« 2014年2月 | トップページ | 2014年4月 »

2014年3月

2014年3月31日 (月)

「悪魔の施策:フクシマ・エートス」の教祖=ジャック・ロシャールへの「ちょうちん」インタビュー記事を掲載した日本のマスごみ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 朝日新聞は、2014321日付朝刊13面に「東日本大震災3年:福島とチェルノブイリ」と題する記事を掲載し、あの悪魔の施策「フクシマ・エートス」の教祖・ジャック・ロシャールに対して、新聞の風上にも置けぬ「ちょうちん」インタビューを行っています。

 

●(東日本大震災3年)福島とチェルノブイリ ジャック・ロシャールさん:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11040735.html

 

 それはまるで、福島第1原発事故は遠い過去となり、放射能汚染もそれによる被ばくも、このJ・ロシャールなる人物の言うことをよく聞いておれば、日々を健康被害の恐怖で悩まずとも心安らかに過ごすことができるし、20mSvだ、いや1mSvだと、難しい被曝線量のことも、それほど神経質に気にせずともいいのだと、読者に対して紙面から説教を垂れているかの如くです。

 

 しかし、ちょっと思い出してみましょう。ほんの数日前には、毎日新聞の日野行介記者が「福島原発事故被ばく線量を公表せず 想定外の高い数値で」という記事を書いて、「(福島県の放射能汚染地域への)帰還」に伴う被ばくの危険性隠しの実態をすっぱ抜いています。この日野行介記者は、少し前には「福島原発事故、県民健康管理調査の闇」(岩波新書)という本を書き、3.11以降、福島県や「県民健康管理調査検討委員会」が国や原子力ムラ・放射線ムラの御用学者どもと一緒になって、子どもたちの放射線被曝の実態を隠蔽しようとしたり、県民に本当のことを知らせないために「裏委員会」をつくって発表内容の口裏合わせをするなどの画策していたこと等を告発しています。そもそも、原発事故後の地域住民の健康管理が、福島県の18歳以下にだけしか実施されていないこと自体が狂っているとしか言いようがありません。

 

●福島原発事故被ばく線量を公表せず 想定外の高い数値で - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20140325k0000m040151000c.html

 

 それだけではありません。この間は、福島県立医大の医師や医学者たちが、福島県民に対しては事故直後から「大丈夫」「大したことはない」「心配いらない」などと言いつつ、自分達はちゃっかりと甲状腺被ばく回避のための安定ヨウ素剤を家族ともども服用していたことが発覚したとか、福島県内の空間線量モニタリングは実際の空間線量の1/2以下の数値が出るように仕掛けてあるとか、あるいは、食べもの・飲み物の放射能汚染について、ろくすっぽ計測もしないで空虚な安心安全キャンペーンだけを繰り返しているとか、農地をはじめ地域の汚染マップをいつまでたっても作ろうとはせず、いたるところに予期せぬホット・スポットが点在していて危険極まりないとか、そんな中で、この4月からは、更に食べものの放射能汚染の検査対象や件数を減らすことにしたとか、学校給食については、3.11以降から、ことさらに地産地消を強調するようになって、子どもたちに安全確認が十分にできていない汚染地産の食料品を食べさせているとか、およそ、被ばくの実態やその危険性を覆い隠し、小さく見せ、評価を矮小化し、放射線被曝の健康への悪影響についての懸念や心配でさえ、口に出して言うのがはばかられるような、とんでもない「抑圧・翼賛ムード」の社会が創りあげられてしまっています。

 

●食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正について |報道発表資料|厚生労働省

 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041107.html

 

 そして、汚染地域で住み続ける人達にとっての命づなとでも言うべき「除染」も、ご承知の通り限界があって空間線量を十分には下げることができず、環境省が差配する除染マニュアルでは、形だけのことしかできないで、危険な放射能が消えないばかりか、居住地周辺を汚染物の仮置き場にされた結果、かえって空間線量が上昇してしまったところまで出ている始末です。そんな中で、国は犯罪的にも、いったん除染した地域の再除染は、いくら線量が高かろうが「原則やらない」という方針を建てているようです。もちろん「子ども・被災者支援法」は棚上げにされ、賠償・補償は屁理屈を理由に切り捨てられ、避難・疎開・移住の権利は踏みにじられてしまっています。

 

 さて、書き出せば止まらなくなるくらいに、3.11以降の放射能汚染対策と被ばく防護の出鱈目が続いている中で、今回ご紹介するJ・ロシャール提唱の「フクシマ・エートス」は、このろくでもない状況を(原発事故後の)「現存被曝状況」と定義して、福島県民をはじめ汚染地域の方々に、これを「積極的に自発的に受け入れよ」と説くのです。そして「受け入れた上で」、日々の被ばく量や空間線量の多寡に一喜一憂するのではなく、被曝量や汚染の自己測定や日常生活の自己管理を基本にして、放射能汚染地域でしっかりと生活の基盤と日常性を取り戻し、精神的に自律性を確保しつつ、放射能汚染や被曝と中長期的に「共存」しながらやっていけと、説教を垂れるのです。いわば、原発過酷事故との身土一体の「共存」の教えです。(何が「現存被爆状況」でしょうか、適当な言葉を作るな、と言いたくなりますね。「現存被爆状況」ではなくて「現存不始末結果」「現存出鱈目結末」「被爆強制環境」とでもしておけばいいのです)

 

 そして、彼らの立ち位置は「科学者としての情報伝達と被害者との対話(ダイアローグ)」「影響を最小限に抑えるためのアドバイス」「生活の質を高め無用の懸念を最小化するための精神的なサポート」「生活の質と被ばくのコントロール」などと称して、無責任にも被ばく結果に責任を持たない「(似非)生活コンサルタント」のごとくふるまい、結果的に放射能汚染や被ばくの危険性から被害者住民の目をそらせることに尽力しているのです。

 

 しかし、はたして、こんなことで放射能汚染や被ばくが克服でき、人間は原発事故前と同様に健康で明るく何の問題もないかのように暮らしていけるものなのか。実は、このインチキ精神運動「エートス」の結果は、すでにチェルノブイリ原発事故後のベラルーシなどで明らかになっていて、多くの原発事故被害者が財産や生活や人間関係を破壊されるだけでなく、無用の被ばくをそれとは知らぬままにさせられることにより、健康被害の多発を引き起こしてしまっているのです。中でも放射線に感受性の高い妊婦や子どもたちはひどいことになっています。

 

 そもそも、この「フクシマ・エートス」の最大のインチキは、福島第1原発事故後の放射能汚染が、あたかも自然現象であるかのごとく、被害者住民に対して、厳然として動かせぬ、避けられぬ「強制環境」として押し付けられていることです。事故が起きても住民は逃げることができず、放射能にまみれながら生活をすることはいたしかたががないのだ、一種の「宿命」のようなものだ、だから、その中で出来る限り被ばくを回避し、精神を安定させて、心豊かに生きていかなければならぬ、科学者たるものは、その被害者の厳しい現実に寄り添い、被害者の苦しみに真摯に耳を傾け、被害者に何かを押しつけるのではなく、共に悩み、対話を続けることでこそ、被害者の救済を図ることができるのだ、被害者にとっての故郷とは、原発事故いかんにかかわらず永遠で崇高なものである、・・・・・といった調子です。

 

 しかし、それは違うでしょう。今回の福島第1原発などは人災であって自然災害ではありませんし(従って、こうしたひどい状態をもたらした責任者は必ずいます)、事故後においても、被害者に対して本来なされるべき賠償・補償や避難・疎開・移住を含む厚い支援の手が差し伸べられておれば、被害者住民が汚染地域に住み続けねばならない「環境」など、あろうはずはありません。住民が悲しくも絶望に陥ったり、汚染地域に無用に立ち入って被ばくをしてしまうのは、ひとえに、加害者・東京電力や事故責任者・国が、原発事故後の被害者住民対策をきちんとしていないからに他ならないのです。いわば、人災としての福島第1原発事故後における、第二の人災=つまり二次災害であり、二重の(国家)犯罪行為であるのです。原発などなければ原発事故はなく、事故後の救済政策があれば、住民の無用の被ばくも必要ないのです。何が「エートス」運動でしょうか。こんなもの、くそくらえですよ。

 

 何度も申しあげておりますように、恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)環境は、人間を含む全ての生物にとっては危険極まりないものです。放射線は、直接その害を体に感じなくても、必ず体のどこかを破壊し、近い将来、何らかの形で健康障害をもたらす危険性をはらんでいます。目に見えない、体に感じないことは、何もないことではないのです。そして、ひとたび放射能汚染が明らかになったからには、そうした汚染値からは、放射能のレベルが十分に下がってしまうまでの間は近寄らず、無用の被ばくを避けて、日々の生活を送る必要があります。放射能は拡散しないように閉じ込めて、厳重に管理しておかなければなりません。とりわけ子供や若い世代はそうです。そうしませんと、近い将来、遺伝的な障害を含む体の変調が被ばく者を襲うことになりかねないのです。線量が低いからいいでしょう、ではだめなのです。恒常的に被ばくをしてはいけません。

 

 「エートス」運動には、他にもたくさんのインチキがあり、そして、その結果に対しては完ぺきに無責任です。放射線に被ばくすること、とりわけ内部被曝とはいかなることなのかを被害者住民に伝えず、賠償・補償はシャットアウトされ、まともな救済策もないままに「棄民」化された人たちに対して、あたかも精神的な救済の手を差し伸べるかのようにして、必要のない過剰な被ばくを被害者に甘受させ、更にはそれが、あたかも被害者自身の心の底からの選択であり、決心であるかのごとく体裁をとりつつ、音頭取りがされていきます。異議申し立てや、不安や懸念の表明は、なによりもそれを発する人間自身が傷つくのだと教えられ、悲鳴を上げることよりも、目をつむって平静を保ち、ひたすら自己管理・自律性維持・自己責任確立の鍛練を、(似非)科学者との対話の中で築き上げていくことが奨励されるのです。

 

 原発事故後の生活苦や精神苦の中でもがく被害者に対して、悪魔の声が耳元で小さな声でささやきます。(たとえば)「もうだいじょうぶ、放射能や被ばくを悩みつづけなくてもいいのよ、こうして被ばくを自己管理して抑制し、食べ物や日常生活にはこう注意して、あとは心を平穏にして科学者を信じていれば、なにも日々心乱れることもないのです」(のごとくに)。そして、その悪魔の使者は、(似非)科学者というアカデミズムの衣装をまとい、おごそかで、いんぎんな態度で振舞いつつ、被害者を緩慢な死の世界へと導きながら、その悪魔の死者の足元にすがりつかせるのです。まさに原発事故被害者は、(似非)科学者の精神の奴隷とされるのです。

 

 被害者は、何度も何度も逡巡した揚句、最終的には「あなたの言うがままに、原発事故後の放射能に被ばくさせられても、自分はもう心は傷つかない、健康や将来への不安を悩み続けるよりも、今ある精神の救いの方を選びたい。どうにもならない現実に悩み続けていてもしようがないのだから、もういい、この(地獄からの)使者に手を引かれながら、新しい「平安の境地」とでもうべき「フクシマ・エートス」の精神運動に参画していこう」というところへ追い込まれていくことになるのでしょう。ここまでくれば、原子力ムラ・放射線ムラの汚染加害者たちは、この被害者のあまりに悲惨な状況にカーテンを引きながら、また一つ、片付いたね、とほくそ笑み、あるいは、高笑いをしつつ、原子力推進の仕事へと戻っていくのです。

 

 悪魔の施策「フクシマ・エートス」とは、原発事故被害者自らの自発性と意思で、福島第1原発事故後の放射能汚染と被ばくを被害者自身に前向きに受け入れさせ、それと共存させながら、被爆の真実から目をそらさせることで精神の安寧を保ち、やがて健康障害と緩慢な死の地獄へと突き落としていく、そんな「(自滅的)精神運動」のことを言うのです。そこでは、放射線被曝の実態が明らかにされることもなければ、健康被害が過重にもたらされることについての責任も吹っ飛んでいます。被ばく隠し・汚染隠しは、この「フクシマ・エートス」のためのBGMでもあります。精神的な安定のためには、被爆実態を明らかにすることよりも、わからなくすること、知ることよりも、知らないでいること、目をあけることよりも、目を閉じてしまうこと、耳を澄ますことよりも、耳をふさぐこと、が推奨されるのです。そして、全ての利益は原子力ムラ・放射線ムラに、被害と悲しみは被害者に、そしてそれは自己責任の結果として、で徹底されています、しかもそれでいて、その理不尽の究極状態を、被害者自らが求め、選び取っていく、そういう構図です。これはもはや、人間社会としての正気を失っていると言えるのではないかと思います。

 

 さて、上記で簡単にご説明した、「原子力翼賛社会」の一形態とでもいうべき「フクシマ・エートス」運動と、その教祖=J・ロシャールへのインタビュー記事ですが、私が憤りを隠せないのは、この新聞社が行ったインタビューの中身のあまりのお粗末さに加え、この「ちょうちん」記事の見出しの下劣さです。

 

 朝日新聞大見出しいわく「原発と共存が現実、自ら置かれた環境、どう見極めるか」「無力感漂う人々に、専門家が持つ情報、沈黙せずに伝える」

 

 何だ、これは!! という見出しです。この朝日新聞という新聞社が、まるで放射線ムラの自発的広報機関として、自らを位置付けた瞬間とでもいうべきでしょうか。それは、アジア太平洋戦争時の大本営発表を繰り返していた、あの当時の朝日新聞社と重なり合うものがあります。被害者の立場を切り捨てて、被害者もみ消しの立場に立って記事を書く、被害者を救済する側に立つのではなく、安上がりに精神安定をでっちあげる側に立って記事見出しを書く(つまり被害者切り捨てに加担する)、原発過酷事故後の放射線被曝の危険性を警告する側に立つのではなく、被ばくを隠ぺいする側に立って掲載する記事を選択する、これが朝日新聞の編集方針であるらしいのです。

 

 本日付(3/31)の同紙には、今度は東京電力の技術系トップの役員がインタビューされた記事が掲載されています。「今は、まだ道半ば、英知で制御できる可能性に賭けたい」などという大見出しを付けて、柏崎刈羽原発の再稼働のプレ宣伝のような雰囲気を醸し出しています。あきれるばかりとしか言いようがありません。

 

 被ばくを隠し、被害者を切り捨てることに加担する新聞、こんなものは、こんな新聞は、我々市民こそが「切り捨てよう」ではありませんか。

 

●(インタビュー)原発を続ける資格 東京電力常務・原子力技術者トップ、姉川尚史さん:朝日新聞デジタル

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11055237.html

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 以下、悪魔の使者ではなく、悪魔の使者と闘うエンジェル・マーカーをお一人ご紹介して、この拙文を終わります。

 

 <参考:アナンド・グローバー氏が国連人権理事会で勧告>

 http://www.asyura2.com/14/genpatu36/msg/895.html

 

 別添PDFファイルは、福島第1原発事故後の日本政府、あるいは自治体行政当局に対して、低線量被ばくの危険性をもっと考慮した健康管理や検査・調査に切り替えるよう勧告しているアナンド・グローバー氏に関する記事です(2014321日付東京新聞「こちら徳報部」)。同氏は、上記でご紹介したJ・ロシャールとは「正反対」の立場に立って=つまり、理不尽にも原発被害を受けた多くの被害者の方々の人権擁護・救済の立場から、いろいろな発言をしています。朝日新聞も、インタビューをするのなら、J・ロシャールではなく、A・グローバー氏の方でしょう。

 

 同氏の来日時(20143月)の録画は下記で見ることができます。

 

20140320 【恥ずかしい政府交渉】国連特別報告者アナンド・グローバー氏招聘院内勉強会 - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=APu1dex8-mY&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

20140320 UPLAN 【第1部・手話付】アナンド・グローバー氏福島原発事故後の「健康の権利」の現状と課題~国連人権理事会グローバー勧告を受けて - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=P8oGphtJ-gI&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

20140320 UPLAN 【第2部・手話付】アナンド・グローバー氏 福島原発事故後の「健康の権利」の現状と課題~国連人権理事会グローバー勧告を受けて - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=cDN7DaOOfGk&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

 

●「包括的な健康調査を」〜国連報告者グローバー氏 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1748

 

20140320 UPLAN Fukushima and Public Health Anand Grover, The UN Special Rapporteur - YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=83BcBQJ8dB8&list=UUhjEbWVGnGHhghoHLfaQOtA

早々

 

政治参加のための市民ネットワークを始めます:みなさま、ぜひ。ご参加ください

前略,田中一郎です。

(「1.13東京連絡会」を「都民参加への模索連絡会」と書き換えています)

 

