« 東京電力ほめごろし : またやってるよ、この会社、立派な会社やなあ~、ええ会社やなあ~、ほんまに | トップページ | (これまでの脱原発市民運動・社会運動と) 小泉・細川グループとの「脱原発」連携について »

2014年4月19日 (土)

(加工食品の)製造所番号では製造所はわからない(マルハニチロ子会社のアクリフーズ農薬混入事件より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

● 加工食品、製造所を原則表示へ 農薬混入事件受け:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11088582.html?iref=pcviewpage

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

消費者庁は、加工食品に製造所と製造者名を原則として明記させる方針を固めた。表示の特例として認めてきた製造所の固有記号の使用は要件を厳しくする。昨年末、冷凍食品から農薬マラチオンが検出された事件で、大手スーパーのプライベートブランド(PB)として販売されていた商品に製造元の記載がなかったことから見直しを求める声が上がっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

●消費者庁・加工食品に製造所記載する案を示す(BSフジ[BSフジニュース])

 http://jcc.jp/news/8245877/

 

●アクリフーズ農薬混入事件 - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%95%E3%83%BC%E3%82%BA%E8%BE%B2%E8%96%AC%E6%B7%B7%E5%85%A5%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 

 昨年末に起きたマルハニチロ子会社のアクリフーズ(元雪印乳業子会社)における冷凍食品への農薬混入事件は、我が国の加工食品の製造工程や流通過程、あるいは食品会社の危機管理体制・食品危害事件への対応能力に大きな問題があることを浮き上がらせた。いくつかの問題点が指摘されている中の一つに、いわゆる「製造所固有記号」の問題がある。

 

 日本の食品衛生法では、加工食品は原則、その製造者名と製造所の表示が義務付けられている。当たり前のことだ。今回の事件のように、ある加工食品に危険物が含まれていることが分かった場合には、食品流通業者に指示を出してそれを早急に回収させ、危害が消費者に及ばないようにするのだが、その際に、危険商品を特定するためには、誰の造った、何という商品で、それがどこの工場で製造されたものが特定されないと、事はスムーズに進まない。特に、同じ商品の同じ包装品で、製造工場が2つ以上ある場合には、危険な商品が特定できず現場は混乱し、それだけ回収が遅れることになる。また、既に消費者が購入してしまっている場合には、それをその消費者が食べてしまう前に消費者に知らせ、それを消費者から買い取り・回収しなければならないが、商品が特定できなければ、それも容易ではない。

 

 しかし、日本の手抜き食品安全行政は、消費者の食の安全を守るのではなく、加工食品産業の便宜を図ることを第一義にしていることから、ずいぶん前に、この製造所の表示義務を、単なる番号・記号表示=製造所の固有記号に変えてしまい、消費者や食品流通業者がパッと見てもわからない、ただの番号・記号の羅列のような表示にしてしまった。おそらくは包装に表示を入れる際に、番号の方が入れやすい、という、ただそれだけのことだったに違いない。そしてその時、この手抜きを認める口実に使われたのが、商品によっては表示スペースが小さくて表示しきれない場合がある、というものだった。

 

 今回のアクリフーズ事件では、大手スーパーでPBで売られていた商品に製造元の記載がなく、混乱を招いたようである。かねてより消費者団体が、この製造所固有記号の手抜きの危険性を指摘し、行政に対して何度も何度も改善を求めてきたことが無視されていた、それが裏目に出たわけである。しかも、本来なら、表示スペースがない場合に限り「製造所記号表示」をやむなく認めるという形でスタートしたこの制度が、今や例外どころか、過半の加工食品に製造所固有記号が使われるという本末転倒状態に至り、しかもそれを行政が不適切と指導するどころか、その利用状況さえ把握していなかったことが明らかになっている。更には、本来ならば、この製造所固有記号が具体的にどこの製造所(工場)を示すのか、番号と製造所との対照表のようなものが加工食品会社のHPに記載されたり、電話などでの問い合わせに答えたりする体制ができていなければならないはずだが、それもまた手抜きされて、記号から製造所を検索できるのは保健所などに限られていたというのだ。また、当該PB商品を販売した大手スーパーは、製造責任者として、この製造所固有記号と製造所との対照表を把握していたのだろうか? 記事には書かれていないが、怪しい限りだったのではないか(注)。

 

 このメールで申し上げたことは、製造所固有記号という、普段は一般消費者にはなじみのない業界の特殊な、小さな食品表示に関係する「事件」だった。しかし、そこから見えてくるのは、日本の食品行政のあまりのお粗末さ、言いかえれば、消費者の安全や健康を守ることがどこかへ吹っ飛び、それに代わって、流通業者を含む食品産業・食品企業の便宜や利益を優先して動いている、あまりに業界本位の食品行政・消費者行政のひどさと、危うい限りの食の安全管理体制である。一つ一つの今回の関係当事者の動きを見ていくと、およそ食品の安全管理に関しては、オール無責任体制が出来上がり、すべてのことは消費者の自己責任でやれと言わんばかりの状態に陥っていることが分かる。この国は、いつまでたっても変わらないのだろうか(2000年の雪印乳業事件以降、これまで、どれだけの世の中を騒がせる食品危害事件があったか、思い出してみてほしい。まさに日本の加工食品市場は、世界から危険物が集まる「残飯市場」状態にあり、我々一般消費者は、家畜の飼料以下のロクでもない「品物」を食わされているという自覚を持った方が無難である)。

