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2014年6月25日 (水)

(セミナー報告)PM2.5とナノ粒子=次世代へのリスクを減らすために知っておきたいこと (& ナノサイズの放射性物質=ホットパーティクルの危険性を推測する)

前略,田中一郎です。

 

昨日、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議主催のナノテクノロジー・ナノ物質に関するセミナーが日本弁護士連合会会館で開催されました。別添PDFファイル、及び下記URL(文章の最後)は、その際の資料(及び関連資料「ナノアクション」)です。ご参考までにお送り申しあげます。

 

講師は東京理科大学総合研究機構の梅津雅和氏で、若手ナノテク・ナノ物質研究のホープとのご紹介でした。当セミナーは丸2時間、会場(約30人)との質疑応答を交えながらのものでしたが、非常に内容レベルの高い興味深いものでした。おかげさまで、ナノ物質(粒子)について、自分自身の見識が少々深まったような気がします。更に、次回のナノ物質(粒子)に関するセミナー等に期待いたします。

 

624日(火)学習会「PM2.5とナノ粒子 ~次世代へのリスクを減らすために知っておきたいこと~」のご案内 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

 http://kokumin-kaigi.org/?p=1807

 

(参考)化学物質の2020年目標のパンフレット完成 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

 http://kokumin-kaigi.org/?p=1791

(とてもいいパンフですから、ぜひ目を通してみてください)

 

 <別添PDFファイル>

(1)PM2.5とナノ粒子(レジメ1)(梅沢雅和(東京理科大学総合研究機構:2014624日)「nanoteku_rejime_sono1.pdf」をダウンロード

(2)PM2.5とナノ粒子(レジメ2)(梅沢雅和(東京理科大学総合研究機構:2014624日)「nanoteku_rejime_sono.pdf」をダウンロード

(3)PM2.5とナノ粒子(レジメ3)(梅沢雅和(東京理科大学総合研究機構:2014624日)「nanoteku_rejime_sono.pdf」をダウンロード

 

ナノ物質(ナノ粒子)とは、大きさがナノサイズの物質全般のことを言う。ナノサイズとは、メートル(m)、ミリ(mm)、マイクロ(μ)、ナノ、ピコと、それぞれ1/1000ずつ小さくなっていく単位名称の「ナノ」である。1ナノメートルは1/1,000,000,000=10億分の1メートルのことだ。

 

ナノ物質(ナノ粒子)は大きく分けて、工場から出てくる排煙や自動車排ガス等に含まれるナノ(サイズの)粒子と、カーボン・ナノ・チューブや化粧品等に含まれるナノ物質に代表される工業製品類がある。前者の排煙・排ガスなどはPM2.5と表記されることが多いが、それは粒子径2.5μm以下のもの全てを含み、そのうち1μ以下、特に数十ナノ~数百ナノの大きさのものがナノ物質(粒子)である(ちなみに会場からの質問で、PM2.5のうち、どれくらいナノ物質(粒子)が含まれているかについては、よくわからない=計測できない、との回答だった)。また、前者は、特定物質の粒子ではなく、さまざまな物質の粒子が団子状に固まった状態で存在している多分子複合体であり、後者の工業製品の方は、単一または特定の分子や化合物の固まりであることが多いものと思われる。

 

そして、このナノ物質(粒子)については、現在、ハイテク新産業・新素材の一つとして工業界が注目し、これを利用すべく新製品開発に熱が入る。既に、化粧品や日用品などにもナノ物質が使われたものが登場し、さまざまな宣伝文句付きで販売されるようになってきた(当セミナーで最初の笑い話となったのが、ある化粧品の話で、少し前には、ナノ物質だからお肌の中にまで浸透してよく効きますとうたわれていたものがあるかと思えば、昨今では、ナノ物質なので、お肌の中に染み透ることはありませんなどと説明書きされている、いったいどっちなんだろう、というものだった。講師の説明では、傷やアレルギーのある人の肌を除き、一般の人の肌はナノ物質(粒子)を通しにくいとのことだった)

