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2014年2月20日 (木)

胎児と乳児の放射性ヨウ素による被ばく(長山淳哉元九州大学准教授著書より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、長山淳哉元九州大学大学院医学研究院准教授の最近の著書『胎児と乳児の内部被ばく』(緑風出版)の一部です。放射性ヨウ素による妊婦、胎児、乳児の内部被曝について、国際放射線防護委員会(ICRP)などが提唱している実効線量係数のおかしさに着目して説明がなされています。以下、簡単にご紹介申し上げます。

 

 一言で申し上げますと、「生物学的半減期」にせよ「実効線量係数」(ベクレルをシーベルトに換算する係数)にせよ、内部被曝の個体差があまりに大きいにもかかわらず、信頼のおける実証的な経験データや実験データがないままに、いい加減な数字をもとにして、乱暴な「平均値」方式や「モンテカルロ法」によるシミュレーション(計算)結果で差配されて数値が導かれており、およそ個々の生身の人間の内部被爆実態を評価するには無理があること、また、それ以上に、平均値以上の被爆をする人・させられる人、また、感受性が高い人などは、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護の対象・体系からは「のけもの」にされて切り捨てられており、そうした人たちに対して被ばくを防ぐ対策をとることが「必要性を上回る効果の薄い余分なコスト」とされている、ということです。

 

 チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国で広がった悲劇を歴史的な記録とするために、多くの勇気ある科学者や医師・医学者が、実際の被爆した人たちの診断や治療に立ち向かいながら、疫学的なデータをまとめ上げ、いくつかの報告書としているのは周知の事実です。しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)に代表される国際原子力マフィアや日本の原子力ムラ・放射線ムラ御用学者どもは、「統計学的に有意でない」を繰り返し発言し、いまだに、子どもの甲状腺がん多発以外に、チェルノブイリ原発事故による放出放射能の健康影響を認めようとはしておりません。

 

 しかし、彼らこそ、たび重なる放射線防護や被ばくに関する彼らの科学的評価や勧告に際して「統計的に有意性のあるデータ」をその根拠として示したことは皆無である、と言っていいでしょう。出てくるのは、冷戦時代の米軍・米国の核兵器戦略支配下にあって、その手下であった日本政府と放射線影響研究所(RERF)によって管理され、操作され、歪曲矮小化され、抹殺され、隠ぺいされた、広島・長崎の原爆被害者のデータくらいのものなのです。彼らの屁理屈に、信頼できる科学的実証的なデータや根拠などはありません。インチキ学者・御用学者・似非科学とは、常に「二枚舌」であり、ご都合主義であり、歪みに歪んで本末転倒しており、かつそれがバレないように非公開で非民主的であると言っていいと思います。

 

 世にはびこる放射線防護論や被ばく評価については、その評価単位の概念内容まで含め、すべてを疑ってかかる必要があります。そして、常に忘れてはならないことは、放射線被曝とは、特に恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)とは、危険極まりないものであるということです。だまされてはなりません。

 

●胎児と乳児の内部被ばく 国際放射線防護委員会のカラクリ- 長山淳哉/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032937538&Action_id=121&Sza_id=C0

 

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 <前回お送りしたメール:「生物学的半減期」は信用できない、のエッセンス>

 少し前にお送りした私のメールで「生物学的半減期」について、若干のことを申し上げました。そのココロは、

 

(1)人間の「生物学的半減期」は(たぶん他の生物も)個体差が大きくてバラついており、おそらく正規分布さえしていないのではないか。

 

(2)「生物学的半減期」を経験科学的に実証した、統計学的に有意な実験・実証結果などは存在しない。つまり科学的根拠などない。

 

(3)人間の命や健康を扱う以上、誰に対しても共通に「安全の方向」で一定のことがクリアされていなければならない。従って、「生物学的半減期」であれば、これまで観測された数値の中で最も長いものを使い、それに「安全バッファ」を掛けて(×2~5倍)使うべきである。何故なら、「生物学的半減期」は内部被曝の計算根拠となっているからだ。

 

(4)しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)に代表される国際原子力マフィアや原子力ムラ・放射線ムラの御用人間・似非科学者たちは、何の科学的根拠もないままに、数の限られた観測値をベースにした「平均値」近傍の値を「生物学的半減期」に使用している様子がうかがわれる。これはインチキであると同時に、「生物学的半減期」が長い、内部被曝を他の人たちよりも多く受ける体質にある人たちの被爆の危険性を無視するものである。(注)

 

(5)更に、国際原子力マフィア・原子力ムラ・放射線ムラの御用人間・似非科学者たちは、一方では、自分たちの上記のような非科学性・非実証性を棚に上げ、他方では、チェルノブイリ原発事故で見られた放射線被曝被害者の疫学的・統計的報告を、ことごとく調査サンプル数の不足などを理由に「統計的に有意でない」と否定し続けている。要するに、被ばくの危険性を認めない方向にバイアスを掛けて、科学性の有無を「二枚舌」で「屁理屈付け」しているわけである。「統計的に有意でない」のは、国際原子力マフィアが打ち出す勧告類や被ばく評価、あるいはそのための概念類(たとえば「シーベルト」など)=がらくたジャーゴンなどである。インチキ科学にだまされてはならない。

