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2014年2月

2014年2月27日 (木)

食べものの放射能汚染:子どもたちまで「出し」にして放射能汚染物を商売に使う日本の食品産業の「罰あたり」

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、昨今の飲食にかかる放射能汚染関連の記事を若干集めたものです。放射能汚染の検査体制を依然として拡充することなく、従って、飲食物の放射能汚染をロクすっぽ検査することなく、空虚な安全安心キャンペーンを振り回して、実は放射能汚染物を商売に使おうとする日本の食品産業の歪んだ姿勢が赤裸々に見えています。当然、こうした日本の食品産業の態度は、海外からは疑惑と不信の目で見られており、食の安全に対してきちんとした態度を示す国々では、日本産の飲食物への輸入チェックが厳しいままに据え置かれています。

 

 昔、食べ物を粗末にするものには罰があたる、と教えられました。それは今でも大事な「教え」ですが、これに重ねて、放射能汚染に対していい加減な姿勢で臨む食品産業に対しては「食べ物の検査を粗末にするものには罰があたる」とでも申し上げておきましょう。飲食の放射能汚染を甘く見るな、これは何度繰り返して申し上げても尽きせぬものがあります。

 

 <別添PDFファイル>

(1)福島の沿岸試験操業、スケソウダラを追加(水産経済新聞 2014.2.27

(2)EUの日本食品輸入規制、福島除き一部緩和(東京 2014.2.22

(3)韓国が日本産養魚用飼料に放射能検査証明を義務化(2014.1,28

(4)原木原木干しシイタケ、給食利用の拡大推進(日本農業 2014.1.16

 

1.福島の沿岸試験操業、スケソウダラを追加(水産経済新聞 2014.2.27

 この記事は、底引き網漁の対象魚種にスケソウダラを、刺し網漁の対象にイシカワシラウオを、それぞれ追加したという報道である。更に、3月からはコウナゴ漁も開始するという。東京電力によるずさん極まりない管理が原因で、放射性ストロンチウムを含むベータ核種を大量に含む放射能汚染水が海に流れ出ているというのに、この福島県の漁業団体は、そんなことには構っていられない、という様子である。

 

 流れ出ている汚染水は、溶融した核燃料を洗った水そのものであって、その汚染は猛烈だ。放射性セシウムだけをわずかばかりの検体で調べて、それで安全が確保できましたなんて、何言っているの、ということである。ありとあらゆる放射性核種が混ざり合った猛烈な放射能汚染水が、日々、福島第1原発から海へと垂れ流されているということを絶対に忘れてはいけないのだ。そんな福島第1原発の近隣海域での漁業など、絶対にしてはいけないことであることは、自明中の自明である。

 

 スケソウダラについては、かつて100ベクレル/kgを超える汚染値(放射性セシウム)が出たこともあるが、その後は昨年6月を最後(8.1ベクレル)に検出限界値未満が続いているという。しかしだ。こんな数値は、福島県沖合で獲れるスケソウダラの安全性を担保するものではない。スケソウダラは、一方で「タラコ」(卵巣)をとるとともに、身の部分をすり身にしてカマボコなどの原料とされる。また、韓国ではなべ物に入れて食べるため、そのまま韓国に輸出もされている海産物である(主に北海道産が輸出される)。それを考えた場合、少なくとも次のようなことは手当てされていなければならないはずであるが、今のところ、そうした対応は、なしのつぶてである。

 

(1)スケソウダラを、タラコ、身の部分、骨の3つに区分し、それぞれについて、放射性セシウムのみならず、放射性ストロンチウムやプルトニウム、ウラン、その他のアルファ核種、ベータ核種、ガンマ核種が、綿密に継続的に検査されていなければならない。特に、福島沖で漁獲されたスケソウダラの骨への放射性ストロンチウムの蓄積状況の把握は絶対に必要不可欠の検査である。

 

(2)タラコは魚の卵巣なので、特別な放射性核種が蓄積しないとも限らない。放射能汚染の影響を見極めるまでは、福島県沖をはじめ、広く東日本の太平洋沿岸・沖合で獲れるスケソウダラのタラコは、飲食すべきではない。

 

(3)韓国は日本産の魚介類の輸入について、厳しいスタンスを取っている。見習うべきである。

 

(4)漁業者がこうした苦し紛れの、しかし危険極まりない操業を余儀なくされるのは、ひとえに被害を受け続ける漁業者、及び関係食品産業業者に対して、万全の賠償・補償や、経営再建支援が行なわれないが為である。これは、本来なら加害者・東京電力や事故責任者・国が償うべき賠償・補償の費用を、消費者が健康被害と汚染物購入費用を持って負担するということを意味している。許されないことである。食べて応援・買って支援など、全くする必要はない。それは単に、加害者・東京電力や事故責任者・国の責任を棚上げにして、彼らを間接的に応援・支援することに他ならない「お目出度い」行為であると自覚したほうがいい。

 

 それから、シラウオやコウナゴの方も、とてもじゃないけれど、安全とはいえない。小魚なので骨ごと食べてしまうため非常に危険である(放射性ストロンチウム汚染)。また、こうした小魚は、養殖魚用の飼料原料としても使われる可能性があり、汚染魚が養殖魚用飼料となれば、これは全国に汚染が広がってしまうと同時に、魚介類から魚介類へと食物連鎖によって放射性物質が濃縮されながら蓄積していくため、その二次被害の程度は一次被害よりも大きくなってしまう危険性がある。こんな試験操業は、直ちにやめるべきだ。まず、東京電力の出鱈目な汚染水管理を適正化し、福島第1原発から海への汚染水流出を止めることが先決である。

 

 みなさま、福島県のみならず、北は青森から南は千葉県くらいまでの海域で獲れる、海藻(昆布、わかめ、海苔など:既に放射性ストロンチウムが検出され始めたという話も聞こえてくる)を含む海産物を買って食べるのをやめましょう。そして、被害を受け続けている漁業者や関係事業者に対して、万全の賠償や補償と経営再建のための支援が政策的に実施されるよう、加害者・東京電力や事故責任者・国に要求していきましょう。加害者・責任者が、事故後の様々な費用を、まず負担するのは当たり前のことです。我々消費者・国民が真っ先に負担する必要はありません。

 

2.EUの日本食品輸入規制、福島除き一部緩和(東京 2014.2.22

 http://after311.info/radioactivity/post-3319/

 

 最低限、EUの輸入規制並みの国内流通制限があってしかるべきである。日本政府は、消費者・国民の飲食による内部被曝のことなど、どうでもいい、と思っているようだ。

 

3.韓国が日本産養魚用飼料に放射能検査証明を義務化(2014.1,28

 市中に流通していた日本産のウナギ用の飼料から放射性セシウムが検出されたため、韓国政府が、飲食用の日本産海産物に加えて、今度は養殖用飼料の輸入規制に踏み切ったという記事である。検出された放射性セシウムは、0.12.3ベクレル/kgで、日本の養魚用飼料の基準値40ベクレル/kgを大きく下回るという。

 

 しかし、韓国の報道では、専門家のコメントを引用して、食物連鎖の観点からみると、飼料に含まれる放射性セシウムは人体蓄積の可能性が高いため、非常に危険であると指摘したそうだ。韓国は養殖用の飼料を日本に大きく依存しているため、今回の措置に至った様子。具体的には、日本産飼料の輸入時には放射能検査証明書の提出を義務化し、国内生産飼料に対するモニターも実施して、放射能安全管理措置をより強化するという。

 

 この韓国政府の措置は、魚介類の食物連鎖による濃縮・蓄積のことを考えれば当然のことだし、また、日本政府が決めている養魚用飼料の基準=40ベクレル/kgに科学的実証的な根拠はない。おそらく「安全バッファ」さえ設けていない、危険極まりなく「大きな数値」であるに違いない。しかも、この農林水産省が決めている飼料の基準値については、仮にふとどきものの業者がいて、この基準を守らなくても、単なる目安として出している数値なので、なんの罰則もペナルティもないという、いい加減なものである。

 

 韓国は自国民を放射能の汚染や被ばくから守ろうという姿勢がみられるが、日本の政府は自国民を守ろうなどとは全く念頭にない様子である。

 

4.原木原木干しシイタケ、給食利用の拡大推進(日本農業 2014.1.16

 

●もうこの国はどうしようもない。干しシイタケを20億円かけて給食で子供に食べさせる狂気の国、日本。 - ブログ「風の谷」 

http://blog.goo.ne.jp/flyhigh_2012/e/440f296b3b49e290a92043e1cfdec8f4

 

●原木干しシイタケ 給食利用の拡大推進 とある原発の溶融貫通(メルトスルー)

 http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7506251.html

 

 何度も何度も何度も、申し上げているように、国産のキノコ類は、シイタケに限らず、すべて、全国どこでも危険である。何故なら、シイタケを含むキノコ類を栽培する原木や栽培土が、林野庁の無責任でずさんな放射能汚染管理のおかげで、汚染されたまま全国に出回っており、もはや安全な地域というのは消滅したからだ。今は、わずかばかりの「見世物キノコ」の放射性セシウムだけを検査して、安全だ、安全だ、とハッタリ宣伝を行っているにすぎない。

 

 反原連の反原発コールに♪♪「日本のどこにも原発いらない」♪♪というのがあるが、それにもじって申し上げれば「日本のどこでもキノコは危ない」「日本のどこでもキノコはやめとけ」ということになる。

 

 キノコはちゃんと検査すれば済む話、原木や栽培土は放射能に汚染されておれば流通しないように廃棄させれば済む話、それぞれ、損害を受けた方々には、そのすべての損害を、機会費用も含めてきちんと支払えば済む話、こうした、あたりまえのことを、政府も農林水産省も林野庁も、そして東京電力も、これまで事故後3年間の間、一切してこなかった。

 

 そして、あろうことか、不信感を高めている消費者に対して、安全だを強くアピールするために、今度は学校給食を使って子どもたちに無理やり、放射能汚染の可能性のあるシイタケやキノコ類を食べさせてしまえ、などということをやり始めたのがこの記事である。この記事には、その担い手として「日本産・原木乾シイタケをすすめる会」などという団体が音頭を取っているという。農林水産省は、これに予算まで付けている。

 

 記事を読んでいて、怒りが込み上げてきた。この阿呆ども、何がシイタケをすすめる会だ。給食を拒否できない子どもたちを「出し」に使って、自分たちの商売に放射能汚染物を使う、消費者・国民をだまくらかして、汚染物を知らぬが仏で売り飛ばす、そんなことをしていて、いつまでやっていけると思っているのか。

 

 みなさま、キノコは絶対に買ったり食べたりしてはいけません。日本全国どこでも危険です、みなさまが買わないことが、このキノコ業界と林野庁がまともになる最短の近道です。学校給食については、キノコを材料に使うなら、学校給食をやめさせて弁当にするなど、対抗措置を取りましょう。

 

 なお、下記の林野庁が定める(キノコ用)ほだ木や栽培土の基準値についても、その科学的実証的根拠はあいまいで、かつ、基準を守らなくてもなんの罰則もペナルティもなく、実際、こうした基準値が現場で守られているのかどうかさえ明らかでないし、守らせる体制についてもいい加減なままである。

 

●林野庁-きのこ原木及び菌床用培地の当面の指標値の改正について

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/120328_2.html

 

●林野庁-きのこ原木・ほだ木の当面の指標値に関する見直しについて

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/120830.html

 

●林野庁-きのこ原木及び菌床用培地並びに調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値の設定について(関連通知一覧)

 http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/shihyouti-index.html

 

(ここにある通知類や基準等については、対象となる食品業者らが守らなくても、何の罰則もペナルティもなく、その実効性に疑問がある。これは単に農林水産省のいい加減さを示すだけでなく、何か悪い事態が起きた場合に「自分たちは一定程度やっていた」というアリバイ行為を示す目的と、「自分たちが悪いのではなく、基準を守らなかった業者らが悪いのだから、文句は業者の方に言ってくれ」という「たらいまわし的無責任」を担保するためのものとみておいた方がいいだろう)

早々

 

2014年2月26日 (水)

環境省では除染などできるわけがない=一刻も早く、政策転換と担い手の交代を

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、昨今の「除染」(放射性物質の除去)に関する若干の新聞報道です。そもそも広範囲に深刻なまでに放射能で汚染された地域の「除染」が、ほぼ不可能に近いくらいに困難であることに加え、霞が関官庁の中でも最も体制脆弱で腰ぬけ、無責任の役所と言われている環境省では、こうした困難な仕事を遂行することはほぼ不可能であることを示すいくつかの事例ではないかと思われます。できない組織に困難な仕事を無理やりさせると、このように(めちゃくちゃに)なる、の典型事例のような気がします。

 

 加えて、環境省担当大臣は、あの石原伸晃(自民党:東京)ですから、「除染」についての事態の改善はおそらく絶望的であると考えていいでしょう。現に、既に報道で、政府が約束していたはずの「除染」完了の期限が3年間先送りされたとも伝えられており、「除染」に伴って大量に発生すると言われている汚染ごみの「中間」を含む処理施設の問題とも合わせ、現状のままでは、ますます汚染地域の事情は苦しくなるばかりです。放射能汚染下での居住継続に伴う健康被害発生への懸念も高まってきています。まさに、抜本的な政策転換が求められていると言えるでしょう。

 

 政策転換の内容は、簡単にいえば、次のようなことになります。内閣総理大臣以下、政府が責任を持って取り組むことが重要で、環境省への丸投げではダメです。

 

(1)「避難・疎開・移住」と「除染」との2本立ての政策とすること

 

(2)放射線管理区域指定基準を上回る空間線量の地域からは、全住民の一刻も早い「避難・疎開・移住」を実施。かつ、万全の賠償・補償を行いつつ、「避難・疎開・移住」先での生活や仕事の再建のための支援を拡充する。

 

(3)放射線管理区域指定基準を下回る空間線量の地域で、かつ1mSv以上の地域では、居住を続ける方々がいることを前提に、まず、綿密な汚染状況調査に基づいて、ホット・スポットを徹底的に退治する。しかる後に、空間線量が下がるまで着実に除染をやっていく(山林からの放射能降下で再汚染しないような低線量汚染地域を優先)。

 

(5)「除染」のやり方については、技術の向上や担い手の被ばく防止などを含め、抜本的な改善が必要 ⇒ 検討委員会の設置、地域ごとの自主裁量の幅も広げる。環境省の「ゼネコン丸投げ方式」や、陳腐な除染手法の現場への押し付け、あるいは「手抜き除染」にみられるずさん極まりない除染事業の在り方を抜本的に見直さねばならない。

 

(6)「除染ごみ」の減容化については、最先端の技術を使って極力体積を小さくして閉じ込めることとし、放射能の再拡散による二次被害を回避する。(古い焼却炉で燃やすな、放射能汚染ごみを原形のまま放置するな他)

 

(7)「除染」費用をけちるな

 

(8)「除染」事業の利権化の防止・「除染」を巡る不正や暴力団関係の徹底排除など、「除染」事業の適正化が必要(厳しく対処せよ)

 

(9)飲食や呼吸による恒常的な低線量内部被曝に対して警戒を高め、ゆがんだ放射線教育や被ばく軽視PRを全面的に適正化する(飲食品検査体制の抜本拡充、地域住民の健康管理及び被ばく医療体制の整備など)。また、放射性セシウム以外の放射性核種に対しても十分に警戒することが必要不可欠。

 

10)空間線量が1mSvを下回る地域においても、決して油断はできないので、個別地域ごとに被ばく防止の対策が取られることが望ましい。

 

 <別添PDFファイル>

(1)ため池に高濃度汚染土(朝日 2014.2.25

(2)汚染ごみ焼却施設爆発の報告書、黒塗り(東京 2013.12.6

(3)除染技術実用化4件、採算・効率性に課題(東京 2014.1.8

 

1.ため池に高濃度汚染土(朝日 2014.2.25

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140225-00000010-asahi-soci

 http://www.asahi.com/articles/ASG2G014KG2FUGTB00Y.html

 

(一部抜粋)

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 福島県内の農業用ため池576カ所の底の土から、1キロあたり8千ベクレルを超える高濃度の放射性セシウムが検出されていたことが県などの調査でわかった。うち14カ所は10万ベクレルを超えていた。国はため池を除染対象外としているが、農業用水を供給している池や住宅街にある池も多い。汚染土の農地流出や住民の健康被害を不安視する県は、国に汚染土の処理を求めている。

 

 8千ベクレルを超える汚染土などは、国の責任で処分する指定廃棄物に相当する。また、環境省は県内で発生する除染廃棄物のうち10万ベクレルを超えるのは2千分の1以下と推定している。

 

 県によると、県内の農業用のため池は3730カ所。県と農林水産省東北農政局は2012年2月~昨年12月、地域のバランスを考えて選んだ計1939カ所の底にある土壌を初めて調べた。

 

 その結果、東京電力福島第一原発事故で住民が避難した国の避難指示区域内では108カ所(調査対象の41・2%)、事故後も水田や畑にため池の水を供給している同区域外では福島市や伊達市などの中通り地方を中心に468カ所(同27・9%)から土1キロあたり8千ベクレル超のセシウムが検出された。10万ベクレルに達した池は区域内で9カ所、区域外で5カ所あり、最高は区域内にある双葉町の大南?(おおみなみさく)ため池(39万ベクレル)だった。

 

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この後、この記事では、次のような記述が続く。

(1)夏場に水位が下がり、底の土がむき出しになるところがある。

(2)渇水や大雨で濁った池で取水し、農地に汚染土が流れ込む恐れもある。

(3)住宅街の池も多く、土が露出すれば周辺住民の健康被害の心配もある。

 

 言われるまでもない。湖沼や池の水がなくなるか、減水・渇水すれば、底にたまっていた汚染土が乾燥して、ちりやほこりになって飛んでいく可能性が高くなるし、そこまで行かなくても、減水した、あるいは渇水気味の湖沼や池から田畑に農業用水を取水をすれば、放射能汚染土と一緒に水を引いてしまうことにもなりかねない。かような高濃度汚染の湖沼や池は、地域住民の居住地に近い場所にある場合や、農業用水として利用しているのであれば、ただちに除染しなければならないのは当然の話である。また、人里離れたところで、空間線量も高い地域にある湖沼や池であれば、むしろ地域住民が避難する方が話は早く、かつ費用も少なくて済むだろう。

 

