて、「フール・プルーフ」や「フェイル・セーフ」などといった言葉は死語になってしまった観がある。単純に「フール」(馬鹿)や「フェイル」(失敗)だけが残り、「原発は新規制で審査してもなお、安全とはいえない、危険である」などと、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が開き直る時代となった。まさに「末期症状」である:田中一郎)

 

「(C)加圧器水位計は,事故時原子炉の状態を示さない

 加圧器の水位は、一次系の水位を示すはずであった。ところが、急激な減圧過程では、一次系内に発生する水蒸気や水素などのガスにより系内の水位は下がっているにもかかわらず加圧器水位は上昇する場合があるということが,今回の事故で明らかになった。」「問題は、このような一次系水位の計測方法の欠陥が、今回の事故までわからなかったということである。」

 

「日本のPWRはTMIとは異なり,加圧器圧力低の信号だけでなく、この水位低の信号も出なければECCSが自動的に作動しない。したがって,この現象は日本の場合さらに重大で、TMI事故ではまがりなりにも作動したECCSが、日本のPWRでは作動しないのである。」

 

(原子炉の状態を確認するための計器類=圧力計、温度計、水位計などが、過酷事故時には正常に作動しないことは、今回の福島第1原発事故でも起きていることである。しかし、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、この原子炉の計測機器類の抜本的な総見直しをせず、従ってまた、計器類の正常作動のための新規制を創設しないままに、川内原発の再稼働に突入しようとしている。また、上記で書かれているECCSの構造的欠陥を含め、過酷事故時におけるECCSの作動とその有効性に関する抜本的な見直しや再検討も手抜きをしたままなのだ。おいおい、大丈夫なのかよ。そんなんで:田中一郎)

 

「(d)格納容器による放射性物質の閉じ込めは不可能である

 今回の事故で環境中への放射性物質の放出は. 第一に、蒸気発生器(SG)細管の破損により,第二に、格納容認サンプポンプによる汲み出しにより引きおこされたが、格納容器内水素ガスの除去のため,意織的な放出も行なわれた。 第一のSG細管破損による漏洩は特に重大である。」

 

「炉心のメルトダウンを避けるという至上命令の下では、SGによる一次系の熱除去を続けねばならず,したがって,一次系の隔離を断念し、大量の放射性物質の放出を許さねばならないという絶対的窮地に追い込まれるのである。」

 

(加圧水型の最大の弱点は、上記にあるところの「蒸気発生器(SG)」である。SGは熱交換の効率を上げるために、きわめて肉厚の薄い細管を大量に交叉させているため、地震の揺れに対してはもろくて弱い。大規模な破断が起きれば一次系や二次系の冷却水喪失につながり、ただちに過酷事故となってしまう他、上記のように、SGそのものからも、大量の放射能漏れが起こることとなってしまうのだ。しかし、このSGの欠陥がその後どのように克服されたのかは???である:田中一郎)

 

「(e)一次循環ポンプは,機能を喪失していた」

(この部分は、意味がよくわかりませんでした。本文をご覧ください。理解できる方は、ご説明して下さると助かります:田中一郎)

 

「(f)大量の水素による彫響は見過ごされていた

 大量に発生した水素ガスが圧力容部上部プレナムに巨大な泡となって溜まった。その結果、炉心上部を露出させ、あるいは冷却材の循環を損なうことによって、炉心冷却を阻害した。この現象はこれまで予想もされていなかったことである。また,この水素ガスは,放射線分解で発生した酸素によって爆発し、圧力容器を破壊する危険をはらんでいた。格納容器に漏れ出した水素ガスは,実際に小爆発をおこしたが,格納容器の健全性を根底から覆すおそれがあった。この水素爆発の危険性は,指摘されていたにもかかわらず. これまで無視されてきた。」

 

(上記のことは、川内原発を含めて、日本の全ての加圧水型原発に共通の大問題として、今でも放置されたままである。加圧水型は沸騰水型に比べて格納容器が大きいから水素爆発の心配はない、の一点張りで、沸騰水型では手当てされている(水素爆発防止のための)格納容器内への窒素ガスの充てんも、今なお、なされる様子はない。昨今では「イグナイター」(自動車の点火プラグのようなもの)を装着しておいて、水素ガスが格納容器内に出てきたら、人為的に火をつけて燃やせばいい、などという安直きわまる「対策」まで持ち出してきた。川内原発の格納容器内の水素爆発の危険性を解析した結果においても、水素が爆発的に燃える濃度まで高まる可能性があるにもかかわらず、それを楽観的に見て、対策にもならないような、危険きわまる愚策を用意しているのである。また、関連して付記しておかねばならないことは、加圧水型の原子炉は、格納容器が大きい分だけ、沸騰水型に比べて、耐圧性が低い=もろい弱い造りになっている、ということである。水素を早期に燃焼させて水素爆発を防ぐつもりだったのが、人為的にイグナイト(点火)したとたんに、小規模ないしは中規模の水素爆発となって、脆弱な格納容器を吹き飛ばしてしまう危険性は無視できないのだ。格納容器が破壊されれば、原子炉内の放射性物質が全て環境に出てしまい、「破局事態」となる:田中一郎)

 

(さらに申し上げれば、炉心溶融が起きた場合には、水素爆発以外に、水蒸気爆発や一酸化炭素爆発(溶融燃料とコンクリートとの反応であるコア・コンクリート反応によって一酸化炭素が大量発生する)の危険性もある。これらについても、川内原発の新規性審査はおざなりのままになっている:田中一郎)

 

<役に立たないことが実証されたECCS>

 略:本文をご覧ください

 

(なお、ECCSの機能については、沸騰水型原子炉である福島第1原発の事故の際の作動状況の分析を含めて、その有効性について、専門家による詳細な分析や実証がほしいところである。昨今の日本における原発の安全性をめぐる情勢下では、肝心の知りたい情報が(もちろん平易に解説された形で)、私のような一般市民には容易には入手しにくくなっているのも残念なことである:ひとえに若い世代の原子力工学学者達が「総御用化」しているためではないかと危惧する:田中一郎)

 

<過去の論争で指摘されていた危険性>

 略:本文をご覧ください

 

<以上の論点を整理して次のようにまとめることができる>

「(1)安全委員会によって“絶対"おこらないと規定されている種類の事故が現実におこったこと、したがって、当然のことながら“絶対"おこるはずのない事故に対処できるような安全装置もつけられておらず、ECCSも所期の機能を果たすはずもない。」

 

(2)従来のECCSの安全解析には致命的な欠陥があること、ミニチュアサイズの模擬装置よる実験と計算機だけを頼りに安全評価するという、不当な態度を安全委員会がとっていたわけで,これの誤りが事実で証明された。」

 

(3)多重性による安全神話は崩壊したこと

 

(4)フェイル・セーフ、フール・プルーフなどの機能を本質的にもちえない機器が、安全上重要な個所に含まれていること

 

(5)人為ミスは本質的になくせないこと」

 

「これらの総括から直ちに引き出される重要な結論の一つは,アメリカも含めて、わが国の安全審査に一貫してみられる安易な安全思想を根本的に見直さなければならないということであろう。現在(4月24日)すべてのPWRは停止されているが、BWRはいぜんとして通常逆転を続けており,安全委員会も停める意思はないように見受けられる。BWRも従来の安易な安全思想に基づく審査しか受けていないことを思えば,新たな安全審査の体制が確立するまで停止するのが物事の順序というものである。」

