福島第1原発事故の原因の究明もしないで原発再稼働に突き進んでいいのか(1)
前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)
ご承知の通り、原子力「寄生」委員会は鹿児島県の川内原発(加圧水型)を優先的に審査する原発と決め、その安全審査に全力を投じることで、今年夏の電力需要ピーク時にあわせて川内原発を再稼働させることを狙っております。その背景には、原発の安全審査に時間がかかっていることにしびれを切らした自民党の原子力ムラ代理店稼業の政治家達が、「審査の見通しを示せ」と、田中俊一以下の原子力「寄生」委員会に圧力をかけていることが大きく影響しています。福島第1原発事故を受けて、「もう二度としない」と決心したはずのこと、すなわち、原発の安全管理が愚かな政治圧力によってゆがめられ、その場しのぎの「処世術」が持ち出されては、屁理屈で合理化されて原発が推し進められていく、そんな「アンシャン・レジーム」が、再び復活し始めていると言えそうです。
●東京新聞川内原発を優先審査 規制委 再稼働新基準で方針社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014031302000255.html
今回より何回かに分けて、本当にこんなことをしていていいのか、福島第1原発事故の原因を解明し、それに対する対策を万全なものにせずに、表面だけを取り繕って、書類や屁理屈上のつじつまをあわせただけで、本当に原発を再稼働していいのか、検証してみたいと思います。そして、福島第1原発事故の原因が定かでないのに、どうして今後再稼働する原発の安全対策が万全にできるのか、再稼働原発が安全だと言えるのか、小学生でもわかるこの「自明の理」を、原発利権の目先の利害に目がくらんで半ば発狂した人たちと、福島第1原発事故を早くも忘れて、時の支配権力に引きずられる愚かな一部有権者・国民の前に明らかにしたいと思います。
今度、仮に原発・核燃料施設の過酷事故が日本を襲うとしたら、それは不幸中の幸いを繰り返していた福島第1原発事故の比ではない、巨大な原子力事故=莫大な量の放射能放出事故になると予想されます。取り返しがつかなくなる前にどんなことがあっても原発・核燃料施設は廃棄しなければならないのです。
<別添PDFファイル>
●事故原因 なぞのまま(2014年3月5日付朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11011564.html
1.朝日新聞に掲載された5つの「事故原因のなぞ」
別添PDFファイルに赤ペンで丸で囲っておいた部分が、朝日新聞が取り上げた5つの「事故原因のなぞ」である(下記)。概して、朝日新聞の取材の不十分さ(または記事掲載の不十分さ)が目立っているように思われた。
(1)1号機の非常用復水器(IC)を含む配管のどこかが(複数もありうる)地震の揺れで破損したのではないか
事故時に作業員が目撃した1号機の非常用復水器(IC:イソコン)付近での出水が何だったか。国会事故調は、地震の揺れが原因でICの配管が破損して水漏れを起こし、原子炉の冷却が十分にできなくなった可能性があると指摘している。
記事にはないが、この疑いを持つ国会事故調委員だった田中三彦氏(元日立バブコックの沸騰水型原子炉設計技師)は、原子炉建屋4階のICを含む配管の破損の可能性もあり、その破損した配管から水素が漏れ出して4階に充満し、1号機の水素爆発は4階でまず起きた痕跡があると主張している。水素を漏らすような配管は原子炉建屋4階にたくさんあり、1号機の水素爆発が4階から爆発したとすると、地震の揺れによる配管破損はほぼ間違いないだろうと推測される(東京電力は、配管が存在しない5階が爆発したというが、これでは、4階と5階をつないでいた丸い大きな「穴」=様々な物の運搬用、にかぶせてあった重い金属性の蓋が爆発の際にどこかへ吹き飛んでしまって行方不明になっているというのはおかしな話となる。5階が爆発したら、上からその蓋はねじ伏せられるような圧力がかかるので、どこかへ吹き飛んでいくはずがない(=また、この蓋が行方不明で見つからないというのもおかしな話。東京電力が何か隠している証拠ではないか)。
更に、田中三彦氏は、この非常用復水器(IC)に関する現場作業員の事故当時の操作がおかしい(開けたり閉めたりを繰り返す)ことに加え、原子炉圧力容器内の圧力の変化記録にもおかしなところがあり、これらは1号機のどこかの配管が破損して、そこから圧力が逃げていたと解釈すれば説明がつきやすいとし、現場作業員のおかしなIC操作も、原子炉圧力容器内の圧力の大きな低下に対して冷却水喪失を心配した現場作業員の必死の抵抗ではなかったかと疑問を投げかけている。