 

 ということで、私は少し前のメールの最後に次のように書いております。これと同じことが、今回の長山淳哉元九州大学准教授の著書の記述からも言うことができます。

 

「私は、「生物学的半減期」なるものには、実証的・科学的根拠がほとんどないのではないか、と思っております(ひょっとすると、正規分布さえしていないかもしれません)。原子力ムラ・放射線ムラの連中が、チェルノブイリ原発事故後の多くの疫学的調査に対して、「調査数が少ない」などのナングセをつけて、放射線被曝による健康被害の深刻さを頭から否定しておりますが、私はそれをそもまま、この連中の「生物学的半減期」や、それを根拠に算定された「実効線量計数」に対して、投げつけてやりたいと思っております。」

 

「御用学者たちの言っている「生物学的半減期」や「実効線量計数」には、科学的・実証的根拠などありはしない、ちがう、あるのだ、というのなら、その科学的・実証的証拠を見せて見ろ、これが私が申し上げたいことです。」

 

注:1950年前後の欧米では、信じられないことだが、被験者を「安全だ」とだまして放射性物質を使った人体実験を行っていた様子がうかがわれ、長山淳哉元九州大学准教授の著書の中にも、いくつかその人体実験の結果が引用されて使われている。信じがたいことながら、常に原子力・放射能は、それを使う側による「支配」「抑圧」「権威・権力」の下での「加害」の道具であったことを忘れてはならない。

 

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 <今回の内容のご紹介:胎児と乳児の放射性ヨウ素による被ばく>

 以下、長山淳哉九州大学准教授の著書の中の重要部分を抜き書きして、簡単なご紹介をいたします。

 

・・・・・・・

(1)放射性ヨウ素による被ばく(1):胎児の甲状腺での取り込み

「放射性ヨウ素は、胎児の甲状腺ができあがる前から、胎児の体内に蓄積します。このときには主に、肝臓と腸に存在します。」

「人間では妊娠11週という、かなり早い時期から機能しはじめます。」

 

「妊娠しているお母さんにヨウ素131を1回だけ投与し、その後一六時間から四八時間での、お母さんと胎児の甲状腺における放射能を比較した研究がいくつかあります。それによると、妊娠初期の三カ月では胎児の甲状腺のほうが1.5倍ほど高いだけでした。ところが、妊娠が進むにしたがって、胎児のほうが指数関数的に高くなります。たとえば、妊娠中期の3カ月ではお母さんの1.8倍になり、最後の三カ月では、7.5倍も高くなります。」

 

「慢性的な被ばくでは、最後の3カ月になるまで、胎児のほうが、お母さんよりも高くなることはないようです。」

「妊娠期間中、胎児の甲状腺ではヨウ素の濃度が上昇し、そして妊娠末期には、お母さんの甲状腺よりも三倍から十倍も高くなると考えられています」

 

「わずかに30名程度のデータにもとづいてえられたモデル曲線からの結果では、八週齢頃から、胎児の甲状腺はヨウ素を取り込みはじめます。取り込み率はグラフのように、次第に増加します。そして、妊娠末期、生まれてくる頃には、お母さんが摂取したヨウ素131の九パーセントが胎児の甲状腺に取り込まれるということです。」

 

「胎児には、お母さんよりも多量の甲状腺ホルモンが必要です。ですから、その分、胎児の甲状腺は、甲状腺ホルモンの材料であるヨウ素も必要なのです。そのために、胎児の甲状腺には放射性ヨウ素も濃縮されます。そして、それだけ、放射線による障害も受けることになります。」

 

「大人の場合、甲状腺の働きが高まるとバセドー病になり、逆に低下すると粘液水腫になります。つまり、これらの甲状腺ホルモンは体の基礎代謝を高めたり、低下させたりします。」

 

「ところが、胎児と乳幼児では、その作用はまったくちがっています。この時期に、甲状腺ホルモンが少ないと、とんでもないことになります。すなわち、身長が伸ぴず、知的障害におちいるのです。先天性甲状腺機能低下症、いわゆるクレチン症はそういう病気です。」

 

(田中一郎コメント:上記からわかることは、妊娠中は母体よりも胎児の方がヨウ素が重要な元素になっていて、放射性ヨウ素であっても大量に取り込み、胎児の甲状腺に集中濃縮してしまうため、被ばくの影響が大きく出るということです。)

 

・・・・・・・・

(2)放射性ヨウ素による被ばく(2):放射性ヨウ素に係る実効線量係数

「生物的半減期と物理的半減期(放射性核穫の原子の半数が崩壊するのに要する時間で、ヨウ素131の場合には8.04日)、そして甲状腺の重さのデータをモデル化した数式に入れ、コンピュータで乱数を用いてシミュレーションする(これをモンテカルロ法といいます)ことにより、実効線量係数がえられます。すなわち、1ベクレルの放射能にさらされた場合の被ばく量(シーベルト)を何回もシミュレーションします。通常は100万回とか、200万回シミュレーションして、ぞの平均値が実効線量係数になります。」

