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2014年5月

2014年5月30日 (金)

(簡単な報告)「川内原発再稼働阻止院内交渉集会」と原子力「寄生」委員会の新人事(田中知を委員にするなんて、ご冗談でしょう)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

昨日、参議院議員会館で「川内原発再稼働阻止院内交渉集会 ~規制委の姿勢と川内原発の再稼働審査を問う~」が開催されました。別添PDFファイルは、その際の資料です。当日は、広瀬隆さん、向原祥隆さん(反原発かごしまネット)、山崎久隆さん(たんぽぽ舎)、後藤正志さんらが参加し、緊迫・白熱の政府交渉となりました。毎度毎度、結論を決めてかかっている原子力「寄生」庁の役人たちの、交渉の場における答弁には誠意や意義は感じられませんでしたが、多くの問題点を棚上げにしたまま、危険極まりない川内原発の再稼働を何とか強行しようとしている原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の出鱈目で狂気じみた姿勢は浮き彫りになったように思われます。(そもそも原子力「寄生」庁の役人の多くが、あの「ほあんいんぜんいんあほ」の元原子力安全保安院ですから、馬鹿みたいな話です)

 

以下、ごく簡単なコメントを付してご紹介申し上げますとともに、このほど新聞報道されております田中知(さとる)東京大学大学院教授を原子力「寄生」委員会の委員にする「トンデモ話」についても付記しておきます。なお、下記の記述は、全て私の判断で書いておりますことで、当日の質問をされた方々の発言そのものではありません。よろしくお願い申し上げます。

 

●川内原発再稼働阻止院内交渉集会 ~規制委の姿勢と川内原発の再稼働審査を問う

 http://saikadososhinet.sakura.ne.jp/ss/archives/5594

 

 <別添PDFファイル>

(1)川内原発再稼働阻止院内交渉集会(資料1)(2014529日)
「soshinet_rejime.pdf」をダウンロード

(2)川内原発再稼働阻止院内交渉集会(資料2)(2014529日)
「soshinet_rejime2.pdf」をダウンロード

(3)川内原発再稼働阻止院内交渉集会(資料3)(2014529日)
「soshinet_rejime3.pdf」をダウンロード

(4)川内原発 避難推計、30キロ圏外へ最長29時間(東京 2014.5.30

(5)田中氏「アウト」なのに、規制委の「中立」基準適用せず(東京 2014.5.30

 

 <特記事項>

1.地震について(広瀬隆さん、山崎さん、その他の方々より疑問・質問あり)

(1)活断層の長さと地震のマグニチュードの関係を示す「松田時彦」氏による「実証的な関係式」=「松田式」は、あくまで過去の地震をグラフにプロットして回帰直線を求めた、簡単にいえば「平均値」の直線だ。従って、たとえば(川内原発の)活断層の長さが10kmだった場合、松田式に従えば地震のマグニチュードは6.5となるけれど、実際の地震では、マグニチュード7.3(庄内地震)というものが起きていて、M6.5にとどまるという保障はどこにもない。

 

 M6.5とM7.3では、そのエネルギーの大きさは16倍も違うのであり(Mが0.2ちがうとエネルギーは倍になる)、こんな松田式をそのまま実際の原発・核燃料施設にあてはめて耐震計算をするというのはどう考えても危険である。本来は、活断層の長さに対して、最大地震マグニチュードをプロットした「最大値直線式」を使って活断層の長さと地震マグニチュードの関係をとらえていないといけないはずだ(松田時彦氏は2000年代に入ってから、自分は政府によって原発稼働のための口実として利用されたと憤っているという)。

 

(2)川内原発の場合は、最初、建設時には372ガルの最大地震想定だったものが、今現在の再稼働前には620ガルまで引き上げられた。しかし、原発の施設自体は、建設当初とどこがどう違うのか。単に老朽化が進んだだけであって、現存する建物が、そんな簡単に倍近い耐震度になろうはずがない。耐震工事をしたところで、あの複雑極まりない、地震には脆弱な配管だらけ・各種配線だらけの原発が、一気に耐震度をアップするなどと言うのは非常識な見方である。単に「耐震余裕があるに違いない」という根拠のない楽観論に立脚し、机上の空論で「最大限度の地震」の大きさを書類上で引き上げているだけではないか(福島第1原発事故では、空気圧によって作動する制御系の配管やコネクター部分の部品が地震で破損し、ベント装置その他の制御ができなくなった疑いが出ている)。

 

(3)鹿児島県議会のやり取りの中では(九州電力の説明)、マスコミ報道等で6月末には終わると言われている川内原発の改修工事は、実は津波対策と防火対策だけであるという。肝心の耐震強化については、基準地震動の引き上げに伴う原発施設の耐震度計算がまだ終わっておらず、さらにそこから耐震補強工事をするとなれば、相当の時間がかかるはず。今現状の審査状況はどうなっていて、今後のスケジュール見込みはどのような状況なのか。

 

(4)震源を特定しない地震の想定マグニチュード(M6.5)が小さすぎる。せめてM7.3(阪神大震災)並みに引き上げるとか、中越沖地震時の実際のガル数である2,300ガルまで引き上げる等の対応をすべきである。

 

(参考)新耐震指針による基準地震動の策定について-地震動評価手法の概要-(釜江克宏:京都大学原子炉実験所、原子力安全委員会専門委員)

https://www.google.co.jp/url?q=http://www1.city.matsue.shimane.jp/anzen/genshiryoku/matsuenogenshiryoku/purusamarukeikaku/godogakusyukai.data/1.pdf&sa=U&ei=5N6HU-26M4_r8AXCrYKAAQ&ved=0CCoQFjAC&usg=AFQjCNGsL39hoAYMAIJNaUYn1gMFI9K9Eg

 

(5)九州電力は、川内原発敷地内及びその周辺で、地層調査のためのボーリング調査を適正・適切に実施したのか。九州電力は、かつて川内原発建設時には、ボーリング調査で入手したサンプル土壌が、敷地のぜい弱性を示すものだったために、他の土地で掘り返して採取したサンプル土壌と差し替えるという信じがたいインチキをしていた会社である(当時国会でも大問題となったが原発建設は強行された)。どこまで九州電力のボーリング調査を監視しているのか。

 

2.日本の規制基準が「世界トップクラス」という嘘八百と原発の過酷事故対応について(後藤政志芝さん、その他の方々より疑問・質問あり)

(1)日本の規制基準が「世界トップクラス」というのは嘘八百で、たとえば海外の原発では義務付けされている「コアキャッチャー」をはじめ、過酷事故拡大防止のための設備基準が日本では取り入れられていない他、アメリカなどでは当然視されている過酷事故時の地域住民の避難計画の実効性などが、現場に丸投げされていて、知らぬ存ぜぬの無責任放置されている(別添PDFファイルの資料を参照)。

 

(2)今の規制基準では、過酷事故時の水素爆発や水蒸気爆発(灼熱の溶融核燃料が冷水に触れた時に爆発的な反応を示す)は防げない。水素爆発を防ぐ「イグナイター」はオモチャのようなもの(格納容器内で部分的な水素燃焼を誘発するための点火プラグ)だし、炉心溶融時の格納容器内の水素濃度の見通しも楽観的すぎる=想定外が起きる可能性あり。溶融燃料が溶け落ちた際の対策は格納容器内で水シャワーをするだけのお粗末極まりない対策だ。また、福島第1原発で見られた3号機の使用済み核燃料の臨海爆発の可能性とその危険性も顧みられていない。肝心な過酷事故対策は対策になっていない手抜きそのもの。たとえば、水素爆発防止のために、加圧水型についても沸騰水型と同様に、格納容器内へ窒素ガスを入れることを義務付けすべきである(現状は、加圧水型は格納容器が大きいから、水素爆発まで時間がかかるので、窒素ガス注入は不要とされている)。

 

3.火山リスクについて(阪上武さん、その他の方々より疑問・質問あり)

(1)田中俊一原子力「寄生」委員長は、先般の参議院での答弁で、①桜島噴火のような通常レベルの火山噴火は、これまでの観察知見では予知できない、と発言し、続けて、②カルデラ大噴火のような巨大噴火なら、その予知ができる、かのごとき苦し紛れの答弁を行った。その根拠はどこにあるのか。

 

(2)火山噴火予知の根拠事例として九州電力が持ち出してきたのが「ギリシャ・サントリー島のミノア火山」だが、こんな地球の反対側にある一つの火山の事例だけでもって、鹿児島の複数のカルデラ火山の噴火予知ができるなどという結論は出せないはずだ。少なくとも、日本国内の複数のカルデラ火山について、その噴火予知の調査をさせるのか(させるのなら、調査結果が出るまで、かなり長い時間がかかる:数年~数十年)。

 

(3)にもかかわらず、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、川内原発を含む原発・核燃料施設の火山リスクについては、その噴火が予知可能性あることを前提に、再稼働審査の対象からアプリオリにはずし、再稼働させて後に(火山リスクの)専門家会議を設置して、噴火予知モニタリングの結果評価に限定した審査をさせようとしている。これはとんでもないインチキ行為である。

 

 そもそも、原子力「寄生」委員会自身が、カルデラ大噴火は予知できる可能性もあるが、できない場合もある、ことを認めており、予知できない可能性があるにもかかわらず、予知を前提にした火山リスク対策だけで事を済ませるということは、いったいどういうことか。わずか数千年から数万年前のカルデラ噴火で、川内原発のすぐそばまで大量の火砕流が来ていた痕跡まで残っているというのに、このノーテンキで危機感ゼロの対応は許されるものではない。

 

● ギリシャのサントリー島:ミノア火山

https://www.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%80%80%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%B3%B6%E3%80%80%E3%83%9F%E3%83%8E%E3%82%A2%E7%81%AB%E5%B1%B1&gbv=2&sa=X&oi=image_result_group&ei=kuSHU8uHEtbt8AXQlILgCQ&ved=0CDEQsAQ

 

4.川内原発に係る地域防災計画・避難計画について

 全くの出鱈目で、地元自治体に丸投げ。地元自治体は、県も立地自治体も「安全神話」に胡坐をかいて、まともに計画を検討しようとしていない(別添PDFファイルの本日付東京新聞などを参照)

 

(別添PDFファイル)川内原発 避難推計、30キロ圏外へ最長29時間(東京 2014.5.30

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014053002000136.html

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014052901001524.html

http://blogs.yahoo.co.jp/fukushima_nuclear_disaster_news/34400188.html

 

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 <追>原子力「寄生」委員会の委員2人(島崎邦彦、大島賢三)の後任問題(田中知を委員にするなんて、ご冗談でしょう)

 

● 電力各社、再稼働審査の前進に期待 規制委慎重派ら2人交代へ:日本経済新聞

 http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2701L_X20C14A5EA2000/

 

政府は27日、9月に任期が切れる原子力規制委員会の委員2人について、交代させる国会同意人事案を衆参両院に示した。地震学者の島崎邦彦(68)、元外交官の大島賢三(71)の両委員に代わり、日本原子力学会の元会長である田中知東京大学教授(64)と地質学者の石渡明東北大学教授(61)を起用する。再任を求める声も出るなか、安全審査に特に厳しい姿勢を貫いてきた委員の交代で、原発の再稼働に向けた審査が前に進むと電力会社は期待する。

 

● たんぽぽ舎メルマガ(2014.5.28)より

┏┓

┗■1.原子力規制委人事を原発推進者(田中知)へ変更

 |  安倍自民党が本音=旧体制へ逆戻り

 └──── 広瀬 隆

 

 原子力規制委員会の委員の田中知が候補というのは、由々しき問題です。向こう側の反撃が予想通り原子力規制委員会の人事という形で始まりました。原子力規制委員に田中知(さとる)だと・・・おそろしいことになりそうです。

 あの人物は、1996年2月29日に再処理工場安全性チェック検討会「主査」として安全の結論を提出した男だ。つまり阪神大震災直後に科学技術庁と組んで、国内で最も危険な六ヶ所再処理工場のゴーサインを出した重大な犯罪者です。

 そして福島第一原発事故のあと、2011年9月12日に設立された原子力損害賠償支援機構の運営委員をつとめ、電力会社の走狗として立ち働いてきた人間です。201311月5日にその原子力損害賠償支援機構の運営委員会「委員長代理」に再任されて、福島県民の救済を遅らせ、被曝を助長してきた親分です。それが、新聞のどこにも書かれていません。

 

(別添PDFファイル)田中氏「アウト」なのに、規制委の「中立」基準適用せず(東京 2014.5.30

http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7703538.html

 

規制委員候補に電力側から報酬 田中教授、50万円超(527日、共同)

http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014052701002272.html

 

原子力規制委 新委員に2人(527日、NHK、動画あり)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140527/k10014763621000.html

 

電力会社側から研究費 最高3270万円 規制委審査会6人(523日、東京)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014052302000103.html

早々

 

 

2014年5月29日 (木)

食べものの放射能汚染は終わってはいない

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部しか添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、昨今の飲食品の放射能汚染に関する情報です。簡単なコメントを付してお送りします。福島第1原発事故と、その放射能による環境汚染をなかったことにしたい、従ってまた、農林水産関連の生産者や事業者への賠償・補償や再建支援の費用も絞り込んで極限まで小さくしたい、政府や原子力ムラ・放射線ムラの、そんな隠された意図が透けて見えています。

 

 しかし、愚かにも、福島県庁をはじめ、少なくない関係者が、放射能の汚染をしっかりと調べること、調べていないものは流通させたり口にしたりしてはいけないこと、明らかに汚染が激しい地域での産業活動は、農林水産業や食品産業も含めてしないようにすることが、あたかも震災復興の妨げであるかのごとき認識をし、原発事故を引き起こして隠ぺい工作に明け暮れている政府や原子力ムラ・放射線ムラの口先「応援」や美辞麗句に翻弄されているようです。震災からの復興のためには、何よりも原発震災の被害を受けた方々が、将来の健康被害の懸念を持たなくてすむよう、放射能汚染や放射線被曝を極力回避し、何よりも「人間としての復興」「人間生活の復興」「人間の復興」を確かなものにしなければならないのに、その最も基本的なところが、いずこかへ置き去りにされてしまっているように思えます。

 

 これまで世界の様々な地域で、原子力施設が大きな事故を引き起こし、深刻な放射能汚染をもたらしましたが、その際、被害を受けた方々は、常に時の支配権力に押さえつけられ、あるいは騙され、あるいは翻弄され、そして切り捨てられてきました。福島第1原発事故の場合も、そうした重大な人権侵害の中心的役割を果たしてきた、国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)、あるいは国連科学委員会(UNSCEAR)などの、いわゆる国際原子力マフィアと呼ばれる組織の人達(原子力ムラ・放射線ムラの国際版)が、既に福島へ乗り込んできており、同じようなことが起きそうな気配になっています。

 

 従ってまた、放射能汚染や放射線被曝について甘い認識の人間は、過去の経験から言って、遅かれ早かれ原子力ムラ・放射線ムラの人間たちに「利用」され、「食いもの」にされ、そして最後は健康被害を受けて切り捨てられる運命にあります。私たちは、そうした過去の教訓をしっかりと意識した上で、福島県をはじめ、東日本の海と山の環境を放射能で汚染させた事件・事故の張本人たちに、しっかりとその責任を取らせ、福島第1原発事故による健康被害を一人たりとも出さない、という固い決意で、事故後の様々なことに取り組む必要があるのです。そうしてこそ初めて、原発震災に見舞われた被災地に「本物の復興」=「人間の復興」をもたらすことができると言えるでしょう。インチキ説明を見抜く目を持ち、放射能汚染と放射線被曝の危険性に厳しく対処いたしましょう。それがまた、同じようなことが起きることを防ぐ最も有効な方法でもあるのです。食べものの放射能汚染の問題は、まさにこうしたことの中心的問題と言っていいでしょう。

 

 <別添PDFファイル>

(1)ユメカサゴの警句(『週刊金曜日 2014.5.16』)

(2)4月から、食品の放射性セシウム検査対象が3割減に(安田節子 『いのちの講座 第86 2014.3.24』)
「syokuhinkensa_syukusyou.pdf」をダウンロード

(3)減らぬ湖沼セシウム(東京 2014.5.12

(4)セシウム検査で判明した子どもの体内被曝の深刻度(『週刊朝日 2013.10.4』)

(5)ホシガレイ 相馬に放流他(福島民報 2014.5.10他)

(6)厚生労働省:食品中の放射性ストロンチウム及びプルトニウムの測定結果(平成24年9・10月、平成25年2・3月調査分)

(7)昨今の食品の出荷制限(放射性セシウム)

 

1.ユメカサゴの警句(『週刊金曜日 2014.5.16』)

 2014年2月27日、ついこの間のことですが、いわき市沖で試験操業中の底引き網に入った「ゆめかさご」という底魚に放射性セシウム規制値を超える放射能汚染が発見されました。県漁連はただちにユメカサゴの出荷を停止しました。この『週刊金曜日』の記事からは、次のようなことが分かります。

 

●「ゆめかさご」(赤くてとてもきれいな、いとしい魚です) 
https://www.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E3%83%A6%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%82%B5%E3%82%B4&gbv=2&sa=X&oi=image_result_group&ei=oJKGU5ngD4nz8QWZ44KgAQ&ved=0CCQQsAQ

 

(1)魚介類の放射性セシウム検査は、いわゆる「可食部」だけを検査にかけている。しかし、これでは魚介類の汚染状況は正確にはわからない。基本的には、部位ごと、内臓ごとに検査をする必要がある。また、食卓に上った魚について、「可食部」以外は何の検査もされていない危険なまま、であることも知っておいた方がいいだろう(魚介類の内臓や骨を食べるのは危ない:例 イカの内臓の塩辛、アワビの肝=これらは放射性銀汚染の可能性あり)。

 

(2)放射性セシウム汚染のために出荷規制を受けている魚は、金額ベースで言うと、全体の約40%を占めている。意外に少ない。

 

(3)いったいいかほどのサンプル数を検査しているのか、よくわからない。また、放射性セシウム以外の放射性核種=特に危険きわまる放射性ストロンチウムやプルトニウム・ウランなどのα核種、などについては、全く関心がない様子。福島第1原発から炉心を冷却した猛烈な放射能汚染水が日々海に流れ出ているというのに、放射性セシウムだけをわずかばかり検査して「安全だ~、安心だ~」などと声高に言う人間の心根が全く理解できない。様々な放射性核種を猛烈に含んだ放射能汚染水は、原発の岸壁や港湾からだけでなく、海底から「湧水」のごとく海中に湧き出ていることも忘れてはならない。

 

(4)福島県庁の人間曰く「ようやく(放射能汚染の)終結宣言ができるかな」と言うところまで来ていたんです(なのに、規制値を超える”ゆめかさご”が見つかってしまって残念だ)」という認識だそうである。私には全く信じがたい発言であり、かような人間が検査などをしている魚介類は、とてもじゃないが口にはできないな、という印象だ。

 

(5)(それから『週刊金曜日』の記事とは直接関係しないが)試験操業で獲れる魚介類の放射能検査については、第三者性というか、いわゆる「利益相反」の排除が不十分なように思われる。試験操業を強引に進める漁業者団体も、それを支援・応援する地元自治体(福島県庁を含む)も、何とかこの試験操業を成功させて拡大していきたいという思いを強く持っているので、そういうところが漁獲物の放射能検査までを差配したり実施したるすることは、いわゆる「利益相反行為」になる。市民測定所などなど、この試験操業に直接利害関係がない組織や団体、人間の手で、漁獲物の放射能検査が実施される必要がある。サンプルの取り方やサンプル数、サンプルにする魚介類・海藻類の種類などの妥当性、あるいは検査のやり方・測定の仕方など、漁獲物の汚染状況が、客観的に、適正・適切に、多面的に浮き彫りになるようなやり方で放射能汚染検査が行われ、かつそれが全て公開され透明な状態に置かれて初めて、客観的な安全性が確認されることになる。

 

 このことに関連するが、少し前に、放射能汚染への懸念を理由に日本産の水産物の輸入制限を行っている韓国の代表団が福島県の試験操業と、その漁獲物の検査状況を視察に福島にやってきた。彼らは日本における試験操業の漁獲物検査の実態を見て、お粗末である、という認識を示したようだとの報道がなされていた。上記のようなことであれば、さもありなんである。

 

(6)その他、汚染がひどくて検査にひっかかり、廃棄処分とされた漁獲物は、ほんとうにきちんと廃棄処分されているのかどうか(食品のみならず、肥料や飼料などとしてヤミ流通するようなことはないと断言できるのか)など、試験操業とその検査と安全性確保の問題では、まだまだ不透明なことも少なくない。

 

2.4月から、食品の放射性セシウム検査対象が3割減に(安田節子 『いのちの講座 第86 2014.3.24』)

 昨年に続いて、年度替わりの3月に、飲食品の検査方針の見直しを行い、引き続き、検査対象をどんどん少なくしていっているようです。やるべきことと逆さまなことを、ただただ一刻も早く放射能の検査をやめてしまいたい=飲食の放射能汚染をないことにしたい一心で、厚生労働省の役人たちは動いているようです。下記サイト、及び別添PDFファイルの安田節子さんのコメントをご覧ください。

 

 言っておきますが、厚生労働省の役人諸君、あなた達やあなた達の子どもたちもまた、このザル検査体制の下で流通する(放射能に汚染されている可能性のある)飲食品を、多かれ少なかれ食べることになるのですよ。どこのどなたに遠慮して、かような愚かなことをしているのかは存じませぬが、こんなことをしていると、まもなく、あなた方も自業自得の事態となりますよ。消費者・国民は大変な迷惑と、内部被曝の危険性にさらされています。

 

●食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正について |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041107.html

 

3.減らぬ湖沼セシウム(東京 2014.5.12

 http://lituum.exblog.jp/22679222/

 http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7675903.html

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2014051202000144.html

 

 淡水魚は危険です。放射性セシウムを体内に蓄積してしまっています。食品表示など信頼できませんから、東日本産ではない、などと表示されていても、買って食べない方がいいでしょう。外食や、川釣りが趣味の方も、川魚はやめておきましょう。今や日本全国どこでも危険です。キノコ・山菜、川魚、家畜の内臓、及び福島・宮城・茨城の沿岸・沖合で獲れる魚介類・海藻類などの水産物(但し、流通している食品や食材のほんとうの原産地を見分けるのは容易ではない)、及びこれらの加工食品は、四大放射能汚染危険物です。新「買ってはいけない・食べてはいけない」です。

 

4.セシウム検査で判明した子どもの体内被曝の深刻度(『週刊朝日 2013.10.4』)

 少し前のレポートですが、念のために添付しておきます。いい加減な放射能汚染管理、放射線被曝防護、飲食品へのずさんな管理姿勢の犠牲は、つねに真っ先に子どもたちであることを忘れてはなりません。福島県やその他の一部の自治体などは、子どもを「だし」に使って(たとえば学校給食での県産品の使用押し付け)、県産品その他の「安全性アピール」をしているようですが、その安全性の根拠はまことにお寒い限りです。

 

5.ホシガレイ 相馬に放流他(福島民報 2014.5.10他)

 飲食品の放射能汚染に対する「お気楽」な、警戒感に乏しい、危ない認識を示す記事を4つばかりご紹介します。福島県沿岸・沖合で獲れた魚介類が、いよいよ本格的に流通してきそうです。どこまで産地表示が守られるのか、??? です。また、そもそも、福島県沖合で獲れる魚介類は、すべて福島県の指定された漁港に水揚げされているのでしょうか? 他県の漁船がやってきて、福島県沖で操業・漁獲して、それを福島県以外の港に水揚げして、福島県以外の産品だと表示して、売られていくことはないのでしょうか? 誰が、こうしたことは絶対にない、と保障してくれるのでしょう。(福島県沖は、しばらく漁業禁止だったために、今現在は他の海域よりもたくさん魚介類がとれるので、放置すると、他県の漁船が入り込んでこないとも限らない)

 

(参考)水産庁は下記のような「依頼文書」を漁業界・水産食品業界宛に出していますが、その実効性については大いに疑問です。何故なら、ここに書かれていることは、あくまで「お願い」=「ガイドライン」であって、従わなくても、何の罰則もペナルティもないからです。

 

● 水産庁-東日本太平洋における生産水域名の表示に関するご協力のお願いについて

 http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/hyouzi/1111hyouji.html

 

 福島県の沿岸・沖合での漁業を厳しく禁止し、それによって被害を受ける漁業者及び関係業者に対して万全の賠償・補償をすることが、本来なすべきことです。茨城県沖や宮城県沖(牡鹿半島より以南)についても同様です。そして、国際的な海洋生態系調査団を大規模に構成し、海の放射能汚染の実態調査を中長期的に実施すべきです。

 

(1)ホシガレイ 相馬に放流(福島民報 2014.5.10

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014051015565

 

(2)野菜・果実全て基準以下(福島民報 2015.5.11

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014051115584

(流通する飲食品の、ほんのわずかの種類の、そのまたほんのわずかな量を、利益相反行為のような形で、放射性セシウムだけを調べて、あたかも安全が確認されたかのごとき報道はやめていただきたいものです)

 

(3)「常磐物」復活を歓迎:試験操業魚介類、築地で初の取引(福島民報 2014.5.10

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014051015575

 

(4)(5月)19日からアワビ試験操業、いわき沿岸部、29日に初出荷(福島民報 2014.5.10

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014051015574

 

6.厚生労働省:食品中の放射性ストロンチウム及びプルトニウムの測定結果(平成24年9・10月、平成25年2・3月調査分)

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000046549.html

 

 下記のような測定方法では、放射性ストロンチウムもプルトニウムも、見える形では、その汚染状況が分からなくなるのも無理はありません。薄めて、薄めて、更に薄めて、わからないようにして、それでもって測定して、「はい、わずかな量でした、ご心配なく」と、やっているようなものだからです。報告書の中にある「放射能は事故前と同水準」なとという表現もいただけません。わずかな量であっても、放射性ストロンチウムなどは体内に入りこむと、骨などに濃縮して蓄積し、ガンや白血病を引き起こすし、体内のカルシウム成分をもつ様々な有益物(酵素など)のカルシウムと入れ替わってしまって、やっかいな病気や健康被害をもたらす可能性も否定できないのです。

 

 放射性ストロンチウムもプルトニウムも、汚染されていそうな物や所に狙いを付けて、しっかり検査するのでなければ意味がありません。(例えば、放射性ストロンチウムならば、骨や歯に蓄積することが分かっているのですから、家畜の骨や野生生物の骨、魚介類の骨や貝殻などを徹底して調べたらどうでしょう。また、プルトニウムはα核種で極めて危険、かつ重たいので、福島第1原発周辺の野生生物(動植物)や海洋生物(特に底魚や定着生物)を調べてみることです。こんな程度のことは、私のようなど素人でもわかることで、この厚生労働省の馬鹿役人たちは、いったい何をしているのでしょうか。

 

(上記の厚生労働省サイトから抜粋)

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○測定方法

<1>平成24年9・10月及び平成25年2・3月に、各調査対象地域のスーパーマーケット等で市販された食品を購入した(以下、「調査A」及び「調査B」という)。なお、購入に当たって、可能な限り地元産品あるい近隣産品となるよう配慮した。

 

<2>購入した食品をそのままの状態、あるいは必要に応じて調理した後、食品摂取量の地域別平均の分量に従って合計14の食品群に分別し食品群ごとに混合・均一化したものをMB試料とした。

 

<3><2>で作製 したMB試料のうち、放射性セシウム(Cs -134Cs -137の合計)濃度が0.5 Bqkg 以上となった29 試料(調査A:17 試料 、調査B:12 試料)全てについて、放射性ストロンチウム(ストロンチウム(Sr -90)及びプルトニウム(Pu -238Pu -239 240)の濃度を測定した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

7.(日本からの輸出食品に対する)諸外国・地域の規制措置(平成26年5月23日現在):農林水産省HPより

 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kisei_all_140523.pdf

 

 まだまだ諸外国は、日本産の農林水産物や飲食品に対して、厳しい目で見ています。

 

(参考)農林水産省-東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応

 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html

 

8.昨今の食品の出荷制限(放射性セシウム)

 山菜やキノコ類に放射性セシウムが出ています。食べないように致しましょう。キノコは日本全国どこでも危険です。山菜は、西は長野県(野沢温泉まで危ない)、東は青森県までが、出荷制限レベルの放射性セシウムが検出されています。キノコ・山菜は、最も信頼が置ける天然の「環境放射能のモニタリング」装置です。出荷制限が出たら、その地域は放射能汚染地帯だと認識する必要があります。国や自治体が行っている環境モニタリングよりも、よほど信頼が置けます。

 

●原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の設定及び解除について |報道発表資料|厚生労働省

 (以下、直近の分のURLだけを並べておきます)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000043501.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000047100.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000045886.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000046147.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044967.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000045938.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000045087.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044828.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000045235.html

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044590.html

 

*(5/28)原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の設定及び解除について |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000047100.html

 

 本日、原子力災害対策本部は、昨日までの検査結果等から、長野県及び福島県に対し、以下について、出荷制限の設定又は解除を指示しました。

(1)出荷制限の設定

 ・長野県 中野市 ( なかのし ) 及び 野沢温泉村 ( のざわおんせんむら ) で産出されたコシアブラ

(2)出荷制限の解除

 ・福島県沖※1で漁獲された ユメカサゴ

 

 <参考>飲食品の残留放射能検査結果

●厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000046898.html

 

 毎週1回、下記の報道発表サイトに掲示されます。

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/

(2014年4月までは毎日だったのに、5月からは1週間まとめて1回公表という形に「手抜き」されました)

 

●農林水産省

(1)林野庁-きのこ・山菜等の放射性物質の検査結果について

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/kensakekka.html

 

(2)水産物

 http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html

 

(3)農林水産省(このサイトはあまりよくない:見づらい・遅い)

 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/index.html

早々

 

 

2014年5月27日 (火)

脱原発脱被曝バック・ナンバー(2)(2013年12月~2014年4月)

バック・ナンバー

201312月~20144月)

 

(これまで皆さまにお配りしたレポートのバック・ナンバーです。私の個人ブログ「いちろうちゃんのブログ」にアップしておりますので、ご参照いただけると幸いです)

 

<「いちろうちゃんのブログ」>

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/

(バック・ナンバーは画面の右下にあります:直近もの+月別)

 

1.(山本太郎参議院議員による)質問主意書と政府答弁(放射能汚染と被ばくをめぐって)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-e78a.html

 

2.シイタケやキノコ・山菜の販売不振=経営危機は、農林水産省のずさんで無責任なキノコ・山菜及び原木・培土管理がその原因である  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-b52f.html

 

3.除染という「やるやる詐欺」 いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-a6e8.html

 

4.尿検査の結果を過小評価・矮小化してはならない:国は被ばく健康管理のための総合的なワンストップ検査体制を早く確立せよ(岩波月刊誌『科学』掲載論文より  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-2f42.html

 

5.内部被曝のメカニズム(1):生物学的半減期 (長山淳哉著 『胎児と乳児の内部被ばく: 国際放射線防護委員会のカラクリ』より)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-cc7b.html

 

6.内部被曝のメカニズム(2):ICRPによる内部被曝線量の計算手順 (長山淳哉著 『胎児と乳児の内部被ばく: 国際放射線防護委員会のカラクリ』より) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-0b4f.html

 

7.一般担保付社債があるから、東京電力を破たん処理すると、被害者の損害賠償請求権に迷惑がかかる、というのは嘘八百だ  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/2014224-bd77.html

 

8.食べものの放射能汚染:子どもたちまで「出し」にして放射能汚染物を商売に使う日本の食品産業の「罰あたり」  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-ebc4.html

 

9.福島第1原発事故に伴う初期被ばくに関する私の考え方  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-c825.html

 

10.(福島第1原発の)放射能汚染水は高レベル、(東京電力や政府・経産省・規制委の)汚染水管理は低レベル  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/1-497a.html

 

11.「悪魔の施策:フクシマ・エートス」の教祖=ジャック・ロシャールへの「ちょうちん」インタビュー記事を掲載した日本のマスごみ  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-76da.html

 

12.原発推進からくり人形  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-5813.html

 

13.原発推進からくり人形(2) :九州電力の王国(朝日新聞記事より)と「もんじゅ」ハッタリ延命計画  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-a2e7.html

 

14.昨日(3/12)の報道ステーションを見て : (1)「7q11染色体」を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、(2)私の感想  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-f9c8.html

 

15.人工放射能の危険性を論じる際に自然放射能を持ちだすな(「そんなのカンケーネー」)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-f9ac.html

 

16.政治参加のための市民ネットワークを始めます:みなさま、ぜひ。ご参加ください  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-c5b2.html

 

17.第14回「福島県民健康管理調査検討委員会」(201427日):子どもの甲状腺検査の結果  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/14201427-8f29.html

 

18.(これまでの脱原発市民運動・社会運動と) 小泉・細川グループとの「脱原発」連携について  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-0261.html

 

19.バイパス方式だろうが、何だろうが、放射能汚染水を海へ捨てることは許されない  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-8baf.html

 

20.東京電力ほめごろし : またやってるよ、この会社、立派な会社やなあ~、ええ会社やなあ~、ほんまに いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-08ca.html

 

21.福島原発事故の原因もわからずに、原発を再稼働していいのか(1)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-635d.html

 

22.「脱原発」の民意を踏みにじったエネルギー計画を決めたのは自民党・公明党と安倍政権である=2016年国政選挙で「脱原発一揆」を!!  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/2016-176a.html

 

 もうひとつの「集団的自衛権」(伊勢崎賢治(東京外語大教授)インタビューより)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-4ffb.html

 