 

しかし、一方で、このナノ物質(粒子)は、その潜在的な危険性、特にナノ物質(粒子)の、触れたり、呼吸で吸い込んだり、口の中に入れてしまったりすることによる健康への悪影響や、更には、母体から胎児への妊娠中でのナノ物質(粒子)の移行による遺伝的な悪影響についても懸念され始めている。具体的には、だいぶ前に、工業製品ナノ物質の代表格であるカーボン・ナノチューブの分子形状がアスベストと非常に似通っており、おそらくこれへの被ばくがアスベストと同様の疾患の発生を予想させるものであることが指摘されている(カーボン・ナノチューブ以外にも、アスベストと同じような形状をもったナノ物質(粒子)があるそうだ:酸化チタンなど)。

 

今回のセミナーでは、このナノ物質(粒子)の生体内での挙動や、その危険性、遺伝的影響などに着目した説明が行われた。いずれも、初耳の驚くべき内容であったが、特に話の中で印象に残ったものを若干下記に列記しておく。詳細は別添PDFファイルのレジメをご覧いただきたい。

 

(1)ナノ物質の生物の健康への危険性の原因は、上記のようなナノ物質の形状や分子構造(アスベストに似ている)から来る場合に加えて、ナノ物質の表面における化学反応促進の性質、とくに酸化反応促進性が寄与しているという。また、ナノ物質(粒子)の化学的特性も重積的に毒性に関与しているものと思われる。

 

(2)ナノ物質(粒子)は、生体に酸化ストレスを与えることが動物実験で確かめられており、その度合いは、ナノ物質(粒子)が小さければ小さいほどストレスが大きくなることが確認されている。これは、質量が同じであれば、ナノ物質(粒子)の表面積が小粒になればなるほど広くなり、その粒子表面での化学反応促進度が上がるためと思われる。

 

(3)また、ナノ物質(粒子)が生物体内に侵入してくる場合も、粒子状が大きい場合には呼吸器等の入口のところで捕捉されて体内侵入が防がれるが、粒子状が小さいと、呼吸器の奥の方まで入ってしまい、更には、そこから血管やリンパ腺の中にまで侵入してしまうことになる。ナノ物質(粒子)のように、大きさが小さいことが生物体内での挙動をより危険なものにしている。

 

 なお、生物体内へのナノ物質(粒子)の侵入経路は、①呼吸器から血管やリンパ腺へ、②皮膚の傷口から体内へ、③経口摂取による消化器系からの侵入、の3つが考えられるが、このうち、③消化器系からの侵入はあまり心配いらないとの説明だった。影響が懸念されるのは①と②である。

 

(4)ディーゼル排ガスを妊娠中の母体マウスに吸引させ、その胎児への影響を見た実証実験で、ディーゼル排ガスが出生子どもマウスの中枢神経系や雄性生殖機能に影響を及ぼすことが分かった。母体が吸い込んだディーゼル排ガス中のナノ物質(粒子)が、生まれた子供のマウスの脳に濃縮蓄積している結果が出ていることには驚かされた。そのナノ物質(粒子)は、前頭皮質におけるドーパミン及び代謝物質の量に影響を与え、特定の疾患を引き起こす可能性があるという(脳のドーパミンに関係する病気であるパーキンソン病など)。

 

(5)また、ナノ物質(粒子)が皮下からの投与で血管内に入り、それが血流に乗って胎児の脳に集まってくることや、呼吸によって吸引させた母体マウスのナノ物質(粒子)が、胎盤を通過して胎児の脳に集まって神経系統に悪影響を及ぼすことも分かったという。別添PDFファイルのレジメにある「二酸化チタン・ナノ粒子の妊娠期(マウス)による次世代中枢神経系への影響」(レジメ2)には、健康障害の例として、酸化ストレス、アポトーシス(細胞死)、脳神経疾患、伝達物質情動、神経発達行動活性などが列記されている。

