後最悪の政権=安倍晋三自公政権の悪政の数々(3):年金資金で株価対策の愚=「ドアホノミクス」の尻ぬぐいはやめよ
前略,田中一郎です。
「戦後最悪の政権=安倍晋三自公政権の悪政の数々」の第3回目は、公的年金運用(厚生年金・共済年金)での株式投資割合の拡大という愚かな「自滅的」政策に関するものです。下記URLをご覧ください。
<別添PDFファイル>
● 年金資金で株価対策の愚(毎日 2014年6月30日)
http://mainichi.jp/graph/2014/06/30/20140630dde012010002000c/002.html
http://mainichi.jp/shimen/news/20140630dde012010002000c.html
「ドアホノミクス」をはやし立てて値上がり期待の日本株を大量の保有した外国人投資家が、そろそろ「利食い」=利益確定の売り手を見つけたいところ。日本株の買い手が薄い中で大量の日本株売りを出せば相場が崩れてしまうが、ここで、日本の愚かな政府が、国民のなけなしの公的年金基金の資金を使って、外国人投資家が売りに出す日本株を買い支えてくれれば、外国人投資家にとってはこんな結構なことはない。
さて、そもそも、企業の業績や成長性が買われて株価が上がったのではない「ドアホノミクス」高値株を大量に保有する羽目になる厚生年金や共済年金だが、いずれの年金も少子高齢化で、今後、だんだんと年金基金を取り崩しながら年金支払いを続けていかなければならない運命にある、しかし、大量に高値づかみした株は、損を出さなければ大量に売ることはできないだろう。結局、「ドアホノミクス」を利用して株を売り抜けて儲けた外国人投資家は「カシコイゾミクス」であり、「ドアホノミクス」に踊らされてその気になって日本株を身動きできないほど大量に抱え込んだ日本の年金基金=つまりは日本国民自身は、「ドアホマルダシノミクス」だったということになるのだろう。
この問題については、更に次の3点を付記しておきたい。
要するに、間もなくメッキがはがれてくる「ドアホノミクス」の尻拭いに、ただでさえ財政的に厳しい公的年金基金を使うなということだ。
(1)株式市場の見方がそもそもドシロウト丸出しで甘い。株式市場は「期限が来ればデフォルトしない限り」は元金満額が返済される債券とは違い、その価格変動リスクは非常に高い。しかも、株式市場の場合には、売り手と買い手の取引の実態は「ざら場」であり、今回の毎日新聞記事のグラフにあるような、価格の推移が時間の経過に沿っての連続カーブのようなものではないのだ。
「ざら場」とは、価格と取引量が1セットで、その場限り・その時限りで成立している取引結果であり、次の瞬間には、同じ価格でも取引は成立しないかもしれないし、売り手・買い手がそれぞれ考えている量(株式数)で取引ができるかどうかも分からない、そういう1回限りの非連続の真剣勝負の結果が「ざら場」である。
当然、取引価格は値が飛ぶこともあるし、また、売り手が売りたいという意思表示・買い手が買いたいという意思表示をしたとたんに、価格が変化するということも大いにある。要するに、グラフに描いたような、一定の価格でいくらでも取引ができるような状態が連続的に推移するのが株式市場ではない、ということである。言いかえれば、売り手と買い手が、お互いがお互いをだまし合いながら、違った思惑で、相手を損させながら自分だけが得をしようと思って動いている、そういう場が株式市場だということである。
期限になれば(倒産さえしなければ)、少なくとも元本だけは返済される債券と違い、持っていても値下がりするかもしれないようなリスク資産であり、しかも、上記で申し上げたような「ざら場」市場で取引することを余儀なくされるような金融商品である株式は、日本株だろうが、外国株だろうが、いわゆる公的年金にはまったく不向きな運用手段である、まして、そのようなものを公的年金が大量に抱え込むなど、愚の骨頂という他ない。
しかも、日本の公的年金は払い出し=取り崩しの時期が来ており、運用期間に制限が出始めているのだから、なおさら株式などのリスク運用には向いていない。公的年金基金の運用の大原則は、元本を損なうことは絶対にない、ということである。そもそも、株価が右肩上がりで上がっていく高度成長時代でもない時代に、いやむしろ、国全体が右肩下がりで転落していく時代に差し掛かっている日本の株を、公的年金基金で大量に買い入れるなどということは、愚か者以外に誰も考えもしないことである。まさに「ドアホノミクス」さながらだ。