更に1号機については、圧力容器内の気体を圧力抑制室(SC:サプレッション・チェンバー)に逃がす「圧力のがし弁」が開いた形跡がなく(開くと大きな音がするらしいが、そんな音は1号機ではしなかった。2号機、3号機では、大きな音がしていたし、同じ沸騰水型原子炉の東海第二や女川原発もまた、大きな音がしていたという)、従って、圧力容器内圧力は上がる一方のはずなのに、実際には上がっていない。これは圧力容器につながる配管が壊れて穴や亀裂が入り、そこから気体が漏れ圧力が抜けていた可能性がある、ことも同氏は指摘する。
1号機は、田中三彦氏が国会事故調委員だったときに、東京電力に対して「立ち入り調査に入りたい」と申し入れたが、東京電力が「真っ暗で危ない」とうそをついて田中三彦氏に立ち入り調査を断念させた「経緯」がある。何かを隠したい時の原子力ムラ一族、東京電力や政府がウソをつくのは常套手段である。
(2)津波が原発に到達する前に非常用電源装置が動かなくなっていたのではないか
大きな津波が到達したとされた3時35分は原発の沖合に置かれた波高計での記録である。国会事故調は、敷地に津波が到着したのは午後3時37分以降で、非常用ディーゼル発電が止まって電源を喪失した後だとみている。つまり、福島第1原発事故が過酷化する原因となった非常用電源喪失=SBO(ステーション・ブラックアウト)は、津波によるものではなく、その到達前にアウトだったということだ。
東京電力は、カメラ内蔵時計が6分ほど遅れていた、などと姑息な言い訳をしている。しかし、その時計を度外視しても(考慮に入れなくても)津波到達前に非常用電源が動かなくなっていたことは十分に説明されており、むしろ東京電力が、この問題の指摘を真摯に受け止めずに、非常用電源喪失の原因は津波以外にはあり得ないとする「政治的判断」を押し通すために、問題提起者(伊東良徳弁護士)を小馬鹿にしたようなハッタリ説明でお茶を濁そうとしている様子が見て取れる。
(3)作業員が代替注水手段を確保せずにHPCI(高圧注水系)を止めたことが炉心溶融を速めてしまったのではないか
運転員は通常と異なる状況から故障を恐れて、現場の判断で3月13日午前2時42分にHPCIを止めてしまった。しかし、その後HPCIを再び起動しようとしたが動かなかった。政府事故調は、代替注水手段を確保せずに止めたため、7時間近く原子炉への注水が止まり、炉心溶融が進んだと指摘した。つまり、現場作業員の勝手なミス判断が炉心冷却を不可能にし、炉心溶融を速めてしまったというわけである。
が、しかし、この政府事故調の「現場作業員の操作ミスだ」と言わんばかりの報告には疑義がある。3号機は1号機と同様に、事故直後から、どこかの配管が破損していたのではないかと疑われている。事故直後に建屋にいた作業員が「シューシューという音を聞いた」という証言もあるという。もし仮に、3号機のHPCIの配管が、上記で申し上げた非常用復水器(IC)の配管と同様に一部破損しており、最初は小さかった穴か亀裂が少しずつ大きくなってきて、その結果、HPCI系から圧力が逃げているのに気がついた現場作業員が、冷却水喪失を恐れてHPCIをとりあえず止めてしまったと考えてみたらどうだろうか。ずっと開けておいて、放射能含みの水蒸気が漏れ出るとともに圧力が逃げてしまうのをいったん止め、その後、開けたり閉めたりを繰り返すことでコントロールしようとしたのではないか。この辺の事情は、まだ、十分には明らかになっていないように思われる。
いずれにせよ、3号機についても1号機と同様に、地震の揺れによる配管破損の可能性は消えていない。
(4)消火用配管から原子炉に水を注入したが十分ではなかったのではないか
東京電力は、冷却装置が止まった後、消防車のポンプを原子炉建屋の消火用配管につなぎ、原子炉に水を送り込んだ。しかし、途中で枝分かれした配管から、一部が原子炉に届かずに復水器に流れ込んだため、冷却水を炉心に十分に送ることができなかった。
しかし、これは当たり前といえば当たり前で、使った配管系が「消火系」だから、そもそも炉心を冷却することを想定していない。原子炉建屋内の火事を消すためのものだから、あちこちで「スプリンクラー」のように機能してくれればいいとして配置されていたはずである。しかも、この「消火系」配管は、1980年から90年にかけて、アメリカで沸騰水型原子炉の安全性が問題になり、その欠陥をカバーすべく外付けで取りつけられた装置の一つである(このほかに、ドライベント装置などもそうだ)。アメリカの場合には、すべての沸騰水型原子炉に、この「消化系」設置が義務付けられたが、日本の場合には、遅れに遅れて1990年代半ば以降、設置を義務化せずに、電力会社の任意の装置として設置されたものである。任意装置だから点検や機能の検証も甘く、そこにあればいい、程度の扱いを受けていた可能性は高い。しかし、福島第1原発は、その危機的状況を、この適当に設置されていた「消火系」配管装置に助けられ、今もまだ助けられ続けているということである。