 虚構の「アベノミクス」:「何のための「負担増」か?」(アベノミクスの1年とこれから)(岩波月刊誌『世界 2014.3』の山家悠紀夫氏論文より)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/1-20143-f1a2.html

 

 日豪EPAとTPP=国際経済交渉の体裁をとった愚か極まる外国政府・大資本ご機嫌取り政策=その犠牲者は日本農業と日本国民  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-fe67.html

 

 日豪EPAには「秘密条項」があった=5年後に更なる譲歩へ向けて見直しだそうだ  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-74e2.html

 

●(ネオ・ニコチノイド系)農薬の残留基準緩和に待ったがかかった いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-9bbf.html

 

 『海をよみがえらせる(諫早湾の再生から考える)』(岩波ブックレットより)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-f685.html

甲状腺被ばく回避のための安定ヨウ素剤配布説明会に見る原子力「寄生」委員会のでたらめ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、数日前(5/24)の朝日新聞記事で、このほど原子力「寄生」委員会が安定ヨウ素剤の配布に関する模擬の住民説明会を開催した旨の報道がなされています。この記事を見ても、その出鱈目さ加減が浮き彫りになっていますので、下記にごく簡単に問題点を列記しておきます。

 

 福島第1原発事故では、原発から60km圏内にある福島市や県北の市町村も高濃度の放射能に汚染されてしまいましたし、事故当初の放射性ヨウ素のプルームは、事故原発から遠く離れた東京などにも流れてきました。にもかかわらず、今回の原子力「寄生」委員会が実施した模擬住民説明会は、原発から半径5km圏内の住民を想定しているというのですから笑止千万です。

 

 原発から5km圏内をPAZ(予防的措置範囲)などという、もっともらしい名前を付けて、意味もなく「地域分断」のための線引きを行い、その狭い範囲内に即時避難や初期防災対策を絞り込もうという意図が見え隠れしています。笑止千万を超えて、激しい憤りと恐怖を感じます。こんな程度のことで、こんな狭い地域の範囲内で、どうして原発の過酷事故への対応・対策ができるでしょうか。安定ヨウ素剤は、およそ放射性ヨウ素のプルームが飛んでいく可能性のある地域にはすべて必要です。それを何故、原子力「寄生」委員会も政府も対応しようとはしないのでしょうか。根本的に彼らがやっていることが、原発再稼働を安上がりに簡便に進めていくための「方便対策」であり、アリバイ行為であることを示しているのです。そこでは、地域住民や有権者・国民・市民の命と健康のことなど、二の次にすぎないのです。

 

(参考)【再改訂版】PAZ・UPZ・PPAの意味|原発隣接地帯から:脱原発を考えるブログ

 http://fkuoka.blog.fc2.com/blog-entry-179.html

 

 <別添PDFファイル>

● ヨウ素剤配布、課題山積、規制委、原発事故備え模擬説明会(朝日 2014.5.24

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11152488.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 原発事故時の被曝(ひばく)を防ぐため、事前に住民に配ることになった安定ヨウ素剤について原子力規制委員会は23日、配る方法を自治体職員に示す模擬の住民説明会を開いた。被曝を防ぐには適切なタイミングで飲まなければならないが、どう説明して配るのかは手探りだ。再稼働に向けた審査が進むなか、自治体の不安は根強い。

 

 東京都内で開かれた模擬説明会には、54自治体の職員125人が参加。原子力規制庁や自治体の職員が住民や医師、薬剤師に扮し、問診やヨウ素剤の手渡しを再現した。審査が最も進む九州電力川内原発がある鹿児島県の担当者は「参考になったが、地元には高齢者が多く問診にはもっと時間がかかる」と感想を漏らした。説明会は6月から順次開き、ヨウ素剤は7月に配る予定だ。本来は同時配布が原則だが「農繁期でもあり、長く待たせられない。このやり方で配るしかない」。

 

 ヨウ素剤は、放射性ヨウ素が甲状腺に集まってがんを引き起こすのを防ぐため、放射線を出さないヨウ素であらかじめ甲状腺を満たして被曝を防ぐのが目的。以前は副作用のおそれなどから事故時に限って配ることになっていたが、昨年の指針改定で原発から5キロ圏内の住民には事前配布することになった。

 

 説明会では、住民がシートに病歴などを記入。注意点を聞いたうえで、医師が処方したヨウ素剤と受領書の控えを受け取る。規制委は手順書を自治体に示したが、より詳細な説明を求める声が上がっていた。

 

 自治体の悩みは尽きない。ヨウ素剤は3年で更新するが、その間の保管方法は住民に任される。更新方法や再度の説明会の有無、転入出に伴う配布や回収についても定まっていない。5~30キロ圏は事故時に配る。旅行者など一時的に滞在している人も把握し、配らねばならない。地震などで道路が寸断された場合の配布ルートや、医師や薬剤師の確保も課題で、22日にあった原発立地自治体の会合でも、規制庁の担当者に懸念が寄せられた。

 

 朝日新聞の2月のアンケートでも、原発周辺の全国155自治体のうち79の首長が、避難計画でヨウ素剤の扱いが課題になっていると回答。「計画と現実には大きな隔たりがある」といった声が出た。規制庁は「細部は地域事情を知る自治体に判断してもらう」としている。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 <問題点>

1.安定ヨウ素剤の事前配布の地域範囲が狭すぎる:100km圏を超えてもっと広範囲で事前配布を行え。また、原発過酷事故時において、安定ヨウ素剤服用よる甲状腺被ばく回避が初動動作として極めて重要であることを、100km圏超の住民に周知徹底せよ。

 

2.記事にあるように「ヨウ素剤は3年で更新するが、その間の保管方法は住民に任される。更新方法や再度の説明会の有無、転入出に伴う配布や回収についても定まっていない。」=これで、いいはずがない。ちゃんとガイダンしろ。

 

3.5~30km圏については事故時に配るという。何故、5km圏内と差をつけるのか。その根拠は何か。

 

4.30km超の地域(PPA(50km圏):放射性ヨウ素防護地域)での対策は「検討します、検討します」と言い続けて今日に至っている。いったい何をしているのか。また、このPPA(「ぱぱっとあきらめて見捨てる」の略)圏が、何故30~50kmなのか、何故、安定ヨウ素剤配布しか手を打たないのか、こんなことでは福島第1原発事故の教訓が全く生かされていないではないか、などなど、疑問は尽きない。

 

5.記事にもあるように「5~30キロ圏は事故時に配る。旅行者など一時的に滞在している人も把握し、配らねばならない。地震などで道路が寸断された場合の配布ルートや、医師や薬剤師の確保も課題」=原子力「寄生」委員会の態度は、現場自治体へ対応負担も対応責任も丸投げ、である。

 

6.いつ、誰が、どうやって、安定ヨウ素剤の配布や服用の決定を行い、また、その決定をどうやって地域住民の一人一人に周知徹底するのか。このことは福島第1原発事故の際にも大問題となったことなのに、これについて、この記事は何の言及もない。(また、上記で私が書いたようなことを、朝日新聞の記者達は、何故、原子力「寄生」委員会や政府関係省庁・大臣に問い詰めないのか)

 

7.この原子力「寄生」委員会による模擬説明会を、曲がりなりにもそれなりの報道したのは、何と朝日新聞だけだった。他の新聞やTVニュースは「何してまんねん」な。仕事をする気がないのなら、解散しなさい。

早々

原子力施設事故に伴う2つの賠償・補償責任の放棄政策=財産や収入の損害も、健康被害の損害も、賠償・補償は極力しない(踏み倒す)というのが原子力推進の基本方針です

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、昨日と今日(5/27)の東京新聞「こちら特報部」掲載の記事です。現下において福島県で進められている国と自治体とが一体化した福島第1原発事故被害者への帰還強要政策(現在の賠償責任放棄政策)と、放射線被曝の危険性もみ消し対策(将来の賠償責任放棄政策)の実態が、リアルに核心をついて報道されています。是非ご一読ください。

 

 これらの政策の根本的な目的は、第一に、福島第1原発事故をはじめ、これからも発生するであろう原発・核燃料施設の過酷事故に伴う賠償・補償責任を極小化し(何だかんだと理屈を付けては賠償・補償金額を極力小さくする)、放射能汚染の深刻化に伴うあらゆる困難を、地域住民や有権者・国民・市民に負担転嫁し、原発・核燃料施設の「過酷事故との共存政策」(「現存被爆状況」の容認・受け入れ)を定着化させること(簡単にいえば、原発事故の賠償金はビタ一文「無駄」(原子力ムラ・放射線ムラの言う無駄)に払いたくない、払うのなら将来の原発・原子力推進に役立つ払い方にしたいということ(いわゆる「ALARA原則」の周知徹底です)、

 

 第二に、放射線被曝の危険性を矮小化してごまかし、原子力推進への幻想を再び復活させること。言いかえれば、破綻した「原発安全神話」に代えて「放射線安全神話」を普及・定着させることで、仮に原発・核燃料施設事故があっても「大したことはない」という、とんでもない錯誤認識で地域住民や有権者・国民・市民を洗脳すること(つまり、放射線被曝の健康被害に倒れたり苦しむ人があっても、それは被ばくと「カンケーネー」ということにいたしますということ)、の2点です。

 

 つまり、原子力ムラ・放射線ムラの下請け代理店と化している現下の政府や多くの自治体は、地域住民や有権者・国民・市民を「ひと」として見ていない、「人間」として扱っていない、ということを意味します。だからこそ、福島の復興が、人間の復興を棚上げにした、土建・利権・会社・組織・産業の復興であり、その下で、本来は復興の受益者であるはずの多くの被害者住民が、逆に苦しめられるのです。

 

 こうしたことは、既に福島第1原発事故直後の地域住民への避難勧告を行う際の、下記のような根拠に乏しい地域の細切れ状態がつくられた時から、その魂胆は薄々見えておりました。原発事故に伴う放射能は、20~30km圏を超えて、はるか遠くの東日本一帯に深刻な状態で広範囲に広がっているというのに、当時の政府(民主党政権)は、下記のような、わけのわからない「○○区域」だの「○○地点」だのと、乱暴な人為的線引きを行い、そこに住む人々を分断し放置し蹂躙したのです。すべては原発事故後まもなく始まる損害賠償や補償、それに避難・疎開・移住への政府としての対応を念頭に入れた、狡猾かつ姑息で非人間的・不道徳的なものでした。そしてそれが、今日の自民党政権にも、そのまま引き継がれています。政権が民主党になろうが、自民党になろうが、こと原子力推進の人権侵害や被害者切り捨て方針は全然変わらない、ということです。

 

注:避難区域の再編

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    再編前

警戒区域(20km圏内:強制避難)

緊急時避難準備区域(20~30km圏内:屋内退避・20mSv未満)

計画的避難区域(20km圏外で20mSv以上)

特定避難勧奨地点(20km圏外で20mSv以上)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    再編後

帰還困難区域(年間50mSv超)

居住制限区域(年間20超~50mSv以下)

計画的避難準備区域(年間20mSv以下)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 この状態を変えるためには、住民自らが憤りをもって立ち上がらなければ、変わることはないでしょう。そして、ここで申し上げる住民とは、福島県民だけではありません。放射能汚染は東日本一帯に広範囲に広がっており、上記で申し上げたことは福島県だけのことではありません。いやそれどころか、福島県以外では、まるで福島第1原発事故も放射能汚染も、放射線被曝被害もないかのごとく、なかったかのごとくにされ続けており、その人権侵害度合いは、むしろ福島県以上のものがあると言っていいでしょう(たとえば福島県の隣接県の子どもたちの健康調査はどうなっているのでしょうか? 放射能は県境で止まっているわけではありません)。

 

 みなさま、怒りを持って立ち上がりましょう。かようなことを看過していては、この国はもう終わりです。この我々の目の前で繰り返されている理不尽きわまる深刻な人権侵害・意図的な(権力的)加害行為に対して、力を合わせて抵抗し止めさせましょう、改善させましょう。もちろん、政治についてもきちんとして、あらゆる選挙において、その候補者選択を適切にしなければいけません。原発を推進し、大事故を引き起こし、そして、あろうことか、その事故の被害者を切り捨て、返す刀で原発を再稼働する政策を進めている自由民主党と、それを転換すると嘘八百を言って、福島第1原発事故後の棄民政策の土台を作った「口先やるやる詐欺」政党の民主党、及びその補完勢力を、日本の政治の世界から一掃しなければ、事態は変わることはありません。市民運動・社会運動だからといって政治から逃げていては、事態はいつまでたっても変わらないのだということを肝に銘じるべきです。

 

 また、アカデミズムの世界もロクでもなくなっています。先般、ある市民団体が招いた、いずこかの大学の若手社会学者の話を聞きました。私は、私の発言を妨害する会場参加者のちょっかいを押しのけて「放射能汚染と放射線被曝の被害が比較的軽微で済んだ我々東京都及びその周辺在住の人間は、この福島第1原発後の出鱈目な事態にどう対応すべきなのか、真剣に考えなければいけない」と発言しましたが、それに対して、その若造の社会学者の答えは「(福島のことを)理解することだ」とのことでした。理解してどうするのでしょう? それについての言及やコメントはありませんでした。まさにお気楽そのものです。昨今の社会学専攻の若い学者たちには、この手の人間がほんとうに多い。簡単にいえば、支配権力の暴力や理不尽に対してきちんと対決して立ち向かう気力も覚悟もないままに、アカデミズムの権威だけを振り回して、「お気楽発言」や「おしゃべり」を繰り返しているのです。そもそも学問や社会問題に立ち向かう根本姿勢がなっておりません。

 

 同じ時代に、同じ日本列島に住む、何の罪もなき多くの人々が、福島第1原発事故により、生活や人生を破壊され、それがいつまでたっても償われず、支援されず、従って再建も救済もされず、あたかも被害者が復興の邪魔ものであるかのごとき理不尽きわまる扱いを受けて放置されています。私たちが、こうした理不尽に見舞われた我ら隣人・同胞の被害者を救済できぬ、救済しようともせぬ、なさけない人種なら、私はみな、こぞって地獄に落ちてしまえと思う次第です。

 

1.原発事故による財産や収入の賠償責任の放棄政策:「棄民化の策、帰還を強要、拒めば自主避難、賠償打ち切り(東京 2014.5.27)」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014052702000162.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「福島原発事故の避難指示区域の解除に伴い、生活苦に陥る被災者らが増えている。月々の精神的賠償が解除後、一年で打ち切られ、なお避難生活を続ける人びとは自主避難者扱いにされるためだ。帰還するか、移住するかの判断を被災者に委ね、その選択を保障するのが東京電力や国の務めのはず。ところが、現実には帰還を押し付け、後は自己責任という「棄民化」政策が進んでいる。」

 

「単純に安全、安心でないから、皆、帰ろうと考えない。核燃料を抜き取っている4号機で何かあれば、真っ先に被害を受ける。事故の恐怖感は消えない」

 

「若い世代は新しい仕事を見つけられても、高齢者はそうはいかない。(中略)好き好んで避難を続けているのではない。戻れないから戻らないだけだ、と憤りを隠さない」

 

「避難指示が解かれても、家屋は震災で壊れ、畑は動物に荒らされたまま。ほぼ手つかずの森林など、除染も十分ではない。それに加えて、住民が不安視するのは医療が不十分なことだ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 高齢者なら放射線被曝の影響も大したことはないから、放射能で汚染されたものは食えばいいし、空間線量が少々高くても放射能で汚染された地域で済めばいいのだ、と言わんばかりの高齢者への差別的・突き放し的な認識や言動が、昨今は目に余るような気がする。とんでもない話だ。高齢者もまた、人間である限り、放射線被曝は危険であり、特に恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)環境からは脱出しないと、近い将来、命が危ない。私は、白血病や放射性セシウムによる心筋症(心臓停止による突然死)をとても心配している。また、死に至らなくても、体調の慢性的不調が、一般老人以上にひどくなり、まさに生き地獄と化す可能性もある。私は、かような老人への事実上の放射線被曝強要論を他人事だと思って軽々に口にする風潮を、けしからん話だと思っている。

 

2.原発事故による健康被害賠償責任の放棄政策:放射性ヨウ素内部被ばく、線量推計に問題点、放医研「道半ば」認める(東京 2014.5.26

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014052602000135.html

 

(一部抜粋)

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東京電力福島第一原発事故による健康影響で、現状、最も心配されるのが甲状腺がんを誘発する放射性ヨウ素の内部被ばくだ。福島県は「影響は考えにくい」と主張し、政府は周知する。だが、根拠とする独立行政法人・放射線医学総合研究所(放医研)の被ばく線量の推計は、担当者が「道半ば」と認める頼りないものだ。政府は「正しい情報発信」を掲げるが、そう言い切れるのか-。

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(田中一郎コメント)

 地域住民の初期被ばくをわからないようにしたのは政府であり福島県庁である。その連中が、今度は「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈を数段重ねにして、初期被ばくは大したことはないという、あらかじめ決めてあった結論へと誘導し、従って「みなさま、放射能は事故直後も今も大したことはありません。ご安心して、(猛烈な放射能汚染の中に)お戻りください、ご帰還ください、戻られた方にはもれなくお金やプレゼントを差し上げます」と宣伝している。みんなで放射線被曝覚悟で猛烈な放射能汚染の中へ戻ることが、「県民一体となった復興への取組」なのだそうである。もしそれで健康被害が出たらどうなるか。もちろん自己責任。だって、あなたが選択した帰還でしょう、と突き放されることになっている。

 

 何故、原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府や、その手下になってしまった福島県庁が「初期被ばくは大したことはなかった」と、根拠に乏しいことを声を大にして宣伝しているか。一部のお人好しの人たちは、住民の懸念を払拭し、福島の復興を速め、被ばくへの正しい認識を持ってもらうためだと思い込んでいるようだが、それではまるで「さかさま」の認識だ。

 

 彼らの意図は次の3つ、つまり第一に、今現在、「福島県民健康調査」によって発見されている90人にものぼる子どもの甲状腺ガンの被害について、これを福島第1原発事故による放射能が原因であるということを一切認めず、従って、その健康被害の賠償・補償の責任も加害者・東京電力や事故責任者・国が負うことはない、という強い意思表示であること。

 

第二に、将来、甲状腺ガンを含む様々な健康被害が出たとしても、初期被ばくは大したことがなかったのだから、また、その後の放射能汚染も大したことがなかったのだから、それは福島第1原発事故とは無関係、だから賠償や補償の責任などありはしない、自己責任で対処してください、と言える将来状況を作るための布石であること(福島第1原発事故の放射能による健康被害の賠償・補償は、現在も将来も、絶対にしないという断固とした態度)、

 

 第三に、放射能や放射線被曝は自然界にもあるもので、考えすぎや恐れすぎは風評被害をもたらす極端な考えだ、という、これまたとんでもない大ウソを蔓延させるためのもの(上記で申し上げたように「放射線神話」の確立のため)。実際は、恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)は原理的に考えても非常に危険である。そもそも、放射線被曝や放射能が安全なら、声高に根拠の乏しいことを言わなくても、あるいは、事あるごとに、放射線被曝は大したことはない、などと言わなくてもいいはずだ。耳にたこができるくらいに繰り返し繰り返し、安全だ・安心だ・心配いらない・大丈夫だが繰り返され、放射線被曝や放射能への懸念を口に出すことさえはばかられるような雰囲気が作られていること自体、そうしたことが嘘八百で塗り固められていることを間接的に証明していると言える。多くの人々に納得感がないまま、不安や不信が表面化しないよう、権力的に押さえつけることに腐心しているということである。

 

 原子力ムラ・放射線ムラが支配する社会では、残念ながら、甘い考えの人々は彼らの「食い物」にされてしまうだろう。賠償・補償や再建支援から切り離され、孤独の中で原子力ムラ・放射線ムラの嘘八百の権威にしがみついたり、善意の頂点(支配権力)盲従主義で「安全・安心ムード」を体内化してしまう人たちは、やがて彼らの犠牲となり切り捨てられる運命にある。原発は絶対に過酷事故など起こさない、5重の壁で閉じ込められていて放射能が外に大量に出ることはない、という、あの「原発安全神話」を作り出していた連中が、今度は福島県の放射能汚染の安全・安心のセールスマンであることを忘れてはならないのだ。

 

 最後に、これまで何度も申しあげてきたことながら、福島第1原発事故後の賠償・補償と被害者への再建支援の在り方の原則を書いておきます。

 

● 賠償・補償・再建支援:5原則+α(同時代に生きる人間としての使命・倫理)

 賠償・補償・再建支援が全く不十分で出鱈目=21世紀最大の人権侵害事件、賠償・補償・再建支援がきちんとならないと被害者はいつまでも救われない。

 

(1)全ての被害者の全ての被害・損害が何の留保条件を付けられることなく全額賠償または原状復帰されること(逸失利益含む)

(2)全ての被害者の生活及び経営が再建されること(費用,段取り,その他の負担のすべてを加害者が負うこと)

(3)上記(2)の再建が確認できるまでの間,全ての被害者の生活及び経営を補償すること

(4)2011311日以降,上記の賠償・補償・再建費用が実払いされるまでの間,電気料金遅延にかかる「遅延損害金」と同利率(10%)の「遅延損害金」が被害者に支払われること

(5)悪質な交通事故被害の場合以上の慰謝料(迷惑料)が被害者に支払われること

(6)(+α)被害者の被害は「お金」に変えられないものも多い。その部分を加害者・東京電力(及び原発メーカー)や事故責任者・国が万全にフォローすること

早々

 

2014年5月25日 (日)

海は東京電力や原子力ムラのためにあるのではない、海に放射能汚染水をぶん投げるな!!

前略,田中一郎です。

 

東京電力による意図的な放射能汚染水の海洋投棄の件です。

 

●福島第1原発地下水を海に初放出 汚染前の560トン - 毎日新聞

http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20140521k0000e040200000c.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014052102000237.html

 

実にけしからん話だと思いますが、下記にその問題点を列記しておきます。

また、下記の転送メールは少し前のものですが、関連していますので付記します。

 

(1)放射能の海洋を含む環境への放出については、「総量規制」でなければ無意味である。海や空は広いし大きいから、薄めていいのなら、ほぼ無尽蔵にいくらでも環境に垂れ流すことができる。放射能の環境排出に関して、「濃度規制」というものは、素人だましのインチキ行為である。

 

(2)原発から排出される放射能の濃度で見た場合、今回の地下汚染水の排出における汚染濃度と、福島第1原発事故前の原発から排出される濃度とを比べて、前者は後者に比較して低いので、それでいいでしょう、などという言い訳がなされている。発想が逆で、後者こそ、ふとどき千万の環境汚染行為であり、社会犯罪である。そもそも原発・核燃料施設は放射能を閉じ込めるという約束で建設されているのだから、今回の汚染地下水放出のみならず、福島第1原発以外の全国の原発・核燃料施設に対しても、その放射能排出に厳しい姿勢で臨むべきである。

 

(3)海へ放射能を垂れ流すのに、垂れ流す排出口の周辺漁業団体や自治体だけの了解では全く不十分である。この不道徳かつ犯罪的環境汚染行為に関して、少しでも影響を受ける関係者すべての了解を得ることが必須条件である。海に境界などはないから、関係者はもっともっと広く沢山いる。

 

(4)今回の地下水放出のモニタリング上、次のような問題がある。

a.地下水くみ上げ井戸の上流で、高濃度の放射能汚染水がタンクから漏れるなど、捨てられる予定の地下水の深刻な汚染を予期させることがすでに起きてしまっている。それに対する放射能シャットアウトの対策が全くできていない。上流が高濃度の放射能で汚染されたら、かような下流での地下水くみ上げ・海洋放出などは、常識で考えてもできないはずである。

 

b.放出される地下水の汚染状況を検査するというが、全部で12個ある汲み上げ井戸ごとに丁寧に検査するのではなく、それらを全部まとめて1つのタンクに入れ、そのタンク内で、高濃度も低濃度も混ざり合った後に検査をすることにしている。要するに、ここでも「薄めてごまかせ」ということがなされているということだ。

 

c.しかも、検査は週に数回程度の回数で、実際に放出される汚染地下水が、言われている低濃度なのかどうかも怪しい限りである。汚染の薄そうなところをちょこっと検査して、はい排出しますとばかりに、高濃度の汚染水をドバーっと捨てることもできなくはないし、そのうち、実は測ってみたら高濃度でした、などと言い出すかもしれない。また、第三者検査機関によってダブルチェックするなどと報じられているが、その第三者機関とは具体的にどこなのか(関西電力、あるいは三菱重工業の子会社ではないのか? あるいは原子力ムラ・放射線ムラの組織?)。おそらくは、原子力ムラに特徴的な「利益相反行為」を繰り返しているに違いない。何故、新聞は第三者検査機関の固有名詞を報道しないのか?

 

(4)トリチウムをはじめ、放射性ストロンチウムや放射性セシウムなどは、食物連鎖などを通じて海洋生物の体内に蓄積され、かつ濃縮されていく。海洋をいったん放射能で汚染させてしまったら、取り返しがつかなくなる。そもそも放射能で海洋や大気を汚染しなければいけないような発電設備など、全く不要の悪たれ設備であり、福島第1原発以外のすべての原発・核燃料施設の放射能垂れ流しをやめさせなければいけない。

 

(5)トリチウム、放射性ストロンチウム、放射性セシウムによる内部被曝の人体に対する危険性を詳細に解説せよ。ベクレルやシーベルトが小さいので、心配には及びません、以外のことが言えないのか? 医者・医学者・科学者達は何をしているのか? (ついでに申し上げておくと、放射能汚染や放射線被曝を考える時には、「シーベルト」という原子力ムラ・放射線ムラがでっちあげているインチキ単位で考えてはいけない。放射能の量を示すベクレルで考えることが肝要だ。また、外部被曝と内部被曝を単純に足し合わせてはいけない=両者は全くの別物であること、などにも留意すべきである:例として、青森県六ケ所村再処理工場での放射能汚染水垂れ流しの例を挙げておく)

 

(参考)放射線被曝の単位「シーベルト」はどのようにインチキなのか?  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-1ba9.html

 

(参考)(増補版)シーベルトへの疑問  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-d2f2.html

 

(6)汚染地下水を海に捨てたところで、福島第1原発の汚染水問題は解決しない。こうしたトチ狂った場当たり対策ではなく、もっと抜本的な汚染水対策を考慮・検討し、さっさと実施せよ。(安上り手抜きタンク建設や凍土遮水壁など、ロクでもないことばかりやっている。一体何をしているのか!)

 

(7)今進められている原子力「寄生」委員会による、こうした原発・核燃料施設過酷事故時の汚染水対策・対応の規制はどうなっているのか。まさか、なんにも手を打たずに、対策も考慮せずに、「ほいほい審査」をしているのではあるまいな

 

(8)安全だとおっしゃる汲み上げた汚染地下水は、すべてタンクローリーで東京へ運び、東京電力や霞が関各省をはじめ、安全だとおっしゃる皆様でご活用願いたい。毎日、コップ数杯ずつお飲みになり、その水で風呂を沸かしてお入りになったらどうか。ただし、小便も含めて、利用後の排水は、すべて下水に垂れ流さず保管すること。また、汚染水を捨てるという海を福島第1原発沿岸ではなく、東京湾、特にオリンピック会場付近と想定して、ものごとを考えてみたらどうか。(要するに、言いたいことは、福島県やその周辺の人達が迷惑や被害を被ることだから、私たちには関係がない、という態度をとるなということだ)

早々

 

 

以下はメール転送です。

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【賛同団体急募】

【転送歓迎】【拡散希望】

 

みなさま

お世話になります。

脱原発福島ネットワーク

佐藤和良です。

 

 4月に提出した県内外75市民団体連名の廣瀬社長宛の 「深刻な放射能汚染水の漏えい及び海洋放出に抗議し、無責任な『地下水バイパス計画』の実施を強行しないよう求める要請書」に、ご賛同頂きありがとうございました。

 514日、東京電力(株)平送電所で実施した、再開第10回東電交渉で要請書に対する回答があり、これに対する質疑応答を行ったのでご報告します。 

 

*また、報道によりますと、東京電力は「地下水バイパス」を521日にも実施する意向であることが伝えられています。

このため、私たち「脱原発福島ネットワーク」は、このような東京電力の意図的な放射能の放出にたいして、改めて全国の市民団体の皆さまとともに、下記「要請」を公表し、「ストップ・汚染水」の広範な声を挙げ、命の海へのさらなる放射能放出を止めたいと願っております。沢山の市民団体の賛同をお願いいたします。

 

*同時に、東京電力への「地下水バイパス」実施に対する中止要請、抗議等のファックス、メールの発信にご協力いただけますようお願いいたします。

 

 

4.4「深刻な放射能汚染水の漏えい及び海洋放出に抗議し、無責任な『地下水バイパス計画』の実施を強行しないよう求める要請書」への5.14東京電力の回答>

 

1、深刻な放射能汚染水の漏えい及び海洋放出の停止に全力を挙げ、無責任な「地下水バイパス計画」の実施を強行しないこと。

 

●回答/汚染水の海洋への流出防止に向けて、当社は緊急的対策として重層的に対策を検討実施しておりますが、海洋への影響は限定的であると考えております。なお、地下水バイパスは地下水が原子炉建屋への流入量を抑制する緊急的対策であり、建屋に流入する前の地下水をくみ上げ、水質確認を実施の上、運用目標値を確認し、海へと放出するものであります。

 

2、全てのフランジ型タンクの漏えい検査を実施し、漏えいの実態、原因、影響の範囲等を明らかにすること。

 

●回答/タンクからの漏えいについてはエリアに堰を設け、水位計の設置、パトロールの強化などにより漏えい検知に努めております。フランジ型タンクからの漏えいについて、底板の解体等により原因調査を実施した結果、漏えい部からは、パッキンの飛び出し及びフランジ面の発錆が確認されております。

 

3、原子炉建屋周辺の凍土壁によらぬ遮水壁の設置、汚染水のコンクリート固化、溶融炉心の空冷化計画の策定などを実現すること。

 

●回答/凍土遮水壁は、基本設計がとりまとまったことから、規制庁に平成26年3月7日に実施計画の変更認可申請を提出し、現在、審議いただいております。また、凍土遮水壁は、規制委員会等よりご指摘いただいていることは承知しておりますが、当社は、資源エネルギー庁・施工会社と連携をとりながら、引き続き、丁寧にご説明を行っていくとともに、凍土遮水壁の成立性について、現在実施している実証試験の結果も踏まえて検討してまいります。なお、汚染水量の低減を目的とした地下水流入抑制対策は、凍土遮水壁の他、建屋貫通部の止水、サブドレンの活用等の対策を進めております。さらに、冷却水の低減を目的とした格納容器内燃料デブリの空冷方式についても検討をすすめております。            

 

<回答への質疑応答(抄)>

 

Q:地下水バイパスは報道があったが21日から実施か?運用目標値に照らして、トリチウムが1500Bq/Lを超えるようなら井戸ごとに止めるのか?

A:日程は決まっていない。12番井戸は、超えたので止め、再分析、1200Bq/Lだったので再開。

 

QH4エリアの観測井E1の数値の跳ね上がりの原因は解明されたのか?水位計は?

AH4エリア周辺における地下水分析結果。ウェルポイントの汲み上げの効果があり、再開して現在も続けている。地下水バイパス実施後も継続する。当初、1000トンタンク5個連結で受け入れタンクのみに水位計設置。不十分で11月全部に設置。警報の確認には行ったが、確認が不十分で目視するべき箇所を確認しなかった。

 地下水バイパスは 地下水であって汚染水ではない、トリチウム1500Bq/Lの目標値とした。国の濃度基準の6Bq/Lより十分低い。セシウムはいベクレルとの基準値を決めるに当たって、周囲の河川と同等濃度とした。トリチウムに関しては、河川レベルとは関係ない。

 

Q:周辺河川と同等なら熊川の数値は幾つか?分析しているのか?放出規制は、総量規制でないと意味がない。

A:地下水バイパスでの放出の最大値が放出されると仮定して、トリチウムは年間量を計算し 0.5Bqで、事故前の年間2Bqよりずっと少ない。熊川の分析はしていない。

 

Q:地下水バイパスで汲み上げた水が汚染水でないなら、東電本社や他電力会社で使用しては?福島の海に流してもらいたくない。汲み上げ水を運んで、東京で使ってはどうか?

 

Q:場当たり的対策で、信頼性獲得には程遠い。放出は、総量で捉えるべき。全フランジ型の検出検査をやっていないので、全容を把握しようがない。21日確定ではないと言っているが、早期に説明会の開催を求める。地下水バイパスの水は、放出せずに東電による利用計画を求める。

A:県議会には説明している。公開して広く説明し、漁業関係者には厚く説明している。

 

Q:海は人のものだけではない。生命の源である海を冒涜するものであり、考え方そのものがまずい。放出前に市民説明会をしてほしい。

A:市民説明会は考えていない。去年、福島市といわき市で既に開催した。(注*国の主催、東電ではない)

 

Q:凍土壁は、東電監視委の元NRC委員長からも疑問視されているが、あの技術は通用するのか? 巨額の経費にみあうのか?凍土壁に失敗したら、誰が責任を取るのか?