(2)「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)という、この役人の組織は、年金運用を担当する組織として非常に無責任でいい加減であり、こんなところにリスク運用をさせること自体が無謀の極みである。どうしてもさせるのなら、この組織の幹部たち全員に、自分の全財産と退職金を供託させ、年金基金運用で生じた損失の穴埋めを一部させる義務を負わせる必要がある。そうしなければ、恐らくはいい加減なことをやって、どえらい結果になった後「ごめんなさい」で終わってしまうことになる。運用で大失敗をしても、この連中は痛くも痒くもない、ということなら、出鱈目をやること必定である(もちろん、利益が出れば、その一部を供与すれば良い。リスク運用の場合には、運用責任者の個人財産を人質にとる、という原則を貫徹しなければ、中長期的におかしなことになるだろう。それがダメだということなら、公的年金のリスク運用はやめることである)。
●「年金積立金管理運用独立行政法人」
(3)アメリカの公的年金は、TBOND=アメリカ国債とアメリカ政府保証債以外での運用を認められていない。これが正常な公的年金運用の形である。
●アメリカの公的年金制度
http://allabout.co.jp/gm/gc/13217/2/
(一部抜粋)
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安倍晋三首相は24日、日本経済の成長戦略を閣議決定し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産構成の見直しを盛り込んだ。年金積立金129兆円を使って株を買い増し、株価を上げようというのだ。それでなくとも不安の多い年金を、さらなるリスクにさらすことにならないのか。【内野雅一】
「株式市場が投機家ら“ばくち打ち”の場になった」。嘆くのは三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部長の藤戸則弘さんだ。
17日、会員制交流サイト大手ミクシィの株価が年初来高値を記録するとともに、売買代金で東証全銘柄トップになった。一日に何度も売買して利益を出すデイトレーダーが値動きが小さくなった相場にしびれを切らし、変動幅が大きくなりがちな新興市場のミクシィを狙い撃ちしたため、と藤戸さんは言う。業績や景気の見通しとは関係ないところで、デイトレーダーら投機家が特定銘柄をもてあそんでいる。「年金積立金129兆円を巡る動きの弊害だ」と藤戸さん。どういうことか。
成長戦略(日本再興戦略改定版)では、GPIFについて「年金財政の長期的な健全性を確保するために、適切な見直しをできるだけ速やかに実施」と明記された。昨年末時点の資産構成は▽国内債券55・22%▽国内株式17・22%▽外国債券10・6%▽外国株式15・18%▽短期資産1・77%。この比率を見直そうというのだ。狙いは二つ。まず国債の比率を下げ、財政不安による長期金利上昇(国債の評価損)のリスクを避ける。もう一つは国内株式の比率を引き上げ、市場に年金資金を注ぎ込むこと。問題は後者だ。株価を上げる効果があることから「露骨な株価対策」との批判が噴出しているのだ。
田村憲久厚生労働相はGPIFが目指していた年内の見直しをさらに前倒しするよう求めている。背中を押されたGPIFの米沢康博・運用委員会委員長(早稲田大教授)はメディアのインタビューで日本株の比率を高めることに意欲を示している。
引き上げ幅は未定だが、早くも株式市場では「比率見直しによる買い」と見られる動きがうかがえる。東証の投資主体別売買動向を見ると、信託銀行が5月から6月第3週まで9665億円と大きく買い越している。平均株価が1万4000円を超えて上昇していた5月後半から6月にかけても買い越しを続けた。信託銀の売買は、GPIFを含め委託された年金資金の運用がほとんど。決められた運用比率を超えないように株価が上がると売り、下がると買う従来の運用法からすれば、5月後半からの買い越しは不自然だ。「これまでなら売ってきた高値でも買っているのは、比率を少しずつ上げるためにほかならない」と藤戸さんは解説する。