昨日、3/30、代々木上原の渋谷区民会館にて「都民参加への模索連絡会」の全体集会があり、あいにくの雨天の下でしたが約50名の参加者が集まり、活発な議論が交わされました。今回の全体集会は、直接的には2014年2月の都知事選挙の「総括」との位置づけでしたが、それにとどまらず、これからの市民運動・社会運動のあり方や、地域運動のあり方、あるいは市民による市民のための政治参加へのアプローチについてなど、充実した議論となっています。

 

我田引水で恐縮ですが、下記が私が担当させていただいた「今後の取組」の部分です。これからのこのネットワークでの取組事項(として私が期待するもの)をコンパクトにまとめております。

 

簡単に申し上げれば、この「都民参加への模索連絡会」のMLを「ゲート」にして様々な方々にお互いにつながっていただき、これまでの市民運動・社会運動の2つの限界(⇒ ①一つ一つの運動は課題が「単一」であること、言い換えれば「総合性」に欠けること、従ってまた、現状のようにゴロツキのような連中に政権を牛耳られた場合には、次々とロクでもない問題が溢れ出し、「単一」課題だけの行動様式では限界があること=政権を変えなければだめ、②市民運動・社会運動として、政治的な中立主義を装ってきたことから、市民の側の政治的な成熟度が必ずしも高くないと思われること)を乗り越えて、市民による政治参加と市民のための政治、言い換えれば、民主主義を市民の手に取り戻す運動を、ともに大きく創って行っていただければと思っています。

 

私を含む、いわゆるこの「都民参加への模索連絡会」の世話人は、あくまでネットワークの世話人=雑用係としてあり、いくつかの企画やイベントは用意いたしますが、あくまでも、言論も行動も、参加される皆様一人ひとりが主役としてご活躍いただければ幸いと思っています。これからも、世話人がこのネットワークを代表して(このネットワークの運営に関すること以外に)何かを決めるとか行うとか、あるいはネットワーク全体として何かを決めるとか、ということはないものと考えております。あくまでも行動を起こすのは、ネットワークにつながる一人ひとりのみなさまであり、その有志の方々の集まりであると考えています。

 

従いまして、みなさまには、このMLやネットワークでのつながりを利用して、情報交換や意見交換をしていただくもよし、意見や考えや気の合うもの同志が直接つながって具体的な行動を起こすもよし、様々な提案をしていただいて、賛同者で動いていただくもよし、大いに自由にこの「ネットワーク」という「場」を活用していただければと思います。

 

私は、下記にも書きましたように、2016年の国政選挙を最重要の政治課題だと認識をしておりまして、今現在危機感を持って動いておられる全ての市民のみなさまは、どうぞ手を取り合って一致団結し、安倍晋三・自民党政権を政権の座から追い払うことをお考えいただければと思っています。そして、中でも、原発・核燃料施設の再稼働阻止と完全スクラップ化=原発レジームからの脱却=完全脱原発を大きく掲げた、いわゆる「脱原発統一候補」を、すべての参議院選挙区と、衆議院小選挙区に擁立していきたいと考えております。

 

それから、3/30の全体集会をもって「1.13東京連絡会」は、いわゆる宇都宮けんじ候補を「勝手に応援する勝手連ネット」としての役割を終えたものと考えます。集会の場でも、世話人会のうほうからその旨を申し上げました。これからは、このネットワークのつながりも、名称を「都民参加への模索連絡会」と変え(本当は「都民参加」ではなく「市民参加」にしてほしいのですが)、下記にも書きましたように、もう一段アップした、市民政治参加を実現するための、市民の「共有インフラ」として、包括的で緩やかなつながりの役割を担っていけるような運営にしていきたいと考えております。

 

おそらく、こうした試みは、これまで初めてのことではないかと思います。これからの、みなさまの、大いなるチャレンジ精神に期待いたしております。また、知人・友人もお誘いいただき、可能な限り多くの方々にご参加していただき、1つの巨大な「市民政治勢力」にまで発展させたいとも思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 


●2014年都知事選挙総括と今後の取組について(3/30:「1.13東京連絡会」)

 http://www.hayariki.net/mosaku/113soukatsu.pdf

 

 

 

●3/30「都民参加への模索連絡会」全体集会資料(2014330日)

 http://www.hayariki.net/mosaku/113soukatsu2.pdf

 

以下は、上記の「そのⅢ」です。(担当:田中一郎)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Ⅲ 地域に根ざす「成熟した討論と行動の民主主義」を求めて

 今後の政治の主役・担い手が我々一般有権者都民・市民であることを文字通り実現するための課題を下記に列記。「都民参加への模索連絡会」は、そのための「市民の共有インフラ」として、地域での活動やテーマ別の市民運動・社会運動の幅広いネットワークの形成に寄与していく。個々バラバラの市民から、つながりを持った活動力・政治力のある市民へと成熟することにより、私物化・ニセモノ政治を許さない分厚い民主主義岩盤の形成に邁進する。

 

(1)「1.13東京連絡会」から「都民参加への模索連絡会」へ

 恒常的な市民組織・共有インフラとして一段アップ、成熟した討議民主主義を土台に、総合的な市民政治力の形成を目指す。都政から政治全般へ(MLは仲間とつながるための「ゲート」(間口))

 

(2)当面する諸課題の政治争点化への取り組み=世論形成へ:4つの課題

 選挙の時だけ主義や政治情勢分析屋主義を乗り越え、市民世論形成に日常的に取組む

 

① 脱原発・脱被曝・被害者完全救済

 

② 市場原理主義との決別(TPP,消費税、労働・ブラック・貧困、国家戦略特区、規制緩和、社会保障・福祉、子育て支援、老人、公共の復権、農林水産政策、消費者行政他)

 

③ 日本国憲法の継承発展(憲法を政策の中に具体的・明示的に活かす、徹底平和主義他)

 

④ 新しい民主主義政治・制度の確立(情報公開・公文書管理・特定秘密保護法廃止、常設型有権者直接投票制度(レファレンダム)、市民参加・分権・自治の具体的制度化(イニシアティブ、リコール制度、パブコメ、市民協議会・地域協議会等)、オンブズマン制度、NPO・NGO支援活用政策他)

 

(3)公職選挙法の抜本改正への取り組み

 市民が選挙を見る仕組みから、市民が選挙をする仕組みへ、法律の抜本改正

(Eメール、候補者名記載チラシ・横断幕、拡声機、供託金、TV討論、費用負担他)

 

(4)成熟した討議民主主義の形成と「都民参加への模索連絡会」

① 運営相談会の開催(参加者の声を「連絡会」運営に反映)

 

② ML会員の拡大(まず1,000名へ)と、HP/ツイッター/Facebook衣替え

 

③ 都政・国政に関連する情報収集と問題点整理、改善へ向けた行動実践と討議

 

④ 当面のスケジュール(5月下旬:市民政治の実現へ向けて(仮題):保坂展人氏+αとの討論集会、6月2122日:「今後の取組」に関する徹底討議のための合宿)

 

⑤ ML会員相互交流の活発化(例:イベント掲示板)

 

⑥ 東京都政から全国へネットワークの拡大を展望

 

(5)安倍晋三政権の暴走を止め、脱原発を今度こそ実現しよう

 安倍政権はもはや危険ゾーン、一刻も早くこの暴走を止め、かつ脱原発を実現する必要あり。2016年は政治的に大きな山場、これに向けて精力的な取組を検討していきたい。そのためには一人一人の市民が主役となって動き、かつ協力し合う必要あり、政治には「力」必要

 

 脱原発では細川護煕候補・宇都宮けんじ候補を各々応援した各市民が、再び意思疎通とネットワークの回復をさせることが急務、当「連絡会」は、そのための「ゲート」「語り合い広場」となる

 

 <選挙日程>

 2015年春:統一地方選挙、

 2016年夏:参議院選挙(おそらく衆参同日選挙)

 2017年夏:東京都議会選挙

20182月:東京都知事選挙

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

早々

 

2014年3月29日 (土)

このデモ、最高ですわ 「築地でええじゃないか、ええじゃないか」 

 

前略,田中一郎です。

 

 

●築地で、ええじゃないか!3・29デモ - YouTube

 

 http://www.youtube.com/watch?v=NDL5aJfrlpM

 

 http://www.youtube.com/watch?v=0ERg51wIZBA

 

 

 さる329日(土)、桜満開・快晴の青空日和、春の良き日に行われた「守ろう!築地市場パレード、築地でええじゃないか!3.29デモ!」に参加してきました。これはデモというよりは、踊りんこパレード、楽しくておもしろくて、こんなの最高、の街頭活動でした。

 

 

 参加呼びかけのチラシは書いています。「築地市場の移転を進める東京都は、前回入札では不調に終わった豊洲新市場建設工事の予定価格を7割近く増額して、2月13日には業者を決定、28日には起工式を行いました。しかし事態はどうでしょうか。(中略)豊洲新市場の施設については「ドッグレベラー、濾過海水施設、垂直搬送機の費用負担」「バースの数が全く足りない」など、物流の効率性の問題で、(卸団体のTOPが)東京都を全面的に批判するという事態になっています。また24日に開催された『土壌汚染と地下水管理協議会』では、東京都が『安全宣言』をだせない事実が明らかとなりました。つまり、問題は何も解決していないのです。実は、豊洲新市場こそが不可能なのではないでしょうか!」

 

 

 そうです。何もベンゼンやヒ素など、毒物がわんさと埋まっているような豊洲にある東京ガス工場跡地に築地市場が引っ越す必要などありません。今いる場所で市場施設を建て直せばいいだけです。やり方はいくらでもあります。やる気の問題です。豊洲に行って大地震が来て、新市場敷地が液状化したら大変なことになります。あっちこっちで、猛毒物が地中から吹き上げてしまいます。

 

 

 だから、みんなで叫んで踊って「築地でええじゃないか」をやりました。もともと「ええじゃないか」は幕末乱世の時代の民衆による「世直し乱舞」の踊りだったとか。だったら先人に見習って、我らも叫んで叫んで叫びぬいて、踊って踊って踊りぬいて、これから平成の世直しスタンバイです。♪♪「築地でええじゃないか、ええじゃないか」♪♪「豊洲はだめじゃないか、だめじゃないか」

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

今見ても、何度見ても、顔がほころびます。

 

ええじゃないか、ええじゃないか、ええじゃないか

 

だめじゃないか、だめじゃないか、だめじゃないか

 

 

最高ですわ。コレ。

 

早々

 

 

 

 

 

 

2014年3月28日 (金)

福島第1原発事故の原因の究明もしないで原発再稼働に突き進んでいいのか (2)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

まずはこのサイトをご覧ください。

●「正気かよ、再稼働第1号は日本一危険だ(鹿児島・川内原発)」(日刊ゲンダイ 2014.3.26

 http://hibi-zakkan.net/archives/37188769.html

 

鹿児島県では、ほんの少し前、すなわち数千年から数万年前に、恐ろしいほどの巨大な火山活動があったとされています。しかし、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、一方で、地震については12万年前から40万年前くらいまで遡ってその活動状況を調べ、活断層が動く可能性を安全側からみる(実際は見ていないけれど)などと言いつつも、他方で、火山活動については、わずか数千年前から数万年前の動きについて無視を決め込み、非科学的にエイヤーと(というよりも川内原発の事情に合わせて)、わずか半径160km以内にある火山の、ほんのわずかの間についての危険性しか考慮しない、などとしているのです。ご都合主義も甚だしきです。しかし、危険きわまる原発・核燃料施設の安全問題に対してご都合主義で臨めば、近い将来、取り返しがつかないことになるのは火を見るより明らかです。

 

(もちろん、日本国内の多くの火山学者は、各地の原発の中でも鹿児島県の川内原発が火山活動の災禍を受ける可能性が最も高い原発として「危険視」しています。中には、川内原発の再稼働はやめた方がいい、という学者もいらっしゃいます。他にも、西北海道・泊原発や下北半島の原発・核施設などが特に危険です)

 

また、別添PDFファイル「規制委審査、再稼働優先 川内のみ(毎日 2014.3.27)」には、原子力「寄生」委員会が川内原発を「優先審査原発」とし「他原発のモデルケース」として審査全体の加速化を進める方針とした」などと報じられております。この連中は何をトチ狂っているのでしょう。原発審査の加速化など、優先順位を付ける必要もなければ、モデルケースを設ける必要もありません。

 

こんなおかしなことをやっている理由は明白で、そもそも(再稼働)「審査」などというものが、ただ単なる再稼働のための「書類上の儀式」にすぎず、全国の原発は再稼働させることが最初から決まっているということを意味しているのです。そして、この原子力「寄生」委員会のメンバーを選んだ、あの「口先やるやる詐欺」集団=民主党野田政権は、それを重々承知で、そういう「儀式」を厳かに、もっともらしくやれる人間を委員に選んだということを意味しています。

 

地域住民に健康被害を及ぼしてしまうような、言いかえれば、環境に放射能を放出してしまうような原発・核燃料施設は、その可能性が少しでもある限り、すべて「没」にすればいいだけの話です。「没」にするのに、何で時間がかかるのですか。政府は安全な原発だけを稼働させると言っているのですから、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、素直に安全な原発=言い換えれば、過酷事故を絶対に起こさない原発を「選ぶ」ということだけを淡々とやればいいのです。そのような原発が電力会社によって「用意」されてこないのならば、同委員会は「駄目ですね」と言っておればいいだけの話です。

 

そして、今のような状況下では、大事故を起こさない原発などありません。事故を起こさない原発がほしいのなら、原子炉の設計を一から見直さなければなりません。原発やりたきゃ、一から見直せ、一から出直せ、これは、原発大事故の後ですから、当たり前の当たり前なのです。しかし、原発などなくても電気は足りています。

 

●原発の火山影響規則基準「妥当」…規制委・田中委員長 - 毎日新聞

 http://mainichi.jp/select/news/20140307k0000m040094000c.html


・・・・・・・・・・・・・・・・・

<原発再稼働安全審査優先は川内のみ - 毎日新聞:別添PDFファイル>

 http://mainichi.jp/select/news/20140327k0000m040090000c.html

 

別添PDFファイル2つの毎日新聞記事は、「情けないくらいに相反するコントラスト」の昨今原発事情を報じる記事です。大事故を起こして大変な事態に陥っている福島第1原発の現場を捨て置いて、再び、原子力安全神話ならぬ放射線安全神話に立脚しながら、福島第1原発から遠く離れた鹿児島・川内原発から、その再稼働を画策しているということを伝えています。

 

馬鹿は死ななきゃ治らない、だから、原子力ムラ・放射線ムラの皆様方には、どうぞご遠慮なく(社会的に)死んでいただきたいものですが、私たち一般の有権者・国民や地域住民が、その馬鹿の巻き添えを食って、馬鹿もろともに「物理的」に滅ぼされることはごめんこうむりたいものです。

 

安全な原発など存在しません。原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、原発の安全や無事故・過酷事故なしを保障などしておりませんし、従ってまた、有権者・国民や地域住民の命と健康と財産を守るつもりもありません。保障するどころか、守るどころか、「安全神話に立脚せず」などと称して「原発過酷事故は起きる」と居直りを決め、にもかかわらず、「新規制基準」の中身を厳しく引き締めるのではなく、手抜き・いい加減・出鱈目・無責任(あるいは責任回避)・セクショナリズム(独善)・先送り・無内容の「新規制基準」なるものをでっちあげて、その「基準」と比べて実際の原発・核燃料施設が「適合しているかどうか」をチェックすることが「原発再稼働審査だ」などとうそぶいているのです。

 

しかし、ものごとは、机上の空論や会議室内での屁理屈のやりとりや、くその役にも立たない書類の山積みを見ていてはだめです。そんなものは、何の肥やしにもなりません。肝心なことは、3年前の福島第1原発事故以降、日本の全国各地の原発・核燃料施設は、実際問題、ほとんど何にも変わっていない、原発・核燃料施設が二度と過酷事故を起こさないための具体的な原発対策・対応など、ハードもソフトも、まともに何もなされていない、ということを、しかと見定めておかないと判断を間違います。原発現場は、ハードもソフトも「昔のまんま」です。

 

馬鹿の集合体である日本政府と、「悪魔が来りてホラを吹く」の田中俊一以下の原子力「寄生」委員会・「寄生」庁がやったことは、原発・核燃料施設の現場にちょこざいな電源車や非常用バッテリーや給水車を用意したり、将棋倒しゲームに使うような「ついたて」を「防潮堤」と称して海岸べりにつっ立ててみたり、避難訓練などと言いながら「おままごとゲーム」のようなお祭り行事を繰り返しているに過ぎません。耐震度の基準を「数十~数百ガル」切り上げたなどと言っても、それは「審査書」という紙の上で「基準地震動」の数字の大きさが変わっただけの話であって、実際の原発・核燃料施設の施設そのものは、物理的に、根本的に「何にも変わってねーだよ」の状態なのです。原発・核燃料施設の安全を、書類審査と会議で担保するという、馬鹿の中でもきわめつけの「ウルトラ・スーパー・バカ」の最先端を走っていると言っていいでしょう。

