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2014年6月

2014年6月29日 (日)

(輸入食品に走るのは危ない) 「遺伝子組換え(GM)]のようで「遺伝子組換え」でない、ベンベン、それは何かと尋ねたら、ベンベン、インチキ、インチキ、インチキ、インチキ、TPP前倒し

前略,田中一郎です。

 

国産の食品が放射能汚染されてしまったので、海外からの輸入食品を買って食べることにする、というのは「かえって危ない」ということを、少し前の「前門の虎・放射能汚染、後門の狼・TPP」で申し上げた記憶がありますが、その一つの事例として、輸入食品に含まれる遺伝子組換え(GM)食品添加物や、輸入されるGM食品添加物そのものについての簡単なレポートをご紹介します。

 

別添PDFファイルの下記をご覧下さい。「遺伝子組換え食品いらない! キャンペーン」の天笠啓祐氏が執筆した「安全審査が簡略化される食品添加物」というレポートです。そこには、「ナチュラル・オカレンス」や「セルフ・クローニング」と呼ばれる新タイプの遺伝子組換え技術でつくられた飲食品(特に食品添加物)が、遺伝子組換え(GM)であるにもかかわらず「遺伝子組換えでない」とされて、安全審査を省略されてしまっていることが告発されています。つまり、日本政府・厚生労働省の食の安全管理は、出鱈目の極致に達しているということです。

 

そして、この新型「遺伝子組換え」の食品添加物は、輸入加工食品や、輸入食品添加物を使って国内でつくられた国産加工食品に、たんまりと含まれているのです。我々は、安全性が確認されていない未知の物質の人体実験にされていると言っていいでしょう。先般は、未承認の遺伝子組換え(GM)食品添加物が大量に発見されて大騒ぎになり、厚生労働省は、あわてて、(市場に出回っているものを回収するのではなく)、食品安全委員会にその使用許可を申請し、検討らしい検討もないままに、食品安全委員会にOK=ゴーサインを出させ、それを追認してしまいました(流通量が少なそうな1品目だけが回収させられています)。信じがたい食品安全行政です。

 

今現在、厚生労働省や農林水産省がやっていることは、TPP妥結をにらんだ、実質的なTPPの前倒しの(安全)規制緩和・規制撤廃です。無用の規制が撤廃されたり改正されているのではなく、消費者・国民の安全や健康のために必要不可欠な規制が葬り去られているのです。簡単に言えば、やりたい放題自由貿易主義のTPPに日本のなけなしの規制を合わせるため、その大半を形だけのものにしてしまう、あるいはなくしてしまう、という大作業が進められているのです。その一つが、食品添加物であり、もう一つが、混合診療などの医療・介護関連改悪です。

 

既に、猛烈な勢いで、海外からの輸入食品に含まれていそうな食品添加物と、輸入食品添加物そのものに、次々とOKが出されております。その安全審査などは、まともにはなされておりません。その一環として、ついには、遺伝子組換え規制 にまで手を出して、その骨抜きをしてしまったということです。詳しくは別添PDFファイルをご覧下さい。

 

(なお、日本国内で使用される食品添加物のほぼ全部が、いまや輸入食品添加物であるのだそうです。ぞっとする話ですが、意外なところに食べものの危機が迫っています。私は、清涼飲料水は、もうおやめになった方がいいと思います。特に子どもについてはそうです。飲ませない方がいい。食品添加物がたくさん含まれている他、甘味料も発がん性があると言われているスクラロースやアスパルテームなどが使われており、毒物汁のようなものだからです)

 

また、もう一つの別添PDFファイルは、遺伝子組換え食品の表示が、いよいよアメリカで始まりそうな社会情勢になってきたことを伝える記事です。これはTPP交渉後の出鱈目な日本の遺伝子組換え食品表示に大きな影響を与え、また、私たち消費者・国民が遺伝子組換え食品を避けることができる選択肢を与えるものです。表示が適正化され、遺伝子組換えの加工食品がどれなのかがわかるようになれば、多くの消費者・国民がそれを買わない・選択しないことによって、遺伝子組換え食品を撲滅させることができるわけです。それが怖いので、GMバイオ企業は必死にGM表示に抵抗しております。今や世界最大の抵抗勢力=それがGM企業(モンサントなど)です。

 

 <別添PDFファイル>

(1)安全審査が簡略化される食品添加物(GMいらない!キャンペーンニュース 2014.6.20

「sinn_gm_sinsasyouryaku.pdf」をダウンロード

(2)米バーモント州でGM食品表示施行へ(GMいらない!キャンペーンニュース 2014.6.20

「beikoku_gm_hyouji_bamonto.pdf」をダウンロード

 

 <参考:「遺伝子組換え食品いらない! キャンペーン」HP>

●遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン 遺伝子組み換え作物の作付け禁止や表示の徹底を求めて活動しています

 http://gmo-iranai.lolipop.jp/

早々

 

2014年6月28日 (土)

個人線量計で被ばく管理をするなど、とんでもないご都合主義であり、また、被害者をモルモットにする悪意の人権侵害行為である

前略,田中一郎です。

本論に行く前に、ちょっとこれを見ておいてください。

 

● 美浜の会 HP

 http://www.jca.apc.org/mihama/

(このサイトの一番上です)

 

●7月18日(金) 玄海原発3号炉プルサーマルMOX裁判 証人尋問  陳述書 小山 英之 (2014.6.18)

 http://www.jca.apc.org/mihama/ooi/genkai_chinjutsu_20140618.pdf

 

(参考)玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会HP

 http://saga-genkai.jimdo.com/2014/06/11/7月18日の証人尋問-9月結審-そして判決に向けて/

 

以下、本論

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「最後は金目」&「サティアン」大臣・石原伸晃(「最後は金目」「サティアン」などと言っているのは、この男だけなんだけど)が所管する環境省の下記の(似非)専門家会議が、福島第1原発事故後の除染や放射線防護に手を焼いて、とうとう個人線量計による被ばく管理と、それに対応した被ばく限度線量の緩和(限度線量水準の引き上げ)を画策しているようです、福島第1原発事故の被害者住民を、不作為ゆえの大量初期被ばくと、その後の恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)に晒した上、更に今度は、モルモット扱いによる人体実験的試みを強要しようとしております。許しがたい話です。

 

 みなさま、個人線量計による被ばく管理は出鱈目だ、の「一大キャンペーン」が必要ではないでしょうか。

 

● 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議

 http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html

 

● 第6回 住民の健康管理のあり方に関する専門家会議 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人  アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1780


(ワープラネット・ティービーのサイトに毎回の上記専門家会議の録画が収録されていて、ネット検索して見ることができます)

 

 <私が考える「個人線量計で被ばく管理をするなど、とんでもない」理由>

私が考える、個人線量計による被ばく管理はダメだ、の理由は下記のようなことです。

 

(1)置き忘れや携帯忘れ、入浴時や就寝時などでは携帯できず、などの理由から、個人線量計は常に実際の被ばく量よりも小さく出てくる。個人線量計の数値を基準にしようとしているのは、このことにもたれかかって、現在の1mSvなどの線量限度の目途を引き上げようとしており(ゆるくしようとしており)、ご都合主義はなはだしい態度である。

 

(2)体の横からくるガンマ線、あるいは(個人線量計をぶら下げている側とは反対側の)体の反対側からくるガンマ線が捕捉できない。「補正アルゴリズム」がビルトインされた個人線量計もあるでしょうが、その「補正」計算は「科学的実証性」がなく信用できない。

 

(3)内部被曝が無視され、従ってまた、ガンマ線以外の放射線被曝が無視される(ベータ線、アルファ線)。またX線(制動放射線)もおそらく無視される。しかし、原発事故被害地で空間線量が一定レベルであるところには、必ず粒子状の線源(ホットパーティクルなど)があり、空中をさまよっている可能性大=呼吸被曝や皮膚も傷口などから体内に侵入する放射性物質で内部被曝する分が全く考慮されない。大根を干しておいたら放射能まみれになるような場所(福島県)では、人間の胚は大根以上に放射能を吸い込む。

 

(4)被ばく量をシーベルトでカウントすること自体が全く信用できないし、1mSv以下であっても全然安全ではない。1mSvという被ばく量自体が大きい値である(内部被曝の場合では、この線量では被害者がかなり出るだろう=およそ被害者がかなり出る水準に限度値を決めるということは許されない)。「シーベルト」という放射線被曝の単位はインチキ概念である、特に内部被曝についてはインチキ極まりない。ベクレル・シーベルト換算係数(実効線量計数)も信用できない。内部被曝(シーベルト)と外部被曝(シーベルト)は足し算してはいけない(別ものです)。

 

(5)被害者住民をモルモット扱いにするものであること。人体実験はやめよ。

 

(6)放射線防護は、土地の汚染度合い(ベクレル/m2)と空間線量の2つから、安全性最優先の原則で判断すべきもの。しかし現状では、汚染地図さえまともにできていない状態で、被ばく環境の把握が不十分すぎる。こんな状態で、個人差が大きい個人線量計の数値を被ばく基準にリンクさせるのは間違いの元である。個人線量計の数値は参考にしかならない。

 

(7)個人線量計そのものも信用できない(シーベルト表示の計器類は、すべて細工されている可能性が排除できない)。

早々

 

2014年6月26日 (木)

電力システム改革の課題

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、先週いっぱい、日本経済新聞が「経済教室」の紙面に特集して掲載した「電力システム改革の課題」(日経 2014616日~20日)というシリーズ記事です。この問題について、日経にしては珍しくコンパクトによくまとまっていますので、ご参考までにご紹介申しあげます。

 

ご承知の通り、我が国の電力自由化については、記事にもある通り、昨年201311月に第一次の改正電気事業法が、20146月には第二次の改正電気事業法が国会で可決成立しています。もともと我が国の電力自由化は、1990年代半ばから、大手地域独占電力会社9社の強い反対を受けて右往左往しながらも、経済産業省主導で進められてきましたが、とうとう2000年代前半の自民党政権の時代に、家庭向け及び零細企業等小口ユーザー向け電力の自由化が実現しないまま、電力自由化政策自体がとん挫してしまいました。状況を転換させたのが福島第1原発事故で、大手地域独占電力会社の筆頭格の東京電力が事実上経営破たんして発言力を失ったほか、全国の原発が運転停止を余儀なくされる中で、電力供給の不安定性や電力料金の理不尽な値上げなど、電力の地域独占市場の欠陥が露呈し、電力自由化の再着手を余儀なくされました。

 

しかし、ことはそう簡単にスムーズに運びそうにはありません。依然として大手地域独占電力会社9社の電力自由化に対する反対の姿勢は根強く、また、原子力発電部門への執拗なまでのしがみつきも目に余るものがあります。また、大手地域独占電力会社9社は、日本最大の「抵抗勢力」ということもあって、地域及び中央・東京での政治力や社会的影響力も大きなものがあり、今後の自由化のプロセスについては、再びの紆余曲折が予想されています。

 

自由化のステップは報道されている通りです。

【第1段階】広域系統運用機関(仮称)の設立

【第2段階】電気の小売業への参入の全面自由化

【第3段階】法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売料金の全面自由化

 

(参考)電力システム改革、専門委報告書の要旨

 http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS0803D_Y3A200C1EE8000/

 

(参考)電力自由化の解説(経済産業省、NHK、日経)

(1)http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=10&cad=rja&uact=8&ved=0CFYQFjAJ&url=http%3A%2F%2Fwww.meti.go.jp%2Fintro%2Flaw%2Fpdf%2F20131015002%2F20131015002-2.pdf&ei=pmCrU57FAY7GkQXQtoG4CQ&usg=AFQjCNGoNFDw9Euojz7WIGMh_0-g8e_Xxw&sig2=5VhFn-XAOhBgKCY02ppAGw

(2)http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/151277.html

(3)http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0200R_S3A400C1MM0000/

 

(参考)ウィキペディア 電力自由化

 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%8C%96

 

(参考)電力自由化FAQ

 http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_d6/9_info/top/e-faq.htm

 

現段階でこの電力自由化に関して、ポイントとなる視点を若干申しあげておきますと

 

(1)大手地域独占電力9社の政治力・経済力・社会的影響力は絶大で、これを解体しないことには、電力自由化は「形だけ」のものになってしまう。そのためには、自由化の各段階に即して、適切な監視や規制・管理の仕組みを構築しておく必要がある。所管庁の経済産業省は電力会社との癒着がひどく、また、自民党や民主党などの政党・政治家達も電力会社に包摂されている様子がうかがえるため、制度や仕組みを創る側に、そもそもの問題(利益相反)があることを強く意識しておく必要がある。

 

(2)まず現状では、自由化がどのように進んでいくのかを監視する規制組織を立ち上げておく必要があるが、記事にもあるように、これが今般発足させられる「広域系統運用機関」と並行して設立されるはずだったのが、さっそく頓挫ないしは後回しにさせられそうになっているということに留意しなければならない。経済産業省だけに任せておいては、できることもできなくなってしまう可能性があるので、こうした監視と規制・管理の組織は必要不可欠である。

 

(3)実は、上記の電力自由化の3つの段階は順序がおかしく、本来はまず第3段階の送配電分離が第2段階に来て、主として発電会社が自由参入できる仕組みを定着させたのち、第2段階の電気の小売業への参入の全面自由化を図るべきである。そうしないと、新規参入会社がすべて大手地域独占電力会社9社に支配・統制されてしまう恐れが強まる。

 

(4)そして、その場合、送配電分離は、いわゆる「所有分離」でなければならず、送配電網所有母体の大手地域独占電力会社9社の傘下に入った子会社・グループ会社による送配電設備の所有・運営では、その独立性が全く不十分である。つまり「法的分離」では自由化は不十分であり、完全自由化は難しいということだ。しかし、自民党と癒着した大手地域独占電力会社9社は、その政治力を使って「所有分離」は行わない電力自由化の法制化をすでに達成してしまっている。201311月の改正電気事業法がまさにそれで、この法律の狙いは、①送配電部門の「所有分離」を退けること、②電力自由化までの時間稼ぎを行い、可能な限りスケジュールを先送りすること(情勢の変化を待って、電力自由化を骨抜きにしてしまうのが目的)、だったと言える。マスコミ報道はこれを見抜けず、無邪気にはしゃいでいた観がある。

 

(5)第3段階の「電気の小売料金の全面自由化」については、電力料金の値下げはともかく、その値上げについては、相当の自由化の実績が積み上がらない限りは認めてはならないと思われる。自由化が「名ばかり」で、実質的に大手地域独占電力会社9社が市場支配をしているような状態で、電力小売り料金の自由化を行うことは、不当な電力料金つり上げにつながる可能性が高い。電力料金の監視委員会を創って、その適正性について監視を続けていく必要がある。

 

(6)その他、電力関連の設備(例:スマートメーターとその運営)やシステム整備や人的資源の独占、あるいは電力関連事業・エネルギー関連事業の在り方や電気関連設備メーカー各社とのつながり、あるいは最も重要な顧客ユーザー関連情報の公開または平等な共有化など、電力供給業界全般にわたって大手地域独占電力会社9社の支配力はダントツに強く、これらに対しても相当の社会的規制なり、適正化規制なりを課していかないと、電力自由化の所与の目的達成は難しいものと思われる(条件不利地域への電力供給の適正化・安定化や、卸売電力市場の適正な運営などを含む)。

 

(7)他方、電力自由化では、これまで地域独占の時代に法律で義務付けられていた電力の安定供給義務も解除されることとなっている。しかし、それをそのまま放置していたのでは、最終的な電力供給の責任者が不在となり、ユーザーの中には電力供給が受けられなくなったり、不当な高値を吹っ掛けられたりする場合もありうることになりかねない(実際アメリカでは、2001年に経営破たんしたエンロンという巨大電力卸売会社が電力市場を操作して電力料金をつり上げたり、供給不安定化を招いたりして、不当な利益を得ていた)。電力システム改革の専門委員会では、こうした懸念を念頭において「最終保障サービス」を法的に分離された送配電会社に義務付けようとしているが、この仕組みの具体的な中身も詳細かつ厳重にチェックする必要がある。

 

(8)原発・原子力に対する電力市場外での政治的・政策的テコ入れや支援政策・保護政策をやめること。少なくとも、電源立地対策のみならず、廃棄物処理や廃炉など、バックエンドも含めて、すべての原発支援政策を廃止するとともに、原発の安全性確保や危機管理(過酷事故対策用の民間保険の付保など)の義務化など、原発・原子力に対する厳格な規制を導入する必要がある。本来は原発の即時廃止政策をとるべきであるが、それが(政治的な理由から)実施されないのであれば、少なくとも上記のような対応が必要と思われる。現在、関西電力を筆頭に大手地域独占電力会社9社からは、政府リードによる何らかの「国策民営の仕組み」の創設の要望が出されているが、とんでもない話である。(但し、原発・核燃料施設廃止促進のための国費投入には躊躇すべきではない。これまで国策として展開してきた原子力政策だから、政府にもその結果の責任の一端はある。それを再び国策としてスクラップするのであれば、それなりの政府支援があっていい。原子力部門からの撤退にインセンティブを付けることは、現下では焦眉の政策である)

 

(9)他方で、自然再生可能エネルギーへの政策的推進を強化していく必要がある、単に電源の確保というだけでなく、一方で、電力産業界の構造や地域社会をエネルギー供給面から大きく変えていく中長期的なビジョンを持ち、かつ、電力を含むエネルギーの需要サイド=消費構造の在り方にもメスを入れるべきである。従来型の大量生産・大量消費ではない、オルタナティブな経済社会実現を目指し、中長期的な経済社会改造ビジョンや改造計画が求められている。

 

10)原発の輸出は現に慎むべきである。電気事業法を改正し、法律ではっきりと禁止すべきである。

 

11)過酷事故を引き起こした福島第1原発の後始末と廃炉作業を含め、東京電力を(法的に破綻処理して)解体・再生する中で、電力自由化の先頭を走るモデルケースとして、発送電部門の「所有分離」による完全自由化、巨大発電部門及び小売り部門の会社分割・切り離し、新電力会社との提携・連携、自然再生可能エネルギーの飛躍的拡大、核燃料サイクル事業を含む原子力部門の完全廃止と廃止への政府の支援、などの諸課題についてチャレンジさせるべきである。

 

12)申しあげるまでもないが、核燃料サイクル事業はただちに中止・設備等は廃棄処分である。運営主体の日本原燃や(独)日本原子力研究開発機構は、同時に即時解体されるべきである。

早々

 

2014年6月25日 (水)

干しシイタケ対策はどうあるべきなのか(放射能汚染) : 日本椎茸農協連の干しシイタケ危機打開策はどうもおかしい

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 <別添PDFファイル>

● 日本椎茸農協連の干しシイタケ危機打開策(日本農業 2014.6.25

 

 福島第1原発事故による放射能汚染の影響を受け、需要が激減、価格低迷に苦しむ干しシイタケ業界の業界団体が、なんとかこの危機を打開しようと会合を持った。しかし、この日本農業新聞に書かれているような「対策」は、価格低迷の危機を打開するための対策としては、まったく逆の方向を向いた自己中心的なプッシュアウト型のものになってしまっているのではないか。こうした対策では多くの消費者の信頼を回復させることは難しく、価格低迷の危機的状況は解消できないように思われる。以下、簡単にコメントしておく。

 

1.干しシイタケの需要激減・価格低迷は「風評被害」などではない

 キノコ類の放射能汚染とその危険性については、これまでも何度も申しあげてきたとおりである。福島第1原発事故により、東日本一帯に放射能汚染が広がり、中でも放射性セシウムを滞留・蓄積しやすいキノコ類、特に干しシイタケ生産者は決定的なダメージを受けた。本来であれば、農林水産省・林野庁や農業団体・農協らが先頭に立って、これらの被害生産者を救済すべく、まず、被害者の全ての被害を加害者・東京電力に全額賠償させるとともに、生産の維持継続のための再建支援についても万全を期すべきであった。とりわけ、放射能で汚染してしまったシイタケ原木は、厳重に廃棄処分とし、新たに栽培される干しシイタケには、まかり間違っても放射能汚染がないように、汚染されていないシイタケ原木を西日本から確保する等、万全の対策を都道府県や市町村などと連携して手を打つべきであった。

 

 しかし、林野庁が実際に行ったことは、下記のように出鱈目の極致を行くものであり、結果的に、福島第1原発事故とはあまり関係のなかった西日本などの干しシイタケさえも放射能で汚染させてしまい、それに加えて産地偽装が横行する出鱈目な食品流通を放置したために、国産シイタケは干しシイタケ・生シイタケともども、食品としての安全性への信頼を根本的に喪失してしまった。今日においても事態はほとんど改善されておらず(一部の業者を除いて業界に改善しようという強い意思もなく)、文字通り「全国どこでもキノコは危ない」状態ができてしまっている。

 

 <林野庁の出鱈目なキノコに対する放射能汚染対策>

 

(1)放射能汚染のキノコ原木やキノコ用栽培土を厳格にきちんと処理処分させなかった。結果として、汚染された原木や栽培土が全国に流通し、福島第1原発事故とはほとんど関係がなかった産地までもを放射能で汚してしまった。それでも、多くのキノコ生産者は汚染されていない原木や栽培土の入手に苦労していたが、林野庁がこの対策に乗り出すのは、福島第1原発事故後、相当の期間が経過してからだった。それはまるで、ストックされていた汚染原木・栽培土が全て流通してしまうのを待っているかのごとく、亀の歩みのような鈍さであったように思われる(汚染栽培土については、汚染されていないものと混ぜ合わせて、汚染度合いを薄めて使え、などという、とんでもない指導を続けている様子もある)。

 

(2)(消費者やキノコ業界から、その放射能汚染管理の手抜きを批判された)林野庁は、次には、この原木流通の出鱈目を追認するかのような「原木及びキノコ栽培土に関する放射能汚染(放射性セシウム)の限度指針」なるものを公表したが、これには安全性に関する科学的実証的根拠がなく、かつ罰則付きの強制的基準ではなかったため、これがどこまで守られるのかもわからない状態での決めごととなった。もちろん、原木や栽培土の汚染状況について、きちんとモニタリングされている様子もない。(形だけはやっているフリをしている)

 

 そもそも、この林野庁の限度指針値は、消費者の安全を優先して設定されたものではなく、当時の段階での現状を追認し、キノコ生産に支障が出ないことを優先したものであって、かつ、近い将来予想されたキノコ生産者からの損害賠償を足切りして最小限に押し込めるためにつくられた「賠償・補償請求に対する防護」のための限度指針であった可能性が高い。だからこそ、守らなくてもいいような、いい加減な数値として公表されているのだろう。そして、これが世に言う「ALARA原則」の現実=まさに絵にかいたような具体的事例である。

 

(3)製品となった干しシイタケを含むキノコ類の放射能検査が脆弱・ずさんであり、汚染物が食品流通に乗ることを防ぎきれていない。また、放射性セシウム以外の放射性物質を検査していないことも他の飲食品類と同様である。放射能安全神話がはびこることになってしまっている。(汚染されていないだろうとわかっているものばかりを検査している可能性もある)

 

(4)消費者はキノコの飲食による内部被曝から自己防衛するため、当初は産地表示を見ながら、西日本産のものを入手して消費していた。しかし、これもまた、産地偽装がはびこるようになり、これに対して政府各省や林野庁が適切かつ機動的な対応をしないため、産地表示自体が信用できなくなり、放射能汚染物を消費者が選別して購入することが難しくなった。一般の農産物に比べてより多くの放射性物質を濃縮・蓄積してしまうキノコ類は要注意食品類であり、中でも乾燥出荷される干しシイタケは、放射能が濃縮している可能性があって、多くの消費者から嫌われてしまった。

 

