子どものガンは大人のガンとは違う : 被害者の切り捨て政策をはねのけよう
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
昨日、「美味しんぼ」の鼻血問題で「ふくしま集団疎開裁判」(支援の会)主催の緊急記者会見があり、福島から上京された原発事故被害者のママさんたちのこの問題に対するコメント等が披露されました。放射能や放射線被曝に対する不安さえ口にすることができない状況が作られ、また、下記に見るように、被ばく事実の矮小化・もみ消しと被害者の切り捨てのための布石がセットで、国際原子力マフィアの権威と政治力を借りながら着々と進められている中、記者会見では多くの批判と懸念が出されておりました。
また、数日前には、第15回「福島県民健康管理調査検討委員会」が開催され、子どもの甲状腺がん患者の数が(ほぼ確実な疑いも含めて)89件となり(前回の第14回の際は74人でした)、発見数の増加傾向は依然として止まる様子がありません。にもかかわらず、この検討委員会は、かたくなに「放射線被曝の影響は考えにくい、関係がない」などと、実証的科学的根拠もなく、頭ごなしに、福島第1原発事故による放射能や放射線被曝の影響を否定し続けています。
●「ふくしま集団疎開裁判」ブログ:緊急記者会見
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/05/blog-post_18.html
http://fukusima-sokai.blogspot.jp/
(同上録画)
●20140501 UPLAN【緊急記者会見】「美味しんぼ」の表現の自由抑圧に抗議する
https://www.youtube.com/watch?v=IDVWciGo2vQ
●20140521 UPLAN【官邸前抗議】「美味しんぼ」の表現の自由抑圧に抗議する
https://www.youtube.com/watch?v=eDFDeSp407Q
●「福島県民健康調査検討委員会」:第15回検討委員会
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-15.html
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/
● 国際原子力マフィア(または国際原子力ロビー)
原子力利権集団のうち、国内の集団や組織を「原子力ムラ・放射線ムラ」といい、海外の集団や組織を「国際原子力マフィア」(または「国際原子力ロビー」)と言うことが多いようです。具体的には、国際原子力機関(IAEA)、国際放射線防護委員会(ICRP)、「国連科学委員会(UNSCEAR)」、及び、原子力や放射線被曝については国際原子力機関(IAEA)に制圧されて御用化している世界保健機関(WHO)などです。これらは全て、原子力を推進するために存在していることを忘れてはいけませんし、従ってまた、放射能の危険性や放射線被曝の健康被害のことについて論じる場合の、彼らの「利益相反行為」に対しては、厳格に対応・対処しなければいけないのです。
ところで、こうした中で注目され、また大きな懸念を持たれている放射能汚染地域の子どもたちの甲状腺がんのことですが、昨今、私が手にした『小児がん』(中公新書)という本に興味深い記述がありましたので簡単にご紹介いたします。この本は2008年11月に発刊された一般向けの新書で、おそらくは小児がんを担当する医師や医学者にとっては、知っていて当たり前なことが書かれているものと思われますが、しかし、今現在、福島第1原発事故後の子どもたちの放射線被曝と健康状態が論じられる際には、ここに書かれていることが見向きもされていないように思われてなりません(その典型は、あの「だました」の山下俊一と、ロクでもない・信用できないと言われ続けている福島県立医科大学の鈴木真一です:いわゆる「イチイチ・コンビ」)。
以下、この本の興味深い部分を抜粋して、みなさまにご紹介申し上げたいと思います。少なくとも、子どものガンや甲状腺を担当する医者・医学者は、この新書に書かれていることと、現実に現下の福島県で起きていることとの関連性や事実認識・理解について、詳細に説明する義務があるのではないかと思われます。私たちのような医学・医療にドシロウトの者からこの新書の記載を見ますと、驚くことが多いのですが、しかし、こうした一般向けの親書に書かれるくらいのことであれば、専門家の医師や医学者にとっては常識的な事実であり認識であろうからです。しかし、これについて語る医師や医学者は、残念ながらほとんどいないのが現実です。