 

21世紀日本の最大の亡国詐欺師=「悪魔が来りてホラを吹く」の田中俊一とその取り巻き5人衆=原子力「寄生」委員会こそ、まさに「原発のバカ大将」達です。彼らのくだらない仕業を根拠に原発再稼働など、話になりません。TVや大手新聞などのマスごみが「世界一厳しい規制基準」とか「新基準に適合して安全が確保された」などとはやし立てても、そんなものに具体的な中身は何もありません。再稼働は、そのまま福島第1原発事故の地獄を、そのスケールを何倍・何十倍にもしながら再現させる、日本国の自虐行為・自殺行為に他なりません。アホなことはやめることです。


 

<原発事故、爪痕今も(毎日 2014.3.5)>

この記事で、福島第1原発の現状を確認しておきましょう。

http://mainichi.jp/graph/2014/03/05/20140305ddm001040194000c/002.html

 

1.大量のがれきが手つかずのまま残っている。

(事故後3年もたって、まだ、こんな状態だ。ふざけるなです。このがれき類は放射能に汚染されていますから、これがこんな状態である限り、現場で働く作業員は無用に被ばくが増大してしまいます。福島第1原発の後始末に手を付ける場合には、真っ先にしなければならない仕事です。しかし、福島第1原発ではそうはなっていない。現場で働く人々を軽々に扱い、被爆労働について、その危険性回避をきちんと職場のルールとして定着させていない、この東京電力という会社のどうしようもない出鱈目体質が、このがれき散乱放置に出ているのです。現場作業員は、東京電力の「管理者ども」から、人間として見られるのではなく、使い捨ての作業ロボットとして見られています。一度、この連中と、現場を交代させてみてはどうでしょう)

 

2.規制委が報道関係者の同行を受け入れるのは昨夏の汚染水問題発覚後、初めてだ。

(何、隠してんだ、馬鹿野郎!!。事故現場を事故後いつまでも隠し続け、報道させないなんぞ、許されることではない。「悪の帝国」などと悪口を言われていた旧ソ連以下ではないか。さっさと取材・報道自由の体制をとれ。隠せば隠すほど、疑心暗鬼は広がり、政府や東京電力やその他の原発・核燃料施設関係者への不信や疑念は拡大するばかりである。一方のマスごみの方も、報道規制する方と「共存」「もたれあい」「腰抜けちょうちん役」をやっていて情けない限りである。こんな報道妨害に対して、業界として、何らかの断固たる措置をとれんのか。国の存亡がかかっているのだぞ。それでもあんたらジャーナリズムなの? と言いたくなるね)

 

3.4号機では使用済み核燃料プールで核燃料の撤去作業が始まった。

 1~3号機の使用済み核燃料はどうなっているのか。危ないのは4号機だけではなく、1~3号機も似たりよったりだ。ともかく1~3号機の使用済み核燃料プールが危ないのだ(たとえば、再度、東日本大震災並みの地震や津波が福島第1原発を襲ったらどうなるか想像してみたらどうか)、ということだけでも報道しろよ。当事者能力なしの無責任会社・東京電力の言うがままに、チンタラ・チンタラやっていて、いいはずがないではないか(1~3号機の使用済み核燃料撤去は、はるか先の将来計画になっている)。柏崎刈羽原発再稼働準備をやめさせて、こっちに全力を集中させるような報道をしろよ。

 

4.3号機原子炉建屋からの放射線量が高い、3号機付近では放射線量が高く、アクセルを踏んで通り過ぎる。

 何故、3号機付近が、このようにとりわけ放射線量が高いのか。それは3号機の爆発が水素爆発ではなかったからではないのか。核爆発説があり、これがきちんと検証されていない。近々ご紹介するが、3号機については、CO(一酸化炭素)爆発説も出てきているようだ。1号機の爆発と3号機の爆発の違いさえもはっきりさせられないでいて、何が原発再稼働か、バカモノ。

 

5.護岸付近では、海への汚染水漏れを防ぐための遮水壁を建設中だ。

 遮水壁は、凍土方式のものだけではだめで、その外側にもう一つ、かつて3年前に馬渕澄夫首相補佐官(民主)が検討していた「鉛直バリア(ベントナイト・スラリーウオール)方式」の遮水壁を建設せよ。二重の壁にしておいて悪いことはないはずだ。そして、さっさとやれ。

 また、遮水壁に加えて、防潮堤も必要である。福島第1原発をまた再び大津波が襲えば大変なことになる。柏崎刈羽原発に設置した防潮堤を福島第1原発へ移動・移管せよ。

早々


(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●福島第1原発事故の原因の究明もしないで原発再稼働に突き進んでいいのか(1) いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/1-3256.html

 

●除染という「やるやる詐欺」 いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-a6e8.html

 

●一般担保付社債があるから、東京電力を破たん処理すると、被害者の損害賠償請求権に迷惑がかかる、というのは嘘八百だ いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/2014224-bd77.html

 

2014年3月27日 (木)

人工放射能の危険性を論じる際に自然放射能を持ちだすな(「そんなのカンケーネー」)

前略,田中一郎です。

 

原子力ムラ・放射線ムラの常套手段であるウソと方便、あるいはネトウヨなどのネット上の「便所の落書き」とでもいうべきロクでもない言論にもよく見られるものとして、チェルノブイリ原発事故や福島第1原発事故で環境中に大量に放出された原発・原子炉由来の人工放射能と、太古の昔から地球上に存在しているK40(カリウム40)などの自然放射能を比較して、あたかも原発事故による放射能汚染が、さしたる懸念を持つほどのものではないかのごとく論じる風潮がみられます。

 

しかし、放射性セシウムやその他の原発・核燃料施設の大事故に伴う環境拡散の人工放射能の危険性を論じる場合、太古の昔からある自然放射能を持ちだして、それと比較して、その危険性が大したことがないかの如く論じることはいただけません。そもそも人工放射能が出た分だけ自然放射能が減るわけではないので、自然放射能がうんぬんかんぬんの話なんぞ、「そんなのカンケーネー」なのです。以前にも申し上げた通りです。

 

K40の危険性など、さしあたり論ずる必要もありません。どうでもいいというよりも、さしあたり、どうしようもありません。ましてや、そのK40の危険性問題に決着がつかなければ、放射性セシウムをはじめとする人工放射能の危険性も推し量ることができないかの如く論じている連中も少なくありませんから、K40の話など、横へ退けておけばいいはずです。

 

問題は、福島第1原発から大量に放出された人工放射能のことで、これについて、その種類、量、生態系への影響、内部被曝の危険性、化学特性、その他、論ずるべきことがきちんと論じられている文献を、日本の科学者が書いているのを、今まで見たことがありません。日本の科学者は一体何をやっとるのか、というのが私の怒りとまじりあった正直な感想です。(本当に数少ない科学者の方々がご奮闘されているにすぎません)。

 

それから

(1)ガンの多発もK40とは無関係です。関係があるのなら、人類は既に滅亡していたでしょう。ガンの多発は、まずもって化学物質の濫用による環境汚染(そこから飲食物が汚染されてきます:典型は食品添加物)、それと(特に化学物質で汚染された)肉食の広範化です。加えて、医療被ばくを含む(人工)放射線被曝の増大ではないでしょうか。これらは統計的にも裏付けられているようです。

 

(2)放射性セシウムの危険性の最大の問題は、その人間や生物体内での挙動がよくわからず、従って、その危険性もよくわからない、という点にあります。しかし、放射線被曝は原理的に危険であり、看過するわけにはいかない、ということです。加えて、生物学的半減期を含めて、その悪影響の個体差が大きく、特に人間の健康管理に関する場合、今の国際放射線防護委員会(ICRP)が言うようなことでは、絶対に「健康犠牲者が出てしまう」ということです。

 

(3)K40と生物の関係では、生物の側の「適応」ということを軽視してはいけないでしょう。K40を放射性セシウムのように長く体内にとどめ置かない、特定の臓器や部位に集中させない、などというのは、生物の側の「適応」と考えておいて間違いはないのではないか、と思われます(適応できなかった生物は滅亡)。しかし、こんなことは、福島第1原発から放出された人工放射能の危険性を論じる場合には、さしあたり、どうでもいいことです。

 

(4)人工放射能は自然放射能とは違い、犯罪性、差別性、支配被支配性、権力(犯罪)問題、似非科学・御用科学者問題、マスごみ問題などなど、社会的な「悪」の上に出てきた問題であり、その「社会性」を強烈に意識せずに、単純な放射能論としてしまうことは、議論の矮小化です。議論の中身の問題ではなく、何をどう論じるかという、議論の方法論の問題です。

 

 K40をうんぬん、かんぬん、するまえに、日本の科学者にはやるべきことは山ほどある、それがこの議論のポイントです。K40についてのくだらないおしゃべりをしているヒマがあったら、目の前の大量にばら撒かれた危険極まりない人工放射能に、真剣に全力で立ち向かえ、ということです。

草々

 

2014年3月20日 (木)

第14回「福島県民健康管理調査検討委員会」(2014年2月7日):子どもの甲状腺検査の結果

前略,田中一郎です。

 

「第14回福島県民健康管理調査検討委員会」(2014年2月7日)における子どもの甲状腺検査の結果に関するコメントです。下記の別添PDFファイルをご覧下さい。

 

●表紙
「14KAIKENMINKENKOUHYOUSI.pdf」をダウンロード


●本文
「14KAIKENMINKENKOUHONBUNN.pdf」をダウンロード



 

 また下記は、27日に開催された「第14回福島県民健康管理調査検討委員会」終了後の記者会見の録画である。毎度毎度、この記者会見を見せつけられる者にとっては忍耐力が必要だ。今回の記者会見では、質問する側の質問内容が引き締まっていたにもかかわらず、答える側=つまり「福島県民健康管理調査検討委員会」の座長・星北斗氏や福島県立医科大学の鈴木真一教授、あるいは甲状腺外科が専門の日本大学・清水一雄教授、放射線疫学が専門の高村昇長崎大学教授らの質問への回答の無内容ぶり、はぐらかしぶり、が目立つ会見となった。許されないことである。未来世代を担う子どもたちの放射線被曝による健康の問題を課題にしているにもかかわらず、この連中の態度はいったいどうしたことか。

 

 およそ、正当な質問に対してまともに答えられないということは、この問題に関してこの連中が、ロクでもないことをして、大事なこと・肝心なこと・核心的なことを隠しているか、ウソをついているかのいずれかである。質問に対してきちんと答えられないのなら委員を辞めることだ。そのような最低限の倫理感もないような人間達が、およそ福島第1原発事故による放射線被曝被害の問題にかかわるべきではない。

 

 なお、この「福島県民健康管理調査検討委員会」終了後の記者会見は必見なので、毎度ご覧になられることをお勧めする。また、毎回記者会見の録画をネットに提供してくれている「OUR PLANET TV」(アワプラ)さんに、みなさまのご支援をお願い申し上げます。

 

●(記者会見録画)甲状腺がん悪性・悪性疑い74人〜福島健康調査 OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1727

 

●福島県ホームページ - 組織別 - 県民健康管理調査検討委員会

 http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809

 

(田中一郎メモ)

 今回の記者会見では、核心を突く鋭い質問が参集した記者から多く出たが、回答がいずれもはぐらかしで終わり、内容が掘り下げられない残念な結果となっている。誠に残念ことであり、「福島県民健康管理調査検討委員会」側の責任は大きいと言えるだろう。きちんと答えないのなら、こんな委員会は解散してしまえばよい。

 

1.(質問)放射線被曝線量の大きさからみて甲状腺ガンが多発するとは考えにくいとする見解については、被爆線量の推定が放射性セシウムによる外部被曝を推し量ったものであり、甲状腺ガンの因果関係の根拠に使うにはふさわしくないのではないのか ⇒ まともに答えず

 

2.(質問)弘前大学の床次真司氏が「放射性ヨウ素沈着マップ」を使ったらどうかと提案している ⇒ これから検討していくだろう、というあいまいな回答(例えば「現状の線量評価には限界があり、こうしたことも必要だと思うので必ず検討して実現させるよう努力する」とは言わない)

 

3.(質問)「福島県民健康管理調査、及び検討委員会、福島県立医科大学などに関しての独立した倫理委員会が必要なのではないのか ⇒ まともに答えず、最初は当委員会が答えるべきものでもないとして、質問を退けようとまでした。

 

4.(質問)これまで発見された子ども甲状腺ガンの数(74人、0.03%)は「想定された範囲内」というが、その根拠は何か。また、いくらの数字が出たら「想定外」なのか、具体的な数値を示していただきたい ⇒ 根拠も数字も示せず、くだくだと言い訳に終始している。とりわけ長崎大学の高村昇教授の「因果関係を見よ」説明は噴飯ものである。

 

5.(質問)これまで発見された子ども甲状腺ガンの数(74人、0.03%)は「想定された範囲内」であるならば、子ども甲状腺ガンは日本では相当多いということになる(子ども人口が2千万人なので、0.03%=6千人が子ども甲状腺ガン)。ならば、全国一斉の子ども甲状腺ガンの検査・調査が必要になるのではないのか ⇒ 答えず

 

6.相矛盾する発言(明らかにおかしい、ごまかすな!):星北斗座長 

 「発見された子ども甲状腺ガンへの放射線被曝の影響は未知数である」が、しかし「我々は放射線被曝の影響は考えにくいと考えている」

 

7.相矛盾する発言(明らかにおかしい、ごまかすな!):清水一雄日大教授

「発見される子ども甲状腺ガンが何%になるかは予想できない」が、しかし「0.03%は想定内である」

 

8.甲状腺ガンは「予後」が良好である、などと、鈴木真一福島県立医科大学教授は、まだ言っている。その根拠として、生存30年が95%などを挙げていた。子供のときに甲状腺を理不尽にも取られてしまった人たちの悲しみと苦しみが、この人間には理解できないらしい。また、おそらくは、一生体調不調に苦しむことになりかねない被害者のことよりも、自己保身優先で発言するこの人間のこの発言を、私は許せないと思う。

 

9.(質問)福島県立医科大学の倫理委員会に出された書類には「子ども甲状腺ガンの発生率は100万人に1人か2人」と書かれているが、それと「0.03%は想定内」などという説明とは相矛盾するではないか ⇒ まともに回答せず

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(関連1)「線量ゼロの子でも被曝」=朝日新聞は日本の「痴性」? 一方 河北新報「甲状腺被ばく量半減 弘前大調査」 我々はいくら「内部被曝」したのか? - 福島 信夫山ネコの憂うつ

 http://shinobuyamaneko.blog81.fc2.com/blog-entry-98.html

 

(関連2)『福島県の小児甲状腺ガンを憂える』

 http://www.asyura2.com/12/test28/msg/439.html

早々

 

2014年3月19日 (水)

福島第1原発事故の原因の究明もしないで原発再稼働に突き進んでいいのか(1)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 ご承知の通り、原子力「寄生」委員会は鹿児島県の川内原発(加圧水型)を優先的に審査する原発と決め、その安全審査に全力を投じることで、今年夏の電力需要ピーク時にあわせて川内原発を再稼働させることを狙っております。その背景には、原発の安全審査に時間がかかっていることにしびれを切らした自民党の原子力ムラ代理店稼業の政治家達が、「審査の見通しを示せ」と、田中俊一以下の原子力「寄生」委員会に圧力をかけていることが大きく影響しています。福島第1原発事故を受けて、「もう二度としない」と決心したはずのこと、すなわち、原発の安全管理が愚かな政治圧力によってゆがめられ、その場しのぎの「処世術」が持ち出されては、屁理屈で合理化されて原発が推し進められていく、そんな「アンシャン・レジーム」が、再び復活し始めていると言えそうです。

 

●東京新聞川内原発を優先審査 規制委 再稼働新基準で方針社会(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014031302000255.html

 

 今回より何回かに分けて、本当にこんなことをしていていいのか、福島第1原発事故の原因を解明し、それに対する対策を万全なものにせずに、表面だけを取り繕って、書類や屁理屈上のつじつまをあわせただけで、本当に原発を再稼働していいのか、検証してみたいと思います。そして、福島第1原発事故の原因が定かでないのに、どうして今後再稼働する原発の安全対策が万全にできるのか、再稼働原発が安全だと言えるのか、小学生でもわかるこの「自明の理」を、原発利権の目先の利害に目がくらんで半ば発狂した人たちと、福島第1原発事故を早くも忘れて、時の支配権力に引きずられる愚かな一部有権者・国民の前に明らかにしたいと思います。

 

 今度、仮に原発・核燃料施設の過酷事故が日本を襲うとしたら、それは不幸中の幸いを繰り返していた福島第1原発事故の比ではない、巨大な原子力事故=莫大な量の放射能放出事故になると予想されます。取り返しがつかなくなる前にどんなことがあっても原発・核燃料施設は廃棄しなければならないのです。

