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2014年5月27日 (火)

原子力施設事故に伴う2つの賠償・補償責任の放棄政策=財産や収入の損害も、健康被害の損害も、賠償・補償は極力しない(踏み倒す)というのが原子力推進の基本方針です

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、昨日と今日(5/27)の東京新聞「こちら特報部」掲載の記事です。現下において福島県で進められている国と自治体とが一体化した福島第1原発事故被害者への帰還強要政策(現在の賠償責任放棄政策)と、放射線被曝の危険性もみ消し対策(将来の賠償責任放棄政策)の実態が、リアルに核心をついて報道されています。是非ご一読ください。

 

 これらの政策の根本的な目的は、第一に、福島第1原発事故をはじめ、これからも発生するであろう原発・核燃料施設の過酷事故に伴う賠償・補償責任を極小化し(何だかんだと理屈を付けては賠償・補償金額を極力小さくする)、放射能汚染の深刻化に伴うあらゆる困難を、地域住民や有権者・国民・市民に負担転嫁し、原発・核燃料施設の「過酷事故との共存政策」(「現存被爆状況」の容認・受け入れ)を定着化させること(簡単にいえば、原発事故の賠償金はビタ一文「無駄」(原子力ムラ・放射線ムラの言う無駄)に払いたくない、払うのなら将来の原発・原子力推進に役立つ払い方にしたいということ(いわゆる「ALARA原則」の周知徹底です)、

 

 第二に、放射線被曝の危険性を矮小化してごまかし、原子力推進への幻想を再び復活させること。言いかえれば、破綻した「原発安全神話」に代えて「放射線安全神話」を普及・定着させることで、仮に原発・核燃料施設事故があっても「大したことはない」という、とんでもない錯誤認識で地域住民や有権者・国民・市民を洗脳すること(つまり、放射線被曝の健康被害に倒れたり苦しむ人があっても、それは被ばくと「カンケーネー」ということにいたしますということ)、の2点です。

 

 つまり、原子力ムラ・放射線ムラの下請け代理店と化している現下の政府や多くの自治体は、地域住民や有権者・国民・市民を「ひと」として見ていない、「人間」として扱っていない、ということを意味します。だからこそ、福島の復興が、人間の復興を棚上げにした、土建・利権・会社・組織・産業の復興であり、その下で、本来は復興の受益者であるはずの多くの被害者住民が、逆に苦しめられるのです。

 

 こうしたことは、既に福島第1原発事故直後の地域住民への避難勧告を行う際の、下記のような根拠に乏しい地域の細切れ状態がつくられた時から、その魂胆は薄々見えておりました。原発事故に伴う放射能は、20~30km圏を超えて、はるか遠くの東日本一帯に深刻な状態で広範囲に広がっているというのに、当時の政府(民主党政権)は、下記のような、わけのわからない「○○区域」だの「○○地点」だのと、乱暴な人為的線引きを行い、そこに住む人々を分断し放置し蹂躙したのです。すべては原発事故後まもなく始まる損害賠償や補償、それに避難・疎開・移住への政府としての対応を念頭に入れた、狡猾かつ姑息で非人間的・不道徳的なものでした。そしてそれが、今日の自民党政権にも、そのまま引き継がれています。政権が民主党になろうが、自民党になろうが、こと原子力推進の人権侵害や被害者切り捨て方針は全然変わらない、ということです。

 

注:避難区域の再編

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    再編前

警戒区域(20km圏内:強制避難)

緊急時避難準備区域(20~30km圏内:屋内退避・20mSv未満)

計画的避難区域(20km圏外で20mSv以上)

特定避難勧奨地点(20km圏外で20mSv以上)

 

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    再編後

帰還困難区域(年間50mSv超)

居住制限区域(年間20超~50mSv以下)

計画的避難準備区域(年間20mSv以下)

 

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 この状態を変えるためには、住民自らが憤りをもって立ち上がらなければ、変わることはないでしょう。そして、ここで申し上げる住民とは、福島県民だけではありません。放射能汚染は東日本一帯に広範囲に広がっており、上記で申し上げたことは福島県だけのことではありません。いやそれどころか、福島県以外では、まるで福島第1原発事故も放射能汚染も、放射線被曝被害もないかのごとく、なかったかのごとくにされ続けており、その人権侵害度合いは、むしろ福島県以上のものがあると言っていいでしょう(たとえば福島県の隣接県の子どもたちの健康調査はどうなっているのでしょうか? 放射能は県境で止まっているわけではありません)。

 