(5)これに対して、政府・厚生労働省がやったことは、従来、乾燥状態でのkgあたりの放射性セシウムで限度値を決めていたものを、今度は「水で戻して食べれる状態にした段階での限度値」に切り替え、結果的に規制値を緩めるという、消費者を馬鹿にしたような対応を行った(お茶などの乾燥品も同様である)。全くふざけた話であって、この愚かな行為により、益々、干しシイタケは避けられるようになってしまった。

 

(6)これだけキノコ類には消費者の懸念があるにもかかわらず、その検査体制は依然として脆弱のまま改められることはなく、特に、消費地=スーパーなどの店頭での抜き打ち検査がほとんどと言っていいほど実施されていないという異常事態が続いている。こんな状態で、(放射能汚染物を食べてもいいという人は別にして)干しシイタケやキノコ類を買って食べられるはずがない。

 

(7)しかし、林野庁や農協などは、こうした消費者の自己防衛に対して、それは「風評被害」だと消費者を馬鹿にしたような態度をとり続け、今度は、安全でもないものを安全だと証拠づけるセレモニーに子どもを動員するため、学校給食にこの危険なキノコ類や干しシイタケを使えと強要し始めた。地産地消で、放射能で重度に汚染されている可能性のあるキノコ類や干しシイタケを食わなければ「非国民」であるとの理不尽な罵詈雑言付きである。ふざけるな、ではないか。ただでさえ放射能の感受性が高くて心配な子どもたちを、自分たちの商売のダシに使って放射能の汚染をごまかす、安全を演出する、かような行為は下衆のやることだ。

 

(8)そして、大臣や県知事以下、いい加減で出鱈目本家の政治家達を動員して、多くの費用を使って広告代理店を喜ばせながら「安全安心キャンペーン」を開けても暮れても繰り返し、キノコ類の安全確保を棚上げにしたまま、無内容・無意味でバカバカしい宣伝活動を続けている。もちろん、賢明な多くの消費者は、かようなものには見向きもしない。

 

2.干しシイタケ再建・復興のためには、上記の逆をやればいい

 新聞記事にあるようなことをしていても、干しシイタケは再建できないだろう。私は福島第1原発事故前は、国産干しシイタケの大ファンだった。「食べもの国粋主義」(地産地消の言い換え)を自称している私は、シイタケを買うときは、必ず国産のものを買うようにしていたが、今は国産も含めてキノコ類は一切買わないし、外食においても、できれば使わないでくれとお店の人に頼んでいる。上記のような事情を知っている以上、放射能が怖くてとても買えない。放射能の汚染の懸念が払しょくされたら、ぜひ買って食べたいと思うが、今のような状態ではとても買えない。干しシイタケを食わなくても、人間は他のものを食べていれば死ぬことはない。しかし、放射能で汚染された干しシイタケを食べていると、やがで内部被曝で死ぬことになるかもしれない。だから買わない。

 

(1)まず、シイタケ原木について、少しでも放射能に汚染されているものは全て廃棄し、今後生産される干しシイタケは放射能で汚染されていない、クリーンな原木を使っているものであることを、第三者が証明・認証するような形をとって消費者に訴える。林野庁の危なっかしいいい加減な指針などを使っているようではダメである。

 

(2)東日本一帯の放射能汚染地域での干しシイタケの生産をやめること。やめたことに伴う被害は、無条件に全額、加害者・東京電力や事故責任者・国に賠償・補償させること。また、これまでの被害についてもビタ一文まけずに、全額賠償させる。また、生産地を移転する生産者・農家については、そのための費用も全額補償させ、かつ再建後の経営を安定させるための政策支援も導入させる。(⇒ これは闘いになる)

 

(3)キノコ類や干しシイタケは、特に放射能汚染しやすい食品類であり、厳重な検査体制を早期に確立する。もちろん放射性セシウム検査だけではだめで、その他の放射性物質についても早急に検査体制を確立する。

 

(4)小売店頭や外食・中食など、食品流通の過程にあるキノコ類やシイタケ類の抜き打ち検査を高頻度で行い、食品流通から汚染キノコ類を一掃する。

 

(5)厳格かつ利益相反が排除された状態で、体制が整った食品検査体制の下で、当面は、危険食品であるキノコ類の徹底した検査が行われ、かつ、上記の(1)及び(2)によって、新たに生産されるキノコ類には、もう放射性物質は含まれていない状態を早急に作り上げることである。しかるのちに、第三者機関により、干しシイタケやキノコ類について「放射能ゼロ(検出限界値以下)」の認証を受け、徹底した安全管理を消費者にPRすることによって、その信頼回復を図ればよい、これにかかる費用の一切は、加害者・東京電力や事故責任者・国が負担すべきことは申し上げるまでもない。

 

 また願わくば、この際、同時並行的に、干しシイタケやキノコ類に含まれていてはならない農薬等の危険物の除去と安全確認についても、業界団体として取り組むのがいいと思われる。これは中国等から輸入されるキノコ類に対抗するうえで必要不可欠ではないかと思われる。

 

(6)学校給食へのキノコ類の使用は絶対にしない。している場合にはやめさせる。

 

(7)消費者は、上記が実現するまでは、干しシイタケを含む国産キノコは絶対に買わないし、外食等でも食べない。そうすることによって、キノコ業界・干しシイタケ業界の正常化が早まることになるだろう。

 

(8)政府・厚生労働省・農林水産省・林野庁・食品安全委員会・消費者庁・消費者委員会などには期待しない。これらの組織は早急に解体し、新たな体制をつくってメンバーを全部入れ替えないと、恐らくまともには機能しない。

 

 以上です。国産干しシイタケの熱烈なファンとして、干しシイタケ業界の自浄作用に期待します。

 

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(以下、日本農業新聞記事を一部抜粋)

 

日本椎茸(しいたけ)農業協同組合連合会(日椎連)は24目、静岡市内で、干しシイタケ価格低迷の打開策について、主産県の関係者と意見交換した。東京電力福島第1原子力発電所事故による風評被害の影響が全産地に及ぶ中、業界立て直しのために消費者への直接PR活動が欠かせないことを確認した。

 

日椎連の岩川尚美は、業務需要の大半を占める学校給食の低迷に触れ、「林野庁、文部省との協力体制構築が緊急の課題。今後は行政と共に、各地域の教育委員会や校長先生に対し、安全な食材であることをPRする事業を業界全体で進めていく」と話した。

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早々

 

 

(セミナー報告)PM2.5とナノ粒子=次世代へのリスクを減らすために知っておきたいこと (& ナノサイズの放射性物質=ホットパーティクルの危険性を推測する)

前略,田中一郎です。

 

昨日、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議主催のナノテクノロジー・ナノ物質に関するセミナーが日本弁護士連合会会館で開催されました。別添PDFファイル、及び下記URL(文章の最後)は、その際の資料(及び関連資料「ナノアクション」)です。ご参考までにお送り申しあげます。

 

講師は東京理科大学総合研究機構の梅津雅和氏で、若手ナノテク・ナノ物質研究のホープとのご紹介でした。当セミナーは丸2時間、会場(約30人)との質疑応答を交えながらのものでしたが、非常に内容レベルの高い興味深いものでした。おかげさまで、ナノ物質(粒子)について、自分自身の見識が少々深まったような気がします。更に、次回のナノ物質(粒子)に関するセミナー等に期待いたします。

 

624日(火)学習会「PM2.5とナノ粒子 ~次世代へのリスクを減らすために知っておきたいこと~」のご案内 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

 http://kokumin-kaigi.org/?p=1807

 

(参考)化学物質の2020年目標のパンフレット完成 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

 http://kokumin-kaigi.org/?p=1791

(とてもいいパンフですから、ぜひ目を通してみてください)

 

 <別添PDFファイル>

(1)PM2.5とナノ粒子(レジメ1)(梅沢雅和(東京理科大学総合研究機構:2014624日)「nanoteku_rejime_sono1.pdf」をダウンロード

(2)PM2.5とナノ粒子(レジメ2)(梅沢雅和(東京理科大学総合研究機構:2014624日)「nanoteku_rejime_sono.pdf」をダウンロード

(3)PM2.5とナノ粒子(レジメ3)(梅沢雅和(東京理科大学総合研究機構:2014624日)「nanoteku_rejime_sono.pdf」をダウンロード

 

ナノ物質(ナノ粒子)とは、大きさがナノサイズの物質全般のことを言う。ナノサイズとは、メートル(m)、ミリ(mm)、マイクロ(μ)、ナノ、ピコと、それぞれ1/1000ずつ小さくなっていく単位名称の「ナノ」である。1ナノメートルは1/1,000,000,000=10億分の1メートルのことだ。

 

ナノ物質(ナノ粒子)は大きく分けて、工場から出てくる排煙や自動車排ガス等に含まれるナノ(サイズの)粒子と、カーボン・ナノ・チューブや化粧品等に含まれるナノ物質に代表される工業製品類がある。前者の排煙・排ガスなどはPM2.5と表記されることが多いが、それは粒子径2.5μm以下のもの全てを含み、そのうち1μ以下、特に数十ナノ~数百ナノの大きさのものがナノ物質(粒子)である(ちなみに会場からの質問で、PM2.5のうち、どれくらいナノ物質(粒子)が含まれているかについては、よくわからない=計測できない、との回答だった)。また、前者は、特定物質の粒子ではなく、さまざまな物質の粒子が団子状に固まった状態で存在している多分子複合体であり、後者の工業製品の方は、単一または特定の分子や化合物の固まりであることが多いものと思われる。

 

そして、このナノ物質(粒子)については、現在、ハイテク新産業・新素材の一つとして工業界が注目し、これを利用すべく新製品開発に熱が入る。既に、化粧品や日用品などにもナノ物質が使われたものが登場し、さまざまな宣伝文句付きで販売されるようになってきた(当セミナーで最初の笑い話となったのが、ある化粧品の話で、少し前には、ナノ物質だからお肌の中にまで浸透してよく効きますとうたわれていたものがあるかと思えば、昨今では、ナノ物質なので、お肌の中に染み透ることはありませんなどと説明書きされている、いったいどっちなんだろう、というものだった。講師の説明では、傷やアレルギーのある人の肌を除き、一般の人の肌はナノ物質(粒子)を通しにくいとのことだった)

 

しかし、一方で、このナノ物質(粒子)は、その潜在的な危険性、特にナノ物質(粒子)の、触れたり、呼吸で吸い込んだり、口の中に入れてしまったりすることによる健康への悪影響や、更には、母体から胎児への妊娠中でのナノ物質(粒子)の移行による遺伝的な悪影響についても懸念され始めている。具体的には、だいぶ前に、工業製品ナノ物質の代表格であるカーボン・ナノチューブの分子形状がアスベストと非常に似通っており、おそらくこれへの被ばくがアスベストと同様の疾患の発生を予想させるものであることが指摘されている(カーボン・ナノチューブ以外にも、アスベストと同じような形状をもったナノ物質(粒子)があるそうだ:酸化チタンなど)。

 

今回のセミナーでは、このナノ物質(粒子)の生体内での挙動や、その危険性、遺伝的影響などに着目した説明が行われた。いずれも、初耳の驚くべき内容であったが、特に話の中で印象に残ったものを若干下記に列記しておく。詳細は別添PDFファイルのレジメをご覧いただきたい。

 

(1)ナノ物質の生物の健康への危険性の原因は、上記のようなナノ物質の形状や分子構造(アスベストに似ている)から来る場合に加えて、ナノ物質の表面における化学反応促進の性質、とくに酸化反応促進性が寄与しているという。また、ナノ物質(粒子)の化学的特性も重積的に毒性に関与しているものと思われる。

 

(2)ナノ物質(粒子)は、生体に酸化ストレスを与えることが動物実験で確かめられており、その度合いは、ナノ物質(粒子)が小さければ小さいほどストレスが大きくなることが確認されている。これは、質量が同じであれば、ナノ物質(粒子)の表面積が小粒になればなるほど広くなり、その粒子表面での化学反応促進度が上がるためと思われる。

 

(3)また、ナノ物質(粒子)が生物体内に侵入してくる場合も、粒子状が大きい場合には呼吸器等の入口のところで捕捉されて体内侵入が防がれるが、粒子状が小さいと、呼吸器の奥の方まで入ってしまい、更には、そこから血管やリンパ腺の中にまで侵入してしまうことになる。ナノ物質(粒子)のように、大きさが小さいことが生物体内での挙動をより危険なものにしている。

 

 なお、生物体内へのナノ物質(粒子)の侵入経路は、①呼吸器から血管やリンパ腺へ、②皮膚の傷口から体内へ、③経口摂取による消化器系からの侵入、の3つが考えられるが、このうち、③消化器系からの侵入はあまり心配いらないとの説明だった。影響が懸念されるのは①と②である。

 

(4)ディーゼル排ガスを妊娠中の母体マウスに吸引させ、その胎児への影響を見た実証実験で、ディーゼル排ガスが出生子どもマウスの中枢神経系や雄性生殖機能に影響を及ぼすことが分かった。母体が吸い込んだディーゼル排ガス中のナノ物質(粒子)が、生まれた子供のマウスの脳に濃縮蓄積している結果が出ていることには驚かされた。そのナノ物質(粒子)は、前頭皮質におけるドーパミン及び代謝物質の量に影響を与え、特定の疾患を引き起こす可能性があるという(脳のドーパミンに関係する病気であるパーキンソン病など)。

 

(5)また、ナノ物質(粒子)が皮下からの投与で血管内に入り、それが血流に乗って胎児の脳に集まってくることや、呼吸によって吸引させた母体マウスのナノ物質(粒子)が、胎盤を通過して胎児の脳に集まって神経系統に悪影響を及ぼすことも分かったという。別添PDFファイルのレジメにある「二酸化チタン・ナノ粒子の妊娠期(マウス)による次世代中枢神経系への影響」(レジメ2)には、健康障害の例として、酸化ストレス、アポトーシス(細胞死)、脳神経疾患、伝達物質情動、神経発達行動活性などが列記されている。

 

(6)更に、カーボンブラックナノ粒子が次世代の脳血管周囲細胞に及ぼす影響についても説明があった(よくわからなかった)。

 

(7)最後に、ナノ物質(粒子)のモニタリングや規制・安全対策などについての説明で、①観測されたナノ物質(粒子)の量は、一時点での値なのか、日平均値なのか、年平均値なのかに注意すること(何の注意書きもない数値が独り歩きしていることがある)、②基準値と比べる、同じ場所の他の時期と比べる、ことを忘れないことや、ナノ物質(粒子)のリスク管理に向けて、①有害性評価指標を確立すること、②ナノ粒子の高感度かつ定量的な検出技術を確立すること、③曝露シナリオ(どのように被ばくしやすいかのケーススタディ)の区別、などが課題であることが示された。

 

 また、研究課題としては、次の7つが挙げられている。

・高感受性集団への影響

・次世代影響

・動物とヒトの種差

・低用量での影響

・化学組成・物性と生体影響との相関性

•・「質量濃度jで十分か?

・経皮毒性

 

 かなり感銘を受けたセミナーでした。私は講師の梅津雅和氏の話を聞いて、このナノ物質(粒子)は危ないと感じました。やはり何らかの安全対策や規制が実施されなければならないと思われます。それは、アスベストのように、たくさんの被害者が出てから、しぶしぶやっとのことで規制するのではなく、ナノテク製品が市場に行き渡る前に、ナノ粒子を含む排気・排ガスが蔓延する前に、予防的に手が打たれるべきであると強く思いました。どのようにするのがいいのか、まだ判断できるほどの知識はありませんが、参考までに、別添PDFファイルに、今回のセミナーとは無関係なルートから入手した「ナノテクノロジー・ナノ物質管理のための指針」という冊子(の一部抜粋コピー)を添付しておきます。ご参考にしてください。

 

(参考)国際技術評価センター・国際NGO連合 2007年/ナノ技術とナノ物質の監視のための原則

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/CTA/Principles_Oversight_Nano.html

 

 そして、もう一つ、声を大にしておきたいことがあります。それは、このナノ物質(粒子)は、何も非放射性物質であるとは限らないということです。福島第1原発事故で環境に放出された放射性物質で、いわゆるナノ物質(粒子)化しているものがあるはずです。いわゆる「ホットパーティクル」です。そして、この「ホットパーティクル」は、ナノサイズの大きさになった場合には、人間の体内に入り込むと、マウス実験で見られたように、血管の中の血流に乗って脳や腎臓その他の臓器や部位に運ばれたり、妊婦の場合には、その胎児の体内にも入っていくことが予想されます。しかも、その毒性は、ナノ物質(粒子)としての属性に加えて、化学物質としての毒性に、更に、最も恐ろしいと思われる放射性物質としての毒性が加わるのです。考えただけでもぞっとする話です。しかし、このナノ物質(粒子)としての「ホットパーティクル」の危険性についての説明は、これまで一度も見たことも聞いたこともありません。

 

 原子力ムラ・放射線ムラが、本気で多くの国民・市民の信頼を得たいと思うのなら、その子どもだまし・素人だましの放射線防護学なる似非科学を捨て、ナノテク研究やエピジェネティクス研究に代表されるような、今日の先端科学の成果をきちんとその学説に反映させ、特に放射線被曝の危険性を強調することです。ナノサイズの「ホットパーティクル」が生物や人間の健康に及ぼす害悪性の実証的研究は、その最先端を形成するものとなるでしょう。

早々

 

 

2014年6月24日 (火)

福島第1原発3号機の危機的状況を隠ぺいせんと画策していた原子力安全保安院、おかげで、ドライベントによる住民の重度被ばくの危機が迫っていた & 飯館村菅野村長が変だ

前略,田中一郎です。

 

みなさまご承知の通り、1カ月ほど前に朝日新聞が、故吉田昌郎福島第1原発所長に対する政府事故調のヒヤリング結果(「吉田調書」)をスクープして報道しましたが、下記はその報道の一部で、福島第1原発事故当時に危機的状況に陥った3号機の話です(下記「広報などは知りません(住民は避難できるか)」)。なお、この「吉田調書」に関する報道は、新聞記事とネットサイトで内容が異なっていて、ネットサイトの方は、朝日新聞の無料ネット会員になることで誰でも見ることができます。皆様にもご一読をお勧めいたします。

 

● 広報などは知りません(住民は避難できるか)

 http://digital.asahi.com/special/yoshida_report/2-2m.html

 

● 吉田調書(福島原発事故 吉田昌郎所長が語ったもの)

 http://www.asahi.com/special/yoshida_report/

 

書かれている話のストーリーは簡単なもので、危機的状況に陥った3号機について、ウェットベントがうまくいかないので、やむなくドライベントの準備を始めたところ、原子力安全保安院から「3号機の危機的状況のプレス発表等をするな、事態は伏せておけ、ドライベントが成功して原子炉内の圧力が下がり(従ってまた格納容器内の圧力も下がり)、冷却水が注入できるようになって、人間がこの3号機という事故原子炉をコントロールできている状態下にある段階でプレス発表する」という指示があったというものだ。国民を無用の不安に陥れてはならないから、情報発信はコントロールするというものだった(しかし、実際には、その後まもなく、NHKが3号機の危機的状況や作業員の撤退などを、それとは知らずに報道してしまった)。

 

念のために、言葉解説をしておくと、ベントとは、原発が事故を起こし、原子炉圧力容器内や格納容器内で水蒸気などの気体が大量に発生して圧力が上がり、放置すると、その圧力で圧力容器や格納容器を破壊してしまいかねなくなったとき、内部の気体を外部に放出して圧力を下げ、圧力容器や格納容器を破壊から防ぐことを言う。

 

ウェットベントとは、原子炉圧力容器内の水蒸気などの放射能含みの気体をSC(圧力抑制室:サプレッションチェンバー=フラスコ型の沸騰水型原発の下部にあるドーナツ型の設備で、中には水が入れてある)を通じて原子炉の外に放出すること。SC内の水のプールを通すので、ある程度、放射能が水に溶けて除去されて環境に出てくるので、放射能汚染の度合いはその分低くてすむ。今般、新規制基準で沸騰水型原子炉に設置が義務付けられた「フィルター付きベント装置」の「フィルター」とは、SCとは別にもう一つの「水のプール」を設置して、そこを通してベントができるようにせよ、ということだ。しかし、原子炉内の放射能を含む気体は猛烈に放射能を含んでおり、水のプールを通すくらいでは放射能を除去しきれない(たとえば放射性キセノンなどの不活性ガスは全量出てしまう)。

 

ドライベントとは、原子炉圧力容器内の水蒸気などの放射能含みの気体を、そのまま環境に放出するという排気の方法のこと。原子炉内の猛烈な放射能が周辺環境にばら撒かれてしまう。こんなものを認めてまで、何故に原子炉で電気をつくらなければならないのか。

 

さて、それで、この記事及び新聞報道等によると

1号機=ウェットベントのみTRYして成功(原子炉は助かったが建屋が水素爆発)

3号機=ウェットベントは失敗したのでドライベントに挑戦し成功した ⇒ 今回の記事は、これについて原子力安全保安院の隠蔽方針・指示命令を問題にしている

2号機=ウェットベントもドライベントも成功せず、3/15早朝に原発下部のSC付近で爆発して格納容器に穴が開いた

 

上記でお分かりの通り、ドライベントをするのであれば、原発からは原子炉内の猛烈な放射能があたり一帯に放出され危険な状態になるわけですから、かなり広範囲の原発周辺住民に対して「ドライベントをやりますよ、風向きによっては放射能が飛んでいきますよ、安定ヨウ素剤を飲んでください」くらいの連絡・広報は絶対にしなければならないはず。そうしないと、地域住民はそれとは知らずに野外にいて無用に大量被ばくをしてしまうことになる。

 

それを原子力安全保安院が、不安をあおるからという理由で、3号機の危機的状況も含めて、ドライベントをする予定でいることなど全てを隠蔽せよ、プレス発表するな、と指示して隠してしまった、それがとんでもないことではないのかと、この記事は告発している。まさに、とんでもないこと、である。

 

しかし、私はこの記事読んで何だか「怪しい」と思ったことがいくつかある。

 

(1)吉田昌郎所長がこのドライベントの危険性を知らないはずはなく、住民への広報の必要性は感じていたはずだが、ドライベントを準備した時には、それについてノーコメントの態度をとったのではないのか。つまり、この吉田もまた、同じ穴のムジナであって、住民の危険性のことなど二の次の次だったに違いない。だから「広報などは知りません」などとすっとボケているのではないのか。

 

(2)記事を読むと、福島県庁が保安院の暴挙に反旗を翻したと書かれている。怪しい限りである。反旗だったのか、それとも旗本の旗だったのかは不明だ。

 

(3)原子力安全保安院も、どこまで本気で覚悟を決めて報道管制を敷こうとしたのかはわからない。だからNHKがそれとは知らずに報道してしまっている。ひょっとすると、原子力安全保安院は、東京電力本店や福島第1原発にいる人間たちに対してだけ、口先で情報の隠ぺいを「押し付け説教」していたのではないのか。そうだとしたら、この原子力安全保安院という「ホアンインゼンインアホ」(右から読んでいただいてもいいです)の組織は、ロクでもなことをする場合にも中途半端で無責任ということになる(報道管制を敷くのなら、もっと厳格・厳密なやり方があるだろう)。

 

(4)3号機は、その後どうなったのかがよくわからない。高圧注水系(HPCI)を作業員が人為的に止めてしまったというが、それは地震で破損したと思われる同系の配管から冷却水が大量に漏れてしまわないための「防衛措置」だったのではないのか、3号機のECCSは事故時にはどうなっていたのか、きちんと稼働したのか、役に立てたのか、ドライベントは成功したのか、3/14に爆発したが、あれはほんとうに水素爆発なのか、それでその後原子炉はどうなったのか、などなど、わからないことだらけである。

 

(5)また、3号機については、ウェットベントがうまくいかなかったという。それは何故なのか。どこに問題があったのか。 NHKの放送「NHKスペシャル」によれば、これもまた地震の揺れによって、ベント弁の開閉のために圧縮空気を送り込むためのアキュムレーター(蓄圧装置)が壊れたか、圧縮空気を伝道する配管が破損した可能性があるという。

 

(6)2号機についても同様だ。2号機はウェットもドライも両方ともベントが成功せず、SC付近の水素爆発で格納容器に穴があいて、それで原子炉の圧力が下がったというのだが、信用できない。まず、水素は軽い気体だからそんな原発施設の下部の方には集まらない。また、爆発して穴が開いたのは格納容器だから、原子炉圧力容器は核燃料のメルトダウン・メルトスルーがあるまでは無事のはず。結局、圧力容器内の高圧は続き、圧力容器が吹っ飛ぶリスクは継続していたはずだが、3/15早朝の爆発によって圧力容器の圧力は大気圧と同じになったという。何かおかしい。実は住民のことなどお構いなしに秘密裏にやったドライベントが成功していて、それにメルトスルーが追いかけただけではないのか。だとすると、猛烈な放射能があたり一帯に放出されたとしても不思議ではない。(2号機の爆発はウソ???)

