5/20院内集会「秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて」報告 + 長野市の山菜が出荷制限
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
昨日(5/20)、衆議院第2議員会館にて院内集会「秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて」が開催されました。別添PDFファイルはその際の資料です。以下、ごく簡単に報告いたします。
<別添PDFファイル>
(1)秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて:2014.5.20
集会チラシ
(3)秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて(資料2:アメリカ)(2014.5.20)
(4)秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて(資料3:ドイツ)(2014.5.20)
(5)秘密保護法を問う(山田健太専修大教授:神奈川新聞)
(6)監視機関設置、自公が合意(朝日 2014.5.20他)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11144775.html
<関連サイト>
●秘密保護法衆参に常設「情報監視審査会」 与党が合意 - 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20140520k0000m010096000c.html
●Listening<時流・底流>米の秘密保護制度 社会が政府を「監視」−−山田健太教授・専修大(言論法) - 毎日新聞
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140324org00m030006000c.html
●日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:秘密保護法とは?
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html
上記の下記をクリックしてPDFファイルをダウンロードしてください。
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*詳しい解説はこちらをご覧ください。
「秘密保護法とは何か?~その危険性と問題点~」(2014年3月25日)(PDFファイル;578KB)
<田中一郎コメント:聞いたことのごちゃ混ぜ+私の意見>
(1)欧米に視察に行ったのは衆議院の与野党議員たち。当初は特定秘密保護法の修正協議に応じた野党と与党だけで行くとしていたのを、のけ者にされた特定秘密保護法反対野党の異議申し立てを受け入れて、全会派で行くことになった。一方、参議院の方は特定秘密保護法をめぐる対立が激しく、視察どころの話ではなくなってしまい、法案が可決成立すると、すぐに特定秘密保護法を審議する委員会も解消されてしまった。(この国会運営は強行採決を含め与党の暴挙としか言いようがない)
(2)視察に行った先の欧米の組織は、秘密保護を監視する議会組織などではなく、インテリジェンス組織(米CIA・英MI6などのスパイ・諜報機関)を監視する議会の委員会等だった。従って、訪問議員団のメンバーが対応してくれた欧米の担当者に、秘密保護に関する監視をどう行っているか、そもそも監視は可能か、などを質問しても、きょとんとした顔をしていたという(当然でしょう。政府の秘密の監視とインテリジェンス組織の監視とでは、内容が全然違う)。つまり、訪問の主たる目的は達せられずだった。
(3)視察報告書に掲載されていない「秘密の人」にも面会して話を聞いている。議会が政府の秘密を監視するなどと言うことは、とてもできない、という回答を得たそうである。理由は、その量が多すぎること、(内容は公開しないが)あることを公表して秘密の度合いをランク付けしている政府の秘密事項以外にも、その存在すら公表していない「トップ・シークレット」がたくさんあるが、しかもその多くが、秘密管理強化をしているにもかかわらず、ネット上に漏れ出している。
(4)結局、限定された特殊な情報(たとえば核ミサイル発射装置の暗号など)以外は、すべて「他人に見せても恥ずかしくない」ように言動することに心がけ、基本的にすべてオープンにすることが、この問題の唯一の解決策である(共産党・宮本岳志衆議院議員)。
(5)アメリカなどでは、情報源となる関係者への締め付けがきつくなってきており、しかも、それだけでは間に合わないので、たとえばパソコンなどの情報媒体の管理強化や、情報を受け取る方(ジャーナリストや市民)への締め付けもきつくなりそうな気配である。要するに、秘密に手を染めると、秘密そのものがどんどん増殖し、かつ、その秘密を守ろうとして管理行為もどんどん増殖するという悪循環に陥る。この負の連鎖を断ち切るのは容易ではない。
(6)日本の特定秘密保護法は「最悪の選択である」との意見が海外の視察先の複数の人からあった。
(7)特定秘密保護法の国会審議の過程で、安倍晋三政権が一部の野党と約束した「特定秘密の指定」のチェック機関として挙げられている4つの新設組織(①情報保全諮問会議、②保全監視委員会(事務次官級)、③独立公文書監理官、④情報保全観察室(職位の低い役人で構成))は、いずれも「第三者性」が欠如しており、いわばタコが自分の足を食っているような組織なので、こんなものはチェックどころか、追認合理化のための茶番組織になる可能性大
