(簡単な報告)「川内原発再稼働阻止院内交渉集会」と原子力「寄生」委員会の新人事(田中知を委員にするなんて、ご冗談でしょう)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)
昨日、参議院議員会館で「川内原発再稼働阻止院内交渉集会 ~規制委の姿勢と川内原発の再稼働審査を問う~」が開催されました。別添PDFファイルは、その際の資料です。当日は、広瀬隆さん、向原祥隆さん(反原発かごしまネット)、山崎久隆さん(たんぽぽ舎)、後藤正志さんらが参加し、緊迫・白熱の政府交渉となりました。毎度毎度、結論を決めてかかっている原子力「寄生」庁の役人たちの、交渉の場における答弁には誠意や意義は感じられませんでしたが、多くの問題点を棚上げにしたまま、危険極まりない川内原発の再稼働を何とか強行しようとしている原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の出鱈目で狂気じみた姿勢は浮き彫りになったように思われます。(そもそも原子力「寄生」庁の役人の多くが、あの「ほあんいんぜんいんあほ」の元原子力安全保安院ですから、馬鹿みたいな話です)
以下、ごく簡単なコメントを付してご紹介申し上げますとともに、このほど新聞報道されております田中知(さとる)東京大学大学院教授を原子力「寄生」委員会の委員にする「トンデモ話」についても付記しておきます。なお、下記の記述は、全て私の判断で書いておりますことで、当日の質問をされた方々の発言そのものではありません。よろしくお願い申し上げます。
●川内原発再稼働阻止院内交渉集会 ~規制委の姿勢と川内原発の再稼働審査を問う
http://saikadososhinet.sakura.ne.jp/ss/archives/5594
<別添PDFファイル>
(1)川内原発再稼働阻止院内交渉集会(資料1)(2014年5月29日)
「soshinet_rejime.pdf」をダウンロード
(2)川内原発再稼働阻止院内交渉集会(資料2)(2014年5月29日)
「soshinet_rejime2.pdf」をダウンロード
(3)川内原発再稼働阻止院内交渉集会(資料3)(2014年5月29日)
「soshinet_rejime3.pdf」をダウンロード
(4)川内原発 避難推計、30キロ圏外へ最長29時間(東京 2014.5.30)
(5)田中氏「アウト」なのに、規制委の「中立」基準適用せず(東京 2014.5.30)
<特記事項>
1.地震について(広瀬隆さん、山崎さん、その他の方々より疑問・質問あり)
(1)活断層の長さと地震のマグニチュードの関係を示す「松田時彦」氏による「実証的な関係式」=「松田式」は、あくまで過去の地震をグラフにプロットして回帰直線を求めた、簡単にいえば「平均値」の直線だ。従って、たとえば(川内原発の)活断層の長さが10kmだった場合、松田式に従えば地震のマグニチュードは6.5となるけれど、実際の地震では、マグニチュード7.3(庄内地震)というものが起きていて、M6.5にとどまるという保障はどこにもない。
M6.5とM7.3では、そのエネルギーの大きさは16倍も違うのであり(Mが0.2ちがうとエネルギーは倍になる)、こんな松田式をそのまま実際の原発・核燃料施設にあてはめて耐震計算をするというのはどう考えても危険である。本来は、活断層の長さに対して、最大地震マグニチュードをプロットした「最大値直線式」を使って活断層の長さと地震マグニチュードの関係をとらえていないといけないはずだ(松田時彦氏は2000年代に入ってから、自分は政府によって原発稼働のための口実として利用されたと憤っているという)。
(2)川内原発の場合は、最初、建設時には372ガルの最大地震想定だったものが、今現在の再稼働前には620ガルまで引き上げられた。しかし、原発の施設自体は、建設当初とどこがどう違うのか。単に老朽化が進んだだけであって、現存する建物が、そんな簡単に倍近い耐震度になろうはずがない。耐震工事をしたところで、あの複雑極まりない、地震には脆弱な配管だらけ・各種配線だらけの原発が、一気に耐震度をアップするなどと言うのは非常識な見方である。単に「耐震余裕があるに違いない」という根拠のない楽観論に立脚し、机上の空論で「最大限度の地震」の大きさを書類上で引き上げているだけではないか(福島第1原発事故では、空気圧によって作動する制御系の配管やコネクター部分の部品が地震で破損し、ベント装置その他の制御ができなくなった疑いが出ている)。
