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2014年7月25日 (金)

加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている (5):加害者側で勝手に決めるな!

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、福島第1原発事故にかかる損害賠償・補償関連の新聞記事です。事故後3年が経過しても、相も変わらず原発事故の責任を不問にしたまま、被害者への賠償・補償が、被害者の弱みに付け込む形で一方的に値切られ切り捨てられています。現在のところは財産上の損害や精神的被害の賠償・補償ですが、それさえも、一般の交通事故における賠償・補償や慰謝料の支払いをはるかに下回るような理不尽な対応しかなされておりません。

 

そもそも、最も金額が張る不動産の賠償基準などは、福島第1原発事故の加害者連合とも言うべき東京電力と経済産業省が談合をして、「原子力損害賠償紛争審査会」の頭越しに勝手に決めるなど、この原発事故の賠償基準を加害側が一方的に査定して決めるという信じがたいことがまかり通っているのです。こんなバカなことがありますか。かような重大な人権侵害が許されていいのですか。これほどの理不尽を不問に付すのですか。

 

今後は、財産や精神的被害に関するものだけでなく。健康被害に関するものも出てくることになるでしょう。しかし、こんな状態だと、それらもまた同様に、いや、誰が見ても明確にわかる財産上の被害の賠償・補償にしてこんな状態ですから、健康被害ともなれば絶句するような出鱈目と人権侵害=被害者切り捨てが予想されます。

 

福島第1原発事故の被害は一般の交通事故の比ではなく、たいへん深刻で被害者にとっては耐え難い過酷なものです。事実上、被害を受けた方々のすべてのものが奪われてしまっています。本来ならば、その実態に対応した万全の賠償・補償がなされなければなりませんし、その上に、人生の再出発や余生の再充実のための様々な支援が、「子ども・被災者支援法」に基づいてなされてしかるべきなのです。この国は、その当たり前の当たり前のことを踏みにじろうとしています。こんなことを見て見ぬふりをするような国が、これから豊かに繁栄していくことなど、絶対にない、と断言できます。次はあなたの番だ、と申し上げなければなりません。

 

加害者・東京電力や事故責任者・国は、ただちに被害者に対して万全の賠償・補償を行え。再建のための支援を全力で施策せよ。当事者能力を失ったろくでなし集団・無責任組織の東京電力に丸投げをせず、日本政府が、まず、福島第1原発事故被害者のために、賠償・補償金を立て替えよ。しかる後に東京電力を法的破綻処理・解体して、、その賠償負担を将来にわたり電力料金に薄く上乗せして国庫に返済していくよう、法的な対応を行え。

 

原発の再稼働問題や、ありもしない電力供給問題など、それからの話である。

 

 <別添PDFファイル>

(1)原発ADR 中立医師参加させず、5例判明 憤る被災者(毎日 2014.7.21

(2)東電が墓石修理費用の2割賠償(毎日 2014.7.24

(3)立木賠償方針まとまる(福島民報 2014.5.16

(4)原発賠償に追加基準(読売 2014.5.1

(5)福島第1原発事故の損害賠償をめぐる動き(福島民報 2014.7.1

(6)医療費支給の試案示す、支援議連 放射性物質原因の病気(福島民報 2014.5.30

(7)福島原発事故コスト 少なくとも11兆円 国民に負担押し付け(東京 2014.7.23

 

1.原発ADR 中立医師参加させず、5例判明 憤る被災者(毎日 2014.7.21

 http://mainichi.jp/select/news/20140721k0000e040137000c.html

 

 前回ご紹介した「原子力損害賠償紛争解決センター」の被害者切り捨て「インチキ和解案」(「事故への影響度」などという屁理屈を使って解決を急ぐ被害者の弱みに付け込み、賠償額を一般の交通事故の半分程度にまで抑え込む悪質なやり方など)に続いて、今度は「避難後に死亡したり後遺障害を負ったりした被災者に対する慰謝料を算定する際、中立的な立場の医師の意見を聞かないまま(低額の慰謝料という)結論を出していたことが分かった。

 

 毎日新聞記事を読むと、こうした理不尽・人権侵害の背後には、どうも文部科学省の「原子力損害賠償紛争和解仲介室」という「悪質」な「悪室」がいて、「原子力損害賠償紛争解決センター」を差配しているようである。原子力・原発を推進する総本山のような役所=文部科学省(旧科学技術庁)が、その原子力・原発の事故の後始末をする、被害者への賠償・補償を統制する、などという利益相反丸出しの役割を担っているところに諸悪の根源があると言える。

 

2.(勝手に決めるな:その1)東電が墓石修理費用の2割賠償(毎日 2014.7.24

 http://mainichi.jp/select/news/m20140724k0000m040115000c.html

 

(一部抜粋)

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「東京電力は23日、福島第1原発事故に伴う財物賠償の一環として、避難区域内の墓を修理する場合は、かかった費用の2割(上限30万円)を支払うと発表した。修理に伴う祭祀(さいし)費用として2万円、諸経費として1万円を負担する。東電は、避難区域には約3万世帯が住み、この半数に1世帯当たり33万円を賠償すると想定。総額は約50億円と見積もっている。一方、移転させる場合は運搬費用を150万円を上限に負担する。移転できない場合は新しい墓の取得費用として、墓地1区画当たり150万円を上限に支払う。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎)勝手に決め付けるなよ。お墓と言ったっていろいろある。なんで上限30万円、150万円なんだよ。

 

3.(勝手に決めるな:その2)立木賠償方針まとまる(福島民報 2014.5.16

 

(一部抜粋)