(8)そのうちの一つ、「情報保全諮問会議」は、今年1月に開催されたきり未だ第2回目が開催されず、もっぱら内閣情報調査室による個別委員へのヒヤリングが行われているのみである。日弁連の清水委員からは再三にわたって会議の開催を申し立てしているが、一向に開催される様子はなく、従って、この会議が課題としていることについての議論もなされていない。1月の会議の議事録も非公開だ。そもそも、この会議は「特定秘密指定の基準」を決めるだけであって、秘密事項そのものにアクセスできるわけではなく、特定秘密の指定の適正化に役立つような様子は現状では全くない。座長が読売新聞の渡辺恒雄なので、益々だめ。
(9)5月20日付の新聞記事にあるように、このほど自民党と公明党は、国会に「情報監視審査会」を常設することを決めた。常設にするか否かが焦点だったというが、問題はそんな程度の話ではない。これもまた、委員が各会派の議席数に応じて割り当てとなり、また、特定秘密に具体的にアクセスできるわけではなく、更にまた、その権限も勧告のみで強制力がないなど、ほとんど機能しそうにない制約が山ほど付けられている。そもそも事務局の体制などはどうなるのか、国会議員だけでやってもほとんど機能することはないし、与党多数の審査会になるのだから、特定秘密のチェックどころか、単純な追認機関になることも自明である。現に、今国会にある原子力規制の委員会も、与党議員が多数を占めており、野党側から再三にわたり開催を要求しても、与党の合意が得られずに開催できないでいる状態が続いているが、この「情報監視審査会」もそれと同じことになる。
(10)その他、話には出なかったが、内部告発者保護の問題、裁判が秘密の壁に阻まれてきちんとできない問題、適正評価の問題(思想・信条の侵害行為=人権侵害)、情報公開法との関係などなど、特定秘密保護法のもつ山のような問題が放置されたままである。また、別添PDFファイルにもある通り、欧米視察の報告書に議員団に同行した役人らの名前が記載されているが、このうち特定秘密保護法を担当する内閣情報調査室の人間だけが「ナナシノゴンベエ」とされている、特定秘密保護法が制定されたのだから、かようなことまでヒミツにして、有権者・市民をヒミツに慣れ親しませる目的が見て取れる。けしからん話だ。
(11)与党多数の国会は、特定秘密保護法の適正化のための取組もおろそかで、政府をチェックするという三権分立のイロハさえもできていない様子。政府・行政機関がグロテスクに肥大化し、国会はその追認・追従組織になり下がっている。こうした中で、この特定秘密保護法の中身の改善などはとてもとてもおぼつかない。
(12)ということで、結論は、特定秘密保護法は廃止、以外にありません。やるべきことは「秘密保護」ではなく「情報公開」の拡充・拡大です。
<関連図書>
下記の2冊は当日の発言者から紹介があった書籍です。
●『トップシークレット・アメリカ 最高機密に覆われる国家』(草思社:デイナ・プリースト/著 ウィリアム・アーキン/著 玉置悟/訳)
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032998676&Action_id=121&Sza_id=C0
●『暴露 スノーデンが私に託したファイル』
(新潮社:グレン・グリーンウォルド/〔著〕 田口俊樹/訳 濱野大道/訳 武藤陽生/訳)
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refBook=978-4-10-506691-8&Sza_id=NN
早々
<追>
●原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の設定について |報道発表資料|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000046355.html
本日(5/21)、原子力災害対策本部は、昨日までの検査結果等から、長野県に対し、長野県 長野市 ( ながのし ) 及び 軽井沢町 ( かるいざわまち ) で採取されたこしあぶらについて、出荷制限を指示しました。
●平成26年度県内産山菜の放射性物質測定結果/長野県
http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyo/kurashi/shobo/genshiryoku/hoshasen/hoshase/h26sansai.html
長野市のこしあぶら 340ベクレル/kg
軽井沢町のこしあぶら 300ベクレル/kg
(軽井沢町では、たらのめも140ベクレル/kgで規制値100ベクレル/kgを超えているが出荷制限にはなっていない)
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上記は少しショッキングです。長野市や軽井沢町が放射能汚染地帯であることを示す重要なモニタリングデータです。
(参考)「いちろうちゃんのブログ」より
●チェルノブイリから福島へと広まる「エートス計画」とは何か? (コリン・コバヤシ 『DAYS JAPAN 2014.6』 より)=原子力翼賛など、とんでもないことだ いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/20146-500a.html
●「美味しんぼ」の鼻血問題 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-4fa0.html
(ペンネーム異邦人さんが、興味深いコメントをして下さいました)
●森林・木材の放射能汚染 :木材汚染の拡散を防ごうとしない国・東京電力、これは氷山の一角だ いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-3766.html
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