A:失敗とは何を想定しているか? 地盤も沈まないと思っている。

 

 

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• 東京電力への要請・抗議のメール、ファクスは下記宛先になります。

(「地下水バイパス」が実施されないよう急ぎお願い致します。)

下記「要請書」でも、オリジナルの抗議文でも、よろしくお願いいたします。 


メール:genshiryoku-center@tepco.co.jp

  FAX03 3596-8539


• 「要請書」に賛同頂ける団体は、519日(月)12:00までに下記宛先に、メールまたはファックスで連絡をお願いいたします。520日に「要請書」とともに団体名を公表させていただきます。件名に【ストップ汚染水・賛同】と明記の上、賛同団体名と団体の所在都道府県名をお知らせください。

メール送り先:stop.osensui@gmail.com

FAX送り先:03-3357-3801(原子力資料情報室:担当・澤井正子) 

 

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              要 請 書

 

東京電力株式会社

代表執行役社長 廣瀬直巳 様

 

                               2014520

      

        母なる海への「地下水バイパス」という

     意図的な放射能汚染水の放出を中止してください。

 

 福島第一原子力発電所の過酷事故は、3年以上の年月を経ても収束の見通しもなく、大量の放射性物質が環境中へ放出されています。このような状況での中で、報道によれば、東京電力が「地下水バイパス」を521日にも実施する旨、伝えられています。私たちは、この「地下水バイパス」が放射能を含み汚染された地下水である可能性が高いことから、決して外洋に放出することは許されないと考え、その実施中止を求めます。

 

 福島第一原子力発電所では、1〜3号機の溶融した核燃料の所在もいまだにわからず、ただ冷却水を注入する作業が3年間行われてきました。そのために大量の高濃度汚染水が発生し、鋼板をボルトで固定しただけのフランジ型タンクに貯蔵されていました。昨年夏以降これら複数のタンクから数百トンの汚染水が漏洩し最大で1800ミリシーベルト/hという非常に高い汚染が確認されています。福島第一原発事故は国際原子力事象評価尺度ですでに「レベル7(深刻な事故)」、人類史上最悪の原発事故と評価されています。東京電力は、その同じサイトで新たに「レベル3(重大な異常事象)」とされるような汚染事故を重ねて起こしているのです。「地下水バイパス」によって放出される地下水は、フランジ型汚染水貯蔵タンクの近傍・下流に位置している12本の観測井戸からくみ上げられたもので、漏洩した高濃度汚染水による汚染の可能性が非常に高いと考えられます。

 

 「地下水バイパス」という言葉も、事実を隠しています。実際、東京電力自身が設定している「地下水バイパス」の運用目標でも、1リットル当たりセシウム134は1ベクレル、セシウム137が1ベクレル、ストロンチウム等全βが5ベクレル、そしてトリチウムは1500ベクレルという値が設定されており、けっして汚染のない地下水ではなく、汚染されていることが前提になっています。さらにこのような放出がいつまで、どのくらいの量が放出されるのか、全体像は一切明らかになっていません。このような濃度だけの基準では、いくらでも大量の放射能を放出することが可能になり、特にトリチウムは1500ベクレルという高い値でこのような汚染水が放出されることは、また新たな国際問題に発展する懸念もあります。

 

 福島第一原子力発電所の沖合、そして東北地方沖合の三陸沖は、世界三大漁場といわれる豊かな海です。この海の恵みは日本国民の宝であり、さらにこの恵みによって生きる漁業関係者等の生活の場でもあります。東北の真の復興を願う多くの人々にとっても、「地下水バイパス」というこれ以上の放射能汚染水の放出は、その願いを打ち砕きかねません。私たちは、このような「地下水バイパス」の実施を中止するよう、重ねて強く要請いたします。

 

賛同団体名○○○○、  

                           

                以上○○団体

                連絡先:「脱原発福島ネットワーク」

                      いわき市鹿島町久保字於振1-2

                      TEL0246-58-5570  

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早々

 

2014年5月23日 (金)

前門の虎=放射能汚染、後門の狼=TPP : 日本の「食」が壊される

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイル及び下記サイトは、1か月ほど前の週刊文春の特集記事です。TPP協定によって米国などから危険な飲食品がほぼノーチェックで大量流入し、しかもそれを消費者が知らないで買ってしまうように仕向けるため、食品の表示までを簡素化=スカス化にしてしまう動きが水面下で進められていることを告発しています。既にTPPの先行協定と思われる北米自由貿易協定(NAFTA)では同じようなことが行われ、メキシコの食料主権がないがしろにされたことが問題化し始めており、日本にも少しずつその悲惨な実態が伝えられてきておりますが、それと同等か、それ以上に悲惨なことが日本の食べ物・飲み物にこれから起きてきそうな気配になってきています。

 

 日本人は、食べ物・飲み物は、安ければ何でもいいと、いつから思うようになったのでしょうか。安ければ、世界の地の果てからでも日本に持ってきて飲食する、後は野となれ山となれ、飲食の製造現場のことなど全く関心なし、そんな安易で軽率で危険な考え方を、いつからするようになってしまったのでしょうか。食品業者はすべて善意の人たちで構成されており、流通している食品はすべて安全であると、何の根拠も確認もしないで信じ込んでしまっている「お気楽」気分は、いつから醸成されてしまったのでしょうか。昔は、食べ物を粗末にするものは「ばちあたり」だと言われて厳しくしつけられたものです。しかし、今や日本人の多数派は、この「ばちあたり」になってしまったような観があります。

 

 もし安ければ何でもいいのなら、それこそ牛や豚や鶏などの家畜に与えられる飼料を食すればいいのではないですか。断然安い・破格に安いです。既に、日本に輸入されている飲食品で安価なものの中には、ほとんど飼料並みか、それ以下の品質・衛生管理・安全管理の飲食品が巷に溢れています。猫も食わない「ねこマタギ」食品や、家畜でさえ見向きもしないようなものが、人間の口に向かっています。輸入時における飲食品の検疫や安全性のチェックは、全国でわずか400名たらずの検疫職員が担っており、年々増大する膨大な量の輸入食品の検査やチェックなど、とてもじゃないですが、やりきれておりません。

 

 そもそも、輸入品を含む日本の食品安全規制が、ここ20年くらいの間に、貿易促進のため、言い換えれば産業や商売の利益を優先して、廃止されたり、骨抜きにされたり、緩和されたりしていて、しかもそれが「規制緩和」などと称されて、あたかもいいことであるかのような、ものごとを改善する「改革」であるかのごとき体裁が付けられて、マスコミ等によって宣伝されています。しかし、こうした食品の安全規制の改悪は、当然、私たちが日々口にする輸入食品を含むあまたの食品の安全性を潜在的に大きく損ね、短期的にはともかく(急性症状は出ないとしても)、中長期的に食べ続けて行った場合に深刻な健康被害が多発する可能性が多くの食品について出始めているのです。食品の安全規制とは、経済成長を妨げる「悪の作為」であるかのごとき扱いを、この日本ではいつの間にか受けるようになってしまっていますが、それはとんでもない錯誤の認識であり、歪んだ考え方だと言わざるを得ません。

 

 話を戻しますと、つまりは、輸入業者に格段の善意でもない限り、輸入食品は潜在的に危険なまま日本に入ってきている、と考えていいでしょう。しかし、そんなことも知らずに、ただ安いからと、無邪気に輸入食品にかじりつく日本人が、この10年で非常に増えてきました。

 

 かつてブッシュ・ジュニア米大統領は、食料を海外に依存する国が独立国と言えるのかと、自身の演説で語ったことがあります。まさにその通りですが、そのとき彼はおそらく日本のことを念頭に置いていたに違いありません。元来、農林水産業の基本は申し上げるまでもなく「地産地消」であり、自分が住む土地で獲れるものを、その旬のときにありがたくいただくというのが、人間として食べることの基本的なマナーであり、また、持続可能性を確保する食べ方に他なりません。そうすることによって、いわゆる循環型の再生可能な人間社会や産業構造が形づくられるのです。

 

 しかし、今の日本のように、家畜の飼料を含む食料の過半を海外からの輸入に頼るようなことをしていては、こうしたことはかなうわけもありません。無理やりに循環型にするには、汚い話ですが、日本人と日本の家畜の日々の糞尿を飼料や食料の輸入先へ送り返す必要があるでしょう。そうしなければ、日本はやがて年月がたつにつれて、国土やその周辺の海を「富栄養化」汚染地獄と化してしまうでしょう。

 

 およそ人口が限られた小さな島国ならばともかく、数千万人・億人規模の人口を抱える一つの国が、自分たちの食べる食料の半分も自給できない、そんな独立国としては失格のような国、それが今の日本です。しかし、その日本では、農林水産業は、もはや60歳超となって高齢化したおじいちゃん、おばあちゃんに依存して、かろうじてあれこれとやりくりをしながら、やっと支えられている状態にあります。そんな瀬戸際にある日本の農林水産業をつぶしてでも、アメリカのご機嫌をうかがうため、TPPなどという亡国協定を何とか締結しようともくろんでいる、それが今の自民党・安倍晋三政権であり、また、TPP交渉を開始した菅直人・野田佳彦民主党政権だったのです。

 

かつては、日本農業は「3ちゃん農業」と言われて、おじいちゃん、おばあちゃん、の他に、おかあちゃん、が加勢していましたが、いまやその おかあちゃん もまた、おばあちゃんになりました。しかし、日本の政権党の政治家達は、このおじいちゃんやおばあちゃんに向かって「国際競争力を持て」と、その尻や背中を牛馬並みにムチ打つのです。

 

 そして、悲しいことに、2011311日の福島第1原発事故は、東日本一帯を放射能汚染地帯に変えてしまいました。もう取り返しがつきません。放射能の汚染地域では、水も土も深刻に汚染されているため、もちろん、農林水産業はもうできません。また、原発事故で環境放出された放射性物質が含まれているような農林水産物や飲食品に手を出すのはやめた方がいいでしょう。飲食に伴う恒常的な低線量内部被曝は非常に危険で、かつ放射性物質は体内に蓄積していくことになります。厚生労働省が定める飲食品の残留放射能規制値などは、何の慰めにもなりません。科学的実証的根拠がないだけでなく、放射能に対して体質的に弱い人間は、健康被害を引き起こしても仕方がない、あきらめろ、もちろん規制値以下だから保障も賠償も何もしない、我慢せよ、という意味での「規制値」でしかないのです。しかし、妊婦のおなかにいる胎児や幼い子どもたちは放射線被曝には非常に弱く、ちょっとした線量の被ばくでも、一生涯深刻な健康被害に見舞われる可能性があるのです。

 

 そのため、少なくない日本の消費者・国民は、この東日本産の放射能汚染物を飲食品にすることを避け、海外から輸入される飲食品にシフトするようになっています。しかし、これも実はこれからご紹介するように「危ない」のです。輸入食品の安全性は、上記で少し申しあげたように、全く担保されておりません。担保されていないどころか、少し前に何度か大騒ぎになった中国製品のみならず、日本の食卓を支配している日本の宗主国=アメリカから大量に輸入される産品こそ、様々な危険性が潜んでいるのです。

 

 単純な衛生管理不適(例:O157やサルモレラ菌)や腐敗毒(例:カビ毒のアフラトキシンやノロウィルス)、あるいは、ずさんな温度管理等だけでなく、残留農薬やポスト・ハーベスト農薬、危険な食品添加物、遺伝子組換え食品、抗生物質やホルモン剤、BSE,化学物質や重金属類、環境ホルモンやそれが溶出する容器類、有害物質(例:メラミン入り乳製品)、放射線照射や残留放射能、トランス脂肪酸、・・・・・、今さしあたり思いつくものだけでも書ききれないくらいに、米国産品を含む輸入食品の危険性は山のように指摘できるのです。「急性毒性はないから」と、とりあえず食べ、そして「ただちに健康に影響はない」ものがあふれかえっています。

 

 ついでに付記しておきますが、日本政府や自治体などの行政は、食品産業や輸入業者とのトラブルを忌避して、消費者・国民の食の安全管理の責任を放棄してしまっております。天下り先を確保したいがため、食品産業や企業と仲良くしたいのかもしれません。厚生労働省や消費者庁や農林水産省が諮問している薬事・食品衛生審議会や食品安全委員会、あるいは消費者委員会や食品表示関連審議会などの食の安全と適正な表示を守るべき各種の公的機関には、食品産業界やアメリカの食品大資本の御用人間達が集められておりますし、自治体などが運営している保健所や消費者行政担当セクションも、この20年間の市場原理主義イデオロギーに基づくリストラに次ぐリストラで体制がガタガタになり、もはや食の安全と適正な表示を守れるような状況にはありません。

 

 つまり、日本の食の安全や表示の適正化は、もはや「建て前」として存在しているにすぎない「お飾り」のようなものであり、海外や輸入業者の世界では、日本は「世界の残飯市場」として、安ければ何でも売れる、事実上、実効性のある何の規制も安全対策も取られない、「食品企業にとっての“らくちん・フリー・マーケット”」「捨てるなら日本に持って行って売りさばけと言われる“ラスト・リゾート”」と化しているのです。TPPは、この今の悲惨な状態をいよいよ決定的なものとし、日本人の飲食がアメリカによって支配されるのみならず、食の安全と日本人の健康もがアメリカによって差配され、従ってまた、アメリカ大資本の金儲けの犠牲にされていくのです。「食」が他国の産業や商売のために壊されてしまって、何が経済成長でしょうか、何が規制緩和でしょうか。それがグローバリズムだというのなら、そんなものは願い下げです。

 

 前門の虎=放射能汚染、後門の狼=TPP、まさに、私が書いたとおりの状況が生まれつつあります。日本の食は、食を粗末にする「ばちあたり」の筆頭格=安倍晋三・自民党政権によって、いよいよ壊されようとしています。「日本を守ります」を合言葉に、アメリカの手下となって日本の食を破壊し、日本という国を内側から崩壊させていく売国奴、これが安倍晋三・自民党政権の本当の正体なのです。

 

みなさま、飲食の放射能汚染、食品や食品表示の規制改悪、TPPや日豪EPAなどの国際市場原理主義に、断固として反対していきましょう。

 

●(別添PDFファイル)TPP成立で大量流入&規制撤廃:米国産「危険食品」で子供が壊れる(奥野修司『週刊文春 2014.4.17』)

 http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/277.html

 http://d.hatena.ne.jp/boogierock/20140418/1397784321

 

 (関連サイト)

(1)http://blog.goo.ne.jp/humon007/e/b759e1815cf77cfec8ece1e3494f1ebb

(2)http://blog.livedoor.jp/kimito39/archives/37732646.html

 

●『週刊文春 2014.4.17

 http://www.zassi.net/detail.cgi?gouno=36076

 

<追>

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(暴走する安倍晋三・自民党政権にNO! を突きつけよう)

 

 自衛隊を海外に戦争遂行のために派遣する集団的自衛権の行使、核兵器生産の可能性を追求するために続ける核燃料サイクル、金もうけのためには、どこにでも武器を輸出する三原則、北朝鮮や中国に軍事を含めて断固たる態度をとると言いつつ、日本海側の沿岸に「射撃ゲームの標的」よろしく原発を何十基も並べて平気でいる無邪気な神経、そして、自分たちの出鱈目を有権者・国民に対してひた隠しに隠すための特定秘密保護法、自分たちに逆らう人間に対して政権崩壊を未然防止するための国民監視法、などなど、こうした安倍晋三・自民党政権の幼児性と戦争ごっこ(でなければ危険な火遊び)、放射能の危険性への無知と、そして祖父・岸信介の時代から相も変わらぬ「アメチャンのためならエーンヤコーラ」の対米隷属の売国奴精神と、国民を愚弄する愚民政策・亡国政策、そしてアメリカかぶれの市場原理主義とが入り混じった、言いようのない劣悪なるヘドロ政治が、結果的に日本の破壊へとつながって行くと言えるでしょう。

 

 もはや、こうした事態を止めるためには、現在の支配権力を握るもの達や、その「補完勢力」のすべてをトータルとして拒否し、一刻も早くオルタナティブな政治や行政を実現するよう努力するしか方法はありません。言いかえれば、狂気の政権下では、単品社会問題対処型のブティック式市民運動・社会運動や、政治的中立主義(政治的カマトト主義)では、所詮はモグラたたきゲームとなり、事態を変えていくことは難しいのです(事実、自民党政権も民主党政権も、次から次へとロクなことをしませんでした)。

 

 有権者・国民・市民の政治的覚醒による政権交代、しかも「口先やるやる詐欺」ではない、正真正銘の政権交代で、日本の食を取り戻し、原発や放射能、TPPや市場原理主義の悪夢から日本を救出いたしましょう。もはやそれ以外に、現下の困難と混迷を解決する道はありません(このままいくと、日本は再びの原発過酷事故による永遠の滅亡国家に転落する可能性が高いと言わざるを得ません)。

早々

 

2014年5月22日 (木)

子どものガンは大人のガンとは違う : 被害者の切り捨て政策をはねのけよう

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 昨日、「美味しんぼ」の鼻血問題で「ふくしま集団疎開裁判」(支援の会)主催の緊急記者会見があり、福島から上京された原発事故被害者のママさんたちのこの問題に対するコメント等が披露されました。放射能や放射線被曝に対する不安さえ口にすることができない状況が作られ、また、下記に見るように、被ばく事実の矮小化・もみ消しと被害者の切り捨てのための布石がセットで、国際原子力マフィアの権威と政治力を借りながら着々と進められている中、記者会見では多くの批判と懸念が出されておりました。

 

 また、数日前には、第15回「福島県民健康管理調査検討委員会」が開催され、子どもの甲状腺がん患者の数が(ほぼ確実な疑いも含めて)89件となり(前回の第14回の際は74人でした)、発見数の増加傾向は依然として止まる様子がありません。にもかかわらず、この検討委員会は、かたくなに「放射線被曝の影響は考えにくい、関係がない」などと、実証的科学的根拠もなく、頭ごなしに、福島第1原発事故による放射能や放射線被曝の影響を否定し続けています。

 

●「ふくしま集団疎開裁判」ブログ:緊急記者会見

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2014/05/blog-post_18.html

 http://fukusima-sokai.blogspot.jp/

 

(同上録画)

20140501 UPLAN【緊急記者会見】「美味しんぼ」の表現の自由抑圧に抗議する

 https://www.youtube.com/watch?v=IDVWciGo2vQ

20140521 UPLAN【官邸前抗議】「美味しんぼ」の表現の自由抑圧に抗議する

 https://www.youtube.com/watch?v=eDFDeSp407Q

 

●「福島県民健康調査検討委員会」:第15回検討委員会

http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-15.html

 http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/

 

● 国際原子力マフィア(または国際原子力ロビー)

 原子力利権集団のうち、国内の集団や組織を「原子力ムラ・放射線ムラ」といい、海外の集団や組織を「国際原子力マフィア」(または「国際原子力ロビー」)と言うことが多いようです。具体的には、国際原子力機関(IAEA)、国際放射線防護委員会(ICRP)、「国連科学委員会(UNSCEAR)」、及び、原子力や放射線被曝については国際原子力機関(IAEA)に制圧されて御用化している世界保健機関(WHO)などです。これらは全て、原子力を推進するために存在していることを忘れてはいけませんし、従ってまた、放射能の危険性や放射線被曝の健康被害のことについて論じる場合の、彼らの「利益相反行為」に対しては、厳格に対応・対処しなければいけないのです。

 

 ところで、こうした中で注目され、また大きな懸念を持たれている放射能汚染地域の子どもたちの甲状腺がんのことですが、昨今、私が手にした『小児がん』(中公新書)という本に興味深い記述がありましたので簡単にご紹介いたします。この本は200811月に発刊された一般向けの新書で、おそらくは小児がんを担当する医師や医学者にとっては、知っていて当たり前なことが書かれているものと思われますが、しかし、今現在、福島第1原発事故後の子どもたちの放射線被曝と健康状態が論じられる際には、ここに書かれていることが見向きもされていないように思われてなりません(その典型は、あの「だました」の山下俊一と、ロクでもない・信用できないと言われ続けている福島県立医科大学の鈴木真一です:いわゆる「イチイチ・コンビ」)。

 

 以下、この本の興味深い部分を抜粋して、みなさまにご紹介申し上げたいと思います。少なくとも、子どものガンや甲状腺を担当する医者・医学者は、この新書に書かれていることと、現実に現下の福島県で起きていることとの関連性や事実認識・理解について、詳細に説明する義務があるのではないかと思われます。私たちのような医学・医療にドシロウトの者からこの新書の記載を見ますと、驚くことが多いのですが、しかし、こうした一般向けの親書に書かれるくらいのことであれば、専門家の医師や医学者にとっては常識的な事実であり認識であろうからです。しかし、これについて語る医師や医学者は、残念ながらほとんどいないのが現実です。

 

 何故に、この国の医者や医学者は、この程度のことさえもきちんと説明しようとしないのでしょうか。鼻血問題では、うっとうしいくらいに雄弁な方々が、こと、この小児がんの基本的な特徴と現下の甲状腺がんの多数発見との関係については沈黙する、その「異常さ」。この沈黙する医者や医学者達にとっては「沈黙は金」なのかもしれませんが、福島第1原発事故で被害を受け、理不尽にも被ばくさせられた方々にとっては、医師や医学者の沈黙は、まるで汚染地獄という「地獄の釜」の中に、一人罪もなく突き落とされるに等しい過酷な仕打ちと受け止められるでしょう。それであなた達は、医師と言えるのか、医学者と言えるのか、ということです。

 

 私は、この新書の記述を読んでみて、益々、今の「福島県民健康調査検討委員会」は、多発する子ども甲状腺がんについての認識や評価を矮小化し、福島第1原発事故の放射能汚染や放射線被曝との関係を意図的に切り離そうとしているように見えてきます。もし、そうではない、というのであれば、どなたか、合理的・整合的な説明をしていただきたいものです。もし説明ができないというのなら、大切な子どもの命と健康のことですから、一刻も早く、被ばく回避と治療対策に万全の手を打たなければならないはずです。

 

 <別添PDFファイル:一部添付できませんでした>

(1)小児がん<1>(中公新書より)

(2)小児がん<2>(中公新書より)

(3)50mSv超の住民はいない:環境省専門家会議が骨子案(福島民報 2014.5.21

(4)東電、「全損」の和解案保留(福島民報 2014.5.21

 

●『小児がん チーム医療とトータル・ケア』(中公新書:細谷亮太/著 真部淳/著)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032164212&Action_id=121&Sza_id=C0

 

 

1.小児がんとはどのような病気か(以下、重要部分とみなした個所を抜粋します)

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(別添PDFファイル:小児がん(1))

 

「大人のがんと小児がんの違い:わが国では一年間におよそ40万人もの人が、がんになります。このうち子どものがんは1%以下です。現在、小児科学会が子どもと規定し、診療の対象としているのは20歳未満で、そのなかでの発生数は年間およそ3000人ほどになります。子どもの人口1万人に1人強ぐらいの年間発症件数ですから、非常に稀な病気であることがわかります。数も違うのですが、その性格も同じではありません。大人のがんのほとんどは、粘膜や皮膚の表層から発生する上皮性の悪性腫瘍(病理学的に癌と呼びます)であるのに対し、子どものそれはほとんど(98%)、筋肉、骨、神経、血液などに由来し、病理学的に肉腫と言われるものなのです。」

 

「もう少し大人と子どものがんの相違を見てみましょう。(中略)まず第一に、小児がんは見つかったときにすでに80%が全身に広がってしまっています。一方、大人で診断時に進行性であるものは20%に過ぎません。」

 

「大人のがんに比べると、小児がんは進んでいても、また手術で全部の腫瘍を取り切れなくとも、(中略)小児がんの70~80%は治るのです。」

 

「小児がんの場合は成長、発育といった生理的な現象にともなう活発な細胞増殖の関与が疑われます。その証拠にリンパ組織の発育の著しい幼児期に急性リンパ性白血病が多く、骨の発育が盛んな思春期に骨肉腫が多発します。」

 

「それに対し、小児の悪性腫瘍のほとんどは肉腫ですから、はじめから微小転移があり、化学療法が発達するまで、治すのは無理な話でした。」

 

(別添PDFファイル:小児がん(2))

 

(小児がんの)「発生頻度は前にも記述しましたが、毎年、小児人口の一万人に一人くらいに起こるとされています。稀な病気ではありますが、生命にかかわる子どもの病気の中では常に最右翼に位置しています。ちなみに、1~14歳の子どもたちの死因の第一位は不慮の事故で約30%、小児がんが二位で15%です。」

 

「発生頻度と死亡者数は、完全とはとても言えない現在の日本の小児がん登録からも何とか見当をつけることはできるのですが、どの小児がんがその全体の中でどのような割合で発生するかについては、きわめて不確かな答えしか導き出すことができません。わが国では大阪が小児がん登録の先進的地域であり・・・・・」

 

「次に興味深いのは、男女の差です。ほとんどすべての小児がんは男児にやや多く発生します。唯一の例外が甲状腺がんで、これだけは圧倒的に女児に多発します。」

 

「妊娠、出生に関するものでは、流産の経験のある母親から生まれた子が二歳前に急性りンパ性白血病になる確率は、流産経験のない母親から生まれた子と比べると五倍高く、・・・・・」

 

「また、一般的に母親の年齢が高くなればなるほど、星状神経膠腫(こうしゅ)、急性リンパ性白血病が起こりやすいという報告もあります。」

 

「その他の妊娠中の胎児環境については、母親のアルコール摂取、職業的な化学物質への曝露が問題になります。主なものとして、母親の飲酒と急性骨髄性白血病(2.6倍から3倍)、父親の農薬への曝露とユーイング肉腫(6.1倍から8.8倍)などが報告されています。

 

「妊娠中の母親への薬剤投与のうち、以前よく切迫流産に使用されたジエチルスチルベステロールが時限爆弾のように作用して、生まれた女児に思春期になってから膣に明細胞がんと呼ばれる特殊な上皮性悪性腫瘍を発症させることが知られています。」

 

「母親がとくに妊娠中に診断用X線を多用され、かつ白血病の家族歴があった場合、白血病の発生率は10倍になるとも言われています。」

 

「出生後の環境要因としてよく言われるのは、放射線被曝、電磁波、感染症、それに化学物質です。低線量放射線被曝と甲状腺がんは有名で、ビキニの核実験のあとマーシャル群島で子どもたちに甲状腺がんが多発したことが知られています。」

 

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 私は上記の記述の中でも、最後の2つに特に強い印象を受けました。妊娠中の母親がX線診断を受けると、その子どもに白血病リスクが高まるというのなら、X線診断よりも強いエネルギーのガンマ線やベータ線あるいはアルファ線で被ばくをし、かつ、X線診断のように一時的な被ばくではなく、恒常的な被曝(外部被曝・内部被曝)であった場合には、そのリスクはより一段と高まると言っていいのではないでしょうか。

 

 また、恒常的な低線量内部被曝と甲状腺がんの例で言えば、水爆実験後のビキニ諸島の子どもたちやチェルノブイリ原発事故後の旧ソ連の人たちに起きたことが、どうして福島県やそれ以外の都県の放射能汚染地域に住む子どもたちに起きないと断言できるのでしょうか。

 

 私は、福島県のみならず、福島県以外の都県の子どもたちについても心配です。また、甲状腺がんのみならず、白血病などの他のがんを含む、さまざまな病気や健康障害のことも気になって仕方がありません。鼻血の多発もそうしたものの一つであって、今のままでの被ばく環境では危ないのではないのかと、不安が募るばかりです。今のまま、放射能汚染地域の子どもたちを放置しておいてはいけない、そう思っております。

 

2.被ばく事実の矮小化・もみ消しと被害者の切り捨てのための布石

(1)50mSv超の住民はいない:環境省専門家会議が骨子案(福島民報 2014.5.21

 環境省の専門家会議で「事故後初期の甲状腺被ばく線量について、基本的には県内で50ミリシーベルトを超える住民はいないなどとする住民の被ばく線量評価の骨子案が示された」と報じられています。この環境省の専門家会議とやら、いったい何の専門家を集めたのでしょう。ウソつきや詐欺師・ペテン師、それに無責任のプロでもかき集めてきたのでしょうか。

 

 福島第1原発事故後、相当の期間にわたり、地域住民の被ばくの状態を調査することは、政府や福島県、その他関係当事者・責任者たちによって「封じ込まれ」あるいは「責任回避」され、「触らぬ神にたたりなし」のセンチメントで放棄されていました。ですから、現状では、初期被ばくの状況はわからない状態にあります。にもかかわらず、この専門家とやらの集団は、わからないことをいいことに(言い換えれば、明白な実証的な証拠が存在しないことをいいことに)、それを「風が吹けば桶屋が儲かる」式の屁理屈の連鎖で、あらかじめ決めてある結論=「放射線被曝とは無関係、放射線被曝は心配するほどではない」、に導いていくのです。

 

 いわば、事故の初動操作で放射能汚染や被ばくの計測の妨害、あるいはゴマカシや責任放棄を徹底して行い、その後は、何かとコストや費用のかかる放射線被曝とその被害を矮小化・歪曲し(因果関係を断ち切るのが最終目的)、そして下記に見るように賠償・補償もひねりつぶして被害者を切り捨てて行く、一方で、原子力は再び推進できる体制づくりにまい進する、そんな、悪の権化・悪の華のような国家的組織犯罪が、原子力翼賛体制の下で徐々に徐々に進められていくのです。自称科学者が似非科学者となり、更には、被害者切り捨てのための「悪魔の先導人」となっていくのです。およそ、放射能汚染や放射線被曝の被害のあるところでは、これまでもあまねくみられた現象の一つです。

 

●環境省_放射線健康管理 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議

 http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html

 

(2)東電、「全損」の和解案保留(福島民報 2014.5.21

 「「原子力損害賠償紛争審査会」の指針に示されたもの以外には賠償責任はない」(そんなことは、「原子力損害賠償紛争審査会」自身が「違う」と言っている)などと言いながら、「原子力損害賠償紛争解決センター」が示した和解案を(一般的な対外コメントでは、センターの和解案を尊重する、などとリップサービスしながらも)受け入れようとはせず、ずるずると賠償・補償金の支払いを先延ばしする東京電力の態度は許しがたいものがあります。

 

 この東京電力の態度は、第一に、申立人を経済的・精神的に疲弊させ、第二に、あわよくば申立人に賠償・補償請求をあきらめさせ、第三に、あるいは妥協させて金額を小さくする、そして第四に、更なる申立人が出てこないよう、見せしめ的に押さえつける、ためにしている「犯罪行為」とでもいうべきものです。私が許せないと思うのは、こうした状態がずっと続いているにもかかわらず、政府も「原子力損害賠償紛争審査会」も、関係機関も、何の抜本対策もとろうとはしないことです。みな、被害者に泣いてもらうことで、賠償・補償問題を解決すればいいと思っているのでしょうか。

 

 チッソ水俣病で見られる今も続く国家犯罪行為が、その何十倍もの巨大スケールで開始されていると言えます。巨大な人権侵害事件が私たちの目の前で展開しています。同時代に生きるものとして、これにストップをかけることは、私は義務と言ってもいいのではないかと思います。他人の事だから関係ないではないのです。次はあなたの番かもしれません。

 

 解決方法は簡単で、政府が東京電力に代わって、賠償・補償を立て替えればいいのです。支払いが遅れた分については、2011年3月11日にさかのぼって、電力料金支払遅延時と同じ利率(10%)の遅延損害金が上乗せされて支払われるべきです。そして、東京電力をいったん法的破綻処理・解体して、適切な業務遂行ができる体制に立て直しすればいいのです。原子力犯罪企業・犯罪者たちをのさばらせるな、福島第1原発事故による全ての被害者の全ての被害を、無条件に賠償・補償せよ、再建できるまで支援せよ、これがポイントです。

早々

5/20院内集会「秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて」報告 + 長野市の山菜が出荷制限

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

昨日(5/20)、衆議院第2議員会館にて院内集会「秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて」が開催されました。別添PDFファイルはその際の資料です。以下、ごく簡単に報告いたします。

 

 <別添PDFファイル>

(1)秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて:2014.5.20 集会チラシ

「tokuteihimitu_kaigai.pdf」をダウンロード

(2)秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて(資料1:総括)(2014.5.20

(3)秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて(資料2:アメリカ)(2014.5.20

(4)秘密保護法監視は可能か:議員団報告を踏まえて(資料3:ドイツ)(2014.5.20

(5)秘密保護法を問う(山田健太専修大教授:神奈川新聞)

(6)監視機関設置、自公が合意(朝日 2014.5.20他)

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11144775.html

 

 <関連サイト>

●秘密保護法衆参に常設「情報監視審査会」 与党が合意 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20140520k0000m010096000c.html

 

●Listening<時流・底流>米の秘密保護制度 社会が政府を「監視」−−山田健太教授・専修大(言論法) - 毎日新聞

http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140324org00m030006000c.html

 

●日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:秘密保護法とは?

 http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html

 

 上記の下記をクリックしてPDFファイルをダウンロードしてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

*詳しい解説はこちらをご覧ください。

「秘密保護法とは何か?~その危険性と問題点~」(2014年3月25日)(PDFファイル;578KB)

 

 <田中一郎コメント:聞いたことのごちゃ混ぜ+私の意見>

(1)欧米に視察に行ったのは衆議院の与野党議員たち。当初は特定秘密保護法の修正協議に応じた野党と与党だけで行くとしていたのを、のけ者にされた特定秘密保護法反対野党の異議申し立てを受け入れて、全会派で行くことになった。一方、参議院の方は特定秘密保護法をめぐる対立が激しく、視察どころの話ではなくなってしまい、法案が可決成立すると、すぐに特定秘密保護法を審議する委員会も解消されてしまった。(この国会運営は強行採決を含め与党の暴挙としか言いようがない)

 

