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2014年7月31日 (木)

(報告)「子ども・検診」 スタートに向けて (記念公開シンポジウム) (パルシステム主催 2014.7.19)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

さる719日(土)、東京韓国YMCAにおいて「「子ども・検診」スタートに向けて(記念公開シンポジウム)」がパルシステム主催で開催されました。別添PDFファイルはその際の配布資料です。私は所用があって、最初の鎌仲ひとみさんの講演だけをお聞きしました。当日いただいた主な資料は、このメールに添付しておきます。以下、簡単にご紹介いたします。

 

 <別添PDFファイル>

(1)「子ど・も検診」スタートに向けて(記念公開シンポ・プログラム)(パルシステム 2014.7.19

(2)関東における放射能汚染と健康調査の必要性(「放射能からこどもを守ろう関東ネット」他 2014.7.19

(3)放射線被ばくと健康管理の在り方(牛山元美 2014.7.19

(4)「原発事故子ども・被災者支援法」制定の背景と現状(FOEジャパン 満田夏花さん 2014.7

 

●「子ども・検診」スタートに向けて(記念公開シンポジウム)」

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CBwQFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.pal.or.jp%2Fpress%2F2014%2F140707%2Fpdf%2F01.pdf&ei=DL3VU6arMY388QWZ7IDwAw&usg=AFQjCNEeWFYHCBTYJ-1ZcX0Gm-xy7tiSKQ&sig2=ZhYMPLlu59FHn90A8-sJew

 http://www.pal.or.jp/press/2014/140707/

 

●パルシステム ニュース

 http://www.pal-system.co.jp/topics/2014/140725/index.html

 

●鎌仲ひとみさん「小さき声のカノン」

 http://kamanaka.com/works/works-next/

 http://www.youtube.com/watch?v=p9uCjRSUXM4

 https://motion-gallery.net/projects/littlevoicecanon

 

●メールマガジン 鎌仲ひとみ 公式ウェブサイト 映画監督、ドキュメンタリー作家

 http://kamanaka.com/mailmagazine/

 

 <鎌仲ひとみさんの講演より>

 下記はチェルノブイリ原発事故後約27年が経過したベラルーシの状況をレポートしたものです。福島第1原発事故後の日本の現状と比べてみてください。いかに日本の被ばく防護に関する事故後対策が出鱈目なのかがわかります。なお、下記でベラルーシに関する記述は、当日の鎌仲ひとみさんの話を私がメモしたもので、それに続く( )内の日本についてのコメントは、私が私の判断で書いています。

 

(1)30km圏内は一切除染しない、立ち入り禁止(子どもたちを含めて国が責任を持って避難させた)。他方、30km圏外はプロフェッショナルが除染をする。(日本では、避難対象地域が狭く、多くの人々が猛烈な放射能汚染の中で居住を強いられている。できもしない除染を口実に、避難を希望する人が増えないよう、様々な嘘八百やごまかし、おかしな大宣伝が繰り返されており、さらには、一旦避難した人々を経済的な苦境に追い込むことで、汚染地への帰還を促すという卑劣な「対策」まで始めている。また、いわゆる「除染」については、汚染された地域の人々が、放射能汚染の原因をつくった原発関連ゼネコンの多重下請け会社に臨時雇用されて、被ばく防護も周知徹底されず、除染ごみの始末についてもいい加減なまま「除染なるもの」がなされている。まことにおかしな理不尽な話である)

 

(2)学校での子どもたち向けの給食の食材は「ゼロ汚染」が原則(日本では、放射能検査の体制の拡充をせず、従って、ロクすっぽ放射能汚染の検査・調査もせずに、いい加減な厚生労働省の放射性セシウム残留規制基準の下で、放射能汚染地域で獲れた食品の安全性を強調・PRするために、子どもをだしに使って学校給食に無理やり(地産地消を口実にして)地元食材を使わせている。子どもの内部被曝を懸念する親の「地元食材を使わないでほしい」の要請に対しては、変人・非国民扱いをして、まともに対応しようとせず)

 

(3)(貧しいベラルーシでは自耕作の農作物を食べざるを得ないので)自作農作物を自分たち自身が測定できるような測定所体制が充実(日本は、行政がやらないので、市民が自主測定所を立ち上げている。また、行政の検査はサンプリングや測定方法などについて信頼性が低い)

 

(4)飲食品の放射性ストロンチウム汚染状況を調べるための検査所=放射性ストロンチウム検査装置が、全国各地に設置されている(5台:1台2~3千万円)。主としてベラルーシの主食である牛乳とジャガイモが検査されている。(日本は、放射性ストロンチウム汚染状況の検査をいつまでたってもやろうとしない。特に、原子炉炉心を洗った猛烈な放射能汚染水が海に漏れ出しているにもかかわらず、福島県沖で漁業を再開させ、かつ、その漁獲物について放射性ストロンチウムの検査をしないまま安全宣言などをやっている。危なくて、とても食べられない(がしかし、学校給食に使われている可能性はないとはいえない))

 

(5)甲状腺の検査はチェルノブイリ原発事故後、12~14日後に、すべての年齢の人々に対して開始された。(しかし、検査機器類等、検査の体制は不十分なままだったと推定、旧ソ連地域で甲状腺検査体制が曲がりなりにもでき始めるのは事故から4年後以降、西側諸国からの支援が入ってからではないか:田中一郎)。