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「福島第一原発事故に伴う財物賠償で、政府と東電は十五日までに、立木に関する賠償方針案をまとめた。「帰還困難」「居住制限」「避難指示解除準備」の各区域と双葉郡は、人工林が1ha当たり百万円、天然林が三十万円とする。双葉郡を除く「旧緊急時避難準備」「屋内退避」両区域の天然林は十万円、その他の県内の天然林は、過去の手入れや取引実績を条件に五万円とし、さらに個別事情に応じて賠償が必要と認められれば、三十万円を上限に支払う。一方、スギなどの人工林は、樹皮を剥げば製材として出荷できるとして、帰還困難区域などを除き賠償対象外とする。」

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(田中一郎)全くふざけた話で、これも勝手に100万円、30万円、10万円、5万円などと一方的に決め付けている。双葉郡を除く「旧緊急時避難準備」「屋内退避」両区域では、スギなどの人工林は賠償しない、何故なら「樹皮を剥げば製材として出荷できる」だと。こんなもの、はいそうですか、というわけにいかないだろう。たとえば、その放射能まみれの樹皮は誰が剥いでくれるのか、また、剥ぎ取った樹皮はだれがどうするのか。まして、「旧緊急時避難準備」「屋内退避」両区域以外となると、いかなる山林も賠償しないというのだから、話にならないのだ。東京電力役職員や霞が関の役人どもの財産についても、同じようにしてやったらどうか。

 

4.(勝手に決めるな:その3)原発賠償に追加基準 東電 住宅取得や修繕費対象(読売 2014.5.1

 

(一部抜粋)

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「同区域内に持ち家がある被災者の場合、避難指示解除後に帰還する際の自宅修繕費や、移住先で住宅を取得する費用などが対象。被災者が負担した金額と、これまで東電が支払った財物賠償金の差額が支払われる。持ち家の築年数などに応じて上限が設けられる。原発事故前に借家に住んでいた被災者の場合は、転居先の家賃や礼金などの相場を基に算出した。帰還する被災者は、1世帯当たり一律10万円(世帯人数が2人以上は1人増えるごとに1万円を加算)、同区域外の借家への転居は一律162万円(同61万円を加算)が賠償される。」

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(田中一郎)これも同じで「勝手に決めるな!!」だ。賠償・補償は大日本帝国の臣民に対する「配給」ではないのだ。

 

5.福島第1原発事故の損害賠償をめぐる動き(福島民報 2014.7.1

(賠償・補償をめぐる被害者の動きに関する若干の記事、これからもこうした動きはますます増えてくるだろうし、増えてこなければいけない。日弁連は被害者を全力で支援してほしい。何度も申しあげて恐縮ながら、福島第1原発事故の被害者の方々を救済できないようなら、日本の司法も法曹界もいらない)

 

6.医療費支給の試案示す、支援議連 放射性物質原因の病気(福島民報 2014.5.30

 超党派の国会議員で組織する「子ども・被災者支援議員連盟」の総会で、福島第1原発事故に伴う放射性物質が原因で発症した病気に関して、医療費支給の法律試案が示されたという記事。試案では、震災当時18歳未満だった福島県のこどもが甲状腺がんを発症した場合に医療費を支給する、環境大臣が任命する、とある。

 

 しかし、何故、18歳未満だけなのか、何故、福島県に限るのか、何故、甲状腺がんだけなのか(甲状腺のその他疾患も対象にならないし、甲状腺以外の病気も対象外)、「放射性物質が原因の病気」とあるが、その因果関係はだれがどのように証明するのか、など、この法案は問題だらけである。この議連は本気で福島第1原発事故の健康被害者を支援・救済する気があるのかな???

 

7.福島原発事故コスト 少なくとも11兆円 国民に負担押し付け(東京 2014.7.23

 https://twitter.com/hiyohiyo145/status/491731317357154304/photo/1

 http://saikadososhinet.sakura.ne.jp/ss/archives/6292

 

 福島第1原発事故の後始末費用=廃炉・追加事故防止、除染・汚染ごみ管理、賠償・補償・再建支援のそれぞれにかかる費用は、これまでに既に11兆円にもなっているが、こんな金額ではとてもおさまりそうにない。それぞれについて、今までの何倍もの費用が必要になり、さらに加えて、これから出てくる健康被害への巨額(賠償及び治療・療養)費用や、使用済み核燃料及び溶融燃料の半永久管理のための費用が積みあがる。いったい、この費用は誰が負担するのか。

 

 原発は必ず過酷事故を引き起こし、引き起こした後は、すべて有権者・国民がその尻拭いをさせられ、場合によっては深刻に被ばくさせられる。しかし、電気は原発などなくても手に入るし、原発などなくても足りている。では、何のために原発を稼働するのか。原発とは現代の「狂気」である。

 

 <本来あるべき賠償・補償の基準>

(1)全ての被害者の全ての被害・損害が何の留保条件を付けられることなく全額賠償または原状復帰されること(逸失利益含む)

(2)全ての被害者の生活及び経営が再建されること(費用,段取り,その他の負担のすべてを加害者が負うこと)


(3)上記(2)の再建が確認できるまでの間,全ての被害者の生活及び経営が補償されること


(4)2011311日以降,上記の賠償・補償・再建費用が実払いされるまでの間,電気料金遅延にかかる「遅延損害金」と同利率(10%)の「遅延損害金」が被害者に支払われること


(5)悪質な交通事故被害の場合以上の慰謝料(迷惑料)が被害者に支払われること


(+α)被害者の被害は「お金」に変えられないものも多い。その部分を加害者・東京電力(及び原発メーカー)や事故責任者・国が万全にフォローすること 

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

(1)加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている  (1)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/1-b12a.html

 

(2)加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている  (2)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1-edbf.html

 

(3)加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている   (3):原発過酷事故を起こしても「免責」だと、冗談ではない!!  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1-37ef.html

 

(4)加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている   (4):見えてきたカラクリ  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1-0379.html

 

 

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