GPIFの運用比率に準じる国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校教職員共済の3共済も「比率見直しの先取りに歩調を合わせ、年金資金で買いに動き出した」と多くの市場関係者は指摘する。
こうしたGPIF絡みの買いで、年初以来乱高下を続けてきた株式相場は平均株価を少しずつ切り上げ、6月3日には1万5000円台を回復した。政権が年金資金を通じて株価を押し上げる「官製相場」である。
ただ、一気に上がることはなく下値も底堅い。値幅が狭くなったことが面白くないデイトレーダーの仕掛けが冒頭の動きというわけだ。
「昨年、平均株価は6割近く上がったが、今年は下落基調が続いた。円安・株高で高支持率を維持している安倍政権は、株価の動きが心配でならない。そこで目をつけたのが年金積立金129兆円。その5%を株に振り向けるだけで6・5兆円。3共済と合わせると10兆円近い買い資金になるだろう」と藤戸さん。政権の狙いはその先、年内に判断するとしている消費税の10%への再増税があると言う。「株価が下落して支持率が下がったら増税決定は難しい。そうならないための“大きな財布”がほしかった」と、政府の狙いを解き明かす。
独立系投資情報会社フィスコ株式チーフアナリストの佐藤勝己さんは「増税判断の根拠になるのが7〜9月の国内総生産。法人税率の引き下げは即効薬とならないから、年金資金で株価を上げ景気をそこそこ良くしておきたいと考えているのだろう」と語る。
経済評論家の山崎元さんは政権の思惑に証券会社などの打算が重なったと見る。「年金資金の運用法が変われば、証券会社は手数料収入を増やせるとそろばんをはじく。大量の日本株を持つ外国人投資家は高値で売り抜けたいと虎視眈々(たんたん)だ」
だが、株式運用には値下がりリスクがつきまとう。年金支払いのために、積立金からは毎年約5兆円を拠出している。もしも運用に失敗して、この拠出分をカバーできなければ、積立金は徐々に目減りしていく。国内株の比率を高めることは、年金支給を危うくするリスクをはらむ。
「年金資金は国民のもの。GPIFが運用するのは、その資金を確実に増やすのが目的であって、経済成長や株価操作のためではない。政治が下心をもって扱うのはもってのほかだ」。慶応大准教授の小幡績さんは憤る。この春までGPIFの運用委員会委員だった。「資産配分は運用戦略の要であり、議論には相当の時間をかける。簡単に変更の前倒しなどできないし、運用のプロでもない政府が指示できるものでもない」
藤戸さんも「年金資金の運用は将来の年金の支払いが円滑にいくように図るのが本筋で、安全・確実が大前提」と比率見直しを疑問視する。
一歩譲って、GPIFの買いによって株価上昇が維持され、運用がうまくいくのであれば、積立金が目減りすることはない。そんな見方を山崎さんは一蹴する。「官製相場は需給によって上がっただけで、企業の価値が高まったからではない」。企業価値が高まらなければ、バブル崩壊後の1990年代に総合経済対策として打たれた株価維持策(PKO)の相場展開がまさにそうだったように、年金資金の買い一巡とともに株価はだらだらと下がっていく恐れが強いというのだ。フィスコの佐藤さんも「官製相場による株価上昇は、利益を出したい外国人投資家にとっては絶好の売りのチャンス」と先々の下落を懸念する。
「政府がやるべきことは、岩盤規制をなくすなど成長戦略を早く具体化して株価が上がるように経済環境を整えることであって、年金資金を通じて株価を上げることではない」。山崎さんの指摘だ。
今年の春闘で財界がベースアップ(ベア)に応じたことを「安倍政権によるどう喝春闘」と切って捨てた同志社大教授の浜矩子さんは「年金資金を株式市場のご機嫌取りに使うのは、たんまりともうけたうえで、その上がりの一部を富国強兵資金に充てようというのではないか。そう勘ぐりたくなるほど姑息(こそく)な発想だ」と怒る。
大切な年金が政治の道具にされてはたまらない。
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早々
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