あまりのお粗末農業政策・貿易政策を”ぼやく” (日本農業・日本酪農の首を絞めているのは誰か)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
みなさまには、日頃、ご関心があまりないことかもしれませんが、日本の農業が、今、葬り去られようとしております。戦後長きにわたり、さまざまな困難な中で復興の支えとなり、また、美味で高品質で豊かな食料や優秀な人材の供給基地として、あるいは日本という国の自然豊かな故郷(ふるさと)として、日本の農業と農村と生産者・農家は日本を支え続けてきました、それが今、理不尽にも葬り去られようとしています。
その理由は、日本農業それ自体にあるのではなく、1980年ころから続く市場原理主義の農業政策が、いよいよTPPだの、日豪EPAだの、まったくわけのわからない、目的不明のトンチンカンお粗末政策にまで行きついて、担い手が高齢化し耕作放棄地が拡大して危機的状況下に陥っている日本農業に、今度こそとどめを刺そうというのです。アホウの経済学者達が、平均年齢が65歳を超えた老生産者・農家に向かって、国際価格で競争ができる「強い農業」を打ち建てろと、鞭を振るっております。学者らは、大学という「似非研究機関」の甘ったるいぬるま湯につかりながら、これまで日本を支えてきた多くの生産者・農家に向かって「競争力がないのなら淘汰されてしまえ」と悪罵を投げつけているのです。競争力がないというのなら、経済学者たちの「学説」(悪説)の方が、よほど競争力も迫真力もない、くだらぬ屁理屈の固まりです。
私は、かようなお粗末と理不尽のカクテルのような政策を許すわけにはまいりません。以下、とりあえず「あまりのお粗末農業政策・貿易政策を”ぼやく”」にて、農業政策の出鱈目を告発させていただきます。
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別添PDFファイルは、日豪EPA交渉に関する本日付の新聞記事、及び農民作家の山下惣一氏の全国農業新聞への投稿である。以下、簡単にご紹介したい。
<別添PDFファイル>
(1)豪、牛肉関税で軟化、対日EPA交渉、大詰め(読売 2014.3.14)
(2)日豪EPA交渉、期限ありきは決議違反(日本農業 2014.3.14)
(3)そして誰もいなくなる(山下惣一 2014.3.14付全国農業新聞)
1.豪、牛肉関税で軟化、対日EPA交渉、大詰め(読売 2014.3.14)
何のためにやっているのかわからない日豪EPA,ただでさえ低すぎる日本の農産物関税をさらに引き下げて交渉し、オーストラリアに日本の何をどれだけ売りたいのか? トヨタでさえオーストラリア市場の狭さに嫌気がさし、現地工場を撤退させているというのに、わずか2,000万人の人口の新大陸の国に何を期待しているのか。日豪EPAを締結すれば、オーストラリアの資源を日本が優先的に輸入できるようになる、なんて、どこの馬鹿が言ったのか。そんなことになるわけがない(のに、「マスごみ」はついこの間まで、この話を持ち出してはワイワイ騒いでいた)。
そして今日の読売新聞だ。(1)日豪EPAに日本側のメリットはない、(2)オーストラリアの資源を日本が優先配分を受けられるという保障はない、などと書いている。だったら、何のために日豪EPAなど締結するのか。何のためにこんな貿易交渉をやってきたのか。
この記事の下には「TPP交渉、日米関税協議、歩み寄りなし」という小さな記事もある。こっちのTPPの方は、更に、何のために交渉しているのか、日本は何がほしくて交渉しているのか、日本の利益は具体的に何なのか、全くわからない点では日豪EPAの比ではない。日本という国のすべてをアメリカ様にささげて差し上げて、得るものはほとんどゼロというのだから、あきれてものも言えないわ。
通常、「交渉」というからには、失うものもあれば得るものもある、それも具体的に、あっちで得して、こっちで損して、というのが普通だが、ことTPPに関して申し上げれば、失うものは巨大・膨大で、得るものはほぼ皆無=なんにもない、という状態だ。ウソだと思うのなら、この1,2年の日本経済新聞、あるいは読売新聞でも遡って見てみて、日本が得るものが具体的に何なのか、どう報道されているか調べてみたらいい。驚くべきことに、事実上、ほとんど何もない。
やめちまえ、こんな交渉!!(TPP、日豪EPA)