 みなさま、怒りを持って立ち上がりましょう。かようなことを看過していては、この国はもう終わりです。この我々の目の前で繰り返されている理不尽きわまる深刻な人権侵害・意図的な(権力的)加害行為に対して、力を合わせて抵抗し止めさせましょう、改善させましょう。もちろん、政治についてもきちんとして、あらゆる選挙において、その候補者選択を適切にしなければいけません。原発を推進し、大事故を引き起こし、そして、あろうことか、その事故の被害者を切り捨て、返す刀で原発を再稼働する政策を進めている自由民主党と、それを転換すると嘘八百を言って、福島第1原発事故後の棄民政策の土台を作った「口先やるやる詐欺」政党の民主党、及びその補完勢力を、日本の政治の世界から一掃しなければ、事態は変わることはありません。市民運動・社会運動だからといって政治から逃げていては、事態はいつまでたっても変わらないのだということを肝に銘じるべきです。

 

 また、アカデミズムの世界もロクでもなくなっています。先般、ある市民団体が招いた、いずこかの大学の若手社会学者の話を聞きました。私は、私の発言を妨害する会場参加者のちょっかいを押しのけて「放射能汚染と放射線被曝の被害が比較的軽微で済んだ我々東京都及びその周辺在住の人間は、この福島第1原発後の出鱈目な事態にどう対応すべきなのか、真剣に考えなければいけない」と発言しましたが、それに対して、その若造の社会学者の答えは「(福島のことを)理解することだ」とのことでした。理解してどうするのでしょう? それについての言及やコメントはありませんでした。まさにお気楽そのものです。昨今の社会学専攻の若い学者たちには、この手の人間がほんとうに多い。簡単にいえば、支配権力の暴力や理不尽に対してきちんと対決して立ち向かう気力も覚悟もないままに、アカデミズムの権威だけを振り回して、「お気楽発言」や「おしゃべり」を繰り返しているのです。そもそも学問や社会問題に立ち向かう根本姿勢がなっておりません。

 

 同じ時代に、同じ日本列島に住む、何の罪もなき多くの人々が、福島第1原発事故により、生活や人生を破壊され、それがいつまでたっても償われず、支援されず、従って再建も救済もされず、あたかも被害者が復興の邪魔ものであるかのごとき理不尽きわまる扱いを受けて放置されています。私たちが、こうした理不尽に見舞われた我ら隣人・同胞の被害者を救済できぬ、救済しようともせぬ、なさけない人種なら、私はみな、こぞって地獄に落ちてしまえと思う次第です。

 

1.原発事故による財産や収入の賠償責任の放棄政策:「棄民化の策、帰還を強要、拒めば自主避難、賠償打ち切り(東京 2014.5.27)」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014052702000162.html

 

(一部抜粋)

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「福島原発事故の避難指示区域の解除に伴い、生活苦に陥る被災者らが増えている。月々の精神的賠償が解除後、一年で打ち切られ、なお避難生活を続ける人びとは自主避難者扱いにされるためだ。帰還するか、移住するかの判断を被災者に委ね、その選択を保障するのが東京電力や国の務めのはず。ところが、現実には帰還を押し付け、後は自己責任という「棄民化」政策が進んでいる。」

 

「単純に安全、安心でないから、皆、帰ろうと考えない。核燃料を抜き取っている4号機で何かあれば、真っ先に被害を受ける。事故の恐怖感は消えない」

 

「若い世代は新しい仕事を見つけられても、高齢者はそうはいかない。(中略)好き好んで避難を続けているのではない。戻れないから戻らないだけだ、と憤りを隠さない」

 

「避難指示が解かれても、家屋は震災で壊れ、畑は動物に荒らされたまま。ほぼ手つかずの森林など、除染も十分ではない。それに加えて、住民が不安視するのは医療が不十分なことだ」

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(田中一郎コメント)

 高齢者なら放射線被曝の影響も大したことはないから、放射能で汚染されたものは食えばいいし、空間線量が少々高くても放射能で汚染された地域で済めばいいのだ、と言わんばかりの高齢者への差別的・突き放し的な認識や言動が、昨今は目に余るような気がする。とんでもない話だ。高齢者もまた、人間である限り、放射線被曝は危険であり、特に恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)環境からは脱出しないと、近い将来、命が危ない。私は、白血病や放射性セシウムによる心筋症(心臓停止による突然死)をとても心配している。また、死に至らなくても、体調の慢性的不調が、一般老人以上にひどくなり、まさに生き地獄と化す可能性もある。私は、かような老人への事実上の放射線被曝強要論を他人事だと思って軽々に口にする風潮を、けしからん話だと思っている。

 

2.原発事故による健康被害賠償責任の放棄政策:放射性ヨウ素内部被ばく、線量推計に問題点、放医研「道半ば」認める(東京 2014.5.26

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014052602000135.html

 

(一部抜粋)

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東京電力福島第一原発事故による健康影響で、現状、最も心配されるのが甲状腺がんを誘発する放射性ヨウ素の内部被ばくだ。福島県は「影響は考えにくい」と主張し、政府は周知する。だが、根拠とする独立行政法人・放射線医学総合研究所(放医研)の被ばく線量の推計は、担当者が「道半ば」と認める頼りないものだ。政府は「正しい情報発信」を掲げるが、そう言い切れるのか-。

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(田中一郎コメント)