 

「米国のNRCは412日、11項目にわたる運転操業に関する改善命令を出した。これにはもっともらしい注意書きが並んでいるが、つまるところオペレーターに対して注意力を喚起せよということである。今回の事故で明らかになったシステム自体のもつ欠陥にメスを入れることもなく,特にECCSに対する根本的再検討を加えることもしないで、事故再発の防止を期待することは到底できない。」

 

(失敗を真摯に振り返らず、また再び同じことを繰り返すものには、過去に起きた以上の悲惨な巨大過酷事故が待ち受けているだろう。川内原発を皮切りに、どの電力会社も横並び意識で原発再稼働に走り、原子力ムラ代理店政府がそれを追認していくという、信じがたい事態が始まろうとしている。今一度、上記で申し上げたスリーマイル島原発事故を振り返り、加圧水型原子炉の構造的欠陥というべきものをあぶり出し、原子炉の設計レベルにまで遡って原発の安全対策を考え直さなければならないことは自明ではないか。日本政府や電力業界は、かくも愚かな人間たちの集まりだったのか:田中一郎)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

2014年8月13日 (水)

原発輸出の「事業(ビジネス)」としての出鱈目三昧=利益は我らに、損害・賠償・後始末などのリスクや不利益は国へツケ回し

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 まず最初に、下記の3つをよろしくご覧下さい。署名がまだの方は、どうぞご協力をお願い申し上げます。

 

(1)Avaaz - 川内原発再稼働を阻止するためには残りわずか数日

 https://secure.avaaz.org/jp/no_sendai_restart_rb_np/?bBbgZcb&v=43754

 

(2) リニア中央新幹線がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! - YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=u-cLZ2m6324&feature=youtu.be

 

(必ず失敗するドアホ新幹線=リニア―が的確・簡潔・わかりやすく説明されています。必見です。10分くらいでリニアを理解できます)

 

(3)朝日新聞「プロメテウスの罠:函館の訴え」 http://digital.asahi.com/article_search/s_list3.html?keyword=%A1%D2%A5%D7%A5%ED%A5%E1%A5%C6%A5%A6%A5%B9%A4%CE%E6%AB%A1%D3%20OR%20%A1%CA%A5%D7%A5%ED%A5%E1%A5%C6%A5%A6%A5%B9%A4%CE%E6%AB%A1%CB&s_title=%A5%D7%A5%ED%A5%E1%A5%C6%A5%A6%A5%B9%A4%CE%E6%AB%B0%EC%CD%F7&rel=1

 

(函館市の大間原発建設差止訴訟をめぐる動きが詳細に報道されています。必読です。なお、ネット上では全文が見れないかもしれませんので、朝日新聞そのものをご覧下さい)

 

(ここから本文)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 別添PDFファイルは、原子力資料情報室が毎月発行している「原子力資料情報室通信」に掲載された、プラント技術者の会の川井康郎氏執筆の小論文である。トルコ向けの原発輸出を「事業」として「ビジネス」として見た場合にどんな問題があるか、通常の輸出ビジネスとは違って、どのように歪んでいるのかがコンパクトに的を得て記述されている。以下、簡単なコメントを付してご紹介したい。

 

 <別添PDFファイル>

● プラントビジネスの視点からみるトルコへの原発輸出計画(川井康郎:プラン卜技術者の会 『原子力資料情報室通信 NO.482 2041.8.1)』)

 

 <プラント技術者の会 HP>

 https://sites.google.com/site/pltengnrs/

 

 これまで、MHI(三菱重工業)や日立、東芝などの国内原子炉メーカーの原発輸出は個別機器類の輸出に留まり、メーカーとしての責任範囲は有限だった。原発の過酷事故等による損害賠償や第三者への補償責任なども原則として免除されていた。つまり、原発プラントについては、設備全体の一括引き渡し契約(ターンキイ契約)の経験もなく、もちろん、廃棄物処理や原発そのものの運営・管理の請負などの事業経験もない。

 

 その、いわば事業体として未熟なままの日本の原発企業群が、国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)を通じて日本政府から全面的なバックアップを受け、海外に向けては経済産業省が取りまとめ役となって、総理大臣自らがセールスマンにまでなったうえで、原発の海外輸出が展開されるのである。そして、その内実が、実は民間の企業群が行う「事業」「ビジネス」としては、驚くほどのモラル・ハザードと「親方日の丸」型の展開となっている。簡単にいえば、原発に伴う巨大なリスク=特に過酷事故リスクに伴う損失は、その多くを日本政府に帰属させたうえで、事業としての、ビジネスとしての利益やうま味は、すべてこれらの原発輸出企業群が独占してしまう、そんな「仕掛け」が創られてしまっているのだ。

 

 それだけではない。少し前に新聞で問題となったように、かつては輸出される原発の機器類に関しては原子力安全保安院が検査・チェックをした上で、初めて政府の貿易金融や貿易保険の利用が可能であった。しかし、原子力安全保安院が解体され、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が発足して以降は、この輸出原発の安全性にかかる審査・検査を原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が拒否しているため、まったくノーチェックのまま、原発が輸出されかねない事態となっているのである。このことは、上記の川井氏の小論文にも言及があり、さらに川井氏は、これが国際的に見てどうなのかも、OECD規則やドイツの例を引き合いに出して、その異常さを明治されている。

 

 また、驚くべきか、使用済み核燃料の管理協力の約束や、将来的にはウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理も可能にする条項が日本・トルコの原子力協定に存在していることも大問題である。核不拡散の大原則に違反してまで、日本の政府は何を馬鹿なことをしているのだろうか。(ちなみに、アラブ首長国連邦との原子力協定では、ウラン濃縮や再処理の技術や設備の移転はしない、と明記されているという)

 

 日本の大企業の歴史的伝統は、明治政府以来、常に政府に特権的にへばりついて、その政府と様々な形で癒着しながら、事実上、政府の資産・財産をかすめ取るような形で財を形成し、資本を蓄積してきた点にある。それがまた、様々な形で政治家や高級官僚たちの汚職・収賄などを生み出し、見るも無残な利権政治による私利私欲の産業振興が行われてきた歴史的経緯がある。それは戦後の高度成長を経ても、あまり変わるところはないようだ。そして、その最もグロテスクな現れ方をしているのが、この原子力産業=特に原発輸出ビジネスであると言って過言ではない。

 

 自国において大事故を引き起こし、多くの人々を悲しみと苦しみのどん底に叩き込む事態を引き起こしておきながら、しかも、その事故責任の追及も、事故の後始末も、被害者の救済さえも、ほとんどまともになされていないにもかかわらず、その原発を海外へ売って行く=特に原発について、知識もノウハウも管理能力もない途上国へ輸出・販売していくなど、許される事業=ビジネスではないだろう。リスクは政府に担いでもらい、自分達は利益やうま味だけを貪って、それで平気で知らん顔をしている、こうした原発輸出は、ただちに中止させなければならないはずである(何よりも、トルコでの原発立地予定地であるシノップ市の住民が建設に猛反対をしている)。日本の良識が問われている。