 ところが、除染や農業・農産物の安全に責任を持つべき霞が関の2つの役所は次のように言を左右して、自分たちの職責を果たそうとしない。

(1)環境省 「住民の環境に影響が出るほど周辺の空間放射線量は上がっていない」「現時点では除染しない」

(2)農林水産省 「除染は環境省の所管。農林水産省の事業として検討対象にしていない」「農林水産省が土の除去をすれば除染とみなされず、国費負担になる可能性がある」

 

 この馬鹿ども、いったい何を言っているのか、ではありませんか? じゃあ、お前たちが福島県にやってきて、住んでみろ、農業をやってみろと、誰しも怒鳴りつけたくなるのではありませんか。しかし、これが日本の政府の実態です。もちろん、この2省庁のどうしようもない木端役人たちの背後には、あの石原伸晃環境相や、林芳正農林水産相や、その連中を集めた自民党という「原子力ムラ代理人会」が存在しているのです。言ってみれば、有権者・国民が選挙で愚かな投票をした結果が(あるいは投票を棄権した結果が)、この理不尽きわまる「除染対策」や、地域住民の被爆無視・健康被害切り捨て政策として「跳ね返ってきている」と言えるのです。私たちは、常日頃の選挙投票のところから、自分達の行動の見直しをする必要があるのではないかと思います。

 

 福島県の農地管理課の課長さんは、(記事の中で)次のように発言しています。さっさと国は高濃度に汚染したため池の除染をやるべきです。

「中間貯蔵施設への輸送も含む全てのため池の除染費用は約154億円、国の新年度予算での計上除染費用は約2,600億円、この1割弱で費用は賄え

る。どこの予算でもいい、お金さえあれば作業は県でもやれる」

 

 それから、もう一つ大事なことを申し上げておきますと、これだけ高濃度の放射性セシウム汚染がある場合には、当然ながら放射性セシウム以外の放射性核種による汚染も懸念されます。放射性セシウムだけを念頭に置いて動くのは危険です。放射性ストロンチウムやプルトニウム・ウランなどのベータ核種・アルファ核種へも、十分すぎるくらいの警戒をしておかなければなりません。また、放射性セシウム以外のガンマ核種も環境にばら撒かれています。更に、福島第1原発は、今でも大量の放射性物質を、大気中に、海に、垂れ流し続けているのです。朝日新聞の記事からは欠落している大きなポイントです。

 

2.汚染ごみ焼却施設爆発の報告書、黒塗り(東京 2013.12.6

 http://takumiuna.makusta.jp/e236743.html

 http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11719312467.html

 

 福島県鮫川村での話です。記事には「労働局、発生日時まで、黒塗り」「102ページ真っ黒、まるで保護法先取り」という副題が付いています。

これは環境省による犯罪行為です。情報をオープンにできない理由などなく、ひとえに環境省がロクでもないことをしているから、それが公になる

ことを恐れているだけの話です。そもそも焼却炉設置までの経緯からして出鱈目です。相手が福島県鮫川村だから、少々のことはやったっていいの

だ、という環境省役人たちの許しがたい傲慢・無礼な態度が透けて見えるような気がします。地域住民に理不尽なことを押しつける常套手段の「環

境省方式」の典型と言ってもいいでしょう。

 

 環境省は、すでに水俣病などの公害問題や、産業廃棄物処分場問題で「前科」があり、環境を守らない環境破壊省、責任を取らない環境無責任省

として、その正体が明らかになっております。自分たちの政策でさえしっかり実現する姿勢を示さない「軟弱」省庁としても有名です。この官庁

は、経済産業省のように解体してなくしてしまうのではなく、幹部クラスを全員クビにすれば、大きく変わることができるでしょう。

 

3.除染技術実用化4件、採算・効率性に課題(東京 2014.1.8

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2014010802100004.html

 

(一部抜粋)

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◆汚染土減らし策なし

 放射能汚染が深刻な福島県内の除染では大量の汚染土壌の保管、処分が課題になっている。新技術の中には汚染土を洗浄して大半の土の放射性物

質濃度を低減し、高濃度の土を減らす「減容化」技術も複数あるが、実用化はゼロだ。

 

 汚染土をはじめとした除染ごみの処理で国は現在、同県内に中間貯蔵施設の整備を計画している。ごみの総量を最大約二千八百万トン(東京ドー

ム約二十三個分)と想定し、全量を持ち込む予定だ。

 

 国が認定した減容化技術はいずれも、貯蔵などの管理が必要な汚染土の量を50~20%程度に減らす効果が確認された。利用できれば中間貯蔵

施設の規模縮小も可能だ。しかし洗浄した土にも低濃度の放射性物質が残るために再利用のあてがなく、実用化を阻んでいる。除染場所に埋め戻す

のは住民感情を考えれば難しい。

 

 公共利用の可能性はあるが、国は、低濃度の汚染土を道路の舗装の下の路盤材などに使う基準として「コンクリートなどで遮蔽(しゃへい)して

濃度が一キロ当たり三〇〇〇ベクレル以下なら再利用可能」と基準を決めただけ。具体的な用途の検討や省庁間での調整などは、まったくされてい

ない。

 

 減容化技術の実用化を目指して、建設業者らは協議会をつくって効果的な遮蔽方法などを研究しているが「地元や住民の理解が大前提。国が政策

的にやらなければ難しい」(協議会幹部)という。除染現場では、汚染土処理の見通しがないため仮置き場の確保が難航し、除染計画が大幅に遅れ

ている。環境省は「除染を進めるには中間貯蔵施設を早く造る必要がある。減容化と併用できれば確かに効率的だが、施設規模やコストの再検討の

時間はない」としている。

 

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 私は上記の記事内容を「マユツバ」で見ています。減容化や汚染土減らしの対策がない、というのは「本当かな」という気がします。そもそも

「除染の仕方」のところから変えていけば、汚染土や汚染物の量はかなり減るはずです。これは、技術の問題と言うよりも、環境省のやる気の問題

ではないかと、私は思っております。おい、環境省よ、お前たち、いい加減にせいよ。

早々

 

2014年2月25日 (火)

一般担保付社債があるから、東京電力を破たん処理すると、被害者の損害賠償請求権に迷惑がかかる、というのは嘘八百だ

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、金融界の代表的業界誌『金融財政事情』(2014224日)の特集「今後の電力ファイナンス」に掲載されました「電力会社への金融はどう変わっていくのか:電力システム改革と原発問題を巡る論点整理の試み」という記事で、著者は『金融財政事情』編集部の人間です。この週刊雑誌は、金融業界にあっては、いわゆる市場原理主義の立場から様々な制度改革や業界動向を他誌に先駆けて報道する傾向にある、業界誌としては斬新的な傾向のある雑誌ですが、こと電力関係となると、とんと議論が陳腐化するようです。金融業界全体として「政治的なことに弱い」「支配権力に対しては、完全服従するか、あるいは服従しているようなふりをして避けて通るか」のようなパフォーマンスが多いのですが、この記事には多分にその傾向が出ているように見受けられます。金融界の一つの支配的な認識、ないしは問題整理として、参考にはなるでしょう。

 

 ところで、この小レポートには、次のような記載がみられます。ちょっと注目です。いわゆる一般担保(ゼネラルモーゲージ)付債権の扱いの問題です。

 

 まず、よく言われていることですが、

「東京電力が福島第一原発の事故後も法的整理をされなかった理由として、①所管の経済産業省が法的整理下での電力の安定供給に自信をもてなかったこと、②財務省が賠償を含む事故処理費用を税金ではなく電力料金で賄うのを望んだことに加えて、①法的整理になると社債権者を中心とする一般担保権者に損害賠償債権が劣後することが指摘されているからだ」

 

 しかし、これが、どうも東京電力をゾンビ状態のままで生き延びさせるための方便であることが、次のような記述から推測できます。

「一般担保付社債を発行する一般電気事業者が分社化した場合、本体から法的に分離した事業の資産に対して一般担保が及ばなくなることから、既存の社債権者等の保護をどのように図るかが問題になる。東京電力はこの点、事業子会社が連帯債務を負うかたちを避けて事業子会社の財務的な自由度を確保するとともに、事業子会社が持株会社に対して一般担保付社債を発行し、持株会社に残る既存社債権者等の一般担保が間接的に事業子会社の資産に及ぶように配慮する仕組みを示した。」

 

 つまり、会社の資産を分割しつつ会社分割をすれば、一般担保付社債の債権を切り離すことができ、一概に「法的整理になると社債権者を中心とする一般担保権者に損害賠償債権が劣後する」ということでもなさそうだということです(しかも東京電力は、一方で被害者向けの賠償・補償を打ち切ったり値切ったりして、悪質な踏み倒行為を繰り返しているにもかかわらず、他方では、こうして分社化した子会社資産を間接的に担保として、わざわざ再提供することで、一般担保付社債権者の債権の安全=返済確実性を担保しているのです。社債権者”さまさま”で、被害者”さようなら”、の断固とした姿勢です)。

 

 しかし、そこまで言わなくても、東京電力の現状のバランスシートは、債務が一般担保債権の社債と、無担保を中心とする金融機関貸出の2つで大半を占め(各1/2ずつ)、それに簿外債務として損害賠償請求債権が巨額に金額未確定で存在している、という状態ですので、東京電力の現有資産のうち、送配電網に見合う資産を一般担保付社債とマッチングさせて東京電力本体から切り離せば(一部債権放棄を求める)、東京電力の債務返済能力を阻害するものではありません。

 

 そして、残った東京電力本体で、金融機関の無担保債権を債権放棄させ、株主出資金を100%減資してやれば、被害者向けの損害賠償支払いのための資産=資金原資は残ることになります。一般担保付社債があるから、東京電力を破たん処理すると、損害賠償請求権が劣後して支払いが受けられなくなる、などということはありません。しかし、福島第1原発事故で被害を受けた方々の損害額は超巨額ですから、東京電力の現有資産や将来利益からだけでは、とても満足な賠償・補償はできそうにありません。当然、加害者・東京電力に並んで事故の責任者である国が、東京電力を法的に破たんさせ(会社更生法)、今申し上げた債務整理を行うとともに、この被害者の損害賠償をまず立て替えて、被害者の一刻も早い再生・復興を保障するのが本来の在り方です。しかし、この当たり前のことを、国は事故後3年もたつというのに、いまだに実行しようとはしないのです。財務省が猛反対をしているからだと、巷では噂されております。

 

 既に国は、東京電力に対しては過半数の株式を握る株主でもあり、事実上の東京電力のオーナーです。東京電力の行う理不尽な行為は、事実上、国の行為とみなして間違いありません。従って、賠償や補償の問題についても、日々マスコミが伝えるような出鱈目=被害者切り捨て=賠償金不払い、を続けておりますが、それは経済産業省をはじめ、国がそれを容認しているということを意味しているのです。許しがたいものがあります。

 

 それから、同じPDFファイルに、もう一つ「法的整理における損害賠償債権の地位」という、早稲田大学の法律の先生が書いたレポートがあります。そこには、上記に関連して、次のような記述があります。

 

「民事再生法や会社生法には、同じ無担保債権でも債権の性質を考慮して再生計画や更生計画で異なる弁済条件を定めることを許す根拠となる規定がある。1970年代に大規模な火災を発生させた大洋デパート(熊本市)の会社更生事件では、実際には事業体の清算を内容としながら、破産ではなく会社更生を選んだ。これは、火災被害者の損害賠償請求権を他の債権より優遇するためだ。大洋デパートの更生計画では、更生担保権は元本の14%免除、一般更生債権のうち損害賠償請求権は元本の19%免除、その他の更生債権は元本の80%免除という取扱いとなっている。」

 

 被害者の損害賠償請求権を優先させて倒産処理を行った事例として、熊本市の大洋デパートの例があることを述べているくだりです。先行事例はちゃんとあるのです。東京電力を破たん処理して、関係当事者にきちんと相応の責任負担をさせるとともに、一般担保債権を適切に処理しながら、損害賠償請求権を守って賠償・補償していく道は、しっかりあるのです。要は国のやる気の問題です。一般担保付社債があるから、東京電力を破たん処理すると損害賠償請求権者に迷惑がかかるのでできない、というのは、根拠の全くない、実にいい加減で不誠実極まりない「方便」「逃げ口上」にすぎないのです。

 

 「逃げ口上」の筆頭格=茂木敏充経済産業相と経済産業省に批判を集中いたしましょう。茂木敏充経済産業相は、栃木県足利市を選挙区とする(栃木5区)衆議院議員です。元日本新党だそうです。あの細川護煕の日本新党です(やはりろくでもないのが、周りにいるのですね・いたのですね)。まず、取り囲んで、みんなで落選させてしまいましょう。お前は、何で原発事故の被害者を助けないで東京電力を助けてんだ、馬鹿野郎と、みんなで言いましょう。経済産業省の方は、かつての大蔵省のごとく、解体してしまえばいいのです。

 

●茂木敏充 - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8C%82%E6%9C%A8%E6%95%8F%E5%85%85

早々

 

<追1>院内集会「【2-21】 原発回帰でいいの?!エネルギー基本計画に各界から異論」の簡単な報告です。

●【2-21】 原発回帰でいいの?!エネルギー基本計画に各界から異論 eシフ
 http://e-shift.org/?p=2923

(別添PDFファイルと同じ資料=当日会場で配布されたもの、が、上記サイトにリンクされています。また、当日の録画も見れます)


<追2>誤って電源ケーブル損傷、4号機プール冷却停止は人為ミス 福島第1 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140225-00000533-san-soci

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022501001913.html

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014022501002306.html

 http://www.asahi.com/articles/ASG2T3JT8G2TULBJ002.html

(こんな調子じゃ、そのうち、また大事故間違いないでしょう)


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(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●もうひとつの「集団的自衛権」(伊勢崎賢治(東京外語大教授)インタビューより) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-4ffb.html

 

●STAP細胞について いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-d180.html


●虚構の「アベノミクス」:「何のための「負担増」か?」(アベノミクスの1年とこれから)(岩波月刊誌『世界 2014.3』の山家悠紀夫氏論文より) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/1-20143-f1a2.html

 

 

 

もうひとつの「集団的自衛権」(伊勢崎賢治(東京外語大教授)インタビューより)

 

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、215日付の東京新聞夕刊に掲載された伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)へのインタビュー記事です。安倍晋三・自民党政権が憲法を踏みにじって強行しようとしている集団的自衛権の行使について、同教授がオルタナティブな日本が取るべき平和戦略を論じています。そして、この伊勢崎賢治氏の戦略は、既にアフガニスタンで実践されて一定の成功を収め、さらに今回、インド・パキスタン国境紛争の街・カシミールでも実践されようとしています。世界遺産とも言うべき平和憲法を持ち、第二次世界大戦後、一貫して平和主義に徹して、外国での組織的殺人行為=戦争・戦闘をしてこなかった日本だからこそ実践できる「非武装・無火力集団的自衛権」です。


 氏の提言は傾聴に値します。伊勢崎賢治氏を外務大臣か防衛大臣(注)にしてもいいくらいです。特に記事の最後の部分にご注目ください。


(注)日本は平和国家なんだから「防衛大臣」なんてのはやめてほしいですね。「防衛庁長官」、いや「自衛隊担当国務大臣」で十分ですよ。そもそも、制服組は政治に口を出すべきではありませんし、およそ戦争というものは、すべて「自衛」「国防」を口実として始まること、そして、戦争への道が「秘密」と「策略」と「情報操作」と「防衛本能のくすぐり」と「国家翼賛」によって掃き清められることを忘れてはいけないと思います。「戦争扇動」に対しては、常にシラけましょう。

 

●東京新聞非武装日本に可能性 紛争に和解の種をまく 伊勢崎賢治さん(東京外語大教授)土曜訪問(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/doyou/CK2014021502000224.html

 

(一部抜粋)

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注目するのは、アメリカの対ゲリラ戦略。テロの温床となる地域の民衆を銃で屈服させるのでなく、文化の力でアメリカに憧れさせ友好的な政権をつくるというもの。「でも、世界中で戦争をして嫌われてきたアメリカにはそれができない。そこにうまくはまったのがアフガニスタンでの日本でした。そこに日本の潜在的な能力があるんです」


 アフガン戦争で日本はアメリカの同盟国ながら、武力介入はしなかった。憲法九条のもと「撃たない自衛隊」を持っていたためだ。それが現地の軍閥に「平和国家日本」という好イメージをもたらし、日本主導の武装解除につながった。


 その際、日本政府代表として陣頭に立った。だから「戦争はしない」と宣言する九条がもたらす国益を、身をもって知っている。


 「テロと武力で敵対するのでなく、テロが生まれる根源の問題に関心を寄せて非武装で対処する。日本ならそれが可能です。それによって世界の安全保障に寄与できるし、ひいては日本の安全にもつながる。しかし解釈改憲で武力による集団的自衛権を認めれば、九条の意味はなくなり、日本の潜在能力をむざむざと消してしまう。それはアホなことですよ」 

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 そして、その「アホ」な方の集団的自衛権については、東京北法律事務所作製のパンフ「集団的自衛権」(別添PDFファイル)をご覧ください。他国侵略・攻撃や遠く離れた海外での戦争行為の合理化屁理屈でしかないことがよくわかります。


 その「アホなこと集団的自衛権」について、222日付朝日新聞は、安保法制懇が集団的自衛権行使に5つの条件を付けて容認する報告書をまとめるようである旨を報道いたしました。集団的自衛権が行使されたとしても、自分たちは絶対にその戦場・最前線に行くことはなく、身の安全に揺るぎはないと確信をしている「安保法制懇」とかいう安倍晋三首相の「火遊び仲間」の集まりが、他人事のように決めるのだそうである。自衛隊員の若い命を何と心得ているのでしょうか。


 私は、この5条件に次のもう一つの1条件を付け加えることを提言します。


「集団的自衛権を行使する場合には、その行使容認を法制化した安倍晋三首相をはじめとする内閣閣僚全員と、それに賛同した国会議員全員が、陸海空軍いずれについても、一兵卒(二等兵)となって戦場の最前線に行き、その行使に伴う全てのことが終了するまでは、その場所で一兵卒としての任務を遂行すること。任務遂行期間中の日本帰国は認められない」


●集団的自衛権、行使には5条件=北岡・安保法制懇座長代理 mixiニュース

 http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&id=2774322

早々

 

 

 

2014年2月21日 (金)

こんな会社に福島第1原発をゆだねておいていいのか(高濃度汚染水100トン漏れ、東電、3つの兆候見逃す(東京 2014.2.21))

 