(2)視察に行った先の欧米の組織は、秘密保護を監視する議会組織などではなく、インテリジェンス組織(米CIA・英MI6などのスパイ・諜報機関)を監視する議会の委員会等だった。従って、訪問議員団のメンバーが対応してくれた欧米の担当者に、秘密保護に関する監視をどう行っているか、そもそも監視は可能か、などを質問しても、きょとんとした顔をしていたという(当然でしょう。政府の秘密の監視とインテリジェンス組織の監視とでは、内容が全然違う)。つまり、訪問の主たる目的は達せられずだった。

 

(3)視察報告書に掲載されていない「秘密の人」にも面会して話を聞いている。議会が政府の秘密を監視するなどと言うことは、とてもできない、という回答を得たそうである。理由は、その量が多すぎること、(内容は公開しないが)あることを公表して秘密の度合いをランク付けしている政府の秘密事項以外にも、その存在すら公表していない「トップ・シークレット」がたくさんあるが、しかもその多くが、秘密管理強化をしているにもかかわらず、ネット上に漏れ出している。

 

(4)結局、限定された特殊な情報(たとえば核ミサイル発射装置の暗号など)以外は、すべて「他人に見せても恥ずかしくない」ように言動することに心がけ、基本的にすべてオープンにすることが、この問題の唯一の解決策である(共産党・宮本岳志衆議院議員)。

 

(5)アメリカなどでは、情報源となる関係者への締め付けがきつくなってきており、しかも、それだけでは間に合わないので、たとえばパソコンなどの情報媒体の管理強化や、情報を受け取る方(ジャーナリストや市民)への締め付けもきつくなりそうな気配である。要するに、秘密に手を染めると、秘密そのものがどんどん増殖し、かつ、その秘密を守ろうとして管理行為もどんどん増殖するという悪循環に陥る。この負の連鎖を断ち切るのは容易ではない。

 

(6)日本の特定秘密保護法は「最悪の選択である」との意見が海外の視察先の複数の人からあった。

 

(7)特定秘密保護法の国会審議の過程で、安倍晋三政権が一部の野党と約束した「特定秘密の指定」のチェック機関として挙げられている4つの新設組織(①情報保全諮問会議、②保全監視委員会(事務次官級)、③独立公文書監理官、④情報保全観察室(職位の低い役人で構成))は、いずれも「第三者性」が欠如しており、いわばタコが自分の足を食っているような組織なので、こんなものはチェックどころか、追認合理化のための茶番組織になる可能性大

 

(8)そのうちの一つ、「情報保全諮問会議」は、今年1月に開催されたきり未だ第2回目が開催されず、もっぱら内閣情報調査室による個別委員へのヒヤリングが行われているのみである。日弁連の清水委員からは再三にわたって会議の開催を申し立てしているが、一向に開催される様子はなく、従って、この会議が課題としていることについての議論もなされていない。1月の会議の議事録も非公開だ。そもそも、この会議は「特定秘密指定の基準」を決めるだけであって、秘密事項そのものにアクセスできるわけではなく、特定秘密の指定の適正化に役立つような様子は現状では全くない。座長が読売新聞の渡辺恒雄なので、益々だめ。

 

(9)5月20日付の新聞記事にあるように、このほど自民党と公明党は、国会に「情報監視審査会」を常設することを決めた。常設にするか否かが焦点だったというが、問題はそんな程度の話ではない。これもまた、委員が各会派の議席数に応じて割り当てとなり、また、特定秘密に具体的にアクセスできるわけではなく、更にまた、その権限も勧告のみで強制力がないなど、ほとんど機能しそうにない制約が山ほど付けられている。そもそも事務局の体制などはどうなるのか、国会議員だけでやってもほとんど機能することはないし、与党多数の審査会になるのだから、特定秘密のチェックどころか、単純な追認機関になることも自明である。現に、今国会にある原子力規制の委員会も、与党議員が多数を占めており、野党側から再三にわたり開催を要求しても、与党の合意が得られずに開催できないでいる状態が続いているが、この「情報監視審査会」もそれと同じことになる。

 

10)その他、話には出なかったが、内部告発者保護の問題、裁判が秘密の壁に阻まれてきちんとできない問題、適正評価の問題(思想・信条の侵害行為=人権侵害)、情報公開法との関係などなど、特定秘密保護法のもつ山のような問題が放置されたままである。また、別添PDFファイルにもある通り、欧米視察の報告書に議員団に同行した役人らの名前が記載されているが、このうち特定秘密保護法を担当する内閣情報調査室の人間だけが「ナナシノゴンベエ」とされている、特定秘密保護法が制定されたのだから、かようなことまでヒミツにして、有権者・市民をヒミツに慣れ親しませる目的が見て取れる。けしからん話だ。

 

11)与党多数の国会は、特定秘密保護法の適正化のための取組もおろそかで、政府をチェックするという三権分立のイロハさえもできていない様子。政府・行政機関がグロテスクに肥大化し、国会はその追認・追従組織になり下がっている。こうした中で、この特定秘密保護法の中身の改善などはとてもとてもおぼつかない。

 

12)ということで、結論は、特定秘密保護法は廃止、以外にありません。やるべきことは「秘密保護」ではなく「情報公開」の拡充・拡大です。

 

 <関連図書>

 下記の2冊は当日の発言者から紹介があった書籍です。

 

●『トップシークレット・アメリカ 最高機密に覆われる国家』(草思社:デイナ・プリースト/著 ウィリアム・アーキン/著 玉置悟/訳)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032998676&Action_id=121&Sza_id=C0

 

●『暴露 スノーデンが私に託したファイル』 (新潮社:グレン・グリーンウォルド/〔著〕 田口俊樹/訳 濱野大道/訳 武藤陽生/訳)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refBook=978-4-10-506691-8&Sza_id=NN

早々

 

 <追>

●原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の設定について |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000046355.html

 

本日(5/21)、原子力災害対策本部は、昨日までの検査結果等から、長野県に対し、長野県 長野市 ( ながのし ) 及び 軽井沢町 ( かるいざわまち ) で採取されたこしあぶらについて、出荷制限を指示しました。

 

●平成26年度県内産山菜の放射性物質測定結果/長野県

http://www.pref.nagano.lg.jp/ringyo/kurashi/shobo/genshiryoku/hoshasen/hoshase/h26sansai.html

 

長野市のこしあぶら  340ベクレル/kg

軽井沢町のこしあぶら 300ベクレル/kg

(軽井沢町では、たらのめも140ベクレル/kgで規制値100ベクレル/kgを超えているが出荷制限にはなっていない)

・・・・・・・・・・・・・・・・・

上記は少しショッキングです。長野市や軽井沢町が放射能汚染地帯であることを示す重要なモニタリングデータです。

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●チェルノブイリから福島へと広まる「エートス計画」とは何か? (コリン・コバヤシ 『DAYS JAPAN 2014.6』 より)=原子力翼賛など、とんでもないことだ  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/20146-500a.html

 

●「美味しんぼ」の鼻血問題  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-4fa0.html

(ペンネーム異邦人さんが、興味深いコメントをして下さいました)

 

●森林・木材の放射能汚染 :木材汚染の拡散を防ごうとしない国・東京電力、これは氷山の一角だ  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-3766.html

 

2014年5月20日 (火)

チェルノブイリから福島へと広まる「エートス計画」とは何か? (コリン・コバヤシ 『DAYS JAPAN 2014.6』 より)=原子力翼賛など、とんでもないことだ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは『DAYS JAPAN』今月号(20146月号)に掲載されましたコリン・コバヤシ氏の「チェルノブイリから福島へと広まる「エートス計画」とは何か?」というレポートです。以下、簡単にご紹介いたします。

 

現在、福島県では、恐るべきことに、チェルノブイリ原発事故後のベラルーシで多くの犠牲者を伴いながら展開されていた「エートス運動」が、今度は「フクシマ・エートス」と名前を少し変えて、再び被害者住民をだましながら展開され始めています。それはあたかも、被害者に寄り添い、被害者の意向や自主性・自己努力に沿った支援を行うことで福島県の復興を成功させていこうとする試みに見せかけられておりますが、その正体はそれとは正反対の、被害者の更なる身体的・遺伝的犠牲の上に、似非復興と賠償・補償コストの削減や、原発過酷事故被害の責任のあいまい化・うやむや化、更にはこれからの原発・原子力推進の円滑化を狙った、文字通りの「悪魔の施策」です。(「フクシマ・エートス」の主役もまた、ベラルーシ・エートスの主役だったフランス人のジャック・ロシャールです。国際原子力マフィアの一員で、最近、国際放射線防護委員会(ICRP)の副会長に「出世」したようです)

 

被害者に放射能や放射線被曝の危険性を甘く見させ、あるいは忘れさせ、被ばくの自己管理とその自己責任を柔らかく被害者自身にゆだねる形をとって、その結果の全ての責任を当該被害者に押し付け、そして、もっとも肝心な放射線防護や被ばく医療、あるいは被ばく回避の取組を放棄させてしまうものです。定住化や帰還政策とセットされた「フクシマ・エートス」とは、原子力ムラ・放射線ムラによる、放射能汚染の地域住民への押し付けを目的とした「精神攻勢」=「原子力翼賛運動」以外の何物でもありません。

 

みなさま、くれぐれもだまされることのないように用心いたしましょう。気をつけよう、暗い夜道に「フクシマ・エートス」です。

 

● 『DAYS JAPAN』

 http://www.daysjapan.net/

 http://www.daysjapan.net/about/index2.html

 

(みなさま、 『DAYS JAPAN』購読をよろしくお願い申し上げます。 『DAYS JAPAN』は、日本で数少ない、購読者の購読料のみにて運営されている「真実を伝えるフォト・ジャーナリズム」雑誌です。いわゆる一般からの広告を全て断り、誰に対しても遠慮・配慮することなく、真実一路の報道に徹しています)

 

以下、部分抜粋して、若干のレポート紹介をいたします。みなさま、ぜひ 『DAYS JAPAN』をご購入いただき、全文をご覧ください。

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「『エートス計画』が、ベラルーシで始まった。期間は1996年から2001年まで」(田中一郎:担い手はフランスの原子力ムラ・放射線ムラ連合、主役はジャック・ロシャール)

 

「エートス・チームが最初にオルマニー村にやって来たとき、住民は彼らに尋ねた。「私たちは、このまま、ここで暮らしていくことができるでしょうか?」 これは最も住民が聞きたかった質問で、福島の住民がロシャール氏にした質問と同じだ。すると、エートス・チームは「私たちは、その質問に答えるためにやって来たのではありません。ただ、ここで暮らしたい人々を援助し、一緒に仕事をして、生活条件を改善するために支援したいのです。」」

 

「だが、安全かどうかについては口をつぐむ。肝心の健康の回復・改善には手を貸さない。このチェルノブイリ救済計画は、医療分野の専門家がほとんどいない計画だったのだ。」

 

「この計画の目的は、現地住民の当局への信頼回復と、原子力推進派が目指す「放射線防護文化」、つまり、自分で放射能を測定し、自分で判断する態度を根付かせることだった。そのため、現地住民の主体的な参加が不可欠で、自己責任による放射能管理を進め、避難するかしないかは本人の判断に任せるというやりかただ。しかし、これは原子力推進派による偽善に過ぎない。対話形式の集会によって、ベラルーシの住民の心をなだめ、汚染地域でもなんとか暮らしていけると指導し、住民が汚染された居住環境を自ら進んで受け入れたように見せることなのだ。だから、エートス・チームは「避難した方がいい」とは忠告しない。」

 

「データの収集はするものの、いっさいの治療はせず、ネステレンコ氏が推奨し、効果を上げていたペクチン栄養剤による治療法さえおこなわなかった。そして、エートスが去った後、すべての地域測定センターは、原子力を推進したいベラルーシ政府によって閉鎖された。この方法は、広島、長崎の調査をしたABCC(原爆傷害調査委員会) のやり方に似ている。」(田中一郎:ネステレンコ氏はベルラド研究所の創設者で、その研究所の傘下に370か所の地域測定センターがある)

 

「チェルノブイリ事故後に設定された食品の基準値(例:1999年時点、ジャガイモのセシウムの制限値は80ベクレル/キログラム)は安全基準ではなく、行政的な目安でしかなかった。だが、この基準値に従い、汚染地で線量の低い食物を育てようという、エートス・チームの農学者による指導は効を奏し、基準値以下のジャガイモを生産し、販売できるようになった生産者たちは喜んだ。しかし、子どもたちはいっこうに元気にならなかった。つまり、あたかも住民が自ら進んで汚染地に住む決断をしたように思わせるエートス計画では、増大し続けていた子どもの罹患率を低減させることはできなかった。子どもたちは内部被爆にさらされ続けたのだ。」

 

(田中一郎:この記述も、よせばいいのに放射能汚染地域で強引に農林水産業を再開し、更に地産地消や学校給食をはじめ、なんだかんだと言っては子どもたちをだしに使って、汚染の可能性のある食べ物を子どもたちに押し付けている日本の福島県他の各都県の現状によく似ている)

 

「エートス計画をつぶさに見てきたミッシェル・フェルネ医学博士は、「エートス計画は、汚染地の子どもたちに病気が増えているという現地の小児科医たちの報告を、いっさい無視した」と語る。

 

「エートス計画のもっとも根本的な問題は、原子力産業によって引き起こされた汚染の現状を、原子力ロビーの力によって、あたかも自然災害に見舞われたかのように、地元住民にだんだんと受け入れさせ、汚染が普通の状態として正当化されてしまうことだ。そして、いつの間にか犠牲者たちが自己責任で自分の健康管理を強いられることが、当たり前になってしまう倒錯した事態が出現することである。そして、地元住民が低線量被曝を自ら無視し、「安心・安全」神話を受け入れてしまうことだ。」

 

(田中一郎:「現存被ばく状況」などという、ふざけたICRP用語などが、その「情緒づくり」に大きく寄与している。何が「現存」か!!、その「現存被ばく」を作り出したのはいったい誰なのか、少し考えれば「現存」などではなく「加害強制被ばく状況」とでもいうべきものであることは明らかだ)

 

2011年秋から、チェルノブイリのエートス計画を実行した同一人物、ジヤツク・ロシャール氏と、その同僚のティエリー・シュネイデール氏が、足しげく福島に通っている。しかしロシャール氏は、日本ではCEPNのデイレクターとは名乗らない。ICRP(国際放射線防護委員会) 4委員会委員長として登場し、今年になって、ICRP副会長に昇格した。福島県で彼らが始めたことは、「ダイアログ・セミナー」という名のエートス計画で、・・・・・」

 

「背後には、ベラルーシのエートスを実行したジヤツク・ロシャール氏がいる。そして、政府や原子力ロビーと同じ路線であるICRP111勧告を推奨している。2008年に公表されたこの勧告の第一執筆者は、ロシャール氏だ。その問題点は、汚染地域に住み続けることを前提にし、内部被爆は問題ないと正当化していることだ。そして、この勧告に基づき、対話集会などを通じ、住民自らが汚染地域に残ることを選択したように見せることだ。これは、プロジェクトの究極の目的が、住民の健康よりも、経済を優先に考えられているからだ。つまり、住民を汚染のない地域に移住させるコストや賠償コストと比べ、住民を汚染地域に残して支援した方が、安上がりだという考え方に基づいている。」

 

「普通の人には、あたかもいいことをしているようにしか見えない。だが、IAEA(国際原子力機関)やICRP、そしてUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)は、「年間100ミリシーベルト以下なら、重大な疾病は起こらない」と判断し、また低線量被爆は因果関係が分からないとして無視するのだから、エートス計画は「安心・安全」を売り込もうとしているIAEAのやり方にまさに最適なのだ。」

 

「IAEAは、外務省、福島県、福島県立医大と覚書を交わした。福島県内に3か所も拠点を作り、測定、除染を実施し、福島県立医大を中心に住民の健康管理を一元化して、医療情報を遮断する内容だ。また、今後起こりうる新たな過酷事故を想定し、アジアの対応拠点を設置する予定だ。何が何でも原子力を推進する立場で、自分たちの健康状態を知りたいと思っている住民たちへ情報提供しようという意思は、まったく感じられない。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●(朝日新聞スクープ) 政府事故調 「吉田調書」 : 所長命令に違反し原発撤退、所員の9割、葬られた命令違反 = 「命がけの(原発)電力」はいらない  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-d742.html

 

●放射線被曝の単位「シーベルト」はどのようにインチキなのか?  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-1ba9.html

 

●「100mSvをめぐって繰り返される誤解を招く表現」(津田敏秀岡山大教授 『科学 2014.5』 論文より)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/20145-0f83.html

 

(朝日新聞スクープ) 政府事故調 「吉田調書」 : 所長命令に違反し原発撤退、所員の9割、葬られた命令違反 = 「命がけの(原発)電力」はいらない

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

本日付の朝日新聞朝刊のスクープ記事です。

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「東京電力福島第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎(まさお)氏(2013年死去)が、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)を朝日新聞は入手した。それによると、東日本大震災4日後の2011年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた。」

 

「撤退した人員の中には、東京電力の内規で過酷事故時に原子炉の運転や制御を支援する役回りの「GM=グループマネジャー」と呼ばれる部課長級の職員もいた。」

 

「吉田調書が残した教訓は、過酷事故のもとでは原子炉を制御する電力会社の社員が現場からいなくなる事態が十分に起こりうるということだ。その時、誰が対処するのか。当事者ではない消防や自衛隊か。特殊部隊を創設するのか。れとも米国に頼るのか。」

 

「現実を直視した議論はほとんど行われていない。自治体は何を信用して避難計画を作れば良いのか。その問いに答えを出さないまま、原発を再稼働して良いはずはない。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

東京電力のみならず、原発・原子力を推進する人間たちの本性が赤裸々に出ているように感じられます。日本の原発・核燃料施設は、アジア太平洋戦争前の軍部・戦争と同様に「総無責任体制」で進められていることをしっかりと認識しておく必要があると言えそうです(民間人を放置して真っ先に逃げて行った満州・関東軍の話は有名です)。既に、原子力安全保安院や政治家(民主党)ら、国(東京・霞が関)から原発事故時に福島県にやってきた連中もまた、危機に陥った現場を捨てて同じ頃(3/15)に福島市に逃げて行ったことが明らかになっています。同じ穴のムジナたちの行動だと思えば、うなずけるでしょう。

 

この「吉田調書」のことで申し上げれば、当の当事者の東京電力が、こうしたことが起きていたことをひた隠しに隠し、3年間もそ知らぬふりをしていたことが大問題であり、また、それを朝日新聞がすっぱ抜くまで、涼しい顔をして柏崎刈羽原発の再稼働に邁進しているわけで、つまりは、柏崎刈羽原発でも、同じことが起きれば、彼らは同じように行動することを意味しているのです。新潟県民をはじめ、柏崎刈羽原発周辺の住民は、何も知らされることなく猛烈な被ばくをさせられながら取り残されることになるでしょう。この東京電力という会社は絶対に解体しなければいけない「無責任の固まり」のような組織です。

 

(確か清水正孝東京電力元社長は、自分たちから福島第1原発からの撤退を菅直人総理に申し入れしたことはない、などと発言していたようだったし、だいぶ前に公表された東京電力のテレビ会議録画では、この3/15頃の吉田元所長の音声がなく、東京電力は、この場面を「録音していなかった」などと説明していた。これらはひょっとすると、全部ウソだったのかもしれない)

 

そして、この隠ぺい行為には、調査を行った政府事故調も加担し、記事によれば「政府事故調は報告書に一部を紹介するだけで、多くの重要な事実を公表しなかった。中でも重要な、「9割の所員が待機命令に違反して撤退した」という事実も伏せられた」のだそうです。政府事故調については、以前から国会事故調と比較して、その信頼性に疑義があると感じていましたが、やはりそうだったのか、の印象はぬぐえません。更に朝日新聞の記事には、「吉田調書」にはこれ以外にも国や東京電力が隠している多くのことが含まれ、反省材料が凝縮されており、国は原発再稼働を急ぐ前に、政府事故調が集めた全ての資料を公表し、「福島の教訓」を安全対策や避難計画にいかすべきだ、と書かれています。全くその通りでしょう。

 

なお、そもそも論で言えば、今回の福島第1原発事故の際のように、原発が危機的状態に陥り、現場の作業員の生命にかかわるような事態になった時でも、死や取り返しがつかない重症を覚悟の上で、現場の作業員にその過酷事故対策にあたらせるようなことが果たして許されるのか、また、こうした「命がけの特攻作業」を前提にしてまで、何故に「たかが電気のために」原発・核燃料施設を稼働し続けなければならないのか、全く理解できないことです。

 

原発・核燃料施設は「さっさとやめる」こと、それ以外に選択肢はないのです。原発をやめれば「命がけの電力」など必要なくなります。

 

下記URLも合わせてご覧ください。

 

● 福島原発事故「吉田調書」を入手 吉田所長の指揮克明に:朝日新聞デジタル

http://www.asahi.com/articles/ASG5M5JFMG5MUEHF01D.html?iref=comtop_6_01

 

(一部抜粋)

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朝日新聞は、震災時の東京電力福島第一原子力発電所所長、吉田昌郎氏が原発事故について政府事故調査・検証委員会の調べに対して語った「吉田調書」を入手した。2013年7月に死去した吉田氏と、聴取を主導した検事ら事故調委員とのやりとりが四百数十ページにわたり記されている。文字数にするとおよそ50万字だ。

 

朝日新聞は吉田調書でわかった新事実を20日付朝刊で報じる予定だ。朝日新聞デジタルでは特集ページを立ち上げ、9回にわたり詳しく伝える。特集ページのURLは次の通り。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

●吉田調書 - 特集・連載:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/special/yoshida_report/

 

 <別添PDFファイル>

(1)政府事故調「吉田調書」:所長命令に違反し原発撤退(1)(朝日 2014.5.20


(2)政府事故調「吉田調書」:所長命令に違反し原発撤退(2)(朝日 2014.5.20


(3)全電源喪失の記憶:(菅直人首相は)「来るべきじゃない」(福島民報 2014.4.15

 

((1)から一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 東京電力福島第一原発所長で事故対応の責任者だった吉田昌郎(まさお)氏(2013年死去)が、政府事故調査・検証委員会の調べに答えた「聴取結果書」(吉田調書)を朝日新聞は入手した。それによると、東日本大震災4日後の2011年3月15日朝、第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた。

 

 その後、放射線量は急上昇しており、事故対応が不十分になった可能性がある。東電はこの命令違反による現場離脱を3年以上伏せてきた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

 <追>「(3)全電源喪失の記憶:(菅直人首相は)「来るべきじゃない」(福島民報 2014.4.15)」の記事について

 

●全電源喪失の記憶 証言 福島第1原発 第2章 一号機爆発(1) - 子どもたちの未来へ   《 脱原発と国際協力 》

http://blog.goo.ne.jp/tanutanu9887/e/eebb924c7d8e23a1efcd7827bc9861d8

 

 (上記「吉田調書」に関連して)事故から3年がたって、いろいろなことが明らかになっているにもかかわらず、未だにかような的外れ・ピンボケの「菅直人元首相バッシング」記事が、こともあろうに福島県の地元新聞に載るということは、いささかあきれる思いである。

 

 私は菅直人元首相に対しては、非常に厳しい態度をとっていて、現在の日本の多くの不幸の(直接の)始まりは菅直人元首相にあると思っている。消費税増税しかり、TPPしかりである。とりわけ福島第1原発後の後始末=事故後対策の非人道性(被害者放置・切り捨て)や東京電力・原子力ムラ温存、あるいはそこから必然的に導かれる原発再稼働・原子力再推進の伏線を最初から敷いておいた、その基本姿勢は、全く許しがたいことであると思っている(例:ストレステスト)。しかし、そのこととは別に、菅直人元首相が、事故直後において、この原発事故を何とか大事に至らぬように全力で押しとどめようとした、その姿勢だけは評価してもいいのではないかと思っている。

 

 菅直人元首相が、事故後間もなく、てんやわんや状態の福島第1原発の現場へ出かけて行ったのもその一環で、要は、そうしなければ、当事者の東京電力をはじめ、原子力安全保安院や原子力安全委員会、あるいは経済産業省・文部科学省などなど、事故現場からも、担当官庁からも、どこからも首相官邸にまともな信頼に足る情報が入ってこず、いったい何がどうなっているのか、まったく見当もつかなかったからである。責められるべきは菅直人元首相ではなく、菅直人元首相や総理官邸に、しっかりとした情報をタイムリーに提供をしなかった、あるいは適切な対応策を適時にアドバイスしなかった周辺のガラクタ人士たちである(何故、原子力安全保安院長や原子力安全委員長らは、その罪を問われていないのか? 例えば原子力安全保安院長などは、私は文系の人間です、などと言って、総理官邸から早々に立ち去ってしまったというではないか、なんでそんな人間が割増退職金をもらい、天下りまでして、何の責任も問われることなく今を過ごしているのか)。

 

 しかし、この記事には、そうした霞が関・日本政府中枢における(お寒いばかりの)危機管理体制の根本的な欠落状態・欠陥状態・無責任状態のことについては、一言も触れられていない。今頃になって、逃げ出した張本人の一人の池田元久(民主党:当時は経済産業副大臣)に、後講釈とも言えそうなコメントをさせている程度の記事であり、すべては菅直人元首相の責任であったかのごとき書きぶりである(池田はその後、病院に入院して福島現地での職務を離れてしまっている)。何を馬鹿なことを書いているのかという印象だ。つまり、ピンボケ記事も甚だしいということである。

 

 そして大事なことは、上記で申し上げた東京電力の無責任体制と歩調を合わせ、日本政府・政治家・霞が関官僚たちには、だれも責任をとる者はいないという、大日本帝国時代からの「総無責任体制」が、今もなお、危機管理体制のお粗末を含めて、続いているのだということである。このボケた新聞記事が、いみじくも、その「無責任体制」の健在ぶりを暗示していると言えなくもないのである(「マスごみ」もまた。この無責任体制の一角を形成しているからだ)。

2014年5月18日 (日)

「美味しんぼ」の「鼻血問題」に関する3人の有識者の表明 (西尾正道氏、広河隆一氏、松井英介氏)

前略,田中一郎です(重複を深謝)。

 

別添PDFファイル及び下記は、今般、社会問題化している「美味しんぼ」の「鼻血問題」に関する3人の有識者の表明です。ご参考までに。

 

なお、漫画「美味しんぼ」を連載する小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」については、次号からしばらく休載することが明らかにされた、とのことです。日本の言論・表現の自由が、もはや今日では、旧ソ連・東欧諸国などのスターリン主義国家並み、あるいは戦前の大日本帝国と紙一重状態に陥りつつあることを暗示しているように思えます。小学館よ、なさけないぞ!! しっかりしろ!! 

 

●「美味しんぼ」一時休載へ 「表現のあり方を今一度見直す」と編集部見解 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140516-00000582-san-soci

 

また、安倍晋三はいつものごとく、ホラ吹き童子を演じております。許せませんね。

 

●東京新聞首相「風評に国として対応」 美味しんぼ描写政治(TOKYO Web)

 http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014051701001481.html

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014051701001481.html

(放射線被曝が安全・安心であるかのごとき「風評」を流しているのは国であり福島県です)

 

そして、その結果は下記

 

●つなごう医療 中日メディカルサイト 福島の子 甲状腺がん50人に 「疑い」は39人

 http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20140518063919162

 

 <別添PDFファイル>

(1)Csホット・パーティクル問題(西尾正道先生レジメ)

「hot_particles.pdf」をダウンロード

(2)チェルノブイリ避難者アンケート(広河隆一氏レジメ)

「hanadi_hirokawaryuuitisi.pdf」をダウンロード

(3)2014-05-18「美味しんぼ」と「脱ひばく」完成版(松井英介先生レジメ)

「hanadi_matuieisuke.pdf」をダウンロード

 

1.西尾正道元(独)国立病院機構北海道がんセンター院長

 下記、及び別添PDFファイル他をご覧下さい。

 

● 鼻血と放射能の関係:人生二毛作の田舎暮らし:So-netブログ

 http://nimosaku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-07

 

以下はメール転送です。

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 飯田哲也

【鼻血問題に関する西尾正道北海道がんセンター名誉院長の見解】

 西尾先生ご本人の了解を得て、西尾先生の見解を全文を掲載いたします。飯田も原子力を学んだ大学で「ICRP洗脳」されていましたが、ICRP洗脳が抜けた今は、西尾先生の見解に納得できます。要旨は、以下のとおりです(括弧内は飯田の補足)。

 

・事故後は鼻血を出す子どもが多かったことは事実(だから、御用学者はその時は沈黙を守っていた)

・ICRP(の急性被ばく)の論理では説明できない(だから、ヒステリックに否定する御用学者、守旧メディアが多い)

・放射性のチリによる準内部被ばくで鼻血などの影響は十分にあり得る(報道ステーションや朝日社説は「内部被ばく」と「低線量 被ばく」を取り違えている)

・非科学的なICRP信奉者は、自分たちの都合のよい内容だけを科学的と称する発言

 

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鼻血論争について     

2014514日 北海道がんセンター 名誉院長:西尾正道

 

 巷では、今更になって鼻血論争が始まっている。事故後は鼻血を出す子どもが多かったので、現実には勝てないので御用学者は沈黙していたが、急性期の影響がおさまって鼻血を出す人が少なくなったことから、鼻腔を診察したこともない放射線の専門家と称する御用学者達は政府や行政も巻き込んで、放射線の影響を全否定する発言をしている。

 

 しかし、こうしたまだ解明されていな い症状については、根源的に物事を考えられない頭脳の持ち主達には、ICRPの基準では理解できないのです。ICRPの論理からいえば、シーベルト単位の被ばくでなければ血液毒性としての血小板減少が生じないので鼻血は出ないという訳です。

 

 しかしこの場合は、鼻血どころではなく、紫斑も出るし、消化管出血も脳出血なども起こります。しかし現実に血小板減少が無くても、事故直後は鼻血を出したことがない多くの子どもが鼻血を経験しました。伊達市の保原小学校の『保健だより』には、『1学期間に保健室で気になったことが2つあります。 1つ目は鼻血を出す子が多かったこと。・・・』と通知されています。またDAYS JAPANの広河隆一氏は、チェルノブイリでの2万5千人以上のアンケート調査で、避難民の5人に1人が鼻血を訴えたと報告しています。こうした厳然たる事実があるのです。

 

 この鼻血については、次のように考えられます。通常は原子や分子は何らかの物質と電子対として結合し存在しています。セシウムやヨウ素も例外ではなく、呼吸で吸い込む場合は、塵などと付着して吸い込まれます。このような状態となれば放射化した微粒子のような状態となり、湿潤している粘膜に付着して放射線を出すことになります。そのため一瞬突き抜けるだけの外部被ばくとは異なり、準内部被ばく的な被ばくとなるのです。

 

 微量な放射線量でも極限で考えると、原子 の周りの軌道電子を叩きだし電離を起こします。この範囲が広範であれば、より影響は強く出ます。被ばく線量もさることながら、被ばくした面積や体積がもろに人体影響に関与します。

 

 事故後の状態では、放射性浮遊塵による急性影響が真っ先に出ます。放射性浮遊塵を呼吸で取り込み、鼻腔、咽頭、気管、そして口腔粘膜も含めて広範囲に被ばくすることになりますから、最も静脈が集まっている脆弱な鼻中隔の前下端部のキーゼルバッハという部位から、影響を受けやすい子どもが出血することがあっても不思議ではありません。

 

 また咽が痛いという症状もこうした機序によるものです。この程度の刺激の場合は粘膜が発赤したりする状態にはなら ず、診察しても粘膜の色調変化は認められないが、粘膜の易刺激性が高まるため、広範な口腔・咽頭粘膜が被ばくした場合は軽度の痛みやしみる感じを自覚する訳です。

 

 受けた刺激を無視し、採血や肉眼的な粘膜炎所見などの明らかな異常がなければ、放射線が原因ではないとして刺激の実態をブラックボックス化するICRP

の盲信者は科学者としては失格です。ICRPの健康被害物語では現実に起こっている被ばくによる全身倦怠感や体調不良などのいわゆる「ぶらぶら病」も説明できません。そのため何の研究や調査もせずに、精神的・心理的な問題として片付けようとする訳です。今後、生じると思われる多くの非がん性疾患についても否定すること でしょう。鼻血論争は、未解明なものは全て非科学的として退け、自分たちの都合のよい内容だけを科学的と称する非科学的なICRP信奉者の発言の始まりでしかないと思います。

 

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(以上、終わり)

 

2.広河隆一氏

 下記、及び別添WORDファイル(チェルノブイリ避難者アンケート)をご覧下さい

 

以下はメール転送です。

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前略、

みなさま

 

DAYS JAPAN編集部の丸井と申します。

ビッグコミックスピリッツの漫画「美味しんぼ」につきまして、福島での特に鼻血の描写が、「不安をあおる」などとして抗議を受けております。小誌編集長広河隆一は、日頃からみなさまにご支援いただいておりますように、チェルノブイリ事故後から50回を超えて現地での取材・救援活動を行っています。そして、1993年~1996年にかけて、広河とチェルノブイリ子ども基金(広河設立、前代表)は、チェルノブイリ原発事故の避難者25564人に対して、健康状況に関する独自のアンケートを行いました。その結果では、5人に1人が鼻血を訴えています。

 

今回の「美味しんぼ」の鼻血のシーンに対する広河の見解と、今年3月にインタビューをした現地ウクライナの医師の話、アンケートの内容を添付にてお送りさせていただきます。チェルノブイリの人々の、このアンケートの結果を広く拡散いただけますと幸いです。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

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株式会社デイズジャパン

編集部 丸井春

T03-3322-4133/F03-3322-0353

Email:marui@daysjapan.net

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3.松井英介氏

 別添WORDファイル(2014-05-18「美味しんぼ」と「脱ひばく」完成版)をご覧下さい。

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●「美味しんぼ」の鼻血問題  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-4fa0.html