 

「これまで、幾度も、お話ししているように、甲状腺の重さにしても、生物的半減期にしても、一人ひとり、まったくちがっています。ということは、また、それらの数値にもとづいた実効線量係数があるということです。つまり、一人の人間には、その人固有の実効線量係数があり、それから、実効線量、つまり被ばく量を求めねばなりません。」

 

「ここで紹介したNRCやICRPが提案している実効線量係数は彼らが勝手に作つた図Ⅱー4のような標準人モデルにのみ適用できるものなのです。ですから、それは単なる基準値、目安でしかありません。」

 

「しかし、これはあくまでも、放射線への被ばく量の多少を知るだけのことです。放射線の影響をうけやすいかどうかという、感受性の問題とはまったく別の話で

す。被ばく量が多くても、影響をうけない人もいれば、少量の被ばくで、大変な障害をこうむる人もいるのです。人間とはとても複雑な生き物なのです。」

 

「実効線量係数のからくりとはこういうことです。これが科学という錦の御旗のもとに、権威づけられ、あたかも万人に通用する数値であるかのように、まかりとおっているのです。十分に注意してください。」

 

(参考)アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC) - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E8%A6%8F%E5%88%B6%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

 

(田中一郎コメント:平均値や目安のようなものを万人に通用するかのごとく装う放射線被曝詐欺=これが頭狂(東京)大学を筆頭とする放射線ムラ似非学者群の正体です。しかも何度も申しあげているように、そこに経験科学的な実証・実験などありません。そして、上記で大事なことは、長山氏が「感受性の問題とはまったく別の話」と言及していることです。事態は個々人の感受性いかんにかかわらず、大きな格差があるということであり、実際には、それに加えて「放射線感受性」の個体差が加わって、もっと複雑なことになる、ということを意味しています。放射線被曝の危険性は、これまで科学的・実証的に、きちんと評価されたためしがありません)

 

・・・・・・・・・

(3)放射性ヨウ素による被ばく(3):ICRPが評価する母乳からの放射性ヨウ素被爆

 幼い子どもが放射性ヨウ素で被ばくするのは、①胎児の時代に母体から入り込む放射性ヨウ素による被ばく(胎児の甲状腺被ばく)、②乳幼児自身の外部被曝、及び呼吸内部被曝、③母乳による内部被曝、の3つに大きく区分できます。この章は③についての話です。

 

「ICRPでは、いくつかのデータから、お母さんが食べたヨウ素131は摂取後九時間で、母乳への移行率が最高になり、その後、徐々に低下して、摂取後二日で移行がおわるとしています。また、ヨウ素131の物理的半減期は8日ですが、生物的半減期も考慮した、実効半減期は12時間としています。」

 

「急性摂取の場合、妊娠前二六週、つまり妊娠半年前から妊娠一五週までに、1ベクレルのヨウ素131を一度に食べても、母乳からの被ばくには、ほとんど影響がありません。それは、実効半減期が短いので、出産するまでに、ほとんどが体外に排推されるからです。」

 

「しかし、妊娠三五週にとると、一部が出産後まで体内に残留し、母乳からの被ぱくが無視できなくなり、e(母乳)は0.14×10の-6乗ミリシーベルトになります。

 

「やはり、出産後に1ベクレルのヨウ素131を一度にとった場合の被ばく量がもっとも多くなります。それは、産後のいずれの時期でも同じで、5.6×10のー5乗ミリシーベルトになるということです。慢性摂取では、妊娠中の三八週間にわたって、総量で1ベクレルのヨウ素131を毎日、均等に継続して食べると、母乳からの被ばく量は無視できません。しかし、妊娠三五週で、一度にとったときの被ばく量の五分の一ほどで、0.031×10のー6乗ミリシーベルトです。」

 

「ここで問題を二つ指摘しておきます。まず一つ目です。ICRPのモデルでは赤ちゃんの放射性核種の腸や甲状線での吸収率は、生後三カ月児のものが用いられています。しかし、出生直後には、腸での吸収は、それよりも1.6倍ほど高く、その後、徐々に低不します。」

 

「二つ目は、出生後まもない赤ちゃんの甲状腺でのヨウ素131の取り込みも、生後三カ月児よりも二倍ほど高いということです。

 

「ヨウ素131の場合には、出産間近から授乳中にお母さんが摂取したとき、赤ちゃんの被ぱくが大きくなる、ということです。」

 

(田中一郎コメント:妊婦さんには、原発過酷事故の際には真っ先に逃げていただき、また、放射能汚染地域からは、ただちに避難していただきたいのは、上記のようなことがあるからです。子どもにとっては母体や母乳は命の源ですが、そこから放射性物質が子どもに贈られるというのは、耐え難い悲劇です。特に、出生直前・直後が放射線被曝に対して非常に危ないことがわかります)

 

 最後に「気をつけよう、暗い夜道と、放射能」

早々

 

 

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