 地域住民の初期被ばくをわからないようにしたのは政府であり福島県庁である。その連中が、今度は「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈を数段重ねにして、初期被ばくは大したことはないという、あらかじめ決めてあった結論へと誘導し、従って「みなさま、放射能は事故直後も今も大したことはありません。ご安心して、(猛烈な放射能汚染の中に)お戻りください、ご帰還ください、戻られた方にはもれなくお金やプレゼントを差し上げます」と宣伝している。みんなで放射線被曝覚悟で猛烈な放射能汚染の中へ戻ることが、「県民一体となった復興への取組」なのだそうである。もしそれで健康被害が出たらどうなるか。もちろん自己責任。だって、あなたが選択した帰還でしょう、と突き放されることになっている。

 

 何故、原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府や、その手下になってしまった福島県庁が「初期被ばくは大したことはなかった」と、根拠に乏しいことを声を大にして宣伝しているか。一部のお人好しの人たちは、住民の懸念を払拭し、福島の復興を速め、被ばくへの正しい認識を持ってもらうためだと思い込んでいるようだが、それではまるで「さかさま」の認識だ。

 

 彼らの意図は次の3つ、つまり第一に、今現在、「福島県民健康調査」によって発見されている90人にものぼる子どもの甲状腺ガンの被害について、これを福島第1原発事故による放射能が原因であるということを一切認めず、従って、その健康被害の賠償・補償の責任も加害者・東京電力や事故責任者・国が負うことはない、という強い意思表示であること。

 

第二に、将来、甲状腺ガンを含む様々な健康被害が出たとしても、初期被ばくは大したことがなかったのだから、また、その後の放射能汚染も大したことがなかったのだから、それは福島第1原発事故とは無関係、だから賠償や補償の責任などありはしない、自己責任で対処してください、と言える将来状況を作るための布石であること(福島第1原発事故の放射能による健康被害の賠償・補償は、現在も将来も、絶対にしないという断固とした態度)、

 

 第三に、放射能や放射線被曝は自然界にもあるもので、考えすぎや恐れすぎは風評被害をもたらす極端な考えだ、という、これまたとんでもない大ウソを蔓延させるためのもの(上記で申し上げたように「放射線神話」の確立のため)。実際は、恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)は原理的に考えても非常に危険である。そもそも、放射線被曝や放射能が安全なら、声高に根拠の乏しいことを言わなくても、あるいは、事あるごとに、放射線被曝は大したことはない、などと言わなくてもいいはずだ。耳にたこができるくらいに繰り返し繰り返し、安全だ・安心だ・心配いらない・大丈夫だが繰り返され、放射線被曝や放射能への懸念を口に出すことさえはばかられるような雰囲気が作られていること自体、そうしたことが嘘八百で塗り固められていることを間接的に証明していると言える。多くの人々に納得感がないまま、不安や不信が表面化しないよう、権力的に押さえつけることに腐心しているということである。

 

 原子力ムラ・放射線ムラが支配する社会では、残念ながら、甘い考えの人々は彼らの「食い物」にされてしまうだろう。賠償・補償や再建支援から切り離され、孤独の中で原子力ムラ・放射線ムラの嘘八百の権威にしがみついたり、善意の頂点(支配権力)盲従主義で「安全・安心ムード」を体内化してしまう人たちは、やがて彼らの犠牲となり切り捨てられる運命にある。原発は絶対に過酷事故など起こさない、5重の壁で閉じ込められていて放射能が外に大量に出ることはない、という、あの「原発安全神話」を作り出していた連中が、今度は福島県の放射能汚染の安全・安心のセールスマンであることを忘れてはならないのだ。

 

 最後に、これまで何度も申しあげてきたことながら、福島第1原発事故後の賠償・補償と被害者への再建支援の在り方の原則を書いておきます。

 

● 賠償・補償・再建支援:5原則+α(同時代に生きる人間としての使命・倫理)

 賠償・補償・再建支援が全く不十分で出鱈目=21世紀最大の人権侵害事件、賠償・補償・再建支援がきちんとならないと被害者はいつまでも救われない。

 

(1)全ての被害者の全ての被害・損害が何の留保条件を付けられることなく全額賠償または原状復帰されること(逸失利益含む)

(2)全ての被害者の生活及び経営が再建されること(費用,段取り,その他の負担のすべてを加害者が負うこと)

(3)上記(2)の再建が確認できるまでの間,全ての被害者の生活及び経営を補償すること

(4)2011311日以降,上記の賠償・補償・再建費用が実払いされるまでの間,電気料金遅延にかかる「遅延損害金」と同利率(10%)の「遅延損害金」が被害者に支払われること

(5)悪質な交通事故被害の場合以上の慰謝料(迷惑料)が被害者に支払われること

(6)(+α)被害者の被害は「お金」に変えられないものも多い。その部分を加害者・東京電力(及び原発メーカー)や事故責任者・国が万全にフォローすること

早々

 

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