 

どうも、何かが隠されているような気がしてならない。たとえば、ドライベントの危険性と、それを無視して、住民の被ばくのことなど微塵も配慮せずに、ドライベントを強行したこと、あるいは、3号機の爆発が水素爆発ではなかったこと、あるいは、原発の高圧注水系(HPCI)や非常用復水器(IC)を含むECCSが、ほんとうは予定されているようには機能しないこと、SCもまた同様に、予定されているようには機能せず、ウェットベントができなくなってしまったこと、などなどである。真相はどこにあるのだろうか。

 

そして、こうしたことは、すべて今後の原発再稼働の是非の問題や原発の安全性の問題、あるいは新規制基準の妥当性の問題に密接につながることである。しかし、これらの問題が、解明されるどころか、話題にさえならない状態で放置されつつ、愚かにも原発再稼働云々かんぬんの話が、マスごみ紙面をにぎわせているのである。つまり、もうミミタコのように言われ続けてきた、福島第1原発事故の教訓が、新規制基準や原発再稼働の判断に、まったくと言っていいほど活かされていない、ということを意味している。

 

脱原発を目指す市民運動・社会運動は、このマスごみや御用学者たちを退けつつ、福島第1原発事故の真相=いったい何があったのか、の解明を訴え続ける必要があると思われる。福島第1原発事故の真相と事故原因を解明せよ。

早々

 

 <追>飯館村の菅野村長が変だ

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下記は本日付でマスコミ報道されているようです。私には飯館村の菅野村長が何を言いたかったのか、よくわからない。隣町や自村内のある地区の被害者が、苦労の上にこぎつけた東京電力との賠償問題ADRの和解についてクレームを付けているようだが、何が不満で抗議したのだろうか? 下記の河北新報などを見る限りでは、東京電力が和解した案では賠償金額が高すぎるとして抗議しているような印象を受ける。もしそうなら、信じがたい村長だということになるが、どうなのだろうか?

 

●<東日本大震災>福島第1原発事故 「誤解与えた」飯舘村長謝罪 原発ADR和解抗議で川俣・山木屋地区住民に /福島(毎日新聞) - goo ニュース

http://news.goo.ne.jp/article/mainichi_region/region/mainichi_region-20140624ddlk07040255000c.html

 

(一部抜粋)

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川俣町山木屋地区の住民が帰還困難区域と同等の財物賠償の内容で和解したことに抗議する要求書を、飯舘村が東京電力に提出していた問題で、同村の菅野典雄村長は23日、川俣町の仮設住宅を訪れ、「誤解を与える内容で申し訳ない」と陳謝した。

 

 飯舘村と隣接する山木屋地区の住民は、原発事故で避難指示解除準備と居住制限の両区域に再編された。だが、除染やインフラ復旧が進まず長期避難が見込まれるため、国の原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続き(原発ADR)で、帰還困難区域と同等(全損扱い)の賠償内容で今年3月に和解した。

 

 さらに、同3月に飯舘村蕨平地区の住民にも帰還困難区域並みの和解案が出ており、同村は東電に「解除時期に応じた賠償を順守すべきだ」「村民に大きな衝撃と不安を与えた」とする要求書を提出した。これを知った飯舘・山木屋の両住民の反発を受け、菅野村長が撤回した。

 

 この日集まった山木屋の住民からは「住民側に立ち、適切に賠償されるよう要望するのではなく、抗議するのはおかしい」「住民と東電との関係に行政が口を挟むべきではない」などの声が出て、菅野村長は「誤解を与えたのは本意でなく申し訳ない」と陳謝し、「山木屋の和解案に異議を申し立てるつもりはなかった。要求書は区域の線引きによる賠償との違いを確認する趣旨だった」と釈明した。ADRを申し立てた住民グループ「やまきや未来の会」の菅野幸三会長(82)は「住民の生命や財産を守る立場で首長は訴えてもらいたかった。納得できる説明ではない」と話し、文書での謝罪を要求した。

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● 飯舘村長、蕨平住民に謝罪 原発事故賠償ADRと村要求食い違い 河北新報オンラインニュース

 http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201406/20140603_61030.html

 

●「誤解与えた」飯舘村長謝罪 和解案で修正要求書提出へ(福島民友ニュース)

 http://www.minyu-net.com/news/news/0518/news2.html

早々

 

2014年6月22日 (日)

加害者・東京電力や事故責任者・国は、福島第1原発事故の損害の賠償・補償を踏み倒そうとしている(1)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、昨今の福島第1原発事故に伴う損害(主として財産上の損害および精神的な慰謝料)の賠償・補償に関するマスコミ報道です。これから複数回にわたり、この福島第1原発事故に関する物損被害・精神的被害に関する賠償・補償の出鱈目=重大な人権侵害・財産権侵害について、みなさまな知っていただくべく、メール申し上げたいと思っております。以下、本日分を、簡単なコメント付きでお送りいたします。

 

今回ご紹介するものは、いわゆる「氷山の一角」にすぎません。あっちでこっちで、東京電力による被害者からの賠償・補償請求への拒否、ADRの受け入れ拒否が続き、ただでさえ大変な避難生活に、更に訴訟負担がのしかかっています。そしてもちろん、文部科学省傘下の原子力損害賠償紛争審査会や復興庁をはじめ、国の機関はすべてそろって素知らぬ顔をしているのです。いったい何なのかと思います。これが加害者・東京電力や事故責任者・国のするべきことなのか。

 

(ある政府交渉の場で霞が関の馬鹿役人が「生活保護を受けられたらどうですか」などと暴言を吐いていた。被害者を馬鹿にしているという他ない。何故、加害者がいる社会的犯罪行為=福島第1原発事故の被害者の損害賠償に生活保護制度が使われなきゃいけないのか。何のために政府や自治体があるのか、何のための災害復興政策であり、原子力損害賠償紛争審査会であり、復興庁なのか。何のために法律があるのか。この役人は懲戒免職ものである)

 

 <別添PDFファイル>

(1)東電、和解案の一部拒否(毎日 2014 5 29

(2)ADR和解案、一部拒否、回答延長、目立つ(福島民報 2014 5 31

(3)福島県外は国費対象外、苦渋、被ばく自力検査(東京 2014 4 22

(4)原発賠償に追加基準 東電 住宅取得や修繕費対象(読売 2014 5 1

 

 <参考サイト>

(1)福島原発飯舘住民に「同等」ADR和解案 東電一部拒否 – 毎日新聞 - ふくしま原発損害賠償弁護団

 http://fukushimagenpatsu.bengodan.jp/archives/701450

 

(2)原子力損害賠償紛争審査会HP(文部科学省)

 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/016/

 

(3)原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADRセンター)(文部科学省)

http://www.mext.go.jp/a_menu/genshi_baisho/jiko_baisho/detail/1329118.htm

 

(4)(参考)原発賠償 不動産賠償の問題点(1) 福島県司法書士会:渡辺和則

http://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2014/03/201311_07.pdf#search='%E8%AA%AD%E5%A3%B2%E6%96%B0%E8%81%9E+%E5%8E%9F%E7%99%BA%E8%B3%A0%E5%84%9F%E3%81%AB%E8%BF%BD%E5%8A%A0%E5%9F%BA%E6%BA%96+%E6%9D%B1%E9%9B%BB+%E4%BD%8F%E5%AE%85%E5%8F%96%E5%BE%97%E3%82%84%E4%BF%AE%E7%B9%95%E8%B2%BB%E5%AF%BE%E8%B1%A1'

 (たまたま検索してヒットしたサイトです、批判的にご覧下さい)

 

(5)(参考)原発賠償 不動産賠償の問題点(2) 福島県司法書士会:渡辺和則

http://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2014/03/201312_07.pdf#search='%E5%8E%9F%E7%99%BA%E8%B3%A0%E5%84%9F+%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E8%B3%A0%E5%84%9F%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9%EF%BC%88%EF%BC%92%EF%BC%89'

 (たまたま検索してヒットしたサイトです、批判的にご覧下さい)

 

(6)(参考)原発賠償 不動産賠償の問題点(3) 福島県司法書士会:渡辺和則

http://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2014/04/201401_09.pdf#search='%E5%8E%9F%E7%99%BA%E8%B3%A0%E5%84%9F+%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E8%B3%A0%E5%84%9F%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9%EF%BC%88%EF%BC%93%EF%BC%89'

 (たまたま検索してヒットしたサイトです、批判的にご覧下さい)

 

(7)(参考)原発賠償 不動産賠償の問題点(4) 福島県司法書士会:渡辺和則

http://www.shiho-shoshi.or.jp/cms/wp-content/uploads/2014/04/201402_09.pdf#search='%E5%8E%9F%E7%99%BA%E8%B3%A0%E5%84%9F+%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E8%B3%A0%E5%84%9F%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9%EF%BC%88%EF%BC%94%EF%BC%89'

 (たまたま検索してヒットしたサイトです、批判的にご覧下さい)

 

 

1,東電、和解案の一部拒否(毎日 2014 5 29

http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20140529k0000m040116000c.html

 

(一部抜粋)

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 政府の原子力損害賠償紛争解決センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東京電力福島第1原発事故で「居住制限区域」に再編された福島県飯舘村蕨平(わらびだいら)地区の住民に、より放射線量の高い「帰還困難区域」と同等の賠償を認めた和解案について、東電が一部を「拒否する」との回答書を提出したことが28日、わかった。「区域ごとに賠償基準を設けた現行の賠償実務を混乱させる」などを理由にしている。同日記者会見した住民側は、東電に再考を求めるよう同センターに要望する方針を明らかにした。

 

 申し立てたのは同地区の49世帯中33世帯111人。空間放射線量について、隣接する同村長泥(ながどろ)地区(帰還困難区域)と「同等もしくは高い」として昨年1月、(1)避難慰謝料(月10万円)の一括払い対象を1年延長し事故6年目までに(2)被ばく不安慰謝料として妊婦・子どもは1人100万円、その他は1人50万円(3)家屋など不動産の全損賠償−−を求めた。同センターはこれを認め、3月20日以降、順次和解案を示している。

 

 東電の回答書は27日付。(1)(2)は拒否し、(3)については「(原子力損害賠償紛争審査会の)中間指針等に基づく公平な賠償との観点から受け入れられない」とするも、「本件限り、受諾する」とした。

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 東京電力曰く、「区域ごとに賠償基準を設けた現行の賠償実務を混乱させる」、「中間指針等に基づく公平な賠償との観点から受け入れられないとするも、本件限り、受諾する」。何を偉そうなことを言ってんだ、このバカタレ。お前達・東京電力が諸悪の根源なのだ、お前達・東京電力が出鱈目な原発運転管理をしなかったら、こんな事故は起きなかったのだ。何が「本件限り」だ、何が「公平な賠償」だ。ふざけんじゃねーぞ。これが加害会社・極悪犯罪会社の言うことか。

 

 こんなADRでは、ほとんど意味がない。まずもって、被害者の方々への賠償増額が低すぎる。ADRで仕事をする法律家たちは、かような和解案を恥ずかしいとは思わないのか。原則は、全ての被害者の全ての被害の即時無条件賠償である。そんなことは当たり前だ。当たり前でないというのなら、お前達法律家が同じような目にあってみろ。安全だ安全だとミミタコのような言われていた原発が、ある日突然大爆発を引き起こしてあたり一面放射能だらけになり、すべてのものを奪われてしまう、身ぐるみはがされて自宅や故郷から叩き出されてしまう、そんなことをされて、賠償・補償もまともに受けられないのか。おかしいとは思わないのか?

 

(この記事の横には「仮設入居期限をさらに1年延長」の記事がある(仮設住宅には民間住宅や公営住宅を借り上げた「みなし仮設住宅」を含む)。何で1年なんだよ、被害者に一刻も早く復興・再建してもらって、新しい居住と人生を再出発してもらえるよう、あらゆる手を尽くすとともに、仮設住宅はそれまでの間、いくら時間がかかろうが、入居OKでなければならないのは当たり前だ。そもそも仮設住宅自体がお粗末すぎるし、転居の権利も認めない理不尽の限りを尽くした「難民収容所」だ。こんなことを被害者に対してしていていいのか、おい、福島県庁、ちゃんと答えろよ)

 

● 毎日新聞 仮設入居期限をさらに1年延長

 http://mainichi.jp/shimen/news/m20140529ddm012040061000c.html

 

 そしてPDFファイルの2枚目の記事も見て下さい。

 

● 福島民報 ADR和解案、東電、回答先送り、県農業共済連、受諾求め月内反論

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/05/post_10067.html

 

 こっちでも、支払引き延ばしのために、様々な口実や言いがかりをみつけては支払いを拒否している。まるでタチの悪いヤクザのようなものだ。

 

(一部抜粋)

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 県農業共済組合連合会と県内の9農業共済組合が、東京電力福島第一原発事故による損害賠償を求めて原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電は27日までに、約8億5410万円を支払うべきとした和解案を受諾するかどうかの回答を先送りした。連合会側は5月中に解決センターに準備書面を提出し、和解に応じるよう反論する。

 

 連合会によると、原発事故に伴う逸失利益の算定方法をめぐり、連合会側は共済事業の保険金などが原発事故前後で大きく変動しているため、実際の損害を明確にするため損益計算書を修正して提出。東電側は「修正された計算書を用いることが不相応」と反論し、双方の主張が平行線をたどっていた。

 

 3月の口頭審理でセンターから和解案が示され、連合会側は同意した。一方、東電は4月18日に「なぜ修正された計算書を用いるのか、疑問が完全に払拭(ふっしょく)されていない」などと上申書を提出した。 連合会側は「センターの仲介委員から『計算書の修正は合理的な考え方の一つ』と評価されている」とした。東電側は「慎重に検討している」とした。

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2.ADR和解案、一部拒否、回答延長、目立つ(福島民報 2014 5 31

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/05/post_10092.html

 

 これではADRの意味がない。東京電力の大株主・実質経営者は政府だ、何をしているのか。許しがたいものがある。

 

(一部抜粋)

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 東京電力福島第一原発事故を受け、県民らが政府の原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てた裁判外紛争解決手続き(ADR)で、東電がセンターの和解案を一部拒否したり、受諾するかどうかの回答期限延長を求めたりするケースが少なくとも十数件に上っている。東電は新・総合特別事業計画(再建計画)に「和解仲介案を尊重する」と明記したが、守られていないとの批判も聞かれる。

 

■氷山の一角

■波及を恐れ?

■ADR形骸化

 

【背景】

 原子力損害賠償紛争解決センターへの和解仲介申し立ては23日現在、1万1518件に上る。このうち和解が成立したのは8197件(一部和解は1133件、仮払い和解は103件)。仲介の取り下げや打ち切りなどを除いた2932件は現在も審理が続いている。和解案提示までの平均的な審理期間は約6カ月だが、2932件のうち約200件は平成23、24両年の申し立て。東電と被害者の主張が食い違い、審理が長期化している。

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3.福島県外は国費対象外、苦渋、被ばく自力検査(東京 2014 4 22

 http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7645301.html

 

 福島県とそれ以外の県で線を引いて、福島県以外の都県については、ほとんど賠償らしい賠償を行わない加害者・東京電力、支援らしい支援を行わない事故責任者の政府、これがもう一つの重大な人権侵害である。放射能汚染は県境で止まってはいない。県境とは関係がない。こういうことは絶対に許してはならない。そのために、政治家が存在し、法曹界が存在している。加害側に回っている政治家どもを、あらゆる選挙で叩き落そう=さしあたり自民党だ。そして、法曹界=日弁連は、すべての被害者を組織した1000万人福島第1原発事故損害賠償訴訟を起こせ。

 

(一部抜粋)

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 東京電力福島第一原発事故を受け、福島県以外の地域で、住民団体が被ばく検査を自主的に実施したり、自治体が支援したりする動きが広がっている。背景には、首都圏などでも局所的に空間放射線量が高い地域があるのに、福島県のように国費で被ばく検査する制度がないので自助努力せざるを得ないという、苦渋の現実がある。 (中略)

 

 沢田昭二・名古屋大名誉教授は「国は検査費が膨大になることを恐れているのかもしれない」と指摘。「微量な放射線でも障害が現れる人もいる。原発事故に責任がない自治体やボランティアが検査をやらざるを得ない現状は、国の責任の放棄だ」と憤る。

 

 福島県外での国費検査にわずかな可能性を残すのが、基本方針に従って環境省に設置された専門家会議。健康管理のあり方を再検討し、二〇一四年度中にも結論を出す。しかし、ここでの議論も雲行きが怪しい。昨年十二月の会合で、長滝重信座長(長崎大名誉教授)は、福島近隣県での初期被ばくについて「あまり考える必要がない」と発言。国が一一年三月に福島で実施した甲状腺検査で、全員が原子力安全委員会の基準値以下だったことなどが根拠だ。

 

 傍聴した東京都武蔵村山市の女性(42)は「(福島のデータだけで)近隣県の被ばくリスクや健康調査の必要性はなかったことにされるのか」と驚く。「県外で健康調査をするつもりなど最初からないのでは…」

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4.原発賠償に追加基準 東電 住宅取得や修繕費対象(読売 2014 5 1

 なんで加害者が勝手に賠償基準を決めてんだよ。こんなことやってんのは原発・原子力だけだ。この前も、最もカネがかかる不動産の賠償基準について、加害者コンツェルンの経済産業省・東京電力が基準を決めていた。原子力損害賠償紛争審査会は、自分の頭越しに決められていることに何の異議申し立てもしなければ、異論も批判も発しない。信じがたい話である。そもそも賠償金額が低すぎる。話にならない。さっさとやめさせろ。

 

(一部抜粋)

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 東京電力福島第1原発事故による家屋などの財物賠償について、東京新聞は(4月)30日、避難指示区域の被災者に対する追加の賠償基準を発表した。同区域内に持ち家がある被災者の場合、避難指示解除後に帰還する際の自宅修繕費や。移住先で住宅を取得する費用などが対象。被災者が負担した金額と、これまで東電が支払った財物賠償金の差額が支払われる。持ち家の築年数などに応じて上限が設けられる。

 

 原発事故前に借家に住んでいた被災者の場合は、転居先の家賃や礼金などの相場を基に算出した。帰還する被災者は、1世帯当たり一律10万円(世帯人数が2人以上は1人増えるごとに1万円を加算)、同区域外の借家への転居は一律162万円(同61万円を加算)が賠償される。

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5.本来あるべき賠償・補償の基準

 私が考える本来あるべき賠償・補償の基準を下記に列記します。

 

(1)全ての被害者の全ての被害・損害が何の留保条件を付けられることなく全額賠償または原状復帰されること(逸失利益含む)

(2)全ての被害者の生活及び経営が再建されること(費用,段取り,その他の負担のすべてを加害者が負うこと)

(3)上記②の再建が確認できるまでの間,全ての被害者の生活及び経営を補償すること

(4)2011311日以降,上記の賠償・補償・再建費用が実払いされるまでの間,電気料金遅延にかかる「遅延損害金」と同利率(10%)の「遅延損害金」が被害者に支払われること

(5)悪質な交通事故被害の場合以上の慰謝料(迷惑料)が被害者に支払われること

(+α)被害者の被害は「お金」に変えられないものも多い。その部分を加害者・東京電力(及び原発メーカー)や事故責任者・国が万全にフォローすること 

早々

 

 

2014年6月20日 (金)

子ども甲状腺がんをめぐる鬼と悪魔の論争=福島県の子ども甲状腺がん検査は「過剰診療」「過剰治療」なのか

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

「福島県民健康調査検討委員会」がその傘下に設けている(第3回)「甲状腺検査評価部会」で、放射線被曝もみ消し担当の委員たちが、びっくり仰天するようなトンデモ議論を展開し、そのはずみで、現在の福島県の子どもたちに、非常に懸念される甲状腺ガンが広がっていることが表面化してしまいました。第3回目の「甲状腺検査評価部会」の模様を伝える下記のサイトは必見ですので、ぜひご覧ください。

 

● リンパ節転移が多数~福島県の甲状腺がん OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1793

 

● <リンパ節転移>鈴木眞一「 病理組織学的に取ったものからみると、少なくても50% 多い施設では70%以上見つかります」6-10甲状腺評価部会(文字起こし) - みんな楽しくHappyがいい♪

 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3766.html

 

● 「県民健康調査」検討委員会 「甲状腺検査評価部会」

http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai.html

(画面の中ほどに部会のサイトがあります)

 

 <田中一郎コメント>

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1.渋谷健司(国立大学法人東京大学大学院 医学系研究科国際保健政策学教室 教授)という、山下俊一長崎大学教授・鈴木真一福島県立医科大学教授の「いちいちコンビ」を上回る「超ウルトラ級」の不道徳トンデモ学者が、スクリーニングによる子ども甲状腺ガンの多数発見を「過剰診療」だと非難し、また、これまでの50人を超える子ども甲状腺ガンの摘出手術を「過剰治療」だなどと言いがかりをつけた。「いちいちコンビ」側からは、個々の臨床データを公表していないのに、どうして「取らなくてもいいガンだ」「過剰治療だ」なんて断定できるのか、と切り返されている。また、スクリーニング検査についても「過剰診療」などという言葉は使いたくない(政治的に悪い影響があるから使わないという主旨と理解する:田中一郎)、と返答している。

 

 こっちが鬼なら、あっちは悪魔、まさに「目くそ・鼻くそ」の言い争いをしているようだ。福島県の子どもたちの命と健康のことなど、どこかへ吹っ飛んでしまっている。議論の内容は極めて低レベルで、今やこんな人間ばかりが頭狂(東京)大学をはじめとする日本の大学や研究機関の教員・研究者におなりになっているのだが、それはさておき、まず、スクリーニングについて言えば、子ども甲状腺ガンが90件近く発見されているのが多いのか少ないのかは、福島第1原発事故の影響が小さい地域=西日本で同じよう検査を大集団でやればわかる話なので、それをしない現状は「過剰診療」ではなくて「過小診療」、

 

 また、福島県以外の汚染地域での検査をいつまでたってもやらない点から見ても「過小診療」、しかも、検査は2年に1回しかしないし、その検査も10分間くらいで、チョコチョコと、のど元を触っておしまいの、お粗末極まりないものにすぎず、検査結果の内容についても、まともに検査を受けた本人に還元されない・説明されない事態が続いている。これは「過小診療」どころか「切り捨て診療」「モルモット診療」以外の何物でもない。

 

 また、治療についても、経過観察した方がよくて、切除手術は時期尚早のものがあったのではないのか、という一般論的な疑問であれば、文字通り、そのように聞けばいい話であって、何故に「過剰」(診療・治療)などという不穏当・不適切きわまりない言葉を使うのか。上記で申し上げたように、過剰どころか、本来あるべき健康検査、予防対策、健康管理の観点から見て、なされるべきことがちっともなされていない「出鱈目健康管理」であり、福島第1原発事故後対応であることは、多くの人々が批判してきたところである。それに挑戦・挑発するかのごとき、この渋谷健司とかいう不道徳トンデモ学者は、福島県の子どもたちの命と健康の問題を何だと思っているのか。

