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2014年7月18日 (金)

ベネッセ個人情報漏出事件(続報 & コメント)とお知らせ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

最初に3つばかり、サイトをご覧下さい。

(1)ふくしま集団疎開裁判 【速報】第二次裁判の概要決定。提訴は8月29日。3.11以降の国と福島県の救護政策の違法性を問う親子裁判を追加。

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/07/blog-post_17.html

 

(2)8 29 日「子どもを被ばくから守れ」裁判を提訴します。私たちと一緒に原告なりませんか。

 http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear2/140718flyer-appeal.pdf

 

(3)【広瀬隆さんより】全国のみなさま、再び呼びかけます 日々雑感

 http://hibi-zakkan.net/archives/39196812.html

 

ここから本論

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別添PDFファイルは、ベネッセ事件(個人情報漏出事件)について一昨日にお送りしたメールに私が書いたことと同じようなことが詳細に報道されている記事です。ご参考までにお送り申しあげます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)名簿取引業者、責任グレー(東京 2014.7.18

(2)ベネッセ事件、名簿ビジネス暗躍(朝日 2014.7.18

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11249715.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11249715

http://digital.asahi.com/articles/DA3S11249733.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11249733

 

何度も繰り返して恐縮ですが、日本の個人情報保護法なんぞは、個人情報保護のためにあるのではありません。今回のベネッセ事件が赤裸々に示すように、個人情報が不正だろうがなんだろうが、一旦市場に漏れ出たら、それを企業が海千山千の業者を使って徹底的に使い尽くす、使い尽くしてもいいですよ、という法制度です。いわば、企業の商売を個人情報保護に優先させているのです。今回のような事件の取締法が、個人情報を保護する法律ではなく、企業間の適正な競争を確保することが目的の「不正競争防止法」であることもおかしな話です。企業が等しく適正に競争しながら、個人情報を不正に利用し尽くせ、と言っているようなものです。

 

新聞記事から、ポイント部分を一部抜粋してみましょう。

 

(東京新聞 7/18)

「厳重に管理された顧客情報などの営業秘密を複製し、売却する行為は不正競争防止法違反に当たる。不正に入手された個人情報と知りながら購入すれば、同法違反や個人情報保護法違反に問われる可能性があるが、「不正」との認識がなければ摘発は難しい。」

 

「ある業者は「情報の出所のチェックが徹底されているわけでない。売買の実態はグレーだ」と明かす。「不正なものでは」と、うすうす感じていても「知らなかった」と言い逃れできる土壌もある。」

 

(読売新聞 7/17)

「男性は「個人情報の取引は、出所を『言わない』『聞かない』が暗黙のルール。警察に聞かれでも『知らなかった』と答えるだけだ」と言い放った。」

 

「同法(筆者注:不正競争防止法)では、厳重に管理された「営業秘密」は、不正持ち出しだけでなく、「不正の利益」を得る目的で買い受け、転売することも禁じている。だが、名簿業者が不正に入手された情報であることを「知らない」と言えば摘発は難しい。」

 

「今回、情報を持ち出したとされるシステムエンジニ一アが6月まで複数回、買い取りを求めた名簿業者は、警視庁に「ベネッセ社の情報とは知らなかった」と話している。情報が転売された東京都武蔵野市の業者や昭島市の業者も、同様に「知らなかった」と説明している。」

 

「名簿業者の多くは、5000人を超える個人情報を取り扱う事業者で、個人情報保護法の規制対象だ。情報を第三者に提供する場合、本人への通知か、情報提供されることを本人が「容易に知りうる状態」にすることが義務付けられる。取り扱う名簿の表題をホームページで公表する業者もあるが、名簿に掲載された人には、ほとんど伝わっていないとみられる。」

 

「違反者には是正勧告や命令が出されるが、名簿業者を対象とするケースは1件もない。そもそも所管官庁が決まっておらず、業界の実態を把握し切れていないのが現状だ。」

 

(朝日新聞 7/18)

