甲状腺被ばく回避のための安定ヨウ素剤配布説明会に見る原子力「寄生」委員会のでたらめ
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
別添PDFファイルは、数日前(5/24)の朝日新聞記事で、このほど原子力「寄生」委員会が安定ヨウ素剤の配布に関する模擬の住民説明会を開催した旨の報道がなされています。この記事を見ても、その出鱈目さ加減が浮き彫りになっていますので、下記にごく簡単に問題点を列記しておきます。
福島第1原発事故では、原発から60km圏内にある福島市や県北の市町村も高濃度の放射能に汚染されてしまいましたし、事故当初の放射性ヨウ素のプルームは、事故原発から遠く離れた東京などにも流れてきました。にもかかわらず、今回の原子力「寄生」委員会が実施した模擬住民説明会は、原発から半径5km圏内の住民を想定しているというのですから笑止千万です。
原発から5km圏内をPAZ(予防的措置範囲)などという、もっともらしい名前を付けて、意味もなく「地域分断」のための線引きを行い、その狭い範囲内に即時避難や初期防災対策を絞り込もうという意図が見え隠れしています。笑止千万を超えて、激しい憤りと恐怖を感じます。こんな程度のことで、こんな狭い地域の範囲内で、どうして原発の過酷事故への対応・対策ができるでしょうか。安定ヨウ素剤は、およそ放射性ヨウ素のプルームが飛んでいく可能性のある地域にはすべて必要です。それを何故、原子力「寄生」委員会も政府も対応しようとはしないのでしょうか。根本的に彼らがやっていることが、原発再稼働を安上がりに簡便に進めていくための「方便対策」であり、アリバイ行為であることを示しているのです。そこでは、地域住民や有権者・国民・市民の命と健康のことなど、二の次にすぎないのです。
(参考)【再改訂版】PAZ・UPZ・PPAの意味|原発隣接地帯から:脱原発を考えるブログ
http://fkuoka.blog.fc2.com/blog-entry-179.html
<別添PDFファイル>
● ヨウ素剤配布、課題山積、規制委、原発事故備え模擬説明会(朝日
2014.5.24)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11152488.html
(一部抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
原発事故時の被曝(ひばく)を防ぐため、事前に住民に配ることになった安定ヨウ素剤について原子力規制委員会は23日、配る方法を自治体職員に示す模擬の住民説明会を開いた。被曝を防ぐには適切なタイミングで飲まなければならないが、どう説明して配るのかは手探りだ。再稼働に向けた審査が進むなか、自治体の不安は根強い。
東京都内で開かれた模擬説明会には、54自治体の職員125人が参加。原子力規制庁や自治体の職員が住民や医師、薬剤師に扮し、問診やヨウ素剤の手渡しを再現した。審査が最も進む九州電力川内原発がある鹿児島県の担当者は「参考になったが、地元には高齢者が多く問診にはもっと時間がかかる」と感想を漏らした。説明会は6月から順次開き、ヨウ素剤は7月に配る予定だ。本来は同時配布が原則だが「農繁期でもあり、長く待たせられない。このやり方で配るしかない」。
ヨウ素剤は、放射性ヨウ素が甲状腺に集まってがんを引き起こすのを防ぐため、放射線を出さないヨウ素であらかじめ甲状腺を満たして被曝を防ぐのが目的。以前は副作用のおそれなどから事故時に限って配ることになっていたが、昨年の指針改定で原発から5キロ圏内の住民には事前配布することになった。
説明会では、住民がシートに病歴などを記入。注意点を聞いたうえで、医師が処方したヨウ素剤と受領書の控えを受け取る。規制委は手順書を自治体に示したが、より詳細な説明を求める声が上がっていた。
自治体の悩みは尽きない。ヨウ素剤は3年で更新するが、その間の保管方法は住民に任される。更新方法や再度の説明会の有無、転入出に伴う配布や回収についても定まっていない。5~30キロ圏は事故時に配る。旅行者など一時的に滞在している人も把握し、配らねばならない。地震などで道路が寸断された場合の配布ルートや、医師や薬剤師の確保も課題で、22日にあった原発立地自治体の会合でも、規制庁の担当者に懸念が寄せられた。