当時の原子力安全委員会や通産省が、電力業界から要請を受けて設置義務化を見送っていたことは明らかで、この頃すでに日本の原発は、安全を軽視するカルチャーが日本全国の原発・核燃料施設の現場の隅々にまで浸透していたと言えるだろう。消火系配管が炉心冷却にまともに機能しないのは「あたり前」である、が、しかし、その後、福島第1原発以外の原発で、この消火系配管を徹底的に見直したという話はまったく聞いたことがない。
(5)4号機の爆発の原因は何だったか
東京電力は、3号機がベントした際に出た水素ガスが4号機の方へ逆流していって建屋にたまり、それが爆発したとしている。こう説明されても、一般の人にはピンとこないだろう。それもそのはず、なんと、福島第1原発の各号機の(ドライ)ベント管は、1・2号機が出口付近で一本化されて共通になり、3・4号機も同じように出口のところで一本化されて共通配管を通って外気へ出ていくような構造になっていたことが説明されないと何のことかわからない。
そして、上記でご説明したように、このドライベント管もまた、1990年代に任意の安全対策装置として外付けで取りつけられたもので、東京電力はその費用をケチるため、各号機に1つずつ取りつけるのではなく、2つの原子炉に共用のベント管を取りつけたということである。昔よく学生の下宿などにみられた「便所共用」の、あの「共用」をイメージすればよい。その「共用べんじょ」ならぬ「共用べんと」を通じて、3号機から出てきた水素ガスが、外へ行かずに4号機の方に行ってしまった、便所でいえば、自分が落とした糞で便つぼにたまっていた液体が跳ね返ってきたようなものだ。4号機では、その3号機からやってきた水素ガスがたまりにたまって爆発してしまったというわけである。
こんなもの許していいのか。あきらかに業務上過失であり、過失どころか、このドライベントを1つの原子炉に最低1つ設置の義務化をしなかった1990年代当時を調べてみれば、悪質な故意による安全対策の手抜き(費用節約)と責任回避(義務化装置でないのなら責任は問われない)であることが明らかになるだろう。そして、最も大事なことは、日本国中の原発・原子炉もまた、みんなこんな調子であるということだ。
驚くべきことに、日本原電の敦賀1号機(沸騰水型)には、このドライベントが取り付けられていなかったことが、福島第1原発事故後明らかになっている。(法的)義務化装置ではなく任意装置なのだから、ベント装置が設置されていなくても法的に問題はない、と日本原電はニヤニヤ笑っているようである。よくこれまで、敦賀原発を、大地震・大津波が襲わなかったものである。襲っていたら、今頃はベントもできずに格納容器の内部圧力を上昇させた原子炉が、あっという間に大爆発を起こし、日本国中が大変なことになっていただろうことは想像に難くないのである。日本原電とはそんな会社だということだ。
ところで、いったい原子力「寄生」委員会は、この4号機の爆発の原因となったと言われているベント気体の逆流に対して、全国の原発に対し、どのような指示をしているのだろうか。新規制基準には、ベントは原発1基ごとに独立させて1つ以上作れとでも、はっきり書かれているのだろうか。不勉強で危機感の乏しいマスごみ諸君が報道しないので、現状はよくわからない。
それから、4号機の爆発については、ベント気体の逆流ではなく、4号機使用済み核燃料プールでの爆発説(冷却できなくなって、水・ジルコニウム反応で水素が出てきたとする説)がある。これについては、もう否定しておいていいのだろうか。
2.朝日新聞が取り上げなかった原発事故原因の様々な可能性
上記でも申し上げたように、朝日新聞の記事は(他紙も似たりよったり)原発事故の原因究明・追求に関して全く不十分である。マスごみがそういう不十分な姿勢を取っているから、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は安心をしてしまい、政府官僚や政治家達も大手を振って原発再稼働へ邁進することができるようになってしまうのである。新聞・TV・雑誌などのマスごみ諸君は、福島第1原発事故の前も後も、こと原発や原子力については、その職務を十分に果たしえていない、ただの「粗大ごみ」になっていることを強く意識してもらわないといけない。今からでもいいので、特に原発に批判的な人たちの話をよく聞いて勉強をし、原子力「寄生」委員会・「寄生」庁や御用学者たちをはじめ、原子力ムラ・放射線ムラの人間たちに対し、原発・核燃料施設の安全確保の全くの不十分の問題や、地域住民の防災計画・避難計画の実効性の欠如などについて徹底追及し、その再稼働へ向けた危険極まりない無謀な動きを告発したらどうなのか。