 

 <別添PDFファイル>

●事故原因 なぞのまま(201435日付朝日新聞)

 http://www.asahi.com/articles/DA3S11011564.html

 

1.朝日新聞に掲載された5つの「事故原因のなぞ」

 別添PDFファイルに赤ペンで丸で囲っておいた部分が、朝日新聞が取り上げた5つの「事故原因のなぞ」である(下記)。概して、朝日新聞の取材の不十分さ(または記事掲載の不十分さ)が目立っているように思われた。

 

(1)1号機の非常用復水器(IC)を含む配管のどこかが(複数もありうる)地震の揺れで破損したのではないか

 事故時に作業員が目撃した1号機の非常用復水器(IC:イソコン)付近での出水が何だったか。国会事故調は、地震の揺れが原因でICの配管が破損して水漏れを起こし、原子炉の冷却が十分にできなくなった可能性があると指摘している。

 

 記事にはないが、この疑いを持つ国会事故調委員だった田中三彦氏(元日立バブコックの沸騰水型原子炉設計技師)は、原子炉建屋4階のICを含む配管の破損の可能性もあり、その破損した配管から水素が漏れ出して4階に充満し、1号機の水素爆発は4階でまず起きた痕跡があると主張している。水素を漏らすような配管は原子炉建屋4階にたくさんあり、1号機の水素爆発が4階から爆発したとすると、地震の揺れによる配管破損はほぼ間違いないだろうと推測される(東京電力は、配管が存在しない5階が爆発したというが、これでは、4階と5階をつないでいた丸い大きな「穴」=様々な物の運搬用、にかぶせてあった重い金属性の蓋が爆発の際にどこかへ吹き飛んでしまって行方不明になっているというのはおかしな話となる。5階が爆発したら、上からその蓋はねじ伏せられるような圧力がかかるので、どこかへ吹き飛んでいくはずがない(=また、この蓋が行方不明で見つからないというのもおかしな話。東京電力が何か隠している証拠ではないか)。

 

 更に、田中三彦氏は、この非常用復水器(IC)に関する現場作業員の事故当時の操作がおかしい(開けたり閉めたりを繰り返す)ことに加え、原子炉圧力容器内の圧力の変化記録にもおかしなところがあり、これらは1号機のどこかの配管が破損して、そこから圧力が逃げていたと解釈すれば説明がつきやすいとし、現場作業員のおかしなIC操作も、原子炉圧力容器内の圧力の大きな低下に対して冷却水喪失を心配した現場作業員の必死の抵抗ではなかったかと疑問を投げかけている。

 

 更に1号機については、圧力容器内の気体を圧力抑制室(SC:サプレッション・チェンバー)に逃がす「圧力のがし弁」が開いた形跡がなく(開くと大きな音がするらしいが、そんな音は1号機ではしなかった。2号機、3号機では、大きな音がしていたし、同じ沸騰水型原子炉の東海第二や女川原発もまた、大きな音がしていたという)、従って、圧力容器内圧力は上がる一方のはずなのに、実際には上がっていない。これは圧力容器につながる配管が壊れて穴や亀裂が入り、そこから気体が漏れ圧力が抜けていた可能性がある、ことも同氏は指摘する。

 

 1号機は、田中三彦氏が国会事故調委員だったときに、東京電力に対して「立ち入り調査に入りたい」と申し入れたが、東京電力が「真っ暗で危ない」とうそをついて田中三彦氏に立ち入り調査を断念させた「経緯」がある。何かを隠したい時の原子力ムラ一族、東京電力や政府がウソをつくのは常套手段である。

 

(2)津波が原発に到達する前に非常用電源装置が動かなくなっていたのではないか

 大きな津波が到達したとされた3時35分は原発の沖合に置かれた波高計での記録である。国会事故調は、敷地に津波が到着したのは午後3時37分以降で、非常用ディーゼル発電が止まって電源を喪失した後だとみている。つまり、福島第1原発事故が過酷化する原因となった非常用電源喪失=SBO(ステーション・ブラックアウト)は、津波によるものではなく、その到達前にアウトだったということだ。

 

 東京電力は、カメラ内蔵時計が6分ほど遅れていた、などと姑息な言い訳をしている。しかし、その時計を度外視しても(考慮に入れなくても)津波到達前に非常用電源が動かなくなっていたことは十分に説明されており、むしろ東京電力が、この問題の指摘を真摯に受け止めずに、非常用電源喪失の原因は津波以外にはあり得ないとする「政治的判断」を押し通すために、問題提起者(伊東良徳弁護士)を小馬鹿にしたようなハッタリ説明でお茶を濁そうとしている様子が見て取れる。

 

(3)作業員が代替注水手段を確保せずにHPCI(高圧注水系)を止めたことが炉心溶融を速めてしまったのではないか

 運転員は通常と異なる状況から故障を恐れて、現場の判断で3月13日午前2時42分にHPCIを止めてしまった。しかし、その後HPCIを再び起動しようとしたが動かなかった。政府事故調は、代替注水手段を確保せずに止めたため、7時間近く原子炉への注水が止まり、炉心溶融が進んだと指摘した。つまり、現場作業員の勝手なミス判断が炉心冷却を不可能にし、炉心溶融を速めてしまったというわけである。

 

 が、しかし、この政府事故調の「現場作業員の操作ミスだ」と言わんばかりの報告には疑義がある。3号機は1号機と同様に、事故直後から、どこかの配管が破損していたのではないかと疑われている。事故直後に建屋にいた作業員が「シューシューという音を聞いた」という証言もあるという。もし仮に、3号機のHPCIの配管が、上記で申し上げた非常用復水器(IC)の配管と同様に一部破損しており、最初は小さかった穴か亀裂が少しずつ大きくなってきて、その結果、HPCI系から圧力が逃げているのに気がついた現場作業員が、冷却水喪失を恐れてHPCIをとりあえず止めてしまったと考えてみたらどうだろうか。ずっと開けておいて、放射能含みの水蒸気が漏れ出るとともに圧力が逃げてしまうのをいったん止め、その後、開けたり閉めたりを繰り返すことでコントロールしようとしたのではないか。この辺の事情は、まだ、十分には明らかになっていないように思われる。

 

 いずれにせよ、3号機についても1号機と同様に、地震の揺れによる配管破損の可能性は消えていない。

 

(4)消火用配管から原子炉に水を注入したが十分ではなかったのではないか

 東京電力は、冷却装置が止まった後、消防車のポンプを原子炉建屋の消火用配管につなぎ、原子炉に水を送り込んだ。しかし、途中で枝分かれした配管から、一部が原子炉に届かずに復水器に流れ込んだため、冷却水を炉心に十分に送ることができなかった。

 

 しかし、これは当たり前といえば当たり前で、使った配管系が「消火系」だから、そもそも炉心を冷却することを想定していない。原子炉建屋内の火事を消すためのものだから、あちこちで「スプリンクラー」のように機能してくれればいいとして配置されていたはずである。しかも、この「消火系」配管は、1980年から90年にかけて、アメリカで沸騰水型原子炉の安全性が問題になり、その欠陥をカバーすべく外付けで取りつけられた装置の一つである(このほかに、ドライベント装置などもそうだ)。アメリカの場合には、すべての沸騰水型原子炉に、この「消化系」設置が義務付けられたが、日本の場合には、遅れに遅れて1990年代半ば以降、設置を義務化せずに、電力会社の任意の装置として設置されたものである。任意装置だから点検や機能の検証も甘く、そこにあればいい、程度の扱いを受けていた可能性は高い。しかし、福島第1原発は、その危機的状況を、この適当に設置されていた「消火系」配管装置に助けられ、今もまだ助けられ続けているということである。

 

 当時の原子力安全委員会や通産省が、電力業界から要請を受けて設置義務化を見送っていたことは明らかで、この頃すでに日本の原発は、安全を軽視するカルチャーが日本全国の原発・核燃料施設の現場の隅々にまで浸透していたと言えるだろう。消火系配管が炉心冷却にまともに機能しないのは「あたり前」である、が、しかし、その後、福島第1原発以外の原発で、この消火系配管を徹底的に見直したという話はまったく聞いたことがない。

 

(5)4号機の爆発の原因は何だったか

 東京電力は、3号機がベントした際に出た水素ガスが4号機の方へ逆流していって建屋にたまり、それが爆発したとしている。こう説明されても、一般の人にはピンとこないだろう。それもそのはず、なんと、福島第1原発の各号機の(ドライ)ベント管は、1・2号機が出口付近で一本化されて共通になり、3・4号機も同じように出口のところで一本化されて共通配管を通って外気へ出ていくような構造になっていたことが説明されないと何のことかわからない。

 

 そして、上記でご説明したように、このドライベント管もまた、1990年代に任意の安全対策装置として外付けで取りつけられたもので、東京電力はその費用をケチるため、各号機に1つずつ取りつけるのではなく、2つの原子炉に共用のベント管を取りつけたということである。昔よく学生の下宿などにみられた「便所共用」の、あの「共用」をイメージすればよい。その「共用べんじょ」ならぬ「共用べんと」を通じて、3号機から出てきた水素ガスが、外へ行かずに4号機の方に行ってしまった、便所でいえば、自分が落とした糞で便つぼにたまっていた液体が跳ね返ってきたようなものだ。4号機では、その3号機からやってきた水素ガスがたまりにたまって爆発してしまったというわけである。

 

 こんなもの許していいのか。あきらかに業務上過失であり、過失どころか、このドライベントを1つの原子炉に最低1つ設置の義務化をしなかった1990年代当時を調べてみれば、悪質な故意による安全対策の手抜き(費用節約)と責任回避(義務化装置でないのなら責任は問われない)であることが明らかになるだろう。そして、最も大事なことは、日本国中の原発・原子炉もまた、みんなこんな調子であるということだ。

 

 驚くべきことに、日本原電の敦賀1号機(沸騰水型)には、このドライベントが取り付けられていなかったことが、福島第1原発事故後明らかになっている。(法的)義務化装置ではなく任意装置なのだから、ベント装置が設置されていなくても法的に問題はない、と日本原電はニヤニヤ笑っているようである。よくこれまで、敦賀原発を、大地震・大津波が襲わなかったものである。襲っていたら、今頃はベントもできずに格納容器の内部圧力を上昇させた原子炉が、あっという間に大爆発を起こし、日本国中が大変なことになっていただろうことは想像に難くないのである。日本原電とはそんな会社だということだ。

 

 ところで、いったい原子力「寄生」委員会は、この4号機の爆発の原因となったと言われているベント気体の逆流に対して、全国の原発に対し、どのような指示をしているのだろうか。新規制基準には、ベントは原発1基ごとに独立させて1つ以上作れとでも、はっきり書かれているのだろうか。不勉強で危機感の乏しいマスごみ諸君が報道しないので、現状はよくわからない。

 

 それから、4号機の爆発については、ベント気体の逆流ではなく、4号機使用済み核燃料プールでの爆発説(冷却できなくなって、水・ジルコニウム反応で水素が出てきたとする説)がある。これについては、もう否定しておいていいのだろうか。

 

2.朝日新聞が取り上げなかった原発事故原因の様々な可能性

 上記でも申し上げたように、朝日新聞の記事は(他紙も似たりよったり)原発事故の原因究明・追求に関して全く不十分である。マスごみがそういう不十分な姿勢を取っているから、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は安心をしてしまい、政府官僚や政治家達も大手を振って原発再稼働へ邁進することができるようになってしまうのである。新聞・TV・雑誌などのマスごみ諸君は、福島第1原発事故の前も後も、こと原発や原子力については、その職務を十分に果たしえていない、ただの「粗大ごみ」になっていることを強く意識してもらわないといけない。今からでもいいので、特に原発に批判的な人たちの話をよく聞いて勉強をし、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁や御用学者たちをはじめ、原子力ムラ・放射線ムラの人間たちに対し、原発・核燃料施設の安全確保の全くの不十分の問題や、地域住民の防災計画・避難計画の実効性の欠如などについて徹底追及し、その再稼働へ向けた危険極まりない無謀な動きを告発したらどうなのか。

 

(1)1979年のアメリカ・スリーマイル原発(加圧水型)の事故では、水素爆発を防ぐことが大問題となっていた。その教訓があるにもかかわらず、何故、福島第1原発事故では、水素爆発を防ぐことができなかったのか。特に、1号機が爆発してのちに、3号機、4号機、2号機と、次々に爆発させてしまっている。これはいったい何だったのか。また、日本全国の原発・核燃料施設における水素爆発防止対策は、その後どうなっているのか。

 

(2)2年くらい前にNHKは、その特集番組「NHKスペシャル」で、地震の揺れによって空気圧で動く制御系の配管が破損したため、たとえばベント装置が動かなくなってしまい、原子炉が危険な状態に陥ったことを放送していた。しかし、この重要事項は、その後新聞報道をはじめ、マスごみは取り上げることがないままに今日に至っている。日本全国の原発・核燃料施設の「空気圧」で動かす制御系配管や装置類は、いったいどの程度の耐震度を持っているのか。

 

(3)2号機はいったいどうなっているのか、3月15日に、あるいは16日に、いったい何が起きていたのか。政府がIAEAに報告したレポートでは、福島第1原発が大気中に放出した放射能の80%以上を2号機が放出したことになっているというが、この根拠は何か。いったい何が起きて、放射能の大量放出につながったのか。

 

(4)3号機の爆発は、使用済み核燃料プールにあった核燃料の即発臨界による「核爆発」だったはずである。

 3号機が水素爆発ではなく核爆発であった証拠と思われるもの

a.爆発の煙(3号機は、黒い煙がまっすぐに上へ、1号機は、白い煙が横へ広がる ⇒ この煙の違いを説明するものが未だに誰もいない)

b.遠く離れた飯館村にプルトニウムが降り、更に間もなくしてアメリカにも微量のプルトニウムが降った

c.3号機は、プルトニウムを大量に含むMOX燃料を使っていた

d.屋根フレームの鉄骨が飴細工のように熱で曲がってしまっている(水素爆発ではこんなことは起きない)

e.使用済み核燃料プールの床に被覆管の破片が散らばっている

f.3号機近辺が福島第1原発敷地内では最も線量が高い(致死量)

g.東京電力も、政府も、3号機のことについて言及を避け、また、現状がどうなっているかを隠そうとしている様子がある。

 

3.最後に

 上記はあくまで、原子炉工学に全くのど素人の私が持っている疑問の具体例である。そして事故後3年が経過した今も、これらについて、まともに「合理的な説明」はなされたことがない。1号機と3号機の爆発の煙の違いくらい、さっさと説明しろよ、と言いたくなるのだが、未だにどの科学者・技術者も口を開かないし、全く説明もしないで、政府や東電の言うがままに「水素爆発」としている人間も少なくない。日本全国どこでもいい加減、が蔓延しているかのように思われる。

 

 少なくとも、福島第1原発事故の原因は明らかにしてもらい、その教訓を原発・核燃料施設に生かしていただかないと、再稼働の話などできるはずもないことは、泉田裕彦新潟県知事の言うとおりである。屁理屈と対策先送りで原発・核燃料施設再稼働へひた走る原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の姿は、まさに、いい加減な日本の墓掘り人達が一生懸命に墓穴を掘っている姿に見えてしょうがない。電気の供給など十分にたりている中で、もはや原発・核燃料施設再稼働を急ぐ理由などどこにもない。再びの過酷事故を引き起こす前に、早く目を覚まして、原発・核燃料施設の安全対策、福島第1原発の後始末、そして使用済み核燃料の安全対策に全力を挙げるべきである。

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●水産庁「資源管理のあり方検討会」に注目いたしましょう  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-7105.html

 

●昨日(3/12)の報道ステーションを見て : (1)「7q11染色体」を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、(2)私の感想  いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-f9c8.html

 

●週刊金曜日は「福島エートス」のまねごとを始めたのか? 疑問多い新連載マンガ「郡山もんもんライフ」 いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-6ab2.html

 

 

 

 

2014年3月17日 (月)

水産庁「資源管理のあり方検討会」に注目いたしましょう

前略,田中一郎です。

 

このほど水産庁は、下記サイトにありますように「資源管理のあり方検討会」を始めるようです。久しぶりの本格的な水産資源管理に関する議論となりそうで、要注目です。いくつか注目すべき点がありますので、以下、それを箇条書きにしておきます。

 

●水産庁-「第1回 資源管理のあり方検討会」の開催及び一般傍聴について

 http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kanri/140314.html

 

 

 <注目点>

1.農林水産省が進めてきた水産資源管理などは、これまで成功したためしがない、単なる「お題目」にすぎない(最近の例はクロマグロとヨコワ(クロマグロの稚魚))。それが、この「資源管理検討会」でどこまで掘り下げ、改善の方向に向かうのか

 