 

● 日本の原発輸出に反対するトルコの市民たち 「日本の原発が私たちの未来を盗む」―トルコ市民へのインタヴュー(川崎陽子:ジャーナリスト) Finance GreenWatch

 http://financegreenwatch.org/jp/?p=43573

 

● トルコへの原発輸出を問う  ヒューライツ大阪(財団法人アジア・太平洋人権情報センター)

http://www.hurights.or.jp/archives/newsletter/sectiion3/2014/01/post-231.html

 

(以下、論文の部分抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「最大の問題は、フクシマで発生したような過酷事故の場合の損害賠償と事故処理額の負担スキームが定まっていないことである。一義的には当然、事業会社が負担することになるが、その可能支払額は東電の例をみるまでもなく限界がある。NEXI保険はあくまでも投融資リスクに係るものであり、損害賠償は対象とならない。その場合、日本政府は梯子を外して、全てをトルコ政府に押し付けることになるのか? あるいは、「相応の」金銭的責任を負うことになるのであろうか? その場合は、国税が使われることになるが、日本政府はそのリスクをどのように見積もっているのだろうか? 日本とトルコの国民には何も知らされていない。」

 

「例え過酷事故が起こらなくとも、何らかの理由により事業が破綻した場合は、JBICによる融資の焦げ付き、あるいはNEXI保険の支払いといった状況になる。いずれも国税と国債をリソースとした日本国民の財産流出である。」

 

「現状では、JBICの融資ガイドラインには原子力国有の規定(核拡散、事故時対応、放射性廃棄物問題、等々について)がなく、何ら足初日のないまま公的融資が実行される可能性がある」

 

「一方、原発という事業の特殊性により、OECD規則ではODA(円借款)適用の禁止、世銀やアジア銀行では融資対象外となっている。また、ドイツ政府は2014612日に、原子力輸出に係る公的信用の廃止を決定している。」

 

「厳格なガイドラインの設定とともに、案件のリスク評価、損害賠償や住民避難を含めた事故対策評価、環境評価、相手国内における合意形成評価等々といった公的金融機関としての責任と評価結果の透明性が求められる。」

 

「こうして、トルコへの輸出案件は設備の一括引渡し契約ではなく事業契約となったわけだが、当事者にはそれぞれ異なる思惑がある。(中略)多くのリスクとトルコならびに日本の国民による合意を置き去りにしたままでの同床異夢がいつまで続くのであろうか。」

 

「もうひとつ、再処理と使用済み燃料の行方に関する問題を採り上げたい。原子力協定書によると、第23項に「ウランの濃縮、使用済み核燃料の再処理、プルトニウムの転換のための技術および設備は、これらを移転することを可能にするような(本協定書の)改正が行われた場合に限り(日本からトルコに)移転することが出来る」、また、第8条には、「両国政府が書面により合意する場合に限り、トルコ共和国の管轄内において、濃縮し、又は再処理することが出来る」と記載されている。」

 

「トルコとの原子力協定には、使用済み核燃料の管理が協力の対象分野のひとつとなっているが(22)、具体的な記載はない。日本国内でさえ、核燃サイクルの破綻とともに最終処分計画が暗礁に乗り上げ、使用済み核燃料が溜まる一方の現状で、それらの処理計画については事業会社として、また融資・保険付保を行う日本政府として、トルコならびに日本国民に対して明確にする責任がある。」

 

「原発輸出により、事故リスクはトルコ国民に、財務リスクのかなりの部分が臼本国民に押し付けられる。さらに、官民一体の推進体制は、原子力ムラに代表される悪しき利権ならびに癒着構造を国際規模で増長させ、企業が本来持つ健全な競争環境を阻害し、企業倫理の類廃を招く。」

 

「フクシマ事故はビジネス視点を含めて、さまざまの角度から原子力政策を見直す契機とするべきであり、そのことを世界に発信することこそが私たちの国際的責任であると考える。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

2014年8月11日 (月)

偽りの「復興」は、もういい加減にしてくれ(1):汚染森林で林業をしたら被ばくする、林産物は汚染している

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、729日に福島民報に掲載されました「林業復興へ知恵結集、県森林組合連・林農林水産相意見交換会」という特集記事です。最初の記事要約の部分には、「本県の林業や木材産業の厳しい現況を説明し、国に対して復興へのさらなる支援を訴えた」とあります。

 

 <別添PDFファイル>

● 林業復興へ知恵結集(福島民報 2014 7 29

 



しかし、私はこの記事を読み進むにつれて、この人達、何してるの? という根本的な疑問がこみ上げてくるのを押さえることができませんでした。ここに論じられている福島県の山林・森林こそは、福島第1原発事故によって深刻なまでに放射能(放射性セシウム以外の各種放射性物質を含む)に汚染されたのではなかったのでしょうか。なのに、ここに登場する人達の、この放射能汚染・被ばくの危険性に対する意識や認識はどうなっているのでしょうか。

 

また、この意見交換会には、いわゆる「川下」の製材業者や木材流通業者、あるいは木材住宅産業や家具産業など、木材ユーザーの方々は参加していませんし、林業界に限っても、福島県以外の都県はどうなっているのでしょうか。更には、林産物を使う最終ユーザー=消費者の姿は影も形もないのです。放射能は県境で止まっていたわけではありませんし、およそ木材産業を含むあらゆる産業は、産業のためにあるのではなく、消費者のためにあるのです。全くおかしな話だと思わざるを得ません。北は岩手県に始まり、秋田県や山形県の南部、新潟県東部、宮城県、栃木県北部。群馬県全域、茨城県全域、千葉県北東部を中心に全域、埼玉県秩父地方、東京都奥多摩地方、長野県北東部・東部、山梨県の一部山地地帯などなど、放射能汚染に見舞われた森林地帯は広域に広がっているのです。福島県だけで森林・林業の放射能汚染を論じるのはやめてくれ、と申し上げざるを得ません。

 

放射能に汚染された山林・森林で林業をすれば、真っ先に林業労働者が作業被曝します。しかも、その被ばくは、福島第1原発事故の現場並みの高濃度汚染による深刻な被ばくを長時間にわたって受けてしまう可能性があります。特に、外部被曝よりも、呼吸による内部被曝が深刻です。しかし、林業労働者の中では、最も恵まれていると思われている国有林内の林業労働者でさえ、その被ばく労働における防護対策はおざなりであり、いい加減なものにすぎません。被ばくさせられる者の立場からは微塵も適正な放射線防護対策が取られていないのです。まして、民間・一般の素材生産業者等で働く林業労働者は、このような汚染森林で作業を続ければ、やがて深刻な健康障害をもたらす被ばくに晒されてしまうことになるでしょう。これはもはや「未必の故意」による障害未遂行為・殺人未遂行為と言わざるを得ません。

 

しかし、ことの問題は林業労働だけではありません。下記のような、いくつかの放射能汚染・被ばくに関連した弊害・被害を生みだし、後々厄介なことになりかねないのです。目先、放射能や放射線が人間の五感で感じられないからと、軽率に、安易に、被ばくの危険性を軽視してはならないことは言うまでもありません。その点で、この新聞記事に登場している無責任人間達の発言は、看過できないものがあります。何が風評被害か、馬鹿も休み休み言え、と言わざるを得ません。