 

●カジノ狂乱  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-5afb.html

 

●カツオ 高根の花に? 日本近海、記録的な不漁(東京新聞 2014.5.13 より)+カツオの放射能汚染のこと  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/2014513-ec69.html

 

 

上関原発を目先の政治情勢判断でもてあそばないでください=きっぱりと建設中止を決める勇気を持って下さい

前略,田中一郎です。

 

下記は、上関原発に反対する山口県の方からのメールの転送です。

みなさまも、よろしければ、山口県知事と山口県庁に、抗議のシグナルをお送りいただければ幸いです。

私が送ったメールを添付しておきます。

 

以下はメール転送です。

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上関原発を建てさせない山口県民大集会に

ご協力くださった皆さまへ

 

集会事務局長を務めました、草地大作です。

皆さん報道等でご承知の通り、414日に山口県が

受領した中国電力からの公有水面埋立免許延長

申請に対して、昨日村岡嗣政山口県知事は、来年

2015515()を期限とする6度目の質問を

中国電力に発送しました。

 

毎日新聞 http://goo.gl/0rr5WL

読売新聞 http://goo.gl/GUKYO6

 

先ほど港湾課に問合せ、抗議を伝えましたが、

その中でも「一年の回答期限の法的根拠はない」

と担当者は応答しています。

 

昨年3月に山本繁太郎前知事が「一年間の先送り」を

表明したこと自体、すでに法的根拠のないことでしたが、

今回の村岡知事は、その「法に基づかない先送り」を

重ねるという、県知事としてまったくふさわしくない判断を

したことに対して、憤懣やるかたない思いで一杯です。

 

3.8集会実行委員会事務局としても、今後の対応を協議

しておりますが、さしあたっては知事室、港湾課に対して

この判断に対する抗議を伝える必要があると思います。

以下に連絡先を記します。あくまでも、各自のご判断に

お委ねすることになりますが、県民の意思を無視した

暴挙に対して、共に声を上げていただければと願います。

抗議行動などの要請については、確定次第、改めて

ご連絡いたします。

 

「知事への提言」

山口県総合企画部広報広聴課内 中央県民相談室

電話 0839332570

FAX 0839332599

http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a11000/chiji-room/proposal.html

 

「山口県港湾課」

電話 083-933-3810

FAX 083-933-3829

メール a18700@pref.yamaguchi.lg.jp

http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a18700/index/

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下記は私が送ったメールです。ご参考までに。

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前略,田中一郎です。

 

村岡嗣政山口県知事さま

山口県庁のみなさま

 

このほど、受領した中国電力からの公有水面埋立免許延長申請に対して、知事は、来年2015515()を期限とする6度目の質問を中国電力に発送したとの知らせをお聞きしました。

 

中国新聞 http://goo.gl/shgrXp

毎日新聞 http://goo.gl/0rr5WL

日経新聞 http://goo.gl/3slTbW

読売新聞 http://goo.gl/GUKYO6

 

福島第1原発事故とその後の東日本の状況をご覧になればお分かりの通り、原発はひとたび事故となれば、大変な事態を巻き起こし、多くの人々を苦しみのどん底に陥れるだけでなく、広い範囲を放射能で汚染してしまい、取り返しがつかない事態を招きます。原発は「失敗が許されない」施設です。

 

原発は安全だなどという話を信じる人は、もう日本にはいません。それに、人間のやることに「失敗が許されない」と言うことはあり得ない話で、地震大国・津波大国・火山大国の日本では、近い将来、再びの失敗が原発で繰り返されることになるでしょう。

 

もう、原発はやめないといけません。福島第1原発事故は不幸中の幸いで、かろうじて格納容器や使用済み核燃料プールが生き残るなど、とことんひどい状態までは行きませんでした。でも、今度はそうはいかないでしょう。

 

上関原発が事故を起こせば、私が愛する美しい瀬戸内海と山口県を含む瀬戸内地方や中国・四国・関西地方は、放射能で壊滅状態となります。何ゆえにかようなリスクを抱えて原発を続けなければならないのでしょう。まして上関原発はこれからつくるという話です。愚かなことです。

 

上関原発の建設中止=埋め立て不許可の決断をして下さい。国の顔色をうかがうような政治的風見鶏行為はいけません。表面化していることに流されて、故郷=瀬戸内海をもてあそぶのはやめましょう。きっぱりと中止の決断をお願い致します。

 

私は、美しい瀬戸内海と山口県をこよなく愛しております。

どうぞこれをしっかりと守って下さい。

 

原発などなくても、電気は足りていますし、これからも何の心配も要りません。

原発は、危険で汚く効率の悪い、20世紀の老朽化技術にすぎないのです。こんなものにしがみついていては、未来が破壊されてしまいます。

早々

 

2014年5月13日 (火)

カツオ 高根の花に? 日本近海、記録的な不漁(東京新聞 2014.5.13 より)+カツオの放射能汚染のこと

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは本日付の東京新聞記事です。今年はついに日本近海で春カツオがほとんど取れなくなったことが報じられています(市場に出回っているのは、冷凍物(輸入品)や遠洋漁獲のカツオです)。

 

●カツオ 高根の花に? 日本近海、記録的な不漁(東京新聞 2014.5.13

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014051302000138.html

 

 カツオについては、以前にもメールをさしあげていたと思いますが、1970年代頃から中西部太平洋の赤道付近での乱獲(主として巻網)により、資源の減少が目立ち始め、にもかかわらず、アジア諸国を中心に益々カツオ漁船が増えて行くという、嘆かわしい事態となっています。中西部太平洋海域でのカツオの漁獲高は、1970年ころが40万トンくらいだったのが、今では150万トンを超え、更に増えて行きそうな勢いにあるのです。日本での総漁獲高は、逆に40万トンレベルから20万トンレベルに減少し、そしてついに今年はほとんど獲れなくなってしまったというわけです。そりゃ、カツオが日本にやってくる手前で、太平洋の南の方で大量に乱獲されてしまったら、日本にカツオは来なくなるでしょう(しかもこの状態は、カツオだけでなく、マグロやサメなどでも顕著です。かつてはクジラもそうでした)。

 

 記事を見ると、海水の温度のせいだ、などと、いつものパターンの悠長なことを言うのがいるようですが、それが原因なら、何故カツオの日本近海での漁獲高が年々右肩下がりで減少し続けるのか、理由がわかりません。

 

 以前にも申し上げましたが、水産資源の管理に責任のある水産庁とは、その入り口の看板に「私たちは無責任です」と、透明の字で書いてあるくらいの官庁ですから、こんな水産庁が実施している水産資源管理が適切に機能しているはずもありませんし、したこともありません。まして、カツオ資源の管理は国際的な管理を必要としますから、益々、水産庁にはできるはずもないのです。高知や和歌山や鹿児島や静岡などのカツオ一本釣りの漁業者たちは、早い段階から、つまりもう10年近く前から、カツオ資源の異変・漁獲減少に警笛を鳴らし、水産庁に幾度となく対策を訴えてきておりましたが、今日に至るまで、この無責任官庁の水産庁は、きちんとした対応をしてきていないのです(同じ漁業者でも、巻網業界は乱獲をするほうの側です。カツオなら一本釣り、マグロならはえ縄の方が、巻網漁業よりは資源に対しては良識がある、といっていいでしょう)。

 

 まずもって、こうした漁業資源の乱獲は、その水産物の需要者がどこにいるかを見て、需要サイドから手を打つ必要があります。そして、カツオのみならず、マグロもまた、乱獲されながら、その大半が日本に輸入されていることを忘れてはならないのです。さしあたりのカツオの資源管理の方法は、まず、カツオ輸入を加工品も含めてやめることです。マグロもそうです。これが最も効果的な方法ですが、これを日本政府・水産庁は、やったことがありません。少し前は、熱帯雨林を乱伐した南洋材や製紙原料チップの輸入が大問題になりましたが、それも結局は熱帯雨林を破壊し尽くすまで、輸入は止まらなかったのです。エビもそうですし、バナナもそうですし、パーム油もそうです。これらの輸入食料は、生産現場の持続可能性を破壊し、生産労働者を含むたくさんの社会的悲劇と不公正を引きづりながら、日本に大量に輸入されてくるのです。カツオもまた、その一つといえるでしょう。

 

 もちろん、生産者側・漁業者側での、資源管理を強烈に意識した漁獲制限と、その実効性確保が必要不可欠です。しかし、今日までのところ、国際的にカツオの資源管理を強化して、漁獲管理や漁獲制限を入れようという動きはありません。このままでは、まもなくカツオは「まぼろしの魚」となってしまうかもしれません。

 

<追>カツオの放射能汚染

 カツオについては、放射性セシウムの汚染でさえ、ほとんど検査されておりません。ましてや、その他の放射性核種については事実上ノーチェックです。しかし、潜在的に放射能汚染の危険性がないわけではありません。私は次の3つに気をつけようと考えています。

 

(1)春カツオは太平洋南方から北上してくるカツオなので、今までと大して変わらないから買って食べる。しかし、秋のいわゆる戻りカツオは、日本近海の餌をたくさん食べて大きくなっているので、どうも危険性が高いのではないか。秋の戻りカツオは買って食べない。

 

(2)カツオの内臓類や骨は、加工品も含めて口に入れない。カツオの塩辛などは、内臓を使っている可能性が高くさけておいた方がいい。骨を乾燥させたものなどもやめた方がいい(放射性ストロンチウムその他の放射能リスク)。

 

(3)ペットフードはどうも危ないようだ。放射能だけでなく、さまざまな観点から危ない、子どもが口に入れないよう要注意だし、自分の亭主より、ペットのわんちゃん・ねこちゃんを大事に思っている奥さまには、ペットフードは禁物です。

 

 かような心配を消費者がしなくても済むように、政府は、カツオなど、様々な魚について、放射性セシウム以外の放射性核種を含めて、徹底して検査・調査すればいいのですが、放射能が検出されると大変なので、調べないことにしているようです。アブナイ、アブナイ!!

早々

カジノ狂乱

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、昨今の「カジノ」に関するマスコミ報道を若干集めたものです。201312月、超党派の国際観光産業振興議員連盟が「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR推進法案:Integrated Resort 、略称IR)を国会に提出しており、この法案が間もなく審議されて国会を通過しそうであると報じられています。「カジノ」という「ばくち施設」=賭場のことを「特定複合観光施設」とはよく言ったもので、ものは言いよう、とは、まさにこのことではないでしょうか。しかも、このカジノ、必ずしも東京だけの話ではなく、全国いたるところ「カジノ」だらけにして「特定観光」ができるようにするとか、2020年の東京オリンピックは、カジノ・オープンと共同歩調にして、スポーツとばくちの夢の祭典にしようと、ロクでもない方々は手ぐすねを引いて、法案の国会通過を待ちうけているようです。以下、簡単にご紹介申し上げます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)カジノ法案、来月にも審議入り(東京 2014.4.30

(2)いよいよ解禁か、カジノ狂奏曲(『週刊ダイヤモンド 2014.4.20』)

 



1.カジノ法案、来月にも審議入り(東京 2014.4.30

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014042902000156.html

 

(一部抜粋)

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 日本でのカジノを解禁するカジノ法案が、国会で早ければ五月中にも審議入りする。カジノ推進派は、経済効果や自治体財政に貢献すると、バラ色の宣伝をするが、どうも怪しい。カジノによる損失はほとんど無視され、ギャンブル依存症対策も置き去り。負の側面を残したまま、カジノを推進する必要はあるのか。

 

(中略)米国では2010年時点で、22州566か所にカジノがあり、飲食や宿泊なども含め82万人の雇用を支え、国内総生産(GDP)の1%を占めるとされている。ある米国の研究者の調査によれば、カジノ関連の飲食や宿泊などで千ドルの利益が発生するごとに、カジノ周辺の50キロ圏内では、約380ドルの減収になるという。

 

(中略)横領など犯罪に伴う損失、ギャンブラーの労働生産性の低下、失業や破産に伴う生活保護費、自殺、ギャンブル依存症などを防ぐための費用、さらに離婚や子どもの養育放棄なども重なり、社会的コストは際限なく増大する。

 

(中略)こうした社会的コストは全米で3兆2千4百億~5兆3千8百億円にも上るという試算がある。

 

(中略)(静岡大学)鳥畑与一教授(国際金融論)は「国や自治体は、社会的コストに加え、カジノのためのインフラ整備も負担するから、財政も改善しない。経済全体としては、成長の推進力にならない」と言い切る。「カジノで利益を手にするのは一部の集団と地域。その半面で、命と健康、家庭が犠牲になる集団と地域も出てくる。国や自治体が、略奪ビジネスに手を貸していいのか」と問い続ける。

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(田中一郎)カジノを仕掛けているのは、どうもアメリカのギャンブル資本のような気がする。下記の週刊ダイヤモンドでは、日本への興味を強めているとして、米ラスベガスのカジノ王の名前が挙がっていた。裏でいろいろとたきつけられて、場合によっては利益のおすそ分けの約束もしてもらって、日本のカジノ推進論者たちは、その気になって大騒ぎをしているのかもしれない。しかし、ばくちで地域振興だの、国家経済の活性化だのと、言いだすこと自体が末期症状ではないのか。カジノ解禁に傾倒する日本人は、今一度、あのかつて名著『なにわ金融道』でもご覧になるといいでしょう(ギャンブル・ばくちで借りた金を返す時は、ぎょーさん返さなあきまへんねん。つらいでっせ)。

 

●『なにわ金融道』(青木雄二)

https://www.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E3%81%AA%E3%81%AB%E3%82%8F%E9%87%91%E8%9E%8D%E9%81%93&gbv=2&sa=X&oi=image_result_group&ei=x5xxU4mJHob48QWt8oKAAg&ved=0CDEQsAQ

 

2.いよいよ解禁か、カジノ狂奏曲(『週刊ダイヤモンド 2014.4.20』)

 http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201404210041

 http://www.zaikei.co.jp/article/20140421/189568.html

 

 こちらのダイアモンド記事は、更に詳しい「狂乱カジノ事情」が伝えられています。みなさまには、是非、そのすべてをご覧いただきたいと思いますが、下記には次の3つだけをご紹介しておきたいと思います。原本は書店でお求めになるか図書館等でご覧ください。

 

(1)「カジノ」=ばくち施設、賭場のことを「特定複合観光施設」とはよく言ったものだ

 下記は、シンガポールにある「マリーナ・ベイ・サンズ」と呼ばれるカジノ複合施設の売上高と面積です。「複合施設」の正体が赤裸々に出ています。カジノ施設の延べ床面積はわずか5%にすぎないのですが、そのカジノが売り上げの8割を占め、粗利益率は50%近い、これが「特定複合観光施設」の正体です。賭場の親元は笑いが止まらないでしょう。ホテルやショップなどは「おまけ」のようなものです。しかし、これからカジノ推進となれば、この「おまけ」部分が、カジノ部分を覆い隠すようにして大宣伝されることになるでしょう。ここでも、ご都合主義です。

 

  施設     売上高(億ドル)   延べ床面積(m2)

  カジノ     23.6       15,000  

  ホテル      3.6      265,600

  ショップ     1.5       74,300

  全体      29.7      570,000

 

(2)全国20自治体がカジノにラブコール:どうなっとるの?

 自治体の名前を列記しておきます。週刊ダイヤモンドには、このうち、松井一郎大阪府知事と仲井真弘多沖縄県知事が写真入りで出ています。両方とも非常に熱心な推進論者だということです。日本の地方政治家は、地道でまじめな地域振興の努力をしない人間が多いということですか? ばくちで一旗揚げよう、というわけです。かつてはハマコー、この間は、大王製紙オーナーの御曹司、そして、この次は・・・・、何はなくともカジノ、カジノ、カジノというわけです。

 

 釧路、帯広、札幌、小樽、秋田(イーストベガス構想)、仙台(復興カジノ)、成田、東京(お台場)、横浜、珠洲(石川県)、熱海、常滑、大阪市、和歌山、鳴門、宮崎(シーガイヤ)、佐世保(ハウステンボス)、浦添、糸満

 

(3)カジノを推進する政治家達(IR推進議連の主なメンバー)

 言い出しっぺは、石原慎太郎元東京都知事(知事時代にカジノやるぞとぶち上げた)

 自民党(132人):安倍晋三、麻生太郎、鳩山邦夫、茂木敏充、下村博文、保岡興治、細田博之、野田聖子、岩屋毅、荻生田光一

 民主党( 24人):前原誠司

 生活の党( 4人):小沢一郎

 維新の会(30人):石原慎太郎

 公明党(  7人)

 みんなの党(6人)

 無所属(  4人):柿沢未途

 

 小沢一郎さん、あなたは過去を反省して生まれ変わったんじゃなかったのですか? 「生活の党」とか何とか言って、ばくちを推進して行くんですか? これじゃ生活を破壊しますよ。小沢一郎氏を含め、このIR議連の政治家達、まるで下記のスピルバーグ監督映画「グレムリン」のようですね。どうやら日本をめちゃくちゃにしてくれるようです。

 

GREMLINS-グレムリンの主題曲 - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=WN86CAr8_oc

 http://cinemavideo.blog74.fc2.com/blog-entry-171.html

 

●グレムリン 絵画

https://www.google.co.jp/images?hl=ja&q=%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%83%B3&gbv=2&sa=X&oi=image_result_group&ei=7qRxU4_AJILm8AX6rIDoAQ&ved=0CC8QsAQ

早々

 

 

「美味しんぼ」の鼻血問題

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

昨今、巷を騒がせております「鼻血」問題の関連情報を若干集めてみました。ご参考までにご覧ください。私(田中一郎)のコメントは下記です。

 

◆自分ではない他の人が「鼻血が出た」「体調がすぐれない」と言ったときに、「そんなことはあるわけがない、あなたの言っていることは風評だ、迷惑だ、行きすぎだ、容認できない(黙りなさい)、傷つけられた」、云々かんぬんと、まあ、これって、何言ってるんですか、ではありませんか、おかしくないですか? 鼻血は出たんです、出て何が悪いのでしょう、出たのを出たと言って何かいけないことでもあるのですか、ということではないのでしょうか? 福島第1原発事故の前だったらどうだったでしょう? 福島に行ったら、鼻血が出ても、体調が悪くなっても、断固として認められません、黙りなさい、迷惑です、風評助長です、なんて、やっつけられるのですか? これじゃ、自分の体の異変も口に出して云えないし、鼻血も出すことができません、放射能への心配さえも口外できなくなってしまうでしょう。こんな状態では、そもそも福島に行く人もいなくなってしまうのではありませんか。このあり様を見て、県庁さまのご抗議を拝聴して、ああ、安心した、福島の放射能はみんな「風評」だったんだね、なんて、思うと思いますか? 少し頭がおかしくなっていませんか。福島には暗黒社会ができてしまったということですか。自重すべきはどっちなのでしょう?

 

◆そもそも論で言えば、鼻血や体調不調は被ばくが原因ではない、などと言い切れる科学的実証的な証拠など、どこにもありません。被ばくによる健康被害は個体差が大きく、何とも言えないのです。鼻血が出る出ないだって、放射能云々カンヌンとは別にして、個人差が大きいです。鼻血がよく出る人は出るんです。原理的には放射線被曝は非常に危ないものです。鼻血はあり得ない話ではありません。被ばくの仕方だって、同じ場所に同じようにいたとしても、人によってそれぞれ違います。わずかな外部被曝で済む人もいれば、深刻な内部被曝をしてしまう人もいます。いい加減な根拠で「あり得ない」などと言う人間こそ、医者なのか学者なのかは知らないけれど、怪しい人たちです。名前を覚えておいて、今後はそういう人達の言うことは信用しないようにいたしましょう。なにせ放射線被曝がどれくらい健康被害をもたらすのか、低線量になれば、そう簡単には決めつけられないのですから。しかし、必ず誰かは、ロシアンルーレットのように引き金の犠牲になることは分かっています。鼻血なんて放射能と関係がないなどという人間ほど、この低線量被曝の危険性を訴えることはまずありません。つまりはご都合主義の御用型人間だということでしょう。

 

◆ついでに申し上げておきます。福島県庁は、何か放射能や被ばくのことがあるとすぐに、WHOだ、IAEAだ、ICRPだ、UNSCEARだと、いわゆる国際原子力マフィアと言われている組織を持ちだしてきて権威付けしようとします。しかし、こういう国際組織は、これまで何十年もの間、世界中で放射能の危険性と放射線被曝による健康被害を矮小化し、過小評価し、隠蔽し、捻じ曲げてきた組織です。こんなところの言うことを持ちだしてくれば来るほど、逆にそれは全く信用できないものだ、と言うことになるのです、逆効果です。そもそもIAEAなどは原子力の推進機関です。そんなところが、放射能は大したことはありません、被ばくは心配しないでいいです、なんて、かつてのダマシタ俊一(山下俊一)のようなことを言ったとしても、誰がそんなものを信用するでしょうか。原子力を推進するための方便だと、たいていの人は思うでしょう。県民・国民に納得をしてもらう根本の姿勢のところから歪んでいると言えます。福島県庁様、一度、根性をたたき直して差し上げましょうか。

 

◆それから、福島県庁に申し上げたいのですが、あなた方は「県民を傷つけてはいけない」なんて、よくもそういうことが平気で言えますね。何言ってるんですかと言い返したくなります。あなた方のおかげで、心だけでなく、実際に猛烈な放射線で体を傷つけられてしまった県民はたくさんいるんですよ。要するに、県庁のあなた方が加害者なんです。県民の放射線被曝が無用に大きくなってしまったのは、あなた方が放射能汚染を隠していたからです。県民の健康調査もあなた方が邪魔をしたから、初期被ばくも分からなくなってしまいました。三春町にヨウ素剤を住民に飲ませるなと、圧力をかけたのは誰だったのですか、あなた方県庁ではないですか。どの面下げて「県民を傷つけてはいけない」などと言うのでしょうか。

 

◆そもそも、こんな鼻血の話が大騒ぎになるのも、本来ならば、きちんと賠償・補償と再建支援を受けて、(除染の期間中の一時的なものを含めて)避難・疎開・移住をしてなければならないような高濃度の放射能汚染地帯に、県民・住民を経済的に追い込みながら無理やり定住・帰還させているからこそではないのですか。要するに、あなた方の言っている「復興」など、どこにも県民の命と健康を守って、無用の放射線被曝を避けながら、一人たりとも放射線被曝被害者を出すことなく、人間を最も大事にした復興を主眼にやって行くということがない、ニセモノの土建・利権の復興だからではないのですか。

 

◆何が一丸となっての復興でしょうか。何が「風評」ですか。いい加減なことを言うな、です。県民・国民をバカにするな、です。放射能や被ばくへの懸念が高まって、たくさんの人が心配で心配で不安に陥っているのは、あなた方県庁の出鱈目な事故後対応が大きな原因なんです。放射能だ、放射線被曝だと言えば、すぐに隠したがるし、ごまかしたがるし、口を開けば風評だという。いい加減にしろ、です。

 

(大阪の放射能の危険性を理解できないチンピラ右翼が、口を出しているようですね。じゃかましい、引っ込んでろい、とみんなで声をあげましょう。大阪は私の生まれ故郷です。まさにこの人間は大阪の「恥さらし」です。情けなくて、恥ずかしくて、穴があったら入ってしまいたい気分です)

 

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まず、この2つをご覧ください。

1.総統閣下が「美味しんぼ」鼻血問題でお怒りのようです - Dailymotion動画

 http://www.dailymotion.com/video/x1u1hza_%25

 

2.【ルポ】原発問題を考える 【原発】福島の真実──『美味しんぼ』作者・雁屋哲氏に聞く オーストラリア生活情報サイト NICHIGO PRESS 日豪プレスが運営するオーストラリア生活の総合情報サイト

http://nichigopress.jp/interview/%E3%80%90%E3%83%AB%E3%83%9D%E3%80%91%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B/51415/

 

 <別添PDFファイル>

(1)鼻血描写、広がる論議(美味しんぼ取材協力の医師「体の異変、感じる人いる」)(東京 2014.5.15

(2)美味しんぼ問題、風評助長、容認できず、県が反論(福島民報 2014.5.13

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014051315618


(3)飯坂で山林火災、4時間燃え鎮火状態(福島民報 2014.5.13

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014051315633

 

 <さらに追加>

●<鼻血は風評被害だ?>環境省が異常な反応~いろいろまとめ~ 「如何に福島は危ないかを証明しているのは今の環境省」 - みんな楽しくHappyがいい♪

 http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3708.html

 

●美味しんぼ 次号では鼻血以上の過激表現があることを予告・・・福島の真実は本物なのか - ほにゃらん速報

 http://shunnetablog.blog.fc2.com/blog-entry-279.html

 

●「美味しんぼ」の描写に波紋 被曝で鼻血…抗議相次ぐ:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/ASG5D4W9FG5DUGTB00C.html

 

●美味しんぼ鼻血、がれき受け入れた大阪も抗議 社会 読売新聞(YOMIURI ONLINE

 http://www.yomiuri.co.jp/national/20140512-OYT1T50059.html

 

●漫画「美味しんぼ」の最新話、「鼻血は被爆が原因」と明記!他にも「ガレキ処理で健康被害」「福島には住めない」というような描写も! - 真実を探すブログ

 http://saigaijyouhou.com/blog-entry-2497.html

 

●美味しんぼの描写、「残念で悲しい」と浮島環境政務官 - MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140508/dst14050820080008-n1.htm

 

●【福島県伊達市】小学校の『保険だより』に「1学期間に鼻血を出す子が多かった」 SAVE CHILD

 http://savechild.net/archives/6247.html

 

[CML 031287] 放射性物質を呼吸により取り込む可能性がある事の報道があったので連載再開の美味しんぼじっくり読んでます

 http://list.jca.apc.org/public/cml/2014-May/031312.html

 

●原発事故後に鼻血が出た方 (2011716日横浜市青葉区) – YouTube

 https://www.youtube.com/watch?v=dLsB5fu7Uw4&feature=youtu.be

 

<追>

(3)飯坂で山林火災、4時間燃え鎮火状態(福島民報 2014.5.13

 http://www.minpo.jp/news/detail/2014051315633

 

 原発事故による放射能で環境が汚染された地帯では、山火事というのは絶対に避けなければいけない災害なんです。この飯坂の山火事ですが、たいへんよろしくありません。おそらくは森林にあった放射能が、山火事によって、あたり一面に広がってしまっているでしょう。呼吸被ばくが非常に懸念されます。山火事防止は放射能汚染地帯の防災対策のイロハ中のイロハで、実際、チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国では、山火事防止が最重要対策の一つでした。

 

 しかし、日本では、国も、農林水産省・林野庁も、各県庁も、基礎自治体の多くも、放射能に汚染された森林火災・山火事防止への警戒と防止対策強化はほとんどないと言っていいと思います。この国は、まもなく深刻な事態に陥るように思われてなりません。放射能を甘く見すぎです。

早々

 

2014年5月12日 (月)

(政権交代後の)脱原発のための具体的施策=段取りを議論・検討する必要があります : 電力自由化論の陥穽

前略,田中一郎です。

 

かねてより私は、2016年に大きな国政選挙があるので(おそらくは夏の参議院選挙と冬の衆議院選挙が夏に同日実施となる可能性大)、この政治決戦に向け、今度こそ「脱原発候補」の統一を実現させるとともに、国政選挙の最大争点を「脱原発」として世論を盛り上げ、この選挙で圧倒的多数により勝利して政権交代を実現させ、原発・核燃料施設と原子力ムラを永久に葬り去る準備をすべきであると申し上げて来ました。

 

そのためには、脱原発を最大の争点とするにはフライイング(東京都知事選挙に勝利しても脱原発は実現しませんから)だった都知事選挙でのいやな思い出は早く捨て去り、どこどこ候補を応援していた人も、だれそれ候補を応援していた人も、ともに力を併せて、今度こそ「脱原発」の立候補者を統一して、全力投球で選挙戦に臨むべきであると申し上げています。何故なら、脱原発を実現するためには、国政選挙こそが本命の選挙であり、これに勝利しなければなりませんから、国政選挙こそが「統一」の最重要最重点選挙であり、従ってまた、都知事選挙で「燃え尽き症候群」を呈していてはならぬからです。

 

この点については、つまり「2016年国政選挙での脱原発統一候補をどう実現するか」というテーマについては、私が参加しております「都民参加への模索連絡会」において、今年夏、初めての「徹底討論、夏季合宿」を行って、脱原発統一候補問題を含む、いろいろな問題を検討しようと企画しています(日程は71213日、場所は湯河原を予定)。追って詳細が決まりましたら、みなさまにお知らせ申し上げます。

 

ところで、今日、下記に書きますことは、その「統一候補問題」ではありません。下記に書きますことは、脱原発の統一候補が選挙で勝利して国会で多数を占めた時に、さて、その後、どのような手順・施策・段取りで脱原発を実現していけばいいのかという問題です。その際に、いわゆる市場原理主義的な電力市場整備による発電会社の競争と、その自然淘汰論をどう見るか、という問題です。

 

最初に私の立場をはっきりさせておきます、私は、(1)脱原発とは、全ての原発・核燃料施設の即時廃棄でなければならず(大地震・大津波・火山噴火・原発事故は、我々人間の都合を優先してくれないからです。廃棄されるまで、いつ巨大な災難が原発・核燃料施設を襲ったとしても何の不思議もありません。何年か後までに、などと悠長なことは言っておれないのです)、(2)原子炉のみならず使用済み核燃料を含むすべての核燃料が安全管理されなければならず、(3)従ってまた、ただ市場競争による電力会社の自然淘汰を待つというものではなく、はっきりとした意識的で強力な原発・核燃料施設廃棄の人為的施策・処断が必要であること、(4)更に、脱原発は同時に脱被曝、被害者完全救済の三位一体でなければならない、という考え方です。特に、脱原発=原発・核燃料施設の即時廃棄を強調しておきたいと思います。何だかんだと理由を付けての原発・核燃料施設廃棄の先送りは、それは脱原発とは言えない、と考えています。

 

それで、いわゆる電力自由化による脱原発論ですが、確かに原発ゼロへの道筋として、今日でも依然として市場原理主義者たちを中心に「電力市場整備による(発電会社の)自然淘汰論」があることは事実です。しかし、電力業界や原発・原子力の世界を少しでも知っている人間で、こんなことを本気で信じているものはほぼ皆無でしょう。ほとんどの関係当事者は、理屈の上だけで存在する机上の空論だと思っています。大学にいる世間知らずのお気楽学者や一部の政治家達(みんなの党や維新の会、民主党や結いなどの一部若手議員達など)が、それぞれの思惑を秘めながら、かようなことを言っているに過ぎません。電力市場を整備するだけで原発が消えてくれるのなら、おそらく、日本の原発はとうの昔に消えて無くなっていたでしょう。言いかえれば、そんな程度のことでへたばるような原子力ムラ・放射線ムラではない、ということを意味しているのです。

 

「脱原発」への政権交代後に、脱原発派が原発市場淘汰論者と意識的な原発スクラップ論者の2つに割れてしまって思うように脱原発が進まない、市場淘汰論者は、電力会社の原発を(廃炉にするために)国が有償で買い取るなどは「無駄の権化」のようなことなので、税金の無駄遣いになるのだから、そんなことはしないで、巨大電力会社の地域独占を排除して電力市場に競争状態を作れば、やがて自然淘汰されていくのだから、余計なスクラップ政策はとらなくていい、まさに市場原理主義的な政策論がでてきてまとまらない、そういう見方・予測もあるでしょう。が、しかしです。

 

実は私は、そのようには見ておりません。仮に脱原発派が政権を握ったところで、脱原発がスムーズに進まないのは、そうした市場原理主義者達がいるからではなく、まさに原子力ムラ・放射線ムラの政治的な力がまだまだ巨大だからです。必ず様々な形で巻き返しをしてくること必定です。たとえばアメリカ政府を使う、たとえば地方自治体を使う、たとえば電力労組を使う、たとえばマスごみや大学腐れ教授達を使う、いろいろです。つまり、脱原発派の国政選挙での勝利の後も、脱原発戦争は続くということです。そこが主戦場です。決して、選挙に負けたので、原子力ムラ・放射線ムラが、はいそうですか、それでは原発を廃棄いたしましょう、ということにはならない、ということです。つまり、脱原発のやり方をめぐって、市場原理主義的な机上の空論論者を相手にケンカをしている余裕はないということです。

 

しかし、問題は、これで終わるわけではありません。実は、この市場原理主義的な机上の空論が、原発の延命対策として政治利用される可能性があるということです。電力市場を整備して原発を自然淘汰に任せるというのですから、市場整備には時間がかかり、これを先送りしながらぐずぐずとやれば時間稼ぎができます。また、市場が整備された後も、原発が自然淘汰されるのを待つのですから、淘汰されるまでは原発を続けていいわけです。つまり、時間稼ぎと延命の窮余の策とでも言えましょうか。

 

しかし、原子力ムラや原発保有電力会社は、そう簡単には淘汰されません。その政治力は、電力市場の外側で、いわゆる国策民営として、身を切られながらもじりじりと、様々な大義名分や口実を見つけながら続けられていく可能性があります。それは脱原発派が選挙で勝利しようがしまいが、それにかかわりなく、国の原発・原子力へのテコ入れが続けられていく可能性が高いのです。延命・先送りされている間に、情勢の変化や世論動向の転換を待てばいいのですし、原発・原子力の効用を、政治力・経済力に任せて、従来にも増して大宣伝していけばいいのです。

 