 

前略,田中一郎です。

 

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、本日付(2/21)東京新聞朝刊に掲載された「高濃度汚染水100トン漏れ、東電、3つの兆候見逃す」という記事です。一読されればわかりますが、今般、またまた「東京ずさん電力」こと東京電力の全くバカバカしいお粗末管理によって、猛烈な放射能汚染水が大量に漏れていることがわかりました。多くの地域住民や漁業者が、いや日本全国の国民が、福島第1原発からの汚染水漏れを、恐怖と悲しみを持って、かつ祈るような気持ちで「もうこれ以上漏れないで」と思っているさなかに、また再び今回の汚染水漏れが発覚しました。許しがたいどころの話ではありません。

 

●東京新聞高濃度汚染水100トン漏れ 東電、3つの兆候見逃す経済(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014022102000130.html

 

 どのようなでたらめの結果、汚染水が漏れたのかは、記事をご覧になってください。私からは次のことを付記しておきます。

 

(1)漏れた水の量が100トンかどうかはわかりません。もっとたくさんの量の高濃度汚染水が漏れていただろうと推測可能です。不始末を小さく見せるためのインチキ推定の可能性は大いにありです。そして、このことは、今までの漏れた汚染水や放射能の量についても同様なことが言えます。事実、放射性ストロンチウムやベータ核種の放射能の量は、少ない方へごまかされていたことが、最近になってわかってきています。とてつもない量の汚染水が漏れ出し、とてつもない量の放射能が環境に撒き散らかされているのです。

 

(2)汚染水は1リットル当たり240,000,000ベクレルもの放射性ストロンチウム等ベータ核種が含まれていたらしいのですが、しかし、含まれていた放射能はそれだけではありません。放射性セシウムをはじめとするガンマ核種や、プルトニウム・ウランなどのアルファ核種も、多種多様に、かつ大量に含まれていたに違いありません。溶融した核燃料を洗ったその水が、そのまま環境に放出されたという感覚でいいのではないかと思います(放射性セシウムはある程度除去されていた?)。新聞の報道もよろしくありません。福島第1原発の放射能汚染や汚染水を危険なものにしている放射性物質は、放射性セシウムや放射性ストロンチウムだけではないことをもっと強く意識して、報道に反映させないといけません。

 

(3)福島第1原発の現場は、原発や放射能のことなど全く知らない「本物のど素人」の作業員が多くのことを担わされています。しかも、劣悪な労働条件下で、知らないことをいいことに無用の大量被ばくをさせられながら、かつ不安定な身分のまま、給与までピンはねされて、一部は暴力団関係者と思わしき労務者手配師らに差配されて、です。「東京ずさん電力」こと東京電力の現場での労務管理は出鱈目ですし、それについて何度も何度も社会的に批判されても、東京電力は、そしてその代理店業務に邁進している政府・経済産業省、及び原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は、それを抜本的に改めようとはしておりません。今回のまことにお粗末きわまる「事故」は、その危険性を我々に警告する重大な「事故」だったと受け止めるべきです。事故原発の基本的な管理さえ、福島第1原発の現場では、もはやできなくなっている、そういうことを今回の「事故」は如実に示しているのです。

 

(4)こんな東京電力を、まだゾンビ状態で、しかも数兆円単位の血税を注ぎ込んで、かつ原発事故とその後の出鱈目の責任を誰に対しても問うこともなく、生かしておくのでしょうか。それは何のためにですか? 何が「新総合特別事業計画」ですか、タンクは間違えるは、アラーム音はほったらかすわ、蛇口は開けたままにするわ、これで計画が遂行されると思っているのかということです。事実、東京電力自身が「壊れたタンク」そのもので、血税はこの破損タンクに大量に注がれてもじゃじゃ漏れで効果なし、あたり一面に放射能並みの害悪を撒き散らし、この会社の経営や原発管理にアラームが何度も鳴っているのに無視して、血税じゃじゃ漏れの蛇口を開けたままにしているのです。金が足りなくなったら、おとなしくて何でも言うことを聞く有権者・国民から、消費税を増税して吸い上げればいい、そういう判断が働いているのでしょう。守るべきは、地域住民でも被害者でもなく、ましてや有権者・国民でもなく、「東京ずさん電力」こと東京電力とその利害関係者=つまり原子力ムラ・放射線ムラの一族郎党だということなのです。

 

(5)今般の事故の責任者を明らかにして、その責任者を徹底追及するとともに、一刻も早く東京電力を解体して、新しい福島第1原発管理体制と電力供給体制をつくること、これ以外に解決の方法はありません。現代のガダルカナル島攻防戦は、すでに福島第1原発で、ずいぶん前から始まっています。このままでは、やがて、神風特攻隊が飛ぶような事態になるに違いありません。決断するのは今です。

 

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●同じ紙面に下記の2つの記事も掲載されています。注目していただければと思います。

(追加1)「原発リスク数値化」 米の手法、本格導入へ初会合

 

 いわゆる「確率論的リスク評価(PRA)」のことです。原発・核燃料施設の危険性を確率論で見てはだめなことは、福島第1原発事故の教訓の一つです。確率の数値など、条件をちょっといじれば何とでもなる、インチキ手品師の小道具の一つです。この懲りないバカ者たちは、アメリカまで連れてきて、何をアホなことをやっているのでしょうか。

 

 PRA=パ(P)っと見は「ら(R)しい」けれども、実は「ア(A)ホ」の浅知恵・小細工

 


(追加2)森喜朗元首相 「浅田(真央)選手、大事な時に必ず転ぶ」

 

http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20140221-00032858/

 

 あのおやじが、また暴言を吐いて世の中を騒がせています。「大事な時に必ず転ぶ」なんて、「おい、森喜朗よ、自分のことを言っているのか」と怒鳴り返してやりたい気分です。この「神の国アホダラ教信者」の国辱男を、早く日本のスポーツ界とオリンピックの世界から追放しないと、ますます日本は世界に冠たる「恥さらしの国」とされてしまうでしょう。
早々

2014年2月20日 (木)

胎児と乳児の放射性ヨウ素による被ばく(長山淳哉元九州大学准教授著書より)

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 別添PDFファイルは、長山淳哉元九州大学大学院医学研究院准教授の最近の著書『胎児と乳児の内部被ばく』(緑風出版)の一部です。放射性ヨウ素による妊婦、胎児、乳児の内部被曝について、国際放射線防護委員会(ICRP)などが提唱している実効線量係数のおかしさに着目して説明がなされています。以下、簡単にご紹介申し上げます。

 

 一言で申し上げますと、「生物学的半減期」にせよ「実効線量係数」(ベクレルをシーベルトに換算する係数)にせよ、内部被曝の個体差があまりに大きいにもかかわらず、信頼のおける実証的な経験データや実験データがないままに、いい加減な数字をもとにして、乱暴な「平均値」方式や「モンテカルロ法」によるシミュレーション(計算)結果で差配されて数値が導かれており、およそ個々の生身の人間の内部被爆実態を評価するには無理があること、また、それ以上に、平均値以上の被爆をする人・させられる人、また、感受性が高い人などは、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護の対象・体系からは「のけもの」にされて切り捨てられており、そうした人たちに対して被ばくを防ぐ対策をとることが「必要性を上回る効果の薄い余分なコスト」とされている、ということです。

 

 チェルノブイリ原発事故後の旧ソ連諸国で広がった悲劇を歴史的な記録とするために、多くの勇気ある科学者や医師・医学者が、実際の被爆した人たちの診断や治療に立ち向かいながら、疫学的なデータをまとめ上げ、いくつかの報告書としているのは周知の事実です。しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)に代表される国際原子力マフィアや日本の原子力ムラ・放射線ムラ御用学者どもは、「統計学的に有意でない」を繰り返し発言し、いまだに、子どもの甲状腺がん多発以外に、チェルノブイリ原発事故による放出放射能の健康影響を認めようとはしておりません。

 

 しかし、彼らこそ、たび重なる放射線防護や被ばくに関する彼らの科学的評価や勧告に際して「統計的に有意性のあるデータ」をその根拠として示したことは皆無である、と言っていいでしょう。出てくるのは、冷戦時代の米軍・米国の核兵器戦略支配下にあって、その手下であった日本政府と放射線影響研究所(RERF)によって管理され、操作され、歪曲矮小化され、抹殺され、隠ぺいされた、広島・長崎の原爆被害者のデータくらいのものなのです。彼らの屁理屈に、信頼できる科学的実証的なデータや根拠などはありません。インチキ学者・御用学者・似非科学とは、常に「二枚舌」であり、ご都合主義であり、歪みに歪んで本末転倒しており、かつそれがバレないように非公開で非民主的であると言っていいと思います。

 

 世にはびこる放射線防護論や被ばく評価については、その評価単位の概念内容まで含め、すべてを疑ってかかる必要があります。そして、常に忘れてはならないことは、放射線被曝とは、特に恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)とは、危険極まりないものであるということです。だまされてはなりません。

 

●胎児と乳児の内部被ばく 国際放射線防護委員会のカラクリ- 長山淳哉/著 本・コミック : オンライン書店e-hon

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032937538&Action_id=121&Sza_id=C0

 

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 <前回お送りしたメール:「生物学的半減期」は信用できない、のエッセンス>

 少し前にお送りした私のメールで「生物学的半減期」について、若干のことを申し上げました。そのココロは、

 

(1)人間の「生物学的半減期」は(たぶん他の生物も)個体差が大きくてバラついており、おそらく正規分布さえしていないのではないか。

 

(2)「生物学的半減期」を経験科学的に実証した、統計学的に有意な実験・実証結果などは存在しない。つまり科学的根拠などない。

 

(3)人間の命や健康を扱う以上、誰に対しても共通に「安全の方向」で一定のことがクリアされていなければならない。従って、「生物学的半減期」であれば、これまで観測された数値の中で最も長いものを使い、それに「安全バッファ」を掛けて(×2~5倍)使うべきである。何故なら、「生物学的半減期」は内部被曝の計算根拠となっているからだ。

 

(4)しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)に代表される国際原子力マフィアや原子力ムラ・放射線ムラの御用人間・似非科学者たちは、何の科学的根拠もないままに、数の限られた観測値をベースにした「平均値」近傍の値を「生物学的半減期」に使用している様子がうかがわれる。これはインチキであると同時に、「生物学的半減期」が長い、内部被曝を他の人たちよりも多く受ける体質にある人たちの被爆の危険性を無視するものである。(注)

 

(5)更に、国際原子力マフィア・原子力ムラ・放射線ムラの御用人間・似非科学者たちは、一方では、自分たちの上記のような非科学性・非実証性を棚に上げ、他方では、チェルノブイリ原発事故で見られた放射線被曝被害者の疫学的・統計的報告を、ことごとく調査サンプル数の不足などを理由に「統計的に有意でない」と否定し続けている。要するに、被ばくの危険性を認めない方向にバイアスを掛けて、科学性の有無を「二枚舌」で「屁理屈付け」しているわけである。「統計的に有意でない」のは、国際原子力マフィアが打ち出す勧告類や被ばく評価、あるいはそのための概念類(たとえば「シーベルト」など)=がらくたジャーゴンなどである。インチキ科学にだまされてはならない。

 

 ということで、私は少し前のメールの最後に次のように書いております。これと同じことが、今回の長山淳哉元九州大学准教授の著書の記述からも言うことができます。

 

「私は、「生物学的半減期」なるものには、実証的・科学的根拠がほとんどないのではないか、と思っております(ひょっとすると、正規分布さえしていないかもしれません)。原子力ムラ・放射線ムラの連中が、チェルノブイリ原発事故後の多くの疫学的調査に対して、「調査数が少ない」などのナングセをつけて、放射線被曝による健康被害の深刻さを頭から否定しておりますが、私はそれをそもまま、この連中の「生物学的半減期」や、それを根拠に算定された「実効線量計数」に対して、投げつけてやりたいと思っております。」

 

「御用学者たちの言っている「生物学的半減期」や「実効線量計数」には、科学的・実証的根拠などありはしない、ちがう、あるのだ、というのなら、その科学的・実証的証拠を見せて見ろ、これが私が申し上げたいことです。」

 

注:1950年前後の欧米では、信じられないことだが、被験者を「安全だ」とだまして放射性物質を使った人体実験を行っていた様子がうかがわれ、長山淳哉元九州大学准教授の著書の中にも、いくつかその人体実験の結果が引用されて使われている。信じがたいことながら、常に原子力・放射能は、それを使う側による「支配」「抑圧」「権威・権力」の下での「加害」の道具であったことを忘れてはならない。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 <今回の内容のご紹介:胎児と乳児の放射性ヨウ素による被ばく>

 以下、長山淳哉九州大学准教授の著書の中の重要部分を抜き書きして、簡単なご紹介をいたします。

 

・・・・・・・

(1)放射性ヨウ素による被ばく(1):胎児の甲状腺での取り込み

「放射性ヨウ素は、胎児の甲状腺ができあがる前から、胎児の体内に蓄積します。このときには主に、肝臓と腸に存在します。」

「人間では妊娠11週という、かなり早い時期から機能しはじめます。」

 

「妊娠しているお母さんにヨウ素131を1回だけ投与し、その後一六時間から四八時間での、お母さんと胎児の甲状腺における放射能を比較した研究がいくつかあります。それによると、妊娠初期の三カ月では胎児の甲状腺のほうが1.5倍ほど高いだけでした。ところが、妊娠が進むにしたがって、胎児のほうが指数関数的に高くなります。たとえば、妊娠中期の3カ月ではお母さんの1.8倍になり、最後の三カ月では、7.5倍も高くなります。」

 

「慢性的な被ばくでは、最後の3カ月になるまで、胎児のほうが、お母さんよりも高くなることはないようです。」

「妊娠期間中、胎児の甲状腺ではヨウ素の濃度が上昇し、そして妊娠末期には、お母さんの甲状腺よりも三倍から十倍も高くなると考えられています」

 

「わずかに30名程度のデータにもとづいてえられたモデル曲線からの結果では、八週齢頃から、胎児の甲状腺はヨウ素を取り込みはじめます。取り込み率はグラフのように、次第に増加します。そして、妊娠末期、生まれてくる頃には、お母さんが摂取したヨウ素131の九パーセントが胎児の甲状腺に取り込まれるということです。」

 

「胎児には、お母さんよりも多量の甲状腺ホルモンが必要です。ですから、その分、胎児の甲状腺は、甲状腺ホルモンの材料であるヨウ素も必要なのです。そのために、胎児の甲状腺には放射性ヨウ素も濃縮されます。そして、それだけ、放射線による障害も受けることになります。」

 

「大人の場合、甲状腺の働きが高まるとバセドー病になり、逆に低下すると粘液水腫になります。つまり、これらの甲状腺ホルモンは体の基礎代謝を高めたり、低下させたりします。」

 

「ところが、胎児と乳幼児では、その作用はまったくちがっています。この時期に、甲状腺ホルモンが少ないと、とんでもないことになります。すなわち、身長が伸ぴず、知的障害におちいるのです。先天性甲状腺機能低下症、いわゆるクレチン症はそういう病気です。」

 

(田中一郎コメント:上記からわかることは、妊娠中は母体よりも胎児の方がヨウ素が重要な元素になっていて、放射性ヨウ素であっても大量に取り込み、胎児の甲状腺に集中濃縮してしまうため、被ばくの影響が大きく出るということです。)

 

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(2)放射性ヨウ素による被ばく(2):放射性ヨウ素に係る実効線量係数

「生物的半減期と物理的半減期(放射性核穫の原子の半数が崩壊するのに要する時間で、ヨウ素131の場合には8.04日)、そして甲状腺の重さのデータをモデル化した数式に入れ、コンピュータで乱数を用いてシミュレーションする(これをモンテカルロ法といいます)ことにより、実効線量係数がえられます。すなわち、1ベクレルの放射能にさらされた場合の被ばく量(シーベルト)を何回もシミュレーションします。通常は100万回とか、200万回シミュレーションして、ぞの平均値が実効線量係数になります。」

 

「これまで、幾度も、お話ししているように、甲状腺の重さにしても、生物的半減期にしても、一人ひとり、まったくちがっています。ということは、また、それらの数値にもとづいた実効線量係数があるということです。つまり、一人の人間には、その人固有の実効線量係数があり、それから、実効線量、つまり被ばく量を求めねばなりません。」

 

「ここで紹介したNRCやICRPが提案している実効線量係数は彼らが勝手に作つた図Ⅱー4のような標準人モデルにのみ適用できるものなのです。ですから、それは単なる基準値、目安でしかありません。」

 

「しかし、これはあくまでも、放射線への被ばく量の多少を知るだけのことです。放射線の影響をうけやすいかどうかという、感受性の問題とはまったく別の話で

す。被ばく量が多くても、影響をうけない人もいれば、少量の被ばくで、大変な障害をこうむる人もいるのです。人間とはとても複雑な生き物なのです。」

 

「実効線量係数のからくりとはこういうことです。これが科学という錦の御旗のもとに、権威づけられ、あたかも万人に通用する数値であるかのように、まかりとおっているのです。十分に注意してください。」

 

(参考)アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC) - Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E8%A6%8F%E5%88%B6%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

 

(田中一郎コメント:平均値や目安のようなものを万人に通用するかのごとく装う放射線被曝詐欺=これが頭狂(東京)大学を筆頭とする放射線ムラ似非学者群の正体です。しかも何度も申しあげているように、そこに経験科学的な実証・実験などありません。そして、上記で大事なことは、長山氏が「感受性の問題とはまったく別の話」と言及していることです。事態は個々人の感受性いかんにかかわらず、大きな格差があるということであり、実際には、それに加えて「放射線感受性」の個体差が加わって、もっと複雑なことになる、ということを意味しています。放射線被曝の危険性は、これまで科学的・実証的に、きちんと評価されたためしがありません)

 

・・・・・・・・・

(3)放射性ヨウ素による被ばく(3):ICRPが評価する母乳からの放射性ヨウ素被爆

 幼い子どもが放射性ヨウ素で被ばくするのは、①胎児の時代に母体から入り込む放射性ヨウ素による被ばく(胎児の甲状腺被ばく)、②乳幼児自身の外部被曝、及び呼吸内部被曝、③母乳による内部被曝、の3つに大きく区分できます。この章は③についての話です。

 

「ICRPでは、いくつかのデータから、お母さんが食べたヨウ素131は摂取後九時間で、母乳への移行率が最高になり、その後、徐々に低下して、摂取後二日で移行がおわるとしています。また、ヨウ素131の物理的半減期は8日ですが、生物的半減期も考慮した、実効半減期は12時間としています。」