2.市場原理主義的な、乱暴極まりない水産資源管理が、市場原理主義アホダラ教信者たちから提唱されてかまびすしい。たとえば代表的な下記のようなことは、今後も絶対に排除しなければならない資源管理手法(悪手法)であるが、それがどうなるか

(1)漁業権の漁協以外への開放(水産特区)

(2)ITQ(Individual Transferrable Quota)=譲渡可能型漁獲枠割当制度

(3)輸入水産物の持続可能性チェック体制(現状はフリーパス=自由貿易至上主義)

 

3.日本近海における資源枯渇・激減種の資源保護・管理が今後どうなるのか(ウナギ、クロマグロ、ニシン、タラバガニ・ズワイガニ、スケソウダラ、ホッケ、フグ、タチウオ、ブリ(もじゃこ含)他)、また、国際的な資源管理問題はどうか(カツオ・マグロ、ウナギ、サメ、カニ他)

 

4.日本の2大乱獲漁業である「大中型巻網漁業」と「沖合底引網漁業」をどうするのか:どこまで減船して、どのように業界を適正化するのか

 

5.水産庁の資源管理に関する現状の政策はどうか(政策評価)

(1)TAC制度そのものと、その運営の在り方、また、TAEについてはどうか

 

(2)沿岸漁業における漁協の「漁業権行使規則」の内容、沖合漁業における許可漁業・承認漁業の現状(漁業法)について、どのように評価すべきか、本当に適切に運営されていると言えるのか

 

(3)資源管理政策と漁業者向け経営安定対策(漁業共済と「積立プラス」制度)との運営状況(資源管理を適切に実施している漁業者以外は政策支援を行わない建前になっているが、その実態はどうか)

 

(4)輸入水産物がすべて資源管理や環境保護が適切に行われた「持続可能型漁業」による水産物なのか、その点検状況やチェック体制はどうか、ゆにゅうきんしにすべきものがあるのではないのか

 

(5)養殖業業、及び栽培漁業における資源管理と持続可能性の問題

 

(6)日本漁業の「持続可能性」をどのようにみているか=言い換えれば、何をしなければいけないのか

 

(7)「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約:CITES)での日本の行動と実績はいかなる状態か(マグロの国際的資源管理を訴えたモロッコ国王の提案に対して、ばか丸出しの日本政府・農林水産省・水産庁と当時の民主党政権・赤松隆広農相は、漁業にあまり関係がない国などにマグロずしをふるまい、のみねえ・くいねえ、の接待外交を繰り返して、この提案をつぶした実績を持っている)

 

(8)水産庁の予算配分(大半が水産土建事業と水産庁役人OBのための水産無関係予算)

 

(9)国際海洋法条約の水産資源管理上の問題点 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaiyo/law.html

 

10)その他(漁業者に説教をする前に行政や政治がやるべきことがあるだろう)

 

6.外国船(中国、台湾、韓国、ソ連)の日本200カイリ内海域での操業をどうするのか

 

7.密猟などの漁業犯罪行為に対してどう取り締まるのか

 

8.依然として続く、埋め立て(例:沖縄・泡瀬干潟、千葉・三番瀬)、ダム建設(例:八ツ場ダム他多数)や震災復興を口実にした巨大防潮堤、あるいは、どこもかしこも海岸や河岸をコンクリートで固めつくして魚介類の産卵域や生息域を奪っていく、この愚かきわまる土建行政・利権政策をどうするのか、更に、磯焼け問題、ヘドロ沿岸域の自然回復問題他(漁場環境問題と水産資源)

 

9.水産資源の持続可能性認証制度の現状と課題(海外ならMSC、日本ならMEL)

 

10.その他(例:日本の官製似非調査捕鯨(=親方日の丸お気楽型無責任役人商業まねごと捕鯨)とクジラの問題をどうするか、先般締結の日台漁業協定の問題点(安倍晋三政権・外務省・水産庁がでたらめやってるぞ)、原発・核燃料施設問題=特に福島第1原発事故と青森県六ケ所村の再処理工場の放射能汚染水・トリチウムと放射性ストロンチウム)

 

●(参考)ウィキペディア 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約:CITES)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B6%E6%BB%85%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E9%87%8E%E7%94%9F%E5%8B%95%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%AE%E7%A8%AE%E3%81%AE%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84

 

●水産庁-TAEについて

 http://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_tae/

早々

 

 

2014年3月14日 (金)

あまりのお粗末農業政策・貿易政策を”ぼやく” (日本農業・日本酪農の首を絞めているのは誰か)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

みなさまには、日頃、ご関心があまりないことかもしれませんが、日本の農業が、今、葬り去られようとしております。戦後長きにわたり、さまざまな困難な中で復興の支えとなり、また、美味で高品質で豊かな食料や優秀な人材の供給基地として、あるいは日本という国の自然豊かな故郷(ふるさと)として、日本の農業と農村と生産者・農家は日本を支え続けてきました、それが今、理不尽にも葬り去られようとしています。

 

 その理由は、日本農業それ自体にあるのではなく、1980年ころから続く市場原理主義の農業政策が、いよいよTPPだの、日豪EPAだの、まったくわけのわからない、目的不明のトンチンカンお粗末政策にまで行きついて、担い手が高齢化し耕作放棄地が拡大して危機的状況下に陥っている日本農業に、今度こそとどめを刺そうというのです。アホウの経済学者達が、平均年齢が65歳を超えた老生産者・農家に向かって、国際価格で競争ができる「強い農業」を打ち建てろと、鞭を振るっております。学者らは、大学という「似非研究機関」の甘ったるいぬるま湯につかりながら、これまで日本を支えてきた多くの生産者・農家に向かって「競争力がないのなら淘汰されてしまえ」と悪罵を投げつけているのです。競争力がないというのなら、経済学者たちの「学説」(悪説)の方が、よほど競争力も迫真力もない、くだらぬ屁理屈の固まりです。

 

 私は、かようなお粗末と理不尽のカクテルのような政策を許すわけにはまいりません。以下、とりあえず「あまりのお粗末農業政策・貿易政策を”ぼやく”」にて、農業政策の出鱈目を告発させていただきます。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 別添PDFファイルは、日豪EPA交渉に関する本日付の新聞記事、及び農民作家の山下惣一氏の全国農業新聞への投稿である。以下、簡単にご紹介したい。

 

 <別添PDFファイル>

(1)豪、牛肉関税で軟化、対日EPA交渉、大詰め(読売 2014.3.14

(2)日豪EPA交渉、期限ありきは決議違反(日本農業 2014.3.14

(3)そして誰もいなくなる(山下惣一 2014.3.14付全国農業新聞)

 

1.豪、牛肉関税で軟化、対日EPA交渉、大詰め(読売 2014.3.14

 何のためにやっているのかわからない日豪EPA,ただでさえ低すぎる日本の農産物関税をさらに引き下げて交渉し、オーストラリアに日本の何をどれだけ売りたいのか? トヨタでさえオーストラリア市場の狭さに嫌気がさし、現地工場を撤退させているというのに、わずか2,000万人の人口の新大陸の国に何を期待しているのか。日豪EPAを締結すれば、オーストラリアの資源を日本が優先的に輸入できるようになる、なんて、どこの馬鹿が言ったのか。そんなことになるわけがない(のに、「マスごみ」はついこの間まで、この話を持ち出してはワイワイ騒いでいた)。

 

 そして今日の読売新聞だ。(1)日豪EPAに日本側のメリットはない、(2)オーストラリアの資源を日本が優先配分を受けられるという保障はない、などと書いている。だったら、何のために日豪EPAなど締結するのか。何のためにこんな貿易交渉をやってきたのか。

 

 この記事の下には「TPP交渉、日米関税協議、歩み寄りなし」という小さな記事もある。こっちのTPPの方は、更に、何のために交渉しているのか、日本は何がほしくて交渉しているのか、日本の利益は具体的に何なのか、全くわからない点では日豪EPAの比ではない。日本という国のすべてをアメリカ様にささげて差し上げて、得るものはほとんどゼロというのだから、あきれてものも言えないわ。

 

 通常、「交渉」というからには、失うものもあれば得るものもある、それも具体的に、あっちで得して、こっちで損して、というのが普通だが、ことTPPに関して申し上げれば、失うものは巨大・膨大で、得るものはほぼ皆無=なんにもない、という状態だ。ウソだと思うのなら、この1,2年の日本経済新聞、あるいは読売新聞でも遡って見てみて、日本が得るものが具体的に何なのか、どう報道されているか調べてみたらいい。驚くべきことに、事実上、ほとんど何もない。

 

 やめちまえ、こんな交渉!!(TPP、日豪EPA)

 

2.日豪EPA交渉、期限ありきは決議違反(日本農業 2014.3.14

 http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26506 

 

 そもそも安倍晋三・自民党政権に、国会決議や自民党の選挙時公約を守ろうなどという意思はさらさらない。どうやって有権者・国民や生産者・農家をだまくらかすかを一生懸命考えて、持ち出すタイミングを見計らっているのが実態だ。この交渉の当事者になっているTPP対策委員長とかいう自民党の政治家、こいつは許してはいかん。選挙で絶対に落選させよう。日本農業を絶対に守るなどと言いながら、TPPでも、日豪EPAでも、逆噴射をして大活躍のご様子である。「口先やるやる詐欺」は民主党だけではないようだ。




3.そして誰もいなくなる(山下惣一 2014.3.14付全国農業新聞)
 
日本酪農の話、農地中間管理機構の話、みな山下氏の言う通りである。この国は「酔っ払い」がたわごとを吐きながら農業政策を牛耳っているのだ。そのたわごとを、研究と称して合理化する馬鹿者たちがあふれるようにいるのが今の日本である。

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 酪農家が2万戸を割り込んだという。ゴールなき競争がゴールに近づいたということか。

 1960年(昭和35年)に41万戸、平均2頭でスタートした戦後酪農は、33年後の1993年(平成5年)には1/8の5万戸に減り平均頭数は41頭に増えた。さらに19年後の2012年(平成24年)には残った人たちの40%が廃業し頭数は72頭(ポケット農林業統計)と増え、農業の構造改革の優等生のようにいわれてきた。

 

 私たちの若いころ酪農はハイカラで憧れの的だった。私の村でも先進的な若者十数人が酪農を始め、私も父に懇願したが、「オレが死んでからにしろ!」と一喝されてあきらめた。現在はゼロである。最後まで残った酪農家の3代目が2年前、新築したばかりの山の畜舎で首をつった。29歳だった。一家は離散、生家は売りに出されているが買い手がつかない。施設に入った祖母が私のいとこにあたる。

 

 私は畜産が農業から独立して別の業種になったことは農政の大きな誤りだと考えているが、その歴史はまさに、屍累々の世界である。今残っている人たちだけは是非とも存続できるようにしてほしい。そうでないと飼料米を生産しても食べる家畜がいなくなる。

 

 TPPになると北海道の酪農だけが残ると農水省は予測している。事実、加工乳が都府県向けの生乳に変われば北海道の酪農は有利になると考えている人もいるようだ。その北海道で酪農家の廃業に歯止めがかからず、ホクレンの生乳受託戸数が年間200戸のペースで減りつづけているという。稲作を酪農と同じレールに乗せようというのが「農地中間管理機構」による担い手への農地の集積である。単作化、規模拡大、機械化、そして誰もいなくなる。その先は、政府の産業競争力会議などの民間議員の、まるで酔っぱらいのたわごとみたいな未来が暗示しているとでもいうのだろうか。そんなことで本当にいいのか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 たとえば「私は畜産が農業から独立して別の業種になったことは農政の大きな誤りだと考えている」と山下氏は言う。その通りだ。言い換えれば、日本の畜産・酪農が「工業型」になってしまったということである。「工業」なのだから、牛は乳や肉を出来る限り効率的に安上がりに生産する「機械」と同然の扱いを受け、ここ数十年間、メタメタに痛めつけられてきたし、そもそも精液管理や母牛管理によって、家畜としての牛の生物多様性が失われてしまっている(数限られた特定の牛の子孫ばかり)。この工業型畜産・酪農は、たとえば牛に病気が蔓延したり、途中で死亡したり、奇形の子牛が生まれたり、体力不足の弱々しい牛だったり、それをまた薬品やホルモン剤などの力でドーピングをしてカバーし、徹底的に絞り取り、そして牛の寿命を極度に縮めて、かろうじて成り立っている。こんなことをいつまで続けるつもりなのだろうか。そもそも家畜の命に対する冒涜だ。

 

 あれほどの花型農業だった日本酪農=特に北海道酪農が、数年前からおかしくなっている。だれが日本の酪農の首を絞めているのか。だれが日本の畜産の凋落を加速させているのか。

 

4.有機農業を推進する気がほんとうにあるのですか?

 このほど農林水産省は、「平成25年度 環境保全型農業直接支援対策の取組状況(見込み)」(下記)を発表した。それを見てみると、全般的に環境保全型農業がこの1年間を通じて、さして進展している様子がうかがえないだけでなく、もっとも肝心な「有機農業」だけが前年対比で減少しているのだ。

 

●農林水産省-平成25年度 環境保全型農業直接支援対策の取組状況(見込み)について

 http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/kankyo/140313.html

 

 しかし、この「有機農業」については2006年に議員立法で「有機農業推進法」が制定されて以降、この法律の主旨にのっとり有機農業が官民挙げて推進されてきたはずである。ついこの間も、この推進法に基づき、基本方針の見直しが行われパブリックコメントにかけられたばかりである。

 

●農林水産省-有機農業の推進に関する基本的な方針(案)についての意見・情報の募集について

 http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/PublicComment.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 有機農業の推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)は、有機農業の推進に関する法律(平成18年法律第112号。以下「法」という。)第6条第1項に基づき、農林水産大臣が定めるものです。基本方針は、おおむね5年間を対象として定めており、平成19年に策定した現在の基本方針を改め、新たに策定する必要があります。

 

 なお、基本方針の策定に当たっては、農林水産大臣は食料・農業・農村政策審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならないとされており、(法第63項)、審議会企画部会の下に「有機農業の推進に関する小委員会」(以下「有機小委」という。)を設置し、これに付託し、調査審議させています。今般、有機小委において新たな基本方針(案)がとりまとめられましたので、この基本方針(案)について、広く国民の皆様からの意見・情報を募集いたします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

●農林水産省-有機農業 HP

 http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/

 

●有機農業の推進に関する法律

 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO112.html

 

 先般も申しあげたように、今回の基本方針の見直しでも(推進法策定時でも)、何故、有機農業が拡大しないのか・しなかったのか・現場はどう言っているのか・何が問題なのか、をほとんど何も問うことなく、調査らしい調査もせず、御用人間とピンボケ弁士をあつめてシャンシャン審議会をやって「基本方針見直し」などと称している。他方で、たとえば下記のようなことをやっているのだから、呆れて開いた口がふさがらない。

 

●緊急オンライン署名 ネオニコチノイド系農薬の基準緩和に反対します 国際環境NGOグリーンピース

 http://www.greenpeace.org/japan/ja/Action/nico/

 

要するに、農林水産省にとって「有機農業推進」など、どうでもよくて、もちろん「有機農業推進法」を制定した政治家達も、有機農業などどうでもよくて、法律があるからしょうがないので「基本方針」いじりをやって、アリバイ行為を積み重ねているだけだ、ということだ。

 

農林水産省を廃止するか、現在の幹部たちを一掃すれば、少しは事態が改善してくる可能性があるのではないか。もちろん、今現在、国会にたむろしているゴロツキ政治家達は、みな、次回の選挙で落選させて一掃してしまわなければいけない。いずれにせよ、ばかばかしいアリバイ行政行為はやめよ。お粗末農政・貿易政策はさっさと撤回しろ。時間とカネの無駄であり、きちんと有機農業をしている生産者・農家に対して邪魔になるだけだ。

早々

 

<追>必見VTR

●放射能メモフランスFR3「フクシマ・地球規模の汚染へ」 和訳全文

 http://kingo999.blog.fc2.com/blog-entry-1639.html

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●昨日(3/12)の報道ステーションを見て : (1)「7q11染色体」を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、(2)私の感想 いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-f9c8.html

 

●ICRP国内メンバーによる内部被曝論はいかなるものか いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-2747.html

 

●主なレポートのバック・ナンバー(2013126日現在) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/2013126-f3be.html

 

 

 

原発推進からくり人形

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは、昨今の原発利権に関連した新聞記事をいくつか集めたものです。「原発推進からくり人形」と表現されうるような自民党政治家達と経済産業省と地域独占電力会社の三つどもえの「利権構造」と、そのアウトプットとしての「何が何でも原発推進」の醜態を報道したものです。以下、ごく簡単にコメントを付して紹介申し上げます。

 