そして、もし、電力市場整備の名目で原発が延命でき、かつ、国策民営方式の原発テコ入れが市場の外で続けられることとなれば、脱原発や原発廃棄など、夢のまた夢となることは必定です。選挙で敗北した原子力ムラは、新政権に即時脱原発だけはさせまいと必死になるでしょうし、その際に、この机上の空論とも言うべき市場原理主義的な電力市場整備論は、その格好の「口実」となる可能性があるのです。

 

市場原理主義者と呼ばれる連中が、実は全然市場主義に対して原理的でないこともしっかり見ておく必要があります。国会議員などの政治家も含めて、彼ら「市場原理主義者」たちは、立場の弱い人達に対しては原理主義を振り回して過酷極まることを言い放っておりますが、他方、自分達の利害に絡むことになれば、典型的な「癒着・腐敗・なれあい・コネコネ優先主義」であり、従ってまた、そのご都合主義的な本質をさらけ出すのです。こういう連中が唱える電力市場改革ですから、原子力ムラ・放射線ムラにとっては、これを利用しながら原発レジームの温存や脱原発の排除など、そう難しいことではないのではないかと、推測可能です。

 

日本の有権者・国民の世論があやふやで、こころもとない状態にあることも、原発延命に利用される可能性があります。正反対の物事を足して2で割るような中途半端や、ものごとをきちんとけじめをつけて決着させずに、あいまいにしてずるずる引きずるような優柔不断が、結局は原発延命の土壌となり、それに上記で申し上げた電力市場整備による原発自然淘汰論が乗せられてしまうということです。

 

今現在、自民党・安倍晋三政権が進めている電力改革などは、恐らくそのたぐいです。昨年、その推進法案が可決成立したこともあり、日経や読売などの新聞を使って、しきりに電力自由化が宣伝されておりますが、実態はまるで逆です。簡単に言えば、今すぐにでもできるようなことをさしあたり3年くらい先延ばし・時間かせぎをした「原発・九電力体制温存・改革先送り法案」であって、その3年が経過しても、送配電部門が電力会社からは独立せず(所有分離は絶対にしないと法律で謳ったようなもの)、少々の「自由化もどき」のようなことが入ってきても、市場外での国の原発テコ入れを受けられれば何とでもなる、そういう内容です。例えば電力会社が各家庭にこれから取り付けていくという「スマートメーター」の情報提供をめぐって、早くも火花が散り始めていますが、圧倒的に電力会社優位にことは進んでいます。事態は、こんな風に、アンシャンレジーム温存のままに、進んで行くとみておいていいと思います。本当に電力改革をするのなら、もう一段の突っ込んだ法律改正が必要です。しかし、それを実現する政治勢力は、今のところ存在しておりません。

 

今現在、地域独占の9電力全てが、兆円単位の巨額の追加投資をしてまでも、既存原発にしがみつき、何とか再稼働させようと画策していることを見ても、上記の自民党電力改革なるものが似非であることが間接証明されます。もし、今進められている電力改革が本物であるならば、電力会社の少なくともいくつかは、原発から抜け出ていくであろうと思いますが(原発の実態的な採算やコスト・パフォーマンスは極めて悪く、国がテコ入れしなければ原発などやってられないのです)、そうはなっていません。つまり、9電力全てが、原発を抱えていてもやっていけると踏んでいるということです。

 

議論をもとに戻しますと、従って、脱原発派が政権獲得後にその脱原発を確実なものにするためには、いくつかの必ずしなければならない対策のようなものがあり、それは簡単にいえば、原発・核燃料施設再稼働を許さない「即時にとどめを刺す」政策でなければならないのです。決して市場原理主義的な電力市場整備などではありません。そしてそれは、脱原発派の大半の人間は理解していることです(電力市場の整備は、一旦脱原発で原発が消えてのちに、しばらくして原発が復活するのを止める仕組みとしては有効といえるでしょう。ただし、単純な市場原理主義的市場改造はいけませんが ⇒ この辺は、脱原発論者の間でも議論不十分です)

 

では、とどめを刺す政策とは何か

まず、原発永久停止命令を出したうえで(従わなければ電気事業法上の電力免許取り消し)、脱原発法を制定した方がいいでしょう。簡単にいえば、原発・核燃料施設の禁止法です。

次に、次のような手を並行して至急打っていく必要があります(この辺も、脱原発派の間では議論が十分ではありません)。

 

<「脱原発法」制定と並行して打つべき対策>

(1)国策民営で原発テコ入れとしてどのようなことがなされてきたのかを全て情報公開

(2)それに関連する予算は全て永久にカットする旨の宣言

(3)核燃料サイクル事業撤退を宣言、日本原燃清算・日本原子力研究開発機構解体他

(4)電力会社から原発部門を全部切り離し、「廃炉機構」(仮称)の所管とする(この時に有償売却か無償切り離しかの話が出るが、有償=つまり電力会社と痛み分けでかまわない)

(5)原子力「寄生」委員会の解散と「廃炉規制委員会」(仮称:3条委員会)への改組

(6)経済産業省・文部科学省から原子力関連の権限を全て取り上げて上記の廃炉委へ移譲(経済産業省は一旦解体するのが望ましい)

(7)大学から原子力推進型の講座を一掃(予算カット)

(8)電源3法は廃止して、「廃炉地域振興法」(仮称)に衣替え

(9)外国との原子力協定を全て破棄(原発や核燃料は輸出も輸入もしない)

10)原発輸出禁止法の制定

 

また、昨年度可決成立した電気事業法改正法などの電力自由化法は、その予定スケジュールをもっと早めて前倒し実施とし、かつ、送配電会社を巨大電力会社から完全に切り離す形で(所有分離)、もっと徹底した完全な形での電力市場自由化を実施すべきでしょう。それが、上記で申し上げた国策民営による市場外での国の原発へのテコ入れ排除とともに、原発・原子力のゾンビ型復活を防ぐ有力な制度的保障になるものと思われます。

 

結論は、市場原理主義型の電力市場改革では脱原発はできず、しかもそのことは一部の事情を知らない人たちを除き、原発推進派も脱原発派も両方心得ていることです。従って、脱原発派の選挙勝利後の主要争点は、電力市場の競争条件整備にあるのではなく、いかに原発・原子力への政治力を使った経済的テコ入れを排除するか、政治力を使った原発・原子力の延命にとどめを刺すか、という点にあります。

 

他方で、市場原理主義的な電力市場改革と競争環境の整備という政策は、油断すると政治的に利用される可能性は否定できません(そんなことだけでは脱原発などできるわけはないのを重々承知の上で、市場整備が脱原発への最も効率的でスムーズな道筋だとか何とか、虚飾空論を弁じたてて、その実、原発・原子力の延命に使われるということです)。

 

これを防ぐためには、脱原発派は、政権獲得後に、どのような手続き・プロセスを経て原発・核燃料施設を破棄していくのか、その設計図を持っていなければならないと言えるでしょう。しかし、これまでの議論は、脱原発の政治的実現のための統一をどうするか、政治的な合従連衡をどうやるか、あんな奴・こんな奴と組んでいいのかどうか、相手の過去はどうだったこうだった、レベルの、非常に悲しい段階で足踏みをしている状態に見えます。

 

脱原発のためには、脱原発派の政治的覚醒が必要であるように思われます。

早々

 

(重要情報:その1)

●中日新聞大飯差し止め訴え却下 大阪高裁「規制委で審査中」福井発日刊県民福井から(CHUNICHI Web)

http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2014051002000214.html

 

 上記に関して、下記サイトをご覧下さい。

●美浜の会HP 不当判決糾弾!安全性判断を放棄して逃亡した司法 

 大飯原発運転差し止め仮処分裁判 大阪高裁決定(判決)を受けて 原告団声明 (5月9日)

 http://www.jca.apc.org/mihama/

 (一番上です)

 

(重要情報:その2)

[広瀬隆さんより]NHKスペシャル「廃 炉」 (動画あり) 日々雑感

 http://hibi-zakkan.net/archives/37880897.html

(ここに書かれている広瀬隆さんの4つのコメントも非常に重要です。ぜひご覧ください)

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●森林・木材の放射能汚染 :木材汚染の拡散を防ごうとしない国・東京電力、これは氷山の一角だ いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-3766.html

 

●核燃料サイクルの本当の話をしよう」 (澤井正子 『科学 2014.5』)より いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/20145-632c.html

 

●政治参加のための市民ネットワークを始めます:みなさま、ぜひ。ご参加ください いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-c5b2.html

 

●これまでの脱原発市民運動・社会運動と) 小泉・細川グループとの「脱原発」連携について いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-0261.html

 

 

森林・木材の放射能汚染 :木材汚染の拡散を防ごうとしない国・東京電力、これは氷山の一角だ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、少し前に表面化して問題となった汚染木材クズの不法投棄問題に関連したマスコミ情報です。若干のコメントを付してご紹介申し上げます。放射能汚染地帯では、林業・木材産業を含め、全ての産業活動を停止し、地域住民を避難させよ、防災等の目的で汚染森林等に入って作業する場合には、厳格な放射線防護や被ばく防止装備、適切な労務管理等の義務付けを罰則付きで厳格に実施させよということを強く申し上げたいと思います。

 

 <別添PDFファイル>

(1)汚染木くず不法投棄(東京 2014 4.4

(2)滋賀・汚染木くず不法投棄、東電、関与業者に4億円(東京 2014 4.4

(3)森林除染に課題(福島民報 2014 4 22

(4)原町火発の木質バイオマス燃料導入、設備工事に着手(福島民報 2014 4 3

 

1.汚染木くず不法投棄(東京 2014 4.4

 http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7617793.html

 http://ameblo.jp/mogari25/entry-11813099032.html

 

(一部抜粋)

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 福島原発事故で放射性セシウムに汚染された木くずの一部が、不正なルートで全国にばらまかれていた。滋賀県の琵琶湖畔に汚染木くずを不法投棄したとして、滋賀県警は3月上旬、廃棄物処理法違反などの疑いで、東京都内の会社代表らの関係先を強制捜査した。この代表には、東京電力から処理費用名目で約4億円が支払われた可能性がある。事故の賠償利権に群がるブローカーまがいの人たち、それを見逃す東電のずさんなチェック体制が浮かび上がる。

 

(中略)県の測定では、木くずから1キロ当たり最大3900ベクレルの放射性セシウムが検出された。木くずは、第三者が2月末までに自主撤去した。県が撤去後の土壌のセシウム濃度を調べたところ、原子炉等規制法で放射性物質として扱う基準値100ベクレルを下回ったものの、県の対応の遅れなどが周辺住民の不興を買った。

 

 県の告発状では、問題の木くずは滋賀県以外でも鹿児島市、山梨県富士河口湖町、千葉県内などに運び込まれていた。福島県内の製材業者は事故以降、製材の過程で排出される樹皮などの木くずの処理に苦慮している。放射能汚染への懸念で引き取り手が激減したためだ。2月末現在、約62000トンが製材会社敷地内で滞留していると推計され、今も月6000トンのペースで排出。滞留すると保管場所の確保が難しくなるほか、長期間の保管で発酵し、自然発火する危険もつきまとう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎)そもそも何故、放射能で汚染した森林での木材等の伐採やキノコ採取などの産業活動が認められているのだろうか。福島県を中心に、関東や東北各地の木材産業は、製材する際に必ず出てくるバーク(木の皮)やオガクズが放射能に汚染された状態で山積みとなり、その処理に悩まされ続けている。しかし、そんなことは最初から自明であって、そうした木材産業の活動に伴って必ず大量に発生してくる放射能汚染物の取り扱い方が定まらないままに、林業・製材業が、さも福島第1原発事故などなかったかのごとく復活・展開されているところが理解できないところである。

 

 また、特に林業労働の場合には、汚染された森林内で長い時間施業をするわけだが、その際に受ける放射線被曝は林業労働者の体を徐々に徐々にむしばんでいくことにならないか、大いに懸念されるところだ。まるで福島第1原発の現場で働く作業員並みの被ばくをすると考えても過言ではないにもかかわらず、線量計の保持や被ばく防護の装備などが罰則付きで林業会社・素材生産業者・森林組合などに義務付けされているわけでもなく、そもそも国有林を含めて業界全体としても、林業労働者の被ばくと健康の問題に対して無頓着すぎる状態が続いている。誠におかしな話である。

 

 

2.滋賀・汚染木くず不法投棄、東電、関与業者に4億円(東京 2014 4.4

 http://radiation7.blog.fc2.com/blog-entry-3439.html

 

(一部抜粋)

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  滋賀県高島市の河川敷に放射性セシウムに汚染された木くずが大量に不法投棄された問題で、関与した東京のコンサルタント会社社長に、東京電力が処理費用などとして賠償金計約4億円を支払ったとみられることが4日、県警捜査関係者への取材で分かった。

 

 別の関係者によると、木くずは福島県本宮市の製材業者が排出。コンサル社長は、この業者から木くずの処理と東電に対する賠償請求手続きの代行を請け負っていた。東電によると、賠償金は、申請書類をもとに支払いの適否を判断するが、広報担当者は「個別の案件については回答できない」と話している。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎)産業廃棄物が不法投棄された場合には、確か、不法投棄した業者のみならず、当該産業廃棄物の排出者も後始末の責任を問われるような仕組みになっていたはずだったが、この木材の放射能汚染くずの不法投棄の場合には、それはどうなっているのだろうか。それにしても、税金で生き延びさせてもらっている会社(東京電力)が、実にいい加減なことをしている。

 

 

3.森林除染に課題(福島民報 2014 4 22

 http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/04/post_9846.html

 

(田中一郎)森林の除染などできないし、すること自体が無駄に近い。それはチェルノブイリ原発事故後の旧ソ連で実証済みである。そんなものができるかのごとく幻想をふりまいている国、地方自治体、御用学者、マスごみなど、関係当事者全てが大問題である。 

 

4.原町火発の木質バイオマス燃料導入、設備工事に着手(福島民報 2014 4 3

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140403-00000002-fminpo-l07

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 計画では石炭に約1%の木材チップを混ぜて燃焼させる。燃料となる木材チップは、建築用材の未利用材や間伐材などを使う。本県と宮城県の製材加工業者が両県の林業関係者から原料を確保し、チップに加工する。年間約6万トンを使用する計画で、東京電力福島第一原発事故に伴う森林除染で出た伐採木や、震災がれきは使用しない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎)そんな中で、かようなノーテンキなことをしている。これでクリーンだとでも思っているのだろうか。ただ単純に、放射能で汚染された山から、放射能に汚染された木材を伐り出してきて、それを燃やしているだけのことである。どうみても、燃やす場合に放射能が環境に放出されないよう万全な設備対策がしてあるようには思えないし、そのこと自体が問題にさえなっていない様子がうかがえる。放射能汚染や放射線被曝のことについては、もう福島第1原発周辺や福島県ではマヒしてしまって、どうでもよくなってしまっているのだろうか。

 

 記事には「東京電力福島第一原発事故に伴う森林除染で出た伐採木や、震災がれきは使用しない」などと書いているが、森林除染で出てくる伐採木は、民家から20mまでの森林の樹木であり、それより奥の山にある樹木を伐り出せば除染木とは言えないだろう。しかし、汚染は除染木よりもひどいだろう。馬鹿みたいな話ではないか。

早々

2014年5月 8日 (木)

核燃料サイクルの本当の話をしよう」 (澤井正子 『科学 2014.5』)より

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、岩波書店月刊誌『科学』(20145月号)に掲載された原子力資料情報室スタッフの澤井正子さんの核燃料サイクルに関するレポートです。まさに「(核燃料サイクルに関する)本当の話」が、しっかりと、かつ分かりやすく平易に書かれています。核燃料サイクルの実態をお知りになりたい方は必読です。以下、簡単にご紹介申し上げます(なお、下記では、澤井正子さんのレポートのほんの一部分の紹介しかできません。是非とも岩波書店月刊誌『科学』(2014.5)をお買い求めいただくか、図書館等で原本にあたっていただき、このレポートをお読みいただければと思います)。

 

 「核燃料サイクル」などと、ものごとの実態をまったく表していない嘘八百のネーミングで有権者・市民を惑わし、その実は、事業としての何の成果もメリットも経済的意味も合理性もなく、ただただ危険極まりなくて、猛烈に汚くて(放射能)、費用ばかりが巨額にかかるだけの、「化け物施設」と言ってもいいのが、この「核燃料サイクル」施設なのです。しかし、何ゆえか、この日本では、この全くバカバカしい、危険と汚染の固まりのような「大人の火遊び」がやめられないまま今日に至り、今般も新エネルギー計画の中で継続が謳われています。この国には理性とか良識とかいうものはないのか、と問いたくなる事態が続いているのです。

 

 みなさまには、ぜひともこの澤井さんのレポートをお読みいただき、「本当のこと」を知っていただくとともに、一夜にして反「核燃料サイクル」の闘志になっていただきたく、このメールで澤井さんの力作をご紹介いたします。危険極まりないと言われている原発よりも、はるかにはるかに「ヤバイ」のが、この「核燃料サイクル」施設なのです。

 

 まず、各章の見出しを順に書き出してみます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●『エネルギー基本計画』が創造する新たな“神話".準国産エネルギー

● 核燃料サイクルとは

● 再処理工場の工程

● 夢のリサイクルの現実

● 再処理は廃棄物の量を減らす?

● 垂れ流しにされる気体廃棄物と液体廃棄物

● 被ばく評価:22マイクロシーベルトの迷走

● 再処理は廃棄物問題の先送り

● 補論:再処理指針

● 再処理は電力会社の義務?

● コラム1:原子炉級プルトニウムは核兵器に利用可能ー米国の核懸念

● コラム2:再処理正当化論:資源の有効利用,放射性廃棄物の量と毒性の低減

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上記全てをご紹介したいのですが、それはかなわないので、上記のうちの2つだけをピックアップしてご紹介します。まずは上から4つ目の「夢のリサイクルの現実」です。次の記述をご覧下さい。

 

<夢のリサイクルの現実>


(以下、引用開始)

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「「核燃料サイクル」の最大の売りは「リサイクルjだろう。使用済み燃料を再処理し,取り出したウランとプルトニウムをすべて再利用できる」という主張がなされる。六ヶ所再処理工場では,使用済み燃料が最終的にはウラン酸化物,プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX粉末),そしてガラス固化体という形態になる。政府や事業者の説明では,ウラン,プルトニウム(MOX粉末)はリサイクルされ,高レベル放射性廃棄物は約50年の貯蔵後,最終処分場へ搬出されることになっている。」

 

「当然MOX燃料に利用されるウランも再処理工場から輸送するものと思われるだろうが,実態はそうなっていない。これは日本原燃自身が作成した資料に非常に明快に示されている。」

 

「いわゆるプルサーマル燃料(1/3MOX燃料)は,燃料集合体平均でプルトニウムが約5%,ウランが95%の組成である。六ヶ所再処理工場のMOX粉末はプルトニウム50%,ウラン50%で、プルトニウムの濃度が高すぎるので,このMOX粉末にウランをまぜてプルトニウムの濃度をさげる必要がある。材料の搬入先として,日本原燃の資料は,プルトニウム(MOX粉末)は「再処理施設から」,ウランは「再転換施設から]としている。再処理工場からではない。」

 

「つまり,日本原燃自身にも,六ヶ所再処理工場の回収ウランを使用する予定はまったくない。それは再処理回収ウランが,核燃料とするにはとても扱いにくいためだ。」

 

「ウランは原子炉で核分裂することでアイソトープ(放射性同位体)が増える。天然に存在する同位体はウラン234. ウラン235、ウラン238であるが,原子炉での燃焼(核分裂)によってウラン232、ウラン236が生成される。」

 

「ウラン232は,天然ウランには含まれない核種で、半減期が短く,娘核種として高放射線核種(タリウム208. ビスマス232)を生成し強いガンマ線を放出する。そのため,再処理工場でつくられる回収ウランの放射線量が非常に高くなる。一方,ウラン236は,中性子を吸収しやすく核分裂を阻害する。また、回収ウランは再処理で分離しきれなかったプルトニウム、ウラン,核分裂生成物や超ウラン元素も含んでいる。」

 

「再処理回収ウランを再利用して再濃縮や成型加工を行おうとすると,労働者の被曝対策や遮蔽,閉じ込め機能の強化が必要で手間とコストがかかり,世界的にもほとんど利用されていないのが実態である。」

 

「では英・仏ではどうやってMOX燃料を製造しているのだろうか。扱いにくい再処理回収ウランを無理して利用しなくても,今日まで世界中の原発に燃料を供給してきたウラン濃縮施設には,処分できないほどの「劣化ウランJが存在している。こちらは放射線の問題もなく,タダ同然で利用できる。日本でもまったく同様である。「核燃料サイクルjにおける再処理回収ウランには,まったく出番はない。これが使用済み燃料中に約95%も存在するウランの実の姿だ。」

 

「六ヶ所再処理工場では年間処理量約800tUに対して、プルトニウムは約8t,回収ウランは約740tUである。再処理とは,ほとんどウランを回収する作業なのだ。しかし94%という膨大な量の再処理回収ウランに使途はなく,何の役にも立たない。」

 

「これが「使用済み燃料のリサイクル」の実像である。正確には,「1%のプルトニウム・リサイクル」であるが,それも高速増殖炉もんじゅ計画の頓挫によって,実現できないことはすでに衆知の事実である。現実を見れば, 1使用済み燃料のリサイクルjというような宣伝は,ほとんど国家的詐欺に等しいと言えるのではないだろうか。」

 

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(以上、引用終了)

 

(田中一郎)⇒ まったくの驚きである、これまでも「核燃料サイクル」は「サイクル」しない、という話は耳にしていた。サイクルの中核施設である再処理工場や高速増殖炉「もんじゅ」がまともに動かないことに加え、高速増殖炉「もんじゅ」は「(プルトニウムを)増殖しない」で、稼働前後で炉内のプルトニウムが「±ゼロ」の周辺をうろうろしていて、夢の原子炉のようには増殖しない、とか、高速増殖炉「もんじゅ」で使用済みとなった核燃料が非常に汚くて、これを再再処理するのはもはや困難だとか、いくつかの理由で「こんなものはサイクルとは言えない」ということは理解していたつもりだ。

 

 しかし、再処理で回収したウランまでもが使えない話は初耳だ。この澤井さんのレポートを読んで、私は椅子から転げ落ちそうになるくらい驚いた。これでは、再処理工場とは、使用済み核燃料のたった1%のプルトニウムを取り出すために必死になっていて、しかもそのプルトニウムさえもが、使い道のない状態で宙ぶらりんになっているということになる、まさに澤井さんが言うように、これは「核リサイクル詐欺」「核燃料サイクル詐欺」に他ならない。

 

 でも、何で詐欺行為までして、こんなことをしているのか? まったく理解不能である。

 

 次に、もう一つだけご紹介する。

 

<コラム2:再処理正当化論:資源の有効利用,放射性廃棄物の量と毒性の低減>


(以下、引用開始)

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「経済産業省はさらに、再処理と軽水炉でのMOX燃料の使用,そして,将来のナトリウム冷却高速中性子炉(高速炉)での使用は,廃棄物管理の面で重要な利点をもつと主張している。

(1)高レベル廃棄物の量は,軽水炉および高速炉でのプルトニウム・リサイクルにより,それぞれ、4分の1か、7分の1に滅容できる。(2)高レベル廃棄物の毒性がもとの天然ウランと同じレベルにまで減衰するのにかかる期聞が,約10万年から,それぞれ8000年、300年に低減できる。」

 

「しかし、フランスのケースに関する計算では,再処理およびMOX燃料利用で生じる深地層処分の必要なすべての放射性廃棄物を考慮した場合,廃棄物の量はもとの使用済み燃料の量と同程度であるごとが明らかになっている。」

 

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(以上、引用終了)

 

(田中一郎)⇒ 危険極まりない使用済み核燃料の棒を細切れにせん断し、それを熱濃硝酸で溶かして化学処理する工程を経る再処理が「資源の有効利用,放射性廃棄物の量と毒性の低減」をもたらす?????? 一般の有権者・市民を馬鹿にしているのではないか? 常識があれば、こんなものは歯牙にもかける必要はないのではないか。澤井さんが説明してくれているフランスのケースでさえインチキ極まりない。しかもそれは、再処理工場が何のトラブルも事故もなく稼働した場合の話であって、まったく非現実的な想定の上での楽観論にすぎない。

 

(田中一郎)⇒ 再処理工場とは、当初の使用済み核燃料の何倍もの死の灰=放射性廃棄物を生みだしてしまう(しかもそれを環境に大量にばらまいてしまう)、原子力施設の中でも最悪中の最悪施設である。澤井さんのレポートの本文中「再処理は廃棄物の量を減らす?」の章には次のように書かれている。

 

「使用済み燃料には, 94%のウラン、1%のプルトニウム,そして5%の高レベル放射性廃棄物が含まれる。一方のガラス固化体には4%の高レベル放射性廃棄物しか含まれていない。使用済み燃料中の95%は分離されて,別の場所に貯蔵されているだけだ。たとえガラス固化体を地層処分できたとしても,地上に残された膨大な回収ウランはどうなるのだろうか。こんな不公平な比較は,子どもでもおかしいと気づくだろう。」

 

「むしろこの滅容化議論で問題なのは,再処理に伴って必ず発生する大量の中・低レベル廃棄物について徹底的に無視していることではないだろうか。」

 

(田中一郎)⇒ 「低レベル放射性廃棄物」などとよく言われるが、決して「低レベル」のものばかりではないことにも注意が必要だ。とにかく原発・原子力の世界は、人をだまくらかす話ばかりで溢れかえっている。くれぐれもご注意あれ!!

 

 他の項目も全て必読・必知事項です。みなさま、ぜひ原本をご一読ください。

早々

 

2014年5月 7日 (水)

被ばくと健康影響について (崎山比早子氏の岩波書店月刊誌『科学 2014.5』レポートより)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 

 別添PDFファイルは、このほど岩波書店月刊誌『科学』の20145月号に掲載されました元国会事故調委員で高木学校の崎山比早子氏執筆のレポートです。A3サイズの紙2枚の短いものですが、難解な専門用語や統計・数理手法を使わず、コンパクトに一般の人にも理解できる言葉で、被ばくと健康影響についての重要なことが平易にかつ網羅的に書かれていて、非常にいいテキストになっています。放射能や放射線被曝に関心があり、かつ何が本当なのかよくわからないとおっしゃるみなさまには、ぜひとも一読していただきたい文章です(下記では、崎山比早子氏のレポートのほんの一部分の紹介しかできません。是非とも、岩波書店月刊誌『科学』(2014.5)をお買い求めいただくか、図書館等で原本に当たって、このレポートをお読みいただきたいと思います)。

 

 私は常々、放射線被曝を認識・評価する際には、難しい専門的・定量的なことはいいので、その非常なまでの危険性を原理的に捕まえておけばいいと申し上げています。そうすれば、放射能や被ばく(特に内部被曝)に対して、(少なくとも物事に対して真摯な姿勢があるのであれば)安易で軽率な判断や態度はとれなくなるでしょう。私を含め、多くの人たちが、福島第1原発の汚染地域(福島県外を含む)に住み続けている人たちに対して、一刻も早く避難・疎開・移住してほしい、少なくとも妊婦や子供たちにはいち早く避難してほしい、と申し上げている理由がお分かりいただけると思います。決して「過剰反応」でも、物事を大げさに申し上げているのでもないのです。

 

 その意味は、いみじくも崎山比早子氏がこのレポートで書かれている次のようなことです。

 

「放射線に安全量がないということは,図(略:当日資料p.44)に示すように、放射線のもつエネルギーの大きさが生体を形成している分子の結合エネルギーの大きさの数万倍にもなるため,放射線の飛跡がl本通ってもDNA等の分子に複雑損傷を起こす可能性があるためです」

 

 つまり、放射線被曝とは、私たちの体を構成している分子という「物体の最小単位」が、それを成り立たせている力(エネルギー)以上の放射線の猛烈な力(エネルギー)で、叩き潰されてしまうということです。その力(エネルギー)の大きさの違いは(人間の体を構成する分子の結合エネルギーと放射線のエネルギーの大きさの違い)、何万倍、何十万倍もの違いであって、とてもじゃないけれど、生身の人間が耐えられるようなものではないのです。

 

 そして、この放射線被曝については、少なくとも次の3つのことを合わせて認識しておかなければなりません。その1つは、放射線被曝には外部被曝と内部被曝があり、特に恒常的な内部被曝は非常に危険であるということ、これは、燃え盛る石炭の塊を、体の外に置いて温まるのが外部被曝、その石炭を口から飲み込んでしまうのが内部被曝と申し上げれば、よくお分かりいただけるのではないかと思います。(内部被曝には、飲食による場合と、呼吸による場合があります:その他、けがなどの傷口から放射性物質が入り込む場合もあり)

 

 第二に、放射線被曝はDNAや遺伝子だけを破壊するのではなく、人間の細胞全体・体全体の生命秩序のようなものをぐちゃぐちゃに壊してしまうということです。遺伝子が正常に作用したり、細胞が正常に機能したりする、そのミクロの世界の様々な複雑なメカニズムが、放射線の猛烈な力(エネルギー)で潰されてしまうのです。これは、顔面に猛烈な勢いで飛んでくる野球のボールが当たったらどうなるか、を想像していただければお分かりいただけるのではないかと思います。顔面のDNAだけが壊れるわけではないでしょうし、顔面の遺伝子だけがおかしくなるわけではないでしょう(従ってまた、目下注目されている甲状腺を含めて、放射線被曝による健康障害はがんや白血病だけでなく、ありとあらゆる病気や障害の可能性が出てくるのです)

 

 更に第三点目として、放射線被曝によって壊された遺伝子や生命秩序は、悲しいことに遺伝するということです。これは単に、遺伝子が傷ついて突然変異を引き起こすという単純なことだけではなく、上記で申し上げた生命秩序が破壊され、その破壊された状態が遺伝されてしまうということです。たとえば、具体的には「ゲノム不安定性」といって、被ばくした人の子子孫孫に、その子子孫孫が直接被ばくしたわけでもないのに、突然変異が起きる・多発する、という現象が、動物実験などで確かめられています。遺伝子やDNAが傷ついているわけではないのに、こうしたことが起きるのは、その遺伝子やDNAを取り巻く細胞内の生命秩序のようなもののどこかがおかしくなっているからだと思われます(この辺のことを、昨今では「エピゲノム」とか「エピジェネティクス」と言っています)。

 

 上記で申し上げたことが崎山比早子氏のレポートに書かれているわけではありませんが、同氏は、昨今の放射線被曝と健康問題に関するいくつかのトピックスを取り上げて、それらがいかに捻じ曲げられて一般に伝えられているかを、丁寧に上手にわかりやすく論じています。以下、同レポートの若干の部分を抜き出してご紹介しておきます。それから、原子力ムラ・放射線ムラが繰り返す「放射線安全神話」のインチキについて、これまでも私から重ね重ね申し上げてきましたが、このメールで改めて、そのおかしな点を整理して列記しておきます。ご参考にしていただければと思います。

 

 <「放射線安全神話」のインチキはここが問題だ:田中一郎>

(1)原子力を推進せんとする政治力に押されて、(放射線被曝の危険性は原子力を推進するには“邪魔もの”です)科学が真実を捻じ曲げるという似非科学に転落し、科学とその担い手の科学者が原子力を推進する支配権力に完全に「包摂」されてしまっていること(「包摂」とは「包み込む」という意味で、原子力推進の支配権力の許容する範囲内でしか存在が許されない状態になっている、その結果、自発的に科学者が科学の似非化に資するようになる、くらいの意味です)。科学者は、いわばタチの悪い政治家に変質・変身してしまっているということです。

 

(2)似非科学の正体は、実証性を喪失した「ドグマ(何が正しいか、真実かは、原子力を推進する支配権力があらかじめ決めてある)の演繹的展開」であり、経験科学の否定です。たとえば、ベクレルをシーベルトに換算する実効線量係数、線量・線量率効果係数(DDREF)(一度に被ばくする場合と少しずつ長い期間で被ばくする場合の危険性の度合いを比較して数字で表したもの:ICRPは「2」=一度に被ばくする方が2倍危険であるという認識)、放射線被曝のガンリスク・非ガンリスクなどなどについて、その科学的実証的(実験等による)裏付けがないまま、先験的に「大したことはない、それほど心配はいらない」などと結論付けているのです。

 

(3)放射線という危険物に対する防護の考え方が出鱈目であること。たとえば、崎山比早子氏のレポートには「放射線感受性は年齢や個人によって異なることから,弱者を考慮した対策が必要です」と書かれています。当たり前のことです。しかし、これが原子力ムラ・放射線ムラの放射線被曝論の世界に行くと、当たり前ではなくなるのです。たとえば、ICRPの放射線被曝の単位である「シーベルト」には、年齢によって放射線感受性が大きく違うという、今やだれでもが知っていることが反映されず、大人も子どもも、妊婦も胎児も、老人も若者も、みな同じように評価され、一本の数値で表されてしまいます。あるいは「生物学的半減期」なども、個々人によって、「そんなに違いがあるのですか」、というくらいに、大人であっても大きな個人差があるのですが、これも平均値(しかも、怪しげな、、本当に実証性があるのかどうか疑わしいような「似非平均値」)が用いられ、従って、長く体内に放射性物質を留め置いてしまう傾向のある人(生物学的半減期が長い人)は、それだけ多くの内部被曝をしてしまうということが無視されてしまうのです。

 