 

(1)林業で搬出される林産物=素材丸太が放射能で汚染されている可能性が高い。福島第1原発事故から3年半近くが経過しましたので、これまでのように、立木の外側樹皮に放射能がへばりついているだけでなく、根から放射能が吸い上げられて立木全体=従って、産出される素材丸太全体が放射能で汚染されてしまっている可能性があります。しかし、福島県を含む放射能汚染地帯の林業では、この木材産品・製材品や木材チップを含む木材製品に対する放射能汚染検査がいい加減で、民間業者に丸投げで、かつ、木材の放射能汚染値に対する規制も取り締まりも、まるで実施されていないのです。つまり、東日本一帯の放射能汚染地帯から、放射能に汚染された木材や木材製品・チップなどが大量に日本国中に出回っているとみておいていいでしょう。簡単に言えば、放射能汚染を無視して、(愚かな人達による)やりたい放題となっているのです。全く冗談ではありません。

 

(2)申し上げるまでもなく、山林より伐り出される国産材の最大のユーザーは住宅産業です、そして、その新築住宅に放射能で汚染された木材が大量に使われてしまえば、どうなるでしょうか。少し考えれば、誰にでもわかることです。その汚染木材住宅に住み続ける人は、毎日毎日、寝ても覚めても、明けても暮れても、日々、その木材含有の放射能によって被ばく(外部被曝+内部被曝(呼吸))させられます。しかも、おそらくは、知らないままに被ばくさせられるのです。家具や食器などの木材製品も同じです。

 

(3)しかし、林産物は製材品や木材製品だけではありません。いわゆる特用林産物と言われる、キノコ・山菜・その他の山の幸(例えば、杉の葉っぱからつくられる線香、料理に使われる木の葉っぱなどの「ツマ」)がありますが、これらは木材製品以上に放射能に汚染されていると言って過言ではないと思います。それが、実にいい加減な放射能検査によって市場に出回っています。危なくてしょうがない。子どもたちが口の中にでも入れたら大変です。しかし、キノコ・山菜を含めて、いわゆる商売として売られているものについては、意識的に放射能検査が避けられている気配まで感じます。まるで、馬鹿ではないか、と思われてなりません。

 

(4)森林・林業や木材の汚染について、もう一つ申し上げておかなければいけないのが、バイオマス利用(熱利用、発電利用、その他)です。これも木材製品や特用林産物と同様に危険で、かつ放射能を環境中にばら撒く働きをして、いわゆる放射能の二次汚染をもたらしかねないものです。先進的な焼却機械を使えば、放射性セシウムは閉じ込められるなどと言われますが、真偽のほどが怪しいことに加え、すべてのバイオマス施設がこの最新式の先端装置を使うとは限らず、旧態依然の旧式ゴミ焼却炉のようなバイオマス施設に平気で放射能汚染物を投げ入れては、環境保護のためのバイオマス、などと言って「ひとり芝居」をしていることが多々あると思われます。馬鹿丸出しです。森林・林業が放射能で汚染された地域でのバイオマス利用など、絶対にしてはならないことです。環境に放射能をばらまいて、二次災害を生むのが関の山です。放射能汚染地帯の森林・山林は、原則として入山禁止であり、全産業の稼働をストップさせるのが原則です。チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国は、紆余曲折の末、森林の除染などという無謀で無駄なことはあきらめて、そのようにすることにしています。

 

(5)放射能汚染地帯で林業・木材産業・バイオマス・特用林産など、愚かなことは一切やめて、この福島第1原発事故による放射能汚染で被害を受ける方々に万全の賠償・補償をすることが肝要です。そして、数十年から数百年の時を経て、低線量となった森林に再び、除染や放射線防護をしっかりとしながら臨んで行けばいいのです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

上記のような事態の全ての責任は、日本政府及び林野庁・農林水産省にあります。いったい何をやっているのか、ということです。このままでは、汚染木材を通じて、あるいは汚染特用林産物を通じて、二次被害とも言うべき放射線被曝被害が出てくることになるでしょう。私たちは、国産の木材についても、これからは放射能汚染を用心しなければならない時代になってしまったのです。本来、行政が放射能汚染の可能性のある地域での林業・木材産業の活動を停止して、万全の賠償・補償をしておれば、かようなことにはならなかったでしょう。腹立たしい限りです。(木造住宅を新築したり購入される場合には、使われている木材の産地がどこのものかを確認いたしましょう。また、必ず線量計を持参し、部屋を密封した状態での線量を測る癖をつけておきましょう。油断をすると、少し前に放射能で汚染された砕石を使用して高線量となってしまった二本松市のマンションのような事態になってしまいます)

 

 <この記事で目を通しておくべき個所は2か所あります>

 一つは、新聞紙面右側の棒グラフで、森林の整備面積と新規(林業)就業者の推移のグラフが掲載されています。それを見ますと、福島第1原発事故発生以降、いずれもその面積、その人数が減少しているのです、この記事に登場している人士たちは、これを嘆かわしいことのように認識しているようですが、事態は逆で、これは望ましい、喜ばしいことと考えていいと思います。放射能で汚染した森林は、さしあたり触るな、入山するな、整備するな、というのが正解であり、また、若い世代を中心に放射能汚染地帯での林業に従事などしてはいけないのです。無用の被ばくは避けなければいけません。

 

 もう一つは、紙面の左下、秋元公夫双葉地方森林組合長の次の発言です。「先日、山林の財物補償の基準が示されたが、われわれが考えている額の半分ほどで、開きがある。土地を含めた賠償の基準を早急に関係省庁と協議して示すべきだ」。この発言は極めて控え目で、実際はこんなものではない、つまり、話にならないほど賠償基準が不当に低額であるということだと思われます。この立木・山林の賠償基準に関しては、少し前に私のメールでご紹介しておりますので、それをご参照いただけると幸いです。それにしても、被害者の方々に、きちんと賠償・補償をしないでいて、何が復興だ、何が再生だ、と思われませんか。この意見交換会に出てきた自民党の林芳正農林水産相などは、どのツラ下げて発言していたのでしょうか。こういう不作為の厚顔=加害者意識ゼロの無責任言動に対しては鉄槌が振り下ろされるべきです。

 

(例外として、汚染森林で作業する場合があるとすると、それは最低限の治山工事=災害防止・災害復旧の場合などです。この場合には、厳重な放射線被曝防護が必要なことは言うまでもありません。被ばく防護のために森林内での作業用の車両を特別に開発するとか、一定の服装や装備などを法律で義務化するなど、厳重な対策・対応をしてのち、限定的に認めてもいいものです。この意見交換会にあるように、野放図に、丸裸で、放射能汚染森林の中で働かせるなど、論外です)

早々

 

2014年8月 4日 (月)

絵空事の福島第1原発廃炉=作業員を「古雑巾」扱いする東京電力=政府・自民党と、危険極まりない「格納容器冠水」による溶融燃料取り出し

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイル2つは、いずれも福島第1原発の現況についてのレポートです。東京電力=政府・自民党が進めている福島第1原発の廃炉及び安全対策が、いかにずさんで出鱈目極まりないかが、こうしたレポートを見ることでよくわかります。(1)は、あまりにひどい福島第1原発の現場作業員の処遇や労働実態についてのこと、(2)は、無謀なまでに楽観的で危険な格納容器冠水方式による溶融核燃料取出しについて「危ないからやめろ」と警告するものです。