 

「急性摂取の場合、妊娠前二六週、つまり妊娠半年前から妊娠一五週までに、1ベクレルのヨウ素131を一度に食べても、母乳からの被ばくには、ほとんど影響がありません。それは、実効半減期が短いので、出産するまでに、ほとんどが体外に排推されるからです。」

 

「しかし、妊娠三五週にとると、一部が出産後まで体内に残留し、母乳からの被ぱくが無視できなくなり、e(母乳)は0.14×10の-6乗ミリシーベルトになります。

 

「やはり、出産後に1ベクレルのヨウ素131を一度にとった場合の被ばく量がもっとも多くなります。それは、産後のいずれの時期でも同じで、5.6×10のー5乗ミリシーベルトになるということです。慢性摂取では、妊娠中の三八週間にわたって、総量で1ベクレルのヨウ素131を毎日、均等に継続して食べると、母乳からの被ばく量は無視できません。しかし、妊娠三五週で、一度にとったときの被ばく量の五分の一ほどで、0.031×10のー6乗ミリシーベルトです。」

 

「ここで問題を二つ指摘しておきます。まず一つ目です。ICRPのモデルでは赤ちゃんの放射性核種の腸や甲状線での吸収率は、生後三カ月児のものが用いられています。しかし、出生直後には、腸での吸収は、それよりも1.6倍ほど高く、その後、徐々に低不します。」

 

「二つ目は、出生後まもない赤ちゃんの甲状腺でのヨウ素131の取り込みも、生後三カ月児よりも二倍ほど高いということです。

 

「ヨウ素131の場合には、出産間近から授乳中にお母さんが摂取したとき、赤ちゃんの被ぱくが大きくなる、ということです。」

 

(田中一郎コメント:妊婦さんには、原発過酷事故の際には真っ先に逃げていただき、また、放射能汚染地域からは、ただちに避難していただきたいのは、上記のようなことがあるからです。子どもにとっては母体や母乳は命の源ですが、そこから放射性物質が子どもに贈られるというのは、耐え難い悲劇です。特に、出生直前・直後が放射線被曝に対して非常に危ないことがわかります)

 

 最後に「気をつけよう、暗い夜道と、放射能」

早々

 

 

2014年2月14日 (金)

週刊金曜日は「福島エートス」のまねごとを始めたのか? 疑問多い新連載マンガ「郡山もんもんライフ」

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

 硬派の権力批判で著名な雑誌『週刊金曜日』に,先月(20141月)から新連載マンガ「郡山もんもんライフ」(別添PDFファイル)が掲載されはじめた。毎週ではなく,どうも月1回の連載マンガのようで,今月号は今週214日号に第2回目が掲載されている。原発を巡る出鱈目な「構造(レジーム)」に対して厳しい論陣を張ってきた同誌なので,この漫画もまた,期待ができるのではないかと思い,目を通してみたが,驚くべきか,その内容について逆の印象を強くしてしまった。

 

 一言でいえば,放射線被曝,とりわけ恒常的な低線量被曝に関する認識が甘いとしか言いようがない記述が散見されている。特に第1号(2014.1)は,タチの悪い原子力ムラ・放射線ムラの御用人間の言うことのマンガ版のような内容になっており,私はこれを見た時に,「おそらくこれは,第1号だから,問題提起として,こんなことでほんとうにいいの? という,疑問符付きの事例として最初に描いたのではないか」と思っていた。

 

 しかし,今週号の第2号のマンガを見て,そうではないことがわかって驚いた。前回のマンガはそれで「読み切り」となって終了し,今週は別の話になっている。つまり,前回の話は,簡単に言えば「福島県産の食べ物に放射能汚染の懸念があったが,しっかり検査されているはずだし,流通している物は安心だから,県産品を信じて食べよう,そうして若干の心配があったけれども、WBCで内部被曝を測ってみたら低かったので,もう安心だ」と,まあ,こんなストリーになって,完全に終わってしまっているということだ。つまり,福島県のみなさま,県産品についてご心配には及びません,安全は確保されていますから,安心してお食べください,というメッセージを送るような格好になっているわけである。

 

 だが,事実はそうではないことは,もう繰り返すまでもない。農産物・林産物はロクすっぽ検査されていないし,しかも,検査されているのは放射性セシウムだけにすぎない。また,居住に伴う呼吸被曝の懸念は続いているし,県内あちらこちらが危険なホット・スポットだらけである。WBCでは足切り水準が高すぎて人間の内部被曝の実態は分からないし,そもそも,内部被曝の場合に危険なベータ核種やアルファ核種による内部被曝はわからない。尿検査の方がよほど精密で正確だし,その他の検査を組み合わせないと,被曝実態の把握は難しい。しかし,こんなことは,これまで散々言われてきたことだ,『週刊金曜日』は,そういう福島県及び放射能汚染地帯にされてしまった地域のことについて,こと放射能汚染や放射線被曝に関しては,今まで誰が何を言おうと,馬耳東風でやってきたということなのか。

 

 今週号の「その2」は除染についての話で,それ自体は前回ほどひどい内容でない。しかし,最後のところが看過できない。そのまま書いてみよう。(除染によって空間線量は除染前の半分くらいに下がって,0.140.30マイクロシーベルト/時となった)「香港は0.23μSv/h,ロッテルダムは0.33μSv/h,香港かロッテルダムに住んでいるつもりで暮らそう」などと書いて,漫画を終わっている。要するに,そこそこ下がったのだから,我慢して住み続けろよ,という意味に受け取れる。

 

 要するにこの漫画,放射能汚染と放射線被曝について,とりわけ恒常的な低線量被曝(外部被曝・内部被曝)についての認識が甘いのだ。しかも,何故,福島県をはじめ,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」によって放射能で汚染された地域に住んでいた人達が,理不尽にも,その事故による放射能で被曝させ続けられねばならぬのか,その理不尽さに対する怒りや拒否感も弱い。だから,掲載漫画(その1)(その2)で見られるような,まるで放射能汚染と放射線被曝が,被害者の人達にとっては,避けることのできない半ば運命であるかのごとき,いたしかたのない,受け入れざるを得ない,やむを得ない,避けられないものとして描かれ,最後はそれにもたれかかるようにして,仔細の真実から目をそらすようにして物語を終わっているのではないのか(わずかばかりの精神的な安定感や,中身のむなしい安心感を演出しながらではあるが)。

 

 私から『週刊金曜日』の編集部に電話で抗議をしたが話にならなかった。『週刊金曜日』もまた,他人に厳しく自分に甘い,世に多く存在する俗物組織の1つにすぎないのかもしれない。しかし,『週刊金曜日』がどうであれ,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」に伴う放射能汚染と放射線被曝の危険性の軽視や矮小化は絶対に許すわけにはない。放射線被曝に対して甘い「同情」を囁きながら,自助自立でその被ばくを克服できる,猛烈な線量と放射線被曝環境であっても,自己測定や被ばくの日常的な低減化,あるいは精神的な堅固さと安定さえ保てば,人間は放射能・放射線被曝・原発過酷事故とでも共存していけるのだという「教え」をとく,現代の悪魔教=それが「フクシマ・エートス」だが,この漫画は,その一翼を担っていると言えなくもない。あの『週刊金曜日』が掲載している漫画が,被ばくの軽視や矮小化に対する批判に馬耳東風で,その片棒を担ごうというのだから,私には信じがたいものがある。

 

 『週刊金曜日』の編集部の諸君。何ゆえに,福島県をはじめ,被害地域の人達が,放射能汚染に曝され,従ってまた,恒常的な低線量被曝を押し付けられ続けなければならないのか,その根本のところから考えれば,こうした漫画の掲載は許されない,ということが理解できるのではないのか? 基本は「すべてを事故前の状態に戻せ」ということであり,それに向けて全力が尽くされていればともかく,こと放射線被曝については,インチキの上に手抜き・切捨てが行われている現状を前に,認識が甘すぎるのではないか。

 

 原発・核燃料施設の再稼働を含む原発に関しては激辛の論陣を張る人間達が,こと放射線被曝や放射能の問題になると,たちまち,甘い態度を示し始める。そんなことで脱原発など,できるはずもない,と申し上げておこう。放射線被曝がある程度やむを得ないのなら,危険度が低い原発を少々稼働させたって,いいではないか,という議論に結びついていくのは自明のことではないのか。脱原発は脱被曝と一心同体であることを忘れてもらっては困るのだ。

早々

 

 

福島の魚 安全性アピール,福島県漁連が試験操業の紹介HP開設、=でも、ほんとうに安全と言えるのでしょうか?

前略,田中一郎です。

 

 昨日(2/13)付の読売新聞夕刊に「福島の魚 安全性アピール,試験操業の紹介HP開設」という記事が掲載されました。記事に紹介されているサイトは下記です。

 

●福島県における魚介類の試験操業に関するポータルサイトです

 http://www.jf-net.ne.jp/fsgyoren/siso/sisotop.html

 

●Q&A

 http://www.jf-net.ne.jp/fsgyoren/siso/QA.html

 

●JF福島漁連

 http://www.jf-net.ne.jp/fsgyoren/

 

 このサイトには、例えば下記のような説明がありますが(上記「Q&A」参照),それがいかほどの説得力を持っているかです。少なくとも,私に対しては,ほとんど説得力を持ちません。

 

 何故なら、

(1)放射性セシウムを含めて、大量の様々な放射性物質・核種が海洋に放出された場合の海洋生態系への影響や、海産物の汚染についての実態は、短期的にはともかく、中長期的にどうなのかは、ほとんどわかっておりません。

 

(2)とりわけ危険な放射性ストロンチウムなどのベータ核種や、ウラン・プルトニウムなどのアルファ核種の影響(海藻を含む生物への蓄積・濃縮の度合いや、その食物連鎖による更なる濃縮の状況、あるいは、局所的な放射性物質の集中蓄積など)は、ほとんど経験知がありません。

 

(3)福島第1原発からは、事故後3年間、猛烈な放射性物質が垂れ流しになっていたことがだんだんと明らかになってきており、かつ、昨今では、放射性ストロンチウムの計測値が実際の1/10にまで小さく矮小化されて報告されていたことも明らかになっています。放射能汚染が続いている中で、放射性セシウムだけを、わずかばかりの漁獲物について検査をして、それで安全だなどとはとても言えないと思われます。

 

(4)今現在、海洋生物や漁獲物・海藻類についてわかっていることは、あくまでも断片的で、狭い経験の中で得られた経験知や情報にすぎません。そうした経験知や情報から放射線被曝の危険性を避けることは、安全確保のための必要条件ではありますが、しかし、それだけをやっていれば大丈夫であるとは言えないのです=いわば、十分条件ではない安全対策であると言えます。要するに、原発過酷事故による海洋生物の大規模な汚染についての、体系だった詳細で正確な経験的知見などは、これまで存在していないということであり、従ってまた、それだけ何事についても慎重でなければならないということを意味しています。

 

 具体的には、たとえば、放射性ストロンチウムについて言えば、魚の骨や甲殻類のカラ、あるいは貝殻などに蓄積している可能性があることは既に分かっているのですから、東日本の太平洋側で、広範囲にそうした魚介類を捕獲しては、そうした部位の放射性ストロンチウム汚染状況を継続的に検査すれば済む話です。また、放射性銀など、放射性セシウム以外のガンマ核種についても、いろいろな海洋生物をつかまえては計測してみればいい話です。 

 

 要するに、屁理屈をつべこべいわずに,放射能の検査体制を充実させて,あらゆる魚介類や海藻を詳細・綿密に調べればいいのです。もちろん放射性セシウムだけでなく,放射性ストロンチウムやプルトニウム等を含む,福島第1原発から放出されたすべての放射性核種について,継続的に徹底して検査・測定するということです。調べもしないで,何が安全ですか!?

 

 下記URLの”おしどりマコ”さんのレポートにあるように,福島第1原発からは,海へ猛烈な放射性物質が事故後3年間にわたって流出し続けており,しかもそれが,東京電力や政府によって隠蔽・矮小化されてきています。かような状態が続いている中で,漁業を操業するなどということは許されていいはずがありません。一部の水産業者は,産地偽装までして売りさばいているという話も聞こえてきています。

 

 もちろん,福島だけでなく,北は青森から南は千葉くらいまでの海域での操業を停止した場合の損失に関する賠償・補償については万全に実施されなければなりませんし,失ったものを金銭で補填するだけでなく,新たな海域での漁業再開と漁業経営の再建,あるいは水産関係業者の経営再建が確保されなければならないことも言うまでもありません。

 

 出鱈目・いい加減な安全管理が原因で大事故を起こした原発の,事故後の賠償・補償や安全管理をロクすっぽ行わずに,危険極まる漁獲物を,さも安全であるかのごとき体裁をとって販売させることにより,賠償・補償を踏み倒し,無用の放射線被曝を消費者・国民に強制し,そして,福島第1原発事故は結局は大したことはなかったことにする,放射能汚染や被ばくも懸念するには及ばないことにしてしまう、そういう原子力ムラ・放射線ムラ代理店政府の隠された意図が,この試験操業から透けて見えています。

 

●地下水中のストロンチウム90500万Bq/L、半年後に初めて発表!?(おしどりマコ)DAILY NOBORDER

 http://no-border.asia/archives/19000

 

(上記サイトから抜粋)

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Q12 イカ・タコ類は放射性銀が多いと聞きます。銀の検査は実施しないのですか?

 

A12 放射性銀は、半減期が252日と短く、セシウム137に比べ実効線量率が成人で5分の1であること、銀は血液にヘモシアニンを含む軟体動物や節足動物の肝臓に蓄積することが分かっています。この肝臓を日常的に大量に摂取することは考えにくいことと、ヒトはヘモシアニンを持たないことから、国は規制を設けなくても人体への影響は殆ど生じないと判断しています。なお、半減期が1年未満の核種について、国は管理の対象としておりません。これらのことから、放射性銀の検査は実施しないこととしております。

 

Q13 ストロンチウムは検査しないのですか?

 

A13 国では、放射性セシウム以外の核種(ストロンチウム、プルトニウム等)は、測定に時間がかかるため、これらの放射能の指標としてセシウム134とセシウム137の合計値を用いることとしております。食品中のセシウムの基準値を設定する際には、セシウム以外の核種が含まれている可能性も考慮し、十分安全側に立った値を設定しているため、セシウムの数値を注視していけば、他核種についても問題がないとしております。

なお、国や東京電力がストロンチウムを測定した例がありますが、いずれも非常に小さい値で、セシウム137濃度の千分の一程度でした。

 

Q14 トリチウムは検査しないのですか?

 

A14 トリチウムについては、国が定める食品中の放射性物質の基準値に該当しないので、現時点では検査の予定はありません。なお、漁場における海水中のトリチウムについては、県や東京電力が検査を行っており、不検出であることを確認しております。トリチウムは弱いβ線しか放出しないため、人体への放射性物質の影響は、同濃度のセシウム-137と比べると、約700分の1です。

 

Q15 全βは検査しないのですか?

 

A15 全βはストロンチウムの目安として測定されています。

漁場における海水の全βは、不検出又は非常に小さな値で、震災前と変わらない状況にあります。魚介類へのストロンチウムの影響については、ストロンチウムの項目を参照してください。

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早々

 

 

(参考)「いちろうちゃんのブログ」より

●(必見)岩波新書 『県民健康管理調査の闇』の著者・日野行介氏の迫真の講演です いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-90f5.html

 

●虚構の「アベノミクス」:「何のための「負担増」か?」(アベノミクスの1年とこれから)(岩波月刊誌『世界 2014.3』の山家悠紀夫氏論文より) いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/1-20143-f1a2.html

 

●汚染水,みんなで捨てれば,怖くない???? 冗談だろう!!! いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-e3f1.html

 

●原発で大事故が起きても避難などできません いちろうちゃんのブログ

http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-a15c.html

 

原発で大事故が起きても避難などできません

 

前略,田中一郎です。

 

 

 下記は関西の脱原発市民団体のHPに掲載された原発事故時の避難計画に関する簡単なレポートです。ご覧になれば即座にお分かりの通り,原発が大事故を起こした場合には,周辺住民は避難などできるはずもないことがよく分かりますし,また,国や電力会社が周辺住民の(避難を含む)身の安全のことなど歯牙にもかけていないことも分かります。

 

 

 原発過酷事故時の避難計画など,何のリアリティもない,バカバカしい作文・塗り絵にすぎません。それはまるで,アジア太平洋戦争下の大日本帝国が,米軍の本土攻撃に対して備えた「本土決戦作戦」といい勝負の,全くの「お笑い草」のよもやま話の類です。原発大事故時には,かような避難計画を持ち出すよりも,イワシの頭に向かって数珠をすり合わせる方が,よほど見識があると言える代物です。

 

 

●美浜の会HP

 

「電力会社の重大事故シナリオでは、避難できない 2月5日政府回答で明らかに(2月10日)」

 

 http://www.jca.apc.org/mihama/

 

 

 (原子力ムラ・放射線ムラの人間達にとっては)要するに,原発周辺の地域住民など,つかみ金で買収しておけばそれでよろしいのであって,あとは自民党の原子力ムラ代理店業務員に尽力してもらい,原発の再稼働を強引に推し進めて行けばいい,原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は,そのための「安全確認審査」の儀式=再稼働のためのすそ払いをやるところであり,適当なタイミングを見計らって「十分な審査を行ったので,安全性は格段に高まった」と,のたまわってくれればいい,ということを暗黙に示しているのです。

 

 

 もちろん,原子力「寄生」委員会・「寄生」庁は,各原発立地地域の原子力防災計画=過酷事故時の避難計画について責任を持たず,地元自治体に丸投げをしています。その地元自治体は,絵に描いた餅のような計画をつくり,その中に「公共土建事業」や「ハコモノ建設」など,かねてよりの利権事業を織り込むことで,原発タカリ対応を展開し,電力会社や政府の意図どおりに地域住民の命と健康を棚上げにして,つかみ金で喜ぶという,これまで繰り返してきた醜悪なる「地方原子力政治」を繰り返します。いざとなったら,国が助けてくれる,まだ,かようなことを固く信じているのかもしれません。

 

 