何故に、この国の医者や医学者は、この程度のことさえもきちんと説明しようとしないのでしょうか。鼻血問題では、うっとうしいくらいに雄弁な方々が、こと、この小児がんの基本的な特徴と現下の甲状腺がんの多数発見との関係については沈黙する、その「異常さ」。この沈黙する医者や医学者達にとっては「沈黙は金」なのかもしれませんが、福島第1原発事故で被害を受け、理不尽にも被ばくさせられた方々にとっては、医師や医学者の沈黙は、まるで汚染地獄という「地獄の釜」の中に、一人罪もなく突き落とされるに等しい過酷な仕打ちと受け止められるでしょう。それであなた達は、医師と言えるのか、医学者と言えるのか、ということです。
私は、この新書の記述を読んでみて、益々、今の「福島県民健康調査検討委員会」は、多発する子ども甲状腺がんについての認識や評価を矮小化し、福島第1原発事故の放射能汚染や放射線被曝との関係を意図的に切り離そうとしているように見えてきます。もし、そうではない、というのであれば、どなたか、合理的・整合的な説明をしていただきたいものです。もし説明ができないというのなら、大切な子どもの命と健康のことですから、一刻も早く、被ばく回避と治療対策に万全の手を打たなければならないはずです。
<別添PDFファイル:一部添付できませんでした>
(1)小児がん<1>(中公新書より)
(2)小児がん<2>(中公新書より)
(3)50mSv超の住民はいない:環境省専門家会議が骨子案(福島民報 2014.5.21)
(4)東電、「全損」の和解案保留(福島民報 2014.5.21)
●『小児がん チーム医療とトータル・ケア』(中公新書:細谷亮太/著 真部淳/著)
http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032164212&Action_id=121&Sza_id=C0
1.小児がんとはどのような病気か(以下、重要部分とみなした個所を抜粋します)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(別添PDFファイル:小児がん(1))
「大人のがんと小児がんの違い:わが国では一年間におよそ40万人もの人が、がんになります。このうち子どものがんは1%以下です。現在、小児科学会が子どもと規定し、診療の対象としているのは20歳未満で、そのなかでの発生数は年間およそ3000人ほどになります。子どもの人口1万人に1人強ぐらいの年間発症件数ですから、非常に稀な病気であることがわかります。数も違うのですが、その性格も同じではありません。大人のがんのほとんどは、粘膜や皮膚の表層から発生する上皮性の悪性腫瘍(病理学的に癌と呼びます)であるのに対し、子どものそれはほとんど(98%)、筋肉、骨、神経、血液などに由来し、病理学的に肉腫と言われるものなのです。」
「もう少し大人と子どものがんの相違を見てみましょう。(中略)まず第一に、小児がんは見つかったときにすでに80%が全身に広がってしまっています。一方、大人で診断時に進行性であるものは20%に過ぎません。」
「大人のがんに比べると、小児がんは進んでいても、また手術で全部の腫瘍を取り切れなくとも、(中略)小児がんの70~80%は治るのです。」
「小児がんの場合は成長、発育といった生理的な現象にともなう活発な細胞増殖の関与が疑われます。その証拠にリンパ組織の発育の著しい幼児期に急性リンパ性白血病が多く、骨の発育が盛んな思春期に骨肉腫が多発します。」
「それに対し、小児の悪性腫瘍のほとんどは肉腫ですから、はじめから微小転移があり、化学療法が発達するまで、治すのは無理な話でした。」
(別添PDFファイル:小児がん(2))
(小児がんの)「発生頻度は前にも記述しましたが、毎年、小児人口の一万人に一人くらいに起こるとされています。稀な病気ではありますが、生命にかかわる子どもの病気の中では常に最右翼に位置しています。ちなみに、1~14歳の子どもたちの死因の第一位は不慮の事故で約30%、小児がんが二位で15%です。」
「発生頻度と死亡者数は、完全とはとても言えない現在の日本の小児がん登録からも何とか見当をつけることはできるのですが、どの小児がんがその全体の中でどのような割合で発生するかについては、きわめて不確かな答えしか導き出すことができません。わが国では大阪が小児がん登録の先進的地域であり・・・・・」