 

 それにしても、この期に及んでも、鈴木真一福島県立医科大学教授は「子ども甲状腺ガンの手術に関する臨床データは公表しない」などと、まだ踏ん張っている。あきれて開いた口がふさがらない。公開しない正当な理由など全くない。ただただ、子ども甲状腺ガンの実態を隠したい一念である。

 

● 春日文子(日本学術会議 副会長)発言

「医療診療のフェーズに移ったお子さんからの情報ですね。どこまで県民のものとして共有すべきか。あるいは国民の自身のものとして共有すべきか、なんですね。

 お一人お一人の情報はもちろん、その、個人情報ですけれども、でも、何人かの患者さんのデータが集まった段階でですね、なぜリンパ節転移の割合が公表できないのか? というのはちょっと疑問に感じますし、他の情報に関してもそうです。たとえば、匿名化したうえで、画像データですとか、病理のデータをですね、なぜそのデータベース化した後で公表できないのか?というところは、まだちょっと納得できないというのがあります。

 そのあたりが集団のデータとして公表されればですね、これは鈴木先生が今まで説明に苦労されているような、「過剰診断ではない」という、そのご説明にもなりますし、実際に子どもたちを受診させようとしているご家族にとってもやはり納得できるものになるのではないでしょうか。そこはどうお考えになりますか?」

 

(この春日氏の発言に対する鈴木真一福島県立医科大学教授・清水一雄日本医科大学教授のわけのわからない「言語不明瞭・意味不明」の返答は、上記サイトをご覧ください)

 

2.しかし、この渋谷健司とかいう不道徳トンデモ学者の発言にびっくりして飛び出てきたのが、次の3点、これは極めて重要な発言内容である。その他、注目発言も含めて、若干の私のコメント付きで下記に列記しておく。

 

(1)清水一雄(座長:日本医科大学教授、日本甲状腺外科学会前理事長

「今「予後がいい」と言われている癌がどういうビヘイビアを生物学的に育っていくかというのはだれも予想できない。それから、生物化学的にも、あのー、裏付けがまだない、いわゆる未分化癌、低分化癌が移行していくのはどうして移行していくんだろうと・・・・」

 

(田中一郎)⇒ つまり、子ども甲状腺ガンの予後がいい(鈴木真一福島県立医科大学教授がしきりにくりかえして言うこと)などというのは根拠がないということだ。事実、チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国では、甲状腺ガンを患った少なくない子どもたちが、甲状腺から肺や脳に転移してしまったガンによって命を落としている。また、甲状腺を切除した子どもたちのその後の体調や健康状態は、それはつらいものではないだろうか。人工的なホルモン剤などが、甲状腺切除を100%カバーしてくれるとはとても思えない。

 

(2)鈴木真一福島県立医科大学教授

「その中で明らかに悪性度が高いものや場所の悪いもの、そういうものだけを選んで細胞診をして、場合によっては手術になっているという事になります。」

 

(田中一郎)⇒ ということは、先般公表された甲状腺ガンの高い確率(ほぼ9割が確実)の疑いまでを含めて89人という子ども甲状腺ガン件数は、明らかにタチが悪いと見られたガンだけを選んだ結果なのであって、ひょっとすると実際には、それだけではない甲状腺ガンの潜在的な可能性のある子どもたちが他にもいる、ということなのか。これは「過剰診療」どころか「過小診療」による「過小評価」ではないか。

 

(3)清水一雄日本医科大学教授・鈴木真一福島県立医科大学教授

(清水)「一般的に小児の甲状腺乳頭癌のリンパ節転移は圧倒的に多いです。大人よりも多いです。たとえば、本当に50%、40%前後じゃないかと思いますね。あのー、肉眼で見ても集中に。」

(鈴木)「病理組織学的に取ったものからみると、(リンパ節転移は)少なくても50%、多い施設では70%以上見つかります。」

 

(田中一郎)⇒ やはりそうだったのだ。私が前々から申し上げているように、子どものガンは大人のガンとは違うのだ。まずは、子どもの甲状腺ガンは大人のそれとは違って、転移が早い・多いということである。つまり、うかうかしていると危ないということを意味している」

 

(4)西美和(広島赤十字・原爆病院 小児科)

「それで、最近のジャーナル○×△とかJ□△というアメリカの雑誌には書いてあるんですね。アーリーディテクション(early detection 早期検知; 早期発見 )のほうがいいと。で、えー、たとえば小児でもですね、親が見つけた時にはもう大きくなってかなり転移しているとかですね、そういうのがあるんですので、」

 

(田中一郎)⇒ 当たり前だ。何が「過剰診療」だ。ふざけるな!!

 

(5)西美和(広島赤十字・原爆病院 小児科)

「(甲状腺ガンの手術の結果などの詳細情報の公表を)検討部会としての希望という事で出せばいいと思いますし、それから、取られた組織は保存されていますか?、またそれも具体的にはいいですけど、将来的に放射線による遺伝子のなんかが分かればですね」

 

(田中一郎)⇒ なかなかいい突っ込みだが、摘出した甲状腺ガン組織については、ただちに今、7Q11染色体の検査をやりなさい、と何故言わないのか。

 

(6)春日文子(日本学術会議 副会長

「県全体、あるいは県の調査にアドバイスをしている環境省にもお願いしたいことですけど、とにかく一次データから、データをきちんと保管するという事。これは絶対に可能な限りお願いしたいと思っております。」

 

(田中一郎)⇒ 全くその通り。ですが、きわめて怪しい。春日先生、できれば、その一次資料とやらにはどのようなものがあるのか、部会か委員会で確認していただけませんか?

早々、

住民を守らない劣悪自治体と御用学者のアンサンブル=安全、安心、安全、安心

前略,田中一郎です。

別添PDFファイルは添付できませんでした。

 

 日本の政治や行政の劣悪さ・醜悪さは今に始まったことではないが、3.11福島第1原発事故後においてさえ、放射能汚染・放射線被曝から住民を守らない、守ろうとしない、その出鱈目な態度は、まことに目に余るものがある。そして、この劣悪・醜悪な政治や行政を、その背後や側面から、一生懸命応援・合唱しているのが御用学者でありマスごみたちであるという嘆かわしい事態が顕著になったのも、3.11福島第1原発事故以降のことである。別添PDFファイルの4つの記事は、そのほんのわずかな事例にすぎないと思ってご覧いただければ幸いである。読みながら、怒りを抑えるのに苦労する記事である。この国は「露悪・居直りの国」に転落したようである。

 

 <別添PDFファイル>

(1)ヨウ素剤配布、事故後に、北海道共和町、原発5キロ圏で初(毎日 2014.6.19

(2)プロメテウスの罠 県境の先で(10)  砂が入っても大丈夫(朝日 2014.6.19

(3)避難計画は不可能(鹿児島・伊藤祐一郎知事発言に注目)(鎌田慧 東京 2014.6.17

(4)原発避難、病院9割計画なし、再稼働審査先行の30キロ圏52市町村(朝日 2014.8.18

 

1.ヨウ素剤配布、事故後に、北海道共和町、原発5キロ圏で初(毎日 2014.6.19

http://www.shinmai.co.jp/newspack3/?date=20140619&id=2014061801001927

 http://www.chunichi.co.jp/s/article/2014061801001927.html

 

 明確な原子力「寄生」委員会の(改定)指針違反である。これでは再稼働は認められないのは当然のことだ。その「当然」が「当然でない」のがこの日本であり、愚か極まりないという他ない。北海道庁は何をしているのだろうか。やっぱりあの(経済産業省の出先人間とか言われている)高橋はるみ知事ではだめなのか。また、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、こんな明確な指針違反を放置しておくつもりなのか。

 

 しかし、問題はそれだけにとどまらない。この記事の次のような記述、これはいったい何なのだ。

「福島第1原発事故後に配布が遅れたことを踏まえ、原子力規制委員会が原則として事前配布するよう指針を改定した。この結果、ヨウ素剤管理が住民任せとなり、共和町の方針は住民管理への強い不安を反映したものと言える。」

 

 マスごみが、出鱈目自治体の共和町になり代わってエクスキューズをしているようだ。安定ヨウ素剤を住民が管理するのが不安なら、たとえば今般、安倍晋三政権が「アホノミクス成長戦略」とかいうインチキ施策で打ち出した、下記のような危険極まりない医薬品のネットセールスについてはどうなのか。こっちの方がよほど危ない。おまけに、この医薬品ネット販売の完全自由化を先頭に立って推進してきた「楽天」とかいう出鱈目会社は、ネット通販で下記のようなインチキ行為をしている。インチキ会社にかような危険なビジネスをさせていいのか。「楽天」的なのは、会社の名前だけでなく、政府・厚生労働省・安倍政権と、それに癒着しているマスごみ・御用学者ではないのか。

 

 何が「(安定ヨウ素剤の)住民管理への強い不安を反映」だ。放射性ヨウ素による被ばくのことを考えれば、安定ヨウ素剤が配布されないことの不安の方がはるかに大きいわ。バカも休み休み言え。

 

● 第一種-第二種等の医薬品の違いを教えてください。 - Yahoo!知恵袋

 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1250759712

 

● 一般用医薬品のインターネット販売について(厚生労働省医薬食品局総務課:20142月)

http://wrs.search.yahoo.co.jp/FOR=vqmHoVJV3iggSUQmA3AnCshTxlKTh4c2HsrSsPrFW0WiGKbMVhCSahGg.Vab5ziQhP7zOOynGBXmp45IOY1d59cXgxCvRudxQqiOHslBW5FoG9FdA14BfMuJLYASL2gs88Y4X8NLJfltNXRemWhXtGH3GqZthang7lZsxkhszaxzfCBIyaBBNmJeKCQ8HMcquBZqSMgV08eEhm5W0dAsAPqtod3uhkh9h2LyEQIk3.HV_e4GkwAnS7EQ2s0-/_ylt=A8vY8oo4RKJTkg0AeJeDTwx.;_ylu=X3oDMTEydmIzYzAzBHBvcwMzBHNlYwNzcgRzbGsDdGl0bGUEdnRpZANqcDAwMDE-/SIG=1891nfkck/EXP=1403244024/**http%3A//www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/140214-1-3.pdf%23search=%27%25E5%258C%25BB%25E8%2596%25AC%25E5%2593%2581%25E3%2581%25AE%25E3%2583%258D%25E3%2583%2583%25E3%2583%2588%25E8%25B2%25A9%25E5%25A3%25B2%25E8%25A7%25A3%25E7%25A6%2581%27

 

● 楽天、優勝セールでの価格不正に社員18人が関与 社員の処分なし

 http://www.huffingtonpost.jp/2014/04/25/rakuten_n_5211392.html

 

2.プロメテウスの罠 県境の先で(10)  砂が入っても大丈夫(朝日 2014.6.19

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11197415.html

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140619-00000003-asahik-soci

 

 多言を要しない。記事をお読みいただければ明確。この記事に出てくる石井慶造とかいう東北大学の教授の名前は覚えておこう。どうしようもない奴のようだ。また、かような人間が、宮城県の「健康影響に関する有識者会議」のメンバーに招かれている。村井嘉浩・宮城県知事という人間の正体を見るようである(朝日新聞の「プロメテウスの罠」のこのシリーズの記事と、前回の「帰還の現実」のシリーズの記事は目を通されておかれた方がいい)。

 

 この記事で、私が特筆しておきたいのは、下記の石井慶造の「インチキ」=「立証責任の転換」のことだ。この屁理屈は、素人をごまかして煙に巻くときによくつかわれる手法で、十分に気をつけておこう。彼らにだまされてはいけない。人がいい、良心的な人ほど、彼らにだまされて「抱え込む」(=証明できないので何も言えなくなる)傾向にあるので、ひときわ要注意だ。

 

(記事の一部抜粋)

「当時は研究者として、その時点までの知識とデータで、ものをいうしかありませんでした。逆に、安全ではないというなら根拠を示さなければならなかった。それがないから安全だといったんです」

 

 何言ってんだよ、このトンチンカン。そこらじゅうにばら撒かれた放射能に「安全ではない」などという証拠が要るのかよ。放射能というのは微量であっても安全ではない、などということは世界の常識になってんだよ。話が逆だろう。「放射能の量は自分が見てそれほどでもないが(これも嘘八百なんだけれど:田中一郎)、安全とは言えなかった。何故なら、これまでの知識とデータから、安全というなら証拠を示さなければならなかった」が、本来、あんたが言うべき発言なんだよ。

 

 放射能汚染や放射線被曝について、原子力ムラ・放射線ムラの御用学者どもは、危険だというのなら、その証拠を、被ばくさせられる市民や住民が示せ、とのたまわく。こんなものに対しては、バカ正直に真に受けるのではなく、逆だろう、安全だというのなら、放射能をばら撒き我々を被ばくさせるあんた達が、その証拠を示せ、と言い返しておけばいい。証明責任の被害者への転嫁は、被害者の口封じのための彼らの常套手段である。放射能については、危険性を市民・住民が証明することが必要なのではなく、安全であることを原子力ムラが証明することが必要なのだ、(できないから責任を転嫁してくる)

 

(下記に、このトンチンカン学者の名前で検索したらヒットしたサイトを若干ご紹介しておくので合わせて参考にされたい:但し、内容の是非は私は判断していないので批判的にご覧いただきたい)

 

● 「粘土が宮城・福島を救う」~御用学者のトンデモ説 - 愛と勇気vv - Yahoo!ブログ

 http://blogs.yahoo.co.jp/yuu_5r/60807707.html

 

● 放射性物質「健康に影響なし」 県有識者会議が報告書 宮城 (河北新報)  赤かぶ

 http://www.asyura2.com/12/genpatu21/msg/132.html

 

3.避難計画は不可能(鹿児島・伊藤祐一郎知事発言に注目)(鎌田慧 東京 2014.6.17

 http://nonukes.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-fe46.html

 

 伊藤祐一郎知事曰く「30キロ圏までの要援護者の避難計画は現実的ではなく不可能だ」「10キロまでで十分だ」

 鹿児島県のみなさま、こんな人間を知事にしておいていいのですか?

 

(一部抜粋)

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 一カ月半ぶりに、川内原発(鹿児島県)正門前にたった。門は固く閉ざされ、鉄製の車止めがいくつもおかれている。フェンスの上に、大蛇のように大きく巻かれた有刺鉄線が伸びていて、いくつかの監視カメラがこちらをにらんでいる。警官隊がでているのは、鹿児島市内をはじめ、全国から市民が抗議にきたからだ。鹿児島県は安倍政権がゴリ押しする、原発再稼動「突破口」の汚名に甘んじている。県知事や薩摩川内市の市長が危険を顧みることなく、「早くやってくれ」と要望しているのだ。

 

 各地に原発が建設されたのは、そこが物理的に一番安全だからではなく「政治的条件」に恵まれていたからだ。カネの魔力には負けない反対が強ければ、電力会社は建設を諦めてきた。再稼動の条件もまた同じである。 門の脇に座っている私たちの目の前を、黒牛を積んだ大型トラックや農耕用の小型トラックが通り抜けていく。ここは農業国なのだ。高いフェンスや有刺鉄線や監視カメラや警官隊は、門の内側にいる世界で一番危険な猛獣が暴れるのに備えているようでもある。

 

 伊藤祐一郎知事は、「30キロ圏までの要援護者の避難計画は現実的ではなく不可能だ」と発言している。「10キロまでで十分だ」。それ以外の老人や病人は見捨てる。そうまでして原発を稼働させたい。カネのためである。(ルポライター)

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4.原発避難、病院9割計画なし、再稼働審査先行の30キロ圏52市町村(朝日 2014.8.18

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140618-00000014-asahi-soci

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11195563.html

 http://www.asahi.com/articles/ASG6G451DG6GUTFK006.html

 

 こういう状態で福島第1原発事故が起きたため、たくさんの病院入院患者さんや養護施設の高齢者の方々がなくなった。二度とかような人災悲劇を起こしてはいけない。誰でもそう思うのではないか。が、しかし、この国には、そうではない一部の人間たちがいて、その連中が国の原子力政策を牛耳っているようだ。また、人殺しを前提にして原発を再稼働しようとしている。彼らによれば「原発事故で死んだ人はいない」のだそうだ。ぶっ飛ばしてやろうかな。

 

(一部抜粋)

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再稼働の審査が先行している6原発の半径30キロ圏内にある全52市町村の避難計画のうち、病院で個別の避難計画を作っていたのは全217施設中18施設(8%)にとどまることがわかった。老人ホームなど社会福祉施設も全823施設中204施設(25%)で、入院患者ら避難弱者の計画作りがほとんど進んでいない実態が明らかになった。

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早々

 

 

2014年6月19日 (木)

薄めて捨てていいのなら、いくらでも捨てられる : 海水排水、トリチウム濃度上昇、地下水バイパス暗雲(東京新聞より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、本日の東京新聞、及び昨日の日経産業新聞です。東京電力が予想通り、汚染水の出鱈目な海洋投棄を始めているようです。放射能汚染水を薄めて捨てていいのなら、いくらでも捨てることができます。また、海水濃度が政府・原子力「寄生」委員会が言う濃度まで上昇しない限り汚染水を捨てていいのなら、これまた、いくらでも無尽蔵に捨てていいことになります。何を馬鹿なことを言っているのでしょうか。

 

やめさせなければいけません。東日本の沿岸・沖合が「死の海」となり、海洋生物が広範囲に汚染されてしまい、取り返しがつかなくなります。そもそも福島第1原発の乱立するタンクに入れられている汚染水ですが、「(放射性物質が除去されたと言われている水でも)トリチウム以外の放射性物質が本当に取り除かれているのかどうかも怪しい限りです。

 

福島第1原発で汚染水騒ぎの原因となっている水は、何といっても原子炉の核燃料を直接洗った水そのものですから、本来は猛烈に様々な放射性物質で汚染されており、そう簡単に放射性物質が除去できるとは考えない方がいいと思います。はたして、報道されているように、トリチウムと60数種類の放射性物質除去だけで大丈夫なのかどうかも疑った方がいいと思っています。

 

そして、そんなタンクの汚染水が、福島第1原発敷地のあちこちで漏れ出して、それが地下水に浸みこんでいるわけですから、危なくて仕方がないわけです。漏れ出したタンクの下流にある井戸を掘り返せば、当然のことながら、そんな危険な汚染水が混ざって出てくるのは当たり前と言えば当たり前です。

 

ともかくも、毎日何度か、トリチウム以外の放射性物質の濃度検査もしておかなければ、後で海に放射能ごと捨てていたことが分って、後の祭りになりかねません。

 

 <別添PDFファイル>

(1)海水排水、トリチウム濃度上昇、地下水バイパス暗雲(東京 2014.6.19

(2)排水中の化学物質の毒性、生態系への影響、数値化(日経産業 2014.6.18

 

1.海水排水、トリチウム濃度上昇、地下水バイパス暗雲(東京 2014.6.19

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014061990071155.html

 

(一部抜粋)

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東京電力福島第一原発で、地下水が建屋に流れ込んで汚染水になる前にくみ上げ、海に放出する「地下水バイパス」をめぐり、放出している水に含まれる放射性物質のトリチウム濃度がじりじり上がり続けている。昨年夏に三百トン超の高濃度処理水が漏れたタンク群近くの井戸水が、全体の濃度を押し上げている。東電はこの事実に気づきながら、対策を取ろうとしない。(小倉貞俊)

 

 地下水バイパスは、汚染水の発生抑制のため、1~4号機の西側にある十二本の井戸からくみ上げた水をいったんタンクに集め、混ぜた状態で放出基準(トリチウムは一リットル当たり一五〇〇ベクレル)未満だと確認できれば海に流す仕組み。

 

 これまで最も南側の井戸では、基準を超えるトリチウムが検出され、十六日に採取した水では過去最高の二〇〇〇ベクレルを記録した。東電は、個別の井戸で高い数値が出ても「水を混ぜて基準を下回れば問題はない」と主張。現在は混ぜた状態で二三〇~三二〇ベクレルで、急上昇しない限り放出を続けるという。だが、混ぜても濃度が上昇してきていることは、東電自身の分析結果でも明らかだ。

 

 どの井戸からトリチウムが多くもたらされたのか。東電の分析では、南側三本の井戸だけで、全体の九割以上を占めていることが判明。これらの井戸は、いずれも水漏れを起こしたタンクから百数十メートルと近く、地下水の流れの下流に当たる。ほぼ水と同じ性質のトリチウムが先行して流れ込んだとみられる。

 

 最も南の井戸だけでもくみ上げを止めれば、全体の濃度は現在の二割程度に下がることは確実。放出する地下水を増やしたいなら、汚染度が低いとみられる北側に新たに井戸を掘るなどの手段も考えられる。

 

 しかし東電は「地下水バイパスは十二本の井戸を一体として運用している。地元住民の方々のご理解は得ている」(小林照明原子力立地・本部長代理)などとして新たな手を打とうとはしない。ただ、このまま濃度が上がれば、地元漁協の理解が得られ続けるかどうかは疑問で、地下水バイパスそのものが頓挫しかねない。

 

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2.排水中の化学物質の毒性、生態系への影響、数値化(日経産業 2014.6.18

 たまたま日経産業新聞で見つけた記事です。工場などから排出される排水が生態系へ及ぼす影響を数値化する手法が開発されたという主旨の記事で、これを見ますと、化学物質について生物を利用した水質検査の手法が確立されているようです。具体的には、海水と淡水の中で最適な水生生物を育成し、飼育ノウハウを確立、排水で育つ魚などと成長の度合いを比較する、そうです。「生物応答」と呼ぶ手法で、1980年代に米国で導入され、欧州などで広がっているのだそうです。

 

 何故、こうした手法で、福島第1原発から海へ漏れ出ている放射能汚染水の海洋生物や生態系への影響を中長期的に確認しようとしないのでしょうか。また、他方で、意図的に放射能汚染水を垂れ流す前に、こうした汚染排水の生態系への影響を確認しておくべきではないのでしょうか。このことは、青森県六ケ所村の再処理工場についても言えることです。

 

 東京電力よ、もういい加減にせいや。

早々

 

 

 

2014年6月18日 (水)

巧言令色鮮仁の似非農業改革:一般論の美辞麗句で飾られた目的を詐称して、その真逆の処方箋を打ち出す規制改革会議(その目的は委員たち自身の商売繁盛)

前略,田中一郎です。

 

 下記は、2014617日付の農業業界紙『日刊アグリ・リサーチ』の記事です。このほど政府の規制改革会議が打ち出した農業委員会及び農業生産法人に関する「改悪プラン」がコンパクトに整理されていますので、ご参考までにお送りいたします。

 

 このメールの表題にも書きましたように、この「似非農業改革」プランは、一言で言いますと「巧言令色鮮仁の似非農業改革:一般論の美辞麗句で飾られた目的を詐称して、その真逆の処方箋を打ち出す規制改革会議、その目的は委員たち自身(及び委員たちの背後にいる利害関係人)の商売繁盛が目的」ということです。くだけた形で申し上げれば、自分たちが農村や農業分野で商売をしていくにあたり、農業委員会が邪魔なのでぶっこわす、また、農業生産法人を自分たちが支配できないのでそれも変える、ということにすぎません。後日お送りする予定の農協改革プランもそんな調子の似非改革です。

 

 私利私欲を実現するために、天下国家を論じ、大義名分を振り回す、似非改革の下劣きわまる「ちょうちん人間」たちの集まり、それが安倍晋三政権の規制改革会議なるものの正体です。そして、ここまで日本農業を何とか守り育ててきた担い手を横へ押しのけ、農業基盤である農地を「農業のための農地」から「金もうけの手段としての農地」に転換せんとする、市場原理主義アホダラ教とご都合主義の混ざり合った、どうしようもない農業破壊のプラン、それが今回の農業改革プランです。こんなものは、安倍晋三政権とともに破棄されるべきです。