 

 <別添PDFファイル>

(1)ルポ・イチエフ 作業員がいなくなる(布施祐仁 『世界 2014.8』)

(2)格納容器冠水計画の危険性(筒井哲郎 『科学 2014.8』)

 

1.ルポ・イチエフ 作業員がいなくなる(布施祐仁 『世界 2014.8』)

 1つめの「ルポ・イチエフ 作業員がいなくなる」は、福島第1原発事故後3年半が経過して、この間、あれだけ社会的に厳しく批判されて、そういうことをしていてはだめなのだ、と言われても、依然として、そうした批判やアドバイスに馬耳東風で、旧態依然の劣悪労務管理で福島第1原発の現場が取り仕切られている実態がレポートされています。多重下請け、賃金ピンはね、労働契約非提示・契約違反、偽装請け負い、労働安全管理劣悪・手抜き、労災適用困難などは日常茶飯のようです。おそらくは作業員手配師などとして暴力団なども入り込んでいるに違いありません。

 

 東京電力は事実上、政府所有の国有会社も同然ですので、これは東京電力の責任というよりも、所管庁の経済産業省をはじめ、自民党政権・霞が関政府が「これで構わない」としていることの結果であると見ておく方が妥当と言えるでしょう。

 

 この小論文に書かれているように、かようなことをしていたら、まもなく福島第1原発の現場から作業員はいなくなってしまいます。この間、汚染水漏れや初歩的な作業ミスが度重なり、その作業のミスが更に作業を増やし、更にミスが増えるという悪循環が、とめどもなく続いているのも無理はないのではないかと思われます。ここに書かれていることは、もはや劣悪労務管理というよりは、労働法違反をはじめとするれっきとした犯罪行為であり、関係責任者を厳罰に処する覚悟で抜本改善に早期に取り組まないと、早晩大事故へとつながって行くように思われます。

 

 そもそも、次にいつ襲ってくるかもしれない大地震・大津波に対して、何の備えもないまま、自分達の労務管理さえロクすっぽできずに、愚かなミスや失敗・失態を繰り返している東京電力、その東京電力が、事実上、経営が破たんしていることを棚に上げて、今年度第一四半期の経常収支は黒字だった、経営の一層の安定化のためにも柏崎刈羽原発の再稼働の早期実現を目指したい、などと胸を張っているのですからあきれるばかりです。しかし、そのあきれる行為によって、福島第1原発の事故後対策が妙な形で経費節減され、労務費が削られ、手抜き劣悪資材が使われて事故やトラブルが多発している実態があるわけですから、看過するわけにはいかないでしょう。その典型が汚染水対策です。

 

 そして、こうしたこと一切は、事故の後にきちんとした体制や人員配置を用意しないまま、ゾンビ企業=東京電力を政治的に生きながらえさせ、過去に対しても将来に向かっても責任の所在を明らかにしないで、だらだらと場当たり対応やアリバイ行為を続けてきた政府の政策・方針の結果であると言っていいと思われます。

 

 当事者能力のない無能の固まりの東京電力を一刻も早く解体し、作業員の労務管理の抜本改善からきちんとしないと、もう福島第1原発はどうしようもなくなってしまいます。また、福島県のみなさまも、国や県や自治体などの、甘い見通しと嘘八百の大宣伝に乗せられて、浜通りや中通りの放射能汚染地域が復興できる、帰還してその復興に携わりたい、などとは思われない方が無難です。恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)が危険であることは申し上げるまでもありませんが、加えて、いつ何時、再び福島第1原発が火を吹いて、第二弾の原発災害をあたり一面にばら撒くかも知れません。何故なら、放射能の漏出が止められないまま、日々、愚かで低レベルの失敗ばかりを繰り返しているからであり、また、大地震・大津波の第2弾は近い将来に十分にありうるからです(例えば、使用済み核燃料は未だに危険な水のプールに入れられたままです)。被災した住宅が住めないからと言って、再び、福島県内の浜通り・仲通りに新しい住宅を建設することは、再度、同じ災難に見舞われる可能性があります。お勧めできません。

 

<一部抜粋:チェルノブイリ原発事故後のベラルーシではどうしているか>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「一九八六年のチェルノブイリ原発事故で収束作業に従事した労働者に対しては、「チェルノブイリ法」で包括的な補償制度がつくられている。労働者ががんや白血病、悪性リンパ腫などを発症した場合は、被曝量に関係なく補償される。その他の病気についても、国側が因果関係を明確に否定できる証拠がない限り補償される。被曝というリスクを負って事故収束のために働いた労働者に、放射線起因性の立証という困難を背負わせてはならない。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(日本では、現場作業員は、まるで「古雑巾」扱いの使い捨て状態が続いている。ベラルーシとは雲泥の差がある。経済的には日本と比べて厳しく貧しい国のベラルーシがここまでやっているのに、日本は何をしているのか。捨てるべきは、現場作業員ではなくて、東京電力の無能で無責任な経営者・幹部どもだ。そして、こうしたことの全ての責任は、事故発生時の民主党政権と、その後を継いだ自民党政権にあることを強調しておきたい)

 

2.格納容器冠水計画の危険性(筒井哲郎 『科学 2014.8』)

 この論文は「プラント技術者の会」の筒井哲郎氏が危機意識を強くして書かれた注目すべき小論文です。およそ東日本大震災でダメージを受け、さらに水素爆発と炉心溶融までおまけがついている原子炉を廃炉にするのに、格納容器の健在を前提に、その格納容器を冠水させて(格納容器をバケツ扱いして、水を目いっぱい入れて)、その水の中で溶融核燃料を取り出す作業をするという考え方が、いかに楽観的で、幼稚なまでに危ういかを説明されています。(おバカなマスコミ報道が、この楽観論を日本社会に蔓延させています。海外からは冷ややかな目で見られているというのにです)

 

 詳しい計算など見せてもらわなくても、そりゃ、危ないで、ということは、素人の私にでもわかります、筒井氏は、同じく東日本大震災の際に爆発・炎上した、東京湾・千葉にあったコスモ石油の石油タンクの事例を挙げながら、この事故原子炉・格納容器の冠水計画が、いかに危険なものかを説いています。

 

 単純に石棺にして閉じ込める方がいい、そして、そのためには、早く水をぶっかけて冷やすことをやめて、他の方法を考えないといけません。溶融核燃料など、取り出すことはできません。この事故原発の半径数十kmの住民の方々には、帰還をあきらめていただく他ないでしょう。いつ、おかしなことになるかわからない事故原発の横で、平穏で安全な生活などありえません。もしもの時には、再び命の危険にさらされます。

 

 そして、そのためには、今の政府・自民党や福島県がやっていることとは真逆のことをしていかなくてはいけないのです。福島第1原発周辺に無理に居住して、被ばくし続けることは、考えものです。放射能の自然減衰を長期間待って、かつ、福島第1原発の溶融炉心の熱が冷めきって、しかるのちに復興が始まると考えた方がいいと思います。放射能はそれまでの間、しっかりと閉じ込めるのです。