 <別添PDFファイル>

(1)甘利経済再生相のパーティー券,電力9社覆面購入(朝日 2014.1.27

(2)原発新増設,自民に託す,電力業界(朝日 2014.1.31

(3)電事連「模範回答」,原発政策で巻き返し(東京 2014.2.1

(4)関電200人談合関与(毎日 2014.2.1

(5)東電工事,なお高値発注,2~5倍の例も(朝日 2014.1.9

(6)関西電力他電力4社、日本原電支援継続,1.000億円(日経 2014.3.11

 

1.甘利経済再生相のパーティー券,電力9社覆面購入(朝日 2014.1.27

(1)http://astand.asahi.com/webshinsho/asahi/asahishimbun/product/2014012900008.html

(2)http://news.guideme.jp/kiji/29be3d430b5d35b8605c5b3bfa18e3e7

 

(2枚目以降は下記に続く)

●(原発利権を追う 東電総務部:パーティー券、極秘裏仕事:朝日新聞デジタル

(上)http://www.asahi.com/articles/DA3S10947055.html

(中)http://www.asahi.com/articles/DA3S10948402.html

(下)http://www.asahi.com/articles/DA3S10950194.html

 

 自民党政治家達が東京電力をはじめ、地域独占の電力業界に「たかり」、そのカネと政治力(集票力)とを自分たちの「糧」としている様子がスケッチされている。もちろん、見返りは「電力業界・地域独占電力会社の政策的保護」と「原発推進」である。この持ちつ持たれつの「ちょうちん持ち同盟」こそ、まさに「原発利権」そのものだが、ここに「地方ボス」達が政治的・経済的な「下請け利権」として群がり、これら政治家・経済産業省・電力会社・地方ボスたちの4層構造で「原発推進からくり人形」が造りあげられている(御用学者は葬式の時の生臭坊主か単なるアクセサリー、あるいは広報原稿ライターのようなもの、「マスごみ」は広報機関である)。まさに現代の「腐った浄瑠璃人形」だ。こうした彼らにとっての「甘い構造」のツケは、巡り巡って我々の支払う電力料金と、消費税増税をはじめ様々な形で我々から吸い上げられている税金・国庫金に「ツケ回し」されることは言うまでもない。

 

 しかし、この「からくり人形」は「高くつく」だけでなく、やがて我々を原発過酷事故による地獄へと導く「悪魔の手まねき人形」であることも忘れてはならない。物事をきちんと考えないお人よしは、この原発利権同盟者たちによって食い物にされ、やがて捨てられていく運命にある。

 

2.原発新増設,自民に託す,電力業界(朝日 2014.1.31

3.電事連「模範回答」,原発政策で巻き返し(東京 2014.2.1

 http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11762687362.html

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 電力会社でつくる電気事業連合会(電事連)が、自民党内の国会議員アンケートに介入していた。原発推進の「模範回答」を配り、「中間派」に書き込みを求めていた。政府のエネルギー基本計画を、電事連の意に沿った形にすることが狙いだ。あまりに露骨な活動に、再稼働容認の立場の人からも批判の声が上がる。 (荒井六貴・上田千秋記者)

 

 「原発再稼働のため、必要な手続きを効率的かつ迅速に行う」「核燃料サイクルを着実に推進する」。電事連が、一部の自民党議員に「模範回答」を例示した文書からは、原発政策を推し進める強い意図を感じる。「原発を一定程度の規模を確保することとし、そのための新増設・リプレース(建て替え)の必要性を明確化する」という回答例もあった。

 

 前提となる自民党内のアンケートは、経済産業省が昨年十二月、「エネルギー基本計画案」を示したことを受け、実施された。党資源・エネルギー戦略調査会と経済産業部会が先月六日付で所属の国会議員に用紙を配布。その直後電事連の文書も配られた。国会が閉会中だったため、各電力会社の社員が、国会議員の地元事務所を回ったという。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ある院内集会で、参加していたある議員が、このアンケート調査の結果を、各議員が提出したペーパーそのままの形で公開するよう、自民党の本部に要請している旨の発言をしていた。しかし、自民党本部の方は、アンケート調査の結果を「まとめたもの」を公表してお茶を濁そうとしている。つまり、電事連からもらった「模範回答」なるものを丸写ししてアンケートに答えた自民党議員がわんさといるであろうに、それが赤裸々にはわからないようにして、うやむやにしてしまおうというわけだ。

 

 福島第1原発事故の前も、事故の後も、自民党のゴロツキ政治家どもがやることはこんな程度である。また、政権政党の中まで入り込んできて、その政党内の政策アンケートにまで口出ししている、この電力業界・電事連とは一体何なのか。自民党がこの電事連を追い払わない理由、それは陰に陽に自民党に「甘い汁」を吸わせる「原発利権」=「原発推進からくり人形」に他ならないからなのではないか。

 

4.関電200人談合関与(毎日 2014.2.1

 http://kitanoyamajirou.hatenablog.com/entry/2014/02/13/183446

 

 これが電気料金値上げを申請・許可されている会社のやることか。電気代をもとの値段に戻せ! ふざけるな!!

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 関西電力が発注した送電線設備工事を巡り、200人近い関電社員が受注業者の談合に関与した疑いがあることが公正取引委員会への取材でわかった。

 

 「5000万くらい?」「もうちょっと上」。関西電力が 発注した送電線設備工事を巡る談合疑惑で、関電社員は業者とこんな会話を繰り返し、非公開の予定価格を教えていたという。「談合は昭和の時代から続いてい た。電気料金に跳ね返るのに関電の意識は低すぎる」。200人近い社員の関与が疑われることに、公正取引委員会の幹部は厳しく関電を批判した。関電社員が業者に予定価格を教えるのは、入札前に指名業者を集めて開く現地説明会やその直後だった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

5.東電工事,なお高値発注,2~5倍の例も(朝日 2014.1.9

 http://ajisaibunko.sblo.jp/article/85112565.html

 

 こっちもだ。これが原発大事故を起こして会社が事実上破たんし、何から何まで政府と国民の税金と値上げした電気料金で丸抱えしてもらっている会社がやることか。電気代をもとの値段に戻せ! ざけんじゃねえぞ!!

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 東京電力が発注する工事の価格が、福島第一原発事故の後も高止まりしていることが、東電が専門家に委託した調達委員会の調べでわかった。今年度の原発工事などで、実際にかかる費用の2~5倍の価格で発注しようとするなどの事例が多数見つかった。東電は新再建計画でコスト削減の徹底を進める方針だが、体質は依然として改まっていない。

 

 電力全社の設備投資は年間2兆円規模あり、産業界や政官界に大きな影響力を持つ源泉とされる。東電などが市場価格よりも高値で発注することで、受注するメーカーや設備・建設事業者は多額の利益を確保できる。調達費用の高止まり分は電気料金に上乗せされ、利用者が負担している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

6.関西電力他電力4社、日本原電支援継続,1.000億円(日経 2014.3.11

 http://issaikaikuu.blogspot.jp/2014/03/1000.html

 

 稼働できない危険な原発(敦賀原発と東海原発)を抱えて事実上倒産状態にある日本原電に対して、福島第1原発事故以降、1WHの電力の供給も受けていないにもかかわらず、関西電力・中部電力・東北電力・北陸電力の4社は、年間1,000億円の「原発維持費用分担金」(基本料金)を支払い続けるとともに、日本原電の銀行借入金にも債務保証をし続けるという。おかげさまで日本原電は、電力をまったく供給しないで黒字経営を続け、東京電力からは、あの原発事故犯罪容疑者の勝俣恒久東京電力元会長を取締役として天下り受け入れするという破廉恥極まりないことをやっている。しかも、関西電力・東北電力は、その負担を軽減するために、電気料金の値上げまでしているのだ。

 

 福島第1原発事故後3年間も、日本原電を支援し続けるという出鱈目をやってきて、さらに今後も、この日本原電の支援を継続するという。そのツケは、全部「家庭用電気料金」を値上げすることで賄っていく(企業向け(大口)電気料金は自由化されていて、極端な値上げはできないし、様々な形で割引料金が用意されている)。馬鹿を見ているのが我々一般家庭の電力消費者である。こんなことを認めているような国は、恐らく世界のどこにも存在しないだろう。原子力翼賛の野蛮国家=それが日本である。恥を知れ!

早々

2014年3月13日 (木)

昨日(3/12)の報道ステーションを見て : (1)「7q11染色体」を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、(2)私の感想

前略,田中一郎です。

 

1.昨日(3/12)報道ステーション(特集:福島第1原発事故と甲状腺ガン)の録画

(録画はネット上で見れるものを発見できませんでした)

 

●【大竹】甲状腺がん問題取上げ「報道ステーション」お見事!!! - YouTube

 http://www.youtube.com/watch?v=eZ8l9kUrLU0

 

2.「7q11染色体」の異常を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、

 上記の報道ステーション放送に関連して、一つ重要な情報をお伝えします。

 少し前の録画ですが、下記サイトの最初のところにある児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長の記者会見録画をご覧ください。同氏は、ゲノム科学が大きく発達してきた結果、放射線被曝による人体の健康障害のメカニズムも解明されてきて、甲状腺ガンの場合だと、放射線被曝によるものか否かが「7q11」染色体を見ることである程度判断がつく(必要十分条件ではないが:被ばく原因の甲状腺ガンの子どもの4割くらいに、この染色体異常がみられるとの発言あり)ことなどの発言をしています。また、放射線被曝が遺伝子を活性化させ、それが長い月日が経過したのちにがん発症をもたらすという説明も非常に注目に値します。

 

 それにしても、何故、日本の政府・自治体・病院や医者達は、この放射線被曝の痕跡・指紋とでも言うべき「711」染色体の異常を調べようとはしないのでしょうか。TV放送にもある通り、チェルノブイリ原発事故直後の198690年当時の旧ソ連諸国では、甲状腺ガンの検査機器類が乏しかったために、発見が遅れて子ども甲状腺ガンの多発発見が4年後以降となった可能性も大いにありうるわけで、チェルノブイリ原発事故の公表記録だけを根拠に、今回の福島の子ども甲状腺ガンの多発が福島第1原発事故に伴う放射線被曝とは関係がない、などということは、科学的にも絶体に言えない話です。報道ステーションが言うように「わからない」ではなく、今日の事態は「明らかに異常であり、その異常の原因がはっきりしないのだから、さしあたり放射線被曝が最大の原因の可能性ありと考えて、手遅れにならないように、さまざまな手を打つ」というのが、常識的でまともな医学・医者・人間の判断です。

 

 そして、不幸にして甲状腺ガンが発見された子どもたちの「7q11染色体」異常を調べれば、それが放射線被曝によるものか否かはある程度見当がつきます。また、この甲状腺ガンの多発がいわゆる「スクリーニング」効果であるかどうかは、他の遠隔地の県(中国・四国・九州・沖縄)の子どもたちをスクリーニングして見ることで、判断ができるはずです。それはまた、甲状腺ガンの早期発見・早期治療にも結び付く話で、やらない理由は全くありません。しかし、いずれについても政府や福島県などの自治体、医学会・医者・医療界は行おうとはしません。ただただ、福島県の子ども甲状腺ガンの多発と福島第1原発事故による放射線被曝とを切り離したい、それを結び付けるようなものは一切排除したい・隠してしまいたい、そういう考えで動いている様子です。

 

 下記サイトによれば、ある病院では、患者からの要請があっても「7q11」は調べない、などと、信じがたいことを言っているようです。ここにも「原子力翼賛国家」の恐ろしい現実が現れているように思えます。

 

Save Kids Japan PLEASE CONDUCT GENE TEST AND EVACUATE KIDS IN FUKUSHIMA! 早急に遺伝子検査を行い、福島の子供たちを避難させてくださ

い!

http://savekidsjapan.blogspot.jp/2013/09/a-fukushima-teenager-found-to-have-lung.html?spref=tw

(このブログの最初のところに児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長の会見録画があります)

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

事故数か月後に東大の児玉龍彦教授が言った7q11遺伝子を見れば、甲状腺がんが原発事故由来のものかどうか(原発事故由来であれば、7q11染色体が3つになり、これは他の甲状腺がん患者には見られない現象)、直ぐに特定できるのです!

 

それで昨日、福島県立医科大に問い合わせました。

福島県立医科大に私がした質問は以下です。(912質問)

1、報告会以前にリンパ転移の甲状腺がんの福島の子供が出たと聞いているが発表に入っていない。隠しているのではないか?

2、児玉龍彦先生が7q11染色体を見れば、被曝によるものかどうかわかると発表したが、染色体検査はしたのか、するつもりはあるのか

 

そして、翌日の913日に回答来ました!

福島医大からの回答:保険診療の場合は、具体的な症例の情報を健康県民管理センターで持つことはできない。病院においては、個人には説明、第三者に発表するものではない。染色体の検査の必要性は、今後県民健康管理調査で議論されるべきものと考えられている。7q11遺伝子の検査は行っていない

 

かいつまんで言うと。甲状腺がんの子供に転移があっても、一切発表しない、原因特定できるはずの7q11染色体は調べていないという回答です!

これは大変な話です。そして国内で他に、甲状腺がん手術をする有名病院2箇所にも、問い合わせをしましたら、「患者からの要望があっても、染色体検査はしない」との回答。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

なお、「7q11」染色体に関するサイトを検索した結果が下記です(玉石混交か?)

(1)http://kurie.at.webry.info/201108/article_8.html

(2)http://blog.livedoor.jp/leonardo1498/archives/30853261.html

(3)https://www.google.co.jp/search?hl=ja&biw=&bih=&q=7q11%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93&gbv=2&sa=X&oi=image_result_group&ei=bBMhU8GHMIyGkQ&tbm=isch

 

 

2.私の感想(3/12報道ステーション:特集:福島第1原発事故と甲状腺ガン)

 昨日夜、TV朝日の報道ステーションで、福島県で多発している子ども甲状腺がんと福島第1原発事故の影響に関する特集が放送されました。必見です。これを見た私は、よく放送したと褒めてやりたい気持ちと、まだまだ真相に迫りきれていないぞ、といういらだちとが混在する複雑な感想を持っています。そもそも、福島県で発見されている悪性の甲状腺ガンの子どもの数は(ほぼ確実な疑いを含めて)33人ではなく74人です。数字が小さく見えるような報道はやめるべきです。また、最後にコメントをした解説員の話は、きれいごとの一般論です。こんななまっチョロイ話ではないでしょう。

 

●福島県ホームページ - 組織別 - 県民健康管理調査検討委員会

http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809

 

 2011311日からちょうど3年、福島第1原発事故は日本というおかしな国を、文字通りの「原子力翼賛国家」=放射線被曝による健康被害を闇から闇へ葬り去り、それに逆らうものをあらゆる手段を行使してもみ消し・封殺し、情報統制・コントロールと世論操作、物事を歪曲や嘘八百で塗り固め、陰に陽に支配権力の乱用を通じて人々を原子力=核分裂エネルギーの下にねじ伏せる国家社会、にしてしまったようです。この番組に出てくる鈴木真一(福島県立医科大学)をはじめとする御用人間たちの「説明」に、納得する人はいないでしょう(他人事だと聞き流す人間はいるかもしれませんが)。いちいちの反論は可能ですが、それをしなくても、自然の感性を素直に働かせれば、そのおかしさは感じ取れるはずです。

 

 政府や福島県、それに尻尾を振る似非医者・似非医学者・似非科学者・マスごみなどが氾濫し、人々は「これはおかしい」と思いながらも、放射能汚染地獄の中で、自分だけは助かりたいと思いつつ、まるで芥川龍之介の小説「クモの糸」のごとく生きていくことになるでしょう。そして、そうした悲しいまでの身をすりつぶしての「原子力翼賛国家」への屈従も、やがて福島第1原発を上回る原発・核燃料施設の巨大過酷事故を招き、このおかしな国・日本は、永遠に回復・復興をすることのない更に猛烈な放射能汚染地獄の中で滅びゆくことになるのです。

 

 この「原子力翼賛国家」は、原発・核燃料施設の過酷事故との「共存」を、我々一般市民に対して、力で押さえつけるようにして強要してきます。もちろん、原発再稼働=原発過酷事故の再発ということです。我々は覚悟を求められています。屈従ののちの滅亡か、それとも立ちあがって「彼ら」=原子力ムラ・放射線ムラ一族を社会から一掃するために闘うのか、二つに一つの選択を迫られています。その中間の立場も中途半端も日和見もありえません。生きるか死ぬか、生き延びるか殺されるか、です。子ども甲状腺がんへのこの国の対応が、この国の近未来を暗示しているのです。原子力ムラ・放射線ムラとの「最終戦争」は全面戦争となりつつあります。

 

 そして最後に、もう一つ大事なこと

まず、甲状腺がん以外の甲状腺疾患が、全く無視されています。それはおかしい、という感覚もない様子がうかがえます。

 

次に、福島県民であっても、18歳以上の人たちは無検査・無診療・無権利状態です。しかし、放射線被曝は被爆した人の子どもにも影響が出ます。もちろん18歳以上だからといって甲状腺ガンや甲状腺疾患にならないということはありません。なぜ、18歳以上の方々が除外され、無視され、抹殺されているのでしょうか。