 

 ちなみに私は、極力、加工食品や外食は控えるようにしていて、特に大手スーパーなどに並ぶ加工食品には近づかないようにしている。それらの品物は、その製造過程や流通の実態をある程度知っているが為、汚くて、危険で、無責任で、簡単に買って口にすることがはばかられるからだ。およそ、人間が食べるものとは、私には思えない、という認識である。

 

 今回、アクリフーズ事件の結果が反省され、この製造所固有記号制度が厳しい方向に改正されるそうである。それ自体は歓迎していいだろう。しかし、記事を読むと、たとえば「固有記号の利用は2つ以上の製造所で同一の商品を製造・販売する事業者に限り(認める)」などという記載もあり、未だ「尻抜け」策を用意したままの「改正」に持ち込もうとしている様子がうかがえる。この記述について言えば、2つ以上の製造所で製造・販売するからこそ、紛らわしくならないように、その表示は記号ではなく、具体的な名前の表示でなければならないのではないのか。

 

 いずれにしろ、この製造所固有記号の表示の問題は、今後どのように去就していくか、しっかりと見定めていく必要がある、そして、私は何よりも申しあげたいのは、日本の食品業者が扱う加工食品は、国産品も輸入品も、ともに危険で無責任体制の中で消費者に提供されていることを十分に認識し、可能な限りで、買って食べないことをお勧めしたい。無邪気にメーカーや流通業者の宣伝を信じて安易に加工食品に手を出すことは、まことに愚かなことであり、それはそのうちに、自分の体に対して重大な健康被害を及ぼす可能性があることを申し上げておく(たとえば食品添加物=昨今では、輸入された遺伝子組換え食品添加物が無原則に氾濫しており、加工食品にゆゆしき事態が生じている可能性がある:少し前にも、販売・消費されてしまってから、回収が指示されたりしている)。

 

 賢明な消費者が、馬鹿な商品を買わない、無責任な商品に手を出さない、という、この当たり前のことが、堕落した手抜き業界である日本の食品産業界に対する最も有効な「クスリ」となることを強調したいと思う。

 

(注)PB商品の製造責任者は大手スーパーであり、PB商品が引き起こす全ての問題は、大手スーパーが引き受けて適切に対処しなければならない。この商品は●●という会社が作ったものですから、そちらに聞いてください、などという対応は許されない。今回の事件を契機に、大手スーパーのPB商品の責任体制がどうなっているのか、特に食品の安全確保の観点から、行政は総点検をすべきではないか。また、大手スーパーなど、食品流通と食品メーカーとの関係で申し上げたいのは、1990年代の中ごろより、市場原理主義が我が国ではびこるようになり、それが無用なまでの食品の国際価格競争をもたらし、生鮮を含む食べ物の低価格競争を過熱させてしまった。食べ物は安ければ安い方がいい、という、この安易で愚かな考え方が日本の多くの消費者に広がって、低価格競争が食品の品質と安全を破壊していく、そんな負のスパイラルが起きてしまっているのである(労働法制改悪による賃金の負のスパイラルと似たようなもの:市場原理主義の必然的結果)。



 

 2000年以降、度重なる食品危害事件は、かような市場原理主義をベースにした食品の低価格競争・低価格志向が、その根底にあることを付記しておきたい。食品産業が産業である限り、そこには多くの人々が働き、それで生計を立てている。消費者にとっての出費は、産業にとっては収入となる。価格は安ければ安いほどいい、ということは、食品産業従事者の収入は低ければ低いほどいい、ということを意味しており、その結果が「食の破壊」となっていくことは、容易に想像のつくことではないか。食べ物は安ければ安いほどいい、というのなら、それはペットフードや家畜に与えられる餌並みでもいい、ということを意味していることを、もう一度全ての消費者は意識化した方がいいのではないか。

早々

 

 

« 東京電力ほめごろし : またやってるよ、この会社、立派な会社やなあ~、ええ会社やなあ~、ほんまに | トップページ | (これまでの脱原発市民運動・社会運動と) 小泉・細川グループとの「脱原発」連携について »

コメント

このような製造所固有記号を調べられるサイトもあるみたいです。
http://useful.hiho.jp/seizousho/

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 東京電力ほめごろし : またやってるよ、この会社、立派な会社やなあ~、ええ会社やなあ~、ほんまに | トップページ | (これまでの脱原発市民運動・社会運動と) 小泉・細川グループとの「脱原発」連携について »

最近の記事

無料ブログはココログ