 そして,原発・核燃料施設の過酷事故は必ず起きます。しかも今度は,福島第1原発のように「不幸中の幸い」ではすまない,日本という国を滅ぼす規模の巨大事故になるであろうこと必至です。原発・核燃料施設を止めるのは「今しかない」のです。地域住民は,原発が再稼働したら最後,そのまま地獄への片道切符となることを覚悟した方がいいでしょう。そして,遠く離れているから大丈夫だなどと思っている大都市住民もまた,同じ運命にあります。およそこの狭い島国日本に,原発・核燃料施設の過酷事故から安全な地域など存在しないのです。

 

 

 いよいよ原子力ムラ・放射線ムラとの原発再稼働を巡る「最終戦争」の一つの山場が訪れようとしています。山の上から模様眺めをしながら評論家稼業をしている一部の市民活動家や政党人たちには,この危機的状況を打ち破っていくことはできないであろうことを強調しておきたいと思います。動いて変えよ,フクシマの怒りと悲しみを忘れるな,福島第1原発事故による犠牲者に報いる道はそれしかないと思います。

 

 

●浜岡事故時の避難先 確保難航(中日新聞プラス) - goo ニュース

 

 http://news.goo.ne.jp/article/chuplus/region/chuplus-CK2014021402000189.html

 

(浜岡原発も若狭湾と同じく、周辺住民には逃げるところがありません。そもそも同原発は南を海に、東西を2つの大河川にはさまれて立地しており、大地震・大津波の場合には、おそらくは2つの大河川を渡る橋梁が落下して、周辺住民は「袋の中に閉じ込められる状態」で身動きが取れなくなると言われています。避難計画など、絵にかいた餅にさえもなりえません。その他の原発でも、皆、同じようなものです)

 

 

<追:福井県・水晶浜からの風向き調査プロジェクト報告(2012 3 3実施)>

 

 上記に関連して,別添PDFファイルを参考資料としてお送りします。

 

 

 若狭湾の美浜原発・高速増殖炉「もんじゅ」付近から,大量の風船を飛ばし,それがどこに着地するかを実験的に見たものです。結果はご覧のとおりで,もし美浜原発や敦賀原発,あるいは高速増殖炉「もんじゅ」などの若狭湾原発銀座の核施設が大事故となった場合,あっという間に岐阜県の中心部は放射能で壊滅し,更にその被害は,愛知県や名古屋市にも及ぶこと必定であることが分かります。

 

 

 この実験は風船だからいいようなものの,実際の放射性物質だった場合には,中京地区が壊滅したであろうことは火を見るより明らかだと思われます。名古屋市と伊勢湾は,ちょうど「盆地」のような地形をしており,若狭湾から噴き出てきた放射性物質は,この地域で集中滞留しやすい傾向にあることがこの実験で分かります。

 

 

 もちろん,若狭湾沿岸では,1つの原発・核燃料施設でも過酷事故を起こして周辺環境を放射能で汚してしまえば,人間が近づけなくなって,手も当てられない状態となってしまいます。全部で14基の原発・核燃料施設を1つの湾の沿岸に集中してつくるなど狂気の仕業としか思えません。

 

「FUUSENNJIKKENN.pdf」をダウンロード

早々

2014年2月13日 (木)

(必見)岩波新書 『県民健康管理調査の闇』の著者・日野行介氏の迫真の講演です

前略,田中一郎です。

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

昨日、たんぽぽ舎で、岩波新書『県民健康管理調査の闇』の著者・日野行介氏の迫真の講演がありました。下記が、その時のVTRと、日野記者の昨今の報道内容(「子ども被災者支援法」関連)をご紹介するものです。(ユープラン 三輪祐児さんご提供)

 

1.20140212 UPLAN 日野行介「福島県民健康管理調査の闇」(下記は、岩波新書『県民健康管理調査の闇』の著者・日野行介氏(毎日新聞記者)の迫真の講演です。お見逃しなく)

 http://www.youtube.com/watch?v=wi7eDydFd7k

 

●『福島原発事故県民健康管理調査の闇』(岩波新書:新赤版,日野行介/著)

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000032981090&Action_id=121&Sza_id=B0

 

●福島県ホームページ - 組織別 - 県民健康管理調査検討委員会

http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809

 

●ユープラン 三輪祐児

 http://www.youtube.com/user/77209088/videos

 

2.内閣府被災者支援チームのチェルノブイリ視察秘密報告書(毎日新聞:2013.12

 上記に関連して,毎日新聞・日野行介記者が昨今執筆した記事が別添PDFファイル(及び下記URL)です。2013121日以降,5回のシリーズで掲載されています。

 

 <別添PDFファイル>

(1)内閣府被災者支援チームのチェルノブイリ視察秘密報告書(前)(毎日新聞:2013 12

(2)内閣府被災者支援チームのチェルノブイリ視察秘密報告書(後)(毎日新聞:2013 12

 

 簡単に申し上げれば,本来は福島第1原発事故の被害者を全力で支援すべき「内閣府・原子力被災者生活支援チーム」のスタッフたちが,復興庁の役人達とともに20123月にロシア,ベラルーシ,ウクライナのチェルノブイリ原発事故で被害にあった国々を視察,その報告書で,チェルノブイリ法や「子ども・被災者支援法」の基本的な考え方や施策をことごとく,屁理屈を付けて否定していたというものです。

 

 調査視察団長は菅原郁郎という経済産業省の役人で(写真が下記URLのサイトにあり),現地の各政府関係者や研究者から聞き取りを行ったといいます。この報告書は作成後もずっと秘密にされて(一部の議員や役人,原発推進の御用有識者たちには配布されていた)いましたが,今般,毎日新聞の情報公開請求により明らかになったものです。

 

 しかも,公開請求で出てきた報告書は,その日付が「子ども・被災者支援法」成立の20126月よりも2か月以上後の20128月とされていました。しかし,実際には,この報告書はもっと早く作成されていて,陰に隠れて「子ども・被災者支援法」つぶしに使われていたようです。報告書の中では,実際には現地調査されていないにもかかわらず、あの悪魔の施策「エートス・プロジェクト」も紹介されているとのことです。

 

 今現在,この内閣府の「原子力被災者生活支援チーム」は,復興庁と同じ会館の中にいて,被災者支援を棚にあげたまま,ただひたすら避難区域の再編=避難者の帰還と損害賠償の打ち切り,被害者の切り捨てと健康被害のもみ消し、除染の手抜き・省略と放射能汚染ゴミの押し付けなどに尽力をしているようです。許し難いものがあります。

 

 「復興を問う:第2部 消えた法の理念」と題されたシリーズ記事の「その1」末尾には,「「避難」「居住」「帰還」のいずれの選択も尊重し,被災者を幅広く支援するという支援法の理念はなぜ基本方針から消えたのか。原発事故被災地の復興とも関わる法律が被災者に一切知らされないまま骨抜きにされていくプロセスを追った」と記載されている。是非,ご一読を。

 

●復興を問う東日本大震災 内閣府チェルノブイリ視察 支援法理念、報告書で否定 原発推進派に配布 - 毎日新聞

(1)http://mainichi.jp/shimen/news/20131201ddm001040215000c.html

(2)http://mainichi.jp/shimen/news/20131201ddm041040060000c.html

(3)http://mainichi.jp/shimen/news/20131202ddm041040073000c.html

(4)http://mainichi.jp/shimen/news/20131203ddm041040065000c.html

(5)http://mainichi.jp/graph/2013/12/05/20131205ddm041040056000c/001.html

(6)http://mainichi.jp/shimen/news/20131208ddm041040044000c.html

 

●チェルノブイリ法の否定ありきか?内閣府の現地視察報告書を公開

 http://blogos.com/article/74996/

 

●内閣府チェルノブイリ視察は支援法を殺すことが目的だった!! とある原発の溶融貫通(メルトスルー)

 http://blog.livedoor.jp/home_make-toaru/archives/7434613.html

 

●【復興庁統括官の放射線安全基準論】 - Togetterまとめ

http://togetter.com/li/550094#_methods=onPlusOne%2C_ready%2C_close%2C_open%2C_resizeMe%2C_renderstart%2Concircled%2Cdrefresh%2Cerefresh%2Conload&id=I0_1392275652195&parent=http%3A%2F%2Ftogetter.com&pfname=&rpctoken=62285592

早々

 

2014年2月12日 (水)

虚構の「アベノミクス」:「何のための「負担増」か?」(アベノミクスの1年とこれから)(岩波月刊誌『世界 2014.3』の山家悠紀夫氏論文より)

前略,田中一郎です。

 別添PDFファイルは,岩波月刊誌『世界』の今月号(20143月)に掲載されました山家悠紀夫氏の論文です。かねてより私が「ミカケダオシノミクス」だと申し上げている「アベノミクス」について,政権発足以降1年間を振り返っての,その政策の実態と政策効果について論じられています。

 山家悠紀夫氏がこの小論文の中で展開されているように,「アベノミクス」と,その実態を,具体的な政策内容や経済統計数値などをきちんとつかまえることによって評価すれば,何のことはない,この政策が,今まで失敗に失敗を重ねてきた金融・財政政策の上に,若い世代を中心に日本の勤労者を無権利状態に陥れて,一握りの大資本や大企業・外国資本の利益のために酷使しようとする,とんでもない反有権者・国民的政策=ブラック企業ご優待政策であることがわかります。

 情緒的に,○○ミクス,とネーミングすれば,汚染物でもきれいになるかのごとき「言葉遊び」で虚飾し,実際にやっていることは,政策の中身のことなどそっちのけで,安倍晋三・自民党政権という時の権力に尻尾を振っているだけの,ほんとうに情けない,ちょこざいな人間達が増えてきました。とりわけ,読売新聞とNHKを筆頭格とする「巨大粗大ごみ」と化したマスごみ諸君たちには,しかと眼を開けて,この山家悠紀夫氏の小論文を読んでみろ,と申し上げたい次第です。まさに,「アベノミクス」ならぬ「アホノミクス」ではないでしょうか。

 以下,山家悠紀夫氏のきらりと光る小論文を,エッセンス部分を抜き書きしつつ,私のコメントも付しながらご紹介いたします。

 <別添PDFファイル:添付できませんでした>
アベノミクスの1年とこれから:何のための負担増か (山家悠紀夫 『世界 2014.3』)
 http://www.iwanami.co.jp/sekai/2014/03/directory.html

(1)本稿の課題
 一つは「アベノミクス」を始めとする安倍政権の経済政策の下で日本経済がどう変わったか、これからどうなるかということである。二つは、この1年の実績を見、先行きを予想したうえで「アベノミクス」をどう評価するかということである。三つは、安倍政権の下で人々の暮らしはどうなっているか、これからどうなっていくかということである。

(2)三本の矢=これまでの政策の二番煎じ・三番煎じにすぎず
 「アベノミクス」は,大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」で構成されているという。しかし,

 経済再生とは何を指すのか、デフレと円高から抜け出すことなのか、なぜ「三本の矢」で経済再生が可能なのか、そもそも「三本の矢」自体がこれまでの政策の延長線上にある政策ではないか、例えば、金融政策について言えば、すでに長年にわたり日本では超緩和政策(先進国中最低の金利、GDP比で見て最大規模の量的緩和)が実施されているではないか、また,財政政策について言えば、大規模な公共投資(小渕内閣時、またリーマンショック時)が行われていたではないか、さらに成長戦略について言えば、小泉内閣以来の「構造改革」がそうではなかったか。

(3)内容不明の「成長戦略」
 もっとも、そのうち「第三の矢」(成長戦略)については、20141月現在、未だ構想が発表されただけの段階にあり、実際に放たれたのは「第一の矢」(大胆な金融政策)と「第二の矢」(機動的な財政政策)の二つである。

(4)「大胆な金融政策」とその帰結
 まずは「第一の矢」についてである。日本銀行は、20134月に『量的・質的金融緩和』の導入について」と題する文書を公表した。その要点は、
消費者物価の上昇率2%という目標を掲げる、その実現のために民間銀行に年間60~70兆円の資金を供給する、資金供給の主たる手段は民間銀行の保有する国債を買い上げることである、というものであった。(そして,それはその通りに実施された)

 この間の民間銀行の貸出金の残高は434兆円から441兆円へ、7兆円の増加に止まっている。同期間に、民間銀行の預金残高は613兆円から630兆円に、17兆円増加している。貸出金の増加を上回る預金の増加があったということである。

 つまり、こういうことである。「大胆な金融政策」のもと、日本銀行が民間銀行への資金供給を増やせば,それによって民間銀行は貸出を増やす、結果として民間企業や個人の保有する資金が増え、その資金が投資や消費に向けられ民間需要が増える、すなわち景気が良くなる、デフレが解消に向かう。これが「大胆な金融政策」の論理であった。しかし、そうしたことは少しも起こらず、日本銀行が供給した資金は,ただ民間銀行の余剰資金となり、空しく民間銀行の手元に止まっている。したがって、日本経済の再生、もしくはデフレからの脱却には全く役に立っていない、ということである。

(こんなことは,1990年代の終わりころからはじまった超金融緩和政策が,何の経済回復効果を持たなかったことから,既に明確・明白なことである。愚かな俗物経済学者達は,いわゆるマネタリズムの誤謬が明らかとなるのを恐れ,金融政策の失敗を認めたくないがために,様々なナングセを金融政策以外の財政政策その他の経済政策に付けて物事をかく乱・複雑化させ,他方では,効果がない超金融緩和政策を,まだたりない,まだたりない,とわめき続けている。

 この愚かさにようやく気がつき始めたのがアメリカの金融当局だが(金融政策の方向転換のタイミングと,そのさじ加減を見計らっているところ),しかし,市中からの巨額の資産購入による中央銀行のバランスシート膨張の解消と,超低金利の正常化へ向けたアクションは,なかなか容易には取りにくく,金融市場の混乱を回避しながら,少しずつ資産処分を進めて,金融政策のアンワインドをしていかなくてはならない。政策効果がないだけでなく,様々な弊害をもたらした超金融緩和・量的金融緩和を,元へ戻すことさえ大きな負担・負荷となるという,バカバカしくも困難な政策コントロールが,これから政策当局を悩まし続けることになる。しかし,日本では,この「アホノミクス」を,まだこれからもやり続けようとしているのだから,呆れる限りである)

(5)副次的な効果としての株高・円安
 ただし「大胆な金融政策」は、想定されたルートではなく、別のルートで日本経済に影響を及ぼすことになった。著しい株高・円安をもたらしたことがそれである。
 
 日経平均株価 10,000円 
 15,000
 円相場    1ドル=84円 
 105

 こうした株高・円安については、「大胆な金融政策」の発動前から始まっていたこと、また株高について見れば、市場の買い手がもっぱら外国人投資家であることからも分かるように、「大胆な金融政策」の結果というよりも、むしろ、その政策により株高・円安が進むであろうとの市場の「期待」によるものと言える(=「アベノミクス」宣伝を利用した投機筋の「仕掛け」によるもの=だから長続きはしない)。

 大手金融機関、大企業などは巨額の評価益,また、富裕層にあっては、評価益や売買益の発生があり、高額商品の購買が増えるということもあった。円安によっては、輸出企業(自動車など)がその恩恵を受けた。

 他面で、円安は、中小企業にあっては輸入原材料価格の上昇を販売価格に転嫁しづらく経営が厳しくなっている、暮らしの立場からは物価上昇が生じて生活が厳しくなっている、等といった問題を引き起こしている。これらについては政策面での対応が必要なところだが,目下のところ、安倍政権にその意図はなさそうである。

 一部「アベノミクス」によると思われる株高・円安は2013年の前半でほぼ終了,201311月以降の株高・円安は,上記で申し上げたアメリカの脱超金融緩和政策を受けたもの。但し,株高については雲行きが怪しくなってきている。

(6)止められなくなってきた「第二の矢」(公共事業の拡大)
 「国土強靭化政策」等と称して,安倍晋三政権及びそれにからみつく自民党・公明党のゴロツキ政治家達は,再び利権・土建の甘い汁を吸わんがため,経済効果が乏しくなって久しい公共事業に大盤振る舞いをし始めた。2020年オリンピックや東日本大震災復興,あるいは沖縄振興対策などはその典型である。まるでシロアリがたかるがごとしである。

 我々有権者・国民の日常生活に直結する公共事業ならばともかく,そうした地道なインフラ整備や修繕・修復はそっちのけで,ゼネコンが泣いて喜ぶような不要不急の施設建設や道路整備,あるいは巨大プロジェクト,こりないダム建設や港湾整備・埋め立て・防潮堤建設などに邁進している。その財政資金の使い方たるや,目も当てられない。2009年民主党政権成立直前よりも,さらに出鱈目な財政の使い方が目に余る。

 公共事業による財政支出の問題点は,今さら申し上げるまでもないところだが,一つは、その波及効果が小さく、公共事業を行ったその期はいいが、効果がその期だけに止まる、このため、景気を持続させていくためにはたえず相応の増加予算を組んでいかねばならない。二つは、財源の問題である。公共事業を増やせば増やすほど財政赤字は膨らむという問題がある。そのツケをどうするか。三つに、環境破壊の問題もある。そして,安倍政権は、これらの問題をとりあえずは無視すると決めたようである。

(7)景気はどうだったか。どうなっているか
 要するに、基調にあるのは通常の景気循環である。株高、円安という「第一の矢」の副次的効果による消費の増加、「第二の矢」による公的需要の増加など、政策が寄与しているということはあるとしても、殊更にアベノミクスの功績というほどのことではない。しかも、回復後の動きについては、すでに足元で弱くなっているという現実がある。

 景気が回復している、そのことに力があったかどうかという視点からしても、また安倍政権の本来の狙い(長期不況からの脱出)という視点からしても、アベノミクスが成功しているとはいい難い状況である。

(8)「成長戦略」は「構造改革」政策の継続、焼き直し
 安倍政権は、内閣発足直後「日本を『世界で一番企業が活動しやすい国』にする」との目標を掲げた。そのために「財政、税制、規制改革、金融政策などのツールを駆使」する、という。何のことはない,下記に見るように,竹中・小泉市場原理主義「構造改革」の焼き直し,いや,更にグロテスクで露骨な「1%のための99%切捨て政策」こそが,安倍晋三政権が打ち出している「成長戦略」に他ならない。「成長」するのは1%の大資本・外国資本・投資ファンド・富裕層などであり,そのためにむしり取られるのが99%の有権者・国民・消費者という構図だ。