 

更に、福島県以外の放射能汚染地域を抱える都県では、行政による健康管理調査への動きは皆無です。しかし、放射能は県境で止まっていたわけではありません。隣接する栃木・茨城・宮城の各県や群馬・千葉・岩手・埼玉・山梨・東京などにも、福島県と同レベルか、場合によってはそれを上回る汚染状態のホット・スポットが多く存在し、そこに住む人々は子どもたちも含めて、福島第1原発事故による被ばく影響を全く無視され、抹殺されています。

 

そして更に、放射線被曝の健康影響は甲状腺がんだけではありません。これから様々な健康障害や病気が多発してくる可能性があります。しかし、日本はこの多様多発の放射線被曝健康障害に対して、何の備えも準備もしておりません。やっていることは、情報統制と歪曲・矮小化・もみ消し、空虚な安全安心キャンペーンと「フクシマ・エートス」、そして被害者の切り捨てです。

 

福島県も、それ以外の都県の汚染地域も、放射能のレベルは事故直後に比較すれば少しは下がったとはいえ、依然として恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)環境下におかれています。無用の放射線被曝は続いているのです。問題は初期被曝だけではありません。早く手を打たなければ手遅れになり、多くの犠牲者が出てしまいかねないのです。放射性セシウムは甲状腺に多くたまりますから、これからの汚染地域の子どもたちの甲状腺は、更に心配です。放射性ストロンチウムもありますし、それ以外の放射性核種も懸念だらけです。福島第1原発からは、放射能の環境放出は止まっておりません。

 

これらのこと全てが、私の取越し苦労であることを祈るばかりです。

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●「原子力翼賛社会」とはどういうものか? いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2013/07/post-9a71.html

 

●(福島第1原発の)放射能汚染水は高レベル、(東京電力や政府・経産省・規制委の)汚染水管理は低レベル いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/1-497a.html

 

●(報告)院内集会・政府交渉 福島第一原発汚染水と原発再稼働問題(201434日) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-cc7b.html

 

 

2014年3月12日 (水)

(福島第1原発の)放射能汚染水は高レベル、(東京電力や政府・経産省・規制委の)汚染水管理は低レベル

前略,田中一郎です。

別添PDFファイルをご覧ください。

(1)表紙
「OSENSUIHYOUSI.pdf」をダウンロード

(2)福島第1原発の汚染水問題(2014年3月16日)
「FUKUSIMAOSENSUI.pdf」をダウンロード

(3)別添 青山道夫 気象研究所主任研究官の提言(2014年3月16日)
「AOYAMATEIGENN.pdf」をダウンロード

<コンテンツ>
1.福島第1原発の汚染水問題に関する主な出来事の推移

2.汚染水の発生源

3.汚染水の浄化装置

4.汚染水が漏れ出す2つのルート

5.海への放射性物質の4つの流出ルート

6.海の汚染状況

7.汚染水問題発生の原因は東電が対策費用をケチったこと

8.政府の汚染水処理対策

9.東電が現在取組んでいること

10.福島第1原発の汚染水対策として本来なすべきこと

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(別添1)青山道夫 気象研究所主任研究官の提言

(別添2)深刻化する福島第一原発の汚染水(美浜の会:2014219日)

(別添3)深刻な海洋汚染を引き起こす汚染水漏えい・流出事故(美浜の会:20139月)



(参考文献)

●『世界臨時増刊 イチエフ・クライシス』(岩波書店 2014.1)

● 美浜の会 HP(上から7つ目の下記をご覧下さい)

 http://www.jca.apc.org/mihama/

「深刻化する福島第一原発の汚染水(2月19日)」

  早急に実態を把握し公表せよ、海への放出に反対する

  原発の再稼働審査より汚染水対策を優先せよ

● 東京新聞、朝日新聞
<1>東京新聞「東電、稚拙すぎる」 事故マニュアル 規制委調査へ福島原発事故(TOKYO Web)

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014022702100006.html

 

<2>福島第一の汚染水保管 満タン運用横行<東京新聞 201434日> - 福島原発事故と放射能汚染 そしてチェルノブイリ地方の現状{北の山 じろう}

 http://kitanoyamajirou.hatenablog.com/entry/2014/03/08/022418

 

<3>東京新聞高濃度計測 公表遅れ次々 福島第一地下水 見込みの10倍も福島原発事故(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014020802100004.html

早々

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●食べものの放射能汚染に関して、(1)韓国国会議員が福島訪問 水産物検査に「お粗末」、(2)農林水産省-避難指示区域等における26年産米の作付に係る取組について いちろうちゃんのブログ

 http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/-26-4383.html

 

●(報告)院内集会・政府交渉 福島第一原発汚染水と原発再稼働問題(201434日) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-cc7b.html

 

2014年3月 9日 (日)

食べものの放射能汚染に関して、(1)韓国国会議員が福島訪問 水産物検査に「お粗末」、(2)農林水産省-避難指示区域等における26年産米の作付に係る取組について

前略,田中一郎です。

食べものの放射能汚染に関連して、2つばかり、ご紹介いたします。

 

(1)韓国国会議員が福島訪問 水産物検査に「お粗末」

http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2014/03/06/0400000000AJP20140306002900882.HTML

 

(一部抜粋)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【東京聯合ニュース】東京電力福島第1原発事故が発生した福島県で水産物の放射性物質検査を視察した韓国国会議員らが、検査の信頼性に疑問を呈した。

 

 「子供たちへ 核のない世の中のための国会議員研究会」に所属する姜東遠(カン・ドンウォン)議員(無所属)は6日、東京都内で記者団に対し、福島県の相馬双葉漁業協同組合で視察した検査方式について、「話にならない」と述べた。「1人で魚の種類ごとに切って、30分ごとにチェックする。監督者もおらず、お粗末だ」と主張。そのような検査方法で出荷の可否を決定することについて「懐疑心を抱いた」と述べた。

 

 「脱核エネルギー転換のための国会議員の会」所属の張ハナ議員(民主党)はストロンチウムの検査が含まれていない理由として、魚の身ではなく骨に蓄積されるためとの説明を受けたとして、「専門性が低く、責任感もない」と酷評。「安全と操業再開の間で政治的にならざるを得ず、中立になり難い調査機関」と述べた。

 

 日本では食品1キロ当たりセシウム100ベクレル以下という基準値を超えなければ流通を許可している。

 

 韓国議員らは原発事故から3年を迎えるのを前に現地を視察した。また、日本の超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」の議員らと会談し、「脱原発」に向けた議員交流を活性化することを提案した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(田中一郎コメント)

 諸悪の根源は、漁業者をはじめ、福島県・宮城県・茨城県・岩手県・千葉県・青森県などの、福島第1原発からの汚染水や、環境に降った放射能が川を伝って海へ流れ込む地域で漁業を営む方々、およびそれに関連した流通業者を含む食品関連業者の方々への賠償・補償と、経営再建の支援を行わない加害者・東京電力及び事故責任者・国です。また、上記以外の県、たとえば栃木県や群馬県などでの内水面漁業者・及びその関連業者もまた、賠償・補償・再建支援がなされていない被害者であることも忘れてはなりません。

 

 他人の財産や生業をめちゃめちゃにしておいて、これを平然と賠償・補償しない、賠償・補償をするようなしくみをつくろうとしない、この国は一体何だ。福島の漁業者もふくめ、1千万人損害賠償訴訟に立ち上がりましょう。日弁連は、その存在をかけて、この被害者救援訴訟の組織化に全力を挙げていただきたい。この被害者の方々を救えないのなら、日本の司法に存在意味などない。

 

 

(2)農林水産省-避難指示区域等における26年産米の作付に係る取組について(26年産米の作付制限等の対象地域)

 http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/kokumotu/140307.html

 

(田中一郎コメント)

 相も変わらず、何をやっとんじゃの農林水産省です。

 そもそも、農地(及びその周辺)の汚染状況マップの作成がまだできていない。着手もしていない??? 何やってんのかな、この役所。田んぼや農業用に使う水、およびその水源の安全性の確認ができていない、汚染地域で農作業をする生産者・農家の被ばく防止対策が全然手つかずである、つべこべいわずに、放射性セシウム以外の放射性物質の検査を始めよ、放射性セシウムについても、依然として検査体制が脆弱で、検査の対象サンプルが少なすぎる(米は福島県についてだけは全ロット検査:しかし、それ以外の県はどうなってんのよ、栃木県日光市などでは二桁ベクレルの放射性セシウムが検出されているじゃん)。

 学校給食に汚染物を使わせるな、子どもを出しに使うな、出来秋の米(稲穂)を天日干しなどしていないだろうね、ワラやモミガラはどれくらい汚染しているの? ぬかはどうなの? 汚染米を、汚染された米の副産物を、家畜用に使っていないでしょうね、・・・・・・

 

 とにかく、ど素人の私でも、疑問が出てくるような状態を、一体いつまでほっとくんじゃ、まじめにちゃんとやれ!!(激怒中)

早々

 

2014年3月 5日 (水)

(報告)院内集会・政府交渉 福島第一原発汚染水と原発再稼働問題(2014年3月4日)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは一部添付できませんでした)

 

 <別添PDFファイル>
「osensui_seifukousyou.pdf」をダウンロード

(1)政府交渉 福島第一原発汚染水と原発再稼働問題(201434日)

(2)集団的自衛権容認に対する抗議書(20143月:秘密保護法を考える市民の会)

(3)「東電、稚拙すぎる」 事故マニュアル 規制委調査へ(東京 201434日)

(4)福島第一の汚染水保管 満タン運用横行(東京 2014 2 27

 

 別添PDFファイルは、昨日、参議院議員会館B109において開催されました「院内集会・政府交渉 福島第一原発汚染水と原発再稼働問題」(201434日)において、参加者に配布された資料、及び関連の東京新聞記事です。テーマは、(1)福島第一原発の汚染水問題、がメインですが、それに加えて、(2)原発再稼働問題、(3)地域防災計画と住民の安全確保の問題、がテーマとなっております。まさに現下の原発問題最先端事項と言っていいと思います。

 

 以下、私の散漫でボケたようなメモで申しわけありませんが、以下、簡単に別添配布資料に若干のことを追記してご紹介申し上げます。

 

●【集会&政府交渉】福島第一原発汚染水と原発再稼働問題 3/4 13時~@参議院議員会館

 http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/3413-1d6e.html

 http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2014/02/post-ea68.html

 http://www.foejapan.org/energy/evt/140304.html

 

●録画 Ustream.tv ユーザー iwakamiyasumi5 140304_汚染水と原発再稼働問題についての政府交渉, Recorded on 2014-03-04. 政治

 http://www.ustream.tv/recorded/44496758

 http://togetter.com/li/637725

 

●東京新聞 「東電、稚拙すぎる」 事故マニュアル 規制委調査へ 社会(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022702000147.html

 

●東京新聞 福島第一の汚染水保管 満タン運用横行 社会(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014030402000135.html

 

●【汚染水問題】福島原発汚染水対策WGからみえる状況 福島老朽原発を考える会 (フクロウの会)

 http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2014/02/post-14e7.html

 

 

 <田中一郎メモより>

 簡単にいえば、福島第1原発の汚染水対策をきちんと実施せず、対応する体制整備すらいい加減なままに、当事者能力をとうの昔に喪失しているゾンビ企業・東京電力に現場対応・対策を押しつけたまま、また、原発・核燃料施設「過酷事故」時に地域住民の身の安全を守るための「地域防災計画」を実効性あるものにすることなく(再稼働審査と切り離して)、ただひたすら原発・核燃料施設再稼働に突き進む安倍晋三自民党政権・政府・経済産業省・原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の姿が浮かび上がった。福島県沖からの太平洋の放射能汚染は深刻化するばかりである。また、原発再稼働の予定とされる地域では、多くの住民に不安の声・懸念の声が上がっている。これはもはや、未必の故意による国家犯罪と言ってもいいような権力的暴力行為そのものである。

 

1.「美浜の会」が提起した2つの「汚染水放射能濃度」の急上昇・高値推移の原因がわからない

 下記URLの「美浜の会」HPにあるレポートをご覧ください。 問題となっているのは下記の2つの汚染水です。

 

(1)H4タンク近傍のE-1孔地下水

(2)2号機東側NO.1-16観測孔

 

●「美浜の会」HP 「刻化する福島第一原発の汚染水(2月19日) 」

 http://www.jca.apc.org/mihama/

(HP画面にある上から4つ目の項目です)

 

2.にもかかわらず「汚染水対策検討ワーキンググループ」を昨年(201310月)以降、3ヶ月間開催しなかった。

 汚染水の放射能濃度があがり、とりわけ放射性ストロンチウムの危険性が際立ってきていることを表面化させないために、対策WGの会合を延ばし延ばしにしてきたのではないか、と疑われている。そして、20141月になってようやく開催されたけれども、上記の2つの汚染水放射能濃度の上昇問題は、議題や検討議題にもされていないとのこと(下記サイトの資料などを参照)

 

●特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ|会議|原子力規制委員会

 http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi_wg/

 

3.この間、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、汚染水問題に全力を挙げずに、原発再稼働審査に熱を挙げていた。

(1)2013年7月(東京電力が放射能の海への流出を認めた時点)以降の原子力「寄生」委員会・「寄生」庁が各テーマの検討に費やした時間

 汚染水対策=67時間、原発再稼働審査=451時間 (6.7倍)

 

(2)しかも、この2つのテーマは、更田豊志原子力「寄生」委員が所管している。「汚染水対策検討ワーキンググループ」の会合の延期は、更田豊志委員が健康を害したことが理由とされているが、この3ヶ月間のほとんどで、更田豊志委員はとても元気に原発再稼働審査についての采配をふるっていた。更田豊志委員の病気が汚染水WGの会合延期の理由だというのは嘘八百である。つまり、汚染水対策など後回しでいいから、早く原発再稼働審査をやってしまおうという隠れた意図=しかも、断固とした信念が、この一連の原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の姿勢からうかがえる。

 

(3)原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、汚染水漏れが深刻化する福島第1原発の現場の実態把握さえ、きちんとできていない様子がうかがえる。福島第1原発の現場には、原子力規制庁の職員が12名、そのほかにJビレッジに17名の霞が関各省庁の役人(およびその助っ人)が駐在しているというが、この人たちはいったい何をしているのか? 