朝日新聞の2月のアンケートでも、原発周辺の全国155自治体のうち79の首長が、避難計画でヨウ素剤の扱いが課題になっていると回答。「計画と現実には大きな隔たりがある」といった声が出た。規制庁は「細部は地域事情を知る自治体に判断してもらう」としている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<問題点>
1.安定ヨウ素剤の事前配布の地域範囲が狭すぎる:100km圏を超えてもっと広範囲で事前配布を行え。また、原発過酷事故時において、安定ヨウ素剤服用よる甲状腺被ばく回避が初動動作として極めて重要であることを、100km圏超の住民に周知徹底せよ。
2.記事にあるように「ヨウ素剤は3年で更新するが、その間の保管方法は住民に任される。更新方法や再度の説明会の有無、転入出に伴う配布や回収についても定まっていない。」=これで、いいはずがない。ちゃんとガイダンしろ。
3.5~30km圏については事故時に配るという。何故、5km圏内と差をつけるのか。その根拠は何か。
4.30km超の地域(PPA(50km圏):放射性ヨウ素防護地域)での対策は「検討します、検討します」と言い続けて今日に至っている。いったい何をしているのか。また、このPPA(「ぱぱっとあきらめて見捨てる」の略)圏が、何故30~50kmなのか、何故、安定ヨウ素剤配布しか手を打たないのか、こんなことでは福島第1原発事故の教訓が全く生かされていないではないか、などなど、疑問は尽きない。
5.記事にもあるように「5~30キロ圏は事故時に配る。旅行者など一時的に滞在している人も把握し、配らねばならない。地震などで道路が寸断された場合の配布ルートや、医師や薬剤師の確保も課題」=原子力「寄生」委員会の態度は、現場自治体へ対応負担も対応責任も丸投げ、である。
6.いつ、誰が、どうやって、安定ヨウ素剤の配布や服用の決定を行い、また、その決定をどうやって地域住民の一人一人に周知徹底するのか。このことは福島第1原発事故の際にも大問題となったことなのに、これについて、この記事は何の言及もない。(また、上記で私が書いたようなことを、朝日新聞の記者達は、何故、原子力「寄生」委員会や政府関係省庁・大臣に問い詰めないのか)
7.この原子力「寄生」委員会による模擬説明会を、曲がりなりにもそれなりの報道したのは、何と朝日新聞だけだった。他の新聞やTVニュースは「何してまんねん」な。仕事をする気がないのなら、解散しなさい。
早々
« 原子力施設事故に伴う2つの賠償・補償責任の放棄政策=財産や収入の損害も、健康被害の損害も、賠償・補償は極力しない(踏み倒す)というのが原子力推進の基本方針です | トップページ | 脱原発脱被曝バック・ナンバー(2)(2013年12月~2014年4月) »
「放射線被爆」カテゴリの記事
- (メール転送です) 低線量内部被曝の危険を人々から覆い隠すICRP学説の起源 他+アルファ(2015.05.06)
- 被ばく強要を「リスクとの折り合い」などと詐称して原子力ムラに寄り添う似非リベラル、他方で「邪悪権力」に勇気を奮って立ち向かう市場原理主義者(清水修二と古賀茂明)(2015.04.07)
- 誰のための個人情報保護法なのか+「青森県小児がん等がん調査事業の報告書」(2015.04.01)
- こんなことはあってはならない : 放射線の影響 話しづらい,子供心配でも、声をあげれば孤立する,物言えぬ雰囲気の中,行政は検査縮小の動き(3/11東京新聞記事より)(2015.03.12)
- 放射線被曝はマイクロRNAに注目すべき(NHKサイエンスゼロ 「がんも!老化も! 生命を操る マイクロRNA」より)+報道特集「沖縄で何が」+誰が何を証明すべきなのか 他(2015.03.08)
« 原子力施設事故に伴う2つの賠償・補償責任の放棄政策=財産や収入の損害も、健康被害の損害も、賠償・補償は極力しない(踏み倒す)というのが原子力推進の基本方針です | トップページ | 脱原発脱被曝バック・ナンバー(2)(2013年12月~2014年4月) »


コメント