 その政策は、すでに大企業の経営者を多数参加させた「産業競争力会議」の討議、報告を基にとりまとめた「日本再興戦略」(20136月閣議決定)に大枠が示されている。

 規制緩和、政府による企業活動支援を柱にすえたこの「成長戦略」は、かつての橋本内閣の「六大改革」、その後の小泉内閣の「構造改革」の流れを受けた、いわば「構造改革」政策の継続、焼き直しの政策だ。「構造改革」政策の下で生じたことが、これから再び生じるだろう、ということである。

 国内総生産(GDP)、国内民間需要、雇用者報酬がいずれも1997年がピークになっている。この三つの指標を関連づけて読むとすれば、「改革」の名の下で規制緩和(とくに労働基準法の改定や雇用者派遣法の規制緩和といった雇用規則の緩和)が行われて雇用者報酬が減少に転じた、その結果、民間消費支出が減少して、消費が過半を占める国内民間需要が減少し始めた、その結果としてGDPが減少し、日本経済は長期停滞に陥ることになった。

 そして、今また、「成長戦略」は、雇用制度改革(抽象的には「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換」、具体的には「派遣労働の規制緩和」「ジョブ型正社員制度の整備」等)をその柱に据えている。「成長戦略」が具体化され、実施に移されたら、その時確実に起こることは、前例に学んで言えば、停滞からの脱出ではなく、さらなる停滞へと日本経済が落ち込むことである。

「構造改革」の時代にあっては、企業収益は向上しても賃金は下がり、非正規雇用が著しく増えるなど、暮らしは悪化したのである。

(9)消費税増税で暮らしはどうなる
 山家悠紀夫氏が例示した経済指標や経済実態例は以下のようなものである。

サラリーマン世帯の実質可処分所得は,20138月から4か月連続してマイナス
正社員は前年同期比約30万人の減少,非正規社員は約80万人の増加,非正社員比率は37%に迫る
年金給付額の引き下げ開始
消費税増税(20144月に8%へ,201510月に10%へ)
社会保障制度における自己負担額の増加(医療費,介護費,サービス低下)
法人税減税(1990年代の後半から法人税負担の軽減は,一般有権者・国民の負担増と並行して進展,2/3まで
企業と家計の税負担割合

1996年度が,37:63,2014年度が,25:75
民間法人企業所得

 1996年= 41.3兆円 2012年= 45.9兆円(+11%)
家計所得 

 1996年=307.9兆円 2012年=267.5兆円(▲13%)

 そしてことは、税の世界に止まらない。アベノミクスの下では、これまでにも増して、政策の恩恵は企業に、その負担は国民にという動きが進行していくことになろう。

<注>
 雇用制度改悪に関しては,同じく岩波月刊誌『世界 2014.3』に掲載された論文「人口減少下の経済:安倍首相の現状認識は誤っている」に,経済学者の伊東光晴氏が適切にまとめておられるので,それを引用しておく。
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 第一は、「雇用特区」と名付けられた地区に立地する企業は従業員を解雇し易いことにする。第二は業務や勤務地などが限定される代わりに解雇しやすい「限定社員」制度をつくるというものである。そして第三は、不当解雇と認定された時でも、職場での復帰ではなく、金銭を支払い解決できるという「金銭解決制度」を創設し、第四は、小泉政権が進めた規制緩和で社会問題化し、民主党内閣で原則禁止した「日雇い派遣」をもとに戻す「日雇い派遣の再回帰」である。そして第五は、現在26業務に限り許されている無期限派遣を全業種に拡大し、第六が、残業代を固定給の中に一定額入れ込んだとして、残業代を支払わなくてもよいとする労働時間規制除外法、これはホワイトカラーに大きく影響するので、ホワイトカラー・エグゼンプションといわれ、2005年に経団連が提言したものである。

 従業員を必要とあればいつでも解雇でき、安い賃金の従業員を派遣社員として雇うことができ、労働時間が長くなっても残業手当を支払わなくてもよい労働市場を目指す、これが「第三の矢」の「日本産業再興プラン」において、明確な内容を持つ唯一の項目である。このプランが、「世界で一番企業が活動しやすい環境の整備」と銘打っているところの「第三の矢」の具体的中心であることが推定できる。

 これは戦後の安定した労働市場、労働慣行を覆すものである。これが成長政策になるのか。これに対する反対は当然のことながら強く、「解雇特区」を政府は断念し、解雇ルールも修正し、「国家戦略特区法案」は2013127日、国会で成立した。
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10)結論
 「アベノミクス」なるものの正体は,山家悠紀夫氏がこの小論文で明らかにしたように,大資本・富裕層のための,ドラスティックで,グロテスクで,セルフィッシュで,無責任な,ゴロツキ政策の塊であるということだ。まさに安倍晋三・自民党政権ならではの政策と言えるだろう。

 問題は,これを正確に実態事実に着目して評価し,こうした政策を厚顔にも持ち出して来ては,有権者・国民にインチキ説明をしている,安倍晋三・自民党の政治家どもを,政治の世界から一掃できるかどうかである。政治が,文字通りの,有権者・国民一人一人の「利益」「利害」の反映として展開された時,安倍晋三・自民党は,悪の華のごとき「虚飾の泡」となって,歴史の舞台から消えて行くに違いない。

 多くの有権者・国民諸君,早く目を覚ませ!!! 目を大きく見開いて安倍晋三がやっていることをよく見てみよ。
早々
 

2014年2月11日 (火)

福島第1原発事故に伴う初期被ばくに関する私の考え方

福島第1原発事故に伴う初期被ばくに関する私の考え方を簡単に書いておきます。

 

(1)事故直後の初動対応が出鱈目で、多くの人々が無用の被ばくをしてしまった。この実態の徹底解明と責任追及が不可欠である(含む:SPEEDI、安定ヨウ素剤、避難支援他)。(刑事告発や裁判とは別に、被害者と、原子力や放射線被曝に対して慎重な評価をしている科学者を中心とした調査団を結成し、法的調査権限を確保し、調査対象者に真実回答義務(罰則付き)を課した上で、徹底した調査が望まれる。ことはナチス並の原子力国家犯罪行為である)

 

(2)その後も、初期被ばくの状況を検査・調査する作為が福島県や「福島県民健康管理調査検討委員会」などによって妨害(=先送り)された様子があり、その真相究明も必要だ。今頃になって、初期被ばくの状況がわからない、などとほざいている悪人どもは処罰する必要がある。

 

(3)福島県以外が無視されている。18歳以下の子供たち以外の被ばく者の方々も無視されている。「子ども被災者支援法」でも、まともな対策がなされていない。全く出鱈目で重大な人権侵害である。これは国家犯罪行為である。断固として許さない、許されない。

 

(4)現在、74人の悪性甲状腺ガン(の疑い)が発見されていることについて、初期被ばくが福島第1原発事故と無関係である、ということについての経験科学的根拠が乏しい。スクリーニング効果だとして突っ張ることはあまりに不自然である。ことは人の命や健康・とりわけ未来世代の子どもたちの命と健康がかかっている。やれることはすべてやる、のスタンスで臨むべきところを、「福島県民健康管理調査検討委員会」の御用学者や腰抜け委員たちは、言を左右にして、なすべき対応をとろうとはしない。福島第1原発事故が原因ではなかった、とのちほど判明しても何の問題もない故、さっさと安全対策や甲状腺ガン・障害の医療対策体制を充実させよ。

 

(5)昨今、甲状腺ガンを染色体の異常(7q11)から判別できる手法が注目され始めている、まだ、決定的ではないようだが、この検査は直ちに実施されるべきである。何を躊躇する必要があるか。

 

(6)これも事故直後から少なくない人達が政府や福島県、及び「福島県民健康管理調査検討委員会」に対して提案してきたが、74人の悪性甲状腺ガンの子どもたちがスクリーニング効果だというのなら、何故、福島第1原発事故の影響が小さかったと思われる西日本の各地で、子どもたちの甲状腺検査を一斉に実施しないのか。甲状腺ガンの早期発見・早期治療にもつながるし、これまでの甲状腺ガンの発生状況に関する認識の大きな転換にもなる話である。何故、大規模な疫学調査兼甲状腺検査・がん早期発見を実施しないのか。

 

(7)甲状腺ガン以外の甲状腺疾患に対して無神経すぎるのではないか。

 

(8)甲状腺ガンや甲状腺疾患=放射性ヨウ素による被ばく、とは限らない。放射性セシウムも甲状腺に多く濃縮・集中してくる傾向にあるし、それ以外の福島第1原発から放出された放射性核種が、甲状腺に対して悪い作用を及ぼさないという経験科学的な証拠もない(でなければ、明らかにされていない)。しかし、福島県をはじめ東日本に広がる放射能汚染地域の恒常的な低線量被曝状況(外部被爆+内部被曝)は深刻だ。早く避難・疎開・移住をさせること、どうしても居住を続けるという人達に対しては、万全の健康管理や被曝医療体制をとらなければならないが、それが全くの出鱈目である。避難された方々、これから非難される方々を含め、中長期的に、適切な健康管理と医療ができるよう、早急に対応を取れ。

 

(9)「昨年環境省に設置された「健康管理に関する専門家会議」は、子ども被災者支援法に基づいて、線量評価をもとに福島近隣県の健診や医療費減免策などについて答申する重要な会議ですが、長瀧座長をはじめ「安全論」の専門家が大部分を占めています。」

 こういうことでは本当に困る。政府や各県の審議会・諮問委員会などから、御用学者・御用人間を一掃せよ。

 

10)摘出された甲状腺や、その他の臓器の調査・検査、あるいは不幸にして亡くなった方々の死体解剖などによる調査・検査が、きちんとできるような法的・人的体制を整えるべきである。このままだと、放射線被曝被害や被ばくによる死亡が闇から闇へと消されてしまう可能性が高い。また、「福島県民健康管理調査」のみならず、福島第1原発事故以降の健康調査や診療・検査の記録をきちんと保存させることについてもできていない。破棄されてしまう危険性が払拭できない。

 

11)「福島県民健康管理調査」及び「同検討委員会」が出鱈目だ。メンバーを全員再度入れ替えよ。健康管理調査を抜本的に改めよ。いい加減にしろ!!!

 

12)国際放射線防護委員会(ICRP)や国際原子力機関(IAEA)、あるいは「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」など、いわゆる国際原子力マフィアを使っての世論誘導をやめること。いずれも原子力推進の悪魔の手先たちである。何の「経験科学的」な根拠も持たず、インチキ、嘘八百、隠蔽、権力による抑圧・妨害、歪曲・矮小化などを繰り返してきた犯罪者集団である。

 

 まだあると思いますが、とりあえず思いつくところを書いておきました。簡単に言えば、(1)今の、国や、福島県をはじめとする各県や、「福島県民健康管理調査」や、その他の医療機関が福島第1原発事故後の放射線被曝対策に取り組む姿勢に、被害者の立場に立つところが乏しいこと、(2)それと表裏一体にあるのが、福島第1原発事故による放射能汚染と放射線被曝、それによる健康被害を、矮小化し、過小評価し、歪曲して、最終的にはもみ消すための様々な布石が打たれつつある、ということです。食品の放射能汚染しかり、呼吸被曝の危険性評価しかりです。もちろん初期被ばく評価しかりです。

 

 こうした福島第1原発事故による被曝実態を押しつぶす動きをよそに、脱原発など絶対にあり得ない、ということを強く申し上げておきたいと思います。絶対に過酷事故などありません、と言われて、原発との共存を考えていた、何の罪もない住民が、ある日突然、その原発の過酷事故ですべてを奪われ、深刻な被ばくをさせられ、かつ事故後も被ばくを強制される、原因を見てみたら、ずさんきわまる安全管理だった、・・・・こんなことを許していいのかということです。加害者・東京電力や事故責任者・国に対して突きつけるべき告発状は、「すべてを事故前の状態へ戻せ」という、この言葉でなければならないと思います。そのために、あらゆることをやれ、ということです。原発再稼働などにうつつを抜かしているヒマがあったら、です。

 

 非現実的??? などと言っている人間に対しては、福島第1原発へ行って放射能を頭から浴びてこい、と申し上げたいですね。

 

 

2014年2月10日 (月)

忘れてはいけない3つの放射能汚染に関して (いただいたメールへの私の返信)

前略,田中一郎です。

下記は、ある方からいただいたメールへの私の返信です。

田中一郎の返信
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大雪になったので、家に閉じこもって、メールを拝見しています。
いつも貴重な情報をありがとうございます。

スギ花粉のこと、タバコのことは、忘れかかっておりました。
1
年くらい前は、いろいろ考えては論じていたのに
自分の痴ほう症には情けなくなります。

思い出させていただいて、どうもありがとうございました。
でも、お礼を申し上げているのに、これから無礼なことを申し上げるのは
少し気が引けますが、厚顔にも発言させていただきます。

スギ花粉=林野庁、ワカメなどの水産物の放射性ストロンチウム=水産庁、タバコ=JT のそれぞれの説明について、私は全く信用をしておりません。依然として危険な状態にあると思っております。この3つの組織は、結論を危険性はない・心配するな、を最初に決めておいて、それを証拠立てするためのデータ探しに奔走しています。だから、説明が場当たり的で、ご都合主義で、いい加減で、アンフェアなのです。

スギ花粉からの放射線被曝については、連続して累積的に呼吸被曝する危険性を考慮する必要があります。林野庁のスギ花粉分析は、花粉が1回だけ、ひょい、と飛ぶ場合の話で、たくさんのスギから、風によっては濃縮もされつつ、連続して飛び回る場合には、話は違ってきます。スギ林の周りにフィルターをたくさん設置して、その汚染度を調べてみればいいと思いますが、そのようなことはしません。危険であることがわかると困るからでしょう。


ワカメの放射性ストロンチウムについては、とにかく検査されていないのでわからないというのが現状です。私は3.11以降、青森以南、千葉以北で獲れる魚介類は一切口にしないことにしています。危険なのは放射性セシウムだけではありませんし、放射性セシウム以外は放射性ストロンチウムだけではありません。さまざまな核種で汚染されている可能性があります。

タバコは足切り基準の100ベクレルの根拠がありません。数値が大きすぎるのではありませんか? また、「千葉県長生郡産の葉からは約42Bqを検出。2013年産からは、昨年を上回る最大で約186Bqを検出しています」とあるように、2013年になるほど汚染度が高くなっているのは非常に気になります。しかも千葉県の話です。タバコは肺に吸い込みますから、それに放射性物質が含まれている場合は、格段に危ないと思います。東日本産のタバコの利用はやめるべきです。タバコに付着しているのが(これはスギを含むさまざまな花粉も同様ですが)、放射性セシウムだけとは限りません。アルファ核種が気になります。

(追加記載:先般より話題となっているSTAP細胞ではありませんが、非日常的な刺激によって人間細胞がガン化する可能性が無視できないとすると、タバコの紫煙による肺の細胞への刺激に加えて、放射性物質の放射線(特にアルファ核種)の刺激を加えることは、肺ガンリスクを数倍に高めてしまうこともありうるのではないでしょうか)

そもそも、福島第1原発からの放射能の大気中への放出は止まっていないし、止めようともされておりませんし、また汚染水は3年近く海へじゃじゃ漏れで汚したい放題です。当然、放射性セシウムだけでなく、福島第1原発の全核種が大気中や海へ放出されています。


日本の放射能汚染管理と放射線被曝防護は、全くの出鱈目です。
近い将来、後悔することにならなければいいが、と思っております。
早々

-----Original Message-----
【ご参考】スギ花粉の放射性セシウムなど
 以下、ご参考まで。

◆スギ花粉
 林野庁が1月31日、福島県内24か所のスギ花粉の放射性セシ
 ウムについてデータを公表しています。花粉の汚染線量とその地
 点の空間線量率の間にはかなりの相関関係があり、毎時1μシー
 ベルト当たり汚染線量が約1800ベクレルの関係のようです。
 ただ塙町のように毎時0.17μSVでもNDのところもあります。

 林野庁の発表では、花粉1個が12ナノグラムと非常に小さく、
 最高値の5万9千ベクレルの花粉が、過去最高濃度の1立米に
 2207個含まれたとしても、放射性セシウムは合計
 約0.0016ベクレルにとどまるとしています。成人の1日の
 呼吸量を約22.2立米とした場合でも、1か月で約1ベクレル
 を取り込む計算になります。この通りであれば、汚染花粉による
 影響は大きくはなさそうですが吸い込まないことにこしたことは
 ないでしょう。

 林野庁は花粉汚染量が全体として2011年秋のものに比べ、
 12年には約半分に、昨年は約5分の1にまで低下したとしてい
 ます。また、先の仮定による積算線量を1.39μシーベルトと
 見積もっています。それが「低下した」とはいうもの「影響は小
 さい」とは明記していません。

 ・林野庁, 2014-1-31
 平成25 年度スギ雄花に含まれる放射性セシウムの濃度の調査結果について

  http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/ken_sidou/pdf/140131-01.pdf

◆ワカメ
 水産物のストロンチウム90の検査結果がほとんどありませんが、
 水産庁が5日、宮城県七ヶ浜のノリとワカメ(昨年12月採取)
 の調査結果を公表しました。

  ノリ  0.069Bq/Kg
  ワカメ 0.055
Bq/Kg

 ワカメの値は、70年代の女川町のワカメ(0.0555~

 0.1184。環境放射線データベースより)とほぼ同じレベル
 です。

 ・水産庁, 2014-2-5
 水産物の放射性物質の調査結果(ストロンチウム)

http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/pdf/result_strontium_140205.pdf#page=3

◆タバコ
 すでにネットでも流れていますが、JTは100ベクレルまでの
 タバコの葉を使用していることを明言しています(100ベクレ
 ル以上は購入しない)。

 ・日本たばこ産業, 2012-3-16
  葉たばこに関する放射性物質の自社基準値の設定について

  http://www.jti.co.jp/news/radiologial_inspection_20120316.html

 JTは一昨年より、東北と関東のたばこの葉についての放射能測
 定結果を公表している。2012年産の東北の葉からは、キログラム
 当たり最大110Bq(福島県白河市)を検出し、岩手県奥州市産で
 も87Bqを検出。また、千葉県長生郡産の葉からは約42Bqを検出。
 2013年産からは、昨年を上回る最大で約186Bqを検出しています。

 では、タバコの葉に含まれる放射性セシウムがどの程度煙に移行
 するかという点では、JTの研究者が安定同位体Cs133による試
 験の結果を報告しています。それによると、たばこから煙への放
 射性セシウムの移行率は、主流煙で0.3%、副流煙で0.5%程度の
 移行が確認できたとしています。タバコ1本に含まれる放射性セ
 シウムの量が少ない(微量)とはいえ、避けるべきでしょう。

 ・古川知恵美ほか
  『エアロゾル研究』Vol.28No.22013
  紙巻たばこに含まれる安定同位体セシウムの煙中移行
  https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/28/2/28_150/_pdf

 タバコの箱のバーコードで国内生産の銘柄が確認できるとの
 が流れていますが、バーコードの先頭の「45」「49」は国を

 示すコードですが、これは生産国とは無関係です。世界中でバー
 コードが重複しないように、先頭から国コード、企業コード、製
 品コードの順で並んでいて。そのコードを見た限りでは生産国は
 わからないようになっています。で、どの銘柄に汚染されたタバ
 コの葉が使われているかはわかりません。
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早々

2014年2月 8日 (土)

不正選挙は、はたして可能か?

