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2014年3月13日 (木)

昨日(3/12)の報道ステーションを見て : (1)「7q11染色体」を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、(2)私の感想

前略,田中一郎です。

 

1.昨日(3/12)報道ステーション(特集:福島第1原発事故と甲状腺ガン)の録画

(録画はネット上で見れるものを発見できませんでした)

 

●【大竹】甲状腺がん問題取上げ「報道ステーション」お見事!!! - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=eZ8l9kUrLU0

 

2.「7q11染色体」の異常を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、

 上記の報道ステーション放送に関連して、一つ重要な情報をお伝えします。

 少し前の録画ですが、下記サイトの最初のところにある児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長の記者会見録画をご覧ください。同氏は、ゲノム科学が大きく発達してきた結果、放射線被曝による人体の健康障害のメカニズムも解明されてきて、甲状腺ガンの場合だと、放射線被曝によるものか否かが「7q11」染色体を見ることである程度判断がつく(必要十分条件ではないが:被ばく原因の甲状腺ガンの子どもの4割くらいに、この染色体異常がみられるとの発言あり)ことなどの発言をしています。また、放射線被曝が遺伝子を活性化させ、それが長い月日が経過したのちにがん発症をもたらすという説明も非常に注目に値します。

 

 それにしても、何故、日本の政府・自治体・病院や医者達は、この放射線被曝の痕跡・指紋とでも言うべき「711」染色体の異常を調べようとはしないのでしょうか。TV放送にもある通り、チェルノブイリ原発事故直後の198690年当時の旧ソ連諸国では、甲状腺ガンの検査機器類が乏しかったために、発見が遅れて子ども甲状腺ガンの多発発見が4年後以降となった可能性も大いにありうるわけで、チェルノブイリ原発事故の公表記録だけを根拠に、今回の福島の子ども甲状腺ガンの多発が福島第1原発事故に伴う放射線被曝とは関係がない、などということは、科学的にも絶体に言えない話です。報道ステーションが言うように「わからない」ではなく、今日の事態は「明らかに異常であり、その異常の原因がはっきりしないのだから、さしあたり放射線被曝が最大の原因の可能性ありと考えて、手遅れにならないように、さまざまな手を打つ」というのが、常識的でまともな医学・医者・人間の判断です。

 

 そして、不幸にして甲状腺ガンが発見された子どもたちの「7q11染色体」異常を調べれば、それが放射線被曝によるものか否かはある程度見当がつきます。また、この甲状腺ガンの多発がいわゆる「スクリーニング」効果であるかどうかは、他の遠隔地の県(中国・四国・九州・沖縄)の子どもたちをスクリーニングして見ることで、判断ができるはずです。それはまた、甲状腺ガンの早期発見・早期治療にも結び付く話で、やらない理由は全くありません。しかし、いずれについても政府や福島県などの自治体、医学会・医者・医療界は行おうとはしません。ただただ、福島県の子ども甲状腺ガンの多発と福島第1原発事故による放射線被曝とを切り離したい、それを結び付けるようなものは一切排除したい・隠してしまいたい、そういう考えで動いている様子です。

 

 下記サイトによれば、ある病院では、患者からの要請があっても「7q11」は調べない、などと、信じがたいことを言っているようです。ここにも「原子力翼賛国家」の恐ろしい現実が現れているように思えます。

 

Save Kids Japan PLEASE CONDUCT GENE TEST AND EVACUATE KIDS IN FUKUSHIMA! 早急に遺伝子検査を行い、福島の子供たちを避難させてくださ

い!

http://savekidsjapan.blogspot.jp/2013/09/a-fukushima-teenager-found-to-have-lung.html?spref=tw

(このブログの最初のところに児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長の会見録画があります)

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

事故数か月後に東大の児玉龍彦教授が言った7q11遺伝子を見れば、甲状腺がんが原発事故由来のものかどうか(原発事故由来であれば、7q11染色体が3つになり、これは他の甲状腺がん患者には見られない現象)、直ぐに特定できるのです!

 

それで昨日、福島県立医科大に問い合わせました。

福島県立医科大に私がした質問は以下です。(912質問)

1、報告会以前にリンパ転移の甲状腺がんの福島の子供が出たと聞いているが発表に入っていない。隠しているのではないか?

2、児玉龍彦先生が7q11染色体を見れば、被曝によるものかどうかわかると発表したが、染色体検査はしたのか、するつもりはあるのか

 

そして、翌日の913日に回答来ました!

福島医大からの回答:保険診療の場合は、具体的な症例の情報を健康県民管理センターで持つことはできない。病院においては、個人には説明、第三者に発表するものではない。染色体の検査の必要性は、今後県民健康管理調査で議論されるべきものと考えられている。7q11遺伝子の検査は行っていない

 

かいつまんで言うと。甲状腺がんの子供に転移があっても、一切発表しない、原因特定できるはずの7q11染色体は調べていないという回答です!

これは大変な話です。そして国内で他に、甲状腺がん手術をする有名病院2箇所にも、問い合わせをしましたら、「患者からの要望があっても、染色体検査はしない」との回答。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

なお、「7q11」染色体に関するサイトを検索した結果が下記です(玉石混交か?)