2.日豪EPA交渉、期限ありきは決議違反(日本農業 2014.3.14)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26506
そもそも安倍晋三・自民党政権に、国会決議や自民党の選挙時公約を守ろうなどという意思はさらさらない。どうやって有権者・国民や生産者・農家をだまくらかすかを一生懸命考えて、持ち出すタイミングを見計らっているのが実態だ。この交渉の当事者になっているTPP対策委員長とかいう自民党の政治家、こいつは許してはいかん。選挙で絶対に落選させよう。日本農業を絶対に守るなどと言いながら、TPPでも、日豪EPAでも、逆噴射をして大活躍のご様子である。「口先やるやる詐欺」は民主党だけではないようだ。
3.そして誰もいなくなる(山下惣一 2014.3.14付全国農業新聞)
日本酪農の話、農地中間管理機構の話、みな山下氏の言う通りである。この国は「酔っ払い」がたわごとを吐きながら農業政策を牛耳っているのだ。そのたわごとを、研究と称して合理化する馬鹿者たちがあふれるようにいるのが今の日本である。
(一部抜粋)
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酪農家が2万戸を割り込んだという。ゴールなき競争がゴールに近づいたということか。
1960年(昭和35年)に41万戸、平均2頭でスタートした戦後酪農は、33年後の1993年(平成5年)には1/8の5万戸に減り平均頭数は41頭に増えた。さらに19年後の2012年(平成24年)には残った人たちの40%が廃業し頭数は72頭(ポケット農林業統計)と増え、農業の構造改革の優等生のようにいわれてきた。
私たちの若いころ酪農はハイカラで憧れの的だった。私の村でも先進的な若者十数人が酪農を始め、私も父に懇願したが、「オレが死んでからにしろ!」と一喝されてあきらめた。現在はゼロである。最後まで残った酪農家の3代目が2年前、新築したばかりの山の畜舎で首をつった。29歳だった。一家は離散、生家は売りに出されているが買い手がつかない。施設に入った祖母が私のいとこにあたる。
私は畜産が農業から独立して別の業種になったことは農政の大きな誤りだと考えているが、その歴史はまさに、屍累々の世界である。今残っている人たちだけは是非とも存続できるようにしてほしい。そうでないと飼料米を生産しても食べる家畜がいなくなる。
TPPになると北海道の酪農だけが残ると農水省は予測している。事実、加工乳が都府県向けの生乳に変われば北海道の酪農は有利になると考えている人もいるようだ。その北海道で酪農家の廃業に歯止めがかからず、ホクレンの生乳受託戸数が年間200戸のペースで減りつづけているという。稲作を酪農と同じレールに乗せようというのが「農地中間管理機構」による担い手への農地の集積である。単作化、規模拡大、機械化、そして誰もいなくなる。その先は、政府の産業競争力会議などの民間議員の、まるで酔っぱらいのたわごとみたいな未来が暗示しているとでもいうのだろうか。そんなことで本当にいいのか?
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たとえば「私は畜産が農業から独立して別の業種になったことは農政の大きな誤りだと考えている」と山下氏は言う。その通りだ。言い換えれば、日本の畜産・酪農が「工業型」になってしまったということである。「工業」なのだから、牛は乳や肉を出来る限り効率的に安上がりに生産する「機械」と同然の扱いを受け、ここ数十年間、メタメタに痛めつけられてきたし、そもそも精液管理や母牛管理によって、家畜としての牛の生物多様性が失われてしまっている(数限られた特定の牛の子孫ばかり)。この工業型畜産・酪農は、たとえば牛に病気が蔓延したり、途中で死亡したり、奇形の子牛が生まれたり、体力不足の弱々しい牛だったり、それをまた薬品やホルモン剤などの力でドーピングをしてカバーし、徹底的に絞り取り、そして牛の寿命を極度に縮めて、かろうじて成り立っている。こんなことをいつまで続けるつもりなのだろうか。そもそも家畜の命に対する冒涜だ。
あれほどの花型農業だった日本酪農=特に北海道酪農が、数年前からおかしくなっている。だれが日本の酪農の首を絞めているのか。だれが日本の畜産の凋落を加速させているのか。
4.有機農業を推進する気がほんとうにあるのですか?