前略,田中一郎です。

 

ある方より、不正選挙・インチキ選挙についての質問が届きましたので、下記を回答しました。ご参考までに。

 

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私は選挙開票の立会人になったことがないので、実際がどうなのかはよくわかりませんが、2,3申し上げておけば下記です。

 

1.期日前投票を含めて、投票用紙(これはプラスティックでできているそうです)の枚数管理がどうなっているかです。投票前に用意した投票用紙総数がいかほどで、投票に使われたものが何枚で、残った枚数が何枚なのか、これが第三者の目を通してきちんとなされていれば、外からの水増しは難しくなります。(私はここが怪しいと思っています)

 

2.やっかいなのは期日前投票です。厳重に管理されているように見えますが、実は、投票箱の管理やカギの管理は結構ズサンのようです。もし仮に、この投票箱を管理している選挙管理委員会の人間に「悪意」があれば、上記1.にもかかわらず、期日前投票された投票用紙を全部別物に入れ替えることで、事実上の、インチキ選挙が可能となります。(投票箱のカギや、投票箱を真夜中に置いておく部屋のカギなどの管理がずさん???)

 これを防ぐには、以前の不在者投票のように、二重の封筒に入れて、指で指紋押捺をしてもらって、密封するのがいいと思います。何故、以前の方式をやめたのでしょうか? インチキしやすくなるようにではないですか?

 

3.箱ごと全部差し替える、という大胆な説もあるようですが、これはどこまで可能なのでしょうか? 選挙管理委員会では、投票した人の数を選挙投票受付名簿と、投票総数とが合致するかどうかを確認するそうです。そうすると、投票した人の数を、選挙終了後にただちに連絡をとり、その数だけの票数が入った差し替え用の投票箱を用意しなければなりませんので、なかなか容易ではないでしょう。

 

4.ムサシと言われるメーカーの「得票カウントマシン」に細工がなされていないかどうかです。どういうカウントの仕方をしているのかもよく知りません。でも、これは、立会人が監視できるのではないでしょうか。だいたいどれくらいの投票用紙の束が、何票くらいのカウントになるか目星を付けておいて、見ていておかしいな、とおもったら点検するのです。しかし、この辺も、現場を見ないと何とも言えませんが、いい加減にやっている可能性はあります。ムサシの得票カウントマシンが疑われているのは事実です。

 

4.インチキ選挙がほんとうかどうか、本当だという人の主張の難点は、都知事選挙のような大選挙区の選挙では、相当大規模に不正選挙をやらないと、当選が確実にならないということです。はたして、あっちこっちの投票所で、示し合わせたように不正選挙・インチキ行為ができるのかどうかです。選挙管理委員会の役人たちが、一人残らず悪人で、悪意を持って、ネットワークをつくって、インチキに参画しないと、それは難しい。数千票、数万表程度では、当選を確実にはできません。少なくとも何十万票レベルの不正が必要になります。でも、接戦の時の「隠し玉」としては使えるでしょう。少し前の、衆議院選挙の小選挙区で、保坂展人氏と石原伸晃氏がせりあった選挙区で不正があったと言われています。真偽のほどは不明です。

 

 まあ、いずれにせよ、あたりまえ、と思われていた「公正な選挙」に疑義が入ってきたことは重大なことです。いい機会だから、再度、与野党がそろって総点検し、疑義が入るようなプロシージャ―は改めたらどうでしょうか。(たとえば、投票用紙を印刷する業者の管理、投票用紙の枚数管理、期日前投票の箱の管理のために、箱のカギと、保管部屋のカギを2つつくって、一つは野党が持つ、ムサシの機械の点検と現場での無作為チェックなど)

 もし、自民党や公明党がこれをいやがるようであれば、そのときこそ、不正選挙・インチキ選挙の可能性が高くなります。

 

 更に申し上げれば、前近代的でどうしようもない選挙妨害法の公職選挙法の改正は、もう待ったなしです。選挙の時だけ大騒ぎをするのではなく、選挙が終わってから、しっかりとした選挙の仕組み、選挙法、政治プロセスを創っていきましょう。

草々

 

2014年2月 5日 (水)

全食品に機能表示,あることないこと食品に表示して,み~んな「健康食品」,ああ,うっとうしい

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)


 「丈夫な骨をつくるミカン」「コレステロールの吸収を抑える納豆」といった食品が,近い将来増えるかもー。「成分が何に有効か」を全ての食品で表示しやすくする規制緩和に向けた検討が、消費者庁で進んでいる。」で始まるこの記事,これから,またぞろ食品について,「賞味期限切れ」の消費者庁が、一部の食品業界・業者や,その代理店・御用学者・御用人間達と結託して,ロクでもないことをしようとしているようです。この阿呆どもは,いったいいつになったら消費者のための仕事ができるのでしょうか。食品安全委員会と並んで廃止した方がよさそうな役所になってきています。

 <別添PDFファイル>
全食品 機能表示へ,曖昧さに懸念の声(東京 2014.2.3 夕刊)

 消費者団体などからは「「暖昧な根拠による表示が増える恐れがある」と懸念の声も上がっている」と記事にはありますが,実際はそんな生易しいものではありません。既に健康食品業界では,根拠なしの嘘八百表示が氾濫していて,その被害者が続出している様子がうかがえますが,それには目をつむり,健康を表示で勝手放題謳って消費者を騙して,ひと儲けししようとの魂胆を,今度は健康食品のみならず,全ての食品に広げてしまえというのが,その実態のようです。今回のこの食品表示の規制緩和は、安倍晋三政権の「成長戦略」なるものの規制緩和が,いかにチョコザイで,バカバカしいものであるかを示すシンボル的なものと言えるでしょう。他人の迷惑や被害を餌にして,悪徳企業や業者が,肥え太り成長するための戦略です。

 政府の規制改革会議は昨年六月、「自分に合った製品を選ぶための情報が得られない。国民の健康管理に資する表示が必要」と答申,消費者庁はアメリカの制度を参考に検討をしてきた,と記事には書かれています。本来なら消費者庁は,健康食品業界の目に余る虚偽表示や似非表示を,消費者のために、しっかり取締まらなければならないのですが,それは人手不足やら,法的根拠がない事やらを口実にして逃げ回り,他方では,金もうけさえできれば後は野となれ山となれの食品業界の「ちょうちん持ち」よろしく,かようなインチキ推奨の規制緩和をやってしまおうというわけです。

 今から約25年ほど前,「自分にあった仕事を,自分の自由な時間の選択で,働きたいときに働きたい仕事ができるようにするための労働者派遣法を制定いたしましょう」などと,時の自民党政府や御用学者達が,労働法制の規制緩和の重要性とともに労働者派遣法制定の不可欠性を大合唱していたことが思い出されます。

 

その時の有権者・国民向けの嘘八百宣伝の文句と同じようなセリフが,今回もこの食品表示における一大規制緩和のために陳列されているではありませんか。有権者・国民はお馬鹿だから,これで簡単にだまくらかせる,とでも思っているのでしょう。何が「自分に合った製品を選ぶための情報」ですか,何が「国民の健康管理に資する表示が必要」ですか。このクソ野郎です。

 

現状では,表示にだまされる消費者が出ないよう,食品の有効性が表示できるのは,消費者庁の許可が必要なトクホ(特定保健用食品)と,ビタミンとミネラルの機能に限定された栄養機能食品だけです。これまでの経験から,これ以上規制を緩くしたら,ロクでもないウソつき商品が出回って被害者が続出しかねないので,規制を厳しくしてあるのです。それをわざわざ「規制緩和=自由化」して,全ての食品について,許可なく表示ができるようにするという。いったい誰の何のために、なのでしょう。

 代わりに、実験データや論文など国の基準を満たすことを示す科学的根拠を業者か消費者庁に届け出る仕組みや,副作用が生じた場合の連絡先表示と、速やかな国への報告を義務付ける方向で検討している,と記事には書かれております。こんなものが機能するはずもありません。届け出られた書類等は消費者庁の倉庫に眠り,見向きもされないでしょうし(人手不足でいちいち見ていられない),もしもの時の連絡先など,あてにもなりません。今現在も,健康食品でおかしくなった時に,きちんと販売業者や製造業者と連絡が取れたり,被害者の立場に立って対応している業者がどれほどいるでしょうか。馬鹿も休み休み言え,ということです。

 みなさま,どうも,「規制改革会議」だの「産業競争力会議」だのといった,一部大企業の野放図な私利私欲の合理化・追認のための組織の正体が,いよいよあらわになって来て,通称「アベノミクス」などといわれている安倍晋三自民党ゴロツキ政権の経済政策が,まさにゴロツキのそれであり,中身のない「ミカケダオシノミクス」=ガラクタ政策であることが明らかになってきました。

 こんな馬鹿みたいな劣悪行政・政策は、みんなでけっ飛ばしましょう。健康のためには,健康食品など,口にしないのが一番なのです。そして,嘘八百の食品表示を見つけたら,ただでは済まないぞ,という社会的カルチャーを創っていきましょう。食品表示を「消費者の選択のため」と偽って,「自分のインチキ商売のため」に利用しようとする連中と,その連中と裏で結託して,政府としての,消費者庁としての仕事をしようとしない,クソ役人たちを,みんなでぶったたきましょう。

 

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 それから,ついでに申し上げておきますと,この嘆かわしくもボロボロの日本の消費者行政もしかりですが、およそ日本政府のいろいろな出鱈目政策・政治の諸悪の根源は自民党のゴロツキ政治家達と、霞が関の腐敗幹部官僚達にあるということです。
 

 

  ですから、あらゆる選挙という選挙で,ゴロツキ政党自民党や,その補完物である「口先やるやる詐欺」民主党,チンピラ右翼の維新の会,アホダラ宗教政党の公明党,それに渡辺喜美の金魚のフン党になってしまったみんなの党、なんぞに投票してはいけません。そういう投票行動をしているから,いつまでたってもこの国はよくならないし,よくなるどころか,どんどん奈落の底に落ちて行くのです。もちろん投票に行かないなどというのは論外中の論外です。

 

 政治は、たかが政治、されど政治です。健康食品と同様に、政治の場合も、騙す奴は悪いけれども騙される者もまた悪いのです。それは悪徳健康食品業者が体を健康にするとウソ偽って消費者を不健康にするがごとく、ゴロツキ政治家が社会をよくするとウソ偽って有権者・国民を苦しめる、そういう構図です。騙されないためには各人がリテラシーをもち、政治を自分に引き付けて考え評価する以外にありません。そして、1993年細川護煕政権、2009年民主党政権のような、有権者・国民をだました・背信行為をしたような政治家達は絶対に許さないことが重要です。政治に投票でけじめをつけなければ、ゴロツキ政治家達になめられるのです。それが今の安倍晋三政権です。

 

アベノミクスで健康食品表示が「企業任せ」へ 日米表示一覧から見える怪しいサプリ氾濫の未来MyNewsJapan
 http://www.mynewsjapan.com/reports/1845

氾濫する健康食品 - Dr ミカのメモ帳: 脳・栄養・心 (発達障害・特別支援教育) - Yahoo!ブログ
 http://blogs.yahoo.co.jp/us23news/65744434.html
早々
 

汚染水,みんなで捨てれば,怖くない???? 冗談だろう!!!

前略,田中一郎です。
(みなさま、新聞をとるなら東京新聞です)

(別添PDFファイルは添付できませんでした)

 

別添PDFファイルは,本日(2/4火)付の朝刊各紙に掲載された福島第1原発敷地からの放射能汚染水放出(いわゆる「地下水バイパス」)に関する記事です。報道されている汚染水の海洋への放出が出鱈目なのはもちろんですが,これらマスごみ各紙の報道ぶりも出鱈目です。以下,各紙の中では比較的まともな東京新聞の記事によりながら,簡単に記事内容と,マスごみ各紙の報道ぶりを簡単にご紹介します。(その東京新聞でさえも,記事の見出しが「汚染水放出に厳格基準」などと書かれていて,毎日新聞と同じような体裁になっています。また,この報道に関しては日経・読売をご紹介いたしませんが,それは,そんな新聞は見てもしょうがないと思っているからです)

 <別添PDFファイル>
(1)(汚染)地下水放出に厳格基準(東京 2014.2.4
(2)地下水放出,国が漁連に説明(朝日 2014.2.4
(3)地下水放出厳格化(毎日 2014.2.4
(4)(汚染)地下水の放出で全漁連に理解要請(日農 2014.2.4

 <記事の概要:東京新聞>

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014020402000139.html

東京電力福島第一原発の汚染水対策に関し、経済産業省の赤羽一嘉(あかばかずよし)副大臣は三日、全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長に、汚染される前の地下水をくみ上げて海に排水する「地下水バイパス」を稼働する場合、放射性物質の濃度には現行の法令基準より厳しい基準を適用する方針を示した。

新基準では排水許容限度として、くみ上げた水のトリチウム濃度を排水の法令基準の一リットル当たり六万ベクレルに対し、三万ベクレルと設定。ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質は一リットル当たり一〇ベクレルとする。

さらに運用目標値として、トリチウム濃度を一五〇〇ベクレルなどと設定。目標値以上の濃度を確認した場合、水の移送を停止するなどの対策を取る。

岸会長は会談後「排水ありきの話ではない。国が責任を持つ(海水の)モニタリング体制や風評被害の防止対策なども見極めた上で、最終的な判断をしたい」と述べた。

(田中コメント)
 まず,この記事の見出しですが,「汚染水」はちゃんと「放射能汚染水」とすべきです。また,放出基準は下記に見るように「厳格化」されるわけではないので,「基準を変えて放出へ」とか,「依然として甘い基準のまま放出へ」とか,「漁業への懸念高まる」とか,もっと他の,放射能汚染水放出をネガティブにとらえる表現とすべきでしょう。

 

このままでは,「基準を厳格化したのだから,放出してもしょうがないでしょう」という言外の意味が伝えられているように見えます。しかし,それでは,これまでの政府や東京電力の汚染水処理の出鱈目に対する批判的視点がボケてしまいます。

 

汚染水の規制基準が「バナナのたたき売り」になっています。そもそもトリチウムの排水規制基準の60,000ベクレル/リットルや,放射性ストロンチウムの10ベクレル/リットルに根拠がありませんから,それを1/2にしたからと言って,記事見出しが言うように「厳格になった」などということはできません。

 たとえばトリチウムであれば,それが人間を含む生物,特に海藻や微生物を含む海洋生物群などの体内に入った時に,どのような挙動を示し,どのような影響を中長期的に及ぼすのか、などということは,全く分かっておりませんし,おそらくは調べたこともないでしょう。(何故、マスごみ記者達は、このことを突っ込んで質問しないのでしょう)

 

また,放射性セシウムの100倍以上の危険性を持つ放射性ストロンチウムについても,その人間を含む生物体内での骨や歯などへの濃縮度合いと食物連鎖の重積度(放射性ストロンチウムは一旦体内に入ると容易なことでは体外排出されないと言われています),あるいは,その化学物質としての性質から,カルシウムとの代替性からくる生物体内ミネラルとしての危険物質化(たとえば生物体内で産生される酵素やホルモン類などの分泌物にカルシウムが使われていて,それが放射性ストロンチウムにとって代わられることの危険性など)などについて,まともな経験データがないのが実態です(あるというのなら,出してみろ)。更には,放射能大量放出に伴う海洋生態系の破壊は,時がたつにつれてすさまじいものになっていくでしょう。

 そもそも,この規制値の単位が「リットル」当たりで表示されて,見かけ上,小さくされていることに注意して下さい。それぞれ1リットル当たりではなく,1m3あたりで表示すると,×1,000で,トリチウム=60,000,000ベクレル/m3=1トン,放射性ストロンチウム=10,000ベクレル/m3=1トンという,ものすごい数字になります。そして,もちろん,放出される汚染水の量たるや,何千トン・何万トンというすさまじい量ですから,1リットル当たりの濃度など,何の関係もない膨大な量で海へ放射能がぶん投げられるのです(それに加えて、放射性セシウムやベータ核種以外のことは、一顧だにされていないのでしょう)。考えただけでもぞっとします。少なくとも,放出・廃棄される放射能の総量を明らかにさせるべきです。濃度規制など無意味です。

 また,「運用目標値として、トリチウム濃度を一五〇〇ベクレルなどと設定」などというのも,インチキの上塗りのようなものです。この数値をオーバーしても,何の罰則も罰金もありませんから,気休めにもなりません。あたかも安全重視と地元重視でやっているかのごとき体裁をとるためのポーズに過ぎないのです。こういうことは,福島第1原発事故前から「原発周辺の放射線被曝線量は年間1mSvだけれど,実際はその1/50にして運営します」だの「青森県六ケ所村の再処理工場周辺の環境放射線被曝線量限度は・・・・・・だけれど,運営上はもっと小さい・・・・・」などと,全国いたる所でこの「口先責任」宣伝が行われているのです。もうこんなものにだまされる人はいないですよね。

 

インチキの規制値を示しながら,全漁連という漁業団体の会長に話をしたのが,赤羽一嘉経済産業副大臣(公明党・兵庫2区)とかいう原子力ムラ代理店の雇われ手下です。こいつも自民党のゴロツキ政治家かと思っていたら,実は公明党の議員でした。いつから公明党は原子力ムラの手先のようなことをやるようになったのでしょうか。まともな神経と良識があるのなら,東京電力を解体して,汚染水の抜本対策とそのための体制を打ち立てることに専念するはずです。なんせ,この汚染水問題は,当の東京電力が自分達の目先の経営黒字を守るためだけに,手抜きに手抜きを重ねて今日のような破たん状態に至っているのですから,それにメスを入れないでいてどうするのでしょう。出てきた汚染水が手に余るから海に捨てさせて下さいなんて,何言ってんだ,ということではありませんか?