「次に興味深いのは、男女の差です。ほとんどすべての小児がんは男児にやや多く発生します。唯一の例外が甲状腺がんで、これだけは圧倒的に女児に多発します。」
「妊娠、出生に関するものでは、流産の経験のある母親から生まれた子が二歳前に急性りンパ性白血病になる確率は、流産経験のない母親から生まれた子と比べると五倍高く、・・・・・」
「また、一般的に母親の年齢が高くなればなるほど、星状神経膠腫(こうしゅ)、急性リンパ性白血病が起こりやすいという報告もあります。」
「その他の妊娠中の胎児環境については、母親のアルコール摂取、職業的な化学物質への曝露が問題になります。主なものとして、母親の飲酒と急性骨髄性白血病(2.6倍から3倍)、父親の農薬への曝露とユーイング肉腫(6.1倍から8.8倍)などが報告されています。
「妊娠中の母親への薬剤投与のうち、以前よく切迫流産に使用されたジエチルスチルベステロールが時限爆弾のように作用して、生まれた女児に思春期になってから膣に明細胞がんと呼ばれる特殊な上皮性悪性腫瘍を発症させることが知られています。」
「母親がとくに妊娠中に診断用X線を多用され、かつ白血病の家族歴があった場合、白血病の発生率は10倍になるとも言われています。」
「出生後の環境要因としてよく言われるのは、放射線被曝、電磁波、感染症、それに化学物質です。低線量放射線被曝と甲状腺がんは有名で、ビキニの核実験のあとマーシャル群島で子どもたちに甲状腺がんが多発したことが知られています。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は上記の記述の中でも、最後の2つに特に強い印象を受けました。妊娠中の母親がX線診断を受けると、その子どもに白血病リスクが高まるというのなら、X線診断よりも強いエネルギーのガンマ線やベータ線あるいはアルファ線で被ばくをし、かつ、X線診断のように一時的な被ばくではなく、恒常的な被曝(外部被曝・内部被曝)であった場合には、そのリスクはより一段と高まると言っていいのではないでしょうか。
また、恒常的な低線量内部被曝と甲状腺がんの例で言えば、水爆実験後のビキニ諸島の子どもたちやチェルノブイリ原発事故後の旧ソ連の人たちに起きたことが、どうして福島県やそれ以外の都県の放射能汚染地域に住む子どもたちに起きないと断言できるのでしょうか。
私は、福島県のみならず、福島県以外の都県の子どもたちについても心配です。また、甲状腺がんのみならず、白血病などの他のがんを含む、さまざまな病気や健康障害のことも気になって仕方がありません。鼻血の多発もそうしたものの一つであって、今のままでの被ばく環境では危ないのではないのかと、不安が募るばかりです。今のまま、放射能汚染地域の子どもたちを放置しておいてはいけない、そう思っております。
2.被ばく事実の矮小化・もみ消しと被害者の切り捨てのための布石
(1)50mSv超の住民はいない:環境省専門家会議が骨子案(福島民報 2014.5.21)
環境省の専門家会議で「事故後初期の甲状腺被ばく線量について、基本的には県内で50ミリシーベルトを超える住民はいないなどとする住民の被ばく線量評価の骨子案が示された」と報じられています。この環境省の専門家会議とやら、いったい何の専門家を集めたのでしょう。ウソつきや詐欺師・ペテン師、それに無責任のプロでもかき集めてきたのでしょうか。
福島第1原発事故後、相当の期間にわたり、地域住民の被ばくの状態を調査することは、政府や福島県、その他関係当事者・責任者たちによって「封じ込まれ」あるいは「責任回避」され、「触らぬ神にたたりなし」のセンチメントで放棄されていました。ですから、現状では、初期被ばくの状況はわからない状態にあります。にもかかわらず、この専門家とやらの集団は、わからないことをいいことに(言い換えれば、明白な実証的な証拠が存在しないことをいいことに)、それを「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈の連鎖で、あらかじめ決めてある結論=「放射線被曝とは無関係、放射線被曝は心配するほどではない」、に導いていくのです。