(1)1979年のアメリカ・スリーマイル原発(加圧水型)の事故では、水素爆発を防ぐことが大問題となっていた。その教訓があるにもかかわらず、何故、福島第1原発事故では、水素爆発を防ぐことができなかったのか。特に、1号機が爆発してのちに、3号機、4号機、2号機と、次々に爆発させてしまっている。これはいったい何だったのか。また、日本全国の原発・核燃料施設における水素爆発防止対策は、その後どうなっているのか。
(2)2年くらい前にNHKは、その特集番組「NHKスペシャル」で、地震の揺れによって空気圧で動く制御系の配管が破損したため、たとえばベント装置が動かなくなってしまい、原子炉が危険な状態に陥ったことを放送していた。しかし、この重要事項は、その後新聞報道をはじめ、マスごみは取り上げることがないままに今日に至っている。日本全国の原発・核燃料施設の「空気圧」で動かす制御系配管や装置類は、いったいどの程度の耐震度を持っているのか。
(3)2号機はいったいどうなっているのか、3月15日に、あるいは16日に、いったい何が起きていたのか。政府がIAEAに報告したレポートでは、福島第1原発が大気中に放出した放射能の80%以上を2号機が放出したことになっているというが、この根拠は何か。いったい何が起きて、放射能の大量放出につながったのか。
(4)3号機の爆発は、使用済み核燃料プールにあった核燃料の即発臨界による「核爆発」だったはずである。
3号機が水素爆発ではなく核爆発であった証拠と思われるもの
a.爆発の煙(3号機は、黒い煙がまっすぐに上へ、1号機は、白い煙が横へ広がる
⇒ この煙の違いを説明するものが未だに誰もいない)
b.遠く離れた飯館村にプルトニウムが降り、更に間もなくしてアメリカにも微量のプルトニウムが降った
c.3号機は、プルトニウムを大量に含むMOX燃料を使っていた
d.屋根フレームの鉄骨が飴細工のように熱で曲がってしまっている(水素爆発ではこんなことは起きない)
e.使用済み核燃料プールの床に被覆管の破片が散らばっている
f.3号機近辺が福島第1原発敷地内では最も線量が高い(致死量)
g.東京電力も、政府も、3号機のことについて言及を避け、また、現状がどうなっているかを隠そうとしている様子がある。
3.最後に
上記はあくまで、原子炉工学に全くのど素人の私が持っている疑問の具体例である。そして事故後3年が経過した今も、これらについて、まともに「合理的な説明」はなされたことがない。1号機と3号機の爆発の煙の違いくらい、さっさと説明しろよ、と言いたくなるのだが、未だにどの科学者・技術者も口を開かないし、全く説明もしないで、政府や東電の言うがままに「水素爆発」としている人間も少なくない。日本全国どこでもいい加減、が蔓延しているかのように思われる。
少なくとも、福島第1原発事故の原因は明らかにしてもらい、その教訓を原発・核燃料施設に生かしていただかないと、再稼働の話などできるはずもないことは、泉田裕彦新潟県知事の言うとおりである。屁理屈と対策先送りで原発・核燃料施設再稼働へひた走る原子力「寄生」委員会・「寄生」庁の姿は、まさに、いい加減な日本の墓掘り人達が一生懸命に墓穴を掘っている姿に見えてしょうがない。電気の供給など十分にたりている中で、もはや原発・核燃料施設再稼働を急ぐ理由などどこにもない。再びの過酷事故を引き起こす前に、早く目を覚まして、原発・核燃料施設の安全対策、福島第1原発の後始末、そして使用済み核燃料の安全対策に全力を挙げるべきである。
早々
(参考)「いちろうちゃんのブログ」より
●水産庁「資源管理のあり方検討会」に注目いたしましょう
いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-7105.html
●昨日(3/12)の報道ステーションを見て
: (1)「7q11染色体」を何故調べないのか(児玉龍彦氏インタビューより)、(2)私の感想 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-f9c8.html
●週刊金曜日は「福島エートス」のまねごとを始めたのか?
疑問多い新連載マンガ「郡山もんもんライフ」 いちろうちゃんのブログ
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-6ab2.html
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