このほど農林水産省は、「平成25年度 環境保全型農業直接支援対策の取組状況(見込み)」(下記)を発表した。それを見てみると、全般的に環境保全型農業がこの1年間を通じて、さして進展している様子がうかがえないだけでなく、もっとも肝心な「有機農業」だけが前年対比で減少しているのだ。
●農林水産省-平成25年度 環境保全型農業直接支援対策の取組状況(見込み)について
http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/kankyo/140313.html
しかし、この「有機農業」については2006年に議員立法で「有機農業推進法」が制定されて以降、この法律の主旨にのっとり有機農業が官民挙げて推進されてきたはずである。ついこの間も、この推進法に基づき、基本方針の見直しが行われパブリックコメントにかけられたばかりである。
●農林水産省-有機農業の推進に関する基本的な方針(案)についての意見・情報の募集について
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/PublicComment.html
(一部抜粋)
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有機農業の推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)は、有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号。以下「法」という。)第6条第1項に基づき、農林水産大臣が定めるものです。基本方針は、おおむね5年間を対象として定めており、平成19年に策定した現在の基本方針を改め、新たに策定する必要があります。
なお、基本方針の策定に当たっては、農林水産大臣は食料・農業・農村政策審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならないとされており、(法第6条3項)、審議会企画部会の下に「有機農業の推進に関する小委員会」(以下「有機小委」という。)を設置し、これに付託し、調査審議させています。今般、有機小委において新たな基本方針(案)がとりまとめられましたので、この基本方針(案)について、広く国民の皆様からの意見・情報を募集いたします。
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●農林水産省-有機農業 HP
http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/
●有機農業の推進に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO112.html
先般も申しあげたように、今回の基本方針の見直しでも(推進法策定時でも)、何故、有機農業が拡大しないのか・しなかったのか・現場はどう言っているのか・何が問題なのか、をほとんど何も問うことなく、調査らしい調査もせず、御用人間とピンボケ弁士をあつめてシャンシャン審議会をやって「基本方針見直し」などと称している。他方で、たとえば下記のようなことをやっているのだから、呆れて開いた口がふさがらない。
●緊急オンライン署名 ネオニコチノイド系農薬の基準緩和に反対します 国際環境NGOグリーンピース
http://www.greenpeace.org/japan/ja/Action/nico/
要するに、農林水産省にとって「有機農業推進」など、どうでもよくて、もちろん「有機農業推進法」を制定した政治家達も、有機農業などどうでもよくて、法律があるからしょうがないので「基本方針」いじりをやって、アリバイ行為を積み重ねているだけだ、ということだ。
農林水産省を廃止するか、現在の幹部たちを一掃すれば、少しは事態が改善してくる可能性があるのではないか。もちろん、今現在、国会にたむろしているゴロツキ政治家達は、みな、次回の選挙で落選させて一掃してしまわなければいけない。いずれにせよ、ばかばかしいアリバイ行政行為はやめよ。お粗末農政・貿易政策はさっさと撤回しろ。時間とカネの無駄であり、きちんと有機農業をしている生産者・農家に対して邪魔になるだけだ。
早々
<追>必見VTR
●放射能メモフランスFR3「フクシマ・地球規模の汚染へ」 和訳全文
http://kingo999.blog.fc2.com/blog-entry-1639.html
(参考)「いちろうちゃんのブログ」より
●昨日(3/12)の報道ステーションを見て
: (1)「7q11染色体」を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、(2)私の感想 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-f9c8.html
●ICRP国内メンバーによる内部被曝論はいかなるものか
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-2747.html
●主なレポートのバック・ナンバー(2013年12月6日現在)
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/2013126-f3be.html
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