(3)鹿児島県議会のやり取りの中では(九州電力の説明)、マスコミ報道等で6月末には終わると言われている川内原発の改修工事は、実は津波対策と防火対策だけであるという。肝心の耐震強化については、基準地震動の引き上げに伴う原発施設の耐震度計算がまだ終わっておらず、さらにそこから耐震補強工事をするとなれば、相当の時間がかかるはず。今現状の審査状況はどうなっていて、今後のスケジュール見込みはどのような状況なのか。
(4)震源を特定しない地震の想定マグニチュード(M6.5)が小さすぎる。せめてM7.3(阪神大震災)並みに引き上げるとか、中越沖地震時の実際のガル数である2,300ガルまで引き上げる等の対応をすべきである。
(参考)新耐震指針による基準地震動の策定について-地震動評価手法の概要-(釜江克宏:京都大学原子炉実験所、原子力安全委員会専門委員)
(5)九州電力は、川内原発敷地内及びその周辺で、地層調査のためのボーリング調査を適正・適切に実施したのか。九州電力は、かつて川内原発建設時には、ボーリング調査で入手したサンプル土壌が、敷地のぜい弱性を示すものだったために、他の土地で掘り返して採取したサンプル土壌と差し替えるという信じがたいインチキをしていた会社である(当時国会でも大問題となったが原発建設は強行された)。どこまで九州電力のボーリング調査を監視しているのか。
2.日本の規制基準が「世界トップクラス」という嘘八百と原発の過酷事故対応について(後藤政志芝さん、その他の方々より疑問・質問あり)
(1)日本の規制基準が「世界トップクラス」というのは嘘八百で、たとえば海外の原発では義務付けされている「コアキャッチャー」をはじめ、過酷事故拡大防止のための設備基準が日本では取り入れられていない他、アメリカなどでは当然視されている過酷事故時の地域住民の避難計画の実効性などが、現場に丸投げされていて、知らぬ存ぜぬの無責任放置されている(別添PDFファイルの資料を参照)。
(2)今の規制基準では、過酷事故時の水素爆発や水蒸気爆発(灼熱の溶融核燃料が冷水に触れた時に爆発的な反応を示す)は防げない。水素爆発を防ぐ「イグナイター」はオモチャのようなもの(格納容器内で部分的な水素燃焼を誘発するための点火プラグ)だし、炉心溶融時の格納容器内の水素濃度の見通しも楽観的すぎる=想定外が起きる可能性あり。溶融燃料が溶け落ちた際の対策は格納容器内で水シャワーをするだけのお粗末極まりない対策だ。また、福島第1原発で見られた3号機の使用済み核燃料の臨海爆発の可能性とその危険性も顧みられていない。肝心な過酷事故対策は対策になっていない手抜きそのもの。たとえば、水素爆発防止のために、加圧水型についても沸騰水型と同様に、格納容器内へ窒素ガスを入れることを義務付けすべきである(現状は、加圧水型は格納容器が大きいから、水素爆発まで時間がかかるので、窒素ガス注入は不要とされている)。
3.火山リスクについて(阪上武さん、その他の方々より疑問・質問あり)
(1)田中俊一原子力「寄生」委員長は、先般の参議院での答弁で、①桜島噴火のような通常レベルの火山噴火は、これまでの観察知見では予知できない、と発言し、続けて、②カルデラ大噴火のような巨大噴火なら、その予知ができる、かのごとき苦し紛れの答弁を行った。その根拠はどこにあるのか。
(2)火山噴火予知の根拠事例として九州電力が持ち出してきたのが「ギリシャ・サントリー島のミノア火山」だが、こんな地球の反対側にある一つの火山の事例だけでもって、鹿児島の複数のカルデラ火山の噴火予知ができるなどという結論は出せないはずだ。少なくとも、日本国内の複数のカルデラ火山について、その噴火予知の調査をさせるのか(させるのなら、調査結果が出るまで、かなり長い時間がかかる:数年~数十年)。
(3)にもかかわらず、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、川内原発を含む原発・核燃料施設の火山リスクについては、その噴火が予知可能性あることを前提に、再稼働審査の対象からアプリオリにはずし、再稼働させて後に(火山リスクの)専門家会議を設置して、噴火予知モニタリングの結果評価に限定した審査をさせようとしている。これはとんでもないインチキ行為である。