早々

 

 

2014年8月 3日 (日)

メガ・ソーラーについて思うこと

前略,田中一郎です。

 

下記は、ある方からいただいた「メガ・ソーラー」に関するご意見のメールについて、私が賛同して意見申し上げたものです。一部修正してありますが、概ね、議論の主旨は変わりません。ご参考までにお送り申しあげます。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

メガ・ソーラー発電は、巨大ダムによる水力発電のようなもので、自然再生可能エネルギーと言えるかどうか、怪しい限りです。送配電に関する問題もあり、本来あるべき自然再生可能エネルギーをクラウディングアウトする可能性もあります。

 

私の考える太陽光のエネルギー利用は、熱と電気の併給で(太陽光発電+太陽熱発電+太陽熱利用)、かつ、個々の住宅や事務所の屋根を利用するなど、地域分散型で、小型で、自給自足型で、コンパクトなものです。今進められようとしているメガ・ソーラーの多くは、そうした地域分散型の環境と調和的なエネルギー利用の対極にあるように思われます。はっきり言って、だめです。農地をつぶしてメガ・ソーラーを入れるなどは本末転倒です。耕作放棄地は、メガ・ソーラーを入れるのではなく、本来の農地に戻すべきです。食料自給率を40%のママにしておいて(有機農産物の自給率をわずか数%にしておいて)、何がメガ・ソーラーでしょうか。農業の担い手がいなくなるような社会に、自然再生可能エネルギーが本当の意味で定着すると思いますか?

 

なぜ、こうしたことになるのか。私は、それは、エネルギー問題を供給サイドからしか考えず、エネルギーの消費構造、言い換えれば、新しい社会のあり方とエネルギー問題とをセットで考えていないからだと思っています。

 

その不十分な考え方の一つの事例が、残念だけれども、原子力市民委員会が今般の報告書で書いたエネルギー政策論ではないかと思うのです。(私からは中間報告の段階で意見申し上げましたが、反映されなかったようです)

 

自然再生可能エネルギーが中心となっていく社会を確たるものにするためには、中央集権型の社会構造、重厚長大・公共土建事業、原子力、会社(ビジネス)と私生活のあり方、大量生産大量消費の否定=経済成長至上主義との決別=市場原理主義の廃棄=TPP他国際市場原理主義からの脱却、農林水産業の復権・復興・再生、自然環境保護のあり方、持続可能性の確保などなど、たくさんのことがらがセットで転換されていかなければなりません。

 

エネルギーの消費構造や、ビジネス社会・ライフスタイルを今のままにしておいて、エネルギー供給だけを自然再生可能エネルギーに変えようとするから、メガ・ソーラーのようなものが出てくるのでしょう。

 

これは、低周波公害と景観破壊をもたらす風力発電も同様です。日本には、風力発電の設置場所は、それほど多くないというのが私の認識です。バイオマスに至っては、放射能に汚染されたものを燃やして汚染をまきちらしながら、福島復興だ・地域振興だ、などと言っていますから論外です。

 

バイオマスの普及・拡大は農林水産業の振興・再生と表裏一体であることを忘れてはなりません。地産地消が基本となって、地域が循環型で維持され、持続していく中でのバイオマス利用です(これも熱と電気の併給)。放射能汚染物が入り込む余地はありません。放射能は利用するのではなく、閉じ込めるのです。(福島第1原発事故による森林と木材の放射能汚染は深刻であり、かつ多くのことがいい加減にされて、かつ隠されています。要注意です)

 

そして、大切なことは、上記の中でも、日本社会を変えて行く決定的に重要な点は

(1)ビジネスのあり方=会社や産業のあり方を、今の状態から時間をかけて徐々に徐々に、かつ抜本的に変えることです。いわゆる個々人のライフスタイルの転換は、このビジネススタイルの転換により、後からついてきます(転換する条件ができてきます)。時間がかかりますから、中長期的なビジョンと計画を持って、ゆっくりと、しかし確実に進んで行く必要があります。一番ダメなのは、消費者に向かってエネルギー消費をがまんしろ、というパターンで、不勉強のチンピラ右翼がよくマイクで怒鳴っているパターン(石原慎太郎なども)です。「私は無能です」と自ら言っているようなものです。

 

(2)上記(1)を早期にできるかどうかが、21世紀の日本の真の意味での豊かさを決めて行きますから、政治や行政がこれをリードしていけるかどうかがカギになります(言い換えれば、今のまま進んで行って、日本の残された環境や資源がボロボロになってからでは遅いのです。特に、原発過酷事故を再度起こしてしまったら、もう日本はおしまいです。取り返しがつきません)。これを成功させるためには、旧態依然の日本の政治や政権を根本的に変えなければいけないのです。観客民主主義では、日本の自然再生可能エネルギーの定着は大きく遅れ、たとえばメガ・ソーラーや、低周波公害の風力発電などが、ところかまわず設置されて、おかしなことになっていくであろうと推定されます。

 

自然再生可能エネルギーは、可能性を持った未来のエネルギーですが、その導入・普及の仕方や、消費の仕方については、熟慮された総合的な「戦略」や「政策」が必要なのです。

早々

 

2014年8月 2日 (土)

脱原発脱被曝バック・ナンバー(4)(2014年6月~2014年7月)

<「いちろうちゃんのブログ」>

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/

(バック・ナンバーは画面の右下にあります:直近もの+月別)

(これまで皆さまにお配りしたレポートなどのバック・ナンバーです)


1.いい加減な原子力工学評論に惑わされてはならない:何故、福島第1原発事故の原因を当事者能力の問題に矮小化するのか  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1-23d8.html

 

2.個人線量計で被ばく管理をするなど、とんでもないご都合主義であり、また、被害者をモルモットにする悪意の人権侵害行為である  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-147a.html

 

3.甲状腺疾患についての2つの新聞記事  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/2-67e8.html

 

4.加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている(1)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/1-b12a.html

 

5.加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている(2)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1-edbf.html

 

6.加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている (3):原発過酷事故を起こしても「免責」だと、冗談ではない!!   いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1-37ef.html

 

7.加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている (4):見えてきたカラクリ  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1-0379.html

 

8.鹿児島川内 「核」 時限爆弾がセットされる!!:川内原発を再稼働してはいけないこれだけの理由(原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は解散せよ)  いちろうちゃんのブログ  

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-454b.html

 

9.加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている (5):加害者側で勝手に決めるな!  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1-04cc.html

 

10.川内原発の再稼働を許すな(1):(報告)川内原発審査・重大事故対策で政府交渉 728日 (原子力規制を監視する市民の会)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-cc7b.html

 

11.川内原発の再稼働を許すな(2):(報告)川内原発火山審査で政府交渉 729日 (原子力規制を監視する市民の会) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-cc7b-1.html

 

12.(報告)「子ども・検診」 スタートに向けて (記念公開シンポジウム) (パルシステム主催 2014.7.19)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/2014719-c92b.html

 

13.除染という「やるやる詐欺」(続報) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-07cc.html

 

 

(その他)