 

 また、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の人間から聞こえてくるのは、安倍晋三政権や自民党の政治家などは「政府が全面に乗り出して汚染水対策をやります」と言っているにもかかわらず、依然として「対策をするのは東京電力で、私たち規制当局は、その東京電力の対策・対応の適正性をチェックします」と、いまだに言い続けている。経済産業省などの他の省庁も、この姿勢と大差なしで、汚染水について政府の無責任状態が続いている。

 

4.汚染水貯蔵タンクの「瀬戸際政策」を展開する東京電力

 上記の東京新聞の記事2つをご覧ください。汚染水対策に手を焼き、造っても造っても足りなくなる汚染水貯蔵タンクを少しでも目いっぱい使おうとして、東京電力は、汚染水タンクの「瀬戸際政策」のようなことをずっとやってきていたようだ。タンクに汚染水が96%たまると「ハイ・アラーム」が鳴り、更に99%までくると「ハイハイ・アラーム」が鳴る仕組みになっている。しかし、東京電力は、タンクの使用度合いを99%にするよう現場に押し付けていたために、このアラームは普段は鳴りっぱなし状態で、アラームがアラームでなくなっていたらしい。それに加え、福島第1原発事故後3年間にわたって散々に批判されてきた東京電力の福島第1原発現場でのずさんきわまる労務管理がたたり、まことにお粗末な経緯を経て、超高濃度の汚染水がタンクの外へ漏れだしてしまった(たとえば、送り先とは違うタンクに汚染水が送水されているのに気がつかない、閉まっているべき3つの弁が全部開いていた等)。

 

 (判明している東電のずさんな対応)(2014.2.27付東京新聞)

<1>弁を1年近く開けっ放し

<2>弁に誤操作防止のカギを付けず

<3>警報が鳴ってもタンクの中身を確認せず

<4>タンクに水漏れ検知の警報装置付けず

<5>本来の移送先の水位に注意払わず

 

●高濃度汚染水100トン漏れ タンク弁開きっぱなし

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022002000270.html

 

5.いまだに「濃度規制」を守れば汚染水の海への放出は問題にしないと言い続ける原子力規制庁

 交渉の中での原子力規制庁の人間の発言。これまで、すでに「濃度規制」値を大きく上回る大量の汚染水が海へ流出してしまっているにもかかわらず、未だ、原子力規制庁としては「濃度規制」が守られていれば、海への放射能汚染水の垂れ流しは問題にしない、流すか流さないかは事業者等の判断(政治が決めてくれ)、との姿勢を続けている。会場参加者からは、なぜ「濃度規制」を「総量規制」に変えないのか、との厳しい指摘が相次いだ。

 

 私(田中一郎)は憤りのあまり「いまだこの期に及んでも「濃度規制」などと言うのなら、その規制値を上回って海へ垂れ流した分の汚染水を全部回収させろ!!」と叫びました(でも、意気地がなくて声が小さかったかもしれません)。全く話になりません。海の放射能汚染を何と心得ているのかということです。

 

(「濃度規制」を超えた汚染水が海へ流出したら「出てしまったものはしょうがない」と言い、これからは「濃度規制」でやります、などというのでは、何もしていないのと同じである。海は広いな大きいな、だから、薄めて捨てれば更に薄くなって問題なし、というのはあまりに軽率である。海洋生物は放射能を体内濃縮させ、かつ食物連鎖でそれを何倍にもしていく傾向がある。海水中の放射能は濃度が薄いからいい、ということにはならない。そもそも「濃度規制」の汚染防止規制としての実効性が問われている。)

 

 福島第1原発から垂れ流される放射性ストロンチウムをはじめ、各種放射性物質による海の汚染は、アジア各国はもちろん、広くアラスカやアメリカ西海岸などを含め、国際的に大きな懸念材料となり始めている。この原子力規制庁の姿勢は国際的にみても許されるものではない。

 

6.フクロウの会:坂上さんより、1月に入って、福島第1原発沖合=港の外側の海で、海水のベータ核種濃度が上昇し始めている旨の簡単な説明がありました。恐ろしい話であり、放置すれば取り返しがつかないことになってしまう。東日本の太平洋沿岸を「死の海」にさせてたまるか、と思うばかりである。

 

 私(田中一郎)からは、院内集会の最後に次のように発言した。

 福島第1原発の北側と南側に汚染水が海へ直接流れ出る排水口がある。その周辺の放射能汚染の測定をもっと綿密にさせる必要があるのではないか。具体的には、海水の放射性セシウム濃度だけを測るのではなく、たとえば排水溝付近の海底の泥や砂、あるいは排水口周辺に貝類などの定着性の生き物を撒いておいて、その生き物に蓄積される放射性物質を計測するなどの方法だ(もちろん、放射性セシウムだけでなく、放射性ストロンチウムやα核種なども調査する)。

 

7.トリチウム・タスクフォース(経済産業省)

 おそらく役に立たないどころか、ロクなことを提言しないであろう「トリチウム・タスクフォース」なるものが、経済産業省に設置されて検討が進んでいるとのことだった。サイトは下記の通り。いずれ「トリチウム汚染水は海へ放出せざるを得ない」などと言い出すタイミングを見計らうことと、それをごり押しするための「屁理屈」「お墨付き」製作に邁進しているのだろう。要警戒である。

 

●トリチウム水タスクフォース(第1回)

 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/20131225_01.html

 

●福島第一原子力発電所における汚染水対策(METI-経済産業省)

 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/osensuitaisaku.html

 

8.ALPSは、トリチウム以外に4核種で検出限界値未満にならない、という状態なのだそうである。ALPSの性能には疑義がある。

 なぜ、マスごみ達は、このことを報道しないのか? このことのみならず、東京新聞や毎日新聞の一部記事を除いて、全国紙各紙は福島第1原発の非常に危うい、汚い、どうしようもない現状を、ほとんど報道していない。福島第1原発事故は全く終わっていないというのに、この危機感欠如の報道ぶりは一体何なのか。まるで戦前の大日本帝国大本営が、連戦連日、日本軍が大敗北を続けているにもかかわらず、虚偽の戦果を誇大発表するだけで、戦線の厳しい状況を国民に伝えなかった=当時のマスごみは、その大本営発表を無批判に垂れ流すままだった、という当時の社会現象が、この平成の時代に、福島第1原発事故と原発・原子力・被ばくを巡って、再び再現していると言っていいのではないか。

 

9.フランジ型タンクを溶接型タンクへ転嫁する計画が悠長きわまりない ⇒ 水を使わない「炉心対策」を真剣に検討すべき

 福島第1原発の敷地内タンクから汚染水漏れが頻発するのは、ご承知の通り、東京電力が対策費をけちって、安上がりの「ボルト締めフランジ型タンク」を造って、そこに猛烈な汚染水を入れたため起きた二次災害である。最初から、危険な汚染水を入れるタンクなのだから、水漏れなどが絶対にないように、溶接型のタンクにしておけばよかっただけの話である。

 

 現在、そのフランジ型のタンクを溶接型に切り替えているところだが、1つのタンク(直径12m、高さ11m、容量1,000トン)に汚染水がたったの2日半で満タンになってしまうというすさまじい汚染水の量に、なかなか追いついていかないのが現状。原子力規制庁によれば、来年度=2015年度いっぱいをかけて、タンクの切り替えの大半を終える計画だという。まったく悠長な話である。

 

 また、このままだと貯蔵汚染水が青天井にどこまでも増えていくので、もういい加減に、水を使わない「炉心対策」を真剣に検討すべきである(空冷方式、鉛の粉末の大量投与)。元GEエンジニアの佐藤暁(さとし)氏は、空冷方式を冬期(寒い季節に)に試してみたらどうかと提案している。いずれにせよ、世界の英知を結集して「オール・ワールド」で対応すべきである。東京電力をゾンビ状態で生かしておいて、その東京電力だけに対策を押しつけている今の安倍晋三・自民党政権のやり方は、最悪の選択肢である。

 

10.福島第1原発で起きている汚染水問題の教訓が、原発再稼働審査や規制基準に全くと言っていいほど活かされていない。

 別添PDFファイル「政府交渉」レジメのP4に、次のような原子力「寄生」委員会・「寄生」庁宛ての質問がある。

 

「4(1)福島第原発では、現に高濃度の汚染水が漏えいし海洋汚染が問題になっているが、とれと同様の事態が起こるのを防ぐために、新規制基準ではどのような条項が具体的に設けられているか。実際にどのような対策が事業者から出され、どのような審査がなされているか。」

 

 これに対する原子力規制庁の回答は「(1)担当ではないから詳しくは知らない、(2)シルトフェンスで放射能が海へ拡散しないように対策をとると、各電力会社は審査申請しているようだ、(2)審査中なので詳細説明は控える」というものだった。

 

 全くふざけた話である。何がシルトフェンスだ。そんなもので放射能の拡散が防げるはずもない。汚染水対策の規制基準がどうなっているのか、ということすら、まともに答えようとしないのだから、この原子力規制庁の態度は許しがたいものがある。そして、やはりここでも、原子力規制庁の態度は「電力会社が一義的にはやるでしょう。我々原子力規制庁は、それをチェックするだけでいい」という態度である。そもそも福島第1原発現場での汚染水の実態把握さえしていない可能性が高い。全くお話にならない。

 

 伝え聞くところによれば、シルトフェンス以外にも、海側に土のうを積んで汚染水の海への流出に備えることもやるのだそうである。大したものだ。これもまるで、戦前の大日本帝国が、空襲にやってくる爆撃機B29を竹やりで突き落とそうとしたことに似ている気がする。まもなく、また、同じようなことが起きそうだ。

 

11.地域防災計画(住民避難計画)が全く不十分で実効性を持っていないにもかかわらず、原発再稼働審査はそれと切り離されて実施され、地域住民の身の安全が確保されないままに原発・核燃料施設が再稼働されようとしている、ゆゆしき事態である。

 

(1)原発・核燃料施設立地の各地域では、形だけの防災計画を作ったが、その内容は全く非現実的な空疎なものばかり。関西の脱原発グループが、その防災計画の実効性を確認するため、策定した自治体はもちろん、避難所とされたところ、スクリーニング(*)場所とされた施設、避難用のバスの手配の可能性(バス会社)、要介護者の施設などなどを、実際に訪問してヒヤリングしたり、収容規模を確認したり、写真を撮るなどの実査を行い、こんな防災計画は「全くの絵に描いた餅」であることを確認している。 (*)体の外部の衣服などに付着した放射能(ガンマ核種)を調べる検査のこと

 

(2)信じがたいことだが、各自治体が策定している地域防災計画は、地震や津波、あるいは自然災害がない状態で、原発だけが事故を起こす、しかも、春秋の季節のいい時期の昼間に起きることを前提にして策定されているという。こんなものは、最初から役に立たないことは明らかである。

 

(3)原発・核燃料施設の過酷事故が起きれば、最短時間で約20分後に炉心溶融が始まるとされている。原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の策定した防災指針では、原発・核燃料施設に過酷事故が起きれば、周辺5km圏内の住民のうち要援護者(病人、老人など)はただちに避難を開始するとある。しかし、わずか20分で、この方々をすべて避難させることはとうていできない。これを原子力規制庁はどう考えているのか?

 

(4)つまり、原発・核燃料施設の過酷事故時においては、住民の身の安全を確保する実効性のある地域防災計画=避難計画は全く手付かずの状態で、計画の策定当事者である自治体自身が、住民の身の安全を責任を持って守れるような地域防災計画は作れないと表明している始末である。常識で考えてみても、台風や大雪、大地震大津波などが重なれば、道路は寸断され、がけ崩れは起き、住宅などの下敷きになる人も出て、道路は大渋滞、バスや運搬車の台数は足りず、ガソリンも切れ、あちこちで火事が起き、その火消しに忙殺され、離島や半島は孤立して取り残され、食料や水の確保もままならず、大災害と原発過酷事故の「ダブル」衝撃で、地域は放射能汚染地獄の中で破壊されつくされるに違いない。逃げ遅れた人、要援護者のように逃げられない人がたくさん出て、そういう人々が猛烈な放射能を頭から浴びせられることになる。自治体職員だって、その中で被災する一般の人たちとなんら事情を変わらない。つまり、地域防災計画など、役に立つわけがないのだ。

 

(5)にもかかわらず、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、次のような態度を続けている。

a.原発・核燃料施設の規制基準にパスするということは、その原発・核燃料施設に過酷事故が絶対に起きないということではない、つまり「安全だ」という意味ではない。過酷事故は起きるときは起きるということ。その起きるであろう過酷事故を前提に物事を考えないと、原発安全神話に陥る。

 

b.田中俊一原子力「寄生」委員長以下の原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、少し前、原子力「寄生」委員会が発足したころは「地域防災計画がないと再稼働は困難」などと発言していた頃もあったが、昨今では、「地域防災計画は再稼働の条件ではない」「地域防災計画は各自治体が作るもの」(原子力「寄生」委員会・「寄生」庁はそれを支援するだけ)というような地域防災や住民の避難・安全の確保については、消極的ないしは関係自治体への責任の押し付けと、自らは無責任な「逃げ」の姿勢が目立つようになってきた。


(2012年10月24日日本経済新聞 電子版ニュース)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「原子力規制委員会の田中俊一委員長は24日の記者会見で、原子力発電所の周辺自治体がつくる地域防災計画について「再稼働の条件ではないが、(つくってもらわないと)再稼働はなかなか困難になる」との見解を明らかにした。規制委は避難区域をこれまでの8~10キロ圏から30キロ圏に広げる方針だが、自治体の防災計画づくりが遅れれば原発の再稼働にも影響が出るおそれがある。

 

 規制委は24日、東京電力福島第1原発のような事故が全国の16原発で起きた場合の放射性物質の拡散を予測した地図を公表した。東電柏崎刈羽、関西電力大飯など4原発で、国が避難の目安とする30キロ圏を超えて放射性物質が広がると分析した。原発周辺の自治体の防災計画づくりにも影響が及ぶ可能性があるが、田中氏は「予測はあくまで計算。(避難区域は)30キロ圏で十分だ」と強調。今回の予測は山や谷などの地形を考慮していない点に触れ「シミュレーションが独り歩きしても困る。やたらと不安に思わないでほしい」と述べ、関係自治体に冷静な対応を呼びかけた。

 

 規制委が避難の目安を30キロ圏に定めても、最終的に地域の避難区域を決めるのは自治体にゆだねられる。特に今回の予測で30キロ圏より放射性物質が拡散する懸念があると指摘された地域では、避難区域をさらに広げようとする動きが出る可能性がある。避難場所の確保や避難民の誘導など、近隣自治体の間で調整が難航しかねない。田中氏は「協議の場を設けたい」と語り、規制委が自治体間の調整役を担う考えを表明した。規制委は年内にも原子力災害対策指針をまとめる。自治体は指針をもとに、来年3月までに防災計画をつくる方針。一律30キロ圏になれば135自治体、のべ480万人が対象になる。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

c.現下すすめられている原発・核燃料施設の再稼働審査では、過酷事故(配管のギロチン破断など)発生後20分で炉心溶融が起きることを前提に再稼働の是非を判断しようとしている。しかし、そんなに早く炉心溶融が起きれば、要援護者を含め、住民は逃げることができない。そんな状態なのに、住民の身の安全確保の問題は無視されて、原発・核燃料施設の再稼働審査がどんどん進んでいく事態となっている。

 

d.要援護者はもはや避難させられないので、今いる施設の中に閉じこもっておいてもらう他ない、などという判断をしそうな気配もあるという、5km圏内の場合には、その後、原発・核燃料施設が爆発などしてしまったらどうするのか? 見捨てるということか。

 

(6)50km圏内のPPA(放射性ヨウ素防護地域)で、放射性ヨウ素のプルーム通過に備えて、住民はヨウ素剤の服用をすることになるが、このヨウ素剤服用に関することを含め、PPAに関する指針がいまだ存在しない。兵庫県のシュミレーションによると、早ければ過酷事故後2時間で、神戸市にまでプルームがやってくるということなので、この2時間の間にどうやって安定ヨウ素剤を地域住民一人一人に配布し、それを服用させるのか。(とてもできない) それを含め、いったいいつになったら、政府あるいは「原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、このPPA指針を策定・公表するのか。

 

 原子力規制庁の回答は「当分の間、いろいろな理由から指針は出せない」とのことだった。であれば、原発再稼働の審査も(それが出るまで)やめればよい。しかし、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、「不断の努力で地域防災計画をよりよきものにしていくべきである」などと、他人事のようにしゃちこばっていた。原発の過酷事故に対して備える地域防災計画は住民の命と健康がかかっている。会社や団体などの業務改善委員会ではないぞ。

 

 私(田中一郎)からは、福島第1原発事故で見られたように、放射能のプルームは、何も放射性ヨウ素に限られるわけでもなく、かつ30km圏内にとどまるというものでもない。過酷事故を起こした原発・核燃料施設から、ありとあらゆる放射性物質がPPAのエリアにも飛んでくると考えるのが常識で、それに備えての指針でなければ実効性がない。PPAの問題を放射性ヨウ素と安定ヨウ素剤服用の問題に矮小化させてはいけない、

と申し上げた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(最後に)

(1)東京電力は、本来であれば、事故を起こした福島第1原発の後始末と二次災害の防止、並びに被害者への賠償・補償や汚染された地域の除染活動に全力を挙げていなければならないところである。しかしながら、この会社は、非常識にも事故後の3年間、山ほどの批判を馬耳東風に、、この真逆のことに邁進をし、福島第1原発事故の教訓を活かすことも、事故を引き起こしたことの反省もしない会社(及びその経営層・幹部職員)であることが明らかとなった。

  その象徴的な例が、新潟・柏崎刈羽原発の海側に建てられた防潮堤である。事実上倒産して、国民の税金を使いながら生き延びている会社が、3千億円もの大金をつぎ込み、多くの国民・地域住民が反対・懸念する柏崎刈羽原発の再稼働のために防潮堤を建設する、そして他方では、いつ何時津波に襲われ、二次災害の憂き目にあうかもしれない福島第1原発の方は、今もなお海側に若干の土のうが置かれている程度で、危険な状態のまま放置されているのである。

  そして、被害者への賠償・補償は遅々として進まず、除染の効果も限りがある中で、多くの地域住民が恒常的な低線量被曝(外部被爆・内部被曝)に晒され、不安な毎日を過ごしているのである。これほどおかしく、かつ国民を馬鹿にした話はないではないか。

 

(2)他方で、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、少し前に「再稼働審査を先行させる優先原発を絞り込み、まもなく公表する方針」を固めている。基準地震動と基準津波が決まり、その他に大きな設備上の問題がないとする原発を政治的に優先して審査する形をとり、可能な限り早く再稼働させるという方針のようだ。こちらも福島第1原発事故の原因究明も、その教訓も活かすことなく、自分達の「規制当局」としての責任を放棄して、原子力ムラ・放射線ムラの代理店としての再稼働承認の儀式に日々多忙の様子である。

 

 我々有権者・国民一人ひとりに問われているのは、こうしたことを許しておいていいのか、ということである。

 

●川内・大飯原発、優先審査へ前進 最新ニュース 九州発 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20140305-OYS1T00281.htm


早々

 

« 2014年2月 | トップページ | 2014年4月 »

最近の記事

無料ブログはココログ