 

 <一般論の美辞麗句で飾られた目的を詐称して、その真逆の処方箋を打ち出すいくつかの事例>

 

(1)「農地利用の最適化に重点置き」

 

 ⇒ 農地利用の最適化に重点を置くのであれば、一番いい仕組みは、農業を自ら行う生産者・農家自身が、農地に関する権利(所有権や賃借権など)を持つのが最も最適のはず。日本は、不在寄生地主に支配されることにより長きにわたって悩まされ続け、農村・農民を疲弊させてしまった戦前の苦い経験から、農地政策を戦後の農地改革を経て、この「自ら耕すものに農地を」という「耕作者主義」の農地政策に切り替え、その後はその政策方針を一貫して取り続けてきた(新聞等で「自作農主義」とあるのは間違い。それは戦後10~15年くらいの間の話で、その後、借地形式での農地の集約や流動化が政策的に促進されるようになり、「自作農主義」は「耕作者主義」に転換した)。しかし、規制改革会議は、その「耕作者主義」を破棄して、不在地主や不在資本による農地や農業支配を推し進めるべく、農地法改悪を画策し続けている(「不在地主」や「不在資本」の「不在」とは、農地のある当該農村に「不在」であること=つまり農村外部の地主、外部資本のことを言う)。

 

(2)「農業委員会の使命を的確に果たすことのできる適切な人物が透明なプロセスを経て確実に委員に就任するようにするため、選挙制度を廃止するとともに、議会推薦・団体推薦による選任制度も廃止し、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任委員に一元化する。」

 

 ⇒ わけのわからない文章である。「適切な人物が透明なプロセスを経て確実に委員に就任するようにするため」には、不透明な「市町村長の選任委員」ではだめで、選挙制度を入れて委員を農村の生産者・農家みんなで選んでいこう、その方が適切な人物が委員となりやすく、かつ選任プロセスも透明である、というのなら理解できる。しかし、書かれていることはそれとは逆で、選任プロセスが透明な選挙をやめて、不透明な市町村長指名にするというのだから、わけがわからない。また、「利得関係がなく公正に判断できる者を必ず入れることとする」などとも書かれているが、かような記述は具体性に欠けていて無内容な文章であり、また、それが何故、市町村長指名の農業委員になったら実現するのかもさっぱりわからない(要するに選挙で選ばれる農業委員をやめさせて、外部資本や外部地主の息のかかる人間を市町村長を籠絡して農業委員にしてしまおうということを意味している)。

 

(3)「また、機動的な対応を可能とするため、農業委員は現行の半分程度の規模にする。」

 

 ⇒ 耕作放棄地の拡大、高齢化から死去に伴い農地の相続手続きの増加、農地転用の動きの増大などなどを受け、農地の現状調査から耕作放棄地の発生防止と既存放棄地の回復、生産者・農家からの各種相談など、農業委員会の仕事は増大傾向にある(逆に言うと、増大傾向にない農村は、既に農業が放棄されて衰退し始めているということを意味する)。しかも、下記に見るように、農業委員会の事務局の体制もお寒い限りである。こんな状況なのに、何故、農業委員を減らすのか。これこそ、こじつけ理由による「ためにする議論」そのものである。何が「機動的な対応」か!!。

 

(4)「現在の平均的な農業委員会事務局職員数は約五人であり、その約半数が市町村内部部局との兼任となっており、農業委員会の実務的機能の強化を図る上で、現在の事務局体制では必ずしも十分ではないという指摘がある。したがって、農業委員会の事務局については、複数の市町村による事務局の共同設置や事務局員の人事サイクルの長期化の実施などにより業務の円滑な実施ができるよう体制を強化する。」

 

 ⇒ 人数が少なくて仕事が十分に回らない、というのだから、素直に人数を増やせばいいものを、近隣の農業委員会と事務局を共通にして運営するなどと書いている。これは組織を合理化=人減らしをするときに使う方法であり、まったく真逆の処方箋である。また、人事サイクルの長期化は人事の滞留を生んで組織の活力を乏しくし、仕事の刷新性や効率性を損ねてしまうことになりかねない。なにゆうてますのよ、でござる。

 

 以下、似たようなインチキ処方があちこちに散見される。かつて教育委員会の委員が公選から自治体首長による指名になったことにより、政治色の強い歪んだ人事が横行したり、委員会そのものが形骸化して、その本来の機能を果たさなくなったように、農業委員会も、その公選制度を廃止してしまうと、今よりもなお一層ひどい状態=たとえば一部有力農業委員による地域農地の差配と私物化などが起きてしまうのではないか。農業委員会の本来の機能を向上させる為には、委員の市町村長指名制度や、委員の数を減らすことではなく、真正面から、その農業委員会の活動状況をオープンにし、おかしな点を改めさせて行くという正攻法が最も近道である。

 

 

●『日刊アグリ・リサーチ』記事

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 農地利用の最適化に重点置き「推進委員」を新設など、農委等及び農業生産法人の見直しH規制改革会議答申

 

 政府の規制改革会議が二二日、「規制改革に関する第二次答申」(既報)の取りまとめを行い安倍総理に提出した。第二次答申の農業分野の中で「農業委員会等の見直し」について、「農業をめぐる社会経済の構造変化に対応して、農業委員会は、遊休農地対策を含めた農地利用の最適化に重点を置き、これらの業務の積極的な展開を凶る」「残された時間的な猶予は少ない中で、農地利用最適化推進委員(仮称)を新設するなど農業委員会の実務的機能の強化を図る」とした。 

 

 また、農地を所有できる法人(農業生産法人)の見直しでは、「長年にわたり耕作に従事してきた農業者の豊富で有益な経験と新しい世代や異なる地域・業種の知恵・技術・ノウハウとをつなぐ」「さまざまな担い手による協働の中から地域農業の多伎な経常・技術の革新と付加価値の拡大を図り、新分野の価値の創出と企業化を推進する」としている。答申で示された農業委員会等及び農地を所有できる法人(農業生産法人)見直しの具体的な記述内容は次の通り。

 

〈農業委員会等の見直し〉

ア.選挙・選任方法の見直し【平成二六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 現在の農業委員については、名誉職となっているのではないか、兼業農家が多いのではないか等の指摘がある。したがって、農業委員会の使命を的確に果たすことのできる適切な人物が透明なプロセスを経て確実に委員に就任するようにするため、選挙制度を廃止するとともに、議会推薦・団体推薦による選任制度も廃止し、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任委員に一元化する。その際、事前に地域からの推薦・公募等を行えることとする。これに伴い、市町村長は、農業委員の過半は認定農業者の中から選任し、また、利得関係がなく公正に判断できる者を必ず入れることとする。

 

 また、機動的な対応を可能とするため、農業委員は現行の半分程度の規模にする。さらに、女性・青年農業委員を積極的に登用する。なお、委員にはその職務の的確な遂行を前提としてふさわしい報酬を支払うよう報酬水準の引き上げを検討するものとする。

 

イ.農業委員会の事務局の強化【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 現在の平均的な農業委員会事務局職員数は約五人であり、その約半数が市町村内部部局との兼任し乙なっており、農業委員会の実務的機能の強化を図る上で、現在の事務局体制では必ずしも十分ではないという指摘がある。したがって、農業委員会の事務局については、複数の市町村による事務局の共同設置や事務局員の人事サイクルの長期化の実施などにより業務の円滑な実施ができるよう体制を強化する。

 

ウ.農地利用最適化推進委員の新設【平成二六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 農業生産・経営の基礎的な資源としての農地は減少傾向にあり、耕作放棄地の増加に歯止めをかけられない状況が続いており、農業委員会の業務の一部である耕作放棄地の調査・改善指導など、農地の監視活動の強化を図るべき等の指摘がある。したがって、農業委員会の指揮の下で、担い手への集積・集約化、耕作放棄地の発生防止・解消、新規参入の促進など各地域における農地利用の最適化や担い手の育成・発展の支援を推進する農地利用最適化推進委員(仮称)の設置を法定化する。

 

 なお、農地利用最適化推進委員は、農業委員会が選任することとし、その際事前に地域からの推薦・公募等を行えるようにする。農地利用最適化推進委員は、地域の実情に応じて必要数を選任し、報酬は、市町村ごとに一定のルールの枠内で支給することを検討する。

 

エ.都道府県農業会議・全国農業会議所制度の見直し【平成二六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 農業委員会は、自らの置かれた環境に応じ自主的・主体的に責任をもってその業務に取り組むことを基本とすべきである。したがって、農業委員会の見直しに併せて、都道府県農業会議、全国農業会議所については、農業委員会ネットワークとして、その役割を見直し、農業委員会の連絡・調整、農業委員会の業務の効率化・質の向上に資する事業、農地利用最適化の優良事例の横展開等を行う法人として、都道府県・国が法律上指定する新たな制度に移行する。

 

オ.情報公開等【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 農業委員会については、農業委員会と関わることが少ないことや外部の人間の口に見える活動が少ないことなどから、その活動が見えないという指摘がある。したがって、農業委員会は、その業務の執行状況を農業者等の関係者に分かりやすくタイムリーに情報発信するものとする。また、農業委員会は、農地の利用状況調査を毎年、確実に行い、農地ごとにその利用状況を公表する。農林水産省及び都道府県農政部局は、農業委員会の業務の執行状況に関する情報公開を行い、農業委員会に対する適切な助言、支援等を行う。

 

カ.遊休農地対策【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 耕作放棄地が増加している現状や、今後、域外参入者や農外企業を合め多様な担い手の参入が予怨されることを踏まえ、農地の保全について取組を一層強化する必要がある。したがって、農業委員会は、農地の利用関係の調整、農地中間管理権の取得に関する協議の勧告等の業務を着実に実施するものとするほか、農地中間管理機構が必要に応じて農業委員会に対して利用意向調査の実施を促す仕組みをつくる。

 

キ.違反転用への対応【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 都道府県知事等は、違反転用者に対し農地への原状回復を促す指導・勧告や処分を行うものとされているが、違反転用に対する処分等が必ずしも十分に行われていないのではないかとの指摘がある。したがって、優良農地の確保の業務を強化するとととし、違反転用事案について、権限を有する都道府県知事文は農林水産大臣に対して農業委員会が権限行使を求めることができる仕組みをつくる。

 

ク.行政庁への建議等の業務の見直し【平成ニ六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 農業委員会は、遊休農地対策や違反転用対策に重点を置き、これらの業務の積極的な展開を図るべきであるという指摘がある。したがって、農業及び農民に関する事項についての意見公表、行政庁への建議等の業務は、農業委員会等に関する法律に基づく業務から除外する。

 

ケ.転用制度の見直し【平成二六年度検討・結論、平成二七年度措置】

 農地転用制度について、現行の要件が農業の六次産業化や営農に必要な施設の設置等に支障となっているとの指摘がある。したがって、植物工場、販売加工施設など農業の六次産業化・成長産業化に資する農地の転用については、より円滑な転用を可能一-とする観点から見直しを行う。

 

コ.転用利益の地域の農業への還元【平成二六年度検討開始】

 農地が国民のために限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることに鑑み、地域における農地の適切な保全を図りつつ、農地流動化を促進する必要がある。したがって、農地流動化の阻害要因となる転用期待を抑制する観点から、転用利益の地域農業への還元等、公平で実効性のある方策について中長期的に検討を進める。

 

〈農地を所有できる法人の見直し〉

ア.役員要件・構成員要件の見直し【平成二六年度検討・結論、法律上の措置が必要なものは次期通常国会に関連法案の提出を目指す】

 農業生産法人の制度は、長年にわたり耕作に従事してきた農業者の盟簡で有益な経験と、新しい世代や異なる地域・業種の知恵・技術・ノウハウとをつなぐ観点から、その充実・拡充が検討されるべきである。この点について、現行の農業生原法人の要件については、事業規模拡大に十分に対応できるか、農業者の資金調達手段を狭めていないか、その制度が現場に携わる者にとって簡素で分かりやすいものになっているか等の観点から所要の改善が求められる。

 

 したがって、現行の農業生産法人制度に係る改葬を図るため、以下を内容とする農地法の改正案を次期通常国会に提出する。

a.役員要件について、役員又は軍要な使用人のうち一人以上が農作業に従事しなければならないものとする。

 ※りースの場合における役員の要件についても同様に、役員又は重要な使用人とする見直しを行うものとする。

 

b.構成員要件について、議決権を有する出資者のうち、二分の一を超える者は農業関係者でなければならない一方で、二分の一未満については制限を設けないものとする。

 

イ.事業拡大への対応等【原則として「農地中間管理事業に関する法律」の五年後見直しに併せて措置】

 事業拡大を進める意欲的な法人にとって、農地を所有できる法人(農業生産法人)の要件が成長の墜となっているとの指摘があり、諸般の状況変化に応じて適切に見直しがなされていくべきである。したがって、吏なる農業生産法人要件の緩和や農地制度の見直しについては、「農地中間管理事業に関する法律」の五年後見直し(法附則に規定)に際して、それまでにリース方式で参入した企業の状況等を踏まえつつ、検討し、結論を得る。」

 

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早々

 

朝日新聞スクープ「福山調書」:福島第1原発事故直後の住民避難をないがしろにした民主党政権責任者(福山哲郎他)の姑息な言い訳は通用しない

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、いずれも本日(6/17)付の朝日新聞記事である。そのうちの1つは、福島第1原発事故直後の首相官邸での住民避難対策の責任者だった福山哲郎民主党議員(参議院:京都選挙区)の政府事故調への証言をスクープしている。読んでみて、猛烈に腹が立って仕方がないのでメール申し上げることにした。この福山は、この期に及んでもまだ、自分たちの政権のしでかした出鱈目で背信的な福島第1原発事故への対応を隠しだてし、口先だけのつじつま合わせのようなエクスキューズで、政府事故調のヒヤリングに対応していたのか、という印象を強くした。そして、せっかくの「福山調書」をスクープしたにもかかわらず、民主党政権の原発事故直後の住民避難政策のどこに問題があったのか、関係当事者・責任者の最も許されないことは何なのか、についての批判的問題意識の低い記者のボケたようなコメントが、このスクープを台無しにしてしまっているので、それも併せて付記しておきたい。

 

 <別添PDFファイル>

(1)原発避難、情報乏しいまま決断、当時の責任者「福山調書」入手(朝日 2014.6.17

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11193551.html

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140617-00000001-asahik-soci

http://globalethics.wordpress.com/2014/06/17/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E9%81%BF%E9%9B%A3%E3%80%81%E6%83%85%E5%A0%B1%E4%B9%8F%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%BE%E6%B1%BA%E6%96%AD%E3%80%80%E5%BD%93%E6%99%82%E3%81%AE%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E8%80%85%E3%80%8C/

 

(2)プロメテウスの罠 県境の先で 「何度も県に頼んだ」(朝日 2014.6.17

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140617-00000007-asahik-soci

 



1.「東京電力からの情報が届かない」ので埒があかない ⇒ ウソつくな!!

 東京電力から情報が来ないのは事実だったろうが、しかし、福山をはじめ民主党の幹部達は、東京電力以外からの情報収集はどうしていたのか。原発がやばい状態にある、原発敷地内及び周辺で高い空間放射線量が検出された情報は伝わっていただろうから(東京のTVで放送していた)、住民が危険な状況下におかれていることは、東京電力からの情報を待つまでもなかったはずだ。むしろ、福島第1原発施設に関する情報源の東京電力よりも、住民の避難に関する判断の決定的ポイントとなる空間線量については、地元福島県庁をはじめ、周辺の県庁のモニタリングデータが重要だろうし、それ以外に、政府及び政府関係機関(研究所等)のモニタリングデータもあったはずである(ないのなら線量計や放射能測定機を乗せた車を現地へ向かわせればよい)。SPEEDI情報もあっただろうから、予測もできていたはずだ。

 

 そうした、住民を守るための基本中の基本の動作一つせず、住民避難対応をサボタージュしていた自分たちの非を東京電力になすりつけるのは許されないことだ。なんでもかんでも東京電力のせいにしておけば、自分たちの出鱈目や背信行為が許されるとでも思っているのだろうか?

 

(そうではないというのであれば、当時、福山をはじめ民主党政権の幹部達が、住民の命と健康を危険にさらさないために具体的に何をしたのか、各省庁に対して、どのような指示を具体的にどのように出して行ったのか、情報の収集努力も含めて、時系列に並べて詳しく説明してみたらどうか。何もしていないから、できはしないのだ)

 

2.当初は菅直人首相らと協議して「広め」に避難区域を設定する原則を取り決めた ⇒ (これもあやしい) だったら、何故、いつまでたっても避難区域が話にならないくらいに狭いままなのか?(20~30km圏内) あるいはまた、アメリカが80km圏の外へ避難せよという指示を出しているのは、早い段階から知っていただろうに、何故、同じように(少し遅れてでもいいから)対応しないのか?

 

 福山は、避難区域を広くすると避難者も増えるため渋滞が起こり、原発から距離の近い人が逃げられなくなる、などとエクスキューズしているようである。しかし、この話、一般論としては聞けても、全く説得力がない。放射能の被ばくの危険にさらされている住民に対して、民主党政権や、この住民避難責任者の福山哲郎は、その肝心な時にほとんど何もしていないどころか、自分たちが知っていたであろう放射能や被ばく関連の情報を隠しに隠し続けていたからだ。

 

 政府・政府関連機関・自治体等の把握している放射能や空間線量データを公表しない、詳しく調べない、測定体制を強化しない、放射能拡散予測のSPEEDI情報を隠して公開しない、にもかかわらず在日米軍やアメリカには詳細な情報を事故直後から伝えている、住民の避難に有効な対応・対策も打とうとしない、避難の手助けもしない、放射能の広がりに対して手を打とうとしない、安定ヨウ素剤の服用を指示しない、福島第1原発周辺は危険だからと東京から現地に行った連中(政治家や官僚)はさっさと自分達だけで逃げてしまう(3/15)、要するに、住民を守るための対策・対応を全く何もせず、首相官邸にいた少数の人間たちだけで騒いでいただけの話である。おそらくは、住民の命と健康のことなど、彼らの脳内からは、すっ飛んでいたに違いない。

 

 渋滞を避けて、段階的に避難指示を出していくこと自体がダメだと言っているのではない。それはそれでいたしかたないだろう。また、いつ原子炉が爆発するかもしれないから、とりあえず屋内退避していてもらっておいた方が被ばくしないで済む、ということもありうるだろう。そんなことを問題にしているのではない。自分達がやった出鱈目や背信行為の話を、もっともらしいことにすり替えるなと言っているのだ。この「口先やるやる詐欺」の民主党首脳たちの福島第1原発事故直後の対応・対策に、住民の命と健康を守るという姿勢はみじんも感じられなかったと申し上げているのである。

 

 そして、これは、福島県と佐藤雄平知事や、下記で申し上げる宮城県と村井嘉浩知事も、全くと言っていいほど同じであったということだ。その結果、被害を受けた現場がどのようにひどいものだったのか、どれだけ悲惨な状態だったのかは、もはや知らないとは言わせない。その中の一つ、宮城県の丸森町、この福島県との県境にある林業の町が、事故直後にどのように翻弄され、ひどい目にあわされているかが、朝日新聞が今現在特集している「プロメテウスの罠:県境の先で」で詳しく生々しく報道されている。ぜひ、皆さまには、この朝日新聞記事を読んでいただきたいと思う。

 

3.政府は3月25日になって、ようやく20~30km圏の屋内退避区域に自主避難を要請 ⇒ これだけで山のように問題がある。

 

 朝日新聞の記者は、自主避難指示が遅れたことが問題であるとし、それは、(福山の言うことを丸のみして)情報が乏しかったことや、多人数の避難には長時間がかかると言われて(避難させるとかえって被ばくの危険が高まる)、やむを得なかったのだ、というエクスキューズを、福山になり代わって広報するような記事の書き方をしている。あほかいな、だ。いくら多人数避難に時間がかかると言っても、3/25まで避難指示を出さないでおくことの理由にはならないだろう。

 

 それに、上記で申し上げたように、政府や首相官邸が、自らの体を張ってでも、危険な状態におかれ続けた住民の避難の効率的・効果的な進行を手助けしたなどという話は聞いたことはなく、要するに、住民の避難のことなど、二の次の次だったということにすぎないのだ。だからこそ、事故直後の当時は、政府は放射能情報・被ばく情報を隠すことはあっても、オープンに公開することはなく、住民避難対策など何もしていなかったし、その後、民主党政権下で原子力「寄生」委員会ができ、そのロクでもない委員会が、新規制基準や防災指針を大慌てで造った時、やはり住民の避難は二の次の次であり、避難計画は関係自治体に丸投げされ、その内容については不問のまま、再稼働とは無関係と突き放され、当時の政府・民主党政権は「私たちはカンケーネー」という態度を取り続けていたのである。

 

 しかし、事はこれではおさまらない。大事な点が2つある。

(1)何故「避難指示」ではなく「自主避難指示」なのか。何故「自主」なのか。

(2)何故、たったの30km圏なのか。既にこの頃にはSPEEDI情報や文部科学省の空間線量モニターデータなどが首相官邸にも伝わり、深刻な放射能汚染が原発の北西方向に何十kmにもわたって広がっていることは分かっていたはずで、にもかかわらず、なぜ、30kmなのか。何度も申しあげるが、アメリカはもっと早い段階で80km圏が避難指示区域であったし、そのことは民主党政権ももちろん知っていたのにである(ひょっとすると、日本政府・民主党政権は、アメリカに対して「80km圏避難は広すぎるから、もっと狭くしてくれ、80kmは撤回してくれ」などと泣きついていたかもしれない)。

 

4.原子力安全保安院や原子力安全委員会(斑目春樹委員長)らが避難の範囲をできるだけ小さくせよと進言していた ⇒ さもありなんの犯罪人達である。

 「3キロぐらいまでは準備ができていますみたいなのが(原子力安全・)保安院からあって」「そんなに広くなくていいよという話は斑目春樹(原子力安全委員会委員長)さんからもあった」

 「防災訓練を通常は2キロ、原子炉の圧力を抜くベント(排気)を想定した場合は3キロで行ってきことが根拠とみられる」

 

 原子力ムラの連中が、原発の過酷事故時であっても、多くの人々の命と健康が危機に陥っていても、かような無責任な「事故を小さく見せんがための処方箋」をもっともらしく発言することは、これまでも重々わかっていたことである。福山をはじめ、民主党政権の幹部達が、ほんとうに住民のことを第一に考えていたのなら、かような原子力ムラのいい加減な話には乗らなかったはずである。むしろ民主党政権は、この原子力ムラの連中と、どうしたら事故を小さく見せることができるか、収束後の事故対策のコストをどうしたら小さくできるかを最優先に考えて、談合していた可能性の方が高い。だからこそ、住民は後回しにされたのだし、未だ持って30km圏を超える地域での避難指示は、計画的避難区域や特定避難勧奨地点を除き出されていない(政府・民主党政権が、いやいや避難指示を出しているのが「特定避難勧奨地点」という名前の付け方からも感じられる=住民を完全に馬鹿にしてコケにしているのだ)、。

 

5.官邸は12日午前1時30分ごろにはベント実施を了承。この時は避難区域拡大は議論されなかった。

 

  ⇒ 避難区域拡大だけでなく、ベントをするから猛烈な放射能が飛んでいくかもしれないので、みんな気をつけろ~(屋内に入れる人は入れ)、くらいの声掛けさえもせず、ベントする側のことしか念頭になかった。このことは、どうも3/12の1号機だけでなく、3/13~4の3号機でも、3/14~15の2号機でも、同じようにベントで猛烈に被ばくさせられる住民のことなど全く念頭に置かれることもなく、住民への通知・連絡・周知徹底などもないままに実施されようとした(2号機がベントに成功したか否かは不明)し、実際実施された(1,3号機)。

 