●(輸入食品に走るのは危ない)(報告)「遺伝子組換え」を「遺伝子組換えでない」とウソをついて安全審査をしない「遺伝子組換(GM)食品添加物」に関する情報  いちろうちゃんのブログ 

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-3e2a.html

 

●国の情報はひた隠し、他方で個人情報丸裸、おまけに個人情報をハイエナ業者に開放して「営業の自由」を個人情報保護に優先(1)(ベネッセ事件から)   

いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-6d58.html

 

●(再論)市場原理主義とはどういうものか  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-e3dd.html

 

●戦後最悪の政権=安倍晋三自公政権の悪政の数々(4):TPPの次はTiSA(新サービス貿易協定)=押し寄せる国際市場原理主義と日本の医療を取り巻く外患・内憂  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-e700.html

 

2014年8月 1日 (金)

除染という「やるやる詐欺」(続報)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした:下記URLを参照いただき、残りは図書館ないしは書店でお求めください)

 

別添PDFファイルは、昨今の除染に関する報道を少しばかり集めたものです。できもしない「除染」が、さもできるかのように装われ、猛烈な放射能汚染地帯に住民を縛り付け、あるいは帰還させる「体裁のいい口実」に使われています。しかし、その内実は、一方で、ずさんきわまる作業に終始して線量を下げられず、いたずらに地元作業員を被ばくさせ、あるいは、汚染ゴミを山のように積み上げて、かえって自然災害に脆弱な事態をまねき、他方では、所管官庁を中心に原発ゼネコンともども「復興事業としての除染」に白アリのごとくタカリ、新たな利権集団を形成する官と民。

 

挙句の果ては、今般の「除染目標線量の引き上げ(除染できなくても、ほどほどで我慢しろ)」と「個人線量管理(住民のモルモット化)」による被ばくの押し付けです(ガラスバッジによる個人線量管理の決定的な欠陥は、内部被曝(特に呼吸被ばく)が無視され、かつ、様々な理由から被ばく線量が実態よりも小さく評価されることです)。汚染地域から避難すればいいだけなのに、なんで首からガラスバッチをぶら下げて日常を過ごさなきゃいかんのか、このふざけたまでの人権侵害を許すわけにはいきません。永田町のゴロツキ政治家達や霞が関のクソ役人どもが、福島の方々とタッチ交代すればいいのです。

 

こうした「やるやる詐欺」としての除染の下で、子どもたちが被ばくさせられながら「復興のダシ」に使われ、また、被ばくの危険性への懸念を口にすることが、よってたかって抑え込まれています。アジア太平洋戦争の時代に、戦争経済下の困窮の中で、戦争への疑義を口にすれば「非国民」とバッシングを受け、「ぜいたくは敵だ」と皆で大騒ぎをして自分達の首を絞めていたあの時代が、今、福島県を中心に東日本の放射能汚染地帯に広がっています。「被ばくを恐れることは神経質だ」と言わんばかりです。

 

この日本社会のビョーキに対して、我々は勇気を持って、断固として、NO! NO! NO! を表明し、こんなことはおかしなことだ、やめよう、やめさせよう、と声を上げていかなければいけないと思います。それが、子供たちを守ること、自分達の命と健康を守ることにつながるのです。

 

 <別添PDFファイル>

(1)環境省発表 双葉町除染計画、面積の4%のみ(東京 2014.7.16

(2)除染目標後退の動き、年1ミリシーベルトの毎時換算値甘く? (東京 2014.6.23 他)

(3)森林除染 4市村で大規模実証(福島民報 2014.3.31

(4)南相馬 がれき処理進まず 「古里にいつ帰れる」(福島民報 2014.4.15他)

(5)無謀な巨大保管計画をやめ、放射性廃棄物の濃縮管理を(児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長 『エコノミスト 2013.12.24)』

 

注:上記(5)は、児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長(及び金子勝慶應義塾大学教授)の考え方をコンパクトにまとめた記事です。ご一読されて、念頭において置かれるとよいと思います。はたして最先端技術は、放射能汚染物を焼却した際に、放射性物質を高い水準で除去して、環境への放出を食い止めることができるのか、科学者や技術者で真剣に検討していただきたいところです(但し、今の政府や自治体などの政治・行政がやっていることは、最悪のことをやっています。馬鹿丸出しのことをやっているのですが、その結果は悲惨です)、。

 

<ふくしま集団疎開裁判 の第二次裁判(「子ども脱被ばく裁判」)が始まります>

 こんなことはおかしなことだ、やめよう、と声を上げていかなければいけないと思う方々が、勇気を持って立ち上がります。みなさまのご支援をよろしくお願い申し上げます。福島のお母さんたちの勇気を、どうかお守りください。

 

(1)#ふくしま集団疎開裁判 【速報】第二次裁判の概要決定。提訴は8月29日。子ども人権裁判に加えて、3.11以降の国と福島県の救護政策の違法性を問う親子裁判を追加。

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/07/blog-post_17.html

 

(2)#ふくしま集団疎開裁判 【速報】8.18(月)提訴前の記者会見を参議院議員会館で開きます

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/07/819.html

 

(3)#ふくしま集団疎開裁判 8月29日(金)二次裁判提訴応援 バスツアー(申し込み受付中)

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/07/8.html

 

 <(3)森林の除染について>

 こういうことは、かような地域で行うのではなく、群馬県北西部、埼玉県秩父地方、長野県軽井沢や佐久地方、宮城県(南部を除く)・岩手県・千葉県全域などで行うべきものである。記事にある高濃度汚染地域は、全域立ち入り禁止=全住民の強制避難=全産業活動を禁止、とすべき地域である。そして、もちろん、避難をさせられる方々に対しては、万全の賠償・補償に加えて、別の放射能汚染のない土地での生活や仕事、人生の再スタートや穏やかな老後のための様々な支援が補償されるべきである。高濃度の放射能汚染地域において、森林の除染などは、労多くして、危険多大にして、ほとんど利益がない、効果がないことは、チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国で実証済みである。

 

 この環境省の「森林除染の実証試験」こそ、一つには、「できもしない除染」のアリバイ行為、であり、もう一つには、放射能汚染地域への住民の「(精神的)縛り付け政策」として展開されていることを認識しておく必要がある。彼らが本気でないことは、その予算の金額=わずか3億円 を見ても明らかである。そして、万が一、大化けして巨額の予算がつけば、環境省が林野庁に代わって、新しい森林除染という利権事業を手にすることができる。環境省にとっては1挙手3方得の、笑いが止まらぬ事業ということなのかもしれない。

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

東京電力福島第一原発事故の影響で管理ができずにいる森林の再生に向け、林野庁は九月にも田村、南相馬、川内、飯舘四市村で森林除染の実証事業に着手する。それぞれ数十ha規模で面的な除染を行い、効果的な除染方法や作業員の被はくを抑える作業手法などを調べる。大規模な森林除染の実証事業は初めてで、林業の早期再開と帰還住民の放射線への不安解消につなげる。

 

(中略)

 

事業費は約三億円で、除染の効率や作業員の被ぱくの低減、コスト削減などの観点から森林の再生に適した工法を絞り込む。事業者が決定次第、早ければ九月にも着工し、来年三月まで行う。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

 <別添PDFファイルにある記事のネット検索>

 別添PDFファイルは添付できませんでした:下記URLを参照いただき、残りは図書館ないしは書店でお求めください。

 