 (日本では、甲状腺検査の重要性は十分に認識されていたにもかかわらず、福島県やその下におかれた「福島県民健康管理調査検討委員会」が(尿検査などの内部被曝検査を含めて)それを妨害し、また、国の関係各省・機関も、甲状腺被ばくをわからなくしてしまえという「未必の故意」により動かず、責任ある態度をとらなかった(放射性ヨウ素が減衰して消えてしまう半年以上経過してから、ようやく福島県の子どもについてのみ甲状腺検査を開始。しかし、福島県の大人や福島県以外の子どもたちを含む被曝者の方々には検査をしなくていい、などという態度を示している=3年たっても未だに小田原評定)。結果的に、初期被ばくの状況その他、甲状腺被ばくの線量実態等が分からなくなってしまった。しかし、その正確にはわからないことをいいことに、今度はさしたる実証的根拠もないまま、まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈をこねて「初期被ばくは大した線量ではなかった」などと言い始めている。将来の健康被害を福島第1原発事故とは無関係=従って、賠償・補償も治療やケアなども国や東京電力には責任がないとして、被害者を切り捨てるための布石を開始している始末。そもそも、放射性ヨウ素による初期被ばく回避のための安定ヨウ素剤すら配布・服用させなかった経緯がある。国や県などの政治・行政には、国民・住民の命と健康を守ろうという姿勢が全く見られない)

 

(6)30km圏内に居住していた人たち、チェルノブイリ原発事故の収拾にあたった人たち(リクビダートル)、その人たちをお世話した人たち、及びこれらの人たちの子孫らが、「健康リスクのある人々」として「登録」されていて、健康診断などが毎年無料で受けられる。また、カルテや検査結果等はコンピュータ化されて保存される仕組みもある。保養のためのクーポン他のサポートシステムも用意されている。


(日本では、福島第1原発事故による被ばくは、根拠もなく「大した線量ではない」とされ、健康診断も、カルテや検査結果等の保存も、治療も、保養も、こうした健康リスクへの対応は、ほぼ一切がっさい否定され続けている。もちろん、費用負担も被害者の自己負担=自己責任でやれ、ということになっている。唯一の例外が「福島県民健康調査」である。しかし、その内容のお粗末さは申し上げるまでもない)

 

(7)全国に50か所以上の国立保養所があり、子どもたちが無料で療養ができる。免疫疾患と思われる症状の子供たちが多くみられ、病名が付けられないような健康障害が増えている(下記参照)。健康に何らかの問題を抱える子どもは、チェルノブイリ原発事故後に生まれた子供にも多くみられ、今では健康な子どもの方が数が少ない状態。人口の減少が目立ち始めていて、国として大きな懸念材料となっている。こうした子どもたちには、従来型の化学薬品を使った治療は使えない(場合によっては、いっそう症状がひどくなる)ので、それぞれの子どもたちの症状に合わせた、さまざまな治療が行われている。

 

 (子どもたちに多くみられる健康障害や症状)

 ぜんそくが非常に多い、鼻から喉にかけての粘膜炎症、頭痛、血尿、粘膜炎、いがいが感、発熱、下痢、背が伸びない、拒食症(消化酵素の減少=体内たんぱく質に異常が原因か?)など

 

(日本では、福島第1原発事故による被ばく線量は懸念するに及ばない程度のものだと、実証的根拠のないまま断定されていて、子どもたちを含む被ばく被害者への対策はほとんど何もうたれていない。それどころか、被ばく被害者の健康実態の調査や検査すらも、その実施を国や県などが拒否している状態。被ばくによる健康状態への懸念を口外すれば、「非国民扱い・故郷の復興を妨害する裏切りもの扱い」を受ける(原子力翼賛社会)。放射線被曝への懸念は、被ばくが原因ではなく「気にしすぎることによる精神的な問題」とされ、薄気味悪い健康カウンセラーが用意され、最初から結論が決まっている「心配しなくていい」が被害者に押し付けられている)

 

(8)その他、動植物に奇形が多く見られたこと、汚染された土を土中に埋めたところ、それが樹木の根から吸い上げられて、ドングリの実に汚染が濃縮していた話、などがあった。

 

(私の結論)

ベラルーシは、経済的に日本よりも貧しい国であるにもかかわらず、多大の国家予算を使って、なんとか次世代を担う子供たちや、多くの被ばくさせられた国民の命と健康を守ろうとしている。それでも、多くの子どもたちや国民にさまざまな健康障害が広がり続け(例えば、甲状腺がんの患者数が増え続けている)、この国の将来に懸念が広がっている。

 

ベラルーシも、チェルノブイリ原発事故の直後から、こうした国民の健康を守り、被ばく防護を可能な限り徹底する政策をとっていたわけではない。現在のような政策に転換した契機になったのは、いわゆる「チェルノブイリ法」であり、それに至るまでには、原発事故を隠蔽し、従ってまた,被ばく被害をも隠蔽・もみ消そうとしていた当時のソ連共産党、及びその配下にあったベラルーシ政府と、国民とりわけ子供たちの命と健康を守れとする多くの人々や医師・医学者・科学者との対決があり、結果的に後者が多大な努力の末に勝利したということである。

 

翻って日本では、福島第1原発事故後の状況は、常々私が申し上げているように「原子力翼賛社会」状況が日増しに強まっており、中でも、事態の抜本的改善にキーとなる医学者・医師・科学者たちの御用化・似非化・日和見・傍観主義が目に余る事態となっている。このままでは、日本はベラルーシの対極にあって、原発事故後対応の「最悪のぺターン」国として、歴史に記憶されていく可能性が高い。

 

一刻も早く、こうした事態を転換しなければならないことは申し上げるまでもない。

早々

 

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