 更に問題なのは、放射線被曝防護の世界では、「安全バッファ」の発想がゼロなことです。他の世界=たとえば化学物質や重金属などの毒物に対する防護学の世界であれば、動物実験等で得られた結果に「安全バッファ」(通常は1/100、100倍)を掛けて、上記で申し上げた人間の個体差やその他の不確実性を、この「バッファ」で包み込むようにして、安全方向へバイアスをかけます。しかし、放射能と被ばくの世界では、こうしたことは一切しません。その典型事例が、飲食品の残留放射能に関する規制値です。100ベクレル/kgなど、どこにも安全性の実証的根拠などありませんし、安全バッファも設けられす、子どもや胎児など、放射線被曝に感受性が高い世代への配慮さえ、きちんとなされていないのです。

 

 それどころか、今般の福島県の汚染地域への帰還・定住化政策で問題になった、個人個人が持たされる「ガラス・バッジ」問題のように、放射線被曝を軽い方へ軽い方へと導く「屁理屈」のような理由を付けては、よりぎりぎりまで、安全性の余裕を切り詰めて行こうとする「逆安全性バイアス」がかけられています。被ばくの影響を極力小さく評価し、被ばくの危険性を回避する・させる費用をできるだけ小さくする=すなわち、人の命と健康を守ることよりも、原子力を推進して、そこから利益をあげていくことの方がより重要なのだ、という、信じがたいまでに非人間的な、バカバカしいまでに原子力利権へのしがみつきが、かようなところに露骨に表れているのです。その総合的な表現が「ALARA原則」(「あらあら原則」とか「ありゃま原則」とも言います)です。

 

(注)ALARA原則(As low As Reasonably Achievable:合理的に達成できる範囲で、できる限り低く)

 田中一郎 ⇒ 他人様を勝手に汚染・被ばくさせておいて「合理的に達成できる範囲で、できる限り低く」はないでしょう。それに、その「合理的に達成できる範囲」は誰がどのようにして決めるのですか? 要するに、この一見もっともらしく見える「原則」なるものは、簡単にいえば、「加害者側は放射能汚染や被ばくの責任は最後までは取りません」「加害者側が適当なところで線を引いて、放射線被曝防護の手当を打ち切ります」「その理由は、被ばくさせられた被害者を完全に救済しようとしたら、コストがべらぼうにかかって「合理的でないから」です=要するに加害者側にカネがかかりすぎるからだ」ということを意味しているのです。

 

(4)放射線防護学や放射線生物学は、先端生命科学を無視して、数十年前の陳腐化した旧式議論を繰り返す、素人だましの似非科学に転落しており、およそまともに人間や生物の放射線被曝の実態研究・実証研究をしたことがないし、先端科学を取り入れたこともないという有様です。ここで先端科学とは、エピジェネティクス(エピゲノム)論、先端的ガン理論・がん研究、遺伝学、分子生物学(DNA研究を含む)、細胞生理学、毒性学などです。放射線被曝といえばDNAの破壊と修復問題であるかのごとく論じる、まさに今から50年以上も前のセントラルドグマ・アホダラ教です。

 

そして、許しがたいことには、原子力ムラ・放射線ムラは、放射線被曝の危険性が実証科学的に明らかになることがないよう、政治権力を使って研究者や科学者を包摂しながら、先端科学を含む本当の意味での放射線防護学や放射線生物学、つまりは科学的な被ばく研究を、ことごとく妨害し続けてきたのです。およそ放射線被曝研究に、自由な研究の風土や文化など存在しておりません。全ての実験、全ての研究、全ての論文が、放射線被曝が危険極まりないものであることを実証してはいけない、明らかにしてはいけない、こととされているのです。その意味で、原子力ムラ・放射線ムラは、単に似非科学者の集合体であるだけでなく、真の科学の営みを妨害し破壊する「ガイチュー」集団だと言えるでしょう。

 

「第4回東京電力福島第原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」におけるヒアリングを受けて」(崎山比早子『科学 2014.5』)より

 

以下、一部抜粋します。

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「住民の被害の状況については未だ先の見えない避難所生活が続いています。その原因は「政府規制当、局の住民の健康と安全を守る意志の欠如と健康を守る対策の遅れ,被害を受けた住民の生活基盤回復の対応の遅れ,住民の視点を考えない情報公開にある」と結論しました。この状況は報告書提出後1年半以上経った今日に至っても変わっていません。」

 

「政府関係者が100mSv以下ではリスクがあると科学的に証明されていない」という場合,引用されるのが広島・長崎の寿命調査です。しかし,その14報では図(図1. 当日資料p.48)に示されるようにLNTモデルが実際のデータにいちばんよくあい,線量あたりのリスク(点推定値)は200mGy以下のほうが全線量域のリスクよりも高いのです。このことから著者らは放射線が安全なのはゼロの時のみだと結論しています」

 

「この図を見て100mSv以下はリスクがゼロと言えるでしょうか?  政府が帰還の目途にしている20mSvもリスクがないとはいえません。しかも20mSvというのは年間の線量であり,5年住めば100mSvになるのです。図〔略、当日資料p.50)は非がん性疾患も線量に応じて増加することを示しています」

 

「このような広い層からの要望に応え,福島県以外でも被ばく線量年間1mSv以上の地域の住民に対し健康に対する権利が保障されるよう強く要望するものです。さらに現在の健診は福島県が主体となっているため不具合が多発しています。日本医師会の提案のように厚生労働省に一本化して体系的な健診体制を整えて下さい」

 

「さらに,2012年以後発表された論文では,イギリスでの小児CT検査による白血病,脳腫蕩、自然ガンマ線の累積被ばくに応じた小児白血病の増加、オーストラリアのCT検査による腫瘍の増加から,数mSvで発がんリスクの増加がバックグランドに隠れることなく示されており,彼らがそれを知らないはずはないのです。」

 

「そして,「生活していけるか」は専門家が決めることではありません。そもそも被ばくを受忍するかどうかを決めるのは住民であるべきです。この専門家会議のメンバーに被害を受けた住民が一人も入っていないのは著しく正当性を欠いています。」

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早々

 

2014年5月 6日 (火)

(メール転送です) 超重要!【緊急署名スタート】火山リスク無視しての川内原発再稼働はやめて!

前略,田中一郎です。

 

以下はメール転送です。

-----Original Message-----

[転送・転載歓迎/重複失礼]

 

阪上武さん(福島老朽原発を考える会)のメールを転送します。川内原発

の再稼働を食い止めるために、極めて重要な緊急署名運動です。ネット署

名に加えて、紙版もあります。一次締切は518日(日)。急いで拡散し、

大きな世論の波で規制委を包囲しましょう。

 

---------------------------------------

みなさま(重複すみません。拡散希望です!!)

 

★川内原発火山署名スタート

川内原発に対して火山リスクを懸念する声の高まりに、ようやく島崎委員長代

理が、火山学者も交えた「有識者会合」を開く趣旨の発言をしました。

ところが、なんとこの発言が捻じ曲げられ、「有識者会合」は再稼働審査と切

り離して行われようとしています。

 

誰がどう考えてもおかしなことです。原子力規制委の「審査」がそんないいか

げんなことでいいのでしょうか?

 

緊急署名をはじめました。ぜひみなさまのご協力をお願いします。

-----------------------------------------------------

緊急署名

桜島も怒っている!火山リスク無視の川内原発再稼働は許しません!

http://goo.gl/V5UTWx

【フォーム1】http://goo.gl/A0fBk6

【フォーム2】http://goo.gl/qNyDzJ

紙の署名用紙は下記からダウンロードできます。

http://goo.gl/V5UTWx

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<署名の本文>

原子力規制委員会委員長 田中俊一様

原子力規制委員会委員長代理 島崎邦彦様

鹿児島県知事 伊藤祐一郎様

 

 九州電力の川内原発の周辺には、「カルデラ」と呼ばれる巨大火山が林立し

ており、大きな火山リスクを抱えていますが、原子力規制委員会はいまこれを

無視して、再稼働のための審査を優先的に進めています。

 

 現在活発に活動し、マグマが供給され続けている桜島を含む姶良(あいら)

カルデラが約3万年前に巨大噴火をした際には、火砕流が川内原発の地点にま

で達し、火山灰が日本中を覆いました。数百度の火砕流は、新幹線並みの速さ

で数十~百キロの遠方にまで達し、瞬く間にすべてのものを焼き尽くしてしま

います。再度の巨大噴火により川内原発が壊滅し、火山灰とともに死の灰が日

本中にばらまかれるおそれがあります。この件に関し多数の火山学者が懸念の

声をあげています。

 

 原子力規制委員会に火山の専門家はいません。これまで専門家抜きで審査を

行ってきましたが、新規制基準の火山審査ガイドが要求する「兆候を把握した

場合の対処方針・判断条件」について、ようやく有識者会合を開く方針を示し

ました。

 

 しかしその後、これを川内原発の再稼働審査とは切り離すとしています。再

稼働後では全く意味がありません。自ら定めた火山審査ガイドにも反するもの

です。

 

 原発直下の活断層では、12.5万年前以降の活動が否定できなければ、原発は

廃炉となります。約3万年前に巨大噴火が確認され、現在も活動中の火山のリ

スクを無視し、火山学者の懸念の声を無視しての再稼働容認の動きを許すこと

はできません。

 

一.火山リスクを無視した川内原発の再稼働はやめること

二.懸念を表明している専門家を含めた有識者会合を開催し、その間は審査や

審査合格のための「審査書案」作成を中止すること。

 

呼びかけ 反原発かごしまネット/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止

める裁判の会/グリーン・アクション/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪

の会/国際環境NGO FoE Japan/福島老朽原発を考える会/原子力規制を監視す

る市民の会

 

集約先/原子力規制を監視する市民の会

162-0022東京都新宿区下宮比町3-12明成ビル302 FAX 03-5225-7214

 

一次締切:5月18日(日)

二次締切:61日(日)

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早々

 

2014年5月 5日 (月)

原発・被ばく、こんなのおかしいのとちがう?(2):津波とはこういうものです=薄っぺらい衝立や防水扉では防げません

前略,田中一郎です。

 

原発を津波災害から守るため、電力各社は海際に立つ原発に「薄っぺらい衝立を並べた“防潮堤”」をつくり、更に、非常用電源のある建屋の入り口を防水扉にして海水が建屋に入ってこないようにする、などという「防災対策」を施し、それを原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が追認をしております。

 

しかし、下記をご覧いただければ、ドミノ・ゲームに時に使うような「衝立」や、防水時計と勘違いをしているような防水扉など、実際には何の役にも立たないことがわかります。津波とは、海水がちゃぷーんと数回打ち寄せてくるのではありません。海底にある岩石や土砂、船舶や建造物や自動車、がれきや木材・丸太その他を高々と抱え上げ、それを叩きつけるようにして、何度も何度も襲ってくるのです。

 

愚かにも、原子力ムラの人間達は、それを薄っぺらい衝立と防水加工扉という、ちょこざいな方法で防災しようというのですから、「ハチの武蔵」よりも無謀であり、幼稚園児よりも幼稚です。悪党・原子力ムラ原発が、大魔神津波に踏みつぶされる映画のシーンさながらと言っていいでしょう。

 

どうみても頭がイカレております。

 

●三陸海岸 津波被災地 現地調査 ⑪壊滅した釜石の巨大堤防  青山貞一・池田こみち

 http://eritokyo.jp/independent/aoyama-touhoku1007b..html

 

●宮古市田老の津波災害 (株)防災地理調査

 http://gpi-net.jp/daisinsai/taro.html

 

●画像で見る岩手県田老町の悲劇と防潮堤の破損【東日本大震災】 - NAVER まとめ

 http://matome.naver.jp/odai/2130072889754692501

 

●「津波があと70cm高かったら」 東海第二も全電源喪失していた カレイドスコープ

 http://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-2585.html

早々

2014年5月 3日 (土)

福島第1原発事故の原因の究明もしないで原発再稼働に突き進んでいいのか(5):原発再稼働を狙う「規制基準」:これでは事故・被ばくは防げない(立石雅昭 『経済 2014.4』 論文より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、月刊誌『経済』に掲載された立石雅昭新潟大学名誉教授の論文を中心に、原発再稼働審査やその基準に関する報道を若干集めたものです。ご参考までにお送りいたします。

 

 立石名誉教授は論文の中で、特に、(1)福島第1原発事故後の首相官邸や原子力安全委員会・原子力安全保安院、あるいは東京電力の危機管理体制の極度の不備と、打ち出された対策(特に住民対策)のおかしさについての検証が足りないこと、(2)基準地震動の決め方が旧態依然であり、原発の地震リスクが大きな懸念となっていること、(3)従ってまた、福島第1原発が地震の揺れによってどのような損傷を受けていたのかの検証ができていないこと、などを指摘し、このままでは再稼働は危険である旨の主張をされています。

 

 以下、一部を抜粋しながら、必要に応じてコメントを付し、簡単にご紹介いたします。ただし、下記に箇条書きにするものは氏の論文のごく一部ですので、願わくば月刊誌『経済』を書店でお求めになるか図書館等で閲覧し、その原文にあたっていただければ幸いである。

 

 <別添PDFファイル>

(1)原発再稼働を狙う「規制基準」:これでは事故・被ばくは防げない(立石雅昭 『経済 2014.4』)

(2)手法古すぎる原発地震動評価(長沢啓行:毎日 2014.5.1

(3)「世界最高水準」の規制基準根拠なし(東京 2014.4.26

(4)火山学会がf原発対応委、巨大噴火リスク議論(毎日 2014 4 29

 

1.原発再稼働を狙う「規制基準」:これでは事故・被ばくは防げない(立石雅昭 『経済 2014.4』)

http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/detail/name/%E7%B5%8C%E6%B8%88%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%91%EF%BC%94%E5%B9%B4%EF%BC%94%E6%9C%88%E5%8F%B7NO.223/code/03509-04-4/

 

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 はじめに 続く原発事故被害と再稼働の動き

 

(1)福島原発過酷事故はなぜ起こったか 検証不十分なまま再稼働はありえない

「新潟県の泉田裕彦知事は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を進めようとする東電や経済産業省の動きに対して、「福島原発事故の検証と総括のないまま、再稼働云々はありえない」と再三にわたって発言されていますが、この意見は、「再稼働を認めざるを得ない」と考える人達を含めて、多くの新潟県民が抱く原発への危倶の念を受け止めたものであり、検証抜きに進む再稼働論議に大きな疑義を投げかけるものです。」

 

「原発の再稼働をめぐる論議において、推進派あるいはやむを得ない派だけでなく、再稼働反対の立場での運動の中にもある大きな弱点。それは原発のハlド面での安全性の議論の陰で、危機管理体制や地域防災・避難計画など、ソフト面での抜本的な対策が放置され、あるいは実効性のない計画に終わっていることです。」

 

「福島原発の過酷事故時、首相官邸や当時の原子力安全委員会、東京電力の対応に重大な問題があり、国民の命と暮らしを守る上で危機管理体制のあり方や情報伝達の仕組み、立地県や自治体の対応な夜、根本的な見直しが求められていました。にもかかわらず、新しく発足した規制委員会も、原発の安全性に関する議論を原発の耐震・耐津波への備えや電源確保、過酷事故対策などの規制基準策定とその視点からの原発の「パックフィット(最新の知見に基づく規制)審査」に限定しようとしています。しかし、現在の科学技術で考え得る対策をいかに施したとしても、原発の事故は起こりうるのです。そしてその事故が起こった時、どう国民の命と暮らしを守るのか、そうした視点での抜本的な改善が図られたでしょうか。」

 

 ▼新規制基準の本質的問題 活かされない事故調提言

「これらの報告と提言は再稼働論議の中で生かされているでしょうか。原子力規制委員会では、「国会及び政府に設けられた委員会の提言のフォローアップに関する有識者会議」と「東電福島第一原発における事故分析に関わる検討会」で検討を行ってきました。」(中略)「有識者会議は規制委員会発足後の一昨年の12月から5回にわたって会合を開き、昨年3月に報告書を出しています。」(中略)「有識者会議はまず、福島の現実と国民の不安に向き合い、その解決のために求められる方向からして今の原子力行政の進み方がどうであるのかをこそ、まとめなければならなかったのです。事故の要因経過解析も途上、事故・被害対策も途上と言うことを承知の上で、規制基準作成を急ぐ規制委員会の動きへの批判がまったくありません。」

 

 ▼規制体制、「原子力ムラ」にメス入らず

「原発ゼ口、脱原発の運動を進める私たちの側にも、この点での決定的な弱点があります。「規制委が厳しく審査している」、「規制基準に合格すれば、安全だ、住民・県民の命は守られる」、こういう議論はまやかしです。ほんとうにこういう点だけで対応すれば、事故は防げるのかということが最大の問題です」

 

(2)再稼働議論で重視されるべき課題 住民の命、健康を守る自治体の備え

「現実には、先に述べたように、規制委員会が新たな規制基準を策定し、原発の装備や技術偏重の安全性議論が中心になって再稼働議論が進められています。そういう中で、立地自治体や県は、全原協でとりまとめた上記の課題や問題がどう扱われ、住民の命を守る上でどれだけ体制や取組が進んだのかという点検を行い、再稼働への立ち位置を示すことが求められています。」

 

 ▼新潟県における事故の検証

 

(3)原発の構造・設備から見た「基準」の基本的課題

 

 ▼既存原発の構造を温存

「まず、既存原発の構造は変えないで新たな装置でその欠陥を補おうとしていることです。福島第一原発の沸騰水型原発が、なぜ爆発に至る主故になってしまったかという検証が不十分なままなので、沸騰水型を初め、原発の構造的な欠陥は新規制基準では放置されたままです。」

 

 ▼事故状況を把握する装置の欠陥

「、これが福島では、燃料が溶融して炉内が高浪・高圧にな

り、水位計や圧力計、が十分機能しなくなってしまった。高温-高圧の過酷な状況下でもちゃんと動く装置を開発・計装しなければ、状態の正確な把握がないまま、対応することになります。新しい規制基準ではこの計測装置が放置されたままになっているのです。」

 

 ▼「バックアップ対策」 の5年猶予

「重大事故に対処するために必要な機能、例えば、恒設の特定安全施設の設置などを5年猶予しています。」

「世界的には常備が普通とされている、「コアキャッチャー」について、日本では設置の必要性さえ議論されていない問題があります。」

「最後に、新規制基準では、一つの原発敷地内に複数の原子炉が設置されていることによる危険性の増大が全く検討されていません」

 

(4)断層と地震に関する「新基準」の問題点

 

 ▼基準地震動を決める上での断層、活断層の定義

「基準地震動を考える上でも重要なのが、今後も活動し、地震を引き起こしうる断層=活断層の定義です。新基準での活断層の定義は、原発の設計だけに通用させる定義を使っています。郎年の新耐震設計審査指針での定義である、12万年ないし13万年前以降に活動した断層を将来も動きうる断層とする定義を新基準でも踏襲し、その上で、それ以降の活動が科学的に否定できなければ、40万年前までさかのぼって評価するという新しい要素を含めました。」

 

「原発の耐震安全性に関わる重要なポイントは、日本の原発の多くが、この断層の活動年代に関する国の規程がないときに審査され、妥当とされたものだということです。そして残りの原発は1978年に活断層の活動年代を5万年とする指針ができて以降、その基準で審査され、建設が許可されてきました。12,13万年という年代を基準にして造られているものは実はまったくないわけで、ここに大きなごまかしがあります。」

 

「現在の科学の水準から言って、地震を引き起こす震源断層を推定するのに、活断層を指標として用いる、というのは、やむを得ないことですが、しかし、同時に、1995年の兵庫県南部地震以降を見ただけでも、活断層が認定されていなかった場所でもマグニチュード7クラスの地震が発生してきたというととは銘記されねばなりません。」

 

 ▼新基準地震動に見合う耐震補強は放置

「福島第一原発では、旧基準地震動370ガルから新基準地震動600ガルに引き上げられました。しかし福島原発では、まったく耐震補強はしていなかったのです。耐震補強を先延ばしというか、一切してこなかったのが福島です。他の原発も基本的には同じです。」

 

「今存在をしている原発の耐震安全性というのは、あらためて厳しく検証する必要があります。Lかし、新規制基準ではこの点の規制が峻昧なまま、敷地内の断層が活断層か否かだけが新たな規制事項として加味されたというに過ぎないのです。」

 

「敷地内の断層に1213万年前以降の活動性がなければ、安全性が確保されるというのは幻想に過ぎません。ともすれば、原発ゼロをめざす運動の中でも、この点だけが問題にされますが、原発の耐震安全性の基本的な問題を見誤らないでいただきたいと思います。」

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2.手法古すぎる原発地震動評価(長沢啓行:毎日 2014.5.1

 http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7660831.html

 

 上記とともに、要注目の長沢先生執筆の記事です。原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の基準地震動評価は、どうも陳腐化した、かつ手抜きの地震動評価であることが明らかになってきているようです。特に、阪神大震災以降、全国各地でデータが集まってきているのに、それが反映されていないとか、2つある評価方法のうち、結果が小さく出る方だけを使って大飯原発の基準地震動を評価しているなどということは、信じがたい出鱈目(規制違反)です。

 

(一部抜粋)

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 原発の地震動評価手法として現在用いられているのは主に「耐専スペクトル」と「断層モデル」の2種類だ。だが、十数年前に作られて以降、この20年間に収集された国内の地震観測記録は反映されていない。

 

 断層モデルは、震源断層を長方形の断層にモデル化し地震動をコンピューターでシミュレーション計算するが、どうモデル化するかで結果が変わってしまう。耐専スペクトルは観測記録に基づき地震規模と距離から地震動の大きさを推定する方法で信頼性は高い。だが、作成時は「極近距離」(マグニチュード7で12キロ、同8で25キロなど)より近くの観測記録がなく適用範囲は限られていた。

 

 ところが1995年の阪神大震災以降、全国に強震観測計が設置され、震源近くの観測記録がたくさん集まった。特に2008年岩手・宮城内陸地震では地下で重力を超える1000ガル超の地震動が記録された。

 

 これら貴重な記録を耐専スペクトルに反映して適用範囲も広げるべきところ、規制庁は古いままの耐専スペクトルを用い、かたくなに「極近距離」より近くでは適用外にしている。福井の大飯原発などでは活断層が近すぎるため耐専スペクトルが使われず、主に断層モデルで地震動評価を行っている。

 

 ところが高浜原発は活断層の距離が少し離れているため、耐専スペクトルと断層モデル双方による評価が行われた。何と、断層モデルによる地震規模の評価結果は耐専スペクトルの2分の1ないし3分の1にすぎなかった。鹿児島の川内原発でも同様だった。規制庁は「手法が違うので異なっても仕方がない」「いろんな手法で基準地震動を作っている」と言う。断層モデルだけで基準地震動を検討している大飯原発は大幅な過小評価になっているのではないか。関西電力は断層上端の深さを3キロに上げ、地震規模を15%程度増やす方針に転換したが、地震動評価結果はその程度にしか増えない。耐専スペクトルにしても最近の観測記録で見直した場合、高浜も川内も大幅な過小評価になっている。

 

 聞けば旧原子力安全委は10年3月、耐専スペクトルが震源断層直上でも適用可能だと確認していたが、規制庁はこれを知らなかったという。断層モデルで地震規模が小さく算出される問題点を安全委で検討した結果も引き継がれなかった。

 

 原子力規制委員会は古い手法を古い考え方のまま用いて原発の地震動評価をしている。この「審査」に合格した原発を再稼働しても安全だと一体誰が保証できるのだろう。

 

3.「世界最高水準」の規制基準根拠なし(東京 2014.4.26

 http://fkuoka.blog.fc2.com/blog-entry-1127.html

 

 自民党の政治家が言ってる「世界一」なんて、「世界一の恥知らず」くらいのもんです。「世界最高水準」の規制基準=ネゴトの一種です。

 

4.日本火山学会原発対応委員会を創設 巨大噴火リスク議論 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20140429k0000e040168000c.html

早々

 

2014年5月 2日 (金)

4/30 川内原発の再稼働審査・汚染水問題に関する政府交渉 報告

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、さる430日に参議院議員会館にて開催された「川内原発の再稼働審査・汚染水問題に関する政府交渉」での配布資料、並びに関連する報道記事です。ご参考までにお送りします。

 

 当日の交渉には、原子力「寄生」庁の若手官僚の他、経済産業省・資源エネルギー庁の役人たちが出てきていましたが、福島第1原発事故の原因究明もままならず、従って、その教訓も生かすことができぬまま、更に、火山や地震や津波の危険性についての認識やチェックもまったく不十分のままに、かつ、原発過酷事故時の原発立地地域の避難計画も絵に描いた餅のような「机上の空論」状態で、原発を再稼働しようとしている様子が強く感じられました。主催者や参加した市民からの質問や疑問にたいして、審査中だから、などの理屈を付けて、ほとんどまともには答えようとせず、説明責任を果たさぬままに、多くの再稼働反対を押し切っていこうとする姿勢が見え見えでした。このままでは日本は、超危険状態に陥ってしまいます。引き続き、みんなで力を合わせて原発再稼働を止める最大限の努力をしていきましょう。

 

 <別添PDFファイル:一部添付できませんでした>

(1)川内原発の再稼働審査・汚染水問題に関する政府交渉(配布資料)(2014.4.30
「zentai_rejime.pdf」をダウンロード

(2)玄海原発の避難計画のおかしさ(1)(2014.4.30 集会資料)
「genkai_1.pdf」をダウンロード

(3)玄海原発の避難計画のおかしさ(2)(2014.4.30 集会資料)
「genkai_2.pdf」をダウンロード

(4)火山学会がf原発対応委、巨大噴火リスク議論(毎日 2014.4.29

(5)川内原発再稼働1号最有力、首長、原発マネー手招き(東京 2014.3.13

 http://www.asyura2.com/14/genpatu36/msg/741.html

(6)審査大詰めの川内原発、巨大噴火を過小評価(東京 2014.4.13

 http://www.asyura2.com/14/genpatu37/msg/452.html

 

 <注目してください>

●日本火山学会原発対応委員会を創設 巨大噴火リスク議論 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20140429k0000e040168000c.html

 

 2014429日付毎日新聞「火山学会がf原発対応委、巨大噴火リスク議論」の記事にご注目ください。記事の一番最後のところ「規制委は川内原発再稼働後、巨大噴火の兆候の監視体制を整えるため、有識者会議を設置する方針を決めた」とあります。要するに、火山リスクを原発の再稼働審査と切り離し、原発を先に再稼働させて既成事実を作ったうえで、何かとうるさい有識者会議を設けて、そこでガス抜きをしよう、という算段のようです。全くの出鱈目行為です。当日の原子力「寄生」庁の役人の話では、原発再稼働のあとと決めたわけではない、という言質もあったと言います。審査をパスさせる前に必ず有識者会議を開催させていきましょう。

 

●川内原発の再稼働審査・汚染水問題に関する政府交渉

 http://www.kiseikanshishimin.net/2014/04/21/川内原発の再稼働審査-汚染水問題に関する政府交渉-430-参議院議員会館/

(このサイトから、当日の主催者側からの政府・原子力「寄生」庁に対する質問事項がダウンロードできます:PDF)

 

●美浜の会HP

 http://www.jca.apc.org/mihama/

(上から4つが関連事項です。貴重な資料なので、ぜひご覧ください)

 

●当日の録画

 http://www.youtube.com/watch?v=QxmqXQiw6K0

 http://www.youtube.com/watch?v=HfZmNmu7dBs

 

●以下,メール転送です。

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[転送・転載歓迎/重複失礼]

 

430日に参議院議員会館で行われた「川内原発の再稼働審査・汚染水問

題に関する政府交渉」について、阪上武さん(福島老朽原発を考える会)の

報告を転送します。火山影響評価、避難計画、汚染水問題と重要テーマの

三本立てでした。重要な内容ですので、ぜひご一読ください。

 

緑の党会員の荒木龍昇福岡市議も参加され、積極的に発言されていました。

荒木さん、お疲れ様でした。

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みなさまへ

昨日(注:30日)は政府交渉お疲れさまでした。

 

◆火山影響評価について

参議院議員会館で参加者は70名ほど。鹿児島、佐賀、福岡、関西、首都圏他から参加がありました。テーマは、川内原発の火山影響評価、汚染水問題、原子力防災・避難計画の3つですが、そのうち、火山影響評価について簡単にご報告いたします。

 

川内原発の火山影響評価については、審査の過程で火山学者が全く関与しておらず、火山学者から懸念の声が上がっている中、こちらからは、有識者会合の開催しその間は審査を止めるべきではないかという旨の事前質問を出していました。

 

折しも、交渉の前日の毎日新聞に、規制庁は、再稼働後に有識者会合を開催する方針だとの記事が流れました。交渉は、再稼働後ではおかしいではないかという点に集中しました。

 

規制庁は、地震・津波担当の牧野氏が対応しました。牧野氏の回答は、「外部有

識者に意見を聴くというのは、今後行われるモニタリングの結果に関しまして、

事業者の評価が適切かどうかを判断するの際の規制側の考え方を整理するためでございまして、許認可時に求めるものではございません。」というものでした。

 

しかしこれは、前回4月23日の規制委適合性審査会合で、島崎委員長代理の発言とは異なります。島崎氏は、「火山学者の、専門家の方を集めていただいて、議論をする。それを九州電力さんが、設定してやるというのは非常にいいことだと思いますが、私どもとしましても、ある段階で、しかるべき検討が必要であることは自覚しております。判断基準はあらかじめもっておくということは非常に重要で、それは大切だと思いますけれど、やはり決める場合にはもう少し慎重な検討が必要だと思います。」と述べていました。ここで判断基準と言っているのは、火山活動の兆候を把握した場合の対処を講じるための判断条件のことです。

 

交渉はまず、破局的噴火について、兆候を把握した場合の対処のための判断基準が現時点でないことを確認し、新規制基準火山審査ガイドに、兆候を確認した場合の対処方針を定めることが要求されていることを確認した上で、この判断基準が定められないうちに再稼働を許すのは、火山審査ガイドに違反しているのではないかと問い質しました。牧野氏は、詳細な判断基準は必要ない、有識者会合は適合性審査とは別だ、などと繰り返すだけでした。

 

破局的噴火の兆候の把握については、そもそも核燃料の避難が間に合うようなタイミングで把握することそのものが可能かどうかも不明確であり、島崎氏の適合性審査会合でもまさにそこが問題になっています。

 

大飯原発の断層問題では、有識者会合を開き、その間は再稼働の申請を受け付けませんでした。これに比べても明らかに対応が異なります。法的にも問題がある対応です。有識者会合の開催とその間の審査の中断については、今後も直接の抗議、要請、議員へのはたらきかけ、署名などで要求していきましょう。

 

◆汚染水問題について

こちらが問題にしたのは、各地の原発の再稼働審査における重大事故対策の中

に、福島第一原発でいま問題になっているような汚染水事故を防止するような対策が含まれていない問題と、現在福島第一原発で問題となっている地下水バイパスの問題でした。

 

重大事故対策については、規制庁PWR担当の布田氏が、汚染水対策として九電が対策を示しているのは、ガス状の放射能を放水砲で叩き落とした際に出てくる汚染水をシルトフェンスで防ぐというものだけであること、九電は、格納容器の健全性は保たれると主張していること、そして、福島第一原発事故で発生しているような汚染水事故の対策については、審査で検討もしておらず、新規制基準でも要求していないと回答しました。

 

福島事故を踏まえて新規制基準が定められ、審査が行われているはずですが、それが守られていないことが明確になりました。

 

地下水バイパスについては、汚染が昨年8月のタンク漏れに起因する可能性について問題提起をし、計画を中止するよう求めました。対応したエネ庁の柴田氏は、関係は不明、今後も注視すると回答しました。

 

◆原子力防災・避難計画

規制庁の防災担当者は、交渉ははじめてとのことでしたが、それにしても答えられずに窮する場面が多すぎでした。

 

交渉で特に問題になったのが、避難途中で放射線計測と除染を行うスクリーニングでした。

 

規制庁の担当者は、スクリーニングの対処方針については、4月に行われた道府県との連絡会で、自治体側の意向を受けて改定されたとの説明から入りました。よく聞くとその資料は非公開だとのこと。即座に公開するように求めました。

 

スクリーニングの場所については、改定により、30キロ圏の近傍1~2キロの地点とされたことが明らかになりました。しかし現実には、何百台もの車が押し寄せる場所の確保が問題です。

 

川内原発で鹿児島県が昨年実施した避難訓練では、40キロ先の姶良市の高校が避難先で、その避難先でスクリーニングが行われました。このやりかたではスクリーニングの対処方針に反することになります。

 

また、スクリーニングでは、時間を短くするとの理由で、車を測って人を測ったことにしたり、人を測る場合も代表者だけで済ませてしまおうとしています。これは、避難者の安全確保という点でも、避難先への汚染拡大防止という点でも問題があります。

 

代表者をどうやって選ぶのかも問題ですが、4月の道府県連絡会で、自治体側から反発があったようで、地域の実情に合わせて行うことをさまたげないという文言が入ったとのことでした。事実上代表を任命するやり方はやめにした反面地域の実情にという形で、責任を自治体に押しつける問題も出てきました。

 

交渉には、佐賀から、そして玄海原発の避難元となる伊万里市の市議さん、そして一部が避難元、一部が避難先になる福岡市の市議さんが参加され、避難先にほぼ同じ人口が避難してくることになっている過密避難の問題(しかもそれが避難先に伝えられていない!)や風下へ避難することになっている件など、具体的な問題が示されました。

 

規制庁は、国は援助をするだけで、所掌ではない、計画を立てるのは自治体だと逃げ回っていました。では一体避難計画の実行性を誰が検証するのか。問い質しましたが回答はありませんでした。

 

引き続き情報を整理し、連絡をとりあいながら、避難の非現実性をリアルに明らかにしていきましょう。

阪上 武

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早々

 

