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2014年6月18日 (水)

巧言令色鮮仁の似非農業改革:一般論の美辞麗句で飾られた目的を詐称して、その真逆の処方箋を打ち出す規制改革会議(その目的は委員たち自身の商売繁盛)

前略,田中一郎です。

 

 下記は、2014年6月17日付の農業業界紙『日刊アグリ・リサーチ』の記事です。このほど政府の規制改革会議が打ち出した農業委員会及び農業生産法人に関する「改悪プラン」がコンパクトに整理されていますので、ご参考までにお送りいたします。

 

 このメールの表題にも書きましたように、この「似非農業改革」プランは、一言で言いますと「巧言令色鮮仁の似非農業改革:一般論の美辞麗句で飾られた目的を詐称して、その真逆の処方箋を打ち出す規制改革会議、その目的は委員たち自身(及び委員たちの背後にいる利害関係人)の商売繁盛が目的」ということです。くだけた形で申し上げれば、自分たちが農村や農業分野で商売をしていくにあたり、農業委員会が邪魔なのでぶっこわす、また、農業生産法人を自分たちが支配できないのでそれも変える、ということにすぎません。後日お送りする予定の農協改革プランもそんな調子の似非改革です。

 

 私利私欲を実現するために、天下国家を論じ、大義名分を振り回す、似非改革の下劣きわまる「ちょうちん人間」たちの集まり、それが安倍晋三政権の規制改革会議なるものの正体です。そして、ここまで日本農業を何とか守り育ててきた担い手を横へ押しのけ、農業基盤である農地を「農業のための農地」から「金もうけの手段としての農地」に転換せんとする、市場原理主義アホダラ教とご都合主義の混ざり合った、どうしようもない農業破壊のプラン、それが今回の農業改革プランです。こんなものは、安倍晋三政権とともに破棄されるべきです。

 

 <一般論の美辞麗句で飾られた目的を詐称して、その真逆の処方箋を打ち出すいくつかの事例>

 

(1)「農地利用の最適化に重点置き」

 

 ⇒ 農地利用の最適化に重点を置くのであれば、一番いい仕組みは、農業を自ら行う生産者・農家自身が、農地に関する権利(所有権や賃借権など)を持つのが最も最適のはず。日本は、不在寄生地主に支配されることにより長きにわたって悩まされ続け、農村・農民を疲弊させてしまった戦前の苦い経験から、農地政策を戦後の農地改革を経て、この「自ら耕すものに農地を」という「耕作者主義」の農地政策に切り替え、その後はその政策方針を一貫して取り続けてきた(新聞等で「自作農主義」とあるのは間違い。それは戦後10~15年くらいの間の話で、その後、借地形式での農地の集約や流動化が政策的に促進されるようになり、「自作農主義」は「耕作者主義」に転換した)。しかし、規制改革会議は、その「耕作者主義」を破棄して、不在地主や不在資本による農地や農業支配を推し進めるべく、農地法改悪を画策し続けている(「不在地主」や「不在資本」の「不在」とは、農地のある当該農村に「不在」であること=つまり農村外部の地主、外部資本のことを言う)。

 

(2)「農業委員会の使命を的確に果たすことのできる適切な人物が透明なプロセスを経て確実に委員に就任するようにするため、選挙制度を廃止するとともに、議会推薦・団体推薦による選任制度も廃止し、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任委員に一元化する。」

 

 ⇒ わけのわからない文章である。「適切な人物が透明なプロセスを経て確実に委員に就任するようにするため」には、不透明な「市町村長の選任委員」ではだめで、選挙制度を入れて委員を農村の生産者・農家みんなで選んでいこう、その方が適切な人物が委員となりやすく、かつ選任プロセスも透明である、というのなら理解できる。しかし、書かれていることはそれとは逆で、選任プロセスが透明な選挙をやめて、不透明な市町村長指名にするというのだから、わけがわからない。また、「利得関係がなく公正に判断できる者を必ず入れることとする」などとも書かれているが、かような記述は具体性に欠けていて無内容な文章であり、また、それが何故、市町村長指名の農業委員になったら実現するのかもさっぱりわからない(要するに選挙で選ばれる農業委員をやめさせて、外部資本や外部地主の息のかかる人間を市町村長を籠絡して農業委員にしてしまおうということを意味している)。

 

(3)「また、機動的な対応を可能とするため、農業委員は現行の半分程度の規模にする。」

 

 ⇒ 耕作放棄地の拡大、高齢化から死去に伴い農地の相続手続きの増加、農地転用の動きの増大などなどを受け、農地の現状調査から耕作放棄地の発生防止と既存放棄地の回復、生産者・農家からの各種相談など、農業委員会の仕事は増大傾向にある(逆に言うと、増大傾向にない農村は、既に農業が放棄されて衰退し始めているということを意味する)。しかも、下記に見るように、農業委員会の事務局の体制もお寒い限りである。こんな状況なのに、何故、農業委員を減らすのか。これこそ、こじつけ理由による「ためにする議論」そのものである。何が「機動的な対応」か!!。