 

(6)更に、カーボンブラックナノ粒子が次世代の脳血管周囲細胞に及ぼす影響についても説明があった(よくわからなかった)。

 

(7)最後に、ナノ物質(粒子)のモニタリングや規制・安全対策などについての説明で、①観測されたナノ物質(粒子)の量は、一時点での値なのか、日平均値なのか、年平均値なのかに注意すること(何の注意書きもない数値が独り歩きしていることがある)、②基準値と比べる、同じ場所の他の時期と比べる、ことを忘れないことや、ナノ物質(粒子)のリスク管理に向けて、①有害性評価指標を確立すること、②ナノ粒子の高感度かつ定量的な検出技術を確立すること、③曝露シナリオ(どのように被ばくしやすいかのケーススタディ)の区別、などが課題であることが示された。

 

 また、研究課題としては、次の7つが挙げられている。

・高感受性集団への影響

・次世代影響

・動物とヒトの種差

・低用量での影響

・化学組成・物性と生体影響との相関性

•・「質量濃度jで十分か?

・経皮毒性

 

 かなり感銘を受けたセミナーでした。私は講師の梅津雅和氏の話を聞いて、このナノ物質(粒子)は危ないと感じました。やはり何らかの安全対策や規制が実施されなければならないと思われます。それは、アスベストのように、たくさんの被害者が出てから、しぶしぶやっとのことで規制するのではなく、ナノテク製品が市場に行き渡る前に、ナノ粒子を含む排気・排ガスが蔓延する前に、予防的に手が打たれるべきであると強く思いました。どのようにするのがいいのか、まだ判断できるほどの知識はありませんが、参考までに、別添PDFファイルに、今回のセミナーとは無関係なルートから入手した「ナノテクノロジー・ナノ物質管理のための指針」という冊子(の一部抜粋コピー)を添付しておきます。ご参考にしてください。

 

(参考)国際技術評価センター・国際NGO連合 2007年/ナノ技術とナノ物質の監視のための原則

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/CTA/Principles_Oversight_Nano.html

 

 そして、もう一つ、声を大にしておきたいことがあります。それは、このナノ物質(粒子)は、何も非放射性物質であるとは限らないということです。福島第1原発事故で環境に放出された放射性物質で、いわゆるナノ物質(粒子)化しているものがあるはずです。いわゆる「ホットパーティクル」です。そして、この「ホットパーティクル」は、ナノサイズの大きさになった場合には、人間の体内に入り込むと、マウス実験で見られたように、血管の中の血流に乗って脳や腎臓その他の臓器や部位に運ばれたり、妊婦の場合には、その胎児の体内にも入っていくことが予想されます。しかも、その毒性は、ナノ物質(粒子)としての属性に加えて、化学物質としての毒性に、更に、最も恐ろしいと思われる放射性物質としての毒性が加わるのです。考えただけでもぞっとする話です。しかし、このナノ物質(粒子)としての「ホットパーティクル」の危険性についての説明は、これまで一度も見たことも聞いたこともありません。

 

 原子力ムラ・放射線ムラが、本気で多くの国民・市民の信頼を得たいと思うのなら、その子どもだまし・素人だましの放射線防護学なる似非科学を捨て、ナノテク研究やエピジェネティクス研究に代表されるような、今日の先端科学の成果をきちんとその学説に反映させ、特に放射線被曝の危険性を強調することです。ナノサイズの「ホットパーティクル」が生物や人間の健康に及ぼす害悪性の実証的研究は、その最先端を形成するものとなるでしょう。

早々

 

 

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コメント

一郎様
はじめまして。
危惧するところはやはり放射能影響ですよね。

ひとつだけ教えてください。
(5)の  「皮下」から投与・・・というところが素人でイメージが湧きません。
具体的な説明がありましたでしょうか?
もし、方法などについてお聞きでしたら
お教えください。

よろしくお願いいたします。

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