(1)http://kurie.at.webry.info/201108/article_8.html

(2)http://blog.livedoor.jp/leonardo1498/archives/30853261.html

(3)https://www.google.co.jp/search?hl=ja&biw=&bih=&q=7q11%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93&gbv=2&sa=X&oi=image_result_group&ei=bBMhU8GHMIyGkQ&tbm=isch

 

 

2.私の感想(3/12報道ステーション:特集:福島第1原発事故と甲状腺ガン)

 昨日夜、TV朝日の報道ステーションで、福島県で多発している子ども甲状腺がんと福島第1原発事故の影響に関する特集が放送されました。必見です。これを見た私は、よく放送したと褒めてやりたい気持ちと、まだまだ真相に迫りきれていないぞ、といういらだちとが混在する複雑な感想を持っています。そもそも、福島県で発見されている悪性の甲状腺ガンの子どもの数は(ほぼ確実な疑いを含めて)33人ではなく74人です。数字が小さく見えるような報道はやめるべきです。また、最後にコメントをした解説員の話は、きれいごとの一般論です。こんななまっチョロイ話ではないでしょう。

 

●福島県ホームページ - 組織別 - 県民健康管理調査検討委員会

http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809

 

 2011311日からちょうど3年、福島第1原発事故は日本というおかしな国を、文字通りの「原子力翼賛国家」=放射線被曝による健康被害を闇から闇へ葬り去り、それに逆らうものをあらゆる手段を行使してもみ消し・封殺し、情報統制・コントロールと世論操作、物事を歪曲や嘘八百で塗り固め、陰に陽に支配権力の乱用を通じて人々を原子力=核分裂エネルギーの下にねじ伏せる国家社会、にしてしまったようです。この番組に出てくる鈴木真一(福島県立医科大学)をはじめとする御用人間たちの「説明」に、納得する人はいないでしょう(他人事だと聞き流す人間はいるかもしれませんが)。いちいちの反論は可能ですが、それをしなくても、自然の感性を素直に働かせれば、そのおかしさは感じ取れるはずです。

 

 政府や福島県、それに尻尾を振る似非医者・似非医学者・似非科学者・マスごみなどが氾濫し、人々は「これはおかしい」と思いながらも、放射能汚染地獄の中で、自分だけは助かりたいと思いつつ、まるで芥川龍之介の小説「クモの糸」のごとく生きていくことになるでしょう。そして、そうした悲しいまでの身をすりつぶしての「原子力翼賛国家」への屈従も、やがて福島第1原発を上回る原発・核燃料施設の巨大過酷事故を招き、このおかしな国・日本は、永遠に回復・復興をすることのない更に猛烈な放射能汚染地獄の中で滅びゆくことになるのです。

 

 この「原子力翼賛国家」は、原発・核燃料施設の過酷事故との「共存」を、我々一般市民に対して、力で押さえつけるようにして強要してきます。もちろん、原発再稼働=原発過酷事故の再発ということです。我々は覚悟を求められています。屈従ののちの滅亡か、それとも立ちあがって「彼ら」=原子力ムラ・放射線ムラ一族を社会から一掃するために闘うのか、二つに一つの選択を迫られています。その中間の立場も中途半端も日和見もありえません。生きるか死ぬか、生き延びるか殺されるか、です。子ども甲状腺がんへのこの国の対応が、この国の近未来を暗示しているのです。原子力ムラ・放射線ムラとの「最終戦争」は全面戦争となりつつあります。

 

 そして最後に、もう一つ大事なこと

まず、甲状腺がん以外の甲状腺疾患が、全く無視されています。それはおかしい、という感覚もない様子がうかがえます。

 

次に、福島県民であっても、18歳以上の人たちは無検査・無診療・無権利状態です。しかし、放射線被曝は被爆した人の子どもにも影響が出ます。もちろん18歳以上だからといって甲状腺ガンや甲状腺疾患にならないということはありません。なぜ、18歳以上の方々が除外され、無視され、抹殺されているのでしょうか。

 

更に、福島県以外の放射能汚染地域を抱える都県では、行政による健康管理調査への動きは皆無です。しかし、放射能は県境で止まっていたわけではありません。隣接する栃木・茨城・宮城の各県や群馬・千葉・岩手・埼玉・山梨・東京などにも、福島県と同レベルか、場合によってはそれを上回る汚染状態のホット・スポットが多く存在し、そこに住む人々は子どもたちも含めて、福島第1原発事故による被ばく影響を全く無視され、抹殺されています。

 

そして更に、放射線被曝の健康影響は甲状腺がんだけではありません。これから様々な健康障害や病気が多発してくる可能性があります。しかし、日本はこの多様多発の放射線被曝健康障害に対して、何の備えも準備もしておりません。やっていることは、情報統制と歪曲・矮小化・もみ消し、空虚な安全安心キャンペーンと「フクシマ・エートス」、そして被害者の切り捨てです。

 

福島県も、それ以外の都県の汚染地域も、放射能のレベルは事故直後に比較すれば少しは下がったとはいえ、依然として恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)環境下におかれています。無用の放射線被曝は続いているのです。問題は初期被曝だけではありません。早く手を打たなければ手遅れになり、多くの犠牲者が出てしまいかねないのです。放射性セシウムは甲状腺に多くたまりますから、これからの汚染地域の子どもたちの甲状腺は、更に心配です。放射性ストロンチウムもありますし、それ以外の放射性核種も懸念だらけです。福島第1原発からは、放射能の環境放出は止まっておりません。

 

これらのこと全てが、私の取越し苦労であることを祈るばかりです。

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●「原子力翼賛社会」とはどういうものか? いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-9a71.html

 

●(福島第1原発の)放射能汚染水は高レベル、(東京電力や政府・経産省・規制委の)汚染水管理は低レベル いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/1-497a.html

 

●(報告)院内集会・政府交渉 福島第一原発汚染水と原発再稼働問題(201434日) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-cc7b.html

 

 

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