 

(4)「現在の平均的な農業委員会事務局職員数は約五人であり、その約半数が市町村内部部局との兼任となっており、農業委員会の実務的機能の強化を図る上で、現在の事務局体制では必ずしも十分ではないという指摘がある。したがって、農業委員会の事務局については、複数の市町村による事務局の共同設置や事務局員の人事サイクルの長期化の実施などにより業務の円滑な実施ができるよう体制を強化する。」

 

 ⇒ 人数が少なくて仕事が十分に回らない、というのだから、素直に人数を増やせばいいものを、近隣の農業委員会と事務局を共通にして運営するなどと書いている。これは組織を合理化=人減らしをするときに使う方法であり、まったく真逆の処方箋である。また、人事サイクルの長期化は人事の滞留を生んで組織の活力を乏しくし、仕事の刷新性や効率性を損ねてしまうことになりかねない。なにゆうてますのよ、でござる。

 

 以下、似たようなインチキ処方があちこちに散見される。かつて教育委員会の委員が公選から自治体首長による指名になったことにより、政治色の強い歪んだ人事が横行したり、委員会そのものが形骸化して、その本来の機能を果たさなくなったように、農業委員会も、その公選制度を廃止してしまうと、今よりもなお一層ひどい状態=たとえば一部有力農業委員による地域農地の差配と私物化などが起きてしまうのではないか。農業委員会の本来の機能を向上させる為には、委員の市町村長指名制度や、委員の数を減らすことではなく、真正面から、その農業委員会の活動状況をオープンにし、おかしな点を改めさせて行くという正攻法が最も近道である。

 

 

●『日刊アグリ・リサーチ』記事

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 農地利用の最適化に重点置き「推進委員」を新設など、農委等及び農業生産法人の見直しH規制改革会議答申

 

 政府の規制改革会議が二二日、「規制改革に関する第二次答申」(既報)の取りまとめを行い安倍総理に提出した。第二次答申の農業分野の中で「農業委員会等の見直し」について、「農業をめぐる社会経済の構造変化に対応して、農業委員会は、遊休農地対策を含めた農地利用の最適化に重点を置き、これらの業務の積極的な展開を凶る」「残された時間的な猶予は少ない中で、農地利用最適化推進委員(仮称)を新設するなど農業委員会の実務的機能の強化を図る」とした。 

 

 また、農地を所有できる法人(農業生産法人)の見直しでは、「長年にわたり耕作に従事してきた農業者の豊富で有益な経験と新しい世代や異なる地域・業種の知恵・技術・ノウハウとをつなぐ」「さまざまな担い手による協働の中から地域農業の多伎な経常・技術の革新と付加価値の拡大を図り、新分野の価値の創出と企業化を推進する」としている。答申で示された農業委員会等及び農地を所有できる法人(農業生産法人)見直しの具体的な記述内容は次の通り。

 

〈農業委員会等の見直し〉

ア.選挙・選任方法の見直し【平成二六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 現在の農業委員については、名誉職となっているのではないか、兼業農家が多いのではないか等の指摘がある。したがって、農業委員会の使命を的確に果たすことのできる適切な人物が透明なプロセスを経て確実に委員に就任するようにするため、選挙制度を廃止するとともに、議会推薦・団体推薦による選任制度も廃止し、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任委員に一元化する。その際、事前に地域からの推薦・公募等を行えることとする。これに伴い、市町村長は、農業委員の過半は認定農業者の中から選任し、また、利得関係がなく公正に判断できる者を必ず入れることとする。

 

 また、機動的な対応を可能とするため、農業委員は現行の半分程度の規模にする。さらに、女性・青年農業委員を積極的に登用する。なお、委員にはその職務の的確な遂行を前提としてふさわしい報酬を支払うよう報酬水準の引き上げを検討するものとする。

 

イ.農業委員会の事務局の強化【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 現在の平均的な農業委員会事務局職員数は約五人であり、その約半数が市町村内部部局との兼任し乙なっており、農業委員会の実務的機能の強化を図る上で、現在の事務局体制では必ずしも十分ではないという指摘がある。したがって、農業委員会の事務局については、複数の市町村による事務局の共同設置や事務局員の人事サイクルの長期化の実施などにより業務の円滑な実施ができるよう体制を強化する。

 

ウ.農地利用最適化推進委員の新設【平成二六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 農業生産・経営の基礎的な資源としての農地は減少傾向にあり、耕作放棄地の増加に歯止めをかけられない状況が続いており、農業委員会の業務の一部である耕作放棄地の調査・改善指導など、農地の監視活動の強化を図るべき等の指摘がある。したがって、農業委員会の指揮の下で、担い手への集積・集約化、耕作放棄地の発生防止・解消、新規参入の促進など各地域における農地利用の最適化や担い手の育成・発展の支援を推進する農地利用最適化推進委員(仮称)の設置を法定化する。

 