 また,その原子力ムラ手先の申し入れに対して,漁業者の代表でも何でもない全漁連の岸宏とかいう会長の会談後のコメントが笑止千万です。当然,海で生きる者として「汚染水の海への放出は認められません,お引き取り下さい」とでも言うのかと思いきや,「モニタリング体制や風評被害の防止対策・・・・・」などとつぶやいたそうである。

 

海が放射能で汚染されて,消費者・国民が危なそうだから魚を避けていることを,風評だ,風評被害だ,消費者は(馬鹿だ),あらぬことで魚を買わないなんてわがままなことを言ってやがるから漁業者は迷惑だ,その(馬鹿)消費者の行動を「防止」する対策を国がやってくれ,などと,話している。何が風評被害だ!! 何が防止対策だ!! 馬鹿はどっちだ!!

 

本日(2/4)付日本経済新聞社夕刊には、赤羽一嘉経済産業副大臣が「(全漁連から放射能汚染水の海洋放出の)必要性について、一定の理解をいただいた」などと発言していることが報じられた。これに対して全漁連や岸宏会長が抗議したかどうかは知らないが、こうした茶番のやりとりを見せつけられる者にとっては腹立たしい限りである。「何が必要性についての一定の理解」だ。お前たちに海を放射能で汚す権利などない。

 

まず,こうしませんか。今回のこのベータ核種の規制値を打ち出した原子力「寄生」委員会・「寄生」庁をはじめとする似非科学者や官僚達に加え,安倍晋三・自公政権のゴロツキ政治家,それに東京電力全役職員や全漁連会長及びその幹部達,加えて,ろくでもない原子力ムラ言い訳報道を繰り返すマスごみ諸君には,規制値ぎりぎりの水を毎日腹いっぱい飲んでいただきましょうよ。また,その水で沸かした風呂にも毎日入っていただきましょう,更にまた,その水で養殖した魚介類も毎日毎日しっかり食べていただいて,そして,それを少なくとも20年間くらいは欠かさず続けていただいた上で,それで誰ひとり何ともなければ。それを規制値にしてみたらどうですか。

 

福島第1原発事故でかなりの影響がある岩手,宮城,福島,茨城,千葉の5県の漁業のことなど「他人事」で,どうせ飲食・呼吸を通じて被曝するのは,その県に住む人達だし,放射能の海洋生物群への影響もないとは言えないだろうが,自分が生きている間はそれほど顕著な影響も出てこないだろうから,規制値を適当に設けてごまかしちまえばいいのだ,という,そういう内内のモラル・ハザードというか,人間として許されない邪悪な態度がそこには見られるのです。こんなものは看過するわけにはまいりません。

 安全抜き,責任抜き,対策抜き,倫理抜き,地元抜き,環境影響無視,消費者・国民無視,民意無視の世紀の出鱈目が,「みんなで捨てれば怖くない」方式でスタートしようとしています。政府・経済産業省,東京電力,全漁連・漁協,こんな連中に福島第1原発事故後の処理を委ねておけば,やがて日本は滅茶苦茶になってしまうでしょう。これを止めるのは今しかないのです。

 <朝日(手抜き)新聞記事>
「運用目標値として、トリチウム濃度を一五〇〇ベクレル,ストロンチウムなどベータ核種は5ベクレル」については報道したが,「水のトリチウム濃度を排水の法令基準の一リットル当たり六万ベクレルに対し、三万ベクレルと設定。ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質は一リットル当たり一〇ベクレル」という規制値そのものについては報じなかった。

 <毎日(毎日言い訳)新聞記事>
 朝日(手抜き)新聞と同様に,規制値そのものについては報道せず,更に「この目標値は法令基準の約2割で,毎日水を2リットルずつ飲んでも年間の被ばく量は0.22mSvで健康に影響はないとしている」などと,原子力ムラの言い訳を,何の検証も批判的観点も用意せずに,まるで読者をなだめすかすように,いい加減なことを書いている。
 何度も申しあげて恐縮だが,それなら毎日新聞の役職員全員が,毎日毎日それだけの水を飲んでみればいいのだ。

 <日本農業(他人事)新聞>
 漁業のことは農業とは関係がない,というスタンスを感じさせる,批判的視点ゼロの記事が掲載されている。これが同じ協同組合組織の取るべき態度なのか。記事内容では,赤羽一嘉副大臣と全漁連岸宏会長との白々しいやり取りが,もう少し詳しく掲載されている。こんなもの,わざとらしくて,下手くそ丸出しの猿芝居で,読んでられないわ。

 <おまけ:別添PDFファイル>
(5)東海第二稼働申請,来月末までに,地元大筋了承見通し(読売 2014.2.4
 http://news.infoseek.co.jp/article/20140203_yol_oyt1t01578

(以下,引用)
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 日本原子力発電は3日、東海第二原子力発電所(茨城県東海村、110万キロ・ワット)の再稼働に向けた安全審査について、3月末までに原子力規制委員会に申請する方針を固めた。原電の保有する原発3基はすべて停止しており、再稼働で経営再建を目指す考えだ。

東海村や水戸市など地元自治体は今後の調整を経て、申請を大筋で了承する見通し。原電と地元自治体は、地元の同意を再稼働の前提とする原子力安全協定の改定について、今後協議する覚書を交わす方針だ。

原電は、敦賀原発(福井県)1号機が運転開始から40年を経過したほか、2号機も真下を走る断層が「活断層」と規制委に指摘され、再稼働が難しくなっている。再稼働の時期は明確に見通せないが、原電は東海第二の再稼働を目指す姿勢を明確にし、電気を購入する契約をしている東京、関西、中部、東北、北陸電力に、設備の維持費などの支払いを求める方針だ。

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 今度は「読売(デマ誘導)新聞」の記事です。この記事の内容が変だな,と思ったので,記事に出ている自治体の東海村と水戸市に電話をして聞いてみました。それぞれの返答は、「再稼働と安全審査は違う話です,記事は事実と違っている」(東海村:原子力安全対策課),「日本原電に提出していた原子力安全協定の改定要請に対する回答が来たので,それを(茨城県)県央地域首長懇話会でどうするか,その取扱いについて協議する,という話が事実であり,記事内容は全くそれと異なる,読売新聞に抗議した」(水戸市:地域安全課)ということでした。

 社会の公器・全国紙新聞が,東海第二原発という,事実上原子力放漫経営で倒産している日本原電という会社の,地震で重度に損傷した老朽化原発の再稼働のためにウソまでついてその紙面を汚す,という,ゆゆしくも,腹立たしくも,お粗末な,マスごみ報道の末期症状を呈する記事でありました。ちなみに,東京,毎日,朝日の各紙には,これに該当する記事はありませんでした。

 

 ウソをついた読売新聞には,ハリセンボン飲ませないといけません。常識的に考えて,東日本大震災において,あれだけ破局寸前状態にまで行ってしまった東海第二原発の再稼働について,地元がそう簡単にOKなどと言うはずがありません。何の安全対策も,従来のやり方の見直しもなされてはおりません。

 

 東海第二については,東日本大震災の際にいったい原発で何が起き,何がどれだけ損傷し,もしもあと津波がもう少し高かったらどうなっていたか,などなど,解明すべきことが山のようにありますが,事実上倒産会社の日本原電は,そうした説明責任を地域住民に対しても,首都圏の有権者・国民に対しても,全く果たそうとはしていないのです。もちろん、東日本大震災被災後において、東海第二の安全対策をしっかりやったという話も寡聞にして聞かないことです。世のため人のため、この会社は,もう潰してしまいましょう。

早々

2014年2月 1日 (土)

1.29「原発事故子ども・被災者支援法」に関する政府交渉:「巧言令色鮮し仁」「多数出席鮮し愛」

前略,田中一郎です。

 

 別添PDFファイルは,さる1/29に参議院議員会館において開催されました「1.29「原発事故子ども・被災者支援法」に関する政府交渉」の際の資料です。今回の主催は「「原発事故子ども・被災者支援法」推進自治体議員連盟」で,当日は多くの地方議員の方々が参加されていました。

 

 少し驚きだったのは,交渉の場に出てきた、復興庁をはじめ霞が関関係各省庁の若手役人達の人数で,会場に席を確保するのが難しくなるくらいに大勢で(数十人)で出席していました。当人たちの主観的意図では「これだけ熱心に「子ども・被災者支援法」に取組んでおります」という熱意を示したかったのだろうと思われますが,しかし,下記に簡単に申し上げます通り,その内実は乏しく不誠実なものでした。数が多ければいいというものではありませんし,下手な鉄砲でも数撃てば当たるでは困ります。(詳細は下記VTRをご覧ください)

 

 古いことわざ「巧言令色鮮し仁(こうげんれいしょくすくなしじん)」をもじって申し上げれば「多数出席鮮し愛」ということでしょうか。あるいは「電気は足りてる,美辞麗句も足りてる,足りないのは愛」ということかもしれません。

 

2014-01-29 分断される被災者たち:原発事故「子ども・被災者支援法」に関する政府交渉 IWJ Independent Web Journal 

 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/122476

 

20140129 UPLAN 【多けりゃいいってもんじゃない酷い政府交渉】原発事故こども・被災者支援法に関する政府交渉

 http://www.youtube.com/watch?v=i67QBNipyXM

 

 <別添PDFファイル>

(1)1.29「原発事故子ども・被災者支援法」に関する政府交渉 (2014.1.29

(2)被災者に対する健康・生活支援に関する施策パッケージ(概要) 2014.1.29

(3)平成26年度政府予算案に計上された子ども被災者支援法関連予算 (復興庁 2014.1.29

(4)原子力災害からの福島復興の加速に向けて (20131220日)

(5)2013.10.11 子ども・被災者支援法自治体議連政府交渉(概要記録)

2014.1.29

 

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 復興庁が関係省庁を代表して,持参した資料の説明をしておりました。上記で言えば(2)(3)(4)の資料ということになります。しかし,たとえば,参加者の皆様の関心が高かった「2014年度(平成26年度)予算では,合計でどれだけの金額の「子ども・被災者支援法」関連事業が確保・用意されたのか」についても,資料をご覧になればお分かりのように,予算金額が「事業ごとの「内数」」となっていて,いったいいくらの金額が「子ども・被災者支援法」のためのものなのか,わからない状態のままでした。詳細を示せ,合計金額を示せ,との度重なる参加者からの要請に対し,復興庁が持ち帰って,各関係省庁と相談することとなりました。

 

 下記をご覧になってみて下さい。2014年度の国土強靭化の関係予算では,これだけ充実した資料が作成され,HPに掲載されて有権者・国民に開示されているではないですか(こんな国土強靭化など,しなくてもいい事業なのですが)。復興庁は何故,この程度の資料を持参して説明ができないのかということです。復興庁は「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」の被災地・被害地の復興については,まるでその期待されている機能を果たしていませんね。何のために存在しているのですか?

 

●平成26年度 国土強靱化関係予算概算要求の概要(平成25年8月内閣官房 国土強靭化推進室)

http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&frm=1&source=web&cd=1&ved=0CCUQFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.cas.go.jp%2Fjp%2Fseisaku%2Fkyoujinka%2Fdai5%2Fsiryo1.pdf&ei=0BHrUpmtAsnikAWzvICIBw&usg=AFQjCNEu7SiCO09Fh9a8tjGBKyfx3fxtZw&bvm=bv.60444564,d.dGI

 

 それから,たとえば,

<1>福島県以外のホット・スポット地域=ここは「準支援対象地域」で事業ごとにきめ細かく支援項目を選んでいくとされている地域,についての支援事業が,ふにゃふにゃで全く頼りにならない,そもそもその中身もはっきりしない。

 

<2>放射能で汚染された地域に無理やり帰還させる事業ばかりが目立ち,無用の放射線被曝を回避しようという発想が全くない,ガラスバッジを持たせるというが,そんなもので被曝線量が把握できるはずもない。

 

<3>汚染地域の子どもたちを少しでも放射線被曝から守るために「保養」に出す事業も貧弱で(3~4億円),おまけに(昨年協議していたころに比べて)予算が減額されて「形だけ残した」ような気配がある。

 

<4>自主避難者を含め,避難している方々,特に県外避難者への支援がほとんどない,しかし,避難者の置かれた境遇はまさに悲惨で,このままだと危険な状態にまで追い込まれている。何をグズグズしているのか。

 

<5>被ばくによる健康被害の懸念,特に中長期的に,晩発型で出てくるかもしれない健康被害に対する備えというか,健康管理の施策が乏しく,支援の体をなしていない(何が「精神カウンセラー」か,人を馬鹿にするな!)。

 

<6>避難されている方々の住宅の問題が深刻になっている。早く何とかしなければいけないのに,移住・転居はダメだとか,居住条件のいい住宅がなかなか確保できないだとか,まったく被災者・被害者の日々の生活の困難を理解していないような他人行儀の行政が続いている。

 

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 書き出せばきりがありません。要するに,「クソ左翼」だとか何とかツイッターで呟いて吹っ飛ばされた復興庁の役人の「精神」「姿勢」「態度」がそっくりそのまま引き継がれ,被害者やその支援者が苦労に苦労を重ねて「子ども・被災者支援法」の内容充実を訴えてきた,そのことについては,微塵も今年度の施策に反映していないようであることが,この交渉を見ていて強く感じられました。

 

 そもそも復興庁をはじめ,霞が関の役人達は。被災者・被害者がどういう境遇に置かれ,どういうところに切実なニーズや要望があるのかさえ,きちんと把握している様子がありません。把握しているかどうかどころか,把握する仕組みや被災者・被害者の声を聞く場さえも設けていないのです。これはもう,完璧な棄民政策であり,「東京電力(福島第1原発)放射能放出事件」による被災者・被害者は,これから大量に発生してくるであろう健康被害者も含めて「あきらめろ」「政府は何もしない」「逃げるなら勝手に逃げろ」「とにかく自己責任だ」という,現安倍晋三・自民党政権,及び原子力ムラ代理店政府の「本音」が赤裸々に現れているとしか言いようがないものでした。しかし,それは明らかに「子ども・被災者支援法」に違反しており,明確な法律違反です。私は,この政治家を含めた政府関係者・責任者を逮捕・起訴すべきであると思います。未必の故意による不作為=被害者切捨てです。

 

 私からは,復興庁の役人の「避難されている方々への支援については被災自治体を通して行い,たとえば人的交流会などを設けたい,また,避難された方が避難先の自治体で等しく行政サービスが受けられるよう対処したい」などというふざけた説明に対して,次のような質問をぶつけました。

 

<1>避難されている方々への支援が,何故,被災自治体経由なのか。何故,直接に,あるいは避難先の自治体を通じて支援しないのか

 

<2>被災自治体は,福島県庁を筆頭に,放射能でひどく汚染されたところに戻れという帰還政策ばかりやっているところが多い。しかし,「子ども・被災者支援法」は,居住し続けるのも避難・疎開・移住するのも,それぞれの被災者・被害者の選択の権利にゆだね,いずれの場合であっても等しく充分な支援が受けられるよう政府が責任を持つとうたってある。これから鑑みれば,かような自治体は法律違反であり,そのような自治体経由でしか支援をしないというのはおかしいではないか。何故,被災自治体経由でしか支援しないのか,理由を述べよ。

 

<3>そもそも,避難された方々の要望や意見やニーズをどのような方法で把握しているのか

 

<4>避難先の自治体で等しく行政サービスを受けられるようにするなどというが,福島県から被ばくを避けて避難した中学生が,東京都や兵庫県の高校に入ろうとしたところ,住民票を移し,保護者と同居状態で,避難先自治体内に居住しなければ入学や受験を認めない,と高校から突き返されている(これはいずれも新聞情報)。こういう事例は他にもあるのではないか。学校だけでなく,他の行政サービスについてはどうなのか。

 

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 役人達の返答は,返答になっていない,まったく空疎・出鱈目・言い逃れのようなものでした。日本の行政や役人の質的劣化を強烈に感じるとともに,物を投げつけたい気持ちを抑えるのに苦労しました。人の命や健康,あるいは人間の人としての尊厳を何と心得ているのか,貴様らには,もう国家行政を司る資格はない,と怒鳴りつけたい気持ちでした。

 

 特に復興庁はひどく,こんな役所はない方がいいでしょう。さすがは「口先やるやる詐欺」民主党が創った役所だけあります。しかし,よく考えれば,この交渉の場に来た若手官僚達も,ある意味では被害者で,自分の本音ではもう少しいい行政や施策を被災者・被害者のためにしたいけれども,それぞれの省庁幹部や,その背後にいる自民党ゴロツキ政治家達に首根っこを押さえられているのかもしれない,そう思いました。

 

 みなさま,詳細は上記VTRをご覧ください。胸くそが悪くなりますが,全くひどい霞が関官僚達の説明・対応をたっぷりと見ることができます。こうした冷酷・無慈悲で,出鱈目・トンチンカンで,低質の行政のそもそもの根源は,原子力ムラ代理店政府=安倍晋三・自民党政権の政策方針や姿勢にあります。臭いにおいはもとから断たなければダメなのです。

 

 安倍晋三・自民党政権を倒し,原子力ムラに癒着する自民党のゴロツキ政治家どもを政治の世界から追い払う,これをやらなければ,おそらくは被害者・被災者が救われることはないような気がします。このまま行くと本当に危ないです。避難した方々は放射能の魔の手からは逃れられても,孤立無援の生活苦の中で悲惨な状態を余儀なくされる可能性がありますし,福島をはじめ汚染地域に居住を続ける方々もまた,深刻かつ危険な恒常的低線量被曝に曝され続けることで,将来的に健康障害が出てくる可能性が高いと言えるでしょう。

 

 震災復興は,何よりもまず,人間の復興でなければなりません。しかし,政府の復興政策の今の現実は,人間の復興を棚上げにして,産業と市場経済の復興,一握りの企業や人間達の商売繁盛を主眼においています。被災者・被害者一人一人の命と健康,生活や仕事のことよりも,公共土建や巨額予算事業のこと,大企業誘致や道路・ハコモノ建設に夢中になっているのです。これでは幸せな社会が再生されることはあり得ないでしょう。

 

 こうしたことの近未来が,今回の政府交渉ではっきり見えたような気がしています。

 いい加減にしろ,馬鹿野郎です!!!

 

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悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲,悲

早々

 

 

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