いわば、事故の初動操作で放射能汚染や被ばくの計測の妨害、あるいはゴマカシや責任放棄を徹底して行い、その後は、何かとコストや費用のかかる放射線被曝とその被害を矮小化・歪曲し(因果関係を断ち切るのが最終目的)、そして下記に見るように賠償・補償もひねりつぶして被害者を切り捨てて行く、一方で、原子力は再び推進できる体制づくりにまい進する、そんな、悪の権化・悪の華のような国家的組織犯罪が、原子力翼賛体制の下で徐々に徐々に進められていくのです。自称科学者が似非科学者となり、更には、被害者切り捨てのための「悪魔の先導人」となっていくのです。およそ、放射能汚染や放射線被曝の被害のあるところでは、これまでもあまねくみられた現象の一つです。
●環境省_放射線健康管理 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html
(2)東電、「全損」の和解案保留(福島民報 2014.5.21)
「「原子力損害賠償紛争審査会」の指針に示されたもの以外には賠償責任はない」(そんなことは、「原子力損害賠償紛争審査会」自身が「違う」と言っている)などと言いながら、「原子力損害賠償紛争解決センター」が示した和解案を(一般的な対外コメントでは、センターの和解案を尊重する、などとリップサービスしながらも)受け入れようとはせず、ずるずると賠償・補償金の支払いを先延ばしする東京電力の態度は許しがたいものがあります。
この東京電力の態度は、第一に、申立人を経済的・精神的に疲弊させ、第二に、あわよくば申立人に賠償・補償請求をあきらめさせ、第三に、あるいは妥協させて金額を小さくする、そして第四に、更なる申立人が出てこないよう、見せしめ的に押さえつける、ためにしている「犯罪行為」とでもいうべきものです。私が許せないと思うのは、こうした状態がずっと続いているにもかかわらず、政府も「原子力損害賠償紛争審査会」も、関係機関も、何の抜本対策もとろうとはしないことです。みな、被害者に泣いてもらうことで、賠償・補償問題を解決すればいいと思っているのでしょうか。
チッソ水俣病で見られる今も続く国家犯罪行為が、その何十倍もの巨大スケールで開始されていると言えます。巨大な人権侵害事件が私たちの目の前で展開しています。同時代に生きるものとして、これにストップをかけることは、私は義務と言ってもいいのではないかと思います。他人の事だから関係ないではないのです。次はあなたの番かもしれません。
解決方法は簡単で、政府が東京電力に代わって、賠償・補償を立て替えればいいのです。支払いが遅れた分については、2011年3月11日にさかのぼって、電力料金支払遅延時と同じ利率(10%)の遅延損害金が上乗せされて支払われるべきです。そして、東京電力をいったん法的破綻処理・解体して、適切な業務遂行ができる体制に立て直しすればいいのです。原子力犯罪企業・犯罪者たちをのさばらせるな、福島第1原発事故による全ての被害者の全ての被害を、無条件に賠償・補償せよ、再建できるまで支援せよ、これがポイントです。
早々
« 5/20院内集会「秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて」報告 + 長野市の山菜が出荷制限 | トップページ | 前門の虎=放射能汚染、後門の狼=TPP : 日本の「食」が壊される »
「放射線被爆」カテゴリの記事
- (メール転送です) 低線量内部被曝の危険を人々から覆い隠すICRP学説の起源 他+アルファ(2015.05.06)
- 被ばく強要を「リスクとの折り合い」などと詐称して原子力ムラに寄り添う似非リベラル、他方で「邪悪権力」に勇気を奮って立ち向かう市場原理主義者(清水修二と古賀茂明)(2015.04.07)
- 誰のための個人情報保護法なのか+「青森県小児がん等がん調査事業の報告書」(2015.04.01)
- こんなことはあってはならない : 放射線の影響 話しづらい,子供心配でも、声をあげれば孤立する,物言えぬ雰囲気の中,行政は検査縮小の動き(3/11東京新聞記事より)(2015.03.12)
- 放射線被曝はマイクロRNAに注目すべき(NHKサイエンスゼロ 「がんも!老化も! 生命を操る マイクロRNA」より)+報道特集「沖縄で何が」+誰が何を証明すべきなのか 他(2015.03.08)
« 5/20院内集会「秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて」報告 + 長野市の山菜が出荷制限 | トップページ | 前門の虎=放射能汚染、後門の狼=TPP : 日本の「食」が壊される »


コメント