 なお、農地利用最適化推進委員は、農業委員会が選任することとし、その際事前に地域からの推薦・公募等を行えるようにする。農地利用最適化推進委員は、地域の実情に応じて必要数を選任し、報酬は、市町村ごとに一定のルールの枠内で支給することを検討する。

 

エ.都道府県農業会議・全国農業会議所制度の見直し【平成二六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 農業委員会は、自らの置かれた環境に応じ自主的・主体的に責任をもってその業務に取り組むことを基本とすべきである。したがって、農業委員会の見直しに併せて、都道府県農業会議、全国農業会議所については、農業委員会ネットワークとして、その役割を見直し、農業委員会の連絡・調整、農業委員会の業務の効率化・質の向上に資する事業、農地利用最適化の優良事例の横展開等を行う法人として、都道府県・国が法律上指定する新たな制度に移行する。

 

オ.情報公開等【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 農業委員会については、農業委員会と関わることが少ないことや外部の人間の口に見える活動が少ないことなどから、その活動が見えないという指摘がある。したがって、農業委員会は、その業務の執行状況を農業者等の関係者に分かりやすくタイムリーに情報発信するものとする。また、農業委員会は、農地の利用状況調査を毎年、確実に行い、農地ごとにその利用状況を公表する。農林水産省及び都道府県農政部局は、農業委員会の業務の執行状況に関する情報公開を行い、農業委員会に対する適切な助言、支援等を行う。

 

カ.遊休農地対策【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 耕作放棄地が増加している現状や、今後、域外参入者や農外企業を合め多様な担い手の参入が予怨されることを踏まえ、農地の保全について取組を一層強化する必要がある。したがって、農業委員会は、農地の利用関係の調整、農地中間管理権の取得に関する協議の勧告等の業務を着実に実施するものとするほか、農地中間管理機構が必要に応じて農業委員会に対して利用意向調査の実施を促す仕組みをつくる。

 

キ.違反転用への対応【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 都道府県知事等は、違反転用者に対し農地への原状回復を促す指導・勧告や処分を行うものとされているが、違反転用に対する処分等が必ずしも十分に行われていないのではないかとの指摘がある。したがって、優良農地の確保の業務を強化するとととし、違反転用事案について、権限を有する都道府県知事文は農林水産大臣に対して農業委員会が権限行使を求めることができる仕組みをつくる。

 

ク.行政庁への建議等の業務の見直し【平成ニ六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 農業委員会は、遊休農地対策や違反転用対策に重点を置き、これらの業務の積極的な展開を図るべきであるという指摘がある。したがって、農業及び農民に関する事項についての意見公表、行政庁への建議等の業務は、農業委員会等に関する法律に基づく業務から除外する。

 

ケ.転用制度の見直し【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 農地転用制度について、現行の要件が農業の六次産業化や営農に必要な施設の設置等に支障となっているとの指摘がある。したがって、植物工場、販売加工施設など農業の六次産業化・成長産業化に資する農地の転用については、より円滑な転用を可能一-とする観点から見直しを行う。

 

コ.転用利益の地域の農業への還元【平成二六年度検討開始】

 農地が国民のために限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることに鑑み、地域における農地の適切な保全を図りつつ、農地流動化を促進する必要がある。したがって、農地流動化の阻害要因となる転用期待を抑制する観点から、転用利益の地域農業への還元等、公平で実効性のある方策について中長期的に検討を進める。

 

〈農地を所有できる法人の見直し〉

ア.役員要件・構成員要件の見直し【平成二六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 農業生産法人の制度は、長年にわたり耕作に従事してきた農業者の盟簡で有益な経験と、新しい世代や異なる地域・業種の知恵・技術・ノウハウとをつなぐ観点から、その充実・拡充が検討されるべきである。この点について、現行の農業生原法人の要件については、事業規模拡大に十分に対応できるか、農業者の資金調達手段を狭めていないか、その制度が現場に携わる者にとって簡素で分かりやすいものになっているか等の観点から所要の改善が求められる。

 

 したがって、現行の農業生産法人制度に係る改葬を図るため、以下を内容とする農地法の改正案を次期通常国会に提出する。

a.役員要件について、役員又は軍要な使用人のうち一人以上が農作業に従事しなければならないものとする。

 ※りースの場合における役員の要件についても同様に、役員又は重要な使用人とする見直しを行うものとする。

 

b.構成員要件について、議決権を有する出資者のうち、二分の一を超える者は農業関係者でなければならない一方で、二分の一未満については制限を設けないものとする。

 

イ.事業拡大への対応等【原則として「農地中間管理事業に関する法律」の五年後見直しに併せて措置】

 事業拡大を進める意欲的な法人にとって、農地を所有できる法人(農業生産法人)の要件が成長の墜となっているとの指摘があり、諸般の状況変化に応じて適切に見直しがなされていくべきである。したがって、吏なる農業生産法人要件の緩和や農地制度の見直しについては、「農地中間管理事業に関する法律」の五年後見直し(法附則に規定)に際して、それまでにリース方式で参入した企業の状況等を踏まえつつ、検討し、結論を得る。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

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