そもそも、原子力「寄生」委員会自身が、カルデラ大噴火は予知できる可能性もあるが、できない場合もある、ことを認めており、予知できない可能性があるにもかかわらず、予知を前提にした火山リスク対策だけで事を済ませるということは、いったいどういうことか。わずか数千年から数万年前のカルデラ噴火で、川内原発のすぐそばまで大量の火砕流が来ていた痕跡まで残っているというのに、このノーテンキで危機感ゼロの対応は許されるものではない。
● ギリシャのサントリー島:ミノア火山
4.川内原発に係る地域防災計画・避難計画について
全くの出鱈目で、地元自治体に丸投げ。地元自治体は、県も立地自治体も「安全神話」に胡坐をかいて、まともに計画を検討しようとしていない(別添PDFファイルの本日付東京新聞などを参照)
(別添PDFファイル)川内原発
避難推計、30キロ圏外へ最長29時間(東京 2014.5.30)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014053002000136.html
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014052901001524.html
http://blogs.yahoo.co.jp/fukushima_nuclear_disaster_news/34400188.html
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<追>原子力「寄生」委員会の委員2人(島崎邦彦、大島賢三)の後任問題(田中知を委員にするなんて、ご冗談でしょう)
● 電力各社、再稼働審査の前進に期待 規制委慎重派ら2人交代へ:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2701L_X20C14A5EA2000/
政府は27日、9月に任期が切れる原子力規制委員会の委員2人について、交代させる国会同意人事案を衆参両院に示した。地震学者の島崎邦彦(68)、元外交官の大島賢三(71)の両委員に代わり、日本原子力学会の元会長である田中知東京大学教授(64)と地質学者の石渡明東北大学教授(61)を起用する。再任を求める声も出るなか、安全審査に特に厳しい姿勢を貫いてきた委員の交代で、原発の再稼働に向けた審査が前に進むと電力会社は期待する。
● たんぽぽ舎メルマガ(2014.5.28)より
┏┓
┗■1.原子力規制委人事を原発推進者(田中知)へ変更
| 安倍自民党が本音=旧体制へ逆戻り
└──── 広瀬 隆
原子力規制委員会の委員の田中知が候補というのは、由々しき問題です。向こう側の反撃が予想通り原子力規制委員会の人事という形で始まりました。原子力規制委員に田中知(さとる)だと・・・おそろしいことになりそうです。
あの人物は、1996年2月29日に再処理工場安全性チェック検討会「主査」として安全の結論を提出した男だ。つまり阪神大震災直後に科学技術庁と組んで、国内で最も危険な六ヶ所再処理工場のゴーサインを出した重大な犯罪者です。
そして福島第一原発事故のあと、2011年9月12日に設立された原子力損害賠償支援機構の運営委員をつとめ、電力会社の走狗として立ち働いてきた人間です。2013年11月5日にその原子力損害賠償支援機構の運営委員会「委員長代理」に再任されて、福島県民の救済を遅らせ、被曝を助長してきた親分です。それが、新聞のどこにも書かれていません。
(別添PDFファイル)田中氏「アウト」なのに、規制委の「中立」基準適用せず(東京 2014.5.30)
http://blog.livedoor.jp/ryoma307/archives/7703538.html
規制委員候補に電力側から報酬 田中教授、50万円超(5月27日、共同)
http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014052701002272.html
原子力規制委 新委員に2人(5月27日、NHK、動画あり)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140527/k10014763621000.html
電力会社側から研究費 最高3270万円 規制委審査会6人(5月23日、東京)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014052302000103.html
早々