6.20kmまで強制避難、30kmまでは自主避難、というこの住民被ばく放置の出鱈目な避難指示は、その後も変わらなかった。

 

 その理由は、福島第1原発事故後の被害を受けた住民への損害賠償・補償の負担を極力減らすためである。その証拠に、その後しばらくして、警戒区域だの、緊急時避難準備区域だの、計画的避難区域だの、特定避難勧奨地点だのと、わけのわからないネーミングの地域「線引き」を複雑に行い、地域住民の居住地域を分断して、賠償・補償負担の抑え込みを始めている。被害がひどかった福島県内でこんな調子だから、福島県外の場合にはもっと悲惨な状態に陥れらており、避難指示から、除染から、賠償・補償から、何から何まで、福島県外の被害者は差別的で理不尽な「ほったらかし政策」に翻弄され続けている。そのほんの小さな実例が、別添PDFファイル記事「プロメテウスの罠 県境の先で 「何度も県に頼んだ」(朝日 2014.6.17)」にある宮城県丸森町である。

 

7.プロメテウスの罠 県境の果て(8) 「何度も県に頼んだ」

 福島県北部に隣接する宮城県丸森町で、福島第1原発事故直後にどういうことが起きていたのか、この朝日新聞の「プロメテウスの罠」の特集「県堺の果て」は、現場の状況を丁寧に拾いながら記事にしている。放射能汚染や原発事故に対して対応できるだけの体制がない丸森町が、何度も宮城県庁と村井嘉浩・宮城県知事に支援・救援を依頼しているのに、それを足蹴りにする県庁の様子が、本日付の記事に書かれている。こんな県庁なら本当に要らないし、こんな人間を県知事に選んではいけないのだ。また、丸森町の方も、いくら体制がぜい弱だとはいえ、無責任な対応を住民に対してしている様子もあり、県と基礎自治体、そろってダメな原発事故対応であることがこの記事を見るとよくわかる。そして、それは、丸森町では今もなお続いている。

 

8.結論

 繰り返しになるが、福島第1原発事故直後の民主党政権の対応で最もだめだったのが、今回問題となった周辺住民の避難対策・被ばく防護対策である(東京電力やその他の原子力ムラ組織や人間から情報が入らないことに危機感を持った菅直人元首相が、福島第1原発へ自分で乗り込んでいったことが、最もだめだったことではない)。そしてそれは、実は裏側では、当時の民主党政権と原子力ムラ・放射線ムラが癒着をして、原発事故を小さく見せるとともに、賠償・補償負担を極端なまでに絞りこむために、被害者住民が避難すべきエリアを極力小さく小さくしようと画策した結果である可能性が高い。当時の担当責任者や関係者に対しては、少なくとも多くの住民に無用の放射線被曝をさせた事の罪とその責任を問うべきである。また、賠償・補償については、こうしたインチキとも言える人命無視・住民無視の政府の避難指示の有無如何にかかわらず、実際に被害者が受けた被害をもとに、きちんとかつ万全に、かつ速やかに実施されるべきである。

 

(当時の関係当事者や責任者は、せめてもの罪滅ぼしに、原発事故直後における住民避難への民主党政権の対応の詳細を時系列に並べてレビューし、具体的に反省してみたらどうか(何をし、何をしなかったか)。今後の原発事故時の大きな教訓にもなるではないか)

早々

 

 <朝日新聞:堀内京子記者のトンチンカン>

 記事全体として、福山の発言を肯定的に、あるいは疑いを持たずに受け止めていて批判力に乏しく、新聞記者が書いた記事としては決してレベルが高いとは言えない。これではせっかくの「福山調書」のスクープ記事が台無しである。以下、彼女の書いた文章に沿って3点だけ申しあげておく。

 

(1)「≪解説≫今なお13万人に避難生活を強いている福島原発事故。住民を我が家から引き離した始まりは、国による避難区域の設定だった。」

 

 ⇒ 違うでしょう。「住民を我が家から引き離した始まり」は、原発事故による放射能汚染と、それがための放射線被曝の危険性である。また、「国による避難区域の設定」は、住民を我が家から引き離すのが目的ではなく、放射能汚染や放射線被曝から住民を守るために設定される居住禁止の境界線だ。本来は、設定の際は段階的にでも構わないけれども、最終的には「避難区域」として、もっと広い範囲で線引きがなされるべきだった。賠償・補償の費用を惜しんで避難区域を狭くしたために、今でも多くの住民が無用の放射線被曝を余儀なくされ、危険な状態におかれている。しかし、こういう書き方をすると、逆に、住民を苦しめないためには、国は避難区域の設定は極力狭くすべきだし、できればしない方がいい、というニュアンスが、言外からにじみ出てきそうである、それは本来の在り方とは「真逆」のことである。

 

(2)(上記文章の続き)「政府が限られた情報を頼りに住民一人ひとりの人生を左右する「線引き」をあたふたと決めていった現実が「福山調書」からは読み取れる。」

 

 ⇒ 住民の命と健康を原発事故から守るためには、情報がなければできないなどということはない。あたふたと決めた、というのは情報がないからではなく、その後にやってくる賠償・補償の負担軽減と、住民の命と健康を、天秤にかけていたからだ。そのポイントをちゃんと書くべきである。

 

 また、一人ひとりの人生を左右しているのは(政府による避難区域の)「線引き」ではなく、福島第1原発事故とその結果としての放射能汚染、及びそれゆえの放射線被曝の危険性である。「線引き」があろうがなかろうが、危険な場所からは住民は避難しなければならない。まして「線引き」は、その点から見て、とても信用できるものではなく、明らかに範囲が狭すぎて話にならないくらいである。民主党政権・政府は、賠償・補償を極力小さくしたい、原発事故の認識も極力小さくしたい、のであるから、このようになったのは必然ではなかったのか。新聞記者たるもの、これを告発しなくてどうするのか。福山の発言や、当時の政府の「線引き」を、(遅かったけれども)(五月雨式に出てきたけれど)「ある程度は正しいもの」「いたしかたないもの」と認識して記事を書くのはやめにしたらどうか。

 

(3)「福島原発事故では避難区域の合理的な線引きは極めて困難であり、高度な政治判断が求められた」

 

 ⇒ そんなことはない。あの状態下でも、住民を無用の放射線被曝から防ぎ、さしあたり安全な場所へ避難させる対策・方策はあったはずだ。やれることは山のようにあったにもかかわらず、福山はじめ、当時の民主党政権の幹部達は、それをしなかっただけの話である。住民の身の安全のことなど、ほとんど意識になかったのではないか。パニックになってはいけない、などと国民や住民に対して説教をしながら、自分たちがパニックになっていて、それでも原発事故の真相はいつまでたっても明らかにせず、放射能汚染の状況も住民の被ばくの危険性も明らかにせず、「ただちに健康に影響なない」などと、無責任にも人を馬鹿にしたようなアナウンスを繰り返し、結局は、住民を賠償・補償も含めて切り捨てたのである。この朝日新聞の記者に、こうした彼らの社会的犯罪性について、少しでも意識があるのであれば、かような、当時の民主党政権や住民避難の責任者だった福山の「代理弁解」「エクスキューズ広報」のようなことは書かないだろう。

 

 朝日新聞の記者のみなさま、もっとしっかりしてください!! これでは(意図してか意図せずにしてかは不明だが)御用記事に限りなく近いと言わざるを得ません。そして、私のメールをご覧いただいている皆さまには、その正体が反住民、反人間性、反有権者・国民的で、政府事故調の調査に対しても、なお本筋はずしに近いような話にすり替えて、自分たちは住民のためを思って頑張ったのだ、のような欺瞞的な言動を繰り返している、かような民主党議員を許さないように致しましょう。二度とこのような人間達を政権に携わらせてはいけないと思います。政治の世界から、この「口先やるやる詐欺」集団=民主党を追放いたしましょう。彼らはもはや「社会犯罪」の前科人です。

早々

 

 <追>

(1)民主党がひどいからと言って、自民党に投票してはダメです。こっちもこっちで、どうしようもなくひどい。

 

● 中間貯蔵施設「最後は金目」=地元調整で、直後に釈明―石原環境相 (時事通信) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140616-00000128-jij-pol

 

 この政治家の親父もひどいが、本人も負けず劣らずひどい。しかし、このジュニア石原の暴言は、私は石原伸晃個人の本音というよりは自民党という組織全体の本音ではないかと思います。

 

(2)『日本は戦争をするのか』(岩波新書:半田滋)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000033093310&Action_id=121&Sza_id=B0

 

 この本の第2章の最後、P54に次のような記述があります。

「(尖閣問題のことを念頭に:田中一郎注)これまで書いた通り、米国が中国との争いごとに巻き込まれる事態を歓迎するはずがなく、米国の参入による紛争の拡大を心配する必要はないだろう。むしろ、問題なのは外交による解決の道筋がまったく見えないことにある。外務省のHPにある中国からの要人往来・会談を見ると、年間30~40回あった日中交流が、第二次安倍政権でゼロになっていることに驚かされる。日中両首脳が会談したのは、日中韓サミットで野田佳彦首相と胡錦濤中国国家主席が合った2012年5月14日が最後。話し合いのチャンネルが閉ざされていること自体が不測の事態の呼び水になりかねない」

 

 「年間30~40回あった日中交流が、第二次安倍政権でゼロになっている」という事態の中で、安倍晋三という日本の首相は、靖国神社を参拝して中国を刺激しているわけである。愚か極まる話であるだけでなく、まるで戦前の日本政府のようなふるまいであることに戦慄を覚える。この安倍晋三という人間には、政治家としての、一国の首相としての、バランス感覚はないのだろうか。この人間に、日本という国を任せてはいけないと、はっきり断言できるのではないか。まさに、日本は危機的状況下に陥っている。

早々

2014年6月13日 (金)

『週刊金曜日』 のマンガ 「郡山もんもんライフ」 は やはり おかしい

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 <別添PDFファイル>

(1)郡山もんもんライフ(最終回)(芳賀由香 『週刊金曜日 2014 6 13』)

(2)原発事故終わっていない:郡山住民の日常 「漫画」で描く (東京 2014 6 10

 

・・・・・・・・・・・・・・

別添PDFファイルは、『週刊金曜日』に毎月一度、掲載されてきたマンガ「郡山もんもんライフ」の最終回(今週号:2014.6.13)と、その著者・芳賀由香氏を報じる東京新聞記事です。

 

● 東京新聞原発事故終わっていない 郡山住民の日常 漫画で描く 井上能行のふくしま便り 東日本大震災 (TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/fukushima_report/list/CK2014061002000171.html

 

以前にも、私のメールで、この「郡山もんもんライフ」というマンガを批判したことがありますが、今回の最終回の作品を拝見して、再度、これはち~とばかり変だ、おかしいと申し上げないといけないと思いました。

 

著者の芳賀由香氏について、根本的におかしいと思うのは、やはり福島県の浜通りや仲通りの放射能汚染の状況と、それに伴う住民の放射線被曝についての認識です。私は決定的に認識が甘いと考えています。このマンガの評価が人によって違ってくる理由は、いくつかあるだろうと思います。しかし、決定的なのは、やはりこの放射能と被ばくに対する著者の認識です。

 

もし、芳賀氏が言うように、現状の福島県の汚染状況下で住み続けたとしても、誰一人として健康障害を引き起こすことがなく、(過去の被ばくはともかくも)これからの放射線被曝についても意識的に自主的に排除し、あるいは回避して生活すれば本当に大丈夫であるのなら、このマンガのような描き方もありうるでしょう。しかし、事実はそうではありません。私が何度も申しあげているように、恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)は非常に危険であり、それは放射線被曝を原理的に考えてみれば、そう難しいことではないですし、また、放射能や被ばくの感受性は、単に年齢や性別の違いだけでなく、そもそも人間・生き物の個体ごとに、個々人ごとに大きく違っているのです。「生物学的半減期」などという概念は、科学的実証的な根拠のないインチキだと考えていて間違いありません。その決定的に重大な間違いは、人の命と健康にかかわることを「平均値」で見ているということであり、それは言いかえれば、平均値よりも感受性の高い人には「泣いていただきます」「健康被害が出ても仕方がありません」「あきらめてください」ということを意味しているのです。

 

このマンガを読んでみると、著者の芳賀氏も、必ずしも放射能と被ばくについて、安心しきっている様子ではないようです。やはり、中長期的に継続的な低線量被ばくに伴う不安や懸念は隠せないように見えます。しかし、それならそれで、その不安の状況こそを、心配の心情こそを、もっとしっかりと書かなければならないのではないでしょうか。しかも、福島県では、その不安や懸念を口に出して云えない状況がつくられてしまっているのですから、「美味しんぼ」問題ではありませんが、そのおかしな社会状況についても、マンガで描かれなければいけないのではないかと思います。(どうして無理をして、福島の被ばく状況の中でも、健康に元気に誰もがやっていけるかのごとく描くのですか? それは、もしも、健康被害が出た場合には、その被害者に対する大変な加害行為(「だました」行為)であり、また、今や90人を超えつつある子ども甲状腺がん・甲状腺疾患の被害者に対してもひどい話になるでしょう。甲状腺がん・甲状腺疾患の原因は、放射性ヨウ素のみならず放射性セシウムも重大な原因の一つと言われているのですから)

 

しかし、著者はそれとは逆に、「福島の食べ物は大丈夫だ」とか「WBCで内部被曝を計測したら大丈夫だったので安心しました」などと、マンガやインタビューでしきりに書き、そして発言しています。それ以外にも、「除染」「去年よりだいぶ下がった」「家に引きこもっている人の方が高い」「外に出て動いた方がセシウム排出するみたい」等々、毎回のように、首をかしげたくなる、ミスリーディングな「演出的発言」をマンガの登場人物にさせています。

 

著者は、どうして、「それは事実ではありません、原子力ムラ・放射線ムラの仕組んだ悪意の潜むインチキです」と訴える、たくさんの人たちの声を聞きとめようとはしないのでしょうか。まるで、そんな話は最初から聞く必要はないと、自分で情報を遮断し、ないしは偏った選択をして、歪んだ判断に陥っているように見えて仕方がありません。いやそれどころか、今回のマンガに描かれているように、そうした放射能や被ばくへの懸念を言う人たち、放射線被曝を歪曲・矮小化する「ムラ人」達を厳しく批判する人たちを、まるで「黒い悪魔」か「サタン」のように描き、脱原発を押し付ける悪玉菌のようなマンガを描いているのです。おかしいです。実におかしい。悪玉菌は、放射線被曝を矮小化・歪曲して放射能汚染を私たちに押し付ける原子力ムラ・放射線ムラや「国際原子力マフィアの人たち、あるいはその代理店のように動いている現日本政府や福島県、それに一部の自治体であることをしっかりと認識すべきではないかと思います。

 

(念のために書いておきますと)

(1)食べものの放射能汚染はロクすっぽ測定されておりませんし、わずかに測定されているものも放射性セシウムだけです。厚生労働省が定める残留放射能規制値も危なくて仕方がないような数値です。その他、いろいろ(私の「食べものの放射能汚染(1)(2)(3)」というレポートを見てください)。

 

(2)WBCは、検出限界が大きいため、内部被曝を見逃します、特に体重が小さい子どもたちの場合はそうです。尿検査や血液検査の方がはるかに内部被曝の度合いがわかりますが、この尿検査も血液検査もきちんとなされておりません。また、WBCで計測できるのはガンマ線だけであり、深刻な内部被曝をもたらすベータ線やアルファ線はキャッチできないのです。しかし、政府も自治体も、いつまでたっても、このベータ放射線被曝やアルファ放射線被曝の計測をしようとはしません。

 

放射能と被ばくのこと以外にも、このマンガには、いくつかのおかしさや難点があります。一つだけ挙げておきますと、加害者・東京電力や事故責任者・国、それに福島県庁や一部の自治体などの行政について、著者はどう考えているのか、見ているのか、がはっきりしません。いや、ひょっとすると、フレンドリーでさえあるのではないか、少なくとも、その責任をきちんと問うていないのでは、と感じさせられることです。たしかに、ひどいことをされた、という思いが出ていることは感じます。しかし、それは当たり前のことで、問題は、だから、どうなのか、国や自治体や加害者に対して、どうさせたいのか、どうしてもらわなければ困るのか、どうあるのが当然のあり方なのか、という、福島第1原発事故後の被害者にとって最も大切な部分が抜け落ちている(避けられている)と思われてならないことです。

 

もし、著者が描くように、福島第1原発事故後の福島県の放射能汚染くらいは、事故後3年もすれば人間が注意すれば住めるようになり、たいしたこともなくなり、事故を引き起こした張本人たちについても、もういいんじゃないの、そんなにぎりぎり責めなくても、ということであるのなら、原発再稼働したっていいんじゃない、ということになりませんか? 放射能や被ばくは、少々あっても大丈夫、心配いらない、何とかやっていけるのなら、原子力や原発だって、そんなに忌み嫌うこともないでしょう。あれだけの原発事故に見舞われた福島県だって、もうほとんど大丈夫なんだから、県内の原発は様子を見てまた動かせば、地域にカネも落ちるし、ということになりませんか? 私は、脱原発(著者もまた脱原発だと言っています)と脱被ばくは表裏一体だと思います。

 

私は、このマンガのベースにあるセンチメントが、先般批判した僧侶・玄侑宗久氏に通底しているような気がしています。そして、それは更に、あの悪魔の施策「フクシマ・エートス」にもつながっているように思います。それは「美味しんぼ」でクローズアップされた原子力翼賛の圧力の大きな共鳴板であるようにも思えます。放射能は危ないし、放射線被曝はできるだけ避けましょう、子どもや妊婦さんは、できる限り放射能汚染地域から離れましょう、食べ物・飲み物は要注意です、この当たり前のことを言えない「もんもん」とした「ライフ」状態を描くはずだったこのマンガが、いつの間にやら「フクシマ・エートス、るんるんライフ」に変質しているような気がしてならないのです。

 

著者の芳賀氏に悪意があるのかないのか(私は週刊金曜日の編集方針は問題ありだと思っていますが:このマンガは掲載すべきではなかった)、それはわかりません。しかし、いずれにせよ、このマンガは、芳賀氏として意図してか、せざるしてかはわかりませんが、福島県での放射能と被ばくの問題について、誤った認識・軽率な判断を拡散することになるように思います。そしてそれは、福島県の人々に意図しない無用の被ばくを間接的に助長することになり、従ってまた、健康被害の危険性を高めてしまうことになるでしょう。芳賀氏もまた、被害者・被災者ですから、氏を真正面から批判することは憚られますが、しかし、そのインパクトを考えれば、私はやはり、しっかりと批判しておいた方がいいと思っています。特に、今回の原発事故でひどい被害にあわれた方々から、このマンガはいけない、変だ、という声を挙げて行くべきであろうと、私は思います(私のような東京在住の人間もまた、大なり小なり今回の福島第1原発事故の被害者であると認識しておりますが:私は2011.3/15の日の午後にそれとは知らず屋外にいて、大量の呼吸被ばくをさせられたと認識しております)。

 

このマンガが、今回「最終回」であったことにホッとしています。著者の芳賀氏には、もう少し、放射能と放射線被曝の危険性について、それを強く訴え、また国や行政を厳しく批判している人々との間で十分な会話や議論をしていただき、ご認識を改めていただいて、再チャレンジしていただきたいと願っています。少なくとも、放射能と放射線被曝を強く懸念する人々や「脱原発」を訴える人々を「黒いサタン」として描いてはいけないだろうと思います。

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

(1)食べものの放射能汚染に関して、(1)韓国国会議員が福島訪問 水産物検査に「お粗末」、(2)農林水産省-避難指示区域等における26年産米の作付に係る取組について  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/-26-4383.html

 

(2)食べものの放射能汚染:子どもたちまで「出し」にして放射能汚染物を商売に使う日本の食品産業の「罰あたり」  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-ebc4.html

 

(3)食べものの放射能汚染(1)(近況報告:厚生労働省公表の検査結果から) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-85a7.html

 

(4)食べものの放射能汚染(2) 韓国の日本産水産物輸入禁止・試験操業再開

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-44e1.html

 

(5)食べものの放射能汚染(3) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-f186.html

早々

2014年6月12日 (木)

種が危ない(種の未来は、世界の社会情勢次第:「野口のタネ」代表:野口勲氏)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 <別添PDFファイル>

(1)種の未来は、世界の社会情勢次第(前半)(野口勲 『都市問題 2014 6』)

(2)種の未来は、世界の社会情勢次第(後半)(野口勲 『都市問題 2014 6』)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

別添PDFファイルは、今月号の『都市問題』(20146月号)に掲載されました「野口のタネ」社代表の野口勲氏へのインタビュー記事です。非常に興味深いので、下記に簡単にご紹介いたします。

 

同社は昔からある家業としてのタネ屋さんで、いわゆる在来種(今は「固定種」という)の自家取り種子をベースに交配を繰り返して品種改良した優秀な種を生産者・農家に供給してきた会社です。昨今は、家庭菜園が普及する中で注目度と支持層が拡大し、年々売上を伸ばしています。代表の野口氏は、20119月に下記の「タネが危ない」という著書を出しましたが、この著書もかなり注目されているようです(私はまだ読んでおりません)。今回のインタビュー記事もそうですが、同氏により、現在の日本の「タネ」をめぐる情勢が鋭く分析され、私達門外漢には知ることのできない貴重な情報や知識も散りばめられているようです。

 

タネを制する者は世界を制す。ここ20年くらいの間に、世界の種子産業は寡占化が進み、米モンサント社を代表格とする多国籍化学企業やバイオ・アグリビジネスが、世界の種子企業を買収して種子産業を独占するとともに、遺伝子組換え作物を中心に、いわゆる「F1種子」の大市場を築きあげました。雑種第一世代を意味するこの「F1種子」は、その種子自体は優性の性質が表に出て、多収穫や環境変化に強いなどの「市場農産物としての利点」を兼ね備えていますが、それを交配した雑種第二世代は、メンデルの法則により、劣性の性質をもったタネも多く産生するため、いわゆるタネの自家取りができない農作物種子です(種子企業と生産者・農家の間の契約上も、種子の自家取りや品種改良その他の研究目的使用などが禁止されています)。

 

古くから生産者・農家は、タネを自家取りしつつ永永と農の営みを続けていましたが、次第にこの「F1種子」に押されて「タネは金で買うもの」に変わっていき、今ではほとんどの農作物が「F1種子」となってしまいました。「F1種子」の最大の問題は、(1)画一的で大量生産され一斉に普及しているので生物多様性に欠けていること(特定の病気や天候不順などに対して一気に壊滅する可能性が高まる=不安定)、(2)タネが一握りの種子産業・企業に支配され、農業の行方が決められてしまう、(3)タネ取りや品種改良のスキルや知恵、創意工夫が生産者・農家から消える、(4)市場取引での流通業者ニーズに合致させてあるものが多く、概して「まずい」「美味しくない」、(見栄えは良い、傷つきにくい)、(5)今日では、日本の種子の大半は輸入ものであり、種子自給率は恐ろしいほどに低い、(6)危険な(あるいは安全とはいえない)遺伝子組換え作物が拡大している、などです。

 

今現在、安倍晋三・自民党政権は、こうした「タネの歪み」「農業の歪み」をよそに、市場原理主義にイカれた頭で、日本農業の破壊工作を強引に推し進めています。彼ら市場原理主義者達が考えている理想の農業は、モノカルチャー・農薬肥料の大量使用・石油がぶ飲み農業機械・低賃金劣悪農業労働・大規模大量生産型=地域資源略奪型の、いわゆる資本主義的農場制農業で、そのモデルは新大陸や途上国の農場です。こうした農業の唯一の取り柄は「価格が安い」ということだけで、品質も安全性も「???」のまま、価格競争力を背景に、国内市場を無視して大量に海外へと出荷されていく、そんな農業です。価格が安いのは当たり前で、限りなく飼料に近いからです。

 