「子どもの情報は業者にとって垂涎(すいぜん)の的だ。受験や成人、就職と、将来にわたって利用機会が多いからだ。百万人単位の名簿が出回っている、との話は業界内を駆けめぐったという。ベネッセの情報は関西や九州の業者にも出回った。「最初に情報を入手した業者はぼろもうけだ。買値の何倍もの値段で何回も売れる」」

 

「「通信販売購入者名簿」「そろばん塾の生徒1500件分」。名簿は転売を重ねる。業界関係者によると、出所自体がわからなくなれば、「不正入手した情報は一切取り扱っていない」という大手も扱いやすくなるという。」

 

「希望しないDMが来た時は、どうすればいいのか。同法では、DMの送り主は受取人の求めに応じて個人情報を開示する義務がある。受取人が個人情報の利用に同意していない場合、データの利用を止める義務もある。消費者庁の担当者は「まずは地方の消費生活センターなどに相談してほしい」と話す。」

 

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(個人情報を扱う名簿業者を所管する官庁も決めないで「消費者庁の担当者は「まずは地方の消費生活センターなどに相談してほしい」と話す」はないでしょう。なんでもかんでも、自治体の、しかも体制の薄い「消費生活センター」に押しやってしまって、自分達はそしらぬ顔をしているのです(私の体験では「消費生活センター」もまた、たらい回しがお得意のようですが)。消費者庁はいったい何のためにつくった役所なのでしょうか。典型的な「責任回避型たらい回し役所」です)

 

ところで、この事態を解決するのに難しいことは何もありません。個人情報が不正に漏れだす発生源だけを厳しく規制するのではなく、個人情報を入手する名簿業者をはじめ、そのユーザーに対しても、利用する個人情報の適正性・合法性を確認させる法的義務を負わせればいいのです。そして、その義務を怠った場合には、刑事、民事、行政の各法律上のペナルティを厳しく定めておけば、個人情報は十分に保護されるでしょう。悪いことをする奴には灸をすえる、ただそれだけのことです。御用人間やボケた評論家を集めて、いくら「個人情報保護審議会」なんぞを開催してみたって、事態は改善いたしません。(個人情報利用に関しては、インターネットに張り出しておきましたから、文句がある方はどうぞ、などというのはふざけた話です。ネットに張り出すこと自体、個人情報保護を逸脱しています)

 

また、もう一つは、個人情報については、その個人情報の個人本人にオールマイティの法的権限を与え、本人の意図に反して流通している自分の個人情報については、(担当行政庁への)申し出に対応して、ただちにその利用の差し止めができるよう、行政庁は責任をもって対処しなければなりませんし、そのためには、名簿業者管理を含む個人情報保護のための統一した担当官庁・責任官庁が必要になります(今は業者ごとにバラバラの無責任・たらい回し体制)。また、不正に利用した業者に対しては、あるいは上記で申し上げた適正性・合法性を確認しないで利用した企業に対しては、利用された個人情報の本人は損害賠償を請求できてしかるべきです(適格消費者団体がまとめて提訴するような仕組みなども必要)。

 

今回のように、個人情報に関する明らかな犯罪行為ですらが、漏出源以外の名簿業者その他の関係当事者に対して刑事責任が問えない、問われない制度は、明らかな欠陥制度であることを、改めて確認しておく必要があります。しかし、こうしたことは、既に住基ネット問題の際に、多くの人たちが指摘をしていたことであり(何故なら住基ネットにある情報が漏れ出るのはほぼ確実だからです)、個人情報保護法が定められる時にすでに分かっていたことです。そういう意味で「確信犯」=つまり政府と産業界がグルになった、個人情報へのハイエナ行為だったと言えるでしょう。

 

(一方で、かようないい加減で出鱈目なことをしておいて、他方では、個人情報保護を口実に、国も自治体も行政情報の公開を拒んでいるのですから、有権者・国民・消費者の怒りは倍増します。何をやってもちゃんとできない、それが日本の行政であり、日本の司法です)

早々

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