「100mSvをめぐって繰り返される誤解を招く表現」(津田敏秀岡山大教授 『科学 2014.5』 論文より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、今月号(2014/5)の岩波書店月刊誌『科学』に掲載された津田敏秀岡山大学大学院教授(疫学・公衆衛生学)の「100mSvをめぐって繰り返される誤解を招く表現」と題した論文です。

 

 こともあろうに三度の核被害を経験した日本において、放射線被曝が(生涯累積で)100ミリシーベルトを下回れば、被曝者には何の健康被害も出ないかのごとき、奇妙・珍妙・乱暴で危険極まりない言説がはびこっているが、こうした言説は、疫学や科学統計に精通した学者からは「世界でも稀有な放射線影響のインチキ、ごまかし」とみなされている。昨今では、錯誤なのか意図的なのかは分からないが、「生涯100ミリシーベルト」のところが「年間100ミリシーベルト」にすり替えられて流行し始めているようで、放射線被曝の過小評価と「放射線安全神話」の蔓延は、本来なされるべき放射線防護をおろそかにしながら、近い将来の大きな悲劇に結び付いていきそうな気配である。

 

 そして、こうした放射線被曝への軽率な態度が、実は原子力ムラ・放射線ムラが支配する政府及び似非学界・似非学者の手によるものであることがはっきりしているだけに、この放射線被曝評価をめぐる(官製)「風評被害」は、本当のことを知る者にとっては許しがたい詐欺行為としか思えないのである。

 

 以下、津田敏秀岡山大学大学院教授(疫学・公衆衛生学)の論文を簡単にご紹介することで、この「100ミリシーベルト被ばく評価」のおかしさやインチキ性をクローズアップしてみたい。この論文は、一般人にも理解できる平易な表現で、ものの見事に、この(官製)「100ミリシーベルト論」のインチキをあぶり出してくれている。ただし、下記に箇条書きにするものは、氏の論文のごく一部であるので、願わくば岩波書店月刊誌『科学』を書店で求めるか、図書館等で閲覧し、その原文にあたっていただければ幸いである。

 

●岩波書店月刊誌『科学』

 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/index.html

 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo201405.html

 

 

<「100mSvをめぐって繰り返される誤解を招く表現」(津田敏秀岡山大学大学院教授(疫学・公衆衛生学)『科学 2014.5』 論文より):一部抜粋>

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◆その人物はいる

「100mSv以下の被ばくでは放射線によるがんが発症しない」かのように言う人がおり,それを真に受けた省庁などが公式文書の中に盛り込んで発表していることを警告して強調した。しかし多くの人々がつめかけた会場で私のプレゼンを聞いていた専門家の間からは,「そんな科学的に間違ったことを言う人が実際にいるのか、まさかいないだろう」とばかりに,失笑すら巻き起こった。しかし実際にいるのである。」(松浦祥次郎氏(日本原子力研究開発機構理事長,原子力安全研究協会評議員会長、原子力安全推進協会代表)

 

「放射線被ばくの人体影響や発がん物質の因果影響に限らず,一般に,われわれは因果関係を直接に認識・観察することはできない。直接に認識・観察できるのは,原因としてみなしえることがらと,結果として起こったことがらという個々の現象のみであり,因果関係そのものは,概念の世界に属する。したがって因果関係は,原因と考える個々の事象と結果と考える個々の事象のデータを集積し分析して形成された概念の世界において,統計学を用いた定量的な分析結果として記述されることになる。」

 

「曝露に感受性の高いがんでは統計的有意差が得られても,他のがんを含めた全部のがん(全がん)では有意差が得られないことがある。(中略)そのた

め,曝露に感受性の高いがんを他のそうではないがん全部とひっくるめてしまうと,たとえ統計的有意差があったとしても,リスク比やSMRの倍率は低くなってしまう」(要するにリスクが見えなくなってしまうということ:田中一郎)

 

「100 mSvの被ばくで全がん増加に統計的有意差がないことをことさら強調しでも,ほとんど何の意味もなく混乱を招くだけなのである。なぜなら、100 mSv以下で,放射線感受性が高いがんが統計的有意に多発していることを示す論文は,多数存在しているからである。また,ICRP 2007年勧告の「全がん」は全年齢層の平均なので,放射線感受性が高いがんが多発する若年者の多発の程度が薄められてしまうことにも注意しなければならない。」

 

◆「放射線副読本」の問題

「その12頁の下半分には,放射線医学総合研究所作成の「放射線被ばくの早見図J(改訂版)が掲載されている。この図では. 100 mSvに赤線が引かれ,そこから上向きの線量が高い方向への矢印があり. 「がん死亡のリスクが線量とともに徐々に増えることが明らかになっている」と書かれている。これは,東日本大震災直後の20114月に放射線医学総合研究所のホームページに掲示され、翌年4月に差し替えられながらも多くの自治体や大学等が引用した「放射線被ばくの早見図J()の, 100 mSvに赤線が引いてあり,そこから下向きの線量が低い方向への矢印があり「がんの過剰発生がみられないjという記述よりは,やや改善されている」

 

「しかしこれでもまだ間違いと言わなければならない。「100mSv」から「がん死亡のリスクが線量とともに徐々に増えることが明らかになっている」のではない。今日では,10 mSv程度(あるいはそれ以下)のレベルでも「がん死亡のリスクが線量とともに徐々に増えることが明らかになっている」のである。これは1桁以上間違えた記載である。」

 

「これまで指摘してきたように,この記述は,統計学の基礎知識を無視する人たちがICRPの2007年勧告の記載を読み違えたために生じた,初歩的ながら社会的には重大な誤りである。文部科学省を名乗る組織が,科学の文法である統計学知識の初歩的な誤りに起因する誤った言い方を記載した副読本を配布するべきではない。」

 

「また,この副読本の同じく12頁には,「低線量被曝による影響の度合いが,大人と子供でどれだけ違うかははっきりとはわかっていません」と書いているが,わかっているのである。大人と子どもで低線量被ばくによる発がん影響の度合いが違わないと言う専門家はいないだろう。ICRPや彼らがもとづいている広島・長崎では,追跡集団が被ばく13年後の1958年に確立されたので,大人と13歳以下の違いに関するデータが集められていないため分析できないだけである。これを「はっきりとはわかっていません」と書くのは誤りである。」

 

「なお,「放射線が人の健康に及ぼす悪影響については,まだ科学的に十分な解明がなされていません」とも副読本は書いているが,タバコによる人体影響とならんで,放射線の人体影響は科学的に極めてよく解明されている。放射線の影響が十分に解明されていないと言ってしまうと,解明されている発がん物質などなくなってしまう。f科学的解明jがどのようなものかを理解していれば,このようなことは書けないはずだ。20日年以降の日本の放射線の健康影響に関する話題は,一貫してこのような暖昧な話が多い。」

 

◆「放射線リスクに関する基礎的情報」の問題

「復興庁など(内閣府,消費者庁、復興庁,外務省,文部科学省,厚生労働省、農林水産省,経済産業省、環境省、原子力規制庁が連名)が公表した『放射線リスクに掬する基礎的情報j(以下、「基礎的情報」と略する)という冊子が復興庁のホームページ上で公開されているが,これもまた,大きな誤解を与える可能性のある表現を用いている。」

 

「大規模な被ばくデータは,広島・長崎以外にも数多く存在し,広島・長崎のデータより規模が上回るデータもあるのに,ここでも相変わらず,広島・長崎に投下された原爆による発がんデータにしか言及されていない。それに福島県では,広島・長崎の調査よりもずっと多く(約10倍規模)の県民が低線量放射線に被ばくしていることにもふれられていない。」

 

「がんリスクの増加は明らかになっている。この「基礎的情報jを書いた各省庁が具体的なデータでがん種別・年齢別の多発状況を示していないICRP 2007年勧告しか目を通さず,放射線による人体影響に関する数多くの論文には目を通していないから,こんな単純な勘違いに気づかないのである。」

 

「放射性物質のような発がん物質は,物質により発生しやすいがんが大きくばらつくことが常識なのに,全部のがんを併せて,全部の年齢層を平均したリスクを比較するようなおおざっぱなことを,専門家や一般市民を含め一体誰がするというのだろうか?  ところがそれを,「基礎的情報」や国立がんセンターはしているのである。」

 

「〈放射線と生活習慣によってがんになるリスク〉と題した表においては, 100-200(ミリシーベルト/1回)のところに,がんの相対リスク(リスク比被ばく

していない人に比べて被ばくしている人に何倍がんが多発するかの指標)が1.08倍と書かれ, 100(ミリシーベルト/1回)のところには,「検出不可能jと記されている。これまで繰り返し指摘してきた統計的有意差がないことを検出不可能と混同した,明らかな初歩的間違いである。」

 

「この「検出不可能」(実は統計的有意差がないにすぎない)は,広島・長崎の追跡データ上の話に限った,全年齢層,全がんを含めた話であり,年齢別もしくはがんの種類別に分析されれば検出可能であることは,広島・長崎の追跡データを含め,世界中の被ばく者を含むデータにより実証されている。」

 

「放射線医学総合研究所のホームページに掲載されていた放射線被ばく早見図と同様に,国立がんセンターもまた,大きな誤解を与える可能性のある表を掲載してい

たことになる。」

 

「さらに,同じ15頁の「14.放射線防護を講じる際のICRPの基本的考え方」本文では,これまで論じてきた100ミリシーベルト以下の話題が,勝手に「年間100ミリシーベルトを下回る」と「年間Jが付け加わっている。」

 

1年間100ミリシーベルト」と「年間Jを付けてしまっては労働安全衛生法(電離放射線障害防止規則)で定められた労働者の被ばく限度の倍になり,5年間の被ばく限度をI年で浴びることを意味する。いつの間にか「年間」まで加わった100ミリシーベルト関値説まで流布していることがわかる。」

 

「これが単純なミスで済まされないのは, 2014年1月14日の東京地方裁判所民事第2部の福島第一原子力発電所設置許可処分無効確認請求事件判決(川神裕裁判長)の中で,(中略)裁判の判決文にまでなっているからである。このような誤った判決が今後は判例となりうるのである。」

 

◆甲状腺がん議論の迷走

「「県民健康管理調査」検討委員会の第2回「甲状線検査評価部会」が,2014年3月2日に福島市内で開かれた。部会では「甲状腺がん検診を福島県内で続けているために過剰診療につながっている」という主張が出て大激論になった。つまり,本来ならがんとして診断されない患者までががんとして診断され,その結果,検診をしなければここ切除する必要がない甲状腺まで切除されてしまっているという主張である。これは,国立がんセンターの津金昌一郎がん予防センター長と東京大学大学院の渋谷健可教授という「疫学の専門家」から出た。」

 

「ただこの二人の疫学者は,福島県内で甲状腺がんの発見割合に統計的に有意なばらつきが見られていることに気づいておられない。この有意なばらつきは,スクリーニング効果説だけではまったく説明できない。お二人とも県が用意した資料だけを一瞥しただけで,そこに載っているデータをまとめ直すという読み方をしていないのである。」

 

「渋谷教授などは,福島県だけを調べても因果関係に迫れないと主張していた。つまり,渋谷教授は,福島県内で線量分布がばらついていることに気づいていないのである。」

 

「さらに小児甲状腺がんスクリーニングが,チェルノブイリ周辺で行われているのだが,そのデータもお二人は見ておられない。複数存在するその結果は,スクリーニング効果が小児甲状腺がんではあったとしても大きくはないことを示している。これらの背景知識をもとに,いま福島県で集められている甲状腺がんに関するデータを素直に読めば,過剰診療よりも多発であるとわかるのに, まるでそこ(甲状腺がんの多発)にだけは触れたくないようなのである。」

 

◆データにもとづく討論を通じた情報交換が必要

「しかしこのまま根拠のない危険な思い込みが国内に流布されたまま放置するわけにはいかないので,100 mSv関値説の問題について,メディア各社は一日でも早く周知徹底すべきである。そのために必要であれば,いつでも公開討論会もしくは紙上討論会を企画していただきたい。直接の討論を避ける日本独特の習慣も,ここまで来ると危険である。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

● 原発・被ばく、こんなのおかしいのとちがう?(1):原発取材後の鼻血の描写、「美味しんぼ」物議(2014.4.29付毎日新聞他各紙)  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/2014429-53cc.html

 

 

2014年5月 1日 (木)

原発・被ばく、こんなのおかしいのとちがう?(1):原発取材後の鼻血の描写、「美味しんぼ」物議(2014.4.29付毎日新聞他各紙)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、さる4/29の朝刊各紙に掲載された記事(添付は毎日新聞)の一つです。どうも記事を読んでいて、おかしいぞ、と思ったので、以下簡単にコメントします。

 

 <別添PDFファイル>

●原発取材後の鼻血の描写、「美味しんぼ」物議(毎日 2014.4.29

 http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140429/Mainichi_20140429k0000e040156000c.html

 

(一部抜粋)

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 小学館が28日に発売した週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」5月12、19日合併号の人気漫画「美味(おい)しんぼ」(雁屋哲作・花咲アキラ画)で、東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが鼻血を出す場面が描かれ、読者から問い合わせが相次いでいることが分かった。同誌編集部は「綿密な取材に基づき、作者の表現を尊重して掲載した」などとするコメントを発表した。

 

 (中略)

 

◇被ばくと関連ない

 野口邦和・日本大准教授(放射線防護学)の話 急性放射線障害になれば鼻血が出る可能性もあるが、その場合は血小板も減り、目や耳など体中の毛細血管から出血が続くだろう。福島第1原発を取材で見学して急性放射線障害になるほどの放射線を浴びるとは考えられず、鼻血と被ばくを関連づけるような記述があれば不正確だ。

 

◇ストレスが影響も

 立命館大の安斎育郎名誉教授(放射線防護学)の話 放射線影響学的には一度に1シーベルト以上を浴びなければ健康被害はないとされるが、心理的ストレスが免疫機能に影響を与えて鼻血や倦怠感につながることはある。福島の人たちは将来への不安感が強く、このような表現は心の重荷になるのでは。偏見や差別的感情を起こさない配慮が必要だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 この手の話は今までにもたくさんあった話で、私はこの記事については、下記の3者の対応で十分だと考えている。今の段階では、それ以上にも、それ以下にもしてはいけないと思うからだ。そういうことがあったという事実は事実として、受け止めておけばいい。

 

(1)同誌編集部は、ホームページに掲載したコメントで「鼻血や疲労感が放射線の影響によるものと断定する意図はない」「風評被害を助長する意図はない」などとしている。

 

(2)原作者の雁屋氏は今年1月、豪州在住の日本人向け情報サイトで2011年11月〜13年5月に福島第1原発の敷地内などを取材したことを明かし、「帰って夕食を食べている時に、突然鼻血が出て止まらなくなった」「同行したスタッフも鼻血と倦怠(けんたい)感に悩まされていた」などと語っていた。

 

(3)井戸川氏は28日の毎日新聞の取材に「雁屋さんから取材されて答えたことがそのまま描かれている。(描写や吹き出しの文章は)本当のことで、それ以上のコメントはない」と話した。

 

 私が問題だと考えているのは、この記事に添付された2人の著名な学者のコメントである。上記記事をもう一度ご覧いただきたい。

 

● 野口とかいう学者の話に対して私が疑問に思うこと

 

(その1)何で被ばくと関係ないと断言できるのか?

 

(その2)「急性放射線障害になれば鼻血が出る可能性もあるが・・・・」などと述べているようだが、急性だろうが、鈍足性だろうが、放射線被曝の人体への影響の度合いについては、驚くほど個体差が大きい。小さな放射線被曝であっても、鼻血の出る可能性は否定できない。絶対にない、とは言えないはずだ。この野口とか云う学者は、おそらく「急性放射線障害」について、インチキ被ばく単位の「シーベルト」でいくらいくら、という「固定観念」を持っていて、それ以外では絶対に鼻血はあり得ない、と思い込んでいるようだ。私は、そんな教科書的な判断は、こと放射線被曝については全くあてにならない、と考えているが、もし野口氏が「いや絶対にこうである」と言い張るのなら、その実証的証拠を統計学的に有意な形で示していただきたい。おそらくは数百万人の放射線被曝と鼻血の関係についての疫学的調査結果をお持ちなのでしょう。是非、お見せいただきたいものである。

 

(その3)「福島第1原発を取材で見学して急性放射線障害になるほどの放射線を浴びるとは考えられず」などと、どうして同行したわけでもない野口氏が、かようなことを言えるのか。福島第1原発の現場は、あっちこっちが猛烈なホット・スポットだらけであることに加え、事故後から今日まで、大量の様々な放射性物質を、大気中に、あるいは汚染水として敷地のいたるところに撒き散らしているのである。不幸にして、そのばら撒かれた放射能によって、たくさん被ばくしてしまったということは、ありえないと、どうして野口氏がいえるのだろうか。

 

(その4)従って「鼻血と被ばくを関連づけるような記述があれば不正確だ」ではなく、「不正確なのは、あなた」、つまり野口さん、あなたなのです。憶測でモノを言っていはいけません。

 

● 安斉とかいう学者の話に対して私が疑問に思うこと

(ほんとうに安斉氏がかようなことを言ったのかなあ、と素朴に疑問を感じます。ひょっとして「1シーベルト」とあるのは「1ミリシーベルト」の間違いではないのか、とも思います)

 

 ずばり「放射線影響学的には一度に1シーベルト以上を浴びなければ健康被害はないとされるが」なんて、あんた何柳京煕天然(なにゆうてんねん)。寝言は寝て言え!!、であります。安斉さん、そんなことをおっしゃるならば、申し訳ないけど、毎日1Sv以下(0.99Sv)の放射線を浴び続けていただけませんか? 健康被害はないのでしょうから、別にどうってことはないでしょう?

 

 ついでに申しあげておくと、「心理的ストレスが免疫機能に影響を与えて鼻血や倦怠感につながることはある」だって。この説明パターン、よく聞くよね。被ばくと軍国主義貫徹は「精神・心理の問題」なのだそうだ。安斉さん、あなた、ひょっとして、原子力ムラじゃないけれど、放射線ムラなの?

 

 ということで、みなさま、この野口邦和・日本大准教授(放射線防護学)と立命館大の安斎育郎名誉教授(放射線防護学)の2人の名前はよく覚えておきましょう。何故なら、今回の毎日新聞記事のように、この似た者同士の2人は、いわゆるリベラルの立場から放射線被曝の問題へのコメントを求められることが多く、そのたびに、上記のようなミスリーディングな発言を繰り返しているようだからです。注意! 注意! 要注意! です。

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●原子力翼賛社会への道:放射線被曝とは、隠ぺいして、ごまかし、バレたら適当に言い逃れをし、そして健康被害が出たら切り捨てること(2)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-1618.html

 

●原子力翼賛社会への道:放射線被曝とは、隠ぺいして、ごまかし、バレたら適当に言い逃れをし、そして健康被害が出たら切り捨てること(1)  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-b3bd.html

 

●原発推進からくり人形(2) :九州電力の王国(朝日新聞記事より)と「もんじゅ」ハッタリ延命計画  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-a2e7.html

 

●原発推進からくり人形  いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-5813.html

 

 

原子力翼賛社会への道:放射線被曝とは、隠ぺいして、ごまかし、バレたら適当に言い逃れをし、そして健康被害が出たら切り捨てること(2)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、福島第1原発事故に伴う住民の放射線被曝、及び除染、避難、帰還に関する新聞・雑誌記事です。これらの報道から「放射線被曝とは、隠ぺいして、ごまかし、バレたら適当に言い逃れをし、そして健康被害が出たら切り捨てる」ということがよくわかります。まさに原子力翼賛社会への道です。簡単なコメントとともにご覧ください。このメールは、先般お送りしたメールの続編です。

 

 <別添PDFファイル:添付できませんでした>

(1)農家被ばく、事務職の倍(東京 2014.4.19

(2)苦渋、被ばく自力検査(東京 2014.4.22

(3)川内村避難区域で長期終日滞在、帰宅申請1割だけ(東京 2014.4.27

(4)不安拭えぬまま帰還(読売 2014.4.25

(5)国,原爆症審査ずさん(東京 2014.4.24

 

1.農家被ばく、事務職の倍(東京 2014.4.19

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014041902000153.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 東京電力福島第一原発事故で避難を強いられている住民が帰還した場合の年間被ばく線量の推計値を、十八日に政府が公表した。比較的線量の少ない地域でも、屋外作業する農家などは事務職に比べ、二倍程度の被ばくをする可能性が高いとの結果だった。ただ、この現実は一年近くも前に本紙や自治体が調べたデータが示しており、今さら感がぬぐえない。

 

(中略)表の通り、飯舘村では屋内にいる時間が長い事務職でも年間被ばく線量は最低三・八ミリシーベルトと、一般人の線量限度(一ミリシーベルト)の四倍近い。農林業ではもっと多く被ばくする計算だ。

 

 帰還が始まった都路地区でも、事務職やほとんど家の中にいる想定の高齢者は一ミリシーベルトを下回ったが、農林業では最大二・三ミリシーベルト。川内村ではどの職種でも一ミリシーベルトを超え、農林業は一段高い値となった。

 

 森林の除染は人家周りを除いて手つかずで、農地の表土をかき混ぜても放射性物質は減らない。本紙が昨年、福島県各所で調査した際も、農地の線量は屋内の二倍程度あった。熱心に作業する農家ほど被ばくするのは当然ともいえる。同様の傾向は伊達市の実測データでも確認されていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 記事にもある通り、「今さらジロー」だ(小柳ルミ子:古すぎる!!)。事故直後の20115月に、農林水産省は早くも耕作可能な田んぼの放射性セシウム汚染度を5千ベクレル/kg300,000ベクレル/m2として公表した(信じがたいことに、畑については何も言わない)。あまりのひどさに、私は「こんなのだめだ、危ないぞー」と、何度も何度も申しあげた経緯がある。そもそも数字が小さく見える「/kg」で5千ベクレルとしているところなどは、明らかに生産者・農家をだまくらかす魂胆が見え見えだ。「/kg」を「/m2」に修正するには、「/kg」の数字に5060を掛けておけばいい。1m2の面積の地面の表土を5cmばかり剥いでやると、その剥いだ土の重さがだいたい5060kgだということだ、

 

 また林業は、森林がひどく汚染されているせいもあって、農業よりもさらにひどい被ばく労働であり、場合によっては事故原発の現場作業員などよりも大量に被ばくをしてしまう可能性が高い。しかし、その割には、国有林野事業も含めて、林業労働者の被ばく防護については一般の関心が低すぎる。呼吸被ばく防護の装備もなければ、個人線量計も持たされず、放射線被曝の危険性さえ知らされないままに、大量被ばくさせられながら働かされている場合が多いのではないか。そもそも汚染森林から伐りだされる木材なども当然に汚染されていて危険なわけで、福島県やその周辺県の放射能汚染地域では、まず真っ先に林業やその関連事業をストップさせて、汚染物が「商品」として拡散するのを止めなければならないはずだ。おのずと、そのための賠償・補償も十全に用意されていなければならない。

 

 記事にある年間被ばく線量の表を見てみると、飯館村の数値が突出しているのがわかる。一般事務職で3.811.2Sv、農林業だと7.117.0Svとなっている。ぞっとするような数字である。申し上げるまでもなく、一般人の年間被ばく限度数量は1mSv、放射線管理区域指定基準は5.2Sv、それをはるかに超えている。こんなところへ住民を帰還させる政策など狂気の沙汰という他ない。絶対に帰還させてはならない数字だ。

 

 ところで、この発表された被ばく線量の数値には、記事には明示的に書かれてはいないが、おそらく内部被曝は含まれず、環境にばら撒かれた放射能による外部被曝だけのカウントなのだろうと推測する。そうすると、記事にある数字に、更に何倍かの内部被曝(呼吸と飲食:特に呼吸が要注意、かつ危険なのは放射性セシウムだけではない)が上乗せされ、更に内部被曝は外部被曝よりも格段に危険なので、こういう地域に住み続ける人の被ばく量は、とてもじゃないけれど、健全な人間生活の域を超えてしまっている。強制避難区域に住んでいて避難を余儀なくされた方々の生活や仕事に対して、帰還の押し付けではなく、万全の補償や賠償をするのが、まともな政策の在り方だ。また、放射線被曝の危険性についても、もっとちゃんと情報提供せよ。

 

 

2,苦渋、被ばく自力検査(東京 2014.4.22

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014042202000124.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 東京電力福島第一原発事故を受け、福島県以外の地域で、住民団体が被ばく検査を自主的に実施したり、自治体が支援したりする動きが広がっている。背景には、首都圏などでも局所的に空間放射線量が高い地域があるのに、福島県のように国費で被ばく検査する制度がないので自助努力せざるを得ないという苦渋の現実がある。 

 

(中略)沢田昭二・名古屋大名誉教授は「国は検査費が膨大になることを恐れているのかもしれない」と指摘。「微量な放射線でも障害が現れる人もいる。原発事故に責任がない自治体やボランティアが検査をやらざるを得ない現状は、国の責任の放棄だ」と憤る。

 

 福島県外での国費検査にわずかな可能性を残すのが、基本方針に従って環境省に設置された専門家会議。健康管理のあり方を再検討し、二〇一四年度中にも結論を出す。しかし、ここでの議論も雲行きが怪しい。昨年十二月の会合で、長滝重信座長(長崎大名誉教授)は、福島近隣県での初期被ばくについて「あまり考える必要がない」と発言。国が一一年三月に福島で実施した甲状腺検査で、全員が原子力安全委員会の基準値以下だったことなどが根拠だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 全くおかしな話だ。「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」による被害を受けた方々は、当然のごとく、加害者・東京電力や事故責任者・国に対して、その全ての被害をあらゆる形で償ってもらって当然なのに、この国では、その人たちに対する被ばくの検査や健康管理でさえ、加害者側・責任者側はまともにやろうとはしない。「子ども・被災者支援法」は成立直後から踏みにじられている。私は、この被ばくの自力検査費用も含めて、全ての被害者が全ての被害の賠償・補償を訴えて裁判提訴する「福島第1原発事故1,000万人損害賠償訴訟」を日本の法曹界が全力で組織すべきであると考えている。この原発事故の被害者を法的に助けられないのなら、日本の法曹界・法律家など、存在しなくていい。

 

 

3.川内村避難区域で長期終日滞在、帰宅申請1割だけ(東京 2014.4.27

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014042702000126.html

 

(関連1)東京新聞住民、除染効果に不信感  福島原発事故 (TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014042702000124.html

 

(関連2)東京新聞避難の楢葉町民「帰還なぜ急ぐ」 都内で町政懇談会福島原発事故 (TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014042702000123.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 東京電力福島第一原発事故で全町民が避難している福島県楢葉(ならは)町の町政懇談会が二十六日、東京都内で開かれ、首都圏に避難する町民七十人が故郷への帰還について町側と意見を交わした。町民らは、除染しても放射線量が下がらないことや、生活再建への不安を次々に明かし、拙速な帰還を避けるよう求めた。

 

(中略)だが、町内の放射線量は、国が除染の長期目標とする年間一ミリシーベルトより高い状態が続いている。懇談会では町民から「目標値を達成してから、帰還を考えるべきだ」「安心して住める環境になれば、町民は自然とみんな帰る。なぜ、帰還を急ぐのか」といった声が相次いだ。

 

 除染や東電の賠償については「山林の除染や追加の除染を」「帰還後も精神的な負担は大きい。三、四年は賠償を続けて」などの意見が出た。高齢の女性は「家は荒れて、もう住めない。解体したいが、今の収入では家を再建できない」と涙を流して訴えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 記事を読んでいて、また再び、ムカムカと腹が立ってきた。川内村も楢葉町も、基礎自治体の役場としてやるべきことが違うのではないか。まず、浪江町のように、住民の損害を全て賠償・補償させることを最優先において考えるべきではないか。そして、できもしない除染や帰還に固執するのではなく、避難・疎開・移住を柔軟に考えて、放射線被曝(外部被曝・内部被曝)を徹底して回避させながら、はやく住民の生活再建を実現することが最優先ではないか。除染はともかく、帰還にこだわるのはおかしいぞい。

 

 

4.不安拭えぬまま帰還(読売 2014.4.25

http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20140425-118-OYTPT50021/list_SOCIETY2

 

(田中一郎コメント)

 田村市都路地区に住んでいた人の体験談だが、放射能汚染地域への「帰還」をめぐる、まことに理不尽な話がコンパクトにまとめられている。国はおざなりで大雑把な「除染」をたった1回だけやって、さあ帰りなさい、と言う。しかし、放射線量はあまり下がらず、逆に上昇した場所もある。再除染を要求しても、国や環境省は聞く耳を持たずで、一向にらちが明かない、そんな感じだ。ひどい、あまりにひどい。

 

5.国,原爆症審査ずさん(東京 2014.4.24

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014042402000119.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 爆心地から二キロ以内に入ったことを証明する重要な資料を二度も見落として原爆症認定申請を却下したのは違法として、長崎市で被爆した岡山県の男性(72)が国に計三百万円の賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁は二十三日、男性の請求を認め、国に三十万円の支払いを命じた。国の認定審査のずさんさが浮き彫りにされ、被爆者からは抜本的な改善を求める声が上がっている。

 

(中略)判決などによると、男性は三歳の時に長崎市で被爆し、その日のうちに行方不明の家族を捜すため爆心地から四百メートル地点へ入った。国が二〇〇八年に定めた原爆症認定基準の「原爆投下より百時間以内に爆心地から約二キロ以内に入市した者」という要件に当てはまるが、同年に前立腺がんや白内障などについて原爆症認定申請をすると却下され、二年後に行った異議申し立てでも認められなかった。

 

 男性が一一年、却下の取り消しと慰謝料を求めて提訴すると、有識者による国の認定審査会が男性から提出されていた「入市証明書」を二度とも見落としていたことが判明。翌年、国は男性を認定した。

 

 古田孝夫裁判長は、「行政には証拠資料を十分に精査しなければならない職務上の法的義務があり、過失は明らか」と国の責任を認めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 ひどい話だが、これが今の日本政府の放射線被曝被害者に対する基本姿勢である。被ばく被害認定審査は「切り捨てる」ために行われている。いわば「切り捨ての手続き」だ。そしてそれは、ひょっとすると福島県やその他の放射能汚染地域の近未来なのかもしれない。この原爆被害者の事例を見ても、「子ども・被災者支援法」の扱いの例を見ても、「福島県民健康管理調査検討委員会」のふるまいを見ても、あるいは上記(2)「苦渋、被ばく自力検査」(東京 2014.4.22)の記事を見ても、およそ日本政府に放射線被曝被害者をきちんと救済しようという姿勢はない。

 

 しかし、この日本政府を牛耳る政治家たちを選挙で選び出しているのも我々有権者・市民であることを忘れてはならない。こんな非人間的で、有権者・市民や放射線被曝被害者に対して「敵対的」な政府など、我々が「変えよう」と思えば変えることができるものだ。決して「運命」や「定め」ではない。

 

==========================

 <追>次の3つの情報にご注目ください。

 

(1)トリチウム濃度が上昇=地下水バイパス井戸上流―福島第1 (時事通信) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140430-00000042-jij-soci

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 東京電力は30日、福島第1原発で汚染前の地下水を海に放出する「地下水バイパス計画」のくみ上げ用井戸の上流で、放射性物質のトリチウム濃度が4月中旬から上昇傾向にあると発表した。昨年8月のタンクからの高濃度汚染水漏えいが原因とみられる。

 

 東電によると、上昇が見られるのは8月に300トンの高濃度汚染水が漏えいしたタンク近くの観測用井戸で採取した地下水。12カ所のくみ上げ用井戸より山側にあり、距離は最短で約100メートル。416日時点で1リットル当たり4500ベクレルだったトリチウム濃度が28日に同7700ベクレルまで上がった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 こんな調子で、まだ「バイパス方式」だとか何だとか言って、汚染水を海へぶん投げるつもりなのか。「バイパス方式」じゃなくて「ストレート直進汚染ぐちゃまぜ方式」ではないか。

 

(2)福島県のキノコ・山菜汚染のものすごさ

●原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限の設定について |報道発表資料|厚生労働省(福島・栃木の山菜)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044967.html

 

(田中一郎)この厚生労働省のHPの通知を見ているだけでは、規制がかけられた食品が、いったいどれほどの汚染状況なのかは、わざと書かれていないのでわからない。そこで他のサイトを見てみると、何とびっくり・どっきりのこの猛烈な汚染状況である。何故、HPにちゃんと記載しないのか。

 

●東京江戸川放射線 福島県の凄まじい農産物汚染、コシアブラ7700ベクレル、ゼンマイ4500ベクレル、タラノメ1400ベクレル、ワラビ310ベクレル、コゴミ250ベクレル、フキ210ベクレル、タケノコ120ベクレル(5-10 厚生労働省)

http://radiation7.blog.fc2.com/blog-entry-2066.html

 

(田中一郎)天然のキノコ・山菜類は、単に食べ物として見るだけでなく、環境放射能モニターとしても見るといいです。天然のキノコ・山菜に出荷制限(100ベクレル/kg超)が出ている地域は、それを食べなくても、環境放射能による外部被曝や呼吸内部被曝に万全の注意をしてください。

 

●キノコ・山菜類の測定結果はここにあります(農林水産省HP)

http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/H25gaiyo.html#H25hinmoku

 

(3)「荒井広幸新党改革代表に自民党・安倍晋三首相が福島県知事選(10月)出馬を依頼した」という記事が『選択』という月刊誌の今月号(2014/5)に掲載されています。真偽のほどは不明。

早々

 

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