しかし、こうした農場制の農業が、実際どのようなものなのかは、たとえばアメリカの遺伝子組換え作物農場や食肉産業、たとえば東南アジアやアフリカなどのプランテーション、あるいは南米各国の自然破壊型農場などを実際に見てみればよくわかります。そこで働く農業作業者(この人々はもはや農民ではなく農業賃労働者です)が、いかに牛馬のごとく働かされているか、いかに健康を害するような環境にあるか、いかに農場内外の自然環境がめちゃくちゃであるか、いかに地域社会がぼろぼろにされているか、などをつぶさにリアルに見てみればいいのです。そんな農業と農村社会にせんがため、愚かな市場原理主義に踊らされた人たちが、それとは気がつかないまま、あるいは気が付いていてそしらぬふりをしつつ、日本農業にとどめを刺そうと躍起になっています、TPPと規制改革(会議)、この安倍晋三政権の2大農業破壊行為は、このまま看過していると、日本をとり返しのつかない社会へと転落させてしまうことでしょう。

 

日本の農業の素晴らしさは、まさに上記で申し上げた農業・農村とは対極にあります。家族経営の自立・自作農家が、創意工夫をこらして労働集約型・土地集約型に展開する農業こそが、日本の農業の高品質と安全性を生み出してきました。私の子どもの頃に感じられた「豊かな農村」や「美しい水田・畑」(「フーテンの寅さん」に出てくるあの風景です)は、こうした生産者・農家や農業の在り方から生まれていた「オーラ」のようなものだったと思います。それを日本の四季折々の気候変化が支え、勤勉で、実直で、ちょっとずるいけれどもユーモアや根性のある生産者・農家が、このすばらしい日本農業を支え続けてきたのです。

 

そして、これからの日本農業の可能性は、この伝統的な日本農業を発展させていく方向にあります。家族が支える自作農農業が、高品質・美味と安全性と持続可能性で発展していく農業、おのずと有機農業や有機畜産が地域でまとまって営農し、循環型で自然豊かな農村が築かれ、もちろん後継者もたくさんいて、農村加工や農芸・工芸も展開されていて、林業も副業として展開され、地域がまとまって活気がある、そんな近未来です。食べもののみならず、エネルギーやケア・ビジネスも地産地消され、まさに内橋克人氏が言う「FEC自給圏:FOOD,ENERGY,CARE」が確立されるのです。中央集権型の日本の社会経済構造もガラッと変わっていることでしょう。

 

しかし、いまやその生産者・農家も高齢化しました。後継者はほとんどいません。農業は割に合わないから、割に合わなくされてしまったからです。原因は生産者・農家にあるのではなくて農業政策にあることは、これまで何度も申しあげてきました(4つの優先農業政策、すなわち ①アメリカ優先,②WTO優先,③財政再建優先(安上がり農政),④政治家・官僚の自己組織・利権優先、の4つです)。自民党と農林水産省が今ある人間集団とは違う人間集団であったなら、日本農業は今日のような衰退どころか、世界に冠たる一大産業となっていただろうと推測します。愚か極まります。

 

日本人は食べものと農業を粗末にし続けてきましたが、今やそれを反省するどころか、かろうじて日本農業を支える高齢化した生産者・農家に向かって、国際競争力を持て、農産物価格ももっと安くしろ、と鞭打つのです。市場原理主義に頭のイカれた連中の扇動にあおられて、多くの消費者・国民が、追い詰められ崩壊寸前にある日本農業に向かって、怠慢だ、競争しろ、価格が高い、生産性を上げろ、既得権益にしがみつくな、と怒鳴りつけています。まさに罰あたりの親不孝者です。既得権益にしがみついているのは、いったいどっちでしょうか? (市場原理主義を振り回すドアホの大学教授達を、彼らが言うように、日雇派遣・残業費不払い・首切り自由の労働契約にしてやればいいのではないか) 佐賀県の農民作家・山下惣一氏は言います「日本から農業がなくなって困るのはいったい誰なのか、そうなったとき、拝み倒されたってお前達には食いものは売ってやらねえ」、この言葉は物事の核心を貫いています。日本の消費者・国民は、もういい加減、そのボケた頭を覚まさなければいけません。

 

日本の農作物のタネは、こうした理不尽と言ってもいい農業衰退の下で、その本来の在り方を歪めてきました。しかし、今回、野口氏のインタビュー記事を読んでみて、まだ日本には、本当の農業や農作物のことを知っている人がいて、細々とだけれども、元気に躍動的に、農業や農作業やタネ産業が営まれていることを垣間見て、ほっとした思いがしています。そして、タネのことについて、もっと知りたいという気持ちが強くなっています。

 

みなさま、このインタビュー記事や下記の著書を含め、「野口のタネ」と野口氏にご注目を。

 

● 『タネが危ない』(野口勲 日本経済新聞出版社 2011.9

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032639372&Action_id=121&Sza_id=B0

 

(以下。野口氏へのインタビュー記事から一部抜粋します)

 

感想:どうりで、今のホウレンソウのおひたしは、一昔前のホウレンソウとは少し味が違って、まずくなったと思っていたが、やはりそうだったのか。

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(EUの品種登録制度)

「そうすると、スペインでできたキュウリを、ドイツでも同じ値段でドイツ人が買う。そういう社会にするためには、同じ形にできる種でないと、価格がばらばらになってしまいます。そこで、種屋が国に申請料を払って申請し、国がその種は均一に揃ってできる野菜であるかを審査して、種屋から認可料を取る。そして、認可された種しか売ってはいけなという社会になったのです」

 

「EUは、いまでもそうなっているのですか」

 

野口「2013年までは、そうでした。認可した種しか流通してはいけないとなったから、イギリスの種苗会社は、l品種につき数十万円という金額を国に納めて、認可を得ています。販売認可を得るのに高額なお金が必要であるということは、市場で販売される種は、種苗会社が独占権を持つ登録品種に偏るということになります。だから販売されている種は、農民が種採りしてはいけない、採種の権利はその種苗会社にしかない、ということになりました」

 

「しかしEUでも、例えばフランスは農業国家ですから、先祖がやってきたように、親父がやってきたように、つい種を採って、友だちに分けたり交換したりするわけです。すると、育成者権侵害で逮捕、投獄されるという状況が、2013年までありました。何年間も、何十人も、逮捕投獄されていました。その結果どういうことが起きたかというと、認可された今の野菜より昔の野菜の方がうまかった。あまりにも均一な野菜にしてしまったために、遺伝子の幅が狭くなって生物多様性が失われた。もし何かの病気が発生したときにはEU全体でその野菜が全滅してじまう恐れがある、などの批判が高まったのです。これではまずいということになって、2013年の暮れから品種登録制度がちょっと緩和されたようです」

 

(種子ビジネスの寡占化)

「日本にはサカタやタキイなどの大手の種屋さんがありますが、海外に種採りを頼むことになっているのですか」

 

野口「いまは、サカ夕、タキイなど、大きい会社の種ほどいいのだ、新品種ほどいいのだと、農家は刷り込まれています。そうすると、決め手は宣伝力であって、農家は小さな会社の種など相手にしません。これは家庭菜園をやっている人たちも含めての話です。すべからくブランド志向になってしまっています。しかし、大手の商品といっても、ものによっては1社だけの販売量では余ってしまうとなれば、何社かで共同で何トンという規模で輸入して、同じ種をそれぞれの会社が別の名前をつけて売っているということも珍しくありません。」

 

「遺伝子は同じF1なのに、売っているパッケージや商品名が違うとか、そんなF1がいっぱいあります。それを、買う方は「俺はサカタの種以外は駄目だ」「俺はタキイ専門だ」と」

 

「ということは、種の世界のビジネスは寡占化が終了してしまったのですか」

野口「まだ終了はしていません。まだ完全には終了していないですけれど、寡占化が8割方進行しています。小さいところは、どんどんやめています」

 

(ホウレンソウの種)

「そうすると、野口さんの店はそういう種の世界とかけ離れたことをやっているのですね」

 

野口「一言でいえば、完全に時代遅れの種屋ですね。昔のホウレンソウは、さわると痛いような三角でトゲトゲの種だったのです。ときどき、紙袋を破ってトゲが突き出ているのに気がつかないで、つかんで、指から血が出るような凶悪な種だったのです。これでは機械にかからないので、わざわざトゲを取る機械があって、その機械にかけてガリガリ削るとトゲが削れる。そういう時代もあったのです。」

 

「しかしいまは、西洋種の丸い種に変わったので、その必要はなくなりました。種を削る機械も見なくなりました。昔の日本のホウレンソウは根が赤く、非常に甘くておいしかったけれど、トゲだらけだから誰もつくる人がいなくなってしまい、西洋ホウレンソウとのかけ合わせばかりになりました。」

 

(世界文化遺産の日本食とF1)

「日本食が世界遺産に認められました。しかし、種自体がF1で席巻されている現状と、日本食が誉めそやされていることに、どうも違和感があるのですが」

 

野口「もちろん、その通りです。この間、テレビを見ていて唖然としました。ほんとうの和食を世界に伝えなくてはということで、農水省の主催で、世界中のシェフ、コックさん、料理人10人を招いて日本食のコンクールをやっていました。そうしたらシンガポールからきたコックさんが、ブリ大根が得意だというので、日本の大根畑へ案内してもらって見事なF1の青首大根を引っこ抜いて、ガブッとやって「みずみずしくておいしい」と。それまでシンガポールは、中国から輸入した大根を使っていたけれど、煮えるのに50分からl時間かかる。しかし、本場の日本の大根は30分ぐらいで煮えてしまう。「これが本物なんだjとかやっているのです」

 

「何をやっているんだろうって思いました。話は逆なのです。F1の大根は成長が早いから、細胞の密度が粗くてすぐに煮えますが、すぐ煮崩れしてしまうのです。それに対して固定種の大根は、細胞密度が綴密だから煮るのに時間がかかるけれど、翌日煮返しでも決して煮崩れしないで、味がしみ込んでより美味しくなるのです。シンガポールでコックさんが使っていた中国から輸入した大根こそが本物の大根で「本場日本」の大根畑のみずみずしい青首大根は、F1の、水っぽくて大味な大根モドキなのです。何をかいわんやですね」

 

(固定種の行方は社会情勢次第)

「いま現在はEUでも、品種登録されていない、誰も権利を持っていない在来種なら、先祖から受継いだり、自分が既に持っている種を自家採種し、自分や家族が食べる野菜をつくる権利が認められています。つくった野菜を小さなグループで食べたり、地方広場のマルシェで売るということも認められているようです。しかし、それがいつまで続くかは誰にもわかりません。すべて今後の社会情勢次第なのです」

 

「他方で、世界中で、売っている種が、いまもどんどん遺伝子組み換えになっています。遺伝子組み換えの野菜が、それと表示されず、大量生産による安い価格で、大量販売の店に並ぶ日もそんなに遠からず来ることでしょう。自分の子孫がどんな食べ物を食べて生きることになるのか、まだ誰にもわかりません。社会情勢次第なのです。」

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(まだまだ原本には多くの興味深いお話が続きます。是非、ご覧ください)

早々

2014年6月11日 (水)

第15回「福島県民健康調査検討委員会」結果について

前略,田中一郎です。

 

別添PDFファイルをご覧ください。下記は要約です。

 

 <別添PDFファイル>

1.第15回福島県民健康調査 子ども甲状腺検査結果(表紙)(2014612日)

 「no15_kenminkenkou_hyoushi.pdf」をダウンロード

2.第15回福島県民健康調査 子ども甲状腺検査結果(2014612日)

「no15_kenminkenkou_honbun.pdf」をダウンロード

3.子どものガンは大人のガンとは違う : 被害者の切り捨て政策をはねのけよう(2014612日)

「kodomo_gan.pdf」をダウンロード

 

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(1)今回(第15回)の子ども甲状腺検査の結果は,悪性ガンの患者数がさらに増え,前回の74人から89人となった。福島第1原発事故が放出した放射能の影響への懸念は増すばかりである。これまでの悪性ガン発見のデータから今後の悪性ガン発見数を推測すると「149人」となる。

 

(2)福島県民健康調査検討委員会は,福島県の子ども達に発見されている悪性の甲状腺ガンが多発であることを未だ認めようとしないばかりか,それが原発事故に伴う放射線被曝の影響とは考えにくいとする、いびつな見解をとり続けている。

 

(3)その理由として、チェルノブイリ原発事故時の子ども甲状腺ガンの発生状況や甲状腺ガンの進行速度の遅さ、原発事故当初の被ばく線量などをあげているが、いずれも科学的実証的な根拠に乏しい(大人のガンと子どものガンは違うし、初期被ばく線量は国や県の妨害・不作為等のため計測できず正確にはわからない)。

 

(4)放射線被曝による甲状腺ガンの場合には「7q11」という染色体に異常が出ることが多い(過去のデータでは約4割で異常)。「7q11」染色体の異常を調べるべきである。また、福島県での子ども甲状腺ガンの多数の発見が「スクリーニング効果」かどうかは、原発事故の影響が少ない西日本で大規模な子どもの甲状腺ガン検査をしてみればわかることなのに、何故、実施しないのか。

 

(5)子ども甲状腺検査自体がずさん,検査体制が脆弱(検査医療機関や検査医師が少ない),結果の本人への還元がきちんとなされない,血液検査や尿検査、心電図等の被曝に対する総合的な検査がなされない,検査結果の保存期間があいまい,セカンド・オピニオンが取りにくい、情報が統制されている、被害者や医療機関の費用負担の問題等々,指摘された多くの問題点がほとんどが改善されない。

 

(6)福島県以外の放射能汚染地域の子ども達や,全汚染地域の18歳以上の住民に対しては,(たくさんの要望が出されているにもかかわらず)放射線被曝に対する健康管理や調査・検査・治療の対策が全くなされない。

 

(参考)

● 甲状腺がんの子、疑い含め89人に〜福島県民健康調査 記者会見他 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人

(1)(アワプラTV)http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1778

(2)http://www.youtube.com/watch?v=xWkaJ5DVkmw

(3)http://video.search.yahoo.co.jp/search?p=%E7%AC%AC15%E5%9B%9E+%E3%80%8C%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%9C%8C%E6%B0%91%E5%81%A5%E5%BA%B7%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E6%A4%9C%E8%A8%8E%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A%E3%80%8D&tid=2fb326d93f5d719b96e51df58f95906d&ei=UTF-8&rkf=2

 

● 第15回「福島県民健康調査検討委員会」配布資料一式

http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-15.html

 

●(これは必見です)ママレボ通信 第15回 県民健康調査検討委員会 傍聴レポート

 http://momsrevo.blogspot.jp/2014/06/15.html

早々

2014年6月10日 (火)

「はぐらかし」 と 「ごまかし」 の記者会見 : 第15回「福島県民健康調査検討委員会」

前略,田中一郎です。

 

遅くなりましたが、去る519日に開催されました「第15回 福島県民健康調査検討委員会」の全容に関する報告です。下記URLのサイトのうち、特に、一番最初の記者会見録画と、「福島県民健康調査検討委員会」が公開した資料類、それに一番最後の「ママレボ通信」の「検討委員会傍聴レポート」は必見ですので、ぜひご覧になってみてください。

 

記者会見録画は、見ていて聞いていて、かなりイライラします。相当の我慢が必要です。その原因は、記者達の質問の内容もその答えも一般的ではなくて分かりにくいことがありますが、それだけではありません。記者の質問に答える側=つまり「福島県民健康調査検討委員会」の委員たちの答弁が、「はぐらかし」と「ごまかし」に満ち満ちているからです。そこには福島第1原発事故後の子どもたちの命と健康を何としても守らねばならぬという、委員としての使命感や責任のようなものは全く感じられず、この「福島県民健康調査検討委員会」に乗り込んできている、いわゆる原子力ムラ・放射線ムラの人間達が出鱈目・いい加減・ごまかし・はぐらかしの説明を行い、その人たちに頭を押さえられた覚悟の決まらない中途半端な人間達が、そのお囃子をするかのごとく、どうでもいいようなことを長々と話し続けているのです。言いかえれば、検討委員たちの自己保身優先の委員会とでも言えるでしょうか。

 

記者達の質問は、以前に比べれば、ずいぶんと精緻になり、鋭くなってきました(それでもまだ、イライラさせられる質問や、ちょうちん質問のように感じられるものもありますが)。しかし、質問を受ける検討委員たちの方は、依然として、この記者達の核心を突くような質問には、正面からきちんと答えようとはしないのです。「はぐらかし」「ごまかし」の連続です。対外的に公表できない、あらかじめ決めてある(ロクでもない)「結論」があるから、かような物言いになるのだ、ということの典型のようなしゃべり方です(「はぐらかし賞」のようなものでも差し上げたいくらいですし、一人ずつ、はりせんでぶったたいてやろうかとの衝動にもかられます)。

 

(星北斗座長が今回の記者会見で「この検討委員会の第一の使命(ミッション)は、子どもの甲状腺がんの発生・発見が放射線被曝によるものであるか否かを明らかにすること、つまり原因の究明を行うことではない」と発言し、記者達から追及されておりました。何という発言でしょうか。座長辞任ものです)

 

ところで、その第15回検討会の内容のことですが、ついに悪性の甲状腺がんの子どもたちの数が(高い確率でほぼ確定の疑いまでを含めて)89人となりました。確定は50人です。恐ろしい数です。発見数が増えて行く勢いもとまりません。なお、全体で約37万人の子供たちが検査の対象になる予定ですが、一次検査で言いますと、201110月以降、20143月までの全体の受診率は80.2%となりました。ほぼ一巡目の検査が終わろうとしています。

 

これほどまでに甲状腺がんの発見数が増えても、この検討委員会は依然として「放射線被曝の影響は考えにくい」「多く見えるのはいわゆるスクリーニング効果だ」を繰り返しています。それはまるで、放射線被曝の影響を認めれば、医療費の国庫負担や被害者への賠償・補償金額が巨額となるため、絶対に認められないという、隠された「決めごと」を様々な理屈を付けて合理化しているような観があります。つまり結論は最初から決まっているということなのかもしれません。甲状腺がんも含めて、表面化してくる健康障害については、絶対に、何があろうとも、福島第1原発事故の放射能や放射線被曝とは関係がない、ということを「死守する」という結論です。

 

しかし、放射線被曝の影響は考えにくい、とされている理由である「これまでの知見」や「チェルノブイリ原発事故時の経験」の具体的な中身は「子ども甲状腺がんは事故後4年目から増大した」や「福島第1原発事故ではチェルノブイリ原発事故に比べて被ばく量が小さい」などであり、それらはいずれも根拠がないことが明らかになっています(前者なら、チェルノブイリ原発事故後の当初4年間はきちんとした甲状腺検査が行われていなかっただけのことだし、後者について言えば、国や福島県、それに「福島県民健康管理調査検討委員会」自身が初期被ばく計測の妨害をしたために、その把握ができないまま今日に至っていて、一体どれだけの被ばくがあったのかはわからないままです=おそらく永久にわからないでしょう)。(⇒ 記者達は、何故、このこと=つまり「これまでの知見」や「チェルノブイリ原発事故時の経験」の内容を、もっと徹底して追求しないのでしょうか? なお、今回は、後者については、複数の記者が記者会見の際に追及しています:必見)

 

また、(チェルノブイリ原発事故時には増加がみられた)「0~5歳児に甲状腺がんの発見がない」(から放射線被曝の影響とは考えられない)というのも、これからどうなるかわかりませんし、この年代の子どもたちに甲状腺ガンが発見されないからと言って、放射線被曝の影響がないなどとはとても断言できるものではありません。更には、福島県立医科大学の鈴木真一がよく口にする「甲状腺がんは進行が遅い」(だから今発見されているものは3年前の福島第1原発事故が原因ではない)というのも、子どもの甲状腺がんの場合にはそうとは言い切れないこともあり(進行が早い)、確定的なものではありません。鈴木真一が言うのは、あくまでも今までの、大人に発見されていた甲状腺がんの話です。つまり、明確な科学的実証的な根拠がないままに、かたくなに「放射線被曝の影響は考えにくい」という主張にしがみついています。

 

更に更に、考えられないほどたくさんの子ども甲状腺がんが発見されてきていることについても、言を左右にして、その多発を認めようとしないのです。スクリーニング効果とは、大規模な調査をしたので、今までは発見されていなかった、将来発見したであろう甲状腺がんを、まだ小さいうちに発見しているにすぎない、という、いかにも「ためにする」議論です。早期に発見しているだけなので、多発ではなく、むしろ「過剰診療(調査)だ」とまで言い出しています。何が過剰診療だ、ふざけるな!!。

 

前回の時にも申し上げましたが、放射線被曝による甲状腺がんの場合には、7Q11と呼ばれる染色体に異常が出ることが多い、と言われているのですから、何故、7Q11を含む染色体異常の検査をしないのでしょうか(染色体異常の検査はその他の意味でも重要です)。また、多数の子ども甲状腺がんの発見がスクリーニング効果なのか否かは、原発事故による放射線被曝の影響がほとんどない地域(沖縄・九州・四国・中国や北海道)で、子どもたちの甲状腺検査を福島県と同じような形で大規模に実施すればわかる話です。何故、これをしないのでしょうか。また、「これは明らかに子ども甲状腺がんの多発である」と主張する津田敏秀岡山大学大学院教授のような疫学の専門家の意見を聞くこともできるでしょう。事は未来を担う子どもたちの命と健康にかかわる話です。大事をとって、可能なことは積極的にやるべきです。

 

できること、すべきことをしないでいて、放射線被曝の影響はない、を根拠なく繰り返し固執しているから、この検討委員会に不信が高まるのです。今まで何十万人に1人とか2人とか言われていた病気が、わずか30万人ほどを調べただけで、突然その数十倍の100人近くが発見されましたが、それは全てスクリーニング効果です、では済まされないでしょう。そして、済まされないのなら、その原因は何だということになり、その原因が確定的でないのなら、おそらくは放射能の影響は否定できないのだから、それを前提にして様々な対策を前倒しでやっていく、というのが常識的な対応ではないのでしょうか。

 

そして、最も許しがたいのは、こうした「放射線被曝が甲状腺がんの原因であることの(支配権力による断固たる)否定」によって、一方では、すでに90人近い子どもたちが甲状腺がんの犠牲になってしまっているにもかかわらず、それが何故なのかもわからないとされてしまい、まるで原因不明の自然現象であるかのごとく言われ、福島第1原発事故による被ばくによるものだとの主張さえできない状況に陥れられていること( ⇒ こんな理不尽な話があるでしょうか? 何が原因なのか、わかったってしょうがない、甲状腺は戻ってこない、などとも言われて、あとはメンタルケアで辛抱しなさい、なぐさめてもらいなさい、毎日代替ホルモン補充の薬は飲みなさい、などとされていて、医者は、予後がいいから心配しないでいいと言いつつ、その原因追究についてはそしらぬ顔をしているし、放射性ヨウ素を含む放射能が原発事故のせいで大量にばら撒かれ、安定ヨウ素剤配布もされずに放置されたのに、今もなお放射能汚染だらけなのに、そこに住めと事実上押し付けられて、なお追加で放射線被曝もさせられながらも、子どもたちの甲状腺がんの多発は放射能の影響ではないし(これからもありえない)、などとされる。こんなもの、誰が納得するでしょうか:これほど理不尽な子どもたちの人権侵害があるでしょうか。こんな状態で放置しておいていいのですか)

 

更にまた、もう一つの許しがたいことは、それがそのまま「放射線防護対策」「放射線被曝の未然防止」「少しでも放射線被曝を避ける」(避難・疎開・移住・長期保養・その他)に取り組もうとしないことや、被ばくによる健康障害の「早期発見・早期治療」などの「被ばく医療」への責任の放棄につながっていることです。それはまるで「調査すれども治療せず」の、かつての原爆傷害調査委員会(ABCC)の行ったことが、今再び福島で繰り返されているように思われます。

 