1.環境省発表 双葉町除染計画、面積の4%のみ(東京 2014.7.16


(1)東京新聞双葉町でようやく除染計画策定 町面積の4%、残りは未定社会(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014071501001104.html

 

(2)住宅除染完了37・9% 重点調査地域35市町村 実績率伸び悩む 県内ニュース 福島民報

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014060716167

 

2.除染目標後退の動き、年1ミリシーベルトの毎時換算値甘く? (東京 2014.6.23 他)


(1)除染目標後退の動き、年1ミリシーベルトの毎時換算値甘く?

 http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11882915343.html

 

(2)除染廃棄物を燃やす?仮設焼却炉を福島県伊達市に建設、1130トン処理(7-9 福島民報) 赤かぶ

 http://www.asyura2.com/14/genpatu39/msg/269.html

 

(3)避難者「楽観的すぎる」 帰還困難区域、21年の線量「20ミリシーベルト未満」:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11205904.html

 

3.森林除染 4市村で大規模実証(福島民報 2014.3.31

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014073117172

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140731-00000003-fminpo-l07

 

4.南相馬 がれき処理進まず 「古里にいつ帰れる」(福島民報 2014.4.15他)


(1)「古里にいつ帰れる」 避難区再編2年・南相馬 がれき処理進まず 東日本大震災 福島民報

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/04/post_9791.html

 

(2)福島の除染廃棄物、東京ドーム1.7倍に 県が推計値:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/ASG7H5R5BG7HUGTB00S.html

 

(3)廃炉時代、基準すらない、行き場のない廃棄物(『アエラ 2013.12302014.1.6http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=KoIg3PvXY0EJ&p=%E3%82%A2%E3%82%A8%E3%83%A9+%E5%BB%83%E7%82%89%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%80%81%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%81%99%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%80%81%E8%A1%8C%E3%81%8D%E5%A0%B4%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%84%E5%BB%83%E6%A3%84%E7%89%A9&u=www.fujisan.co.jp%2Fzasshi-kensaku.asp%3Fsid%3D1030731%26q%3D%258EY%258B%25C6

 

5.無謀な巨大保管計画をやめ、放射性廃棄物の濃縮管理を(児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長 『エコノミスト 2013.12.24)』)

 

 

東電体質厳しく批判 福島原発事故 検察審査会議決要旨(東京 2014.8.1 より)+ その他本日(8/1)のいろいろ情報

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは昨日の続き、東京第5検察審査会が東京電力の元幹部3名を起訴相当と議決したことに関する本日(8/1)付の東京新聞報道です。他紙を圧倒する報道ぶりです。ご参考までにご紹介したします。また、<追>にて、本日のいろいろ情報をお送りいたします(みなさまよりいただいた情報などのオムニバスです)。

 

 <別添PDFファイル>

(1)大津波の恐れ報告、東電元会長出席の会議「福島に14メートル」(東京 2014.8.1

(2)東電体質厳しく批判 福島原発事故検審議決要旨(東京 2014.8.1

(3)脱原発の民意背景に(高橋哲哉)他 東京 2014.8.1

 

 <東京新聞URL>

(1)http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014080190070916.html

(2)http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014073190135415.html

 

 <毎日新聞URL>

(1)クローズアップ2014東電首脳の責任重視 元会長ら「起訴相当」 検察審、「安全神話」批判 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/shimen/news/20140801ddm003040182000c.html

(2)毎日新聞 紙面ビューアー無料開放キャンペーン

 http://mainichi.jp/pr/2014kaihou2/

早々

 

(追)その他本日(8/1)のいろいろ情報

 

1.非常用炉心冷却装置 ECCS の解説サイト

 原子炉の安全性や過酷事故対応を考える際に必要不可欠な知識です。下記サイトは、たまたま検索してヒットしたサイトですので、批判的な観点でご覧ください。

 

(1)ウィキペディア

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E5%B8%B8%E7%94%A8%E7%82%89%E5%BF%83%E5%86%B7%E5%8D%B4%E8%A3%85%E7%BD%AE

 

(2)非常用炉心冷却系 ECCS:Emergency Core Cooling System

http://www.youtube.com/watch?v=cGrIqirBVjY

 

(3)非常用炉心冷却系(ECCS)作動事象の分析

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CBwQFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.inss.co.jp%2Fseika%2Fpdf%2F2%2F169.pdf&ei=HvvaU8TBM8O58gX234HwBg&usg=AFQjCNHEjtBVsKsumG-udfWE1CKei43LpQ&sig2=Nt48I553jSD9n1EUA8pZ5Q&bvm=bv.72197243,d.cGU

 

(4)図解 よくわかる非常用炉心冷却系 ECCS:Emergency Core Cooling System 

 http://tokyo80.com/energy/P4.html

 

2.【広瀬隆】未必の故意で安倍晋三を告訴すべきだ 日々雑感

 http://hibi-zakkan.net/archives/39404482.html

 

3.ふくしま集団疎開裁判 の第二次裁判(「子ども脱被ばく裁判」)が始まります。

(1)#ふくしま集団疎開裁判 【速報】第二次裁判の概要決定。提訴は8月29日。子ども人権裁判に加えて、3.11以降の国と福島県の救護政策の違法性を問う親子裁判を追加。

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/07/blog-post_17.html

 

(2)#ふくしま集団疎開裁判 【速報】8.18(月)提訴前の記者会見を参議院議員会館で開きます

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/07/819.html

 

(3)#ふくしま集団疎開裁判 8月29日(金)二次裁判提訴応援 バスツアー(申し込み受付中)

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/07/8.html

 

4.3・11後のサイエンスヨウ素剤配布から考える=青野由利 - 毎日新聞

 https://auth.mainichi.co.jp/auth/openid/op/auth

 

 少し前にも申し上げました通り、安定ヨウ素剤についての私の考え方は下記の通りです。

「日本から使用済み核燃料がなくならない限り、原発・核燃料施設が稼働されていようといまいと、私は日本国民全員に、一人残らず、赤ん坊から高齢者まで、安定ヨウ素剤を常時携帯させ、その服用について、効果と副作用などについて、周知徹底すべきだと考えております、そして、かような薬を持たねばならぬ「原発社会」「原子力翼賛社会」とは、一体誰のための、何のための社会なのかを、一人残らず日本国民・市民に考えていただきたいと思っております。安定ヨウ素剤は、そのための「社会的効用」こそを求めるべきだと思います。原子力「寄生」委員会が言うような「5km圏内には配布します、30km圏内は事故の後に配布します、それより外側の地域については未定です」といった、ふざけた状態を告発していかなければならないと考えております。」

 

5.Ustream.tv ユーザー CNIC_JAPAN CNIC-Ustream 国際原子力ロビーとエートスプロジェクトの実相, お話:コリン・小林さん(フリージャーナリスト)モデレーター:澤井正子. 市民...

 http://www.ustream.tv/recorded/40066763

 

6.山本太郎 『福島原発事故後の「健康の権利」に関しての国連人権理事会から勧告』 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=_NNITNTVxXs

早々

 

 

« 2014年7月 | トップページ | 2014年9月 »

最近の記事

無料ブログはココログ