そして、福島県以外の都県では、こうしたことを含めて、一切が何もないのです。ないことにされてしまっているのです。また、18歳を超えれば、放射線被曝による健康被害のことなどは歯牙にもかけてもらえない雰囲気作りが、滞りなく進められているようです。やはり原子力推進とは、放射線被曝の強制・押し付けであり、また、その被害の隠ぺいでもあるという、これまで自明であったことが、再び自明になっただけのことなのかもしれません。

 

今でも多くの福島県をはじめ放射能汚染地域に住む子どもたちが、猛烈な放射能汚染環境の中で何の保護も受けられずに生活することを余儀なくされています。甲状腺の被ばくは、放射性ヨウ素のみならず、放射性セシウムによる被ばくも大きく懸念されるところです。しかし、この「福島県民健康調査検討委員会」では、もはやこの子どもたちを救うことはできそうにありません。このままでは、ほんとうにもう、手遅れになってしまいます。

 

(それからもう一つ、この「福島県民健康調査」については、これまで多くの問題点が指摘され、従ってまた、多くの改善事項が多方面から寄せられてきましたが、そのほとんどはまともに検討がされた様子もないままに放置され無視されています。記者会見等で指摘されても、上記で申し上げたように「はぐらかし」「ごまかし」で、一般論化したり、先送りしたり、そのうちにやります、のようなことでお茶を濁しているのです。健康調査自体が、この3年間でほとんどよくなっていない、質的に改善されていない、というのが、もう一つの重大な問題点ではないかと思います:原子力ムラ・放射線ムラとは昔から馬耳東風の「ウマ」のような連中でした)

 

(たとえば、甲状腺検査以外に、血液検査や尿検査、心電図検査、WBCなどなど、子どもたちの体に異常が出ていないのかどうか、綿密に定期的に調べて、もし体に異常があるのなら早期に手が打たれるよう万全を尽くすべきです、また、記者会見の中にも出てきますが、県外にも「福島県民健康調査」ができる病院等が増やされたのはいいのですが、福島県立医大はこうした健康調査をする医療機関に対して「検査をしたら、その結果をすべて県立医大に送れ、診断はしてはならぬ(従って、治療もできない)」という異常なことを「協定」と称して強要しているようです。甲状腺がんに関する情報と、その処方については、福島県立医大が一元的に統制するのだ、という断固たる意思を貫いているようです。信じがたいファッショ的行為です(もしこれが合理化されるのなら、全ての医療行為についても同様なことが言えることになるでしょう=つまり、ほとんどの医師は、検査すれども診断できず、治療も決められない、ということになるのです)。

 

● 甲状腺がんの子、疑い含め89人に〜福島県民健康調査 記者会見他 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人

(1)(アワプラTV)http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1778

(2)http://www.youtube.com/watch?v=xWkaJ5DVkmw

(3)http://video.search.yahoo.co.jp/search?p=%E7%AC%AC15%E5%9B%9E+%E3%80%8C%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%9C%8C%E6%B0%91%E5%81%A5%E5%BA%B7%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E6%A4%9C%E8%A8%8E%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A%E3%80%8D&tid=2fb326d93f5d719b96e51df58f95906d&ei=UTF-8&rkf=2

 

記者会見の中に出てくる「ベースライン」問題や、被ばくの影響の評価の問題についてのコメントは、下記の「ママレボ通信:傍聴レポート」をご覧になってください。よくまとまっています。

 

原発事故後3年間にわたって実施された1巡目の甲状腺検査の結果を「ベースライン」にする意味というのは、汚染地域の被害者の子どもたちの甲状腺がんの数を「基準」と考えます、という意味です。原発事故後の最初の3年間は、放射線被曝による甲状腺がんが発生することはないのだから(上記で申し上げたように、これは嘘八百です)、そして、日本では大規模な子ども甲状腺がんの調査はなされたことがないのだから、今回実施された3年間の結果を「基準」として使います、というのです。しかし、これはとんでもない話です。こともあろうに汚染地域の子どもたちの数字を「基準」にしてしまったら、「基準」そのものが高い数字になり(今現在の段階で言えば89人/30万人ということです)、これから発生してくる甲状腺がんは、この「基準」(ベースライン)に比べたら大した数ではない、ということにされていくのです。

 

かような、全くと言っていいほどバカバカしい話を、この「福島県民健康調査検討委員会」は、記者会見の場においても否定することはありませんでした。もはや検討委員としての資格はないとみていいでしょう。福島第1原発事故による子どもの甲状腺がん多発のもみ消しと同時に、今後発生するであろう放射能事故に伴う子ども甲状腺がんのもみ消しにも役に立つよう、「基準」(ベースライン)なるものをデファクトで造ってしまおうというわけです。怒りを通り越して、恐ろしさを感じます。こんなものがまかり通る社会というのは、いったい何なんでしょうか?

 

● 「福島県民健康調査検討委員会」HP

http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai.html

 

● 第15回「福島県民健康調査検討委員会」配布資料一式

http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-15.html

 

● 放射線影響考えにくい 甲状腺がん50人確定で県民健康調査検討委 県内ニュース 福島民報

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014052015784

 

2014-05-19 【福島】「甲状腺がん、悪性ないし悪性疑い90人」 〜第15回 福島県「県民健康調査」検討委員会 IWJ Independent Web Journal

 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/140680

 

●(これは必見です)ママレボ通信 第15回 県民健康調査検討委員会 傍聴レポート

 http://momsrevo.blogspot.jp/2014/06/15.html

早々

 

坊主が屏風に上手に坊主のウソついた (僧侶・玄侑宗久氏の投稿について)

前略,田中一郎です。

 

下記URLは、201467日(土)付の東京新聞記事です。福島県三春市の著名な僧侶・玄侑宗久氏がこういうひどいことを言う人間とは、今まで知りませんでしたので驚いています。内心の憤りを隠せませんが、できるだけ冷静にみなさまにご紹介申し上げます(玄侑宗久氏は、ご自分の発言がいかなる意味を持っているのかをよく理解されていないのではないでしょうか?)。それにしても東京新聞は、何ゆえに、かような僧侶の戯言を紙面に乗せたのでしょうか? 実に東京新聞らしくないですね。

 

(私のこの記事を読んだ感想)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僧侶・玄侑宗久氏は、福島県民200万人に、ひとりひとりお会いして、この3年間、鼻血が出たか否か、どのように出たか、などなどを聞き尽くしたのでしょうか。また、鼻血はともかく、政府や自治体などの事故後対応の不十分・不適切のために放射能汚染と被ばくに関する懸念が高まっていること、そしてまた、その心配や不安を口に出して言えない社会状況に福島県がある中で、僧侶として、どこまで被害者の方々の心に届く宗教的な試みをなされたのでしょう(なされたのなら、それを東京新聞にお書きになればよかったのです)。

 

あるいはまた、玄侑宗久氏は、(御用)医者・医学者のまねごとのようなことを言い、鼻血とはかくあらねばならぬ、のようなことを説教していますが、いつから医師免許を取られたのでしょうか。僧侶というものは、畑違いの医学的評価を一方的に押し付けるのではなく、放射線被曝や放射能に苦しむ人々の心に寄り添い、少しでも安らぎを提供するのがその使命ではないのですか。つまらぬ医学処方の説教をするよりも、福島の方々の安寧をただひたすら祈り抜くことが、僧侶として、宗教者としてのやるべきことではないのですか。

 

放射能汚染と放射線被曝を甘く見てはいけません。それは放射線被曝というものを原理的に考えれば、容易に理解できることです(注*)。恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)は非常に危険です。「現在の日本は、福島県も含めて、ちょうどカナダと同じ程度の線量分布である」などという軽率きわまる発言は許されるものではありませんし、それは事実に反しております。

 

福島第1原発事故直後に、玄侑宗久氏は吉岡忍氏とNHK・ETV特集の番組に出演し、対談をしました。原発事故への深い悲しみと大切な故郷を放射能で汚されてしまった無念さを心に刻みながらも、あのときは理性的で知的で、信頼のおける対話であったように記憶します。あのときの玄侑宗久氏はどこへ行ってしまったのでしょうか。

 

玄侑宗久氏の、この東京新聞の記事はいけません。僧侶としてあるまじき発言です。厳しく批判されるべきですし、できれば撤回をお願いしたいです。そして私は、玄侑宗久氏に、かつての自分を取り戻され、檀家を含む福島のすべての方々に、ただの一人さえも放射線被曝で健康被害を出すことのなきよう身を賭してご尽力され、そしてまた、現在のように、加害したものたちが救われ、被害を受けたものが路頭に迷い苦しみ悲しむような、そんな「末法」の世の中に、ただ一人になったとしても厳然と立ちはだかり、これを正せと叫ぶ、生きた菩薩のごとき僧侶になっていただきたいと願うばかりです。

 

(別添PDFファイル)

■「うゐの奥山」其の弐拾七「『福島の真実』?」(7日付東京新聞第19面)

 http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20140607

 

●ETV特集「原発災害の地にて~対談 玄侑宗久・吉岡忍」2 - Dailymotion動画

http://www.dailymotion.com/video/xhzn8c_%EF%BD%85%EF%BD%94%EF%BD%96%E7%89%B9%E9%9B%86-%E5%8E%9F%E7%99%BA%E7%81%BD%E5%AE%B3%E3%81%AE%E5%9C%B0%E3%81%AB%E3%81%A6-%E5%AF%BE%E8%AB%87-%E7%8E%84%E4%BE%91%E5%AE%97%E4%B9%85-%E5%90%89%E5%B2%A1%E5%BF%8D-%EF%BC%92_news

 

(注*)放射線被曝のイメージ

 放射線被曝とは、放射線がもつ猛烈なエネルギーが、体を構成する細胞の分子の結合(化学結合のエネルギーでつながっているが、その大きさは放射線のエネルギーの何十万分の一・何百万分の一であり、放射線を浴びるとひとたまりもない)を壊してしまうこと。

 

外部被曝のイメージ

 野球のボールが猛烈なスピードで飛んでくるのを顔面で受けとめるようなもの。飛んでくる速球のエネルギーが顔面に吸収されて野球のボールは止まるが、顔面はひどいことになる。

 

内部被曝のイメージ

 燃え盛る石炭を飲み込むこと。(この例なら、外部被曝は、この石炭を掌の上に乗せること)

早々

2014年6月 8日 (日)

福島県の井戸水の安全確認について + (メール転送です))今週末、いろいろな方々よりいただいた情報のオムニバスです

前略,田中一郎です。

 

まず、この福島民報記事ですが

 

● 井戸水の安全性確認 放射性物質全て下限値未満 県が調査 (福島民報) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140606-00000001-fminpo-l07

 

 はっきり言って軽率です。「安全性確認」などと書くのは時期尚早、というよりも、半ば犯罪的です。少なくとも、次のようなことをちゃんとしなければなりません。福島県民のみなさまは、かような記事に安心されてはなりません。放射能汚染への警戒はむしろ強めるべきです。

 

(1)放射性セシウム以外の放射性核種についても徹底して調べること。福島第1原発汚染水からALPSによって除去される放射性核種が62種類(トリチウムを除く)といわれているのに、人間が飲み、生活用水として使用し、また農業用水としても使われる井戸水が放射性セシウムだけを調べればいい、というのは理解しがたい。

 

(2)井戸の水だけではなく、井戸の中の泥やコケなども調べること。これも放射性セシウムだけではなく、他の放射性核種も調べること。井戸全体が水も含めて安全でなければ使えない。

 

(3)井戸の周辺の汚染環境を明らかにすること。周辺がひどい放射能汚染状況なら、近い将来、井戸が汚染されてしまう可能性がある。周辺とは相当広い範囲=井戸に影響を与えそうな範囲をいう。井戸の周辺に(放射能汚染に対して感受性の高い)キノコ・山菜を植えておいて、適宜、井戸の中とともに放射能汚染をチェックすべきである。

 

 関連するが、福島県も、福島県以外も、農地の汚染マップがいつまでたってもできてこない。出来てこないから、汚染の変化もつかまえられない。巷では、食べものの放射能汚染検査に出されているのは除染した農地の特定の収穫物で、おそらくは汚染度合いが低いものばかり、汚染してそうな農地の産物や汚染がありそうな品種は検査にかけられず販売されている、などという「うわさ」が広がっている。ただでさえ貧弱極まりない東日本産の農林水産物の検査の信頼性が、かようなことをしていては、どんどん下がるばかりである。今回の井戸水調査もそのようなことになりかねないのではないか。「風評被害」などと言って消費者を馬鹿にしていないで、やるべきことをさっさとやればよろしい。

 

(4)記事には「このうち、15カ所は取水不能などで測定できなかった。残りの185カ所のうち、公共用水道水や簡易水道水の水源となっている58カ所は既に実施済みの検査結果を採用、127カ所が今回初調査となった。」とあり、58カ所は今回調査されていない。これではだめ。調査すべき。加えて、今後の継続調査はどうするのか。

 

(5)記事には「震災後の平成24年11月に改定した県地域防災計画で災害時に使用する井戸を選定するよう市町村に求めており、県は地下水を生活用水として活用できるとした調査結果を通知する。」とある。馬鹿なことを言ってはいけない。

 

 あいかわらず、福島県は本気で県民の無用の放射線被曝を防ごうという意思がないように見受けられます。

 

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以下、今週末、いろいろな方々よりいただいた情報のオムニバスです。

 

1.アパストの第1回会員総会

 後藤政志さん・筒井哲郎さんを中心に市民団体アパストが本格スタートしました。下記はアパストのサイトです。さっそく後藤政志さん、筒井哲郎さん執筆のレポートがこのサイトに掲載されています。

 

APAST NPO the Union for Alternative Pathways in Science & Technology

 http://www.apast.jp/

 

2.(メール転送です・別添PDFファイル)上関原発反対の動き

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上関原発を建てさせない山口県民大集会賛同者の皆さま

集会事務局長の草地大作です。以下、抗議行動を呼びかけます。

 

(1)先月514日に、村岡嗣政山口県知事が集会参加者一同の願い及び、署名を寄せられた方々の思いを踏みにじって、判断を先送りにしました。このことに対して、集会事務局会において抗議の申し入れを行うことを決定しました。添付の申入書を提出し、抗議の意志を明確に示したいと思います。当日は、県側の要請で10人までしか入室できませんが、申し入れ後に報告の時を持ちたいと思います。どうぞ、ご一緒くださいますよう、ご案内いたします。

 

申し入れ 2014616()14:0015:00

報告    同 15:0015:30(多少後ろにずれ込むことも想定されます)

 

(2)祝島島民の会の方々が県庁前にて抗議行動を行われます。中国電力株主総会が行われる当日、広島の中電本社前での抗議行動の後、山口県庁まで赴かれます。ぜひ、祝島島民の方々の抗議に合わせて、わたしたちも声を上げたいと思います。どうぞ、ご参集ください。

 

日時 2014626()15:00頃から約1時間を予定

場所 山口県庁前広場

 

以上、よろしくお願いいたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

3.#原子力発電_原爆の子 核戦争防止国際医師会議によるUNSCEARフクシマ報告の批判的分析

 http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2014/06/unscear.html

 

4.放射線量の測定予定や測定結果について |葛飾区

 https://www.city.katsushika.lg.jp/34/9539/017874.html

 

5. 20140606 UPLAN 小児甲状腺がん89人は異常多発! どこでも、だれでも放射能健康診断を! - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=Gaw9V6YwquM

 

6.除染の目標値“倍に引き上げ”を協議(日本テレビ系(NNN) - Yahoo!ニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20140606-00000060-nnn-soci

 

7.幻の放射性ヨウ素汚染地図を復活させる【福島県版まとめ】

 http://www.sting-wl.com/iodine-map1.html

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

(1)食べものの放射能汚染(3) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-f186.html

 

(2)脱原発脱被曝 バック・ナンバー(2)(201312月~20144月) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/20131220144-8b5.html

 

(3)主なレポートのバック・ナンバー(2013126日現在) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/2013126-f3be.html

2014年6月 3日 (火)

食べものの放射能汚染(3)

前略,田中一郎です。

下記PDFファイルをご覧ください。

1.表紙 「tabemono_osenn_hyousi.pdf」をダウンロード

2.本文 「tabemono_osenn_honbunn.pdf」をダウンロード

3.資料 「syokuhinkensa_syukusyou.pdf」をダウンロード

早々

2014年6月 1日 (日)

(メール転送他)(1)どこでも、だれでも放射能健康診断を!”院内集会、(2)報道ステーション(5月30日)「原発審査に火山学者が異論」概要 他(計5つ)

前略,田中一郎です。

 

以下はメール転送です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.”小児甲状腺がん89人は異常多発!どこでも、だれでも放射能健康診断を!”院内集会(参院議員会館):転送・転載希望

 

 5月19日(月)福島県県民健康調査、検討委員会が開催され、調査結果が公表されました。小児甲状腺がんないしその疑いが90名。内訳は、既に手術終了51名。疑い39名。良性結節1名です。“疑い”とされるのは、未切開ではあるが、既に甲状腺組織から、がん細胞を刺吸引したケースで“がん”と見做すことが出来、計89例の小児甲状腺がんの発見となります。

 

 受診者総数は295,511人です。小児甲状腺がんの発生率は100万人に1人と言われていますが、国立がん研究センターによる日本国内の甲状腺がん発生率は、15歳から19才歳の年平均で20万人当たり1人程度です。有病期間3年(この3年間の発生合計)と仮定すると20倍を超える発生率です。明らかに異常多発(アウトブレイク)です。“美味しんぼ”で鼻血が話題になっていますが、事態は遥かに進行しているのです。

 

 現在の健康調査は事故当時福島県に住んでいた0歳から18歳の方に限られています。しかも行政調査である為、データーの本人開示もなく、健康対策や相談に結びついたものになっていません。チェルノブイリでは、事故の4年後から小児甲状腺がんが多発し、がん以外に、若年白内障、歯と口の異常、血液、リンパ、心臓、肺、消化器、泌尿器、骨及び皮膚の疾患など広範囲に健康障害が起きています。フクイチ事故から3年2カ月を迎える今日、事態は急を要しています。放射能健康診断署名を国民的な運動に広げ、希望する者は、どこに住んでいても誰でも放射能健康診断を実施させましょう。

院内集会へのご参加をよびかけます。狭いですが保育スペースはあります。

 

 ****************

日時: 6月6日(金) 午後6時から7時半

場所:  参議院議員会館、地下B-103会議室

アクセス: 地下鉄各線「国会議事堂前」及び「永田町」徒歩3分

出席予定: 避難者(二瓶和子さん、亀屋幸子さん他)、医師

参加費:500円(遠方からの費用等)   避難者の方無料

(主催)  放射能健康診断100万人署名運動全国実行委員会

 http://hinan.jimdo.com/

 連絡先 高瀬(080-1082-9980

******転送ここまでです。**********

 

2.報道ステーション(530日)「原発審査に火山学者が異論」概要まとめ

(なお、今週号の『週刊金曜日』が、火山と原発の特集をしています。阪上武さんや鎌田慧さんのレポートが掲載されていて必読です)

 

 鹿児島市吉野町、眼前に桜島。井村隆介・鹿児島大准教授が案内。錦江湾の海底は直系20kmの巨大な窪地。カルデラ噴火の跡。「火砕流は数百度、完全に想像を超える噴火が起こる」。姶良(あいら)カルデラは今も活動中。

 

 井村隆介さんが案内して川内原発から2.8km地点へ。「シラス」と呼ばれる、固いがさらさらした白っぽい土が火砕流の跡。3万年前に姶良カルデラから出た。九州電力は当初、「火砕流の痕跡は川内原発にはない」としていたが、319日、火砕流が原発に及ぶ可能性を認めた。

 

 規制委の火山影響評価ガイドでは「(運用期間中の原発に)火砕流到達の可能性がある場合、"立地不適"」とされている。九電が原発敷地内に火砕流が及ぶ可能性を認めた以上、立地不適となると思われたが「運用期間中に噴火する可能性は低い」との九電の主張を規制委が追認してしまった。

 

 井村隆介さんは「新規制基準では、地震の影響は十数万年レベルで検証しているのに、火山では数万年レベルのことすら考慮されていないのはおかしい」と。

 

 報道ステーションによる火山学者へのアンケート結果(34人が回答)。「川内原発の運転に影響がない、とした規制委の判断は妥当か?」→ Yes5人、No21人、その他:8人。「巨大カルデラの噴火の前兆を捉えることは可能か?」→ Yes9人、No17人、その他:8人。

 

 石原和弘・日本火山学会原子力問題対応委員長「(規制委が)非常に楽天的なのに驚いた。50100年先にどんな状況になるか見当がつかない。火山の場合、噴火により前兆やプロセス、噴火様式が変わる。海底にあるカルデラ火山の観測はほとんどなされていない」。

 

 藤井敏嗣・火山噴火予知連絡会会長「稼働期間内に噴火があるかどうかの判断すら難しいのに、それがいかにもできるように書いてあるのがまずおかしい。今(火山噴火の)中長期の予知はできない。噴火は規則正しく起きるのではない。過去を調べて統計的に噴火を予測する手法は確立してい

ない」。

 

 テレビ朝日の記者が会見で質問。「藤井火山噴火予知連会長は『姶良カルデラが運用期間中に破局的噴火を起こさないと断言できない。モニタリングでは破局的噴火かどうか兆候は判断できない』と答えているが?」。田中俊一規制委員長「最近の研究ではカルデラ噴火の場合、数十年前頃からマグマが大量に蓄積する。当然、地殻変動とかが検知できる」。

 

 規制委による火山影響評価ガイド作成の際に意見を聞かれた中田節也・東大地震研教授「大きな噴火でも予兆が出ることは間違いないが、数年前にわかるかと言われるとまず"不可能"だろう。モニタリングさえすれば何でも分かるという感じでガイドがまとめられたのは不本意」。

 

 記者の質問に田中委員長は「現時点で火山影響評価ガイドを見直す考えはない」としたが、規制委は巨大カルデラ噴火に関して新たな基準作成のための調査を開始している。しかし、姶良カルデラは過去のデータが少ないなどの理由で調査の対象外!

 

3.水産庁-「水産物の放射性物質検査に係る報告書」の公表について

 http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kakou/140530.html

 

(ちょっと長いボリュームのある報告書です。ご覧になる時は批判的にご覧下さい。およそ水産庁は水産物の放射能検査において、まともなことはしてきませんでした。いわゆる無反省報告と言えるでしょう、)

 

4.Takenouchi Mari Files~竹野内真理ファイル~ Collaboration of ETHOS in Fukushima and France 福島のエートスの面々がパリで仏原子力ロビーと非公開セミナー!(仏在住ジャーナリスト コリンコバヤシ氏より

http://takenouchimari.blogspot.jp/2014/03/collaboration-of-ethos-in-fukushima-and.html

 

●竹野内真理ファイル HP

http://takenouchimari.blogspot.jp/2014/03/collaboration-of-ethos-in-fukushima-and.html

(画面の左側に、同氏のプレゼンその他の簡単な案内があります)

 

5.地域経済の好循環実現のための提言~「ローカル・アベノミクス」の実行に向けて~ 政策 ニュース 自由民主党

 https://www.jimin.jp/news/policy/124966.html

 

(まだ詳細には目を通しておりませんが、一瞥した感想は、安倍晋三・自公政権が全力挙げてグロテスクな市場原理主義政策に邁進していながら、それとは方向性が違う(逆の)かような政策を、何のためらいもなく公表しているところに大きな違和感があること=言い換えれば、本気でやる意思があるのかどうか、紙に書いただけ・口で言うだけの「風呂の釜」政策(ゆーだけ)ではないのかという点です:今後の展開を厳しく見ていく必要がありますし、国家戦略特区やTPPをはじめ、規制改革会議や産業競争力会議が打ち出してくる「施策提言」との大きな矛盾や齟齬についても鋭く追及する必要があるように思われます)

草々

 

 

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